《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第1EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、本明細書において使用される「上流側」及び「下流側」なる用語は、EHCに流れる排気等の流体の流れにおける「上流側」及び「下流側」をそれぞれ意味する。
〈構成〉
第1EHCは、通電により発熱する柱状の外形を有する部材である発熱体と、発熱体に通電可能に構成された一対の電極と、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マットと、発熱体及び第1マットを収容する筒状の容器であるケースと、を備えるEHCである。EHCは、例えば自動車等に搭載される内燃機関の排気経路上に設けられるため、EHCの構成要素は、例えば、高い耐熱性、耐酸化性、及び耐腐食性等を備える材料によって形成されることが望ましい。
発熱体の構成及び材料は、通電により発熱することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。前術したように、発熱体を形成する材料の具体例としては、例えばSiC(炭化珪素)等、導電性を有するセラミック材料を挙げることができる。
尚、第1EHCは、例えば、排気浄化触媒を担持する担体の上流側に配設された別個の発熱体によって排気を加熱し、このようにして加熱された排気によって排気浄化触媒を加熱するように構成されていてもよい。或いは、第1EHCにおいて、例えば、通電によって発熱する担体に排気浄化触媒が担持されていてもよい(即ち、排気浄化触媒が発熱体に担持されていてもよい)。
上記ケースの形状及び材料は、筒状の形状を有し、その内部に発熱体及び第1マットを収容することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、ケースは、例えば円筒状又は角筒状の形状を有していてもよく、その内部に発熱体を収容する部分の横断面よりも上流側及び/又は下流側の部分の横断面がより小さくなるように形成されていてもよい。典型的には、ケースを形成する材料はステンレス鋼を始めとする金属であり、ケースの形状は円筒形である。また、ケースは、例えば鋼管等によって一体物として形成されていてもよく、或いは複数の構成部材を集成することによって形成されていてもよい。
第1マットの形状及び材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材であり、ケースと発熱体との間に介在してケースの内部の所定の位置に復元力によって発熱体を保持することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。即ち、第1マットは発熱体とケースとの間に挟持されている。第1マットを形成する材料の具体例としては、例えば、アルミナ−シリカ系繊維等の無機繊維及びこのような無機繊維にバインダとしての樹脂を加えたものを挙げることができる。バインダとして使用される樹脂の具体例としては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ポリビニルアルコール及びアクリル樹脂等を挙げることができる。
上記に加えて、第1EHCにおいては、上記ケースの側面の互いに対向する領域に当該ケースの外側と内側とを連通する貫通孔であるケース孔が形成されている。また、第1マットの少なくともケース孔に対向する領域には電気絶縁材料からなる緩衝材が存在しない間隙である第1マット間隙が形成されている。ケース孔及び第1マット間隙により、ケースの外部と第1マットの内部とを連通する空間が画定されている。
尚、第1マット間隙は、第1マットのケース孔に対向する領域において第1マットの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第1マット孔であってもよい。或いは、第1マット間隙は、第1マットの第1ケース孔に対向する領域のみならず、第1マットの他の領域にまで及ぶ間隙であってもよい。このような間隙の具体例としては、例えば、第1マットが2つの部材に分割されており且つ当該2つの部材の一方がケース孔よりも上流側に配設され他方がケース孔よりも下流側に配設される場合において当該2つの部材の間に画定される空間等を挙げることができる。この場合、第1マット間隙は、発熱体の側面に全周に亘って対向する環状の空間として画定される。但し、第1マット間隙の具体的な形状は、第1ケースと発熱体との間に介在する第1マットの復元力により第1ケースの内部の所定の位置に発熱体を保持することが可能であり且つ第1マットの第1ケース孔に対向する領域において第1マットの外側と内側とを連通することが可能である限り、特に限定されない。
更に、(発熱体に通電可能に構成された)一対の電極の各々は、ケース孔及び第1マット間隙に挿通された導電性部材である外部電極と、導電性を有する緩衝材によって構成された介在電極と、によって構成されている。外部電極の形状は、ケース孔及び第1マット間隙に挿通されて介在電極を介して発熱体の側面に当接するように配設されることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、外部電極は、ケース孔及び第1マット間隙に挿通可能な断面を有する柱状の形状を有する。
更に、外部電極を構成する材料は、発熱体に通電可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されず、例えば金属等、電極用材料として広く使用されている材料から適宜選択することができる。また、外部電極の耐酸化性の向上を目的として、例えばNi−Cr合金やM−Cr−Al−Y合金(但し、MはFe、Co、Niのうち少なくとも一種)等の合金材料によって外部電極を形成したり、このような合金材料によって外部電極の表面を被覆したりしてもよい。
一方、介在電極は、上述したように、導電性を有する緩衝材によって構成されている。加えて、介在電極は、発熱体の側面の部分領域である第1領域と当該第1領域に対向する外部電極の表面の領域である第2領域との間に挟持されている。介在電極の具体的な構成は、発熱体と外部電極との間に挟持されることが可能であり、発熱体に通電可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。このような介在電極を構成する緩衝材の具体例としては、例えば、金属ウール、金属不織布、金属メッシュ及びバネからなる群より選ばれる少なくとも1種の部材を挙げることができる。また、このような緩衝材を構成する金属の具体例としては、例えば高い耐食性を有するクロム系ステンレス鋼を始めとする各種ステンレス鋼等を挙げることができる。
図1は、第1EHCの構成の一例を示す模式図である。(a)は第1EHC101の模式的な斜視図であり、(b)は互いに対向する一対の外部電極21a及び21bの軸を含み且つ発熱体10の軸方向に直交する平面による第1EHC101の模式的な断面図であり、(c)は互いに対向する一対の外部電極21a及び21bの軸を含み且つ発熱体10の軸方向に平行な平面による第1EHC101の模式的な断面図である。また、図2は、図1の(b)に示した第1EHCが備える一対の電極のうちの一方(電極20a)の近傍の拡大図である。更に、図3は、図1の(c)に示した第1EHCが備える一対の電極のうちの一方(電極20a)の近傍の拡大図である。
図1乃至図3に例示する第1EHC101は、通電により発熱する柱状の形状を有する発熱体10と、発熱体に通電可能に構成された一対の電極20a及び20bと、電気絶縁材料からなる緩衝材である第1マット30と、発熱体10及び第1マット30を収容する筒状の容器であるケース40と、を備える。第1マット30は発熱体10とケース40との間に挟持されて、ケース40の内部の所定の位置に復元力によって発熱体10を保持している。
例えば、発熱体10は、SiC(炭化珪素)によって形成され且つハニカム構造を有する円柱体として構成することができる。また、第1マット30は、アルミナ−シリカ系繊維によって形成された不織布によって構成することができる。更に、ケース40は、ステンレス鋼管によって構成することができる。
上記に加えて、ケース40の外側と内側とを連通する貫通孔であるケース孔41a及び41bがケース40の側面の互いに対向する領域に形成されている。また、第1マット30の少なくともケース孔41a及び41bに対向する領域には電気絶縁材料からなる緩衝材が存在しない間隙である第1マット間隙31a及び31bが形成されている。図1に例示する第1EHC101においては、第1マット30のケース孔41a及び41bに対向する領域において第1マット30の外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第1マット孔31a及び31bとして第1マット間隙が形成されている。
また、一対の電極20a及び20bの各々は、それぞれ、外部電極21aと介在電極22aとの組及び外部電極21bと介在電極22bとの組によって構成されている。外部電極21a及び21bは柱状の導電性部材であり、第1マット間隙31aとケース孔41aとの組及び第1マット間隙31bとケース孔41bとの組にそれぞれ挿通されている。介在電極22a及び22bは導電性を有する緩衝材によって構成されている。本例においては、介在電極22a及び22bは高耐食22クロム1モリブデンステンレス鋼製の微細なスチールウールによって構成されている。
更に、介在電極22a及び22bは、外部電極21aと発熱体10との間及び外部電極21bと発熱体10との間に、それぞれ挟持されている。換言すれば、介在電極22a及び22bは、それぞれ、発熱体10の側面の部分領域である第1領域と当該第1領域に対向する外部電極21a及び21bの表面(先端面)の領域である第2領域との間に挟持され、復元力により留まっている。これにより、図示しない電源を外部電極21a及び21bに接続して、一対の電極20a及び20bを介して発熱体10に通電し、発熱体10を発熱させて、図示しない排気浄化触媒を所定の活性化温度へと昇温させることができる。
ところで、介在電極22を介する発熱体10への通電を確保する観点からは、外部電極21と発熱体10との間に挟持されている状態における介在電極22の嵩密度を所定の値以上に維持することが望ましい。介在電極22の嵩密度は、例えば外部電極21と発熱体10との間に挟持される介在電極22の構成材料(例えば、ステンレススチールウール等)の質量及び外部電極21と発熱体10との間に画定される空間の大きさを所定の範囲内に収めることにより、所期の値とすることができる。
尚、第1EHCは、例えば内燃機関の排気中に含まれる上述したような特定物質の除去を目的として、排気の流路等に介装される。従って、第1EHCは、柱状の外形を有する部材である発熱体の軸方向における両端に位置する開口を除き、気密に構成される。具体的には、ケースに形成された貫通孔であるケース孔に挿通された外部電極とケースとは気密に接合される。但し、例えば外部電極とケースとの間に介在する電気絶縁材料等により、外部電極とケースとを電気的に絶縁する必要がある。
図2及び図3に例示した第1EHC101においては、外部電極21aと発熱体10との間に介在電極22aが挟持されている状態において外部電極21aを固定するように構成された電極固定部51aをケース40が備える。より詳しくは、外部電極21aと電極固定部51aとの間に介在して電極固定部51aに外部電極21aを取り付けるための部分である取付部52aを外部電極21aが備える。尚、上述したように、外部電極21a(及び21b)とケース40とは電気的に絶縁されている必要がある。そこで、図2及び図3に示した例においては、電気絶縁材料からなる絶縁部53aが外部電極21aと取付部52aとの間に介在している。
尚、図示しないが、取付部52aの外周面に雄ねじを刻設し、電極固定部51aに形成された貫通孔に雌ねじを刻設し、これらを螺合することにより外部電極21aを電極固定部51aに固定してもよい。この場合、取付部52aと電極固定部51aとの螺合により、外部電極21aと発熱体10との間に介在電極22aを所望の押圧力にて挟持することができる。また、例えばケース40の気密性を維持すること等を目的として、電極固定部51aと取付部52aとの間にガスケット等を介在させてもよい。
ところで、内燃機関から排出される排気には水蒸気が含まれるため、例えば内燃機関の運転条件及び第1EHCを含む排気系の温度等によっては、排気中の水蒸気が凝縮し凝縮水となる場合がある。このような凝縮水は、発熱体10とケース40との間に挟持された第1マット30の内部及び/又は第1マット30とケース40の内周面との間に侵入したり電極20に到達したりする場合がある。従って、ケース40が金属等の導電性を有する材料によって構成されている場合、ケース40への漏電の可能性が高まる虞がある。
上記のような問題への対策として、ケース40を絶縁材料によって構成してもよい。或いは、ケース40の内周面に絶縁層を設けたり、絶縁材料からなる部材又は絶縁層を有する部材を発熱体10とケース40との間に介在させたりして、ケース40の電気的な絶縁性を確保してもよい。このような絶縁材料又は絶縁層を構成する材料の具体例としては、例えばアルミナ及びガラス等のセラミック材料を挙げることができる。
〈効果〉
以上説明してきたように、第1EHCが備える発熱体に通電するための一対の電極の各々は、ケース孔及び第1マット間隙に挿通された導電性部材である外部電極と、導電性を有する緩衝材によって構成された介在電極と、によって構成されている。従って、例えば、第1マットが発熱体の外周面に巻回された柱体ユニットをケースの内部に収容した後に、外部電極をケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通し、外部電極の先端面と発熱体との間に介在電極を挟持することができる。これにより、電極を介する発熱体への確実な通電を確保しつつ高い生産効率にて第1EHCを製造することができる。加えて、第1EHCは、例えば圧入工法又はサイジング工法等を適用して柱体ユニットをケースの内部に収容した後に、外部電極をケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通し、外部電極の先端面と発熱体との間に介在電極を挟持することによって集成することができる。従って、例えば、前述したようにプレス加工によって製造された2枚合わせ式のシェルに発熱体を挟み込んだ後に当該シェルを溶接等の手法によって接合する必要が無く、高い生産効率にて第1EHCを製造することができる。
即ち、第1EHCによれば、従来技術に係るEHCに関して本明細書の冒頭において述べたような、電極に作用する応力若しくは振動又は第1EHCが付される温度変化等に起因する発熱体と電極との接合部の破損、EHCの集成工程の複雑化、及び外部電極と発熱体との接触面積のバラツキ等の問題を低減することができる。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第2EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。上述したように、介在電極を介する発熱体への通電を確保する観点からは、外部電極と発熱体との間に挟持されている状態における介在電極の嵩密度を所定の値以上に維持することが望ましい。また、介在電極の嵩密度は、例えば外部電極と発熱体との間に挟持される介在電極の構成材料(例えば、ステンレススチールウール等)の質量及び外部電極と発熱体との間に画定される空間の大きさ等を所定の範囲内に収めることにより、所期の値とすることができる。
ところが、本発明EHCが備える発熱体は通電により発熱する柱状の外形を有する部材である。典型的には、EHCが備える発熱体は円柱状の外形を有する。一方、外部電極の発熱体側の先端面の形状は一般的には平面である。このような場合、外部電極の発熱体側の先端面と発熱体の側面との間の距離が一定ではないため、外部電極と発熱体との間に挟持されている介在電極の嵩密度を均一に保つことが難しい。このような問題を低減するためには、外部電極の発熱体側の先端面と発熱体の側面との間の距離が一定となるように、外部電極及び発熱体が構成されていることが望ましい。
〈構成〉
そこで、第2EHCは、上述した第1EHCであって、介在電極を挟持する発熱体の側面の部分領域である第1領域が、当該第1領域に対向する外部電極の表面の領域である第2領域の形状に沿った形状を有する、電気加熱式触媒装置である。換言すれば、第2EHCにおいて、第1領域及び第2領域は、互いに一致する形状を有する。更に換言すれば、第2EHCにおいて、外部電極が発熱体に当接する方向における第1領域と第2領域との間の距離は一定である。
図4は、第2EHCの構成の1つの例を示す模式的な拡大断面図である。より具体的には、図4は、第2EHCが備える一対の電極のうちの一方の電極20aの近傍の部分の外部電極21aの軸を含み且つ発熱体10の軸方向に直交する平面による模式的な断面図である。尚、上述した図2と同様に、以下の説明においては第2EHCが備える一対の電極のうちの一方の電極20aの近傍の部分についてのみ述べるが、図示しない他方の電極の近傍の部分の構成も図4に示す構成と同様である。従って、他方の電極の近傍の部分についての説明は省略する。また、図4にも、電極固定部51a、取付部52a及び絶縁部53aが描かれているが、これらの構成要素については上述した第1EHC101に関する説明において既に述べたので、ここでの説明は省略する。
図4に例示する第2EHC102においては、介在電極を挟持する外部電極21aの先端面(発熱体10側の表面)である第2領域が、当該第2領域に対向する発熱体10の側面(即ち、円柱形の側面)である第1領域に沿った曲面として形成されている。換言すれば、第2EHC102において、第1領域及び第2領域は、互いに一致する形状を有する。更に換言すれば、第2EHC102において、外部電極が発熱体に当接する方向における第1領域と第2領域との間の距離dは一定である。
但し、図4に示した例においては発熱体10が円柱状の外形を有するが、第2EHCが備える発熱体10は他の柱状の形状を有していてもよい。この場合も、第2EHCにおいては、介在電極を挟持する発熱体の側面の部分領域である第1領域が、当該第1領域に対向する外部電極の表面の領域である第2領域の形状に沿った形状を有する。
〈効果〉
上記のように、第2EHCにおいては、介在電極を挟持する発熱体の側面の部分領域である第1領域が、当該第1領域に対向する外部電極の表面の領域である第2領域の形状に沿った形状を有する。従って、外部電極の発熱体側の先端面と発熱体の側面との間の距離が一定であり、外部電極と発熱体との間に挟持されている介在電極の嵩密度を均一に保つことができるので、所期の通電性を容易且つ確実に達成することができる。
〈変形例2−1〉
変形例2−1に係る第2EHCにおいては、第1領域及び第2領域が互いに平行な平面である。図5は、このような変形例に係る第2EHCの構成の1つの例を示す模式的な拡大断面図である。
図5に例示する第2EHC102aにおいても、上述した第2EHC102と同様に、介在電極を挟持する外部電極21aの先端面(発熱体10側の表面)である第2領域と当該第2領域に対向する発熱体10の側面である第1領域との間の距離dが一定である。従って、外部電極と発熱体との間に挟持されている介在電極の嵩密度を均一に保ち、所期の通電性を容易且つ確実に達成することができる。
加えて、第2EHC102aにおいては、第1領域と第2領域とが互いに平行な平面として形成されている。従って、第2EHC102aによれば、例えばEHCの集成時における外部電極21(21a及び21b)と発熱体10との位置合わせの誤差等が生じた場合においても、外部電極21が発熱体10に当接する方向における第1領域と第2領域との間の距離dにバラツキが生ずる可能性を低減することができる。その結果、外部電極21と発熱体10との間に挟持されている介在電極22(22a及び22b)の嵩密度を均一に保ち、所期の通電性を容易に達成することができる。
〈変形例2−2〉
上記のように図5に例示した第2EHC102aにおいては、介在電極を挟持する外部電極の先端面の部分領域(第2領域)に対向する発熱体の側面の部分領域(第1領域)が、発熱体の側面に連続する面として形成されている。しかしながら、第2領域に平行な平面としての第1領域の具体的な構成は、第2領域に対して平行に対向し且つ介在電極を圧縮して挟持することができる限り、特に限定されない。例えば、このような第1領域は、発熱体の側面に設けられた台座の頂面に形成されていてもよい。
そこで、変形例2−2に係る第2EHCにおいては、発熱体の径方向において外側に隆起した部分である台座部が発熱体の側面に設けられており、第1領域は台座部の頂面に形成されている。
台座部の形状は、第1領域としての平面がその頂面に形成されている限り特に限定されない。但し、第2EHCの集成工程において圧入工法又はサイジング工法等を適用して発熱体をケースの内部に収める場合は、台座部の頂面がケースの内壁に干渉しないように、台座部の高さ(発熱体の径方向における寸法)を定める必要がある。
また、台座部を構成する材料は、導電性を有し且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。このような材料の具体例としては、例えば、導電性を有するセラミック材料(例えば、SiC(炭化珪素)等)及び金属(例えば、各種ステンレス鋼等)を挙げることができる。また、台座部は、発熱体とは別個に形成された部材を、例えば耐熱性及び導電性を有する接着剤等を用いて、発熱体の側面の所定の位置に貼り付けることによって構成することができる。或いは、台座部と発熱体とが同じ材料によって構成される場合は、台座部と発熱体とを一体的に形成してもよい。
図6は、変形例2−2に係る第2EHCの構成の1つの例を示す模式的な拡大断面図である。図6に例示する第2EHC102bにおいても、上述した第2EHC102aと同様に、第1領域と第2領域とが互いに平行な平面として形成されている。従って、第2EHC102aによれば、例えばEHCの集成時における外部電極21(21a及び21b)と発熱体10との位置合わせの誤差等が生じた場合においても、外部電極21が発熱体10に当接する方向における第1領域と第2領域との間の距離dにバラツキが生ずる可能性を低減することができる。その結果、外部電極21と発熱体10との間に挟持されている介在電極22(22a及び22b)の嵩密度を均一に保ち、所期の通電性を容易に達成することができる。
但し、第2EHC102bにおいては、発熱体10の径方向において外側に隆起した部分である台座部11が発熱体10の側面に設けられており、介在電極22を挟持する外部電極21の先端面(発熱体10側の表面)である第2領域に対向する発熱体10の側面である第1領域が台座部11の頂面に形成されている。尚、図6に例示する台座部11は、発熱体10とは別個の部材として形成されており、耐熱性及び導電性を有する接着剤によって発熱体10の側面に貼り付けられている。但し、上述したように、台座部11と発熱体10とを一体的に形成してもよい。
〈変形例2−3〉
上述した変形例2−2に係る第2EHCにおいては、発熱体の径方向において外側に隆起した部分である台座部が発熱体の側面に設けられており、第1領域は台座部の頂面に形成されている。しかしながら、第1領域は、発熱体の側面に形成された凹部に形成されていてもよい。
そこで、変形例2−3に係る第2EHCにおいては、発熱体の径方向において内側に陥没した部分である収容部が発熱体の側面に設けられており、第1領域は収容部の底面に形成されている。
収容部の形状は、第1領域としての平面がその頂面に形成され、その内部において外部電極の先端面と第1領域としての平面との間に介在電極を挟持することが可能である限り特に限定されない。但し、例えば収容部の深さ(発熱体の径方向における寸法)に応じて外部電極の長さを増大させる必要が生じたり、通電による発熱に寄与する発熱体の領域が小さくなったりする場合があるので、収容部の深さを過度に大きくすることが望ましくない場合がある。
図7は、変形例2−3に係る第2EHCの構成の1つの例を示す模式的な拡大断面図である。図7に例示する第2EHC102cにおいても、上述した第2EHC102a及び第2EHC102bと同様に、第1領域と第2領域とが互いに平行な平面として形成されている。従って、第2EHC102cによれば、例えばEHCの集成時における外部電極21(21a及び21b)と発熱体10との位置合わせの誤差等が生じた場合においても、外部電極21が発熱体10に当接する方向における第1領域と第2領域との間の距離dにバラツキが生ずる可能性を低減することができる。その結果、外部電極21と発熱体10との間に挟持されている介在電極22(22a及び22b)の嵩密度を均一に保ち、所期の通電性を容易に達成することができる。
但し、第2EHC102cにおいては、発熱体10の径方向において内側に陥没した部分である収容部12が発熱体10の側面に設けられており、第1領域は収容部12の底面に形成されている。これにより、収容部11の内部に収容された介在電極22を第1領域と第2領域との間に確実に挟持することができる。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第3EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。介在電極を介する発熱体への通電を確保する観点からは、外部電極と発熱体との間に挟持されるべき介在電極が外部電極と発熱体との間の空間内に確実に留まることが望ましい。
〈構成〉
そこで、第3EHCは、上述した第1EHC又は第2EHCであって、筒状の部材であるガイド部材を更に備え、介在電極の少なくとも一部がガイド部材の内側に収容されている、電気加熱式触媒装置である。
ガイド部材の形状及び材料は、筒状の形状を有し、外部電極と発熱体との間に挟持される介在電極の少なくとも一部をその内側に収容することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。ガイド部材は、外部電極と発熱体との間に挟持される介在電極の全てをその内側に収容することが可能であることが望ましいが、例えばEHCの使用時における車両の振動等に起因して外部電極と発熱体との間の空間から介在電極が脱落する可能性を低減することが可能である限り、必ずしも介在電極の全てをその内側に収容する必要は無い。
また、発熱体及び電極以外の部材(例えば、ケース等)にガイド部材が直接接触する可能性が無い限り、ガイド部材を構成する材料は導電性材料であってもよく、或いは絶縁性材料であってもよい。
図8は、第3EHCが備えるガイド部材の構成の一例を示す模式的な斜視図である。図8に例示するガイド部材60aは、ステンレス鋼製の円筒によって構成されている。図9は、第3EHCが備える一対の電極のうちの一方の電極20aの近傍の部分の外部電極21aの軸を含み且つ発熱体10の軸方向に直交する平面による模式的な断面図である。上述した図2乃至図7と同様に、以下の説明においては第3EHCが備える一対の電極のうちの一方の電極20aの近傍の部分についてのみ述べるが、図示しない他方の電極の近傍の部分の構成も図9に示す構成と同様である。図9に例示する第3EHC103においては、外部電極21aの先端及び介在部材22aの全体がガイド部材60aの内側に収容されている。
尚、図示しないが、第3EHCにおいても、上述した第2EHCと同様に、第1領域及び第2領域が互いに一致する形状を有していてもよく、上述した変形例2−1に係る第2EHCと同様に、第1領域及び第2領域が互いに平行な平面であってもよい。
また、第3EHCにおいても、上述した変形例2−2に係る第2EHCと同様に、発熱体の径方向において外側に隆起した部分である台座部が発熱体の側面に設けられており、第1領域が台座部の頂面に形成されていてもよい。この場合、図10に示す第3EHC103aのように、外部電極21aの先端、介在部材22aの全体及び台座部11がガイド部材60aの内側に収容されていてもよい。或いは、図11に示す第3EHC103bのように、外部電極21aの先端及び介在部材22aの全体がガイド部材60aの内側に収容されており且つ台座部11がガイド部材60aの内側には収容されていなくてもよい。
更に、第3EHCにおいても、上述した変形例2−3に係る第2EHCと同様に、発熱体の径方向において内側に陥没した部分である収容部が発熱体の側面に設けられており、第1領域は収容部の底面に形成されていてもよい。この場合、図12に示す第3EHC103cのように、外部電極21aの先端及び介在部材22aの全体がガイド部材60aの内側に収容されており且つ収容部12の底面にガイド部材60aが当接していてもよい。或いは、図13に示す第3EHC103dのように、外部電極21aの先端及び介在部材22aの一部がガイド部材60aの内側に収容されており且つ発熱体10の側面における収容部12の周縁部にガイド部材60aが当接していてもよい。
尚、上述した図9乃至図13に例示した第3EHC103及び第3EHC103a乃至第3EHC103dにおいては、発熱体10及び外部電極21の何れとも別個の部材としてガイド部材60aが構成されている。このような構成においては、筒状の部材であるガイド部材60(60a及び60b)の位置を所定の範囲内に留めて、ガイド部材60の内部に介在部材22(22a及び22b)の少なくとも一部を確実に収容することが望ましい。
そこで、好ましい態様に係る第3EHCは、発熱体の径方向における外側へのガイド部材の移動を妨げる部材であるストッパー部材を更に備える。ストッパー部材の構成及び材料は、発熱体の径方向における外側へのガイド部材の移動を妨げることが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、ストッパー部材は、例えば、外部電極21(21a及び21b)の側面に設けられた突出部(例えば、突起及びフランジ等)であってもよい。
図14は、ストッパー部材を備える第3EHCの構成の一例を示す模式的な拡大断面図である。図14に例示する第3EHC103eにおいては、フランジ状のストッパー部材61aが外部電極21aの側面に突出するように形成されている。このストッパー部材61aにより、発熱体10の径方向における外側(図14における上側)へのガイド部材60aの移動が妨げられる。その結果、ガイド部材60aの位置を所定の範囲内に留めて、ガイド部材60aの内部に介在部材22aの少なくとも一部を確実に収容することができる。
但し、ストッパー部材61aは、発熱体10と外部電極21aとの間に介在電極22aを所定の嵩密度にて確実に挟持することが可能な距離まで外部電極21aの先端面を発熱体10の側面に近付けることを妨げるものであってはならない。従って、ストッパー部材61aの位置は、介在電極22aの所定の嵩密度を達成し得る距離まで外部電極21aの先端面を発熱体10の側面に近付けたときのストッパー部材61aと発熱体との間の距離がガイド部材60aの軸方向の長さ以上であるように定められる。
〈効果〉
以上のように、第3EHCにおいては、介在電極の少なくとも一部がガイド部材の内側に収容されるように筒状のガイド部材が配設されている。従って、外部電極と発熱体との間に挟持されるべき介在電極が外部電極と発熱体との間の空間内に確実に留まることができる。その結果、介在電極を介する発熱体への通電をより確実に確保することができる。
〈変形例3−1〉
ところで、上述したように、図9乃至図13に例示した第3EHC103及び第3EHC103a乃至第3EHC103dにおいては、発熱体10及び外部電極21の何れとも別個の部材としてガイド部材60aが構成されている。従って、図14に例示した第3EHC103eのように、ストッパー部材61aを設けて、発熱体10の径方向における外側へのガイド部材60aの移動を妨げることが望ましい。
しかしながら、図15乃至図18に例示する第3EHC103f乃至第3EHC103iのように、発熱体10と一体的な部材としてガイド部材60aが構成されていてもよい。
このような構成によれば、図14に例示した第3EHC103eのようにストッパー部材61aを設けること無く、ストッパー部材61aを設けて、発熱体10の径方向における外側へのガイド部材60aの移動を妨げることができる。尚、この場合、介在電極22aの所定の嵩密度を達成し得る距離まで外部電極21aの先端面を発熱体10の側面に近付けたときに外部電極21aの先端面が発熱体10の側面を過度に押圧して発熱体10の側面を損傷しないように、発熱体10と一体的な部材として構成されるガイド部材60aの軸方向の長さを定める必要がある。
〈変形例3−2〉
或いは、図19乃至図22に例示する第3EHC103g乃至第3EHC103mのように、外部電極21aと一体的な部材としてガイド部材60aが構成されていてもよい。
このような構成によっても、ストッパー部材61aを設けて、発熱体10の径方向における外側へのガイド部材60aの移動を妨げることができる。尚、この場合もまた、介在電極22aの所定の嵩密度を達成し得る距離まで外部電極21aの先端面を発熱体10の側面に近付けたときに外部電極21aの先端面が発熱体10の側面を過度に押圧して発熱体10の側面を損傷しないように、発熱体10と一体的な部材として構成されるガイド部材60aの軸方向の長さを定める必要がある。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)(以降、「第4EHC」と称呼される場合がある。)について説明する。
当該技術分野においては、例えば絶縁性の更なる向上及び保温性の向上等を目的として、電気加熱式触媒装置(EHC)を構成する発熱体を収容する筒状の容器であるケースを二重構造とすることが知られている。本発明に係る電気加熱式触媒装置(本発明EHC)もまた、このような二重構造を有する筒状の容器を採用することができる。
〈構成〉
そこで、第4HCは、上述した第1EHC乃至第3EHCの何れかであって、上述したケースが、筒状の容器である外管と当該外管の内部の所定の位置に固定された筒状の容器である内管とによって構成されている、電気加熱式触媒装置である。ケース孔は、外管の側面の互いに対向する領域に形成され且つ外管の外側と内側とを連通する貫通孔である外管孔と、内管の少なくとも外管孔に対向する領域に形成され且つ内管を構成する材料が存在しない間隙である内管間隙と、によって構成されている。また、外部電極は、外管孔、内管間隙及び第1マット間隙に挿通されている。
尚、内管間隙は、内管の外管孔に対向する領域において内管の外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である内管孔であってもよい。或いは、内管間隙は、内管の外管孔に対向する領域のみならず、内管の他の領域にまで及ぶ間隙であってもよい。このような間隙の具体例としては、例えば内管が2つの筒状の部材に分割されており且つ当該2つの部材の一方が外管孔よりも上流側に配設され他方が外管孔よりも下流側に配設される場合において当該2つの部材の間に画定される空間等を挙げることができる。この場合、内管間隙は、発熱体の側面に全周に亘って対向する環状の空間として画定される。但し、内管間隙の具体的な形状は、内管の外管孔に対向する領域において内管の外側と内側とを連通することが可能である限り、特に限定されない。
図23は、第4EHCの構成の一例を示す模式図である。図23に例示する第4EHC104は、以下に列挙する点(A)乃至(C)を除き、図1に例示した第1EHC101と同様の構成を有する。
(A)筒状の容器である外管42と外管42の内部の所定の位置に固定された筒状の容器である内管43とによってケース40が構成されている点。
(B)外管42の側面の互いに対向する領域に形成され且つ外管42の外側と内側とを連通する貫通孔である外管孔42a及び42bと内管43の少なくとも外管孔42a及び42bに対向する領域にそれぞれ形成され且つ内管43を構成する材料が存在しない間隙である内管間隙43a及び43bとによってケース孔41a及び41bがそれぞれ構成されている点。
(c)外管孔42a、内管間隙42a及び第1マット間隙31aに外部電極21aが挿通され且つ外管孔42b、内管間隙42b及び第1マット間隙31bに外部電極21bが挿通されている点。
尚、内管間隙43a及び43bは、内管43の外管孔42a及び42bに対向する領域において内管43の外側と内側とを連通するようにそれぞれ形成された貫通孔であってもよい。
〈効果〉
第4EHC104によれば、外管と内管との間の空間により高い断熱効果が得られるため、EHC全体としての保温性能を高めることができ、排気浄化触媒の活性化温度への昇温を速めたり、排気浄化触媒の活性化温度における保持を容易にしたりすることができる。また、例えば、内管の内部に発熱体を予め収容して中間素材とした後に、当該中間素材を外管の内部に組み付けることにより、EHCの集成時におけるハンドリング性を向上させることもできる。
〈変形例4−1〉
ところで、第4EHCにおいて外管の内部の所定の位置に内管を固定するための具体的な手法は、外管と内管とを電気的に絶縁することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、電気絶縁材料からなる緩衝材を外管と内管との間に圧縮して挟持し、当該緩衝材の復元力により外管の内部の所定の位置に内管を固定してもよい。
そこで、変形例4−1に係る第4EHCは、電気絶縁材料からなる緩衝材である第2マットを更に備える。第2マットの形状及び材料は、電気絶縁材料からなる緩衝材であり、外管と内管との間に介在して外管の内部の所定の位置に復元力によって内管を保持することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。即ち、第2マットは、外管と内管との間に挟持されている。第2マットを形成する材料は、上述した第1マットを形成する材料とは異なる材料であっても良く、或いは上述した第1マットを形成する材料と同様の材料であってもよい。
また、第2マットの少なくとも外管孔に対向する領域には電気絶縁材料からなる緩衝材が存在しない間隙である第2マット間隙が形成されている。外管孔、第2マット間隙及び内管間隙によりケース孔が画定されており、当該ケース孔及び第1マット間隙により、ケースの外部と第1マットの内部とを連通する空間が画定されている。そして、外部電極は当該空間に挿通されて、発熱体の側面との間に介在電極を挟持する。即ち、外部電極は、外管孔、第2マット間隙、内管間隙及び第1マット間隙に挿通されている。
尚、第2マット間隙は、第2マットの外管孔に対向する領域において第2マットの外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第2マット孔であってもよい。或いは、第2マット間隙は、第2マットの外管孔に対向する領域のみならず、第2マットの他の領域にまで及ぶ間隙であってもよい。このような間隙の具体例としては、例えば、第2マットが2つの部材に分割されており且つ当該2つの部材の一方が外管孔よりも上流側に配設され他方が外管孔よりも下流側に配設される場合において当該2つの部材の間に画定される空間等を挙げることができる。この場合、第2マット間隙は、発熱体の側面に全周に亘って対向する環状の空間として画定される。但し、第2マット間隙の具体的な形状は、外管と内管との間に介在する第2マットの復元力により外管の内部の所定の位置に内管を保持することが可能であり且つ第2マットの外管孔に対向する領域において第2マットの外側と内側とを連通することが可能である限り、特に限定されない。
図24は、変形例4−1に係る第4EHCの構成の一例を示す模式的な斜視図である。また、図25は、図24に示した第4EHC104aの構成部材を示す模式的な分解斜視図である。更に、図26は、図24及び図25に示した第4EHC104aの構成を示す模式的な拡大断面図である。より具体的には、図26は、第4EHC104aが備える一対の電極のうちの一方の電極20aの近傍の部分の外部電極21aの軸を含み且つ発熱体10の軸方向に平行な平面による模式的な断面図である。
尚、図24乃至図26においては、第4EHC104aが備える一対の電極のうちの一方の電極20aのみが描かれており、他方の電極(20b)及びその近傍の部材については省略されているが、図示しない他方の電極及びその近傍の部材の構成は電極20a及びその近傍の部材の構成と同様である。従って、他方の電極及びその近傍の部材の構成についての説明は省略する。また、図24においては、第4EHC104aを例えば排気管等に接続するためのフランジ42fが外管42の両端に設けられているが、図25及び図26においてはフランジ42fが省略されている。更に、図25においては、外管42及び内管43が、それらの軸を含む平面によってそれぞれ2つの部分に切断されているが、これは第4EHC104aの構成を判り易く示すことを目的とするものであり、このような例示に外管42及び内管43の具体的な構成は限定されない。
第4EHC104aは、筒状の容器である外管42と外管42の内部の所定の位置に固定された筒状の容器である内管43とによって構成されたケース40を備え、電気絶縁材料からなる緩衝材である第2マット32を更に備える。第4EHC104aにおいて、第2マット32は外管42と内管43との間に挟持されている。これにより、外管42の内部の所定の位置に内管43が固定されている。
また、外管42の側面の所定の領域に形成され且つ外管42の外側と内側とを連通する貫通孔である外管孔42aと、内管43の少なくとも外管孔42aに対向する領域に形成され且つ内管43を構成する材料が存在しない間隙である内管間隙43aと、によって、ケース孔41aが構成されている。尚、第4EHC104aにおいては、内管間隙43aは、内管43の外管孔42aに対向する領域において内管43の外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である内管孔として構成されている。
また、第2マット32の少なくとも外管孔42aに対向する領域には電気絶縁材料からなる緩衝材が存在しない間隙である第2マット間隙33aが形成されている。尚、第4EHC104aにおいては、第2マット間隙33aは、第2マット32の外管孔42aに対向する領域において第2マット32の外側と内側とを連通するように形成された貫通孔である第2マット孔として構成されている。
更に、外部電極21aは、外管孔42a、第2マット間隙33a、内管間隙43a及び第1マット間隙31aに挿通されて、発熱体10の側面との間に介在電極22aを挟持している。
上記のように、変形例4−1に係る第4EHCにおいては、外管42と内管43との間に第2マット32を挟持することにより、外管42の内部の所定の位置に内管43が固定されている。従って、例えば、第1マットを発熱体の側面に巻回して柱体ユニットを形成し、例えば圧入工法又はサイジング工法等を適用して当該柱体ユニットを内管の内部に収容し、更に、第2マットを内管の外周面に巻回して新たな柱体ユニットを形成し、例えば圧入工法又はサイジング工法等を適用して当該新たな柱体ユニットを外管の内部に収容した後に、外部電極を外管孔、第2マット間隙、内管間隙及び第1マット間隙に挿通して、発熱体の側面との間に介在電極を挟持させることにより、電極を介する発熱体への確実な通電を確保しつつ高い生産効率にてEHCを製造することができる。
〈変形例4−2〉
上述した変形例4−1に係る第4EHCにおいては、電気絶縁材料からなる緩衝材である第2マットが外管と内管との間に圧縮されて挟持されることにより、第2マットの復元力によって外管の内部の所定の位置に内管が固定される。しかしながら、外管の内部の所定の位置に内管を固定するための手法は上記に限定されない。例えば、外管と内管とを所定の位置関係に固定する部材である固定部材によって、外管の内部の所定の位置に内管を固定してもよい。
そこで、変形例4−2に係る第4EHCは、外管と内管とを所定の位置関係に固定する部材である固定部材を更に備える、電気加熱式触媒装置である。固定部材の形状及び材料は、上記のように外管と内管とを所定の位置関係に固定することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。固定部材の具体例としては、例えば、外管の内周面又は内管の外周面に設けられたブラケット等を挙げることができる。
また、外管の内周面又は内管の外周面に固定部材を設けるための具体的な手法は、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、別個の部材として予め形成された固定部材を例えば溶接等の手法によって外管の内周面又は内管の外周面に取り付けることができる。
更に、外管の内周面及び内管の外周面の一方に設けられた固定部材を外管の内周面及び内管の外周面の他方に取り付けるための具体的な手法もまた、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。このような手法の具体例としては、例えば締結部材による固定及び溶接等の手法を挙げることができる。
締結部材による固定を採用する場合、変形例4−2に係る第4EHCの構成の具体例としては、例えば、固定部材が内管の外周面に設けられており、外管の固定部材に対向する位置に外管の外側と内側とを連通する貫通孔である固定孔が形成されており、当該固定孔に挿通されて外管を固定部材に締結するように構成された部材である締結部材を更に備え、当該締結部材によって外管の内部の所定の位置に内管が固定されている、電気加熱式触媒装置の構成を挙げることができる。
固定孔は、上記のように外管の固定部材に対向する位置に形成された貫通孔であり、締結部材が挿通される。従って、固定孔の大きさ及び形状は、締結部材の横断面に応じて適宜定めることができる。
締結部材の構成及び材料は、上記のように固定孔に挿通されて外管を固定部材に締結することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。典型的には、締結部材を形成する材料は例えばステンレス鋼及び高張力鋼等を始めとする金属である。好ましい態様において、締結部材は、例えば、ボルトとナットとの組み合わせとすることができる。この場合、ボルト及びナットの何れか一方が固定部材に例えば溶接等の手法によって固定されていてもよい。即ち、ボルトが固定部材に固定される場合は当該ボルトがウェルドボルトであってもよく、ナットが固定部材に固定される場合は当該ナットがウェルドナットであってもよい。
変形例4−2に係る第4EHCによれば、内管の外周面に固定部材を設けておき、当該内管を外管の内部に収容し、固定部材と外管とを締結部材によって締結することにより、発熱体を収容する内管を外管の内部の所定の位置に確実に固定することができる。
ところで、例えば第4EHCが備える電極と内管との電気的絶縁を確保することが困難である場合等、外管と内管とを電気的に絶縁する必要がある場合がある。外管と内管とを電気的に絶縁するための具体的な構成もまた、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。具体的には、例えば、少なくとも外管の外周面と締結部材との間及び外管の内周面と固定部材との間に、電気絶縁材料からなる部材である絶縁部材をそれぞれ介在させることにより、外管と内管とを電気的に絶縁することができる。
絶縁部材の形状及び材料は、上記のように外管の外周面と締結部材との間及び外管の内周面と固定部材との間に介在して外管と内管とを電気的に絶縁することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。絶縁部材を形成する材料の具体例としては、例えばマイカ等の電気絶縁材料等を挙げることができる。また、絶縁部材の形状の具体例としては、例えば、ワッシャ、スペーサ、カラー及びガスケット等を挙げることができる。更に、段付きのワッシャ、スペーサ、カラー等を使用して、例えば、締結部材と固定孔の内壁面との電気的絶縁を確保してもよい。
図27は、変形例4−2に係る第4EHCの構成の1つの例を示す模式的な拡大断面図である。より具体的には、図27は、変形例4−2に係る第4EHCが備える一対の外部電極の軸及び締結部材としてのボルトの軸を含み且つ発熱体の軸方向に平行な平面による模式的な断面図である。図27に例示する第4EHC104bにおいては、一対の外部電極21a及び21bのそれぞれの軸を通り発熱体10の軸に平行な平面上に締結部材46としてのボルトの軸が配置されている。尚、図中に示す白抜きの矢印は、第4EHC104bの使用時の状態における排気の流れ方向を表す。
第4EHC104bは、外管42と内管43とを所定の位置関係に固定する部材である固定部材44を備える。固定部材44は内管43の外周面に設けられており、外管42の固定部材44に対向する位置には外管42の外側と内側とを連通する貫通孔である固定孔45が形成されている。第4EHC104bは、固定孔45に挿通されて外管42を固定部材44に締結するように構成された部材である締結部材46を更に備え、締結部材46によって外管42の内部の所定の位置に内管43が固定されている。
尚、第4EHC104bが備える締結部材46は、ステンレス鋼製のボルトとナットとの組み合わせである。また、太い点線によって図示するように、外管42の外周面と締結部材46との間及び外管42の内周面と固定部材44との間に電気絶縁材料からなる部材である絶縁部材47をそれぞれ介在させることにより、外管42と内管43とが電気的に絶縁されている。第4EHC104bが備える絶縁部材47は、マイカ製のガスケットである。
変形例4−2に係る第4EHCにおいては、上記のように、外管に形成された固定孔に挿通された締結部材によって内管の外周面に設けられた固定部材に外管を締結することにより外管の内部の所定の位置に内管が固定される。従って、所定の位置に発熱体を確実に保持することができる。
また、上記のように、例えば外管の外周面と締結部材との間及び外管の内周面と固定部材との間に絶縁部材を介在させることにより、外管と内管とが電気的に絶縁されている。従って、例えば、排気中の水分が凝縮して第1マットに侵入して内管と電極との間の絶縁抵抗が低下した場合であっても、外管と内管とが電気的に絶縁されているので、外管と電極との間の絶縁抵抗は確保される。即ち、変形例4−2に係る第4EHCによれば、電極の絶縁を確保しつつ発熱体を確実に保持することができる。
更に、図27に示すように、発熱体を通過すべき排気が第4EHCが備えるケースを構成する外管と内管との間の空間を通過する(バイパスする)のを防止することを目的として、例えば外管と内管との間の空間の上流側の端部近傍に排気の流れを妨げる部材である閉塞部材48を配設してもよい。
尚、閉塞部材を形成する材料は、外管と内管との間の空間への排気の流入を低減することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。閉塞部材の具体例としては、例えば、外管と内管との間の空間の上流側の端部近傍に充填された電気絶縁材料からなる緩衝材及び外管と内管との間の空間の上流側の開口面積を低減したり排気の流れを内管の内部へと導いたりするように構成された構造物(例えば、邪魔板等)を挙げることができる。
尚、上述したように、図27に例示した第4EHC104bにおいては、一対の外部電極21a及び21bのそれぞれの軸を通り発熱体10の軸に平行な平面上に締結部材46としてのボルトの軸が配置されている。しかしながら、変形例4−2に係る第4EHCにおける電極と締結部材との位置関係は上記に限定されない。例えば、一対の外部電極21a及び21bのそれぞれの軸を通り発熱体10の軸に平行な平面と締結部材46としてのボルトの軸を通り発熱体10の軸に平行な平面とが重ならず、これらの平面が所定の角度をなすように配置されていてもよい。
図28は、変形例4−2に係る第4EHCの構成のもう1つの例を示す模式的な断面図である。より具体的には、図28は、変形例4−2に係る第4EHCが備える一対の外部電極の軸及び締結部材としてのボルトの軸を含み且つ発熱体の軸方向に直交する平面による模式的な断面図である。図28に例示する第4EHC104b’においては、一対の外部電極21a及び21bのそれぞれの軸を通り発熱体10の軸に平行な平面(破線Leによって示されている)と締結部材46としてのボルトの軸を通り発熱体10の軸に平行な平面(一点鎖線Lfによって示されている)とが、発熱体10の軸(黒い丸印Axによって示されている)において所定の角度(図28においては90度)にて交わるように配置されている。
ところで、上述したように、本発明EHCにおいては、ケースと発熱体との間に挟持された第1マットの復元力によりケースの内部の所定の位置に発熱体が固定されている。従って、例えば排気の流速が大きい場合及び発熱体の横断面が大きい場合等、排気の流れから発熱体が受ける力が大きい場合において、発熱体と第1マットとの間及び/又は第1マットとケースとの間において滑りが生じて発熱体が下流側へと移動してしまう虞がある。その結果、発熱体の移動距離によっては、発熱体への確実な通電を確保することが困難となる等の問題が生ずる場合がある。
特に、前述したように、ケースの内周面に絶縁層を設けたり、絶縁材料からなる部材又は絶縁層を有する部材を発熱体とケースとの間に介在させたりして、ケースの電気的な絶縁性を確保している場合は、上記のような問題がより懸念される。これは、絶縁材料又は絶縁層を構成する一般的な材料であるアルミナ及びガラス等のセラミック材料は、一般的なケースの構成材料である金属等と比較して、第1マットとの摩擦係数がより小さいためである。
そこで、上述した第1EHC乃至第4EHCを始めとする種々の実施形態に係る本発明EHCは、本発明EHCの使用時の状態における発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止するように構成された部材であるリテーナを更に備えることができる。
リテーナの形状及び材料は、発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、リテーナを形成する材料は、セラミック材料等の電気絶縁材料であってもよく、或いはステンレス鋼を始めとする金属であってもよい。
また、発熱体の下流側の端部に当接することにより発熱体の下流側へのずれを防止するための具体的な構成も、排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。例えば、リテーナは、その一端が発熱体の下流側の端部に当接し、その他端がケース(又はケースを構成する外管若しくは内管)に固定されていてもよい。但し、リテーナの他端が固定されるケースが金属等の導電性を有する材料によって構成されている場合は、例えばリテーナを電気絶縁材料によって形成したり、リテーナの一端と発熱体との間に絶縁部材を介在させたり、リテーナの他端とケースとの間に絶縁部材を介在させたりする必要がある。これにより、例えば発熱体からケースへの漏電等の問題を低減することができる。
しかしながら、例えば部品点数の増大に伴う本発明EHCの製造コストの増大等の問題を低減する観点からは、本発明EHCの既存の部材によってリテーナを構成することが望ましい。具体的には、例えば、ケース(又はケースを構成する外管若しくは内管)がリテーナとして機能するように構成されていてもよい。ケースをリテーナとして機能させるための具体的な構成は特に限定されない。例えば、ケース又はケースを構成する内管の下流側の端部を発熱体の径方向における内側に向かって屈曲させて当該部分に発熱体の下流側の端部を当接させてもよい。
以上のように、発熱体の下流側の端部にリテーナが当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体が下流側に移動してしまう可能性を低減することができる。しかしながら、例えばセラミック材料等の比較的脆い材料によって発熱体が形成されている場合は、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等に起因して、発熱体のリテーナに当接する部分に例えば亀裂及び割れ等の損傷が生ずる可能性がある。
そこで、上記のような問題を低減することを目的として、リテーナと発熱体との間に緩衝部材を挟持するようにしてもよい。緩衝部材の構成及び材料は、リテーナと発熱体とが当接する部分における衝撃を緩和することが可能であり且つ排気処理装置としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り、特に限定されない。緩衝部材を形成する材料の具体例としては、例えば、第1マットと同様の材料を使用することができる。
以上のようなリテーナの構成の一例が、変形例4−2に係る第4EHC104bの説明において参照した図27に示されている。図27において破線によって囲まれた部分に例示するように、第4EHC104bが備えるケース40を構成する内管43の下流側の端部は発熱体10の径方向における内側に向かって屈曲されており、当該屈曲部の先端は更に上流側に向かって屈曲されている。即ち、内管43の下流側の端部は発熱体10の軸を含む平面による断面において略U字状に屈曲されている。加えて、発熱体10と内管43との間に挟持されている第1マット30の下流側の端部は発熱体10の径方向における内側に向かって屈曲されており、発熱体10の下流側の端部と内管43の下流側の屈曲部との間に介在している。これにより、第1マット30の下流側の端部は上述した緩衝部材として機能することができる。
上記のように、発熱体10の下流側の端部にリテーナ70として構成された内管43の下流側の端部が当接することにより、排気の流れから発熱体が受ける力が著しく大きい場合においても、発熱体10が下流側に移動する可能性を低減することができる。その結果、発熱体10が下流側へと移動することに起因して発熱体10への確実な通電を確保することが困難となる等の問題を低減することができる。また、上記のように内管43の下流側の端部をリテーナ70として機能させることにより、例えば部品点数の増大等の問題を低減することができる。更に、第1マット30の下流側の端部を上述した緩衝部材としてリテーナ70と発熱体10との間に介在させることにより、例えばセラミック材料等の比較的脆い材料によって発熱体10が形成されている場合においても、例えば排気の流れから発熱体が受ける力の急激な変化及び/又は衝撃等に起因して発熱体10のリテーナ70に当接する部分に例えば亀裂及び割れ等の損傷が生ずる可能性を低減することができる。
《第5実施形態》
本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、本発明EHCの製造方法にも関する。以下、本発明の第5実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)の製造方法(以降、「第5方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
前述したように、第1EHC乃至第3EHCは、例えば、第1マットを発熱体の外周面に巻回して柱体ユニットを形成し、例えば圧入工法又はサイジング工法等を適用して当該柱体ユニットをケースの内部に収容した後に、外部電極をケース孔及び第1マット間隙(又は第1マット孔)に挿通して、外部電極の先端面と発熱体との間に介在電極を挟持することによって集成することができる。
圧入工法を適用して柱体ユニットをケースの内部に収容する際には、発熱体の径方向における第1マットの圧縮を伴いつつ、柱体ユニットが発熱体の軸方向に沿ってケースの内部へと押し込まれる。一方、前述したように、ケースの外側と内側とを連通する貫通孔であるケース孔がケースの側面の互いに対向する領域に形成されている。加えて、第1マットの少なくともケース孔に対向する領域には電気絶縁材料からなる緩衝材が存在しない間隙である第1マット間隙が形成されている。
従って、圧入工法を適用して柱体ユニットをケースの内部に収容する際には、例えば、第1マットの端部がケース孔の周縁部に引っ掛かったり、第1マット間隙の周縁部がケースの端部に引っ掛かったり、第1マット間隙の周縁部がケース孔の周縁部に引っ掛かったりする場合がある。このような場合、圧入工法を適用して柱体ユニットをケースの内部に収容する際に、例えば、第1マットが捲れ上がって発熱体から剥がれたり、第1マットがずれたり、第1マットに皺が生じたりする問題が生ずる虞がある。
一方、サイジング工法を適用して柱体ユニットをケースの内部に収容する場合は、柱体ユニットの最大径よりもケースの内径の方が大きいため、発熱体の径方向における第1マットの圧縮を伴うこと無く、柱体ユニットを発熱体の軸方向に沿ってケースの内部へと押し込むことができる。従って、上記のような問題を低減する観点からは、サイジング工法を適用して柱体ユニットをケースの内部に収容することが望ましい。
〈構成〉
そこで、第5方法は、上述した第1EHC乃至第3EHCの何れかの本発明EHCの製造方法であって、以下の各工程を含む電気加熱式触媒装置の製造方法である。
第1マットを発熱体の側面に巻回して第1柱体ユニットを形成すること、
第1マットの圧縮を伴わずに第1柱体ユニットをケースの内部に挿入すること、及び
ケースの側壁の第1柱体ユニットに対向する領域の少なくとも一部を所定の径まで縮径させて、ケースの内周面と発熱体の側面との間に第1マットを挟持すること。
尚、上記のように第1マットの圧縮を伴わずに第1柱体ユニットをケースの内部に挿入するためには、第1柱体ユニットの最大径がケースの内径よりも小さいことが必要である。従って、前述した変形例2−2に係る第2EHCのように台座部が発熱体の側面に設けられている場合は、前述したように台座部の頂面がケースの内壁に干渉しないように、台座部の高さ(発熱体の径方向における寸法)を定める必要がある。また、前述した変形例3−1に係る第3EHCのようにガイド部材が発熱体と一体的な部材として構成されている場合は、ガイド部材の先端(発熱体と反対側の端部)がケースの内壁に干渉しないように、ガイド部材の高さ(発熱体の径方向における寸法)を定める必要がある。
〈効果〉
第5方法においては、サイジング工法を適用して第1柱体ユニットがケースの内部に収容される。従って、第1柱体ユニットの最大径がケースの内径よりも小さく、発熱体の径方向における第1マットの圧縮を伴うこと無く、第1柱体ユニットを発熱体の軸方向に沿ってケースの内部へと押し込むことができる。その結果、第1柱体ユニットをケースの内部へと収容する際に、例えば、第1マットが捲れ上がって発熱体から剥がれたり、第1マットがずれたり、第1マットに皺が生じたりする問題を低減することができる。
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)の製造方法(以降、「第6方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
前述したように、第4EHCが備えるケースは、筒状の容器である外管と当該外管の内部の所定の位置に固定された筒状の容器である内管とによって構成されている。従って、第4EHCの製造方法において柱体ユニットをケースの内部へと収容する際に、例えば、第1マットが捲れ上がって発熱体から剥がれたり、第1マットがずれたり、第1マットに皺が生じたりする問題を低減する観点からは、サイジング工法を適用して第1柱体ユニットを内管の内部へと収容することが望ましい。
〈構成〉
そこで、第6方法は、上述した第4EHCの製造方法であって、以下の各工程を含む電気加熱式触媒装置の製造方法である。
第1マットを発熱体の側面に巻回して第1柱体ユニットを形成すること、
第1マットの圧縮を伴わずに第1柱体ユニットを内管の内部に挿入すること、及び
内管の側壁の第1柱体ユニットに対向する領域の少なくとも一部を所定の径まで縮径させて、内管の内周面と発熱体の側面との間に第1マットを挟持すること。
尚、上記のように第1マットの圧縮を伴わずに第1柱体ユニットを内管の内部に挿入するためには、第1柱体ユニットの最大径が内管の内径よりも小さいことが必要である。従って、上述した第5方法と同様に、台座部及び/又はガイド部材が内管の内壁に干渉しないように、台座部の高さ(発熱体の径方向における寸法)及び/又はガイド部材の高さ(発熱体の径方向における寸法)を適切に定める必要がある。
〈効果〉
第6方法においては、サイジング工法を適用して第1柱体ユニットが内管の内部に収容される。従って、第1柱体ユニットの最大径が内管の内径よりも小さく、発熱体の径方向における第1マットの圧縮を伴うこと無く、第1柱体ユニットを発熱体の軸方向に沿って内管の内部へと押し込むことができる。その結果、柱体ユニットを内管の内部へと収容する際に、例えば、第1マットが捲れ上がって発熱体から剥がれたり、第1マットがずれたり、第1マットに皺が生じたりする問題を低減することができる。
《第7実施形態》
以下、本発明の第7実施形態に係る電気加熱式触媒装置(EHC)の製造方法(以降、「第7方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
前述したように、変形例4−1に係る第4EHCは、第2マットを内管の外周面に巻回して柱体ユニットを形成し、例えば圧入工法又はサイジング工法等を適用して当該柱体ユニットを外管の内部に収容した後に、外部電極を外管孔、第2マット間隙、内管間隙及び第1マット間隙に挿通して、発熱体の側面との間に介在電極を挟持させることによって集成することができる。
圧入工法を適用して柱体ユニットを外管の内部に収容する際には、発熱体の径方向における第2マットの圧縮を伴いつつ、柱体ユニットが発熱体の軸方向に沿って外管の内部へと押し込まれる。一方、前述したように、外管の側面の互いに対向する領域には外管の外側と内側とを連通する貫通孔である外管孔が形成されている。加えて、第2マットの少なくとも外管孔に対向する領域には電気絶縁材料からなる緩衝材が存在しない間隙である第2マット間隙が形成されている。
従って、圧入工法を適用して柱体ユニットを外管の内部に収容する際には、例えば、第2マットの端部が外管孔の周縁部に引っ掛かったり、第2マット間隙の周縁部が外管の端部に引っ掛かったり、第2マット間隙の周縁部が外管孔の周縁部に引っ掛かったりする場合がある。このような場合、圧入工法を適用して柱体ユニットを外管の内部に収容する際に、例えば、第2マットが捲れ上がって内管から剥がれたり、第2マットがずれたり、第2マットに皺が生じたりする問題が生ずる虞がある。
一方、サイジング工法を適用して柱体ユニットを外管の内部に収容する場合は、柱体ユニットの最大径よりも外管の内径の方が大きいため、発熱体の径方向における第2マットの圧縮を伴うこと無く、柱体ユニットを発熱体の軸方向に沿って外管の内部へと押し込むことができる。従って、上記のような問題を低減する観点からは、サイジング工法を適用して柱体ユニットを外管の内部に収容することが望ましい。
〈構成〉
そこで、第7方法は、上述した変形例4−1に係る第4EHCの製造方法であって、以下の各工程を含む電気加熱式触媒装置の製造方法である。
第2マットを内管の外周面に巻回して第2柱体ユニットを形成すること、
第2マットの圧縮を伴わずに第2柱体ユニットを外管の内部に挿入すること、及び
外管の側壁の第2柱体ユニットに対向する領域の少なくとも一部を所定の径まで縮径させて、外管の内周面と内管の外周面との間に第2マットを挟持すること。
尚、上記のように第2マットの圧縮を伴わずに第2柱体ユニットを外管の内部に挿入するためには、第2柱体ユニットの最大径が外管の内径よりも小さいことが必要である。上述した第1柱体ユニットを内部に収容している内管と第2マットとによって第2柱体ユニットが構成されている場合においても同様である。従って、前述した変形例2−2に係る第2EHCのように台座部が発熱体の側面に設けられている場合は、台座部の頂面が外管の内壁に干渉しないように、台座部の高さ(発熱体の径方向における寸法)を定める必要がある。また、前述した変形例3−1に係る第3EHCのようにガイド部材が発熱体と一体的な部材として構成されている場合は、ガイド部材の先端(発熱体と反対側の端部)が外管の内壁に干渉しないように、ガイド部材の高さ(発熱体の径方向における寸法)を定める必要がある。
〈効果〉
第7方法においては、サイジング工法を適用して第2柱体ユニットが外管の内部に収容される。従って、第2柱体ユニットの最大径が外管の内径よりも小さく、発熱体の径方向における第2マットの圧縮を伴うこと無く、第2柱体ユニットを発熱体の軸方向に沿って外管の内部へと押し込むことができる。その結果、第2柱体ユニットを外管の内部へと収容する際に、例えば、第2マットが捲れ上がって内管から剥がれたり、第2マットがずれたり、第2マットに皺が生じたりする問題を低減することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び変形例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び変形例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。