JP6884026B2 - 半導体用膜形成用組成物、半導体用膜形成用組成物の製造方法、半導体用部材の製造方法、及び半導体用工程材の製造方法 - Google Patents
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例えば、カチオン性官能基を有し重量平均分子量が2000〜1000000であるポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン誘導体などのポリマーを含有するpHが2.0〜11.0の組成物を、所定の条件を有する部材A及び部材Bの表面に付与する複合体の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1には、組成物が付与された複合部材を、多価カルボン酸を含むリンス液で洗浄することが記載されている。
<1> 環構造と1級窒素原子及び2級窒素原子の少なくとも1つを含むカチオン性官能基とを有し、重量平均分子量90以上600以下である化合物(A)と、分子内に−C(=O)OX基(Xは、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基である)を3つ以上有し、3つ以上の−C(=O)OX基のうち、1つ以上6つ以下が−C(=O)OH基であり、重量平均分子量が200以上600以下である架橋剤(B)と、アミノ基を有さずカルボキシ基を有する重量平均分子量46以上195以下の酸(C−1)及び環構造を有さず窒素原子を有する重量平均分子量17以上120以下の塩基(C−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)と、極性溶媒(D)と、を含む、半導体用膜形成用組成物。
<2> さらに、前記架橋剤(B)は、分子内に環構造を有する、<1>に記載の半導体用膜形成用組成物。
<3> 前記環構造は、ベンゼン環及びナフタレン環の少なくとも一方である、<1>又は<2>に記載の半導体用膜形成用組成物。
<4> さらに、前記架橋剤(B)は、前記3つ以上の−C(=O)OX基において、少なくとも1つのXが炭素数1以上6以下のアルキル基である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の半導体用膜形成用組成物。
<5> 基板に形成された凹部の充填材料に用いられる、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の半導体用膜形成用組成物。
<6> 多層レジスト法に用いられる、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の半導体用膜形成用組成物。
<8> 前記添加剤(C)は、アミノ基を有さずカルボキシ基を有する重量平均分子量46以上195以下の酸(C−1)を少なくとも含み、前記混合工程は、前記酸(C−1)と前記化合物(A)との混合物と、前記架橋剤(B)と、を混合する工程である<7>に記載の半導体用膜形成用組成物の製造方法。
<9> 前記添加剤(C)は、環構造を有さず窒素原子を有する重量平均分子量17以上120以下の塩基(C−2)を少なくとも含み、前記混合工程は、前記塩基(C−2)と前記架橋剤(B)との混合物と、前記化合物(A)と、を混合する工程である<7>に記載の半導体用膜形成用組成物の製造方法。
以下、本発明に係る半導体用膜形成用組成物の一実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物(以下、「組成物」と称することもある。)は、環構造と1級窒素原子及び2級窒素原子の少なくとも1つを含むカチオン性官能基とを有し、重量平均分子量が90以上600以下である化合物(A)と、分子内に−C(=O)OX基(Xは、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基である)を3つ以上有し、3つ以上の−C(=O)OX基のうち、1つ以上6つ以下が−C(=O)OH基であり、重量平均分子量が200以上600以下である架橋剤(B)と、アミノ基を有さずカルボキシ基を有する重量平均分子量46以上195以下の酸(C−1)及び環構造を有さず窒素原子を有する重量平均分子量17以上120以下の塩基(C−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)と、極性溶媒(D)と、を含む。
特に、基板に形成された凹部の充填材料(埋め込み平坦化膜)は基板の複雑加工に用いられる場合がある。
しかしながら、半導体装置の微細化が更に進行するにつれ、パターンの線幅が微細になるだけでなく、パターンの倒れを防止するために上層レジスト膜の膜厚が薄くなり、下層レジスト膜に要求される性能においても、従来よりも微細なパターンにおける埋め込み性の改善が求められるようになってきた。
また、下層レジスト膜には耐熱性(例えば、下層レジスト膜形成後に施されることがある熱処理に対する耐性)が要求されることがある。
なお、上述の埋め込み性及び耐熱性の要求は、微細パターンの形成を実現する観点から、レジスト膜以外の膜(例えば埋め込み絶縁膜(浅溝型素子分離膜(STI膜)、プリメタル絶縁膜(PMD膜)、配線層間絶縁膜(IMD膜)等)にも求められている。
本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物は、環構造と1級窒素原子及び2級窒素原子の少なくとも1つを含むカチオン性官能基とを有し、重量平均分子量が90以上600以下である化合物(A)を含む。
なお、化合物(A)は、半導体用膜形成用組成物における熱的安定性の観点から、芳香環構造を有することが好ましく、芳香族複素環以外の芳香環構造を有することが好ましい。
ただし、化合物(A)は、耐熱性の高い膜を得る観点から、少なくとも1級窒素原子を含むカチオン性官能基を有することが好ましく、1級窒素原子を含むカチオン性官能基を2以上有することがより好ましい。
また、化合物(A)は、上記のように1級窒素原子及び2級窒素原子の少なくとも一方を含むが、3級窒素原子をさらに含んでいてもよい。
また、「2級窒素原子」とは、水素原子1つ及び水素原子以外の原子2つのみに結合している窒素原子(即ち、下記式(a)で表される官能基に含まれる窒素原子)、又は、水素原子2つ及び水素原子以外の原子2つのみに結合している窒素原子(カチオン)を指す。
また、「3級窒素原子」とは、水素原子以外の原子3つのみに結合している窒素原子(即ち、下記式(b)で表される官能基である窒素原子)、又は、水素原子1つ及び水素原子以外の原子3つのみに結合している窒素原子(カチオン)を指す。
ここで、前記式(a)で表される官能基は、2級アミノ基(−NHRa基;ここで、Raはアルキル基を表す)の一部を構成する官能基であってもよいし、その他の2価の連結基であってもよい。
また、前記式(b)で表される官能基(即ち、3級窒素原子)は、3級アミノ基(−NRbRc基;ここで、Rb及びRcは、それぞれ独立に、アルキル基を表す)の一部を構成する官能基であってもよいし、その他の3価の連結基であってもよい。
前記ノニオン性官能基は、水素結合受容基であっても、水素結合供与基であってもよい。前記ノニオン性官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボニル基、エーテル基(−O−)、等を挙げることができる。
前記アニオン性官能基は、負電荷を帯びることができる官能基であれば特に制限はない。前記アニオン性官能基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基等を挙げることができる。
芳香族アミンとしては、例えば、ジアミノジフェニルエーテル、キシレンジアミン(好ましくはパラキシレンジアミン)、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、メチレンジアニリン、ジメチルジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノベンズアニリド、ビス(アミノフェニル)フルオレン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビフェニル、ジカルボキシジアミノジフェニルメタン、ジアミノレゾルシン、ジヒドロキシベンジジン、ジアミノベンジジン、1,3,5−トリアミノフェノキシベンゼン、2,2’−ジメチルベンジジン、トリス(4−アミノフェニル)アミン、2,7−ジアミノフルオレン、1,9−ジアミノフルオレン、ジベンジルアミンなどが挙げられる。
更に、複素環構造と芳香族複素環以外の芳香環構造との両方を有するアミン化合物としては、N2,N4,N6−トリス(4−アミノフェニル)―1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物は、分子内に−C(=O)OX基(Xは、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基である)を3つ以上有し、3つ以上の−C(=O)OX基(以下、「COOX」とも称する。)のうち、1つ以上6つ以下が−C(=O)OH基(以下、「COOH」とも称する。)であり、重量平均分子量が200以上600以下である架橋剤(B)を含む。
本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物は、アミノ基を有さずカルボキシ基を有する重量平均分子量46以上195以下の酸(C−1)及び環構造を有さず窒素原子を有する重量平均分子量17以上120以下の塩基(C−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)を含む。
半導体用膜形成用組成物は、添加剤(C)として、酸(C−1)のみを含んでもよく、塩基(C−2)のみを含んでもよく、酸(C−1)及び塩基(C−2)の両方を含んでもよい。
本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物は、極性溶媒(D)を含む。ここで、極性溶媒(D)とは、室温(25℃)における比誘電率が5以上である溶媒を指す。極性溶媒(D)としては、具体的には、水、重水などのプロトン性無機化合物;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;フルフラール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサンなどのアルデヒド・ケトン類;無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアルデヒド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル-2-ピロリドン、ヘキサメチルリン酸アミドなどの酸誘導体;アセトニトリル、プロピロニトリルなどのニトリル類;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;ジメチルスルホキシドなどの硫黄化合物;等が挙げられる。極性溶媒(D)としては、プロトン性溶媒を含むことが好ましく、水を含むことがより好ましく、超純水を含むことが更に好ましい。
半導体用膜形成用組成物中における極性溶媒(D)の含有量は、特に限定されないが、例えば、組成物全体に対して1.0質量%以上99.99896質量%以下が挙げられ、40質量%以上99.99896質量%以下であることが好ましい。
本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物は、ナトリウム及びカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10質量ppb以下であることが好ましい。ナトリウム又はカリウムの含有量がそれぞれ元素基準で10質量ppb以下であれば、トランジスタの動作不良など半導体装置の電気特性に不都合が発生することを抑制できる。
以下、本発明の一実施形態に係る半導体用膜形成用組成物の製造方法について説明する。本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物の製造方法は、化合物(A)と、架橋剤(B)と、カルボキシ基を有する重量平均分子量46以上195以下の酸(C−1)及び窒素原子を有する重量平均分子量17以上120以下の環構造を有さない塩基(C−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)と、を混合する混合工程を含む。なお、添加剤(C)を添加するタイミングは特に限定されない。
なお、前述のように、半導体用膜形成用組成物は、極性溶媒(D)を含んでいるが、半導体用膜形成用組成物を製造する任意のタイミングにて、極性溶媒(D)を添加してもよい。すなわち、化合物(A)、架橋剤(B)、及び添加剤(C)にそれぞれ極性溶媒(D)を添加してもよく、これらの混合物(例えば、化合物(A)と添加剤(C)との混合物、架橋剤(B)と添加剤(C)との混合物、化合物(A)と架橋剤(B)と添加剤(C)との混合物等)に極性溶媒(D)を添加してもよい。また、その他の成分を添加するタイミングも特に限定されない。
以下、本実施形態に係る半導体用部材の製造方法について説明する。本実施形態に係る半導体用部材の製造方法は、半導体用膜形成用組成物を基板に付与する付与工程と、半導体用膜形成用組成物が付与された基板を温度100℃以上425℃以下(好ましくは250℃以上425℃以下)の条件で加熱する加熱工程と、を有する。
本実施形態における付与工程は、半導体用膜形成用組成物を基板に付与する工程である。
基板としては、シリコン基板等の半導体基板、ガラス基板、石英基板、ステンレス基板、プラスチック基板等が挙げられる。基板の形状も特に制限されず、板状、皿状等のいずれであってもよい。例えば、シリコン基板としては、層間絶縁層(Low−k膜)が形成されたシリコン基板であってもよく、また、シリコン基板には、微細な溝(凹部)、微細な貫通孔などが形成されていてもよい。
通常用いられる方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、スピンコート法、バーコード法などが挙げられる。例えば、ミクロンサイズの膜厚を有する膜を形成する場合、バーコード法を用いることが好ましく、ナノサイズ(数nm〜数百nm)の膜厚を有する膜を形成する場合、スピンコート法を用いることが好ましい。
スピンコート法による半導体用膜形成用組成物の付与方法において、基板の回転数、半導体用膜形成用組成物の滴下量及び滴下時間、乾燥時の基板の回転数などの諸条件については特に制限はなく、形成する膜の厚さなどを考慮しながら適宜調整できる。
本実施形態に係る製造方法は、後述する加熱工程の前に、半導体用膜形成用組成物が付与された基板を、温度80℃以上250℃以下の条件で乾燥する乾燥工程を有していてもよい。なお、前記温度は、基板の半導体用膜形成用組成物が付与された面の温度を指す。
上記温度は、90℃以上200℃以下がより好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましい。
本工程における乾燥を行う雰囲気には特に制限はなく、例えば、大気雰囲気下で行ってもよいし、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等)雰囲気下で行なってもよい。
乾燥時間の下限には特に制限はないが、下限は、例えば10秒(好ましくは20秒、より好ましくは30秒)とすることができる。
本実施形態に係る製造方法は、後述する加熱工程の前に、基板に付与された余分な半導体用膜形成用組成物を除去するために、半導体用膜形成用組成物が付与された基板を水等で洗浄する洗浄工程を有していてもよい。また、本実施形態に係る製造方法が、前述の乾燥工程を有する場合、乾燥工程の後に、洗浄工程を行うことが好ましい。
本実施形態に係る製造方法は、更に、半導体用膜形成用組成物が付与された基板を、温度100℃以上425℃以下の条件で加熱する加熱工程を有する。
なお、前記温度は、基板の半導体用膜形成用組成物が付与された面の温度を指す。
この加熱工程を有することにより、化合物(A)と架橋剤(B)とが加熱により反応して反応物が得られ、その反応物を含む膜が形成される。
前記温度は、200℃以上425℃以下が好ましく、250℃以上400℃以下がより好ましく、300℃以上400℃以下がさらに好ましい。
前記絶対圧は、1000Pa以上大気圧以下がより好ましく、5000Pa以上大気圧以下が更に好ましく、10000Pa以上大気圧以下が特に好ましい。
また、本工程における加熱は、大気雰囲気下で行なってもよく、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等)雰囲気下で行なってもよい。
半導体用部材の例としては、基板に形成された凹部にギャップフィル材料(埋め込み平坦化膜)が充填された半導体用部材、基板に形成された凹部に絶縁材料(埋め込み絶縁膜)が充填された半導体用部材、多孔質材料などの低誘電率材料を含む基板と金属との間に絶縁性、密着性、ポアシール性などを有するバリア材料(バリア膜)が設けられた半導体用部材、シリコン貫通ビア基板のビア側壁において、金属とシリコン基板との間又は金属と絶縁膜との間に設けられ、密着性、絶縁性を有する絶縁膜(シリコン貫通ビア用絶縁膜)が設けられた半導体用部材、反転レジスト形成用の半導体用部材などが挙げられる。
なお、この半導体用部材は、銅多層配線をデュアルダマシンプロセスにて形成する際、例えばビアファーストプロセスにおいて、ビアに埋め込み平坦化膜が設けられた部材として用いることができる。
また、凹部の幅が狭く、アスペクト比(深さ/幅)の大きな溝に埋め込み平坦化膜を形成する場合には、溝への充填性を高める点から、本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物を凹部に付与(好ましくは、スピンコート法により付与)して埋め込み平坦化膜を形成することが好ましい。
なお、この半導体用部材としては、例えば、絶縁性を有する埋め込み絶縁膜をシリコン基板の溝に設けて素子分離領域を形成する手法(STI:シャロートレンチアイソレーション)を用いた部材、絶縁性を有する埋め込み絶縁膜を予め形成されたMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)などのスイッチング素子間に設けた部材、絶縁性を有する埋め込み絶縁膜をMOSFET上にプリメタル絶縁膜(PMD)として設けた部材、絶縁性を有する埋め込み絶縁膜を予め形成された最下層配線(W、Ti/TiN/AlCu/TiNなど)の間に設けた部材、絶縁性を有する埋め込み絶縁膜を最下層配線上にインターメタル絶縁膜(IMD)として設けた部材、絶縁性を有する埋め込み絶縁膜を予め形成された銅配線間の溝に配線層間絶縁膜(ILD)として設けた部材などが挙げられる。
また、凹部の幅が狭く、アスペクト比(深さ/幅)の大きな溝に埋め込み絶縁膜を形成する場合には、溝への充填性を高める点から、本実施形態に係る半導体用膜形成用組成物を凹部に付与(好ましくは、スピンコート法により付与)して埋め込み絶縁膜を形成することが好ましい。
以下、本実施形態に係る半導体用工程材の製造方法について説明する。本実施形態に係る半導体用工程材の製造方法は、半導体用膜形成用組成物を基板に付与する付与工程と、半導体用膜形成用組成物が付与された基板を温度100℃以上425℃以下(好ましくは250℃以上425℃以下)の条件で加熱する加熱工程を有する。
なお、半導体用工程材の製造方法の各工程は、前述の半導体用部材の製造方法の各工程と同様であるため、その説明を省略する。
半導体用工程材としては、半導体装置の製造工程にて一時的に形成され、後工程にて除去される犠牲膜などが挙げられる。
以下において、「水」としては、超純水(Millipore社製Milli−Q水、抵抗18MΩ・cm(25℃)以下)を使用した。
実施例1〜実施例4の半導体用膜形成用組成物を調製した。詳細は以下に示す通りである。なお、混合工程においては、化合物(A)の溶液、化合物(A)に酸(C−1)を加えた溶液、架橋剤(B)の溶液、及び架橋剤(B)に塩基(C−2)を加えた溶液の各溶液に沈殿物がないことを確認してから混合した。
同様にして、比較例1〜比較例3の組成物を調製した。詳細は以下に示す通りである。なお、混合工程においては、化合物(A)の溶液及び架橋剤(B)の各溶液に沈殿物がないことを確認してから混合した。
化合物(A)であるパラキシレンジアミン(以下「pXDA」ともいう)を、水と1−プロパノール(以下「1PrOH」ともいう)との混合溶媒に溶解した後、一晩静置し、pXDA溶液1を得た。
架橋剤(B)である1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(以下「135BTC」ともいう)に、塩基(C−2)であるエチルアミン(以下「EA」ともいう)と水とを混合させて、135BTCとEAとの混合溶液1とした。
次いで、pXDA溶液1、135BTCとEAとの混合溶液1、及び水を表1に示す濃度となるように混合して、半導体用膜形成用組成物を調製した。
化合物(A)であるpXDAを、水と1PrOHとの混合溶媒に溶解した後、一晩静置し、pXDA溶液2を得た。
架橋剤(B)である1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(以下「124BTC」ともいう)に、塩基(C−2)であるEAと水とを混合させて、124BTCとEAとの混合溶液2とした。
次いで、pXDA溶液2、124BTCとEAとの混合溶液2、及び水を表1に示す濃度となるように混合して、半導体用膜形成用組成物を調製した。
化合物(A)であるpXDAを、水とエタノール(以下「EtOH」ともいう)との混合溶媒に溶解した後、一晩静置し、pXDA溶液3を得た。
架橋剤(B)であるエチルハーフエステルオキシジフタル酸(以下「eheOPDA」ともいう)に、塩基(C−2)であるアンモニア(以下「NH3」ともいう)とEtOHと水を混合させて、eheOPDAとNH3との混合溶液3とした。
次いで、pXDA溶液3、eheOPDAとNH3との混合溶液3、及び水を表1に示す濃度となるように混合して、半導体用膜形成用組成物を調製した。
化合物(A)である2,7−ジアミノフルオレン(以下「DAF」ともいう)を、酸(C−1)である酢酸(以下「AA」ともいう)と水とエタノール(EtOH)との混合溶媒に溶解した後、一晩静置し、DAFとAAとの混合溶液4を得た。
架橋剤(B)であるエチルハーフエステルオキシジフタル酸(eheOPDA)とエチルハーフエステルベンゾフェノンテトラカルボン酸(以下「eheBTDA」ともいう)とをそれぞれEtOHに溶解させて、eheOPDA溶液4及びeheBTDA溶液4とした。
次いで、DAFとAAとの混合溶液4、eheOPDA溶液4、eheBTDA溶液4、及び水を表2に示す濃度となるように混合して、半導体用膜形成用組成物を調製した。
化合物(A)であるパラキシレンジアミン(pXDA)を、水と1−プロパノール(1PrOH)との混合溶媒に溶解した後、一晩静置し、pXDA溶液C1を得た。
架橋剤(B)である1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(135BTC)を、EtOHに溶解した後、一晩静置し、135BTC溶液C1を得た。
次いで、pXDA溶液C1、135BTC溶液C1、1PrOH、及び水を表1に示す濃度となるように混合して、半導体用膜形成用組成物を調製した。
化合物(A)であるパラキシレンジアミン(pXDA)を、水と1−プロパノール(1PrOH)との混合溶媒に溶解した後、一晩静置し、pXDA溶液C2を得た。
架橋剤(B)である1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(124BTC)を、EtOHに溶解した後、一晩静置し、124BTC溶液C2を得た。
次いで、pXDA溶液C2、124BTC溶液C2、1PrOH、及び水を表1に示す濃度となるように混合して、半導体用膜形成用組成物を調製した。
化合物(A)であるパラキシレンジアミン(pXDA)を、水とエタノール(EtOH)との混合溶媒に溶解した後、一晩静置し、pXDA溶液C3を得た。
架橋剤(B)であるエチルハーフエステルピロメリット酸(以下「ehePMA」ともいう)を、EtOHに溶解した後、一晩静置し、ehePMA溶液C3を得た。
次いで、pXDA溶液C3、ehePMA溶液C3、1PrOH、及び水を表1に示す濃度となるように混合して、半導体用膜形成用組成物を調製した。
また、表1中、135BTC[1]、124BTC[1.5]、ehePMA[1]、eheOPDA[1]、eheOPDA[0.5]、及びeheBTDA[0.5]におけるカッコ内の数値は、化合物(A)中の全窒素原子の数に対する、135BTC、124BTC、ehePMA、及びeheOPDA中のカルボキシ基の数の比率(COOH/N)を表している。表2〜表4についても同様である。
また、表1中、EA<1.1>及びNH3<8>のカッコ内の数値は、架橋剤(B)中のカルボキシ基の数に対するEA及びNH3中の窒素原子の数の比率(N/COOH)を表している。表2〜表4についても同様である。
また、表1中、AA{0.52}のカッコ内の数値は、化合物(A)中の全窒素原子の数に対するAA中のカルボキシ基の数の比率(COOH/N)を表している。表2〜表4についても同様である。
また、表1中、1PrOH(50質量%)、EtOH(29.3質量%)、1PrOH(12質量%)、1PrOH(33.3質量%)、EtOH(44.1質量%)、EtOH(22.1質量%)、1PrOH(71質量%)、EtOH(60.3質量%)、及びEtOH(74.6質量%)におけるカッコ内の濃度は、組成物中における1PrOH及びEtOHの濃度を表している。表2〜表4についても同様である。
調整した、半導体用膜形成用組成物の白濁の有無を目視で観察した、結果を表1に示す。
比較例1〜3では、化合物(A)と架橋剤(B)との混合溶液は白濁していた。
〔実施例5〜8、比較例4〜6〕
<膜の形成>
実施例5〜8、比較例4〜6では、実施例1〜4、比較例1〜3で調整した半導体用膜形成用組成物を用いて、膜を形成した。
半導体用膜形成用組成物(以下、「組成物」とも称する。)を塗布する基板としてシリコン基板を準備した。シリコン基板をスピンコーターの上にのせ、各実施例及び各比較例で調製した組成物1.0mLを10秒間一定速度で滴下し、13秒間保持した後、2000rpm(rpmは回転速度)で1秒間、600rpmで30秒間回転させた後、2000rpmで10秒間回転させて乾燥させた。このようにして、シリコン基板上に膜を形成した。
次いで、大気中において125℃で1分乾燥後、窒素雰囲気(30kPa)下において、300℃で10分間、膜を加熱した後、さらに、400℃で10分間、膜を加熱した(つまり、同じサンプルを連続処理した)。
上記400℃で10分間加熱後のサンプルにおいて、シリコン基板上に形成された膜の屈折率及び消衰係数を測定した。屈折率及び消衰係数は、エリプソメーターを使用して測定した。膜厚は、エリプソメーターによる測定で得られた光学データより計算した。空気/(コーシー+ローレンツ振動子モデル)/自然酸化膜/シリコン基板の光学モデルでフィッティングすることで膜厚を求めた。
結果を表2に示す。
表2において、「N633」は波長633nmにおける屈折率を表す。
表2において、「K633」は波長633nmにおける消衰係数を表す。
膜の架橋構造をFT−IR(フーリエ変換赤外分光法)で測定した。用いた分析装置は以下のとおりである。
〜FT−IR分析装置〜
赤外吸収分析装置(DIGILAB Excalibur(DIGILAB社製))
〜測定条件〜
IR光源:空冷セラミック、
ビームスプリッター:ワイドレンジKBr、
検出器:ペルチェ冷却DTGS、
測定波数範囲:7500cm−1〜400cm−1、
分解能:4cm−1、
積算回数:256、
バックグラウンド:Siベアウェハ使用、
測定雰囲気:N2(10L/min)、
IR(赤外線)の入射角:72°(=Siのブリュースター角)
〜判断条件〜
イミド結合は1770cm−1、1720cm−1の振動ピークの存在で判断した。アミド結合は1650cm−1、1520cm−1の振動ピークの存在で判断した。
結果を表2に示す。
膜の平滑性をSEMによる形態観察で評価した。走査型電子顕微鏡(SEM)であるS−5000(日立製作所製)を用い、加速電圧3kV、200,000倍、500nm幅視野で測定した。平均膜厚に対して、最大膜厚と最小膜厚との差が25%以下である場合には「平滑性あり」と判断し、評価を「A」とした。また、最大膜厚と最小膜厚との差が25%を超える場合の評価を「B」とした。
結果を表2に示す。
一方、比較例4〜6では、膜表面が鏡面にならないか、あるいは微小なピンホールが多数存在し、平滑ではなかった。
〔比較例7〕
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下「BPDA」ともいう)とパラフェニレンジアミン(以下「pDA」ともいう)とをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶媒中で反応させる事により、BPDAとpDAとからなるポリアミック酸(2.5質量%)を常法にて調整した。
そして、断面SEMでトレンチに組成物が充填されているか観察した。充填された面積がトレンチ内面積の90%以上である場合をA(充填性が良好)とし、充填された面積がトレンチ内面積の90%未満である場合をBとした。
結果を表3に示す。
比較例7で調整した組成物のかわりに、実施例4で調整した半導体用膜形成用組成物を用いたこと以外は、比較例7と同様の方法で充填性を評価した。
結果を表3に示す。
実施例9では、化合物(A)と、架橋剤(B)と、酸(C−1)の混合液からなる半導体用膜形成用組成物を用いた場合には、100nm幅トレンチにおいて良好な充填特性が観察された。
〔実施例10〜12〕
実施例1〜3と同じ半導体用膜形成用組成物を用いて、分解温度評価を行った。
ポリマーの分解温度評価は、以下の方法で行った。
実施例1〜3で用意した各試料100mgを試料カップに入れ、熱重量測定装置(島津製作所社製:DTG−60(型番))を用いて、窒素雰囲気で30℃から550℃まで昇温速度30℃/分で加熱し、各温度での質量を測定した。300℃における質量から10%減少したときの温度を表4に示す。
表4中に示されるように、化合物(A)と架橋剤(B)と塩基(C−2)を含有する実施例10〜12の組成物から得られる固体は、350℃以上の高い分解温度を有していた。
この結果から、化合物(A)と架橋剤(B)と塩基(C−2)を含有する実施例10〜12の組成物を用いることで、分解温度が高いポリマー膜を形成できることが示された。
Claims (11)
- 環構造と1級窒素原子及び2級窒素原子の少なくとも1つを含むカチオン性官能基とを有し、重量平均分子量が90以上600以下である化合物(A)と、
分子内に−C(=O)OX基(Xは、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基である)を3つ以上有し、3つ以上の−C(=O)OX基のうち、1つ以上6つ以下が−C(=O)OH基であり、重量平均分子量が200以上600以下である架橋剤(B)と、
アミノ基を有さずカルボキシ基を有する重量平均分子量46以上195以下の酸(C−1)及び環構造を有さず窒素原子を有する重量平均分子量17以上120以下の塩基(C−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)と、
極性溶媒(D)と、
を含み、極性溶媒(D)が水を含有する半導体用膜形成用組成物。 - さらに、前記架橋剤(B)は、分子内に環構造を有する、請求項1に記載の半導体用膜形成用組成物。
- 前記架橋剤(B)が有する環構造は、ベンゼン環及びナフタレン環の少なくとも一方である、請求項2に記載の半導体用膜形成用組成物。
- さらに、前記架橋剤(B)は、前記3つ以上の−C(=O)OX基において、少なくとも1つのXが炭素数1以上6以下のアルキル基である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体用膜形成用組成物。
- 基板に形成された凹部の充填材料に用いられる、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体用膜形成用組成物。
- 多層レジスト法に用いられる、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体用膜形成用組成物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の半導体用膜形成用組成物を製造する製造方法であって、
前記化合物(A)と、前記架橋剤(B)と、前記添加剤(C)と、を混合する混合工程を含む半導体用膜形成用組成物の製造方法。 - 前記添加剤(C)は、アミノ基を有さずカルボキシ基を有する重量平均分子量46以上195以下の酸(C−1)を少なくとも含み、
前記混合工程は、前記酸(C−1)と前記化合物(A)との混合物と、前記架橋剤(B)と、を混合する工程である請求項7に記載の半導体用膜形成用組成物の製造方法。 - 前記添加剤(C)は、環構造を有さず窒素原子を有する重量平均分子量17以上120以下の塩基(C−2)を少なくとも含み、
前記混合工程は、前記塩基(C−2)と前記架橋剤(B)との混合物と、前記化合物(A)と、を混合する工程である請求項7に記載の半導体用膜形成用組成物の製造方法。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の半導体用膜形成用組成物を用いて半導体用部材を製造する製造方法であって、
前記半導体用膜形成用組成物を基板に付与する付与工程と、
前記半導体用膜形成用組成物が付与された前記基板を温度100℃以上425℃以下の条件で加熱する加熱工程と、
を有する、半導体用部材の製造方法。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の半導体用膜形成用組成物を用いて半導体用工程材を製造する製造方法であって、
前記半導体用膜形成用組成物を基板に付与する付与工程と、
前記半導体用膜形成用組成物が付与された前記基板を温度100℃以上425℃以下の条件で加熱する加熱工程と、
を有する、半導体用工程材の製造方法。
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