JP6883333B2 - サスペンション - Google Patents

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    • F16F15/03Suppression of vibrations of non-rotating, e.g. reciprocating systems; Suppression of vibrations of rotating systems by use of members not moving with the rotating systems using magnetic or electromagnetic means

Description

本発明は、サスペンションに関し、特に、自動車などの乗物に搭載されるシートを支持するシートサスペンションとして用いるのに適するサスペンションに関する。
特許文献1,2には、下部フレームに対して上下動可能に設けられる上部フレームを磁気ばねとトーションバーとにより弾性的に支持し、所定の変位範囲において磁気ばねが負のばね定数を有することを利用して、正のばね定数を有するトーションバーとの組み合わせによって、所定の変位範囲における両者を重畳したばね定数を略ゼロ(例えば、−50N/mmから+50N/mmの範囲)に設定したシートサスペンションが開示されている。
特開2010−179719号公報 特開2010−179720号公報
特許文献1,2のシートサスペンションは、所定の周波数及び振幅の振動に対しては、上記の磁気ばねとトーションバーを用いた構成により、両者を重畳したばね定数が略ゼロになる特性でこれらの振動を吸収するが、より大きな振動や衝撃によるエネルギーを吸収するためにダンパーも併設されている。
ダンパーとしては、シリンダと、シリンダ内を移動するピストンと、ピストンに連結されたピストンロッドとを備えた伸縮式のものが用いられ、例えば、ピストンロッドの先端部を、下部フレームに軸部材を介して回動可能に連結し、シリンダの後端部を、上部フレームに軸部材を介して回動可能に連結して配設している。これにより、上部フレームが下部フレームに対して上下動すると、それに相当する分、ピストンロッドに連結されたピストンがシリンダに対して移動し、エネルギーを減衰する。従って、かかる構成の場合、ダンパーは、上部フレームの変位や速度に応じて所定の減衰力を発揮する。
しかし、振動吸収特性や衝撃吸収特性は、より適切に発揮できることが常に望まれている。特に、薄型のサスペンションにおいては、上部フレームのストロークが制限されている中で、より高い減衰力を発揮できることが望ましい。
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、振動吸収特性や衝撃吸収特性をさらに向上させることができると共に、上部フレームのストロークが短くても高い減衰力を作用させることができ、さらなる薄型化に寄与できるサスペンション、特に薄型のシートスサスペンションとして適するサスペンションを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のサスペンションは、下部フレームと、前記下部フレームに、前後に所定間隔をおいて支持され、それぞれ下部を中心として前後に回転運動を行う前部リンク及び後部リンクを備えたフレーム用リンク機構と、前記前部リンク及び後部リンクの上部に支持された上部フレームと、前記前部リンク及び後部リンクを弾性的に付勢するばね機構と、前記上部フレームの前記下部フレームに対する離接動作時のエネルギーを減衰するダンパーとを備えたサスペンションであって、
前記ダンパーが、ピストンロッドとシリンダとを備えた伸縮式であり、前記上部フレーム側に、前記前部リンク及び後部リンクの回転運動によって伸縮するように取り付けられていると共に、前記ダンパー自体が、外部からの入力振動による前記前部リンク及び後部リンクの回転運動によって生じる前記上部フレームの振動とは異なる挙動の振動を生じ、
前記ばね機構を介して支持された前記上部フレームが主振動体となり、前記上部フレーム側に取り付けられた前記ダンパーが副振動体となっていることを特徴とする。
前記上部フレームが、左右一対配設される前記前部リンクの上部間に設けられた上側前部フレームと、左右一対配設される前記後部リンクの上部間に設けられた上側後部フレームとを有し、前記ダンパーが、前記上側前部フレームとの間、及び、前記上側後部フレームとの間のいずれか少なくとも一方に、少なくとも一つのダンパー用リンクを介して配設されており、前記ダンパー用リンクの動きによって、前記ダンパー自体が、外部からの入力振動による前記主振動体である前記上部フレームの振動とは異なる挙動の振動を生じる前記副振動体として機能する構成であることが好ましい。
前記ダンパーは、前記上部フレームの中立位置付近において、その軸心と、前記上部フレームを支持する前記前部リンクの上部側の支点と、前記上部フレームを支持する前記後部リンクの上部側の支点とが、側面から見て略一直線上になるように設定されていることが好ましい。
前記ピストンロッドが連結されるピストンロッド用ブラケット及び前記シリンダが連結されるシリンダ用ブラケットのうちの一方が、前記上側前部フレームに設けられ、他方が、前記上側後部フレームに設けられ、前記ダンパー用リンクが、前記ピストンロッドと前記ピストンロッド用ブラケットとの間、及び、前記シリンダと前記シリンダ用ブラケットとの間の少なくとも一方に介在されていることが好ましい。
前記上部フレームの中立位置付近において、前記ダンパー用リンクの両端の各支点が、前記上部フレームを支持する前記前部リンクの上部側の支点、又は、前記上部フレームを支持する前記後部リンクの上部側の支点と略一直線上となる姿勢で設けられていることが好ましい。
前記ばね機構は、前記上部フレームを前記下部フレームに離間する方向に付勢するばね定数が正の特性を備えたばねと、所定の変位範囲において、ばね定数が負となる特性を備えたばねとの組み合わせからなり、前記上部フレームの中立位置付近において、前記各ばねの特性が重畳されて、ばね定数が略ゼロになる領域を有していることが好ましい。
前記下部フレームが車体側に固定され、前記上部フレームにシートが支持される乗物のシートサスペンションとして用いられるものであることが好ましい。
本発明によれば、ダンパーが、フレーム用リンク機構の前部リンク及び後部リンクの上部にばね機構を介して支持される主振動体である上部フレーム側に、前部リンク及び後部リンクの回転運動によって生じる上部フレームの振動とは異なる挙動の振動を生じる副振動体となるように設けられている。すなわち、入力振動によって主振動体である上部フレームが振動した際、副振動体であるダンパーは、異なる振動挙動を示すため、入力振動のエネルギーが、上部フレームの振動エネルギー、ダンパーの伸縮によって生じる熱エネルギーに分散されるだけでなく、ダンパー自体を振動させるエネルギーとしても消費される。従って、ダンパーのこのような配置構造は、サスペンションの有する振動吸収特性、衝撃吸収特性の基本的性能を向上させる。これにより、上部フレームのストロークが短くても、所定の振動吸収特性、衝撃吸収特性を発揮でき、サスペンションの薄型化に寄与できる。しかも、ダンパーを、上部フレームに沿って略水平に配置でき、上部フレーム及び下部フレームに跨って配置する必要がないため、この点でも、サスペンションの薄型化に寄与できる。また、ダンパーを上部フレーム側に、少なくとも一つのダンパー用リンクを介して取り付けた構成とすることにより、上部フレームの上下動に伴って生じるダンパー自体の振動量が大きくなり、入力エネルギーの負担割合が高くなり、振動吸収特性をさらに向上させることができる。
また、本発明は、好ましくは、上部フレームの中立位置付近において、ダンパーが、ピストンロッド及びシリンダを支持する部位と側面から見て略一直線上となる構成である。従って、上部フレームが中立位置付近に存在している場合には、ダンパーが死点位置付近となっているため、減衰力があまり機能せず、上部フレームが微振動の範囲では、ばね機構の弾性力によって除振できる。従って、減衰力の高いダンパーを使用しても、上部フレームの微振動の範囲ではダンパーの減衰力がほとんど機能しないため、より強い減衰力を発生するダンパーを用いることが可能であり、サスペンションの薄型化を図るのに適している。また、ダンパー用リンクの回転運動を利用する構成とすることにより、ダンパーの伸縮を、上部フレームの変位量が小さくても効率よく行わせることができ、この点でもサスペンションの薄型化に寄与できる。
図1は、本発明の一の実施形態にかかるシートサスペンションの概略構成を示す斜視図である。 図2は、図1に示したシートサスペンションの上部フレームに設けられている取り付けフレームを取り外した状態の斜視図である。 図3(a)は、上記実施形態にかかるシートサスペンションの正面図であり、図3(b)は、平面図である。 図4(a)は、上記実施形態にかかるシートサスペンションの側面図であり、図4(b)は、底面図である。 図5は、前部リンク、後部リンク及びダンパーの取り付け位置関係を説明するための図である。 図6(a)〜(c)は、上記実施形態にかかるシートサスペンションの作用を説明するための図であり、図6(a)は、上部フレームが下限位置の状態の側面図であり、図6(b)は、上部フレームが中立位置の状態の側面図であり、図6(c)は、上部フレームが上限位置の状態の側面図である。 図7(a)は、試験例1にかかるシートサスペンションの変位−荷重特性を示した図であり、図7(b)は、上部フレームの変位量(サスペンション変位)とダンパーの変位量(ダンパー変位)との関係を示した図であり、図7(c)はサスペンション変位と力の伝達効率との関係を示した図である。 図8(a)は、試験例1にかかるシートサスペンションの上部フレームの変位量(サスペンション変位)及びダンパーの変位量(ダンパー変位)の時間変化を示した図であり、図8(b)は、上部フレームの変位速度(サスペンション速度)及びダンパーの変位速度(ダンパー速度)の時間変化を示した図であり、図8(c)は、ダンパー単体の減衰力及びシートサスペンション全体の減衰力を、上部フレームの変位量(サスペンション変位)との関係で示した図である。図8(d)は、図7(a)の変位−荷重特性の図と、図8(c)におけるシートサスペンション全体の減衰力とをあわせて示した図である。 図9は、試験例2の振動伝達率の測定結果を示した図である。
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1〜図6は、本発明の一の実施形態に係るサスペンションである乗用車、トラック、バス、フォークリフト等の乗物用のシートサスペンション1の構造を示す。これらの図に示したように、本実施形態のシートサスペンション1は、略矩形状の上部フレーム10と下部フレーム20とを備え、前部リンク30と後部リンク40とを左右一対ずつ備えた平行リンク構造のフレーム用リンク機構を介して連結されている。上部フレーム10には、乗物用シート(図示せず)が支持され、下部フレーム20は車体側(例えばフロア(図示せず))に固定される。左右一対の前部リンク30,30の上部間が上部フレーム10に含まれる上側前部フレーム11により連結され、左右一対の後部リンク40,40の上部間が上部フレーム10に含まれる上側後部フレーム12により連結されている。そして、上側前部フレーム11及び上側後部フレーム12の各端部が上部フレーム10の一対の側部フレーム10a,10aに形成した取り付け孔(図示せず)に挿通され、前部リンク30,30及び後部リンク40,40が上部フレーム10及び下部フレーム20の側部付近に位置するように設けられている。これにより、上部フレーム10は、下部フレーム20に対して上下動可能に、より正確には、フレーム用リンク機構が前部リンク30,30と後部リンク40,40とを備えた平行リンク構造からなるため、前部リンク30,30及び後部リンク40,40の回転軌道に沿って、上限位置である斜め上後方と下限位置である斜め下前方との間を上下動する。
上側前部フレーム11及び上側後部フレーム12は、本実施形態ではいずれもパイプ材から形成され、それぞれ、トーションバー31,41が挿入されている。該トーションバー31,41の一端は、上側前部フレーム11及び上側後部フレーム12に対してそれぞれ相対回転しないように設けられ、これにより、トーションバー31,41は、上部フレーム10を下部フレーム20に対して相対的に離間する方向、すなわち、上方向に付勢する弾性力を発揮するように設定される。トーションバー31,41の他端は、調整用シャフト15a、調整用ダイヤル15b等を備えた初期位置調整部材15に接続されている。その構造は、特許文献1,2に開示された構造と同様であり、調整用ダイヤル15bを回転操作すると、トーションバー31,41がいずれかの方向にねじられ、トーションバー31,41の初期弾性力が調整され、着座者の体重にかかわらず、上部フレーム10を中立位置に調整できるようになっている。なお、トーションバー31,41の配設位置は上部に限定されるものではなく、上側前部フレーム11及び上側後部フレーム12の下部に設けてもよい。また、上部フレーム10を下部フレーム20に対して相対的に離間する方向に付勢するばねとしては、トーションバー31,41に限らず、コイルスプリング等を用いることも可能である。但し、上部フレーム10のストロークが短い範囲で所定の正のばね定数を得るためには、本実施形態のように、前部リンク30,30及び後部リンク40,40の支点に組み込むことができるトーションバー31,41を用いることが好ましい。
磁気ばね50は、図2及び図6に示したように、固定マグネットユニット51と移動マグネットユニット52とを備えてなる。固定マグネットユニット51は、下部フレーム20に取り付けられる固定側磁石支持フレーム511と、固定側磁石支持フレーム511に支持され、上下方向に所定間隔をおいて取り付けられた固定側磁石512,512とを備えてなる。
移動マグネットユニット52は、所定間隔をおいて対向配置される固定側磁石512,512間の間隙513に配置される移動側磁石521を備えてなる。移動側磁石521の各端部は、略L字状の移動側磁石用リンク522,522の一端が連結される。移動側磁石用リンク522,522の他端は、上部フレーム20の後部付近に設けた取り付けブラケット523に軸支されている。これにより、上部フレーム10が下部フレーム20に接近する方向すなわち下方に変位した際には、移動側磁石用リンク522,522を介して移動側磁石521が、固定側磁石512,512間の間隙513を前方に移動し、上部フレーム10が下部フレーム20から離間する方向すなわち上方に変位した際には、移動側磁石用リンク522,522を介して移動側磁石521が、固定側磁石512,512間の間隙513を後方に移動する。
なお、磁気ばね50は、移動側磁石521が略垂直方向に移動するように設けることも可能であるが、本実施形態のように、移動側磁石521を略水平方向に移動するように構成すると、磁気ばね50全体の厚さ(上下方向の高さ)を薄くでき、シートサスペンション1全体の薄型化に寄与できる。
磁気ばね50は、移動側磁石521が移動する際に、所定の変位量範囲で負のばね定数を発揮するものであるが、例えば、対向配置される固定側磁石512,512として、それぞれ厚み方向に着磁したものを2個ずつ用い、いずれも移動側磁石521の移動方向に沿って異極同士が隣接するように配置する一方、移動側磁石521の着磁方向がその移動方向となるように構成することにより、固定側磁石512,512間を横切る位置付近において負のばね定数を発揮する構造とすることができる。なお、本明細書では、トーションバー31,41のねじり量の増大に伴って復元力の値が大きくなっていく方向の特性を「正のばね特性(その時のばね定数を「正のばね定数」)」とし、トーションバー31,41が正のばね特性を発揮するようにねじられる際、移動側磁石521の固定側磁石512,512に対する相対位置によって、変位量の増加に拘わらず磁気ばね50の復元力の値が小さくなっていく変位範囲(図7(a)の約−10mmから約10mmまでの範囲)の特性を「負のばね特性(その時のばね定数を「負のばね定数」)」としている。
この結果、磁気ばね50と上記したトーションバー31,41とを備えてなる本実施形態のばね機構は、磁気ばね50における負のばね定数が機能する範囲においては、上記したトーションバー31,41の正のばね定数のばね特性が重畳され、変位量が増加しても負荷荷重が変化しない定荷重領域すなわちばね定数が略ゼロになる領域(例えば、ばね定数の変化が、−50N/mmから+50N/mmの範囲の低い値に収まっている領域(図7(a)の約−10mmから約10mmまでの範囲))を有することになる。このばね定数が実質的に略ゼロになる領域をできるだけ有効利用するためには、上部フレーム10の中立位置において、移動マグネットユニット52の移動側磁石521が、その移動範囲の中で略中央に位置するようにセットされることが好ましい。
ここで、本実施形態では、上部フレーム10側にダンパー60が設けられている。ダンパー60は、ピストンロッド61と、このピストンロッド61に取り付けられたピストン61bが内部を往復動作するシリンダ62とを有している(図5、図6参照)。上部フレーム10側(「上部フレーム側」とは、上部フレーム10を構成するいずれかの部位及び上部フレーム10と共に動作するいずれかの部位の両方を含む意味である)に取り付けられた上記の上側前部フレーム11に、ダンパー60の前部側を支持する部位としてのピストンロッド用ブラケット35が後方に突出するように設けられていると共に、同じく、上部フレーム10側に取り付けられた上記の上側後部フレーム12に、ダンパー60の後部側を支持する部位としてのシリンダ用ブラケット45が前方に突出するように設けられている(図5,図6参照)。ダンパー60は、このように、上部フレーム10を構成する上側前部フレーム11及び上側後部フレーム12間に掛け渡されるため、略水平に配置されることになる。
例えば、走行時に車体フロア側から入力される振動によって、主振動体である上部フレーム10は、前部リンク30,30及び後部リンク40,40を介して上下に振動するが、本実施形態のダンパー60は、この上部フレーム10の振動とは異なる挙動の振動を生じる副振動体となるように取り付けられている。そのため、入力振動のエネルギーが、副振動体としてのダンパー60の振動エネルギーによっても散逸され、シートサスペンション1全体の振動吸収特性、衝撃吸収特性が向上する。
本実施形態の副振動体としてのダンパー60のピストンロッド61は、図5及び図6に示したように、その先端部61aが、第1軸部材63aを介してピストン用ブラケット35に軸支され、先端部61aを中心として上下に回動可能となっている。一方、シリンダ62は、シリンダ用ブラケット45に直接連結されるのではなく、ダンパー用リンク70を介して連結されている。
具体的には、上部フレーム10の上側前部フレーム11と上側後部フレーム12との中間付近であって、側部フレーム10a,10aの上面間には、取り付けフレーム10bが掛け渡されており、この取り付けフレーム10bに、シートサスペンション1の正面方向から見て略コ字状に形成された支持ブラケット64が背中合わせで取り付けられ、略コ字状の支持ブラケット64の側面部間に、シリンダ62が配置される(図1、図2及び図5参照)。なお、支持ブラケット64は、側面から見て、下方に垂下した後、後方に延びる略L字状に形成されている。シリンダ62の後部であって、シリンダ62の軸心に対応する位置には、後述のダンパー用リンク70に連結される、中継用のダンパー用リンクとなっている略三角形状リンク65の上部が、第2軸部材63bを介して連結されていると共に、略三角形状リンク65の下部が、支持ブラケット64において後方に延びた後方端部64aに第3軸部材63cを介して連結されている。略三角形状リンク65の頂部65aは、シリンダ62の後端よりも後方に突出しており、この頂部65aとダンパー用リンク70の一端70aとが第4軸部材63dを介して連結されている。そして、ダンパー用リンク70の他端70bとシリンダ用ブラケット45とが第5軸部材63eを介して連結されている(図5参照)。
これにより、上部フレーム10が下部フレーム20に対して離接すると、ダンパー60のピストンロッド61とシリンダ62が相対的に伸縮動作するが、上部フレーム10が中立位置(上部フレーム10の下部フレーム20に対する変位範囲の中間付近で上下へのストロークを十分確保できる位置として設計上定めたポイント)付近の場合に、図5及び図6(b)に示したように、ダンパー用リンク70が死点(思案点)位置の姿勢となるように取り付けられる。具体的には、シリンダ用ブラケット45に対して、ダンパー用リンク70が側面から見て略一直線上に、より正確には、側面から見て、図5及び図6(b)に示したように、上部フレーム10を支持する後部リンク40の上部側の支点である、シリンダ用ブラケット45が取り付けられた上側後部フレーム12(トーションバー41)の中心、ダンパー用リンク70とシリンダ用ブラケット45の一方の支点である第5軸部材63eの中心、及び、ダンパー用リンク70と略三角形状リンク65の他方の支点である第4軸部材63dの中心が、略一直線上になるように取り付けられる。
このように取り付けることにより、上部フレーム10が、下部フレーム20に対して、中立位置付近からその上方(図6(b)の状態から図6(c)の状態に変位する方向)又は下方(図6(b)の状態から図6(a)の状態に変位する方向)のいずれに変位した場合でも、後部リンク40,40の角度変化に伴って、上側後部フレーム12に固定された、ダンパー60の後部側を支持する部位としてのシリンダ用ブラケット45の角度が変化し、すなわち、上部フレーム10が上方に変位するとシリンダ用ブラケット45の先端部が図6(b)の状態から図6(c)の状態となるように上方(図6(b),(c)において時計回り)に回転し、上部フレーム10が下方に変位するとシリンダ用ブラケット45の先端部が図6(b)の状態から図6(a)の状態となるように下方(図6(a),(b)において反時計回り)に回転する。そして、ダンパー用リンク70には、シリンダ用ブラケット45の回転に伴って他端70b側が同方向に変位するため、一端70a側は第5軸部材63eを中心として逆方向に回転し、略三角形状リンク65の頂部65aを、後部側すなわちシリンダ用ブラケット45側に引き寄せる。この結果、略三角形状リンク65の上部が、支持ブラケット64と連結された第3軸部材63cを中心として後方(図6(a)〜(c)の時計回り)に回転し、略三角形状リンク65の上部に第2軸部材63bを介して連結されたシリンダ62が後方に引き寄せられ、ピストンロッド61がシリンダ62に対して相対的に伸び方向に動作する。そして、このように回転運動をするダンパー用リンク70によってダンパー60が伸びていくため、その単位時間当たりのダンパー60の変位量(伸び量)であるダンパー60の変位速度(ピストンロッド61のシリンダ62に対する移動速度)は、上部フレーム10の変位量が増加するにつれて大きくなる。そのため、上部フレーム10が上方又は下方に所定量離間した位置に至るまで、ダンパー60の減衰力は急激に上昇する。
また、図5及び図6(b)に示したように、上部フレーム10の中立位置において、ダンパー60の軸心(ピストン用ブラケット35とピストンロッド61との支点である第1軸部材63aの中心と、シリンダ62と略三角形状リンク65との支点である第2軸部材63bの中心とを結ぶ線)は、上部フレーム10を支持する前部リンク30の上部側の支点である上側前部フレーム11(トーションバー31)の中心と、上部フレーム10を支持する後部リンク40の上部側の支点である上側後部フレーム12(トーションバー41)の中心とに、略一致するように設けられている。従って、上部フレーム10が中立位置から上下いずれかに変位すると、上側前部フレーム11の中心(トーションバー31の中心)と第1軸部材63aとを結ぶ直線と、ダンパー60の軸心とのなす一方側(下方に変位した場合(図6(a))には下側、上方に変位した場合(図6(c))には上側)の角度が180度未満となる。また、上側後部フレーム12の中心(トーションバー41の中心)と第2軸部材63bとを結ぶ直線と、ダンパー60の軸心とのなす他方側(下方に変位した場合(図6(a))には上側、上方に変位した場合(図6(c))には下側)の角度も同様に180度未満となる。この結果、この角度に応じた分、ピストンロッド61とシリンダ62はそれぞれ逆方向に、すなわち伸長する方向に変位する。よって、本実施形態の構成では、ダンパー用リンク70を配置しなくても、上部フレーム10が中立位置から上下に振動すると、これらの作用によって、上部フレーム10の変位量が大きくなるほど、ピストンロッド61の変位量の割合が大きくなる。但し、上部フレーム10の変位量がより少なくても、ピストンロッド61のシリンダ62に対する相対移動量を大きくするために、ダンパー用リンク70を設けることが好ましい。
また、ダンパー60をこのようにダンパー用リンク70等を用いて配設することにより、上部フレーム10が上下動する際には、ピストンロッド61の支点である第1軸部材63aを中心として、シリンダ62側の振動量が大きくなる。特に、本実施形態では、シリンダ62とダンパー用リンク70との間に、補助的なダンパー用リンクとして略三角形状リンク65を第2、第3及び第4軸部材63b〜63dを用いて連結している。よって、ダンパー60は、ダンパー用リンク70と補助的なダンパー用リンクとしての略三角形状リンク65とを含む多関節のリンク構造を介して支持されていることになるため、上部フレーム10の振動によって生じる、ダンパー60自体の振動が顕著になされる。このときのダンパー60の振動挙動は、上部フレーム10の略平行に上下に振動する挙動と一致するものではなく、ピストンロッド61側の先端部とシリンダ62側の後端部が逆方向に動作するといった異なる挙動(振り子運動)を示す。その結果、副振動体であるダンパー60は、伸縮動作だけでなく、主振動体である上部フレーム10とは独立した振り子運動により入力エネルギーを散逸でき、振動吸収特性、衝撃吸収特性を向上できる。ダンパー60自体がこのように独立した振動挙動を示すため、シートサスペンション1自体を動吸振器として見なした場合には、ダンパー60はその補助質量体として機能しており、その意味でも、振動吸収特性、衝撃吸収特性の向上に寄与していると言える。
また、上部フレーム10の中立位置付近においては、上記のように、側面から見て、ダンパー60の軸心が、上側前部フレーム11の中心及び上側後部フレーム12の中心と略一直線上となり、かつ、ダンパー用リンク70の両端における第5軸部材63eの中心及び第4軸部材63dの中心が、側面から見て、上側後部フレーム12の中心と略一直線上になり、いずれも、死点(思案点)位置における姿勢になる。そのため、上部フレーム10の中立位置付近では、ダンパー60がほとんど伸縮動作をしない。従って、上部フレーム10の中立位置においては、ダンパー60の減衰力は実質的に作用せず、トーションバー31,41及び磁気ばね50により構成される本実施形態のばね機構の特性によって除振される。すなわち、上部フレーム10の中立位置付近では、ダンパー60の減衰力を利用することなく、上部フレーム10の小振幅、高周波の微振動を吸収できる。このため、ダンパー60としては、より振幅の大きな低周波の振動や衝撃力を効果的に吸収する減衰力の高いものを用いることができる。その結果、上部フレーム10の全ストロークが小さくても高い振動吸収特性、衝撃吸収特性を発揮でき、シートサスペンション1の薄型化を図るのに適している。
また、本実施形態では、ダンパー用リンク70を有しているため、後部リンク40,40の回転運動に伴う上側後部フレーム12を介してのシリンダ用ブラケット45の回転運動と、前部リンク30,30の回転運動に伴うピストンロッド用ブラケット35の回転運動とに加え、それらの回転運動に伴って生じるダンパー用リンク70の回転運動が相乗的に作用する。このため、ダンパー60を上部フレーム10側において略水平に設けた構造であるにもかかわらず、上部フレーム10の中立位置付近から上方又は下方への変位に敏感に反応して、ダンパー70が速やかに作用する。それにより、本実施形態のシートサスペンション1によれば、上部フレーム10が上限位置又は下限位置に至る前に、高い減衰力を作用させることができ、上部フレーム10の底付き、天付きの抑制効果が高い。
ここで、ダンパー60の種類は限定されるものではなく、ばね要素を用いた摩擦ダンパーなどの変位依存型のダンパー、磁気ダンパーやオイルダンパーなどの速度依存型のダンパー、あるいは、変位や速度への依存性の小さい他のダンパー等を用いることができるが、上記のように、本実施形態では、ダンパー60を、上部フレーム10側に略水平姿勢で設けるため、粘性液体を利用するオイルダンパーよりも、摩擦ダンパーや磁気ダンパーを用いることが好ましい。変位依存型の摩擦ダンパーとしては、例えば、ピストン61bの外周面にゴム又は樹脂ボールを配設したものや、ゴムと樹脂ボールを併用し、軸方向に適宜の配列で設けたものなどを用いることができ、シリンダ62の内周面との間で摩擦抵抗と弾性変形を生じさせて減衰力を発生させるものである。速度依存型の磁気ダンパーとしては、例えば、ピストン61bとして磁石を用い、シリンダ62として内周面に銅からなる導体を配設した構造のものを用いることができる。変位依存型の摩擦ダンパーであれば、摩擦抵抗やばね定数を高めることで、減衰力の高いものを採用できる。速度依存型の磁気ダンパーの場合でも、上記のように本実施形態では、上部フレーム10の変位量が大きくなるほど、ピストンロッド61の変位量の割合が大きくなるため、上部フレーム10の中立位置付近から所定量離間した変位位置において、高い減衰力を発揮できる。
また、ダンパー用リンク70は、本実施形態では、シリンダ62とシリンダ用ブラケット45との間に設けているが、これに代えて、ピストンロッド61とピストンロッド用ブラケット35との間に設けることもできる。また、ダンパー用リンク70を、ピストンロッド61側とシリンダ62側の両方に配設することもできる。また、本実施形態では、前部側にピストンロッド61を配置し、後部側にシリンダ62を配置しているが、逆向きに配置することももちろん可能である。
(試験例1)
図7(a)〜(c)は、本実施形態の構造を採用した試験例1に係るシートサスペンション1の静特性を示した図である。なお、ダンパー60としては、ピストン61bとして磁石を配置し、シリンダ62の内周面に銅を配設した速度依存型の磁気ダンパーを用いている。また、ピストンロッド61が軸支されている第1軸部材63aの中心と、シリンダ62と略三角形状リンク65との支点である第2軸部材63bの中心との距離(ダンパー長)が、図6(b)の中立位置においてL1、図6(a)の下限位置においてL2、図6(c)の上限位置においてL3とした場合に、L2=L1+3.1mm、L3=L1+5.3mmのものである。図7において、変位量0mmが上部フレーム10の中立位置であり、変位量の正の値が、上部フレーム10が中立位置から下方に変位した場合を示し、変位量の負の値が、上部フレーム10が中立位置から上方に変位した場合を示す。まず、図7(a)の変位−荷重特性から、本実施形態のシートサスペンション1は、変位量0mmを中心として±約10mmの変位量範囲において、ばね定数が絶対値で約20N/mm以下(±約5mmの変位量範囲ではばね定数が絶対値で約10N/mm以下)のばね定数略ゼロの領域を有していることがわかる。従って、人が着座して上部フレーム10が中立位置付近に位置している場合、車体フロアから伝わる上下振動は、上部フレーム10と下部フレーム20との相対運動により効果的に除振される。
一方、図7(b)から、上部フレーム10の下部フレーム20に対する変位量(サスペンション変位)と、ピストン61b及びピストンロッド61のシリンダ62に対する変位量(ダンパー変位)とを比較すると、上部フレーム10の変位量が増すにつれて、ダンパー60の変位量の割合が増加しており、特に、上部フレーム10の変位量が±10mm近傍以上となると、ダンパー60の変位量の割合の増加が急激になっており、シリンダ用ブラケット35、ダンパー用リンク70及びピストンロッド用ブラケット35の各回転運動の作用が顕著に現れている。
図8(a)〜(c)は、上部フレーム10の中立位置からの変位量を±15mmとして、4Hzで上部フレーム10を上下動させた場合の動特性を示した図である。図8(a),(b)を比較すると、上部フレーム10の変位量(サスペンション変位)+10mm近傍、−10mm近傍において、ダンパー速度(ピストン61b及びピストンロッド61のシリンダ62内の移動速度)が最高になっている。そして、図8(c)より、上部フレーム10の変位量(サスペンション変位)+10mm近傍、−10mm近傍において、ダンパー60の減衰力及びシートサスペンション1の減衰力が最大になっている。よって、本実施形態によれば、上部フレーム10を、上限位置又は下限位置に至る前で大きな減衰力を作用させて減衰できることがわかる。その一方、上部フレーム10の中立位置において、ダンパー用リンク70が死点(思案点)位置となり、ダンパー60の減衰力がほとんど働いていない。このことは、図7(a)の変位−荷重特性と図8(c)の減衰力を併せて示した図8(d)からも明らかであり、上部フレーム10の中立位置付近では、上記したばね定数が実質的にゼロとなる特性により除振され、より大きな振動、衝撃が入力された場合には、ダンパー60の減衰力でエネルギー吸収がなされる。
なお、試験例1のシートサスペンション1に関し、JIS A 8304:2001(ISO 7096:2000)に基づいて、SEAT値(Seat Effective Amplitude Transmissibility factor)を求めた。試験例1のシートサスペンション1を、フォークリフトの運転席シートに用いる場合を想定して、「50,000kg以下のクローラ式トラクタドーザ」の基準である入力スペクトルクラスEM6(励振中心周波数7.6、PSDの最高値0.34(m/s/Hz)で試験を行った。被験者は、体重63kg、72kgの2名であり、その結果、得られたSEAT値は、それぞれ0.34、0.28であった。EM6のSEAT値の基準が0.7未満であるため、基準を満たしていた。また、「4,500kg以下のコンパクトローダ」の基準である入力スペクトルクラスEM8(励振中心周波数3.3、PSDの最高値0.4(m/s/Hz)で試験を行った。被験者は、体重63kg、72kgの2名であり、その結果、得られたSEAT値は、それぞれ0.52、0.52であった。EM8のSEAT値の基準が0.8未満であるため、基準を満たしていた。
(試験例2)
図9は、下部フレーム20を加振機にセットしたシートサスペンション1の上部フレーム10に、自動車用シートを装着し、そのシートに体重85kgの被験者が着座した状態で加振した際の振動伝達率の測定結果を示した図である。なお、試験例2のシートサスペンション1では、ダンパー60として、ピストン61bの周面にゴムを設け、シリンダ62の内周面に摺接する変位依存型の摩擦ダンパーを用いている。また、この変位依存型の摩擦ダンパーの減衰力は、試験例1の磁気ダンパーの減衰力を上回るものである。図9において、比較例1は、当該変位依存型の摩擦ダンパーを取り外したシートサスペンションを用いた場合の測定結果である。
図9より、比較例1と比べて、試験例2は、共振点における振動伝達率が大幅に低下していることがわかる。また、入力周波数帯が共振点より高い領域においては、試験例2が、減衰力の高い変位依存型の摩擦ダンパーを用いているにもかかわらず、比較例1とほぼ同じ振動伝達率となっており、高周波で小振幅の領域においては、変位依存型の摩擦ダンパーが作用せずに、実質的にばね定数ゼロの特性を備えたばね機構の作用により除振できていることがわかる。
また、上記実施形態の構造を採用した試験例2においては、上記のように、副振動体であるダンパー60は、シリンダ62が、第2軸部材63b、第3軸部材63c、第4軸部材63d及び第5軸部材63eを介して連結された補助的なダンパー用リンクとしての略三角形状リンク65及びダンパー用リンク70により、すなわち、多関節構造のリンクによって支持されている。そのため、主振動体である上部フレーム10が上下動すると、ピストンロッド61の支点である第1軸部材63aを中心として、シリンダ62側が揺動する。
図9から、試験例2が比較例1よりも共振峰が大きく低下しているのは、摩擦ダンパーからなるダンパー60の伸縮動作によるものであるが、ダンパー60を備えていない比較例1の共振周波数が約1.8Hzであるのに対し、試験例2では約1.9Hzとなっている。すなわち、試験例2の方が若干高周波側に移行している。しかしながら、試験例2は、共振周波数を越えたより高周波の領域においても、特に、2.5Hz付近まで振動伝達率が比較例1よりも低く、二次共振点も生じていない。また、2.5Hzよりも高周波領域においては、両者はほぼ同じ振動伝達率となっている。従って、試験例2は、比較例1よりも減衰領域の周波数帯域が増加している。これは、試験例2のシートサスペンション1が、主振動体である上部フレーム10の振動とは異なる挙動で振動する副振動体であるダンパー60の作用によるものである。すなわち、上部フレーム10の振動やダンパー60の伸縮動作に伴う入力振動のエネルギー消費だけでなく、ダンパー60自体が独自の振動を行うことによっても入力振動のエネルギーを散逸していることを示している。また、2Hzを越えた範囲で二次共振点が生じることなく振動伝達率がなだらかに下がっているのは、ダンパー60が、上部フレーム10に、ばねではなく、略三角形状リンク65、ダンパー用リンク70を含む複数のリンクを介して支持されていることによる。
1 シートサスペンション
10 上部フレーム
11 上側前部フレーム
12 上側後部フレーム
15 初期位置調整部材
20 下部フレーム
30 前部リンク
31 トーションバー
35 ピストンロッド用ブラケット
40 後部リンク
41 トーションバー
45 シリンダ用ブラケット
50 磁気ばね
51 固定マグネットユニット
512 固定側磁石
52 移動マグネットユニット
521 移動側磁石
60 ダンパー
61 ピストンロッド
61b ピストン
62 シリンダ
63a〜63e 軸部材
65 略三角形状リンク
70 ダンパー用リンク

Claims (6)

  1. 下部フレームと、
    前記下部フレームに、前後に所定間隔をおいて支持され、それぞれ下部を中心として前後に回転運動を行う前部リンク及び後部リンクを備えたフレーム用リンク機構と、
    前記前部リンク及び後部リンクの上部に支持された上部フレームと、
    前記前部リンク及び後部リンクを弾性的に付勢するばね機構と、
    前記上部フレームの前記下部フレームに対する離接動作時のエネルギーを減衰するダンパーと
    を備えたサスペンションであって、
    前記ダンパーが、ピストンロッドとシリンダとを備えた伸縮式であり、前記上部フレーム側に、前記前部リンク及び後部リンクの回転運動によって伸縮するように取り付けられていると共に、前記ダンパー自体が、外部からの入力振動による前記前部リンク及び後部リンクの回転運動によって生じる前記上部フレームの振動とは異なる挙動の振動を生じ、
    前記ばね機構を介して支持された前記上部フレームが主振動体となり、前記上部フレーム側に取り付けられた前記ダンパーが副振動体となっており、
    前記ダンパーは、前記上部フレームの中立位置付近において、その軸心と、前記上部フレームを支持する前記前部リンクの上部側の支点と、前記上部フレームを支持する前記後部リンクの上部側の支点とが、側面から見て略一直線上になるように設定されていることを特徴とするサスペンション。
  2. 前記上部フレームが、左右一対配設される前記前部リンクの上部間に設けられた上側前部フレームと、左右一対配設される前記後部リンクの上部間に設けられた上側後部フレームとを有し、
    前記ダンパーが、前記上側前部フレームとの間、及び、前記上側後部フレームとの間のいずれか少なくとも一方に、少なくとも一つのダンパー用リンクを介して配設されており、
    前記ダンパー用リンクの動きによって、前記ダンパー自体が、外部からの入力振動による前記主振動体である前記上部フレームの振動とは異なる挙動の振動を生じる前記副振動体として機能する請求項1記載のサスペンション。
  3. 前記ピストンロッドが連結されるピストンロッド用ブラケット及び前記シリンダが連結されるシリンダ用ブラケットのうちの一方が、前記上側前部フレームに設けられ、他方が、前記上側後部フレームに設けられ、
    前記ダンパー用リンクが、前記ピストンロッドと前記ピストンロッド用ブラケットとの間、及び、前記シリンダと前記シリンダ用ブラケットとの間の少なくとも一方に介在されている請求項記載のサスペンション。
  4. 前記上部フレームの中立位置付近において、前記ダンパー用リンクの両端の各支点が、前記上部フレームを支持する前記前部リンクの上部側の支点、又は、前記上部フレームを支持する前記後部リンクの上部側の支点と略一直線上となる姿勢で設けられている請求項記載のサスペンション。
  5. 前記ばね機構は、前記上部フレームを前記下部フレームに離間する方向に付勢するばね定数が正の特性を備えたばねと、所定の変位範囲において、ばね定数が負となる特性を備えたばねとの組み合わせからなり、
    前記上部フレームの中立位置付近において、前記各ばねの特性が重畳されて、ばね定数が略ゼロになる領域を有している請求項1〜のいずれか1に記載のサスペンション。
  6. 前記下部フレームが車体側に固定され、前記上部フレームにシートが支持される乗物のシートサスペンションとして用いられる請求項1〜のいずれか1に記載のサスペンション。
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