JP6881312B2 - 結晶性ガラス封止材 - Google Patents

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Description

本発明は、低熱膨張部材の封止に適した結晶性ガラス封止材に関する。
石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等は低い熱膨張係数を有し、耐熱性にも優れているため、高温処理治具、ヒーター、エンジン等の構造部材として広く使用されている。この種の部材には一般に複雑形状が要求されるものが多いが、一体成型が不可能な場合が多いため、部材同士の接合が必須の技術である。上記の構造部材(低膨張被封止部材)同士を接合する方法としては、溶接や、封止材による接着等が挙げられる。しかしながら、溶接は安全性に問題があり、大面積加工も困難であるため、封止材による接着が好ましく用いられている。
上記の構造部材は高温下で使用される場合が多いため、封止材にも高い耐熱性が要求される。耐熱性に優れた封止材として、ガラス封止材、特に結晶性ガラス封止材が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許第2715138号公報
封止材の要求特性として、耐熱性以外にも、構造部材と熱膨張係数が整合すること、及び、構造部材の耐熱温度以下で封止可能である(つまり、封止可能な程度まで十分に軟化流動する)ことが挙げられる。従来の封止材は、低温(例えば1000℃未満)で封止できたとしても、構造部材との熱膨張係数差が大きく、封止時や封止後に構造部材や封止部が破損しやすいという問題がある。あるいは、構造部材との熱膨張係数が小さい場合であっても、高温封止(例えば1000℃以上)が必要であり、封止時に構造部材が熱劣化するという問題がある。
以上に鑑み、本発明は低熱膨張特性を有し、かつ、比較的低温で封止可能な封止材を提供することを課題とする。
本発明の結晶性ガラス封止材は、組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)を含有することを特徴とする。
本発明の結晶性ガラス封止材は、SiO、Al、LiO、B、ZnOを上記の特定比率で含有することにより、比較的低温で低膨張結晶を析出し、封止部の低膨張化が可能である。同時に、本発明の結晶性ガラス封止材は、結晶化開始前に軟化流動しやすい性質を有している。このように、本発明の結晶性ガラス封止材は、低膨張性と流動性の両方を兼ね備えたことを特徴としている。
本発明の結晶性ガラス封止材は、モル%で、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%を含有することが好ましい。MgO、CaO、SrO及びBaOは耐候性を向上させる成分である。よって、これらの成分を含有させることにより、封止材の耐候性を向上させることが可能となる。なお、本発明において、「○+○+・・・」は該当する各成分の含有量の合量を意味する。
本発明の結晶性ガラス封止材は、モル%で、La+ZrO+Bi 0〜10%を含有することが好ましい。La、ZrO及びBiも耐候性を向上させる成分であるため、これらの成分を含有させることにより、封止材の耐候性を向上させることが可能となる。
本発明の結晶性ガラス封止材において、B/LiOが0.5〜1であることが好ましい。ここで、「B/LiO」はBとLiOの各含有量のモル比を意味する。本発明の結晶性ガラス封止材は、熱処理により低膨張結晶が析出するが、ガラス成分の一部は結晶化せずにガラス相として残留する。当該ガラス相は、結晶構成成分ではないBを多く含有している。Bに関しては、その含有量以外にも、ガラス中におけるホウ素元素の配位数により熱膨張係数が変化する傾向がある。具体的には、3配位ホウ素元素が多い場合は熱膨張係数が大きくなり、4配位ホウ素元素が多い場合はホウ酸異常が起こり、熱膨張係数が大きく低下する傾向がある。本発明者等の検討の結果、ホウ素元素の配位数は、BとLiOの各含有量の割合に影響を受けることがわかった。具体的には、B/LiOを上記の通り規定することにより、4配位ホウ素元素が多くなって残留ガラス相の低膨張化が可能となり、結晶化後の封止部の熱膨張係数を低減できることを見出した。
本発明の結晶性ガラス封止材は、800℃以下での熱処理によりβ−石英固溶体が主結晶として析出することが好ましい。当該構成によれば、封止時における被封止部材の熱劣化を抑制することができる。また、比較的低温で封止可能なため、封止コストを低減することができる。なお、「β−石英固溶体が主結晶として析出する」とは析出結晶のなかで、β−石英固溶体の含有量が最も多いことを意味する。
本発明の結晶性ガラス封止材は、結晶化後の熱膨張係数が、30〜380℃において−25×10−7〜25×10−7/℃であることが好ましい。このようにすれば、封止部の耐熱性を向上させることが可能となる。また、低膨張の被封止部材との熱膨張係数を整合させることができるため、封止部や被封止部材におけるクラックの発生を抑制することができる。
本発明の結晶性ガラス封止材は、結晶化後における30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数が25×10−7/℃以下であることが好ましい。ここで、固着点はTf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点)で表される温度を意味する。結晶化後の封止材の熱膨張曲線において、30℃〜固着点の範囲での熱膨張変化が大きすぎると、封止材が被封止部材に固着した後、降温過程において極めて大きな残留応力が発生し、封止部または被封止部材においてクラックが発生するおそれがある。そのため、結晶化後における30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数を上記の通り規定することにより、上記の不具合の発生を抑制することができる。
本発明の接合体の製造方法は、第1の被接合部材と第2の被接合部材との間に上記の結晶性ガラス封止材を配置し、熱処理することにより、第1の被接合部材と第2の被接合部材を接合することを特徴とする。
本発明の接合方法において、熱処理の際の昇温速度を25℃/分以上とすることが好ましい。このようにすれば、固着点付近における熱膨張変化を軽減(つまり、30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数を低減)することができる。このメカニズムは以下のように推察される。
固着点付近における熱膨張変化は、結晶化後の残留ガラス相に含まれるBの割合、及びそのホウ素元素の配位状態に影響を受ける。具体的には、残留ガラス相中のB割合が減少する、もしくは4配位ホウ素元素の割合が増えると、固着点付近における熱膨張変化を軽減することができる。上記の通り昇温速度を高めると、結晶核の生成が少なくなるため結晶の析出が抑制され、残留ガラス相が多くなる。その結果、残留ガラス相中において、結晶成分でないBの割合が相対的に減少する一方で、析出結晶成分であるLiOの割合が増加する。ここで、LiOはホウ素元素を4配位化させる成分であるため、残留ガラス相において4配位ホウ素元素の割合が増え、固着点付近における熱膨張変化を軽減することができる。なお、結晶核の生成が少ないと結晶析出速度が遅くなるため、結晶化開始前に軟化流動しやすく、被接合部材に対する接着性が向上する傾向がある。
本発明の接合方法において、熱処理後に徐冷することが好ましい。このようにすれば、冷却過程でも封止材の結晶成長が進み、最終的な結晶析出量が多くなるため、30〜380℃における熱膨張係数が低減しやすくなる。
本発明の接合体は、第1の被接合部材と第2の被接合部材と、第1の被接合部材と第2の被接合部材の間に介在する結晶化ガラス封止部とを備えた接合体であって、結晶化ガラス封止部が、組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)を含有することを特徴とする。
本発明の接合体は、結晶化ガラス封止部において、β−石英固溶体が主結晶として析出していることが好ましい。
本発明の接合体は、第1の被接合部材および/または第2の被接合部材が、石英ガラス、結晶化ガラスまたは低膨張セラミックであることが好ましい。これらの材料は比較的熱膨張係数が低く、上記ガラス組成を有する結晶化ガラス封止部と熱膨張係数が整合しやすい。結果として、被接合部材や封止部のクラックが発生しにくい。
本発明によれば、低熱膨張特性を有し、かつ、比較的低温で封止可能な封止材を提供することが可能となる。
図1は、本発明の接合体の第1の実施形態を示す斜視図である。 図2は、本発明の接合体の第1の実施形態における、板状部材の接合の形態の一例を示す拡大断面図である。 図3は、本発明の接合体の第1の実施形態における、板状部材の接合の形態の他の例を示す拡大断面図である。 図4は、本発明の接合体の第2の実施形態を示す正面図である。 図5は、本発明の接合体の第3の実施形態を示す斜視図である。 図6は、本発明の接合体の第3の実施形態における、筒状部材の接合の形態の一例を示す拡大断面図である。 図7は、本発明の接合体の第4の実施形態を示す斜視図である。 図8は、本発明の接合体の第5の実施形態を示す平面図である。 図9は、本発明の接合体の第6の実施形態を示す平面図である。
本発明の結晶性ガラス封止材は、組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)を含有することを特徴とする。このような組成にした理由を以下に説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味する。
SiOはガラス骨格を形成する成分であり、またβ−石英固溶体の構成成分である。SiOの含有量は48〜75%であり、好ましくは53〜70%、より好ましくは58〜65%である。SiOの含有量が少なすぎると、結晶化時のβ−石英固溶体の析出量が少なくなり、熱膨張係数が低下しにくくなる。一方、SiOが多すぎると、軟化点が上昇して軟化流動性が低下しやすくなる。
Alはβ−石英固溶体の構成成分である。Alの含有量は5〜25%であり、好ましくは7〜15%、より好ましくは7〜13%である。Alの含有量が少なすぎると、結晶化時のβ−石英固溶体の析出量が少なくなり、熱膨張係数が低下しにくくなる。一方、Alが多すぎると、軟化点が上昇して軟化流動性が低下しやすくなる。
LiOはβ−石英固溶体の構成成分であり、また軟化点を低下させる成分である。LiOの含有量は5〜30%であり、好ましくは10〜25%、さらに好ましくは10〜20%である。LiOの含有量が少なすぎると、結晶化時のβ−石英固溶体の析出量が少なくなり、熱膨張係数が低下しにくくなる。また軟化点が上昇して流動性が低下しやすくなる。LiOの含有量が多すぎると、結晶化後の残留ガラス中におけるLiOの含有量が多くなり、残留ガラスの熱膨張係数が大きくなることから、結果として封止部の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
はガラス骨格を形成する成分であり、軟化点を低下させる成分である。Bの含有量は10〜23%(ただし10%を含まない)であり、好ましくは12〜16%、より好ましくは13〜15%である。Bの含有量が少なすぎると、軟化点が上昇して、軟化点と結晶化温度の差が小さくなるため、軟化流動前に結晶が析出する傾向があり、流動性が低下しやすくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、封止後における残留ガラス相の割合が増加する(β−石英固溶体の析出量が低下する)ため、また残留ガラス相の熱膨張係数が増大するため、封止部の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
なお、既述の通り、BとLiOの各含有量の割合を適宜調整することにより、封止材の熱膨張係数を低減することができる。具体的には、B/LiOの値を0.5〜1、0.7〜1、特に0.8〜1に調整することが好ましい。
ZnOは耐候性を向上させる成分である。また、流動性を向上させる効果がある。ZnOの含有量は0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)であり、好ましくは0〜2%である。ZnOの含有量が多すぎると、β−石英固溶体の析出量が少なくなったり、Zn−Al系結晶等の封止部の低膨張化に寄与しない異種結晶が析出しやすくなる。また、結晶化後の残留ガラスの熱膨張係数が大きくなる傾向がある。結果として、封止部の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
なお、耐候性を向上させる成分としてMgO、CaO、SrOまたはBaOを含有させても良い。これらの成分は流動性を向上させる効果もある。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は0〜10%、0〜5%、特に0.1〜2%であることが好ましい。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多すぎると、熱処理後にβ−石英固溶体の析出量が少なくなったり、残留ガラス相の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。その結果、結晶化後の封止部の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
また、同じく耐候性を向上させる成分としてLa、ZrOまたはBiを含有させても良い。これらのうちZrO及びBiは流動性を向上させる効果もある。La+ZrO+Biの含有量は0〜10%、0〜5%、特に0.1〜2%であることが好ましい。La+ZrO+Biの含有量が多すぎると、熱処理後にβ−石英固溶体の析出量が少なくなったり、残留ガラス相の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。特に、Laに関してはその含有量が多すぎると、La−B系結晶等の、封止部の低膨張化に寄与しない異種結晶が析出しやすい。その結果、結晶化後の封止部の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。
上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、NaO、KO、MnO、P、MoO、TiO、V等を合量で30%以下、20%以下、さらには10%以下の範囲で含有させることが可能である。
本発明の結晶性ガラス封止材は、通常、粉末状(ガラス粉末)で使用される。その場合、平均粒子径D50は15μm以下、0.5〜10μm、特に0.7〜5μmが好ましい。平均粒子径D50の粒度が大きすぎると、焼成後の緻密性が低下し封止性に劣る傾向がある。ここで、「平均粒子径D50」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径を表す。
本発明の結晶性ガラス封止材は比較的低温の熱処理により結晶化し、β−石英固溶体が主結晶として析出する。熱処理温度は800℃以下、特に750℃以下であることが好ましい。熱処理温度が高すぎると、封止時において被封止部材が熱劣化しやすくなる。また、封止コストが高騰しやすくなる。一方、熱処理温度が低すぎるとβ−石英固溶体が析出しにくくなるため、熱処理温度は500℃以上、特に600℃以上であることが好ましい。
結晶性ガラス封止材を熱処理する際の昇温速度(特に結晶化開始温度付近における昇温速度)を25℃/分以上、30℃/分以上、35℃/分以上、特に40℃/分以上とすることが好ましい。このようにすれば、固着点付近における熱膨張変化を軽減(つまり、30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数を低減)することができる。
なお、β−石英固溶体を十分に析出させるため、熱処理時間(最高温度保持時間)は5分以上、10分以上、特に20分以上であることが好ましい。一方、熱処理時間が長すぎるとβ−スポジュメン結晶が析出して熱膨張係数が大きくなる傾向があるため、熱処理時間は500分以下、特に250分以下であることが好ましい。
熱処理後に徐冷することが好ましい。このようにすれば、冷却過程でも封止材の結晶成長が進み、最終的な結晶析出量が多くなるため、30〜380℃における熱膨張係数が低減しやすくなる。徐冷の際の降温速度(絶対値)は、例えば100℃/分以下、特に50℃/分以下であることが好ましい。
熱処理後の封止材におけるβ−石英固溶体の含有量は75〜99質量%、80〜97質量%、特に85〜95質量%であることが好ましい。β−石英固溶体の含有量が少なすぎると、封止部の低膨張化が困難になる傾向がある。一方、β−石英固溶体の含有量が多すぎると、流動性が低下しやすくなる。
本発明の結晶性ガラス封止材の結晶化後の30〜380℃における熱膨張係数は、好ましくは−25×10−7〜25×10−7/℃、より好ましくは−15×10−7〜15×10−7/℃、さらに好ましくは−10×10−7〜10×10−7/℃である。このようにすれば、封止部の耐熱性を向上させることが可能となる。また、低膨張被封止部材との熱膨張係数を整合させることができるため、封止部や被封止部材におけるクラックの発生を抑制することができる。
本発明の結晶性ガラス封止材は、結晶化後における30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数が25×10−7/℃以下、23×10−7/℃以下、特に20×10−7/℃以下であることが好ましい。このようにすれば、特に封止時の冷却工程において、封止部または被封止部材におけるクラックの発生を抑制することができる。
なお、結晶性ガラス封止材は、熱膨張係数調整のため耐火性フィラー粉末と混合した複合材料として使用してもよい。耐火性フィラーの含有量は、結晶性ガラス封止材100質量部に対して0〜40質量部、0.1〜20質量部、特に1〜10質量部であることが好ましい。耐火性フィラー粉末の含有量が多すぎると、複合材料の被封止部材に対する固着性が低下しやすくなる。
耐火性フィラー粉末として、コーディエライト、ウイレマイト、アルミナ、リン酸ジルコニウム、ジルコン、ジルコニア、酸化スズ、ムライト、シリカ、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体、リン酸タングステン酸ジルコニウム等が使用可能である。
本発明の結晶性ガラス封止材(または本発明の結晶性ガラス封止材と耐火性フィラーとの複合材料)は圧粉体の形態で使用してもよいし、ビークルと混合して複合粉末ペーストとして使用することもできる。ビークルは、主に樹脂と溶媒で構成される。溶媒は、樹脂を溶解させつつ、複合粉末を均一に分散させる目的で添加される。樹脂は、ペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。
樹脂として、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、エチルセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
溶媒として、パインオイル、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
複合粉末ペーストは、例えば、複合粉末とビークルを混合した後、3本ロールミルで均一に混練することにより作製される。
複合粉末ペーストは、スクリーン印刷機等の塗布機を用いて被封止部材上に塗布された後、乾燥工程、焼成工程に供される。これにより、被封止部材上に封止材層を形成することができる。
本発明の結晶性ガラス封止材は、例えば被接合部材同士を接合して接合体を作製するために使用することができる。具体的には、第1の被接合部材と第2の被接合部材との間に本発明の結晶性ガラス封止材を配置し、熱処理することにより、第1の被接合部材と第2の被接合部材が両者の間に介在する結晶化ガラス封止部により接合されてなる接合体を得る。ここで、結晶化ガラス封止部はβ−石英固溶体が主結晶として析出していることが好ましい。それにより、結晶化ガラス封止部の低膨張化が可能となる。なお、結晶化ガラス封止部のガラス組成や熱膨張係数等は、上述した結晶性ガラス封止材に関する説明と同様であるため、ここでは説明を割愛する。
第1の被接合部材および/または第2の被接合部材が、石英ガラス、結晶化ガラスまたは低膨張セラミックであることが好ましい。これらの材料は比較的熱膨張係数が低く、上記ガラス組成を有する結晶化ガラス封止部と熱膨張係数が整合しやすい。結果として、被接合部材や封止部のクラックが発生しにくい。
既述の通り、石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等の低膨張材料は高温処理治具、ヒーター、エンジン等の構造部材として広く使用されているが、その他にも、高い寸法精度が要求される計測機器、分析機器等の構成部材としての使用も可能である。本発明の結晶性ガラス封止材はこれらの構造部材同士を接合するために好適である。
以下において、上記接合体の例を挙げる。
図1は、接合体の第1の実施形態を示す斜視図である。本実施形態の接合体1は、ハニカム構造を有する接合体である。接合体1においては、被接合部材として複数の板状部材3を用いている。接合体1は、複数の板状部材3と、複数の板状部材3同士を接合している、本発明の結晶性ガラス封止材からなる結晶性ガラス封止部とを備える。複数の板状部材3は、それぞれ対向し合う第1,第2の主面3a,3bを有する。複数の板状部材3は、6枚の板状部材3の第1の主面3aまたは第2の主面3bにより囲まれた六角柱状の空隙Aを形成するように配置されている。なお、板状部材3は、第1,第2の主面3a,3bのうち少なくとも一方が空隙Aを囲むように配置されていればよい。
図2は、板状部材の接合の形態の一例を示す拡大断面図である。図2に示すように、各板状部材3は、それぞれ端縁部3cを有する。各板状部材3の端縁部3c同士の間に、結晶性ガラス封止部2が配置されている。これにより、板状部材3同士が接合されている。
端縁部3cは、互いに120°の角度をなすように形成された第1の端面3c1と第2の端面3c2とを有する。より具体的には、端縁部3cは、第1の主面3aに接続されている第1の端面3c1と、第2の主面3bに接続されている第2の端面3c2とを有する。第1の端面3c1と第2の端面3c2とは、120°の角度をなすように接続されている。それによって、全ての板状部材3を同じ形状とし、図1に示した接合体1を構成することができる。従って、生産性を高めることができる。なお、端縁部3cの形状は上記に限定されない。
各板状部材3は、図3に示すように接合されていてもよい。図3に示すように、各板状部材3の端縁部3c同士は直接接触している。端縁部3c同士が接触している一方の板状部材3の第1の主面3aまたは第2の主面3bと、他方の板状部材3の第1の主面3aまたは第2の主面3bとの間に結晶性ガラス封止部2が配置されている。これにより、板状部材3同士が接合されている。この場合には、端縁部3c同士を直接接触させて、一方の板状部材3に対して他方の板状部材3を位置決めした状態で、板状部材3同士を接合することができる。よって、板状部材3同士を接合する際の位置決め精度を高めることができる。このように複数の板状部材3同士を接合することにより、図1に示した接合体1の寸法精度を高めることができる。
従来、特にガラスからなる大きいサイズの中空構造物を一体物として製造する際には、大型の設備が必要であり、大量の廃棄物も出ていた。また、製造工程において構造物に生じる歪を抑制するために、例えば、徐冷などの工程に長時間を要していた。また、構造物に結晶化ガラス等が用いられている場合は、その結晶化にも長時間を要していた。
これに対して、本実施形態の接合体1では、複数の板状部材3を接合することにより、サイズの大きな接合体1にすることができる。
板状部材3のサイズは接合体1のサイズより小さいので、板状部材3は容易に製造することができる。例えば、板状部材3を製造するために大型の設備を要さず、歪を抑制するための時間も短時間とすることができる。板状部材3に結晶化ガラス等を用いる場合であっても、サイズが小さいため、結晶化のための時間も短時間とすることができる。この板状部材3を複数接合することにより接合体1を製造することができるため、大きいサイズの接合体1も容易に製造することができ、かつ廃棄物の量を少なくすることができる。加えて、接合体1は複数の空隙Aを有するため、効果的に軽量化することができる。
また、板状部材3を、石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等の低膨張材料から形成することにより、低膨張の接合体1とすることができる。
なお、接合体1の空隙Aの形状は、六角柱には限定されず、例えば、六角柱以外の多角柱であってもよい。複数の板状部材3は、複数の板状部材3の第1の主面3aまたは第2の主面3bにより囲まれた多角柱状の空隙Aを複数形成するように配置されていればよい。
図4は、本発明の接合体の第2の実施形態を示す正面図である。図4に示す第2の実施形態の接合体11は、第1の実施形態の接合体1と、接合体1上に設けられている板状部材14と、接合体1と板状部材14とを接合している結晶性ガラス封止部とを備える。なお、図4において、結晶性ガラス封止部は図示されていない。本実施形態の接合体11は、特に限定されないが、例えば、定盤などに用いることができる。
板状部材14は、例えば、接合体1とは反対側の面に反射層を有していてもよい。この場合には、接合体11をミラーとして用いることができる。板状部材14は、複数の板状部材が結晶性ガラス封止部により接合された板状部材であってもよい。この場合には、大型のミラーの生産性を高めることができる。
図5は、本発明の接合体の第3の実施形態を示す斜視図である。図5に示すように、本実施形態の接合体21における被接合部材は、側壁部23dを有する筒状部材23である。筒状部材23は、側壁部23dにより囲まれた空隙Bを有している。本実施形態の筒状部材23は、円筒状の形状を有しているが、これに限定されるものではなく、角筒状などその他の形状であってもよい。
筒状部材23同士は、例えば、図6に示すように接合されている。図6に示すように、各筒状部材23の側壁部23d同士は直接接触している。直接接触している各筒状部材23の側壁部23dで囲まれた部分の間に、結晶性ガラス封止部2を配置することにより、筒状部材23同士が接合されている。本実施形態においては、各筒状部材23の側壁部23d同士が直接接触しているので、接合体21の寸法精度を高めることができる。なお、各筒状部材23同士が直接接触しておらず、各筒状部材23の側壁部23d同士の間に結晶性ガラス封止部2が配置されていてもよい。
本実施形態の接合体21は、空隙Bを有する筒状部材23を接合して形成しているので、バルクの材料から形成する場合に比べて、軽量化することができる。また、第1の実施形態と同様に、本実施形態の接合体21も容易にかつ効率良く製造することができる。
また、筒状部材23を、石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等の低膨張材料から形成することにより、低膨張の接合体21とすることができる。
図7は、本発明の接合体の第4の実施形態を示す斜視図である。図7に示すように、本実施形態の接合体31は、内部に空隙Cを有する略立方体の形状を有している。6枚の板状部材33は、それぞれが立方体の6面のうちの一面を構成し、かつ6枚の板状部材33に囲まれた空隙Cを形成するように配置されている。6枚の板状部材33の端縁部33c同士が結晶性ガラス封止部により接合されている。各端縁部33cは、端縁部33cと接続される外側主面33a及び内側主面33bに対し、45°の角度をなすように形成されていることが好ましい。それによって、全ての板状部材33を同じ形状にして、図7に示した接合体31を構成することができる。従って、生産性を高めることができる。
接合体における被接合部材は、全て同じ材料からなることが好ましい。この場合には、接合体の各部分の熱膨張係数の差を小さくすることができるため、接合体に歪等が生じ難い。なお、各被接合部材は、異なる材料からなっていてもよい。例えば、複数の被接合部材のうち一部が透光性を有する材料からなり、他の被接合部材が透光性を有しない材料からなっていてもよい。この場合には、例えば、図7に示した接合体31の内部を一方向からしか見ることができない等の機能をもたせることができる。このように、本発明における接合体には様々な機能をもたせることができる。
本実施形態の接合体31は、空隙Cを有しているので、バルクの材料から形成する場合に比べて、軽量化することができる。また、第1の実施形態と同様に、本実施形態の接合体31も容易にかつ効率良く製造することができる。
また、板状部材33を、石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等の低膨張材料から形成することにより、低膨張の接合体31とすることができる。
図8は、本発明の接合体の第5の実施形態を示す平面図である。図8に示すように、本実施形態の接合体41では、複数の板状部材43が、2次元的に並べられて配置され、複数の板状部材43の端縁部43c同士が結晶性ガラス封止部2により接合されている。なお、図8においては、結晶性ガラス封止部2を斜線のハッチングで示している。
本実施形態の接合体41も、第1の実施形態と同様に、容易にかつ効率良く製造することができる。また、板状部材43を、石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等の低膨張材料から形成することにより、低膨張の接合体41とすることができる。低膨張材料を用いることにより、寸法基準器などのスケールとして用いることができる。
また、板状部材43の一部を、異なる材料から形成してもよい。例えば、石英ガラスからなる板状部材43の周りに、石英ガラスより低膨張な結晶化ガラスからなる板状部材43を配置してもよい。
図9は、本発明の接合体の第6の実施形態を示す平面図である。図9に示すように、本実施形態の接合体51における被接合部材は、第1,第2の板状部材53A,53Bである。接合体51は、それぞれ端縁部53Acを有する3枚の第1の板状部材53Aと、それぞれ端縁部53Bcを有する3枚の第2の板状部材53Bと、第1,第2の板状部材53A,53B同士を接合している結晶性ガラス封止部2とを備える。3枚の第1の板状部材53Aは、三角形状の外枠を形成するように配置されている。3枚の第2の板状部材53Bは、上記外枠の内側に配置されている。3枚の板状部材53Bは、2枚の第1の板状部材53A及び1枚の第2の板状部材53Bにより囲まれた三角形状の空隙Dを3つ形成し、かつ3枚の第2の板状部材53Bにより囲まれた三角形状の空隙Dを1つ形成するように配置されている。
各第1の板状部材53Aの端縁部53Ac同士は直接接触している。端縁部53Ac同士が接触している一方の第1の板状部材53Aと、他方の第1の板状部材53Aとの間に結晶性ガラス封止部2が配置されている。各第2の板状部材53Bの端縁部53Bcは、第1の板状部材53Aの中央付近に直接接触している。端縁部53Bcが第1の板状部材53Aに接触している第2の板状部材53Bと、上記第1の板状部材53Aとの間に結晶性ガラス封止部2が配置されている。同じ第1の板状部材53Aに各端縁部53Bcが接触している第2の板状部材53B同士の間にも、結晶性ガラス封止部2が配置されている。これにより、各第1,第2の板状部材53A,53Bが接合されている。なお、各第1の板状部材53Aの端縁部53Ac同士の間に結晶性ガラス封止部2が配置されていてもよく、第2の板状部材53Bの端縁部53Bcと第1の板状部材53Aとの間に結晶性ガラス封止部2が配置されていてもよい。
第1の板状部材53Aの端縁部53Acは、30°の角度をなすように形成されていることが好ましい。それによって、全ての第1の板状部材53Aを同じ形状とすることができる。第2の板状部材53Bの端縁部53Bcは、120°の角度をなすように形成されていることが好ましい。それによって、全ての第2の板状部材53Bを同じ形状とすることができる。これにより、生産性を高めることができる。
本実施形態の接合体51も、第1の実施形態と同様に、容易にかつ効率良く製造することができる。また、第1の板状部材53Aおよび第2の板状部材53Bを、石英ガラス、結晶化ガラス、低膨張セラミック等の低膨張材料から形成することにより、低膨張の接合体51とすることができる。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1〜3は実施例(No.1〜14)、表4は比較例(No.15〜19)を示す。
Figure 0006881312
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(1)結晶性ガラス封止材の作製
表1〜4に記載のガラス組成となるように原料粉末を調合し、均一に混合することにより原料バッチを作製した。原料バッチを白金坩堝に入れて、1400〜1600℃で均質になるまで溶融した。得られた溶融ガラスを一対の成形ロールに流し込み、急冷しながら成形することによりフィルム状ガラスを得た。フィルム状ガラスを、ボールミルを用いて12〜14時間乾式粉砕を行った後、目開き100μmの金属製篩で分級を行うことにより、平均粒子径D50が8μmのガラス粉末からなる結晶性ガラス封止材を得た。
得られた結晶性ガラス封止材について、マクロ型DTA(示差熱分析)装置を用いて、大気雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で、軟化点及び結晶化温度を測定した。得られたチャートにおける第4変曲点の温度を軟化点、結晶析出による発熱ピーク温度を結晶化温度とした。なお、No.17の試料は結晶析出量が少なく、結晶化ピークが検出されなかった。また、No.19の試料は流動性に乏しく、軟化点が検出できなかった。
(2)析出結晶の評価
結晶性ガラス封止材を、ステンレス製金型(内寸:10mm×10mm×50mm)を用いて圧力0.4MPaでプレスすることにより圧粉体を作製した。箱型電気炉にて各表に記載の焼成条件にて、圧粉体を焼成して緻密な焼結体を得た。得られた焼結体を、アルミナ乳鉢により平均粒子径D50が約20μmとなるよう粉砕し、得られた粉末試料を用いて、粉末X線回折法により析出結晶及び主結晶含有量を確認した。
(3)熱膨張係数の評価
上記で得られた焼結体を所定形状に加工し、TMA(熱機械分析装置 リガク製Thermo Plus TMA8310)を用いて30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数を測定した。また、熱膨張曲線からガラス転移点Tg及び屈伏点Tfを求め、30℃〜固着点(=Tf−(Tf−Tg)/3)の範囲での熱膨張係数を測定した。なお、焼結体中の残留ガラスの影響により、熱膨張曲線は昇温過程で急激な勾配をもつ直線に変化する。この屈曲点をガラス転移点Tgとした。さらに昇温を行うと、焼結体は軟化によって見かけ上、伸びが停止して収縮が検出される。この変曲点を屈伏点Tfとした。
(4)接着性の評価
結晶性ガラス封止材を、ステンレス製金型(内径φ10mm)を用いて圧力0.4MPaでプレスすることにより圧粉体を作製した。得られた圧粉体を石英ガラス基板(厚さ5mm)の上に載置し、箱型電気炉にて各表に記載の条件で焼成した。焼成後、封止材と石英ガラス基板の接着性と、石英ガラスにおけるクラックの有無を確認した。接着性については、封止材と石英ガラス基板が接着しているものを「○」、接着していないものを「×」として評価した。
(5)耐候性の評価
結晶性ガラス粉末を、ステンレス製金型(内径φ10mm)を用いて圧力0.4MPaでプレスすることにより圧粉体を作製した。得られた圧粉体をアルミナ基板の上に離型材(窒化ホウ素粉末)を介して載置し、箱型電気炉にて各表に記載の条件で焼成した。得られた焼結体を90℃の純水中に24時間浸漬させた。
試験前後の焼結体の質量減割合を評価した。
(6)接合体の作製
No.11の結晶性ガラス封止材に、アクリル系樹脂と、溶媒としてターピネオールを適宜添加してペーストを作製した。結晶化ガラス板(日本電気硝子製ZERφ、熱膨張係数:0×10−7/K(30〜380℃))にペーストを膜厚100μmとなるように塗布し、その上に同じ結晶化ガラス板を張り合わせて焼成を行うことにより接合体を得た。所定形状に加工し、封止部の30〜380℃の温度範囲における熱膨張係数を熱膨張測定器(NETZSC製)を用いて測定したところ、0×10−7/Kであった。
表1〜3に示す通り、実施例であるNo.1〜14の封止材は接着性に優れており、石英ガラス基板にクラックの発生が見られなかった。特に、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、La、ZrOまたはBiを含有する実施例2、6〜14の封止材は、比較的耐候性に優れていた。なお、実施例11〜14の比較から明らかなように、昇温速度を高めることにより30℃〜固着点における熱膨張係数を低減でき、熱処理後に徐冷することにより30〜380℃における熱膨張係数を低減できることがわかる。また、熱処理時間を長くすることにより主結晶含有量が増加するため、30〜380℃における熱膨張係数は低減することがわかる。
一方、表4に示す通り、比較例であるNo.15〜19の封止材は30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数が大きくなり、これらのうちNo.15、17、18については石英ガラス基板への封止後にクラックが発生した。No.16、19の封止材は流動性が不十分なため、石英ガラス基板に接着しなかった。なお、No.17〜19ではβ−石英固溶体からβ−スポジュメン固溶体への結晶転移が生じており、熱膨張係数増大の原因になったと考えられる。
1…接合体
2…結晶性ガラス封止部
3…板状部材
3a,3b…第1,第2の主面
3c…端縁部
3c1,3c2…第1,第2の端面
11…接合体
14…板状部材
21…接合体
23…筒状部材
23d…側壁部
31…接合体
33…板状部材
33a…外側主面
33b…内側主面
33c…端縁部
41…接合体
43…板状部材
43c…端縁部
51…接合体
53A,53B…第1,第2の板状部材
53Ac,53Bc…端縁部

Claims (9)

  1. 組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%、La+ZrO+Bi 0〜10%を含有し、B/LiOが0.5〜1であり、結晶化後における30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数が25×10 −7 /℃以下であることを特徴とする結晶性ガラス封止材。
    ただし、固着点=Tf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点)
  2. 800℃以下での熱処理によりβ−石英固溶体が主結晶として析出することを特徴とする請求項1に記載の結晶性ガラス封止材。
  3. 結晶化後の熱膨張係数が、30〜380℃の範囲で−25×10−7〜25×10−7/℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の結晶性ガラス封止材。
  4. 第1の被接合部材と第2の被接合部材との間に請求項1〜のいずれか一項に記載の結晶性ガラス封止材を配置し、熱処理することにより、第1の被接合部材と第2の被接合部材を接合することを特徴とする接合体の製造方法。
  5. 熱処理の際の昇温速度を25℃/分以上とすることを特徴とする請求項に記載の接合体の製造方法。
  6. 熱処理後に徐冷することを特徴とする請求項またはに記載の接合体の製造方法。
  7. 第1の被接合部材と第2の被接合部材と、第1の被接合部材と第2の被接合部材の間に介在する結晶化ガラス封止部とを備えた接合体であって、
    結晶化ガラス封止部が、組成として、モル%で、SiO 48〜75%、Al 5〜25%、LiO 5〜30%、B 10〜23%(ただし10%を含まない)、ZnO 0〜2.5%(ただし2.5%を含まない)、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%、La+ZrO+Bi 0〜10%を含有し、B/LiOが0.5〜1であり、結晶化後における30℃〜固着点の範囲での熱膨張係数が25×10 −7 /℃以下であることを特徴とする接合体。
    ただし、固着点=Tf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点)
  8. 結晶化ガラス封止部において、β−石英固溶体が主結晶として析出していることを特徴とする請求項に記載の接合体。
  9. 第1の被接合部材および/または第2の被接合部材が、石英ガラス、結晶化ガラスまたは低膨張セラミックであることを特徴とする請求項またはに記載の接合体。
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