JP6880692B2 - 改良された腸内細菌のスクリーニング方法 - Google Patents

改良された腸内細菌のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、核酸増幅による糞便試料中の食中毒原因菌のスクリーニング方法に関する。
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化レベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術である。代表的な核酸増幅法は、PCR(Polymerase Chain Reaction)である。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。
PCR技術を用いた検査は遺伝子診断、臨床診断といった法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等において、広く利用されている。PCR増幅産物の検出には、電気泳動をすることなく、簡便に微量核酸の検出が可能なリアルタイムPCR法が広く利用されている。
食中毒を予防する上で、食中毒原因菌の保菌者を早期に発見することは重要である。そのため、食品調理従事者に対しては、食中毒原因菌であるサルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の検査が行われている。従来、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の検査は、塗沫培養法により行われてきた。具体的には、検体を所定条件下において培養してある程度まで増殖させた後、検出したい細菌類のみが増殖し得るような選択培地中で培養を行い、増殖によってできたコロニーを観察することによって検出するという方法である。
しかしながら、このような従来の方法では、(1)培養工程を経るため、結果が得られるまでに時間がかかる点、(2)検出感度が低い点、及び(3)コロニーの観察結果に基づいて客観的な判定を下すのは難しいため、検出結果の客観性を担保するのが難しい点等の問題点があった。
そこで、塗沫培養法の問題点を解決するためにPCR法を用いた検出方法が開発されてきた(非特許文献1)。PCR法では、(1)培養工程を経ないため迅速に検出できる、(2)検出感度が高い、(3)検出対象の細菌類の有無を、目的のDNAが増幅したか否かで判定するので、客観性をもって細菌類を検出できる等の利点がある。
食中毒原因菌の検便検査は、初めにPCR法にてスクリーニングを行い、陰性検体を除いた後、塗沫培養法により陽性検体の確定検査がされるのが一般的である(非特許文献2)。また、健常人の検便検査では、食中毒原因菌の保菌率は非常に低く、検体の大部分が陰性となる。迅速な判定のため、PCR法によるスクリーニングには、一般的に10検体から50検体程度を1プールとしたプール糞便が用いられる(特許文献1)。プール糞便からPCR法によりスクリーニングを実施後、陽性プールに含まれる各検体を個別に塗抹培養することによって陽性検体を確定する。
PCR法によるスクリーニングは、糞便試料中からのDNAの抽出作業を省略し、検体懸濁液の熱処理したサンプルをPCRに供することによって、食中毒原因菌の有無を検出する手法がとられている。この際、DNAの抽出を省略することで、糞便試料中には含まれる、多糖類などのPCR反応阻害物質が持ち込まれる。そこで、これらの影響を低減するような種々の工夫がなされている。
サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、赤痢菌を対象にしたPCR法による検便検査のための試薬は、島津製作所製「腸管系病原菌遺伝子検出試薬キット」、タカラバイオ製「TaKaRa腸管系病原細菌遺伝子検出キット」、東洋紡製「腸内細菌遺伝子検出キット―高速蛍光検出―」などが市販されている。
これらの市販キットは、PCR反応後に融解曲線解析を実施し、融解曲線解析結果のTm値の違いにより陽性菌種を判定する。融解曲線解析では、ある菌種に対応するピークが検出され陽性判定となった場合、検出されなかった菌種が陰性判定であると確定することが不可能である(非特許文献3)。複数の菌種が含まれるプール糞便(共感染プール)において、増幅の優劣により検出できない場合があるためである。そのため、陽性プールに含まれる個々の検体に対して、各菌種検出用培地に塗抹する必要があった。
また、これらの市販キットは50検体を1プールとしてスクリーニングが行われる。PCRによるスクリーニング後、陽性となったプールに含まれる各検体を個別に塗抹培養することで陽性検体が確定される。市販キットのPCRキットを用いたスクリーニングによる陽性率はおおよそ10%程度であり、90%程度の陰性検体を確定することが可能である。しかしながら、50検体をプールしているため、陽性プールのみを選抜しても、その中の98%は陰性検体である。そのため、スクリーニング効率を改善し、陰性検体の早期確定と、陽性検体の更なる絞り込みが求められている。
特開2016−042802号公報
TaKaRa BIO VIEW 第55号、第48頁(2008年発行) 感染症誌 第86巻:第741−748頁(2012年発行) 腸内細菌遺伝子検出キットー高速蛍光検出ー 取扱説明書(2015年12月発行)
本発明の目的は、検便検査のスクリーニング効率を改善し、陰性検体の早期確定と、陽性検体を更に絞り込むことを目的とする。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究を行った結果、プール糞便からマルチプレックスPCR法を用いて一次スクリーニングを行った後、陽性プールのみを対象に二次スクリーニングを実施することで、陽性検体の絞り込みが容易に可能であることを見出した。また、一次スクリーニングに、蛍光プローブを用いて各菌種を分離検出できる方法を採用することで、より効率よくスクリーニングが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
項1.糞便試料中におけるサルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種のうちいずれかの菌種の有無を検査する方法であって、次の(1)から(5)までの工程を含むことを特徴とする検査方法。
(1)X個(Xは10以上の整数を示す。)の便検体懸濁液をプールし、プール糞便を作製する工程
(2)工程(1)にて作製したプール糞便を用いて、前記3菌種をターゲットとするマルチプレックスPCRにて1次スクリーニングを行う工程
(3)工程(2)によって、前記3菌種のいずれかの菌種が陽性となったプール糞便を選抜する工程
(4)工程(3)により選抜されたプール糞便に使用した個々の糞便を用いて、さらにY個(YはXよりも小さい整数を示す。)の便検体懸濁液からなるプール糞便を作成する工程
(5)工程(4)により作製したプール糞便を用いて、前記3菌種のうちいずれか1菌種をターゲットとするPCRにより2次スクリーニングを行う工程
項2.工程(2)のマルチプレックスPCRにおいて、蛍光プローブの蛍光波長の違いを利用することにより、陽性の菌種を特定する項1に記載の検査方法。
項3.1次スクリーニング方法が前記3菌種のうちの2種以上の菌種が存在するプール糞便から各菌種を分離検出する項1または2に記載の検査方法。
項4.前記Xが20以上の整数である項1から3のいずれかに記載の検査方法。
項5.前記Yが30以下の整数である項1から4のいずれかに記載の検査方法。
項6.工程(2)のマルチプレックスPCRに用いる試薬に内部標準遺伝子を含むことを特徴とする項1から5のいずれかに記載の検査方法。
項7.工程(5)のPCRに用いる試薬に内部標準遺伝子を含むことを特徴とする項1から6のいずれかに記載の検査方法。
本発明のスクリーニング方法によって、より多くの陰性検体を早期に確定することができる。また、塗抹培養の枚数を削減することが可能であることから、検査の効率化が可能である。
実施例1における、増幅曲線の図である。 実施例2における、増幅曲線の図である。 実施例3における、増幅曲線の図である。 実施例4における、増幅曲線の図である。
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明についてさらに詳説する。
本発明の検査方法は、以下のような工程(1)から(5)までを含むことを特徴とする。その結果、糞便試料中におけるサルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種のうちいずれかの菌種の有無を効率的に検査することが可能となる。
(1)X個(Xは10以上の整数を示す。)の便検体懸濁液をプールし、プール糞便を作製する工程
(2)工程(1)にて作製したプール糞便を用いて、前記3菌種をターゲットとするマルチプレックスPCRにて1次スクリーニングを行う工程
(3)工程(2)によって、前記3菌種のいずれかの菌種が陽性となったプール糞便を選抜する工程
(4)工程(3)により選抜されたプール糞便に使用した個々の糞便を用いて、さらにY個(YはXよりも小さい整数を示す。)の便検体懸濁液からなるプール糞便を作成する工程
(5)工程(4)により作製したプール糞便を用いて、前記3菌種のうちいずれか1菌種をターゲットとするPCRにより2次スクリーニングを行う工程
PCR反応液に供する検体として、検便検査等の糞便試料から、75℃から100℃、より好ましくは85℃から95℃で30秒から20分、さらに好ましくは3分から10分の熱処理を行い食中毒原因菌を不活化させた検体が挙げられるが、特に限定はされない。
さらに、多検体の検査が必要な場合は、複数の検体をプールしたプール糞便が用いられる。PCRに用いる検便検体の添加割合は、適切にPCRが行うことができればよく、特に限定されないが、例えば、1〜20v/v%の範囲内で適宜調整することができる。本発明において、プール糞便とは、1〜20v/v%で水に懸濁されたA種(Aは2以上の整数を示す。)の便懸濁液からなるものである。
ここでA種の便とは、A種の個体が排泄したそれぞれの便であってもよいし、同一個体が排泄したA種の便であってもよい。Aについては、特に限定されないが、Aが10以上、好ましくはAが20以上、より好ましくは30以上である。
本発明における工程(2)および(5)のPCRは同一の温度サイクル条件で実施することが好ましい。好ましいPCR反応時間は、1時間以内、好ましくは50分以内、さらに好ましくは40分以内である。
本発明に用いられるPCR反応液には、緩衝剤、適当な塩、マグネシウム塩又はマンガン塩、デオキシヌクレオチド三リン酸、検出対象の食中毒細菌の検出対象領域および内部標準遺伝子に対応するプライマーセット及び蛍光プローブ、さらに必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
本発明の検査方法で使用されるPCR試薬では偽陰性発生を防止させるために、工程(2)および(5)のPCRにおいて、インターナルコントロール(内部標準)を含むことがより好ましい。陰性の場合、インターナルコントロール(内部標準)の増幅のみが認められ、PCRが成功したことを確認することができる。一方、PCRの阻害や試薬の添加忘れが発生した場合は、インターナルコントロール(内部標準)の増幅が認められないため、PCRが失敗したことが確認できる。
インターナルコントロール(内部標準)としては、検査対象に含まれないターゲットとそのターゲットを増幅するためのプライマーセットを用いればよい。また、インターナルコントロール用にプライマーを別に添加せず、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌増幅用プライマーを用いて増幅した場合に3菌種とは異なる増幅領域を持つテンプレートのみを添加し、インターナルコントロール(内部標準)としてもよい。
本発明に用いられるプライマーは、特に限定されないが、15塩基から30塩基、好ましくは18塩基から25塩基のプライマーを用いるのが好ましい。必要であれば、配列表記載の塩基配列の相補鎖を用いてもよい。また、ターゲットとする核酸が亜型からなる場合、縮重プライマーを含んでもよい。
本発明に用いられる蛍光プローブは、特に限定されない。本発明には15塩基から30塩基、好ましくは18塩基から25塩基の蛍光プローブを用いるのが好ましい。また、ターゲットとする核酸が亜型からなる場合、縮重プローブを含んでもよい。
蛍光プローブとして用いられる蛍光色素としては、特に限定されないが、例えば、TaqMan(登録商標)加水分解プローブ(米国特許第5,210,015号公報、米国特許第5,538,848号公報、米国特許第5,487,972号公報、米国特許第5,804,375号公報)が挙げられる。
本発明における一次スクリーニングとは、X個の糞便検体のプール糞便から、PCRを用いてスクリーニングする工程を指す。ここでXについては、10以上であれば特に限定されないが、好ましくは30以上、より好ましくは40以上である。Xの上限値としては、特に限定されるものではないが、100程度が好ましい。
一次スクリーニングに使用されるPCR試薬は特に限定されないが、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌の3菌種をマルチプレックスにて同時検出可能な試薬であることが好ましい。好ましい様態として、内部標準遺伝子検出用蛍光プローブの蛍光波長と、食中毒原因菌検出用蛍光プローブの蛍光波長が重ならず、別なチャンネルで検出できることである。さらに好ましくは、内部標準遺伝子検出用蛍光プローブの蛍光波長と、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、赤痢菌の各検出用蛍光プローブの蛍光波長が重ならないよう蛍光色素を選択する。
一次スクリーニングにおけるマルチプレックスPCRは、蛍光プローブの蛍光波長の違いを利用することにより、陽性の菌種を特定する方法であることが好ましい。また、1次スクリーニング方法が前記3菌種のうちの2種以上の菌種が存在するプール糞便から各菌種を分離検出する方法。であってもよい。
本発明における二次スクリーニングとは、Y個の糞便検体のプール糞便から、PCRを用いてスクリーニングする工程を指す。ここで選択されるY個の糞便検体は、一次スクリーニングにて陽性となったプールに含まれる糞便検体から選択される。YはXより小さな整数であり、特に限定されないが、Yが30以下であることが好ましい。より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。さらには、Yが1であってもよく、個別スクリーニングに適用することも可能である。一次スクリーニングにて陽性となったプールに含まれる糞便検体から陽性検体を更に絞り込むことを目的に実施される。
二次スクリーニングに使用されるPCR試薬は特に限定されない。好ましくは、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌から選択されるいずれか1種類の菌種を検出できる試薬構成を有していれば、特に限定されない。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1.共感染プールモデルの分離検出例
(1) 市販されている融解曲線解析タイプの食中毒原因菌の検出キットである腸内細菌遺伝子検出キット-高速蛍光検出-(TOYOBO)を用いて、共感染プールモデルの検出を実施した。推奨プロトコールに従い、各食中毒原因菌DNAの検出を実施した。共感染プールのモデルとして、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、赤痢菌から選ばれる2種類の菌種のDNAをそれぞれ10000コピーおよび10コピー添加し、両食中毒原因菌DNAの検出を行った。
(2) 結果
増幅曲線を図1に示す。どの食中毒原因菌DNA組み合わせの共感染プールモデルにおいても、10コピーの遺伝子を検出することが不可能であった。
実施例2. 蛍光プローブ法を使用した共感染プールモデルの分離検出例
(1) 市販されている蛍光プローブによる食中毒原因菌の検出キットである腸内細菌遺伝子検出キット-プローブ検出-(TOYOBO)を用いて、共感染プールモデルの検出を実施した。推奨プロトコールに従い、各食中毒原因菌DNAの検出を実施した。共感染プールのモデルとして、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、赤痢菌から選ばれる2種類の菌種をそれぞれ10000コピーおよび10コピー添加し、両食中毒原因菌DNAの検出を行った。
(2) 結果
増幅曲線を図2に示す。どの食中毒原因菌DNA組み合わせの共感染プールモデルにおいても、10000コピーと10コピーの両遺伝子を分離して同時検出することができた。融解曲線解析タイプの検出キットと比較して、蛍光プローブ法を用いた検出キットでは、共感染検体の分離検出能が高いことが示された。
実施例3.プール糞便熱処理検体を用いた一次スクリーニング
(1)プール糞便熱処理検体の作製
ヒト糞便検体9,000検体を用いて、プール糞便熱処理検体を作製した。10%(重量%)となるように懸濁した検体を、等量ずつ50検体混合し、95℃で10分間熱処理し、12,000rpmで5分間遠心し、プール糞便熱処理検体を180プール作製した。
(2)反応
腸内細菌遺伝子検出キット―プローブ検出―を用い、推奨プロトコールに従って、サルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、赤痢菌をターゲットとするマルチプレックスPCR法にて1次スクリーニングを実施した。
(3)結果
増幅結果を図3に示す。180プールのうち、15プールが陽性と判定され、陽性率は8.3%であった。15プールのうち、6検体はサルモネラ菌陽性、9プールは腸管出血性大腸菌陽性と判定された。9,000検体のうち、一次スクリーニングにより91.7%の陰性検体が確定された。
実施例4.プール糞便熱処理検体を用いた二次スクリーニング
(1)プール糞便熱処理検体の作製
実施例1にてサルモネラ菌陽性と判定された6プールに含まれている300検体から、10検体ずつ再プールし、30個のサルモネラ菌陽性疑いプールを作製した。また、同様に腸管出血性大腸菌陽性と判定された9プールに含まれている450検体から、10検体ずつ再プールし、45個の腸管出血性大腸菌陽性疑いプールを作製した。
(2−1)反応液の調製
以下に示す組成のPCR反応液を作成し、サルモネラ菌および腸管出血性大腸菌の検出を行った。サルモネラ菌陽性疑いプールにはサルモネラ菌検出用プライマー・プローブ液を、腸管出血性大腸菌陽性疑いプールには腸管出血性大腸菌検出用プライマー・プローブ液をそれぞれ使用した。
1xBuffer (Blend Taq(登録商標)添付バッファー(東洋紡))
3mg/ml BSA
各0.2mM dATP,dGTP,dCTP,dTTP
1%ゼラチン
0.1unit/μl rTth DNA polymerase(東洋紡)
0.02μg/μl 抗Tth抗体
サルモネラ菌検出用プライマー・プローブ液 (表1)
腸管出血性大腸菌検出用プローブ・プローブ液 (表2)
Figure 0006880692
Figure 0006880692
(3)結果
増幅結果を図4に示す。75個の陽性疑いプールのうち、18プールが陽性判定となり、陽性率は36%であった。8プールがサルモネラ陽性、10プールが腸管出血性大腸菌陽性判定となった。
実施例3および実施例4の結果から、9,000検体の内、陽性疑い検体を一次スクリーニングと二次スクリーニング合わせて180検体まで絞り込むことができ、98%の検体が陰性となった。
本発明は、遺伝子診断、臨床診断といった法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等において、特に多数のサンプルを迅速に検査することが求められている分野において非常に有用である。

Claims (6)

  1. 糞便試料中におけるサルモネラ菌、腸管出血性大腸菌(EHEC)および赤痢菌の3菌種のうちいずれかの菌種の有無を検査する方法であって、次の(1)から(5)までの工程を含むことを特徴とする検査方法。
    (1)X個(Xは10以上の整数を示す。)の便検体懸濁液をプールし、プール糞便を作製する工程
    (2)工程(1)にて作製したプール糞便を用いて、前記3菌種をターゲットとするマルチプレックスPCRにて1次スクリーニングを行う工程であって、前記3菌種のうちの2種以上の菌種が存在する疑いがある前記プール糞便から、蛍光プローブの蛍光波長の違いを利用することにより陽性の各菌種を分離検出する、工程
    (3)工程(2)によって、前記3菌種のいずれかの菌種が陽性となったプール糞便を選抜する工程
    (4)工程(3)により選抜されたプール糞便に使用した個々の糞便を用いて、さらにY個(YはXよりも小さい整数を示す。)の便検体懸濁液からなるプール糞便を作成する工程
    (5)工程(4)により作製したプール糞便を用いて、前記3菌種のうちいずれか1菌種をターゲットとするPCRにより2次スクリーニングを行う工程
  2. 前記Xが20以上の整数である請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記Yが30以下の整数である請求項1又は2に記載の検査方法。
  4. 工程(2)のマルチプレックスPCRに用いる試薬に内部標準遺伝子を含むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の検査方法。
  5. 工程(5)のPCRに用いる試薬に内部標準遺伝子を含むことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の検査方法。
  6. 工程(1)のプール糞便が、糞便試料を1〜20v/v%濃度で含む便検体懸濁液を、75℃から100℃で30秒から20分の熱処理を行って不活化した後、遠心して得られる熱処理検体である、請求項1から5のいずれかに記載の検査方法。
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