JP2012050391A - 便検体から細菌類を検出する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】便検体から細菌類を検出する方法であって、細菌類由来DNAを増幅しうるプライマー対を用いたPCRを、X種(Xは2以上の整数を示す。)の便から採取された便検体からなるプール検体を含む溶液中で行う工程を含む方法。
【選択図】なし
Description
項1.
便検体から細菌類を検出する方法であって、
(1)細菌類由来DNAを増幅しうるプライマー対を用いたPCRを、X種(Xは2以上の整数を示す。)の便から採取された便検体からなるプール検体を含む溶液中で行う工程
を含む方法。
項2.
前記工程(1)においてDNAが増幅された場合に、さらに、
(2−1)前記プライマー対を用いたPCRを、前記X種の便から適宜選択したY種(YはXよりも少ない整数を示す。)の便から採取された便検体からなる第一次小分けプール検体を含む溶液中で行う工程
を含む、項1に記載の方法。
項3.
前記工程(2−1)においてDNAが増幅された場合に、さらに、
(3−1)前記プライマー対を用いたPCRを、前記Y種の便から適宜選択したZ種(ZはYよりも少ない整数を示す。)の便から採取された便検体からなる第二次小分けプール検体を含む溶液中で行う工程
を含む、項2に記載の方法。
項4.
前記工程(1)においてDNAが増幅された場合に、さらに、
(2−2)生化学性状試験、血清凝集試験、及び免疫学的試験からなる群より選択される少なくとも一種の試験を、前記X種の便から適宜選択したY種の便から採取される便検体からなる第一次小分けプール検体に対して行う工程
を含む、項1に記載の方法。
項5.
前記工程(2−1)においてDNAが増幅された場合に、さらに、
(3−2)生化学性状試験、血清凝集試験、及び免疫学的試験からなる群より選択される少なくとも一種の試験を、前記Y種の便から適宜選択したZ種の便から採取される便検体からなる第二次小分けプール検体に対して行う工程
を含む、項2に記載の方法。
項6.
前記Xが、50〜100である、項1〜5のいずれかに記載の方法。
項7.
前記Yが、5〜10である、項6に記載の方法。
項8.
前記Zが、1である、項7に記載の方法。
項9.
前記PCRが、二種以上の細菌類に由来するDNAをそれぞれ増幅しうるマルチプレックスPCRである、項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
項10.
前記細菌類が、サルモネラ、ベロ毒素産生菌、及び赤痢菌を含む、項9に記載の方法。
項11.
前記細菌類が、さらにカンピロバクター及びノロウイルスからなる群より選択される少なくとも一種の細菌類を含む、項10に記載の方法。
1.便検体
本発明において便検体とは、便から採取された便検体をいう。便検体は、特に限定されないが、例えば便の一部を掻き取ることによって得ることができる。便検体は、検便のために採取されたものを用いることができる。
2.細菌類
本発明において細菌類とは、特に限定されないが、便中に存在している可能性があり、それと身体の状態との因果関係が知られている、又は疑われている等の理由により、それを検出する何らかの要請が存在するものである。
3.PCR
本発明では、細菌類由来DNAを増幅しうるプライマー対を用いたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって、細菌類を検出する。
4.小分けプール検体を便検体として細菌類を検出する工程
上述のようにX種の便から採取された便検体からなるプール検体(出発検体)に対して検出(出発検出という。)を行い、所望のDNA断片の増幅が確認されることにより細菌類が検出された場合に、X種の便から適宜選択されたY種(YはXよりも少ない整数を示す。)の便から採取される便検体からなる第一次小分けプール検体を便検体として用い、この便検体に対してさらに同じ細菌類の検出(第一次小分け検出という。)を行う方法も、本発明に含まれる。
実施例1
本発明の方法を用いてヒトの便検体からサルモネラ、ベロ毒素産生菌、及び赤痢菌を検出した。なお、従来技術である塗沫培養法との比較も行った。
1.塗沫培養法
次のようにして行った。採便管内の便をCT-SMAC寒天培地に塗沫し、37℃、20h培養した。培養後コロニーを採取し、生化学的性状試験及び血清凝集試験を行って判定を行った。
2.本発明の方法
(1)プール検体の調製
ヒトの便検体は次のようにして調製した。採便管内の糞便少量を、滅菌水(1mL程度)の入った試験管に懸濁したものを採便管毎に調製し、100種の便検体を等量ずつ(数μL程度)1本のチューブにプールした。95℃5min熱処理後、遠心上清を検体とした。
採便管
(2)PCR
サルモネラを検出するプライマーとして細胞侵入性タンパク質invAの遺伝子を増幅しうるプライマー対を用意した。
(3)検出
(2)で得られたPCR産物は、キャピラリー電気泳動によって検出した。キャピラリー電気泳動はマイクロチップ電気泳動装置MultiNA(島津社製)を使用して行った。
3.結果
従来法である塗沫培養法(1回目)では、サルモネラしか検出できなかった。これに対して、本発明の方法では、サルモネラ由来のinvAのみならず、塗沫培養法では検出されなかったベロ毒素産生菌由来のVTも検出できた。
実施例2
本発明の方法を用いてヒトの便検体からサルモネラを検出した。陽性率が0.10%であることが分かっているプール検体を予め用い、出発検体を100種の便から採取された便検体からなるプール検体、第一次小分けプール検体を10種の便から採取された便検体からなるプール検体、さらに第二次小分けプール検体を1種の便から採取された便検体からなるプール検体として、出発検出、第一次小分け検出、及び第二次小分け検出を逐次行った。
1.方法
(1)プール検体の調製
ヒトの便検体は次のようにして調製した。採便管内の糞便少量を、滅菌水(1mL程度)の入った試験管に懸濁したものを採便管毎に調製し、100種の便検体を等量ずつ(数μL程度)1本のチューブにプールした。95℃5min熱処理後、遠心上清を検体とした。
(2)PCR
サルモネラを検出するプライマーとして細胞侵入性タンパク質invAの遺伝子を増幅しうるプライマー対を用意した。
(3)検出
(2)で得られたPCR産物は、キャピラリー電気泳動によって検出した。キャピラリー電気泳動は実施例1と同様に行った。
2.結果
検出の結果をそれぞれ図1〜3(出発検出(図1)、第一次小分け検出(図2)、及び第二次小分け検出(図3))に示す。各図中「※」はサルモネラが検出された検体を示している。
Claims (10)
- 便検体から細菌類を検出する方法であって、
(1)細菌類由来DNAを増幅しうるプライマー対を用いたPCRを、X種(Xは2以上の整数を示す。)の便から採取された便検体からなるプール検体を含む溶液中で行う工程
を含む方法。 - 前記工程(1)においてDNAが増幅された場合に、さらに、
(2−1)前記プライマー対を用いたPCRを、前記X種の便から適宜選択したY種(YはXよりも少ない整数を示す。)の便から採取された便検体からなる第一次小分けプール検体を含む溶液中で行う工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - 前記工程(2−1)においてDNAが増幅された場合に、さらに、
(3−1)前記プライマー対を用いたPCRを、前記Y種の便から適宜選択したZ種(ZはYよりも少ない整数を示す。)の便から採取された便検体からなる第二次小分けプール検体を含む溶液中で行う工程
を含む、請求項2に記載の方法。 - 前記工程(1)においてDNAが増幅された場合に、さらに、
(2−2)生化学性状試験、血清凝集試験、及び免疫学的試験からなる群より選択される少なくとも一種の試験を、前記X種の便から適宜選択したY種の便から採取される便検体からなる第一次小分けプール検体に対して行う工程
を含む、請求項1に記載の方法。 - 前記Xが、50〜100である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記Yが、5〜10である、請求項5に記載の方法。
- 前記Zが、1である、請求項6に記載の方法。
- 前記PCRが、二種以上の細菌類に由来するDNAをそれぞれ増幅しうるマルチプレックスPCRである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記細菌類が、サルモネラ、ベロ毒素産生菌、及び赤痢菌を含む、請求項8に記載の方法。
- 前記細菌類が、さらにカンピロバクター及びノロウイルスからなる群より選択される少なくとも一種の細菌類を含む、請求項9に記載の方法。
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