JP6879165B2 - 二次電池 - Google Patents

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Description

本開示は、二次電池に関する。
従来の二次電池において、ケースを介して電極体を押圧することにより、電極体に金属が析出することを抑制する技術が、たとえば特開2016−004724号公報(特許文献1)、特開2017−098107号公報(特許文献2)に開示されている。
特開2016−004724号公報 特開2017−098107号公報
正極および負極がセパレータを介して積層された電極体を有する二次電池が過充電等により高温状態になると、電極体の中央部分において高電位となりやすい。電極体の中央部分が高電位になることで、正極の金属が溶出する場合がある。
本開示では、金属溶出を抑制できる二次電池が提供される。
本開示に係る二次電池は、電極体と、ケースと、押圧体とを備える。電極体は、正極および負極がセパレータを介して積層されて構成されている。ケースは、電極体を収容する。押圧体は、電極体の積層方向におけるケースの両側に設けられる。押圧体は、ケースを介して電極体を押圧する。押圧体は、上下方向において互いに間隔を空けて並べられている複数の押圧部材を含む。上下方向における電極体の中央部分を押圧する押圧部材は、中央部分に対して上下方向の両端に設けられる電極体の端部分を押圧する押圧部材よりも大きい熱膨張係数を有する。
上記の二次電池によると、電極体の中央部分の電位を小さくすることができ、正極の金属溶出を抑制することができる。
本開示に従えば、金属溶出を抑制できる二次電池を実現することができる。
実施の形態1に従う二次電池の概略斜視図である。 実施の形態1に従う二次電池の概略側面図である。 実施の形態1に従う電極体の構成を説明するための概略斜視図である。 電極体の一例を示す概略斜視図である。 二次電池が過充電された際の、実施の形態1に従う二次電池の概略図である。 過充電時における従来の二次電池の電極体の各位置ごとの最高電位を示す図である。 過充電時における実施の形態1に従う二次電池の電極体の各位置ごとの最高電位を示す図である。 充電時間に対する二次電池の温度変化を示したグラフである。 充電過多の繰り返し数に対する電極体の抵抗値の増加率を示したグラフである。 二次電池の拘束面積と二次電池の電圧の減少量との関係を示すグラフである。 中央部分と端部分との拘束圧比を変化させた時の、電極体の各位置に対する電極体の電位の減少量を示すグラフである。 実施の形態2に従う二次電池の概略図である。 実施の形態3に従う二次電池の概略側面図である。 実施の形態4に従う二次電池の概略図である。 中空六角状の構造物に圧縮荷重が作用している状態を示す図である。 平板状の構造物に圧縮荷重が作用している状態を示す図である。 板状、中空三角状、中空四角状および中空六角状を有するそれぞれの構造物に圧縮荷重を作用させた際のたわみ量を示すグラフである。
以下、図面に基づいて、各実施の形態における二次電池について説明する。以下に示す実施の形態において、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して、重複した説明は繰り返さない。以下で説明される実施の形態の各構成は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
(実施の形態1)
<二次電池1>
図1は、実施の形態1に従う二次電池1の概略斜視図である。図2は、実施の形態1に従う二次電池1の概略側面図である。図3は、実施の形態1に従う電極体10の構成を説明するための概略斜視図である。図4は、電極体10の一例を示す概略斜視図である。図1から図4を参照して、二次電池1について説明する。
二次電池1は、ハイブリッド自動車に搭載されている。二次電池1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関とともに、ハイブリッド自動車の動力源とされている。別の例として、二次電池1は、電気自動車または燃料電池自動車に搭載されている。
二次電池1は、電極体10と、ケース11と、押圧体12とを備える。図3に示すように電極体10は、シート状の正極5および負極6がシート状のセパレータ7を介して積層されて構成されている。
図1中に図示された両矢印は、正極5および負極6の積層方向DR1と、上下方向DR2と、幅方向DR3と、を示している。積層方向DR1は、正極5および負極6がセパレータ7を介して積層されている方向であり、図1中の左右方向である。正極5および負極6が積層されている方向は、ケース11の厚み方向である。図4のように捲回された電極体10をプレスすることにより偏平形状とする場合、積層方向DR1はプレス方向であり、図1および図4中のDR1方向である。
上下方向DR2は、ケース11の高さ方向であり、積層方向DR1と直交している。上下方向DR2は、図1中の上下方向である。幅方向DR3は、積層方向DR1と、上下方向DR2とに直交する方向である。幅方向DR3は、図2中の左右方向である。
電極体10は、電解液とともにケース11の内部に収容されている。電極体10は、中央部分C1および端部分C2を有する。中央部分C1は、上下方向DR2における電極体10の中央の部分である。端部分C2は、中央部分C1に対して上方および下方の電極体10の一部分である。
ケース11は、筐体14と蓋部15とを含む。筐体14は、一方向に開口されたほぼ直方体の形状を有している。蓋部15は、平面視において略矩形の形状を有する平板形状を有している。蓋部15は、筐体14に形成された開口に配置されている。蓋部15は、筐体14の開口を塞ぐように設けられている。
筐体14は、下面11c、一対の向かい合う端面11d、および一対の向かい合う側面11aを有している。下面11cは、筐体14の底を構成している。端面11dは、下面11cから上方向に延びている。側面11aは、下面11cから上方向に延びている。側面11aの幅方向DR3における両側には、端面11dが連結されている。積層方向DR1におけるケース11の両側(両側面11a)には、押圧体12が設けられている。
押圧体12は、図示しない拘束部材により積層方向DR1におけるケース11の外側から拘束圧を負荷されている。拘束方向を図中の白抜き矢印方向で示す。押圧体12は、ケース11を介して電極体10を積層方向DR1に押圧する。押圧体12は、側面11aを押圧する。
押圧体12は、複数の押圧部材13を含む。複数の押圧部材13は、上下方向DR2において互いに間隔を空けて並べられている。複数の押圧部材13は、上下方向DR2においてほぼ等間隔で並べられている。押圧部材13は、電極体10に対向して配置されている。押圧部材13は、幅方向DR3に延びる平板状の形状を有する。押圧部材13の幅方向DR3の端部は、電極体10の端部よりも端面11dに近い位置に配置されている。上記構成とすることにより、幅方向DR3において、電極体10を全体的に押圧することができる。
積層方向DR1に見て、電極体10は、側面11aの幅方向DR3における端部と対向していない。押圧部材13のうち電極体10の端部よりも端面11dに近い部分は、電極体10を押圧しない。そのため、押圧部材13は、筐体14の両側の端面11dに到達するまで延在することなく、筐体14の両側の端面11dから離れて配置されている。
複数の押圧部材13の間には幅方向DR3に通る冷媒路dが形成される。冷媒路dは、各押圧部材13の間に形成される隙間である。冷媒路dに空気が通ることで電極体10の発熱により温度上昇したケース11が冷却される。
押圧部材13は、第1の押圧部材13aと第2の押圧部材13bとを有する。図1および図2には、第1の押圧部材13aに、右上から左下に延びる斜線によるハッチングを施して、図示している。第1の押圧部材13aは、中央部分C1に対向して配置されている。第1の押圧部材13aは、側面11aの上下方向DR2における中央に設けられている。複数の第1の押圧部材13aのうち最も上にある第1の押圧部材13aから最も下にある第1の押圧部材13aまでの上下方向DR2における長さは、側面11aの上下方向DR2における長さの約1/4である。第1の押圧部材13aは、第2の押圧部材13bよりも大きい熱膨張係数を有する。第1の押圧部材13aは、ケース11を介して中央部分C1を押圧する。
第2の押圧部材13bは、端部分C2に対向して配置されている。第2の押圧部材13bは、複数の第1の押圧部材13aの上下方向DR2における両側に設けられている。複数の第2の押圧部材13bのうち最も上にある第2の押圧部材13bは、上下方向DR2において、電極体10と蓋部15との間の位置に配置されている。複数の第2の押圧部材13bのうち最も下にある第2の押圧部材13bは、上下方向DR2において、電極体10と下面11cとの間の位置に配置されている。上記構成とすることにより、上下方向DR2において、電極体10を全体的に押圧することができる。第2の押圧部材13bは、ケース11を介して端部分C2を押圧する。
図5は、二次電池1が過充電された際の、実施の形態1に従う二次電池1の概略図である。過充電とは、満充電になっても充電し続けることである。二次電池1が過充電されると、電極体10が発熱する。側面11aのうち電極体10と対向する部分には、電極体10から発せられた熱が伝達されやすい。電極体10から発せられた熱は、側面11aを介して第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bに伝達される。これにより、第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bが熱膨張する。
第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bは、拘束部材により拘束圧を負荷されているため、積層方向DR1への移動が規制されている。第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bが、拘束部材とケース11とによって積層方向DR1への移動を規制されたまま熱膨張することにより、ケース11へ向けて変形する第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bは、二次電池1が過充電される前よりも大きな力で電極体10を押圧する。
第2の押圧部材13bよりも大きい熱膨張係数を有する第1の押圧部材13aは、第2の押圧部材13bよりも熱膨張量が大きい。これにより、第1の押圧部材13aは、第2の押圧部材13bが端部分C2を押圧する力よりも大きな力で中央部分C1を押圧する。
<電極体を押圧する力と電極体の電位との関係を確認する試験>
図6は、過充電時における従来の二次電池の電極体の各位置ごとの最高電位を示す図である。図7は、過充電時における実施の形態1に従う二次電池1の電極体10の各位置ごとの最高電位を示す図である。図6および図7の横軸は、二次電池が過充電された際、電極体の各位置において計測された最も高い電位の値を示す。実施の形態1に従う二次電池1は熱膨張係数の異なる複数の押圧部材13(第1の押圧部材13a,第2の押圧部材13b)を有している。これに対して、従来の二次電池の押圧体は、熱膨張係数が一様である複数の押圧部材を有している。
二次電池を過充電する際の、上下方向における位置が異なる電極体の5か所の電位を計測した。図6および図7における「上」は、電位計測位置のうち最も上にある位置を示す。「中央」は、電位計測位置のうち中央の位置を示す。「下」は、電位計測位置のうち最も下にある位置を示す。実施の形態1に従う二次電池1の「上」および「下」における最高電位と、従来の二次電池の「上」および「下」における最高電位とは、ほぼ同じである。一方、実施の形態1に従う二次電池1の「中央」における最高電位は、従来の二次電池の「中央」における最高電位よりも小さい。
実施の形態1に従う二次電池1において、二次電池1が過充電されると、電極体10の温度が上昇し、第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bが熱膨張する。第1の押圧部材13aは、第2の押圧部材13bよりも膨張量が大きいため、第2の押圧部材13bが電極体10の端部分C2を押圧する力よりも大きい力で電極体10の中央部分C1を押圧する。中央部分C1の拘束圧が上昇することにより、中央部分C1の電極間の抵抗が小さくなり、中央部分C1における最高電位を端部分C2における最高電位よりも小さくすることができる。
第2の押圧部材13bの膨張量は第1の押圧部材13aの膨張量よりも小さいため、隣り合う第2の押圧部材13bの間に形成される冷媒路dが狭まることを抑制することができる。これにより、電極体10の発熱により温度上昇したケース11を空気により冷却しやすくなるため、二次電池1の放熱性を確保することができる。二次電池1の放熱性を確保することで、中央部分C1の温度上昇を抑制することができる。中央部分C1の温度上昇が抑制されることにより、中央部分C1の電極間の抵抗の増加を抑制することができる。したがって、中央部分C1の電位の増加を抑制することができる。
以上のように、中央部分C1の電極間の抵抗を小さくし、二次電池1の放熱性を確保することにより、中央部分C1の電位の増加を抑制することができる。
図8は、充電時間に対する二次電池の温度変化を示したグラフである。図8の縦軸は、二次電池の温度を示す。図8の横軸は、充電時間を示す。図8中の実線は、実施の形態1に従う二次電池1の温度変化を示す。図8中の点線は、従来の二次電池の温度変化を示す。
二次電池を過充電すると、電極体の温度が上昇する。電極体の中央部分は、電極体の端部分に挟まれており、中央部分で発生した熱はケースの外部に放出されにくい。そのため、端部分よりも中央部分の方が高温になりやすい。
中央部分が高温になると、中央部分の電極間の抵抗が大きくなり、中央部分の電位が大きくなる。中央部分の電位が大きくなると、中央部分の正極から金属が溶出し、正極の結晶構造が崩壊する場合がある。金属溶出した正極は熱安定性が小さいため、高温で酸素を放出しやすく、酸素と電解液とが反応することにより大きな発熱反応を発生させる(熱暴走)。
従来の二次電池において、充電時間が長くなると過充電状態となり、充電開始時から700[sec]を超えたあたりで、二次電池の温度が急激に上昇した(熱暴走)。一方、実施の形態1に従う二次電池1においては、700[sec]を過ぎた後の二次電池1の温度上昇が抑制されている。これにより、中央部分C1の電位の増加が抑制され、中央部分C1における正極5の金属溶出が抑制される。したがって、熱暴走の発生を抑制することができる。
<拘束圧の負荷パターンが電極体の抵抗値の増加率に与える影響を確認する試験>
図9は、充電過多の繰り返し数に対する電極体の抵抗値の増加率を示したグラフである。充電過多は、充電速度に対して放電速度が遅い状態(一気に充電してから徐々に放電していくこと)である。図9の横軸は、充電過多のサイクル数(繰り返し数)を示す。図9の縦軸は、充電過多を繰り返す前の電極体の抵抗値に対する充電過多を繰り返した後の電極体の抵抗値の増加率を示す。
図9中の実線は、電極体の全体に均等な拘束圧を負荷しながら充電過多を繰り返した場合のグラフ(グラフA)である。図9中の点線は、電極体の中央部分に端部分よりも大きな拘束圧を負荷しながら充電過多を繰り返した場合のグラフ(グラフB)である。常温時において、グラフAでは電極体に均等な拘束圧を負荷しているのに対し、グラフBでは電極体の中央部分に負荷する拘束圧を電極体の端部分に負荷する拘束圧よりも大きくしている。
充電過多の繰り返しの回数が少ないとき、電極体の抵抗値の増加率は、ほぼ1となる。充電過多の繰り返しの回数を増やすにつれて、電極体の抵抗値の増加率は上昇する。すなわち、充電過多を繰り返していくと、電極体の抵抗値は増加していく。
電極体の抵抗値が大きくなるほど、二次電池が過充電された際に発生する熱量が大きくなる。二次電池の内部で発生する熱量が大きくなるほど、電極体の中央部分で大きく温度上昇するため、電極体の抵抗値がさらに大きくなる。
上記のように充電過多を繰り返すことによる電極体の抵抗値の増加、および電極体の温度上昇による電極体の抵抗値の増加により、中央部分における電位が増加する。これにより、中央部分において金属溶出する場合がある。
そのため、充電過多を繰り返し行なった場合の電極体の抵抗値の増加率が小さい方がより好ましい。すなわち、電極体の全体に均等な拘束圧を負荷している場合(グラフA)の方がより好ましい。
実施の形態1に従う二次電池1は、二次電池1が過充電等により温度上昇した場合に、第1の押圧部材13aが中央部分C1を押圧する力が増加する(中央部分C1に負荷される拘束圧が増加する)という構成であって、常に、中央部分C1に端部分C2よりも大きな拘束圧を負荷しているという構成ではない。常温時において、押圧体12は、ほぼ均一に電極体10を押圧している。すなわち、実施の形態1に従う二次電池1は、図9のグラフAに示す二次電池のように、常温時において拘束圧が電極体10全体に均等に負荷されている。
押圧体12が常温時にほぼ均一に電極体10を押圧する構成とすることにより、充電過多を繰り返していく過程での電極体10の抵抗値の増加を抑制することができる。これにより、中央部分C1における電位の増加を抑制し、中央部分C1における金属溶出を抑制することができる。さらに、上記構成とすることにより、電極体10の面内電流差を抑制することができる。これにより、二次電池1の性能を確保することができる。
なお、充電過多を繰り返した場合における二次電池1について述べてきたが、放電過多(放電速度に対して充電速度が遅い状態)を繰り返した場合における二次電池1についても同様に、常温時において拘束圧が電極体10全体に均等に負荷されている構成が好ましい。
<最適な拘束領域を確認する試験>
図10は、二次電池の拘束面積と二次電池の電圧の減少量との関係を示すグラフである。図10の横軸は、筐体の側面のうち拘束部材により拘束圧を負荷されている部分(拘束部)の割合を示す。拘束部は、筐体の側面の中央に設けられている。たとえば、「1/2拘束」とは、拘束圧が負荷されている筐体の側面の面積(拘束面積)が、筐体の側面全体の面積の1/2であることを示す。図10の縦軸は、二次電池の電圧の減少量を示す。
二次電池の電圧を4.5[V]とし、拘束部材による拘束荷重を300[kgf]とした場合の、筐体の側面のうちの拘束部の割合に対する二次電池の電圧の減少量を確認する試験を実施した。拘束面積を小さくするにつれて、電極体の中央部分に負荷される拘束圧が大きくなるため、電極体の中央部分の電位の減少量は大きくなる。そのため、二次電池の電圧の減少量は大きくなる。
図10のグラフより拘束面積が側面の面積の1/4である場合に、電極体の中央部分の電位減少の効果が最も大きく、二次電池の電圧の減少量が最も大きいことがわかる。中央部分の電位の減少量を大きくして中央部分の金属溶出を抑制するため、拘束面積を筐体の側面全体の面積の1/4とすることが好ましい。
上述したように、実施の形態1に従う二次電池1において、複数の第1の押圧部材13aのうち最も上にある第1の押圧部材13aから最も下にある第1の押圧部材13aまでの上下方向DR2における長さは、側面11aの上下方向DR2における長さの約1/4である。拘束面積を筐体14の側面11a全体の面積の1/4とすることにより、より大きな拘束圧を複数の第1の押圧部材13a全体に伝達することができる。これにより、第1の押圧部材13aが中央部分C1を押圧する力が大きくなる。したがって、電極体10の中央部分C1の電位の減少量は大きくなる。
図11は、中央部分と端部分との拘束圧比を変化させた時の、電極体の各位置に対する電極体の電位の減少量を示すグラフである。図11の横軸の「上(下)」および「中央」は、図6および図7と同様に上下方向における電極体の位置を示す。図11の縦軸は、電極体の電位の減少量を示す。
図11中のグラフAは、中央部分に負荷される拘束圧が端部分に負荷される拘束圧に対して5倍の大きさである場合を示す。図11中のグラフBは、中央部分に負荷される拘束圧が端部分に負荷される拘束圧に対して10倍の大きさである場合を示す。図11中のグラフCは、中央部分に負荷される拘束圧が端部分に負荷される拘束圧に対して20倍の大きさである場合を示す。中央部分と端部分との拘束圧比が5倍から20倍の範囲内では、中央部分と端部分との拘束圧比が大きくなるほど電極体の各位置に対する電極体の電位の減少量は大きくなる。
中央部分と端部分との拘束圧比は、第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bの材料選定により調整することができる。実施の形態1の二次電池1において、第1の押圧部材13aの線熱膨張係数と、第2の押圧部材13bの線熱膨張係数とが20倍以上異なるように、第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bの材料を選定することができる。
押圧部材13の線熱膨張係数をα[℃−1]、押圧部材13の温度上昇前後における温度差をΔT[℃]、温度上昇前における押圧部材13の積層方向DR1における長さをL[mm]とした場合、温度上昇後における押圧部材13の積層方向DR1における長さの増加量(線熱膨張量)ΔLは以下の式(1)で表される。
ΔL=α×ΔT×L・・・(1)
実施の形態1に従う二次電池1において、第1の押圧部材13aとして線熱膨張係数が110×10−6[℃−1]であるポリプロピレン(PP)を、第2の押圧部材13bとして線熱膨張係数が4.4×10−6[℃−1]であるケイ素系セラミックス(SiC)を用いる。
温度上昇前における第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bの積層方向DR1における長さをそれぞれ5[mm]とし、第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bのそれぞれの温度が25[℃]から80[℃]まで上昇したとした場合、(1)式より算出される理論上の第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bの線熱膨張量ΔLは、それぞれ0.0303[mm]、0.0012[mm]となる。
電極体10に負荷される拘束圧は、押圧部材13の線熱膨張量ΔLと比例関係にある。第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bの線熱膨張量ΔLが、それぞれ0.0303[mm]、0.0012[mm]である場合、第1の押圧部材13aが膨張することで中央部分C1に負荷される拘束圧は、第2の押圧部材13bが膨張することで端部分C2に負荷される拘束圧に対して25倍となる。この場合、中央部分C1と端部分C2との拘束圧比が20倍以上であるため、中央部分C1の電位の減少量は大きくなる。したがって、正極5の金属溶出を抑制することができる。
(実施の形態2)
図12は、実施の形態2に従う二次電池1の概略図である。実施の形態2に従う二次電池1は、複数個が直列に組み合わされて組電池とされている。二次電池1は、積層方向DR1に積層されている。二次電池1は、図示しない拘束部材により、積層方向DR1における最も外側に設けられている二次電池1よりも外側から、図12に示す白抜き矢印方向に拘束圧を負荷されて拘束されている。
複数の二次電池1の間には、押圧体12が設けられている。二次電池1に挟まれている押圧体12が温度上昇すると積層方向DR1に膨張し、隣接する2つの二次電池1をそれぞれ押圧する。
実施の形態2に従う二次電池1においても、実施の形態1に従う二次電池1と同様に、正極5の金属溶出を抑制する効果が得られる。
(実施の形態3)
図13は、実施の形態3に従う二次電池1の概略側面図である。実施の形態3に従う第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bは、幅方向DR3において互いに間隔を空けて並べられている。幅方向DR3において、各第1の押圧部材13aおよび各第2の押圧部材13bの間には、上下方向DR2に通る吹き抜け路eが形成される。吹き抜け路eを通じて上下方向DR2にも空気が通るため、電極体10の発熱により温度上昇したケース11を冷却する効果がより向上する。これにより、二次電池1の放熱性を向上させることができる。
実施の形態3に従う二次電池1において、吹き抜け路eは2か所に形成されているが、2か所よりも多く形成されていてもよい。
(実施の形態4)
図14は、実施の形態4に従う二次電池1の概略側面図である。第1の押圧部材13aは、複数の中空六角状の柱部13cを有する。柱部13cは、幅方向DR3に並んで設けられている。図14において、柱部13cは一部省略して記載されている。
実施の形態4に従う第1の押圧部材13aの材料は、低密度ポリプロピレン(PP)である。低密度ポリプロピレンの線熱膨張係数は、110×10−6[℃−1]である。実施の形態4に従う第2の押圧部材13bの材料は、ユリア樹脂(UF)である。ユリア樹脂の線熱膨張係数は、27×10−6[℃−1]である。
押圧部材13がたわむことなく理想的に熱膨張した場合、線熱膨張量ΔLは(1)式より算出される値となり、中央部分C1と端部分C2との拘束圧比は、第1の押圧部材13aの線熱膨張係数αと第2の押圧部材13bの線熱膨張係数αとの比となる。この場合、中央部分C1に負荷される拘束圧は、端部分C2に負荷される拘束圧に対して約4倍程度であり、図10に示すように中央部分の電位の減少量は小さいため、正極の金属溶出を抑制する効果は十分に得られない。
そのため、実施の形態4に従う第1の押圧部材13aは、複数の中空六角状の柱部13cを有する形状とされている。実施の形態4に従う第2の押圧部材13bは、平板状の形状とされている。
図15は、中空六角状の構造物に圧縮荷重Wが作用している状態を示す図である。図16は、平板状の構造物に圧縮荷重Wが作用している状態を示す図である。図17は、板状、中空三角状、中空四角状および中空六角状を有するそれぞれの構造物に圧縮荷重を作用させた際のたわみ量を示すグラフである。図17の横軸は、それぞれの構造物に作用させた圧縮荷重を示す。図17の縦軸は、それぞれの構造物に圧縮荷重を作用させた際のたわみ量を示す。
図17のグラフより、同じ圧縮荷重を作用させた場合、中空六角形状の構造物が、最もたわみ量が小さいことがわかる。二次電池1に拘束圧が負荷された場合、図14に示す中空六角状の柱部13cを有する第1の押圧部材13aは、平板状の第2の押圧部材13bと比較してたわみにくい。
第1の押圧部材13aがたわみにくいことから、第1の押圧部材13aが熱膨張する際、第1の押圧部材13aが確実に積層方向DR1に変形することができる。これにより、第1の押圧部材13aの熱変形を中央部分C1に負荷される拘束圧にすることができる。
一方、第2の押圧部材13bはたわみやすく、第2の押圧部材13bが熱膨張する際、第2の押圧部材13bが積層方向DR1以外に変形しやすい仕様と敢えてしている。これにより、端部分C2に負荷される拘束圧は低下する。
そのため、中央部分C1と端部分C2との拘束圧比を大きくすることができる。これにより、中央部分C1の電位の減少量を大きくすることができる。したがって、第1の押圧部材13aの線熱膨張係数αと第2の押圧部材13bの線熱膨張係数αとの比が小さい場合であっても、正極5の金属溶出を抑制することができる。
上記のように線熱膨張係数の比が小さい第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bを選定した場合であっても、第1の押圧部材13aの形状を変更して機械的特性を向上させることにより、中央部分C1と端部分C2との拘束圧比を大きくすることができる。
これにより、第1の押圧部材13aおよび第2の押圧部材13bの材料選定に係る設計の自由度が大きくなる。コストの小さい材料を選定することにより、二次電池1の製造コストを抑制することができる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 二次電池、5 正極、6 負極、7 セパレータ、10 電極体、11 ケース、12 押圧体、13 押圧部材、C1 中央部分、C2 端部分。

Claims (1)

  1. 正極および負極がセパレータを介して積層された電極体と、
    前記電極体を収容するケースと、
    前記電極体の積層方向における前記ケースの両側に設けられ、前記ケースを介して前記電極体を押圧する押圧体と、を備え、
    前記ケースは、底部を有し上方に向けて開口する筐体と、前記底部に対向するように前記筐体の開口を塞ぎ、前記ケースの上面を構成する蓋部と、を含み、
    前記押圧体は、前記底部と前記蓋部とが対向する上下方向において互いに間隔を空けて並べられている複数の押圧部材を含み、
    前記複数の押圧部材は、前記上下方向における前記電極体の中央部分を押圧する第1押圧部材と、前記中央部分に対して前記上下方向の両端に設けられる前記電極体の端部分を押圧する複数の第2押圧部材と、を含み、
    前記第1押圧部材は、前記第2押圧部材よりも大きい熱膨張係数を有する、二次電池。
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