JP6878765B2 - ポリアルキレンオキシド - Google Patents

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本発明は、ポリアルキレンオキシドに関する。具体的には、分子量分布(Mw/Mn)が狭く、低不飽和度で、かつ高分子量でも顕著に粘度が低いためハンドリング性に優れる、ポリアルキレンオキシドに関するものである。
ポリアルキレンオキシドは、水酸化カリウム等のアルカリ金属を触媒として用い、プロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドの付加重合をおこなうことによって製造されることが、工業的に知られている。しかしながら、この方法でポリアルキレンオキシドを製造する場合、得られるポリアルキレンオキシドは、モノオールを多く副生し、不飽和度が高くなるため、高分子量化が困難という課題を抱えている。
このような不飽和度が高いポリアルキレンオキシドを用いて得られるポリウレタンは、機械物性が低下する問題がある。
不飽和度の低いポリアルキレンオキシドとして、特定のホスファゼニウム塩やホウ素化合物、水酸化セシウムを触媒として用いることで得られるポリアルキレンオキシドが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、特許文献1、2に記載のポリアルキレンオキシドの不飽和度は依然高いものであり更なる低減が求められていると共に、依然十分な高分子量化が困難という課題がある。
更に不飽和度の低いポリアルキレンオキシドとして、複金属シアン化物錯体を触媒として用いることで得られるポリアルキレンオキシドが知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献3に記載のポリアルキレンオキシドは、分子量分布が約1.1と広く高分子量化した際に粘度が高くハンドリング性が悪い等の課題を抱えている。
特開2007−131845号公報 特許第3905638号明細書(特開平11−106500号公報) 特開平4−59825号公報
本発明は、上記の背景技術を鑑みてなされたものであり、その目的は、低不飽和度でかつ高分子量でも顕著に粘度が低く、ハンドリング性に優れるポリアルキレンオキシドを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の不飽和度で特定の分子量分布を有する高分子量のポリアルキレンオキシドが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に示すポリアルキレンオキシドに関する。
[1]ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.029以下、不飽和度が0.010meq/g以下、及び数平均分子量が5000以上であるポリアルキレンオキシド。
[2]下記一般式(1)で表される上記[1]に記載のポリアルキレンオキシド。
Figure 0006878765
[一般式(1)中、Rは、活性水素含有化合物(R[−H]m)からm個の活性水素を除いたm価の基;Zは炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、Aは炭素数3のアルキレン基である。複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい;mは1又は2〜100の整数;pは0又は1〜500の整数、qは1〜1000の整数;rは0又は1〜500の整数である。]
[3]上記一般式(1)中、p+qが10〜1000、qが10〜1000、rが0又は1〜90であり、式p+q>rを満たすことを特徴とする上記[2]に記載のポリアルキレンオキシド。
[4]上記一般式(1)中、rが0であることを特徴とする上記[2]又は[3]に記載のポリアルキレンオキシド。
[5]分子量分布(Mw/Mn)が、分離カラムに粒径3μmの充填剤を充填したカラム4本を直列接続し、レファレンス側に抵抗管を接続、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いた条件で分析した分子量分布であることを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリアルキレンオキシド。
本発明のポリアルキレンオキシドは、分子量分布(Mw/Mn)が狭く、低不飽和度で、かつ高分子量でも顕著に粘度が低いためハンドリング性に優れ、ポリウレタンとした際に良好な機械物性が期待できるためポリウレタンの原料として好適に用いることができる。
実施例1〜4で得られたポリアルキレンオキシドの25℃、せん断速度0.1(1/s)条件における粘度Y[mPa・s]と、数平均分子量M[g/mol]との関係を表す近似曲線及び近似式を示す図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアルキレンオキシドは、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.029以下、不飽和度が0.010meq/g以下、及び数平均分子量が5000以上であることをその特徴とする。
<ポリアルキレンオキシドの化学組成>
本発明のポリアルキレンオキシドとしては、特に限定するものではないが、例えば、活性水素含有化合物(R[−H]m)を一種又は二種以上用い、炭素数が2〜12の3員環のアルキレンオキシドを一種又は二種以上付加したアルキレンオキシド付加物であることが好ましく、また、下記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキシドであることが好ましい。
Figure 0006878765
[一般式(1)中、Rは、活性水素含有化合物(R[−H]m)からm個の活性水素を除いたm価の基;Zは炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、Aは炭素数3のアルキレン基である。複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい;mは1又は2〜100の整数;pは0又は1〜500の整数、qは1〜1000の整数;rは0又は1〜500の整数である。]
これらのうち、オキシアルキレン基を有し、ポリマー末端、分岐鎖末端といった任意の箇所に分子内に1分子当たり活性水素基を少なくとも1個有している化合物、即ちモノオール(m=1の場合)又はポリオール(m=2〜100の整数の場合)が好ましい。
活性水素含有化合物(R[−H]m)としては、活性水素基を有していれば特に限定されないが、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシアルキレンジオール等の2官能のジオール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等のビスフェノール類、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアミン類等の2個の活性水素基を有する化合物が挙げられる。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、三洋化成工業社製のサンニックスGP−250、GP−400、GP−600、GP−1000等の3官能の低分子量ポリオール等のトリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等のテトラオール、ヘキソール、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類等の3個以上の活性水素基を有する化合物が挙げられる。更に、分子量1000以下のポリオキシアルキレンモノオール等の1個の活性水素基を有する化合物等の1個以上の活性水素を有する化合物が挙げられる。活性水素含有化合物(R[−H]m)としては、これらの中からから選ばれる一種又は二種以上の混合物を用いることができる。
これらのなかでも、触媒調製の際の副生物が除去しやすく分子量分布が狭いポリアルキレンオキシドが得られやすいため、沸点が150℃以上の活性水素含有化合物が好ましく、沸点が200℃以上の活性水素含有化合物が更に好ましい。例えば、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリオキシアルキレンジオール等の2官能のポリオール類、三洋化成社製のサンニックスGP−250、GP−400、GP−600、GP−1000等の3官能の低分子量ポリオール等のトリオール類、分子量1000以下のポリオキシアルキレンモノオール等の一種又は二種以上の混合物が挙げられる。
活性水素含有化合物(R[−H]m)に付加させるアルキレンオキシドとしては、分子内にエポキシ環を1個以上有している化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の炭素数2〜12のアルキレンオキシドが挙げられ、一種又は二種以上のアルキレンオキシドを用いてもよい。
これらのなかでも、工業的に入手が容易なプロピレンオキシド、エチレンオキシド等の炭素数が2〜3のアルキレンオキシドを含む一種又は二種以上のアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドを含む一種又は二種以上のアルキレンオキシドが更に好ましい。
また、アルキレンオキシド中の水分としては、反応途中で開始剤として作用して分子量分布が広がりにくく分子量分布が狭いポリアルキレンオキシドを得やすいため、200ppm以下であることが好ましい。更に好ましくは100ppm以下であり、最も好ましくは60ppm以下である。市販のアルキレンオキシドをゼオライト等の吸着剤を用いて、脱水することで200ppm以下のアルキレンオキシドを得やすい。
上記一般式(1)中のZOとしては、粘度が低くなりやすく良好なウレタン成形性を示しやすいため、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等の炭素数2〜12のアルキレンオキシド由来のポリエーテル構造を有することが好ましい。更に好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドから選ばれる一種又は二種以上のアルキレンオキシド由来のポリエーテル構造であり、最も好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドから選ばれる一種のポリエーテル構造である。
上記一般式(1)中のpは0又は1〜500の整数であり、好ましくはp=0又は1〜100の整数であり、更に好ましくはp=0である。
上記一般式(1)中のZとしては、例えば、下記一般式(2)で示される構造が挙げられる。
Figure 0006878765
[上記一般式(2)中、R、R、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキルを表す。但し、R〜Rの合計の炭素数が10を超えることはない。また、R〜Rのいずれか2つが結合してシクロアルキル基を形成してもよい。]
また、上記一般式(1)中のAOとしては、粘度が低くなりやすくウレタンとした際に良好な機械物性を示しやすいため、プロピレンオキシド等の炭素数3のアルキレンオキシド由来のポリエーテル構造であることが好ましい。
上記一般式(1)中のAとしては、例えば、下記式で示される構造が挙げられる。
Figure 0006878765
上記一般式(1)中のqは1〜1000の整数であり、好ましくはq=30〜500の整数であり、更に好ましくはq=50〜250の整数である。
上記一般式(1)中のrは、0又は1〜500の整数である。低温で固化しにくくハンドリング性に優れやすいため、好ましくはr=0又は1〜90の整数であり、更に好ましくはr=0である。
上記一般式(1)中のpとqとrの関係としては、粘度が低くなりやすくウレタンとした際に良好な機械物性を示しやすいため、p+q>r(但し、p+qが10〜1000、qが10〜1000、rが0又は1〜90)を満たすことが好ましい。更に好ましくは、p+q>5r(但しp+qが30〜600、qが30〜500、rが0又は1〜90)を満たすことであり、最も好ましくはp+q>10r(但しp+qが50〜600、qが50〜500、rが0又は1〜90)を満たすことである。
上記一般式(1)中のmは1又は2〜100の整数である。分子量分布が狭くなりやすくハンドリング性に優れやすいため、好ましくは1、2、又は3であり、最も好ましくは2である。
<ポリアルキレンオキシドの分子量分布>
本発明のポリアルキレンオキシドは、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.029以下である。好ましくは1.005〜1.026の範囲であり、更に好ましくは1.005〜1.019の範囲であり、最も好ましくは1.008〜1.016の範囲である。
ポリアルキレンオキシドのポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.029を超えると顕著な粘度低減効果が得られなくなるため、バルクでのハンドリング性が悪く、更には溶媒への分散性も悪化するため使用が困難となるおそれがある。ポリウレタンの原料としても各原料との混合性が悪く、反応や組成が不均一となり使用が困難となるおそれがある。
ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)は、後述する理由から、分離カラムに粒径3μmの充填剤を充填したカラム4本を直列接続し、レファレンス側に抵抗管を接続、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いた条件で測定して分析した分子量分布であることが好ましく、標準ポリスチレンを用いた3次近似曲線検量線を用いて算出した分子量分布(Mw/Mn)であることが望ましい。
分離カラムの本数としては、分離能(理論段数)が高くベースラインの揺らぎや液中の不純物の微小ピークにより分子量分布が広がることを抑制しやすいため、好ましくは3〜5本であり、特に好ましく4本である。
分離カラムの充填剤の粒径は、測定時間が適正で、ベースラインの揺らぎや液中の不純物の微小ピークにより分子量分布が広がることを抑制しやすいため、好ましくは1〜4.5μmであり、特に好ましくは3μmである。
分離カラムの排除限界は好ましくは5万〜300万であり、更に好ましくは6万〜40万である。分離カラムの内径は好ましくは5〜7.5mmφであり、更に好ましくは6mmφである。分離カラムの長さ、好ましくは10〜25cmであり、更に好ましくは15cmである。
このような分離カラムとしては、例えば、東ソー社製TskgelSuperH4000、Tskgel SuperH3000などが挙げられる。最も好ましい分離カラムの構成は、東ソー製TskgelSuperH4000×2本とTskgel SuperH3000×2本との計4本を直列接続する構成である。
分離カラム側の流速は好ましくは0.5〜0.9ml/minであり、更に好ましくは0.6ml/minである。カラム温度は好ましくは30℃〜50℃であり、更に好ましくは40℃である。
また、レファレンス側にはポンプの脈動により分子量分布が広がることを抑制しやすいため、抵抗管2本〜6本を接続することが好ましく、更に好ましくは抵抗管5本の接続であり、最も好ましくは抵抗管5本と分離カラム1本の接続である。
抵抗管としては長さが2m、内径が0.1mmφのもの等が好適なものとして挙げられる。
レファレンス側の流速は、ポンプの脈動周期が短くベースラインの揺らぎを抑制しやすくポンプの脈動により分子量分布が広がることを抑制しやすいため、抵抗管5本の状態で好ましくは0.1〜0.6ml/minであり、更に好ましくは0.15ml/minである。
3次近似曲線検量線の標準物質に用いるポリスチレンは、好ましくは6点〜10点であり、更に好ましくは8点である。分子量既知の標準物質に用いるポリスチレンの分子量としては好ましくは300〜3000000の範囲からの選択であり、更に好ましくは450〜1100000の範囲からの選択である。具体的には、例えば500、1010、2630、10200、37900、96400、427000、1090000の8点選択などが挙げられ、標準物質の測定は500、2630、37900、427000の4点と1010、10200、96400、1090000の4点など2回に分けて測定してもよい。
展開溶媒としては、好ましくはジメチルホルムアミド又はテトラヒドロフランであり、更に好ましくは和光純薬社製のBHT安定剤含有特級テトラヒドロフランである。
サンプル濃度としては好ましくは0.5〜2mg/mlであり、更に好ましくは1mg/mlである。サンプル溶液の注入量はピークがブロードになりにくく分子量分布が広がりにくい10〜90μlが好ましく、更に好ましくは20μlである。
ゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法における低分子量成分の面積比率は、ピーク全体の4.5%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましい。低分子量成分の面積比率減少に伴い粘度は上昇しやすいが、ポリウレタンとした際に移行成分が少なくハンドリング性や機械物性に優れやすいため好ましい。
本発明において、ゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法における「低分子量成分の面積比率」とは、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定する際に算出される数平均分子量(Mn)の1/3以下の数平均分子量の低分子量成分を指し、ベースラインと分子量分布を測定する際に算出される数平均分子量(Mn)の1/3の点でピーク分割して低分子量成分の面積%を求めることができる。
<ポリアルキレンオキシドの性状>
本発明のポリアルキレンオキシドの不飽和度は、0.010meq/g以下である。好ましくは、0.002〜0.009meq/gの範囲であり、更に好ましくは0.004〜0.008meq/gの範囲である。
不飽和度が0.010meq/gを超えるポリアルキレンオキシドを用いて得られるポリウレタンは、良好に硬化せず移行成分が多く発生し、機械物性の悪化及びハンドリング性の悪化により使用が困難である。更には低分子量のモノオールを多く副生し、数平均分子量低下の要因となるためポリアルキレンオキシドの高分子量化が困難となるとともに、分子量分布の狭いポリアルキレンオキシドを得ること自体も困難となる。
本発明において、ポリアルキレンオキシドの「不飽和度(meq/g)」とは、ポリアルキレンオキシドの1g当たりに含まれる不飽和基の総量のことであり、JIS K1557 6.7に規定された方法に準拠して測定した値である。アルキレンオキシドの不飽和度はアルキレンオキシド中に存在するモノオール量の指標となり、増加することで粘度は低下するが、ポリアルキレンオキシドの平均官能基数が低下することがある。また、アルキレンオキシド中に存在するモノオールは、ポリウレタン原料として用いた際に停止反応となり、ポリウレタンの分子量低下や未架橋の低分子量成分の増加につながったり、ポリウレタン中でダングリング鎖として作用することで機械物性が低下することがある。
本発明のポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、5000以上である。好ましくは5000〜50000の範囲であり、更に好ましくは7000〜30000の範囲であり、最も好ましくは10000〜20000の範囲である。
ポリアルキレンオキシドの数平均分子量が5000未満では顕著な粘度低減効果が見られず、そのようなポリアルキレンオキシドを用いて得られるポリウレタンは伸び物性が悪いため使用が困難である。
本発明において、ポリアルキレンオキシドの「数平均分子量」は、水酸基価より算出した数平均分子量を指し、ポリアルキレンオキシドの水酸基価(OHV、単位はmgKOH/g)に基づいて下記数式(1):
Figure 0006878765
を用いて計算した値をいう。
ここで、「OHV」とは、JIS K1557 6.4に準拠して測定した値である。また、「1分子当たりの水酸基数」とは、ポリアルキレンオキシドを製造するときに原料として用いた開始剤である活性水素含有化合物1分子あたりの活性水素原子の数をいう。市販品で開始剤の活性水素原子の数を特定できない場合、公称官能基数を用いる。
本発明のポリアルキレンオキシドの25℃条件における粘度は、特に限定されず、用途により適宜選択されるが、好ましくは1〜2000Pa・s(25℃)の範囲であり、更に好ましくは2〜1000Pa・s(25℃)の範囲である。ポリアルキレンオキシドの粘度が1〜2000Pa・s(25℃)の範囲であれば、ポリウレタンの物性を制御しやすいため好ましい。
本発明において、25℃条件における「粘度」とは、JIS K1557−5 6.2.3項のコーンプレート回転粘度計で測定した値を指す。具体的には、せん断速度0.1(1/s)条件での粘度を指すが、粘度が測定範囲に入らない場合、測定範囲に入るようせん断速度範囲を0.01〜10(1/s)の範囲で調整しても良い。
<ポリアルキレンオキシドの製造>
本発明のポリアルキレンオキシドの製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、活性水素含有化合物とイミノフォスファゼニウム塩触媒の存在下に、アルキレンオキシドの開環重合を行うことにより製造することができる。
例えば、活性水素含有化合物とイミノフォスファゼニウム塩触媒を混合し、減圧処理して触媒活性種前駆体を調整する際に100℃以上、0.3kPa以下の厳しい減圧条件で2時間以上十分に水分や溶媒を除去することで分子量分布を広げる要因となる開始剤の活性水素含有化合物由来以外のポリアルキレンオキシドを抑制すること、
更にルイス酸を混合し、減圧処理して触媒活性種を調整する際に100℃以上、0.3kPa以下の条件で2時間以上十分に副生物を除去すること及び沸点が低い副生物となる特定のルイス酸を選定することで分子量分布を広げる要因となるルイス酸由来のポリアルキレンオキシドを抑制すること、
副反応が少ないイミノフォスファゼニウム塩触媒と特定のルイス酸を組み合わせた触媒としてアルキレンオキシドを付加する製造プロセスを経ること、
水分値が100ppm以下と少ないアルキレンオキシドを用いること、
等により、本発明のポリアルキレンオキシドがより得られやすくなるため好ましいが、特に限定されない。
イミノフォスファゼニウム塩触媒として、特に限定するものではないが、アルキレンオキシドの適応範囲が広くて重合活性が高く、低不飽和度となりやすいため、イミノフォスファゼニウム塩とルイス酸とを併用した触媒系を用いることが好ましい。
ここで、ルイス酸としては、特に限定するものではないが、例えば、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ホウ素化合物等を挙げることができる。そして、これらの中でも、触媒性能に優れるアルキレンオキシド重合触媒となることから、有機アルミニウム、アルミノキサン、有機亜鉛が好ましく、更に好ましくは、有機アルミニウムである。
アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニルモノイソブチルアルミニウム、モノフェニルジイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム;メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチル−イソブチルアルミノキサン等のアルミノキサン;塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の無機アルミニウムを挙げることができる。
これらの中でも、触媒活性種調製の際の副生物の沸点が100℃以下と低くて除去しやすく、分子量分布を広げる要因となるルイス酸由来のポリアルキレンオキシドを抑制しやすいトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウムなどが好ましい。触媒活性種調製の際に副生する化合物はルイス酸の構造より判断でき、例えばトリメチルアルミニウムではアルミニウム上の置換基のメチル基にHが付加したメタン、トリイソブチルアルミニウムではアルミニウム上の置換基のイソブチル基にHが付加したイソブタン、トリイソプロポキシアルミニウムではイソプロポキシ基にHが付加したイソプロパノールである。
亜鉛化合物としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等の有機亜鉛;塩化亜鉛、酸化亜鉛等の無機亜鉛を挙げることができる。
ホウ素化合物としては、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロボラン等を挙げることができる。
イミノフォスファゼニウム塩としては、イミノ基及びP−N結合を有する化合物であればよく、特に限定されないが、下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる(例えば、特開2011−132179号公報参照)。
Figure 0006878765
[上記一般式中、R及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。なお、RとRが互いに結合して環構造を形成していても良いし、R同士又はR同士が互いに結合して環構造を形成していても良い。Xは、ヒドロキシアニオン、炭素数1〜4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2〜5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。]
イミノフォスファゼニウム塩とルイス酸との割合は、特に限定するものではなく、アルキレンオキシド重合触媒としての作用が発現する限りにおいて任意であるが、例えばイミノフォスファゼニウム塩:ルイス酸=1:0.002〜500(モル比)の範囲である。
本発明のポリアルキレンオキシドを製造する際の重合温度としては、特に限定されないが、ポリアルキレンオキシドが分解して分子量分布が広がりにくく触媒活性を発現しやすいため、70〜150℃の範囲が好ましく、更に好ましくは90〜110℃の範囲である。
本発明のポリアルキレンオキシドを製造する際の重合圧力は、特に限定されないが、0.05〜1.0MPaの範囲、好ましくは0.1〜0.6MPaの範囲である。
本発明のポリアルキレンオキシドを製造する際の撹拌速度としては、特に限定されず重合容器の形状や内容積、撹拌翼形状等によるが、内容積2Lの円筒型の重合容器でイカリ型の撹拌翼の場合、300rpm以上で十分に撹拌することが好ましい。
イミノフォスファゼニウム塩とルイス酸を組み合わせた触媒を用い、活性水素含有化合物にアルキレンオキシドを付加する際には、イミノフォスファゼニウム塩(その前駆体を含む)、ルイス酸、及び活性水素含有化合物を同時に混合し、加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法、これらのうちの1成分に他の2成分を混合し加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法、これらのうちの2成分に他の1成分を混合し加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法、これらのうちの2成分を混合し加熱・減圧処理等を行って触媒活性種前駆体を調製後、他の1成分を混合し更に加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製する方法等の如何なる方法を用いても良いが、副生物や不純物が除去されやすく狭い分子量分布のポリアルキレンオキシドを得やすいため、好ましくはイミノフォスファゼニウム塩と活性水素含有化合物とを混合した後に加熱・減圧処理を行って、その後にルイス酸を混合し更に加熱・減圧処理等を行って触媒活性種を調製してアルキレンオキシドを付加する製造プロセスを経ることが好ましい。
その際の加熱・減圧処理の温度としては副生物や不純物が除去されやすく狭い分子量分布のポリアルキレンオキシドを得やすいため100℃以上が好ましく、更に好ましくは100〜130℃の範囲である。加熱・減圧処理の際の圧力としては、副生物や不純物が除去されやすく狭い分子量分布のポリアルキレンオキシドを得やすいため0.5kPa未満が好ましく、更に好ましくは0.001〜0.2kPaの範囲である。その際の加熱・減圧処理の時間としては、反応容器の形状等により異なるがイミノフォスファゼニウム塩及び又はその前駆体、ルイス酸、及び活性水素含有化合物を混合後2時間以上であることが好ましく、更に好ましくはイミノフォスファゼニウム塩及び又はその前駆体と活性水素含有化合物を混合後2時間以上の加熱・減圧留去に加え、ルイス酸混合後更に加熱・減圧留去を2時間以上行うことが好ましい。更に不純物除去のため低沸点の脱水溶媒を添加し、共沸操作を行って不純物を除去してもよい。
本発明のポリアルキレンオキシドは、特に限定するものではないが、触媒が残存すると粘度が上昇することがあるため、重合後に触媒を除去することが好ましい。更に好ましくは触媒残渣量が200ppm以下であり、最も好ましくは100ppm以下である。ここで、触媒残渣量としては、触媒を2種類以上併用して用いる場合、合算した触媒残渣量を指す。
以下、本発明を、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で使用した材料、及び評価方法は以下に示すとおりである。
(原料)
プロピレンオキシドは、和光社製特級のプロピレンオキシドをゼオライトにより脱水し、50ppm以下として使用した。その他の原料は試薬として購入し、そのまま使用した。
(評価方法)
<水酸基価、数平均分子量>
ポリアルキレンオキシドの水酸基価(OHV)はJIS−K1557−1の方法に従い、測定した。また、ポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、ポリアルキレンオキシドの水酸基価に基づき、上記数式(1)を用いて計算した値である。
<不飽和度>
JIS−K1557−6の方法に従い、測定した。
<分子量分布(Mw/Mn)>
サンプル瓶へポリオール10mgとTHF10mlを添加し、1終夜静置することで溶解し、PTFEカードリッジフィルター(0.5μm)でろ過することでサンプルを得た。検出器としてRI検出器RI8020、測定用カラムとして分離カラムに粒径3μmの充填剤を充填した東ソー製TskgelSuperH4000×2本及びTskgel SuperH3000×2本の計4本を直列接続し、レファレンス側は抵抗管×5本を接続、展開溶媒に和光社製BHT安定剤含有の特級テトラヒドロフランを用い、分離カラム側の流速0.6ml/min、レファレンス側の流量0.15ml/min、カラム温度40℃の条件で分析した。分子量既知の東ソー社製標準ポリスチレン8点を用いた3次近似曲線を検量線として、分子量分布(Mw/Mn)の解析を行った。測定装置には東ソー製HLC−8320GPC、解析には東ソー製HLC−8320GPC−ECOSEC−WorkStationを用いた。
<粘度>
JIS−K1557−5の方法に従い、測定した。具体的には、測定温度は25℃、コーン・プレート回転粘度計を用いる方法により、せん断速度0.1〜10(1/s)間で測定してせん断速度0.1(1/s)の値を粘度とした。測定装置には、Anton−Paar社製MCR−300を用いた。
<粘度上昇率>
本発明のポリアルキレンオキシドの粘度は、分子量が10台〜3×10と低く、いわゆる「高分子粘度の3.4乗則」には従わない領域であることから、実施例1〜4で得られたポリアルキレンオキシドの4点を用い、ポリアルキレンオキシドの25℃、せん断速度0.1(1/s)条件における粘度Y[mPa・s]と、数平均分子量M[g/mol]との近似式を作成した(図1参照)。
本近似式の相関係数は0.999998と高いものであった。
活性水素含有化合物として、同じポリエーテルポリオールを用いた実施例1〜4、比較例1〜6について、得られたポリアルキレンオキシドの数平均分子量Mを本近似式に適用して粘度の計算値Y1を求め、(Y−Y1)/Y1×100(%)で得られる値を、粘度の計算値に対する粘度の実測値の上昇率(以下、「粘度上昇率」と称する。)とする。
<溶媒への分散性>
20mlのサンプル缶に5gのポリアルキレンオキシド及び和光社製の超脱水メチルエチルケトン10gを入れ、撹拌羽が1cm×3cmの板状であるアズワン社製ペンシルキサーにて6分撹拌し、経時でのポリアルキレンオキシドの溶媒への分散性を評価した。
5分以内に目視上均一に分散したものを○、分散しなかったものを×とした。
合成例1(イミノフォスファゼニウム塩Aの合成).
攪拌翼を付した2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、五塩化リン96g(0.46mol)、脱水トルエン800mlを加え、20℃で攪拌した。攪拌を維持したまま、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン345g(2.99mol)を滴下した後、100℃に昇温し、更に1,1,3,3−テトラメチルグアニジン107g(0.92mol)を滴下した。得られた白色のスラリー溶液を100℃で14時間攪拌した後、80℃まで冷却し、イオン交換水250mlを加え、30分間攪拌した。攪拌を止めると、スラリーは全て溶解し、2相溶液が得られた。得られた2相溶液の油水分離を行い、水相を回収した。得られた水相にジクロロメタン100mlを加え、油水分離を行い、ジクロロメタン相を回収した。得られたジクロロメタン溶液をイオン交換水100mlで洗浄した。
得られたジクロロメタン溶液を、攪拌翼を付した2リットルの四つ口フラスコに移液し、2−プロパノール900gを加えた後、常圧下で温度を80〜100℃に昇温し、ジクロロメタンを除去した。得られた2−プロパノール溶液を攪拌しながら内部温度を60℃に放冷した後、85重量%水酸化カリウム31g(0.47mol)を加えて、60℃で2時間反応した。温度を25℃まで冷却し、析出した副生塩を濾過により除去することによって、目的とするイミノフォスファゼニウム塩A[上記一般式(3)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Xがヒドロキシアニオンに相当するイミノフォスファゼニウム塩]の2−プロパノール溶液860gを、濃度25重量%、収率92%で得た。
実施例1.
攪拌翼を付した2リットルのオートクレーブを窒素雰囲気下とし、ポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、サンニックスPP400、官能基数2)62.58g(活性水素量313mmol)、合成例1で得られたイミノフォスファゼニウム塩Aの25重量%2−プロパノール溶液16.63g(7.8mmol)を加えた。内温を100℃とし、180rpmで撹拌しながら0.3kPa未満で2時間減圧処理を行い触媒前駆体を得た。その後、トリイソプロポキシアルミニウムの29重量%ヘキサン溶液16.38g(23mmol)を加え、内温を100℃とし、310rpmで撹拌しながら0.3kPa未満で3時間減圧処理を行い、アルキレンオキシド重合触媒を得た。
得られたアルキレンオキシド重合触媒存在下、オートクレーブの内温を110℃とし、プロピレンオキシド1360mlを撹拌速度380rpm、反応圧力0.3MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、反応させた。反応終了後、0.5kPaの減圧下で残留プロピレンオキシドの除去をおこない、ポリアルキレンオキシド1230gを得た。
得られたポリアルキレンオキシドの触媒を除去し、得られたポリアルキレンオキシドは、粘度は2920mPa・s、OHVから算出した数平均分子量は7300,不飽和度は0.008meq/g、分子量分布は1.014、低分子量成分の面積比率は1.1%であった。
また、粘度上昇率は1.4%と低粘度であり、顕著にハンドリング性に優れるものであった。
実施例2〜4.
実施例1のポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、サンニックスPP400)、プロピレンオキシドの比率を変更した以外同様の操作により、ポリアルキレンオキシドを得た。触媒の投入量はプロピレンオキシドの投入量に応じて適宜調整を行った。重合倍率が高いものは必要に応じて途中でプロピレンオキシドの投入を停止後内容液を一部脱液し、プロピレンオキシドの投入を再開した。
得られたポリアルキレンオキシドは、粘度上昇率が何れも1.5未満の低粘度であり、顕著にハンドリング性に優れるものであった。
また、不飽和度が低く、OHVより算出した数平均分子量も高くウレタンとした際に機械物性に期待できるポリアルキレンオキシドであった。結果を表1に併せて示す。
比較例1.
実施例1のポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、サンニックスPP400)の投入量を100.4g(活性水素量126mmol)に変更し、プロピレンオキシドのし投入量を1230mlに変更した以外は実施例1と同様の操作により、ポリアルキレンオキシドを得た。
得られたポリアルキレンオキシドのは、OHVより算出した数平均分子量が低く、ウレタンとした際に伸び物性に期待できないポリアルキレンオキシドであった。また粘度上昇率が26.0%であり、粘度の顕著な低減効果を確認できなかった。
比較例2〜5.
触媒として市販の中国製DMC触媒を用いた以外は実施例1と同様の方法により、ポリアルキレンオキシドを得た。触媒の投入量はプロピレンオキシドの投入量に応じて適宜調整を行った。重合倍率が高いものは必要に応じて途中でプロピレンオキシドの投入を停止後内容液を一部脱液し、プロピレンオキシドの投入を再開した。
得られたポリアルキレンオキシドは、実施例のものと比較して分子量分布が広く、粘度上昇率は何れも5%を超えるものであって、高粘度であり、実施例と比較して顕著にハンドリング性に劣るものであった。そのため分子量に合う用途のウレタンとする際に不均一となり、良好なウレタン物性が期待できないポリアルキレンオキシドであった。
比較例6.
実施例1のポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、サンニックスPP400)、プロピレンオキシドの比率を変更し、前処理の条件を変更した点以外は同様の操作により、ポリアルキレンオキシドを得た。
具体的には、撹拌翼を付した2リットルのオートクレーブを窒素雰囲気下とし、ポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、サンニックスPP400)99.9g(活性水素量500mmol)、合成例1で得られたイミノフォスファゼニウム塩Aの25重量%2−プロパノール溶液10.87g(5.2mmol)を加えた。内温を80℃とし、180rpmで撹拌しながら0.5kPaで1時間減圧処理を行い触媒前駆体を得た。その後、トリイソプロポキシアルミニウムの29重量%ヘキサン溶液10.8g(15.2mmol)を加え、内温を80℃とし、180rpmで撹拌しながら0.5kPaで1時間減圧処理を行い、アルキレンオキシド重合触媒を得た以外、実施例1〜4と同様の操作により、ポリアルキレンオキシドを得た。重合倍率が高いため、プロピレンオキシドの投入を停止後内容液を約半量脱液し、プロピレンオキシドの投入を再開する操作を3度行った。
得られたポリアルキレンオキシドの触媒を除去し、得られたポリアルキレンオキシドは、実施例のものと比較して分子量分布が1.041と若干広く、また、粘度上昇率が5%を超え、粘度の低減効果は軽微であり、低不飽和度でかつ高分子量のためハンドリング性が悪く使用が困難なポリアルキレンオキシドであった。
以上の結果を表1に併せて示す。
Figure 0006878765
実施例5.
実施例1のポリエーテルポリオールを三洋化成工業社製、サンニックスGP1000(官能基数3)に変更し、プロピレンオキシドの比率を変更した以外は実施例1と同様の操作により、ポリアルキレンオキシドを得た。
得られたポリアルキレンオキシドは、数平均分子量が7000[g/mol]であるのに対し、粘度が1790と低く低粘度であり、分子量分布が1.011と狭いため、顕著にハンドリング性に優れるものであった。また、不飽和度1.011と低く、数平均分子量も高いためウレタンとした際に機械物性に期待できるポリアルキレンオキシドであった。
比較例7.
実施例5のポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、サンニックスGP1000)、プロピレンオキシドの比率を変更し、触媒として市販の中国製DMC触媒を用いた以外は実施例5と同様の操作により、ポリアルキレンオキシドを得た。
得られたポリアルキレンオキシドは、数平均分子量が5100[g/mol]であるのに対し、粘度が1090[mPa・s]と、高粘度であり、実施例と比較して顕著にハンドリング性に劣るものであった。また、実施例のものと比較して分子量分布が1.035と広く高粘度でハンドリング性が悪いため、使用が困難なポリアルキレンオキシドであった。そのため分子量に合う用途のウレタンとする際に不均一となり、良好なウレタン物性が期待できないポリアルキレンオキシドであった。
以上の結果を表2に合わせて示す。
Figure 0006878765
次に、OHVより算出した数平均分子量が18400である、実施例3、比較例4で得られたポリアルキレンオキシドについて、溶媒への分散性を評価した。
実施例3で得られたポリアルキレンオキシドは、溶媒のメチルエチルケトンに5分以内に分散し、良好な分散性を示した(溶媒への分散性○)。
一方、比較例4で得られたポリアルキレンオキシドは粘度が高く、溶媒への分散には6分以上を要し、同一分子量の比較においてハンドリング性に劣るものであった(溶媒への分散性×)。
応用例1.
実施例1で得たポリアルキレンオキシド100重量部、ジフェニルメタンジイソシアネート5.8部(商品名:ミリオネートMT)、ジブチルスズジラウレート0.05部をセパラブルフラスコに入れ撹拌した。
80℃で5時間反応後、100μm厚みにドクターブレードを用いて塗工。7日後、ウレタン硬化物のフィルムとして成形可能であった。
応用例2.
比較例3で得たポリアルキレンオキシド100重量部、ジフェニルメタンジイソシアネート5.8部(商品名:ミリオネートMT)、ジブチルスズジラウレート0.05部をセパラブルフラスコに入れ撹拌した。
80℃で5時間反応後、ドクターブレードを用いて100μm厚みの塗工を試みたが粘度が高く均一な塗工が困難であり、ウレタン硬化物のフィルムとして成形は困難であった。
本発明のポリアルキレンオキシドは、ポリウレタン原料、ポリエステル原料、界面活性剤原料、潤滑剤原料等に有用である。特に各種イソシアネート化合物と反応させることにより、断熱材等に使用される硬質フォーム、自動車のシート・クッション、寝具等に使用される軟質フォーム、接着剤、塗料、シーリング材、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーへの展開が期待される。

Claims (4)

  1. ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエッションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.029以下、不飽和度が0.010meq/g以下、数平均分子量が5000以上であり、下記一般式(1)で表され、「(ZO)p」、「(AO)q」、「(CH2−CH2−O)r」で表されるブロック構成単位を有し、かつ末端に(「CH2−CH2−O)r」で表されるブロック構成単位が位置し、式p+q>10rを満たすポリアルキレンオキシド。
    Figure 0006878765
    [一般式(1)中、Rは、活性水素含有化合物(R[−H]m)からm個の活性水素を除いたm価の基;Zは炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基であり、Aは炭素数3のアルキレン基である。複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい;mは1又は2〜100の整数;pは0又は1〜500の整数、qは1〜1000の整数;rは0又は1〜500の整数である。]
  2. 上記一般式(1)中、p+qが10〜1000、qが10〜1000、rが0又は1〜90であることを特徴とする請求項1に記載のポリアルキレンオキシド。
  3. 上記一般式(1)中、rが0であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリアルキレンオキシド。
  4. 分子量分布(Mw/Mn)が、分離カラムに粒径3μmの充填剤を充填したカラム4本を直列接続し、レファレンス側に抵抗管を接続、展開溶媒にテトラヒドロフランを用いた条件で分析した分子量分布であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のポリアルキレンオキシド。
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