JP6878761B2 - ポンプ用モータ装置 - Google Patents
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Description
このABSの駆動源としては、エンジンから直接駆動力を得る場合ももちろんあるが、一般的には、モータが使用され、モータ装置が構築されていることが多い。
このようなモータの回転力は、油圧ポンプのピストンの直線往復運動に変換され、油圧が制御されることによって、ブレーキディスクの制動力が制御されるように構成されている。
モータ部に配置されるモータは、ポンプ部に組付けられて、ABSの動力源となるものである。
このモータ部は、モータや、モータを囲繞するとともに、内壁面に磁石が貼設されたカップ状のヨークハウジングや、モータの回転軸を回転可能に支承する軸受等を備えて構成されている。
なお、モータの回転軸は、ヨークハウジングに取付られた反出力側軸受と、ブラシホルダの中央部に配置される保持部に保持された出力側軸受と、によりその両端部が支承されるものである。
このように構成されたモータ部は、ポンプ部に対して軸方向に取付けられる。
これらの取付け時には、出力側軸受は、保持部に保持された状態で、ポンプ部の開口部(モータ側に開口するカップ状の凹部である回転軸収容部の開口部)に形成された当接面にて保持されることとなる。
そして、このように出力側軸受が配置された状態においては、回転軸の端部が回転軸収容部内に突出するように構成されている。
また、この出力軸(回転軸)の端部には、出力軸の回転中心と異なる回転中心を持つ偏心部が配設されており、この偏心部の外周には、ポンプのピストンに当接する動力出力用軸受が配置されている。
よって、モータが回転して出力軸(回転軸)が回転すると、偏心部(及びこれに配置された出力用軸受)が偏心運動を行い、これにより、プランジャ(ピストン)が直線往復運動を行うこととなる。
そして、このプランジャ(ピストン)の運動により、油圧部の体積変化が起こり、よって、作動油が圧送されることとなる。
しかし、逆にいえば、ブランジャ(ピストン)の直線往復運動の反力としてのエネルギーもまた、偏心部を介して、モータ部に配設されているフロント軸受に伝わり、これにより、モータ部に配置されている各部品が振動する原因となる。
そして、各部品のクリアランス部が干渉することにより、振動や異音が発生するという問題が生じることとなる。特に、整流子やブラシがこの反力としてのエネルギーを受けて振動すると、整流時に乱れが生じるという問題があった。
このような状況下、ブランジャ(ピストン)運動による反力に抗い、モータ部を構成する部品が振動することを防止するための技術の開発が求められていた。
このように一対のブラシを配置することによって、モータ部がピストンの往復直線運動により受ける反力を一対のブラシに付加される付勢力により相殺することができる。
つまり、往復直線運動による反力は、同方向において整流子方向に向かう(つまり、整流子方向に向かって付加される)各々の付勢力により相殺されることとなる。
よって、モータ部において振動が抑制されることにより、作動時に異音が発生することを有効に防止することができる。
また、モータ部の構成部材である整流子においても振動が抑制されるため、整流の乱れを有効に防止することができる。
更に、本発明においては、ブラシを整流子方向に付勢するために元々備えられている付勢部材(スプリング等)を使用して、ピストンの反力を相殺するため、特別な部品が不要である。このため、簡易に当該構造を実現可能であるとともに、当該機構を備えるための追加部品が不要であり、コスト的にも有利である。
このため、モータ部を構成する部材の振動を有効に防止することができ、特に、整流子の振動を防止して整流の乱れを有効に回避することができる。
また、複数対のブラシを有する構成であれば、当該方向に沿って設置される一対のブラシを押圧する付勢力を、他のブラシを押圧する付勢力よりも大きくすることにより、上記効果をより一層効率的に奏することができる。
このように、本発明によれば、ピストンの運動によって発生する反力に抗い、ポンプ部を構成する部品の振動を有効に低減し、良好な整流を実現することができる。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、ピストンの運動によって発生する反力によって引き起こされる、ポンプ部を構成する部品の振動を有効に低減することができるポンプ用モータ装置に関するものである。
また、図4には、上記実施形態の改変例を示した。
最初に、本実施形態に係るポンプ用モータ装置Sの構成の一例について簡単に説明する。
当該ポンプ用モータ装置Sは、アンチロックブレーキングシステムに好適に使用される装置であり、モータ部1と、ポンプ部2と、を組み合わせることにより構成されている。
なお、モータ10の出力側とは、モータ10の動力が伝達されていく側であり、本実施形態においてはポンプ部2に向かう側となる。また、基端部側とは、回転軸21の軸方向反対側を指すものである。
モータ部1を構成するモータ10は、直流モータであり、所謂ポンプ用モータである。
なお、図1は、本実施形態に係るポンプ用モータ装置Sの概略構成を説明する説明図であるが、説明のため、一部切欠き部分(予圧付与部分)に内部形状を記してある。
ヨークハウジング11の筒部内周面には、界磁用のマグネット13が固着されている。本実施形態においては、マグネット13の磁極数は6極である。ヨークハウジング11の底部中央部には、内側に向けて円筒状に突出形成された軸受保持部11aが設けられ、軸受保持部11aの内周面にはリア軸受14が圧入されている。マグネット13の内側にはロータ20が回転可能に収容され、ロータ20の回転軸21の基端部がリア軸受14にて支持されている。
この場合、モータ10の基端部側(リア軸受14側)から順に、第1コアブロックA、第2コアブロックB、第3コアブロックC(図示せず)、第4コアブロックD(図示せず)とする。第1〜第4コアブロックA〜Dは、磁性金属板材よりなるコアシートを軸方向に複数枚積層して構成されるものであり、外周側に周方向等間隔にコイル23の巻装のための18個のティース部を備えている。なお、第1〜第4コアブロックA〜Dの各コアシートは、環状部分に適宜に設けたかしめ固定部にて軸方向の積層前後で互いに連結されている。
本実施形態においては、マグネット13の磁極数「6」に対し、ロータ20側の突極数は「18」に設定されている。なお、各ティース部は、第1〜第4コアブロックA〜Dで同形状に構成されている。
なお、第4コアブロックDの孔部は整流子24の一部の収容に用いられる。
回転軸21の基端部はリア軸受14にて回転可能に支持され、リア軸受14の外輪がヨークハウジング11の軸受保持部11aに圧入されるのに対し、内輪には回転軸21が遊嵌されている。つまり、回転軸21(ロータ20)は、軸方向に移動可能に支持されている。
このウエーブワッシャW1に、予圧部材配設空間H1において、第2コアブロックBの基端部側の面と、リア軸受14の出力側面との間に介在するように張設され、軸方向への予圧を付与するものである。つまり、このウエーブワッシャW1は、リア軸受14の出力側面を支点とし、自身の付勢力を第2コアブロックBの端面(基端部側端面)に作用させて、ロータ20を先端側(出力側)に押圧するものである。
この出力部21aは、回転軸21と同軸の同軸部121aと、この回転軸21の軸からずれた位置(偏心した位置)に軸を持つ偏心部121bと、により構成されている。
そして、同軸部121aの外周にはフロント軸受17が配置されており、偏心部121bの外周には、出力用軸受121dが配置されている。本例では、この出力用軸受121dとして、ニードルベアリングを使用している。
このフロント軸受17は、ポンプ部2を構成するポンプハウジング31に配設されるとともに、出力用軸受121dの外周部は、ポンプ部2を構成するピストン32に当接するよう配置される。
そして、本実施形態においては、例えば、均圧線は120°結線となるよう設計されている。
なお、本実施形態において、この挿通孔12aは、径の異なる3個の部分にて構成されている。
つまり、基端部側には、整流子24の径と整合する径を有する整流子配設孔G1が形成され、その整流子配設孔G1の出力側には、回転軸21の径より僅かに大きい径の回転軸配設孔G2が形成されている。また、この回転軸配設孔G2の出力側には、フロント軸受17の最大径と整合する径を有する軸受配設孔G3が形成されている。
このように構成されているため、回転軸配設孔G2に回転軸21を配設した状態において、ブラシホルダ12の基端部側(整流子配設孔G1)には、整流子24の基端部側の一部が配置されるとともに、出力側(回転軸配設孔G2)にはフロント軸受17の基端部側の一部が配置されることとなる。
本実施形態においては、6個のブラシ装置25が配置されている。
ブラシ装置25は、矩形筒状の被覆部26を有し、この被覆部26内に、直方体状のブラシ27が径方向に進退可能に収容されている。ブラシ27は、その後端面がスプリング28の付勢力を受け、整流子24の外周面のセグメント24aに圧接するよう構成されている。そして、ブラシ27及び整流子24を通じてロータ20のコイル23に給電が行われ、ロータ20に回転のための磁界を生じさせる。
このブラシ装置25の配置は、本実施形態の主要構成であるため、後に詳述する。
次いで、ポンプ部2について説明する。
図1に示すように、ポンプ部2は、ポンプハウジング31を備えており、そのモータ部1と対向する面にモータ部1から突出する偏心部121b及び出力用軸受121dを格納する伝達室31aが形成されている。この伝達室31aは、ポンプハウジング31においてモータ部1と当接する面を回転軸21の軸方向に沿って有底円筒状に凹設するように穿たれた孔部であり、出力用軸受121dを外装した偏心部121bが偏心運動可能となる空間サイズが確保されている。
上記のように構成されたモータ部1は、ポンプ部2に組付けられる。
このとき、ブラシホルダ12を構成するブラシホルダ保持部12bが、ポンプハウジング31に固定される。
また、出力用軸受121dが外装された偏心部121bは、伝達室31a内部に配置される。このとき、出力用軸受121dの外側壁は、ピストン32の端部に当接している。
そして、フロント軸受17が、伝達室31aにおけるモータ部1配設側の開口端を閉塞するように取付けられる。つまり、伝達室31aを構成する伝達室側面部312の開口端付近に取付けられることとなる。
より詳しく説明すると、フロント軸受17は、その基端部側がブラシホルダ12に形成された軸受配設孔G3に配置された状態で、その出力側が伝達室31aを構成する伝達室側面部312に取付けられる。
このように構成されているので、モータ部1をポンプ部2に組付けた状態においては、回転軸21はリア軸受14とフロント軸受17とによって回転可能に支承されるとともに、伝達室31a内に偏心部121b及び出力用軸受121dを配置して、回転軸21の回転力を偏心部121b及び出力用軸受121dに伝達することができる。
そして、このように出力用軸受121dは、偏心部121bを介して、ピストン32に対し駆動力を付与することとなる。
次いで、図2及び図3により、ブラシ装置25の配置について説明する。
図2は、ブラシ装置25の配置を説明するもので、ブラシホルダ12を基端部側から見た説明図である。
なお、本実施形態においては、ブラシ27(ブラシ装置25)は6個使用されているが、説明に関連のある2個だけを図示している。
また、図3には、ブラシ27の配置を説明するために、モータ10の巻線状態を平面状に展開した模式図に、ブラシ27の位置を記載している。
対となるブラシ27,27は、ピストン32の往復直線運動方向に、その長手方向が沿うように配置される。つまり、対となるブラシ27,27は、整流子24を挟んで、180°離隔する位置にブラシ27,27が配置されることとなる。
そして、スプリング28は、ブラシ27の後端面から、ブラシ27を整流子24へと押し当てるものであるから、当然、このスプリング28の付勢力は、ピストン32の往復直線運動方向に沿う方向であって、整流子24方向を向くものとなる。
このように構成されることで、ピストン32の往復直線運動によりモータ部1に係る反力は、この反力に対向する方向に加わるスプリング28の付勢力により相殺されることとなる。
このように、一対のブラシ27、27の配置を工夫し、スプリング28の整流子24への押圧方向をピストン32の往復直線運動方向に沿わせることによって、ピストン32からの反力を効率良く相殺し、これにより、モータ部1を構成する各部品の振動を有効に抑制することができる。
図4により、上記実施形態の改変例について説明する。
上記実施形態においては、一対のブラシ27,27を、ピストン32の往復直線運動の向きに沿う向きに配置した。
本改変例では、更に、ブラシ27を押圧しているスプリング28の付勢力を変化させた。
なお、その他の部材及び構成等は、上記実施形態と同様であるため、説明は省略する。
そして、本例においては、第1スプリング28aのバネ定数をk1とし、第2スプリング28bのバネ定数をk2とすると、k1<k2となるように構成されている。つまり、第2スプリング28bの付勢力が、第1スプリング28aの付勢力よりも大きくなるように構成されている。
なお、通常使用される付勢力のものは第1スプリング28aであるとする。
つまり、本例においては、通常のもの(第1スプリング28a)よりも付勢力の強い第2スプリング28bが併用されることとなる。
そして、このピストン32の往復直線運動方向に沿うように配置されたブラシ27,27を押圧するのが、付勢力の高い第2スプリング28b,28bとなるように構成されている。
なお、図4に示すように、その他の4本(2対)のブラシ27を押圧しているのは、第2スプリング28bよりも、付勢力の小さい第1スプリング28aとなっている。
この構成により、ピストン32からの反力をより効率良く相殺し、これにより、モータ部1を構成する各部品の振動を有効に抑制することができる。
そして、この構成を実現するためには、上記実施形態に対し、ピストン32の往復直線運動方向に沿うように配置されたブラシ27,27を押圧するスプリング28,28(第1スプリング28a,28aである)を第2スプリング28b,28bに変更すればよいだけであるため、非常に簡易に当該構成を実現することができる。
10・・モータ、
11・・ヨークハウジング、11a・・軸受保持部、
12・・ブラシホルダ、
12a・・挿通孔、G1・・整流子配設孔、G2・・回転軸配設孔、G3・・軸受配設孔、
12b・・ブラシホルダ保持部、12c・・配線兼用プレート、
13・・マグネット、
14・・リア軸受、20・・ロータ、
21・・回転軸、21a・・出力部、121a・・同軸部、121b・・偏心部、
17・・フロント軸受、121d・・出力用軸受、
22・・ロータコア、23・・コイル、
A〜D・・第1〜第4コアブロック、
24・・整流子、24a・・セグメント、
25・・ブラシ装置、26・・被覆部、27・・ブラシ、
28・・スプリング、
28a・・第1スプリング(第1付勢部材)、28b・・第2スプリング(第2付勢部材)、
31・・ポンプハウジング、311・・伝達室底面部、312・・伝達室側面部、
31a・・伝達室、
31b・・ピストン収容部、31c・・油圧室、32・・ピストン、
H1・・予圧部材配設空間、W1・・ウエーブワッシャ
Claims (2)
- 回転駆動されるロータと該ロータを軸方向に貫通する回転軸とを少なくとも備えて構成されたモータと、前記ロータを被覆するカップ形状のヨークハウジングと、該ヨークハウジングの開口部を被覆するブラシホルダと、該ブラシホルダに配設されるブラシが摺接する整流子と、を少なくとも有するモータ部と、
往復直線運動を行い油圧を変化させるピストンと、該ピストンを格納するポンプハウジングと、を少なくとも備え、前記回転軸の軸方向において前記モータ部と連結されるポンプ部と、を備えたポンプ用モータ装置であって、
前記ブラシは、前記整流子を挟んで少なくとも一対配置されており、
一対の前記ブラシは、前記ピストンの往復直線運動方向に沿う方向に配置されるとともに、同方向に沿って前記整流子に向けて付勢されていて、
前記ブラシは、複数対配置されており、
前記ピストンの往復直線運動方向に沿う方向に配置される一対の前記ブラシは、第2付勢部材により前記整流子の方向に付勢されており、
その他の前記ブラシは、第1付勢部材により前記整流子の方向に付勢されるものであり、
前記第2付勢部材の付勢力は、前記第1付勢部材の付勢力よりも大きくなるように設定されていることを特徴とするポンプ用モータ装置。 - 前記ピストンの往復直線運動方向は、上下方向であり、
一対の前記ブラシは、上下方向に180°の角度を成し対向していることを特徴とする請求項1に記載のポンプ用モータ装置。
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