JP6878259B2 - 伝送回路、配線基板および高周波装置 - Google Patents

伝送回路、配線基板および高周波装置 Download PDF

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Description

本発明は、高周波信号が伝送される信号線路を含む伝送回路、配線基板および高周波装置に関する。
RF(radio frequency)信号等の高周波信号を伝送する電子回路が、種々の高周波伝
送用基板に用いられている。この電子回路は、終端抵抗を有する伝送回路に接続されて終端処理される。また、伝送回路は、バイアス電流を電子回路に与えるためのバイアス線路も有している。
上記終端処理を行なう伝送回路は、高周波信号が伝送される信号線路の端部が50Ωの終端抵抗を介して接地されている。バイアス線路は、直流電源に接続された端と反対側の端が、バイアス抵抗を介して信号線路に接続されている。また、バイアス線路および信号線路の接点と終端抵抗との間には、直流電流の終端抵抗への流れ込みを防ぐための容量が位置している。(例えば、特許文献1を参照)。
特開2010−135738号公報
近年、上記終端処理を行なう伝送線路において、いわゆる省エネルギー等の観点から、バイアス線路に印加する直流電圧を低く抑えることが求められるようになってきている。これに対して、例えば、バイアス抵抗を小さくして、バイアス線路から信号線路にバイアス電流が流れやすくすることが考えられる。しかしながら、バイアス抵抗を小さくすると、バイアス線路への高周波信号の流れ込みの可能性が増加する。
本発明の1つの態様の伝送回路は、信号源に接続された第1端、該第1端と反対側に位置し接地電位に接続された第2端および前記第1端と前記第2端との間に位置する接点を有する信号線路と、前記信号線路側に位置する第3端および該第3端と反対側に位置し直流電源に接続された第4端を有するバイアス線路と、前記信号線路の前記第1端と前記接点との間に直列接続されて位置している終端抵抗と、前記信号線路の前記接点と前記第2端との間に直列接続されて位置しているコンデンサと、前記バイアス線路の前記第3端と前記第4端との間に直列接続された抵抗とを備える。
本発明の1つの態様の配線基板は、第1面を有する誘電体基板と、該誘電体基板の前記第1面に位置する高周波信号の伝送回路とを備えており、該伝送回路は、信号源に接続される第1端および該第1端と反対側に位置する第2端とを有する信号線路と、該信号線路の前記第1端と前記第2端との間に位置し、前記信号線路と直列接続された中継パッドと、該中継パッドに接続された第3端および該第3端と反対側に位置し接続パッドに接続された第4端を有するバイアス線路と、前記信号線路の前記第1端と前記中継パッドとの間に直列接続された終端抵抗器と、前記信号線路の前記第2端と電気的に接続された接地導体と、前記中継パッドと前記接地導体との間において前記信号線路に直列接続された容量素子と、前記バイアス線路の前記第3端と前記第4端との間に直列接続されたバイアス線路とを備える。
本発明の1つの態様の高周波装置は、上記構成の配線基板と、前記信号線路の前記第1端に電気的に接続された半導体素子と、前記接続パッドに電気的に接続された直流電源とを備える。
本発明の1つの態様の伝送回路によれば、上記構成のバイアス線路等を有することから、バイアス抵抗を小さく抑えることができる。したがって、バイアス線路への高周波信号の流れ込みを抑制しながら、バイアス抵抗を小さく抑えることができ、電力の抑制等に有利な伝送回路を提供することができる。
本発明の1つの態様の配線基板によれば、上記構成のバイアス線路等を有することから、バイアス抵抗を小さく抑えることができる。したがって、バイアス線路への高周波信号の流れ込みを抑制しながら、バイアス抵抗を小さく抑えることができ、電力の抑制等に有利な配線基板を提供することができる。
本発明の1つの態様の高周波装置によれば、上記構成の配線基板を含むことから、電力を抑制しながら信号線路に所定のバイアス電流を与えることが容易である。したがって、高周波信号の終端処理を行なう終端基板等の形成に適した高周波装置を提供することができる。
本発明の実施形態の伝送回路を示す等価回路図である。 (a)は、本発明の実施形態の配線基板を示す上面図であり、(b)は、その下面図である。 本発明の実施形態の配線基板および高周波装置を示す斜視図である。 本発明の実施形態の配線基板において容量素子を省いて示す斜視図である。 本発明の他の実施形態の配線基板の一部を示す平面図である。 本発明の実施形態の伝送回路および配線基板の反射損失を示すグラフである。
本発明の実施形態の伝送回路、配線基板および高周波装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明における高周波とは、例えば約10GHz以上の信号である。図1は、本発明の実施形態の伝送回路を示す等価回路図である。図2(a)は、本発明の実施形態の配線基板を示す上面図であり、図2(b)は、その下面図である。図3は、本発明の実施形態の配線基板および高周波装置を示す斜視図である。図4は、本発明の実施形態の配線基板において容量素子を省いて示す斜視図である。本実施形態において、後述する誘電体基板の第1面を上面とし、その反対側の面を下面としている。
(伝送回路)
本実施形態の伝送回路1は、信号源SSに接続された信号線路SLと、直流電源DCに接続されたバイアス線路BLとを有し、信号線路SLの長さ方向の一部にバイアス線路BLが接続されている。信号線路SLは、例えば半導体集積回路素子等から伝送される高周波信号(例えば約10GHz以上)RFが伝送される伝送路として機能する。また、バイアス線路BLは、信号線路にバイアス電圧を付与する機能を有している。バイアス電圧によって高周波信号RFに対する外部電磁ノイズの影響が低減される。
図1に示す例において、信号線路SLは、半導体集積回路素子等の信号源SSに接続された第1端L1、第1端L1と反対側に位置し接地電位Gに接続された第2端L2および
第1端L1と第2端L2との間に位置する接点Nを有している。バイアス線路BLは、第3端L3と、第3端L3と反対側に位置し直流電源DCに接続された第4端L4を有している。第3端L3は信号線路SL側に位置している。また、伝送線路1は、信号線路SLの第1端L1と接点Nとの間に直列接続されて位置している終端抵抗R1と、信号線路SLの接点Nと第2端L2との間に直列接続されて位置しているコンデンサCと、第3端L3とバイアス線路BLの第4端L4との間に直列接続された抵抗R2とを備えている。なお、以下において、この抵抗R2をバイアス抵抗R2という場合がある。
信号線路SLに接続された信号源SSは、例えば前述したように半導体集積回路素子等の高周波信号を発信する電子部品である。また、信号源SSは、無線機器のアンテナと接続された、分派器および帯域フィルタ等を含む高周波信号の処理用の電子回路(以下、高
周波回路ともいう)であってもよい。この場合の電子回路都実施形態の伝送回路1とは、例えば同じ基体に配置されていても構わない。信号源SSから信号線路SLの第1端L1に高周波信号RFが伝送される。
信号線路SLは、上記のような信号源から伝送される高周波信号を、終端抵抗R1を介して接地電位Gに導き終端処理を行なわせる機能を有している。終端抵抗R1は、例えば上記の電子回路の特性インピーダンスと同様であり、例えば50Ωに設定されている。終端抵抗R1を介して接地された信号線路SLによって、伝送される高周波信号RF(例えば第1端L1に接続された高周波回路)が効果的に終端させる。
第4端L4に接続されたバイアス線路BLは、前述したようにバイアス電流を信号線路SLに付与する機能を有し、第4端L4において直流電源DCと電気的に接続されている。直流電源DCからバイアス線路BLを介してバイアス電圧が信号線路SLに付与される。信号線路SLを伝送される高周波信号RFにバイアス電圧が付与されることで信号レベルが高くなり、外部の電磁ノイズに起因した高周波信号への影響が低減される。
第3端L3と第4端L4との間に位置する抵抗R2は、バイアス線路BLへの高周波信号RFの流れ込みを抑制する機能を有している。仮に高周波信号RFの一部がバイアス線路BLに流れ込むと、信号線路SLへのバイアス電圧の付与が妨げられる可能性がある。
信号線路SLにおいて接点Nと接地電位Gとの間に配置されているコンデンサCは、接点Nから接地電位G側に、直流電源DCからバイアス電圧による電流(直流)が流れ込むのを防ぐ機能を有している。バイアス電圧による電流は直流であるため、コンデンサCによって効果的に遮断され、接点Nの方向、つまり信号線路SL側にバイアス電圧が効率よく付与される。なお、高周波信号RFは、コンデンサCを通過できるため、接地電位Gにより接地できる。
実施形態の伝送回路1は、例えば第1端L1に接続される高周波回路に対する終端回路として用いることができる。この終端回路においては、終端処理を行なう終端抵抗R1よりも後ろ側(第1端L1から遠ざかる方向)にバイアス線路BLが接続されている。また、信号線路SLとバイアス線路BLとの接点Nよりも後ろ側でコンデンサCを介して接地されている。すなわち、信号線路SLとバイアス線路BLとの接点Nは、高周波信号RFが終端抵抗R1によって減衰した後で行なわれる。つまり、高周波信号RFをバイアス線路BLに流れ込ませる電位が低く抑えられている。そのため、バイアス抵抗R2の抵抗値を、比較的小さく抑えることができる。
すなわち、本実施形態の伝送回路1によれば、上記構成のバイアス線路BL等を有することから、バイアス抵抗R2を小さく抑えることができる。したがって、バイアス線路BLへの高周波信号RFの流れ込みを抑制しながら、バイアス抵抗R2を小さく抑えること
ができる。これにより、例えば後述する配線基板に用いられたときに、電力の抑制等に有利な伝送回路1を提供することができる。
(配線基板)
本実施形態の配線基板10は、第1面2aを有する誘電体基板2と、誘電体基板2の第1面2aに位置する高周波信号の伝送回路とを有している。この配線基板10に含まれる伝送回路は、例えば上記実施形態の伝送回路1と同様の構成を有している。配線基板10の実施形態の一例を図3に示し、この配線基板10から容量素子3(詳細は後述)を省いたもの(配線基板用の基板)(この基板としては符号なし)を図4に示している。図2では、容量素子3を破線で示している。本実施形態の配線基板10は、終端回路としての伝送回路1を有しているため、前述したような信号源SS等の高周波回路の終端基板として用いることができる。また、見やすくするために第2端L2の図示を省略している。
図2に示す例において、配線基板10は、第1面2aを有する誘電体基板2と、誘電体基板2の第1面2aに位置する高周波信号の伝送回路1とを備えている。伝送回路1は、信号源SSに接続される第1端L1および第1端L1と反対側に位置する第2端L2とを有する信号線路SLと、信号線路SLの第1端L1と第2端L2との間に位置し、信号線路SLと直列接続された中継パッド4と、中継パッド4に接続された第3端L3および第3端L3と反対側に位置し接続パッド4に接続された第4端L4を有するバイアス線路BLとを有している。中継パッド4は、前述した実施形態の伝送回路1における接点Nに相当する。中継パッド4を介して、信号線路SLとバイアス線路BLとが互いに接続されている。
また、伝送回路1は、信号線路SLの第1端L1と中継パッド4との間に直列接続された終端抵抗器5と、信号線路SLの第2端L2と電気的に接続された接地導体6と、中継パッド4と接地導体6との間において信号線路SLに直列接続された容量素子3と、バイアス線路BLの第3端L3と第4端L4との間に直列接続されたバイアス抵抗器8とを備えている。バイアス線路BLの第4端は、接続パッド9と接続されている。
終端抵抗器5は、前述した実施形態の伝送回路1における終端抵抗R1に相当する導体層である。接地導体6は、前述した実施形態の伝送回路1における接地電位Gを供給する導体である。容量素子3は、前述した実施形態の伝送回路1におけるコンデンサに相当する。バイアス抵抗器8は、前述した実施形態の伝送回路1における抵抗(バイアス抵抗)R2に相当する。また、接続パッド9には、直流電源DCが接続される。接続パッド9を介して、第4端L4からバイアス線路BL、さらに信号線路SLにバイアス電圧が付与される。すなわち、接続パッド9は、前述した実施形態の伝送回路1における直流電源DCに相当するものとみなすこともできる。
容量素子3は、例えばセラミック積層コンデンサ(チップコンデンサ)であり、直方体状等の誘電基体の互いに対向する2面に一対の電極が位置している。この一対の電極が信号線路SLに対して直列接続されている。なお、実施形態の配線基板10は、上記チップコンデンサ等を含むものであるが、伝送回路1におけるコンデンサは、他の形態でもよく、例えばハイパスフィルタや誘電体基板2に内蔵されたものでもよい。
図3および図4に示す例において、誘電体基板2は平板状であり、平面視で長方形状である。誘電体基板2は、この形態に限らず、表面の一部に凹凸を有するものでもよく、長方形以外の形状であってもよい。例えば、全体に長方形等の四角形状であって、その側面の一部に外部接続時の位置合せ用等の切欠きを有しているものでもよい。また、誘電体基板1は、角部が円弧状に面取りされている四角形状等でもよく、平面視で円形状または楕円形状等でもよい。図3においても、見やすくするために第2端L2の図示を省略してい
る。
誘電体基板2は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化ケイ素質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミック焼結体等の絶縁材料により形成されている。誘電体基板2の厚みおよび平面視における寸法は、配線基板10としての用途、機械的強度および外部接続時の実装スペース等の条件に応じて、適宜設定することができる。
誘電体基板2は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。まず、酸化アルミニウム、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウム等の原料粉末を適当な有機溶剤およびバインダと混練してスラリーを作製する。次にスラリーをドクタブレード法等の方法でシート状に成形した後に、所定の形状および寸法に切断して複数のセラミックグリーンシートを作製する。その後、セラミックグリーンシートを必要に応じて複数上下に積層し、1300〜1600℃等の温度で焼成する。以上の工程によって誘電体基板2を製作することができる。
配線基板10における信号線路SLおよびバイアス線路BLは、誘電体基板2の第1面2aに所定の導体パターンとして形成されている。バイアス線路の線幅は印加される電圧や電流値に依存するため、信号線路SLの線幅と異なっていても構わない。
本実施形態の配線基板10における信号線路SLは、平面視でほぼL字状であり、第1端L1が誘電体基板2の短辺側の端に位置している。この第1端L1に接するように信号源SSからの配線が位置し、例えばボンディングワイヤ等の導電性接続材(図示せず)により両者が互いに接続される。また、第2端L2が第1面2aの1つの短辺側に偏って位置し、終端抵抗器5と接続されている。終端抵抗器5に中継パッド4が直接接続され、中継パッド4に容量素子3の一対の電極の一方が接続されている。容量素子3の一対の電極の他方は、接地導体6(接地パッド6a)に接続されている。容量素子3がチップコンデンサであるときには、容量素子3の上記一対の電極が、それぞれ、スズ−銀−銅等のはんだを含む低融点ろう材または導電性接着剤等の導電性接合材(図示せず)によって、中継パッド4および接地パッド6aに接合されている。
すなわち、信号線路SLの第1端L1から終端抵抗器5、中継パッド4、容量素子3および接地導体6が順次直列に接続されている。すなわち、配線基板10における信号線路SLの第2端L2の位置は、等価回路である図1における第2端L2と異なる位置を示しているように見えるが、実質的には、両者の第2端L2の位置は一致している。
信号線路SLおよびバイアス線路BLは、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、パラジウム、白金、金、ニッケル、コバルト、クロムおよびチタン等の金属材料から適宜選択した金属材料によって形成することができる。また、信号線路SLおよびバイアス線路BLは、上記の金属材料を含む合金材料からなるものでもよく、複数種のものが複数層に積層されたものでもよい。このような金属材料は、例えば、メタライズ法、めっき法または薄膜法(蒸着等)の方法によって誘電体基板2の第1面2aに形成することができる。具体的には、タングステンのメタライズ層の表面がニッケルおよび金等のめっき層で被覆されたもの等が挙げられる。
例えば、信号線路SL等がメタライズ法によって形成されたタングステンの金属層からなる場合であれば、次のようにすればよい。まず、タングステンの粉末を有機溶剤およびバインダと混練して金属ペーストを作製する。その後、この金属ペーストを誘電体基板2となるセラミックグリーンシートの表面に所定パターンに印刷し、一体焼成する。以上の工程によって、信号線路SL等を形成することができる。また、メタライズ法で形成したタングステン層の露出表面に、ニッケル、コバルト、銅および金等のめっき層を被着させ
てもよい。
本実施形態の配線基板10における終端抵抗器5は、信号線路SLよりも抵抗率の高い材料によって形成されている。具体的には、窒化タンタル(TaN),酸化ルテニウム(RuO),ニッケルクロム合金(Ni−Cr)、銅ニッケル合金(Cu−Ni)または銅マンガン合金(Cu−Mn)等の抵抗体材料を用いることができる。
終端抵抗器5は、例えば抵抗体材料がTaNからなる場合であれば、薄膜形成技術によって、誘電体基板2上に形成することができる。あるいは抵抗体材料が、例えばRuOのような酸化物やNi−Crのような金属の場合であれば、その粉末を主成分とするペーストを誘電体基板2上に印刷塗布して焼結させる厚膜法によって形成すればよい。薄膜によって形成すると、寸法精度に優れることから、抵抗値の精度が高いものとなる。厚膜法で形成する場合は、レーザ等によるトリミングで抵抗値を調整するとよい。あるいは、チップ抵抗器をはんだや導電性接着剤等により実装してもよい。
また、バイアス抵抗器8についても、終端抵抗器5と同様の抵抗体材料を用い、同様の方法で第2面2aに形成することができる。なお、終端抵抗器5およびバイアス抵抗器8は、上記のように導体層からなるものには限定されず、独立した部品(いわゆるチップ抵抗等)であってもよく、複数種のものが組み合わされてなるものでもよい。
また、バイアス抵抗器8は抵抗に限らず、フェライトビーズなどのインダクタやインダクタと抵抗を組み合わせたもの等、高周波信号の流れ込みを抑制できるものであってもよい。すなわち、バイアス抵抗器8は、等価回路図におけるバイアス抵抗R2と同様の機能を有する部品または導体層等であればよい。
接続パッド9は、信号線路SLおよびバイアス線路BLと同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。なお、接続パッド9は、直流電源DCとの接続の容易さおよび導通抵抗を低く抑えること等のために、信号線路SLおよびバイアス線路BLに比べて線幅が広く、面積が比較的大きくてもよい。
なお、本実施形態の配線基板10においては、信号線路SLを線幅方向に挟んで一対の接地導体6(接地パッド6a)が位置している。また、これに対応して、信号線路SLを線幅方向に挟んで2つの容量素子3が位置している。これにより、信号線路SLに対する高周波グランドが安定し、インピーダンス整合を容易に行うことができるとともに高周波特性を良好に保つことがより容易になる。
抵抗体8aは中継パッド4を挟んで接地導体6の反対側に位置しており、中継パッド4に接続されている。実施形態においてはバイアス抵抗器8を挟むように複数の箇所に配置されている。なお、後述する高周波特性の向上を重視する場合には、例えば、複数の抵抗体8aが中継パッド4を囲むように広く配置すればよい。これにより、高周波において共振が発生するリスクを抑制でき、高周波特性を良好に維持することが可能となる。また、配線基板10としての平面視における小型化および生産性等を考慮した場合には、抵抗体8aは少ない方が有利であり、例えば図2等に示すように2つあれば、上記効果を得ることができる。
図2〜図4に示す例において、誘電体基板2の第1面2aに、信号線路SLと間(いわゆるギャップまたはスペース)をあけて隣接した接地層G1、G2が位置している。接地層G1、G2と信号線路SLとによってコプレナ型の伝送線路が構成されている。これにより、信号線路SLにおける高周波信号の伝送がより容易になる。また、信号線路SLと外部との間の電磁ノイズを低減することができる。
信号線路SLと接地層G1との間の距離および信号線路SLと接地層G2との間の距離は、例えば同じ距離に設定されていてよい。また、この距離は、信号線路SLに接地層G1、G2とが互いに隣接している部分の全長にわたって一定であってもよい。この場合には、信号線路SLと接地層G1、G2との間に生じる容量成分を一定にして、信号線路SLにおける高周波信号の伝送特性を向上させることができる。
接地層G1、G2は、例えば信号線路SLと同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。接地層G1、G2および信号線路SLを金属ペーストの印刷および同時焼成で形成するときには、これらの印刷を同時にできるので、上記間の寸法を含む互いの位置精度の向上および生産性において有利である。
接地層G1、G2は、信号線路SLのほぼ全長にわたって設けられていてもよい。ただし、図2〜図4に示すような形態のときには、容量素子3と接地パッド6aとを接合する導電性接合材により、誤って、容量素子3と接地層G1、G2との電気的な短絡が生じる可能性がある。この対策とし、例えば図2に示すように、コート層7が配置されていてもよい。コート層7は、導電性接合材が接地層G1、G2へ流れこむことを抑制する効果がある。コート層7は例えばCr(クロム)コートや誘電体基板のレジスト層等である。コート層7の厚さは、例えば接地パッド6aおよび接地層G1、G2の厚さよりも大きくてもよい。つまり、コート層7の上面が接地導体6(接地パッド6a)および接地層G1、G2の上面よりも上側に位置して、導電性接合材の流れを効果的に遮ることができるようにしてもよい。
また、コート層7の平面視における寸法は、少なくとも、互いに隣り合う接地パッド6aの外辺と接地層G1、G2の外辺との間の全域にわたるものとすることもできる。これにより、導電性接合材の流れを効果的に抑制することができる。
コート層7は、例えばCrコートであれば、次のようにして形成することができる。すなわち、Crは金属であるため、粉末を誘電体基板に印刷塗布し、焼結させる厚膜法等によって形成することができる。また、薄膜形成技術によって形成することも可能である。
また、本実施形態の配線基板10は、誘電体基板2の内部および第1面と反対側の第2面2bの少なくとも一方に位置する接地導体層G3をさらに備えていてもよい。また、この配線基板10は、接地導体6から接地導体層G3にかけて誘電体基板2を厚み方向に貫通している複数の接地貫通導体G4とをさらに備えていてもよい。接地導体層G3は、例えば平面視で信号線路SLと重なって位置している。これにより、信号線路SLを含む、グランド付きコプレナ型の伝送線路が構成される。
このような場合には、上記伝送線路を含む伝送回路1の高周波特性を効果的に向上させることができる。例えば、信号線路SLから放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。
また、本実施形態の配線基板10において、例えば図5に示すように、信号線路SLが、互いに幅方向に隣り合って位置している一対の線路導体SL1、SL2を含む差動線路であってもよい。この場合には、信号線路SLを伝送される高周波信号に対する外部ノイズの影響を効果的に低減することができる。したがって、伝送回路1を含む配線基板10としての高周波特性を効果的に向上させることができる。
信号線路SLが差動線路である場合にも、前述した金属材料と同様の金属材料を用い、同様の方法で信号線路SLを形成することができる。
(高周波装置)
上記いずれかの構成の配線基板10と、信号線路の第1端L1に電気的に接続された半導体素子と、接続パッド9に電気的に接続された直流電源DCとによって、実施形態の高周波装置20が構成される。半導体素子は、例えば前述した半導体集積回路素子であり、信号源SSである。半導体素子を含む高周波回路によって、演算、画像処理または通信等の種々の処理が行なわれる。
この場合、信号源SSに電気的に接続された本実施形態の配線基板10は、高周波信号の終端処理を効果的に行なうことができる。また、前述したように、バイアス抵抗R2(バイアス抵抗器8の抵抗値)を小さく抑えることができる。そのため、直流電源DCの所要の印加電圧を小さく抑えながら、信号線路SLを介して効果的にバイアス電圧を付与することができる。この場合の高周波装置20は、終端基板として機能する。
信号線路SLと信号源SSとの電気的な接続は、ボンディングワイヤ、はんだ等の導電性接合材等によって行なうことができる。
(シミュレーション例)
本実施形態の配線基板について、シミュレーションにより効果を確認した。シミュレーションによる評価はSパラメータにより行なった。シミュレーションの条件は以下のとおりである。配線基板の比誘電率:9、信号線路SLの線路長:3.5mm、線幅:0.5mm、バイアス抵抗R2として抵抗値が5、50、500Ωのバイアス抵抗器8を設定した。
以上の結果を図6に示す。図6に示すように、伝送される信号の周波数は0〜50GHzの範囲に設定した。
本シミュレーション例の配線基板10では、50GHzまでの周波数帯域において反射特性を示すS11パラメータが−15dB以下となり、バイアス抵抗R2が低抵抗値であっても良好な高周波特性を示すことが証明できた。これにより、バイアス線路に印加する直流電圧を小さくしても良好な高周波特性を得ることが可能であるため、配線基板の低消費電力化に有用である。
これに対して、比較例として、終端抵抗の前(第1端L1に近づく方向)において信号線路にバイアス線路を接続した配線基板(図示せず)を、バイアス抵抗値以外の数値条件を上記シミュレーション例と同様に設定して解析した。その結果、比較例の配線基板においては、シミュレーション例と同様の伝送特性を得ようとすると、バイアス抵抗を1000Ω程度まで大きくする必要があることがわかった。
したがって、本実施形態の伝送回路1およびそれを含む配線基板10、高周波装置20における、バイアス線路への高周波信号の流れ込みを抑制しながら、バイアス抵抗を小さく抑えることができること等の効果を確認することができた。
1・・・伝送回路
2・・・誘電体基板
3・・・容量素子
4・・・中継パッド
5・・・終端抵抗器
6・・・接地導体
6a・・・接地パッド
7・・・コート層
8・・・バイアス抵抗器
9・・・接続パッド
10・・・配線基板
20・・・高周波装置
BL・・・バイアス線路
DC・・・直流電源
G1、G2・・・接地層
G3・・・接地導体層
G4・・・接地貫通導体
L1・・・第1端
L2・・・第2端
L3・・・第3端
L4・・・第4端
N・・・接点
SL・・・信号線路
SL1、SL2・・線路導体
SS・・・信号源

Claims (7)

  1. 信号源に接続された第1端、該第1端と反対側に位置し接地電位に接続された第2端および前記第1端と前記第2端との間に位置する接点を有する信号線路と、
    前記信号線路側に位置する第3端および該第3端と反対側に位置し直流電源に接続された第4端を有するバイアス線路と、
    前記信号線路の前記第1端と前記接点との間に直列接続されて位置している終端抵抗と、前記信号線路の前記接点と前記第2端との間に直列接続されて位置しているコンデンサと、
    前記バイアス線路の前記第3端と前記第4端との間に直列接続された抵抗とを備える伝送回路。
  2. 第1面を有する誘電体基板と、
    該誘電体基板の前記第1面に位置する高周波信号の伝送回路とを備えており、
    該伝送回路は、
    信号源に接続される第1端および該第1端と反対側に位置する第2端とを有する信号線路と、
    該信号線路の前記第1端と前記第2端との間に位置し、前記信号線路と直列接続された中継パッドと、
    該中継パッドに接続された第3端および該第3端と反対側に位置し接続パッドに接続された第4端を有するバイアス線路と、
    前記信号線路の前記第1端と前記中継パッドとの間に直列接続された終端抵抗器と、
    前記信号線路の前記第2端と電気的に接続された接地導体と、
    前記中継パッドと前記接地導体との間において前記信号線路に直列接続された容量素子と、
    前記バイアス線路の前記第3端と前記第4端との間に直列接続されたバイアス抵抗器とを備える配線基板。
  3. 前記誘電体基板の内部および前記第1面と反対側の第2面の少なくとも一方に位置する接地導体層と、
    前記接地導体から前記接地導体層にかけて前記誘電体基板を厚み方向に貫通している複数の接地貫通導体とをさらに備える請求項2記載の配線基板。
  4. 前記信号線路が、互いに幅方向に隣り合って位置している一対の線路導体を含む差動線路である請求項2または請求項3記載の配線基板。
  5. 前記接地導体が前記信号線路の線幅方向の両側に位置しており、
    前記容量素子が、前記信号線路の線幅方向の両側においてそれぞれ前記接地導体と接続されている請求項2〜請求項4のいずれか1項記載の配線基板。
  6. 前記中継パッドを挟んで前記接地導体と反対側に位置しており、前記中継パッドに接続された抵抗体を有している請求項2〜請求項5のいずれか1項記載の配線基板。
  7. 請求項2〜請求項6のいずれか1項記載の配線基板と、
    前記信号線路の前記第1端に電気的に接続された半導体素子と、
    前記接続パッドに電気的に接続された直流電源とを備える高周波装置。
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