JP6877847B2 - 硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、トラックローラ、ミルハンマやショベルカーの爪部などの硬化肉盛溶接に適用されるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤであって、溶接作業性が良好で、ビード表面に開口欠陥がなく、特に溶接後の熱処理を行わない状態(溶接のまま)であっても十分なビッカース硬さの溶接金属が得られる硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
構造物の摩耗にはさまざまな要因がある。その磨耗の要因としては、金属間同士の接触による金属間摩耗、土砂やスラグなどが原因で生じる土砂摩耗、腐食環境化で一部または全面が減肉してしまう腐食摩耗、繰り返しの衝撃で生じる衝撃摩耗など多様な形態がある。このため、構造物の摩耗の形態に対応した溶接材料を選択する必要がある。その中でも硬化肉盛溶接は、建設機械や発電機器などに代表される各種産業機械の耐摩耗の要求される部位に、耐摩耗性に優れた肉盛金属を形成する方法として知られている。
摩耗の形態が金属間摩耗であれば、肉盛溶接金属の硬さは450Hvレベルで対応可能である。一方、土砂摩耗の場合、肉盛溶接金属の硬さは500Hv以上を求められることが多い。特に肉盛溶接金属の硬さが600Hv以上になると、被覆アーク溶接棒の被覆剤やガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに充填するフラックスに適用する原材料の添加方法により歩留りが変化するため、安定した溶接部の硬さの確保が困難になる。
ガスシールドアーク溶接による硬化肉盛溶接においては、例えば特許文献1の開示技術に示すように、ヒューム発生量やスラグ発生量の低減、平坦なビード形状並びに小さな溶け込み深さを得るためにシールドガスとして純Arガスを用いる硬化肉盛MIGアーク溶接ワイヤが開示されている。しかし、特許文献1に開示されている技術では、スパッタ発生量が多く、ビード形状が不良であるなど溶接作業性が悪いという問題点があった。この他に特許文献1の開示技術では、ビッカース硬さ550Hv以上の溶接金属を得るために、原料コストの高いCr、V及びWの添加量を多くしているため、製造コストが高くなるという問題点があった。
また、特許文献2には、溶接金属部のビッカース硬さが安定して800Hv以上が得られるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤが開示されている。しかし特許文献2に開示されている技術では、Mo、W、V、Coといった難伸線原料を多く添加している。このため、フラックス入りワイヤにおける外皮の肉厚変動が発生しやすく、伸線工程において断線が多発するため、ワイヤ径を3.2mmより細くすることができないといった問題点があった。
特開2011−104624号公報 特開昭61−7090号公報
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、硬化肉盛溶接に関し、溶接作業性が良好で、ビード表面に開口欠陥がなく、特に溶接後の熱処理を行わない状態(溶接のまま)であってもビッカース硬さが550Hv以上の溶接金属が得られる硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、鋼製外皮にフラックスを充填してなる硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、C:0.3〜0.7%、Si:0.3〜0.7%、Mn:1.0〜3.0%、Mo:0.2〜0.6%、Cr:4.0〜7.0%、V:0.03〜0.08%、さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に、Ti酸化物のTiO2換算値の合計:2〜6%、Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.1〜0.5%、Zr酸化物のZrO2換算値の合計:0.01〜0.3%、Al酸化物のAl23換算値の合計:0.1〜0.7%、Fe酸化物のFeO換算値の合計:0.01〜0.3%、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の1種又は2種以上の合計:0.1〜0.5%、弗素化合物のF換算値の合計:0.01〜0.3%を含有し、残部が鋼製外皮のFe分、フラックスの鉄粉、鉄合金粉のFe分および不可避不純物からなることを特徴とする硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
本発明を適用した硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、トラックローラ、ミルハンマやショベルカーの爪部などを硬化肉盛溶接するにあたり、溶接作業性が良好で、ビード表面に開口欠陥がなく、特に溶接後の熱処理を行わない状態(溶接のまま)であっても、ビッカース硬さが550Hv以上の溶接金属が得られる硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することができる。
本発明者らは、硬化肉盛用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤについて、アークが安定し、スパッタ発生量が少なく、スラグ被包性、スラグ剥離性が良好で、ピット、ブローホール及びビード表面に開口欠陥の無いビード形状が得られ、かつ、溶接後の熱処理を行わない状態(溶接のまま)であっても、ビッカース硬さが550Hv以上の溶接金属を得るために種々検討を行った。
その結果、フラックス入りワイヤ中のC及びCrを適量とし、さらにMoを適正量添加することにより溶接後の熱処理を行わない状態(溶接のまま)であってもビッカース硬さ550Hv以上の溶接金属が得られることを見出した。また、Si、Mnを適量とし、かつVの適量添加によりピット、ブローホール及びビード表面の開口欠陥等の耐欠陥性が向上することも見出した。
溶接作業性については、フラックス入りワイヤ中のSi、Ti酸化物、Si酸化物、Zr酸化物、Al酸化物、Fe酸化物、Na化合物とK化合及び弗素化合物を適量とすることによって、アークが安定してスパッタ発生量が少なく、スラグ被包性やスラグ剥離性及びビード形状が良好になることを見出した。
以下、本発明を適用した硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの各成分組成の限定理由について説明する。なお、各成分組成の含有量は、ワイヤ全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表す時には単に%と記載して表すこととする。
[鋼製外皮とフラックスの合計でC:0.3〜0.7%]
Cは、溶接金属の焼入れ性を高めるために重要な元素であり、Cr及びMoとの間で炭化物を生成して溶接金属の硬さを高める効果がある。Cが0.3%未満であると、目標とする溶接金属の硬さが得られない。一方、Cが0.7%を超えると、溶接金属が硬くなりすぎて延性が低下し、ビード表面に開口欠陥が発生しやすくなる。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でCは0.3〜0.7%とする。なお、Cは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属粉及び合金粉等から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でSi:0.3〜0.7%]
Siは、脱酸剤として添加する。また、アークの安定性やビード形状を改善する効果がある。Siが0.3%未満であると、アークが不安定で、ブローホールやピットが発生しやすくなる。一方、Siが0.7%を超えると、酸化物として粒界に偏析して溶接金属の延性が低下してビード表面に開口欠陥が発生しやすくなる。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でSiは0.3〜0.7%とする。なお、Siは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Si、Fe−Si、Fe−Si−Mn等の合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でMn:1.0〜3.0%]
Mnは、Siと同様に脱酸剤として添加する。また、低融点化合物の偏析を低減して耐割れ性を改善する効果がある。Mnが1.0%未満であると、ビード表面に開口欠陥が生じたり、ブローホールやピットが発生しやすくなる。一方、Mnが3.0%を超えると、ビード形状が凸状になりやすくなる。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でMnは、1.0〜3.0%とする。なお、Mnは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Mn、Fe−Mn、Fe−Si−Mn等の合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でMo:0.2〜0.6%]
Moは、Cr炭化物の生成を助長して溶接金属の硬さを高める効果がある。Moが0.2%未満であると、目標とする溶接金属の硬さが得られない。一方、Moが0.6%を超えると、伸線工程で断線が発生しやすくなる。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でMoは0.2〜0.6%とする。なお、Moは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Mo、Fe−Mo等の合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でCr:4.0〜7.0%]
Crは、炭化物を生成して溶接金属の硬さを確保するために重要な元素である。Crが4.0%未満であると、目標とする溶接金属の硬さが得られない。一方、Crが7.0%を超えると、溶接金属が硬くなりすぎて延性が低下し、ビード表面に開口欠陥が発生しやすくなる。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でCrは、4.0〜7.0%とする。なお、Crは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Cr、Fe−Cr、クロムカーバイト等の合金粉から添加できる。
[鋼製外皮とフラックスの合計でV:0.03〜0.08%]
Vは、溶接金属の耐割れ性を改善する効果がある。Vが0.03%未満であると、耐割れ性を改善する効果が得られず、ビード表面に開口欠陥が発生しやすくなる。一方、Vが0.08%を超えると、スラグ剥離性が劣化する。したがって、鋼製外皮とフラックス中の合計でVは0.03〜0.08%とする。なお、Vは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属V、Fe−V等の合金粉から添加できる。
[フラックス中のTi酸化物のTiO2換算値の合計:2〜6%]
Ti酸化物は、アークの安定性を良好にするとともに、ビード形状を改善する効果がある。Ti酸化物のTiO2換算値の合計が2%未満であると、アークが不安定で、スパッタ発生量が多くなり、ビード形状も劣化する。一方、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が6%を超えると、スラグ量が過多となりスラグ剥離性及びビード形状が劣化する。したがって、フラックス中のTi酸化物のTiO2換算値の合計は2〜6%とする。なお、Ti酸化物は、フラックスからのルチール、酸化チタン、チタンスラグ等から添加できる。
[フラックス中のSi酸化物のSiO2換算値の合計:0.1〜0.5%]
Si酸化物は、スラグの粘性を調整してビード形状を良好にする効果がある。Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.1%未満であると、スラグの粘性が低くなりスラグ被包性が悪くなってビード形状が不良となる。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.5%を超えると、スラグ量が過多となりスラグ剥離性及びビード形状が劣化する。したがって、フラックス中のSi酸化物のSiO2換算値の合計は0.1〜0.5%とする、なお、Si酸化物は、フラックスからの珪砂、長石等から添加できる。
[フラックス中のZr酸化物のZrO2換算値の合計:0.01〜0.3%]
Zr酸化物は、微量の添加でスラグ剥離性を良好にする効果がある。Zr酸化物のZrO2換算値の合計が0.01%未満であると、スラグ剥離性を良好にする効果が得られず、スラグ剥離性が劣化する。一方、Zr酸化物のZrO2換算値の合計が0.3%を超えるとスパッタ発生量が多くなり、スラグ被包性が劣化する。したがって、フラックス中のZr酸化物のZrO2換算値の合計は0.01〜0.3%とする。なお、Zr酸化物は、ジルコンサンド、ジルコンフラワー、酸化ジルコニウム等から添加できる。
[フラックス中のAl酸化物のAl23換算値の合計:0.1〜0.7%]
Al酸化物は、スラグの粘性を調整してビード形状を良好にする効果がある。また、スラグ剥離性を良好にする効果もある。Al酸化物のAl23換算値の合計が0.1%未満であると、ビード形状及びスラグ剥離性を良好にする効果が得られず、ビード形状及びスラグ剥離性が劣化する。一方、Al酸化物のAl23換算値の合計が0.7%を超えると、スラグの粘性が高くなりすぎてビード形状が劣化する。したがって、フラックス中のAl酸化物のAl23換算値の合計は0.1〜0.7%とする。なお、Al酸化物は、フラックスからのアルミ等から添加できる。
[フラックス中のFe酸化物のFeO換算値の合計:0.01〜0.3%]
Fe酸化物は、アークの安定性を良好にする効果がある。Fe酸化物のFeO換算値の合計が0.01%未満であると、アークが不安定となり、スパッタ発生量が多くなる。一方、Fe酸化物のFeO換算値の合計が0.3%を超えるとスラグの粘性が高くなりスラグ剥離性が劣化する。したがって、フラックス中のFe酸化物のFeO換算値の合計は0.01〜0.3%とする。なお、Fe酸化物は、酸化鉄、ミルスケール、イルミナイト等から添加できる。
[Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の1種又は2種以上の合計:0.1〜0.5%]
Na化合物及びK化合物は、アークの安定性と集中性を高めてスパッタ発生量を低減する効果がある。Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の1種又は2種以上の合計が0.1%未満であると、アークが不安定でスパッタ発生量が多くなる。一方、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の1種又は2種以上の合計が0.5%を超えると、アークの集中性が強くなりすぎて、かえってスパッタ発生量が多くなる。したがって、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の1種又は2種以上の合計は0.1〜0.5%とする。なお、フラックス中のNa化合物及びK化合物は、弗化ソーダ、チタン酸ナトリウム、珪弗化カリ、珪弗化ソーダ等から添加できる。
[弗素化合物のF換算値の合計:0.01〜0.3%]
弗素化合物は、溶滴の離脱性を良好にしてスパッタ発生量を低減する効果がある。弗素化合物のF換算値の合計が0.01%未満であると、溶滴の離脱が不安定になるためアークそのものが不安定となり、スパッタ発生量が多くなる。一方、弗化物のF換算値の合計が0.3%を超えると、スラグの融点が低下してビード形状が不均一になる。したがって、弗素化合物のF換算値の合計は0.01〜0.3%とする。なお、フラックス中の弗素化合物は、弗化ソーダ、珪弗化カリ、ジルコン弗化カリ、氷晶石、弗化アルミ、蛍石等から添加できる。
本発明の硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤは、鋼製外皮をU字成形後、フラックスを充填し、孔ダイス伸線やローラダイスにより所定のワイヤ径(1.0〜1.2mm)に縮径して製造されるものである。また、フラックス充填率は、生産性及び溶接作業性の観点から10〜25%とすることが好ましい。ワイヤの種類としては、成形した鋼製外皮の合わせ目を溶接した継目の無いワイヤと、鋼製外皮の合わせ目を溶接せずに継目を有するワイヤに大別できるが、本発明では断面構造を特に限定するものではなく、いずれのワイヤも採用できるものとする。
また、本発明を適用した硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの残部は、鋼製外皮のFe分、フラックス中の鉄粉、Fe−Si、Fe−Mn、Fe−Mo、Fe−Cr、Fe−V等の鉄合金粉のFe分及び不可避不純物である。不可避不純物について、特に規定はしないが、耐高温割れ性の観点から、Pは0.015%以下、Sは0.015%以下が好ましい。
また、溶接時のシールドガスは、炭酸ガスとし、シールドガスの流量は耐欠陥性及び大気からの窒素の混入を防ぐために20〜35リットル/分であることが好ましい。
以下、本発明を適用した硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの実施例について具体的に説明する。
まず、鋼製外皮にJIS G3141 SPCC帯鋼を用いて、表1に示すフラックス入りワイヤを各種試作した。フラックス入りワイヤの製造は、鋼製外皮の合わせ目を溶接せずに継目を有するワイヤとし、縮径してワイヤ素線径3.2mmを各1トン試作した。なお、フラックス充填率は10〜18%とした。
Figure 0006877847
生産性の評価は、3.2mm径のワイヤ素線を1.2mmの製品径まで縮径するまでの断線の回数を調査し、断線回数が2回以下を良好とした。また、各試作ワイヤについて溶接作業性、溶接金属の欠陥有無及び硬さ試験を行った。
溶接作業性の評価は、表2に示すSM490A鋼板を用いて、JIS Z3114に準拠し、表3に示す溶接条件で、下向溶接姿勢で4層下盛の肉盛溶接試験を行い、溶接時のアーク安定性、スパッタ発生量、スラグ被包性、スラグ剥離性、ビード形状を調査した。
Figure 0006877847
Figure 0006877847
溶接終了後、ビード表面について、JIS Z2343−1に準じて浸透探傷試験を行い、割れ(開口欠陥)の有無を調査した。また、ブローホール及びピットの評価は、溶接後の試験体を、JIS Z3106に準じてX線透過試験を行い、ブローホール及びピットの有無を調査した。
溶接金属の硬さは、溶接欠陥評価後の試験板をJIS Z3114及びJIS Z2244に準拠してビッカース硬さ測定し、10点の平均が550〜700Hvを良好とした。これらの結果を表4にまとめて示す。
Figure 0006877847
表1及び表4中のワイヤNo.1〜No.11が本発明例、ワイヤNo.12〜No.22が比較例である。本願発明例であるワイヤNo.1〜No.11は、フラックス入りワイヤのC、Si、Mn、Mo、Cr、V、Ti酸化物のTiO2換算値の合計、Si酸化物のSiO2換算値の合計、Zr酸化物のZrO2換算値の合計、Al酸化物のAl23換算値の合計、Fe酸化物のFeO換算値の合計、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の1種又は2種以上の合計、弗素化合物のF換算値の合計が適正であるので、フラックス入りワイヤの製造時に断線が生じず、肉盛溶接においてアークが安定して、スパッタ発生量が少なく、スラグ被包性、スラグ剥離性及びビード形状が良好で、ピット、ブローホール及びビード表面に開口欠陥等が無く、溶接金属の硬さが良好で極めて満足な結果であった。
比較例中ワイヤNo.12は、Cが少ないので、溶接金属の硬さが低かった。また、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量が多く、ビード形状も不良であった。
ワイヤNo.13は、Cが多いので、溶接金属の硬さが高くなり、ビード表面に開口欠陥も生じた。また、Si酸化物のSiO2換算値の合計が少ないので、スラグ被包性が悪く、ビード形状も不良であった。
ワイヤNo.14は、Siが少ないので、アークが不安定でブローホールも発生した。また、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が多いので、スラグ剥離性及びビード形状が不良であった。
ワイヤNo.15は、Siが多いので、ビード表面に開口欠陥が生じた。また、Zr酸化物のZrO2換算値の合計が多いので、スパッタ発生量が多く、スラグ被包性も不良であった。さらに、弗素化合物のF換算値の合計が多いので、ビード形状が不良であった。
ワイヤNo.16は、Mnが少ないので、ビード表面に開口欠陥及びブローホールが生じた。また、Si酸化物のSiO2換算値の合計が多いので、スラグ剥離性及びビード形状が不良であった。
ワイヤNo.17は、Mnが多いのでビード形状が不良であった。また、Zr酸化物のZrO2換算値の合計が少ないので、スラグ剥離性が不良であった。さらに、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の1種又は2種以上の合計が多いので、スパッタ発生量も多かった。
ワイヤNo.18は、Moが少ないので溶接金属の硬さが低かった。また、Al酸化物のAl23換算値の合計が少ないので、スラグ剥離性及びビード形状が不良であった。
ワイヤNo.19は、Moが多いので、フラックス入りワイヤの製造時に5回断線が生じた。また、Vが多いので、スラグ剥離性が不良であった。
ワイヤNo.20は、Crが少ないので、溶接金属の硬さが低かった。また、Al酸化物のAl23換算値の合計が多いので、ビード形状が不良であった。さらに、Fe酸化物のFeO換算値の合計が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量も多かった。
ワイヤNo.21は、Crが多いので、溶接金属の硬さが高くなり、ビード表面に開口欠陥も生じた。また、Fe酸化物のFeO換算値の合計が多いので、スラグ剥離性も不良であった。さらに、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の1種又は2種以上の合計が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。
ワイヤNo.22は、Vが少ないので、ビード表面に開口欠陥が生じた。また、弗素化合物のF換算値の合計が少ないので、アークが不安定でスパッタ発生量が多かった。

Claims (1)

  1. 鋼製外皮にフラックスを充填してなる硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
    ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、
    C:0.3〜0.7%、
    Si:0.3〜0.7%、
    Mn:1.0〜3.0%、
    Mo:0.2〜0.6%、
    Cr:4.0〜7.0%、
    V:0.03〜0.08%を含有し
    さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に、
    Ti酸化物のTiO2換算値の合計:2〜6%、
    Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.1〜0.5%、
    Zr酸化物のZrO2換算値の合計:0.01〜0.3%、
    Al酸化物のAl23換算値の合計:0.1〜0.7%、
    Fe酸化物のFeO換算値の合計:0.01〜0.3%、
    Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の1種又は2種以上の合計:0.1〜0.5%、
    弗素化合物のF換算値の合計:0.01〜0.3%を含有し、
    残部が鋼製外皮のFe分、フラックス中の鉄粉、鉄合金粉のFe分および不可避不純物からなることを特徴とする硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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