以下に説明する実施形態及び変形例は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、実施形態及び変形例に限定されることなく、この実施形態及び変形例以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態)
本実施形態のインターホンシステム1について、図1及び図2を用いて説明する。
インターホンシステム1は、図1に示すように、設備制御装置10、宅内インターホン20、共用インターホン30、宅外インターホン40及び音声処理装置50を備える。
共用インターホン30は、集合住宅の共用玄関(ロビー)に設置され、いわゆるロビーインターホンとして設置される。設備制御装置10、宅内インターホン20、宅外インターホン40及び音声処理装置50は、集合住宅の各住戸(住宅)に設置される。特に、設備制御装置10、宅内インターホン20及び音声処理装置50は、住戸内に設置され、宅外インターホン40は、住戸の玄関に設置される。宅内インターホン20はいわゆるインターホン親機として設置され、宅外インターホン40はいわゆるドアホン子器として設置される。
住戸の台所空間A1には、対面型キッチンカウンタB1が設けられている(図2参照)。対面型キッチンカウンタB1には、台所空間A1と他の空間(本実施形態では、リビング空間A2)とを仕切る造作壁B2が設けられている。音声処理装置50は、造作壁B2に設けられている。
共用インターホン30及び宅外インターホン40と、宅内インターホン20とは、互いに通信可能に構成されている。宅内インターホン20と設備制御装置10とは、互いに通信可能に構成されている。また、設備制御装置10と音声処理装置50とは、互いに通信可能に構成されている。
設備制御装置10は、住戸の台所空間A1に設けられた設備(例えば、水栓設備2)の動作を制御する。水栓設備2は、水流センサを有している。水流センサは、水栓設備2が吐水しているか否か(水栓設備2が動作しているか否か)を検出し、その検出結果を設備制御装置10へ出力する。
設備制御装置10は、台所空間A1に設けられた設備が動作している場合に、住人を呼び出す呼出操作が共用インターホン30又は宅外インターホン40で行われると、設備の動作によって生じる音(騒音)を低減するように設備を制御する。具体的には、インターホンシステム1では、水栓設備2が吐水をしている場合に呼出操作が共用インターホン30又は宅外インターホン40で行われると、設備制御装置10は、水栓設備2が吐水を停止するよう水栓設備2を制御する。
インターホンシステム1は、水栓設備2が吐水をしている場合に共用インターホン30又は宅外インターホン40で呼出操作が行われると、宅内インターホン20の代わりに音声処理装置50を用いて呼出操作が行われたインターホンとの間で通話を可能とする。
設備制御装置10は、図1に示すように、制御部11、通話制御部12、第1伝送処理部13、第2伝送処理部14及び操作部15を備える。設備制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを有している。CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、制御部11の機能を実現する。プログラムは、ここでは、コンピュータのメモリに予め記録されている。なお、プログラムは、インターネット等の電気通信回線を通じて、あるいはメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第1伝送処理部13は、宅内インターホン20及び水栓設備2との間で通信接続され、信号の送受信を行う。
第2伝送処理部14は、音声処理装置50との間で通信接続され、信号の送受信を行う。
制御部11は、図1に示すように、通信監視部100、設備監視部101及び設備制御部102を有している。
通信監視部100は、共用インターホン30及び宅外インターホン40と宅内インターホン20との間の通信状態を、宅内インターホン20からの通知に基づいて監視する。具体的には、通信監視部100は、共用インターホン30又は宅外インターホン40から呼出操作に係る呼出操作が行われたか否かを、宅内インターホン20からの通知に基づいて監視する。宅内インターホン20からの通知とは、共用インターホン30又は宅外インターホン40から呼出操作に係る操作信号を宅内インターホン20が受け取ったことを表す。つまり、共用インターホン30又は宅外インターホン40から操作信号を宅内インターホン20が受け取ったことを表す通知を、宅内インターホン20から受け取ると、通信監視部100は、呼出操作が行われたことを検知する。
設備監視部101は、水栓設備2の水流センサの検出結果に基づいて水栓設備2が使用されているか否かを監視する。
設備制御部102は、水栓設備2が吐水をしている場合に呼出操作が共用インターホン30又は宅外インターホン40で行われると、水栓設備2の吐水を停止するよう水栓設備2を制御する。具体的には、水栓設備2が吐水をしている場合に呼出操作が行われたことを通信監視部100が検知すると、設備制御部102は、水栓設備2の吐水を停止するよう水栓設備2を制御する。これにより、水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)を低減させることができる。
設備制御部102は、水栓設備2の吐水を停止させた後、音声処理装置50が行う処理機能を切り替える切替信号を音声処理装置50へ出力する。具体的には、設備制御部102は、音声処理装置50の処理機能を消音処理機能から通話処理機能へと切り替える指示を表す切替信号を音声処理装置50へ出力する。
設備制御部102は、来訪者と住人との間の通話を終了する操作が操作部15で行われると、水栓設備2の状態が水栓設備2の動作によって生じる音を低減する前の状態となるように水栓設備2を制御する。
設備制御部102は、水栓設備2の状態を水栓設備2の動作によって生じる音が低減される前の状態とした後、音声処理装置50の処理機能を通話処理機能から消音処理機能へと切り替える指示を表す切替信号を音声処理装置50へ出力する。
通話制御部12は、呼出操作が行われたインターホンと音声処理装置50との間の通信を制御するように構成されている。通話制御部12は、図1に示すように、報知部103、判断部104及び通話部105を有している。
報知部103は、水栓設備2が動作することによって発生する音を低減するように水栓設備2を設備制御部102が制御した後、予め記憶されている音声データに応じた音声(呼出音)を、第2伝送処理部14を介して音声処理装置50を通じて報知する。
判断部104は、呼出操作が行われたインターホンと音声処理装置50との間で通話を開始するか否かを判断する。具体的には、判断部104は、音声処理装置50で集音された音声に係る音声信号のレベルが所定の閾値以上であるか否かを判断する。判断部104は、音声信号のレベルが所定の閾値以上であると判断する場合には、呼出操作が行われたインターホンと音声処理装置50との間で通話を開始すると判断する。
通話部105は、判断部104が通話を開始すると判断した場合、音声処理装置50から出力された音声信号を、第1伝送処理部13を介して宅内インターホン20へ出力する。宅内インターホン20は、通話部105から受け取った音声信号を、呼出操作が行われたインターホン(共用インターホン30又は宅外インターホン40)へ出力する。通話部105は、呼出操作が行われたインターホンから宅内インターホン20を介して音声信号を受け取ると、受け取った音声信号を、第2伝送処理部14を介して音声処理装置のスピーカ53へ出力する。
通話部105は、判断部104が通話を開始しないと判断した場合、音声処理装置50から出力された音声信号を破棄する。
操作部15は、台所空間A1(例えば、音声処理装置50が設置された付近)に設けられており、タッチパネル、押釦スイッチ等の入力デバイスを有する。操作部15が住人によって操作されると、操作部15は、操作に応じた信号を制御部11へ出力する。
音声処理装置50は、図1に示すように、第1マイクロホン51、第2マイクロホン52、スピーカ53、音声処理部54及び伝送処理部55を有している。
伝送処理部55は、設備制御装置10の第2伝送処理部14との間で通信接続され、信号の送受信を行う。
音声処理装置50の第1マイクロホン51及びスピーカ53は造作壁B2の台所空間A1側の面B3に設けられ、第2マイクロホン52は造作壁B2のリビング空間A2側の面B4に設けられている(図2参照)。
第1マイクロホン51及び第2マイクロホン52は、音(音声)を集音し、集音した音を電気信号(音声信号)に変換して音声処理部54へ出力する。第1マイクロホン51は、造作壁B2の台所空間A1側の面B3に設けられているので、台所空間A1での音(音声)を主に集音する。第2マイクロホン52は、造作壁B2のリビング空間A2側の面B4に設けられているので、リビング空間A2での音(音声)を主に集音する。
スピーカ53は、音声処理部54から出力された音声信号を受け取り、音声信号に応じた音声を出力する。スピーカ53は、設備制御装置10から出力された呼出音信号を、伝送処理部55を介して受け取ると、呼出音信号に応じた音声を出力する。さらに、スピーカ53は、来訪者の音声に応じた送話音声信号を、伝送処理部55を介して設備制御装置10から受け取ると、送話音声信号に応じた音声を出力する。
音声処理部54は、図1に示すように、消音処理部56及び通話処理部57を有している。
消音処理部56は、第1マイクロホン51で集音した音声の信号と、第2マイクロホン52で集音した音声の信号とを用いて、リビング空間A2で発生した音声(例えば、リビング空間に居る人の音声)の信号を抽出する。消音処理部56は、抽出した音声の信号をスピーカ53へ出力する。このとき、スピーカ53は、消音処理部56で抽出された信号に応じた音声を出力する。
通話処理部57は、第1マイクロホン51で集音した音声の信号を、伝送処理部55を介して設備制御装置10へ出力する。
音声処理部54は、設備制御装置10から伝送処理部55を介して受け取った切替信号に応じて、消音処理部56の機能(消音処理機能)と、通話処理部57の機能(通話処理機能)との切り替えを行う。例えば、音声処理部54は、処理機能を消音処理機能から通話処理機能へと切り替える指示を表す切替信号を設備制御装置10から伝送処理部55を介して受け取ると、実行対象の機能を消音処理部56の機能から通話処理部57の機能へと切り替える。音声処理部54は、処理機能を通話処理機能から消音処理機能へと切り替える指示を表す切替信号を設備制御装置10から伝送処理部55を介して受け取ると、実行対象の機能を通話処理部57の機能から消音処理部56の機能へと切り替える。
次に、音声処理装置50の消音処理機能の動作について、説明する。
音声処理装置50は、水栓設備2が動作していることを設備制御装置10の設備監視部101の検出結果が表している場合に、消音処理部56の機能を動作させる。
第1マイクロホン51は、台所空間A1での音声を集音し、集音した音声に応じた音声信号(第1音声信号)を消音処理部56へ出力する。
第2マイクロホン52は、リビング空間A2での音声を集音し、集音した音声に応じた音声信号(第2音声信号)を消音処理部56へ出力する。
消音処理部56は、第1マイクロホン51から出力された第1音声信号、及び第2マイクロホン52から出力された第2音声信号のそれぞれに対して、エコーキャンセル処理を施す。
消音処理部56は、第2音声信号に対して、雑音成分を取り除く雑音成分キャンセル処理を施す。消音処理部56は、雑音成分キャンセル処理として、エコーキャンセル処理が施された第1音声信号を用いて、エコーキャンセル処理が施された第2音声信号に含まれる雑音成分(台所空間A1で発生した音声)を取り除いて、第3音声信号を生成する。第2マイクロホン52は、上述したように造作壁B2のリビング空間A2側の面B4に設けられている。そのため、水栓設備2の動作によって生じる音は、造作壁B2を超えて、リビング空間A2側の面B4に回り込んで第2マイクロホン52で集音される。その結果、第2マイクロホン52が集音した音声には、リビング空間A2での音声の成分の他、台所空間A1での音声の成分(雑音成分)も多く含まれている。一方、第1マイクロホン51は、上述したように造作壁B2の台所空間A1側の面B3に設けられている。リビング空間A2に居る人と第2マイクロホン52との距離は、水栓設備2と第2マイクロホン52との距離よりも長い。そのため、リビング空間A2に居る人が発した音声が、造作壁B2を超えて、台所空間A1側の面B3に回り込んで第1マイクロホン51で集音されにくい。その結果、第1マイクロホン51が集音した音声には、台所空間A1での音声の成分が多く含まれており、リビング空間A2での音声の成分はあまり含まれていない。そこで、第2音声信号の成分から第1音声信号に含まれる音声信号の成分を取り除くことで、リビング空間A2での音声成分が多く含まれ、台所空間A1での雑音成分があまり含まれない第3音声信号が生成される。
消音処理部56は、生成された第3音声信号に対して増幅処理を施し、スピーカ53へ出力する。
これにより、台所空間A1に居る住人は、リビング空間A2に居る他の住人の音声を聞き取ることができる。
次に、インターホンシステム1において、共用インターホン30で呼出操作が行われた場合の動作について、説明する。
来訪者によって共用インターホン30で呼出操作が行われると、共用インターホン30は、呼出操作が行われたことを表す呼出信号を宅内インターホン20に送信する。
宅内インターホン20は、呼出信号を共用インターホン30から受け取ると、予め記憶している音声データに応じた呼出音を、宅内インターホン20に備えられたスピーカから報知する。宅内インターホン20は、共用インターホン30から呼出信号を受け取ったことを表す呼出受信信号を、設備制御装置10へ出力する。
住人が宅内インターホン20で呼出音に対する応答操作を行った場合には、宅内インターホン20は、共用インターホン30との間での通話処理を開始する。
設備制御装置10の通信監視部100は、宅内インターホン20から呼出受信信号を受け取ると、水栓設備2の動作を停止することを指示する停止指示信号を設備制御部102へ出力する。
設備制御部102は、停止指示信号を設備監視部101から受け取り、水栓設備2が動作している(吐水している)場合には、水栓設備2の動作を停止するよう水栓設備2を制御する。具体的には、設備制御部102は、停止指示信号を設備監視部101から受け取ると、水栓設備2が動作していることを設備監視部101の検出結果が表している場合には、水栓設備2に設けられた電磁弁を閉じるように水栓設備2を制御する。これにより、水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)を低減することができる。
設備制御部102は、水栓設備2に対する制御を行った後、処理機能を消音処理機能から通話処理機能へと切り替える指示を表す切替信号(第1切替信号)を、音声処理装置50へ出力する。
設備制御部102は、水栓設備2に対する制御を行った後、呼出音の報知を指示する報知指示信号を通話制御部12へ出力する。
音声処理装置50の音声処理部54は、設備制御装置10から出力された第1切替信号を、伝送処理部55を介して受け取ると、処理機能を消音処理機能から通話処理機能へと切り替える。
通話制御部12の報知部103は、報知指示信号を受け取ると、予め記憶している音声データに応じた呼出音信号を生成し、第2伝送処理部14を介して音声処理装置50へ出力する。音声処理装置50のスピーカ53は、報知部103から出力された呼出音信号を、伝送処理部55を介して受け取ると、呼出音信号に応じた音声(呼出音)を出力する。
通話処理部57は、第1マイクロホン51で集音された音声の音声信号を、設備制御装置10へ出力する。
判断部104は、第1マイクロホン51で集音された音声の音声信号を音声処理装置50から受け取ると、受け取った音声信号のレベルが所定の閾値以上であるか否かを判断する。受け取った音声信号のレベルが所定の閾値以上であると判断する場合、判断部104は、設備制御装置10及び宅内インターホン20を介した第1マイクロホン51と共用インターホン30との間の通話を行うように、通話開始信号を、通話部105へ出力する。通話開始信号とは、通話の開始指示を表す信号である。
通話部105は、通話開始信号を判断部104から受け取ると、宅内インターホン20と共用インターホン30との間の通話に係る通信を確立させる。通話部105は、通信が確立した後、音声処理部54(通話処理部)から音声信号を受け取ると、受け取った音声信号を共用インターホン30へ宅内インターホン20を介して出力する。これにより、受け取った音声信号のレベルが所定の閾値以上であると判断した以降に音声処理装置50から受け取った音声信号は、判断部104でレベルの判断がされることなく通話部105に入力される。
共用インターホン30は、設備制御装置10から音声信号(第1マイクロホン51で集音された音声の音声信号)を受け取ると、共用インターホン30が備えるスピーカを通じて、受け取った音声信号に応じた音声を出力する。
共用インターホン30は、共用インターホン30が備えるマイクロホンから集音された音声の音声信号(送話音声信号)を、宅内インターホン20を介して設備制御装置10へ出力する。通話部105は、共用インターホン30から出力された送話音声信号を受け取ると、第2伝送処理部14を介して音声処理装置50へ出力する。スピーカ53は、共用インターホン30から出力された送話音声信号を、伝送処理部55を介して受け取ると、受け取った送話音声信号に応じた音声を出力する。
設備制御装置10の操作部15は、住人の操作で通話の終了指示を受け付けると、通話の終了を指示する終了指示信号を制御部11へ出力する。
設備制御部102は、操作部15から終了指示信号を受け取ると、通話を終了するように、通話制御部12を制御する。
設備制御部102は、操作部15から終了指示信号を受け取ると、水栓設備2の状態が水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)を低減する前の状態となるように水栓設備2を制御する。具体的には、設備制御部102は、終了指示信号を設備監視部101から受け取ると、水栓設備2に設けられた電磁弁を開くように水栓設備2を制御する。
設備制御部102は、操作部15から終了指示信号を受け取ると、処理機能を通話処理機能から消音処理機能へと切り替える指示を表す切替信号(第2切替信号)を、音声処理装置50へ出力する。
設備制御部102は、操作部15から終了指示信号を受け取ると、通話の終了の指示を表す通話終了信号を宅内インターホン20及び共用インターホン30へ出力する。
音声処理部54は、設備制御装置10から出力された第2切替信号を、伝送処理部55を介して受け取ると、処理機能を通話処理機能から消音処理機能へと切り替える。
宅内インターホン20及び共用インターホン30は、通話終了信号を受け取ると、宅内インターホン20と共用インターホン30との間の通信の終了に係る処理を行う。
以上説明した動作により、インターホンシステム1は、台所空間A1に設けられた水栓設備2が動作している場合に、呼出操作が共用インターホン30で行われると、水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)を低減するように水栓設備2を制御する。また、インターホンシステム1は、水栓設備2の動作によって生じる音を低減するように水栓設備2を制御した後、音声処理装置50と共用インターホン30との間での通話を可能とする。
なお、宅外インターホン40で呼出操作が行われた場合の同様の動作であるので、ここでの説明は省略する。
(変形例)
上記実施形態では、インターホンシステム1は、音声処理装置50を備える構成としたが、音声処理装置50は、必須の構成要件ではない。つまり、インターホンシステム1は、音声処理装置50を備えない構成であってもよい。以下、上記実施形態とは異なる点を中心に本変形例のインターホンシステム1aについて説明する。なお、上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
インターホンシステム1aは、図3に示すように、設備制御装置10a、宅内インターホン20、共用インターホン30及び宅外インターホン40及び音声処理装置50を備える。
設備制御装置10aは、図3に示すように、制御部11、伝送処理部13aを有している。設備制御装置10aは、CPU及びメモリを有している。CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、制御部11の機能を実現する。プログラムは、ここでは、コンピュータのメモリに予め記録されている。なお、プログラムは、インターネット等の電気通信回線を通じて、あるいはメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
伝送処理部13aは、設備制御装置10aと、宅内インターホン20及び水栓設備2との間で通信接続され、信号の送受信を行う。
次に、本変形例のインターホンシステム1aにおいて、共用インターホン30で呼出操作が行われた場合の動作について、説明する。
来訪者によって共用インターホン30で呼出操作が行われると、共用インターホン30は、呼出操作が行われたことを表す呼出信号を宅内インターホン20に送信する。
宅内インターホン20は、呼出信号を共用インターホン30から受け取ると、共用インターホン30から呼出信号を受け取ったことを表す呼出受信信号を、設備制御装置10aへ出力する。
設備制御装置10aの通信監視部100は、宅内インターホン20から呼出受信信号を受け取ると、水栓設備2の動作を停止することを指示する停止指示信号を設備制御部102へ出力する。
設備制御部102は、停止指示信号を設備監視部101から受け取ると、水栓設備2が動作していることを設備監視部101の検出結果が表している場合には、水栓設備2に設けられた電磁弁を閉じるように水栓設備2を制御する。これにより、水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)を低減することができる。
また、宅内インターホン20は、呼出信号を共用インターホン30から受け取ると、予め記憶している音声データに応じた呼出音を、宅内インターホン20に備えられたスピーカから報知する。これにより、住人は、水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)が低減された状態で、呼出音を聞くことができる。
宅内インターホン20において住人が呼出音に対する応答操作を行うと、宅内インターホン20は、共用インターホン30との間での通話処理を開始する。これにより、宅内インターホン20に備えられたマイクロホンで集音された音声が、呼出操作された共用インターホン30のスピーカから出力される。また逆に、共用インターホン30に備えられたマイクロホンで集音された音声が、宅内インターホン20のスピーカから出力される。
宅内インターホン20は、住人の操作で通話の終了指示を受け付けると、通話終了信号を共用インターホン30へ出力する。
宅内インターホン20及び共用インターホン30は、宅内インターホン20と共用インターホン30との間の通信の終了に係る処理を行う。
宅内インターホン20は、住人の操作で通話の終了指示を受け付けると、通話が終了したことを設備制御装置10へ通知する。
設備制御部102は、通話が終了したことの通知を宅内インターホン20から伝送処理部13aを介して受け取ると、水栓設備2の電磁弁を開くように水栓設備2を制御する。
以上説明した動作により、インターホンシステム1aは、台所空間A1に設けられた水栓設備2が動作している場合に呼出操作が共用インターホン30で行われると、水栓設備2の動作によって生じる音を低減するように水栓設備2を制御する。
なお、宅外インターホン40で呼出操作が行われた場合の同様の動作であるので、ここでの説明は省略する。
本変形例において、設備制御装置10aは、操作部を備えてもよい。本変形例の操作部は、上記実施形態の操作部15と同様に、押釦スイッチ等の入力デバイスを有する。本変形例の操作部が住人によって操作されると、本変形例の操作部は、操作に応じた信号を制御部11へ出力する。本変形例の操作部は、水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)を低減するように水栓設備2が制御された場合において、宅内インターホン20と共用インターホン30との間の通話が終了した後、住人の操作で水栓設備2の電磁弁を開く指示を表す制御指示を受け付ける。本変形例の操作部は、制御指示を受け付けると、水栓設備2の電磁弁を開く指示を表す制御指示信号を設備制御部102へ出力する。設備制御部102は、本変形例の操作部から制御指示信号を受け取ると、水栓設備2の電磁弁を開くように水栓設備2を制御する。この場合、宅内インターホン20で通話の終了指示を受け付けても、上述した制御指示信号を設備制御装置10へ出力する必要はない。
(その他の変形例)
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態及び変形例と適宜組み合わせて適用可能である。
上記実施形態及び変形例において、設備制御装置10(10a)は、水栓設備2が動作している場合に来訪者から呼出があると、水栓設備2の動作を停止させる構成としたが、この構成に限定されない。設備制御装置10(10a)は、水栓設備2の動作によって生じる音(騒音)を低減するように水栓設備2を制御すればよい。例えば、設備制御装置10(10a)は、水栓設備2の吐水量が少なくなるように水栓設備2を制御してもよい。この場合でも、水栓設備2の動作によって生じる音を減少するように水栓設備2を制御する前と比較すると水栓設備2の動作によって生じる音は軽減される。
上記実施形態及び変形例において、水栓設備2が吐水しているか否か(水栓設備2が動作しているか否か)の検出を水流センサで行う構成としたが、この構成に限定されない。水栓設備2が吐水しているか否かの検出は、他の検出方法であってもよく、例えばバルブの開閉を検知するセンサを水栓設備2に設けてもよい。この場合、センサは、バルブが開状態である場合には水栓設備2は動作していると判断し、バルブが閉状態である場合には水栓設備2は動作していないと判断する。
上記実施形態では、通信監視部100は、共用インターホン30又は宅外インターホン40から呼出操作に係る呼出信号が宅内インターホン20へ送信されたか否かを監視することで、通信状態を監視する構成としたが、この構成に限定されない。通信監視部100は、共用インターホン30及び宅外インターホン40と、宅内インターホン20との間で流れる信号の変化に基づいて、通信状態を監視する。通信監視部100は、共用インターホン30と宅内インターホン20との間、又は宅外インターホン40と宅内インターホン20との間で、呼出信号が流れたが否かを判断することができる。例えば、通信監視部100は、共用インターホン30と宅内インターホン20との間で呼出信号が流れたと判断する場合には、共用インターホン30呼出操作が行われたと判断する。
上記実施形態において、設備制御装置10は、呼出の操作が行われたインターホン(例えば、共用インターホン30)と第1マイクロホン51との間の通話の開始タイミングを、第1マイクロホン51で集音した音声のレベルで判断する構成とした。しかしながら、この構成に限定されない。操作部15での操作によって、呼出の操作が行われたインターホンと第1マイクロホン51との間の通話が開始される構成であってもよい。
または、判断部104は、特定の音声が第1マイクロホン51に入力されたか否か(住人が特定の音声を発したか否か)を判断してもよい。特定の音声とは、例えば“はい”等の人の言語音声である。この場合、設備制御装置10は、特定の音声に係る音声データを予め記憶している。判断部104は、予め記憶している音声データ(第1音声データ)と、音声処理装置50から受け取った音声信号から得られる音声データ(第2音声データ)とのマッチングを行う。第1音声データと第2音声データとが所定の割合以上一致する場合には、判断部104は、特定の音声が第1マイクロホン51に入力された(住人が特定の音声を発した)と判断する。
上記実施形態において、呼出の操作が行われたインターホン(例えば、共用インターホン30)と第1マイクロホン51との間の通話の終了は、操作部15での操作によって行われる構成としたが、この構成に限定されない。設備制御装置10は、呼出の操作が行われたインターホン及び第1マイクロホン51の双方から所定時間(例えば、5秒間)内に人の音声の信号を受け取らない場合には自動的に通話を終了する構成であってもよい。例えば、通信監視部100は、呼出の操作が行われたインターホンと宅内インターホン20との間で音声信号が、所定時間(例えば、5秒間)内に流れない場合には通話終了と判断し、通話を終了する。
または、設備制御装置10は、呼出の操作が行われたインターホンと第1マイクロホン51との間で通話が開始されてから所定時間(例えば、1分間)内に、操作部15で何ら操作を受け付けない場合には、自動的に通話を終了する構成であってもよい。
上記実施形態において、第1マイクロホン51及びスピーカ53は、同一の筐体に備えられる構成としたが、この構成に限定されない。第1マイクロホン51及びスピーカ53は、互いに異なる筐体に備えられてもよい。
上記実施形態において、操作部15は、音声処理装置50に設けられてもよい。
上記実施形態において、設備制御装置10と音声処理装置50とは、個別の装置とする構成としたが、この構成に限定されない。設備制御装置10と音声処理装置50とは、1つの装置として機能してもよい。
上記実施形態において、音声処理装置50は、消音処理機能の加えて、共用インターホン30又は宅外インターホン40から呼出があった場合には呼出音を出力する機能(呼出機能)と、通話処理部57の通話機能とを有する構成とした。しかしながら、この構成に限定されない。音声処理装置50は、消音処理機能の加えて、少なくとも呼出機能を有していればよい。
上記実施形態では、呼出の操作が行われたインターホン(例えば、共用インターホン30)と音声処理装置50との間の通話は、設備制御装置10及び宅内インターホン20を介する構成としたが、この構成に限定されない。呼出の操作が行われたインターホンと音声処理装置50との間の通話は、宅内インターホン20を介さない構成であってもよい。この場合、設備制御装置10は、音声処理装置50から受け取った音声信号を、宅内インターホン20を介さずに呼出操作が行われたインターホンへ出力する。設備制御装置10は、呼出操作が行われたインターホンで出力された音声信号を、宅内インターホン20を介さずに受け取ると、受け取った音声信号を音声処理装置50へ出力する。
上記実施形態及び変形例において、設備制御装置10(10a)が制御する対象の設備は水栓設備2とする構成としたが、この構成に限定されない。設備制御装置10(10a)が制御する対象の設備は、台所空間A1における音の発生元となる設備であればよい。例えば、設備制御装置10(10a)が制御する対象の設備は、レンジフードであってもよい。
上記実施形態及び変形例では、集合住宅に適用した場合のインターホンシステム1(1a)について説明した。インターホンシステム1(1a)は、戸建の住宅に適用されてもよい。戸建の住宅にインターホンシステム1(1a)を適用する場合には、共用インターホン30は構成要素には含まれない。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様のインターホンシステム1(1a)は、第1インターホン装置(共用インターホン30、宅外インターホン40)と、第2インターホン装置(宅内インターホン20)と、設備制御装置10とを備える。第1インターホン装置は、来訪者によって住宅の住人を呼び出す呼出操作が行われる。前記第2インターホン装置は、第1インターホン装置を介して住人が来訪者と会話を行えるように住宅内に設けられている。第2インターホン装置は、呼出操作が第1インターホン装置で行われたことを住人に報知する。設備制御装置10は、住宅の台所空間A1に設けられた設備(水栓設備2)が動作している場合に呼出操作が第1インターホン装置で行われると、設備の動作によって生じる音を低減するように設備を制御する。
この構成によると、インターホンシステム1(1a)は、設備の動作によって台所空間A1で発生している音を低減するので、台所空間A1において水栓設備2が動作している場合であっても来訪者の呼出操作があったことを住人に知らせることができる。これにより、住人は、台所空間A1において設備を使用している場合であっても呼出音に即座に対応することができる。
第2の態様のインターホンシステム1(1a)では、第1の態様において、設備制御装置10は、監視部(通信監視部100)と、設備制御部102とを有する。監視部は、第1インターホン装置と第2インターホン装置との間の通信状態を監視する。設備制御部102は、設備が動作している場合に呼出操作に係る呼出信号が第1インターホン装置から第2インターホン装置へ送信されたことを監視部が検知すると、設備の動作によって生じる音を低減するように設備を制御する。
この構成によると、インターホンシステム1(1a)は、呼出信号が第1インターホン装置から第2インターホン装置へ送信されると、設備の動作によって台所空間A1で発生している音を低減する。これにより、インターホンシステム1(1a)は、台所空間A1において設備を使用している場合であっても来訪者の呼出操作があったことを住人に知らせることができる。
第3の態様のインターホンシステム1は、第2の態様において、台所空間A1にスピーカ53を、さらに備える。設備制御装置10は、報知部103を、さらに有する。報知部103は、設備の動作によって生じる音を低減するように設備を設備制御部102が制御した後、呼前記呼出操作が行われたことを、スピーカ53を通じて報知する。
この構成によると、インターホンシステム1は、台所空間A1にスピーカ53を備えるので、住人が台所空間A1において設備を使用している場合であっても、来訪者から呼出があることを住人により確実に知らせる。特に、第2インターホン装置が台所空間A1から離れた場所に設けられている場合に有効である。
第4の態様のインターホンシステム1は、第3の態様において、台所空間A1にマイクロホン(第1マイクロホン51)を、さらに備える。設備制御装置10は、通話部105を、さらに有する。通話部105は、設備の動作によって生じる音を低減するように設備を設備制御部102が制御した後、マイクロホンが集音した音声の音声信号をマイクロホンから受け取ると、音声信号を第1インターホン装置へ出力する。第1インターホン装置は、音声信号を設備制御装置10から受け取ると、音声信号に応じた音声を出力する。
この構成によると、インターホンシステム1はマイクロホンを備えるので、台所空間A1で設備を使用している住人は、第2インターホン装置が設置された場所まで移動する必要はない。そのため、台所空間A1で設備を使用している住人は、呼出音に即座に対応することができる。
第5の態様のインターホンシステム1では、第4の態様において、設備制御装置10は、判断部104を、さらに有する。判断部104は、マイクロホンが集音した音声の音声信号に基づいて、通話部105と第1インターホン装置との間での通話を開始するか否かを判断する。通話部105は、判断部104が通話を開始すると判断した後、音声信号をマイクロホンから受け取ると、音声信号を第1インターホン装置へ出力する。
この構成によると、インターホンシステム1において通話を開始するためには、住人は音声を発すればよく、ボタン等の操作を行う必要がない。そのため、ユーザは、より簡単に通話を開始することができる。
第6の態様のインターホンシステム1では、第4又は第5の態様において、台所空間A1には、対面型キッチンカウンタB1が設けられている。対面型キッチンカウンタB1には、台所空間A1と他の空間(例えば、リビング空間A2)とを仕切る造作壁B2が設けられている。スピーカ53及びマイクロホンは、造作壁B2の台所空間A1側の面B3に設けられている。
この構成によると、台所空間A1にいる住人が発した音声を集音しやすく、さらには、当該住人は呼出音及び第1インターホン装置で集音した音声を聞き取りやすくなる。
第7の態様のインターホンシステム1(1a)では、第2〜第6のいずれかの態様において、設備制御部102は、設備の動作によって生じる音を低減するように設備を制御した後において住人と来訪者との間で会話が終了すると、設備の状態が設備の動作によって生じる音を低減する前の状態となるように設備を制御する。
この構成によると、住人は何ら操作をすることなく、来訪者から呼出があった前の状態で作業を再開することができる。
第8の態様のインターホンシステム1では、第1〜第7のいずれかの態様において、設備は、台所空間A1に設けられた水栓設備2である。設備の動作によって生じる音は、水栓設備2からの吐水音である。設備制御装置10は、水栓設備2から吐水が行われている場合に呼出操作が第1インターホン装置で行われると、水栓設備2からの吐水を停止する。
この構成によると、インターホンシステム1は、台所空間A1の水栓設備2の動作により発生している音を低減するので、台所空間A1において水栓設備2が動作している場合であっても来訪者の呼出操作があったことを住人に知らせることができる。これにより、住人は、台所空間A1において水栓設備2を使用している場合であっても呼出音に即座に対応することができる。