JP6876858B1 - 容器入り油ちょう用冷凍食品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】未油ちょうであり且つバッター液を用いパン粉を用いない場合であっても、ボリュームある外観を呈する油ちょう食品を得ることができる、油ちょう用冷凍食品の提供。【解決手段】油ちょう用食材50と、バッター液20と、油ちょう用食材を個別に収容可能な収容凹部11を有する容器とを有し、前記油ちょう用食材と前記バッター液とが前記収容凹部に収容されており、且つ前記バッター液は、油ちょう用食材を被覆する被覆部51と、該被覆部と連続し且つ該収容凹部の底面に保留された溜液52とを有する、容器入り油ちょう用冷凍食品55。【選択図】図3

Description

本発明は、容器入り油ちょう用冷凍食品及びその製造方法に関する。
天ぷら等の油ちょう食品は、バッター液を油ちょう用食材表面に付着させて油ちょうするものである。食材を準備しバッター液を付着させる作業は手間がかかることから、近年、冷凍状態で保管され油ちょうするだけで喫食できる食品である油ちょう用冷凍食品が求められている。
油ちょう用冷凍食品を個別の収容凹部に収納する容器入りの冷凍食品が従来知られている。特許文献1には食材表面に粉末の衣材を付着させる容器入り油ちょう用食品が記載されており、特許文献2には、エビフライ用冷凍食品が個別に収容凹部に収容された容器入り油ちょう用冷凍食品が記載されている。特許文献1及び2に記載されるように、従来容器入りの油ちょう用冷凍食品としては、未油ちょうの場合は空揚げ、コロッケ、フライなどの衣材が固形状であるものやパン粉を用いるものが一般的であった。
バッター液を用い且つパン粉を用いない天ぷらは、ボリュームある外観で好まれるものであるが、未油ちょうの冷凍食品とするとバッター液が流れ落ちやすくボリュームある外観が得難い。このため天ぷら用の油ちょう用冷凍食品は、専ら特許文献3に記載のような油ちょう済み冷凍食品として提供されていた。
特開2010−029092号公報 特開2010−030640号公報 特開2000−262249号公報
しかしながら、特許文献3に記載されたような油ちょう済みであって喫食時に再加熱する冷凍食品は、過加熱により食材や衣が硬くなったり水分量が低減したりする傾向にある。このため天ぷら等のバッター液を用い且つパン粉を用いない食品について、未油ちょうであってもボリュームある外観を呈する油ちょう食品を得ることができる油ちょう用冷凍食品が求められている。
本発明は、油ちょう用食材と、バッター液と、油ちょう用食材を個別に収容可能な収容凹部を有する容器とを有し、前記油ちょう用食材と前記バッター液とが前記収容凹部に収容されており、且つ前記バッター液は、油ちょう用食材を被覆する被覆部と、該被覆部と連続し且つ該収容凹部の底面に保留された溜液とを有する、容器入り油ちょう用冷凍食品を提供するものである。
更に、本発明は、油ちょう用食材を個別に収容可能な収容凹部を有する容器において、当該収容凹部内にバッター液を入れる第1工程と、
未加熱状態の油ちょう用食材の表面をバッター液で被覆する第2工程と、
第1工程で得られたバッター液入りの収容凹部に、第2工程で得られたバッター液で被覆された前記油ちょう用食材を配置する第3工程と、
第3工程で得られた収容凹部に収容されたバッター液及び油ちょう用食材を油ちょうせずに冷凍する工程と、を有する、油ちょう用冷凍食品の製造方法を提供するものである。
本発明は、未油ちょうであり且つバッター液を用いパン粉を用いない場合であっても、ボリュームある外観を呈する油ちょう食品を得ることができる油ちょう用冷凍食品を提供する。また本発明は、本発明の油ちょう用冷凍食品を短い工程で効率良く製造できる油ちょう用冷凍食品の製造方法を提供する。
図1は、本発明の好ましい一実施形態に係る容器の斜視図である。 図2は、容器の収容凹部に、未油ちょうの油ちょう用食材が冷凍した状態で収容されている容器入り油ちょう用冷凍食品を説明する平面図である。 図3は、図2の平面図について、A−Aに沿った拡大端面図である。 図4は、本発明の好ましい一実施形態に係る容器の平面図である。 図5は、図4の平面図について、A−Aに沿った拡大端面図である。 図6は、本発明の製造方法の第1工程の一例を示す模式図である。 図7は、本発明の好ましい他の実施形態に係る油ちょう用冷凍食品用トレーの平面図である。 図8(a)は、他の実施形態に係る油ちょう用冷凍食品用トレーの食材収容凹部を拡大して示す平面図、図8(b)は、図8(a)のB−Bに沿った端面図、図8(c)は、図8(a)のC−Cに沿った端面図である。 他の実施形態に係る油ちょう用冷凍食品用トレーの底面部の一部を取り出した斜視図である。 図10は、本発明の実施例1で得られた油ちょう食品を示す写真である。 図11(a)は、他の実施形態に係る油ちょう用冷凍食品用トレーから取り出された油ちょう用冷凍食品の、油ちょう前の状態を示す写真、図11(b)は、油ちょうして得られた油ちょう食品を示す写真である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明における容器の一例として、図1及び図4に示すトレー10を挙げる。図2及び図3はこのトレー10において、複数の油ちょう用冷凍食品を収容してなる状態を示す図である。
図2及び図3に示すように、本実施形態の容器入り油ちょう用冷凍食品55は、油ちょう用食材50と、バッター液20と、油ちょう用食材50を個別に収容可能な収容凹部11を有する容器(トレー)10とを有する。「油ちょう用食材を個別に収納」とは、エビであれば一尾、サツマイモや切り身の魚であれば一切れといった、油ちょうされる食材の単位ごとに収納することを指す。本実施形態で用いる容器10は複数の収容凹部11を有しており、各収容凹部11それぞれが当該収容凹部11内に収容された食材50を有している。以下、本明細書において、単に「油ちょう用冷凍食品」という場合、各収容凹部に収容された個々の衣材付き食材を指し、「容器入り油ちょう用冷凍食品」という場合、容器とその容器における各収容凹部に収容された個々の衣材付き食材とを含むものを指す。
図2及び図3は食材50としてエビを用いた例であるが、本発明はこれに限定されない。食材50の例としては、魚介類、野菜類、果物類、海藻類、食肉、卵類又は加工食品が挙げられる。魚介類としては、魚類、貝類、エビ類、カニ類、タコ類、イカ類等が挙げられる。野菜類としては、ねぎ、オニオン、ごぼう、人参、かぼちゃ、ほうれん草、かぼちゃ、なす、シシトウ、アスパラガス、ピーマン、グリーンピース、コーン、れんこん、アボカド、さつまいも、じゃがいも、タラノメ、ウド、マイタケ、マツタケ、エノキ、シイタケ等が挙げられる。果物類としては、りんご、イチジク、バナナ、いちご、柿等が挙げられる。海藻類としては、ワカメ、ノリ、モズク、ヒジキ等が挙げられる。食肉としては、鶏肉のほか、牛肉や豚肉等の畜肉、クジラ肉等が挙げられる。加工食品としては、練り物、納豆、チーズ、菓子類等が挙げられる。食材50は、未加熱品であっても、加熱品であってもよい。
収容凹部11の形状は食材50の形状に対応したものとなる。図1及び図4に示す例では、トレー10は複数の収容凹部11を有する収容部14を上面側に備えている。トレー10の材質としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、発泡スチレンシート(PSP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂が挙げられる。トレー10は合成樹脂の射出成型品とすることが製造容易性等の点で好ましい。トレー10は、図4に示す例では、短辺方向の縦幅が140〜450mm程度、長辺方向の横幅が200〜600mm程度の大きさの、横長の矩形状の平面形状を備えている。図1及び図4に示す例では、一つのトレー10に複数形成されている収容凹部11は、一の方向に長い形状を有している。図1及び図4に示す例では、トレー10において、収容凹部11はその長手方向が平行になるように複数配置して並べられた状態で形成されている。
更に詳細には、トレー10は、上面側に、矩形状の周縁部分に沿って設けられた周壁部10aによって周囲を囲まれると共に、当該周壁部10aの上端部よりも一段低く配置された収容部14を備えている。収容部14は、短辺方向と平行な区画壁13aによって中央部分が仕切られて、左右両側に一対(2箇所)の収容区画13を備えている。一対の収容区画13の各々には、複数(図1の例では6箇所)の収容凹部11が、長手方向をトレー10の長辺方向と平行に配置すると共に、仕切壁11bによって仕切られて、トレー10の短辺方向に並べた状態で、区画壁13aを挟んだ両側に対称に配置されて設けられている。
各々の収容凹部11は、油ちょう前の食材50を収容するのに適した、例えば長手方向の長さが95〜180mm程度、短手方向の横幅が33〜50mm程度の大きさの、縦長の略矩形状の平面形状を備えると共に、例えば14〜25mm程度の深さを備える凹部となっている。
図3に示す通り、収容凹部11に収容された食材50の表面はバッター液20により被覆されている。食材50の表面を被覆するバッター液を被覆部51という。各油ちょう用冷凍食品は該被覆部51と連続し且つ該収容凹部11の底面部11aに保留された溜液52を有する。本明細書において「バッター液」及び「溜液」は、液状であることを必須とするのではなく、液状物を冷凍させた固体を含む。
図2及び図3に示すように、被覆部51は、食材50の表面を連続的に被覆していることが、食材50の水分量の低下の抑制の点から好ましい。連続的に被覆するとは、面的な広がりをもって被覆することを意味する。例えば、食材50の表面に沿う方向によって被覆が断続的となる場合、具体的には線状、点状、ドロップ状、網目状等となる付着の態様は、連続的に被覆する場合に含まれない。容器入り油ちょう用冷凍食品55を平面視したときに、食材50表面における被覆部51により被覆された部分の面積は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。ただし、油ちょう用食材50がエビの場合、前記の食用粉末が付着していない部分の広さは、エビの体表面のうち殻に被覆された部分及び尾を除いて評価する。
溜液52は、トレー10における収容凹部11の底面部11aに保留された状態で冷凍されている。溜液52が食材50の被覆部51と連続しているとは、被覆部51と溜液52とが一体になっているか又は連結した状態を指す。溜液52が食材50の被覆部51と連続しているため、冷凍状態で油ちょう用冷凍食品25をトレー10から取り出す際に被覆部51及び溜液52との結合状態を維持して取り出すことができる。溜液52と被覆部51とを構成するバッター液の組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。
バッター液を用いるもののフライやコロッケとは異なりパン粉を付着しない天ぷら等の食品を冷凍食品とする場合、製造時にバッター液の流れ落ちが起こる。このため、食材をバッター液で被覆するだけでは、得られる油ちょう食品のボリュームを十分なものとすることは難しい。これに対し、本発明では、容器内の収容凹部11において溜液52を保留させ、この溜液52と被覆部51とを連続させることで、ボリュームのある外観を有する油ちょう食品を容易に得ることができる。特にバッター液で被覆した食材50を容器上に戴置すると、場合によっては食材50の重さにより容器の底面部と食材50との間のバッター液部分が薄くなり、油ちょう時に割れやすくなる。これに対し、本発明ではバッター液を底面部11aに保留させることにより上記の現象を防止しやすく油ちょう時の衣の割れを防止しやすい。
溜液52及び被覆部51は、その表面にバッター液に由来する衣を被覆する視認可能な異物が付着していないことが天ぷら様の外観を得る点で好ましい。このような異物としては、パン粉のほか、天かす;春雨やパスタなどの麺類、ワンタンの皮などの小麦粉由来の皮類;アーモンド、ゴマなどのナッツ類;クラッカー、せんべい、あられなどの菓子類;コーンフレーク、米やそば米等の穀類又はその製粉以外の加工品が挙げられる。なお後述する食用粉末はこのような異物には該当しない。
バッター液は小麦粉及び水を含めばよいが、その他、任意の成分を含有できる。小麦粉としては強力粉、中力粉、薄力粉が知られているが、サクサクした食感の油ちょう食品を得る点から薄力粉が好ましい。バッター液中の小麦粉及び水以外のその他の成分としては、ベーキングパウダー、澱粉類、糖類、糖アルコール類、増粘多糖類、乳化剤、卵白、卵黄、全卵、食塩等の調味料、香料、香辛料、炭酸水、酢などが挙げられる。澱粉類としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉が挙げられる。これらの澱粉は未加工澱粉であっても加工澱粉であってもよい。加工澱粉としては、α化、エーテル化、エステル化、架橋、酸化等の処理を施したものが挙げられる。エステル化澱粉にはリン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等が含まれる。
バッター液の調製に際しては、天ぷら様の外観および食感を得やすい点から、水の量は、小麦粉55質量部に対して、55質量部以上200質量部以下であることが好ましく、120質量部以上180質量部以下であることがより好ましい。ここでいう水の量は前記のその他の成分中の水の量を含む。また小麦粉及び水以外のその他の成分の量は、通常、小麦粉55質量部に対して25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。その他の成分が水分を含む場合、前記のその他の成分の量は水分を除く量である。バッター液が油脂を含有していると、衣のサクサクした食感が向上するため好ましい。油脂の含量は、小麦粉55質量部に対して、例えば、5質量部以上30質量部以下であることが、サクサクした食感の向上を含む衣の食感向上、ヘタリ防止等の点で好ましく、10質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
図1及び図4に示すように、トレー10は、収容凹部11の底面部11aにおける油ちょう用食材が位置する部分に複数の凹部12を有しており、溜液52は凹部12内に存在している。本明細書において単に凹部という場合、収容凹部の底面部に形成される凹部を指し収容凹部と区別される。凹部12内に存在する溜液52は、油ちょう用冷凍食品から得られる油ちょう食品の衣材の表面の凸部を形成する。凹部12は、収容凹部11の底面部11aに分散配置されて形成されていることが天ぷら様の外観および食感を得やすい点及びアンカー効果が得やすい点から好ましい。凹部12が複数存在する場合、溜液52は、全ての凹部12内に存在していてもよく、一部の凹部12内のみに存在していてもよい。
凹部12は、トレー10の平面視において、例えば線状、網目状、点状、ドロップ状、不定形状又はこれらを組み合わせた形状を有していることが好ましく、線状、網目状、点状、ドロップ状、又はこれらを組み合わせた形状を有していることが得られる油ちょう食品のボリューム感に優れる点、天ぷら様の外観を得やすい点でより好ましい。線状としては、直線状、曲線状のいずれであってもよく、連続線状であっても不連続線状であってもよい。線状には後述する短冊状も含まれる。ドロップ状とは、線状よりは短く、点状よりも長い形状を指す。図1及び図4に示す例では、凹部12は、点状又はドロップ状の凹部となっている。なお凹部12は必ずしも複数存在する必要はない。例えば凹部12は、くねくねした曲線状や網目状などの連続的な線状の凹部であって底面部11a全体に亘って形成されていることにより凹部12を一つとカウントされるものであってもよい。
溜液52が存在する凹部12を設け且つ溜液52を被覆部51と連続させることにより、ボリュームに優れた油ちょう食品の外観及び食感がより一層容易に得られるほか、冷凍した溜液52がアンカー突部を構成し、油ちょう用冷凍食品25が搬送中に容器10内で位置ずれを生じることが防止される点で好ましい。本実施形態において、凹部12は、幅又は径Bが1.9〜15.0mm、深さDが1.5〜3.5mmの凹部として形成されていることが好ましい(図5参照)。この範囲であることによって、凹部12において形成される冷凍時の溜液52によるアンカー突部を介した位置ずれ防止機能を、効果的に発揮させることができる。またこの範囲内であることによって、ボリューム感に優れた外観及び食感が容易に得られる。ここで凹部12の幅又は径Bは、トレー10の平面視形状において凹部12が円形の場合はその直径であり、トレー10の平面視形状において凹部12が長手方向を有する形状である場合は、その長手方向と直交する方向の幅であり、円形でもなく長手方向を有する形状でもない場合は、その面積を円の面積に換算した際の円の直径である。前記の幅Bは、トレー10の平面視形状において前記の幅が、一つの凹部12において、長手方向に沿って前記の幅が異なる場合、前記の幅は一つの凹部12における最大幅を指す。前記の幅、径及び深さはそれぞれ複数の凹部12において同じであってもよく異なっていてもよい。前記の幅、径及び深さが複数の凹部12において異なる場合、トレー10に存在する全ての凹部12の平均値が上記範囲であることが好ましい。前記のアンカー突部を介した位置ずれ防止機能並びにボリューム感に優れた外観及び食感の点から、全ての凹部12における幅及び径が1.9〜15.0mmの範囲内であることが特に好ましく、深さが1.5〜3.5mmの範囲内であることが特に好ましい。本実施形態において、1つの収容凹部11に凹部12が複数存在する場合、1つの収容凹部11中における凹部の数は7個以上30個以下であることがアンカー効果や外観の点で好ましく、8個以上25個以下であることがより好ましく、9個以上20個以下であることがより好ましい。
ボリューム感のある外観を得る点、及びアンカー効果が高い点から、複数の凹部12は全て同じ平面視形状を有するのではなく、複数種の平面視形状を組み合わせた形状を有することが好ましい。複数種の平面視形状を組み合わせた例として、図4では円形の点状とそれよりも細長いドロップ状の形状を組み合わせているが、これに限定されず、線状と点状又はドロップ状との組み合わせ等適宜の組み合わせが可能である。また凹部12が線状やドロップ状等の一方向に長い形状である場合、当該形状を有する各凹部12のトレー10の平面視における長手方向は一致していてもよく、異なっていてもよい。図4に示す形態ではドロップ状の凹部12における平面視における長手方向は一致しておらず、これにより得られる油ちょう食品の外観を、自然な立体感を有するものとすることができる。例えば、一の収容凹部11が複数の凹部12を有する場合において、複数の凹部12のうち、平面視における面積が最も広い凹部12の面積をS1とし、最も面積が狭い凹部12の面積をS2とした場合に、S1/S2の比率は1.0以上、特に1.2以上12以下であることが、自然の立体感の点で好ましく、1.8以上6以下であることがより好ましい。
更に一の収容凹部11が複数の凹部12を有する場合において、複数の凹部12における深さが異なることが、油ちょう食品の外観を自然な立体感を有するものとすることができる点で好ましく、面積及び深さがいずれも異なる複数の凹部12を有することがより好ましい。例えば収容凹部11は、一の凹部12に対し、面積及び深さがいずれも小さな別の凹部12を有していてもよいし、面積が大きい一方で深さは小さな別の凹部12を有していてもよい。一の収容凹部11が複数の凹部12を有する場合において、複数の凹部12のうち最も深い凹部12の深さをD1とし、最も浅い凹部12の深さをD2とした場合に、D1/D2の比率は1.0以上であり、1.1以上8以下であることが、自然の立体感の点で好ましく、1.2以上6以下であることがより好ましい。なお、後述するように、一の凹部12の底面に凹凸が存在して深さが一定でない場合、此処でいう深さとは当該凹部12の最大の深さを指す。
図3に示す通り、凹部12は、トレー10の側面視において、下方に向けて窄んだ形状を有していることが好ましい。具体的にはトレー10の側面視において、凹部12はその基部12bからその最底部12aに亘る少なくとも一部が幅狭になる(図3の例でいうとX方向長さが小さくなる)形状を有している。一方で凹部12はその基部12bからその最底部12aに向かうにつれて、幅広となる部分は有しないことが好ましい。凹部12はその内面が曲面を有することが油ちょう食品の外観における自然な立体感の点で好ましい。
図4に示す通り、凹部12は、トレー10を平面視したときに、収容凹部11の底面部11aにおける油ちょう用食材が位置する部分に形成されている。収容凹部11の幅方向(図3のX方向)又はそれと直交する長手方向において、凹部12は、底面部11aの中央部分に形成されており、底面部11aにおける前記中央部分の両側には、凹部12が形成されていない部分が存在してもよい。図4及び図5に示す例では凹部12は、底面部11aの幅方向の中央部分に形成されている。この場合、底面部11aにおける幅方向の長さL2に対する凹部12が形成された部分の長さLの割合(L/L)(図5参照)は0.10以上0.96以下が好ましい。ここでいう凹部12が形成された部分の長さとは、凹部12が形成された部分における両端間の長さをいい、幅方向において、凹部12間に凹部12が形成されていない部分が存在する場合、当該部分の長さを含むものである。なお、L/Lが収容凹部11の長手方向に沿って異なる場合、上記L/Lの平均値が上記範囲内であることが好ましく、収容凹部11の長手方向の全体に亘り、L/Lが上記範囲内であることが特に好ましい。収容凹部11の長手方向において、凹部12は、底面部11aの中央部分に形成されている場合も底面部の長手方向の長さにおける凹部が形成されていない部分の長さの割合は、0.10以上0.96以下の範囲内であることが好ましい。
なお、図4に示す例において収容凹部11の底面部11aにおける凹部12以外の部分は連続した平坦面に形成されているが、これに限定されない。
図3及び図5に示す通り、収容凹部11は、その長手方向と直交する断面視において下方に向けて窄んだ形状を有していることが、容器の強度を上げる点で好ましい。図5に示す例では、収容凹部11の底面部11aと、側面部11eとの接合角部分が、凹状湾曲面11fによって面取りされている。更に収容凹部11は、その長手方向に沿う断面視においても、同様に下方に向けて窄んだ形状であることが好ましい。凹部は、好ましくは凹状湾曲面11fによって周囲を囲まれる内側領域において、底面部11aに分散配置されて形成されているか、或いは、後述する図8(c)のように周縁部分の平坦な枠状領域21bによって周囲を囲まれた、凹状に湾曲する内側凹状領域21cに設けられるよう形成されている。これによって、得られる油ちょう食品の外観を、油ちょう時の衣の突起の形状や大きさが均一でないことに起因する自然な立体感を有するものとすることができる。
図1及び図4に示す例では、各々の収容凹部11の区画壁13a側の端部に、収容凹部11と連続して、平面視において区画壁13aに近づくにつれ幅の狭くなる幅狭部11cが設けられている。幅狭部11cは、トレー10を収容凹部11の長手方向と直交する側方から見たときに、収容凹部11から離間する方向に向けて斜め上方に傾斜する部分を含んで設けられている。幅狭部11cを挟んだ両側には、一対の係止突壁11dが設けられている。幅狭部11cは、食材がエビである場合にはエビの第6腹節の殻の部分を載置させる部分となる。更に、幅狭部11c及び係止突壁11dが設けられた収容凹部11の区画壁13a側の端部と、当該区画壁13aとの間の領域は、収容凹部11の底面部11aよりも一段高くなった、平坦な尾部載置部15となっている。
食材50がエビである場合、油ちょう前のエビ50は、背側を上方に配置し、身の部分50aを各々の収容凹部11に載置すると共に、第6腹節の殻の部分50bを、一対の係止突壁11dの間に係止させるようにして幅狭部11cに載置され、尾の部分50cを、扇状に広げて尾部載置部15に載置した状態で、トレー10に収容されて、容器入り油ちょう用冷凍食品55として製品化されることになる(図2参照)。係止突壁11dは油ちょう用食材50の端部を側方から支持可能に形成されている。このような状態は被覆部と溜液の接着面がずれないため、油ちょう前のエビ50の腹側においてバッター液が一層保留されやすく、ボリュームある外観が得やすい。
図7は、本発明の好ましい他の実施形態に係る油ちょう用冷凍食品用トレー20を例示するものである。なお、図7に示す他の実施形態のトレー20に関して、上記実施形態の油ちょう用冷凍食品用トレー10と異なる構成部分について主として説明し、同様の構成部分については同一の符号を付して説明を省略している。特に言及しない構成部分については、上記実施形態のトレー10に関する説明が適宜適用される。また、後述する点以外の部分については、上述した収容凹部11、底面部11a、凹部12の説明は、収容凹部21、底面部21a、凹部22の説明にそれぞれ適用できる。
図7に示す他の実施形態のトレー20では、各々の収容凹部21の底面部21aに設けられた、凹部22は、図8(a)〜(c)にも示すように、収容凹部21の長手方向に間隔をおいて、横幅方向(図8のX方向)に2列に千鳥状に並べて配置された、ランダムなジグザク短冊状の凹部22aを主として含んで形成されている。短冊状の凹部22aは、トレー20の平面視形状において、収容凹部21の幅方向Xに延びる長手方向を有する。トレー20の平面視形状における凹部22aの長手方向は幅方向Xに対して斜めであってもよい。主として含むとは、凹部22aの数が凹部22の数の半数を占めることを意味することが好ましく、60%以上を占めることが好ましく、70%以上を占めることがより好ましい。
凹部22aは、収容凹部21の横幅方向の中央部分において、中央側の部分が中央部を超えて形成されることで、収容凹部21の長手方向に重なるように配置されて設けられている。収容凹部21の底面部21aに設けられたアンカー部形成凹部22は、好ましくは点状、ドロップ状、円形状、矩形状、オーバル状又は不定形状の凹部22bを含んでいても良い。通常、トレー20の平面視において、凹部22bの長手方向長さは凹部22aに比して短いことが好ましい。
図9は図7における底面部21a及び幅狭部を取り出して略示斜視図としたものである。図9及び図7(a)に示す通り、凹部22aはトレー20の平面視において凹部22aの長手方向に沿って幅W’(図8参照)が一定ではない形状を有していることが、得られる油ちょう食品において自然な立体感が得られる点で好ましい。ここでいう幅W’とはトレー20の平面視における凹部22aの長手方向と直交する方向の幅を指す。本実施形態において、幅W’としては、一つの凹部22aの最大幅として例えば1.9〜15.0mmが好適に挙げられる。凹部22aの長手方向に沿って幅W’(図8参照)が一定ではない形状としては、トレー20の平面視において、凹部22aがその長手方向の途中で幅狭になる部分(くびれ部)や逆に幅広となる部分、又は屈曲部を有する形状が挙げられる。図9及び図7(a)に示すように、凹部22aはトレー20の平面視における形状が互いに異なることが油ちょう食品の外観における自然な立体感の点で好ましい。トレー20において、凹部22aの長手方向長さL(不図示)と幅W’との比率L/W’は1.2以上15以下であることが好ましく、2以上12以下であることがより好ましい。
また、凹部22aはその長手方向に沿って深さが一定でない形状を有していることも、得られる油ちょう食品において自然な立体感が得られる点で好ましい。本実施形態において、凹部22a及び凹部22bを含め、凹部22の深さD’(一の凹部22の最大深さ、不図示)D’は、例えば1.5〜3.0mmが好適に挙げられる。
前記で挙げたW’、L/W’は一つの収容凹部中の複数の凹部22aの平均値であることが好ましく、一つの収容凹部中の全ての凹部22aにより満たされる値であることがより好ましい。またD’は一つの収容凹部中の複数の凹部22の平均値であることが好ましく、一つの収容凹部中の全ての凹部22により満たされる値であることがより好ましい。
また、図8に示す他の実施形態の油ちょう用冷凍食品用トレー20では、凹部22は、収容凹部21の底面部21aにおける、周縁部分の平坦な枠状領域21bによって周囲を囲まれた、凹状に湾曲する内側凹状領域21cに設けられるようになっている(図8(c)参照)。図8(a)及び図9に示すように、内側凹状領域は、平面視したときに、長手方向に沿う端縁部における当該端縁部側に位置する凹部22a間において、幅方向Xの内側に凹んだ部分22eを有している。このように形成することで、溜液が内側凹状領域21cの凹んだ部分22eからはみ出た状態となりやすく、これによって、得られた油ちょう食品において自然な立体感が一層得られやすい。更に、図7に示す他の実施形態の油ちょう用冷凍食品用トレー20では、収容部14を左右に仕切る区画壁は設けられておらず、収容部14における左右の収容区画13の間の中間部分は、凹状に一段下った区画凹部13bとなっている(図8b)参照)。
図7に示す他の実施形態の油ちょう用冷凍食品用トレー20によっても、収容凹部21において冷凍されて固化した溜液52が、アンカー部形成凹部22により収容凹部11に強固に係止されて、位置ずれを防止するアンカー機能を発揮することになるので、収容凹部21に収容されたエビ50’の全体が、収容凹部21で位置ずれするのを、アンカー機能により効果的に回避することが可能になって、上記の実施形態の油ちょう用冷凍食品用トレー10と同様の作用効果が奏される。
被覆部51はその表面にパン粉以外の食用粉末が付着していることが容器入り油ちょう用冷凍食品の製造容易性の点で好ましい。これにより被覆部51の見かけの粘度が増加して被覆部51の流動性が低減し、被覆部51の流れ落ちによる油ちょう用冷凍食品の衣の型崩れが防止しやすい。食用粉末は穀粉類、澱粉類及び粉末油脂から選ばれる少なくとも一種からなることが外観にパン粉等の異物を有さない天ぷら様食品が得やすい点でより好ましい。特に食用粉末が粉末油脂を有する場合、得られる油ちょう食品の食感が軽くなるために好ましく、粉末油脂と、穀粉類及び澱粉類から選ばれる少なくとも一種との混合粉末であることが、食感と外観のボリューム感との両立に優れる点で好ましい。一方、溜液52はその表面に食用粉末が付着していないことが、該被覆部と該収容凹部の底面に保留された溜液が連続しやすい点で好ましい。
食用粉末において、小麦粉としては強力粉、中力粉、薄力粉のいずれを用いてもよい。食用粉末に用いる澱粉類としては、上述したバッター液に用いる澱粉類の例として挙げた未加工澱粉及び加工澱粉を挙げることができる。粉末油脂を構成する油脂としては、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂から選択される1種以上の油脂、並びに、これらの油脂を原料として、水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。粉末油脂は、植物油又はその加工油であることが、得られる油ちょう食品の風味を良好なものとしやすい点で好ましく、植物油の水素添加油であることが風味の点で特に好ましい。粉末油脂は、融点が30℃以上、特に40℃以上、とりわけ50℃以上であることが、常温での作業が可能で、取り扱いが容易である点で好ましい。また融点は80℃以下であることが、揚げ油中での速やかな溶解性の点で好ましく、70℃以下であることがより好ましい。粉末油脂のヨウ素価としては、粉末油脂の物性の安定性や上記の好ましい融点を与えやすい点から、例えば3.0以下であることがより好ましい。
食用粉末は、被覆部51に多数付着させて被覆部51を構成するバッター液の流動性を低下させる点から、目開きが2mmの篩を90質量%以上が通るものであることが好ましく、95質量%以上が通るものであることがより好ましく、99質量%以上が通るものであることが特に好ましく、100質量%が通るものであることが最も好ましい。特に食用粉末が澱粉類又は油脂類からなる場合には前記と同様の点から、目開きが35メッシュ(420μm)の篩を90質量%以上が通るものであることが好ましく、95質量%以上が通るものであることがより好ましく、99質量%以上が通るものであることが特に好ましく、100質量%が通るものであることが最も好ましい。篩の通過量の測定条件は室温を25〜30℃、湿度を20〜30%の範囲内の条件とし、電動式篩振とう器 AS200 aplitude70(Retsch社製)を用い、100gを篩にかけ、篩時間は5分間とすることが好ましい。
天ぷら様の外観と具材及び衣の良好な食感とを有する油ちょう食品をより容易に得やすい点から、食用粉末中、小麦粉、澱粉類及び油脂類の量は合計で85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。衣の軽い食感及びボリュームのある外観の両立の点から、食用粉末が粉末油脂と小麦粉及び澱粉類から選ばれる少なくとも一種とを含有する場合、両者の混合比率は、質量比で前者:後者=35:65〜95:5であることが好ましく、40:60〜90:10であることが更に一層好ましく、50:50〜85:15であることがとりわけ好ましく、55:45〜82:28であることが最も好ましい。
次いで、本発明の油ちょう用冷凍食品の製造方法を説明する。
本発明の油ちょう用冷凍食品の製造方法は、油ちょう用食材を個別に収容可能な収容凹部を有する容器において、当該収容凹部内にバッター液を入れる第1工程と、
未加熱状態の油ちょう用食材の表面をバッター液で被覆する第2工程と、
第1工程で得られたバッター液入りの収容凹部に、第2工程で得られたバッター液で被覆された前記油ちょう用食材を配置する第3工程と、
第3工程で得られた収容凹部に収容されたバッター液及び油ちょう用食材を油ちょうせずに冷凍する工程と、を有する。第1工程と第2工程とはどちらを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
第1工程においては、収容凹部11(又は21)の底面部11a(又は21a)にバッター液を配置して溜液52を形成する。バッター液は底面部11a(又は21a)の凹部12(又は22)内に存在させるように配置させることが好ましい。第1工程で用いるバッター液の使用量は、油ちょう用食材50の100質量部に対して5質量部以上であることが、ボリューム感の向上効果やアンカー効果の点で好ましく、40質量部以下であることが油ちょう用冷凍食品における底面部11a側部分と、被覆部の上側部分との厚さの違いによる油ちょう時の加熱ムラを防ぐ点で好ましい。この観点から、第1工程で用いるバッター液の使用量は、油ちょう用食材50の100質量部に対して10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。バッター液は収容凹部の底面部において凹部12内のみならず凹部12の周囲においても配置されることが溜液52と被覆部51とを連続させる点で好ましい。例えば図6に示すように、凹部12(又は22)が形成された底面部11a(又は21a)に、溜液52を、例えば可撓変形可能なスクイズボトル容器53から、絞り出すようにして供給する。
第2工程においては、未加熱状態の油ちょう用食材50の表面をバッター液で被覆し、被覆部51を得る。食材50をバッター液で被覆する方法としては、食材50をバッター液に浸漬させる、バッター液を食材50の表面に塗布する、バッター液と食材50を混合させる、等の方法が挙げられる。食材50を連続的に被覆して油ちょう食品における食材50の水分量の低下を低減する点や、衣の食感を良好にする点等から、バッター液を食材50に付着させる量は、食材100質量部に対して、通常10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上50質量部以下であることがより好ましい。
第2工程において、バッター液で食材50を被覆する前に、食材50の表面に小麦粉又は加工澱粉を付着させることが、食材50とバッター液との接着性を高める点で好ましい。バッター液を付着させる前に食材50に直接付着させる粉末を、以下「打ち粉」ともいう。打ち粉に用いる小麦粉としては強力粉、中力粉、薄力粉が知られているが、サクサクした食感の油ちょう食品を得る点から薄力粉が好ましい。加工澱粉としては、バッター液について説明した加工澱粉が挙げられ、酢酸澱粉を用いることが食材50と被覆部51との接着性が高い点で好ましい。加工澱粉と小麦粉との混合粉を打ち粉とすることが、打ち粉によるバッター液と食材50との間の接着性を高める点で一層好ましい。打ち粉の機能の向上効果を良好なものとするために、加工澱粉と小麦粉との混合粉を用いる場合、加工澱粉100質量部に対して小麦粉の量を3質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。
食材50とバッター液との接着性を高める点及び食感の点などから、打ち粉を食材50に付着させる量は、食材100質量部に対して、通常1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
第2工程の後、及び第3工程の前において、バッター液が付着した食材50の外表面、具体的には、被覆部51の外表面に、パン粉以外の食用粉末を付着させることが好ましい。食用粉末をバッター液に付着させる量は、食材100質量部に対して、5質量部以上であることが、被覆部51の流れ落ちを効果的に防止しやすい点で好ましく、食材100質量部に対して、30質量部以下であることが粉っぽい食感になりにくいという点で好ましい。この観点から、食用粉末をバッター液に付着させる量は、食材100質量部に対して、10質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
第3工程においては、第1工程で得られたバッター液入りの収容凹部に、第2工程で得られたバッター液で被覆された前記油ちょう用食材を配置する。例えば食材がエビの場合、身の部分50aの表面に被覆部51及び必要に応じ食用粉末が付着している油ちょう用食材であるエビ50を、上述のように、身の部分50aを、溜液52が供給された各々の収容凹部11の底面部11aに載置すると共に、第6腹節の殻の部分50bを、一対の係止突壁11dの間に係止させるようにして幅狭部11cに載置し、尾の部分50cを、扇状に広げて尾部載置部15に載置した状態で、トレー10に収容する。第2工程において、必要に応じ食用粉末で被覆した被覆部51は、予め冷凍させた後に、収容凹部11(又は21)に載置することが操作性の点で好ましい。これにより一対の係止突壁11dが側方からエビの一端部を支持できる。なお、具材がエビでない場合、例えば魚の半身などである場合も、同様に係止突壁11dにより魚の尾を支持できる。
以上の第3工程の後にトレー10(又は20)ごと被覆部51及び溜液52が付着した食材50を冷凍する。これにより容器入り油ちょう用冷凍食品55が得られる。容器入り油ちょう用冷凍食品55は冷凍状態のまま油ちょうすることが、衣の形崩れを防止できる点、解凍の手間なく簡便に油ちょう食品を得られる点で好ましい。本発明の油ちょう食品は、上述した通り天ぷら様の外観を有し、天ぷらとして喫食できる。油ちょう温度は例えば160℃〜180℃であることが、天ぷらとして油ちょう用冷凍食品を得るために好適である。
本発明は上記方法で製造した冷凍食品を提供するものである。食品分野での製品寿命は短いところ、衣の物性や形状は、バッター液の構成や需要家の要求によりさまざまである。このため、本発明の冷凍食品の衣の物性や形状等の構成について、本明細書で記載したことを超える事項について特定することは非実際的である。このように本願において、冷凍食品における衣の物性や形状を特定することについて不可能又は非実際的な事情が存在した。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。なお、以下の実施例1で用いた食用粉末は、電動式篩振とう器 AS200 aplitude70(Retsch社製)を用い、100gを篩にかけ、篩時間は5分間とする方法において、25℃・湿度20%で測定した篩の通過率が、目開き2mmの篩において、100%であった。中でも、下記の実施例1において用いた粉末油脂「TP−9」は、前記方法にて、25℃・湿度20%で測定した篩の通過率が、35メッシュの篩においても100%であった。また以下の各実施例において用いた食用粉末はいずれも水分量が30%以下であった。
〔実施例1〕
(第1工程)
バッター液は、次の組成のものを用いた(バッター液組成:水を130部、薄力粉を81.9部、パーム油を10.0部、その他添加剤(調味料、乳化剤、着色剤等)を8.1部)。このバッター液を図1で示すトレー10の各収容凹部の底面部11aに第2工程で用いるバナメイエビ100質量部に対して10〜30質量部の範囲で供給し、溜液52とした。
(第2工程)
油ちょう用具材として生のバナメイエビを用いた。打ち粉として、酢酸澱粉と薄力粉を質量比95:5で混合したものを用いた。バッター液として第1工程で用いたものと同じバッター液を用いた。食用粉末として、粉末油脂(「TP−9」、日油製、ナタネ硬化油、融点65℃〜69℃、ヨウ素価3.0以下)と、穀粉・澱粉類混合粉末(加工澱粉53%、小麦粉25%、澱粉20%、その他(ベーキングパウダー、乳化剤、蛋白質、調味料)計2%)との質量比60:40の混合粉末を用いた。
油ちょう用具材の表面に、打ち粉を具材100部に対して5部まぶした。打ち粉が付着した具材を、バッター液に浸漬させて、具材の外表面に、バッター液を具材100部に対して30部付着させ、打ち粉がまぶされた具材の外表面を連続的に被覆する被覆部51を形成した。油ちょう用具材を被覆する被覆部51の外表面全体に、食用粉末として前記の混合粉末をまぶし、被覆部51の外表面に混合粉末を具材100部に対して32部付着させた。その状態において−30℃で冷凍させた。
(第3工程)
第1工程で溜液52を底面部に配置した収容凹部11内に第2工程で得られた被覆部51付きエビ50を上述した態様にて配置し、−25℃で冷凍した。これにより実施例1の容器入り油ちょう用冷凍食品55を得た。
冷凍1日後の容器入り油ちょう用冷凍食品55における冷凍食品50を、冷凍状態で170℃の揚げ油(大豆油及び菜種油の混合油)で3分間揚げて、実施例1の油ちょう食品100を得た。写真を図10に示す。図10に示す通り、得られた油ちょう食品100は十分なボリューム感のある外観を有していた。また得られた油ちょう食品は、衣及び具材の食感が良好なものであった。
〔実施例2〕
またトレーの種類を、図7の形態のものに変更して同様に油ちょう用冷凍食品50’及び油ちょう食品100’を得た。得られた油ちょう用冷凍食品50’及び油ちょう食品100’を図11(a)及び(b)にそれぞれ示す。
10,20 トレー
10a 周壁部
11 収容凹部
11a,21a 底面部
11b 仕切壁
11c 幅狭部
11d 係止突壁
11e 側面部
11f 凹状湾曲面
12,22,22a,22b 凹部
13 収容区 凹部
13 収容区画
13a 区画壁
14 収容部
15 尾部載置部
50,50’ 油ちょう前の油ちょう用食材
50a 身の部分
50b 殻の部分
50c 尾の部分
51 被覆部
52 溜液
55 容器入り油ちょう用冷凍食品
B 凹部の幅又は径
D 凹部の深さ
100,100’油ちょう食品

Claims (8)

  1. 油ちょう用食材と、バッター液と、油ちょう用食材を個別に収容可能な収容凹部を有する容器とを有し、前記油ちょう用食材と前記バッター液とが前記収容凹部に収容されており、且つ前記バッター液は、油ちょう用食材を被覆する被覆部と、該被覆部と連続し且つ該収容凹部の底面に保留された溜液とを有する、容器入り油ちょう用冷凍食品。
  2. 前記容器は、前記収容凹部の底面における油ちょう用食材が位置する部分に複数の凹部又は連続的な線状の凹部を有しており、前記バッター液における前記溜液が当該凹部内に存在している、請求項1に記載の容器入り油ちょう用冷凍食品。
  3. 前記容器は、油ちょう用食材を個別に収容可能な複数の収容凹部を有し、当該複数の収容凹部それぞれにおいて前記油ちょう用食材及び前記バッター液が収容されてなる、請求項1又は2に記載の容器入り油ちょう用冷凍食品。
  4. 前記収容凹部は一方向に長い形状を有しており、当該形状の長手方向の一端部に前記油ちょう用食材の端部を側方から支持可能な一対の係止突壁を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の容器入り油ちょう用冷凍食品。
  5. 前記被覆部の表面にパン粉を除く食用粉末が付着している、請求項1〜4の何れか1項に記載の容器入り油ちょう用冷凍食品。
  6. 油ちょう用食材を個別に収容可能な収容凹部を有する容器において、当該収容凹部内にバッター液を入れる第1工程と、
    未加熱状態の油ちょう用食材の表面をバッター液で被覆する第2工程と、
    第1工程で得られたバッター液入りの収容凹部に、第2工程で得られたバッター液で被覆された前記油ちょう用食材を配置する第3工程と、
    第3工程で得られた収容凹部に収容されたバッター液及び油ちょう用食材を油ちょうせずに冷凍する工程と、を有する、油ちょう用冷凍食品の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法により製造される、油ちょう用冷凍食品。
  8. 請求項6に記載の製造方法により製造された油ちょう用冷凍食品を冷凍状態のまま油ちょうする、油ちょう食品の製造方法。
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