以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、圧電駆動装置1は、振動デバイス3と、駆動装置5と、を備えている。
最初に、振動デバイス3について説明する。図2は、振動デバイスの平面図である。図3、図4、図5、及び図6は、本実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。図7は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。図8は、圧電素子の平面図である。図2に示されるように、振動デバイス3は、圧電素子10と、配線基板40と、振動板50と、を備えている。圧電素子10は、圧電素体11と、複数の外部電極13,15と、を有している。
圧電素体11は、直方体形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11bと、四つの側面11cと、を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。主面11a,11bは、矩形状を呈している。本実施形態では、主面11a,11bは、正方形状を呈している。
一対の主面11a,11bが対向している方向が第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。四つの側面11cは、一対の主面11a,11bの間を連結するように第一方向D1に延在している。主面11a,11bと各側面11cとは、稜線部を介して、間接的に隣り合っている。圧電素体11の第一方向D1での長さ(圧電素体11の厚み)は、例えば100μmである。
圧電素体11は、図7にも示されるように、(第一方向D1に複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されて構成されている。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを含んでいる。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向が第一方向D1と一致する。
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料としては、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)などが挙げられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、例えば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。圧電体層17a,17dの厚みは、圧電体層17b,17cの厚みよりも小さい。圧電体層17a,17dの厚みは、例えば33μmであり、圧電体層17b,17cの厚みは、例えば16μmである。
圧電素子10は、図3、図4、図5、及び図7に示されるように、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。
内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料として、例えばAg、Pd、又はAg−Pd合金などが用いられる。内部電極19,21,23は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。内部電極19,21,23は、略矩形状(例えば、略正方形状)を呈している。
各内部電極19,21,23は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。
各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、側面11cには露出していない。したがって、各内部電極19,21,23は、図8に示されるように、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
複数の外部電極13,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13は、複数の外部電極13a,13bを含んでいる。本実施形態では、外部電極13は、二つの外部電極13a,13bを含んでいる。外部電極15は、複数の外部電極15a,15bを含んでいる。本実施形態では、外部電極15は、二つの外部電極15a,15bを含んでいる。各外部電極13a,13b,15a,15bは、第一方向D1から見て、略長円形状を呈している。
各外部電極13,15(各外部電極13a,13b,15a,15b)は、導電性材料からなる。導電性材料として、例えば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金などが用いられる。各外部電極13,15は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
各外部電極13,15(各外部電極13a,13b,15a,15b)は、図8に示されるように、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15(各外部電極13a,13b,15a,15b)は、図8に示されるように、第一方向D1から見て、内部電極19,21,23の全ての縁(四辺)から離間している。
外部電極13aと外部電極13bとは、隣り合っている。外部電極15aと外部電極15bとは、隣り合っている。四つの外部電極13a,13b,15a,15bは、主面11aの一辺のみに沿って配置されている。外部電極13bと外部電極15aとが、隣り合っている。
各外部電極13a,13bは、それぞれ複数のビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、第一方向D1で、外部電極13a,13bと対向している。複数のビア導体31は、外部電極13a,13bと接続されていると共に、接続導体25と接続されている。
各外部電極15a,15bは、それぞれ複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、第一方向D1で、外部電極15a,15bと対向している。複数のビア導体33は、外部電極15a,15bと接続されていると共に、内部電極19と接続されている。
接続導体25は、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、第一方向D1で、内部電極21と対向している。複数のビア導体35は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
内部電極19は、それぞれ複数のビア導体37を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体27は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体27とは、離間している。接続導体27は、第一方向D1で、内部電極19と対向している。複数のビア導体37は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体27と接続されている。
接続導体27は、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体27は、第一方向D1で、内部電極23と対向している。複数のビア導体39は、接続導体27と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
各外部電極13a,13bは、複数のビア導体31、接続導体25、及び、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。各外部電極15a,15bは、複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されている。各外部電極15a,15bは、複数のビア導体33、内部電極19、複数のビア導体37、接続導体27、及び、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。
接続導体25,27及びビア導体31,33,35,37,39は、導電性材料からなる。導電性材料として、例えば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金などが用いられる。接続導体25,27及びビア導体31,33,35,37,39は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27は、略矩形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体及び内部電極21と電気的に接続されている導体は配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
圧電素体11の各側面11cにも、内部電極19,23と電気的に接続されている導体及び内部電極21と電気的に接続されている導体は配置されていない。本実施形態では、各側面11cを当該側面11cと直交する方向から見たとき、各側面11cの全体が露出している。本実施形態では、各側面11cも、自然面である。
配線基板40は、図6にも示されているように、樹脂膜41と、複数の導体43,45と、被覆膜47と、を有している。本実施形態では、配線基板40は、一対の導体43,45を備えている。配線基板40は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)である。配線基板40は、所定の方向に延在している。
樹脂膜41は、互いに対向している一対の主面41a,41bと、端面41cと、互いに対向している一対の側面41dと、を有している。樹脂膜41は、電気絶縁性を有している。樹脂膜41は、例えばポリイミド樹脂からなる。
端面41cは、一対の主面41a,41bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面41cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面41dは、一対の主面41a,41bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面41dは、上記所定の方向に沿って延在している。本実施形態では、主面41bを主面41aと主面41bとが対向している方向から見たとき、主面41bの全体が露出している。
一対の導体43,45は、樹脂膜41(主面41a)上に配置されている。導体43と導体45とは、上記所定の方向に延在している。導体43と導体45とは、導体43,45が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体43,45は、例えば銅からなる。
導体43は、互いに対向している一対の主面43a,43bと、端面43cと、互いに対向している一対の側面43dと、を有している。主面43bは、主面41aと接している。端面43cは、一対の主面43a,43bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面43cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面43dは、一対の主面43a,43bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面43dは、上記所定の方向に沿って延在している。本実施形態では、端面41cと端面43cとは、略同一平面上に位置している。
導体45は、互いに対向している一対の主面45a,45bと、端面45cと、互いに対向している一対の側面45dと、を有している。主面45bは、主面41aと接している。端面45cは、一対の主面45a,45bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面45cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面45dは、一対の主面45a,45bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面45dは、上記所定の方向に沿って延在している。側面43dと側面45dとは、互いに対向している。本実施形態では、端面41cと端面45cとは、略同一平面上に位置している。
被覆膜47は、各導体43,45の一部を覆うように、各導体43,45上に配置されている。上記所定の方向での各導体43,45の両端部は、被覆膜47から露出している。被覆膜47は、主面41aにおける各導体43,45から露出している領域を覆うように、主面41aにも配置されている。上記所定の方向での樹脂膜41の両端部も、被覆膜47から露出している。被覆膜47は、各導体43,45(主面43a,45a及び一対の側面43d,45d)と接しているとともに、樹脂膜41(主面41a)と接している。樹脂膜41と被覆膜47とは、互いに接している領域で接合されている。被覆膜47は、例えばポリイミド樹脂からなる。被覆膜47から露出している各導体43,45の両端部には、例えば金フラッシュめっきが施されている。
主面41aと主面41bとが対向している方向での配線基板40の長さ(配線基板40の厚み)は、主面41aと主面41bとが対向している方向での樹脂膜41の長さ(樹脂膜41の厚み)と、主面41aと主面41bとが対向している方向での導体43,45の長さ(導体43,45の厚み)と、主面41aと主面41bとが対向している方向での被覆膜47の長さ(被覆膜47の厚み)との合計で規定される。本実施形態では、配線基板40の厚みは、例えば70μmである。樹脂膜41の厚みは、例えば20μmである。各導体43,45の厚みは、例えば20μmである。樹脂膜41の厚みと各導体43,45の厚みとは、異なっていてもよい。
振動板50は、金属からなり、互いに対向している主面50a,50bを有している。振動板50は、例えば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。振動板50(主面50a,50b)は、主面50aと主面50bとが対向している方向から見たとき、矩形状を呈している。主面50aと主面50bとが対向している方向での振動板50の長さ(振動板50の厚み)は、例えば250μmである。
圧電素子10及び配線基板40は、振動板50と接着されている。圧電素体11の主面11bと振動板50の主面50aとが互いに対向しており、樹脂膜41の主面41bと振動板50の主面50aとが互いに対向している。すなわち、主面11bと主面50aとが接着されていると共に、主面41bと主面50aとが接着されている。
圧電素子10及び配線基板40が振動板50に接着された状態では、第一方向D1と、主面41aと主面41bとが対向している方向と、主面50aと主面50bとが対向している方向と、は略同じである。第一方向D1から見て、圧電素子10は、振動板50の中央部に配置されている。
圧電素子10は、接着部材55によって、主面11bと四つの側面11cとで振動板50と接着されている。接着部材55は、圧電素子10と振動板50とを接着する部材である。本実施形態では、主面11bと四つの側面11cとの全体が、接着部材55で覆われている。すなわち、主面11bと四つの側面11cとの全体が、接着部材55と接している。主面11aは、接着部材55に覆われておらず、接着部材55から露出している。主面11bと主面50aとは、接着部材55を介して、間接的に対向している。
配線基板40は、接着部材57によって、樹脂膜41の主面41bで振動板50と接着されている。接着部材57は、配線基板40と振動板50とを接着する部材である。本実施形態では、主面41bの、振動板50上に位置している領域の全体が、接着部材57で覆われている。すなわち、主面41bの上記領域の全体が、接着部材57と接している。一対の側面41dは、接着部材57に覆われておらず、接着部材57から露出している。一対の側面41dは、接着部材55にも覆われておらず、接着部材55から露出している。主面41bと主面50aとは、接着部材57を介して、間接的に対向している。
樹脂膜41の端面41cと、一対の導体43,45の各端面43c,45cとは、接着部材57に覆われておらず、接着部材57から露出している。各端面41c,43c,45cは、接着部材55に覆われており、接着部材55と接している。本実施形態では、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55と接している。すなわち、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55によって、振動板50と接着されている。
接着部材55,57は、例えば樹脂(エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂など)が用いられる。接着部材55,57は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。接着部材55と接着部材57とは、異なる樹脂からなっていてもよく、同じ樹脂からなっていてもよい。
主面41bと振動板50(主面50a)との間隔G2は、主面11bと振動板50(主面50a)との間隔G1よりも大きい。間隔G1は、主面11bと主面50aとの間に位置している接着部材55の厚みでもある。間隔G2は、主面41bと主面50aとの間に位置している接着部材57の厚みでもある。間隔G2は、例えば10〜30μmである。間隔G1は、例えば7μmである。
圧電素子10と配線基板40とは、振動板50上で隣り合っている。配線基板40は、第一方向D1から見て、四つの外部電極13a,13b,15a,15bが沿って配置されている主面11aの一辺と隣り合っている。第一方向D1から見て、圧電素子10と配線基板40とは離れている。圧電素子10と配線基板40との間隔は、例えば、0mmより大きく、1mm以下である。
第一方向D1から見て、導体43,45が延在している方向(上記所定の方向)と、四つの外部電極13a,13b,15a,15bが沿って配置されている上記一辺とは、交差している。本実施形態では、導体43,45が延在している方向と、四つの外部電極13a,13b,15a,15bが沿って配置されている上記一辺とは、略直交している。
図3及び図4に示されるように、一対の導体43,45の各主面43a,45aの振動板50(主面50a)からの高さ位置(以下、「第一高さ位置」と称する)と、各外部電極13.15(各外部電極13a,13b,15a,15b)の振動板50(主面50a)からの高さ位置(以下、「第二高さ位置」と称する)とが異なっている。本実施形態では、第一高さ位置が、第二高さ位置よりも低い。本実施形態では、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55を介して、一つの側面11cと間接的に対向している。
互いに対向する側面11cと端面41c,43c,45cとの間には、接着部材55が存在している。接着部材55の表面55aは、主面11aと主面43aとを連結すると共に主面11aと主面45aとを連結するように、延在している。表面55aは、第一高さ位置と第二高さ位置との差に応じて、主面11aから主面43a,45aに向けて傾斜している。
振動デバイス3は、図2〜図4に示されるように、外部電極13a,13bと導体43とを電気的に接続する接続部材61と、外部電極15a,15bと導体45とを電気的に接続する接続部材63と、を備えている。
接続部材61は、複数の外部電極13a,13bと接続されている一端部61aと、導体43(主面43a)と接続されている他端部61bとを有している。接続部材61の他端部61bは、導体43における被覆膜47から露出している一端部と接続されている。接続部材61の他端部61bは、主面43aと接している。導体43は、接続部材61、外部電極13a,13b(外部電極13)、複数のビア導体31、接続導体25、及び、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。
接続部材63は、複数の外部電極15a,15bと接続されている一端部63aと、導体45(主面45a)と接続されている他端部63bとを有している。接続部材63の他端部63bは、導体45における被覆膜47から露出している一端部と接続されている。接続部材63の他端部63bは、主面45aと接している。導体45は、接続部材63、外部電極15a,15b(外部電極15)、複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されていると共に、更に、複数のビア導体37、接続導体27、及び、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。
接続部材61,63は、導電性樹脂からなる。導電性樹脂は、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)と導電性材料(例えば、金属粉末)とを含んでいる。金属粉末としては、例えばAg粉末が用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂などが用いられる。接続部材61,63の硬度は、接着部材55の硬度よりも小さい。
接続部材61は、外部電極13a,13bと導体43の一端部(主面43a)とに接するように、接着部材55上に配置されている。接続部材63は、外部電極15a,15bと導体45の一端部(主面45a)とに接するように、接着部材55上に配置されている。接続部材61,63は、接着部材55と接している。
極性が異なる駆動電圧が、導体43,45を通して、外部電極13(13a,13b)と外部電極15(15a,15b)とに印加されると、内部電極21と内部電極19,23との間で電界が発生する。圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とが、活性領域となり、当該活性領域に変位が発生する。圧電素子10は、外部電極13,15に駆動電圧が印加されると、印加された駆動電圧(交流成分)の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10と振動板50とは、互いに接着されているので、振動板50は、圧電素子10における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を行う。
続いて、振動デバイス3に駆動電圧を印加する駆動装置5について説明する。図9に示されるように、駆動装置5は、CPU(Central Processing Unit)5aと、駆動電圧生成部(波形発生部、波形制御部)5bと、増幅部(出力部)5cと、を備えている。駆動装置5は、振動デバイス3に電圧を出力し、振動デバイス3(圧電素子10)を駆動させる。
CPU5aは、駆動装置5を統括的に制御する。CPU5aには、振動デバイス3の駆動を指示する制御信号が入力される。CPU5aは、制御信号を受け取ると、制御信号に応じて、駆動電圧生成部5bに対して、駆動電圧の波形の生成に係る生成信号を出力する。
駆動電圧生成部5bは、駆動電圧を生成する。駆動電圧生成部5bは、波形発生回路(波形発生部)5dと、利得調整回路(波形制御部)5eと、オフセット調整回路(波形制御部)5fと、を有する。
波形発生回路5dは、CPU5aから出力された生成信号に応じて、駆動電圧の波形を発生する。波形発生回路5dは、接地電位に対して正側と負側とに変動する交流成分を含む電圧の波形を発生する。本実施形態では、波形発生回路5dは、時間に対して正弦的に変化する駆動電圧の正弦波波形を発生する。波形発生回路5dは、生成した正弦波波形を示す波形信号(デジタル信号)を利得調整回路5eに出力する。
利得調整回路5eは、正弦波波形を制御して、駆動波形を生成する。具体的には、利得調整回路5eは、駆動開始から所定時間まで振幅が徐々に大きくなる駆動波形を生成する。図10に示されるように、利得調整回路5eは、駆動開始t0の駆動電圧が0Vであり、且つ、駆動開始t0から時間t1までの所定期間において、振幅が連続して徐々に大きくなる駆動波形を生成する。振幅が徐々に大きくなるとは、図10に示されるように、連続的に振幅が大きくなってもよいし、段階的に振幅が大きくなってもよい。所定期間は、例えば、0.1秒である。所定時間は、可聴周波数(例えば、20〜20000Hz)に基づいて設定される。具体的には、所定時間は、可聴周波数に至らないように設定される。
利得調整回路5eは、上記電圧の交流成分に直流成分(オフセット電圧)を重畳させることにより、駆動波形を生成する。本実施形態では、上記所定期間において、直流成分を連続的に増加させて交流成分に重畳させることにより、振幅が徐々に大きくなる駆動波形を生成する。利得調整回路5eは、生成した波形を示す波形信号(デジタル信号)を、オフセット調整回路5fに出力する。
オフセット調整回路5fは、利得調整回路5eにおいて生成された駆動波形のオフセットを調整する。オフセット調整回路5fは、利得調整回路5eから出力された波形信号を受け取ると、駆動電圧の最小値(負側の尖頭値)が0V以上となるように、駆動波形をオフセットさせる。具体的には、オフセット調整回路5fは、駆動波形の振幅に応じて、駆動波形を正側にオフセットする。これにより、オフセット調整回路5fは、駆動電圧の最小値が0V以上となる駆動波形を生成する。なお、駆動電圧生成部5bは、駆動電圧の最小値が0Vである駆動波形を生成することが好ましい。この場合、電圧のロスを低減できる。
駆動電圧生成部5bは、駆動波形に基づく駆動電圧を生成する。駆動電圧生成部5bは、生成した駆動電圧を示す電圧信号(アナログ信号)を増幅部5cに出力する。なお、駆動電圧の周波数は、振動デバイス3の圧電素子10の形状に応じて定まる固有振動数に対応する周波数(例えば、50Hz〜600Hz)であることが好ましい。
また、駆動電圧生成部5bは、図10に示されるように、振幅が徐々に小さくなる駆動波形を生成することができる。駆動電圧生成部5bは、交流成分に重畳させる直流成分を連続的に減少させることにより、振幅が徐々に小さくなる駆動波形を生成する。圧電駆動装置1では、駆動波形の振幅を徐々に小さくすることにより、圧電素子10の変位を徐々に小さくすることができる。これにより、振幅を一気に小さくする場合に比べて、電圧のロスを低減できる。
図10に、振動デバイス3に印加する駆動電圧の一例を示す。図10では、横軸は時間[秒]を示しており、縦軸は電圧[V]を示している。なお、図10では、増幅部5cの出力側における駆動電圧の駆動波形を示している。図10に示されるように、駆動電圧の駆動波形は、駆動電圧の最小値が0[V]であり、且つ、駆動開始t0から時間t1まで振幅が徐々に増加している。また、駆動電圧の駆動波形は、時間t2から時間t3まで振幅が徐々に減少している。
増幅部5cは、駆動電圧生成部5bから出力された電圧信号を増幅する。増幅部5cは、増幅した電圧信号に基づく駆動電圧を振動デバイス3(導体43,45)に出力する。
以上説明したように、本実施形態に係る圧電駆動装置1では、波形制御部は、駆動電圧の最小値が0V以上となり、且つ、駆動開始から所定時間まで振幅が徐々に大きくなる駆動波形を生成する。これにより、駆動装置5から振動デバイス3に出力される駆動電圧には、負電圧の成分が含まれない。したがって、振動デバイス3には、分極電圧以上の逆電圧が印加されない。その結果、圧電駆動装置1では、振動デバイス3における脱分極を抑制できる。
また、駆動装置5の駆動電圧生成部5bは、駆動開始から所定時間まで振幅が徐々に大きくなる駆動波形を生成する。この場合、オフセット電圧(直流成分)が徐々に大きくなるように重畳される。そのため、振動デバイス3の駆動開始時に、オフセット電圧発生用の電流が圧電素子10に瞬間的に流れることを回避できる。これにより、当該電流に起因するノイズの発生を抑制できる。
本実施形態に係る圧電駆動装置1では、振動デバイス3は、圧電素体11と、圧電素体11内に配置された複数の内部電極19,21,23と、対応する内部電極19,21,23と電気的に接続された複数の外部電極13,15と、を有する圧電素子10を有している。圧電素体11は、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを積層することにより形成されていてもよい。圧電素体11が複数の圧電体層17a,17b,17c,17dで形成される場合、各圧電体層17a,17b,17c,17dの厚みが小さくなり得る。圧電素子10では、内部電極19,21,23間に印加される電圧に比例して変位が得られるため、各圧電体層17a,17b,17c,17dの厚みを小さくすることで、高電圧を印加しなくとも大きな変位が得られる。一方で、各圧電体層17a,17b,17c,17dの厚みが小さい場合、分極電圧の逆電圧も低くなる。そのため、圧電素子10において脱分極が生じ易くなり得る。これについて、圧電駆動装置1は、負電圧の成分が含まれない駆動電圧を振動デバイス3に出力するため、圧電素体11が複数の圧電体層17a,17b,17c,17dで形成される場合において、特に有効である。
本実施形態に係る圧電駆動装置1では、振動デバイス3は、圧電素子10に接着されている振動板50を有していてもよい。この構成では、振動板50によって、圧電素子10の振動を増幅させることができる。そのため、振動板50を備える振動デバイス3では、駆動電圧を低くした場合であっても、振動板を備えていない振動デバイスと同等の振動を得ることが可能となる。このように、振動板50を備える振動デバイス3では、得られる振動を確保しつつ、圧電素子10に印加する駆動電圧を低くすることができる。この場合、分極電圧の逆電圧も低くなるため、圧電素子10において脱分極が生じ易くなり得る。これについて、圧電駆動装置1は、負電圧の成分が含まれない駆動電圧を振動デバイス3に出力するため、振動デバイス3が振動板50を有する場合において、特に有効である。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上記実施形態では、波形発生回路5dが、時間に対して正弦的に変化する駆動電圧の正弦波波形を発生する形態を一例に説明した。しかし、波形発生回路は、時間に対して余弦的に変化する駆動電圧の正弦波波形を発生してもよい。
上記実施形態では、駆動装置5が、CPU5aと、駆動電圧生成部5bと、増幅部5cと、を備えている形態を一例に説明した。しかし、駆動装置は、駆動電圧の最小値が0V以上となり、且つ、駆動開始から所定時間まで振幅が徐々に大きくなる駆動波形を生成する構成であれば、特に限定されない。
上記実施形態では、図2〜図8に示される振動デバイス3を一例に説明した。しかし、振動デバイスは、上記構成に限定されない。例えば、圧電素子10が備える内部電極の数、圧電体層17a,17b,17c,17dの数、外部電極13,15(13a,13b,15a,15b)の数は、上述した実施形態で開示した数に限られない。また、振動板50は、電子機器などの筐体であってもよい。振動板50は、電子機器などの筐体とは別の部材であってもよい。この場合、振動板50は、面接着によって筐体に装着されてもよい。なお、振動デバイス3は、振動板50を有していなくてもよい。