以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1~図7を参照して、本実施形態に係る振動デバイス1の構成を説明する。図1は、一実施形態に係る振動デバイスの平面図である。図2、図3、図4、及び図5は、本実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。図6は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。図7は、圧電素子の平面図である。
振動デバイス1は、図1に示されるように、圧電素子10と、配線基板40と、振動板50とを備えている。圧電素子10は、圧電素体11と、複数の外部電極13,15と、を有している。
圧電素体11は、直方体形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11bと、四つの側面11cと、を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。主面11a,11bは、矩形状を呈している。本実施形態では、主面11a,11bは、正方形状を呈している。
一対の主面11a,11bが対向している方向が第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。四つの側面11cは、一対の主面11a,11bの間を連結するように第一方向D1に延在している。主面11a,11bと各側面11cとは、稜線部を介して、間接的に隣り合っている。圧電素体11の第一方向D1での長さ(圧電素体11の厚み)は、たとえば100μmである。
圧電素体11は、図6にも示されるように、第一方向D1に複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されて構成されている。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを含んでいる。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向が第一方向D1と一致する。
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料としては、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)などが挙げられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。圧電体層17a,17dの厚みは、圧電体層17b,17cの厚みよりも小さい。圧電体層17a,17dの厚みは、たとえば33μmであり、圧電体層17b,17cの厚みは、たとえば16μmである。
圧電素子10は、図2、図3、図4、及び図6に示されるように、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。
内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料として、たとえばAg、Pd、又はAg-Pd合金などが用いられる。内部電極19,21,23は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。内部電極19,21,23は、略矩形状(たとえば、略正方形状)を呈している。
各内部電極19,21,23は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。
各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、側面11cには露出していない。したがって、各内部電極19,21,23は、図7に示されるように、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
複数の外部電極13,15は、主面11a上に配置されている。外部電極13は、複数の外部電極13a,13bを含んでいる。本実施形態では、外部電極13は、二つの外部電極13a,13bを含んでいる。外部電極15は、複数の外部電極15a,15bを含んでいる。本実施形態では、外部電極15は、二つの外部電極15a,15bを含んでいる。各外部電極13a,13b,15a,15bは、第一方向D1から見て、略長円形状を呈している。
各外部電極13,15(各外部電極13a,13b,15a,15b)は、導電性材料からなる。導電性材料として、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金などが用いられる。各外部電極13,15は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
各外部電極13,15(各外部電極13a,13b,15a,15b)は、図7に示されるように、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15(各外部電極13a,13b,15a,15b)は、図7に示されるように、第一方向D1から見て、内部電極19,21,23の全ての縁(四辺)から離間している。
外部電極13aと外部電極13bとは、隣り合っている。外部電極15aと外部電極15bとは、隣り合っている。四つの外部電極13a,13b,15a,15bは、主面11aの一辺のみに沿って配置されている。外部電極13bと外部電極15aとが、隣り合っている。
各外部電極13a,13bは、それぞれ複数のビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、第一方向D1で、外部電極13a,13bと対向している。複数のビア導体31は、外部電極13a,13bと接続されていると共に、接続導体25と接続されている。
各外部電極15a,15bは、それぞれ複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、第一方向D1で、外部電極15a,15bと対向している。複数のビア導体33は、外部電極15a,15bと接続されていると共に、内部電極19と接続されている。
接続導体25は、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、第一方向D1で、内部電極21と対向している。複数のビア導体35は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
内部電極19は、それぞれ複数のビア導体37を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体27は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体27とは、離間している。接続導体27は、第一方向D1で、内部電極19と対向している。複数のビア導体37は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体27と接続されている。
接続導体27は、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体27は、第一方向D1で、内部電極23と対向している。複数のビア導体39は、接続導体27と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
各外部電極13a,13bは、複数のビア導体31、接続導体25、及び、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。各外部電極15a,15bは、複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されている。各外部電極15a,15bは、複数のビア導体33、内部電極19、複数のビア導体37、接続導体27、及び、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。
接続導体25,27及びビア導体31,33,35,37,39は、導電性材料からなる。導電性材料として、たとえば、Ag、Pd、又はAg-Pd合金などが用いられる。接続導体25,27及びビア導体31,33,35,37,39は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27は、略矩形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体及び内部電極21と電気的に接続されている導体は配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
圧電素体11の各側面11cにも、内部電極19,23と電気的に接続されている導体及び内部電極21と電気的に接続されている導体は配置されていない。本実施形態では、各側面11cを当該側面11cと直交する方向から見たとき、各側面11cの全体が露出している。本実施形態では、各側面11cも、自然面である。
配線基板40は、図5にも示されているように、樹脂膜41と、複数の導体43,45と、被覆膜47と、を有している。本実施形態では、配線基板40は、一対の導体43,45を備えている。配線基板40は、たとえばフレキシブルプリント基板(FPC)である。配線基板40は、所定の方向に延在している。
樹脂膜41は、互いに対向している一対の主面41a,41bと、端面41cと、互いに対向している一対の側面41dと、を有している。樹脂膜41は、電気絶縁性を有している。樹脂膜41は、たとえばポリイミド樹脂からなる。
端面41cは、一対の主面41a,41bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面41cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面41dは、一対の主面41a,41bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面41dは、上記所定の方向に沿って延在している。本実施形態では、主面41bを主面41aと主面41bとが対向している方向から見たとき、主面41bの全体が露出している。
一対の導体43,45は、樹脂膜41(主面41a)上に配置されている。導体43と導体45とは、上記所定の方向に延在している。導体43と導体45とは、導体43,45が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体43,45は、たとえば銅からなる。
導体43は、互いに対向している一対の主面43a,43bと、端面43cと、互いに対向している一対の側面43dと、を有している。主面43bは、主面41aと接している。端面43cは、一対の主面43a,43bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面43cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面43dは、一対の主面43a,43bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面43dは、上記所定の方向に沿って延在している。本実施形態では、端面41cと端面43cとは、略同一平面上に位置している。
導体45は、互いに対向している一対の主面45a,45bと、端面45cと、互いに対向している一対の側面45dと、を有している。主面45bは、主面41aと接している。端面45cは、一対の主面45a,45bの間を連結するように第一方向D1に延在している。端面45cは、一つの側面11cと対向している。一対の側面45dは、一対の主面45a,45bの間を連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面45dは、上記所定の方向に沿って延在している。側面43dと側面45dとは、互いに対向している。本実施形態では、端面41cと端面45cとは、略同一平面上に位置している。
被覆膜47は、各導体43,45の一部を覆うように、各導体43,45上に配置されている。上記所定の方向での各導体43,45の両端部は、被覆膜47から露出している。被覆膜47は、主面41aにおける各導体43,45から露出している領域を覆うように、主面41aにも配置されている。上記所定の方向での樹脂膜41の両端部も、被覆膜47から露出している。被覆膜47は、各導体43,45(主面43a,45a及び一対の側面43d,45d)と接しているとともに、樹脂膜41(主面41a)と接している。樹脂膜41と被覆膜47とは、互いに接している領域で接合されている。被覆膜47は、たとえばポリイミド樹脂からなる。被覆膜47から露出している各導体43,45の両端部には、たとえば金フラッシュめっきが施されている。
主面41aと主面41bとが対向している方向での配線基板40の長さ(配線基板40の厚み)は、主面41aと主面41bとが対向している方向での樹脂膜41の長さ(樹脂膜41の厚み)と、主面41aと主面41bとが対向している方向での導体43,45の長さ(導体43,45の厚み)と、主面41aと主面41bとが対向している方向での被覆膜47の長さ(被覆膜47の厚み)との合計で規定される。本実施形態では、配線基板40の厚みは、たとえば70μmである。樹脂膜41の厚みは、たとえば20μmである。各導体43,45の厚みは、たとえば20μmである。樹脂膜41の厚みと各導体43,45の厚みとは、異なっていてもよい。
振動板50は、金属からなり、互いに対向している主面50a,50bを有している。振動板50は、たとえば、Ni-Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。振動板50(主面50a,50b)は、主面50aと主面50bとが対向している方向から見たとき、矩形状を呈している。主面50aと主面50bとが対向している方向での振動板50の長さ(振動板50の厚み)は、たとえば250μmである。
圧電素子10及び配線基板40は、振動板50と接着されている。圧電素体11の主面11bと振動板50の主面50aとが互いに対向しており、樹脂膜41の主面41bと振動板50の主面50aとが互いに対向している。すなわち、主面11bと主面50aとが接着されていると共に、主面41bと主面50aとが接着されている。
圧電素子10及び配線基板40が振動板50に接着された状態では、第一方向D1と、主面41aと主面41bとが対向している方向と、主面50aと主面50bとが対向している方向と、は略同じである。第一方向D1から見て、圧電素子10は、振動板50の中央部に配置されている。
圧電素子10は、接着部材55によって、主面11bと四つの側面11cとで振動板50と接着されている。接着部材55は、圧電素子10と振動板50とを接着する部材である。本実施形態では、主面11bと四つの側面11cとの全体が、接着部材55で覆われている。すなわち、主面11bと四つの側面11cとの全体が、接着部材55と接している。主面11aは、接着部材55に覆われておらず、接着部材55から露出している。主面11bと主面50aとは、接着部材55を介して、間接的に対向している。
配線基板40は、接着部材57によって、樹脂膜41の主面41bで振動板50と接着されている。接着部材57は、配線基板40と振動板50とを接着する部材である。本実施形態では、主面41bの、振動板50上に位置している領域の全体が、接着部材57で覆われている。すなわち、主面41bの上記領域の全体が、接着部材57と接している。一対の側面41dは、接着部材57に覆われておらず、接着部材57から露出している。一対の側面41dは、接着部材55にも覆われておらず、接着部材55から露出している。主面41bと主面50aとは、接着部材57を介して、間接的に対向している。
樹脂膜41の端面41cと、一対の導体43,45の各端面43c,45cとは、接着部材57に覆われておらず、接着部材57から露出している。各端面41c,43c,45cは、接着部材55に覆われており、接着部材55と接している。本実施形態では、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55と接している。すなわち、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55によって、振動板50と接着されている。
接着部材55,57には、たとえば樹脂(エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂など)が用いられる。接着部材55,57は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。接着部材55と接着部材57とは、異なる樹脂からなっていてもよく、同じ樹脂からなっていてもよい。
主面41bと振動板50(主面50a)との間隔G2は、主面11bと振動板50(主面50a)との間隔G1よりも大きい。間隔G1は、主面11bと主面50aとの間に位置している接着部材55の厚みでもある。間隔G2は、主面41bと主面50aとの間に位置している接着部材57の厚みでもある。間隔G2は、たとえば10~30μmである。間隔G1は、たとえば7μmである。
圧電素子10と配線基板40とは、振動板50上で隣り合っている。配線基板40は、第一方向D1から見て、四つの外部電極13a,13b,15a,15bが沿って配置されている主面11aの一辺と隣り合っている。第一方向D1から見て、圧電素子10と配線基板40とは離れている。圧電素子10と配線基板40との間隔は、たとえば、0mmより大きく、1mm以下である。
第一方向D1から見て、導体43,45が延在している方向(上記所定の方向)と、四つの外部電極13a,13b,15a,15bが沿って配置されている上記一辺とは、交差している。本実施形態では、導体43,45が延在している方向と、四つの外部電極13a,13b,15a,15bが沿って配置されている上記一辺とは、略直交している。
図2及び図3に示されるように、一対の導体43,45の各主面43a,45aの振動板50(主面50a)からの高さ位置(以下、「第一高さ位置」と称する)と、各外部電極13,15(各外部電極13a,13b,15a,15b)の振動板50(主面50a)からの高さ位置(以下、「第二高さ位置」と称する)とが異なっている。本実施形態では、第一高さ位置が、第二高さ位置よりも低い。本実施形態では、各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55を介して、一つの側面11cと間接的に対向している。
互いに対向する側面11cと端面41c,43c,45cとの間には、接着部材55が存在している。接着部材55の表面55aは、主面11aと主面43aとを連結すると共に主面11aと主面45aとを連結するように、延在している。表面55aは、第一高さ位置と第二高さ位置との差に応じて、主面11aから主面43a,45aに向けて傾斜している。
振動デバイス1は、図1~図3に示されるように、外部電極13a,13bと導体43とを電気的に接続する接続部材61と、外部電極15a,15bと導体45とを電気的に接続する接続部材63と、を備えている。
接続部材61は、複数の外部電極13a,13bと接続されている一端部61aと、導体43(主面43a)と接続されている他端部61bとを有している。接続部材61の他端部61bは、導体43における被覆膜47から露出している一端部と接続されている。接続部材61の他端部61bは、主面43aと接している。導体43は、接続部材61、外部電極13a,13b(外部電極13)、複数のビア導体31、接続導体25、及び、複数のビア導体35を通して内部電極21と電気的に接続されている。
接続部材63は、複数の外部電極15a,15bと接続されている一端部63aと、導体45(主面45a)と接続されている他端部63bとを有している。接続部材63の他端部63bは、導体45における被覆膜47から露出している一端部と接続されている。接続部材63の他端部63bは、主面45aと接している。導体45は、接続部材63、外部電極15a,15b(外部電極15)、複数のビア導体33を通して内部電極19と電気的に接続されていると共に、更に、複数のビア導体37、接続導体27、及び、複数のビア導体39を通して内部電極23と電気的に接続されている。
接続部材61,63は、導電性樹脂からなる。導電性樹脂は、樹脂(たとえば、熱硬化性樹脂)と導電性材料(たとえば、金属粉末)とを含んでいる。金属粉末としては、たとえばAg粉末が用いられる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂などが用いられる。接続部材61,63の硬度は、接着部材55の硬度よりも小さい。
接続部材61は、外部電極13a,13bと導体43の一端部(主面43a)とに接するように、接着部材55上に配置されている。接続部材63は、外部電極15a,15bと導体45の一端部(主面45a)とに接するように、接着部材55上に配置されている。接続部材61,63は、接着部材55と接している。
極性が異なる電圧が、導体43,45を通して、外部電極13(13a,13b)と外部電極15(15a,15b)とに印加されると、内部電極21と内部電極19,23との間で電界が発生する。圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とが、活性領域となり、当該活性領域に変位が発生する。圧電素子10は、外部電極13,15に交流電圧が印加されると、印加された交流電圧の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10と振動板50とは、互いに接着されているので、振動板50は、圧電素子10における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を行う。
以上のように、本実施形態では、圧電素子10は、接着部材55によって、主面11b及び側面11cで振動板50と接着されているので、圧電素子10と振動板50との物理的な接続強度が高い。間隔G1が間隔G2よりも小さい場合、間隔G1が間隔G2以上である場合に比して、圧電素子10と振動板50との間隔が小さいので、圧電素子10と振動板50との間で、圧電素子10から振動板50に伝わる変位が減衰し難い。したがって、振動デバイス1では、圧電素子10の変位が振動板50に効率よく伝わる。
配線基板40は、接着部材57によって、主面41bで振動板50と接着されている。すなわち、樹脂膜41の各側面41dが、接着部材57によって、振動板50と接着されていない。このため、配線基板40と振動板50との物理的な接続強度は、圧電素子10と振動板50との物理的な接続強度よりも低い。間隔G2が間隔G1よりも大きい場合、間隔G2が間隔G1以下である場合に比して、配線基板40と振動板50との間隔が大きいので、振動板50と配線基板40との間で、振動板50から配線基板40に伝わる振動が減衰しやすい。したがって、振動デバイス1では、振動板50の振動が配線基板40に伝わり難い。
振動デバイス1では、上述したように、圧電素子10の変位が振動板50に効率よく伝わるので、変位量が向上する。振動デバイス1では、変位量が向上しているのにもかかわらず、振動板50の振動が配線基板40に伝わり難いので、配線基板40と振動板50との接着箇所に機械的負荷が作用し難い。このため、振動デバイス1では、信頼性の低下が抑制されている。
互いに対応する外部電極13,15(13a,13b,15a,15b)と導体43,45とは、導電性樹脂からなる接続部材61,63により接続されている。導体43は、接続部材61が接している主面43aを有している。導体45は、接続部材63が接している主面45aと、を有している。振動デバイス1では、第一高さ位置(主面43a,45aの振動板50からの高さ位置)と、第二高さ位置(外部電極13,15の振動板50からの高さ位置)とが異なっているので、導体43,45の主面43a,45aと外部電極13,15とで段差が構成される。
接続部材61,63は、樹脂と導電性材料とを含んでいる導電性ペーストを付与し、導電性ペーストに含まれる樹脂を硬化させることにより、形成される。導電性ペーストが、振動板50からの高さ位置が高い部位に付与されると、付与された導電性ペーストは、上記段差を伝わり、振動板50からの高さ位置が低い部位に達しやすい。この結果、振動デバイス1によれば、外部電極13,15と導体43,45とが、接続部材61,63によって確実に電気的かつ物理的に接続される。このため、振動デバイス1では、信頼性低下がより一層抑制される。
第一高さ位置は、第二高さ位置よりも低く、樹脂膜41は、端面41cを有しており、各導体43,45は、端面43c,45cを有している。各端面41c,43c,45cの全体が、接着部材55によって、振動板50と接着されている。
たとえば、第一高さ位置が、第二高さ位置よりも高く、かつ、端面41cの一部のみが、振動板50と接着されている場合、圧電素子10の変位が、端面41cの上記一部のみに伝わる。この場合、配線基板40(樹脂膜41)内に応力が偏在し、配線基板40の信頼性が低下するおそれがある。
振動デバイス1では、第一高さ位置が、第二高さ位置よりも低く、かつ、各端面41c,43c,45cの全体が、振動板50と接着されているので、圧電素子10の変位が、各端面41c,43c,45cの全体に伝わる。したがって、配線基板40内に応力が偏在し難く、配線基板40の信頼性低下が抑制される。また、付与された導電性ペーストが、接着部材55上を通り、外部電極13,15から導体43,45により一層達しやすい。これらの結果、本実施形態では、振動デバイス1の信頼性低下が更に抑制される。
主面11b及び側面11cは、接着部材55によって振動板50と接着されており、主面41bは、接着部材57によって振動板50と接着されている。このため、間隔G2が間隔G1よりも大きい態様の振動デバイス1が、簡易かつ確実に構成される。
振動デバイス1では、振動板50が、金属からなる。金属からなる振動板50は、ガラスからなる振動板に比して、高いQ値及び強度を有する。このため、振動デバイス1の変位量が向上する。
圧電素子10は、第一方向D1から見て、振動板50の中央部に配置されている。このため、振動デバイス1では、圧電素子10の変位が効率よく振動板50に伝達される。
外部電極13,15(13a,13b,15a,15b)は、振動板50と接着される主面11bではなく、主面11a上に配置されており、主面11bには、内部電極19,21,23と電気的に接続されている導体が配置されていない。外部電極13,15(13a,13b,15a,15b)は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁から離間している。これらの結果、振動板50が金属からなる場合でも、圧電素子10(外部電極13,15及び内部電極19,21,23)と振動板50とが電気的に絶縁される。したがって、圧電素子10と振動板50との短絡が発生し難く、振動デバイス1の電気的な信頼性が向上する。
圧電素体11は、四つの側面11cを有し、各側面11cには、各内部電極19,21,23が露出していない。このため、振動デバイス1では、圧電素子10と振動板50とがより一層確実に電気的に絶縁される。
外部電極13a,13b,15a,15bは、第一方向D1から見て、各内部電極19,21,23の全ての縁から離間している。このため、振動デバイス1では、第一方向D1から見て、外部電極13a,13b,15a,15bが、主面11aの縁からより一層離間する。この結果、外部電極13a,13b,15a,15bと振動板50とがより一層確実に電気的に絶縁される。
内部電極21と電気的に接続されている二つの外部電極13a,13bは、主面11a上で隣り合っている。二つの外部電極13a,13bは、接続部材61を通して、導体43と電気的に接続されている。内部電極19,23と電気的に接続されている二つの外部電極15a,15bも、主面11a上で隣り合っている。二つの外部電極15a,15bは、接続部材63を通して、導体45と電気的に接続されている。このため、振動デバイス1では、圧電素子10と配線基板40との電気的な接続信頼性が向上される。
主面11a,11bは、第一方向D1から見て矩形状を呈している。四つの外部電極13a,13b,15a,15bは、主面11aの縁の一辺のみに沿って配置されている。このため、振動デバイス1では、四つの外部電極13a,13b,15a,15bと配線基板40(導体43,45)との電気的な接続が容易に実現される。
二つの外部電極13a,13bが、接続部材61を通して導体43と電気的に接続されていると共に、二つの外部電極15a,15bが、接続部材63を通して導体45と電気的に接続されている。このため、振動デバイス1では、二つの外部電極13a,13bと導体43との電気的な接続が容易に実現されると共に、二つの外部電極15a,15bと導体45との電気的な接続が容易に実現される。
接着部材55は、導電性フィラーを含んでいないため、導電性フィラーを含んでいる接着部材に比して、同一体積に含まれる樹脂成分が多く、接着強度が高い。したがって、振動デバイス1では、振動板50と圧電素子10との接合強度が高められている。
圧電素子10と振動板50との間には、接着部材55以外の部材は存在しない。したがって、圧電素子10の変位が振動板50により一層効率よく伝達する。
圧電素子10は、圧電素子10が配置されている振動板50上に配置されている配線基板40と電気的に接続されている。このため、第一高さ位置と第二高さ位置との差は、下記の比較対象の振動デバイスに比して、小さい。したがって、振動デバイス1では、接続部材61,63に作用する機械的負荷が低く、接続部材61,63を通した外部電極13,15と導体43,45との電気的な接続の信頼性が低下するのが抑制されている。比較対象の振動デバイスでは、外部電極13,15と、振動板50上に絶縁薄膜を介して形成されている導体とが、導電性樹脂を通して電気的に接続されている。第一高さ位置と第二高さ位置との差は、外部電極13,15(13a,13b,15a,15b)と導体43,45との第一方向D1での高さの差である。
第一方向D1から見て、圧電素子10と配線基板40とが離間している。接着部材55の表面55aが、主面11aと主面43aとを連結していると共に主面11aと主面45aとを連結している。表面55aが、主面11aから主面43a,45aに向けて傾斜している。したがって、振動デバイス1では、圧電素子10と配線基板40とが接している振動デバイスに比して、接続部材61,63の形状変化が緩やかである。したがって、接続部材61,63に作用する機械的負荷がより一層低い。
接続部材61,63は、圧電素子10と振動板50とを接着する部材上に配置されている。このため、振動デバイス1では、接続部材61,63が容易に形成されている。
接続部材61,63の硬度が、接着部材55の硬度よりも小さい。このため、振動デバイス1では、接続部材61,63の硬度が、接着部材55の硬度以上である振動デバイスに比して、接続部材61,63が、圧電素子10の変位に追従して変形しやすい。この結果、接続部材61,63を通した外部電極13,15と導体43,45との電気的な接続の信頼性が低下するのが抑制されている。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
圧電素子10が備える内部電極の数、圧電体層17a,17b,17c,17dの数、外部電極13,15(13a,13b,15a,15b)の数は、上述した実施形態で開示した数に限られない。
振動板50は、電子機器などの筐体であってもよい。振動板50は、電子機器などの筐体とは別の部材であってもよい。この場合、振動板50は、面接着によって筐体に装着されてもよい。