以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図4を参照して、本実施形態に係る振動デバイス1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る振動デバイスの平面図である。図2は、本実施形態に係る振動デバイスの分解斜視図である。図3は、本実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。図4は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。
振動デバイス1は、図1及び図2に示されているように、圧電素子10、配線部材50、振動部材60、及び被覆膜80を備えている。圧電素子10は、圧電素体11と、複数の外部電極13,15と、を有している。本実施形態では、圧電素子10は、二つの外部電極13,15を有している。
圧電素体11は、直方体形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11b、互いに対向している一対の側面11c、互いに対向している一対の側面11eを有している。直方体形状には、たとえば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。一対の主面11a,11bが対向している方向が第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。一対の側面11cが対向している方向が、第二方向D2である。第二方向D2は、各側面11cに直交する方向でもある。一対の側面11eが対向している方向が、第三方向D3である。第三方向D3は、各側面11eに直交する方向でもある。
各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電素子10(圧電素体11)は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、主面11a,11bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面11a,11bの短辺方向は、第二方向D2方向と一致する。
一対の側面11cは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第二方向D2にも延在している。圧電素体11の第二方向D2での長さは、たとえば、10mmである。圧電素体11の第三方向D3での長さは、たとえば、20mmである。圧電素体11の第一方向D1での長さは、たとえば、200μmである。各主面11a,11bと各側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面11a,11bと各側面11c,11eとの間には、稜線部が位置する。
圧電素体11は、図3に示されるように、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが第一方向D1に積層されて構成されている。圧電素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向が第一方向D1と一致する。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。すなわち、圧電素体11は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
圧電素子10は、図3に示されるように、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。各内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各内部電極19,21,23は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、各内部電極19,21,23の外形形状は、長方形状である。
各内部電極19,21,23は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、各側面11c,11eには露出していない。各内部電極19,21,23は、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
各外部電極13,15は、図2に示されるように、主面11a上に配置されている。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3に並んでいる。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3で隣り合っている。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。矩形状も、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。各外部電極13,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各外部電極13,15は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
外部電極13は、図4に示されるように、ビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、内部電極19の内側に位置している。内部電極19には、第一方向D1から見て、外部電極13に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体25は、内部電極19に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体25の全縁が、内部電極19で囲まれている。
接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、第一方向D1で、外部電極13と対向している。ビア導体31は、外部電極13と接続されていると共に、接続導体25と接続されている。接続導体25は、ビア導体33を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、第一方向D1で、内部電極21と対向している。ビア導体33は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
内部電極21は、ビア導体35を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、内部電極23と同じ層に位置している。接続導体27は、内部電極23の内側に位置している。内部電極23には、第一方向D1から見て、外部電極13(接続導体25)に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体27は、内部電極23に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体27の全縁が、内部電極23で囲まれている。
外部電極15は、ビア導体37を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、第一方向D1で、外部電極15と対向している。ビア導体37は、外部電極15と接続されていると共に、内部電極19と接続されている。
内部電極19は、ビア導体39を通して接続導体29と電気的に接続されている。接続導体29は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体29は、内部電極21の内側に位置している。内部電極21には、第一方向D1から見て、外部電極15に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体29は、内部電極21に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体29の全縁が、内部電極21で囲まれている。
接続導体29は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体29とは、離間している。接続導体29は、第一方向D1で、内部電極19と対向している。ビア導体39は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体29と接続されている。接続導体29は、ビア導体41を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体29は、第一方向D1で、内部電極23と対向している。ビア導体41は、接続導体29と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
外部電極13は、ビア導体31、接続導体25、及び、ビア導体33を通して、内部電極21と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37を通して、内部電極19と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37、内部電極19、ビア導体39、接続導体29、及び、ビア導体41を通して、内部電極23と電気的に接続されている。
接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27,29は、矩形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39,41は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
圧電素体11の各側面11c,11eにも、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、各側面11cを第二方向D2から見たとき、各側面11cの全体が露出している。各側面11eを第三方向D3から見たとき、各側面11eの全体が露出している。本実施形態では、各側面11c,11eも、自然面である。
圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な領域を構成する。本実施形態では、圧電的に活性な領域は、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15を囲むように位置している。第一方向D1から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を含んでいる。第一方向D1から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15とが位置している領域の外側にも、圧電的に活性な領域を含んでいる。
配線部材50は、図1及び図2も示されるように、ベース51、複数の導体53,55、カバー57、及び補強部材59を有している。本実施形態では、配線部材50は、一対の導体53,55を備えている。配線部材50は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材50は、主面11a,11bの長辺と交差するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第三方向D3と交差している。本実施形態では、配線部材50は、主面11a,11bの長辺と直交するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第三方向D3と直交している。配線部材50は、第二方向D2に延在している。配線部材50は、圧電素子10と電気的かつ物理的に接続されている一端部と、振動デバイス1が搭載される電子機器(不図示)と電気的かつ物理的に接続される他端部とを有している。
ベース51は、互いに対向している一対の主面を有している。ベース51は、電気絶縁性を有している。ベース51は、樹脂からなる。ベース51は、たとえばポリイミド樹脂からなる。一対の導体53,55は、ベース51(一方の主面)上に配置されている。一対の導体53,55は、接着層(不図示)によって、ベース51に接合されている。この接着層は、各導体53,55とベース51との間に位置している。導体53と導体55とは、配線部材50が延在している方向に延在している。導体53と導体55とは、導体53,55が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体53,55は、たとえば、銅からなる。
カバー57は、各導体53,55の一部を覆うように、各導体53,55上に配置されている。各導体53,55は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。カバー57は、ベース51における各導体53,55から露出している領域を覆うように、一方の主面上にも配置されている。カバー57は、接着層(不図示)によって、各導体53,55に接合されている。
ベース51は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。ベース51とカバー57とは、各導体53,55から露出している領域で互いに接合されている。カバー57は、樹脂からなる。カバー57は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。各導体53,55の、カバー57から露出している領域には、たとえば、ニッケルめっき及び金フラッシュめっきが施されている。
補強部材59は、配線部材50の他端部に配置されている。補強部材59は、ベース51(他方の主面)上に配置されている。補強部材59は、接着層(不図示)によって、ベース51に接合されている。この接着層は、補強部材59とベース51との間に位置している。補強部材59は、電気絶縁性を有する板状の部材である。補強部材59は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。
振動部材60は、図3に示されるように、互いに対向している主面60a,60bを有している。本実施形態では、振動部材60は、板状の部材である。振動部材60は、たとえば、金属からなる。振動部材60は、たとえば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、振動部材60は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。本実施形態では、主面60a,60bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面60a,60bの短辺方向は、第二方向D2方向と一致する。振動部材60の第二方向D2での長さは、たとえば、15mmである。振動部材60の第三方向D3での長さは、たとえば、30mmである。振動部材60の第一方向D1での長さは、たとえば、100μmである。配線部材50は、振動部材60の主面60a,60bの長辺と交差するようにも配置されている。本実施形態では、配線部材50は、主面60a,60bの長辺と直交するように配置されている。
圧電素子10は、樹脂層61によって振動部材60に接合されている。圧電素体11の主面11bと振動部材60の主面60aとが互いに対向している。樹脂層61は、主面11bと主面60aとの間に位置している。主面11bと主面60aとが、樹脂層61によって接合されている。樹脂層61は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)からなる。樹脂層61は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。圧電素子10が振動部材60に接合された状態では、第一方向D1と、主面60aと主面60bとが対向している方向とは略同じである。第一方向D1から見て、圧電素子10は、振動部材60(主面60a)の略中央に配置されている。
配線部材50の一端部は、接続部材70によって、圧電素子10と接合されている。配線部材50の一端部は、接続部材70によって、外部電極13,15と接合されている。接続部材70は、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15とを一体的に覆うように、配線部材50の一端部と圧電素子10との間に設けられている。接続部材70は、樹脂層71と、複数の金属粒子(不図示)とを有している。本実施形態では、樹脂層71は、配線部材50の一端部と、外部電極13,15及び主面11aとの間に存在している。互いに対応する外部電極13,15と導体53,55との間には、樹脂層71が存在している。複数の金属粒子は、樹脂層71内に配置されている。樹脂層71は、たとえば、熱硬化性エラストマーからなる。金属粒子は、たとえば、金めっき粒子からなる。接続部材70は、たとえば、異方性導電ペースト又は異方性導電膜が硬化することにより形成される。
互いに対応する外部電極13,15と導体53,55とは、金属粒子によって接続されている。互いに対応する外部電極13,15と導体53,55とは、金属粒子を通して電気的に接続されている。導体53は、金属粒子及び外部電極13を通して、内部電極21と電気的に接続されている。導体55は、金属粒子及び外部電極15を通して、内部電極19,23と電気的に接続されている。
配線部材50における、振動部材60の主面60a上に位置している領域は、主面60aと接合されている。本実施形態では、配線部材50は、樹脂層63によって主面60aと接合されている。配線部材50に含まれるカバー57は、樹脂層63によって主面60aと接合されている。樹脂層63は、樹脂層61と接している。樹脂層63は、樹脂層61と離間していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の側面と接していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の主面60bとは接していない。すなわち、樹脂層63は、主面60b上には設けられていない。樹脂層63は、たとえば、ニトリルゴムからなる。樹脂層63は、樹脂層61と同じ材料であってもよい。樹脂層63は、樹脂層61と異なる材料であってもよい。
被覆膜80は、図1及び図3に示されるように、圧電素体11の表面を覆うように圧電素子10と振動部材60とにわたって設けられている。被覆膜80は、圧電素子10と振動部材60とを一体的に覆っている。被覆膜80は、絶縁性樹脂からなる。絶縁性樹脂には、たとえば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、又はフッ素系樹脂が用いられる。被覆膜80の厚みは、たとえば、5〜20μmである。
被覆膜80は、図5にも示されるように、主面11aにおける、配線部材50から露出している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、主面11aにおける、配線部材50から露出している領域と接している。被覆膜80は、一方の側面11cの全体と、各側面11eの全体を覆っている。被覆膜80は、一方の側面11cと、各側面11eとに接している。被覆膜80は、他方の側面11cにおける、配線部材50から露出している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、他方の側面11cにおける、配線部材50から露出している領域に接している。
被覆膜80は、図6にも示されるように、主面60aにおける、圧電素子10(樹脂層61)及び振動部材60(樹脂層63)から露出している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、主面60aにおける、圧電素子10(樹脂層61)及び振動部材60(樹脂層63)から露出している領域に接している。被覆膜80は、配線部材50における、振動部材60の上に位置している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、圧電素子10と配線部材50と振動部材60とを一体的に覆っている。
被覆膜80内には、図5〜図7に示されるように、複数の空孔81が分布している。空孔81の内径は、たとえば、0.5〜5μmである。本実施形態では、被覆膜80は、透明である。ここで、「透明」とは、空孔81が目視にて確認できる程度を言い、有色透明でもよい。本実施形態では、被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、一個以上である。被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、10個以下である。図7では、空孔81が位置している箇所に矢印が付されている。本実施形態では、被覆膜80と圧電素体11との界面、及び、被覆膜80と振動部材60との界面にも、複数の空孔83が分布している。すなわち、複数の空孔83は、被覆膜80の外に分布している。
被覆膜80の表面粗さは、圧電素体11の表面粗さより小さい。表面粗さは、たとえば、算術平均粗さ(Ra)で示される。算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601:2013(ISO 4287:1997)に定義されている。圧電素体11の表面粗さは、たとえば、2〜5μmである。被覆膜80の表面粗さは、たとえば、0.15〜1μmである。振動部材60の表面粗さは、たとえば、2〜5μmである。本実施形態では、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比(被覆膜80の表面粗さ/圧電素体11の表面粗さ)は、0.1〜0.5の範囲内である。
極性が異なる電圧が、導体53,55を通して、外部電極13と外部電極15とに印加されると、内部電極21と内部電極19,23との間で電界が発生する。圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とが、圧電的に活性な領域となり、これらの圧電的に活性な領域に変位が発生する。圧電素子10は、外部電極13,15に交流電圧が印加されると、印加された交流電圧の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10と振動部材60とは接合されている。したがって、振動部材60は、圧電素子10における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を繰り返す。
以上のように、本実施形態では、被覆膜80が、圧電素体11の表面を覆うように圧電素子10と振動部材60とにわたって設けられているので、圧電素体11内への水分の浸入が被覆膜80によって抑制される。したがって、圧電素子10の電気的特性の劣化が抑制される。
被覆膜80が、圧電素子10と振動部材60とにわたって設けられている場合、振動デバイス1の振動が被覆膜80によって阻害されるおそれがある。たとえば、振動デバイス1の変位量が低下するおそれがある。本実施形態では、被覆膜80内に、複数の空孔81が分布しているので、被覆膜80は、空孔81が存在しない被覆膜に比して、振動デバイス1の振動を阻害し難い。被覆膜80は、空孔81が存在しない被覆膜に比して、振動デバイス1の振動に追従しやすい。
振動デバイス1では、被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、一個以上である。この場合、振動デバイス1の振動が被覆膜80によって阻害されるのが確実に抑制される。
振動デバイス1では、被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、10個以下である。この場合、圧電素体11内への水分の浸入が確実に防止される。任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数が10個より大きい場合、水分が被覆膜80を透過するおそれがある。この場合、圧電素子10の電気的特性が劣化するおそれがある。
振動デバイス1では、被覆膜80の表面粗さは、圧電素体11の表面粗さより小さい。この場合、被覆膜80の圧電素体11への密着性が向上していると共に、被覆膜80での欠陥の発生が抑制されている。被覆膜80は、たとえば、圧電素体11の表面に付与された樹脂が硬化することにより形成される。この場合、付与された樹脂が圧電素体11の表面に適切に濡れると、被覆膜80の圧電素体11への密着性が向上する。本発明者らの調査研究の結果、圧電素体11の表面での樹脂の濡れが適切であると、被覆膜80の表面粗さが圧電素体11の表面粗さが小さいことが判明した。被覆膜80の表面粗さが、圧電素体11の表面粗さより小さい場合、被覆膜80の圧電素体11への密着性が向上していると言える。被覆膜80に欠陥が生じている場合、たとえば、付与された樹脂が圧電素体11の表面に適切に濡れておらず、被覆膜80を貫通するピンホールが被覆膜80に形成されている場合、被覆膜80の表面粗さが大きくなってしまう。したがって、被覆膜80の表面粗さが、圧電素体11の表面粗さより小さい場合、被覆膜80での欠陥の発生が抑制されていると言える。
振動デバイス1では、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比は、0.1〜0.5の範囲内である。この場合、被覆膜80の膜厚が所望の値に確保されやすいので、良好な被覆膜80が得られる。被覆膜80は、圧電素体11の変位を阻害するおそれがある。しかしながら、本発明者らの調査研究の結果、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比は、0.1〜0.5の範囲内である場合、被覆膜80による圧電素体11の変位の阻害を抑制することが判明した。すなわち、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比が、0.1〜0.5の範囲内である場合、圧電素体11の変位が被覆膜80によって阻害され難く、振動デバイス1の振動に影響を与え難い。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
主面60aにおける、圧電素子10(樹脂層61)及び振動部材60(樹脂層63)から露出している領域の全体が、被覆膜80で覆われている必要はない。主面60aの一部は、被覆膜80から露出していてもよい。たとえば、主面60aの外縁領域が、被覆膜80から露出していてもよい。
圧電素子10が備える内部電極19,21,23の数、圧電体層17a,17b,17c,17dの数、外部電極13,15の数は、上述された実施形態及び変形例で開示した数に限られない。圧電素子10及び振動部材60は、平面視で、正方形状であってもよい。
振動部材60は、電子機器などの筐体であってもよい。振動部材60は、電子機器などの筐体とは別の部材であってもよい。この場合、振動部材60は、面接着によって筐体に装着されてもよい。