JP2019102525A - 振動デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電素子の電気的特性の劣化が抑制された振動デバイスを提供する。【解決手段】振動デバイス1は、圧電素子10と、圧電素子10が接合されている振動部材60と、絶縁性樹脂からなる被覆膜80と、を備えている。圧電素子10は、圧電セラミック材料からなる圧電素体11を有している。被覆膜80は、圧電素体11の表面を覆うように圧電素子10と振動部材60とにわたって設けられている。被覆膜80内には、複数の空孔が分布している。【選択図】図3

Description

本発明は、振動デバイスに関する。
圧電セラミック材料からなる圧電素体を有している圧電素子と、圧電素子が接合されている振動部材と、を備えている振動デバイスが知られている(たとえば、特許文献1)。
特公平04−041876号公報
特許文献1に記載された振動デバイスでは、以下のように、圧電素子の電気的特性が劣化するおそれがある。圧電素体に水分が浸入した場合、圧電素体を構成している圧電セラミック材料に含まれる金属元素が溶出するおそれがある。たとえば、圧電特性の劣化、圧電素子の電気抵抗もしくは静電容量の変化、又は、電極の短絡が生じるおそれがある。圧電セラミック材料に含まれる金属元素が溶出した場合、圧電素子の電気的特性が劣化するおそれがある。圧電素子の電気的特性が劣化した場合、振動デバイスの振動特性に影響を及ぼすおそれがある。
本発明の一つの態様は、圧電素子の電気的特性の劣化が抑制された振動デバイスを提供することを目的とする。
本発明の一つの態様に係る振動デバイスは、圧電素子と、圧電素子が接合されている振動部材と、絶縁性樹脂からなる被覆膜と、を備えている。圧電素子は、圧電セラミック材料からなる圧電素体を有している。被覆膜は、圧電素体の表面を覆うように圧電素子と振動部材とにわたって設けられている。被覆膜内には、複数の空孔が分布している。
上記一つの態様では、被覆膜が、圧電素体の表面を覆うように圧電素子と振動部材とにわたって設けられているので、圧電素体内への水分の浸入が被覆膜によって抑制される。したがって、圧電素子の電気的特性の劣化が抑制される。
被覆膜が、圧電素子と振動部材とにわたって設けられている場合、振動デバイスの振動が被覆膜によって阻害されるおそれがある。たとえば、振動デバイスの変位量が低下するおそれがある。上記一つの態様では、被覆膜内に、複数の空孔が分布しているので、被覆膜は、振動デバイスの振動を阻害し難い。
上記一つの態様では、被覆膜を表面から見て、0.3mm四方の範囲内に存在している空孔の数が、一個以上であってもよい。この場合、振動デバイスの振動が被覆膜によって阻害されるのが確実に抑制される。
上記一つの態様では、被覆膜を表面から見て、0.3mm四方の範囲内に存在している空孔の数が、10個以下であってもよい。この場合、圧電素体内への水分の浸入が確実に防止される。
上記一つの態様では、被覆膜の表面粗さは、圧電素体の表面粗さより小さくてもよい。この場合、被覆膜の圧電素体への密着性が向上していると共に、被覆膜での欠陥の発生が抑制されている。
上記一つの態様では、圧電素体の表面粗さに対する被覆膜の表面粗さの比は、0.1〜0.5の範囲内であってもよい。この場合、被覆膜の膜厚が所望の値に確保されやすいので、良好な被覆膜が得られる。
本発明の一つの態様によれば、圧電素子の電気的特性の劣化が抑制された振動デバイスが提供される。
一実施形態に係る振動デバイスの平面図である。 本実施形態に係る振動デバイスの分解斜視図である。 本実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。 圧電素子の構成を示す分解斜視図である。 圧電素体及び被覆層の断面構成を示す図である。 振動部材及び被覆層の断面構成を示す図である。 被覆層の表面写真である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図4を参照して、本実施形態に係る振動デバイス1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る振動デバイスの平面図である。図2は、本実施形態に係る振動デバイスの分解斜視図である。図3は、本実施形態に係る振動デバイスの断面構成を示す図である。図4は、圧電素子の構成を示す分解斜視図である。
振動デバイス1は、図1及び図2に示されているように、圧電素子10、配線部材50、振動部材60、及び被覆膜80を備えている。圧電素子10は、圧電素体11と、複数の外部電極13,15と、を有している。本実施形態では、圧電素子10は、二つの外部電極13,15を有している。
圧電素体11は、直方体形状を呈している。圧電素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11b、互いに対向している一対の側面11c、互いに対向している一対の側面11eを有している。直方体形状には、たとえば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。一対の主面11a,11bが対向している方向が第一方向D1である。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。一対の側面11cが対向している方向が、第二方向D2である。第二方向D2は、各側面11cに直交する方向でもある。一対の側面11eが対向している方向が、第三方向D3である。第三方向D3は、各側面11eに直交する方向でもある。
各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電素子10(圧電素体11)は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。長方形状には、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、主面11a,11bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面11a,11bの短辺方向は、第二方向D2方向と一致する。
一対の側面11cは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11cは、第三方向D3にも延在している。一対の側面11eは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第二方向D2にも延在している。圧電素体11の第二方向D2での長さは、たとえば、10mmである。圧電素体11の第三方向D3での長さは、たとえば、20mmである。圧電素体11の第一方向D1での長さは、たとえば、200μmである。各主面11a,11bと各側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面11a,11bと各側面11c,11eとの間には、稜線部が位置する。
圧電素体11は、図3に示されるように、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが第一方向D1に積層されて構成されている。圧電素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。本実施形態では、圧電素体11は、四つの圧電体層17a,17b,17c,17dを有している。圧電素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17dが積層されている方向が第一方向D1と一致する。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17dは、主面11bを有している。圧電体層17b,17cは、圧電体層17aと圧電体層17dとの間に位置している。
各圧電体層17a,17b,17c,17dは、圧電セラミック材料からなる。すなわち、圧電素体11は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17dは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の圧電素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17dは、各圧電体層17a,17b,17c,17dの間の境界が認識できない程度に一体化されている。
圧電素子10は、図3に示されるように、圧電素体11内に配置されている複数の内部電極19,21,23を備えている。本実施形態では、圧電素子10は、三つの内部電極19,21,23を備えている。各内部電極19,21,23は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各内部電極19,21,23は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、各内部電極19,21,23の外形形状は、長方形状である。
各内部電極19,21,23は、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極19と内部電極21とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極21と内部電極23とは、第一方向D1に間隔を有して対向している。内部電極19は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極21は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極23は、圧電体層17cと圧電体層17dとの間に位置している。各内部電極19,21,23は、圧電素体11の表面には露出していない。すなわち、各内部電極19,21,23は、各側面11c,11eには露出していない。各内部電極19,21,23は、第一方向D1から見て、主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
各外部電極13,15は、図2に示されるように、主面11a上に配置されている。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3に並んでいる。外部電極13と外部電極15とは、第三方向D3で隣り合っている。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。各外部電極13,15は、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。矩形状も、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状が含まれる。各外部電極13,15は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。各外部電極13,15は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
外部電極13は、図4に示されるように、ビア導体31を通して接続導体25と電気的に接続されている。接続導体25は、内部電極19と同じ層に位置している。接続導体25は、内部電極19の内側に位置している。内部電極19には、第一方向D1から見て、外部電極13に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体25は、内部電極19に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体25の全縁が、内部電極19で囲まれている。
接続導体25は、圧電体層17aと圧電体層17bとの間に位置している。内部電極19と接続導体25とは、離間している。接続導体25は、第一方向D1で、外部電極13と対向している。ビア導体31は、外部電極13と接続されていると共に、接続導体25と接続されている。接続導体25は、ビア導体33を通して内部電極21と電気的に接続されている。接続導体25は、第一方向D1で、内部電極21と対向している。ビア導体33は、接続導体25と接続されていると共に、内部電極21と接続されている。
内部電極21は、ビア導体35を通して接続導体27と電気的に接続されている。接続導体27は、内部電極23と同じ層に位置している。接続導体27は、内部電極23の内側に位置している。内部電極23には、第一方向D1から見て、外部電極13(接続導体25)に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体27は、内部電極23に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体27の全縁が、内部電極23で囲まれている。
外部電極15は、ビア導体37を通して内部電極19と電気的に接続されている。内部電極19は、第一方向D1で、外部電極15と対向している。ビア導体37は、外部電極15と接続されていると共に、内部電極19と接続されている。
内部電極19は、ビア導体39を通して接続導体29と電気的に接続されている。接続導体29は、内部電極21と同じ層に位置している。接続導体29は、内部電極21の内側に位置している。内部電極21には、第一方向D1から見て、外部電極15に対応する位置に、開口が形成されている。接続導体29は、内部電極21に形成されている開口内に位置している。第一方向D1から見て、接続導体29の全縁が、内部電極21で囲まれている。
接続導体29は、圧電体層17bと圧電体層17cとの間に位置している。内部電極21と接続導体29とは、離間している。接続導体29は、第一方向D1で、内部電極19と対向している。ビア導体39は、内部電極19と接続されていると共に、接続導体29と接続されている。接続導体29は、ビア導体41を通して内部電極23と電気的に接続されている。接続導体29は、第一方向D1で、内部電極23と対向している。ビア導体41は、接続導体29と接続されていると共に、内部電極23と接続されている。
外部電極13は、ビア導体31、接続導体25、及び、ビア導体33を通して、内部電極21と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37を通して、内部電極19と電気的に接続されている。外部電極15は、ビア導体37、内部電極19、ビア導体39、接続導体29、及び、ビア導体41を通して、内部電極23と電気的に接続されている。
接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、導電性材料からなる。導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金が用いられる。接続導体25,27,29及びビア導体31,33,35,37,39,41は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。接続導体25,27,29は、矩形状を呈している。ビア導体31,33,35,37,39,41は、対応する圧電体層17a,17b,17cを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
圧電素体11の主面11bには、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。主面11a,11bは、自然面である。自然面とは、焼成により成長した結晶粒の表面により構成される面である。
圧電素体11の各側面11c,11eにも、内部電極19,23と電気的に接続されている導体と、内部電極21と電気的に接続されている導体とは配置されていない。本実施形態では、各側面11cを第二方向D2から見たとき、各側面11cの全体が露出している。各側面11eを第三方向D3から見たとき、各側面11eの全体が露出している。本実施形態では、各側面11c,11eも、自然面である。
圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とは、圧電的に活性な領域を構成する。本実施形態では、圧電的に活性な領域は、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15を囲むように位置している。第一方向D1から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15との間に位置している領域に、圧電的に活性な領域を含んでいる。第一方向D1から見て、圧電素体11は、外部電極13と外部電極15とが位置している領域の外側にも、圧電的に活性な領域を含んでいる。
配線部材50は、図1及び図2も示されるように、ベース51、複数の導体53,55、カバー57、及び補強部材59を有している。本実施形態では、配線部材50は、一対の導体53,55を備えている。配線部材50は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材50は、主面11a,11bの長辺と交差するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第三方向D3と交差している。本実施形態では、配線部材50は、主面11a,11bの長辺と直交するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第三方向D3と直交している。配線部材50は、第二方向D2に延在している。配線部材50は、圧電素子10と電気的かつ物理的に接続されている一端部と、振動デバイス1が搭載される電子機器(不図示)と電気的かつ物理的に接続される他端部とを有している。
ベース51は、互いに対向している一対の主面を有している。ベース51は、電気絶縁性を有している。ベース51は、樹脂からなる。ベース51は、たとえばポリイミド樹脂からなる。一対の導体53,55は、ベース51(一方の主面)上に配置されている。一対の導体53,55は、接着層(不図示)によって、ベース51に接合されている。この接着層は、各導体53,55とベース51との間に位置している。導体53と導体55とは、配線部材50が延在している方向に延在している。導体53と導体55とは、導体53,55が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体53,55は、たとえば、銅からなる。
カバー57は、各導体53,55の一部を覆うように、各導体53,55上に配置されている。各導体53,55は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。カバー57は、ベース51における各導体53,55から露出している領域を覆うように、一方の主面上にも配置されている。カバー57は、接着層(不図示)によって、各導体53,55に接合されている。
ベース51は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。ベース51とカバー57とは、各導体53,55から露出している領域で互いに接合されている。カバー57は、樹脂からなる。カバー57は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。各導体53,55の、カバー57から露出している領域には、たとえば、ニッケルめっき及び金フラッシュめっきが施されている。
補強部材59は、配線部材50の他端部に配置されている。補強部材59は、ベース51(他方の主面)上に配置されている。補強部材59は、接着層(不図示)によって、ベース51に接合されている。この接着層は、補強部材59とベース51との間に位置している。補強部材59は、電気絶縁性を有する板状の部材である。補強部材59は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。
振動部材60は、図3に示されるように、互いに対向している主面60a,60bを有している。本実施形態では、振動部材60は、板状の部材である。振動部材60は、たとえば、金属からなる。振動部材60は、たとえば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、振動部材60は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。本実施形態では、主面60a,60bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。主面60a,60bの短辺方向は、第二方向D2方向と一致する。振動部材60の第二方向D2での長さは、たとえば、15mmである。振動部材60の第三方向D3での長さは、たとえば、30mmである。振動部材60の第一方向D1での長さは、たとえば、100μmである。配線部材50は、振動部材60の主面60a,60bの長辺と交差するようにも配置されている。本実施形態では、配線部材50は、主面60a,60bの長辺と直交するように配置されている。
圧電素子10は、樹脂層61によって振動部材60に接合されている。圧電素体11の主面11bと振動部材60の主面60aとが互いに対向している。樹脂層61は、主面11bと主面60aとの間に位置している。主面11bと主面60aとが、樹脂層61によって接合されている。樹脂層61は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)からなる。樹脂層61は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。圧電素子10が振動部材60に接合された状態では、第一方向D1と、主面60aと主面60bとが対向している方向とは略同じである。第一方向D1から見て、圧電素子10は、振動部材60(主面60a)の略中央に配置されている。
配線部材50の一端部は、接続部材70によって、圧電素子10と接合されている。配線部材50の一端部は、接続部材70によって、外部電極13,15と接合されている。接続部材70は、第一方向D1から見て外部電極13と外部電極15とを一体的に覆うように、配線部材50の一端部と圧電素子10との間に設けられている。接続部材70は、樹脂層71と、複数の金属粒子(不図示)とを有している。本実施形態では、樹脂層71は、配線部材50の一端部と、外部電極13,15及び主面11aとの間に存在している。互いに対応する外部電極13,15と導体53,55との間には、樹脂層71が存在している。複数の金属粒子は、樹脂層71内に配置されている。樹脂層71は、たとえば、熱硬化性エラストマーからなる。金属粒子は、たとえば、金めっき粒子からなる。接続部材70は、たとえば、異方性導電ペースト又は異方性導電膜が硬化することにより形成される。
互いに対応する外部電極13,15と導体53,55とは、金属粒子によって接続されている。互いに対応する外部電極13,15と導体53,55とは、金属粒子を通して電気的に接続されている。導体53は、金属粒子及び外部電極13を通して、内部電極21と電気的に接続されている。導体55は、金属粒子及び外部電極15を通して、内部電極19,23と電気的に接続されている。
配線部材50における、振動部材60の主面60a上に位置している領域は、主面60aと接合されている。本実施形態では、配線部材50は、樹脂層63によって主面60aと接合されている。配線部材50に含まれるカバー57は、樹脂層63によって主面60aと接合されている。樹脂層63は、樹脂層61と接している。樹脂層63は、樹脂層61と離間していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の側面と接していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の主面60bとは接していない。すなわち、樹脂層63は、主面60b上には設けられていない。樹脂層63は、たとえば、ニトリルゴムからなる。樹脂層63は、樹脂層61と同じ材料であってもよい。樹脂層63は、樹脂層61と異なる材料であってもよい。
被覆膜80は、図1及び図3に示されるように、圧電素体11の表面を覆うように圧電素子10と振動部材60とにわたって設けられている。被覆膜80は、圧電素子10と振動部材60とを一体的に覆っている。被覆膜80は、絶縁性樹脂からなる。絶縁性樹脂には、たとえば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリイミド樹脂、又はフッ素系樹脂が用いられる。被覆膜80の厚みは、たとえば、5〜20μmである。
被覆膜80は、図5にも示されるように、主面11aにおける、配線部材50から露出している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、主面11aにおける、配線部材50から露出している領域と接している。被覆膜80は、一方の側面11cの全体と、各側面11eの全体を覆っている。被覆膜80は、一方の側面11cと、各側面11eとに接している。被覆膜80は、他方の側面11cにおける、配線部材50から露出している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、他方の側面11cにおける、配線部材50から露出している領域に接している。
被覆膜80は、図6にも示されるように、主面60aにおける、圧電素子10(樹脂層61)及び振動部材60(樹脂層63)から露出している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、主面60aにおける、圧電素子10(樹脂層61)及び振動部材60(樹脂層63)から露出している領域に接している。被覆膜80は、配線部材50における、振動部材60の上に位置している領域の全体を覆っている。被覆膜80は、圧電素子10と配線部材50と振動部材60とを一体的に覆っている。
被覆膜80内には、図5〜図7に示されるように、複数の空孔81が分布している。空孔81の内径は、たとえば、0.5〜5μmである。本実施形態では、被覆膜80は、透明である。ここで、「透明」とは、空孔81が目視にて確認できる程度を言い、有色透明でもよい。本実施形態では、被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、一個以上である。被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、10個以下である。図7では、空孔81が位置している箇所に矢印が付されている。本実施形態では、被覆膜80と圧電素体11との界面、及び、被覆膜80と振動部材60との界面にも、複数の空孔83が分布している。すなわち、複数の空孔83は、被覆膜80の外に分布している。
被覆膜80の表面粗さは、圧電素体11の表面粗さより小さい。表面粗さは、たとえば、算術平均粗さ(Ra)で示される。算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601:2013(ISO 4287:1997)に定義されている。圧電素体11の表面粗さは、たとえば、2〜5μmである。被覆膜80の表面粗さは、たとえば、0.15〜1μmである。振動部材60の表面粗さは、たとえば、2〜5μmである。本実施形態では、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比(被覆膜80の表面粗さ/圧電素体11の表面粗さ)は、0.1〜0.5の範囲内である。
極性が異なる電圧が、導体53,55を通して、外部電極13と外部電極15とに印加されると、内部電極21と内部電極19,23との間で電界が発生する。圧電体層17bにおける内部電極19と内部電極21とで挟まれた領域と、圧電体層17cにおける内部電極21と内部電極23とで挟まれた領域とが、圧電的に活性な領域となり、これらの圧電的に活性な領域に変位が発生する。圧電素子10は、外部電極13,15に交流電圧が印加されると、印加された交流電圧の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10と振動部材60とは接合されている。したがって、振動部材60は、圧電素子10における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を繰り返す。
以上のように、本実施形態では、被覆膜80が、圧電素体11の表面を覆うように圧電素子10と振動部材60とにわたって設けられているので、圧電素体11内への水分の浸入が被覆膜80によって抑制される。したがって、圧電素子10の電気的特性の劣化が抑制される。
被覆膜80が、圧電素子10と振動部材60とにわたって設けられている場合、振動デバイス1の振動が被覆膜80によって阻害されるおそれがある。たとえば、振動デバイス1の変位量が低下するおそれがある。本実施形態では、被覆膜80内に、複数の空孔81が分布しているので、被覆膜80は、空孔81が存在しない被覆膜に比して、振動デバイス1の振動を阻害し難い。被覆膜80は、空孔81が存在しない被覆膜に比して、振動デバイス1の振動に追従しやすい。
振動デバイス1では、被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、一個以上である。この場合、振動デバイス1の振動が被覆膜80によって阻害されるのが確実に抑制される。
振動デバイス1では、被覆膜80を表面から見て、任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数は、10個以下である。この場合、圧電素体11内への水分の浸入が確実に防止される。任意の0.3mm四方の範囲内に存在している空孔81の数が10個より大きい場合、水分が被覆膜80を透過するおそれがある。この場合、圧電素子10の電気的特性が劣化するおそれがある。
振動デバイス1では、被覆膜80の表面粗さは、圧電素体11の表面粗さより小さい。この場合、被覆膜80の圧電素体11への密着性が向上していると共に、被覆膜80での欠陥の発生が抑制されている。被覆膜80は、たとえば、圧電素体11の表面に付与された樹脂が硬化することにより形成される。この場合、付与された樹脂が圧電素体11の表面に適切に濡れると、被覆膜80の圧電素体11への密着性が向上する。本発明者らの調査研究の結果、圧電素体11の表面での樹脂の濡れが適切であると、被覆膜80の表面粗さが圧電素体11の表面粗さが小さいことが判明した。被覆膜80の表面粗さが、圧電素体11の表面粗さより小さい場合、被覆膜80の圧電素体11への密着性が向上していると言える。被覆膜80に欠陥が生じている場合、たとえば、付与された樹脂が圧電素体11の表面に適切に濡れておらず、被覆膜80を貫通するピンホールが被覆膜80に形成されている場合、被覆膜80の表面粗さが大きくなってしまう。したがって、被覆膜80の表面粗さが、圧電素体11の表面粗さより小さい場合、被覆膜80での欠陥の発生が抑制されていると言える。
振動デバイス1では、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比は、0.1〜0.5の範囲内である。この場合、被覆膜80の膜厚が所望の値に確保されやすいので、良好な被覆膜80が得られる。被覆膜80は、圧電素体11の変位を阻害するおそれがある。しかしながら、本発明者らの調査研究の結果、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比は、0.1〜0.5の範囲内である場合、被覆膜80による圧電素体11の変位の阻害を抑制することが判明した。すなわち、圧電素体11の表面粗さに対する被覆膜80の表面粗さの比が、0.1〜0.5の範囲内である場合、圧電素体11の変位が被覆膜80によって阻害され難く、振動デバイス1の振動に影響を与え難い。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
主面60aにおける、圧電素子10(樹脂層61)及び振動部材60(樹脂層63)から露出している領域の全体が、被覆膜80で覆われている必要はない。主面60aの一部は、被覆膜80から露出していてもよい。たとえば、主面60aの外縁領域が、被覆膜80から露出していてもよい。
圧電素子10が備える内部電極19,21,23の数、圧電体層17a,17b,17c,17dの数、外部電極13,15の数は、上述された実施形態及び変形例で開示した数に限られない。圧電素子10及び振動部材60は、平面視で、正方形状であってもよい。
振動部材60は、電子機器などの筐体であってもよい。振動部材60は、電子機器などの筐体とは別の部材であってもよい。この場合、振動部材60は、面接着によって筐体に装着されてもよい。
1…振動デバイス、10…圧電素子、11…圧電素体、13,15…外部電極、17a,17b,17c,17d…圧電体層、19,21,23…内部電極、50…配線部材、60…振動部材、80…被覆膜、81…空孔。

Claims (5)

  1. 圧電セラミック材料からなる圧電素体を有している圧電素子と、
    前記圧電素子が接合されている振動部材と、
    前記圧電素体の表面を覆うように前記圧電素子と前記振動部材とにわたって設けられた、絶縁性樹脂からなる被覆膜と、を備え、
    前記被覆膜内には、複数の空孔が分布している、振動デバイス。
  2. 前記被覆膜を表面から見て、0.3mm四方の範囲内に存在している前記空孔の数は、一個以上である、請求項1に記載の振動デバイス。
  3. 前記被覆膜を表面から見て、0.3mm四方の範囲内に存在している前記空孔の数は、10個以下である、請求項1又は2に記載の振動デバイス。
  4. 前記被覆膜の表面粗さは、前記圧電素体の表面粗さより小さい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動デバイス。
  5. 前記圧電素体の前記表面粗さに対する前記被覆膜の前記表面粗さの比は、0.1〜0.5の範囲内である、請求項4に記載の振動デバイス。
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