次に、本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態にかかるグロープラグ100の縦断面図である。図2は、グロープラグ100のうち軸線方向DXの先端側XSの部分の拡大断面図であり、セラミックヒータ4の断面等を図示している。なお、図1において、グロープラグ100の軸線AXに沿う方向(図1において上下方向)を軸線方向DX、軸線方向DXのうちセラミックヒータ4が位置する側(図1において下側)を先端側XS、これと反対側(図1において上側)を後端側XKとする。
グロープラグ100は、図1に示すように、軸線方向DXに延びる棒状の形態を有している。このグロープラグ100は、主体金具2と、中軸3と、絶縁部材5と、ピン端子8と、外筒7と、セラミックヒータ4と、電極リング18とを備えている。
このうち、主体金具2は、軸孔9を備えた略円筒状の形態を有する金属製の部材である。主体金具2の外周面のうち後端部(後端側XKの部位)には、工具係合部12が形成されている。この工具係合部12は、所定の取り付け工具と係合可能な形状(例えば、六角形状)を有している。また、主体金具2の外周面のうち中央部には、雄ねじ部11が形成されている。この雄ねじ部11は、グロープラグ100が図示しないエンジンのシリンダヘッドに取り付けられる際に、シリンダヘッドに形成されている雌ネジ(図示なし)に螺合する。
従って、主体金具2の工具係合部12に所定の取り付け工具を係合させて、グロープラグ100を軸線AXを中心として回転させつつ、主体金具2の雄ねじ部11をシリンダヘッドに形成されている雌ネジに螺合させることで、グロープラグ100を図示しないエンジンのシリンダヘッドに取り付けることができる。
中軸3は、金属製で丸棒状の部材である。この中軸は、後端側XKの部位が主体金具2の後端から後端側XKに突出する態様で、主体金具2の軸孔9内に収容されている。中軸3の先端側XSの部位には、円筒形状をなす電極リング18の後端部が外嵌している。後述するように、中軸3は、この電極リング18を介して、セラミックヒータ4と電気的に接続している。
絶縁部材5は、後端側XKにフランジ部6を有する筒状の形態を有し、電気絶縁性材料により形成されている。この絶縁部材5の先端側XSの部位は、主体金具2の後端側XKから軸孔9内に嵌め込まれている。なお、絶縁部材5のフランジ部6は、工具係合部12の後端に接している。絶縁部材5の軸孔内には、中軸3の後端側XKの部位が挿通されている。絶縁部材5は、主体金具2の軸線及び中軸3の軸線がいずれも軸線AXと一致するように、中軸3を固定している。絶縁部材5の後端は、ピン端子8の先端面と接している。絶縁部材5は、主体金具2と中軸3との間、及び、主体金具2とピン端子8との間を、電気的に絶縁している。
ピン端子8は、金属製で、有底穴を有する略円筒状をなしている。このピン端子は、その底穴内に、絶縁部材5のフランジ部6から後端側XKに突出した中軸3の後端部が挿入されると共に、その先端面が絶縁部材5のフランジ部6に接触している。このピン端子の中間部は、有底穴内に挿入されている中軸3の後端部を囲むように加締められている。このようにピン端子8が加締められることにより、中軸3と主体金具2との間に嵌合された絶縁部材5が固定され、中軸3からの絶縁部材5の抜けが防止される。
外筒7は、金属製で、軸孔10を有する略円筒状をなし、主体金具2の先端部に接合されている。外筒7の後端側XKの部位には、厚肉部15及び係合部16が形成されている。係合部16は、厚肉部15よりも後端側XKに位置しており、その外周径が厚肉部15の外周径よりも小さくされている。係合部16は、主体金具2の軸孔9内に嵌められている。厚肉部15は、その後端が主体金具2の先端に接している。この外筒7は、セラミックヒータ4の軸線が軸線AXと一致するように、軸孔10内にセラミックヒータ4を保持している。なお、この外筒7が、セラミックヒータを保持する金具に相当する。
セラミックヒータ4は、軸線方向DXに延びる棒状で、その先端面が曲面である円柱状の外観形状を有している。このセラミックヒータ4は、外筒7の軸孔10内に嵌め込まれている(圧入されている)。セラミックヒータ4の先端部4b(先端側XSの部位)は、外筒7の先端から先端側XSへ突出している(図2参照)。このセラミックヒータ4の先端部4bは、グロープラグ100をエンジンのシリンダヘッド(図示なし)に取り付けたとき、燃焼室(図示なし)内に配置される。なお、セラミックヒータ4の先端部4bは、後述する発熱部33を含んでいる。一方、セラミックヒータ4の後端部4c(後端側XKの部位)は、外筒7の後端から突出しており、主体金具2の軸孔9に収容されている。このセラミックヒータ4の後端部4cは、電極リング18内に嵌め込まれている(圧入されている)。
さらに、セラミックヒータ4の構成について詳細に説明する。セラミックヒータ4は、図2に示すように、軸線方向DXに延びる形態の基体21と、基体21の内部に埋設された導電部22とを備えている。このうち、基体21は、絶縁性セラミックにより形成されている。この基体21は、その先端面が曲面である略円柱状の外観形状を有する。
導電部22は、導電性セラミックからなり、基体21の内部に埋設されている。この導電部22は、軸線方向DXに延びる2つのリード部31,32と、2つのリード部31,32よりも軸線方向DXの先端側XSに位置する発熱部33と、2つの電極部27,28とを有する(図2参照)。2つのリード部31,32は、それぞれ、棒状の部材であり、基体21内部に配置されている。2つのリード部31,32は、互いの長手方向(軸線方向DXに一致する)が平行となるように、また、それぞれの軸線が軸線AXと平行となるように配置されている。
電極部27は、リード部31の後端側XKの部位に接続している。この電極部27は、リード部31と一体形成されており、リード部31から径方向外側に突出するように形成されている。電極部27の端面は、基体21の表面に露出しており、電極リング18の内周面に接している(図2参照)。これにより、電極リング18とリード部31とが電気的に接続されている。
電極部28は、軸線方向DXについて電極部27よりも先端側XSに位置し、リード部32に接続している。この電極部28は、リード部32と一体形成されており、リード部32から径方向外側に突出するように形成されている。電極部28の端面は、基体21の表面に露出しており、外筒7の内周面に接している(図2参照)。これにより、外筒7とリード部32とが電気的に接続されている。
発熱部33は、略U字形状をなし、2つのリード部31、32の先端部に接続している。発熱部33の太さ(断面積)は、2つのリード部31、32の太さ(断面積)よりも細く(小さく)されている(図2参照)。
このようなセラミックヒータ4では、ピン端子8、中軸3、及び電極リング18を通じて供給される電流(電力)が、電極部27,28、及び2つのリード部31,32を介して発熱部33に導かれ、発熱部33が発熱することで昇温する。発熱部33は、通電により、例えば、1000℃以上の温度にまで昇温する。この発熱部33を含むセラミックヒータ4の先端部4bは、グロープラグ100をエンジンのシリンダヘッド(図示なし)に取り付けたとき、燃焼室(図示なし)内に配置される。このため、セラミックヒータ4への通電により、燃焼室内を加熱することができる。
次に、実施形態にかかるグロープラグ100及びセラミックヒータ4の製造方法について説明する。図3は、グロープラグ100の製造方法の流れを示すフローチャートである。図4は、図3のフローチャートのサブルーチンであり、セラミックヒータ4の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、ステップS1において、セラミックヒータ4を製造する。具体的には、図4に示すように、まず、ステップS11において、材料Aを作製する。なお、材料Aは、導電部22の成形材料であって、焼成後に導電部22を構成する導電性セラミックとなる材料である。
具体的には、材料Aは、セラミックを主成分とする材料であり、例えば、以下のようにして作製される。まず、窒化珪素とタングステンカーバイトと焼結助剤と水とを混合することによって、スラリーを生成する。そして、スプレードライによって、生成したスラリーを粉末にする。次いで、この粉末とバインダ等をニーダー(混練機)を用いて混練し、その後、これをペレット化することで、材料Aを得ることができる。
なお、添加するバインダは、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン等のバインダの他、ワックス、可塑剤、及び、分散剤等を、1種又は2種以上混合して用いることができる。また、焼結助剤は、例えば、希土類元素の他、アルミナやモリブデンの酸化物(MoO3)、タングステンの酸化物(WO3)等を含んでもよい。
次に、図4に示すように、ステップS12において、混合材料50(材料B)を作製する。なお、混合材料50(材料B)は、基体21の成形材料であって、焼成後に基体21を構成する絶縁性セラミックとなる材料である。
具体的には、混合材料50は、セラミックを主成分とする材料であり、例えば、以下のようにして作製される。まず、窒化珪素と焼結助剤と水とを混合することによって、スラリーを生成する。そして、スプレードライによって、生成したスラリーを粉末にする。次いで、この粉末とバインダ等とをニーダー(混練機)を用いて混練し、その後、これをペレット化することによって混合材料50を得ることができる。なお、添加するバインダ及び焼結助剤は、上述した材料Aと同様である。
なお、本実施形態のグロープラグ100及びセラミックヒータ4の製造方法においては、ステップS11において材料Aを作製した後、ステップS12において材料B(混合材料50)を作製しているが、作製する順序はこれに限定されるものではない。例えば、材料Bを作製した後、材料Aを作製するようにしても良い。あるいは、材料Aと材料Bを同時に作製するようにしても良い。
次に、図4に示すように、ステップS13において、導電部中間体200(図5参照)を作製する。ここで、導電部中間体200とは、焼成前の導電部22であり、後述する脱脂(ステップS16)、本焼成(ステップS17)、及び研磨(ステップS18)を経て導電部22となる部材である。この導電部中間体200は、焼成前のリード部31,32であるリード部中間体212,222、及び、焼成前の発熱部33である発熱部中間体233を含む。導電部中間体200は、例えば、材料Aを射出成形するなどして作製することができる。なお、射出成形に代えて、プレス成形、シート積層成形、または、鋳込み成形等の成形方法を用いるようにしても良い。
次に、射出成形により、導電部中間体200の周囲に、焼成前の基体21である基体中間体270を成形することで、基体中間体270の内部に導電部中間体200が埋設された、セラミックヒータ4の中間体であるヒータ中間体900を形成する。本実施形態では、以下に説明するように、第1射出成形工程と第2射出成形工程とを行うことで、ヒータ中間体900を形成する。
まず、図4に示すように、ステップS14において、第1射出成形工程を行う。なお、図5〜図7は、第1射出成形工程を説明する図である。図5は、導電部中間体200と下金型400と上金型500との分解斜視図である。図6は、下金型400と上金型500とを組み合わせた金型300(金型A)の内部に、導電部中間体200を配置した状態で、混合材料50(材料B)を金型300の内部に射出している様子を示す断面図であり、金型300を軸線方向DXに沿って切断した断面図である。図7は、第1射出成形工程を終了した時点の様子を示す断面図であり、図5のF−Fの位置で金型300を軸線方向DXに直交する方向に切断した断面図である。
このステップS14(第1射出成形工程)では、導電部中間体200を金型300の内部に配置した状態で、ステップS12で作製した混合材料50(加熱により軟化させた混合材料50)を金型300の内部に射出する。そして、基体中間体270の一部である第1部分基体中間体280であって、導電部中間体200を軸線方向DXに直交する方向に切断した断面において導電部中間体200の外周の一部(具体的には半分)を覆う態様で軸線方向DXに延びる形態の第1部分基体中間体280を成形する。これにより、第1部分基体中間体280の内部に導電部中間体200の一部(具体的には半分)が埋設された、ヒータ中間体900の一部である第1部分ヒータ中間体950を形成する。
具体的には、まず、導電部中間体200を、下金型400に形成されているキャビティ420内に配置する(図5参照)。次に、導電部中間体200の上半分を覆うように、下金型400の上部に上金型500を配置する。なお、導電部中間体200は、導電部22とほぼ相似形の外観形状を有する。すなわち、導電部中間体200は、リード部31に対応するリード部中間体212と、リード部32に対応するリード部中間体222と、発熱部33に対応する発熱部中間体233と、2つの電極部27,28に対応する2つの電極部中間体227,228とを備えている。
2つのリード部中間体212,222は、後述する脱脂(ステップS16)、本焼成(ステップS17)、及び研磨(ステップS18)の工程を経て、2つのリード部31,32となる。同様に、発熱部中間体233及び2つの電極部中間体227,228は、それぞれ、後述する脱脂(ステップS16)、本焼成(ステップS17)、及び研磨(ステップS18)の工程を経て、発熱部33及び2つの電極部27,28になる。
下金型400に形成されているキャビティ420は、導電部中間体200の下半分が収容可能な形状に形成されている。下金型400には、図5に示すように、上述のキャビティ420に加えて、キャビティ420の内側に形成された第1平面部Sf10、キャビティ420に連なりキャビティ420の外側に位置する第2平面部Sf13および第3平面部Sf23が形成されている。
上金型500は、下金型400との合わせ面側が開口した中空の直方体状の外観形状を有する。上金型500には、略半円筒状のキャビティ520(図6参照)が形成されている。上金型500のうち軸線方向DXの後端側XKに位置する後端部590には、外部から混合材料50を上金型500の内部に充填(射出)するための射出孔510が設けられている(図6参照)。
この上金型500は、下金型400の第2平面部Sf13及び第3平面部Sf23に接するようにして配置される(図5参照)。下金型400と上金型500とを組み合わせて金型300(金型A)を形成することにより、上金型500と下金型400との間には、上金型500のキャビティ520を構成する略円筒状の内周面と、下金型400の3つの平面部Sf10,Sf13,Sf23と、導電部中間体200の上方半分の外周表面とで囲まれた略密閉空間MS1(図6参照)が形成される。
上述のように導電部中間体200、下金型400、および上金型500を配置した後、図6に示すように、ステップS12で作製した混合材料50(加熱により軟化させた混合材料50)を、金型300の内部(略密閉空間MS1内)に射出する。具体的には、上金型500の後端部590に形成されている射出孔510を通じて、軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かう方向に、混合材料50を射出する。なお、本実施形態の第1射出成形工程では、100〜250℃の範囲内の温度(例えば、150℃)にした混合材料50を射出するようにしている。
また、本実施形態の第1射出成形工程は、リード部中間体212,222に対する混合材料50のせん断速度が750〜30000[1/秒]の範囲内の値となる第1速度で混合材料50を射出する第1速度射出ステップを含んでいる。本実施形態の第1射出成形工程では、第1速度は100mm/秒である。
また、本実施形態の第1射出成形工程では、射出速度を第1速度(100mm/秒)として混合材料50の射出を開始しているが、その後、途中で射出速度を変更しても良いし、変更することなく第1射出成形工程を終了するようにしても良い。すなわち、第1射出成形工程を、第1速度射出ステップと、第1速度とは異なる射出速度(例えば、後述する第2速度)で混合材料50を射出する1または複数のステップとからなる工程としても良いし、第1射出成形工程を第1速度射出ステップのみからなる工程としても良い。
第1速度射出ステップでは、リード部中間体212,222に対する混合材料50(材料B)のせん断速度を750〜30000[1/秒]の範囲内として(750〜30000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)、混合材料50(材料B)がリード部中間体212,222(リード部中間体212,222の一部)の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆく(図6参照)。換言すれば、第1速度射出ステップにおいて、混合材料50(材料B)がリード部中間体212,222の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆくとき、リード部中間体212,222に対する混合材料50(材料B)のせん断速度を750〜30000[1/秒]の範囲内として(750〜30000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)流れることになる。
これに対し、本実施形態では、100℃の温度で測定したせん断速度4864[1/秒]における材料A(リード部中間体212,222を形成している材料)の粘度VA1[Pa・秒]と、100℃の温度で測定したせん断速度4864[1/秒]における材料B(混合材料50、第1部分基体中間体280を形成する材料)の粘度VB1[Pa・秒]とが、1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすようにしている。すなわち、ステップS11とステップS12とにおいて、材料Aと材料B(混合材料50)を作製するとき、粘度VA1[Pa・秒]と粘度VB1[Pa・秒]とが1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすように、混合する材料の添加率(体積比)を調整している。
なお、粘度VA1及び粘度VB1の測定温度を100℃にしている理由は、通常、本実施形態と同様に、第1射出成形工程において材料B(混合材料50)を射出する温度が100〜250℃の範囲内の温度であるため、第1速度射出ステップにおいてリード部中間体212,222(材料A)と材料B(混合材料50)とが接触するときのリード部中間体212,222(材料A)と材料Bとの境界部の温度が、100℃を含む範囲内の温度になると考えられるからである。
1.02≦VB1/VA1の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くすることで、第1速度射出ステップにおいて、材料Bとリード部中間体212,222との間(界面)で生じるせん断熱を大きくすることができ、リード部中間体212,222が溶解し易くなる。これにより、リード部中間体212,222に対する材料Bの接着性を良好にでき(リード部中間体212,222と第1部分基体中間体280との間の接着性を良好にでき)、焼成後のセラミックヒータ4におけるリード部31,32と基体21との間の接着不良が低減される。
さらに、VB1/VA1≦7.0の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くし過ぎないようにする(7.0倍以下に抑制する)ことで、第1速度射出ステップにおいて、リード部中間体212,222の変形(具体的には、リード部中間体212,222の表層が剥がれるような変形)を小さくすることができ、2本のリード部中間体212,222の間の距離が小さくなり過ぎるのを抑制することができる。
このような第1射出成形工程によって、混合材料50を金型300の内部(略密閉空間MS1内)に充填することで、第1部分基体中間体280の内部に導電部中間体200の一部(具体的には半分)が埋設された構成を有する第1部分ヒータ中間体950を形成することができる。本実施形態では、第1部分ヒータ中間体950は、軸線方向DXの全体にわたって、導電部中間体200の上半分が第1部分基体中間体280の内部に埋設された形態となる(図7参照)。
次に、図4に示すように、ステップS15において、第2射出成形工程を行う。なお、図8〜図10は、第2射出成形工程を説明する図である。図8は、ステップS14(第1射出成形工程)で作製した第1部分ヒータ中間体950と、下金型600と、上金型800との分解斜視図である。図9は、下金型600と上金型800とを組み合わせた金型700(金型B)の内部に、第1部分ヒータ中間体950を配置した状態で、混合材料50(材料B)を金型700の内部に射出している様子を示す断面図であり、金型700を軸線方向DXに沿って切断した断面図である。図10は、第2射出成形工程を終了した時点の様子を示す断面図であり、図8のG−Gの位置で金型700を軸線方向DXに直交する方向に切断した断面図である。
このステップS15(第2射出成形工程)では、ステップS14(第1射出成形工程)で作製した第1部分ヒータ中間体950を金型700の内部に配置した状態で、材料B(加熱により軟化させた混合材料50)を金型700の内部に射出する。そして、基体中間体270のうち第1部分基体中間体280を除いた部位である第2部分基体中間体290を成形する。これにより、第1部分基体中間体280と第2部分基体中間体290とによって基体中間体270を形成しつつ、基体中間体270の内部に導電部中間体200が埋設された構成を有するヒータ中間体900(図10及び図11参照)を形成する。
具体的には、まず、ステップS14(第1射出成形工程)で作製した第1部分ヒータ中間体950を上下反転させ、下金型600に形成されているキャビティ620内に配置する(図8参照)。キャビティ620は、略円筒状の内周面を有する。キャビティ620の内周面の一部は、第1部分ヒータ中間体950(第1部分基体中間体280)の外周面と略同一の形状を有する。したがって、キャビティ620に収容された第1部分ヒータ中間体950の下方の外周面(円筒状の部分)は、キャビティ620の内周面と接触する。次に、第1部分ヒータ中間体950の上方(上半分)を覆うように上金型800を配置する。
上金型800は、下金型600との合わせ面側が開口した中空の直方体状の外観形状を有する。上金型800には、略半円筒状の内周面を有するキャビティ820が形成されている(図9参照)。上金型800のうち軸線方向DXの後端側XKに位置する後端部890には、外部から混合材料50(材料B)を上金型800の内部に充填(射出)するための射出孔810が設けられている(図9参照)。
本実施形態では、下金型600のキャビティ620に第1部分ヒータ中間体950の下半分を収容した状態で、下金型600のうちキャビティ620に連なる上端面(平面部)と上金型800のうちキャビティ820に連なる下端面(平面部)とが互いに接するように、下金型600と上金型800とを組み合わせて、金型700(金型B)を形成する。これにより、下金型600と上金型800とが組み合わされた金型700(金型B)が形成されると共に、第1部分ヒータ中間体950の上面と、下金型600のキャビティ620の一部と、上金型800のキャビティ820とで囲まれた略密閉空間MS2が形成される。
上述のように第1部分ヒータ中間体950、下金型600、および上金型800を配置した後、図9に示すように、ステップS12で作製した混合材料50(加熱により軟化させた混合材料50)を、金型700の内部(略密閉空間MS2内)に射出する。具体的には、上金型800の後端部890に形成されている射出孔810を通じて、軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かう方向に、混合材料50を射出する。なお、本実施形態の第2射出成形工程でも、第1射出成形工程と同様に、100〜250℃の範囲内の温度(例えば、150℃)にした混合材料50を射出するようにしている。
また、本実施形態の第2射出成形工程も、第1射出成形工程と同様に、リード部中間体212,222に対する混合材料50のせん断速度が750〜30000[1/秒]の範囲内の値となる第1速度で混合材料50を射出する第1速度射出ステップを含んでいる。本実施形態の第2射出成形工程では、第1速度は100mm/秒である。
なお、本実施形態の第2射出成形工程でも、第1射出成形工程と同様に、射出速度を第1速度(100mm/秒)として混合材料50の射出を開始しているが、その後、途中で射出速度を変更しても良いし、変更することなく第2射出成形工程を終了するようにしても良い。すなわち、第2射出成形工程を、第1速度射出ステップと、第1速度とは異なる射出速度(例えば、後述する第2速度)で混合材料50を射出する1または複数のステップとからなる工程としても良いし、第2射出成形工程を第1速度射出ステップのみからなる工程としても良い。
第2射出成形工程の第1速度射出ステップでも、リード部中間体212,222に対する混合材料50(材料B)のせん断速度を750〜30000[1/秒]の範囲内として(750〜30000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)、混合材料50(材料B)がリード部中間体212,222(リード部中間体212,222の一部)の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆく(図9参照)。換言すれば、第1速度射出ステップにおいて、混合材料50(材料B)がリード部中間体212,222の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆくとき、リード部中間体212,222に対する混合材料50(材料B)のせん断速度を750〜30000[1/秒]の範囲内として(750〜30000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)流れることになる。
これに対し、本実施形態では、前述のように、100℃の温度で測定したせん断速度4864[1/秒]における材料A(リード部中間体212,222を形成している材料)の粘度VA1[Pa・秒]と、100℃の温度で測定したせん断速度4864[1/秒]における材料B(混合材料50、第1部分基体中間体280を形成する材料)の粘度VB1[Pa・秒]とが、1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすようにしている。すなわち、ステップS11とステップS12とにおいて、材料Aと材料B(混合材料50)を作製するとき、粘度VA1[Pa・秒]と粘度VB1[Pa・秒]とが1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすように、混合する材料の添加率(体積比)を調整している。
1.02≦VB1/VA1の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くすることで、第2射出成形工程の第1速度射出ステップにおいても、材料Bとリード部中間体212,222との間(界面)で生じるせん断熱を大きくすることができ、リード部中間体212,222が溶解し易くなる。これにより、リード部中間体212,222に対する材料Bの接着性を良好にでき(リード部中間体212,222と第2部分基体中間体290との間の接着性を良好にでき)、焼成後のセラミックヒータ4におけるリード部31,32と基体21との間の接着不良が低減される。
さらに、VB1/VA1≦7.0の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くし過ぎないようにする(7.0倍以下に抑制する)ことで、第2射出成形工程の第1速度射出ステップにおいても、リード部中間体212,222の変形(具体的には、リード部中間体212,222の表層が剥がれるような変形)を小さくすることができ、2本のリード部中間体212,222の間の距離が小さくなり過ぎるのを抑制することができる。
このような第2射出成形工程によって、混合材料50を金型700の内部(略密閉空間MS2内)に充填することで、第2部分基体中間体290を成形すると共に、第1部分基体中間体280と第2部分基体中間体290とが接着した基体中間体270が形成されて、基体中間体270の内部に導電部中間体200が埋設された構成を有するヒータ中間体900を形成することができる(図10参照)。
次に、図4に示すように、ステップS16に進み、上述のように作製されたヒータ中間体900の脱脂(仮焼成)を行う。ヒータ中間体900には、バインダが含まれているので、加熱(仮焼成)することにより、このバインダが取り除かれる。脱脂(仮焼成)の方法としては、例えば、ヒータ中間体900を、窒素雰囲気中にて2時間、600℃で加熱する方法が挙げられる。
その後、ステップS17に進み、本焼成を行う。この本焼成では、先の仮焼成よりも高温で加熱が行なわれる。具体的には、例えば、窒素雰囲気中にて最高1800℃程度の温度に至るまで加熱する。これにより、ヒータ中間体900が焼成されたヒータ焼成体(図示なし)が形成される。次いで、ステップS18に進み、ヒータ焼成体(図示なし)に対し、研磨加工を行って、ヒータ焼成体の形状を整える。これにより、セラミックヒータ4が完成する。
次いで、図3に示すように、ステップS2において、グロープラグ100の各構成部品(主体金具2、中軸3、絶縁部材5、ピン端子8、外筒7、セラミックヒータ4、電極リング18など)を組み付ける。これにより、グロープラグ100(図1参照)が完成する。
(実施例1〜5と比較例1〜2)
実施例1〜5及び比較例1〜2では、材料Aの粘度VA1[Pa・秒]と材料B(混合材料50)の粘度VB1[Pa・秒]との比であるVB1/VA1の値を異ならせている点のみが相違しており、その他は同様として、セラミックヒータ4を製造している。
なお、材料Aの粘度VA1[Pa・秒]は、キャピログラフ(東洋精機製、型式:1D)を使用して測定している。測定条件は、測定温度(設定温度)100℃、キャピラリー径1mm、キャピラリー長さ10mm、ピストンスピード400[mm/分]=せん断速度4864[1/秒]としている。材料B(混合材料50)の粘度VB1[Pa・秒]についても同様にして測定している。
具体的には、実施例1では、材料Aの粘度VA1を9.2[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB1を9.4[Pa・秒]として、VB1/VA1=1.02の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA1が9.2[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB1が9.4[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB1/VA1=1.02の関係を満たすようにしている。
また、実施例2では、材料Aの粘度VA1を9.2[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB1を9.8[Pa・秒]として、VB1/VA1=1.07の関係を満たすようにしている。
また、実施例3では、材料Aの粘度VA1を9.2[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB1を10.3[Pa・秒]として、VB1/VA1=1.12の関係を満たすようにしている。
また、実施例4では、材料Aの粘度VA1を9.2[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB1を15.2[Pa・秒]として、VB1/VA1=1.65の関係を満たすようにしている。
また、実施例5では、材料Aの粘度VA1を3.9[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB1を27.3[Pa・秒]として、VB1/VA1=7.00の関係を満たすようにしている。
また、比較例1では、材料Aの粘度VA1を9.5[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB1を7.8[Pa・秒]として、VB1/VA1=0.82の関係を満たすようにしている。
また、比較例2では、材料Aの粘度VA1を3.9[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB1を28.3[Pa・秒]として、VB1/VA1=7.26の関係を満たすようにしている。
なお、実施例1〜5及び比較例1〜2では、いずれも、第1射出成形工程(ステップS14)及び第2射出成形工程(ステップS15)において、混合材料50(材料B)の射出速度を途中で変更することなく、第1速度(100mm/秒)の一定速度として、射出成形を行っている。すなわち、第1射出成形工程(ステップS14)及び第2射出成形工程(ステップS15)を、共に、第1度射出ステップのみからなる工程とした。従って、実施例1〜5では、リード部中間体212,222の全体にわたって、混合材料50のせん断速度が750〜30000[1/秒]の範囲内の値となる。
また、実施例1〜5及び比較例1〜2では、第1射出成形工程(ステップS14)及び第2射出成形工程(ステップS15)において射出する混合材料50(材料B)の温度を、いずれも、150℃としている。
<リード部中間体の変形度合いの調査>
まず、実施例1〜5及び比較例1〜2のそれぞれの製造方法により、ヒータ中間体900を作製した。そして、それぞれのヒータ中間体900(焼成前のセラミックヒータ4)について、リード部中間体212,222の変形の程度を調査した。
具体的には、まず、ヒータ中間体900を、リード部中間体212,222を軸線方向DXに5等分する位置で、軸線方向DXに直交する方向に切断した。このときの切断面のうち、図11に示す、D1−D1の切断面、D2−D2の切断面、D3−D3の切断面、及び、D4−D4の切断面の4つの切断面について、リード部中間体212と222との間の最短距離Eを測定し、4つの最短距離Eの中で最も小さい値を「リード間距離」とした。従って、リード間距離が大きいほど、リード部中間体(ひいてはリード部)の変形を小さくすることができる製造方法であるといえる。
ここで、ヒータ中間体900の切断面の一例を図12と図13に示す。図12は、最短距離Eが大きい(すなわち、リード部中間体212,222の変形が小さい)ヒータ中間体900の切断面の例である。一方、図13は、最短距離Eが小さい(すなわち、リード部中間体212,222の変形が大きい)ヒータ中間体900の切断面の例である。図12及び図13に示すように、第1射出成形工程及び第2射出成形工程(第1速度射出ステップ)を行うことで、リード部中間体212,222は、その表層が剥がれるように変形する(変形部212b,222bが形成される)。図12及び図13より、リード部中間体212,222の変形が大きくなるほど(変形部212b,222bが大きくなるほど)、リード部中間体212,222の最短距離E(リード間距離)が小さくなることがわかる。
なお、本調査では、リード間距離の設計値ES(変形なしである場合のリード間距離)に対するリード間距離の測定値EM(上述のように測定した実施例1〜5及び比較例1〜2のリード間距離)の比率=(EM/ES)×100(%)を算出し、比率が80%以上であるものを「○」、比率が50%以上80%未満であるものを「△」、比率が50%未満であるものを「×」として評価した。この結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜4及び比較例1では、リード間距離の評価がいずれも「○」となった。また、実施例5では、リード間距離の評価が「△」となった。なお、評価が「○」または「△」となった実施例1〜5及び比較例1では、VB1/VA1≦7.0の関係を満たすようにしている。このうち、評価が「○」となった実施例1〜4及び比較例1では、VB1/VA1≦1.65の関係を満たすようにしている。
一方、VB1/VA1≦7.0の関係を満たしていない比較例2では、リード間距離の評価が「×」となった。
この結果より、VB1/VA1≦7.0の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くし過ぎないようにする(7.0倍以下に抑制する)ことで、第1速度射出ステップにおいて、リード部中間体212,222の変形(具体的には、リード部中間体212,222の表層が剥がれるような変形)を小さくすることができ、リード部中間体212と222の間の距離が小さくなり過ぎるのを抑制することができるといえる。
特に、VB1/VA1≦1.65の関係を満たすようにする(実施例1〜4及び比較例1)ことで、第1速度射出ステップにおいて、リード部中間体212,222の変形(具体的には、リード部中間体の表層が剥がれるような変形)をより一層小さくすることができ、リード部中間体212と222の間の距離が小さくなるのを抑制することができるといえる。
<リード部と基体との間の接着性の評価>
次に、実施例1〜5及び比較例1〜2のセラミックヒータ4について、リード部31,32と基体21との間の接着状態を調査した。具体的には、まず、実施例1〜5及び比較例1〜2のそれぞれの製造方法により、多数のセラミックヒータ4を作製した。そして、各々のセラミックヒータ4について、リード部31,32と基体21との界面を、透過型X線観察装置によって観察し、リード部31,32と基体21との界面にクラック(剥がれ)が発生しているか否かを調査した。クラックが発生している場合は、リード部31,32と基体21との間の接着不良であると判断することができる。
なお、本調査では、各々の実施例及び比較例について、クラック発生率(%)を算出した。具体的には、各々の実施例及び比較例について、調査したセラミックヒータ4の総数NAに対し、クラックが発生していたセラミックヒータ4の数NBの割合=(NB/NA)×100(%)を、クラック発生率(%)として算出した。この結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例2〜5及び比較例2では、いずれも、クラック発生率が0%であった。また、実施例1では、クラック発生率が0.2%であった。なお、このようにクラック発生率が低い実施例1〜5及び比較例2では、1.02≦VB1/VA1の関係を満たすようにしている。
一方、1.02≦VB1/VA1の関係を満たしていない比較例1では、クラック発生率が5.0%となり、他の例に比べて大きくなった。
この結果より、1.02≦VB1/VA1の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くすることで、第1速度射出ステップにおいて、材料B(混合材料50)とリード部中間体212,222との間(界面)で生じるせん断熱を大きくすることができ、リード部中間体212,222が溶解し易くなるといえる。これにより、リード部中間体212,222に対する材料B(混合材料50)の接着性を良好にでき(リード部中間体212,222と基体中間体270との間の接着性を良好にでき)、焼成後のセラミックヒータ4におけるリード部31,32と基体21との間の接着不良を低減することができるといえる。
以上の結果より、1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすようにすることで、セラミックヒータ4におけるリード部31,32と基体21との間の接着不良を低減することができ、且つ、リード部31,32(リード部中間体212,222)の変形を小さくすることができるといえる。特に、1.02≦VB1/VA1≦1.65の関係を満たすようにすることで、リード部31,32(リード部中間体212,222)の変形をより一層小さくすることができるといえる。
(実施例6〜12)
実施例6〜12は、実施例1〜5と異なり、第1射出成形工程(ステップS14)が、第1速度射出ステップの後、発熱部中間体233に対する材料B(混合材料50)のせん断速度が150〜6000[1/秒]の範囲内の値となる第2速度(第1速度よりも低速)で材料Bを射出する第2速度射出ステップを含んでいる。すなわち、第1射出成形工程(ステップS14)が、第1速度(具体的には、100mm/秒)で材料B(混合材料50)を射出する第1速度射出ステップに加えて、その後、第1速度よりも低速な第2速度(具体的には、20mm/秒)で材料Bを射出する第2速度射出ステップを有している。より具体的には、実施例6〜12は、第1射出成形工程(ステップS14)を、第1速度射出ステップと第2速度射出ステップとにより構成している。
これにより、第1射出成形工程の終盤(材料Bが発熱部中間体233の表面に接触しつつ流れてゆくとき、すなわち、射出した材料Bによって金型300内の略密閉空間MS1の多くが満たされたとき)において材料Bの射出速度を低速にすることができるので、金型300内の圧力が急上昇するのを抑制でき、金型300を構成する上金型500と下金型400との境界(合わせ面)に材料Bが漏出(進入)するのを抑制することができる。これにより、基体21(基体中間体270)の表面にバリが生じるのを抑制することができる。
さらに、実施例6〜12は、実施例1〜5と異なり、第2射出成形工程(ステップS15)も、第1速度射出ステップの後、発熱部中間体233に対する材料B(混合材料50)のせん断速度が150〜6000[1/秒]の範囲内の値となる第2速度で材料Bを射出する第2速度射出ステップを含んでいる。すなわち、第2射出成形工程(ステップS15)も、第1速度(具体的には、100mm/秒)で材料B(混合材料50)を射出する第1速度射出ステップに加えて、その後、第1速度よりも低速な第2速度(具体的には、20mm/秒)で材料Bを射出する第2速度射出ステップを有している。
これにより、第2射出成形工程の終盤(材料Bが発熱部中間体233の表面に接触しつつ流れてゆくとき、すなわち、射出した材料Bによって金型700内の略密閉空間MS2の多くが満たされたとき)において材料Bの射出速度を低速にすることができるので、金型700内の圧力が急上昇するのを抑制でき、金型700を構成する上金型800と下金型600との境界(合わせ面)に材料Bが漏出(進入)するのを抑制することができる。これにより、基体21(基体中間体270)の表面にバリが生じるのを抑制することができる。
また、実施例6〜12では、実施例1〜5と同様に、1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすようにしている。これにより、第1速度射出ステップにおいて、材料Bとリード部中間体212,222との間(界面)で生じるせん断熱を大きくすることができ、リード部中間体212,222が溶解し易くなるので、リード部中間体212,222に対する材料Bの接着性を良好にでき(リード部中間体212,222と第1部分基体中間体280との間の接着性を良好にでき)、焼成後のセラミックヒータ4におけるリード部31,32と基体21との間の接着不良が低減される。さらには、第1速度射出ステップにおいて、リード部中間体212,222の変形を小さくすることができ、2本のリード部中間体212,222の間の距離が小さくなり過ぎるのを抑制することができる。
ところで、第1射出成形工程及び第2射出成形工程の第2速度射出ステップでは、第2速度(具体的には、20mm/秒)で材料Bを射出することで、発熱部中間体233に対する材料B(混合材料50)のせん断速度を150〜6000[1/秒]の範囲内として(150〜6000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)、材料Bが発熱部中間体233(発熱部中間体233の一部)の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆく。換言すれば、第2速度射出ステップにおいて、材料Bが発熱部中間体233の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆくとき、発熱部中間体233に対する材料Bのせん断速度を150〜6000[1/秒]の範囲内として(150〜6000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)流れることになる。
これに対し、実施例6〜12のうち実施例7〜11では、100℃の温度で測定したせん断速度486[1/秒]における材料Aの粘度VA2[Pa・秒]と、100℃の温度で測定したせん断速度486[1/秒]における材料Bの粘度VB2[Pa・秒]とが、1.02≦VB2/VA2≦6.0の関係を満たすようにしている。すなわち、ステップS11とステップS12とにおいて、材料Aと材料B(混合材料50)を作製するとき、粘度VA2[Pa・秒]と粘度VB2[Pa・秒]とが1.02≦VB2/VA2≦6.0の関係を満たすように、混合する材料の成分比を調整している。
なお、粘度VA2及び粘度VB2の測定温度を100℃にしている理由は、通常、本実施形態と同様に、第1射出成形工程において材料B(混合材料50)を射出する温度が100〜250℃の範囲内の温度(具体的には、150℃)であるため、第2速度射出ステップにおいて発熱部中間体233(材料A)と材料Bとが接触するときの発熱部中間体233(材料A)と材料Bとの境界部の温度が、100℃を含む範囲内の温度になると考えられるからである。
1.02≦VB2/VA2の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くすることで、第2速度射出ステップにおいて、材料B(混合材料50)と発熱部中間体233との間(界面)で生じるせん断熱を大きくすることができ、発熱部中間体233が溶解し易くなる。これにより、発熱部中間体233に対する材料Bの接着性を良好にでき(発熱部中間体233と基体中間体270との間の接着性を良好にでき)、焼成後のセラミックヒータ4における発熱部33と基体21との間の接着不良を低減することができる。
さらに、VB2/VA2≦6.0の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くし過ぎないようにする(6.0倍以下に抑制する)ことで、第2速度射出ステップにおいて、発熱部中間体233の変形(具体的には、発熱部中間体233の表層が剥がれるような変形)を小さくすることができる。これにより、焼成後のセラミックヒータ4において、長期間にわたって、発熱部33におけるマイグレーションを抑制することが可能となり(従って、導電部22の電気抵抗値の変化を抑制することが可能となり)、長期間にわたって、発熱部33において適切に発熱させることが可能となる。
以上説明したように、実施例7〜11の製造方法によれば、発熱部33(発熱部中間体233)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、発熱部33(発熱部中間体233)の変形を小さくすることが可能となる。しかも、リード部31,32(リード部中間体212,222)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、リード部31,32(リード部中間体212,222)の変形を小さくすることが可能となる
なお、実施例6〜12の第1射出成形工程は、以下のように行うようにしている。具体的には、まず、第1速度射出ステップにおいて、第1速度(例えば、100mm/秒)で材料B(混合材料50)の射出を開始する。これにより、リード部中間体212,222に対する材料Bのせん断速度を750〜30000[1/秒]の範囲内として(750〜30000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)、材料Bがリード部中間体212,222の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆく。
その後、材料Bがリード部中間体212,222と発熱部中間体233との境界部225(図5及び図6参照)に初めて到達する(到達すると推測される)ときに、第2速度射出ステップに進み、材料Bの射出速度を、第1速度よりも低速の第2速度(例えば、20mm/秒)に変更する。これにより、発熱部中間体233に対する材料Bのせん断速度を150〜6000[1/秒]の範囲内として(150〜6000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)、材料Bが発熱部中間体233の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆく。
このように、第1射出成形工程の終盤において、材料B(混合材料50)の射出速度を低下させることで、金型300を構成する上金型500と下金型400との境界(合わせ面)に材料Bが進入(漏出)するのを抑制することができ、基体21の表面にバリ(突起部)が生じるのを抑制することができる。
また、実施例6〜12では、第2射出成形工程も、上述した第1射出成形工程と同様にしている。
このような実施例6〜12では、材料Aの粘度VA1[Pa・秒]と材料B(混合材料50)の粘度VB1[Pa・秒]との比であるVB1/VA1の値、及び、材料Aの粘度VA2[Pa・秒]と材料B(混合材料50)の粘度VB2[Pa・秒]との比であるVB2/VA2の値を異ならせている点のみが相違しており、その他は同様として、セラミックヒータ4を製造している。
なお、材料Aの粘度VA1[Pa・秒]は、キャピログラフ(東洋精機製、型式:1D)を使用して測定している。測定条件は、測定温度100℃、キャピラリー径1mm、キャピラリー長さ10mm、ピストンスピード400[mm/分]=せん断速度4864[1/秒]としている。材料B(混合材料50)の粘度VB1[Pa・秒]についても同様にして測定している。
また、材料Aの粘度VA2[Pa・秒]も、キャピログラフ(東洋精機製、型式:1D)を使用して測定している。測定条件は、測定温度100℃、キャピラリー径1mm、キャピラリー長さ10mm、ピストンスピード40[mm/分]=せん断速度486[1/秒]としている。材料B(混合材料50)の粘度VB2[Pa・秒]についても同様にして測定している。
具体的には、実施例6では、材料Aの粘度VA2を21.7[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB2を19.5[Pa・秒]として、VB2/VA2=0.90の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA2が21.7[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB2が19.5[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB2/VA2=0.90の関係を満たすようにしている。なお、VB1/VA1については、1.02≦VB1/VA1≦1.65の関係を満たしている。
また、実施例7では、材料Aの粘度VA2を21.7[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB2を22.2[Pa・秒]として、VB2/VA2=1.02の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA2が21.7[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB2が22.2[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB2/VA2=1.02の関係を満たすようにしている。なお、VB1/VA1については、1.02≦VB1/VA1≦1.65の関係を満たしている。
また、実施例8では、材料Aの粘度VA2を21.7[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB2を23.2[Pa・秒]として、VB2/VA2=1.07の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA2が21.7[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB2が23.2[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB2/VA2=1.07の関係を満たすようにしている。なお、VB1/VA1については、1.02≦VB1/VA1≦1.65の関係を満たしている。
また、実施例9では、材料Aの粘度VA2を21.7[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB2を24.1[Pa・秒]として、VB2/VA2=1.11の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA2が21.7[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB2が24.1[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB2/VA2=1.11の関係を満たすようにしている。なお、VB1/VA1については、1.02≦VB1/VA1≦1.65の関係を満たしている。
また、実施例10では、材料Aの粘度VA2を21.7[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB2を34.7[Pa・秒]として、VB2/VA2=1.60の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA2が21.7[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB2が34.7[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB2/VA2=1.60の関係を満たすようにしている。なお、VB1/VA1については、1.02≦VB1/VA1≦1.65の関係を満たしている。
また、実施例11では、材料Aの粘度VA2を9.2[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB2を55.2[Pa・秒]として、VB2/VA2=6.00の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA2が9.2[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB2が55.2[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB2/VA2=6.00の関係を満たすようにしている。なお、VB1/VA1については、1.65<VB1/VA1≦7.0の関係を満たしている。
また、実施例12では、材料Aの粘度VA2を9.2[Pa・秒]とし、材料B(混合材料50)の粘度VB2を64.3[Pa・秒]として、VB2/VA2=6.99の関係を満たすようにしている。すなわち、材料Aを作製する際、粘度VA2が9.2[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整し、且つ、材料B(混合材料50)を作製する際、粘度VB2が64.3[Pa・秒]となるように混合する材料の添加率を調整して、VB2/VA2=6.99の関係を満たすようにしている。なお、VB1/VA1については、1.65<VB1/VA1≦7.0の関係を満たしている。
<発熱部と基体との間の接着性の評価>
次に、実施例6〜12のセラミックヒータ4について、発熱部33と基体21との間の接着状態を調査した。具体的には、まず、実施例6〜12のそれぞれの製造方法により、多数のセラミックヒータ4を作製した。そして、各々のセラミックヒータ4について、発熱部33と基体21との界面を、透過型X線観察装置によって観察し、発熱部33と基体21との界面にクラック(剥がれ)が発生しているか否かを調査した。クラックが発生している場合は、発熱部33と基体21との間の接着不良であると判断することができる。
なお、本調査では、各々の実施例について、クラック発生率(%)を算出した。具体的には、各々の実施例について、調査したセラミックヒータ4の総数NAに対し、クラックが発生していたセラミックヒータ4の数NBの割合=(NB/NA)×100(%)を、クラック発生率(%)として算出した。この結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例8〜12では、いずれも、クラック発生率が0%であった。また、実施例7では、クラック発生率が0.2%であった。なお、このようにクラック発生率が低い実施例7〜12では、1.02≦VB2/VA2の関係を満たすようにしている。
一方、1.02≦VB2/VA2の関係を満たすようにしていない実施例6では、クラック発生率が1.5%となり、他の例に比べて大きくなった。
この結果より、1.02≦VB2/VA2の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くすることで、第2速度射出ステップにおいて、材料B(混合材料50)と発熱部中間体233との間(界面)で生じるせん断熱を大きくすることができ、発熱部中間体233が溶解し易くなるといえる。これにより、発熱部中間体233に対する材料B(混合材料50)の接着性を良好にでき(発熱部中間体233と基体中間体270との間の接着性を良好にでき)、焼成後のセラミックヒータ4における発熱部33と基体21との間の接着不良が低減されるといえる。
<発熱部の変形度合いの調査>
また、実施例6〜12のセラミックヒータ4について、発熱部33の変形の程度を調査した。具体的には、各実施例のセラミックヒータ4について、1000時間の連続通電による耐久試験を行い、耐久試験中における導電部22の電気抵抗値を測定した。耐久試験期間中における電気抵抗変化率が大きいほど、発熱部33の変形(具体的には、発熱部33の表層が剥がれるような変形)の程度が大きいと判断することができる。その理由は、発熱部33の表層が剥がれるような変形の程度が大きいほど、略U字形状をなす発熱部33のうち軸線方向DXに平行に延びる2つの直線部分の間の距離が小さくなり、当該部分において通電中にマイグレーションによって抵抗変化が発生し易くなるからである。
なお、本耐久試験では、セラミックヒータ4の表面の最高温度が1300℃となるようにセラミックヒータ4に電圧を印加している。
また、本耐久試験では、各実施例のセラミックヒータ4について、試験開始前の導電部22の電気抵抗値Rsを測定しておき、連続通電開始から100時間経過する毎に導電部22の電気抵抗値Rbを測定した。そして、100時間毎に測定した電気抵抗値Rbについて、試験開始前の電気抵抗値Rsを基準にした抵抗変化率={|Rs−Rb|/Rs}×100(%)を算出した。
そして、本耐久試験の評価は、次のようにした。具体的には、連続通電開始から1000時間経過するまでの抵抗変化率が5%未満であったものを「◎」、連続通電開始から700時間経過するまでは抵抗変化率が5%未満であったが、その後、連続通電開始から1000時間経過するまでに抵抗変化率が5%以上となったものを「○」、連続通電開始から500時間経過するまでは抵抗変化率が5%未満であったが、その後、連続通電開始から700時間経過するまでに抵抗変化率が5%以上となったものを「△」、連続通電開始から500時間経過するまでに抵抗変化率が5%以上となったものを「×」として評価した。この結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例6〜10では、耐久試験の評価がいずれも「◎」となった。また、実施例11では、耐久試験の評価が「○」となった。なお、評価が「◎」または「○」となった実施例6〜11では、VB2/VA2≦6.0の関係を満たすようにしている。このうち、評価が「◎」となった実施例6〜10では、VB2/VA2≦1.60の関係を満たすようにしている。一方、VB2/VA2≦6.0の関係を満たしていない実施例12では、耐久試験の評価が「△」となった。
この結果より、VB2/VA2≦6.0の関係を満たすように、材料Aの粘度に比べて材料Bの粘度を高くし過ぎないようにする(6.0倍以下に抑制する)ことで、第2速度射出ステップにおいて、発熱部中間体233の変形(具体的には、発熱部中間体233の表層が剥がれるような変形)を小さくすることができるといえる。これにより、焼成後のセラミックヒータ4において、長期間にわたって、発熱部33におけるマイグレーションを抑制することが可能となり(従って、導電部22の抵抗変化率を小さくすることが可能となり)、長期間にわたって、発熱部33において適切に発熱させることが可能となる。
特に、VB2/VA2≦1.60の関係を満たすようにすることで、第2速度射出ステップにおいて、発熱部中間体233の変形(具体的には、発熱部中間体233の表層が剥がれるような変形)をより一層小さくすることができるといえる。
以上説明したことから、1.02≦VB2/VA2≦6.0の関係を満たすようにすることで、発熱部33(発熱部中間体233)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、発熱部33(発熱部中間体233)の変形を小さくすることが可能となるといえる。その上、1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすようにすることで、リード部31,32(リード部中間体212,222)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、リード部31,32(リード部中間体212,222)の変形を小さくすることが可能となるといえる。
特に、1.02≦VB2/VA2≦1.60の関係を満たすようにすることで、発熱部33(発熱部中間体233)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、発熱部33(発熱部中間体233)の変形を特に小さくすることが可能となるといえる。その上、1.02≦VB1/VA1≦1.60の関係を満たすようにすることで、リード部31,32(リード部中間体212,222)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、リード部31,32(リード部中間体212,222)の変形を特に小さくすることが可能となるといえる。
以上において、本発明を実施例1〜12に即して説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1〜12では、射出成形工程を、第1射出成形工程(ステップS14)と第2射出成形工程(ステップS15)との2つの工程に分けて行うようにした。すなわち、基体中間体270を、2回の射出成形によって、2つに分割して成形するようにした。しかしながら、射出成形工程を2つの工程に分けることなく、1つの工程のみで行うようにしても良い。すなわち、基体中間体270を1回の射出成形によって成形するようにしても良い。あるいは、射出成形工程を3つ以上の工程に分けて行うようにして、基体中間体270を、3回以上の射出成形によって、3つ以上に分割して成形するようにしても良い。
また、実施例6〜12では、第1射出成形工程及び第2射出成形工程において、第1速度射出ステップから第2速度射出ステップに切り替える(すなわち、材料Bの射出速度を第1速度から第2速度に変更する)タイミングを、材料B(混合材料50)がリード部中間体212,222と発熱部中間体233との境界部225に最初に到達するときにしたが、これに限定されない。
例えば、材料Bの射出を開始してから、射出した材料Bが、リード部中間体212,222と発熱部中間体233との境界部225よりも軸線方向DXの後端側XK(図6及び図9において境界部225よりも右側)に最初に到達するとき(すなわち、軸線方向DXについてリード部中間体212,222の後端と先端との間の所定位置に最初に到達するとき)に、第1速度射出ステップから第2速度射出ステップに切り替えるようにしても良い。
あるいは、材料Bの射出を開始してから、射出した材料Bが、リード部中間体212,222と発熱部中間体233との境界部225よりも軸線方向DXの先端側XS(図6及び図9において境界部225よりも左側)の所定位置に最初に到達したとき(すなわち、軸線方向DXについて発熱部中間体233の後端と先端との間の所定位置に最初に到達したとき)に、第1速度射出ステップから第2速度射出ステップに切り替えるようにしても良い。
いずれの場合でも、第1速度射出ステップにおいて、材料Bがリード部中間体212,222の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆくとき、リード部中間体212,222に対する材料Bのせん断速度を750〜30000[1/秒]の範囲内として(750〜30000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)流れることになる。さらには、第2速度射出ステップにおいて、材料Bが発熱部中間体233の表面に接触しつつ軸線方向DXの後端側XKから先端側XSに向かって流れてゆくとき、発熱部中間体233に対する材料Bのせん断速度を150〜6000[1/秒]の範囲内として(150〜6000[1/秒]の範囲内のせん断速度で)流れることになる。
従って、いずれの場合でも、1.02≦VB1/VA1≦7.0の関係を満たすようにすることで、第1速度射出ステップにおいて、リード部31,32(リード部中間体212,222)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、リード部31,32(リード部中間体212,222)の変形を小さくすることが可能となる。さらには、1.02≦VB2/VA2≦6.0の関係を満たすようにすることで、発熱部33(発熱部中間体233)と基体21(基体中間体270)との間の接着不良を低減することが可能になると共に、発熱部33(発熱部中間体233)の変形を小さくすることが可能となる。