JP6870648B2 - ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及びフィルム - Google Patents

ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及びフィルム Download PDF

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Description

本開示は、ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及びフィルムに関する。
従来、液晶表示装置に用いられる偏光板は、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させ延伸等により配向させた偏光子の両面に保護フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を貼りあわせることにより製造される。また、TACフィルムの表面には、透明な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高硬度の被膜(ハードコート層)を形成し、傷つき等から保護している。上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、多官能ウレタン(メタ)アクリレート等を含むものが知られている(特許文献1)。
特開2009−286924号公報
上記保護フィルムは、近年のモバイル用途を中心とする液晶装置の薄型化や高品質化に伴い、薄膜化が進んでいる。このような薄膜化された保護フィルムに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて高硬度のハードコート層を形成しようとした場合、硬化時の塗布層の収縮によりフィルムが強くカールし、後工程での加工性低下やパネル変形の原因となる。一方、カールを低減するために反応点を減らした組成物を用いた場合には表面硬度の低下を招いてしまう。
本発明が解決しようとする課題は、ベースフィルムの表面に高硬度性、低カール性、高耐擦傷性、高耐光性を兼ね備えた硬化皮膜を形成する光学用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することとする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、特定の構造を有する反応物を用いることにより、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
イソシアヌレート基、ビウレット基、及びアロファネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有するか、及び/又はアダクト体である、芳香族基非含有ポリイソシアネート(A)及び、
3量体以上のポリペンタエリスリトール骨格を有する水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)
を含む化合物群の反応物である、ウレタン(メタ)アクリレート。
(項目2)
上記項目に記載のウレタン(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目3)
光重合開始剤を含む、上記項目に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(項目4)
上記項目のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
(項目5)
上記項目に記載の硬化物を含む、フィルム。
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
本開示により提供されるウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、ベースフィルムの表面に高硬度性、低カール性、高耐擦傷性、高耐光性を兼ね備えた硬化皮膜を形成できる。その結果、薄膜基材に対し好適に用いることができ、薄膜保護フィルムを製造することができる。
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限がA1、A2、A3等が例示され、数値αの下限がB1、B2、B3等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以下、A2以下、A3以下、B1以上、B2以上、B3以上、A1〜B1、A1〜B2、A1〜B3、A2〜B1、A2〜B2、A2〜B3、A3〜B1、A3〜B2、A3〜B3等が例示される。
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本開示は、イソシアヌレート基、ビウレット基、及びアロファネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有するか、及び/又はアダクト体である、芳香族基非含有ポリイソシアネート(A)及び、
3量体以上のポリペンタエリスリトール骨格を有する水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)
を含む化合物群の反応物である、ウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
本開示において「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
本開示において、「ポリイソシアネート」は、2個以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物である。ポリイソシアネート(A)は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<イソシアヌレート基、ビウレット基、及びアロファネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有するか、及び/又はアダクト体である、芳香族基非含有ポリイソシアネート(A):(A)成分ともいう>
(イソシアヌレート基、ビウレット基、及びアロファネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する芳香族基非含有ポリイソシアネート)
イソシアヌレート基、ビウレット基、及びアロファネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する芳香族基非含有ポリイソシアネートは、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、及び/又は脂環族ポリイソシアネートの多量体等が例示される。
直鎖脂肪族は、直鎖アルキレン基等が例示される。直鎖アルキレン基は−(CH−(nは1以上の整数)の一般式で表現でき、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デカメチレン基等が例示される。
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。
分岐脂肪族は、分岐アルキレン基等が例示される。分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の少なくとも1つの水素がアルキル基によって置換された基であり、具体的な例は、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基(トリメチルヘキサメチレン基)等が例示される。
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
脂環族は、シクロアルキレン基等が例示される。シクロアルキレン基は、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が例示される。またシクロアルキレン基は、1つ以上の水素が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
本開示において、単環は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環は、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環は、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造を意味する。
単環シクロアルキレン基は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシレン基等が例示される。
架橋環シクロアルキレン基は、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が例示される。
縮合環シクロアルキレン基は、ビシクロデシレン基等が例示される。
脂環族ポリイソシアネートは、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が例示される。
単環脂環族ポリイソシアネートは、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5−トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示される。
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が例示される。
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、ビシクロデシレンジイソシアネート等が例示される。
アルキレン基の炭素数は、特に限定されないが、その上限は、30、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2等が例示され、下限は、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜16がさらに好ましく、1〜12が特に好ましい。
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、下記構造式(A−1)
Figure 0006870648
(式中、R1A〜R1Eは、それぞれ独立にアルキル基であり、R1D〜R1Eは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。n1は0以上の整数である。n1は好ましくは0〜3である。)
で表される。
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、デュラネートTPA−100、デュラネートTKA−100、デュラネートMFA−75B、デュラネートMHG−80B(以上旭化成(株)製)、コロネートHXR(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上東ソー(株)製)、タケネートD−127N(水添キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上三井化学(株)製)、VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(以上エボニック・ジャパン(株)製)等が例示される。
ポリイソシアネートのビウレット体は、下記構造式(A−2)
Figure 0006870648
(式中、R2A〜R2Eは、それぞれ独立にアルキル基であり、R2D〜R2Eは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。n2は0以上の整数である。n2は0〜3が好ましい。)
で表される。
ポリイソシアネートのビウレット体は、デュラネート24A−100、デュラネート22A−75P、デュラネート21S−75E(以上旭化成(株)製)、デスモジュールN3200A(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)(以上住友バイエルウレタン(株)製)等が例示される。
ポリイソシアネートのアロファネート体は、下記構造式(A−3)
Figure 0006870648
(式中、R3A〜R3Gは、それぞれ独立にアルキル基であり、R3B〜R3Eは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。n3は、0以上の整数である。n3は0〜3が好ましい。)で表される。
ポリイソシアネートのアロファネート体は、タケネートD−178N(以上三井化学(株)製)等が例示される。
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が例示される。
アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、その上限は、30、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2等が例示され、下限は、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜16がさらに好ましく、1〜12が特に好ましい。
直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が例示される。
分岐アルキル基は、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基、イソデシル基等が例示される。
シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が例示される。なお、シクロアルキル基は、各環上の1つ以上の水素が直鎖アルキル基(前記例示の基等)又は分岐アルキル基(前記例示の基等)で置換されていてもよい。
(アダクト体である芳香族基非含有ポリイソシアネート) アダクト体である芳香族基非含有ポリイソシアネートは、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、及び/又は脂環族ポリイソシアネートの多価アルコールによる変性体等が例示される。
上記多価アルコールは、(ポリ)ペンタエリスリトール、(ポリ)トリメチロールプロパン、(ポリ)グリセリン、ソルビトール、シュガー等が例示される。
ポリイソシアネートのアダクト体は、
下記構造式(A−4)
Figure 0006870648
(式中、R4A〜R4Eは、それぞれ独立にアルキル基であり、R4D〜R4Eは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。n4は0以上の整数である。n4は0〜3が好ましい。)
で示されるトリメチロールプロパンとポリイソシアネートのアダクト体、
下記構造式(A−5)
Figure 0006870648
(式中、R5A〜R5Eは、それぞれ独立にアルキル基であり、R5D〜R5Eは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。n5は0以上の整数である。n5は0〜3が好ましい。)
で示されるグリセリンとポリイソシアネートのアダクト体等が例示される。
ポリイソシアネートのアダクト体は、デュラネートP301−75E(以上旭化成(株)製)、タケネートD160N(以上三井化学(株)製)等が例示される。
なお、上記構造式(A−1)〜(A−5)はあくまでも一例であり、本開示が上記構造式に示した化合物に限定されることを意図しない。
ポリイソシアネート(A)の重量平均分子量(Mw)の上限は、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、500等が例示され、下限は、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、500、300等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)の重量平均分子量(Mw)は、ウレタン(メタ)アクリレートの生産性の観点から、300〜80000が好ましい。
ポリイソシアネート(A)の数平均分子量(Mn)の上限は、60000、55000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、500、300等が例示され、下限は、55000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、500、300、200等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)の数平均分子量(Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートの生産性の観点から、200〜60000が好ましい。
ポリイソシアネート(A)の分子量分布(Mw/Mn)の上限は、8.0、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0等が例示され、下限は、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートの生産性の観点から、1.0〜8.0が好ましい。
重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値として求められ得る(以下同様)。
上記化合物群100質量部に対するポリイソシアネート(A)の割合の上限は、50、40、30、20、10質量部等が例示され、下限は、45、40、30、20、10、5質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記化合物群100質量部に対するポリイソシアネート(A)の割合は、耐擦傷性と硬度、低カール性の並立の観点から5〜50質量部が好ましい。
<水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B):(B)成分ともいう>
水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、下記一般式(1)
Figure 0006870648
(式中、nは2以上の整数(例えば2、3、4、5等)であり、R〜Rは、それぞれ独立に水素又は(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリロイル基であるが、少なくとも1つが水素である。なお、R及びRは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
により表わされる化合物である。
本開示において「3量体以上のポリペンタエリスリトール骨格を有する」とは、例えば、一般式(1)においてnが2以上であることを意味する。
本開示において、「各構成単位ごとに基が異なっていてもよい」とは、例えば、一般式(1)の場合、nが2であるとき、
Figure 0006870648
3AとR3Bとは異なる基であってよく、R5AとR5Bとは異なる基であってよいことを意味する。
水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)は、各種公知のものを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。3量体以上のポリペンタエリスリトール骨格を有する水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、トリペンタエリスリトールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールトリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールテトラ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールペンタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールヘキサ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールヘプタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールオクタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート等が例示される。
本開示において「(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は、「(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
アルキレンオキサイド変性は、エチレンオキサイド変性、プロピレンオキサイド変性等が例示される。
水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の水酸基価の上限は、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20mgKOH/g等が例示され、下限は、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の水酸基価は、耐擦傷性と硬度、低カール性の並立の観点から、15〜80mgKOH/gが好ましく、25〜80mgKOH/gがより好ましい。
本開示において、水酸基価とは、以下の式
(水酸基価)=(水酸化カリウム分子量:56.1)×1000/(水酸基当量)
(水酸基当量)=(1分子の分子量)/(1分子中に存在する水酸基の数)
による計算値である。
水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリル当量の上限は、150、140、130、120、110g/eq等が例示され、下限は、140、130、120、110、100g/eq等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリル当量は、硬度や耐擦傷性の観点から、100〜150g/eqが好ましい。
本開示において、「(メタ)アクリル基当量)」とは、(メタ)アクリロイル基1モル当たりの分子量であり、以下の式
((メタ)アクリル基当量)=(1分子の分子量)/(1分子中に存在する(メタ)アクリロイル基の数)
により求められる。
上記化合物群100質量部に対する水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の割合の上限は、95、90、80、70、60、55質量部等が例示され、下限は、90、80、70、60、55、50質量部等が例示される。1つの実施形態において、化合物群100質量部に対する水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の割合は、硬度や耐擦傷性の観点から50〜95質量部が好ましい。
<(A)成分でも(B)成分でもない化合物:その他の化合物ともいう>
上記ウレタン(メタ)アクリレート(1)の製造の際には、(A)成分でも(B)成分でもない化合物が使用され得る。すなわち、上記化合物群には、(A)成分でも(B)成分でもない化合物が含まれ得る。(A)成分でも(B)成分でもない化合物は、(A)成分ではないイソシアネート、(B)成分ではない水酸基含有(メタ)アクリレート等が例示される。
(A)成分ではないイソシアネートは、モノイソシアネート、芳香族基含有ポリイソシアネート、イソシアヌレート基、ビウレット基、及びアロファネート基からなる群から選択される基を有さず、アダクト体でもないポリイソシアネート(無変性ポリイソシアネートともいう)が例示される。
無変性ポリイソシアネートは、上記直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が例示される。
(B)成分ではない水酸基含有(メタ)アクリレートは、水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレート、水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有単官能(メタ)アクリレート等が例示される。
1つの実施形態において、上記化合物群100質量%に対するその他の化合物の割合は、0〜50質量%、40質量%未満、25質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が例示される。
1つの実施形態において、上記化合物群100モル%に対するその他の化合物の割合は、0〜50モル%、40モル%未満、25モル%未満、10モル%未満、5モル%未満、1モル%未満、0.1モル%未満、0.01モル%未満、0モル%等が例示される。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法は、公知の方法を採用すればよく、(A)成分と(B)成分とを、無溶剤又は適切な溶媒(トルエン等)中、適切な触媒(オクチル酸スズ等)存在下で、適切な反応温度(60〜90℃等)で反応させればよい。
<各成分の相対比>
ポリイソシアネート(A)と水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)との質量比(ポリイソシアネート(A)/水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B))の上限は、6、5、4、3、2、1、0.9、0.5、0.4、0.2、0.1等が例示され、下限は、5、4、3、2、1、0.9、0.5、0.4、0.2、0.1、0.05等が例示される。1つの実施形態において、ポリイソシアネート(A)と水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)との質量比(ポリイソシアネート(A)/水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B))は、耐擦傷性と硬度、低カール性の並立の観点から、0.05〜6が好ましい。
その他の化合物とポリイソシアネート(A)との質量比(その他の化合物/ポリイソシアネート(A))の上限は、10、9、7.5、5、2.5、1、0.5等が例示され、下限は、9、7.5、5、2.5、1、0.5、0等が例示される。1つの実施形態において、その他の化合物とポリイソシアネート(A)との質量比(その他の化合物/ポリイソシアネート(A))は、0〜10が好ましい。
その他の化合物と水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)との質量比(その他の化合物/水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B))の上限は、1、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05等が例示され、下限は、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、その他の化合物と水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)との質量比(その他の化合物/水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B))は、0〜1が好ましい。
水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の水酸基とポリイソシアネート(A)のイソシアネート基との物質量比[(OH)/(NCO)]の上限は、2.5、2.0、1.5、1.0等が例示され、下限は、2.4、2.0、1.5、1.0、0.95等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)の水酸基とポリイソシアネート(A)のイソシアネート基との物質量比[(OH)/(NCO)]は、0.95〜2.5が好ましい。
<ウレタン(メタ)アクリレートの物性等>
上記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)の上限は、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000等が例示され、下限は、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000等が例示される。1つの実施形態において、上記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、ウレタン(メタ)アクリレートやフィルムの生産性の観点から、2000〜80000が好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)の上限は、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000等が例示され、下限は、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000等が例示される。1つの実施形態において、上記ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量(Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートやフィルムの生産性の観点の観点から、1000〜80000が好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの分子量分布(Mw/Mn)の上限は、8.0、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0等が例示され、下限は、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0等が例示される。1つの実施形態において、上記ウレタン(メタ)アクリレートの分子量分布(Mw/Mn)は、ウレタン(メタ)アクリレートやフィルムの生産性の観点の観点から、1.0〜8.0が好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル当量の上限は、300、290、275、250、225、200、175、150、140g/eq等が例示され、下限は、290、275、250、225、200、175、150、140、130g/eq等が例示される。1つの実施形態において、上記ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリル当量は、130〜300g/eqが好ましい。
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物:組成物ともいう]
本開示は、上記ウレタン(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供する。
上記組成物100質量部に対する上記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量の上限は、100、90、80、70、60、50、40、30、20等が例示され、下限は、90、80、70、60、50、40、30、20、10等が例示される。1つの実施形態において、上記組成物100質量部に対する上記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、耐擦傷性と硬度、低カール性の両立の観点から10〜100質量部が好ましい。
<光重合開始剤>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、各種公知のものを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、光重合開始剤は、紫外線硬化を行なう場合に使用するが、電子線硬化をする場合には、必ずしも必要ではない。
光重合開始剤は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、4−メチルベンゾフェノン等が例示される。
上記組成物100質量部に対する光重合開始剤の含有量の上限は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量部等が例示され、下限は、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記組成物100質量部に対する光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリロイル基の反応進行の観点から、0〜10質量部が好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する光重合開始剤の含有量の上限は、66.7、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1質量部等が例示され、下限は、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリロイル基の反応進行の観点から、0〜66.7質量部が好ましい。
<重合性モノマー>
1つの実施形態において、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、重合性モノマーが含まれる。重合性モノマーは、各種公知のものを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合性モノマーは、イソボルニル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ラウリル(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート等が例示される。
本開示において「(アルキレンオキサイド変性又はエポキシ変性)(メタ)アクリレート」は「(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート及びエポキシ変性(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
上記組成物100質量部に対する重合性モノマーの含有量の上限は85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5質量部等が例示され、下限は80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記組成物100質量部に対する重合性モノマーの含有量は、耐擦傷性と硬度、低カール性の並立の観点から、0〜85質量部等が好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する重合性モノマーの含有量の上限は、567、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25、10、5、1質量部等が例示され、下限は、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、50、25、10、5、1、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する重合性モノマーの含有量は、耐擦傷性と硬度、低カール性の並立の観点から、0〜567質量部等が好ましい。
<希釈溶剤>
1つの実施形態において、上記組成物には希釈溶剤が含まれる。希釈溶剤は、各種公知のものを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、希釈溶剤は、紫外線を照射しても反応(重合)しない溶剤である紫外線非反応性溶剤が好ましい。
希釈溶剤は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセチルアセトン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘプタン、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が例示される。
上記組成物100質量部に対する希釈溶剤の含有量の上限は、1900、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25質量部等が例示され、下限は、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、希釈溶剤の含有量は組成物100質量部に対し、塗工性の観点から、0〜1900質量部等が例示される。
上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対する希釈溶剤の含有量の上限は、1900、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25質量部等が例示され、下限は、1750、1500、1250、1000、750、500、250、100、50、25、0質量部等が例示される。1つの実施形態において、希釈溶剤の含有量は上記ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対し、塗工性の観点から、0〜1900質量部等が例示される。
<添加剤>
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、上記ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤、重合性モノマー、希釈溶剤以外の剤が添加剤として含まれ得る。
添加剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、防汚染剤、顔料、帯電防止剤、金属酸化物微粒子分散体、有機微粒子分散体等が例示される。
1つの実施形態において、添加剤の含有量は、組成物100質量部に対して、0.05〜50質量部、40質量部未満、25質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
別の実施形態において、添加剤の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.05〜333質量部、300質量部未満、200質量部未満、100質量部未満、50質量部未満、25質量部未満、10質量部未満、5質量部未満、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
上記組成物は、上記ウレタン(メタ)アクリレート、並びに必要に応じて重合開始剤、重合性モノマー、希釈溶剤及び添加剤等を各種公知の手段で混合することにより得られる。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、コーティング剤、フィルム用コーティング剤、プラスチックシート用コーティング剤等として使用される。フィルム用コーティング剤は、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)用コーティング剤、アクリルフィルム用コーティング剤、環状オレフィン樹脂フィルム(COPフィルム)用コーティング剤等が例示される。
[硬化物]
本開示は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を提供する。上記硬化物は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射することにより得られる。
硬化反応に用いる活性エネルギー線は、紫外線や電子線が例示される。紫外線の光源は、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置等が例示される。なお、光量、光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整でき、高圧水銀灯を使用する場合には、80〜160W/cm程度の光量を有するランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分程度で硬化させるのが好ましい。一方、電子線の場合には、10〜300kV程度の加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分程度で硬化させるのが好ましい。
[フィルム]
本開示は、上記硬化物を含む、フィルムを提供する。上記フィルムは、上記硬化物と各種ベースフィルムとを構成要素とする物品である。
ベースフィルムは各種公知のものを使用でき、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム(ポリメチルメタクリレートフィルム等)、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、エポキシ樹脂フィルム、メラミン樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ABSフィルム、ASフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、環状オレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム等が例示される。ベースフィルムの厚みは特に限定されないが、15〜100μm程度が好ましい。
上記フィルムは各種公知の方法で製造できる。具体的には、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を上記ベースフィルムの少なくとも片面に塗工し、必要に応じて乾燥させてから、活性エネルギー線を照射すればよい。また、得られたベースフィルムの非塗工面に本実施形態に係る樹脂組成物を塗工し、その上に他のベースフィルムを貼り合わせてから活性エネルギー線を照射することで積層フィルムを製造することもできる。これらのフィルムはいずれも光学用フィルムとして使用され得る。
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
塗工量は特に限定されないが、乾燥後の質量が0.1〜30g/mが好ましく、1〜20g/mがより好ましい。
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
(重量平均分子量)
ゲルパーメーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8220」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgel superHZ2000」、「TSKgel superHZM−M」による測定値。
(活性エネルギー線硬化性樹脂の製造)
実施例1
撹拌装置、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(コロネートHXR 東ソー(株)製)193部、オクチル酸スズ0.6部、トリペンタエリスリトールポリアクリレート体含有原料(ビスコート#802、水酸基価36mgKOH/g、ジペンタ体/トリペンタ体/テトラペンタ体=10〜20/55〜65/5〜15 大阪有機化学工業社製)を1560部仕込んだ後、約1時間かけて、系内の温度を約80℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系を2時間保持した後、冷却して、ウレタン(メタ)アクリレート(A−1)と残存モノマーの混合物を得た。重量平均分子量は10800であった。この混合物100部に対し1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュアー184」、以下HCPKという)を5部、固形分割合で配合し、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン=6/4の混合溶剤で希釈して、不揮発分40%の活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
実施例2〜7、比較例1〜7は下記表に記載するように成分を変更した以外は実施例1と同様にして実施した。
実施例8
実施例2で得た(A−2)成分80部に対し、その他の成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート混合物を20部(アロニックスM−400 東亜合成社製)、HCPKを5部、固形分割合で配合し、メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン=6/4の混合溶剤で希釈して、不揮発分40%の活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
実施例9は表1に記載するように成分を変更した以外は実施例8と同様にして実施した。
<硬化物の作成>
60μm膜厚のトリアセチルセルロースフィルム上に、各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、硬化後の被膜の膜厚が7μmとなるように#14バーコーターにて塗布し、70℃で1分乾燥させてフィルムを作製した。次いで、得られたフィルムを紫外線硬化装置(製品名:UBT−080−7A/BM、(株)マルチプライ製、高圧水銀灯600mJ/cm))を使用し、硬化物を含むフィルムを得た。
実施例2〜9、及び比較例1〜7についても同様にフィルムを作成し、以下のように硬化物を評価した。結果を下記表に示す。
硬度性(鉛筆硬度)
JIS K5600−5−4に準じ、荷重500gの鉛筆引っかき試験により、硬化物の硬度を評価した。
低カール性
フィルムを10cm×10cmに切り出し、フィルムが筒状(フィルムの端部同士が重なった状態)とならなかった場合は「○」、筒状となった場合には「×」と分類した。
耐擦傷性
フィルムに対し、スチールウール(#0000、10mm×10mm)を底に貼り付けた1500gの重りで10往復擦り、塗膜外観を以下の基準で目視評価した。
○:傷もしくは白化などの塗膜外観変化なし
×:傷もしくは白化などの塗膜外観変化あり
耐光性
紫外線オートフェードメーター(商品名:紫外線オートフェードメーターU48AU スガ試験機(株)製)にて、フィルムをカーボンアークランプで100時間露光した。試験後のフィルムを色差計(商品名:ZE 6000 日本電色工業(株)製)の透過法で測定し、露光後のイエローインデックス値が2未満であれば「○」、2以上であれば「×」と分類した。
Figure 0006870648
Figure 0006870648
コロネートHXR:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(東ソー(株)製)
デュラネート24A−100:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変性体(旭化成(株)製)
タケネートD−178N:ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート変性体混合物(三井化学(株)製)
タケネートD−127N:水添キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(三井化学(株)製)
VESTANAT T1890/100:イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(住友バイエルウレタン(株)製)

タケネート600:水添キシレンジイソシアネート(三井化学(株)製)
コロネート2030:トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(東ソー(株)製)
デュラネートE402−90T:ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体(旭化成(株)製)

ビスコート#802:トリペンタエリスリトールポリアクリレート体含有原料(水酸基価36mgKOH/g、ジペンタ体/トリペンタ体/テトラペンタ体=10〜20/55〜65/5〜15 大阪有機化学工業(株)製)

アロニックスM−400:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート混合物(東亜合成(株)製)

HCPK:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(BASFジャパン(株)製、商品名「イルガキュアー184」)

Claims (5)

  1. 化合物群100質量部に対し、イソシアヌレート基、ビウレット基、及びアロファネート基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有するか、及び/又はアダクト体である、芳香族基非含有ポリイソシアネート(A)5〜50質量部及び、
    3量体以上のポリペンタエリスリトール骨格を有する水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(B)50〜95質量部
    を含み、(B)成分ではない水酸基含有(メタ)アクリレートとして、水酸基含有グリセリン(メタ)アクリレート、水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有単官能(メタ)アクリレート以外の水酸基含有(メタ)アクリレートを含まない、化合物群の反応物である、ウレタン(メタ)アクリレート。
  2. 請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレートを含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 光重合開始剤を含む、請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項2又は3に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物。
  5. 請求項4に記載の硬化物を含む、フィルム。
JP2018076614A 2017-04-13 2018-04-12 ウレタン(メタ)アクリレート、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化物及びフィルム Active JP6870648B2 (ja)

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