以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[課題等]
前述の自動分析装置の課題等について補足説明する。従来技術例として、実施の形態に対する比較例の自動分析装置では、検体ディスク、検体分注機構、プローブガード等を備える。この自動分析装置は、通常時には、プローブガードが取り付けられた状態で、分注動作を含む分析動作を行い、安全性を確保する。この自動分析装置は、分析動作中に操作者がプローブガードを取り外そうとした場合、以下のような対応動作を行う。自動分析装置は、プローブガードが取り外された状態を検知し、コンピュータによる制御に基づいて、分析動作を停止させる。即ち、検体ディスクの回転や、検体分注機構のプローブの移動等の動作が停止する。操作者は、その状態で、検体ディスク上の空いている箇所に、緊急検体等の検体容器を追加設置する作業が可能である。その作業の後、操作者がプローブガードを取り付けた状態にする。自動分析装置は、その状態で分析動作を開始する。これにより、緊急検体の分析が行われる。
しかし、この自動分析装置では、プローブガードが取り外された時に、例えばコンピュータの制御に何らかの不具合、処理遅延等が生じている場合には、即座に動作が停止されるとは限らない懸念がある。動作が停止されない場合、安全性が確保できない。即ち、従来技術例の自動分析装置では、確実な動作停止を実現するための実装構成に関して改善余地がある。
また、この自動分析装置では、プローブガードが取り外された時に、装置全体の分析動作が停止される。そのため、プローブガードが取り外された時点で、分析途中であった検体に関しては、途中終了、分析未完了となって、分析結果が得られず、検体が損なわれてしまう可能性があった。即ち、従来技術例の自動分析装置では、全体的な分析効率の点で改善余地がある。
なお、従来技術例の自動分析装置では、ディスク方式の容器設置機構である検体ディスクにおいて、一部の領域にプローブガードが取り付けられている。緊急検体が発生した場合に、すぐに分析を行うためには、その検体容器を、プローブガードを取り外した領域の空いている箇所(即ち分注位置に近い容器設置部)に設置することが挙げられる。なお、検体容器を追加や交換で設置する場合、他の方法としては、プローブガードによって覆い隠されていない領域の空いている箇所(即ち分注位置から遠い容器設置部)に設置することもできる。通常、自動分析装置の正面の付近で、ユーザによる容器の作業が可能である。しかし、その場合、既存の検体容器の検体の分析が終了するまで待つ必要があり、即座の分析はできない。また、多数の検体容器を追加設置したい場合、検体ディスク上のプローブガードで覆われていない領域に空いている箇所があまり無い場合には、プローブガードを取り外した領域に設置せざるを得ない。
(実施の形態1)
図1〜図14を用いて、本発明の実施の形態1の自動分析装置について説明する。実施の形態1の自動分析装置では、分注動作時にプローブガードによって安全性を確保すると共に、操作者がプローブガードを取り外して容器の作業を行う場合にも対応可能なように、機構や回路等を含む実装構成を工夫した。実施の形態1の自動分析装置では、コンピュータの処理を介さずに、言い換えると所定の回路や機構を介して直接的に、分注動作に係わる装置一部分の動作を確実に停止させるようにした。これにより、コンピュータの制御に不具合や処理遅延等があったとしても、確実に分注動作を停止できる。また、この自動分析装置では、プローブガードが取り外された場合に、検知に基づいて、装置全体の分析動作を停止させるのではなく、分注動作に係わる必要な一部のみを停止させるようにした。これにより、その時に分析途中であった検体については、分析完了となるまで分析動作が継続され、分析結果が得られる。これにより、全体的な分析効率が高められる。
実施の形態1の自動分析装置は、検体容器が設置される検体容器設置機構の検体ディスクと、試薬容器が設置される試薬容器設置機構の試薬ディスクと、反応容器が設置される反応容器設置機構のディスクと、検体ディスクの検体容器から検体を吸引して反応容器に吐出するプローブを含む検体分注機構と、試薬ディスクの試薬容器から試薬を吸引して反応容器に吐出する試薬分注機構と、反応容器内の検体を光学測定する光度計と、光学測定の信号に基づいて分析処理を行うコンピュータと、各容器設置機構や各分注機構等の動作を制御する制御部と、ユーザである操作者に対するユーザインタフェース部とを備える。
自動分析装置は、更に、検体容器設置機構の検体ディスクの一部の付近に取り付けられるプローブガードを有する。プローブガードは、検体ディスク上の分注位置を含む、検体分注機構のプローブの軌道の周辺に、一部を包囲するように、ガード壁を含む形状を有する。ガード壁によって、ユーザの手指等がプローブの軌道にアクセスすることが制限される。プローブガードは、操作者によって検体容器設置機構のプローブガード取り付け機構の所定の位置に対する取り付け及び取り外しを可能とする構造物として、固定用のねじ(固定部)、位置決め及び挿入用の突起(挿入部)を有する。プローブガード取り付け機構には、対応するねじ穴及び突起穴を有する。
実施の形態1の自動分析装置では、プローブガードが取り外される場合や取り付けられる場合に、プローブガードの状態を2段階で検知する(後述の図6や図8)。プローブガードの状態として、ねじ(固定部)の状態と突起(挿入部)の状態とがある。自動分析装置は、第1機構として、ねじの緩み状態/締め状態を検知するセンサを含み、第2機構として、突起の挿入状態/非挿入状態に応じて切り替えられるスイッチを含む。センサは、コンピュータと接続されている。スイッチは、電源部と駆動部との間に接続されている。スイッチは、インターロック機構を構成する要素である。インターロック機構は、突起の非挿入状態の時に、分注動作に係わる装置一部分の駆動が不可になるように、駆動電力を遮断する機構である。
実施の形態1の自動分析装置では、プローブガードが取り外される場合、第1機構のねじの状態に係わる第1の検知に基づいて、ねじの緩み状態を検知した場合、コンピュータを通じて、分注動作を停止させ、操作者にアラームを出力する。その際、自動分析装置は、所定の遷移時間で、検体の分注動作を継続し、分析を完了させる。自動分析装置では、その後、第2機構の突起の状態に係わる第2の検知に基づいて、突起の非挿入状態を検知した場合、コンピュータを介さずに、即ちスイッチ等の回路を介して直接的に、分注動作に係わる駆動部への電力を遮断する。
[自動分析装置(1)]
図1は、実施の形態1の自動分析装置の全体の構成を示す。図1では、自動分析装置の主要な筐体を鉛直方向の上から見た場合の概略の平面図と、主要な構成要素の機能ブロック構成とを一緒に示している。なお、説明上の方向として、X方向、Y方向、Z方向を示す。X方向、Y方向は、水平面を構成する直交する2つの方向であり、Z方向は、鉛直方向である。図1では、X方向は、装置正面からみて横方向に対応し、Y方向は、装置の奥行き方向に対応し、Z方向は、装置の高さ方向に対応する。
実施の形態1の自動分析装置は、筐体において、検体容器設置機構としての検体ディスク1,2と、反応容器設置機構としての反応槽機構3と、試薬容器設置機構及び試薬保冷機構としての試薬ディスク4,5と、を備える。特に、2つの検体ディスク1,2と、2つの試薬ディスク4,5とを備える場合であるが、これに限らず可能である。この自動分析装置は、検体ディスク1,2と反応槽機構3との間の位置に、検体分注機構6を備える。検体分注機構6は、可動アーム31やプローブ32を備える(後述の図2等)。この自動分析装置は、試薬ディスク4,5と反応槽機構3との間の位置に、試薬分注機構としての試薬ピペッティング機構9,10と、撹拌機構34A,34Bとを備える。この自動分析装置は、反応槽機構3の付近に、光度計8及び光源35、反応容器洗浄機構7を備える。
この自動分析装置は、検体ディスク1上の一部の領域(後述の図5等)、即ち検体分注機構6のプローブ32がアクセスする領域に、プローブガード取り付け機構を介して、プローブガード24(後述の図3等)が取り付けられている。プローブガード24は、検体分注機構6のプローブ32の動作の際に、ユーザの手指等が接触しないようにアクセスを制限して防護する。
また、実施の形態1の自動分析装置は、上記筐体の各機構に対し、図示するように、制御系や信号処理系等の各機能のブロックが接続されている。自動分析装置は、制御基板100、コンピュータ16、入力装置30、プリンタ19、記憶媒体20、表示装置18、電源部110、インタフェース回路15、検体分注制御部11、試薬分注制御部13,14、洗浄水ポンプ12、及びLOG変換A/D変換器17等を備える。これらの各部は、バスやケーブルやLAN等で相互に接続されている。自動分析装置は、その他、モータ等の駆動部を備える。
制御基板100は、LSI基板等で構成され、自動分析装置の全体の動作を制御する。制御基板100は、インタフェース回路15、コンピュータ16、及び各機構の制御部を通じて、各機構を制御する。例えば、コンピュータ16は、制御基板100からの制御信号に基づいて、検体分注制御部11等の各部へ指令の信号を与える。例えば、検体分注制御部11は、コンピュータ16から指令の信号に従って、検体分注機構6等の機構の動作を駆動制御する。
なお、自動分析装置の制御の構成はこれに限らず可能である。例えば、制御基板100とコンピュータ16が一体の構成でもよい。検体分注制御部11等の機構毎の制御部は、それぞれLSI基板等で構成されてもよいし、複数の制御部を併合して1つのLSI基板等で構成されてもよい。
コンピュータ16は、PC等で構成され、CPU、ROM、RAM等を備え、ソフトウェアプログラム処理を行う。コンピュータ16は、制御基板100からの制御信号に基づいて、各機構の制御処理や、分析処理等の情報処理を行う。コンピュータ16は、反応容器21の光学測定の信号に基づいて、検体毎の分析項目に応じた分析処理を行い、分析結果情報を出力する。コンピュータ16は、入力装置30及び表示装置18の表示画面を通じて、ユーザによる入力操作を受け付ける。コンピュータ16は、表示装置18を通じてユーザに対するグラフィカルユーザインタフェースとなる表示画面を提供する。表示画面では、指示等の入力操作のためのボタン等の情報や、検体の情報や、分析に係わる設定情報や、分析結果情報等が表示される。また、コンピュータ16は、プリンタ19から分析結果情報等を印刷出力する。また、コンピュータ16は、内部のメモリや記憶媒体20に、各種の情報を格納する。記憶媒体20は、例えばハードディスクやメモリカード等で構成され、外部のサーバ等で構成されてもよい。自動分析装置に通信網を介して外部のサーバ等が接続されたシステムとしてもよい。コンピュータ16で扱う各種の情報としては、例えば、各表示画面情報、分析パラメータ(分析項目)、分析依頼内容情報、キャリブレーション結果情報、分析結果情報等を含む。
検体分注制御部11は、検体ディスク1,2、検体分注機構6、反応槽機構3等と接続されている。検体分注制御部11は、スイッチ44やセンサ26等を備える(後述の図2や図6等)。試薬分注制御部13は、試薬ディスク4、試薬ピペッティング機構9、反応槽機構3等と接続されている。試薬分注制御部14は、試薬ディスク5、試薬ピペッティング機構10、反応槽機構3等と接続されている。洗浄水ポンプ12は、反応容器洗浄機構7と接続されている。LOG変換A/D変換器17は、光度計8と接続されている。これらの各部は、インタフェース回路15を通じて制御基板100やコンピュータ16と接続されている。
検体ディスク1,2には、円周上に、複数の容器設置部22A(後述の図5)を有する。容器設置部22Aは、検体容器22を架設して設置可能な部分である。ユーザの作業によって、空いている各容器設置部22Aに検体容器22が設置可能である。試薬ディスク4,5には、円周上に、複数の容器設置部を有し、各容器設置部に試薬容器23が設置可能である。反応槽機構3は、ディスクの円周上に、複数の容器設置部を有し、各容器設置部に反応容器21が設置可能である。これらの各種のディスクは、回転駆動されることで、各容器設置部の位置が円周上で間欠的な回転及び静止を繰り返すように移動する。
検体容器22には、検体として血液や尿等の生体サンプルが格納されている。試薬容器23には、自動分析装置で分析され得る分析項目に対応する各種の試薬(試薬液)が格納されている。反応容器21には、分注動作のうちの吐出動作によって検体と試薬とが格納され、撹拌機構34A,34Bによって撹拌されて、混合液である反応液が生成される。反応容器21は、透光性材料から成り、所定の温度(例えば37度)に維持される。反応槽機構3内の流体は、恒温維持装置によって温度調整されている。
検体分注機構6は、検体の分注動作時に、可動アーム31が回転駆動されることで、プローブ32が円弧の軌道(図示する点線)で回転移動し、検体ディスク1,2上の分注位置(図5の分注位置P1)に位置付けられる。分注位置P1は、検体吸引位置であり、円周上の検体容器22から検体を吸引する位置である。プローブ32は、検体吸引位置で検体容器22から所定量の検体を吸引する。そのプローブ32は、回転移動によって、反応槽機構3のディスク上の分注位置(検体吐出位置、検体受け入れ位置ともいう)に位置付けられる。そのプローブ32は、検体吐出位置で、反応容器21内に検体を吐出する。
概略同様であるが、試薬の分注動作時には、試薬ピペッティング機構9,10の可動アームが回転駆動されることで、試薬プローブ(ピペットノズルともいう)が円弧の軌道(図示する点線)で回転移動し、試薬ディスク4,5上の分注位置(試薬吸引位置)に位置付けられる。その分注位置には、分析項目に応じた試薬容器23が移動されている。試薬プローブは、試薬吸引位置で、試薬容器23から所定量の試薬を吸引する。その試薬プローブは、回転移動によって、反応槽機構3のディスク上の分注位置(試薬吐出位置、試薬受け入れ位置ともいう)に位置付けられる。その試薬プローブは、試薬吐出位置で、反応容器21内に試薬を吐出する。
反応槽機構3のディスクと試薬ディスク4と試薬ピペッティング機構9とに近い所定の位置、本例では反応槽機構3のディスクの一部の位置に、撹拌機構34Aが配置されている。撹拌機構34Aは、分注によって反応容器21内に格納された検体と試薬との混合液を撹拌して反応を促進する。撹拌機構34Bについても同様である。撹拌後の反応容器21は、ディスク上で光源35と光度計8とで挟まれた測光位置を通るように回転移動させられる。
反応槽機構3のディスクの付近に配置されている光源35と光度計8は、光検出系(光学測定部)を構成する要素である。光源35は、例えばレーザ素子等で構成され、反応槽機構3のディスクの中心部付近に配置されている。光源35からの光が、測光位置の反応容器21に照射される。光度計8は、反応槽機構3のディスクの外周の外側で、ディスクの測光位置を介して光源35と対向する位置に配置されている。光度計8は、多波長光度計であり、光源35からの光に基づいて、反応容器21を通じた透過光または散乱光を検出する。各反応容器21は、反応槽機構3のディスク上の回転中に測光位置を通るタイミングで、光度計8によって光学測定が行われる。
光度計8は、LOG変換A/D変換器17と接続されている。光度計8によって検体(反応液)毎に検出及び測定された信号、例えば散乱光のアナログ信号が、LOG変換A/D変換器17に入力される。LOG変換A/D変換器17は、その信号に、LOG変換(対数変換)及びアナログ/デジタル変換等を行う。LOG変換では、光量に比例した数値に変換される。変換後の信号(測定信号)が、インタフェース回路15を通じてコンピュータ16に送信される。その信号は、例えばコンピュータ16のメモリまたは記憶媒体20に一旦記憶される。コンピュータ16では、その信号を用いて、検体毎の分析項目に応じた分析処理を行う。コンピュータ16は、例えば、その信号の変換後の数値を用いて、検量線に基づいて、濃度データを算出する。検量線は、検査項目毎に指定された分析法に基づいて予め測定されたものである。
コンピュータ16は、分析結果情報をメモリまたは記憶媒体20に格納し、ユーザに対して出力する。コンピュータ16は、分析結果情報を、表示装置18の表示画面に表示し、プリンタ19で印刷出力する。分析結果情報は、例えば各検査項目に対応する分析項目毎の成分濃度データを含む。操作者は、検体毎の分析結果を含む分析結果情報を確認できる。
反応容器洗浄機構7は、反応槽機構3のディスクの近傍に配置されている。光学測定で使用済みの反応容器21は、反応容器洗浄機構7によって内部が洗浄されることで、繰り返しの使用が可能となる。
[自動分析装置(2)]
図1の自動分析装置で、制御系や信号処理系について概要を説明する。自動分析装置は、分注動作を含む分析動作の際には、制御基板100からの制御に基づいて、コンピュータ16から、検体分注制御部11や試薬分注制御部13,14等の各部に、指令の信号を送信する。これにより、各部から、各機構の駆動制御を行わせる。即ち、検体ディスク1,2、試薬ディスク4,5、反応槽機構3のディスクの回転動作(即ち各容器の間欠回転動作)や、検体分注機構6や試薬ピペッティング9のプローブの移動動作を行わせる。これにより、検体の分注動作、及び試薬の分注動作が制御される。なお、分注動作とは、吸引動作及び吐出動作を含む。コンピュータ16は、分注動作と共に、反応槽機構3のディスクの回転動作、撹拌動作、光度計8による測光動作、洗浄動作等を制御する。自動分析装置は、規定のシーケンス制御に基づいて、各種の動作を制御する。自動分析装置は、複数の各々の検体の情報管理に基づいて、検体毎の分析動作を制御する。
分析動作についての概要は以下である。操作者は、分析の前に、予め、自動分析装置に、分析に必要な各種の情報を入力、設定する(後述の図7のステップS1)。なお、設定済みの場合には省略可能である。操作者は、コンピュータ16、入力装置30及び表示装置18等を用いて、設定や指示入力を行う。この際に、コンピュータ16は、表示装置18の表示画面に、操作機能画面等を表示する。この画面では、自動分析装置で利用可能な各機能に関する指示や設定等の入力操作を受け付ける。この画面では、例えば、各機能毎のボタンや、選択可能な項目のボタン等を含む。この画面は、複数の画面から構成されてもよい。操作者は、この画面で、検体の分析のために必要な情報を設定する。操作者は、例えば検体及び検体容器22毎の情報を登録する。また、操作者は、検体毎に、依頼されている検査項目に対応する分析項目を選択し、分析パラメータを入力する。分析項目は、自動分析装置で分析可能な複数の項目がある。
自動分析装置は、各ディスクの容器設置部毎に、容器の設置の有無やIDを把握する機構も備えている。この機構は、公知の光学読み取り装置や近距離無線通信装置を用いて実現できる。自動分析装置は、その機構を用いて、検体毎の状態を把握し、情報管理を行う。自動分析装置は、例えば、検体容器22毎に格納されている検体を、患者情報と関係付けて、検体ID(または容器ID)等で管理する。自動分析装置は、例えば、ディスク上の位置に対応する容器設置部毎に、容器の設置の有無を把握し、容器設置部のIDと、設置された容器のIDとを関係付けて登録する。自動分析装置に設定された情報は、内部のメモリや記憶媒体20に記憶され、保持される。
上記機構は、例えばRFIDシステム等を用いて実現できる。例えば、検体容器22には、格納された検体に関する情報等が記載されたラベルが、RFIDタグ等の方式で付与されている。例えば、検体ディスク1に設けられた読み取り装置は、各容器設置部に設置された検体容器22のラベルの情報を読み取る。この読み取りに基づいて、自動分析装置は、検体ディスク1の各容器設置部の位置の検体容器22の状態を把握する。
操作者は、表示画面で、検体毎の情報や分析結果情報を確認できる。また、操作者は、表示画面で、分析の進捗状況や、後述のアラーム情報等も確認できる。操作者は、表示画面で、分析の開始の指示を入力する。
自動分析装置は、操作者による設定及び指示に基づいて、分析動作を実行する。自動分析装置は、各検体の検体容器22毎に、指定された分析項目及び分析パラメータに対応する分析動作及び分析処理を制御する。この分析動作は、前述の検体の分注動作と、分析項目等に対応する試薬の分注動作と、光学測定動作と、コンピュータ16の分析処理とを含む。自動分析装置は、分析指示に基づいて、検体の分注動作や試薬の分注動作のための準備を行う(図7のステップS1)。検体の分注動作の準備としては、検体ディスク1,2の準備、及び検体分注機構6の準備を含む。この準備は、例えば、検体分注機構6のプローブ32を所定の位置に移動させること等を含む。
自動分析装置は、準備後、通常動作として、検体の分注動作等を実行する(図7のステップS3)。自動分析装置は、まず、検体の分注動作では、検体分注機構6のプローブ32が回転動作によって例えば検体ディスク1上の分注位置に位置付けられる。そのプローブ32が、下降し、対象の検体容器22内から検体を吸引し、上昇する。そのプローブ32が、回転動作によって反応槽機構3のディスクの検体吐出位置に位置付けられる。そのプローブ32が、下降し、対象の反応容器21内に検体を吐出し、上昇する。その反応容器21は、回転移動によって、試薬受け入れ位置に停止する。試薬の分注動作では、例えば試薬ピペッティング機構9のプローブが回転動作によって試薬ディスク4の分注位置に位置付けられる。そのプローブが、下降し、対象の試薬容器23から、試薬を吸引し、上昇する。そのプローブが、回転動作によって、反応槽機構3のディスクの試薬受け入れ位置に位置付けられる。そのプローブが、下降し、反応容器21内に試薬を吐出し、上昇する。
なお、上記では、検体と試薬の分注順序を、検体が先としたが、これに限らず、試薬が先としてもよい。その後、その反応容器21は、撹拌機構34A,34Bによって撹拌されて反応液が生成される。その反応容器21の反応液は、測光位置を通るタイミングで、光度計8によって測定される。その後、前述のように、コンピュータ16で測定信号に基づいて分析処理が行われ、分析結果情報が出力される。
[ハードウェア]
図2を用いて、自動分析装置のハードウェアの外観や機構について説明する。図2は、自動分析装置の一部分として、検体分注機構6側から検体ディスク1、プローブガード24、及び検体分注機構6等を見た場合の斜視図を示す。図示のように、検体ディスク1の円周部の一部の付近には、プローブガード取り付け機構28が設けられている。プローブガード24は、プローブガード取り付け機構28に取り付けられている。プローブガード24は、プローブガード取り付け機構28の上に支持され、ねじ25等で固定されることで、検体ディスク1の所定の位置に固定されている。プローブガード24は、検体ディスク1の上面の一部の領域を覆い隠している。
検体分注機構6は、可動アーム31、プローブ32、回転軸33等を有する。検体分注機構6には、モータ39等の駆動部が接続されている。モータ39は、可動アーム駆動用モータや検体ディスク駆動用モータ等を含む。回転軸33はZ方向に延在しており、下方にはモータ39が設けられている。回転軸33の上端には、水平方向に延在する可動アーム31の一方端が接続されている。可動アーム31の他方端には、Z方向の下方に延在するプローブ32が接続されている。プローブ32は、検体の吸引及び吐出を行うための検体ノズルである。可動アーム31は、モータ39からの駆動に基づいて、回転軸33に対してZ方向の上下に移動し、回転軸33を中心に回転する。可動アーム31の移動に伴ってプローブ32が移動する。プローブ32の軌道を破線の矢印で示す。プローブ32はプローブガード24には接触しない。
検体分注制御部11は、モータ39等の駆動によって、検体分注機構6の可動アーム31及びプローブ32の回転や上下移動を制御し、プローブ32の吸引や吐出のタイミングや圧力等を制御する。
プローブ32の軌道の付近は、プローブガード24のガード領域(図3の切り欠き部24B)となっており、そのガード領域の周囲に、ガード壁27(図3のガード壁27A,27B)が設けられている。図示するプローブガード24のガード壁27の左には、ねじ25等が設けられている。ねじ25は、プローブガード固定用ねじであり、プローブガード24をプローブガード取り付け機構28に対して固定するための部品である。ねじ25の左右には突起45(図4等)がある。図示の状態では突起45はプローブガード取り付け機構28に挿入されているため見えていない。突起45は、プローブガード位置決め及び挿入用の突起(言い換えると挿入棒)であり、プローブガード24をプローブガード取り付け機構28に取り付ける際に位置決め及び挿入するための部品である。
プローブガード取り付け機構28において、ねじ25の下方には、センサ26や遮蔽板42等を含むねじ状態検知機構の実装部分(後述の図9等)が設けられている。プローブガード取り付け機構28において、突起45の下方には、インターロック機構29やスイッチ44等の実装部分が設けられている(後述の図11等)。
センサ26は、ねじ状態検知センサである。センサ26は、遮蔽板42と共に作用し、ねじ25の状態を検知する。遮蔽板42は、ねじ25の状態に応じて動き、これにより、センサ26の状態が切り替えられる。インターロック機構29は、突起45の状態に応じて、モータ39等の駆動部への電力供給を制御する機構であり、スイッチ44を含む。スイッチ44は、突起45の状態に応じてオン状態とオフ状態とが切り替えられる。
[プローブガード]
図3,図4を用いて、プローブガード24の構成について説明する。図3は、プローブガード24をZ方向の真上から見たX−Y平面での上面図を示す。図4は、図3に対応する斜視図を示す。プローブガード24は、プローブ32の動作の際に、操作者の身体とプローブ32等との接触による怪我や感染等のリスクを低くするように、プローブ32の軌道を含むガード領域を防護する。プローブガード24の材質は、樹脂でもよいし、金属でもよい。プローブガード24は、水平面のX方向及びY方向で、検体ディスク1の一部の領域のプローブ32の軌道を含む領域に操作者の手指等がアクセスできないように覆い隠している。また、プローブガード24は、Z方向で、検体ディスク1の一部の領域の検体容器22及び分注位置までの領域に操作者の手指等がアクセスできないように覆い隠している。
図3及び図4で、プローブガード24は、主要な平板部24Aに、ガード壁27や切り欠き部24B等が形成されている。平板部24Aは、検体ディスク1の一部の領域に対応する形状を有する。また、プローブガード24は、検体ディスク1の外周に対応する一辺に、ねじ25、及び2個1組の突起45(45A,45B)が設けられている。プローブガード取り付け機構28側には、ねじ25に対応するねじ穴51(図9,図12等)が設けられている。また、プローブガード取り付け機構28側には、突起45に対応する突起穴52(図11等)が設けられている。なお、一方の突起45Aの下方にインターロック機構29を設けているが、これに限らず可能である。
プローブ32の軌道を含む領域に、切り欠き部24Bが設けられており、ガード領域と対応している。切り欠き部24B、ガード領域の周囲の一部に、ガード壁27(27A,27B)が設けられている。ガード壁27は、検体分注機構6のプローブ32等への手指等のアクセスを遮るための構造物である。ガード壁27は、Z方向に立つ壁状部材を含み、プローブ32の軌道に概略平行なガード壁27Aと、プローブ32の軌道に概略垂直なガード壁27Bとを含む。操作者の基準位置(装置正面)と、プローブ32との間に、ガード領域へのアクセスを遮るように、ガード壁27が配置されている。ガード壁27の形状は一例であり、ガード領域をガードできる形状であればよい。
検体分注機構6の動作の際に、プローブ32の先端部は、破線の矢印で示す円弧軌道で回転移動しながら、ガード壁27の近くの切り欠き部24B内を通過し、分注位置(図5の分注位置P1)に位置付けられる。更に、プローブ32の先端部は、切り欠き部24Bを通過するようにZ方向の下に移動し、分注位置にある検体容器22にアクセスする。これにより、プローブ32による検体の吸引が可能である。
[検体ディスク及びプローブガード]
図5は、検体ディスク1の上面(X−Y平面)の一部に対するプローブガード24等の配置例を概略的に示す。本例では、検体ディスク1は、二重の円周部として、外周部1Aと内周部1Bとを有し、それぞれ、円周方向に複数の容器設置部22Aが設けられている。容器設置部22Aを丸で示し、検体容器22の設置の有無の例を示す。各容器設置部22Aには、操作者が検体容器22を挿入して架設するようにして設置可能となっている。なお、図5では、形状等を単純化し、容器設置部22Aを少数として図示しているが、実際には図2のように多数を設けることができる。検体容器22の形状は、円形断面に限らず可能である。
本例では、検体ディスク1の外周部1Aのうち、操作者の基準位置(装置正面)から見て、図示の右上の四分の一の円弧部分に対して覆い被さるようにプローブガード24が配置されている。なお、このようなプローブガード24の形状や配置例に限らず適用可能である。また、他の検体ディスク2や、試薬ディスク4,5についても、同様にプローブガードを適用した形態が可能である。
外周部1Aのうちの一箇所に分注位置P1を有する。分注位置P1は、プローブ32が位置付けられる検体吸引位置である。検体ディスク1の間欠回転駆動によって、各容器設置部22Aの位置(絶対位置)が、円周方向に間欠回転移動する。
操作者は、適宜、検体ディスク1の各々の容器設置部22Aに検体容器22を設置する作業が可能である。特に、プローブガード24で覆い隠されている領域の容器設置部22Aに検体容器22を設置したい場合、操作者は、プローブガード24を取り外す。
[機構及び回路]
図6は、実施の形態1の自動分析装置における特徴に係わる機構及び回路等のブロック構成を示す。図6では、プローブガード24の状態に応じた分注動作の制御を実現するための機構及び回路を示す。図6では、主に、検体ディスク1、プローブガード24、及び検体分注機構6と、それらに対して接続される検体分注制御部11と、電源部110と、制御基板100、コンピュータ16、及び表示装置18とを示す。検体分注制御部11及び電源部110等において、大別して、第1機構201、第2機構202を有する。検体分注制御部11は、モータ39、スイッチ44、パルスモータ駆動回路36、センサ26、波形整形回路37、入力制御回路41を有する。電源部110は、各部に直流(DC)電力を供給するDC電源40と、DCヒューズ38とを含む。DC電源40は例えばDC24VのDC電力を供給する。
第1機構201は、プローブガード24の状態に関する第1の検知及びそれに対応した制御を行う機構であり、ねじ状態検知機構60を含む。第1機構201では、センサ26を含むねじ状態検知機構60に、波形整形回路37、入力制御回路41が接続されている。入力制御回路41には、図示を省略するインタフェース回路15を介して、制御基板100、コンピュータ16が接続されている。
ねじ状態検知機構60は、プローブガード24のねじ25の状態を、センサ26及び遮蔽板42(図9)を用いて検知する。ねじ状態検知機構60は、ねじ25の状態として、締め状態と緩み状態との少なくとも2つの状態を区別して検出する。センサ26は、ねじ25の締め状態/緩み状態を表す検知信号を出力する。ねじ25がねじ穴51に対して正しく締められている状態を締め状態と定義し、ねじ25がある程度以上緩んでいる状態を緩み状態とする。検知信号は、波形整形回路37で整形された後、入力制御回路41を通じて、コンピュータ16へ伝達される。
コンピュータ16は、ねじ25の状態に応じて、分注動作に係わる装置一部分の動作停止制御、及びアラーム出力を行う。コンピュータ16は、センサ26からねじ25の緩み状態を表す検知信号を受けた時には、分注動作に係わる検体ディスク1や検体分注機構6等の動作を停止状態へ遷移させる制御を実行する。また、それと同時に、コンピュータ16は、操作者に対して、ねじ25の緩み状態、即ちプローブガード24の非取り付け状態を伝えるためのアラームを出力する。例えば、表示装置18の表示画面にアラーム情報が表示され、アラーム音声が出力される。
第2機構202は、プローブガード24の状態に関する第2の検知及びそれに対応する制御を行う機構であり、インターロック機構29を含む。第2機構202は、インターロック機構29等を用いて、突起45の状態に応じて、分注動作に係わるモータ39等の駆動部に対する電力の供給/遮断の状態を制御する機構である。第2機構202は、突起45の非挿入状態の時には、コンピュータ16を介さずに直接的に、モータ39への電力を遮断し、これにより、検体分注機構6等の駆動を不可の状態にする。
第2機構202では、モータ39に対し、スイッチ44を介してパルスモータ駆動回路36が接続されている。パルスモータ駆動回路36には、電源部110のDCヒューズ38及びDC電源40が接続されている。インターロック機構29は、スイッチ44、板43等を含む(図11等)。インターロック機構29は、突起45の状態に応じて、スイッチ44のオン状態とオフ状態とが切り替えられる。突起45の状態として、少なくとも、挿入状態と非挿入状態との2つが区別される。挿入状態は、突起45が突起穴52に正しく挿入された状態と定義する。非挿入状態は、挿入状態以外の状態であり、突起45が突起穴52に挿入される前の状態や、挿入されきっていない状態である。
DC電源40からのDC電力がパルスモータ駆動回路36に供給される。DC電力に基づいて、パルスモータ駆動回路36から駆動電力が出力され、その駆動電力によってモータ39が駆動される。パルスモータ駆動回路36とモータ39との間の電力ライン上に、スイッチ44が設けられている。スイッチ44がオン状態である場合には、回路の閉状態であり、モータ39に駆動電力が供給され通電状態になる。スイッチ44がオフ状態である場合には、回路の開状態であり、モータ39への駆動電力が遮断状態になる。モータ39の通電状態では、モータ39の励磁がかかり、モータ39から検体分注機構6の可動アーム31等に対する駆動が可能である。これにより、可動アーム31やプローブ32等が動作可能である。同様に、モータ39から検体ディスク1等が駆動されて動作可能である。また、モータ39に対し、パルスモータ駆動回路36を介して、入力制御回路41が接続されており、モータ39に対する制御用の入出力(IO)が可能となっている。
通常時には、プローブガード24が取り付け状態で、分注動作を含む分析動作が行われている。その状態から、操作者が検体容器22の追加設置作業等のために、プローブガード24を取り外す場合がある。プローブガード24が取り外される場合、以下のように、2段階の検知に基づいて2段階の制御が行われる。まず、第1機構201を用いて、第1の検知として、ねじ25の緩み状態が検知される(図8の時点t1)。その時には、第1機構201のセンサ26からコンピュータ16に通知され、コンピュータ16から分注動作停止制御及びアラーム出力が行われる。コンピュータ16は、検体分注制御部11に分注動作停止状態(サンプリングストップ)へ遷移するように指令の信号を送信する。検体分注制御部11は、コンピュータ16からの指令の信号に従って、分注動作を停止させる。同時に、コンピュータ16は、操作者に対してプローブガード24が非取り付け状態である旨のアラームを出力し、注意喚起やガイドを行う。
次に、第2機構202を用いて、第2の検知として、突起45の非挿入状態が検知される(図8の時点t2)。その時には、スイッチ44がオフ状態になるため、インターロック機構29が働いてオン状態になる。この状態では、パルスモータ駆動回路36とモータ39との間の電力ラインを含む回路が開状態となり、モータ39への駆動電力が遮断される。これにより、モータ39の励磁が切れ、モータ39からの検体分注機構6や検体ディスク1等の駆動が不可の状態になる。
自動分析装置は、プローブガード24の非取り付け状態になった場合には、装置全体の分析動作を停止させるのではなく、分注動作に係わる装置一部分の動作を停止させる。第1の検知によって装置状態を停止状態へ遷移させ、その後、第2の検知によって駆動を停止させる。停止させる分注動作は、操作者による容器の作業と干渉する動作である。分注動作を停止させることで、操作者による容器の作業がしやすくなる。
実施の形態1の自動分析装置は、上記のような機構及び回路の工夫を有する。これにより、通常時にはプローブガード24によって安全性等を確保する。それと共に、操作者によってプローブガード24を取り外した状態で、検体容器22の追加設置等の作業も可能とする。プローブガード24が取り外された場合には、第1機構201及び第2機構202を用いた2段階の検知に基づいて、分注動作の停止が制御される。これにより、確実な動作停止が実現される。また、取り外しの際には、分注動作が停止され、他の部分の動作は継続される。取り外しの際に分析途中であった検体、例えばねじ25が緩められた時の直前にプローブ32によって分注位置の検体容器22から吸引された検体については、分析完了まで動作(吸引、吐出、光学測定等)が継続される。そのため、その検体が損なわれず、分析データが失われず、分析結果情報が得られる。即ち、全体的に分析効率が高い自動分析装置を提供できる。
なお、コンピュータ16による分注動作停止制御及びアラーム出力の2つの制御は、ほぼ同時に、厳密にはごく短時間で順次に行われる。また、この制御を制御基板100によって実行する形態としてもよい。検知や制御の際の経路は、図6に限らず可能である。
[フロー]
図7は、実施の形態1の自動分析装置で、分注動作に係わる部分を含む全体での動作や処理、及び操作者の作業を含むフローを示す。図7は、ステップS0〜S9を有する。以下、ステップの順に説明する。
(S0) 前述のように、予め、操作者は、自動分析装置に、検体の情報を登録し、分析項目の設定等を行う。操作者は、設定済みの状態で、自動分析装置に、分析指示を入力する。
(S1) 自動分析装置は、分析指示に基づいて、検体や試薬の分注動作の準備を行う。即ち、分注動作に係わる検体ディスク1,2、検体分注機構6、反応槽機構3等の部分の準備動作が行われる。準備動作として、例えばモータ39が通電状態とされ励磁がかかった状態にされる。
また、S1では、操作者による準備の作業が行われる。操作者は、検体ディスク1,2の空いている箇所の容器設置部22Aに、検体容器22を設置し、配置確認を行う。自動分析装置は、検体ディスク1上に設置された検体容器22を把握し、前述のように、検体、検体容器22、位置等を関係付けて情報を登録する。
また、S1の際に、プローブガード24は、取り付け状態か非取り付け状態のいずれかである。通常時には、予め、プローブガード24がプローブガード取り付け機構28に対して取り付け状態である。取り付け状態では、ねじ25が締め状態であり、突起45が挿入状態である。一方、操作者が任意の時点でプローブガード24を取り外して、検体ディスク1に検体容器22を追加する作業を行う場合がある。その場合、プローブガード24がプローブガード取り付け機構28に対して非取り付け状態である。非取り付け状態では、少なくともねじ25が緩み状態であり、突起45が挿入状態または非挿入状態である。
(S2) 次に、S2では、図6の第1機構201を用いて、プローブガード24のねじ25の状態が検知される。センサ26は、ねじ25の締め状態/緩み状態を検知する。コンピュータ16は、センサ26からの検知信号に基づいて、ねじ25が正しく締まっている締め状態であるか、そうではない緩み状態であるかを判断する。言い換えると、S2では、プローブガード24が取り付け状態か非取り付け状態かが確認される。コンピュータ26は、図8にも示すが、検知信号が値0のオフ状態である場合には、ねじ25の締め状態と認識し、値1のオン状態である場合には、ねじ25の緩み状態と認識する。ねじ25が締め状態(取り付け状態)と判断された場合にはS3へ進み、ねじ25が緩み状態(非取り付け状態)と判断された場合にはS4へ進む。
(S3) S3では、コンピュータ16は、前述のように、通常動作として各部を制御して分注動作を含む分析動作を行わせる。即ち、検体の分注動作や試薬の分注動作、測光動作、分析処理、分析結果情報出力等が行われる。
(S4) 一方、S4では、図6の第1機構201を用いて、コンピュータ16は、分注動作に係わる装置一部分の動作停止制御を実行する。コンピュータ16は、自動分析装置の状態を、分注動作停止へと遷移させるように、検体分注制御部11へ指令の信号を送信する。検体分注制御部11は、指令の信号に従って、検体分注機構6や検体ディスク1等の動作を停止させる。これにより、検体ディスク1等の回転が停止し、プローブ32等の移動が停止する。図8のように、期間T1内において、所定の遷移時間Tsで、分注動作が実行状態から停止状態へと遷移する。
(S5) 続いて、S5で、コンピュータ16は、ねじ25が緩んでいる状態、即ちプローブガード24が正しく取り付けられていない状態をユーザに伝えるためのアラームを出力する。コンピュータ16は、表示装置18の表示画面にアラーム情報を表示し、アラーム音声を出力する。アラーム情報の例として、表示画面に「プローブガードのねじが緩んでいます。締めてください。」等とメッセージが表示される。アラームは、表示や音声の一方でもよし、他の手段を用いてもよい。S4とS5は、殆ど同時に実行される。
(S6) S6で、コンピュータ16は、操作者による作業や入力操作のために待機する。操作者は、S5のアラームによって、ねじ25の緩み状態、即ちプローブガード24の非取り付け状態を認識できる。操作者は、目的や必要に応じて、ねじ25を締めて、プローブガード24を取り付け状態にする。通常、操作者は、S5のアラームに基づいて、プローブガード24を正しい取り付け状態にするために、突起45を挿入状態で、ねじ25を締める作業を行う。あるいは、操作者は、非取り付け状態で、検体容器22の追加設置作業等を行うこともできる。その場合、操作者は、作業後に、突起45を挿入状態にして、ねじ25を締めることで、プローブガード24を取り付け状態にする。
(S7) S7では、図6の第2機構202を用いて、プローブガード24の突起45の状態に応じた電力遮断制御が、コンピュータ16を介さずに自動的に行われる。即ち、突起45が非挿入状態である場合には、スイッチ44がオフ状態で、インターロック機構29がオン状態であり、モータ39への駆動電力が遮断され、分注動作に係わる駆動が停止される。突起45が挿入状態である場合には、スイッチ44がオン状態で、インターロック機構29がオフ状態であり、モータ39への駆動電力が供給され、分注動作に係わる駆動が可能な状態になる。
(S8) S8で、コンピュータ16は、センサ26からの検知信号に基づいて、ねじ25が緩み状態から締め状態(即ち取り付け状態)に変わったかどうかを確認する。ねじ25の締め状態に変わった場合にはS9へ進む。
(S9) S9で、コンピュータ16は、S5のアラーム出力を解除(停止)し、分析動作の再開のために、S1に戻る。S1から同様に繰り返しである。このフローでは、操作者がねじ25を締めることで自動的にアラーム出力が解除され、動作が再開される。
なお、変形例として、S6の際に、コンピュータ16は、表示画面に、例えばアラーム解除ボタンを表示してもよい。専用のハードウェアボタンを用いてもよい。操作者は、アラーム解除ボタンを押すことで、アラーム出力を解除(停止)させることができる。その場合、コンピュータ16は、ねじ25が締め状態になるまで待機する。
また、変形例として、S9でアラーム出力を解除した後に、コンピュータ16は、表示画面に、動作再開のためのリセットボタンを表示してもよい。操作者は、動作を再開させる場合に、そのリセットボタンを押す。コンピュータ16は、そのリセットボタンが押されたら、S1に戻って動作を再開させる。
[タイミング図]
図8は、実施の形態1の自動分析装置の特徴に係わる部分のタイミング図を示す。図8では、横軸を時間として、縦方向に示す各機構や回路の状態の変化を示す。縦方向では、上から順に、プローブガード24、突起45、スイッチ44、インターロック機構29、モータ39、ねじ25、センサ26、分注動作、及び後述のプローブガードロック機構80の各状態を示す。なお、プローブガードロック機構80については、実施の形態2で用いる。図8では、状態遷移の例として、プローブガード24の取り付け状態から非取り付け状態への変化に対応して、通常動作状態から動作停止状態に変化し、更に、プローブガード24の非取り付け状態から取り付け状態への変化に対応して、動作停止状態から通常動作状態に変化する場合を示す。
操作者によるプローブガード24の取り外しの作業の際には、必然的に、ねじ25を緩めてから、突起45を引き抜くことになる。そのため、時間的な順序として、先に第1機構201を用いた第1の検知が行われ、その後に、第2機構202を用いた第2の検知が行われる。逆に、操作者によるプローブガード24の取り付けの作業の際には、必然的に、突起45を挿入してから、ねじ25を締めることになる。そのため、時間的な順序として、先に第2機構202を用いた第2の検知が行われ、その後に、第1機構201を用いた第1の検知が行われる。
全体的なシーケンスとしては以下である。まず最初、時点t1までは、通常状態であり、プローブガード24の取り付け状態であり、ねじ25の締め状態かつ突起45の挿入状態である。この状態で分注動作を含む分析動作が実行中である。この状態から、例えば操作者が緊急検体の追加設置作業を行いたい場合、操作者がプローブガード24を取り外す。その際に、操作者は、時点t1でねじ25を緩め、時点t2で突起45を引き抜く。
時点t1では、ねじ25が緩められたことで、ねじ25が締め状態から緩み状態に変わる。第1機構201のねじ状態検知機構60のセンサ26は、ねじ25の緩み状態をオン状態(値1)として検知する。緩み状態を表す検知信号がコンピュータ16へ伝達される。コンピュータ16は、その検知信号に基づいて、前述のように分注動作停止制御及びアラーム出力を実行する。コンピュータ16は、分注動作を停止させるように検体分注制御部11へ指令の信号を送信する。検体分注制御部11は、指令の信号に従って、検体分注機構6や検体ディスク1の動作を停止させる。
次に、時点t2では、操作者がプローブガード24を持ち上げて突起45が突起穴52から引き抜かれることで、突起45が挿入状態から非挿入状態に変わる。第2機構202のスイッチ44は、この非挿入状態に応じてオン状態からオフ状態に切り替えられる。スイッチ44のオフ状態によって、インターロック機構29がオフ状態からオン状態に変わる。この状態では、モータ39への駆動電力が遮断され、モータ39の励磁が切れる。これにより、検体分注機構6や検体ディスク1への駆動が停止し、駆動不可状態になる。
実施の形態1の自動分析装置では、このように、制御上、2段階の検知によって、時点t1から時点t2までの動作タイムラグ(時間差)の期間T1を設けている。操作者がねじ25を緩めてから突起45を引き抜く作業には、ある程度の時間がかかるため、期間T1が存在する。期間T1内には、所定の遷移時間Tsを含む。遷移時間Tsは、装置状態が分注動作の実行状態から停止状態まで遷移するために要する時間である。本例では、遷移時間Tsは、時点t1から時点t5までであり、期間T1よりも短い。遷移時間Ts内において、時点t1で分析途中であった検体についても分析完了にされる。
時点t2以後、自動分析装置は、動作停止状態であり、プローブガード24が非取り付け状態であり、アラームが出力されている。この動作停止状態で、操作者は、アラームを確認し、プローブガード24を正しく取り付けた状態にするか、あるいは、検体容器22の追加設置作業等を行ってからプローブガード24を取り付け状態にする。例えば、操作者は、検体ディスク1上でプローブガード24が取り外された領域の空いている箇所の容器設置部22Aに、緊急検体の検体容器22を追加設置する。操作者は、その作業の後、プローブガード24を再び所定の位置へ取り付ける。この際、まず、時点t3で突起45が突起穴52に挿入され、その後に、時点t4でねじ25が締められる。
時点t3では、突起45が非挿入状態から挿入状態に変わる。これに伴い、第2機構202のスイッチ44がオフ状態からオン状態に切り替えられる。スイッチ44のオン状態に応じて、インターロック機構29がオフ状態に変わる。これにより、モータ39への駆動電力の供給が再開されて通電状態になり、モータ39に励磁がかかった状態になる。これにより、検体分注機構6や検体ディスク1が駆動可能な状態になる。
次に、時点t4では、ねじ25が緩み状態から締め状態に変わる。即ち、プローブガード24が取り付け状態に変わる。第1機構201のセンサ26は、ねじ25の締め状態をオフ状態(値0)として検知する。その締め状態を表す検知信号がコンピュータ16に伝達される。コンピュータ16は、その検知信号に応じて、分注動作を再開させる。コンピュータ16は、分注動作を再開させるように、検体分注制御部11に指令の信号を送信する。検体分注制御部11は、その指令の信号に従って、分注動作を再開させる。
このように、時点t3から時点t4までに、動作タイムラグの期間T2が設けられている。操作者が突起45を挿入してからねじ25を締める作業には、ある程度の時間がかかるため、期間T2が存在する。時点t4以後に、所定の再開時間(リセット時間)Trを有する。その再開時間Trにおいて、装置状態が動作停止状態から再開状態へ遷移する。
比較例の自動分析装置では、プローブガードの取り外しの検知に応じて、装置全体の動作を緊急停止させる制御を行う。しかし、この場合、確実に停止できない場合や、エラーとなる場合がある。これに対し、実施の形態1の自動分析装置は、プローブガード24の取り外しの際、2段階の検知及び制御に応じて、緊急停止やエラーにさせること無く、確実に分注動作を停止させる。
[第1機構]
図9,図10を用いて、第1機構201に関する、プローブガード24のねじ25の状態を検知するねじ状態検知機構60の詳細について説明する。
図9は、プローブガード24、プローブガード取り付け機構28、及びねじ状態検知機構60等をほぼ側面からみた斜視図を示す。図9の状態では、プローブガード24のねじ25が締め状態(即ちプローブガード24の取り付け状態)であり、遮光板42が非遮光状態であり、センサ26の受光部が投光されていてオフ状態である。
ねじ25は、プローブガード取り付け機構28の破線で示すねじ穴51に対して締められている。プローブガード取り付け機構28において、突起45A(図9ではみえていない)の下方には、インターロック機構29の平板部29Aが固定されており、ねじ25の下方には、インターロック機構29の平板部29Bが固定されている。平板部29Aは概略的にX−Z平面に配置され、平板部29Bは概略的にY−Z平面に配置されている。平板部29Bの裏側(検体ディスク1に対しては外側)に、センサ26や遮光板42等が設けられている。平板部29Bの下側の一箇所に、センサ26が固定されている。センサ26は、発光部と受光部(検知部)とを持つ一般的な光センサである。センサ26は、発光部(図9の状態では遮光板42に隠れて見えていない)からの光が受光部に投光されている状態と、遮光板42によってその光が遮光されている状態とが区別して検出される。投光状態をオフ状態、遮光状態をオン状態と定義する。
平板部29Bにおいて、ねじ25及びねじ穴51の下側に、遮光板42が可動に接続されている。遮光板42は、例えば図示する折れ曲がり形状を有し、回転軸となる部分(回転軸部)と、その回転軸部からセンサ26の方に延在している部分(遮蔽部)とを有する。遮光板42の回転軸部は、ねじ25の状態に応じて、接触し、回転する。これにより、遮光板42が姿勢を変える。遮光板42の遮蔽部の先端は、遮光板42の回転状態に応じて、センサ26の受光部を遮光する位置に来る。
図9のねじ25の締め状態では、ねじ25の下端が、遮光板42の回転軸部を押すことで、遮光板42が回動し、図示する斜めの状態になっている。この状態では、遮光板42の遮蔽部の下端が、センサ26の発光部及び受光部から離れた位置に来ている。センサ26は、発光部からの光を受光部で受ける投光状態である。センサ26は、この投光状態をオフ状態として検知し、検知信号を出力する。
図10は、同様の斜視図で、プローブガード24のねじ25が緩み状態(即ちプローブガード24の非取り付け状態)であり、遮光板42が遮光状態であり、センサ26がオン状態である場合を示す。図10のねじ25の緩み状態では、ねじ25の下端が、遮光板42の回転軸部を押していないことで、遮光板42が図示する直立の状態になっている。これにより、遮光板42の遮蔽部の下端が、センサ26の発光部と受光部との間の位置に来ている。センサ26は、発光部から受光部への光が遮光されている状態である。センサ26は、この遮光状態をオン状態として検知し、検知信号を出力する。
上記のように、センサ26は、遮光板42の遮光/非遮光の状態に応じて、ねじ25の緩み状態(開状態)/締め状態(閉状態)を検知する。図9の締め状態からねじ25が緩められる場合、矢印で示す方向に遮蔽板42が動き、図10の緩み状態になり、センサ26がオン状態に変わる。図10の緩み状態からねじ25が締められる場合、矢印で示す方向に遮蔽板42が動き、図9の締め状態になり、センサ26がオフ状態に変わる。
[第2機構]
図11〜図14を用いて、第2機構202に関する、プローブガード24の突起45の状態を検知して駆動電力を制御するインターロック機構29等について説明する。
図11は、プローブガード24、プローブガード取り付け機構28、及びインターロック機構29等をY方向から見たX−Z平面での側面図を示す。図11の状態では、プローブガード24が非取り付け状態であり、突起45がプローブガード取り付け機構28の突起穴52に対して非挿入状態である。図12は、図11に対応する斜視図を示す。特に、操作者が上方からプローブガード24を取り付ける際に、突起45を突起穴52に挿入する際の状態を示している。
プローブガード取り付け機構28は、主要な平板部28Aを有する。平板部28Aは、水平面(X−Y平面)に配置されており、突起45を挿入させるための突起穴52が設けられている。突起穴52は、突起45の形状(例えば円形断面)に対応した溝を持つ。突起穴52は、平板部28Aから下に所定の長さまで出ている。突起45の長さは、突起穴52の長さよりも大きい。
平板部28Aの下側に、インターロック機構29を構成する平板部29Aが固定されている。平板部29Aにおいて、突起穴52の近くに、板43が接続されている。板43は、矢印で示すように、回転軸となる接続部の周りに回転可能となっている。板43は、スイッチ44と組で作用し、突起状態検知機構70を構成している。
図11及び図12の突起45の非挿入状態では、突起45の下端が図示する位置にあり、板43とは接触していない。板43の回転移動する先端は、スイッチ44に接しているだけであり、板43によってスイッチ44が押されておらずオフ状態である。
スイッチ44は、インターロック機構29の状態を切り替えるための物理的なスイッチである。スイッチ44は、板43によって押されていないオフ状態と、板43によって押されているオン状態とで切り替えられる。図11では、スイッチ44がオフ状態であるため、インターロック機構29が働いてオン状態である。
図13は、同様の側面図で、プローブガード24が取り付け状態であり、突起45がプローブガード取り付け機構28の突起穴52に対して挿入状態である場合を示す。図14は、図13に対応する斜視図を示す。図13及び図14の突起45の挿入状態では、突起45の下端が図示する位置にあり、板43と接触し、突起45の下端が板43を下へ押している。これにより、板43の先端がスイッチ44の方へ回転移動しており、板43によってスイッチ44が押されていてオン状態である。図13では、スイッチ44がオン状態であるため、インターロック機構29が働かずにオフ状態である。
上記のように、スイッチ44及びインターロック機構29は、突起45の挿入状態/非挿入状態に応じて切り替えられる。図13の挿入状態から突起45が上方に引き抜かれる場合、矢印で示す方向に板43が動き、図11の非挿入状態になり、スイッチ44がオフ状態、インターロック機構29がオン状態に変わる。図11の非挿入状態から突起45が下方に挿入される場合、矢印で示す方向に板43が動き、図13の挿入状態になり、スイッチ44がオン状態、インターロック機構29がオフ状態に変わる。
なお、第2機構202に関する変形例としては、板43を省略して、突起45が直接的にスイッチ44を押す機構としてもよい。
[効果等]
上記のように、実施の形態1の自動分析装置によれば、プローブガード24を備える場合に、操作者の安全性確保と共に、検体容器22の作業に関する利便性や容易性を実現でき、全体的な分析効率を高めることができる。通常の分注動作時には、プローブガード24によって、操作者の手指とプローブ32とが接触しないように防護される。操作者がプローブガード24を取り外した場合には、2段階の検知に基づいて、分注動作が確実に停止される。その停止状態で、緊急検体等の容器の追加設置作業等が可能であり、操作者による容器の作業に係わる利便性や容易性が高い。また、2段階の検知に基づいて、装置一部分を停止させるので、分析途中であった検体についても損なわれず、全体的な分析効率が良い自動分析装置を提供できる。
実施の形態1の自動分析装置では、操作者がプローブガード24を取り外そうとしている場合に、第1の検知としてねじ25の状態を検知し、第2の検知として突起45の状態を検知する。実施の形態1の自動分析装置では、第1の検知に基づいてコンピュータ16による制御を行い、第2の検知に基づいて直接的に駆動電力の制御を行う。2段階の検知に対応する動作タイムラグの期間で、分注動作停止制御がスムーズに行われる。第2機構202が電力遮断によって駆動を停止させる前に、第1機構201によって操作者がプローブガード24を取り外そうとしていることを認識できる。
プローブガード24の固定手段としては、ねじ25及びねじ穴51に限らずに適用可能である。その固定手段に対応したセンサ等が実装される。また、プローブガード24の挿入手段としては、突起45及び突起穴52に限らずに適用可能である。その挿入手段に対応したスイッチ等が実装される。
(実施の形態2)
図15〜図17及び図8を用いて、本発明の実施の形態2の自動分析装置について説明する。実施の形態2の自動分析装置の基本的な構成は実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態2の自動分析装置における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。
[機構及び回路]
図15は、実施の形態2の自動分析装置における特徴に係わる機構及び回路等のブロック構成を示す。実施の形態2の自動分析装置は、実施の形態1の構成要素に加え、更に、第3機構203として、プローブガードロック機構80等を備えている。検体分注制御部11において、前述の第1機構201、第2機構202に加え、第3機構203を構成するプローブガードロック機構80等を備える。プローブガードロック機構80は、分注動作の状態に応じて、プローブガード24が取り外し、移動等ができないように、ロックする機構である。プローブガードロック機構80は、分注動作の実行中には、プローブガード24をロック状態にし、分注動作の停止中にはプローブガード24を非ロック状態にする。プローブガードロック機構80は、ソレノイド(電磁石)81等を備える。ソレノイド81は、入力制御回路41に接続されている。コンピュータ16等から入力制御回路41を介してソレノイド81の励磁の状態を制御可能となっている。
前述のように、コンピュータ16は、第1機構201の第1の検知に基づいて、分注動作の停止への遷移を制御する(図8の期間T1)。これにより、自動分析装置の状態は、分注動作の実行状態から停止状態に変わる(図8の遷移時間Ts)。この際に、実施の形態2では、更に、コンピュータ16から、ソレノイド81の状態を、励磁がかかっている状態(後述の図17)から、励磁がかかっていない状態(後述の図16)へと切り替えるように制御する。ソレノイド81の励磁がかかっている状態(励磁オン状態)を、プローブガードロック機構80のロック状態と定義し、ソレノイド81の励磁がかかっていない状態(励磁オフ状態)を、プローブガードロック機構80の非ロック状態と定義する。
図8のように、通常時、分注動作の実行中では、プローブガードロック機構80がロック状態である。また、時点t1から動作停止への遷移が開始されて、遷移時間Ts中にも、プローブガードロック機構80がロック状態に維持される。そのため、その遷移時間Ts中に操作者がプローブガード24を取り外そうとした場合でも、ロック状態であるため取り外しはできない。時点t5で遷移時間Tsが終了して分注動作の停止状態になると、コンピュータ16は、ソレノイド81の状態を制御して、プローブガードロック機構80を非ロック状態に切り替える。これにより、時点t5よりも後の時点t2で、操作者は突起45を引き抜いてプローブガード24を取り外すことができる。
[第3機構]
図16,図17を用いて、第3機構203に関する、プローブガードロック機構80等について説明する。図16は、プローブガードロック機構80の非ロック状態での斜視図を示す。図17は、プローブガードロック機構80のロック状態での斜視図を示す。図16及び図17では、プローブガード24、プローブガード取り付け機構28、及びプローブガードロック機構80の部分をほぼ側面から見た斜視図を示す。
図16で、実施の形態2では、プローブガード取り付け機構28の平板部28Aの下側において、実施の形態1のインターロック機構29のX方向の手前側の空いている空間部分に、更に、プローブガードロック機構80が設けられている。突起45(特に突起45A)の下方に、プローブガードロック機構80を構成するソレノイド81や金属板82等が配置されている。
ソレノイド81の上に、金属板82が配置されている。金属板82は、図示するように例えば複数の平板による折れ曲がり形状を有し、ソレノイド81の励磁の状態に応じて所定の方向(本例ではX方向の左右)に平行移動が可能となっている。金属板82は、Z方向の上端に、水平面に延在する部分(上端部)を有し、その上端部の先端には切り欠き部(言い換えると凹部)を有する。これに対応して、突起45の下端部には、金属板82の切り欠き部と対応する形状の小径部(相対的に径が小さい部分)を有する。
図16の非ロック状態では、分注動作が停止状態であり、ソレノイド81が励磁オフ状態に制御されている。ソレノイド81が励磁オフ状態の時には、金属板82が、図示するように相対的にX方向の右側の位置に来ている。この状態では、金属板82の先端部の切り欠き部と、突起45の下端部の小径部とが嵌合していない。そのため、突起45が上下に移動可能な非ロック状態である。
図17のロック状態では、分注動作が実行状態であり、ソレノイド81が励磁オン状態に制御されている。前述のパルスモータ駆動回路36からの給電に基づいて、ソレノイド81に励磁がかけられている。ソレノイド81が励磁オン状態の時には、金属板82が、図示するように相対的にX方向の左側の位置に来ている。この状態では、金属板82の先端部の切り欠き部と、突起45の下端部の小径部とが嵌合している。そのため、突起45が上下に移動不可能なロック状態である。
通常の分注動作時から、前述の分注動作停止制御によって停止状態へ遷移する(図8の時点t5)。その場合、コンピュータ16からの制御に基づいて、ソレノイド81の状態が励磁オン状態から励磁オフ状態へ切り替えられる。その場合、図17のロック状態から図16の非ロック状態へ切り替えられる。その際、金属板82が図17の矢印のようにX方向の右へ動く。これにより、金属板82が突起45を固定していない状態になる。この非ロック状態で、操作者が突起45を引き抜いてプローブガード24を取り外すことができる(図8の時点t2)。また、分注動作の停止状態から、動作再開によって通常の実行状態に戻る場合、コンピュータ16からの制御に基づいて、ソレノイド81の状態が励磁オフ状態から励磁オン状態へ切り替えられる。その場合、図16の非ロック状態から図17のロック状態へ切り替えられる。その際、金属板82が図16の矢印のようにX方向の左へ動く。これにより、金属板82が突起45を固定する状態になる。このロック状態では、操作者が突起45を引き抜いてプローブガード24を取り外そうとしてもできない。
[効果等]
上記のように、実施の形態2によれば、実施の形態1の効果に加え、動作タイムラグの期間に分注動作停止への遷移が終了する前に操作者がプローブガード24を取り外してしまうことを防止できる。即ち、より確実に分注動作停止を実現できる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。