以下、本発明に係る小動物飼育用ラックの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る小動物飼育用ラック200の外観構成の概略を斜め前方から示した前方斜視図である。また、図2は、図1に示す小動物飼育用ラック200における内部構造を示すために外装部品の一部(開閉ドア203、外壁204、一部のフレーム202)を省略した一部破断前方斜視図である。また、図3は、図2に示す小動物飼育用ラック200における内部構造の概略を示す正面図である。また、図4は、図1に示す小動物飼育用ラック200の作動を制御するための制御システムのブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この小動物飼育用ラック200は、実験に用いる多数の小動物Aを飼育ケージ100内で飼育するための装置である。
まず、小動物Aであるマウスを収容する飼育ケージ100について図5および図6を用いて説明しておく。飼育ケージ100は、主として、ケージ本体110、ケージ蓋120およびエサ箱130をそれぞれ備えて構成されている。ケージ本体110は、小動物Aを収容する部品であり、図示上方が開口した平面視で長方形状の箱状に形成されている。このケージ本体110は、その大きさや材質が特に限定されるものではないが、1匹ないし複数匹(例えば、2〜10匹)の小動物Aを収容できかつ手で持ち運べる程度の大きさに形成されるとともに、ケージ本体110内の小動物Aの様子を確認できる透明または半透明な材料(樹脂材またはガラス材)で構成するとよい。
また、このケージ本体110の側壁には、給水孔111が設けられている。給水孔111は、後述する給水ノズル212をケージ本体110内に出し入れ自在に挿し込むための貫通孔であり、給水ノズル212よりも若干大きな孔径に形成されている。
ケージ蓋120は、ケージ本体110における上端の開口部112を塞ぐための部品であり、主として、枠体121、蓋本体122、ローラ124をそれぞれ備えて構成されている。枠体121は、蓋本体122およびローラ124をそれぞれ備えてケージ本体110における開口部112を形成する外縁部に着脱自在に嵌合する樹脂製または金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の部品であり、ケージ本体110における前記外縁部を覆う平面視で方形枠状に形成されている。
蓋本体122は、ケージ本体110の開口部112を開閉自在に覆う部分であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体で構成されている。この蓋本体122は、枠体121に対してスライド可能な状態で枠体121の内側に嵌め込まれている。本実施形態においては、蓋本体122は、ローラ124側とは反対側にスライド変位して枠体121の外側に張り出すように設けられている。
また、蓋本体122には、エサ箱嵌合孔123が形成されている。エサ箱嵌合孔123は、エサ箱130が着脱自在に嵌合する貫通孔である。このエサ箱嵌合孔123は、開閉蓋板123aがバネ(図示せず)を備えた蝶番123bによって図示下方向に開閉自在な状態で蓋本体122に取り付けられている。
ローラ124は、飼育ケージ100内に小動物Aを収容した状態でケージ本体110内の不要物(例えば、敷材S、糞その他のゴミ)をケージ本体110の外部に排出するための部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)または樹脂製の棒状体で構成されている。より具体的には、ローラ124は、横断面形状が多角形状(本実施形態においては六角形)に形成されており、ケージ本体110の長手方向に沿って2つローラ124が枠体121の内側にそれぞれ回転自在な状態で取り付けられている。この場合、2つのローラ124は、互いに横方向(軸線方向に直交する方向)および上下方向にずれた位置に取り付けられるとともに、枠体121を貫通して枠体121の外側に突出しており、ケージ交換装置250に連結されるように構成されている。
エサ箱130は、ケージ本体110内にペレット状のエサを小動物Aが摂食可能な状態で貯留するための部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体を箱状に形成して構成されている。この場合、エサ箱130は、エサ箱130内にエサを補給可能とするために図示上方が開口するとともに、ケージ本体110内の小動物Aがエサを摂食可能とするために底部に部分的な開口が設けられている。また、エサ箱130の上端部には、エサ箱130を蓋本体122のエサ箱嵌合孔123の縁部に掛けるとともにエサ箱130を保持するための棒状の保持体131が設けられている。
(小動物飼育用ラック200の構成)
小動物飼育用ラック200は、ラック本体201を備えている。ラック本体201は、小動物飼育用ラック200を構成する器具および装置を収容する筐体であり、水平方向のうち図示X軸方向に延びる直方体状に形成されている。このラック本体201は、主として、フレーム202および外壁204をそれぞれ備えて構成されている。
フレーム202は、ラック本体201の骨格を形成する部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材や鋼材)の複数の棒材で構成されている。これらのフレーム202は、図示しないボルトなどの連結具を用いて図示X軸方向に延びる直方体状に組まれるとともに、この直方体の内部にも組み付けられて棚状のラック本体201を構成している。この場合、ラック本体201は、左右方向(図示X軸方向)に分割可能な2つの直方体状のラック分割体201a,201bを連結して構成されている。
また、フレーム202は、2つの開閉ドア203の骨格も構成している。開閉ドア203は、ラック本体201の内部と外部とを開閉自在に仕切る部品であり、上下方向(図示Z軸方向)に延びる長方形状に組んだフレーム202に外壁204を貼り付けて構成されている。これら2つの開閉ドア203は、ラック本体201の前面部分にそれぞれ左右方向(図示X軸方向)にスライド可能な状態で嵌め込まれている。すなわち、開閉ドア203は、引き違いの引戸で構成されている。
外壁204は、ラック本体201の外表面を構成する部品であり、樹脂製(例えば、ポリカーボネート樹脂材など)の透明な板状体で構成されている。より具体的には、外壁204は、図示しないボルトなどの固定具を用いて複数のフレーム202間に架設された状態で取り付けられている。これにより、外壁204は、ラック本体201における背面、左右両側面および上面をそれぞれ構成するとともに、前記開閉ドア203を構成してラック本体201の前面を構成している。
また、ラック本体201の底部には、同底部を構成するフレーム202に対して床板205およびキャスタ206がそれぞれ取り付けられている。床板205は、ラック本体201内で床面を構成する部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材や鋼材など)の板状体で構成されている。また、キャスタ206は、ラック本体201を移動可能とするための部品であり、ラック分割体201a,201bごとにそれぞれ4つずつ設けられている。これらの床板205およびキャスタ206は、図示しないボルトなどの固定具を用いてフレーム202に取り付けられている。このラック本体201は、本実施形態においては、人手で移動させることができる大きさ、具体的には、左右方向(X軸方向)の長さ(幅)が3m、奥行き方向(Y軸方向)の長さが1.5m、上下方向(Z軸方向)の高さが2mの直方体状に形成されている。
ラック本体201内には、ケージ棚210、ケージ保管棚220、敷材供給装置230、エサ供給装置240、ケージ交換装置250、ケージ搬送装置260および制御装置270をそれぞれ備えている。ケージ棚210は、小動物Aを収容した飼育ケージ100を出し入れ自在な状態で支持する部分であり、水平方向に延びる金属製(例えば、アルミニウム材や鋼材)の板状体で構成されている。より具体的には、ケージ棚210は、左右方向(図示X軸方向)を長辺として延びる平面視で長方形状の複数の板状体を水平な状態で上下方向(図示Z軸方向)に所定の間隔を介して並べた状態でラック本体201に支持されている。
本実施形態においては、ケージ棚210は、ラック本体201における図示左半分を構成するラック分割体201a内に上下方向に沿って7つ設けられている。これにより、ラック分割体201aは、小動物飼育用ラック200における飼育ゾーンを形成している。
これらの各ケージ棚210の左右方向(図示X軸方向)の長さは、本実施形態においては、左右方向に沿って5つの飼育ケージ100を並べて配置できる長さに形成されている。なお、ケージ棚210の左右方向(図示X軸方向)の長さは、少なくとも1つの飼育ケージ100を配置できる長さに形成されていればよいものである。また、各ケージ棚210の奥行き方向(図示Y軸方向)の長さは、1つの飼育ケージ100の奥行き方向の長さよりも長く形成されている。さらに、上下方向(図示Z軸方向)に互いに隣接する各ケージ棚210同士の間隔は、飼育ケージ100の高さよりも広い間隔で形成されている。
また、これらの各ケージ棚210は、奥側(図示Y軸方向)の縁部が起立した壁状の奥壁211が形成されるとともに、この奥壁211を貫通して前方に突出した状態で複数の給水ノズル212が設けられている。給水ノズル212は、飼育ケージ100内の小動物Aに対して飲料水を供給するための部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)のパイプ材で構成されている。この給水ノズル212は、パイプ材の上流側に図示しない上水道または上水タンクが接続されており、パイプ材の下流端を小動物Aが舐めることで上水が供給されるようになっている。
ケージ保管棚220は、未使用または使用済みの飼育ケージ100を保管するための部分であり、ラック本体201における図示右半分を構成するラック分割体201b内に設けられている。このケージ保管棚220は、主として、ケージ本体保管棚221と蓋体保管棚223とで構成されている。
ケージ本体保管棚221は、飼育ケージ100のケージ本体110を保管するための部分であり、水平方向に延びる金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体で構成されている。より具体的には、ケージ本体保管棚221は、左右方向(図示X軸方向)を長辺として延びる平面視で長方形状の板状体を水平な状態でラック本体201に支持されている。本実施形態においては、ケージ本体保管棚221は、ラック分割体201b内における上下方向(図示Z軸方向)中央部に設けられている。
このケージ本体保管棚221を構成する各板状体の左右方向(図示X軸方向)の長さは、左右方向に沿って複数(本実施形態においては、5つ)のケージ本体110を並べて配置できる長さに形成されている。この場合、ケージ本体保管棚221の5つの飼育ケージ100の配置スペースのうちの図示右側端部の配置スペースは、飼育ケージ100内に敷材Sを供給する際に使用されるスペースである。また、ケージ本体保管棚221における1つの配置スペースには、本実施形態においては、最大で10個のケージ本体110を積み重ねることができる。なお、ケージ本体保管棚221の左右方向(図示X軸方向)の長さおよび積み重ねることができる数は、少なくとも1つのケージ本体110を配置できるように形成されていればよいものである。
また、ケージ本体保管棚221の奥行き方向(図示Y軸方向)の長さは、1つの飼育ケージ100の奥行き方向の長さよりも長く形成されている。また、このケージ本体保管棚221の上面には、飼育ケージ100の位置ずれを防止するための位置決め体222がケージ本体110の底部を囲む位置に設けられている。
蓋体保管棚223は、飼育ケージ100のケージ蓋120を保管するための部分であり、ラック分割体201b内におけるケージ本体保管棚221の上方に設けられている。この蓋体保管棚223は、主として、ベース体224、前方支持体225および後方支持体226によって構成されている。ベース体224は、ケージ蓋120を下方から支持するための部品であり、ラック本体201の奥行き方向(図示Y軸方向)に棒状に延びる金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の角材で構成されている。この場合、ベース体224の中央部には、ケージ蓋120の内側に嵌ってケージ蓋120を安定的に支持するための補助板224aがベース体224に直交する図示X軸方向に延びて設けられている。
このベース体224は、ラック分割体201b内で図示X軸方向に延びて設けられたフレーム202を介してラック分割体201bに支持されている。本実施形態においては、ベース体224は、図示X軸方向に4つのベース体224が並べられて設けられている。
前方支持体225は、各ベース体224上に積み重ねられるケージ蓋120を安定的に支持するための部品であり、各ベース体224の先端部から上方(図示Z軸方向)に延びる金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体で構成されている。
後方支持体226は、各ベース体224上に積み重ねられるケージ蓋120を安定的に支持するための部品であり、各ベース体224の後端部側で前方支持体225と平行に延びる3つの金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体で構成されている。この場合、後方支持体226を構成する3つの板状体は、各ベース体224を挟んで前方支持体225に対向配置される板状体と、この板状体の両側方に配置されてケージ蓋120を両側方から挟む2つの板状体で構成されている。この後方支持体226は、前記ベース体224を支持する前記フレーム202を介してラック分割体201bに支持されている。
この蓋体保管棚223は、1つのベース体224上に少なくとも1つのケージ蓋120を保持できるように構成されていればよいが、本実施形態においては、1つのベース体224上に最大で10個のケージ蓋120を積み重ねることができる。したがって、ケージ保管棚220は、本実施形態においては、未使用または使用済みの40個分の飼育ケージ100をケージ本体110とケージ蓋120とに分けて保管することができる。
敷材供給装置230は、ケージ本体110内に敷材Sを供給するための機械装置であり、ケージ本体保管棚221の図示右端部の上方の位置にラック分割体201bに支持されている。この敷材供給装置230は、主として、敷材貯留槽231、敷材搬送機構232および敷材吐出口233をそれぞれ備えて構成されている。ここで、敷材Sは、ケージ本体110内の小動物Aを保護および保温するために底部に敷き詰められる複数の小片群であり、おが屑、木片チップまたは紙片などで構成されている。
敷材貯留槽231は、敷材Sを貯留するための容器であり、金属材(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)を箱状に形成して構成されている。この敷材貯留槽231は、この敷材貯留槽231内に敷材Sを補充する補充口231aがラック分割体201bの外壁204を貫通して外側に露出した状態でラック分割体201bに支持されている。
敷材搬送機構232は、敷材貯留槽231内に貯留された敷材Sを敷材吐出口233側に搬送するための機械装置であり、敷材貯留槽231内の底部に設けられている。より具体的には、敷材搬送機構232は、制御装置270によって作動が制御されるベルトコンベア装置によって構成されている。敷材吐出口233は、敷材搬送機構232によって搬送された敷材Sを下方に向けて排出するための部分であり、敷材貯留槽231における敷材搬送機構232の下流側の位置に金属材(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)を筒状に形成して構成されている。なお、図3においては、敷材搬送機構232および敷材Sをそれぞれ破線で示している。
エサ供給装置240は、エサ箱130内にペレット状のエサFを供給するための機械装置であり、ケージ本体保管棚221の図示右端部の下方の位置にラック分割体201bに支持されている。このエサ供給装置240は、主として、エサ貯留槽241、エサ搬送機構242、エサ吐出口243およびエサ箱保持具244をそれぞれ備えて構成されている。
エサ貯留槽241は、エサFを貯留するための容器であり、金属材(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)を箱状に形成して構成されている。このエサ貯留槽241は、このエサ貯留槽241内にエサFを補充する補充口241aがラック分割体201bの外壁204を貫通して外側に露出した状態でラック分割体201bに支持されている。
エサ搬送機構242は、エサ貯留槽241内に貯留されたエサFをエサ吐出口243側に搬送するための機械装置であり、エサ貯留槽241内に設けられている。より具体的には、エサ搬送機構242は、制御装置270によって作動が制御されるベルトコンベア装置によって構成されている。エサ吐出口243は、エサ搬送機構242によって搬送されたエサFを下方に向けて排出するための部分であり、エサ貯留槽241におけるエサ搬送機構242の下流側の位置に金属材(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)を筒状に形成して構成されている。なお、図3においては、エサ搬送機構242およびエサFをそれぞれ破線で示している。
エサ箱保持具244は、エサ吐出口243の直下でエサ箱130を支持するための器具であり、エサ箱130における逆U字状の2つの保持体131を貫通して掛けることができる2つの金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の棒体で構成されている。このエサ箱保持具244は、エサ吐出口243の直下の位置で2つの棒体が平行な状態で図示Y軸方向に延びてフレーム202を介してラック分割体201bに支持されている。
ケージ交換装置250は、飼育ケージ100内に収容されている小動物Aを新たな飼育ケージ100内に移すための機械装置であり、ケージ本体保管棚221の下方の床板205上に設けられている。このケージ交換装置250は、詳しくは、図7〜図11にそれぞれ示すように、主として、支持柱251、旧ケージ台252、新ケージ台253、ダストシュータ254a、ダストボックス254b、回動アーム255および回動機構256をそれぞれ備えて構成されている。
支持柱251は、旧ケージ台252、新ケージ台253、ダストボックス254bおよび回動アーム255をそれぞれ支持する部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の1つの板状体と1つの箱状体とが奥行方向(図示Y軸方向)に対向した状態で上下方向(図示Z軸方向)に延びて構成されている。この支持柱251は、ラック分割体201bの床板205の上方の位置で左右方向(図示X軸方向)にそれぞれ延びる金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体からなる支持フレーム251aを介してラック分割体201bを構成するフレーム202に支持されている。
旧ケージ台252は、小動物Aを収容している飼育ケージ100を載置した状態で新ケージ台253側に回動する部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体によって構成されている。この旧ケージ台252は、床板205から浮いた状態で支持柱251に回転自在な状態で支持されている。この場合、旧ケージ台252は、後述する回動アーム255から出没するロックピン255cが貫通して引っ掛けられるロックプレート252aが設けられており、回動アーム255と一体的に回動するように構成されている。
新ケージ台253は、旧ケージ台252上に配置された飼育ケージ100内の小動物Aが移される新たな飼育ケージ100が載置される部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体で構成されている。この場合、新ケージ台253は支持柱251を介して旧ケージ台252反対側に旧ケージ台252よりも低い位置でかつ床板205から浮いた状態で支持柱251に支持されている。この新ケージ台253には、旧ケージ台252側にダストシュータ254aが設けられている。
ダストシュータ254aは、回動アーム255によって天地が反転された飼育ケージ100から排出された敷材Sやゴミをダストボックス254bに導くための部品であり、金属材(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)を溝状に形成して構成されている。ダストボックス254bは、飼育ケージ100から排出されてダストシュータ254aによって導かれた敷材Sやゴミを回収し貯留する容器であり、金属材(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)を上方が開口する箱状に形成して構成されている。
回動アーム255は、旧ケージ台252上に載置された飼育ケージ100を把持して天地を反転させながら新ケージ台253上に載置された飼育ケージ100上に配置する機械装置である。より具体的には、回動アーム255は、旧ケージ台252上に載置された飼育ケージ100を長手方向に直交する方向に延びる2つの短辺側から挟むアーム片255aおよびボックスアーム片255bをそれぞれ備えている。
アーム片255aは、ボックスアーム片255bと協働して旧ケージ台252上の飼育ケージ100を把持するための部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体で構成されている。また、ボックスアーム片255bは、アーム片255aと協働して旧ケージ台252上の飼育ケージ100を把持するための部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の板状体を箱状に成形して構成されている。
このボックスアーム片255bは、制御装置270による作動制御によってボックスアーム片255bの内側面(アーム片255aに対向する側面)から出没するロックピン255cを備えている。また、ボックスアーム片255bの内部には、挟持機構257、蓋開閉機構258およびローラ駆動機構259の各駆動源が収容されている。これらのアーム片255aおよびボックスアーム片255bは、旧ケージ台252と新ケージ台253との間の床板205上に起立する支持柱251の先端部に回動自在に支持されて回動機構256に回動駆動される。
回動機構256は、回動アーム255を支持柱251の先端部を回動中心として旧ケージ台252側と新ケージ台253側との間で往復回動させるための機械装置であり、制御装置270によって作動制御される電動モータ256aおよび支持柱251を構成する前記箱状体内に収容された歯車減速機構をそれぞれ備えて構成されている。
また、回動アーム255は、挟持機構257、蓋開閉機構258およびローラ駆動機構259をそれぞれ備えている。挟持機構257は、回動アーム255を構成するこれらアーム片255aとボックスアーム片255bとの間隔を広げるまたは狭めることで飼育ケージ100の枠体121を把持するための機械装置である。この挟持機構257は、制御装置270によって作動が制御される電動モータ(図示せず)をボックスアーム片255bの内部に備えるとともに、アーム片255aとボックスアーム片255bとの間に架設されるリニアガイド257aを備えて構成されている。
蓋開閉機構258は、挟持機構257によって挟持している飼育ケージ100および新ケージ台253上に載置された飼育ケージ100の各蓋本体122を開閉するための機械装置である。この蓋開閉機構258は、新旧の各飼育ケージ100の蓋本体122にそれぞれ引っ掛けられるスライダ金具258a,258b、前記スライダ金具258a,258bをスライド変位させるリニアガイド258cおよび制御装置270によって作動制御されてエアシリンダ(図示せず)をアーム片255aとボックスアーム片255bにそれぞれ備えて構成されている。
ローラ駆動機構259は、挟持機構257によって挟持している飼育ケージ100のローラ124に接続されて回転駆動させるための機械装置であり、制御装置270によって作動制御される電動モータおよび歯車減速機構をボックスアーム片255b内にそれぞれ備えて構成されている。これらのケージ保管棚220、敷材供給装置230、エサ供給装置240およびケージ交換装置250はラック分割体201bにそれぞれ設けられており、このラック分割体201bは小動物飼育用ラック200における飼育ケアゾーンを形成している。
ケージ搬送装置260は、ケージ棚210、ケージ保管棚220、敷材供給装置230、エサ供給装置240およびケージ交換装置250の相互間で飼育ケージ100を搬送するための機械装置であり、ラック本体201内におけるケージ棚210、ケージ保管棚220、敷材供給装置230、エサ供給装置240およびケージ交換装置250(以降、「ケージ棚210等」ということがある)よりも前側(開閉ドア203側)に設けられている。このケージ搬送装置260は、ケージハンド261、Y駆動機構、Z駆動機構、X駆動機構をそれぞれ備えて構成されている。
ケージハンド261は、詳しくは、図12に示すように、飼育ケージ100を着脱自在に把持する機械装置であり、上側ハンド262および下側ハンド263をそれぞれ備えて構成されている。上側ハンド262は、飼育ケージ100における枠体121を挟んで保持する部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の2つの板状体で構成されている。また、下側ハンド263は、飼育ケージ100におけるケージ本体110を挟んで保持する部品であり、金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の2つの板状体で構成されている。これらの上側ハンド262および下側ハンド263は、それぞれ水平方向(図示Y軸方向)に延びて形成されており、制御装置270によって作動制御される2つの電動モータによってそれぞれ独立して開閉する。
このケージハンド261は、Y軸駆動機構264を介してZ軸駆動機構265のZ軸支柱265aに保持されている。Y軸駆動機構264は、ケージハンド261をケージ棚210等に対して接近または離隔させる図示Y軸方向に往復変位させるための機械装置であり、制御装置270によって作動が制御される電動モータ(図示せず)および送りネジ機構(図示せず)を備えて構成されている。このY軸駆動機構264は、Z軸支柱265aに上下方向(図示Z軸方向)に沿って摺動自在な状態で保持されている。なお、Y軸駆動機構264は、送りネジ機構に代えて無端ベルト機構など他の機構を採用できることは当然である。
Z軸駆動機構265は、ケージハンド261を上下方向(図示Z軸方向)に往復変位させるための機械装置であり、上下方向(図示Z軸方向)に沿って延びるZ軸支柱265aに制御装置270によって作動が制御される電動モータ(図示せず)および無端ベルト機構(図示せず)をそれぞれ備えて構成されている。Z軸支柱265aは、主として、ケージハンド261を上下方向(図示Z軸方向)に沿って摺動自在に支持するための部品であり、上下方向(図示Z軸方向)に延びる金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の中空の角材で構成されている。このZ軸支柱265aは、X軸駆動機構266のX軸案内レール266aに支持されている。
X軸駆動機構266は、ケージハンド261を左右方向(図示X軸方向)に往復変位させるための機械装置であり、左右方向(図示X軸方向)に沿って延びるX軸案内レール266a,266bに制御装置270によって作動が制御される電動モータ(図示せず)および無端ベルト機構(図示せず)をそれぞれ備えて構成されている。X軸案内レール266a,266bは、主として、Z軸支柱265aを左右方向(図示X軸方向)に沿って摺動自在に支持するための部品であり、左右方向(図示X軸方向)に延びる金属製(例えば、アルミニウム材やステンレス材など)の中空の角材で構成されている。これらのX軸案内レール266a,266bは、ケージ本体110における天井を構成するフレーム202および床板205にそれぞれ支持されている。なお、Z軸駆動機構265およびX軸駆動機構266は、無端ベルト機構に代えて送りネジ機構など他の機構を採用できることは当然である。
制御装置270は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、小動物飼育用ラック200の全体の作動を総合的に制御する。具体的には、制御装置270は、敷材供給装置230、エサ供給装置240、ケージ交換装置250およびケージ搬送装置260の各作動を制御して小動物Aの飼育に必要な作業、具体的には、飼育ケージ100への敷材Sの供給、エサFの供給および飼育ケージ100の交換などの作業を実行する。
この制御装置270は、ラック本体201内における奥側の図示右側の隅部に設けられた箱状の制御ボックス271内に設けられている。また、制御装置270は、制御装置270に対して作動内容の設定、作動状態のモニタリングおよび過去の作動状態を確認するための外部コンピュータ装置272(例えば、パーソナルコンピュータ)との間で情報を入出力するための入出力インターフェース(図示せず)を備えている。なお、この小動物飼育用ラック200は、敷材供給装置230、エサ供給装置240、ケージ交換装置250、ケージ搬送装置260および制御装置270に対して外部電源からの電力を供給する電源部を備えているが、本発明に直接関わらないためその説明は省略する。
(小動物飼育用ラック200の作動)
次に、上記のように構成した小動物飼育用ラック200の作動について説明する。この小動物飼育用ラック200は、建屋内の一室に設置される。この場合、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201が互いに分割可能なラック分割体201aとラック分割体201bとで構成されているため、飼育者は小動物飼育用ラック200を設置する部屋内にラック本体201を容易に搬入して組み立てることができる。なお、この場合、ケージ搬送装置260は、ラック本体201から取り外された状態で搬入されてラック分割体201aとラック分割体201bと組み付けられたラック本体201に対して組付けられる。
次に、小動物Aの飼育者は、小動物飼育用ラック200の作動を開始させて制御装置270に対して小動物Aの飼育に関する初期設定を行う。具体的には、飼育者は、外部コンピュータ装置272を制御装置270に接続してケージ棚210に配置する飼育ケージ100の位置、ケージ保管棚220に配置した未使用の飼育ケージ100の位置および数、およびケージ棚210上に配置した飼育ケージ100の新しい飼育ケージ100への交換頻度(例えば時間や時間間隔など)などの情報を制御装置270にセットする。
次に、飼育者は、複数の飼育ケージ100を用意して各ケージ本体110内に敷材Sをそれぞれ敷き詰めるとともに各エサ箱130内にエサFをそれぞれ充填した後、飼育対象となる小動物Aをそれぞれ収容する。そして、飼育者は、各飼育ケージ100を小動物飼育用ラック200におけるケージ棚210上にそれぞれ配置する。この場合、飼育者は、飼育ケージ100の給水孔111内に給水ノズル212を挿し込んだ状態で各飼育ケージ100をケージ棚210上にそれぞれ配置する。
次に、飼育者は、制御装置270に対して外部コンピュータ装置272を介して小動物Aの飼育作業の実行を指示する。これにより、制御装置270は、図示しない小動物飼育プログラムを実行することにより、小動物Aの飼育を開始する。具体的には、制御装置270は、所定時間または所定時間が経過するごとにケージ棚210上に配置されている飼育ケージ100内の小動物Aをケージ保管棚220に保管されている未使用の飼育ケージ100に移し替える飼育ケージ100の交換作業を実行する。
この飼育ケージ100の交換作業において、制御装置270は、まず、ケージ交換装置250における新ケージ台253上に未使用の新しい飼育ケージ100を配置する。具体的には、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261でケージ本体保管棚221上に配置された未使用のケージ本体110を1つ把持して取出した後、このケージ本体110を敷材供給装置230の敷材吐出口233の真下に位置させる(図3参照)。
次いで、制御装置270は、敷材供給装置230の作動を制御することにより、敷材貯留槽231内の敷材Sを敷材吐出口233を介して所定量だけ排出する。これにより、ケージハンド261が把持するケージ本体110内に所定量の敷材Sが収容される。この場合、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261を図示Y軸方向に変位させることでケージ本体110の底部に均等に敷材Sを敷き詰めることができる。次いで、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することにより敷材Sを収容したケージ本体110をケージ交換装置250における新ケージ台253上に配置する(以降、新ケージ台253上の飼育ケージを「新飼育ケージ」ということがある)。
次いで、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261で蓋体保管棚223上に配置された未使用のケージ蓋120を1つ把持して取り出した後、新ケージ台253上に配置したケージ本体110上に配置する。これにより、ケージ交換装置250における新ケージ台253上には、エサ箱130がセットされていない未使用の飼育ケージ100がセットされる(図7参照)。また、この場合、制御装置270は、後述する使用中の飼育ケージ100の搬送速度よりも速い速度でケージ本体110およびケージ蓋120などの未使用の飼育ケージ100を搬送することにより飼育ケージ100のトータルの交換作業時間を短縮することができる。
次に、制御装置270は、ケージ棚210上に配置された交換対象となる飼育ケージ100をケージ交換装置250における旧ケージ台252上に配置する。具体的には、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261でケージ棚210上に配置された交換対象となる飼育ケージ100を1つ把持して取り出した後、この飼育ケージ100をエサ供給装置240に位置決めして保持体131をエサ箱保持具244に掛ける。
そして、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261を下降させる。これにより、ケージハンド261に把持された飼育ケージ100からエサ箱130が抜き取られるとともに、このエサ箱130がエサ吐出口243の真下に位置するエサ箱保持具244に吊り下げられた状態で保持される(図3参照)。この場合、飼育ケージ100は、エサ箱嵌合孔123からエサ箱130が抜き取られた場合には、開閉蓋板123aが蝶番123bの弾性によってエサ箱嵌合孔123を自動的に塞ぐ。
次いで、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動をさらに制御することにより飼育ケージ100をケージ交換装置250における旧ケージ台252上に配置する(図7参照)。この場合、制御装置270は、飼育ケージ100におけるローラ124側が支持柱251側となる向きで旧ケージ台252上に配置する。これにより、ケージ交換装置250における旧ケージ台252上には、エサ箱130がセットされていない飼育ケージ100がセットされる(以降、旧ケージ台252上の飼育ケージを「旧飼育ケージ」ということがある)。
次に、制御装置270は、旧ケージ台252上に配置した飼育ケージ100内の小動物Aを新ケージ台253上に配置した飼育ケージ100内に移す。具体的には、制御装置270は、ケージ交換装置250における回動機構256および挟持機構257の作動を制御して回動アーム255を旧ケージ台252側に傾倒させてアーム片255aとボックスアーム片255bとの間隔を狭めることで飼育ケージ100の枠体121を図示Y軸方向の両側から挟んで保持する(図8、図11参照)。これにより、回動アーム255は、蓋開閉機構258およびローラ駆動機構259が飼育ケージ100の蓋本体122およびローラ124にそれぞれ連結される。また、回動アーム255は、ロックピン255cがロックプレート252aに嵌合して旧ケージ台252と連結される(図11参照)。
次いで、制御装置270は、回動機構256の作動を制御して回動アーム255を新ケージ台253側に回動させる。これにより、回動アーム255によって保持された飼育ケージ100および回動アーム255に連結された旧ケージ台252は、新ケージ台253側に回動する。すなわち、旧ケージ台252上に配置された旧飼育ケージ100は、回動アーム255と旧ケージ台252に支持された状態で新ケージ台253側に支持柱251の先端部を中心として回動する。
そして、制御装置270は、新ケージ台253側に持ち上げられて傾倒していく旧飼育ケージ100のローラ124が下方に向いた角度で回動機構256の作動を制御して回動を停止するとともにローラ駆動機構259の作動を開始させる。この場合、回動アーム255に保持された旧飼育ケージ100は、天地が逆さまに近い傾斜した姿勢となるため、旧飼育ケージ100内の敷材Sやゴミなどの不要物がローラ124上に溜まっている(図9参照)。したがって、旧飼育ケージ100は、ローラ124の回転駆動によって旧飼育ケージ100内の敷材Sやゴミなどの不要物が下方に落下して排出される。旧飼育ケージ100内から排出された敷材Sやゴミなどの不要物は、ダストシュータ254aを介してダストボックス254bに導かれて回収される。
次いで、制御装置270は、回動機構256の作動を再開させることにより回動アーム255によって保持された旧飼育ケージ100を新ケージ台253上に配置された新飼育ケージ100上に重ねる。この場合、回動アーム255によって保持された旧飼育ケージ100は、天地が逆さまになった姿勢で新ケージ台253上に配置された新飼育ケージ100上に2つのケージ蓋120同士が互いに密着した状態で重ねられる(図10参照)。また、回動アーム255は、蓋開閉機構258が新ケージ台253上の新飼育ケージ100の蓋本体122に連結される。
次いで、制御装置270は、蓋開閉機構258の作動を制御して新旧両方の飼育ケージ100の蓋本体122をそれぞれ開く(図10参照)。これにより、旧飼育ケージ100内の小動物Aが新飼育ケージ100内に落下して移動する。この場合、制御装置270は、蓋開閉機構258の作動を制御して新ケージ台253上の新飼育ケージ100の蓋本体122を開いた後に回動アーム255によって保持された旧飼育ケージ100の蓋本体122を開くとよい。これにより、旧飼育ケージ100内の小動物Aは、1回の落下で新飼育ケージ100内に移動できるため移動のストレスを軽減することができる。なお、この場合、制御装置270は、ローラ駆動機構259の作動を制御してローラ124を回転駆動させることでローラ124にしがみ付く小動物Aを効果的に新飼育ケージ100内に落下させることができる。
次いで、制御装置270は、蓋開閉機構258の作動を制御して新旧両方の飼育ケージ100の蓋本体122をそれぞれ閉じた後、回動機構256の作動を制御して回動アーム255を反対方向に回動させる。これにより、制御装置270は、旧飼育ケージ100を元の位置に復帰させて小動物Aの新飼育ケージ100内への移動作業が完了する。
この小動物Aの新飼育ケージ100内への移動作業の作業前、作業中または作業後において、制御装置270は、エサ箱130にエサFを供給する。具体的には、制御装置270は、エサ供給装置240の作動を制御することにより、エサ貯留槽241内のエサFをエサ吐出口243を介して所定量だけ排出する。これにより、エサ箱保持具244が保持するエサ箱130内に所定量のエサFが補充される。この場合、エサ箱130へのエサFの補給を小動物Aが収容された飼育ケージ100と連結した状態で行わずにエサ箱単体で行うことにより小動物Aに対して無用なストレスを与えることを防止することができる。
次に、制御装置270は、小動物Aを移し替えた新飼育ケージ100をケージ棚210に戻す。具体的には、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261で新ケージ台253上の新飼育ケージ100を把持した後、エサ供給装置240のエサ箱保持具244に保持されたエサ箱130の下方にエサ箱嵌合孔123が位置するように飼育ケージ100を位置決めする。そして、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261を上昇させる。これにより、ケージハンド261に把持された新飼育ケージ100内には、ケージ蓋120の開閉蓋板123aを押し退けながら挿し込まれたエサ箱130が配置される。
次いで、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりエサ箱130の保持体131をエサ箱保持具244から抜くようにケージハンド261を移動させた後、ケージ棚210上に新飼育ケージ100を配置する。これにより、小動物Aは、新しい敷材SおよびエサFが補充された飼育ケージ100での飼育が開始される。この場合、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することにより小動物Aが存在しない飼育ケージ100の移動速度よりも遅い速度で新飼育ケージ100を移動させることで小動物Aのストレスを軽減することができる。これにより、制御装置270は、新飼育ケージ100をケージ棚210に戻すことができる。
次に、制御装置270は、旧飼育ケージ100をケージ保管棚220に移す。具体的には、制御装置270は、ケージ搬送装置260の作動を制御することによりケージハンド261で旧ケージ台252上の旧飼育ケージ100のケージ蓋120のみを把持して蓋体保管棚223上に配置した後、旧ケージ台252上の旧飼育ケージ100のケージ本体110を把持してケージ本体保管棚221上に配置する。この場合、制御装置270は、ケージ保管棚220に配置した未使用の飼育ケージ100の位置および数を把握しているため、使用済みのケージ本体110およびケージ蓋120を未使用のケージ本体110およびケージ蓋120と分けて保管することができる。
このように、制御装置270は、ケージ棚210内のすべての飼育ケージ100について所定時間ごとに飼育ケージの交換を行いながら小動物Aの飼育を行う。この場合、制御装置270は、ケージ保管棚220内の未使用および使用済みの各飼育ケージ100の配置位置および数、敷材供給装置230内の敷材Sの残量およびエサ供給装置240内のエサFの残量を監視しながら小動物Aの飼育を行う。
一方、飼育者は、小動物Aを使用する際、小動物Aの飼育状態または小動物Aの健康状態を確認する際には小動物飼育用ラック200に近づき透明な外壁204を介してまたは開閉ドア203を開けて飼育ケージ100内を直接目視により確認することができる。また、飼育者は、外部コンピュータ装置272を操作することにより、飼育ケージ100の交換状況、敷材Sの残量またはエサFの残量を確認することができるとともに、必要に応じて小動物Aの飼育作業の実行の中断を制御装置270に指示することができる。また、飼育者は、ラック本体201の設置位置に不都合が生じた場合には、ラック本体201を分解して、または分解することなく移動させることができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201内にケージ棚210、給水ノズル212、ケージ保管棚220、敷材供給装置230、エサ供給装置240、ケージ交換装置250およびケージ搬送装置260を備えて構成されているため、スペース的および経済的負担を軽減できるとともに小動物Aの状態や様子を直接かつ直ちに間近で確認しながら小動物Aを飼育することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、飼育ケージ100に対して給水ノズル212、敷材供給装置230、エサ供給装置240およびケージ交換装置250をそれぞれ備えて構成した。すなわち、給水ノズル212、敷材供給装置230、エサ供給装置240およびケージ交換装置250が、本発明に係る飼育ケア装置に相当する。しかし、飼育ケア装置は、飼育ケージ100に対して飼育ケージ100の交換、敷材Sの供給、エサFの供給および水の供給のうちの少なくとも1つ行うように構成されていればよい。また、飼育ケア装置を互いに異なる作業を行う機器を含んで構成する場合、各機器のラック本体201内における配置位置は、上記実施形態に限定されるものではなく配置関係は自由に設定できるものである。
また、上記実施形態においては、敷材供給装置230は、おが屑、木片チップまたは紙片などの小片群からなる敷材Sを交換するように構成した。しかし、敷材Sは、小片群のほかにシート状またはマット状に形成することもできる。したがって、この場合、敷材供給装置230は、シート状またはマット状の敷材Sを把持するロボットアーム(図示せず)で構成することができる。そして、敷材供給装置230は、旧飼育ケージ100のケージ本体110内に配置されたシート状またはマット状の敷材Sを取り出した後、新しい敷材Sを配置することで敷材Sの交換を行うことができる。これによれば、小動物飼育用ラック200は、ケージ交換装置260を省略して構成することができる。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、ケージ棚210に対して飼育ケア装置を構成する敷材供給装置230、エサ供給装置240およびケージ交換装置250を飼育ケージ100が出し入れされる方向に直交する横方向に隣接配置した。これにより、小動物飼育用ラック200は、ケージ棚210と飼育ケア装置との間で飼育ケージ100の搬送を短時間に行うことができるとともにラック本体201を簡易かつコンパクトに構成することができる。しかし、小動物飼育用ラック200は、ケージ棚210に対して飼育ケア装置を飼育ケージ100が出し入れされる方向に直交する上下方向に隣接配置してもよい。また、小動物飼育用ラック200は、ケージ棚210に対して飼育ケア装置を飼育ケージ100が出し入れされる方向上である奥行方向に隣接配置することもできる。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、飼育ケア装置を構成するエサ供給装置240およびケージ交換装置250に対してケージ保管棚220を上方に配置した。これにより、小動物飼育用ラック200は、飼育ケア装置の作動によって敷材、エサ、小動物の糞尿、皮膚または毛、敷材またはエサなどが飛散または漏えいしてケージ保管棚220に保管されている飼育ケージが汚損されることを防止することができる。しかし、飼育ケア装置とケージ保管棚220との配置関係は上記実施形態に限定されるものではなく配置関係は自由に設定できるものである。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、ケージ保管棚220およびケージ交換装置250をそれぞれ備えて構成した。しかし、小動物飼育用ラック200は、飼育ケージ100を交換する必要がない場合にはこれらを省略して構成することができる。また、小動物飼育用ラック200は、ケージ交換装置250が1つの飼育ケージ100を保持することができるため、複数の飼育ケージ100を保管する必要がない場合には、ケージ保管棚220を省略して構成することもできる。
また、上記実施形態においては、ケージ保管棚220は、ケージ本体保管棚221および蓋体保管棚223をそれぞれ備えて飼育ケージ100をケージ本体110とケージ蓋120とを別々に保管するように構成した。しかし、ケージ保管棚220は、ケージ本体110にケージ蓋120が装着された状態の飼育ケージ100を並べてまたは重ねて保管するように構成してもよい。また、ケージ保管棚220は、飼育ケージ100を保管することができるように構成されていれば、必ずしも上記実施形態の構成に限定されるものではない。
また、上記実施形態においては、ケージ交換装置250は、旧飼育ケージ100の天地をひっくり返して新飼育ケージ100上に載置して小動物Aを移動させるように構成した。しかし、ケージ交換装置250は、旧飼育ケージ100内の小動物Aを新飼育ケージ100内に移し替えることができるように構成されていれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、ケージ交換装置250は、例えば、旧飼育ケージ100内の小動物Aをロボットアームで把持して新飼育ケージ100内に搬送するように構成することができる。また、ケージ交換装置250は、飼育ケージ100における側面部を開閉自在に構成(例えば、側面スライド開閉構造)しておき、旧飼育ケージ100と新飼育ケージ100とを互いに密着させた状態で隣接配置して互いの側面部を開くことで小動物Aを旧飼育ケージ100内から新飼育ケージ100内に移動させるように構成することができる。
また、ケージ交換装置250は、飼育ケージ100のケージ本体110内に対して小動物Aを収容する網状のインナー小ケージ(図示せず)を出し入れ自在に配置した飼育ケージ100に対して飼育ケージ100の交換を行うことができる。この場合、ケージ交換装置250は、飼育ケージ100のケージ本体110内に配置されたインナー小ケージを把持するロボットアーム(図示せず)で構成することができる。そして、ケージ交換装置250は、旧飼育ケージ100のケージ本体110内に配置されたインナー小ケージを取り出して小動物Aを旧飼育ケージ100から分離した後、新飼育ケージ100のケージ本体110内に移すことで小動物Aを移し替えることができる。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201内において敷材供給装置230およびエサ供給装置240を各補充口231a,241aが外壁204から露出した状態で設けている。これにより、小動物飼育用ラック200は、敷材貯留槽231およびエサ貯留槽241内への敷材SおよびエサFの補充を容易に行うことができる。しかし、敷材供給装置230およびエサ供給装置240は、ラック本体201内に設けられていればよく、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。したがって、敷材供給装置230およびエサ供給装置240は、各補充口231a,241aがラック本体201内に配置された状態、または外壁204から突出せず外壁204と略面一に設けられていてもよい。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201内において敷材供給装置230の下方にエサ供給装置240を配置した。これにより、小動物飼育用ラック200は、エサ供給装置240から飛散したエサFが飼育ケージ100内に敷材Sを供給する際に混入することを防止することができる。しかし、敷材供給装置230およびエサ供給装置240の位置関係は、上記実施形態に限定されるものではない。したがって、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201内において敷材供給装置230の上方にエサ供給装置240を配置して構成することもできる。これにより、小動物飼育用ラック200は、敷材供給装置230から飛散した敷材Sが飼育ケージ100内にエサFを供給する際に混入することを防止することができる。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、ケージ搬送装置260をラック本体201における開閉ドア203側の正面側に設けて構成した。しかし、ケージ搬送装置260は、ケージ棚210と飼育ケア装置およびケージ保管棚220との間で飼育ケージ100を搬送可能に設けられていればよい。したがって、小動物飼育用ラック200は、例えば、ケージ搬送装置260をラック本体201における開閉ドア203側とは反対側の背面側に設けて構成することができる。この場合、小動物飼育用ラック200は、ケージ保管棚220をラック本体201の奥行き方向の中間部から開閉ドア203側の範囲に配置するとよい。また、この場合、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201における背面側にも開閉ドア203を設けるとよい。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、外壁204を透明な樹脂材で構成した。しかし、外壁204は、透明な樹脂材以外の材料、例えば、半透明または不透明の樹脂材(繊維強化樹脂を含む)、金属材またはガラス材で構成することができる。この場合、小動物飼育用ラック200は、開閉ドア203のみを透明または不透明な材料で構成するとともに、開閉ドア203以外の壁面を構成する外壁204を不透明な材料で構成することで小動物Aに過度なストレスを与えることを抑えることができる。また、外壁204は、板状の他にシート状または網状に構成することもできる。また、小動物飼育用ラック200は、外壁204を省略して構成することもできる。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201の下面にキャスタ206を設けて構成した。これにより、小動物飼育用ラック200は、容易に設置場所を変更することができる。しかし、小動物飼育用ラック200は、キャスタ206を省略して構成することもできる。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201を2つのラック分割体201a,201bを互いに連結して構成した。しかし、ラック本体201は、1つの一体的な構造体で構成してもよいし、3つ以上のラック分割体を互いに連結して構成してもよい。
また、上記実施形態においては、制御装置270をラック本体201内に配置した。しかし、制御装置270は、ラック本体201の外(例えば、外壁204)に設けられていてもよいし、ラック本体201に対して有線または無線で繋がれて物理的に離れた位置に設けられていてもよい。また、制御装置270は、外部コンピュータ装置272と一体型で構成されていてもよい。
また、上記実施形態においては、小動物飼育用ラック200は、照明器具を備えていない。しかし、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201内を照らす照明器具を設けて構成することができる。また、小動物飼育用ラック200は、ラック本体201内の空気圧を負圧に空圧調整装置のほか、ラック本体201内の湿度または温度を所定の湿度または温度に保つ空調設備を備えて構成することもできる。また、小動物飼育用ラック200は、飼育ケージ100内またはラック本体201内の各部を撮影する撮像装置を備えてもよい。
また、上記実施形態においては、ケージ棚210上の各飼育ケージ100に対してそれぞれ上水道に連結された給水ノズル212を介して小動物Aに飲料水を供給するように構成した。しかし、小動物Aへの飲料水の供給は、飲料水を充填した給水タンク(図示せず)を飼育ケージ100ごとにラック本体201または飼育ケージ100自体に設置するように構成してもよい。
また、上記実施形態においては、飼育ケージ100は、給水孔111を介して給水ノズル212が挿入されるように構成した。しかし、飼育ケージ100は、給水孔111の穴径を小動物Aの口が通る大きさに形成しておき、この給水孔111の外側に隣接して給水ノズル212が位置するように飼育ケージ100を配置することができる。これによれば、飼育ケージ100は、給水ノズル212がケージ本体110内に挿入されないため、小動物Aが水を飲む際または給水ノズル212が破損した場合においてもケージ本体110内が濡れることを防止することができる。