JP6868715B2 - 自動変速機のロックアップ解放制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、走行用駆動源と変速機構との間に介装されるトルクコンバータに有するロックアップクラッチの解放制御を行う自動変速機のロックアップ解放制御装置に関する。
従来、ロックアップクラッチを締結した状態での減速走行中、車速が予め設定したロックアップ解除車速以下を検出するとロックアップクラッチを解放する無段変速機の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−196769号公報
上記従来装置にあっては、ブレーキ減速シーンにおいて、予め設定したロックアップ解除車速を用いてロックアップクラッチを解放すると、車両挙動が変化することがあり、ロックアップ解除車速の設定に改善の余地がある、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチの解放により発生する車両挙動の変化を乗員の許容レベル以下に抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、走行用駆動源と変速機構との間に介装されるトルクコンバータと、トルクコンバータに有し、締結によりトルクコンバータ入力軸とトルクコンバータ出力軸を直結するロックアップクラッチと、ロックアップクラッチのロックアップ締結制御とロックアップ解放制御を行うロックアップ制御部と、を備える。
この自動変速機のロックアップ解放制御装置において、ロックアップ制御部は、ロックアップクラッチが締結状態でのコースト走行中にブレーキOFFからブレーキON操作された際、ブレーキON操作による初期減速度を検出し、初期減速度の絶対値が大きいほどロックアップ解除車速を高く設定する。
ブレーキON操作によるブレーキ減速シーンの途中で、設定されたロックアップ解除車速以下となる車速を検出すると、ロックアップクラッチを解放する制御を行う。
例えば、多種のパラメータを用いてロックアップ解除車速を設定する場合、ロックアップ解除車速の設定値について多種のパラメータ条件毎の実機確認工数を要する。さらに、条件によってばらつく車両挙動の変化の官能評価に対して1つのロックアップ解除車速を代用するため、適切なロックアップ解除車速を設定するのが困難である。
この点に着目し、本発明者等は、ロックアップ解除車速の設定に際し、ブレーキON操作による初期減速度の大きさが、車両挙動の変化の官能評価に与える影響が大きいことを知見した。そこで、ロックアップクラッチが締結された状態で走行中にブレーキOFFからブレーキON操作された際、ブレーキON操作による初期減速度を検出し、初期減速度の絶対値が大きいほどロックアップ解除車速を高く設定するロックアップ制御部を採用した。
この結果、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチの解放により発生する車両挙動の変化を乗員の許容レベル以下に抑制することができる。
実施例1の自動変速機のロックアップ解放制御装置が適用されたエンジン車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。 自動変速モードでの無段変速制御をバリエータにより実行する際に用いられるDレンジ無段変速スケジュールの一例を示す変速スケジュール図である。 実施例1のロックアップ解放制御装置を示す要部構成図である。 ブレーキOFFからブレーキONによるブレーキ減速シーンでロックアップ解放されるときのブレーキ・エンジン回転数・CVT入力軸回転数・前後Gの各特性を示すタイムチャートである。 横軸をG段差とし縦軸をG傾きとする座標面において初期減速度大・初期減速度中・初期減速度小での車両挙動OK領域と車両挙動NG領域を示す領域特性図である。 横軸を初期減速Gとし縦軸をG段差とするとき車両挙動OK領域と車両挙動NG領域の限界ラインを示すG段差限界ライン特性図である。 横軸を初期減速Gとし縦軸をG傾きとするとき車両挙動OK領域と車両挙動NG領域の限界ラインを示すG傾き限界ライン特性図である。 実施例1のCVTコントロールユニットのロックアップ制御部にて実行されるロックアップ解放制御処理の流れを示すフローチャートである。 ロックアップ解放制御処理においてG段差限界ライン特性を用いて初期減速GからG段差を算出する一例を示すG段差算出説明図である。 ロックアップ解放制御処理において車両感度特性を用いてG段差からD/Sトルク段差を算出する一例を示すD/Sトルク段差算出説明図である。 ロックアップ解放制御処理において変速比特性を用いてD/Sトルク段差からLUトルク段差を算出する一例を示すLUトルク段差算出説明図である。 ロックアップ解放制御処理において変速線とコーストトルク特性を用いてLUトルク(エンジントルク)段差からLU解除車速を算出する一例を示すLU解除車速算出説明図である。 ロックアップ解放制御処理においてG傾き限界ライン特性を用いて初期減速GからG傾きを算出する一例を示すG傾き算出説明図である。 ロックアップ解放制御処理において車両感度特性を用いてG傾きからD/Sトルク傾きを算出する一例を示すD/Sトルク傾き算出説明図である。 ロックアップ解放制御処理において変速比特性を用いてD/Sトルク傾きからLUトルク傾きを算出する一例を示すLUトルク傾き算出説明図である。 ロックアップ解放制御処理においてT/C差圧容量特性を用いてLUトルク傾きからLU油圧傾きを算出する一例を示すLU油圧傾き算出説明図である。
以下、本発明の自動変速機のロックアップ解放制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1におけるロックアップ解放制御装置は、トルクコンバータと前後進切替機構とバリエータと終減速機構により構成されるベルト式無段変速機(自動変速機の一例)を搭載したエンジン車に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「ロックアップ解放制御装置構成」、「ロックアップ解放制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の自動変速機のロックアップ解放制御装置が適用されたエンジン車の駆動系と制御系を示す。以下、図1に基づいて、全体システム構成を説明する。
エンジン車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、トルクコンバータ2と、前後進切替機構3と、バリエータ4と、終減速機構5と、駆動輪6,6と、を備えている。ここで、ベルト式無段変速機CVTは、トルクコンバータ2と前後進切替機構3とバリエータ4と終減速機構5を図外の変速機ケースに内蔵することにより構成される。
エンジン1は、ドライバーによるアクセル操作による出力トルクの制御以外に、外部からのエンジン制御信号により出力トルクを制御可能である。このエンジン1には、スロットルバルブ開閉動作や燃料カット動作等によりトルク制御を行う出力トルク制御アクチュエータ10を有する。
トルクコンバータ2は、トルク増大機能やトルク変動吸収機能を有する流体継手による発進要素である。トルク増大機能やトルク変動吸収機能を必要としないとき、エンジン出力軸11(=トルクコンバータ入力軸)とトルクコンバータ出力軸21を直結可能なロックアップクラッチ20を有する。このトルクコンバータ2は、エンジン出力軸11にコンバータハウジング22を介して連結されたポンプインペラ23と、トルクコンバータ出力軸21に連結されたタービンランナ24と、ケースにワンウェイクラッチ25を介して設けられたステータ26と、を構成要素とする。
前後進切替機構3は、バリエータ4への入力回転方向を前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向で切り替える機構である。この前後進切替機構3は、ダブルピニオン式遊星歯車30と、複数枚のクラッチプレートによる前進クラッチ31と、複数枚のブレーキプレートによる後退ブレーキ32と、を有する。前進クラッチ31は、Dレンジ等の前進走行レンジ選択時に前進クラッチ圧Pfcにより油圧締結される。後退ブレーキ32は、Rレンジ等の後退走行レンジ選択時に後退ブレーキ圧Prbにより油圧締結される。なお、前進クラッチ31と後退ブレーキ32は、Nレンジ(ニュートラルレンジ)の選択時、前進クラッチ圧Pfcと後退ブレーキ圧Prbをドレーンすることで、いずれも解放される。
バリエータ4は、プライマリプーリ42と、セカンダリプーリ43と、プーリベルト44と、を有し、ベルト接触径の変化により変速比(バリエータ入力回転とバリエータ出力回転の比)を無段階に変化させる無段変速機能を備える。プライマリプーリ42は、バリエータ入力軸40の同軸上に配された固定プーリ42aとスライドプーリ42bにより構成され、スライドプーリ42bは、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppriによりスライド動作する。セカンダリプーリ43は、バリエータ出力軸41の同軸上に配された固定プーリ43aとスライドプーリ43bにより構成され、スライドプーリ43bは、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psecによりスライド動作する。プーリベルト44は、プライマリプーリ42のV字形状をなすシーブ面と、セカンダリプーリ43のV字形状をなすシーブ面に掛け渡されている。このプーリベルト44は、環状リングを内から外へ多数重ね合わせた2組の積層リングと、打ち抜き板材により形成され、2組の積層リングに沿って挟み込みにより環状に積層して取り付けられた多数のエレメントにより構成されている。なお、プーリベルト44としては、プーリ進行方向に多数配列したチェーンエレメントを、プーリ軸方向に貫通するピンにより結合したチェーンタイプのベルトであっても良い。
終減速機構5は、バリエータ出力軸41からのバリエータ出力回転を減速すると共に差動機能を与えて左右の駆動輪6,6に伝達する機構である。この終減速機構5は、減速ギア機構として、バリエータ出力軸41に設けられたアウトプットギア52と、アイドラ軸50に設けられたアイドラギア53及びリダクションギア54と、デフケースの外周位置に設けられたファイナルギア55と、を有する。そして、差動ギア機構として、左右のドライブ軸51,51に介装されたディファレンシャルギア56を有する。
エンジン車の制御系は、図1に示すように、油圧制御系を代表する油圧制御ユニット7と、電子制御系を代表するCVTコントロールユニット8と、を備えている。
油圧制御ユニット7は、プライマリ圧室45に導かれるプライマリ圧Ppri、セカンダリ圧室46に導かれるセカンダリ圧Psec、前進クラッチ31への前進クラッチ圧Pfc、後退ブレーキ32への後退ブレーキ圧Prb、等を調圧するユニットである。この油圧制御ユニット7は、走行用駆動源であるエンジン1により回転駆動されるオイルポンプ70と、オイルポンプ70からの吐出圧に基づいて各種の制御圧を調圧する油圧制御回路71と、を備える。油圧制御回路71には、ライン圧ソレノイド弁72と、プライマリ圧ソレノイド弁73と、セカンダリ圧ソレノイド弁74と、セレクトソレノイド弁75と、ロックアップ圧ソレノイド弁76と、を有する。なお、各ソレノイド弁72,73,74,75,76は、CVTコントロールユニット8から出力される制御指令値によって各指令圧に調圧する。
ライン圧ソレノイド弁72は、CVTコントロールユニット8から出力されるライン圧指令値に応じ、オイルポンプ70からの吐出圧を、指令されたライン圧PLに調圧する。このライン圧PLは、各種の制御圧を調圧する際の元圧であり、駆動系を伝達するトルクに対してベルト滑りやクラッチ滑りを抑える油圧とされる。
プライマリ圧ソレノイド弁73は、CVTコントロールユニット8から出力されるプライマリ圧指令値に応じ、ライン圧PLを元圧として指令されたプライマリ圧Ppriに減圧調整する。セカンダリ圧ソレノイド弁74は、CVTコントロールユニット8から出力されるセカンダリ圧指令値に応じ、ライン圧PLを元圧として指令されたセカンダリ圧Psecに減圧調整する。
セレクトソレノイド弁75は、CVTコントロールユニット8から出力される前進クラッチ圧指令値又は後退ブレーキ圧指令値に応じ、ライン圧PLを元圧として指令された前進クラッチ圧Pfc又は後退ブレーキ圧Prbに減圧調整する。
ロックアップ圧ソレノイド弁76は、CVTコントロールユニット8から出力されるロックアップ圧指令値に応じ、ロックアップクラッチ20を締結/スリップ締結/解放するロックアップ制御圧PL/Uを調整する。
CVTコントロールユニット8は、ライン圧制御や変速制御、前後進切替制御やロックアップ制御等を行う。ライン圧制御では、アクセル開度等に応じた目標ライン圧を得る指令値を、ライン圧ソレノイド弁72に出力する。変速制御では、目標変速比(目標プライマリ回転Npri*)を決めると、この決めた目標変速比(目標プライマリ回転Npri*)を得る指令値を、プライマリ圧ソレノイド弁73及びセカンダリ圧ソレノイド弁74に出力する。前後進切替制御では、選択されているレンジ位置に応じて前進クラッチ31と後退ブレーキ32の締結/解放を制御する指令値を、セレクトソレノイド弁75に出力する。ロックアップ制御では、ロックアップクラッチ20を締結/スリップ締結/解放するロックアップ制御圧PL/Uを制御する指令値を、ロックアップ圧ソレノイド弁76に出力する。
CVTコントロールユニット8には、プライマリ回転センサ80、車速センサ81、セカンダリ圧センサ82、油温センサ83、インヒビタスイッチ84、ブレーキスイッチ85、アクセル開度センサ86、前後Gセンサ87、タービン回転センサ89、セカンダリ回転センサ90等からのセンサ情報やスイッチ情報が入力される。また、エンジンコントロールユニット88には、エンジン回転センサ12からのセンサ情報が入力される。CVTコントロールユニット8は、例えば、エンジンコントロールユニット88からエンジントルク情報を入力し、エンジンコントロールユニット88へエンジントルクリクエストを出力する。なお、CVTコントロールユニット8とエンジンコントロールユニット88は、CAN通信線13により情報交換可能に接続されている。
図2は、Dレンジ選択時に自動変速モードでの無段変速制御をバリエータ4により実行する際に用いられるDレンジ無段変速スケジュールの一例を示す。
「Dレンジ変速モード」は、車両運転状態に応じて変速比を自動的に無段階に変更する自動変速モードである。「Dレンジ変速モード」での変速制御は、車速VSP(車速センサ81)とアクセル開度APO(アクセル開度センサ86)により特定される図2のDレンジ無段変速スケジュール上での運転点(VSP,APO)により、目標プライマリ回転数Npri*を決める。そして、プライマリ回転センサ80からのプライマリ回転数Npriを、目標プライマリ回転数Npri*に一致させるプーリ油圧制御により行われる。
即ち、「Dレンジ変速モード」で用いられるDレンジ無段変速スケジュールは、図2に示すように、運転点(VSP,APO)に応じて最Low変速比と最High変速比による変速比幅の範囲内で変速比を無段階に変更するように設定されている。例えば、車速VSPが一定のときは、アクセル踏み込み操作を行うと目標プライマリ回転数Npri*が上昇してダウンシフト方向に変速し、アクセル戻し操作を行うと目標プライマリ回転数Npri*が低下してアップシフト方向に変速する。アクセル開度APOが一定のときは、車速VSPが上昇するとアップシフト方向に変速し、車速VSPが低下するとダウンシフト方向に変速する。
[ロックアップ解放制御装置構成]
図3は、実施例1のロックアップ解放制御装置を示す。以下、図3に基づいてロックアップ解放制御装置構成を説明する。
ロックアップ解放制御装置は、図3に示すように、ロックアップクラッチ20と、ロックアップソレノイド弁76と、ロックアップ制御部8aと、を備えている。そして、ロックアップ制御部8aへ入力情報を提供する主なセンサ・スイッチ類として、プライマリ回転センサ80と、車速センサ81と、ブレーキスイッチ85と、アクセル開度センサ86と、前後Gセンサ87と、セカンダリ回転センサ90とを備えている。
ロックアップクラッチ20は、トルクコンバータ2と並列に設けられる。セレクトレバー91によりNレンジからDレンジへのセレクト操作を行って発進し、例えば、車速がロックアップ開始車速になると、発進開始時に解放状態のロックアップクラッチ20がロックアップ締結制御により締結される。逆に、Dレンジ走行中に締結状態のロックアップクラッチ20は、減速走行により車速がロックアップ解除車速まで低下すると解放される。
ロックアップソレノイド弁76は、CVTコントロールユニット8からの指令値によりロックアップクラッチ20の差圧(ロックアップ制御圧PL/U)を制御する弁であり、クラッチ状態を締結状態/スリップ締結状態/解放状態とする。
プライマリ回転センサ80とセカンダリ回転センサ90は、プライマリ回転数Npriに対するセカンダリ回転数Nsecの比によりバリエータ4の実変速比を検出する。車速センサ81は、エンジン車が走行するときの車両速度である車速VSPを検出する。ブレーキスイッチ85は、スイッチ信号がOFFからONに変化することによりブレーキ操作を検出する。アクセル開度センサ86は、運転者によるアクセル操作量であるアクセル開度APOを検出する。前後Gセンサ87は、走行中に車両進行方向の加速度+XG及び減速度-XGを検出する。
ロックアップ制御部8aは、ベルト式無段変速機CVTの電子制御デバイスであるCVTコントロールユニット8に設けられ、ロックアップ締結制御処理とロックアップ解放制御処理を行う。ロックアップ解放制御処理では、ロックアップクラッチ20が締結状態のコースト走行中にブレーキOFFからブレーキON操作された際、ブレーキON操作による初期減速度(=初期減速G)を検出する。そして、初期減速Gの絶対値が大きいほどロックアップ解除車速(=LU解除車速)を高く設定する。そして、ブレーキON操作によるブレーキ減速シーンの途中で、設定されたLU解除車速以下となる車速VSPを検出すると、ロックアップクラッチ20を解放する制御を行う。
このロックアップ制御部8aには、初期減速Gに対する減速度段差(=G段差)の限界ラインを示すG段差限界ラインマップ(図6)と、初期減速Gに対する減速度傾き(=G傾き)の限界ラインを示すG傾き限界ラインマップ(図7)と、が予め設定されている。
ここで、「初期減速G」とは、図4に示すように、時刻t1にてブレーキOFFからブレーキON操作された際、時刻t1の直後にブレーキON操作で発生する車両前後Gの低下幅をいう。「G段差」とは、図4に示すように、時刻t2にてロックアップクラッチ20を解放するとき、低下した減速Gが加速方向に復帰するときの前後Gの段差幅をいう。「G傾き」とは、図4に示すように、時刻t2にてロックアップクラッチ20を解放するとき、低下した減速Gが加速方向に復帰するときの減速Gの上昇傾きをいう。
G段差限界ライン特性は、図6に示すように、ロックアップクラッチ20を解放するときの初期減速Gに対して押し出され感を基準としてG段差の官能評価を複数の異なるパターンで行う。そして、押し出され感による車両挙動の変化として許容される官能評価点(OK評価点)と車両挙動の変化として許容されない官能評価点(NG評価点)を分け、OK評価点の境界線を限界ライン(限界ライン上はOK評価点)とする。
G傾き限界ライン特性は、図7に示すように、ロックアップクラッチを解放するときの初期減速Gに対して押し出され感を基準としてG傾きの官能評価を複数の異なるパターンで行う。そして、押し出され感による車両挙動の変化として許容される官能評価点(OK評価点)と車両挙動の変化として許容されない官能評価点(NG評価点)を分け、OK評価点の境界線を限界ライン(限界ライン上はOK評価点)とする。
そして、ロックアップ解放制御として、押し出され感による車両挙動の変化として許容される官能評価とするには、G段差とG傾きを同時に満足しなければならない。G段差とG傾きの両者によるOK領域を、初期減速度大・初期減速度中・初期減速度小に分けて示したものが図5である。つまり、初期減速度大のときOK領域(点線領域)が最も広くなり、初期減速度中(破線領域)、初期減速度小(実線領域)に向かうにしたがってOK領域が狭くなる。特に、G傾きよりもG段差の方がOK領域の狭くなる間隔が広く、押し出され感による車両挙動の変化への影響は、G段差の方がG傾きより大きいことが分かる。
[ロックアップ解放制御処理構成]
図4は、実施例1のCVTコントロールユニット8のロックアップ制御部8aにて実行されるロックアップ解放制御処理の流れを示す。以下、実施例1のロックアップ解放制御処理構成をあらわす図4の各ステップについて説明する。なお、“LU”は“ロックアップ”の略称であり、“D/S”は“ドライブシャフト”の略称であり、“T/C”は“トルクコンバータ”の略称である。
ステップS1では、ロックアップクラッチ20が締結状態であるか否かを判断する。YES(LU締結状態)の場合はステップS2へ進み、NO(LU解放状態)の場合はステップS17へ進む。
ここで、「LU締結状態」とは、ロックアップクラッチ20が差回転の発生を許容しない締結状態をいう。即ち、ロックアップクラッチ20に対し締結油圧が加えられ、且つ、クラッチ入力回転数とクラッチ出力回転数が一致するときに「LU締結状態」と判断される。そして、ステップS16へ進むLU解放制御処理によりロックアップクラッチ20が解放されると、「LU解放状態」と判断される。
ステップS2では、ステップS1でのLU締結状態であるとの判断に続き、アクセルペダルからの足離し操作によるアクセルOFFであるか否かを判断する。YES(アクセルOFF)の場合はステップS3へ進み、NO(アクセルON)の場合はステップS1へ戻る。
ここで、アクセルOFF(コースト走行)であるか否かの判断は、アクセル開度センサ86からの「アクセル開度=0」の検出により行う。なお、アクセルスイッチが設けられている場合は、スイッチ信号により判断しても良い。
ステップS3では、ステップS2でのアクセルOFFであるとの判断に続き、ブレーキ踏み込み操作によるブレーキOFFからブレーキONであるか否かを判断する。YES(ブレーキOFFからブレーキON)の場合はステップS4へ進み、NO(ブレーキOFF)の場合はステップS1へ戻る。
ここで、ブレーキOFFからブレーキON(ブレーキ減速開始)であるか否かの判断は、ブレーキスイッチ85からのスイッチ信号の切り替わり検出により行う。なお、ブレーキストロークセンサが設けられている場合は、ブレーキ踏み込みストローク量が所定量以上発生することにより判断しても良い。
ステップS4では、ステップS3でのブレーキOFFからブレーキONであるとの判断に続き、ブレーキON操作による初期減速Gを検出し、初期減速Gを検出した後、ステップS5とステップS9へと進む。
ここで、初期減速Gの検出は、前後Gセンサ87からのセンサ値によりブレーキON操作で発生する車両前後Gの低下を監視し、車両前後Gの低下が収束して所定時間だけ一定の車両前後Gが維持されると、維持されたときのセンサ値を初期減速Gとして取得する。そして、初期減速Gを検出した後、ステップS5〜S8へ進む処理はLU解除車速の算出処理であり、ステップS9〜S12へ進む処理は、LU油圧傾きの算出処理であり、並行して両算出処理が実行される。
ステップS5では、ステップS4での初期減速Gの検出に続き、G段差限界ライン特性を用いて初期減速GからG段差を算出し、ステップS6へ進む。
ここで、G段差限界ライン特性は、図9に示すように、ロックアップクラッチ20を解放するときの初期減速Gに対して押し出され感を基準とし、図6のようにG段差の官能評価をすることで予め設定されている。そして、例えば、検出された初期減速Gを点Aとすると、点Aから縦に引いた線上であって限界ライン近傍のOK領域内に点Bを決め、点Bから横に引いた線がG段差軸と交差する位置の点CをG段差とする。なお、点Bは、限界ライン上に決めても良いし、予め限界ラインから所定乖離幅による位置、つまり、限界ラインの少し内側の位置に決めても良い。
ステップS6では、ステップS5での初期減速G→G段差の算出に続き、車両感度特性を用いて算出されたG段差からD/Sトルク段差を算出し、ステップS7へ進む。
ここで、車両感度特性は、図10に示すように、G段差に対するD/Sトルク段差の車両感度として、エンジン車の車重(小さいほど感度大)とタイヤ径(小さいほど感度大)により決まる感度の大きさを勾配角度とする特性に予め設定されている。そして、例えば、算出されたG段差である点Cから横に引いた線が車両感度特性と交差する位置を点Dとすると、点Dから縦に引いた線がD/Sトルク段差軸と交差する位置の点EをD/Sトルク段差とする。
ステップS7では、ステップS6でのG段差→D/Sトルク段差の算出に続き、変速比特性を用いてD/Sトルク段差からLUトルク段差を算出し、ステップS8へ進む。
ここで、変速比特性は、図11に示すように、最終的なLU解除車速が算出される前の先読みLU解除車速によりLU解放する時のバリエータレシオ(固定変速比)の特性に設定される。なお、先読みLU解除車速としては、予め設定しておいた車速固定値を用いても良いし、初期減速Gの大きさによる車速可変値を用いても良い。そして、例えば、算出されたD/Sトルク段差である点Eから縦に引いた線が変速比特性と交差する位置を点Fとすると、点Fから横に引いた線がLUトルク段差軸と交差する位置の点GをLUトルク段差とする。
ステップS8では、ステップS7でのD/Sトルク段差→LUトルク段差の算出に続き、コーストトルク特性を用いてLUトルク(エンジントルク)段差からLU解除車速を算出し、ステップS13へ進む。
ここで、コーストトルク特性は、図12に示すように、アクセルOFFによるコースト走行時のコースト変速線(車速)とコーストトルクの関係により予め設定されている。そして、例えば、算出されたLUトルク段差である点Gから横に引いた線がコーストトルク特性と交差する位置を点Hとすると、点Hから縦に引いた線がLU解除車速軸と交差する位置の点IをLU解除車速とする。
ステップS9では、ステップS4での初期減速Gの検出に続き、G傾き限界ライン特性を用いて初期減速GからG傾きを算出し、ステップS10へ進む。
ここで、G傾き限界ライン特性は、図13に示すように、ロックアップクラッチ20を解放するときの初期減速Gに対して押し出され感を基準とし、図7のようにG傾きの官能評価をすることで予め設定されている。そして、例えば、検出された初期減速Gを点Aとすると、点Aから縦に引いた線上であって限界ライン近傍のOK領域内に点Jを決め、点Jから横に引いた線がG傾き軸と交差する位置の点KをG傾きとする。なお、点Jは、限界ライン上に決めても良いし、予め限界ラインから所定乖離幅による位置、つまり、限界ラインの少し内側の位置に決めても良い。
ステップS10では、ステップS9での初期減速G→G傾きの算出に続き、車両感度特性を用いて算出されたG傾きからD/Sトルク傾きを算出し、ステップS11へ進む。
ここで、車両感度特性は、図14に示すように、G傾きに対するD/Sトルク傾きの車両感度として、エンジン車の車重(小さいほど感度大)とタイヤ径(小さいほど感度大)により決まる感度の大きさを勾配角度とする特性に予め設定されている。そして、例えば、算出されたG傾きである点Kから横に引いた線が車両感度特性と交差する位置を点Lとすると、点Lから縦に引いた線がD/Sトルク傾き軸と交差する位置の点MをD/Sトルク傾きとする。
ステップS11では、ステップS10でのG傾き→D/Sトルク傾きの算出に続き、変速比特性を用いてD/Sトルク傾きからLUトルク傾きを算出し、ステップS12へ進む。
ここで、変速比特性は、図15に示すように、最終的なLU解除車速が算出される前の先読みLU解除車速によりLU解放する時のバリエータレシオ(固定変速比)の特性に設定される。なお、先読みLU解除車速としては、予め設定しておいた車速固定値を用いても良いし、初期減速Gの大きさによる車速可変値を用いても良い。そして、例えば、算出されたD/Sトルク傾きである点Mから縦に引いた線が変速比特性と交差する位置を点Nとすると、点Nから横に引いた線がLUトルク傾き軸と交差する位置の点OをLUトルク傾きとする。
ステップS12では、ステップS11でのD/Sトルク傾き→LUトルク傾きの算出に続き、T/C差圧容量特性を用いてLUトルク傾きからLU油圧傾きを算出し、ステップS13へ進む。
ここで、T/C差圧容量特性は、図16に示すように、トルクコンバータ2の差圧容量に制御されるロックアップクラッチ20のLUトルク傾きとLU油圧傾きの関係によりT/C差圧容量特性上限として予め設定されている。そして、例えば、算出されたLUトルク傾きである点Oから横に引いた線がコーストトルク特性と交差する位置を点Pとすると、点Pから縦に引いた線がLU油圧傾き軸と交差する位置の点QをLU油圧傾きとする。
ステップS13では、ステップS8でのLU解除車速の算出、及び、ステップS12でのLU油圧傾きの算出に続き、ロックアップクラッチ20の解放完了時におけるエンジン回転数推定値Neoffが下限エンジン回転数Nelow未満であるか否かを判断する。YES(エンジン回転数推定値Neoff<下限エンジン回転数Nelow)の場合はステップS14へ進み、NO(エンジン回転数推定値Neoff≧下限エンジン回転数Nelow)の場合はステップS15へ進む。
ここで、「解放完了時におけるエンジン回転数推定値Neoff」とは、ステップS8,S12で算出されたLU解除車速とLU油圧傾きにしたがってロックアップクラッチ20の解放制御の実施を推定したときのLU解放完了時におけるエンジン回転数をいう。「下限エンジン回転数Nelow」とは、エンジンストールに至らないエンジン回転数の低下制限回転数をいう。
ステップS14では、ステップS13でのエンジン回転数推定値Neoff<下限エンジン回転数Nelowであるとの判断に続き、ステップS8で算出されたLU解除車速を、新たに算出したLU解除車速に書き替え、ステップS15へ進む。
ここで、「新たに算出したLU解除車速」とは、LU解放完了時におけるエンジン回転数推定値が下限エンジン回転数になるように、ステップS8で算出されたLU解除車速を、LU解除開始を早めるように高車速側に補正したLU解除車速をいう。具体的には、解放完了タイミングから、解放傾き(LU油圧傾き)で逆算して解放開始タイミング(新たなLU解除車速)を決める。
ステップS15では、ステップS13でのエンジン回転数推定値Neoff≧下限エンジン回転数Nelowであるとの判断、或いは、ステップS14でのLU解除車速に書き替えに続き、車速センサ81により検出される車速VSPがLU解除車速に到達したか否かを判断する。YES(車速がLU解除車速に到達)の場合はステップS16へ進み、NO(車速がLU解除車速に未到達)の場合はステップS15の判断を繰り返す。
ステップS16では、ステップS15での車速がLU解除車速に到達したとの判断に続き、算出されたLU油圧傾きにより締結状態のロックアップクラッチ20を解放するロックアップ解放制御を実行し、リターンへ進む。
ステップS17では、ステップS1でのLU解放状態であるとの判断に続き、解放状態のロックアップクラッチ20を締結するロックアップ締結制御を実行し、リターンへ進む。
ここで、「ロックアップ締結制御」としては、車速が予め設定しているLU締結車速に到達すると、ロックアップクラッチ20の締結を開始するような制御としても良いし、他の条件設定によりロックアップクラッチ20の締結制御を行うものとしても良い。
次に、作用を説明する。
実施例1の作用を、「ロックアップ解放制御の課題と課題解決方法」、「ロックアップ解放制御処理作用」、「G段差によるLU解除車速設定作用」、「G傾きによるLU油圧傾き設定作用」、「車両感度と変速比によるLU解除車速補正作用」、「車両感度と変速比によるLU油圧傾き補正作用」に分けて説明する。
[ロックアップ解放制御の課題と課題解決方法]
従来のロックアップ解放制御では、ロックアップ解放の開始ポイントとなるロックアップ解除車速を、アクセル開度・車速・回転・トルク・レンジ情報・ギア段等の多種のパラメータを用いて、車種毎に設定していた。そして、ブレーキ減速シーン等において、車速がロックアップ解除車速まで低下すると、ロックアップクラッチの解放を開始していた。
しかし、従来のロックアップ解放制御は、多種のパラメータでロックアップ解放の開始ポイントを判定する制御となっていたため、ロックアップ解除車速を設定する際、確認工数がかかるし、設定ミスが多発する、という課題があった。即ち、多種のパラメータ条件で実機確認が必要となるし、条件によってばらつく車両挙動の変化の官能評価に対して1つのロックアップ解除車速を代用として設定していたため、チューニングしながら車両挙動の変化の官能評価の確認を行うことになり、実験工数も膨大となっていた。
(A)上記課題を解決するためには、本発明者等は、ロックアップ解除車速を1つの固定値で与えるのではなく、可変値で与えることが必要と考えた。そして、ロックアップ解除車速を設定するに際し、ブレーキON操作による初期減速Gの大きさが、車両挙動の変化の官能評価に与える影響が大きいことを知見した。
(B) 即ち、ブレーキON操作による初期減速Gの絶対値が大きいほど、前後Gの低下による“引き込まれ感”が大きい。一方、LU解放による“押し出され感”の大きさは、LU解放に伴う前後Gの変動幅である「G段差」の大きさと前後Gの変動勾配である「G傾き」の大きさによってあらわされる。そして、初期減速Gと車両挙動の変化の官能評価との関係は、初期減速Gの絶対値が大きいと“引き込まれ感”が大きいことで、LU解放による“押し出され感(G段差大、G傾き大)”が大きくても官能評価としてはこれを許容する。逆に、初期減速Gの絶対値が小さいと“引き込まれ感”が小さいことで、官能評価としてはLU解放による小さな“押し出され感(G段差小、G傾き小)”までしか許容しない(図5参照)。
(C)そこで、ロックアップクラッチ20が締結された状態で走行中にブレーキOFFからブレーキON操作された際、ブレーキON操作による初期減速Gを検出し、車両挙動の変化の官能評価に合わせて初期減速Gの絶対値が大きいほどLU解除車速を高く設定するようにした。これにより、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチ20の解放により発生する車両挙動の変化を乗員の許容レベル以下に抑制することができる。
(D)さらに、同じ初期減速Gであると同じLU解除車速に設定されるが、同じLU解除車速であっても車両仕様により決まる前後Gの変動によるショック感度(=車両感度)によって乗員が許容する官能評価に影響を与える点に着目した。そこで、車両感度を左右する車重・タイヤ径を用い、車両感度が高いほど初期減速Gにより算出されたLU解除車速を低車速側に補正するようにした。これにより、車両感度の高低にかかわらず、車両挙動の変化を乗員の許容レベル以下に抑制することができる。
(E)また、同じ初期減速Gであると同じLU解除車速に設定されるが、同じLU解除車速であってもLU解放時のバリエータ4の変速比によって乗員が許容する官能評価に影響を与える点に着目した。そこで、LU解放時のバリエータ4の変速比を推定し、推定変速比がロー変速比であるほど初期減速Gにより算出されたLU解除車速を低車速側に補正するようにした。これにより、LU解放時のバリエータ4の変速比にかかわらず、車両挙動の変化を乗員の許容レベル以下に抑制することができる。
(F)LU解放時における“押し出され感”は、「LU解除車速」と対応関係にある「G段差」と、「LU油圧傾き」と対応関係にある「G傾き」によりあらわされる。このため、「初期減速G」と「G段差」の組み合わせを用いて「LU解除車速」を算出し、「初期減速G」と「G傾き」の組み合わせを用いて「LU油圧傾き」を算出するようにした。これにより、LU解放時において、初期減速Gの発生に対して意図する“押し出され感”を実現することができる。
[ロックアップ解放制御処理作用]
以下、図8に示すフローチャートに基づいて、上記課題解決方法を具現化させたロックアップ解放制御処理作用を説明する。
ロックアップクラッチ20が解放状態であり、且つ、アクセル足離しによるコースト走行状態でブレーキON操作により減速すると、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む。ステップS4では、ブレーキON操作による初期減速Gが検出される。ステップS4にて初期減速Gが検出されると、初期減速Gの検出に続いて、ステップS5〜S8によるLU解除車速の算出処理と、ステップS9〜S12によるLU油圧傾きの算出処理とが実行される。
LU解除車速の算出処理を説明する。ステップS5では、ステップS4での初期減速Gの検出に続いて、G段差限界ライン特性を用いて初期減速GからG段差が算出される。次のステップS6では、ステップS5での初期減速G→G段差の算出に続いて、車両感度特性を用いて算出されたG段差からD/Sトルク段差が算出される。次のステップS7では、ステップS6でのG段差→D/Sトルク段差の算出に続いて、変速比特性を用いてD/Sトルク段差からLUトルク段差が算出される。次のステップS8では、ステップS7でのD/Sトルク段差→LUトルク段差の算出に続いて、コーストトルク特性を用いてLUトルク(エンジントルク)段差からLU解除車速が算出される。
LU油圧傾きの算出処理を説明する。ステップS9では、ステップS4での初期減速Gの検出に続いて、G傾き限界ライン特性を用いて初期減速GからG傾きが算出される。次のステップS10では、ステップS9での初期減速G→G傾きの算出に続いて、車両感度特性を用いて算出されたG傾きからD/Sトルク傾きが算出される。次のステップS11では、ステップS10でのG傾き→D/Sトルク傾きの算出に続いて、変速比特性を用いてD/Sトルク傾きからLUトルク傾きが算出される。次のステップS12では、ステップS11でのD/Sトルク傾き→LUトルク傾きの算出に続いて、T/C差圧容量特性を用いてLUトルク傾きからLU油圧傾きが算出される。
LU解除車速の算出処理とLU油圧傾きの算出処理を完了すると、ステップS8及びステップS12からステップS13へ進む。ステップS13では、ロックアップクラッチ20の解放完了時におけるエンジン回転数推定値Neoffが下限エンジン回転数Nelow未満であるか否かが判断される。ステップS13でエンジン回転数推定値Neoff<下限エンジン回転数Nelowと判断された場合はステップS14へ進み、ステップS14では、ステップS8で算出されたLU解除車速が、新たに算出したLU解除車速に書き替えられる。つまり、ステップS8で算出されたLU解除車速を用いるとエンジンストールの可能性があるときは、LU解放完了時におけるエンジン回転数推定値が下限エンジン回転数になるように、ステップS8で算出されたLU解除車速が高車速側に補正される。
ステップS13でエンジン回転数推定値Neoff≧下限エンジン回転数Nelowと判断された場合、或いは、ステップS14でLU解除車速が書き替えられた場合は、ステップS15へ進む。ステップS15では、車速センサ81により検出される車速VSPがLU解除車速に到達したか否かが判断され、車速がLU解除車速に未到達の場合はステップS15の判断が繰り返される。そして、車速がLU解除車速に到達すると、ステップS15からステップS16へ進み、ステップS16では、算出されたLU油圧傾きにより締結状態のロックアップクラッチ20を解放するロックアップ解放制御が実行される。
一方、ロックアップクラッチ20が解放状態であると、ステップS1→ステップS17→リターンへと進む流れが繰り返される。ステップS17では、ステップS1でのLU解放状態であるとの判断に続いて、解放状態のロックアップクラッチ20を締結するロックアップ締結制御が実行される。ロックアップ締結制御では、例えば、車速が予め設定しているLU締結車速に到達すると、ロックアップクラッチ20の締結を開始する制御が実行されることになる。
[G段差によるLU解除車速設定作用]
図9〜図12を用いてブレーキ減速シーンで初期減速Gの絶対値が大きくなったときのG段差によるLU解除車速設定作用を説明する。
ブレーキ操作による初期減速Gの絶対値が小さいブレーキ減速シーンであって、検出された初期減速Gが図9に示す点Aであったとする。この初期減速Gの絶対値が小さいときは、点Aから縦に引いた線上であって限界ライン近傍のOK領域内に点Bが決められ、点Bから横に引いた線がG段差軸と交差する位置の点CがG段差とされる。
一方、ブレーキ減速シーンであって初期減速Gの絶対値が大きく、図9に示すように、検出された初期減速Gを点A’とする。この初期減速Gの絶対値が大きいときは、点A’から縦に引いた線上であって限界ライン近傍のOK領域内に点B’が決められ、点B’から横に引いた線がG段差軸と交差する位置の点C’がG段差とされる。つまり、ブレーキ減速シーンのとき、初期減速Gの絶対値が大きくなり点Aから点A’に移ると、G段差が点Cから点C’に移るというように、許容されるG段差が大きくなる。
このため、車両感度特性を用いてG段差からD/Sトルク段差を算出すると、図10に示すように、D/Sトルク段差が点Eから点E’に移り、許容されるD/Sトルク段差が大きくなる。そして、変速比特性を用いてD/Sトルク段差からLUトルク段差を算出すると、図11に示すように、LUトルク段差が点Gから点G’に移り、許容されるLUトルク段差が大きくなる。さらに、コーストトルク特性を用いてLUトルク段差からLU解除車速を算出すると、図12に示すように、LU解除車速が点Iから点I’に移る。つまり、ブレーキ減速シーンのとき、初期減速Gの絶対値が小さいときのLU解除車速よりも初期減速Gの絶対値が大きいときのLU解除車速が高くなる。
この結果、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチ20の解放により発生するG段差を、図9に示すように、乗員の官能評価としてOK領域に存在する許容レベル以下に抑制することができる。
[G傾きによるLU油圧傾き設定作用]
図13〜図16を用いてブレーキ減速シーンで初期減速Gの絶対値が大きくなったときのG段差によるLU解除車速設定作用を説明する。
ブレーキ操作による初期減速Gの絶対値が小さいブレーキ減速シーンであって、検出された初期減速Gが図13に示す点Aであったとする。この初期減速Gの絶対値が小さいときは、点Aから縦に引いた線上であって限界ライン近傍のOK領域内に点Jが決められ、点Jから横に引いた線がG傾き軸と交差する位置の点KがG傾きとされる。
一方、ブレーキ減速シーンであって初期減速Gの絶対値が大きく、図13に示すように、検出された初期減速Gを点A’とする。この初期減速Gの絶対値が大きいときは、点A’から縦に引いた線上であって限界ライン近傍のOK領域内に点J’が決められ、点J’から横に引いた線がG傾き軸と交差する位置の点K’がG傾きとされる。つまり、ブレーキ減速シーンのとき、初期減速Gの絶対値が大きくなり点Aから点A’に移ると、G傾きが点Kから点K’に移るというように、許容されるG傾きが大きくなる。但し、初期減速Gの絶対値に変化幅に対するG傾きの変化幅は、G段差の変化幅に比べて小さくなる。
このため、車両感度特性を用いてG傾きからD/Sトルク傾きを算出すると、図14に示すように、D/Sトルク傾きが点Mから点M’に移り、許容されるD/Sトルク傾きが大きくなる。そして、変速比特性を用いてD/Sトルク傾きからLUトルク傾きを算出すると、図15に示すように、LUトルク傾きが点Oから点O’に移り、許容されるLUトルク傾きが大きくなる。さらに、コーストトルク特性を用いてLUトルク傾きからLU油圧傾きを算出すると、図16に示すように、LU油圧傾きが点Qから点Q’に移る。つまり、ブレーキ減速シーンのとき、初期減速Gの絶対値が小さいときのLU油圧傾きよりも初期減速Gの絶対値が大きいときのLU油圧傾きが大きくなる。
この結果、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチ20の解放により発生するG傾きを、図13に示すように、乗員の官能評価としてOK領域に存在する許容レベル以下に抑制することができる。
[車両感度と変速比によるLU解除車速補正作用]
車両感度によるLU解除車速の補正作用を、図10に基づいて説明する。
まず、初期減速Gに対するG段差が点Cであり車両感度特性が図10の実線特性であるとする。この場合、G段差である点Cから横に引いた線が車両感度特性と交差する位置を点Dとすると、点Dから縦に引いた線がD/Sトルク段差軸と交差する位置の点EがD/Sトルク段差となる。
これに対し、初期減速Gに対するG段差が点Cであるが、車両感度特性が高感度側となって図10の1点鎖線特性であるとする。この場合、G段差である点Cから横に引いた線が車両感度特性と交差する位置を点D”とすると、点D”から縦に引いた線がD/Sトルク段差軸と交差する位置の点E”がD/Sトルク段差となる。つまり、D/Sトルク段差が点EでのD/Sトルク段差に比べて小さくなり、初期減速Gにより算出されるLU解除車速は、初期減速Gが同じであっても車両感度が高くなると、低車速側に補正されることになる。
この結果、ブレーキ減速シーンの際、車両感度の高低にかかわらず、ロックアップクラッチ20の解放により発生するG段差を、図9に示すように、乗員の官能評価としてOK領域に存在する許容レベル以下に抑制することができる。
次に、変速比によるLU解除車速の補正作用を、図11に基づいて説明する。
まず、初期減速Gに対するD/Sトルク段差が点Eであり変速比特性が図11の実線特性であるとする。この場合、D/Sトルク段差である点Eから縦に引いた線が変速比特性と交差する位置を点Fとすると、点Fから横に引いた線がLUトルク段差軸と交差する位置の点GがLUトルク段差となる。
これに対し、初期減速Gに対するD/Sトルク段差が点Eであるが、変速比特性が実線特性よりロー変速比側となって図11の1点鎖線特性であるとする。この場合、D/Sトルク段差である点Eから縦に引いた線が変速比特性と交差する位置を点F”とすると、点F”から横に引いた線がLUトルク段差軸と交差する位置の点G”がLUトルク段差となる。つまり、LUトルク段差が点GでのLUトルク段差に比べて小さくなり、初期減速Gにより算出されるLU解除車速は、初期減速Gが同じであっても変速比がロー側になると、低車速側に補正されることになる。
この結果、ブレーキ減速シーンの際、LU解放時のバリエータ4の変速比にかかわらず、ロックアップクラッチ20の解放により発生するG段差を、図9に示すように、乗員の官能評価としてOK領域に存在する許容レベル以下に抑制することができる。
[車両感度と変速比によるLU油圧傾き補正作用]
車両感度によるLU油圧傾きの補正作用を、図14に基づいて説明する。
まず、初期減速Gに対するG傾きが点Kであり車両感度特性が図14の実線特性であるとする。この場合、G傾きである点Kから横に引いた線が車両感度特性と交差する位置を点Lとすると、点Lから縦に引いた線がD/Sトルク段差軸と交差する位置の点MがD/Sトルク段差となる。
これに対し、初期減速Gに対するG段差が点Kであるが、車両感度特性が高感度側となって図14の1点鎖線特性であるとする。この場合、G傾きである点Kから横に引いた線が車両感度特性と交差する位置を点L”とすると、点L”から縦に引いた線がD/Sトルク傾き軸と交差する位置の点M”がD/Sトルク傾きとなる。つまり、D/Sトルク傾きが点MでのD/Sトルク傾きに比べて小さくなり、初期減速Gにより算出されるLU解除車速は、初期減速Gが同じであっても車両感度が高くなると、低車速側に補正されることになる。
この結果、ブレーキ減速シーンの際、車両感度の高低にかかわらず、ロックアップクラッチ20の解放により発生するG傾きを、図13に示すように、乗員の官能評価としてOK領域に存在する許容レベル以下に抑制することができる。
次に、変速比によるLU油圧傾きの補正作用を、図15に基づいて説明する。
まず、初期減速Gに対するD/Sトルク傾きが点Mであり変速比特性が図15の実線特性であるとする。この場合、D/Sトルク傾きである点Mから縦に引いた線が変速比特性と交差する位置を点Nとすると、点Nから横に引いた線がLUトルク傾き軸と交差する位置の点OがLUトルク傾きとなる。
これに対し、初期減速Gに対するD/Sトルク傾きが点Mであるが、変速比特性が実線特性よりロー変速比側となって図15の1点鎖線特性であるとする。この場合、D/Sトルク傾きである点Mから縦に引いた線が変速比特性と交差する位置を点N”とすると、点N”から横に引いた線がLUトルク傾き軸と交差する位置の点O”がLUトルク傾きとなる。つまり、LUトルク傾きが点OでのLUトルク傾きに比べて小さくなり、初期減速Gにより算出されるLU油圧傾きは、初期減速Gが同じであっても変速比がロー側になると、傾きを小さくする側(緩やかな傾きにする側)に補正されることになる。
この結果、ブレーキ減速シーンの際、LU解放時のバリエータ4の変速比にかかわらず、ロックアップクラッチ20の解放により発生するG傾きを、図13に示すように、乗員の官能評価としてOK領域に存在する許容レベル以下に抑制することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のベルト式無段変速機CVTのロックアップ解放制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 走行用駆動源(エンジン1)と変速機構(バリエータ4)との間に介装されるトルクコンバータ2と、
トルクコンバータ2に有し、締結によりトルクコンバータ入力軸とトルクコンバータ出力軸を直結するロックアップクラッチ20と、
ロックアップクラッチ20のロックアップ締結制御とロックアップ解放制御を行うロックアップ制御部8aと、を備える。
この自動変速機(ベルト式無段変速機CVT)のロックアップ解放制御装置において、ロックアップ制御部8aは、ロックアップクラッチ20が締結状態のコースト走行中にブレーキOFFからブレーキON操作された際、ブレーキON操作による初期減速度(初期減速G)を検出し、初期減速度(初期減速G)の絶対値が大きいほどロックアップ解除車速(LU解除車速)を高く設定する。
ブレーキON操作によるブレーキ減速シーンの途中で、設定されたロックアップ解除車速(LU解除車速)以下となる車速を検出すると、ロックアップクラッチ20を解放する制御を行う。
このため、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチ20の解放により発生する車両挙動の変化を乗員の許容レベル以下に抑制することができる。
(2) ロックアップ制御部8aは、ロックアップクラッチ20を解放するときの初期減速度(初期減速G)に対して押し出され感を基準として減速度段差(G段差)の官能評価をすることで、許容される官能評価点による限界ラインを予め設定しておく。
初期減速度(初期減速G)の絶対値に対して限界ラインに基づいて決められる許容される減速度段差(G段差)が大きいほどロックアップ解除車速(LU解除車速)を高く設定する。
このため、(1)の効果に加え、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチ20の解放により発生する減速度段差(G段差)を、乗員の官能評価として許容する評価レベルに抑制することができる。
(3) ロックアップ制御部8aは、許容される減速度段差(G段差)により設定されるロックアップ解除車速(LU解除車速)を、車重とタイヤ径による車両感度が高いほど低くする補正を行う。
このため、(2)の効果に加え、ブレーキ減速シーンの際、車両感度の高低にかかわらず、ロックアップクラッチ20の解放により発生する減速度段差(G段差)を、乗員の官能評価として許容する評価レベルに抑制することができる。
(4) ロックアップ制御部8aは、許容される減速度段差(G段差)により設定されるロックアップ解除車速(LU解除車速)を、変速機構(バリエータ4)の変速比がロー変速比であるほど低くする補正を行う。
このため、(2)又は(3)の効果に加え、ブレーキ減速シーンの際、LU解放時のバリエータ4の変速比にかかわらず、ロックアップクラッチ20の解放により発生する減速度段差(G段差)を、乗員の官能評価として許容する評価レベルに抑制することができる。
(5) ロックアップ制御部8aは、変速機構(バリエータ4)の変速比を、ロックアップ解除車速(LU解除車速)を設定するときの変速比ではなく、ロックアップ解除が想定される車速のときの先読み変速比とする。
このため、(4)の効果に加え、変速機構(バリエータ4)の変速比に応じたロックアップ解除車速(LU解除車速)の補正を精度良く行うことができる。
(6) ロックアップ制御部8aは、ロックアップクラッチ20を解放するときの初期減速度(初期減速G)に対して押し出され感を基準として減速度傾き(G傾き)の官能評価をすることで、許容される官能評価点による限界ラインを予め設定しておく。
初期減速度(初期減速G)の絶対値に対して限界ラインに基づいて決められる許容される減速度傾き(G傾き)が大きいほど、ロックアップクラッチ20の解放時に抜くロックアップ油圧の傾き(LU油圧傾き)を大きく設定する。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、ブレーキ減速シーンの際、ロックアップクラッチ20の解放により発生する減速度傾き(G傾き)を、乗員の官能評価として許容する評価レベルに抑制することができる。
以上、本発明の自動変速機のロックアップ解放制御装置を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、ロックアップ制御部8aとして、ブレーキ減速シーンでロックアップクラッチ20を解除するときのLU解除車速とLU油圧傾きを設定する例を示した。しかし、ロックアップ制御部としては、ブレーキ減速シーンでロックアップクラッチを解除するときのLU解除車速のみを設定する例としても良い。
実施例1では、本発明のロックアップ解放制御装置を、自動変速機としてベルト式無段変速機CVTを搭載したエンジン車に適用する例を示した。しかし、本発明のロックアップ解放制御装置は、自動変速機として、ステップATと呼ばれる有段変速機を搭載した車両や副変速機付き無段変速機を搭載した車両等に適用しても良い。また、適用される車両としても、エンジン車に限らず、走行用駆動源にエンジンとモータを搭載したハイブリッド車、走行用駆動源にモータを搭載した電気自動車等に対しても適用できる。

Claims (6)

  1. 走行用駆動源と変速機構との間に介装されるトルクコンバータと、
    前記トルクコンバータに有し、締結によりトルクコンバータ入力軸とトルクコンバータ出力軸を直結するロックアップクラッチと、
    前記ロックアップクラッチのロックアップ締結制御とロックアップ解放制御を行うロックアップ制御部と、
    を備える自動変速機のロックアップ解放制御装置において、
    前記ロックアップ制御部は、前記ロックアップクラッチが締結状態のコースト走行中にブレーキOFFからブレーキON操作された際、ブレーキON操作による初期減速度を検出し、前記初期減速度の絶対値が大きいほどロックアップ解除車速を高く設定し、
    ブレーキON操作によるブレーキ減速シーンの途中で、設定された前記ロックアップ解除車速以下となる車速を検出すると、前記ロックアップクラッチを解放する制御を行う
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ解放制御装置。
  2. 請求項1に記載された自動変速機のロックアップ解放制御装置において、
    前記ロックアップ制御部は、前記ロックアップクラッチを解放するときの初期減速度に対して押し出され感を基準として減速度段差の官能評価をすることで、許容される官能評価点による限界ラインを予め設定しておき、
    前記初期減速度の絶対値に対して前記限界ラインに基づいて決められる許容される減速度段差が大きいほど前記ロックアップ解除車速を高く設定する
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ解放制御装置。
  3. 請求項2に記載された自動変速機のロックアップ解放制御装置において、
    前記ロックアップ制御部は、前記許容される減速度段差により設定される前記ロックアップ解除車速を、車重とタイヤ径による車両感度が高いほど低くする補正を行う
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ解放制御装置。
  4. 請求項2又は3に記載された自動変速機のロックアップ解放制御装置において、
    前記ロックアップ制御部は、前記許容される減速度段差により設定される前記ロックアップ解除車速を、前記変速機構の変速比がロー変速比であるほど低くする補正を行う
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ解放制御装置。
  5. 請求項4に記載された自動変速機のロックアップ解放制御装置において、
    前記ロックアップ制御部は、前記変速機構の変速比を、前記ロックアップ解除車速を設定するときの変速比ではなく、ロックアップ解除が想定される車速のときの先読み変速比とする
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ解放制御装置。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載された自動変速機のロックアップ解放制御装置において、
    前記ロックアップ制御部は、前記ロックアップクラッチを解放するときの初期減速度に対して押し出され感を基準として減速度傾きの官能評価をすることで、許容される官能評価点による限界ラインを予め設定しておき、
    前記初期減速度の絶対値に対して前記限界ラインに基づいて決められる許容される減速度傾きが大きいほど、前記ロックアップクラッチの解放時に抜くロックアップ油圧の傾きを大きく設定する
    ことを特徴とする自動変速機のロックアップ解放制御装置。
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