JP6868484B2 - 遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物 - Google Patents
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Description
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、例えば、コンクリート構造物の補修等に好適に使用することができる。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、アルミナセメントを含む。アルミナセメントの主成分は、カルシウムアルミネートである。アルミニウムセメントの主成分として好ましく用いられるカルシウムアルミネートとしては、例えば、CA、C12A7、C4AF、C2AS等が挙げられる。アルミナセメントは、これらのカルシウムアルミネートのうちの1種のみを含んでいてもよいし、複数種類のカルシウムアルミネートを含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、無水石膏を含む。無水石膏としては、排煙脱硫やフッ酸製造工程等で副産される石膏や、天然に産出される石膏等を用いることができる。モルタル硬化物の強度を向上する観点から、フッ酸無水石膏がより好ましく用いられる。本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、上記無水石膏のうちの1種のみを含んでいてもよいし、複数種類の無水石膏を含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、高炉スラグを含む。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、アルミナセメント、無水石膏及び高炉スラグ以外の成分をさらに含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、炭酸カルシウムを含んでいてもよい。炭酸カルシウムとしては、化学的に精製した炭酸カルシウムを用いてもよいし、石灰石を粉砕した石灰石微粉末や、廃コンクリート等を粉砕した、炭酸カルシウムを主成分として含む材料を用いることができる。遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物の原料コストを低減する観点からは、石灰石がより好ましく用いられる。本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、1種の炭酸カルシウムのみを含んでいてもよいし、複数種類の炭酸カルシウムを含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、シリカフュームを含んでいてもよい。好ましく用いられるシリカフュームとしては、例えば、JIS A 6207−2006「コンクリート用シリカフューム」で規定されるシリカフューム等が挙げられる。本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物にシリカフュームを含有させることにより、モルタル硬化体を緻密化させることができるため、より高強度かつより遮塩性に優れたモルタル硬化体を実現し得る。本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、1種のシリカフュームのみを含んでいてもよいし、複数種類のシリカフュームを含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、細骨材を含んでいてもよい。好ましく用いられる細骨材としては、例えば、珪砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂等の砂類等が挙げられる。本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、1種の細骨材のみを含んでいてもよいし、複数種類の細骨材を含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、流動化剤を含んでいてもよい。好ましく用いられる流動化剤としては、例えば、減水効果、好適な流動性を併せ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリカルボン酸系流動化剤、ポリエーテル系流動化剤、ポリエーテルカルボン酸等が挙げられる。なかでも、ポリカルボン酸系流動化剤、ポリエーテル系流動化剤、ポリエーテルカルボン酸が流動化剤としてより好ましく用いられ、ポリカルボン酸エステルがさらに好ましく用いられる。本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、1種の流動化剤のみを含んでいてもよいし、複数種類の流動化剤を含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、凝結遅延剤を含んでいてもよい。好ましく用いられる凝結遅延剤としては、例えば、オキシカルボン酸類等の有機酸や、グルコース、マルトース、デキストリン等の糖類、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。オキシカルボン酸類の具体例としては、例えば、オキシカルボン酸及びこれらの塩等が挙げられる。オキシカルボン酸の具体例としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸等の脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸等の芳香族オキシ酸等が挙げられる。オキシカルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩及びカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩及びマグネシウム塩等)等が挙げられる。これらのなかでも、ナトリウム塩がより好ましく用いられ、酒石酸ナトリウムがさらに好ましく用いられ、酒石酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムとを併用することがさらに好ましい。本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、1種の凝結遅延剤のみを含んでいてもよいし、複数種類の凝結遅延剤を含んでいてもよい。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、合成樹脂繊維を含んでいてもよい。合成樹脂繊維を含有させることにより、モルタル硬化物にクラックが生じることを効果的に抑制することができる。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、合成樹脂エマルジョンを含んでいてもよい。合成樹脂エマルジョンを含有させることにより、遮塩性をさらに向上することができる。ここで、「合成樹脂エマルジョン」とは、合成樹脂粒子が水又は含水溶媒に乳化分散したものをいう。
本発明に係る遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物は、コンクリート構造体の補修に好適に用いることができる。本発明の遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物を用いることにより、鏝塗り又は吹き付け施工を容易に行うことが可能な遮塩性モルタルを得ることができる。
温度20℃、湿度65%RHの雰囲気下において、下記の表1に示す配合割合で原料を混合し、遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物を得た。次に、得られた遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物2.0kgに対して、遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物中の粉体の合量(P)と水量(W)との質量比がW/P=0.128となるように水を加え、ケミスターラーを用いて2分間混合し、モルタルを得た。
(1)遮塩性(塩化物イオンの見掛けの拡散係数)
得られた各モルタルについて、日本土木学会編 コンクリート標準示方書 JSCE−G 571−2013「電気泳動によるコンクリート中の塩化物イオンの実効拡散係数試験方法(案)」に準拠して塩化物イオンの電気泳動試験を行い、「附随書(参考)電気泳動試験による実効拡散係数を用いた見掛けの拡散係数計算方法」に基づいてモルタル中における塩化物イオンの見掛けの拡散係数(cm2/年)を求めた。結果を表1に示す。
(2)圧縮強度
得られた各モルタルについて、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して、水中養生温度20℃及び50℃のそれぞれにおける材齢28日後の圧縮強度を測定した。その測定値から、下記の式に基づいて圧縮強度変化率を算出した。結果を表1に示す。
但し、
x:圧縮強度変化率(%)
y1:水中養生温度20℃における材齢28日後の圧縮強度(N/mm2)
y2:水中養生温度50℃における材齢28日後の圧縮強度(N/mm2)
である。
なお、表1に示すA1、A2、B1、B2、B3、B4、C、D1、D2、D3、D4は、下記の通りである。
(1)水硬性成分
A1:アルミナセメント (ブレーン比表面積 3100cm2/g、鉱物含有比率:CA:64.8質量%,C12A7:6.6質量%,C4AF:18.3質量%,C2AS:4.1質量%)
A2:普通ポルトランドセメント (ブレーン比表面積 2500cm2/g)
(2)混和材
B1:フッ酸無水石膏 (ブレーン比表面積 4140cm2/g、粒子径300μm以上の粒子の質量割合2%、粒子径150μm未満の粒子の質量割合85%)
B2:高炉スラグ (ブレーン比表面積 4300cm2/g)
B3:炭酸カルシウム(ブレーン比表面積 4480cm2/g)
B4:シリカフューム(BET比表面積19m2/g)
(3)細骨材
C:珪砂(粒子径1700μm以上の粒子を含まず、細骨材全体に対し、粒子径1200μm以上の粒子の質量割合が1.48質量%、粒子径600μm以上の粒子の質量割合が49.13質量%、粒子径300μm以上の粒子の質量割合が44.04質量%、粒子径150μm以上の粒子の質量割合が4.06質量%、粒子径75μm以上の粒子の質量割合が1.26質量%)
(4)混和剤
D1:グルコン酸ナトリウム
D2:酒石酸ナトリウム
D3:重炭酸ナトリウム
D4:ポリカルボン酸系減水剤
Claims (3)
- アルミナセメント、無水石膏及び高炉スラグを含む遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物であって、
前記アルミナセメントが、CA55質量%〜75質量%、C12A75質量%〜8質量%、C4AF10質量%〜28質量%及びC2AS2質量%〜6質量%を含み、
前記アルミナセメントのブレーン比表面積が、2000cm2/g〜4000cm2/gであり、
前記アルミナセメント100質量部に対して、前記無水石膏を15質量部〜35質量部、前記高炉スラグを6質量部〜45質量部含有する、遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物。 - 炭酸カルシウム及びシリカフュームの少なくとも一方をさらに含む、請求項1に記載の遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物
- 前記アルミナセメント100質量部に対して、前記炭酸カルシウムを15質量部〜35質量部、前記シリカフュームを5質量部〜12質量部含有する、請求項2に記載の遮塩性モルタル用アルミナセメント組成物。
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