JP6868378B2 - 断熱性能を持たせたセルフレベリング性組成物、該組成物を用いた床の施工方法及び床構造体 - Google Patents

断熱性能を持たせたセルフレベリング性組成物、該組成物を用いた床の施工方法及び床構造体 Download PDF

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Description

本発明は、床仕上げ下地材などとして使用されるセルフレベリング性組成物、該組成物を用いた床の施工方法及び床構造体に関し、特に、断熱性能を持たせたセルフレベリング性組成物を提供する技術に関する。
セルフレベリング材(SL材)は、水と混練して、ただ床に流すだけで自然に流動して水平な面を形成して硬化するため、広く床仕上げ下地材として使用されている。現在普及しているセルフレベリング材には、石膏系、セメント系などがある。
一方、近年、省エネ法の改正に伴う住宅性能表示制度の断熱等性能等級の取得にあたり、屋外に面している外壁及び柱周辺に断熱欠損が生じ、その部分への床面断熱補強が、より以上に必要とされてきている。断熱補強の方法としては、主に断熱モルタルを施工する方法が行われている。断熱モルタルに関しては、施工性を重視し、高い流動性を有する湿式床用断熱材の開発が望まれており、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1では、セメントと無機マイクロバルーンを含む粉体(A)と、合成樹脂エマルションと、有機マイクロバルーンと、微細繊維と増粘剤等を含む混和材(B)で構成された断熱モルタルが提案されている。そして、この断熱モルタルは、有機の断熱材に近い高性能の断熱性を有すると共に、セルフレベリング性を有し、流し延べできるとされている。
また、石膏系やセメント系のセルフレベリング材においても、その機能性を向上させる提案が種々されている。例えば、特許文献2では、高粘性と低粘性のセルロースエーテルを併用することで、可使時間が長く、流動性及び表面平滑性に優れ、表面強度が高い水平面を与えるセルフレベリング性組成物についての提案がされている。
特開2014−73941号公報 特開2008−254971号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている断熱モルタルは、セルフレベリング性を有するものの、従来のセルフレベリング材と同等の性能を達成したものでなかった。具体的には、実用に供される有用なセルフレベリング材は、JASS 15M−103の品質試験で、そのフロー値が190mm以上であることが求められるが、特許文献1に記載されている断熱モルタルは、このフロー値を安定して達成できるものではなかった。また、特許文献1に記載されている断熱モルタルは、セメントを主材としていて乾燥収縮によるひび割れが発生しやすく、さらに無機と有機の2種類のマイクロバルーンを使用しているため、コストがかかり、経済性に劣るといった課題もあった。
一方、水平な面を形成することを主目的とするセルフレベリング材においては、これまで、その主たる機能として断熱性を求めることは行われていなかった。このため、床の下地材である、石膏系やセメント系のセルフレベリング材の断熱性能は低く、省エネの観点から、床面に断熱性能が求められた場合に、セルフレベリング材で一定の断熱性能を確保するためには、流し厚を厚くする必要があり、施工に手間がかかるという課題があった。また、セルフレベリング材の断熱性能が低いことから、先に述べた住宅性能表示制度で定められている、屋外に面している外壁および柱周辺へ求められるより高い断熱補強を達成するためには、図2に示したように、セルフレベリング材とは別に、ボード系断熱材や断熱モルタルを使用する必要があり、さらに施工に手間やコストがかかるという課題があった。
例えば、住宅性能表示制度の断熱等性能、等級4及び5地域などの、特定の条件下において熱橋に対する防露性能が必要とされる場合、図2(a)で示すように、現状の直床の床面断熱補強では、湿式断熱材(断熱モルタル)又は乾式断熱材(ボード系断熱材)のいずれか、若しくは両方を使用する必要があった。これに対し、断熱モルタルは材料費が高く、施工する際に均しが必要であり、広範囲の施工には適さなかった。また、ボード系断熱材は、梁やコンクリートなどの床下地面の不陸に対する追従性が低いため、施工する際に、予め床下地面の上面にセルフレベリング材などを流し込み、硬化させて平滑化する必要があった。このため、これらの材料を用いた従来技術では、高い断熱補強を達成するために、機能性の異なる材料を多種類使用しなければならず、それに伴い施工に手間がかかり、コストがかかるという課題が生じていた。
また、図2(b)に示すように、梁やコンクリートなどの床下地面の上面にボード系断熱材を施工し、さらにその上面に二重床を施工する場合、ボード系断熱材の上面に二重床の支持脚を乗せることができないことから、左官処理した床上面に前記ボード系断熱材を切り欠いて貼り付け、その切り欠いた欠損部に前記二重床の支持脚を施工する必要があった。この場合には、上記した施工に手間がかかるなどの問題に加え、断熱材を切り欠くことに起因した断熱欠損が生じるという課題があった。
したがって、本発明の目的は、図1に示したような断熱性能を有する床構造体の施工が可能になる、そのフロー値が190mm以上である、施工が容易なセルフレベリング材として機能する材料でありながら、断熱性能を発揮し得るセルフレベリング性組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、上記機能性に優れたセルフレベリング性組成物を用いることで、外壁及び/又は柱周辺の床面断熱補強がされた床構造体を簡便な施工方法で提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、石膏を含む主材からなるセルフレベリング性組成物であって、該セルフレベリング性組成物と水との混練物の硬化体の圧縮強度が1.0N/mm2以上であり、該硬化体の熱伝導率が0.3(W/m・K)以下の断熱性能を有することを特徴とするセルフレベリング性組成物を提供する。
本発明は、上記したセルフレベリング性組成物の好ましい形態として、前記主材に、さらに、嵩比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライト、増粘剤及び前記増粘剤以外の合成樹脂が配合されているセルフレベリング性組成物を提供する。
上記したセルフレベリング性組成物の好ましい形態としては、下記のものが挙げられる。前記主材100質量部に対して、前記パーライトが10〜67質量部の範囲内、前記増粘剤が0.20〜2.20質量部の範囲内、前記増粘剤以外の合成樹脂が0.7〜2.0質量部の範囲内となるように配合されていること;前記主材100質量部に対して、前記パーライトが31〜67質量部の範囲内で配合されていること;前記主材100質量部中、前記石膏が50質量部以上配合されていること;前記硬化体の比重が、0.7〜1.3であること;前記硬化体の比重が、0.7〜1.0で、該硬化体の熱伝導率が0.2(W/m・K)以下であること;前記混練物のフロー値が190mm以上であること;前記増粘剤が、セルロースエーテルであること;前記増粘剤以外の合成樹脂が、粉末のスチレンアクリル樹脂であること;水を加えて混練した場合の泥漿粘度が、15〜50dPa・sであること;が挙げられる。
本発明は、別の実施形態として、断熱性能を有する床を形成するための床の施工方法であって、上記したいずれかのセルフレベリング性組成物と水とを混練して泥漿とする工程と、泥漿としたものを床下地材の上面に流し込んで水平面を形成する工程と、流し込んだ泥漿を硬化させる工程を有することを特徴とする床の施工方法を提供する。
本発明は、別の実施形態として、外壁及び/又は柱周辺の床面断熱補強が要求された床構造体であって、前記床面断熱補強が必要な部分が、上記したいずれかのセルフレベリング性組成物からなることを特徴とする床構造体を提供する。
本発明によれば、セルフレベリング性能と、断熱性能とを両立させた、新規な断熱性能を持たせたセルフレベリング性組成物が提供される。また、本発明の好ましい実施形態によれば、断熱性を高めるために、例えば、軽量骨材であるパーライトを使用しているにもかかわらず、水を加えて混練して硬化させた硬化体は、骨材分離が防止され、表面状態が良好なものになり、1.0N/mm2以上の満足できる圧縮強度を示すものになり、しかも、従来のセルフレベリング材の作業性を確保できる有用なセルフレベリング性組成物が提供される。また、本発明によれば、上記の優れた機能性をもつセルフレベリング性組成物と水とを混練して泥漿としたものを、外壁及び/又は柱周辺の断熱補強範囲内の床下地材の上面に流し込んで水平面を形成し、硬化させるという、従来方法に比べて極めて簡便な方法で、施工性、断熱性能に優れ、また、二重床の施工において生じることがあった断熱欠損がなく、高強度な床構造体を得ることが可能になる。
本発明のセルフレベリング性組成物を使用した、屋外に面している外壁及び柱周辺の床面断熱補強の施工状態を説明するための模式断面図である。(a)は、本発明のセルフレベリング性組成物を「直床」に適用した場合の模式断面図であり、(b)は、本発明のセルフレベリング性組成物を「二重床」に適用した場合の模式断面図である。 従来の断熱モルタルなどを使用した、屋外に面している外壁及び柱周辺の断熱補強の施工状態を説明するための模式断面図である。(a)は、従来の「直床」における、断熱補強範囲に断熱モルタル及びボード系断熱材を使用して施工した場合の模式断面図であり、(b)は、従来の「二重床」における、断熱補強範囲にボード系断熱材を使用して施工した場合の模式断面図である。 軽量骨材の吸水率の測定方法を説明するための模式図である。
次に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。以下、それぞれを区別するために、本発明の発明品については、水(「練り水」とも呼ぶ)と混練する前の粉体の状態のものを「セルフレベリング性組成物」と呼び、水と混練して泥漿(スラリー)とした状態のものを「混練物」又は「スラリー」又は「泥漿」、或いは、場合によっては「セルフレベリング材」と呼び、この水と混練して泥漿(スラリー)とした状態のものが硬化した状態のものを「硬化体」と呼ぶ。また、「セルフレベリング材」の語は、一般的に、自己水平性を有する床仕上げ下地材としての機能性材料を意味するものとしても用いる。
本発明者らは、上記した従来の課題に対し、鋭意検討した結果、本発明に至った。先に述べたように、これまで、セルフレベリング材に高い断熱性能が求められることはなく、また、施工に手間がかかるものの、従来のセルフレベリング材であっても、流し厚を厚くすれば、一定の断熱性能を確保することは可能であった。一方、より高い断熱性能が求められる場合には、断熱モルタルを使用することが行われており、材料による機能分離が行われていた。その理由は、下記に述べるように、硬化体における断熱性の向上と、施工の際に有用なセルフレベリング性とを両立させることは困難であったことによる。
先述した特許文献1に記載した技術にあるように、例えば、セルフレベリング材の配合中に、多数の空孔を有する軽量骨材を配合させれば、その硬化体は、空気を多く含むものになるため、その断熱性を高めることができる。このようにすることで、断熱性を高め、硬化体の軽量化も図れるが、セルフレベリング性が低下する。これに対し、セルフレベリング性を向上させるため、施工する際に、混練するための練り水の量を増やすと、床に施工した後に、軽量骨材が分離し表面に浮いてしまうという問題があり、また、硬化体の強度低下を招くことがわかった。一方、軽量骨材の分離を防止するため、セルフレベリング材の配合を、混練した状態或いは施工した状態での粘度が高くなるようにすると、硬化体の表面状態が悪くなることがわかった。また、実用化において大きな問題となる経済性の観点から、吸水の少ない有機軽量骨材は、コスト面より、多量には配合できない。
本発明者らは、含有させることで、硬化体に断熱性能を持たすことが期待でき、コスト面でも問題のない最適な材料を見出すことで、上記に挙げた種々の課題を解決でき、セルフレベリング材として実用化できる新たなセルフレベリング性組成物を実現すべく鋭意検討を行った。
その結果、多数の空孔を有する軽量骨材の中で、例えば、比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライトを、石膏からなる主材に対して特定量使用し、さらに、これに、増粘剤と、増粘剤以外の合成樹脂とをそれぞれ特定量配合した組成物とすると、該組成物に練り水を加えた場合に、パーライトの分離を有効に防止でき、良好なセルフレベリング性を示し、その硬化体の表面状態が良好であり、適度な強度を有し、しかも十分な量のパーライトが配合できることから、十分な断熱性能を示すものになることを見出し、かかる知見に基づいて鋭意検討した結果、本発明に至った。本発明者らは、上記のように構成することで、水との混練物のフロー値が190mm以上である十分なセルフレベリング性能を有すると共に、前記混練物を硬化させた硬化体が満足できる断熱性能を示す組成物になることを見出した。さらに、本発明者らの詳細な検討によれば、石膏を含む主材100質量部に対して、上記特定のパーライトを10〜67質量部の範囲内で使用し、前記増粘剤を0.20〜2.20質量部の範囲内で、前記合成樹脂が0.7〜2.0質量部の範囲内となるように配合することで、上記した顕著な効果を安定して得ることができる、好適なセルフレベリング性組成物となることがわかった。
本発明者らの詳細な検討によれば、本発明のより好適なセルフレベリング性組成物としては、石膏からなる主材に、嵩比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライト、増粘剤、及び、該増粘剤以外の合成樹脂を配合させた構成が挙げられる。すなわち、このように構成した場合、より安定して、水との混練物が、フロー値が190mm以上であるセルフレベリング性を有し、かつ、前記混練物の硬化体が、比重が0.7〜1.3であり、該硬化体の熱伝導率が0.3(W/m・K)以下である、十分な断熱性能を有するものとなる。本発明の技術的特徴は、上記したように、従来技術では難しかった、施工の際のセルフレベリング性能と、施工後における硬化体の断熱性能の両立を実現させたことにある。
以下、本発明のセルフレベリング性組成物を構成し得る各材料等について説明し、本発明の構成によって上記の優れた効果が得られた理由について説明する。
(主材)
本発明のセルフレベリング性組成物を構成する主材は、石膏を含んでなり、必要に応じてセメント及び/又は増量材である炭酸カルシウムを含有させてもよい。具体的には、本発明のセルフレベリング性組成物は、主材として、水硬性材料である石膏を用いる。石膏には、従来公知のものをいずれも使用できる。使用する石膏としては、α型半水石膏、II型無水石膏及びβ型半水石膏が例示できる。その配合量は主材100質量部中、石膏が50質量部以上である。前記石膏を、セメントや増量材との合計よりも多く含む主材とすることで、セメントが多く含有される主材のものと比較して、水との混練物の硬化体の乾燥収縮が少なく、ひび割れが少なくなる。
本発明を構成する主材には、セメントを含んでもよい。セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミナセメント及びジェットセメントなどの各種のセメントが挙げられ、いずれも使用することができる。上記セメントは、セルフレベリング材によって形成される床仕上げ下地材の耐水性向上のために配合される。その配合量は、石膏100質量部あたり、10〜60質量部程度とすることが好ましい。
本発明を構成する主材には、さらに増量材である、例えば、炭酸カルシウムが使用できる。炭酸カルシウムは、価格が安く、これを増量材として用いることで、目的とするセルフレベリング材を安価に提供することが可能になる。炭酸カルシウムの配合量は、石膏100質量部あたり、35質量部以下の量で使用することが好ましい。
(軽量骨材)
先に述べたように、本発明者らは鋭意検討した結果、セルフレベリング性組成物の好ましい形態として、軽量骨材として、嵩比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライトを用いることを見出した。従来、軽量骨材を含むセルフレベリング材では、骨材分離を生じるため、軽量骨材の分離を防止する目的で、水と混練してスラリーとした場合に、スラリーが、ある一定以上の粘性を有するように構成する必要があった。しかし、このように構成すると、水と混練したスラリーを施工し、床水平面を形成する際に、スラリーの流動性が低下して表面平滑性が悪くなったり、骨材沈降するおそれがあった。
これに対し、本発明者らは、本発明の課題解決のためには、ガラスバルーン、シラスバルーン等の軽量骨材である無機中空バルーンと比較して、安価で吸水率をコントロールしたものが安定的に得られる点でパーライトが有効であること、中でも特に、嵩比重が0.3〜0.4で、吸水率が30%以下であるパーライトを用いることで、施工時における流動性の低下が抑制され、作業性に優れた、高いフロー値(FL値)を有するセルフレベリング材とすることが可能となることを見出した。本発明者らの検討によれば、嵩比重が0.3未満で、吸水率が30%を超えるパーライトを用いた場合は、セルフレベリング材に水を加えてスラリー状のセルフレベリング材とした際に前記パーライト自体が過度に吸水するため、前記セルフレベリング材全体としての水分が不足し、スラリー状のセルフレベリング材のフロー値の低下やセルフレベリング材をスラリー状とするための水の配合量(混水量)が増大し、その結果、硬化体の骨材分離や強度低下を招くおそれがあるので好ましくない。
また、本発明のセルフレベリング性組成物は、上記した嵩比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライトを、前記した主材100質量部あたり、10〜67質量部の範囲内で使用したものであることが好ましい。このように構成することにより、後述する硬化体の比重が0.7〜1.3で熱伝導率が0.3(W/m・K)以下である、断熱性能を示す硬化体に容易にすることができる。さらには、上記したような嵩比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライトを、前記した主材100質量部あたり、31〜67質量部の範囲内で使用することがより好ましく、このように構成することで、硬化体の比重が0.7〜1.0である、セルフレベリング材としての性能と、断熱性能とを、より安定して両立したセルフレベリング性組成物とすることができる。上記したパーライトの配合量が10質量部未満であると、後述する硬化体比重が1.3を上回るおそれがあり、断熱性能の付与が十分でなくなるので好ましくない。また、67質量部超であると、総じて吸水量が多くなってしまい、フロー値が低くなってしまうことがあり、フロー値を高くするために混水量を増やすことで骨材分離や強度低下を招くおそれがあるので好ましくない。また、併用する増粘剤や合成樹脂の添加量が多くなる場合があるので、この点でも好ましくない。
(増粘剤)
本発明のセルフレベリング性組成物には、骨材の分離を防止する目的で、水と混練してスラリー(混練物)とした場合に、スラリーが、ある一定以上の粘性を有するものとなるように、増粘剤(粉体)が配合されていることが好ましい。本発明では、増粘剤として、セルロースエーテルを用いることが好ましい。また、前記セルロースエーテルの使用量は、前記した主材100質量部あたり、0.20〜2.20質量部となる範囲内で配合することが好ましい。セルロースエーテルとしては、具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロースなどが挙げられる。
上記したように、本発明のセルフレベリング性組成物には増粘剤が配合されていることが好ましく、好適な増粘剤としては、セルロースエーテルが用いられる。ここで、セルロースエーテルには、高粘性のものと、低粘性のものがある。本発明では、これらを単独で、或いは、2種以上を組み合わせて、例えば、高粘性のものと低粘性のものとを併用して使用することもできる。2種類の増粘剤を併用する理由としては、高粘性のものは一定以上の粘度にすることができるが、高粘性のものだけでは適当な粘度に調整することが難しいことによる。また、高粘性のものに低粘度のものを併用すると、適度な粘度に調整することが容易にできるようになることに加えて、可使時間を確保することが可能となるという効果も得られる。
本発明において、上記の高粘性セルロースエーテルとは、2質量%水溶液とした場合に、ブルックフィールド型粘度計にて20℃・20rpmで測定したときに、40000〜100000mPa・sの粘度を有するものである。また、分子量で表すと、重量平均分子量(モル分子量)で、5〜7×105(g/mol)を有するものである。一方、低粘性セルロースエーテルとは、2質量%水溶液とした場合に、ブルックフィールド型粘度計にて20℃・20rpmで測定したときに、200〜1000mPa・sの粘度を有するものである。また、分子量で表すと、重量平均分子量(モル分子量)で、1〜2×105(g/mol)を有するものである。
先に述べたように、本発明の好ましい形態では、増粘剤であるセルロースエーテルの配合量が、主材100質量部あたり0.20〜2.20質量部となるようにする。本発明者らの検討によれば、セルロースエーテルの使用量が0.20質量部よりも少ないと、セルフレベリング材において十分な骨材分離への抵抗性が認められず、骨材分離が発生するおそれがあり、施工したセルフレベリング材が硬化した後の、硬化体の水平面の強度が均一にならないおそれがあるばかりでなく、白華や、ひび割れの原因となる場合があるので好ましくない。一方、上記添加量が2.20質量部よりも多いと、スラリーの粘性が高すぎるため、スラリーの流動性に乏しくなり、セルフレベリング材の重要な特性であるセルフレベリング性が損なわれてしまうばかりでなく、硬化体の表面に皺がよったり、凹凸が発生したりして外観を損ねたり、強度低下の原因となる場合があるので好ましくない。
(合成樹脂)
本発明のセルフレベリング性組成物は、上記した増粘剤に加えて、上記増粘剤以外の合成樹脂が配合したものであることが好ましい。上記増粘剤以外の合成樹脂(以下、単に「合成樹脂」と呼ぶ)は、水と混練してスラリーとして施工後、硬化させた硬化体として形成される、床仕上げ下地材と仕上げ材又はコンクリート下地材等との接着性確保のために配合される。また、発明者らの検討によると、上記増粘剤と共に合成樹脂を配合することで、骨材分離への抵抗性の更なる向上が認められることがわかった。本発明を構成する合成樹脂は、粉末状のものが好ましく、具体的には、スチレンアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、バーサチック酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などが使用できる。
上記合成樹脂の配合量は、主材100質量部あたり、0.7〜2.0質量部の範囲内であることが好ましい。本発明者らの検討によれば、この使用量が0.7質量部よりも少ないと、骨材の分離抵抗性を十分に発揮しない場合があるので好ましくない。一方、この使用量が2.0質量部を超えると、スラリー(泥漿)粘度が高くなる場合があるので好ましくない。また、2.0質量部を超える量で入れなくとも、十分に骨材の分離を抑えることができるので、過度な量で配合することは経済性の点で好ましくない。
本発明のセルフレベリング材には、必要に応じて、本発明の所期の目的に反しない範囲内で適宜に、減水剤(流動化剤又は分散剤)、消泡剤、凝結遅延剤及び凝結促進剤などを配合することができる。
前記減水剤(流動化剤又は分散剤)としては、一般に市販されているものであれば、その使用は特に制限されない。通常、ポリカルボン酸系、メラミン系、ナフタレン系の減水剤などが使用できる。減水剤の配合量は、主材100質量部あたり、0.01〜5質量部程度が好ましい。セルフレベリング材の場合、なるべく少ない水量で優れた流動性を得る必要があるため減水剤が使用される。その際、使用量があまりに少ないとその効果が得られず、逆に多すぎると、骨材分離を引き起こし、形成される水平面の強度低下に繋がったり、白華が発生する原因となる場合があるので留意する必要がある。
前記消泡剤としては、例えば、ポリエーテル系、シリコーン系、アルコール系、鉱油系、植物油系、非イオン性界面活性剤などが使用できる。
前記凝結遅延剤としては、クエン酸ソーダなどのクエン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、ホウ砂などのホウ酸塩、ショ糖、ヘキサメタリン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、澱粉及び蛋白質分解物などが使用できる。凝結遅延剤の配合量は、必要な凝結遅延機能が果たせる程度に設定すればよい。具体的には、例えば、主材100質量部あたり0.002〜1.5質量部配合することが好ましい。
前記凝結促進剤としては、硫酸カリウムなどの硫酸塩の他、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、沃化カルシウムなどの可溶性カルシウム塩、塩化鉄、塩化マグネシウムなどの塩化物水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カルシウム以外の炭酸塩、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウムなどのギ酸塩などが挙げられる。
(施工場所)
本発明のセルフレベリング性組成物は、水を添加して、十分に混合・混練してスラリー(混練物)とした後、床下地面に流し込み、展延、放置、硬化、乾燥することにより、床仕上げ下地材を形成する。床下地面として、モルタル、セメント、木質、プラスチック製タイル若しくはシート、セラミックス、ステンレスなどの金属が例示できる。この点については、従来のセルフレベリング材と何ら異なることはない。本発明のセルフレベリング性組成物は、断熱性能を持たせたものであることから、特に、屋外に面している外壁及び/又は柱周辺の床面断熱補強の部分に使用することが効果的である。
上記したように、本発明のセルフレベリング性組成物を用いて施工する際には、水と混練してスラリーにする必要がある。使用する水の配合量としては、主材100質量部あたり35〜70質量部程度であることが好ましい。水の配合量が少ないと十分な流動性が得られず、展延が困難となり作業性が低下することがあり、逆に多すぎると、硬化体の表面の凹凸による表面状態の悪化や強度低下を引き起こすので、いずれも好ましくない。
(硬化体の特性)
以下、本発明のセルフレベリング性組成物によって得られる硬化体の物性について説明する。本発明のセルフレベリング性組成物は、得られる硬化体の比重が、0.7〜1.3となるように構成されたものであることが好ましい。より好ましくは、硬化体の比重が、0.7〜1.0であるとよい。本発明者らの検討によれば、硬化体の比重と、その断熱性能には関係があり、比重が低いものほど望ましい。すなわち、中空を有する軽量骨材であるパーライトの量を多くすることで、硬化体の比重は小さくなり、その中空の存在によって硬化体の断熱性能は向上することになる。本発明のセルフレベリング性組成物は、該組成物によって形成される硬化体が断熱性能を示すものであることを目的としており、具体的には、該組成物によって形成される硬化体の熱伝導率が0.3(W/m・K)以下であることを目的値としている。
一方、硬化体の比重が小さいことは、硬化体に占める中空を有するパーライトの量が多いことを意味し、その場合には、パーライトの分離の問題が生じ、また、表面状態も損なわれることになるので、有用なセルフレベリング材製品にはならない。本発明者らの詳細な検討によれば、硬化体の比重が0.7程度であれば、パーライトの分離の問題を生じることなく、熱伝導率(断熱性)の目標値を十分に達成することができる。一方で、硬化体の比重が1.3を超えると、熱伝導率が0.3(W/m・K)を超えてしまう。
また、本発明では、本発明のセルフレベリング性組成物によって達成される断熱性能のより好ましい目標値を、厚さ20mm以下で、熱抵抗0.1m2・K/W以上とした。ここで、熱抵抗(m2・K/W)=断熱材の厚み(m)/熱伝導率(W/m・K)である。したがって、上記の場合、熱伝導率の目標値は0.2(W/m・K)となる。これに対し、本発明では実用化を目指しているため、施工の際の施工誤差を考慮し、0.16(W/m・K)から0.18(W/m・K)程度とすることがより好ましい。なお、従来の石膏系のセルフレベリング材の熱伝導率は約0.53W/m・Kであるので、本発明で規定する「硬化体の熱伝導率が0.3(W/m・K)以下」の目標値を達成したものであれば、十分に、断熱性能を持たせたセルフレベリング性組成物であるといえる。
前記したように、本発明のセルフレベリング性組成物によって達成される、スラリー(泥漿)を流し込んだ際に求められる、より好適なフロー値は190mm以上である。さらにいえば、特にフロー値が210mm以上で260mm以下となる構成のものが好ましい。
本発明のセルフレベリング性組成物は、水と混練した場合の泥漿粘度が15〜50dPa・sとなる構成のものであることが好ましい。本発明者らの検討によれば、フロー値が190mm以上で、骨材分離を生じない、良好な表面状態を考慮すると、15〜50dPa・sであることが望ましい。泥漿粘度が15〜50dPa・sの範囲を外れ、15dPa・s未満であると、骨材分離が起こるおそれがあるので好ましくない。また、泥漿粘度が50dPa・sを超えると、表面状態が悪くなる傾向があるので好ましくない。本発明のセルフレベリング性組成物では、特に、上記泥漿粘度が20〜30dPa・sの範囲内となる構成のものが好ましい。
本発明のセルフレベリング性組成物のより好適な構成は、前記した主材100質量部あたり、嵩比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライトを31〜67質量部の範囲内、前記したセルロースエーテルの配合量を、0.20〜2.20質量部の範囲内、これらの増粘剤以外の合成樹脂を、主材100質量部あたり0.7〜2.0質量部とすることである。このような構成とすることで、上記組成物に水を加えて混練した場合のスラリーは、泥漿粘度が20〜30dPa・s程度の、骨材分離が抑制されたセルフレベリング性に優れたものになり、このスラリーを硬化させた硬化体は、比重が0.7〜1.0となり、断熱性能に優れ、特に表面状態が良好な、セルフレベリング性と断熱性能とを両立した優れたものになる。また、上記構成としたことで、従来技術では達成できなかった性能を発揮し得る硬化体が得られると共に、増粘剤の配合量が比較的少なく済むことから、原料コストが安くなり、経済性にも優れたものになる。
(床構造体の施工方法)
次に、本発明の床構造体の施工方法の好適な実施形態について説明する。本発明の床構造体は、外壁及び/又は柱周辺の床面断熱補強がされた床構造体であって、前記床面断熱補強部分に、本発明のセルフレベリング性組成物と水との混練物の硬化体が設けられていることを特徴とし、下記に説明する本発明の床構造体の施工方法で簡便に施工することができる。すなわち、本実施形態の床構造体の施工方法は、外壁及び/又は柱周辺に要求される「断熱補強範囲内」の床構造体の形成に用いられる施工方法である。以下、図1を参照して、その詳細について説明する。
図1に示した施工例では、その基礎として、屋外に面している外壁、柱周辺の床面断熱補強範囲内の梁、及び、コンクリート床からなる床下地材が形成されている。前記床下地材の表面(上面)には、大小の凹凸が形成されている(すなわち、平滑ではない)。施工するにあたり、本発明のセルフレベリング性組成物に適宜な量の水を加え、ハンドミキサーやモルタルミキサー等を使用して混練し、泥漿とする。施工する箇所は、「断熱補強範囲内」であり、上記で得た泥漿を、この範囲内の床下地材の上面に流し込む。流し込んだ泥漿は、所定時間経過後に平滑な硬化体となる。施工後に形成される硬化体の厚みは、要求性能にもよるが、例えば、10〜40mm程度となるようにする。より一般的には、18〜25mm程度となるように施工する。
さらに、図1(a)に示すように、硬化体の上面に仕上げ材(フローリング)等を施工してもよいし、図1(b)に示すように、二重床を施工してもよい。先に説明したようにして施工される、図2に示した従来の床構造体と比較し、本発明の床構造体の施工方法を適用することで、使用する断熱材(モルタル断熱材及びボード系断熱材等)の種類を減らすことができ、加えて施工が簡便になり、また、断熱性において従来の床構造体と同等の床構造体を得ることができるので、実用上、極めて有用である。
次に、実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、文中「部」とあるのは質量基準である。
<使用材料>
以下の実施例、参考例及び比較例において特段の記載がない場合には、以下の材料を使用した。
〔主材〕
主材として、半水石膏(吉野石膏社製)を使用した。
〔増粘剤〕
増粘剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用した。
〔合成樹脂〕
スチレンアクリル樹脂粉末(日本合成社製)を用いた。
〔セメント〕
セメントには、ポルトランドセメントを使用した。
増量材には、炭酸カルシウムを使用した。
〔その他の添加剤〕
減水剤:ポリカルボン酸系(BASF社製)
凝結遅延剤:クエン酸ソーダ(試薬)
凝結促進剤:硫酸塩類(試薬)
消泡剤:ポリエーテル系(サンノプコ社製)
〔パーライト〕
パーライトには、市販品から選択した下記の吸水率の異なる3種類を使用した。使用したパーライトの吸水率(%)については、以下の試験方法にしたがって測定し、後述の算出式を用いて吸水率を求めた。また、嵩比重については、後述するように、吸水率を求める過程で測定した、300mlの容量(体積)のパーライトの重さを用いて求めた。
1.試験方法
測定用試料を水に浸し、パーライトの粒子間間隙、粒子表面及び粒子内部に水を吸水させる。この時のパーライトの吸水量より、吸水率を算出した。粒子間間隙の水は脱水させることで、パーライトの粒子表面及び粒子内部の吸水率を測定できる。
2.測定及び算出方法
2−1.測定装置
測定装置として、電子天秤、メスシリンダー(300ml)、漏斗、ろ紙、吸引ビン、吸引ポンプ、プラスチック容器を用いた。
2−2.測定方法
(1)予め、ろ紙を濡らし、漏斗に密着させたもの(ろ紙+漏斗)の重さ(A)を測定する。この際に、余分な水滴は拭き取る。
(2)測定用試料のパーライト(有姿)300mlをメスシリンダーで採取し、重さ(B)を測定する。
(3)プラスチック容器に十分満たされるように、水を入れる。
(4)漏斗をプラスチック容器に入れ、隙間が無いように密着させる。隙間は、テープ等で養生し、水が漏れないようにする。
(5)漏斗に、(2)で採取したパーライトをまんべんなく入れる(図3(a)参照)。
(6)さらに600mlの水を注ぎ、20分間吸収させる(図3(b)参照)。
(7)20分経過後、ろ紙及び吸水したパーライトを含む漏斗をプラスチック容器より取り外し、吸引ビンに装着し、2分間脱水を行う。
(8)2分経過後、漏斗を取り外し、ろ紙及び吸水したパーライトを含む漏斗の重さ(C)を測定する。この際、余分な水滴は拭き取る。
2−3.算出方法
(1)上記で測定したパーライト(有姿)の重さ(B)から、重量(g)÷体積(ml)で、嵩比重を算出した。
(2)漏斗+ろ紙をAgとし、パーライト(有姿)の重さをBgとし、ろ紙及び吸水したパーライトを含む漏斗の重さをCgとして、以下の式より吸水率(%)を算出した。
吸水率={(C−A)−B}/(C−A)×100
実施例、参考例及び比較例で使用した3種類のパーライトについて、上記した方法で測定した嵩比重及び吸水率の結果を表1にまとめて示した。
Figure 0006868378
[実施例1]
表2に示した組成で配合し、粉末状のセルフレベリング性組成物を得た。具体的には、主材として半水石膏を65質量部、ポルトランドセメントを15質量部、及び炭酸カルシウムを20質量部と、表1に詳細を示したパーライトのA品を59質量部と、増粘剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを1.20質量部と、増粘剤以外の合成樹脂として、スチレンアクリル樹脂粉末を1.5質量部とを加えた。さらに、前記したその他の添加剤を、下記に述べる所定量添加して、本実施例の粉状のセルフレベリング性組成物を得た。具体的には、減水剤を0.2質量部、凝結遅延剤と凝結促進剤とを合量が0.1質量部となる量、及び、消泡剤を0.5質量部、の量でそれぞれ使用した。その他の例でも、上記と同様の種類及び量でこれらの添加剤を使用した。表中では、この点を、「その他の添加剤」及び「所定量」と記載した。
[実施例2〜7、9〜参考例1〜4、比較例1〜6]
実施例については表2に示す組成で、比較例については表3に示す組成で、それぞれ配合し、実施例、参考例及び比較例の粉末状のセルフレベリング性組成物をそれぞれ得た。使用したパーライトについては、表中、A社品は「A品」と略記し、B社品は「B品」と略記し、C社品は「C品」と略記した。
<評価>
上記で得られた実施例、参考例及び比較例の各セルフレベリング性組成物(粉状)を用い、これに水を加えて混練して得たスラリー(混練物)の性状と、スラリーを硬化して得た硬化体の性状とについて、下記の方法と評価基準で評価した。具体的には、加えた水の混水量、スラリーのフロー値及び泥漿粘度、硬化体の、比重、熱伝導率、圧縮強度、表面状態、骨材分離の発生の有無について、後述する試験方法に従って試験を行い、それぞれの測定結果及び評価(後述する総合評価を含む)結果を表2及び表3中にまとめて示した。
〔試験方法〕
(1)混水量
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に規定する試験用器具に、水を入れ、実施例、参考例及び比較例の配合で混合した各セルフレベリング性組成物(粉状)を徐々に投入し、投入終了後3分間混練し、スラリー状のセルフレベリング材を得た。この際に練り混ぜた水の量を混水量として表2及び表3に示した。以下の試験では、上記のようにして得たスラリー状のセルフレベリング材を、下記でいう「泥漿」として用いた。例えば、表中の混水量が64%の実施例1で説明すると、配合した主材(粉状)100質量部に対して水を64質量部混合したものであり、その混水量は64%となる。
(2)フロー値
JASS 15 M−103の、セルフレベリング材の品質基準に準拠して試験を行った。具体的には、厚さ5mmのガラス板の上に、内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100ml)を置き、水と練り混ぜた泥漿を充填した後、パイプを引き上げ、広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、これらの平均値をフロー値とした。前記したように、JASS 15M−103の品質試験で、そのフロー値が190mm以上であることが求められており、本発明では、フロー値が190mm以上である場合を好適と評価した。
(3)泥漿粘度
240mlの容器に、水と練り混ぜた泥漿を充填し、粘度計(ビスコテスターVT−02(商品名)、リオン社製)にて、測定開始から60秒後の粘度を読み取った。なお、ローターは1号を用いた。
(4)硬化体比重
JIS R 5201に規定する型枠(40×40×160mm)に、水と混練した泥漿を流し込み、硬化後、表面を平滑に削った後、硬化体を脱型し、室温20℃で材齢28日まで(すなわち、恒量になるまで)養生した。養生後の硬化体の質量を測定し、硬化体比重を算出した。前記したように、硬化体の比重と、硬化体の断熱性とは相関があるため、本発明では、硬化体の比重が0.7〜1.3である場合を好適と評価した。
(5)熱伝導率
JIS A 1412−2〔熱絶縁体の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法 第2部:熱流計法(HFM法)〕に準じて試験を行った。具体的には、型枠に先に調製した泥漿をそれぞれ流し込み、硬化後脱型し、20cm×20cm(20mm厚)にカットし、これを恒量乾燥させたものを試験体とし、熱伝導率を測定した。本発明では、硬化体の熱伝導率が0.3(W/m・K)以下であることを要件とした。
(6)圧縮強度
JASS 15 M−103の、セルフレベリング材の品質基準に準拠して試験を行った。なお、その際、養生温度は20℃とし、材齢28日での圧縮強度を測定した。本発明では、硬化体の圧縮強度が1.0N/mm2以上であることを要件とした。
(7)骨材分離
底面10cm×15cm、高さ20mmのプラスチック容器に、先に調製した泥漿を流し込み、泥漿が硬化後に、得られた硬化体の側面を目視にて観察し、以下の規準でそれぞれ評価した。
(評価基準)
評価は、硬化体の側面の状態を目視で観察し、骨材(パーライト)分の多い層と、主材が多い層の分離が生じているか否かで判断した。具体的には、下記のように、骨材分離の有無で評価した。本発明では、骨材分離が無い場合を好適と評価した。
無 :層の分離がなく、均一な層になっている
あり:上部に骨材分が多い層と下部に主材分が多い層で分離している
(8)表面状態
底面10cm×15cm、高さ20mmのプラスチック容器に、先に調製した泥漿を流し込み、泥漿が硬化後に、得られた硬化体の表面状態を目視にて観察し、以下の規準でそれぞれ評価した。
(評価基準)
評価は、上記で調製した硬化体の表面150cm2あたりにおける気泡による凹凸の数を数え、この数によって、表面状態の良否を、下記の4段階で判断した。また、骨材分離しているものは、気泡によるものとは違うが、その場合も表面が凹凸となっているため、×と評価した。
◎:非常に良い(凹凸の数が0個)
○:良い(凹凸の数が1〜2個)
△:やや悪い(凹凸の数が3〜5個)
×:悪い(凹凸の数が6個以上であるか、骨材分離が生じ凹凸となっている。)
(総合評価)
本発明のセルフレベリング性組成物の総合評価は、以下の基準で評価した結果を示す。
◎:硬化体比重、熱伝導率、圧縮強度、骨材分離の各要件を満たし、フロー値が210mm以上であり、かつ、表面状態が◎である。
○:硬化体比重、熱伝導率、圧縮強度、骨材分離の各要件を満たし、フロー値が210mm以上であり、かつ、表面状態が○である。
或いは、硬化体比重、熱伝導率、圧縮強度、骨材分離の各要件を満たし、フロー値が190mm以上〜210mm未満で、かつ、表面状態が○又は◎である。
△:硬化体比重、熱伝導率、圧縮強度、骨材分離、フロー値の各要件を満たし、表面状態が△である。
×:上記の、◎、○、△以外。
Figure 0006868378
Figure 0006868378
Figure 0006868378
本発明によれば、従来のセルフレベリング材と同等のセルフレベリング性能が維持され、しかも、高性能の断熱モルタルには及ばないものの、従来のセルフレベリング材によっては得られなかった、硬化体における断熱性能が実現されるセルフレベリング性組成物の提供が可能になり、施工が容易なセルフレベリング材で断熱補強を施すことができるようになるので、社会的に問題になっている省エネに対応したセルフレベリング材製品としての利用が期待される。

Claims (8)

  1. 石膏100質量部あたり10〜60質量部のセメントを含む、石膏を含んでなる主材に、さらに、少なくとも、嵩比重が0.3〜0.4で、かつ、吸水率が30%以下であるパーライトと、増粘剤と、該増粘剤以外の合成樹脂が配合されてなるセルフレベリング性組成物であって、
    前記主材100質量部に対して、前記パーライトが31〜67質量部の範囲内、前記合成樹脂が0.7〜2.0質量部の範囲内、前記増粘剤が0.2〜2.20質量部の範囲内となるようにそれぞれ配合されており、
    さらに、前記主材100質量部あたり35〜70質量部の水を配合して混練して得られる混練物のフロー値が190mm以上でセルフレベリング性を有し、
    前記混練物の硬化体の比重が0.7〜1.0であり、該硬化体の熱伝導率が0.(W/m・K)以下断熱性能を有することを特徴とするセルフレベリング性組成物。
  2. 前記主材100質量部中、前記石膏が50質量部以上配合されている請求項1に記載のセルフレベリング性組成物。
  3. 前記主材が、石膏100質量部あたり35質量部以下の増量材を含んでなる請求項1又は2に記載のセルフレベリング性組成物。
  4. 前記増粘剤が、セルロースエーテルである請求項のいずれか1項に記載のセルフレベリング性組成物。
  5. 前記増粘剤以外の合成樹脂が、粉末のスチレンアクリル樹脂である請求項のいずれか1項に記載のセルフレベリング性組成物。
  6. 前記主材100質量部あたり35〜70質量部の水を配合して混練した場合の泥漿粘度が、15〜50dPa・sである請求項1〜のいずれか1項に記載のセルフレベリング性組成物。
  7. 断熱性能を有する床を形成するための床の施工方法であって、請求項1〜のいずれか1項に記載のセルフレベリング性組成物と水とを混練して泥漿とする工程と、泥漿としたものを床下地材の上面に流し込んで水平面を形成する工程と、流し込んだ泥漿を硬化させる工程を有することを特徴とする床の施工方法。
  8. 外壁及び/又は柱周辺の床面断熱補強が要求された床構造体であって、前記床面断熱補強が必要な部分が、請求項1〜のいずれか1項に記載のセルフレベリング性組成物を用いてなることを特徴とする床構造体。
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