JP6867907B2 - セラミックス接合体およびセラミックス接合体の製造方法 - Google Patents

セラミックス接合体およびセラミックス接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本明細書に開示される技術は、セラミックス接合体に関する。
半導体製造装置用部品として、サセプタ(加熱装置)が用いられる。サセプタは、例えば、内部にヒータを有する板状のセラミックス製の保持部材と、保持部材の一方の面側に配置される円筒状のセラミックス製の支持部材と、保持部材と支持部材との間に配置され、保持部材の一方の面と支持部材の一方の面とを接合する接合部とを備える。保持部材の一方の面とは反対側の保持面にウェハが配置される。サセプタは、ヒータに電圧が印加されることにより発生する熱を利用して、保持面に配置されたウェハを加熱する。
このようなサセプタの中には、保持部材と支持部材とが、比較的に熱伝導率が高いAlN(窒化アルミニウム)を主成分とする材料により形成されたものがある。また、このようなサセプタは、使用時に、熱サイクルにさらされる。セラミックス部材(保持部材、支持部材)の熱膨張率と接合部の熱膨張率とが互いに異なる場合(例えば、接合部全体が、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成された場合)、サセプタが熱サイクルにさらされると、セラミックス部材と接合部との間に熱膨張差が生じ、例えば接合部にマイクロクラックが発生するおそれがある。マイクロクラックが発生すると、セラミックス部材同士の接合強度が低下したり、セラミックス部材同士の間の気密性が低下したりするおそれがある。従来、AlN粉末を含む接合剤を熱処理することにより、接合部のセラミックス部材側の表面にAlNを析出させ、その析出したAlNを介して接合部とセラミックス部材とを接合する技術が知られている(例えば特許文献1,2参照)。
特開2004−331497号公報
しかし、上述の従来の技術では、接合部から析出したAlNと各セラミックス部材との間に空隙ができやすく、接合強度が低下するおそれがあった。
なお、このような課題は、サセプタを構成する保持部材と支持部材との接合体に限らず、例えば静電チャック等の保持装置を構成するセラミックス部材同士の接合体にも共通の課題である。また、このような課題は、保持装置に限らず、例えばシャワーヘッド等の半導体製造装置用部品を構成するセラミックス部材同士の接合体に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるセラミックス接合体は、AlNを主成分とする材料により形成された第1のセラミックス部材と、AlNを主成分とする材料により形成された第2のセラミックス部材と、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との間に配置され、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材とを接合する接合部と、を備えるセラミックス接合体において、前記接合部は、外部に露出し、かつ、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との両方に接触し、AlNを主成分とする材料により形成された第1の接合部と、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成された第2の接合部と、を含むことを特徴とする。本セラミックス接合体によれば、接合部は、第1の接合部と第2の接合部とを含む。第1の接合部は、接合部の外部に露出し、かつ、第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材との両方に接触し、AlNを主成分とする材料により形成されている。これにより、接合部が、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成された接合部を含む場合であっても、第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材とが、これらの部材と同じようにAlNを主成分とする第1の接合部を介して一体的に接合される。これにより、第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材との接合強度の低下およびマイクロクラックの進展を抑制することができる。
(2)上記セラミックス接合体において、前記第1の接合部は、前記接合部の全周にわたって形成されていることを特徴とする構成としてもよい。本セラミックス接合体によれば、接合部の全周にわたって、第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材とが、これらの部材と同じようにAlNを主成分とする第1の接合部を介して一体的に接合される構成としてもよい。これにより、仮に接合部の内部でマイクロクラックが発生したとしても、そのマイクロクラックが接合部の外周面に至ることを抑制することができる。
(3)上記セラミックス接合体において、前記第2の接合部は、前記接合部の内部に位置し、かつ、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との両方に接触し、AlNの含有量が前記第1の接合部のAlNの含有量より少ないことを特徴とする構成としてもよい。本セラミックス接合体によれば、接合部のうち、第1の接合部以外の部分(第2の接合部)において、AlN同士の間に空隙が形成されることを原因とする第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材との接合強度の低下を抑制することができる。
(4)上記セラミックス接合体において、前記第1のセラミックス部材には、前記接合部を介して前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材とが対向する第1の方向に貫通する貫通孔が形成されており、前記第1の接合部は、前記第1のセラミックス部材の内周側に位置する内周側接合部と、前記第1のセラミックス部材の外周側に位置し、前記貫通孔の径方向の寸法が前記内周側接合部の前記径方向の寸法に比べて大きい外周側接合部とを含むことを特徴とする構成としてもよい。本セラミックス接合体によれば、第1の接合部は、第1のセラミックス部材の内周側に位置する内周側接合部と、第1のセラミックス部材の外周側に位置し、内周側接合部に比べて、貫通孔の径方向の寸法が大きい外周側接合部とを含む構成としてもよい。これにより、特に熱膨張による膨張量が大きい第1のセラミックス部材の外周側において、第1のセラミックス部材と第2のセラミックス部材との接合強度の低下をより確実に抑制することができる。
(5)本明細書に開示されるセラミックス接合体の製造方法は、AlNを主成分とする材料により形成された第1のセラミックス部材と、AlNを主成分とする材料により形成された第2のセラミックス部材とを準備する工程と、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との間に、Alを含む複合酸化物を主成分とする接合剤を介在させた中間体を、窒素雰囲気で、1650(℃)以上、1750(℃)以下の温度で、1時間以内、加熱することにより、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材とを接合する接合部であって、前記接合部の外部に露出し、かつ、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との両方に接触し、AlNを主成分とする材料により形成された第1の接合部と、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成された第2の接合部と、を含む前記接合部を形成する工程とを含むことを特徴とする。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、静電チャック、真空チャック等の保持装置、サセプタ等の加熱装置、シャワーヘッド等の半導体製造装置用部品、それらの製造方法の形態で実現することが可能である。
本実施形態におけるサセプタ100の外観構成を概略的に示す斜視図である。 本実施形態におけるサセプタ100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 図2のサセプタ100におけるX1部分のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。 本実施形態におけるサセプタ100の製造方法を示すフローチャートである。
A.実施形態:
A−1.サセプタ100の構成:
図1は、本実施形態におけるサセプタ100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、本実施形態におけるサセプタ100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、サセプタ100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。サセプタ100は、特許請求の範囲におけるセラミックス接合体に相当し、上下方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
サセプタ100は、対象物(例えばウェハW)を保持しつつ所定の処理温度に加熱する装置であり、例えば半導体装置の製造工程で使用される薄膜形成装置(例えばCVD装置やスパッタリング装置)やエッチング装置(例えばプラズマエッチング装置)に備えられている。サセプタ100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された保持部材10および支持部材20を備える。保持部材10と支持部材20とは、保持部材10の下面(以下、「保持側接合面S2」という)と支持部材20の上面(以下、「支持側接合面S3」という)とが上記配列方向に対向するように配置されている。サセプタ100は、さらに、保持部材10の保持側接合面S2と支持部材20の支持側接合面S3との間に配置された接合層30を備える。保持部材10は、特許請求の範囲における第2のセラミックス部材に相当し、支持部材20は、特許請求の範囲における第1のセラミックス部材に相当し、接合層30は、特許請求の範囲における接合部に相当する。
(保持部材10)
保持部材10は、例えば円形平面の板状部材であり、AlN(窒化アルミニウム)を主成分とするセラミックスにより形成されている。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。保持部材10の直径は、例えば100(mm)〜500(mm)程度であり、保持部材10の厚さは、例えば3(mm)〜15(mm)程度である。
保持部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステンやモリブデン等)により形成された線状の抵抗発熱体で構成されたヒータ50が設けられている。ヒータ50の一対の端部は、保持部材10の中央部付近に配置されている。また、保持部材10の内部には、一対のビア52が設けられている。各ビア52は、上下方向に延びる線状の導電体であり、各ビア52の上端は、ヒータ50の各端部に接続されており、各ビア52の下端は、保持部材10の保持側接合面S2側に配置されている。また、保持部材10の保持側接合面S2の中央部付近には、一対の受電電極54が配置されている。各受電電極54は、各ビア52の下端に接続されている。これにより、ヒータ50と各受電電極54とが電気的に接続されている。
(支持部材20)
支持部材20は、例えば上下方向に延びた円筒状部材であり、支持側接合面S3(上面)から下面S4まで上下方向に貫通する貫通孔22が形成されている。支持部材20は、保持部材10と同様に、AlNを主成分とするセラミックスにより形成されている。支持部材20の外径は、例えば30(mm)〜90(mm)程度であり、内径は、例えば10(mm)〜60(mm)程度であり、上下方向の長さは、例えば100(mm)〜300(mm)程度である。支持部材20の貫通孔22内には、一対の電極端子56が収容されている。各電極端子56は、上下方向に延びる棒状の導電体である。各電極端子56の上端は、各受電電極54にロウ付けにより接合されている。一対の電極端子56に電源(図示せず)から電圧が印加されると、ヒータ50が発熱することによって保持部材10が温められ、保持部材10の上面(以下、「保持面S1」という)に保持されたウェハWが温められる。なお、ヒータ50は、保持部材10の保持面S1をできるだけ満遍なく温めるため、例えばZ方向視で略同心円状に配置されている。また、支持部材20の貫通孔22内には、熱電対の2本の金属線60(図2では1本のみ図示)が収容されている。各金属線60は、上下方向に延びるように配置され、各金属線60の上端部分62は、保持部材10の中央部に埋め込まれている。これにより、保持部材10内の温度が測定され、その測定結果に基づきウェハWの温度制御が実現される。
(接合層30)
図3は、図2のサセプタ100におけるX1部分のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。図2および図3に示すように、接合層30は、円環状のシート層であり、保持部材10の保持側接合面S2と支持部材20の支持側接合面S3とを接合している。接合層30は、第1の接合部34と第2の接合部32とを含む。第1の接合部34は、外部に露出し、かつ、保持部材10の保持側接合面S2と支持部材20の支持側接合面S3との両方に接触している。また、第1の接合部34は、AlNを主成分とする材料により形成されている。第2の接合部32は、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成されている。すなわち、第2の接合部32におけるAlNの含有量は、第1の接合部34におけるAlNの含有量より少ない。
具体的には、第2の接合部32は、略円筒状であり、支持部材20と略同心円上に位置する。第2の接合部32は、上下方向視で、円管状であり、かつ、全周にわたって、支持部材20の支持側接合面S3に重なっている。また、第2の接合部32の上面全体は、保持部材10の保持側接合面S2に接触しており、第2の接合部32の下面全体は、支持部材20の支持側接合面S3に接触している。第2の接合部32は、例えば、Gd(ガドリニウム)とAl(アルミニウム)とを含む複合酸化物を含む材料により形成されている。具体的には、第2の接合部32は、GdAlOと、Al(アルミナ)とを含み、AlNを含まない材料により形成されている。なお、本明細書において、「AlNを含まない」とは、接合層30において、複数のAlN粒子の凝集体であって、互いに隣り合う複数のAlN粒子によって囲まれた隙間を有する凝集体を、含まないことを意味する。
一方、第1の接合部34は、支持部材20(接合層30)の内周側に位置する内周側接合部34Aと、支持部材20の外周側に位置する外周側接合部34Bとを含む。具体的には、内周側接合部34Aは、第2の接合部32の内周面全体を覆う略円筒状であり、該内周側接合部34Aの上面全体は、保持部材10の保持側接合面S2に接触しており、該内周側接合部34Aの下面全体は、支持部材20の支持側接合面S3に接触している。外周側接合部34Bは、第2の接合部32の外周面全体を覆う略円筒状であり、該外周側接合部34Bの上面全体は、保持部材10の保持側接合面S2に接触しており、該外周側接合部34Bの下面全体は、支持部材20の支持側接合面S3に接触している。このため、第2の接合部32は、接合層30の内部に位置しており、接合層30の外部に露出していない。また、外周側接合部34Bの径方向の寸法D1は、内周側接合部34Aの径方向の寸法D2に比べて大きい。外周側接合部34Bの径方向の寸法D1と、内周側接合部34Aの径方向の寸法D2と、第2の接合部32の径方向の寸法DXとの比率の範囲は、次の通りであることが好ましい。
D1:D2:DX=0.15〜5.13:0.10〜4.10:90.77〜99.74
例えば、D1=150(μm)、D2=100(μm)、DX=19000(μm)でもよいし、D1=30〜1000(μm)、D2=20〜800(μm)、DX=17000〜20000(μm)でもよい。なお、接合層30の外径は、例えば30(mm)〜90(mm)程度であり、内径は、例えば10(mm)〜60(mm)程度であり、厚さは、例えば2(μm)〜60(μm)程度である。
A−2.サセプタ100の製造方法:
次に、本実施形態におけるサセプタ100の製造方法を説明する。図3は、本実施形態におけるサセプタ100の製造方法を示すフローチャートである。はじめに、保持部材10と支持部材20とを準備する(S110)。上述したように、保持部材10と支持部材20とは、いずれもAlNを主成分とするセラミックスにより形成されている。なお、保持部材10および支持部材20は、公知の製造方法によって製造可能であるため、ここでは製造方法の説明を省略する。
次に、接合層30の形成材料であるペースト状の接合剤を準備する(S120)。具体的には、Gd(ガドリニア)粉末とAl粉末とを所定の割合で混合し、さらに、アクリルバインダおよびブチルカルビトールと共に混合することにより、ペースト状の接合剤を形成する。なお、ペースト状の接合剤の形成材料の組成比は、例えば、Gdが24mol%であり、Alが76mol%であることが好ましい。次に、保持部材10と支持部材20との間に、準備されたペースト状の接合剤を配置する(S130)。具体的には、保持部材10の保持側接合面S2と支持部材20の支持側接合面S3とをラップ研磨し、各接合面S2,S3の表面粗さを1(μm)以下、平坦度を10(μm)以下にする。そして、保持部材10の保持側接合面S2と支持部材20の支持側接合面S3との少なくとも一方に、マスク印刷により、ペースト状の接合剤を塗布して脱脂処理をする。その後、支持部材20の支持側接合面S3と保持部材10の保持側接合面S2とを、ペースト状の接合剤を介して重ね合わせることにより、保持部材10と支持部材20との積層体を形成する。
次に、保持部材10と支持部材20との積層体(中間体)をホットプレス炉内に配置し、カーボンケース(図示せず)で覆い、N(窒素)雰囲気で加圧しつつ加熱する(S140)。これにより、ペースト状の接合剤が溶融して接合層30が形成され、保持部材10と支持部材20とが接合層30により接合される。この加熱・加圧接合における圧力は、0.1MPa以上、15MPa以下の範囲内に設定されることが好ましい。なお、本実施形態では、後述する加熱・加圧接合における加熱工程の昇温期間から、昇温後の温度維持期間、温度維持後の降温期間までの全期間にわたって圧力は一定である。加熱・加圧接合における圧力が0.1MPa以上に設定されると、被接合部材(保持部材10や支持部材20)の表面にうねり等があった場合でも被接合部材間に接合されない隙間が生じることが抑制され、初期の接合強度が低下することを抑制することができる。また、加熱・加圧接合における圧力が15MPa以下に設定されると、保持部材10の割れや支持部材20の変形が発生することを抑制することができる。なお、接合面S2,S3には、0.2Kgf/cm〜3Kgf/cmの圧力が付与される。
また、この加熱・加圧接合における温度は、1650(℃)〜1750(℃)、好ましくは1750(℃)まで上昇させることが好ましい。加熱・加圧接合における温度が1750(℃)まで上昇したら、1750(℃)の状態を約10(分)維持した後、ホットプレス炉内の温度を室温まで下げる。上記のように、上記積層体に対してN雰囲気で加熱処理がされることにより、ペースト状の接合剤の外部に露出する部分付近において、該接合剤に含まれるAlと周囲のNとが反応してAlNが生成される。これにより、上述した第1の接合部34および第2の接合部32を含む接合層30を形成することができる。ここで、上記加熱処理を1時間以内とすることにより、接合剤の形成材料が保持部材10や支持部材20のAlNの粒界を通じて移動して接合界面に空隙が生じることを原因とする保持部材10と支持部材20との間の気密性低下や接合強度低下を抑制することができる。加熱・加圧接合の後、必要により後処理(外周や上下面の研磨、端子の形成等)を行う。以上の製造方法により、上述した構成のサセプタ100が製造される。
A−3.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態のサセプタ100では、接合層30は、第1の接合部34と第2の接合部32とを含む。第1の接合部34は、接合層30の外部に露出し、かつ、保持部材10と支持部材20との両方に接触し、AlNを主成分とする材料により形成されている。第2の接合部32は、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成されている。このように、本実施形態のサセプタ100によれば、接合層30は、AlNを主成分としない材料により形成された第2の接合部32を含むため、接合層全体がAlNを主成分とする材料により形成された構成に比べて、AlN同士の間に形成される空隙を原因とする接合強度の低下を抑制することができる。また、本実施形態のサセプタ100では、接合層30は、AlNを主成分とする材料により形成された第1の接合部34を含むため、接合層全体がAlNを主成分としない材料により形成された構成に比べて、セラミックス部材(保持部材10、支持部材20)の熱膨張率と接合層の熱膨張率との差を原因とするマイクロクラックの発生を抑制することができる。また、仮に、第2の接合部32にマイクロクラックが発生したとしても、そのマイクロクラックの進展が第1の接合部34によって抑制される。すなわち、本実施形態のサセプタ100によれば、接合層30が、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成された接合部を含む場合であっても、保持部材10と支持部材20とが、これらの部材と同じようにAlNを主成分とする第1の接合部34を介して一体的に接合される。これにより、保持部材10と支持部材20との接合強度の低下およびマイクロクラックの進展を抑制することができる。
しかも、本実施形態のサセプタ100によれば、接合層30の全周にわたって、保持部材10と支持部材20とが、これらの部材と同じようにAlNを主成分とする第1の接合部34を介して一体的に接合される。これにより、仮に接合層30の内部でマイクロクラックが発生したとしても、そのマイクロクラックが接合層30の外周面に至ることを抑制することができる。
また、本実施形態のサセプタ100によれば、第2の接合部32におけるAlNの含有量は、第1の接合部34におけるAlNの含有量より少ない。これにより、接合層30のうち、第1の接合部34以外の部分(第2の接合部32)において、AlN同士の間に空隙が形成されることを原因とする保持部材10と支持部材20との接合強度の低下を抑制することができる。
また、本実施形態のサセプタ100によれば、第1の接合部34は、支持部材20の内周側に位置する内周側接合部34Aと、支持部材20の外周側に位置し、内周側接合部34Aに比べて、貫通孔22の径方向の寸法が大きい外周側接合部34Bとを含む。これにより、特に熱膨張による膨張量が大きい支持部材20の外周側において、保持部材10と支持部材20との接合強度の低下をより確実に抑制することができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態において、第1の接合部34は、第2の接合部32の外周の一部分だけに形成されているとしてもよい。すなわち、接合層30において、第2の接合部32の一部が外部に露出しているとしてもよい。例えば、第1の接合部34は、内周側接合部34Aおよび外周側接合部34Bのいずれか一方を含まないとしてもよい。
上記実施形態において、内周側接合部34Aの径方向の寸法と外周側接合部34Bの径方向の寸法とは同じであるとしてもよいし、内周側接合部34Aの径方向の寸法が外周側接合部34Bの径方向の寸法より大きいとしてもよい。
上記実施形態における保持部材10および支持部材20を形成するセラミックスは、AlNを主成分として含んでいれば、他の元素を含んでいてもよい。また、第2の接合部32は、AlNを含むとしてもよい。また、第1の接合部34は、AlNを主成分として含んでいれば、他の元素を含んでいてもよい。また、第2の接合部32は、GdAlOとAl(アルミナ)との複合酸化物以外の、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成されていてもよいし、AlNを含んでいてもよい。要するに、第2の接合部32は、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成されていればよい。
上記実施形態において、保持部材10と支持部材20とが、一体の接合層30ではなく、複数の接合部分によって接合されているとしてもよい。具体的には、保持部材10と支持部材20との間に、保持部材10と支持部材20との対向方向に直交する一の仮想平面上に配置された複数の接合部分が離散的に形成されているとともに、保持部材10と支持部材20とが、保持部材10および支持部材20の形成材料であるAlN粒子を介して部分的に連結されているとしてもよい。
また、上記実施形態におけるサセプタ100の製造方法はあくまで一例であり、種々変形可能である。
本発明は、サセプタ100に限らず、ポリイミドヒータ等の他の加熱装置、セラミックス板とベース板とを備え、セラミックス板の表面上に対象物を保持する保持装置(例えば、静電チャックや真空チャック)、シャワーヘッド等の他の半導体製造装置用部品にも適用可能である。
10:保持部材 20:支持部材 22:貫通孔 30:接合層 32:第2の接合部 34:第1の接合部 34A:内周側接合部 34B:外周側接合部 50:ヒータ 52:ビア 54:受電電極 56:電極端子 60:金属線 62:上端部分 100:サセプタ D1,D2:寸法 S1:保持面 S2:保持側接合面 S3:支持側接合面 S4:下面 W:ウェハ

Claims (5)

  1. AlNを主成分とする材料により形成された第1のセラミックス部材と、
    AlNを主成分とする材料により形成された第2のセラミックス部材と、
    前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との間に配置され、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材とを接合する接合部と、を備えるセラミックス接合体において、
    前記接合部は、
    外部に露出し、かつ、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との両方に接触し、AlNを主成分とする材料により形成された第1の接合部と、
    Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成された第2の接合部と、を含むことを特徴とするセラミックス接合体。
  2. 請求項1に記載のセラミックス接合体において、
    前記第1の接合部は、前記接合部の全周にわたって形成されていることを特徴とするセラミックス接合体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のセラミックス接合体において、
    前記第2の接合部は、前記接合部の内部に位置し、かつ、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との両方に接触し、AlNの含有量が前記第1の接合部のAlNの含有量より少ないことを特徴とするセラミックス接合体。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のセラミックス接合体において、
    前記第1のセラミックス部材には、前記接合部を介して前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材とが対向する第1の方向に貫通する貫通孔が形成されており、
    前記第1の接合部は、前記第1のセラミックス部材の内周側に位置する内周側接合部と、前記第1のセラミックス部材の外周側に位置し、前記貫通孔の径方向の寸法が前記内周側接合部の前記径方向の寸法に比べて大きい外周側接合部とを含むことを特徴とする、セラミックス接合体。
  5. AlNを主成分とする材料により形成された第1のセラミックス部材と、AlNを主成分とする材料により形成された第2のセラミックス部材とを準備する工程と、
    前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との間に、Alを含む複合酸化物を主成分とする接合剤を介在させた中間体を、窒素雰囲気で、1650(℃)以上、1750(℃)以下の温度で、1時間以内、加熱することにより、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材とを接合する接合部であって、前記接合部の外部に露出し、かつ、前記第1のセラミックス部材と前記第2のセラミックス部材との両方に接触し、AlNを主成分とする材料により形成された第1の接合部と、Alを含む複合酸化物を主成分とする材料により形成された第2の接合部と、を含む前記接合部を形成する工程とを含むことを特徴とする、セラミックス接合体の製造方法。
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