JP6866810B2 - チキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物及びその硬化物、並びにその硬化方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明において、「直鎖状ポリフルオロ化合物」、「直鎖状パーフルオロポリエーテル構造」又は「直鎖状パーフルオロポリエーテル基」とは、主鎖のパーフルオロポリエーテル構造を構成する2価のフルオロオキシアルキレン繰り返し単位同士が直鎖状に連結していることを意味するものであって、個々の2価のフルオロオキシアルキレン単位それ自体は、例えば、直鎖状フルオロオキシアルキレン単位であっても、あるいは−[CF2CF(CF3)O]−等の分岐構造を有するフルオロオキシアルキレン単位であってもよい。
(A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、且つ主鎖中に直鎖状パーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状ポリフルオロ化合物 100質量部、
(B)1分子中にケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有する含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン (A)成分のアルケニル基1モルに対してSi−H基として0.5〜3.0モルとなる量、
(C)光活性型ヒドロシリル化反応触媒 (A)成分の質量に対して金属原子換算で0.1〜500ppm、
(D)BET比表面積が50m2/g以上で、かつ表面が疎水化処理されたシリカ系充填剤 2〜50質量部 及び
(E)炭化水素系ポリオキシアルキレン化合物 0.001〜10質量部
を含有することを特徴とするチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
(A)成分が、下記式(1)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物である〔1〕に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
(ここで、Yは−CH2−、−Si(CH3)2CH2CH2CH2−、−Si(CH3)(CH=CH2)CH2CH2CH2−、−Si(CH=CH2)2CH2CH2CH2−又は下記構造式(Z)
で示されるo−、m−又はp−シリルフェニレン基であり、R1は水素原子又は非置換若しくは置換の1価炭化水素基である。)であり、
(ここで、Y’は−CH2−、−CH2CH2CH2Si(CH3)2−、−CH2CH2CH2Si(CH3)(CH=CH2)−、−CH2CH2CH2Si(CH=CH2)2−又は下記構造式(Z’)
で示されるo−、m−又はp−シリルフェニレン基であり、R2は水素原子又は非置換若しくは置換の1価炭化水素基である。)である。
Rf1は下記式(i)又は(ii)
の2価の直鎖状パーフルオロポリエーテル基で表され、好ましくは分岐構造を有するフルオロオキシアルキレン単位である−[CF2CF(CF3)O]−を含有する、2価の直鎖状パーフルオロポリエーテル基である。]
(B)成分の含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、1分子中に1個以上の1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基、及び/又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有するものである〔1〕又は〔2〕に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
(C)成分の光活性型ヒドロシリル化反応触媒が、(η5−シクロペンタジエニル)トリ(σ−アルキル)白金(IV)錯体、及び/又は、β−ジケトナト白金(II)錯体である〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
(E)成分の炭化水素系ポリオキシアルキレン化合物が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとブチレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとトリメチレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラメチレンオキシドとの共重合体、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシブチレン並びにこれらのアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種である〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
更に、(F)成分として、ヒドロシリル化反応の反応制御剤を含む〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物の硬化物からなるフルオロポリエーテル系ゴム。
〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物に最大ピーク波長が300〜400nmである近紫外線を照射する工程を含むことを特徴とするチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物の硬化方法。
本発明のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物における(A)成分は、1分子中に2個以上のアルケニル基と主鎖中に直鎖状パーフルオロポリエーテル構造とを有する直鎖状ポリフルオロ化合物である。ここで1分子中のアルケニル基の数は、2〜30個が好ましく、特に2〜6個が好ましい。なお、本発明の組成物には、1分子中に1個のアルケニル基を有し、且つ主鎖中に直鎖状パーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状ポリフルオロ化合物は含まないことが好ましい。
なお、本発明において、「直鎖状ポリフルオロ化合物」、「直鎖状パーフルオロポリエーテル構造」又は「直鎖状パーフルオロポリエーテル基」とは、主鎖のパーフルオロポリエーテル構造を構成する2価のフルオロオキシアルキレン繰り返し単位同士が直鎖状に連結していることを意味するものであって、個々の2価のフルオロオキシアルキレン単位それ自体は、例えば、直鎖状フルオロオキシアルキレン単位であっても、あるいは−[CF2CF(CF3)O]−等の分岐構造を有するフルオロオキシアルキレン単位であってもよい。
(ここで、Yは−CH2−、−Si(CH3)2CH2CH2CH2−、−Si(CH3)(CH=CH2)CH2CH2CH2−、−Si(CH=CH2)2CH2CH2CH2−又は下記構造式(Z)
で示されるo−、m−又はp−シリルフェニレン基であり、R1は水素原子又は非置換若しくは置換の1価炭化水素基である。)であり、
(ここで、Y’は−CH2−、−CH2CH2CH2Si(CH3)2−、−CH2CH2CH2Si(CH3)(CH=CH2)−、−CH2CH2CH2Si(CH=CH2)2−又は下記構造式(Z’)
で示されるo−、m−又はp−シリルフェニレン基であり、R2は水素原子又は非置換若しくは置換の1価炭化水素基である。)である。
Rf1は下記式(i)又は(ii)
で表され、好ましくは、分岐構造を有するフルオロオキシアルキレン単位である−[CF2CF(CF3)O]−を含有する2価の直鎖状パーフルオロポリエーテル基である。]
なお、本発明において、粘度(23℃)は、回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定した値、詳細には、JIS K7117−1に規定された条件に準拠して測定した値をいう。また、直鎖状ポリフルオロ化合物の主鎖を構成する直鎖状パーフルオロポリエーテル構造中の各パーフルオロオキシアルキレン繰り返し単位の繰り返し数(又は重合度)は、通常、フッ素系溶剤を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として算出した値である。
(A)成分は、本発明の組成物中、50〜98質量%含有することが好ましく、60〜95質量%含有することがより好ましく、70〜90質量%含有することがさらに好ましい。
(B)成分は、1分子中に含フッ素有機基を1個以上、好ましくは1〜10個有し、且つケイ素原子に直結した水素原子(即ち、Si−Hで示されるヒドロシリル基)を2個以上、好ましくは3〜50個有する含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(B)成分は、(A)成分の架橋剤及び/又は鎖長延長剤として機能するものである。また(B)成分は、(A)成分との相溶性、分散性、硬化後の均一性等の観点から、1分子中に1個以上の含フッ素有機基(例えば、1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基、及び2価のパーフルオロオキシアルキレン基等)を有するものが好ましい。(B)成分が1分子中に1個以上有する含フッ素有機基は、1種単独でも2種以上の組み合わせでもよい。
(C)成分は、光活性型ヒドロシリル化反応触媒である。光活性型ヒドロシリル化反応触媒は、光、特に300〜400nmの近紫外線の照射によって活性化され、(A)成分中のアルケニル基と、(B)成分中のヒドロシリル基との付加反応を促進する触媒である。この光活性型ヒドロシリル化反応触媒は、主に白金族系金属触媒及びニッケル系金属触媒がこれに該当する。白金族系金属触媒としては白金系、パラジウム系、及びロジウム系の金属錯体化合物があり、ニッケル系金属触媒としてはニッケル系、鉄系、及びコバルト系の金属錯体化合物がある。中でも白金系金属錯体化合物は、比較的入手し易く、且つ良好な触媒活性を示すため、好ましい。
(D)成分のシリカ系充填剤はBET比表面積が50m2/g以上で、かつ表面が疎水化処理された疎水性シリカ粉末である。これを加えることによって本発明の光硬化型組成物から得られる硬化物に適切な物理的強度を付与することができる。また、(E)成分の炭化水素系ポリオキシアルキレン化合物と共に用いることで、未硬化時の光硬化型組成物に適度なチキソ性を付与することができる。このシリカ系充填剤としては、BET比表面積が50m2/g以上、特に50〜400m2/g、とりわけ100〜350m2/gの微粉末シリカを疎水化処理したものが好適である。
(E)成分の炭化水素系ポリオキシアルキレン化合物は、(D)成分のシリカ系充填剤と共に用いることで、光硬化特性や硬化後の物性に影響を与えることなく、未硬化時の光硬化型組成物の垂れ落ちを防止することができる。
(E)成分の具体的な例としては、ポリオキシアルキレン、アルキレンオキシド共重合体、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキレンオキシド共重合体アルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキレンオキシド共重合体脂肪酸エステルなどが例示される。より具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシイソプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシイソブチレン、ポリオキシトリメチレン、ポリオキシテトラメチレン、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、エチレンオキシド−ブチレンオキシド共重合体、エチレンオキシド−トリメチレンオキシド共重合体、エチレンオキシド−テトラメチレンオキシド共重合体、プロピレンオキシド−ブチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンジエチルエーテル、ポリオキシブチレンモノメチルエーテル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体モノブチルエーテル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体ジブチルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリキシエチレンモノステアレートなどが例示される。
これらの中では、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体モノブチルエーテル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体ジブチルエーテルが、比較的少量の添加で組成物にチキソ性を付与することができるため、特に好ましい。
また、日油株式会社製のユニオックス(登録商標)Mシリーズ、ユニオール(登録商標)Dシリーズ(ポリオキシアルキレン)、ユニオール(登録商標)PBシリーズ、ユニルーブ(登録商標)シリーズ、ポリセリン(登録商標)シリーズ(アルキレンオキシド共重合体)なども好適に用いることができる。
本発明のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物には、更に、(F)成分として、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知のヒドロシリル化反応の反応制御剤を配合することができる。これによって、光硬化型組成物は更に良好な保存性を得ることができる。反応制御剤としては、アセチレン化合物(例えば1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノールなどのアセチレンアルコールや、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等)が挙げられる。また、以下の構造式で示される含フッ素アセチレンアルコール化合物、ポリメチルビニルシロキサン環式化合物及び有機リン化合物なども反応制御剤として用いることができる。
本発明のチキソ性光硬化型組成物においては、その実用性を高めるために上記の(A)〜(F)成分以外にも、可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤、無機質充填剤、接着促進剤、接着助剤、シランカップリング剤等の各種配合剤を必要に応じて添加することができる。これら添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲、及び光硬化型組成物の特性及び光硬化物の物性を損なわない限りにおいて任意である。
本発明のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物は、上記した(A)〜(E)成分、好ましくは(A)〜(F)成分と、その他の任意成分とをプラネタリーミキサー、ロスミキサー、ホバートミキサー等の混合装置、必要に応じてニーダー、三本ロール等の混練装置を使用して均一に混合することによって製造することができる。
上記の方法によれば、組成物の粘度を増大させて作業性を低下させることなしに、組成物の適度な粘度(作業性)を維持したままで、組成物のチキソ性を向上させることができるとともに、チキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物の光硬化特性を向上させることができる。
製造されたチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物は、光照射により硬化され得る。硬化の際、照射する光は発光スペクトルにおける最大ピーク波長が300〜400nmの領域にあり、且つ300nmより短い波長領域にある各波長の放射照度は前記最大ピーク波長の放射照度の5%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下、つまり0に近ければ近いほど好ましい。300nmより短い波長領域にあり、放射照度が前記最大ピーク波長の放射照度の5%より大きい波長を有する光を照射すると、ポリマー末端基の分解が起こったり、触媒の一部が分解したりするなどして、十分な硬化物を得ることができない可能性がある。
上記(A)〜(E)成分、好ましくは(A)〜(F)成分を主成分とする本発明のチキソ性光硬化型組成物は、前記光硬化方法により耐薬品性及び耐溶剤性に優れ、且つ透湿性の低いゴム硬化物を形成することができる。ゴム硬化物の形成は、本発明の光硬化型組成物を適当な容器内に注入するか、若しくは適当な基体上にコーティングした後に、光照射し硬化させる等の従来公知の方法により容易に行うことができる。
[製造例]
下記式(6)で表されるポリマー(粘度9,000mPa・s、ビニル基量0.013モル/100g、数平均分子量15,700)100部に疎水性シリカ系充填剤としてフュームドシリカ(商品名 AEROSIL NAX50:日本アエロジル(株)製)27部をプラネタリーミキサーにて分割添加し、1時間混練りを行った。次いで、150℃で1時間混合減圧(−0.08〜−0.10MPa)熱処理し、冷却後3本ロールにて分散処理してベースコンパウンドの製造を行った。
上記製造例で作製したベースコンパウンド127部に式(6)で示されるポリマー82部をプラネタリーミキサー内に仕込み、均一になるまで混合した。これに(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)の1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン溶液(白金濃度3.0質量%)0.11部、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサンのトルエン溶液(5.0質量%)0.10部、下記式(7)で示される含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン(Si−H基量0.00387モル/g)5.8部、ユニルーブC(日油株式会社製品名、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体モノブチルエーテル)0.14部を順次添加し、均一になるよう混合した。その後、脱泡操作を行うことによりチキソ性光硬化型を調製した。
実施例1において、光活性型ヒドロシリル化反応触媒:(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金(IV)の1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン溶液(白金濃度3.0質量%)0.11部をビス(2,4−へプタンジオナト)白金(II)の酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル溶液(白金濃度0.5質量%)0.66部に変更した以外は実施例1と同様にしてチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を調製した。
実施例1において、含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン(7)5.8部を下記式(8)で示す含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン(Si−H基量0.00705モル/g)3.2部に変更した以外は実施例1と同様にしてチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を調製した。
実施例1において、ユニルーブC0.14部をユニオールPB700(日油株式会社製品名、ポリブチレングリコール)0.10部に変更した以外は実施例1と同様にしてチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を調製した。
実施例1において、ユニルーブC0.14部をポリセリンDC1800E(日油株式会社製品名、ポリオキシテトラメチレン・ポリオキシエチレングリコール)0.21部に変更した以外は実施例1と同様にしてチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を調製した。
実施例1において、上記製造例で作製したベースコンパウンド127部の代わりに、上記式(6)で示されるポリマー100部に変更した以外は実施例1と同様にして光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を調製した。
実施例1において、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体モノブチルエーテル0.14部を添加しなかった以外は実施例1と同様にして光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を調製した。
上記実施例及び比較例で得られた光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物の23℃での粘度を測定し、チキソ比を調べることで評価を行った。粘度の測定はJIS K7117−1に準拠し、東機産業株式会社製TV−10U型回転粘度計(ロッドNo.H7、23℃)を使用し、50rpmと100rpmとの粘度比から、チキソ比の算出を行った。その結果を表1に示す。なお、組成物のチキソ比に関して、該チキソ比が1.3程度以上であれば、該組成物は未硬化でも流動性を失った状態(ノンサグ状態)となり、逆にチキソ比が1.3未満(1.0〜1.3未満)、特に1.2以下(1.0〜1.2)、とりわけ1.0に近いほど該組成物は流動性をもった状態(サグ状態)となる。
上記実施例1,2及び比較例1,2で得られた光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を遮光中、40℃で10日間放置した後の粘度を初期粘度と比較し、保存性の評価とした。その結果を表2に示す。なお、粘度の測定はJIS K7117−1に準拠し、東機産業株式会社製TV−10U型回転粘度計(ロッドNo.H7、23℃)を使用して行った。
実施例1と比較例2で得られた光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を、それぞれ25℃、8φのアルミニウム基材上、試料厚み1.0mmになるよう塗布し、UV照射を行い、25℃での弾性率の経時変化を測定した。測定にはTAインスツルメント社製アレスG2を使用し、UV照射にはLumen Dynamics社製OmniCure S2000に320−390nmのバンドパスフィルターを付け、365nmで100mW/cm2のUV照度で90秒間照射を行った。その結果を図1に示す。
実施例1と比較例2で得られた光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物を、それぞれ(H)×(D)×(t)=105mm×85mm×2mmの型に流し込み、減圧脱泡後、UV−LED(365nm)照射器により、2mmの厚さ方向に対して9,000mJ/cm2となるよう100mW/cm2にて90秒間照射を行った。光照射後直ちに遮光し、23℃にて静置し、24時間後のゴム物性をJIS K6250、6251、6253に準じて測定した。その結果を表3に示す。
Claims (8)
- (A)1分子中に2個以上のアルケニル基を有し、且つ主鎖中に直鎖状パーフルオロポリエーテル構造を有する直鎖状ポリフルオロ化合物 100質量部、
(B)1分子中にケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有する含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサン (A)成分のアルケニル基1モルに対してSi−H基として0.5〜3.0モルとなる量、
(C)光活性型ヒドロシリル化反応触媒 (A)成分の質量に対して金属原子換算で0.1〜500ppm、
(D)BET比表面積が50m2/g以上で、かつ表面が疎水化処理されたシリカ系充填剤 2〜50質量部 及び
(E)炭化水素系ポリオキシアルキレン化合物 0.001〜10質量部
を含有することを特徴とするチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。 - (A)成分が、下記式(1)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物である請求項1に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
[式(1)中、Xは−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR1−CO−
(ここで、Yは−CH2−、−Si(CH3)2CH2CH2CH2−、−Si(CH3)(CH=CH2)CH2CH2CH2−、−Si(CH=CH2)2CH2CH2CH2−又は下記構造式(Z)
(式(Z)中、R3、R4はそれぞれ独立に−CH3又は−CH=CH2である。)
で示されるo−、m−又はp−シリルフェニレン基であり、R1は水素原子又は非置換若しくは置換の1価炭化水素基である。)であり、
X’は−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR2−Y’−
(ここで、Y’は−CH2−、−CH2CH2CH2Si(CH3)2−、−CH2CH2CH2Si(CH3)(CH=CH2)−、−CH2CH2CH2Si(CH=CH2)2−又は下記構造式(Z’)
(式(Z’)中、R3’、R4’はそれぞれ独立に−CH3又は−CH=CH2である。)
で示されるo−、m−又はp−シリルフェニレン基であり、R2は水素原子又は非置換若しくは置換の1価炭化水素基である。)である。
gは独立に0又は1である。
Rf1は下記式(i)又は(ii)
(式(i)中、p及びqはそれぞれ0又は1〜150の整数であって、且つpとqの和の平均は2〜200である。rは0〜6の整数、tは2又は3である。)
(式(ii)中、uは1〜200の整数、vは1〜50の整数、tは2又は3である。)
で表される2価の直鎖状パーフルオロポリエーテル基である。] - (B)成分の含フッ素オルガノハイドロジェンポリシロキサンが、1分子中に1個以上の1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基、及び/又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基を有するものである請求項1又は2に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
- (C)成分の光活性型ヒドロシリル化反応触媒が、(η5−シクロペンタジエニル)トリ(σ−アルキル)白金(IV)錯体、及び/又は、β−ジケトナト白金(II)錯体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
- (E)成分の炭化水素系ポリオキシアルキレン化合物が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとブチレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとトリメチレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラメチレンオキシドとの共重合体、ポリオキシプロピレン、及びポリオキシブチレン並びにこれらのアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
- 更に、(F)成分として、ヒドロシリル化反応の反応制御剤を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物の硬化物からなるフルオロポリエーテル系ゴム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物に最大ピーク波長が300〜400nmである近紫外線を照射する工程を含むことを特徴とするチキソ性光硬化型フルオロポリエーテル系ゴム組成物の硬化方法。
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