<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1乃至図7を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置100は、それぞれ像担持体としての感光ドラム1を有する4つの画像形成部PY、PM、PC、PKを備えた電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、装置本体100Aに接続された原稿読み取り装置(図示せず)又は装置本体100Aに対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどのホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。また、画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する。
なお、画像形成装置100が備える4つの画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、代表して画像形成部PYについて説明し、その他の画像形成部については説明を省略する。
図2に示すように、画像形成部PYには、像担持体として円筒型の感光体、即ち、感光ドラム1が配設されている。感光ドラム1は、図中矢印方向に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には帯電手段としての帯電ローラ2と、現像装置4、転写手段としての一次転写ローラ52、クリーニング手段としてのクリーニング装置7が配置されている。感光ドラム1の図中下方には、露光手段としての露光装置(本実施形態ではレーザースキャナ)3が配置されている。
各画像形成部の図1の上方には、転写装置5が配置されている。転写装置5は、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト51が複数のローラに張設されて、矢印方向に周回移動(回転)するように構成されている。そして、中間転写ベルト51は、後述するように中間転写ベルト51に一次転写されたトナー像を担持して搬送する。中間転写ベルト51を張架するローラのうちの二次転写内ローラ53と中間転写ベルト51を挟んで対向する位置には、二次転写手段としての二次転写外ローラ54が配置され、中間転写ベルト51上のトナー像を記録材に転写する二次転写部T2を構成している。二次転写部T2の記録材搬送方向下流には定着装置6が配置される。
画像形成装置100の下部には、記録材Sが収容されたカセット9が配置されている。カセット9から給送された記録材Sは、搬送ローラ91によりレジストレーションローラ92に向けて搬送される。そして、停止状態のレジストレーションローラ92に記録材Sの先端が突き当たり、ループを形成することで記録材Sの斜行を補正する。その後、中間転写ベルト51上のトナー像と同期してレジストレーションローラ92を回転開始させ、記録材Sを二次転写部T2に搬送する。
上述のように構成される画像形成装置100により、例えば4色フルカラーの画像を形成するプロセスについて説明する。まず、画像形成動作が開始すると、回転する感光ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、感光ドラム1は、露光装置3から発せられる画像信号に対応したレーザ光により露光される。これにより、感光ドラム1上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム1上の静電潜像は、現像装置4内に収容された現像剤としてのトナーによって顕像化され、可視像となる。
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト51を挟んで配置される一次転写ローラ52との間で構成される一次転写部T1(図2)にて、中間転写ベルト51に一次転写される。この際、一次転写ローラ52には一次転写バイアスが印加される。一次転写後に感光ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置7によって除去される。
このような動作をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部で順次行い、中間転写ベルト51上で4色のトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングに合わせてカセット9に収容された記録材Sが二次転写部T2に搬送される。そして、二次転写外ローラ54に二次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト51上の4色のトナー像を、記録材S上に一括で二次転写する。二次転写部T2で転写しきれずに中間転写ベルト51に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーナ55により除去される。
次いで、記録材Sは定着手段としての定着装置6に搬送される。定着装置6は、内部にハロゲンヒータなどの熱源を有する定着ローラ61及び加圧ローラ62を備え、定着ローラ61と加圧ローラ62とで定着ニップ部を形成する。この定着装置6の定着ニップ部にトナー像が転写された記録材Sを通過させることで、記録材Sが加熱、加圧される。そして、記録材S上のトナーは溶融、混合されて、フルカラーの画像として記録材Sに定着される。その後、記録材Sは排出ローラ101により排出トレイ102に排出される。これにより、一連の画像形成プロセスが終了する。
なお、本実施形態の画像形成装置100は、例えばブラック単色の画像など、所望の単色または4色のうちいくつかの色用の画像形成部を用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することも可能である。
[現像装置]
次に、現像装置4の詳しい構成について、図3及び図4を用いて説明する。現像装置4は、非磁性トナーと磁性キャリアを含む現像剤を収容する現像容器41と、現像容器に収容された現像剤を担持して回転する現像剤担持体としての現像スリーブ44とを有する。現像容器41内には、現像容器内の現像剤を攪拌・搬送しつつ現像容器内を循環させる現像剤搬送部材としての搬送スクリュー43a、43bが配置されている。現像スリーブ44は、感光ドラム1と対向する対向領域Aに現像剤を搬送可能である。また、現像スリーブ44の内部には、周方向に複数の磁極を有する磁束発生手段としてのマグネット44aが、回転不能に配置されている。更に、現像スリーブ44の表面に、現像剤の薄層を形成する規制部材としての現像ブレード42が配置されている。尚、図4中等において、現像スリーブ44の長手方向、即ち回転軸線方向(軸方向)を幅方向Wとして示す。
現像容器41の内部は、その略中央部が紙面に垂直方向に延在する隔壁41cによって現像室41aと攪拌室41bに水平方向の左右に区画されており、現像剤は現像室41a及び攪拌室41bに収容されている。現像室41a及び攪拌室41bには、搬送スクリュー43a、43bがそれぞれ配置されている。隔壁41cの長手方向両端部(現像スリーブ44の回転軸線方向両端部、図4中の幅方向Wの両端部)には、現像室41aと攪拌室41bとの間での現像剤の通過を許す受渡し部41d、41eが設けられている。
搬送スクリュー43a、43bは、それぞれ、磁性体の軸(回転軸)の周りに、搬送部としての螺旋状の羽根を設けて形成されている。また、搬送スクリュー43bには、螺旋状の羽根に加えて、軸からその半径方向に突出し、現像剤の搬送方向に所定の幅を有する攪拌リブ43b1が設けられている。攪拌リブ43b1は、軸の回転に伴って現像剤を攪拌する。
搬送スクリュー43aは、現像室41aの底部に現像スリーブ44の回転軸線方向に沿って配置されており、不図示のモータによって回転軸を回すことで現像室41a内の現像剤を軸線方向に沿って搬送しつつ、現像スリーブ44に現像剤を供給する。現像スリーブ44に担持され、現像工程でトナーが消費された現像剤は、現像室41aに回収される。
また、搬送スクリュー43bは、攪拌室41b内の底部に現像スリーブ44の回転軸線方向に沿って配置され、攪拌室41b内の現像剤を搬送スクリュー43aとは反対に軸線方向に沿って搬送する。現像剤は、このようにして、搬送スクリュー43a、43bによって搬送され、受渡し部41d、41eを介して現像容器41内を循環する。
攪拌室41bの搬送スクリュー43bの搬送方向上流端部には、現像容器41内にトナーを含む現像剤を補給するための現像剤補給口46が設けられている。現像剤補給口46は、後述する図5に示す現像剤補給装置80の補給搬送部83に接続されている。したがって、補給用の現像剤は、現像剤補給装置80から補給搬送部83及び現像剤補給口46を介して攪拌室41b内に供給される。搬送スクリュー43bは、現像剤補給口46から補給された現像剤と、既に攪拌室41b内にある現像剤とを攪拌しつつ搬送し、トナー濃度を均一化する。
したがって、搬送スクリュー43a、43bの搬送力により、現像工程でトナーが消費されてトナー濃度が低下した現像室41a内の現像剤が、一方の受渡し部41d(図4の左(W1)側)を介して攪拌室41b内へ移動する。そして、攪拌室41b内に移動した現像剤は、補給された現像剤と攪拌されつつ搬送され、他方の受渡し部41e(図4の右(W2)側)を介して現像室41aへ移動する。
図3に示すように、現像容器41の現像室41aには、感光ドラム1に対向した対向領域(現像領域)Aに相当する位置に開口部41hがあり、この開口部41hにおいて現像スリーブ44が感光ドラム1方向に一部露出するように回転自在に配設されている。一方、現像スリーブ44に内包されたマグネット44aは非回転に固定されている。このような現像スリーブ44は、不図示のモータにより回転させられて、現像剤を対向領域Aに搬送可能で、対向領域Aにおいて現像剤を感光ドラム1に供給する。本実施形態では、現像スリーブ44は、非磁性材料として例えばアルミニウムやステンレスにより円筒状に形成されている。また、現像スリーブ44は、対向領域Aにおいて重力方向下方から上方に向かって、即ち、図3の反時計回り方向に回転する。
開口部41hの現像スリーブ44の回転方向上流側には、現像スリーブ44に担持された現像剤量の量を規制する規制部材としての現像ブレード42が現像容器41に固定されている。本実施形態では、現像スリーブ44が対向領域Aにおいて重力方向下方から上方に向かって回転するため、現像ブレード42は、対向領域Aの重力方向下方に位置する。
マグネット44aは、周方向に複数の磁極S1、S2、S3、N1、N2極の合計5極を有して、ローラ状に形成されている。現像室41a内の現像剤は、搬送スクリュー43aにより現像スリーブ44に供給され、現像スリーブ44に供給された現像剤は、マグネット44aの吸着用磁極S2が発生する磁界により、現像スリーブ44上に所定の量が担持され、現像剤溜まりを形成する。
現像スリーブ44上の現像剤は、現像スリーブ44が回転することによって、現像剤溜まりを通過し、規制用磁極N1にて穂立ちして、規制用磁極N1と対向する現像ブレード42によって層厚が規制される。そして、層厚が規制された現像剤は、感光ドラム1と対向する対向領域Aへと搬送され、現像用磁極S1にて穂立ちして磁気穂を形成する。この磁気穂が、対向領域Aにおいて現像スリーブ44と同方向に回転する感光ドラム1に接触し、帯電したトナーによって静電潜像をトナー像として現像する。
その後、現像スリーブ44上の現像剤は、搬送用磁極N2により、現像スリーブ44の表面に対する現像剤の吸着を維持されつつ、現像スリーブ44の回転により現像容器41内へと搬送される。そして、現像スリーブ44に担持された現像剤は、剥離用磁極S3により、現像スリーブ44の表面から剥離され、現像容器41の現像室41aに回収される。
なお、現像容器41には、図4に示すように、現像容器41内のトナー濃度を検知するトナー濃度センサとしてのインダクタンスセンサ45が設けられている。本実施形態では、インダクタンスセンサ45は、攪拌室41bの現像剤搬送方向下流側に設けられている。
[現像剤補給装置]
次に、現像剤補給装置80について、図5を用いて説明する。現像剤補給装置80は、補給用の現像剤を収容する収容容器8と、補給機構81と、補給搬送部83とを有する。収容容器8は、円筒状の容器の内壁に螺旋状の溝を掘った構成となっており、収容容器8自体が回転することで長手方向(回転軸線方向)へと現像剤の搬送力を発生させる。収容容器8の現像剤搬送方向下流端部には、補給機構81に接続されている。補給機構81は、収容容器8から現像剤が搬送される排出口82から排出するポンプ部81aを有する。ポンプ部81aは、蛇腹状に形成され、回転駆動されることで容積が変化して空気圧を発生し、収容容器8から搬送された現像剤を排出口82から排出する。
排出口82には、補給搬送部83の上端部が接続されており、補給搬送部83の下端部は、現像装置4の現像剤補給口46に接続されている。即ち、補給搬送部83は、排出口82と現像剤補給口46とを連通させている。したがって、ポンプ部81aにより排出口82から排出された現像剤は、補給搬送部83を通って現像装置4の現像容器41内に補給される。
なお、上述の現像装置4において、現像剤補給口46は、攪拌室41bの現像剤搬送方向上流端部で、且つ、現像室41a(図4参照)と攪拌室41bとで形成される現像剤の循環経路の外側に備えられている。具体的には、現像剤補給口46は、一方の受渡し部41dよりも攪拌室41bの現像剤搬送方向上流側に設けられている。したがって、現像剤補給口46の近傍は、現像剤の循環経路の現像剤は殆ど存在せず、補給用の現像剤が通過するのみである。
このような現像剤補給装置80による補給は、自動トナー補給制御(以下、ATR(Automatic Toner Replenisher)制御という)により行われる。このATR制御は、画像形成時の画像比率、インダクタンスセンサ45、トナー像の濃度を検知する濃度センサ103(図1参照)によるパッチ画像の濃度検知結果に応じて、現像剤補給装置80の動作を制御して、現像剤を現像装置4に補給するものである。
濃度センサ103は、図1に示すように、中間転写ベルト51の回転方向に関し、最下流の画像形成部PKの下流で、二次転写部T2の上流に、中間転写ベルト51の表面と対向して配置されている。濃度センサ103を用いる制御では、例えば、画像形成ジョブの開始時や所定枚数の画像形成毎などのタイミングで、制御用のトナー像(パッチ画像)を中間転写ベルト51上に転写し、濃度センサ103によりパッチ画像の濃度を検知する。そして、この検知結果に基づいて、現像剤補給装置80による現像剤の補給制御を行う。
なお、現像装置4に現像剤を補給する構成は、このような構成に限らず、従来から知られている構成を用いても良い。
[現像剤の飛散]
ここで、現像装置から発生する現像剤の飛散について説明する。まず、画像形成装置では、出力画像の高速化や高画質化を求められると共にメンテナンスの簡略化が求められている。このメンテナンス簡略化の中の一つとして画像形成装置内部の現像剤による汚染の低減が挙げられる。画像形成装置内部が現像剤で汚染されると、出力画像の汚れなどの画像不良が発生したり、現像装置や感光ドラムユニットなどの交換時などに清掃作業が発生したりする。また、現像剤がギアなどの各駆動系に付着した場合、駆動系に滑りなどが発生する虞がある。
このような画像形成装置内部の現像剤による汚染の原因の一つとして、現像剤が現像装置内から飛散してしまうことが挙げられる。例えば、二成分現像剤の場合、通常、現像装置内部では、トナーとキャリアとが摩擦帯電しているため、トナーとキャリアとは静電気力で付着している。しかし、何らかの衝撃でこの付着が解放され、キャリアから遊離したトナーが現像装置内部から空気とともに排出されてしまう現像剤の飛散が発生する虞がある。
このような現像剤の飛散の具体例について、図8に示す比較例の現像装置400を用いて説明する。現像装置400は、現像容器401の構成が異なるだけで、その他の構成は上述の現像装置4と同じである。このため、同じ構成には同じ符号を付して説明する。また、現像装置400には、上述の現像装置4と同様に、現像剤補給装置80の補給搬送部83が接続されている。
現像容器401は、現像スリーブ44の上方を覆う上蓋402を備える。そして、上蓋402と現像スリーブ44との間には、現像スリーブ44の回転により空気が現像容器401内に流入する空気の流路が形成される。この流路は、感光ドラム1と対向した位置で開口しており、現像容器401内からの現像剤の飛散は、主としてこの流路から発生する。これは、この流路と反対側(図8の下側)は、現像ブレード42が現像スリーブ44と近接して対向しているためである。即ち、この位置では、現像スリーブ44に担持された現像剤が現像ブレード42に層厚が規制されている状態であり、現像スリーブ44と現像ブレード42との隙間からは空気が流出しにくいためである。
ここで、現像剤の飛散とは、現像剤の攪拌・搬送や現像剤の補給によって現像容器401内に生じる遊離トナーなどの現像剤が流路の開口を通って、現像容器401の外部に排出され、現像容器401内に回収しきれないもののことをさす。
まず、トナー遊離について説明する。現像容器401に収容されているトナー及びキャリアは、攪拌室41b及び現像室41aにおいて摩擦帯電され、摩擦帯電により生じる静電付着力及び表面性などにより生じる非静電付着力によって、互いに付着している。このキャリアに付着しているトナーに対し衝撃やせん断力を加えられると、トナーがキャリアから引き剥がされ現像容器401内で遊離する。この時の衝撃やせん断力として、現像スリーブ44による現像剤搬送の際の現像剤挙動がある。
現像剤は、現像スリーブ44上で、内部の磁極の磁力線に沿ったチェーン状の構造である磁気穂を形成する。この磁気穂は、現像スリーブ44の回転により、磁極直前に回転方向前方に立ち上がり、磁極上を通過すると回転方向前方に倒れる。このとき、磁気穂の回転方向は現像スリーブ44の回転方向と同一方向である。この磁気穂が倒れるときの衝撃や遠心力によって、トナーがキャリアから引き剥がされることがトナー遊離の原因となっている。
現像スリーブ44による現像剤搬送の際にトナー遊離への寄与の大きい磁極は、吸着用磁極S2との間で反発磁界を生成する剥離用磁極S3である。この剥離用磁極S3では、現像剤を現像スリーブ44から剥離するため、磁極によって現像スリーブ44の回転方向と逆方向の磁気力を加え、搬送される現像剤の速度を落とし、現像剤を滞留させる。このとき、磁気穂の長さが長くなるため、磁気穂が倒れるときの衝撃や遠心力が大きくなり、トナー遊離量が増加する傾向がある。
また、現像剤補給装置80からの現像剤補給口46に現像剤が補給される際に、十分に攪拌される前に舞い上がった現像剤も、現像容器401内で遊離トナーの要因となっている。現像剤補給口46に供給されたトナーは、既に攪拌室41b内にある現像剤と攪拌されつつ搬送される。このとき、補給現像剤と既にある現像剤の混合領域では、一時的にトナーと現像剤の混合比が高くなる。トナーと現像剤の混合比が高い場合、トナーの帯電量が低下し、トナーとキャリア間の静電付着力が低下する。現像剤と混合しきれなかったトナーはそのまま、若しくは、搬送スクリュー43a、43bによる現像剤の攪拌・搬送時の衝撃で遊離され、遊離トナーが現像容器401内で舞い上がる。
更に、ポンプ部81aによって発生する空気圧で排出される現像剤補給装置80を用いた場合、その空気圧が補給搬送部83を通じて伝搬し、現像剤補給口46から現像容器401に空気の流入を生じる場合がある。このとき流入した気流は、現像剤補給口46近傍のトナーと現像剤の混合比が高い部分での遊離トナーを現像容器401内に巻き上げる。また、この現像容器401への空気圧伝搬は、現像剤補給口46から攪拌室41bにかけて非定常な気圧の上昇を生じさせる。この気圧の上昇は、後述するように、遊離トナーを現像容器401の外部に流出させる要因になる。特に、このような現像剤補給による流入空気は、現像容器401の長手方向(現像スリーブ44の回転軸線方向)に関し、現像剤補給口46を含む側の端部における現像剤の飛散の原因の一つとなる。
次に、図8を用いて、現像装置400の内部及び近傍の気流について説明する。現像装置400の近傍において気流を生成するのは、現像スリーブ44及び感光ドラム1である。ここではそれぞれ説明する。まず、現像スリーブ44の回転及び磁極上の磁気穂挙動により、現像スリーブ44の回転方向と略同方向に気流が生成される。この現像スリーブ44の回転方向と略同方向に生成される気流は、現像容器401内部と現像容器401外部の連通口から現像容器401内部に空気を取り込む。また、現像容器401には現像剤の補給によっても空気が流入する。
現像容器401を略閉空間と仮定すると、空気は流体であるため連続の方程式が適用できる。空気の流速をv、密度をρとすると、現像容器401内で空気の湧き出しがないため、次の式(1)が成り立つ。
更に、定常状態を考えると、現像容器401内の各領域において密度ρは凡そ一定となっているため、式(1)は次の式(2)のように記述できる。
この式(2)から、空気の流量ρvは保存される。現像装置400近傍の長手方向の断面では流量ρvの収支は0となり、現像スリーブ44と補給によって流入する空気流量と同一の量を、現像装置400外に排出することになる。ここで、現像容器401の上蓋402と現像スリーブ44とで構成される連通口を通して現像スリーブ44の回転に伴い現像容器401内に流入する空気流量をQa(スリーブ流入)とする。また、現像容器401内部と現像容器401外部の連通口から排出される空気流は、この連通口から取り込まれる流れに対向するように上蓋402側を通る。このように排出される空気流量をQb(スリーブ排出)とする。更に、現像装置400への補給に伴って流入する空気流量をQd(補給流入)とすると、次の式(3)の関係が成り立つ。
Qa+Qd=Qb・・・(3)
現像スリーブ44によって取り込まれ、現像スリーブ44に沿って流れる気流は、現像容器401内で折り返して排出される。この際、剥離用磁極S3の現像剤滞留部で、現像スリーブ44から剥離した現像剤を含んで、気流が折り返されると、その気流は、現像容器401内で発生した遊離トナーなどの現像剤を多く含んで排出方向に向かうことになる。
このスリーブ排出の空気(流量Qb)に含有された現像剤が現像容器401外へ排出される工程は、主に3つである。第1の工程としては、連通口より現像装置400外に排出されたスリーブ排出の空気(流量Qb)が上蓋402と感光ドラム1の間隙より直接排出されるものである。第2の工程としては、スリーブ排出の空気(流量Qb)が感光ドラム1の近傍で現像スリーブ44に担持された現像剤と混合され、感光ドラム1が生成する気流gに乗って排出されるものである。第3の工程としては、スリーブ排出の空気(流量Qb)に含有される遊離トナーが慣性力で感光ドラム1が生成する気流gに移ることで、現像容器401外に排出されるものである。
現像剤の飛散は、以上の3つのうち、少なくとも1つの要因により現像容器401外に排出される。そして、飛散した現像剤は、現像装置400の周囲、現像容器401の外壁や感光ドラム1、露光装置3や転写装置5を汚染してしまう。
[本実施形態の現像容器の構成]
本実施形態では、現像装置4の現像容器41の構成を次のようにしている。本実施形態の現像容器41の詳細構成について、図6を用いて説明する。図6の現像スリーブ44の周囲に示す曲線Cは、マグネット44aの各磁極の磁束密度の分布を示している。現像スリーブ44の回転方向をRとする。マグネット44aの各磁極のうち、剥離用磁極S3は第1磁極に相当し、吸着用磁極S2は第2磁極に相当する。剥離用磁極S3は、回転方向Rに関して、対向領域Aの下流側に配置され、現像スリーブ44に担持された現像剤を剥ぎ取る。吸着用磁極S2は、剥離用磁極S3の下流側に隣接して配置され、剥離用磁極S3と同極で、現像容器41内の現像剤を現像スリーブ44に汲み上げる。図6では、磁束密度のピーク位置を示す直線で、5つの各磁極の位置を表示している。
本実施形態の現像容器41は、対向領域Aよりも現像スリーブ44の回転方向Rの下流側で現像スリーブ44を覆う上蓋41fを有する。上蓋41fは、第1覆い部としての外カバー47と、第2覆い部としての内カバー48と、を有する。外カバー47は、回転方向Rに関して対向領域Aよりも下流側に配置され、隙間を介して現像スリーブ44を覆う。
内カバー48は、外カバー47と現像スリーブ44との間に、外カバー47と現像スリーブ44とのそれぞれに対して隙間を有して配置され、現像スリーブ44を覆う。内カバー48の現像スリーブ44の回転方向Rの下流端48bは、剥離用磁極S3の磁束密度の分布の絶対値の回転方向Rに関する一対の極小値M1、M2のうちの上流側の極小値M1よりも下流側に位置する。また、内カバー48の回転方向Rの下流端48bは、剥離用磁極S3の磁束密度のピーク位置又はピーク位置よりも回転方向Rの下流側に位置することが好ましい。内カバー48の回転方向Rの下流端48bの位置をこれらの条件を満たす位置に配置することで、内カバー48により剥離用磁極S3を覆う範囲をより広くできる。
但し、内カバー48の回転方向Rの下流端48bは、現像スリーブ44の中心Oを通る水平面Hの位置、又は、水平面Hの位置よりも回転方向Rの上流側に位置することが好ましい。これは、内カバー48の回転方向Rの下流端48bがこれよりも更に下流側に位置すると、現像スリーブ44から剥離された現像剤を現像室41a内に取り込みにくくなるためである。
[本実施形態における特徴的な構成]
次に、本実施形態の現像装置4の特徴的な構成について、図4及び図7を用いて説明する。まず、内カバー48と現像スリーブ44との隙間を、第1隙間(隙間)F1とする。内カバー48と外カバー47との隙間を、第2隙間(流路、隙間)F2とする。外カバー47の感光ドラム1に対向する対向端部47aと感光ドラム1との隙間を、第3隙間F3とする。そして、現像容器41は、外カバー47と内カバー48との間において、現像スリーブ44の幅方向Wの両端部に設けられた一対の側壁49(図4参照)を有している。各側壁49は、外カバー47及び内カバー48の間の空間を幅方向Wの両側部で遮り、外カバー47及び内カバー48と共に回転方向Rに沿った流路としての第2隙間F2を形成する。
この第2隙間F2は、空気が流入する流入口(第1開口)11と、空気が流出する流出口(第2開口)12と、を有している。流入口11は、外カバー47と内カバー48と一対の側壁49とのそれぞれの回転方向Rの下流側の端部により形成される開口である。流出口12は、外カバー47と内カバー48と一対の側壁49とのそれぞれの回転方向Rの上流側の端部により形成される開口である。
図4に示すように、内カバー48は、流入口11と流出口12との現像スリーブ44の軸方向(回転軸線方向)のそれぞれの幅L1、L2がL1>L2の関係であり、流出口12は流入口11よりも幅方向Wに関して幅狭である。また、第2隙間F2の幅方向Wの幅は、流入口11側から流出口12側に向けて漸減している。
流入口11の幅方向Wの両端部は、現像スリーブ44の現像剤を担持可能なコート領域(現像剤担持領域)B1よりも幅方向Wの外側に位置する。コート領域B1は、現像剤を担持可能に粗面化処理された画像可能領域である。流入口11の幅L1は、コート領域B1より幅広である。また、流出口12の幅方向Wの両端部は、コート領域B1よりも幅方向Wの内側に位置する。即ち、流出口12の幅L2は、コート領域B1より幅狭である。
ここで、流入口11における外カバー47と内カバー48との間の距離を高さH1、流出口12における外カバー47と内カバー48との間の距離を高さH2とする(図6参照)。この場合、それぞれの高さH1、H2はH1<H2の関係であり、流入口11から流出口12に向けて漸増している。即ち、流出口12は、流入口11よりも幅方向Wに直交する方向、現像スリーブ44の径方向に関して広い。
更に、それぞれの幅L1、L2及び高さH1、H2は、L1×H1=L2×H2となり、流入口11の面積と流出口12の面積とは等しい。本実施形態では、第2隙間F2において、流通する気体の流れ方向に直交する断面の面積は一定であるようにしている。また、本実施形態では、流入口11は、剥離用磁極S3の磁束密度の分布の絶対値の回転方向Rに関する一対の極小値M1、M2のうちの上流側の極小値M1よりも下流側に位置する。更に、流入口11は、剥離用磁極S3の磁束密度のピーク位置又はピーク位置よりも回転方向Rの下流側で、かつ吸着用磁極S2の上流側に位置するようにしている。
現像スリーブ44及び感光ドラム1の回転により発生する気流について説明する。現像スリーブ44近傍では現像スリーブ44の回転に伴って気流aが発生し、第1隙間F1を流通して現像容器41内に流入する。現像容器41への流入により現像容器41の内圧が高まり、排出経路から排気が行われる。ここで、内カバー48を有していない構成においては、現像容器41内で発生した飛散トナーが第1隙間F1を気流bにより直接外気に排出されてしまう。前述したように剥離用磁極S3近傍ではトナー遊離量が増加するため、遊離したトナーが気流bにより現像容器41外に飛散してしまう。
これに対し、本実施形態では、外カバー47と内カバー48との間に排気経路として第2隙間F2を設けることによって、第2隙間F2に向けて現像容器41の内部から気流dが発生し、排気気流として第2隙間F2に気流eが発生する。これにより、第1隙間F1には、排気気流である気流bは発生しないので、剥離用磁極S3近傍を通過させずに現像容器41内の空気を排出できトナー飛散を低減できる。尚、微量のトナーが気流eの経路を通って流出口12より現像容器41外に排出される場合もあるが、多くは対向する感光ドラム1に付着してクリーニング装置7によって回収されるため、現像装置4周辺を汚染しない。
ここで、現像装置4の開口部41hにおいて幅方向Wの両端部より排出されたトナーは、現像スリーブ44の幅方向Wの気流によって感光ドラム1の幅方向Wの両端部よりも外に飛散して現像装置4周辺の汚染の原因となる虞がある。また、前述したように、現像剤補給装置80の補給搬送部83からの空気の流入によって、現像容器41の両端部で流入口11に入る気流には中央部に比べてトナーを多く含む。
これに対し、本実施形態では、流入口11と流出口12とのそれぞれの幅L1、L2がL1>L2となり漸減している。このため、現像容器41の両端部から流入口11から第2隙間F2に流入し、第2隙間F2を気流eにより通過するトナーは、流出口12に向かうにつれて中央部に送られる。そして、トナーは、現像容器41の両端部から排出されなくなるので、飛散トナーによる現像装置4周辺の汚染を抑制することができる。
気流eにおいて圧力損失せずに気流を排出するために、第2隙間F2の断面積を常に等しくする(L1×H1=L2×H2)。また、流入口11の幅L1が現像スリーブ44のコート領域B1よりも小さく、内カバー48の幅方向Wの両端部がコート領域B1に対向しない場合は、コート領域B1において気流bが発生してしまう。これにより、現像容器41の端部からのトナー飛散の原因となるため、流入口11の幅L1はコート領域B1よりも広くすることが好ましい。
上述したように本実施形態の現像装置4によれば、第2隙間F2の流出口12は、流入口11よりも幅方向Wに関して幅狭であるようにしている。このため、現像容器41内から流出口12を介して排出される空気は、現像スリーブ44の両端部を除いた部分に向けて排出される。これにより、現像容器41内から排気される空気を現像スリーブ44の両端部に排出することを回避できるので、現像容器41の現像スリーブ44の幅方向Wの両端部からの現像剤飛散を十分に抑制できる。また、仮に現像剤が飛散しても飛散量が少ないため、現像剤が画像上に付着したとしても視認できない程度の付着量であり、画像品位を低下させることを抑制できる。
また、本実施形態の現像装置4によれば、流入口11の面積と流出口12の面積とは等しく、第2隙間F2において、流通する気体の流れ方向に直交する断面の面積は一定である。このため、第2隙間F2を流通する空気の圧力損失を極めて小さくできるので、第1隙間F1から排気する気流bを発生させることがなく、飛散トナーによる現像装置4周辺の汚染を抑制することができる。
また、本実施形態の現像装置4によれば、流入口11の幅方向Wの両端部は、コート領域B1よりも幅方向Wの外側に位置する。このため、流入口11の幅方向Wの両端部がコート領域B1よりも幅方向Wの内側に位置する場合に比べて、コート領域B1における気流bの発生を抑制できるので、飛散トナーによる現像装置4周辺の汚染を抑制することができる。
また、本実施形態の現像装置4によれば、流出口12の幅方向Wの両端部は、コート領域B1よりも幅方向Wの内側に位置する。このため、流出口12の幅方向Wの両端部がコート領域B1よりも幅方向Wの外側に位置する場合に比べて、現像スリーブ44の幅方向Wの気流によって感光ドラム1の幅方向Wの両端部よりも外に飛散することを抑制できる。
また、上述したように、剥離用磁極S3で磁気穂が倒れるときにトナーが多く遊離するため、第1隙間F1の気流aには、このように発生する遊離トナーが多く含まれる。本実施形態の現像装置4によれば、内カバー48の下流端48bが剥離用磁極S3の磁束密度の分布の上流側の極小値M1よりも下流側に位置させることで、少なくとも剥離用磁極S3の一部を内カバー48により覆うようにしている。特に、本実施形態では、内カバー48の下流端48bを剥離用磁極S3のピーク位置よりも下流に位置させているため、剥離用磁極S3で磁気穂が倒れるときに遊離トナーが発生する領域の多くを内カバー48により覆うことができる。
[比較実験]
次に、本実施形態の効果を確認するために、比較例の構成と本実施形態の構成とでトナーの飛散量を比較した実験について説明する。各現像装置に対してトナー補給動作した時、現像容器の開口部近傍からのトナー飛散量の測定と現像装置周辺のトナー汚染の確認を実施した。まず、この実験で採用したトナー飛散量の計測方法の概略について、図7を参照して説明する。なお、実験で使用した装置は、現像装置、感光ドラム及び感光ドラム周りの露光装置を除く構成を取り出して、組み付けたものである。そして、実験では、通常の画像形成時と同様に、感光ドラムの回転、帯電、現像の各駆動やバイアス印加も行った状態で、以下のようにトナーの飛散量を計測した。
現像装置4の幅方向Wの両端を除く領域では、装置内部のトナーは、外カバー47の感光ドラム1に対向する対向端部47aと感光ドラム1との間の第3隙間F3を気流gにより通過して外部へ飛散する。そこで、現像スリーブ44及び感光ドラム1と垂直になるように、第3隙間F3の幅方向Wの中央部及び端部に対してラインレーザを選択的に照射する。ラインレーザとは、一定の線幅を持つライン状に照射され扇形の2次元平面の光路を形成するレーザであり、通常、ドットレーザをシリンドリカルレンズやロッドレンズによって一定方向に散乱させることによって作成する。ラインレーザの光路上を飛翔している飛散トナーは、レーザ光を散乱させる。そのため、ラインレーザの照射方向と略垂直な方向からハイスピードカメラなどで観察することにより、レーザを照射した範囲に存在する飛散トナーの個数や軌跡を計測することが可能である。
ラインレーザは、光源として株式会社日本レーザー製のYAGレーザ(DPGL−5W)を使用した。そして、シリンドリカルレンズ(製品に付属)を用いた光学系を、第3隙間F3でライン幅が0.5mmとなるように調整し、レーザを照射した。観察は、株式会社フォトロン製のハイスピードカメラSA−3を使用した。また、ラインレーザ上の飛散トナーが観察できるように、ハイスピードカメラの撮影条件(フレームレートや露光時間)や光学系(レンズなど)を選定した。
以上の方法で得られた第3隙間F3の幅方向Wの中央部及び端部のそれぞれを通過する飛散トナー数を、ライン幅と観察時間からA4用紙(210mm×297mm)1枚当たりに相当する飛散トナー数に換算した。
(実施例1)
上述した第1の実施形態の現像装置4を利用し、L1>L2となる構成とした。ここでは、L1=320mm、L2=290mm、H1=2.9mm、H2=3.2mmとした。
(比較例1)
図8に示す従来の現像装置400を利用した。図8に示すように、現像装置400は、内カバーを有していない。
(比較例2)
上述した第1の実施形態の現像装置4においてL1=L2となる構成とした。ここでは、L1=320mm、L2=320mm、H1=2.9mm、H2=2.9mmとした。
上述の条件でそれぞれ実験を行って比較した。その他の構成については、互いに共通する。この実験結果を、図12に示す。比較例2では比較例1と比較し、0.5mm幅範囲でのA4用紙1枚出力時間に相当する飛散トナー数が少なくなるが、中央部に比べて端部の飛散抑制効果が小さい。実施例1では、比較例2に対して端部の飛散トナー数が少なくなり、飛散抑制能力は大きく向上した。従って、実施例1の構成は、比較例1、2と比較して、トナー飛散の低減に効果的であることが確認された。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図9を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、第2隙間F2が同幅部F2aと漸減部F2bとを有する点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
図9に示すように、同幅部F2aは、流入口11から回転方向の上流側に所定長さだけ幅方向Wの幅を一定にして形成されている。漸減部F2bは、同幅部F2aから流出口12に向けて幅方向Wの幅が漸減して形成されている。これにより、内カバー48の現像スリーブ44の幅方向Wの幅は、流入口11から流出口12に向けて途中までは幅L2を保ったままで、途中から流出口12の幅L1まで漸減している。また、本実施形態でも、第2隙間F2の断面積が常に同じになるように内カバー48と外カバー47との距離が部位によって異なっており、流入口11の幅L1はコート領域B1よりも広い。また、本実施形態でも、コート領域B1の全域において内カバー48が剥離用磁極S3近傍を覆い、第1隙間F1の排気の気流b(図7参照)を発生させない。
この実施形態の現像装置4によっても、第2隙間F2の流出口12は、流入口11よりも幅方向Wに関して幅狭であるようにしている。このため、現像容器41内から流出口12を介して排出される空気は、現像スリーブ44の両端部を除いた部分に向けて排出される。これにより、現像容器41内から排気される空気を現像スリーブ44の両端部に排出することを回避できるので、現像容器41の現像スリーブ44の幅方向Wの両端部からの現像剤飛散を十分に抑制できる。また、仮に現像剤が飛散しても飛散量が少ないため、現像剤が画像上に付着したとしても視認できない程度の付着量であり、画像品位を低下させることを抑制できる。
また、本実施形態の現像装置4によれば、流入口11から回転方向の上流側に所定長さだけ幅方向Wの幅を一定にした同幅部F2aを有している。このため、同幅部F2aを有さずに流入口11から流出口12に向けて漸減する場合に比べて、内カバー48によって現像スリーブ44のコート領域B1の幅方向Wの両端部を覆う面積が大きくなる。これにより、コート領域B1における気流bの発生をより効果的に抑制できるので、飛散トナーによる現像装置4周辺の汚染を抑制することができる。
(実施例2)
上述した第2の実施形態の現像装置4を利用してL1>L2となる構成とし、上述した実施例1と同様の実験を行った。ここでは、L1=320mm、L2=290mm、H1=2.9mm、H2=3.2mmとした。実験結果を、図12に示す。実施例2では実施例1と比較し、端部での飛散抑制効果が更に向上した。理由としては、実施例2では、同幅部F2aを有することから、内カバー48によって現像スリーブ44のコート領域B1の幅方向Wの両端部を覆う面積が大きくなり、コート領域B1における気流bの発生をより効果的に抑制したためと考えられる。従って、実施例2の構成は、実施例1と同様に、トナー飛散の低減に効果的であることが確認された。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態を、図10及び図11を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、流出口12が感光ドラム1に対向せずに現像スリーブ44の最上部付近に対向している点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
図10及び図11に示すように、外カバー47は、現像容器41の現像スリーブ44を挟んで感光ドラム1と反対側の側壁41gの上端から現像スリーブ44を覆うように、感光ドラム1側に向けて折れ曲がるように形成されている。外カバー47は、感光ドラム1側の第1対向部47bと、側壁41g側の第2対向部47cと、第1対向部47b及び第2対向部47cを連続させる連続部47dと、を有する。
第1対向部47bは、内カバー48の回転方向Rの上流端48aと対向する一部(連続部47d)よりも現像スリーブ44の回転方向Rの上流側で、現像スリーブ44と対向する。第2対向部47cは、回転方向Rに関して内カバー48の上流端48aと下流端48bとの間部分と対向する。
第2対向部47cは、現像スリーブ44との間に内カバー48が配置されるため、第1対向部47bよりも現像スリーブ44の径方向に関して外側に配置される。このため、第2対向部47cの回転方向Rの上流端と第1対向部47bの回転方向Rの下流端とを連続させる連続部47dを設けている。連続部47dは、第2対向部47cの回転方向Rの上流端から現像スリーブ44側に折れ曲がるように形成されている。そして、連続部47dが、内カバー48の回転方向Rの上流端48aと回転方向Rに第2隙間(隙間)F22を介して対向する。即ち、内カバー48は、回転方向Rの上流端が外カバー47の一部と回転方向Rに第2隙間F22を介して対向するように形成されている。
現像スリーブ44の近傍では現像スリーブ44の回転に伴って、第1隙間(隙間)F11、F12に気流a、cが発生し、現像容器41内に流入する。現像容器41内に空気が流入することで現像容器41内の内圧が高まり、排出経路から排気が行われる。本実施形態では、第1実施形態と同様に、外カバー47と内カバー48との間の第2隙間(隙間、流路)F21、F22に向けて現像容器41の内部から気流dが発生し、第2隙間F21、F22に排気気流として気流e、fが発生する。気流fは、現像スリーブ44の最上部近傍で現像スリーブ44と外カバー47との第1隙間F11に合流して、気流bから気流gを経て現像容器41外に排出される。
また、図11で示すように、流入口11と流出口12との現像スリーブ44の軸方向のそれぞれの幅L1、L2は、L1>L2となるように、流入口11から流出口12に向けて漸減している。このため、流入口11の幅方向Wの両端部からの気流e、fは中央部に寄せられて、端部における現像スリーブ44の開口部41hからのトナー飛散を低減できる。
この実施形態の現像装置4によっても、第2隙間F22の流出口12は、流入口11よりも幅方向Wに関して幅狭であるようにしている。このため、現像容器41内から流出口12を介して排出される空気は、現像スリーブ44の両端部を除いた部分に向けて排出される。これにより、現像容器41内から排気される空気を現像スリーブ44の両端部に排出することを回避できるので、現像容器41の現像スリーブ44の幅方向Wの両端部からの現像剤飛散を十分に抑制できる。また、仮に現像剤が飛散しても飛散量が少ないため、現像剤が画像上に付着したとしても視認できない程度の付着量であり、画像品位を低下させることを抑制できる。
また、本実施形態の現像装置4によれば、内カバー48の回転方向Rの上流端48aが外カバー47の連続部47dと回転方向Rに第2隙間F22を介して対向している。このため、第2隙間F21を通る気流eは、第2隙間F22を介して第1隙間F11の気流bに合流する。このとき、第2隙間F22を流れる気流fがエアカーテンとなって、遊離トナーを多く含む気流が第1隙間F12から排出されにくくなり、現像剤の飛散を抑制できる。
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、現像装置4として、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いた構成について説明した。但し、本発明は、磁性を有するトナーを含む一成分現像剤を用いたものであっても、上述した剥離用磁極S3を有する構成であれば適用可能である。また、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせて実施可能である。例えば、第2の実施形態の構成と第3の実施形態の構成を組み合わせても良い。
また、本発明は、上述のように現像室41aで現像スリーブ44への現像剤の供給及び現像スリーブ44からの現像剤の回収を行う構成以外に、現像剤の供給と回収の機能を分けた、所謂、機能分離型の現像装置にも適用可能である。例えば、図3を参照して説明すると、現像室41aから現像スリーブ44に現像剤を供給し、現像スリーブ44から剥離された現像剤を攪拌室41bにより回収するような構成であっても、本発明を適用可能である。