JP6865417B2 - 除電装置 - Google Patents

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Description

この発明は、高真空を維持した空間内の除電対象を除電するための除電装置に関する。
従来から、例えば、ガスバリア性を付与するために、樹脂製のフィルムの表面にアルミなどの金属の薄膜を形成するなど、樹脂製のフィルム表面に蒸着によって薄膜を形成することが行なわれている。
蒸着が施される樹脂製のフィルムは、絶縁性のため、静電気帯電しやすい性質を持っている。また、蒸着プロセスの雰囲気は高真空なので、電気的に絶縁性である。
そのため、高真空下で上記フィルムなどの表面が一旦帯電するとその電荷は逃げにくく、帯電状態が維持されてしまう。
帯電すると、フィルム同士は付着しやすく、搬送不良を起こしたり、しわや傷の原因になったりする。
また、蒸着処理の前にフィルム表面が帯電していると、蒸着が不均一になってしまうこともある。
なお、上記フィルムが帯電する原因は様々であるが、蒸着材に電子ビームを照射して蒸着する場合には、蒸着時に特に帯電しやすい。
また、LSI(Large Scale Integration)などのデバイスの製造プロセスでは、高真空下での処理が必要である。そして、LSIなどは、静電気帯電とこれに起因する放電によって損傷してしまうような静電気敏感デバイスである。
このように、高真空中で行なわれる、フィルムの真空製膜プロセスや静電気敏感デバイスの製造プロセスなどで、除電の用途がある。
しかし、コロナ放電によって生成されるイオンでフィルムの表面電荷を中和する一般的な除電装置をそのまま用いることはできない。
なぜなら、真空製膜プロセスや静電気敏感デバイスの製造が実行される高真空下では、コロナ放電によってイオンを生成することができないからである。
このような高真空で蒸着処理されたフィルムを除電できる装置として、特許文献1に示す装置が知られていた。
この従来の装置では、高真空を維持して蒸着膜を形成する製膜室と、処理後のフィルムを巻き取る巻き取り室とを隔壁で区画している。
上記巻き取り室には、一対の電極を設けるとともに、真空排気手段とガス供給手段とを設けている。そして、この巻き取り室内にガスを供給しながら、一対の電極間に電場を形成して、巻き取り室全体にプラズマを生成させている。このプラズマによってフィルムロールの電荷を除電するようにしていた。
特開平10−298758号公報 特開2009−181938号公報 特許第3619989号公報
上記従来の装置では、巻き取り室全体にガスを供給してプラズマを生成させているため、製膜室の真空度を維持するためには、両室間を区分けする区画壁が必須であった。しかも、上記区画を介してフィルムを連続させなければならないので、フィルムを通過させる隙間の寸法管理や隔壁の構造が複雑になってしまう。
また、製膜室と巻き取り室とのそれぞれに、内部の真空度を維持するための真空排気手段を個別に設ける必要もあった。
このように、上記従来の装置は、区画壁や各室ごとの真空排気手段が必要なうえ、構造が複雑になってしまう。そのため、装置全体が大型化してしまうという問題があった。
この発明の課題は、区画壁を不要にしながら、全体の真空度を落とさずに除電ができる除電装置を提供することである。
第1の発明は、1Pa以下の高真空を実現するチャンバーと、このチャンバー内に設けられ、除電対象を保持する保持手段と、高電圧が印加される放電電極と、上記放電電極との間で電場を形成する接地電極と、上記保持手段で保持された上記除電対象、上記放電電極及び上記接地電極で囲まれた空間でプラズマを生成させるためのプラズマ生成用のガスをパルス的に供給するガス供給手段とが備えられ、上記放電電極に高電圧が印加されるとともに、上記プラズマ生成用のガスが供給されたとき、上記電場によって上記空間にプラズマが生成され、このプラズマを介して上記除電対象の表面電荷が上記接地電極に流れる構成にしたことを特徴とする。
なお、上記プラズマ生成用のガスを供給する空間は、除電対象、上記放電電極及び接地電極の位置関係に依存する。したがって、電極の配置によって、プラズマの生成範囲を制御できることになる。
また、上記「パルス的に」とは、パルスのようにきわめて短時間という意味で、「ガスをパルス的に供給する」とは、瞬間的にガスを供給することを意味している。
第2の発明は、上記放電電極が、上記保持手段で保持された除電対象と対向位置に設けられるとともに、上記接地電極が、上記放電電極の両側もしくは片側に対応する位置に設けられたことを特徴とする。
上記放電電極の両側もしくは片側に対応する位置とは、放電電極を挟んだ両脇もしくは片側の位置であるが、放電電極の両脇から上下左右に多少ずれた位置を含むものとする。例えば、上記接地電極の位置は、上記放電電極を基準にして、除電対象側や放電電極側にずれたり、除電対象の搬送方向にずれたりしていてもよい。
第3の発明は、上記放電電極と接地電極とが対向配置され、上記放電電極と接地電極とで形成される電場の方向に沿った上記除電対象が、上記保持手段によって保持されたことを特徴とする。
第4の発明は、上記放電電極または接地電極の少なくともいずれか一方がメッシュからなることを特徴とする。
第1の発明では、除電対象、放電電極及び除電対象とで囲まれた空間に、パルス的にプラズマ生成用のガスを供給することによって、上記空間にプラズマを生成しながら、チャンバー内に供給されるガスの総量を抑えて、チャンバー全体の真空度の低下を防止している。
したがって、この発明によれば、特別な区画壁を設けなくても、チャンバー全体の高真空を保ちながら、プラズマによって除電対象の電荷を接地電極に流して除電することができる。
仮に、除電対象、放電電極及び除電対象とで囲まれた空間内に供給されるプラズマ生成用のガスの総量が同じであっても、時間をかけて少量ずつ供給した場合には、供給ガスがチャンバー全体に拡散してしまい、上記空間内の圧力がプラズマ生成可能な圧力に達しない可能性がある。
だからといって、上記空間内の圧力がプラズマ生成に必要な圧力になるまで、少量のガスを供給し続けた場合には、チャンバー全体の圧力がプラズマ生成可能な圧力になるようにガスを供給しなければならず、チャンバー全体の真空度を保つことはできない。
これに対し、この発明では、上記空間にプラズマ生成用のガスを、除電対象、放電電極及び除電対象とで囲まれた空間に対し、パルス的な非常に短い時間で供給することで、局所的かつ瞬間的に、上記空間内の圧力をプラズマ生成可能な圧力まで上げることができる。したがって、上記空間に生成されたプラズマによって除電対象を除電しながら、上記空間から拡散したガスを速やかに排気してチャンバー全体の真空度の低下を防止できる。
第2の発明によれば、プラズマが生成される電場が、除電対象と放電電極との対向間隔内に形成される。そのため、放電電極を除電対象に近づければ、プラズマを生成させる空間を狭くできる。言い換えれば、プラズマ生成用のガスを供給して真空度が落ちる領域をより局所的にすることができる。
また、上記放電電極を、ある程度の面積を有する部材で構成した場合には、この放電電極と除電対象とによって、その間に供給されたプラズマ生成用のガスの広がりも抑制できる。
したがって、放電電極で囲まれ、プラズマ生成用のガスによって真空度が低下する領域を局所的にし、チャンバー全体の高真空をより確実に維持することができる。
また、接地電極を、放電電極の両側に設けた場合には、片側のみに設けた場合と比べて、放電電極と接地電極とで形成される電場の偏りを少なくできる。
第3の発明によれば、対向する放電電極と接地電極とで形成される電場の方向に沿って、除電対象の表面電荷を接地電極へ導くことができる。
また、放電電極及び接地電極が電場に沿って保持された除電対象の両脇を挟むように配置されるため、両電極を除電対象の厚み方向に長くすれば、一対の電極のみで、除電対象の両面を同時に除電することもできる。つまり、部品点数を少なくして、装置の製造コストを低く抑えることもできる。
さらに、板状の電極を対向配置させた場合には、これら両電極によって、プラズマ生成用のガスが除電対象の幅方向に広がることを抑制することができる。
第4の発明によれば、メッシュからなる放電電極又は接地電極を介して、電極の外側から、除電対象、放電電極及び接地電極で囲まれた空間内に、プラズマ生成用のガスを供給することができる。
狭い空間に、ガス噴出口を臨ませる場合と比べて、ガス供給手段の設置の自由度を高くできる。
この発明の第1実施形態の除電装置の構成図である。 第1実施形態の主要部を示した斜視図である。 第2実施形態の電極配置を示した模式図である。 第3実施形態の除電装置の構成図である。 第3実施形態の除電装置を用いた確認実験の結果を示すグラフである。
図1,2にこの発明の第1実施形態を示す。
第1実施形態の除電装置は、真空ポンプPによって、1[Pa]以下の目的の高真空が保たれるチャンバー1内で、ローラ2などで搬送され、その後、図示しない位置で巻き取られるフィルムFの表面電荷を除電する除電装置である。
この第1実施形態では、上記フィルムFが除電対象であり、ローラ2(図2参照)が除電対象を保持する保持手段である。
なお、図1は、第1実施形態の除電装置の構成図で、図2は、この第1実施形態における除電装置の主要部の斜視図であるが、図1では上記ローラ2を省略している。
また、チャンバー1内には、フィルムFの表面に薄膜を形成する図示しない蒸着プロセスが設けられ、チャンバー1全体の圧力は、上記ポンプPによって、蒸着可能な圧力、例えば10−4〜10−2[Pa]の高真空に保たれるようにしている。
上記チャンバー1内には、上記フィルムFの表裏面s1,s2に対向させてメッシュで構成された放電電極3,4と、ガス供給パイプ5,6とが設けられている。
上記放電電極3,4は、フィルムFの幅方向に長さを有する電極であって、図示しない支持手段によってチャンバー1の側面に支持され、絶縁体で被覆された導線によってチャンバー1外の電源7と接続されている。この電源7は、上記放電電極3,4に対して、後で説明するプラズマを生成可能な電圧を出力できればよく、その電圧は直流電圧に限られない。上記電源7から出力される電圧としては、規則的あるいは不規則に正負の極性が入れ替わったり、正負どちらか一方の極性が間欠的に出力されたりするものでもよい。
さらに、上記チャンバー1内には、上記放電電極3,4の長手方向両側であって上記フィルムFの幅を挟む位置に、棒状の接地電極9,10を設けている。これら接地電極9,10は、上記放電電極3,4との間で電場E1,E2を形成するとともに、フィルムFの表面s1,s2上の電荷をアースへ流すためのものである。
また、上記ガス供給パイプ5,6には、チャンバー1外のバルブV1,V2を介して図示しないプラズマ生成用のガス、例えばエアや窒素ガスの供給源が接続されるとともに、上記バルブV1,V2には、これらのバルブV1,V2の開閉を制御するためのバルブ制御部8が接続されている。
この第1実施形態では、上記ガス供給パイプ5,6、バルブV1,V2、上記バルブ制御部8及び図示しないガスの供給源によって、この発明のガス供給手段を構成している。
また、上記ガス供給パイプ5,6は、上記フィルムFの幅を覆う長さを備え、上記放電電極3,4を介してフィルムFの表面s1,s2に対向する側に、図示しない複数のガス噴出口が形成されている。したがって、これらガス供給パイプ5,6に、上記バルブV1,V2を介してプラズマ生成用のガスを供給すると、このプラズマ生成用のガスは、上記ガス噴出口から噴出し、メッシュからなる放電電極3,4を通過して、フィルムF、放電電極3,4及び接地電極9,10で囲まれた空間11,12内に供給される。
そして、上記バルブ制御部8はパルス的に上記バルブV1,V2を開状態としたとき、上記空間11,12内に、プラズマ生成用のガスをパルス的に供給する。
次に、上記除電装置の作用を説明する。
チャンバー1内は、上記真空ポンプPによって蒸着処理が可能な高真空が維持され、図示しない搬送手段によって矢印a方向に搬送されているフィルムFの表面s1,s2は帯電しているものとする。
また、上記バルブV1,V2はバルブ制御部8によって閉状態が保たれている。
この状態で、放電電極3,4に直流高電圧を印加すると、放電電極3と一対の接地電極9,10とによって電場E1が形成されるとともに、放電電極4と接地電極9,10とによって電場E2が形成される。
このように電場E1,E2が形成されたとき、上記バルブV1,V2が閉状態を維持していれば、電場E1,E2内も上記高真空に保たれ、放電は発生しない。
このように放電電極3,4に高電圧を印加した状態で、上記バルブ制御部8によってバルブV1,V2をパルス的に開状態にして、プラズマ生成用のガスをパルス的に供給する。つまり、バルブV1,V2を短時間だけ開状態にしてプラズマ生成用のガスを上記空間11,12に瞬間的に供給し、すぐにバルブV1,V2を閉状態にして上記ガスの供給を停止する。
上記のように、バルブV1,V2が開かれて、ガス供給パイプ5,6からプラズマ生成用のガスが供給され、空間11,12内の圧力がプラズマ生成可能圧力まで上昇すると、電場E1,E2によって空間11,12にはプラズマが生成される。
このように、フィルムF、放電電極3,4及び接地電極9,10とで囲まれた空間11,12内にプラズマが生成されると、上記フィルムFの表面s1,s2がプラズマに曝される。したがって、フィルムFの表面s1,s2の電荷が、プラズマを介して上記接地電極9,10に流れ、フィルムFの両面s1,s2が同時に除電される。
なお、プラズマ生成可能圧力とは、大気圧未満で1[Pa]より高い圧力範囲である。
この第1実施形態では、プラズマを生成したい空間11,12に向かってプラズマ生成用のガスをパルス的に供給し、必要量を超えるガスができるだけ供給されないようにしている。上記必要量とは、上記空間11,12内をプラズマ生成可能圧力にするためのガス量のことである。
また、上記したように、チャンバー1内のガスは、真空ポンプPによって常時排気されるようにしている。
したがって、第1実施形態では、プラズマによってフィルムFの表面を除電しながら、チャンバー1の全体の圧力を、蒸着処理が可能な高真空に維持することができる。
特に、上記バルブ制御部8がバルブV1,V2を制御して、プラズマ生成用のガスの供給が停止されている間には、チャンバー1内の排気がより進んで、空間11,12内の真空度も元通りに回復し、チャンバー1全体の高真空は維持される。
なお、この第1実施形態では、1つの放電電極3と一対の接地電極9,10とによって、電場E1が形成されるとともに上記空間11がその四方を上記放電電極3、接地電極9,10及びフィルムFで囲まれている。また、放電電極4と一対の接地電極9,10とによって、電場E2が形成されるとともに上記空間12がその四方を上記放電電極4、接地電極9,10及びフィルムFで囲まれている。
ただし、電場を形成し、フィルムFとともに、上記プラズマ生成用のガスを供給すべき空間を囲む電極の数や配置は図1に示すものに限定されない。
例えば、図1,2において接地電極10を省略して、放電電極3,4と接地電極9とによってフィルムFの両側に電場を形成するとともに、フィルムF、放電電極3及び接地電極9で三方を囲まれた空間11と、フィルムF、放電電極4及び接地電極9で三方を囲まれた空間12とを、プラズマ生成用のガスを供給する空間とすることができる。
また、上記一対の接地電極9,10に替えて、チャンバー1の側面をアース電極として、放電電極3,4とチャンバー1の側面との間に電場を形成するようにしてもよい。
さらに、上記放電電極3,4及び接地電極9,10としては、メッシュ、板、棒、線など、様々な形態のものを用いることができる。
例えば、接地電極9,10にメッシュで構成される電極を用いれば、接地電極9,10の外側から上記空間11,12内へ、プラズマ生成用のガスを供給することができる。このように、放電電極や接地電極をメッシュで構成すれば、空間11,12の外側にガス供給手段を設けることができ、その設置位置の自由度が上がる。
一方、ガス供給手段としてのガス供給パイプの噴出口を、上記空間11,12内に臨ませ、上記空間11,12内に直接ガスを供給するようにしてもよい。
また、上記放電電極や接地電極が板部材の場合には、それらで囲まれる空間にパルス的に供給されたプラズマ生成用のガスの拡散を上記電極によって規制して、圧力が上昇する範囲をより局所に限定することもできる。
図3に示すのは、図示しないチャンバー内に保持された除電対象であるフィルムFの幅を挟んで、放電電極13と接地電極14とを対向配置させた第2実施形態である。
その他の構成は図示していないが、上記チャンバー内は常時真空排気され、全体として高真空が保たれるように構成されている。そして、フィルムF、放電電極13及び接地電極14で囲まれた空間15,16内にプラズマ生成用のガスをパルス的に供給するガス供給手段が設けられている点は、上記第1実施形態と同様である。
また、上記放電電極13はメッシュ、接地電極14は板部材からなる。
このような装置において、放電電極13に高電圧を印加すれば、対向する上記接地電極14との間に電場E3,E4が形成される。そのため、点線の矢印で示すように、プラズマ生成用のガスを放電電極13のメッシュを通過させて上記空間15,16内に供給すれば、上記空間15,16内にはプラズマが生成される。このプラズマを介してフィルムFの表面電荷が接地電極14に流れ、フィルムFの両面が除電される。
この第2実施形態においても、プラズマ生成用のガスを、フィルムF、放電電極13及び接地電極14で囲まれた空間15,16内に、パルス的に供給する。これによって、チャンバー全体の真空度の低下を抑制しながら、プラズマによってフィルムFの両面を除電することができる。
また、この第2実施形態でも、対向配置される放電電極及び接地電極は、メッシュ、板、棒など、どのような形態のものでも構わない。
例えば、上記接地電極14をメッシュで形成し、接地電極14の外側から上記空間15,16内にプラズマ生成用のガスを供給するようにしてもよい。また、放電電極13及び接地電極14をともにメッシュで形成して、一方の電極側から供給されたプラズマ生成用のガスを他方の電極側から吸引排気するようにしてもよい。また、上記両電極13,14の外側から上記空間15,16内に、プラズマ生成用のガスを供給するようにしてもよい。
さらに、上記対向する放電電極13と接地電極14との間に、フィルムFと対向する二点鎖線で示す接地電極17,18を設けて上記空間15,16の四方を囲むようにしてもよい。このように、上記空間15,16の四方が囲まれれば、三方のみが囲まれた場合と比べ、空間15,16内に供給されたガスの拡散を抑制したり、ガスの方向を制御したりしやすいというメリットがある。
図4に示す第3実施形態は、図1に示す第1実施形態の上記ガス供給パイプ5の代わりに、ガス噴射ノズル19を備え、図1に示す第1実施形態の一方の放電電極4及びガス供給パイプ6を省略した除電装置である。
上記ガス噴射ノズル19は、図示しないプラズマ生成用のガス供給源に接続されたバルブV3に接続され、このバルブV3にはバルブV3の開閉を制御して、上記ガスをパルス的に供給するためのバルブ制御部8が接続されている。
この第3実施形態において上記第1実施形態と同様の構成要素には、図1と同じ符号を用い、各要素の詳細な説明は省略する。
また、この第3実施形態の除電装置は、その性能を確認する実験を行なうため、除電対象としてフィルムFではなく、帯電した金属製のプレートPLを用いることにする。そして、このプレートPLにはチャンバー1外でチャージプレートモニター(ヒューグルエレクトロニクス700A型)20を接続している。このチャージプレートモニター20は、上記プレートPLを帯電させたり、その表面電位の変化を測定したりする機能を備えている。
さらに、第3実施形態のチャンバー1は接地され、このチャンバー1の側面1a,1bがこの発明の接地電極として機能する。
したがって、放電電極3に高電圧を印加すると、この放電電極3と側面1a,1bとの間に電場が形成される。
また、上記プレートPL、放電電極3及び接地電極である側面1a,1bによって囲まれた空間21に向かって、上記ガス噴射ノズル19からプラズマ生成用のガスをパルス的に供給し、この空間21にプラズマを生成させるようにしていている。このプラズマに曝されたプレートPLの表面が除電される点は、上記他の実施形態と同じである。
この第3実施形態の除電装置の除電性能を確認するための確認実験を行なったので、この実験について以下に簡単に説明する。
この確認実験の実験条件は以下のとおりである。
チャンバー1は、底面が直径100[mm]の円、高さが500[mm]の円筒状で、その容量は約4[L]である。
真空ポンプPの排気量は、250[L/s]である。
また、上記ガス噴射ノズル19の先端と放電電極3との距離は3[mm]である。
さらに、除電対象となる上記プレートPLは、上記放電電極3との距離170[mm]の位置にセットされている。
まず、真空ポンプPによって、チャンバー1内を5×10−5[Pa]以下まで排気し、真空ポンプPは常時作動させておく。
次に、放電電極3に+10[kV]印加する。
さらに、プレートPLを+500[V]または−500[V]に帯電させて除電対象とする。なお、表面電位が+500[V]に帯電したプレートPLと−500[V]に帯電したプレートPLとのそれぞれについて、以下の手順で確認実験を行なった。
放電電極3に10[kV]を印加し、その状態で、バルブ制御部8によってバルブV3を開状態とし、プラズマ生成用のガスを、ガス噴射ノズル19から噴射させる。なお、上記プラズマ生成用のガスとしては、10[Pa]の窒素のガスを用いた。
また、上記バルブ制御部8は、上記バルブV3を約100[μs]の間、開状態とし、その間に窒素ガスがパルス的に噴射されるようにした。
そして、上記チャージプレートモニター20によって、上記プレートPLの表面電位の時間変化を計測した。
上記放電電極3への電圧印加と、上記空間21への窒素ガスの噴射とによって、空間21内にプラズマが生成され、上記プレートPLの表面電位が下がり始めた。
この表面電位の変化は、図5のグラフに示すとおりである。
このグラフ中の実線(1)は、+500[V]に帯電させたプレートPLの表面電位の時間変化であり、破線(2)は−500[V]に帯電させたプレートPLの表面電位の時間変化である。
なお、上記バルブV3を開いてガス噴射ノズル19から窒素ガスが噴射された瞬間を、図5のグラフにおける時間軸のゼロとしている。
図5のグラフのように、この第3実施形態の除電装置を用いた実験では、ガス噴射ノズル19から窒素ガスを噴射してから、約40[ms]後に、プレートPLは、その表面電位が±数十[V]になるまで除電され、50[ms]後で、ほぼ0[V]になることを確認できた。
そして、上記除電中であっても、チャンバー1内の真空度の変化は確認されなかった。
これらの結果から、上記第3実施形態の除電装置が、チャンバー全体の高真空を保ちながら、高速除電を可能にするものであることを確認できた。
また、上記第3実施形態では、上記ガス噴射ノズル19から100[μs]の間、パルス的に窒素ガスを噴射させることで上記空間21内をプラズマ生成可能圧力まで上昇させることができるとともに、上記パルス的なガスの供給量ではチャンバー1全体の真空度には影響を与えないことも確認できた。
以上のように、第1〜3実施形態の除電装置は、プラズマ生成用のガスを、局所的に、しかもパルス的に供給することによって、隔壁が無くても、チャンバー全体の高真空を保ちながら、除電対象を除電することができるものである。
そのため、高真空が必要な、蒸着プロセスやデバイス製造プロセスを設けたチャンバーを単純な構成にしながら、その内部で除電対象を除電することができる。
そして、プラズマが生成される上記空間11,12,15,16,21は、除電したいタイミングに合わせて、蒸着などの真空処理プロセスの前後のいずれか一方あるいは両方に設けることができる。
また、除電対象の両面を同時に除電する場合には、上記第1,2実施形態のように、除電対象とともにプラズマが生成される空間を囲む放電電極及び接地電極を除電対象の両側に設ければよいし、一方の面のみを除電する場合には、第3実施形態のように除電対象とともに上記空間を囲む放電電極及び接地電極を除電対象の一方の面側のみに設ければよい。
いずれにしても、放電電極、接地電極及びガス供給パイプの配置、印加電圧、プラズマ生成用のガスの供給時間などは、除電対象の種類や、除電目的に応じて設定する必要がある。
また、チャンバー全体の真空度は、チャンバーの容積や真空ポンプの排気能力によっても変わる。したがって、チャンバー内の構成や排気能力などに応じて、上記パルス的なガスの供給時間の最適値を設定することができる。
真空処理プロセスでの除電に適用できる。
1 チャンバー
2(保持手段)ローラ
3,4 放電電極
5,6 ガス供給パイプ
7 電源
8 バルブ制御部
9,10 接地電極
11,12 空間
13 放電電極
14 接地電極
15,16 空間
17,18 接地電極
19 ガス噴射ノズル
21 空間
1a,1b (接地電極となる)側面
F (除電対象)フィルム
PL (除電対象)プレート
E1〜E4 電場
V1〜V3 バルブ

Claims (4)

  1. 1Pa以下の高真空を実現するチャンバーと、
    このチャンバー内に設けられ、除電対象を保持する保持手段と、
    高電圧が印加される放電電極と、
    上記放電電極との間で電場を形成する接地電極と、
    上記保持手段で保持された上記除電対象、上記放電電極及び上記接地電極で囲まれた空間でプラズマを生成させるためのプラズマ生成用のガスをパルス的に供給するガス供給手段とが備えられ、
    上記放電電極に高電圧が印加されるとともに、上記プラズマ生成用のガスが供給されたとき、上記電場によって上記空間にプラズマが生成され、このプラズマを介して上記除電対象の表面電荷が上記接地電極に流れる構成にした除電装置。
  2. 上記放電電極は、上記保持手段で保持された除電対象と対向位置に設けられるとともに、
    上記接地電極は、上記放電電極の両側もしくは片側に対応する位置に設けられた請求項1に記載の除電装置。
  3. 上記放電電極と接地電極とが対向配置され、
    上記放電電極と接地電極とで形成される電場の方向に沿った上記除電対象が、上記保持手段によって保持された請求項1又は2に記載の除電装置。
  4. 上記放電電極または接地電極の少なくともいずれか一方がメッシュからなる請求項1〜3のいずれか1に記載の除電装置。
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