以下、本実施形態のポータブルトイレについて図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、便宜上、便座に腰掛けた使用者から見た方向を基準にして前後、左右及び上下を示している。図中に示すF,B,R,Lは、それぞれ、ポータブルトイレの前方、後方、右側、左側を表す。本実施形態のポータブルトイレは、例えば介護用であり、ベッド脇等の室内に置かれて用いられる。なお、このポータブルトイレは、介護用トイレや簡易トイレ等とも称される。ポータブルトイレは折り畳み可能であり、開脚した状態で使用され、不使用時には折り畳んでコンパクトにすることが可能である。
ポータブルトイレ10は、図1〜図6に示すように、トイレ本体部40と、トイレ本体部40を支持する脚体部20と、を備える。ポータブルトイレ10は、全体として木製である。なお、以下において、各部材を構成する材料について特に説明がない場合には木製である。また、以下においては、特に説明がない場合、開脚状態のポータブルトイレ10の構成をいうものとする。
≪脚体部20≫
脚体部20は、左右一対の前脚部21と、左右一対の後脚部22と、を備える。
<前脚部21>
前脚部21は、長尺板材からなる前脚本体である第1脚部23と、第1脚部23に取り付けられる第2脚部24と、を備えている。第1脚部23は、前方に傾斜するように形成されており、互いの第1脚部23の板面を向き合わせた状態で左右に離間して配置されている。第1脚部23の下端よりも上方であって、トイレ本体部40の下方には、左右の第1脚部23を連結する板状の連結部25が配設されている。
第2脚部24は、長尺板材からなり、各前脚部21の下部において、第1脚部23に対して着脱可能に取り付けられている。第2脚部24は、第1脚部23に対する取付位置を調整可能になっている。この第2脚部24の第1脚部23に対する取付位置を調整することにより、前脚部21の長さを調整することが可能である。本実施形態では、第1脚部23の下部の板面に、複数個のネジ孔26が上下に並べて所定間隔で設けられている。これら複数個のネジ孔26のいずれかに対して、第2脚部24の板面に形成されたネジ孔27が重なるように、かつトイレ本体部40が所望の高さになるように、第2脚部24を第1脚部23の外側から位置決めした上でネジ止め等することにより前脚部21の長さが調整される。
<後脚部22>
後脚部22は、長尺板材からなる後脚本体である第1脚部28と、第1脚部28に取り付けられる第2脚部29と、を備えている。第1脚部28は、後方へ傾斜するように形成されており、互いの第1脚部28の板面を向き合わせた状態で左右に離間して配置されている。後脚部22の各第1脚部28は、その上端部が、前脚部21の各第1脚部23の高さ方向の中間部に回動軸30を介して連結されている。これにより、脚体部20は、前脚部21の下部と後脚部22の下部とが離間した開脚状態と、前脚部21の下部と後脚部22の下部とが接近した閉脚状態とを変更可能になっている。閉脚状態では、前脚部21の下部と後脚部22の下部とが接近して、前脚部21と後脚部22とが前後に並んで略平行に配置される(図6参照)。閉脚状態では、前脚部21の下部及び後脚部22の下部は上下方向に延びており、ポータブルトイレ10は折り畳まれた状態となる。
第1脚部28の下端よりも上方であってトイレ本体部40の下方には、左右の第1脚部28を連結する板状の連結部31が配設されている。連結部31の板面は後方へ傾斜している。具体的には、連結部31は、連結部31の板面の傾斜方向が第1脚部28の延びる方向となるように左右の第1脚部28の間に架け渡されている。
図3に示すように、第1脚部28は、下側部分28aと上側部分28bとを有しており、これらが弧状でつながっている。具体的には、第1脚部28は、閉脚状態で側方視したとき、下側部分28aは直線的であり、上側部分28bは上方へ凸となる緩やかな弧状であり、これら両者が、上側部分13bよりも湾曲された弧状部分でつながっている。上側部分28bの鉛直方向に対する傾斜は、下側部分28aよりも大きい。このため、閉脚状態では、後脚部22の下端の前後幅が小さくなりコンパクトにできる。
第2脚部29は長尺板材からなり、各後脚部22の下部において、第1脚部28に対して着脱可能に取り付けられている。第2脚部29は、第1脚部28に対する取付位置を調整可能になっている。後脚部22の長さは、第2脚部29の第1脚部28に対する取付位置を変更することによって調整可能である。本実施形態では、第1脚部28の下部の板面に、複数個のネジ孔32が上下に並べて所定間隔で設けられている。これら複数個のネジ孔32のいずれかに対して、第2脚部29の板面に形成されたネジ孔33が重なるように、かつトイレ本体部40が所望の高さになるように、第2脚部29を第1脚部28の外側から位置決めした上でネジ止め等することにより後脚部22の長さが調整される。
脚体部20には、前脚部21と後脚部22との間において前後方向に架け渡された連結アーム34が設けられている。ポータブルトイレ10の開脚状態では、連結アーム34により、前脚部21の下部と後脚部22の下部とがそれ以上離間しないように規制される。
<接地面>
脚体部20の各脚の下面には、開脚状態での接地面である第1接地面35と、閉脚状態での接地面である第2接地面36と、が形成されている。本実施形態では、側方視において、第2脚部24,29の下面が第1脚部23,28の下面よりも下方に位置しており、第2脚部24,29側に第1接地面35及び第2接地面36が形成されている。
具体的には、図3に示すように、前脚部21及び後脚部22のそれぞれの下面には、第1面37と、第1面37に対し交差する角度をなす第2面38と、が設けられている。第1面37及び第2面38は、前脚部21及び後脚部22のうち第2脚部24,29の下部に形成されている。第1面37と第2面38とは前後方向に隣接して配置されており、第2面38は、第1面37に対して前後方向の外側に配置されている。また、第1面37は、第2面38よりも面積が大きくなっている。
第1面37及び第2面38の下面には、長尺板状のゴム部材である脚ゴム39が取り付けられている。脚ゴム39は、前脚部21及び後脚部22のそれぞれの下面に対し、第1面37と第2面38とに跨って設けられている。脚ゴム39は、第1面37及び第2面38の全面に配設されている。本実施形態では、前脚部21及び後脚部22のうち第2脚部24,29の下面が第1面37及び第2面38であり、第2脚部24,29の下面に脚ゴム39が取り付けられている。脚ゴム39の板面のうち、一方の面が、第1面37及び第2面38に当接される当接面であり、他方の面が、床面に接地される接地面(第1接地面35及び第2接地面36)である。
≪トイレ本体部40≫
トイレ本体部40は、各前脚部21及び各後脚部22で挟まれた位置に配置されている。トイレ本体部40は、バケツ41を受けることが可能な受け部50と、受け部50の上方に配置される便座60と、便座60の上方に重ねられて便座60を覆う座部65と、を備えている。
<受け部50>
受け部50は、本体フレーム51と、バケツ41を収容する収容部52と、を備える。
(本体フレーム51)
本体フレーム51は、収容部52を支持する部材であり、前後及び左右のそれぞれに上方に向けて立ち上がる側壁を有する平面視四角形の枠である。本体フレーム51は、脚体部20に対して回動可能に支持されている。
具体的には、図3に示すように、本体フレーム51は、前脚部21の高さ方向の中間部において、連結板53を介して各前脚部21に連結されている。連結板53の一端は、本体フレーム51の左右の側壁51aに回動軸を介して連結されており、他端は、前脚部21の内側板面に回動軸を介して連結されている。本体フレーム51は、連結部材54を介して、各後脚部22に回動可能に連結されている。連結部材54は、上下方向に延びる形状を有する。連結部材54の上端部は、本体フレーム51の側面に回動軸を介して連結され、下端部は、ネジ止め等によって後脚部22に固定されている。本体フレーム51は、連結板53及び連結部材54のそれぞれの回動軸を軸として回動する。これにより、本体フレーム51の姿勢が、本体フレーム51が前後方向に延びる横向きの状態と、本体フレーム51が上下方向に延びる縦向きの状態との間で変更される。
本体フレーム51の側面には、本体フレーム51が縦向きに配置された状態で連結部材54の後面に当接する当接部(図示略)が設けられている。本体フレーム51が縦向きに配置された状態では、連結部材54の後面と当接部とが当接することにより、本体フレーム51が縦向きに配置されたときに本体フレーム51がそれ以上回動しないように、本体フレーム51の回動が規制される。また、ポータブルトイレ10には、開脚状態において本体フレーム51の横向きの状態が保持されるように本体フレーム51を支持する本体支持部55が設けられている。
本体フレーム51には、本体フレーム51が縦向きに配置された状態を保持するストラップ56が取り付けられている。なお、便宜上、図1にのみストラップ56を図示している。本体フレーム51が縦向きに配置された状態で、ストラップ56の輪部57を、脚体部20の上部に設けられた掛け部58に引っ掛けることにより、本体フレーム51の下方への回動が規制され、本体フレーム51が縦向きに配置された状態が保たれる。
(収容部52)
収容部52は、上部が開口した例えば樹脂製の箱型容器であり、バケツ41を収容可能な大きさを有している。収容部52は「汚水受け」とも称される。収容部52は、本体フレーム51の内側に配設され、その配設状態で着脱可能に支持されている。収容部52の開口部には、開口部を覆うようにしてトレイ59が配設されている。トレイ59は「受け板」とも称される。収容部52は、本体フレーム51が横向きの状態では、開口部を上方に向けた状態で本体フレーム51に支持される。収容部52が本体フレーム51に支持された状態で、本体フレーム51が上方へ回動されて縦向きの状態になると、受け部50が収容部52の開口部を後方に向けた状態に変更される。
(バケツ41)
バケツ41は、使用者の排泄物を受ける例えば樹脂製の容器であり、上部が開口した有底の容器である。バケツ41は「汚物受け」とも称される。バケツ41は、その収容状態でバケツ上縁がトレイ59の上面に引っ掛けられることで、トレイ59に着脱可能に支持されている。バケツ41の開口部41aには、開口部41aを覆う蓋(図示略)が上方から装着される。なお、トレイ59が配設されていない場合には、例えば収容部52の内部に設けられたバケツ固定部にバケツ41を着脱可能に取り付けたり、あるいは、収容部52の内部に設けられた引掛け部にバケツ41を引っ掛けたりすればよい。
<便座60>
便座60は、開口部61を有する樹脂製の部材であり、その開口部61が、バケツ41の開口部と重なるようにして、受け部50の上方に配置される。便座60は、後方位置に設けられたヒンジ62を介してトレイ59に取り付けられている。これにより、便座60は、図1に示すように、収容部52の上面に横向きに配置された状態と、図2に示すように、収容部52の上方に縦向きに配置された状態との間で回動可能になっている。なお、便座60をトレイ59に取り付ける構成に代えて、収容部52又は本体フレーム51に取り付ける構成としてもよい。
<座部65>
座部65は、便座60の上方に重ねられた状態で上面が座面として使用されるものである。本実施形態では、座部65は、クッション性を有する材料により形成された矩形の部材である。座部65は、本体フレーム51にアーム66を介して連結されることで、トイレ本体部40の後方位置で上方へ回動可能に支持されている。この回動により、座部65は、座部65の上面が前後方向に延びている横向きの状態と、座部65の上面が上下方向に延びている縦向きの状態との間で姿勢を変更可能になっている。座部65を上方へ回動すると便座60が露出し、トイレとしての使用状態となる。座部65は、前部と後部との間で折り畳み可能になっており、トイレとしての使用状態では、折り畳まれた状態でトイレ本体部40の後方位置に配置される。
≪その他の部材≫
ポータブルトイレ10は、更に、着座した使用者の背中が当接される背もたれ部71と、使用者の手や腕が載置される肘掛け部72と、閉脚状態で受け部50がバケツ41を受けた状態を保持する保持部73と、を備えている。
背もたれ部71は、各前脚部21の上端部の間に架け渡されている。背もたれ部71は、開脚状態においてトイレ本体部40の後方位置で上方に配置されている。本実施形態では、背もたれ部71の下方には空間部が形成されており、この空間部に、前部と後部との間で折り畳まれた状態の座部65を配置可能になっている。
肘掛け部72は、長尺形状の肘掛け本体74と、肘掛け本体74を支持する肘掛け支持部75と、を備えている。肘掛け支持部75は、脚体部20のうち前脚部21の左右の外側板面に対して、取付位置を調整可能に取り付けられている。肘掛け支持部75の後方上部には、肘掛け本体74の一端がヒンジ79を介して連結されている。これにより、肘掛け本体74は、使用者が肘掛けとして使用可能に前後方向に延びる肘掛け状態(図2参照)から、先端部74aが下方に位置するように延びる収納状態(図5及び図6参照)へ、脚体部20に対して回動可能に支持されている。肘掛け本体74が収納状態にあるときには、図6に示すように、肘掛け本体74の先端部74aが第2脚部29の上部後方に位置している。図1には、肘掛け本体74の先端部74aが上方に位置するように跳ね上げられた状態を示している。
肘掛け支持部75の上面は、肘掛け本体74の下面が当接される当接面となっており、その当接状態において肘掛け本体74を下方から支持する。また、肘掛け本体74の上面は、着座した使用者の手や腕が載置される載置面となっている。図1〜図6に示す例では、右側の肘掛け本体74の下面に、下方に突出する支柱76が設けられており、この支柱76にトイレットペーパーホルダー77が取り付けられている。符号78は、肘掛け本体74の下面と、肘掛け支持部75の上面とをロック及びロック解除の間で切り替え可能なロック機構である。
保持部73は、受け部50に収容されたバケツ41が開口部41aを後方に向けた状態となったときに、受け部50がバケツ41を受けた状態を保持する。トイレ本体部40が縦向きに配置された状態では、保持部73が座部65を座面上方から押さえることにより、バケツ41が後ろ方向に飛び出るのが抑制される。
≪ポータブルトイレ10の動作≫
次に、ポータブルトイレ10の動作について説明する。
上述したように、脚体部20は、前脚部21の下部と後脚部22の下部とが離間した開脚状態から、前脚部21の下部と後脚部22の下部とが接近した閉脚状態へ折り畳み可能である。また、トイレ本体部40においては、本体フレーム51が脚体部20に回動可能に支持されており、受け部50がバケツ41の開口部41aを上方に向けた状態でバケツ41を受ける横向きの状態と、受け部50がバケツ41の開口部41aを後方に向けた状態でバケツ41を受ける縦向きの状態との間で変更可能である。本実施形態では、トイレ本体部40が横向きの状態から縦向きの状態になる動作と、脚体部20が開脚状態から閉脚状態になる動作とが連動して行われる。
具体的には、本体フレーム51が上方に回動されて縦向きの配置になると、それに連動して、前脚部21の下部と後脚部22の下部とが互いに引き寄せられ、前脚部21の下部と後脚部22の下部とが接近する。その結果、ポータブルトイレ10は、図5及び図6に示す折り畳み状態となる。ポータブルトイレ10が折り畳まれた状態では、脚体部20の各脚の第2接地面36が床面に対してそれぞれ接地されることにより、バケツ41や収容部52を備えたままの状態で安定して自立する。このとき、バケツ41や収容部52を取り外さずにポータブルトイレ10を折り畳み状態とすることが可能である。
ポータブルトイレ10を折り畳む際には、使用者や介助者は、まず、便座60及び座部65を受け部50の上方に重ねた状態とする。続いて、肘掛け本体74の先端部74aが下方に位置するように肘掛け本体74を回動させる。次に、使用者等は、背もたれ部71とトイレ本体部40の前方とを接近させるようにトイレ本体部40を上方へ回動させる。この動作により、トイレ本体部40が縦向きになるとともに、トイレ本体部40の回動に連動して脚体部20が開脚状態から閉脚状態に折り畳まれる。ポータブルトイレ10が折り畳まれた状態でストラップ56を掛け部58に引っ掛けることにより、折り畳み状態が安定に保持される。
折り畳み状態のポータブルトイレ10を使用状態にする際には、使用者や介助者は、まず、ストラップ56を掛け部58から取り外す。次に、背もたれ部71と本体フレーム51の前方とを離間させるように、トイレ本体部40を下方へ回動させる。この動作により、トイレ本体部40が横向きになるとともに、トイレ本体部40の回動に連動して脚体部20が前後方向に開く。開脚後には、自重により、便座60及び座部65が受け部50の上方に重ねられた状態が自然に形成される。したがって、開脚後には直ちに椅子として機能させることができる。また、座部65を回動させて後方へ退避させれば、トイレとして機能させることができる。
≪脚体部20の下部の構成≫
次に、脚体部20の下部の構成について詳しく説明する。図1〜図6に示すように、ポータブルトイレ10には、床面に対してポータブルトイレ10を移動させるためのキャスタ機構80が設けられている。本実施形態では、脚体部20にキャスタ機構80が設けられている。
キャスタ機構80は、脚体部20のうち各後脚部22の下部に設けられている。本実施形態では、脚体部20の下部のうち前後方向の外側、つまり後脚部22の後方にキャスタ機構80が設けられている。図6及び図7に示すように、キャスタ機構80は、車輪81と、車輪81を支持するブラケット82と、を備えている。車輪81は、例えばゴム製や樹脂製であり、軸方向を前後方向とする回転軸83を中心として、左右方向に回転可能になっている。
ブラケット82は、例えば金属製であり、前後一対の側板82aと、各側板82aの上端を連結する上板82bと、上板82bの左右端部から立ち上がる一対の立ち板82cと、を有している。側板82aの板面には貫通穴が形成されており、貫通穴に回転軸83が回転可能に保持されている。立ち板82cの板面にはネジ穴が形成されており、立ち板82cが後脚部22の板面にねじネジ止め等されることにより、キャスタ機構80が後脚部22に固定されている。
キャスタ機構80は、後脚部22のうち第2脚部29に取り付けられている。図3に示すように、第2脚部29は、第1脚部28に装着された状態で、第2接地面36よりも上方において後方に向けて突出する第1突出部29aと、第1突出部29aの前方において下方に向けて突出する第2突出部29kと、を有している。キャスタ機構80は、第2脚部29において第1突出部29aの下方に配設されている。
第1突出部29aは、第1脚部28に装着された状態で、第1脚部28の後面よりも後方へ突出している。第1突出部29aの下面29bは、第1接地面35及び第2接地面36よりも上方に位置している。下面29bは、前後方向に延びる平坦面であり、詳しくは、図3に示すように、後方に向けて斜め上方に延びている。キャスタ機構80は、車輪81の径方向と下面29bとが直交するように下面29bに対して取り付けられている。
車輪81は、第1突出部29aによって車輪81の上方が覆われている。詳しくは、車輪81の全体が第1突出部29aの下方に入り込んだ状態となっている。車輪81は、下面29bによって車輪81の上方が覆われるように、ブラケット82によって下面29bから吊り下げ支持されている。また、車輪81は、下面29bから後方に向けて斜め下方に突出するように配置されている。車輪81の接地面81aは、後方に向けて斜め上方に延びており、具体的には、第2接地面36が前後に延びる方向に対して所定角度θ(例えば5〜6°)だけ上方に傾斜している。開脚状態において側面視したとき、車輪81の下端は車輪81の上端よりも後方に位置している。
第2突出部29kは、第1脚部28に装着された状態で、第2脚部29において前後方向の内側に配置されている。本実施形態では、第2突出部29kは、第1突出部29aよりも前方に位置している。第2突出部29kの下面には脚ゴム39が取り付けられており、脚ゴム39の板面のうち第2突出部29kに当接する面とは反対の面が、床面に接地される接地面(第1接地面35及び第2接地面36)となっている。キャスタ機構80は、第2突出部29kの後方に配設されている。車輪81は、第2突出部29kによってその前方が覆われている。
第1突出部29aの上面29cは、下方へ凸となる湾曲した形状を有している。詳しくは、上面29cは、下方へ行くほど後方へ位置する湾曲形状となっている。図7に示すように、第1突出部29aは、上側部分29fと、中間部分29gと、下側部分29hとを有しており、これらが弧状につながっている。開脚状態で側方視したとき、中間部分29gは上側部分29fよりも緩やかな弧状となっており、下側部分29hは中間部分29gよりも湾曲された弧状となっている。これにより、第1突出部29aは、下面29bに取り付けられた車輪81の上方を覆うように後方への突出長さを十分に確保しながら、その上面29cが角張っていないなだらかな形状となっている。
上面29cのうち下側部分29hは、上側部分29fよりも湾曲された弧状となっている。これにより、第1突出部29aの下方に車輪81を配置する空間を確保しつつ、第1突出部29aの下部が後方へ大きく突出しないようになっている。下側部分29hは、下側部分29hよりも湾曲された弧状部分で下面29bとつながっている。第1突出部29aの後端下部は、丸みを帯びた形状となっており、使用者等の足や物が引っ掛かりにくくなっている。
なお、本実施形態では、第2脚部29が、「車輪81が取り付けられている取付け部」に相当する。つまり、キャスタ機構80が第2脚部29に取り付けられていることにより、車輪81がポータブルトイレ10に対して着脱可能になっている。
車輪81の少なくとも一部は、左側の脚体部20の左側端部20Lと、右側の脚体部20の右側端部20Rとの間に配置されている。本実施形態では、車輪81のほぼ全体が左側端部20Lと右側端部20Rとの間に配置されている。これにより、トイレ後方に回った介助者等が車輪81に足を引っ掛かりにくくなっている。
図3及び図6に示すように、ポータブルトイレ10においては、開脚状態の車輪81の下端位置が、閉脚状態での車輪81の下端位置よりも、床面から上方へ離れた位置となっている。本実施形態では、開脚状態及び閉脚状態の双方において、車輪81の下端が床面から離間している。具体的には、開脚状態では、第1接地面35が床面に接地し、図3に示すように、車輪81の下端は、第1接地面35よりも第1高さD1だけ上方に位置している。一方、閉脚状態では、第2接地面36が床面に接地し、図6に示すように、車輪81の下端は、接地面、すなわち第2接地面36に対して、第1高さD1よりも低い第2高さD2だけ上方に位置している。
≪キャスタ機構80の作用≫
次に、キャスタ機構80の作用について図8を用いて説明する。図8中、(a)はポータブルトイレ10が折り畳まれて自立している状態、(b)はポータブルトイレ10が折り畳み状態から使用状態へ変更される途中の状態、(c)はポータブルトイレ10の使用状態、(d)は折り畳み状態のポータブルトイレ10において車輪を床面Gに接地させた状態をそれぞれ示している。
ポータブルトイレ10が折り畳み状態で自立しているときには、図8(a)に示すように、第2接地面36が床面Gに接地された状態となる。この場合、車輪81の下端位置は床面Gに近接しており、床面Gから第2高さD2だけ離れた位置となる。ポータブルトイレ10が折り畳み状態から使用状態に変更されると、脚体部20と床面Gとの接地面が第2接地面36から第1接地面35になるとともに、車輪81の下端が床面Gからさらに離間する(D1>D3>D2)。そして、使用状態のポータブルトイレ10において、車輪81の下端位置は、図8(c)に示すように、折り畳み状態での車輪81の下端位置よりも、床面Gから上方へ離れた位置となる。このため、ポータブルトイレ10を使用するときには、車輪81が床面Gと干渉しにくい。これにより、ポータブルトイレ10の安定性を高めることができ、ポータブルトイレ10を安全に使用することができる。
また、折り畳み状態のポータブルトイレ10を移動させる際には、使用者はまず、折り畳み状態のポータブルトイレ10の上部を後方に傾倒させて、左右の車輪81を床面Gに接地させる。そして、車輪81を接地させた状態でポータブルトイレ10を左右方向に動かし、目的の位置までポータブルトイレ10を移動させる。ポータブルトイレ10が折り畳み状態にあるときには、トイレとしての使用状態のときよりも車輪81が床面Gに近い位置にある。このため、ポータブルトイレ10の移動時には、使用者は、折り畳み状態のポータブルトイレ10の上部を大きく後方に傾倒させなくても、車輪81を床面Gに接地させることが可能である。したがって、ポータブルトイレ10の移動中はポータブルトイレ10をさほど傾倒させずに済み、ポータブルトイレ10がバランスを崩して倒れてしまうのを抑制しながら、ポータブルトイレ10を安定にかつスムーズに移動させることが可能である。
≪第1突出部29aの作用≫
次に、第1突出部29aの作用について、図9を用いて説明する。図9中、(a)はポータブルトイレ10が折り畳まれて自立している状態、(b)はポータブルトイレ10が折り畳み状態から使用状態へ変更される途中の状態、(c)はポータブルトイレ10の使用状態をそれぞれ示している。
肘掛け本体74が収納状態にあって、かつ脚体部20が閉脚状態にある状態(図9(a)の状態)からトイレとしての使用状態にする際には、後脚部22が後方へ開くのに伴い、肘掛け本体74の先端部74aが突出部29aの上面29cに接触する(図9(b)の状態)。第1突出部29aの上面29cは、下方へ凸の湾曲した形状を有している。そのため、収納状態の肘掛け本体74の先端部74aが後脚部22に干渉しにくく、後脚部22の開脚動作がスムーズに行われる。また、先端部74aが上面29cに接触している状態において、後脚部22がさらに後方へ開くことにより、肘掛け本体74の上方への回動が補助される。具体的には、突出部29aの上面29cが先端部74aを後方へ押しやることにより、肘掛け本体74が、上下方向に延びた状態から斜め後方に延びた状態となる。このため、使用者や介助者は、ポータブルトイレ10を使用状態にする際に身体を大きく低めなくても、肘掛け本体74を肘掛け状態に変更することができる。
以上詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
ポータブルトイレ10には、床面Gに対してポータブルトイレ10を移動させるための車輪81が設けられているため、車輪81の回転によってポータブルトイレ10を容易に移動させることができる。また、開脚状態での車輪81の下端位置が、閉脚状態での車輪81の下端位置よりも、床面Gから上方へ離れた位置となるため、トイレとしての使用時には、車輪81を床面Gに干渉しにくく、トイレとしての使用時の安定性を高めることができる。また、折り畳み状態でポータブルトイレ10を移動させる際には、車輪81を床面Gに接地させやすいため、ポータブルトイレ10をさほど傾倒させずに済む。これにより、ポータブルトイレ10が倒れることを抑制しながら、安定にポータブルトイレ10を移動させることができる。
車輪81の回転方向が左右方向であるため、ポータブルトイレ10を折り畳んだ状態で左右方向に移動させることができる。これにより、車輪81の回転を利用してポータブルトイレ10を床面Gに対して移動させながら、狭い隙間にもポータブルトイレ10を収納することができる。
ポータブルトイレ10の閉脚状態において、前脚部21と後脚部22とで自立可能であり、かつ自立した状態において車輪81が床面Gから離間している構成とした。この構成では、ポータブルトイレ10が自立している状態では車輪81が床面Gから浮いているため、自立した状態のポータブルトイレ10が不用意に移動したり倒れたりしないようにすることができる。これにより、ポータブルトイレ10が自立している状態での安定性をより高くすることができる。また、開脚状態から閉脚状態にする過程において、車輪81が床面Gから浮いた状態が保持されるため、ポータブルトイレ10を折り畳む際に車輪81によって床面Gを傷つけないようにすることができる。
脚体部20のうち後脚部22の下部に車輪81を設けた。この構成によれば、車輪付きの折り畳み式ポータブルトイレにおいて、車輪81がトイレの使用者や介助者に干渉しにくくすることができる。したがって、トイレの使用者や介助者の足に車輪が引っ掛かりにくく、車輪81が邪魔になったり破損したりするのを抑制することができる。また、後脚部22に車輪81が設けられているため、トイレの前方からは車輪81が目立ちにくく、外観も良好である。
また、ポータブルトイレ10を折り畳む際のトイレ本体部40の回動方向と、折り畳み状態のポータブルトイレ10を移動させるときのポータブルトイレ10の傾倒方向とが同じ方向(本実施形態では後ろ方向)であるため、折り畳み状態のポータブルトイレ10の移動中にトイレ本体部40が開いて前方に飛び出るのを抑制することができる。
脚体部20のうち、後脚部22の下部のみに車輪81を設け、前脚部21の下部には車輪81を設けていないことから、前脚部21の下部に、より広い空間を確保することができる。これにより、トイレの使用者や介助者がスムーズに動作することができる。
後脚部22の下部の後方部に車輪81を取り付けたため、ポータブルトイレ10を後方に傾倒させることによって車輪81を床面Gに接地させることができる。これにより、ポータブルトイレ10の移動時には、ポータブルトイレ10をわざわざ持ち上げなくてもよく、使用者や介助者に掛かる負荷を軽減することができる。
後脚部22のうち、ポータブルトイレ10に対して着脱可能な第2脚部29に車輪81を取り付ける構成とした。この構成によれば、ポータブルトイレ10に対して、車輪81を容易に取り外し及び取り付けが可能であるため、ポータブルトイレ10を車輪付きにするか、それとも車輪なしにするかを、使用者が自身のニーズに応じて選択可能にすることができる。また、後脚部22の第2脚部29以外については、ポータブルトイレ10の車輪81の有無に関わらず同一の構成とすることができる。よって、車輪付きのポータブルトイレ10を提供するのにあたり、第2脚部29のみを変更すればよく、製造コストの増大を抑えながら多様なポータブルトイレ10を提供することができる。
脚体部20の長さ調整用の部材である第2脚部29に車輪81が取り付けられているため、脚体部20の長さ調整を行っても、開脚状態での車輪81の下端位置が、閉脚状態のときよりも床面Gから上方へ離れた位置となる関係を保持することができる。また、第2脚部29に車輪81が直接取り付けられているため、車輪取付け用の部材を別途設けなくて済む。よって、部品数をできるだけ少なくすることができる。
第2脚部29の上面において後方に向けて突出する第1突出部29aが形成されており、第1突出部29aによって車輪81の上方が覆われるようにした。この構成によれば、使用者や介助者の足が車輪81に引っ掛かったり、車輪81に物が当たったりしないようにすることができる。また、第1突出部29aによって車輪81が外部から目立ちにくくなり、外観も良好である。
突出部29aの上面29cが下方へ凸の湾曲した形状を有するため、ポータブルトイレ10を閉脚状態から開脚状態に変更させる際に、収納状態の肘掛け本体74が後脚部22に干渉しないようにすることができる。また、肘掛け本体74の先端部が、後脚部22のうち第2脚部29の上面29cに接触しながら閉脚状態から開脚状態に変更されるため、開脚動作に付随させて、肘掛け本体74の収納状態から肘掛け状態への変更を補助することができる。特に、本実施形態のポータブルトイレ10は、第2脚部29の取付位置によってトイレ本体部40の高さを調整可能であり、トイレ本体部40の高さを低くした場合には、肘掛け本体74の先端部74aと突出部29aとがより干渉しやすくなる。したがって、上記効果を好適に得ることができる。
車輪81の接地面81aを、第2接地面36が前後に延びる方向に対して所定角度θだけ上方に傾斜させたため、折り畳み状態のポータブルトイレ10を後方に傾斜させることによって、車輪81が接地されてポータブルトイレ10を移動させることができる。また、折り畳み状態のポータブルトイレ10が不意に動きにくくなる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の内容に限定されず、例えば以下のように構成してもよい。
・上記実施形態では、後脚部22の第2脚部29に車輪81を設けたが、図10に示すように、車輪81を有する第3脚部90を第2脚部29に取り付ける構成としてもよい。この構成によれば、脚体部20の長さ調整を行っても、開脚状態での車輪81の下端位置が、閉脚状態での車輪81の下端位置よりも床面Gから上方へ離れた位置となる関係を保持することができる。また、脚体部20の長さ調整用の部材とは別の部材に車輪81が取り付けられているため、長さ調整用の部材に対して車輪81を後付けすることができる。図10の例では、後脚部22の第2脚部29の外側側面に、取付け部として、キャスタ機構80を有する第3脚部90が取り付けられている。第3脚部90には、後方へ突出する突出部90aが設けられている。突出部90aの上面は、下方へ凸となる湾曲した形状を有している。これにより、ポータブルトイレ10を閉脚状態から開脚状態にする際に、収納状態の肘掛け本体74の先端部74aが後脚部22に干渉しないようになっている。なお、図10に示す例においても、上記実施形態と同様に、車輪81の接地面を、第2接地面36が前後に延びる方向に対して所定角度だけ上方に傾斜させてもよい。この場合、折り畳み状態のポータブルトイレ10が不意に動きにくくなる点で好適である。
・第3脚部90は、第2脚部29の外側側面に取り付けられる構成に限らず、左右の第2脚部29を連結する連結部材としてもよい。具体的には、車輪81が取り付けた長尺板状の連結部材を、第2脚部29の突出部29aに対して着脱可能に取り付ける構成としてもよい。
・車輪81の取付位置は、後脚部22の下部に限定されない。例えば図11に示すように、後脚部22の左右の第1脚部28を連結する板状の連結部31にキャスタ機構80を取り付ける構成としてもよい。図11において、車輪81は、その下端が連結部31から後方へオフセットされている。車輪81の下端は床面から離間している。
詳しくは、連結部31は、その板面が後方へ傾斜するように左右の後脚部22の間に架け渡されている。連結部31の板面はキャスタ機構80の取付け面となっており、ブラケット82の左右の立ち板82cが連結部31の板面を前後に挟むようにしてネジ止め等されている。車輪81の径方向は、連結部31の板面の傾斜方向となっている。車輪81の下端位置は、ブラケット82の上板82b、すなわち連結部31の下面に対して斜め下方に位置している。ポータブルトイレ10が開脚状態から閉脚状態にされると、前脚部21と後脚部22とが前後に並んで略平行に配置される。これにより、閉脚状態での車輪81の下端位置は、開脚状態での車輪81の下端位置よりも床面Gにより近い位置か又は床面に接触した状態となる。つまり、閉脚状態での車輪81の下端位置よりも、開脚状態での車輪81の下端位置の方が、床面Gから上方へ離れた位置となる。ポータブルトイレ10を折り畳んだ状態で移動させるときには、ポータブルトイレ10の上部を後方に傾倒させて後脚部22の下面を床面Gから離間させるとともに、車輪81を床面Gに接地させた状態とする。
・連結部31に車輪81を取り付ける構成において、図11に示すように、床面Gに対する車輪81の高さ位置を調整可能な高さ調整部84が設けられているとよい。この場合、トイレとしての使用時には車輪81を床面Gに干渉しにくくし、一方、折り畳み状態では車輪81を床面Gにより接地させやすくすることができる。具体的には、高さ調整部84は、連結部31と車輪81の上端との間の長さを、第1長さと、第1長さよりも長い第2長さとの間で切り替え可能な切替機構を備えている。使用者や介助者は、トイレとしての使用時には、高さ調整部84を操作して、連結部31と車輪81の上端との間の長さを第1長さとする。これにより、床面Gに対する車輪81の高さ位置を所定の収納位置とする。また、ポータブルトイレ10の移動時には、高さ調整部84を操作して、連結部31と車輪81の上端との間の長さを第2長さとする。これにより、車輪81の高さ位置を所定の収納位置よりも下方とする。
・車輪81の取付位置については、図12に示すように、脚体部20のうち前脚部21の下部に車輪81を設けてもよい。特に、折り畳み動作時にはトイレ本体部40の後部を上方に回動させ、折り畳み状態では座部65の座面が前方を向いた状態となるポータブルトイレに好適である。この場合、ポータブルトイレ10を折り畳む際のトイレ本体部40の回動方向と、折り畳み状態のポータブルトイレ10を移動させるときのポータブルトイレ10の傾倒方向とを同じ方向(本実施形態では前方)となるため、折り畳み状態のポータブルトイレ10の移動中にトイレ本体部40が開くのを抑制することができる。キャスタ機構80を前脚部21に設ける場合には、前方に向けて前脚部21から突出する突出部24aを設け、突出部24aによって車輪81の上方が覆われるようにするとよい。また、車輪81を前脚部21の下部及び後脚部22の下部の両方に設けてもよい。
・上記実施形態では、車輪81を後脚部22の下部後方に取り付けたが、脚体部20の下端に車輪81を内蔵させてもよい。この場合、車輪81が外部からさらに目立ちにくく、見た目が一層良好である。例えば、図13及び図14に示すように、後脚部22の下端において第2接地面36側にキャスタ機構80が内蔵された構成とする。なお、図13及び図14には、接地面に脚ゴムが取り付けられていない例を示したが、車輪81が床面Gに接地可能であれば、接地面に脚ゴムが取り付けられていてもよい。
内蔵型のキャスタ機構80の構成及び作用について、図14を用いて説明する。図14中、(a)はポータブルトイレ10が折り畳まれて自立している状態、(b)はポータブルトイレ10の使用状態、(c)は折り畳み状態のポータブルトイレ10を移動させているときの状態をそれぞれ示している。図14に示すように、キャスタ機構80は、後脚部22の下端のうち第2接地面36において開口する収容溝29dに配設されている。収容溝29dは、左右方向に延びるように形成されている。キャスタ機構80は、車輪81の回転方向が左右方向になるように収容溝29dに配設されている。
キャスタ機構80は、収容溝29dの上面に取り付けられた弾性部材(例えば板ばね)85により吊り下げ支持されている。収容溝29dの側面には、上下方向に延びるガイド溝29eが前後方向にそれぞれ形成されている。車輪81は、回転軸83を前後方向に向けた状態で配置されている。車輪81の回転軸83の両端は、前後のガイド溝29eにそれぞれ収容されており、弾性部材85の付勢力により上下方向にガイドされる。
ポータブルトイレ10が折り畳み状態で自立しているときには、図14(a)に示すように、第2接地面36が床面Gに接地される。このとき、第2接地面36が弾性部材85の付勢力に抗して接地されることで、車輪81全体が収容溝29dに収容される。これにより、車輪81が床面Gに接地している状態となる。一方、ポータブルトイレ10が開脚されて使用状態に変更されると、図14(b)に示すように、第1接地面35が床面Gに接地され、第2接地面36は床面Gから離間する。また、車輪81は、弾性部材85の付勢力により下方へ移動し、車輪81の一部が収容溝29dから露出する。このとき、車輪81は床面Gから浮いた状態となる。本実施形態では、車輪81の下端は、第1高さD1だけ上方に位置している。このため、開脚状態での車輪81の下端位置は、閉脚状態での車輪81の下端位置よりも床面Gから上方へ離れた位置となる。折り畳み状態のポータブルトイレ10を移動させるには、ポータブルトイレ10を僅かに上方に持ち上げて、第2接地面36を床面Gから離間させる。これにより、図14(c)に示すように、車輪81が弾性部材85の付勢力により下方へ移動し、車輪81の一部が収容溝29dから露出する。これにより、車輪81の左右方向への回転が許容され、車輪81の回転を利用してポータブルトイレ10を移動させることができる。
上記実施形態では、後脚部22の第2脚部29にキャスタ機構80を設けたが、第1脚部28にキャスタ機構80を設けてもよい。具体的には、例えば、第2脚部29に代えて、第1脚部28の前後方向の外側に、後方へ突出する突出部を設ける。この突出部に対してキャスタ機構80を取り付ける。
・車輪81の回転方向を、左右方向に代えて前後方向としてもよい。また、車輪81が左右方向及び前後方向に回転可能であることにより、ポータブルトイレ10を車輪81の回転によって全方向に移動自在なようにしてもよい。
・上記実施形態では、ポータブルトイレ10が自立した状態では車輪81が床面Gから離間している構成としたが、ポータブルトイレ10が自立した状態において、車輪81が床面Gに接地している構成としてもよい。
・上記実施形態では、前脚部21の外側板面における高さ方向の中間位置に、後脚部22の上端部を回動可能に取り付ける構成としたが、後脚部22の取付位置はこれに限定されない。例えば、前脚部21の内側板面における高さ方向の中間位置に、後脚部22の上端部を取り付けてもよい。また、後脚部22の上端部を本体フレーム51に対して取り付けてもよい。
・上記実施形態では、第1接地面35を前後方向の内側に配置し、第2接地面36を前後方向の外側に配置したが、逆の配置であってもよい。つまり、第1接地面35を前後方向の外側に配置し、第2接地面36を前後方向の内側に配置してもよい。また、第1接地面35と第2接地面36との面積比は上記実施形態のものに限定されず、第1接地面35と第2接地面36とを同じ大きさとしてもよいし、あるいは第2接地面36を第1接地面35よりも大きくしてもよい。