以下では、図1及び2を用いて、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
電力供給システム1は、複数の住居Hを有するマンション(集合住宅)に導入される。電力供給システム1は、系統電源100や後述する燃料電池システムF、蓄電池システムBからの電力を適切に各住居Hに供給するシステムである。
まず、電力供給システム1が導入されるマンションの概略について説明する。
マンションの複数の住居Hは、系統電源100との接続態様により、複数のグループに分けられる。各住居Hには、供給されてきた電力を消費する適宜の電気製品等(電力負荷)が設けられる。このように、本実施形態において、各住居Hと系統電源100との接続とは、より詳細には当該各住居Hの電力負荷と系統電源100との接続を指している。
複数の住居Hは、前記複数のグループとして、第1グループG1、第2グループG2〜第MグループGmに分けられる。なお、前記「M」及び「m」には、電力供給システム1が導入されるマンションの構造に応じてグループ分けされた数が代入される。第1グループG1は、電路L1を介して系統電源100と接続される。第2グループG2〜第MグループGmは、電路L1から分岐した電路を介して系統電源100と接続される。例えば、第2グループG2は、電路L1から分岐した電路L1a及び電路L2を介して系統電源100と接続される。また、第MグループGmは、電路L1から分岐した電路L1a及び電路Lmを介して系統電源100と接続される。なお以下では、各電路における系統電源100側を上流側と称し、各住居H側を下流側と称する。
第1グループG1には、複数の住居Hのうち、住居11、住居12、・・・、住居1nが含まれている。なお、第1グループG1と接続される電路L1の下流側端部は、複数に分岐されている。こうして、住居11、住居12、・・・、住居1nは、電路L1の分岐された下流側端部にそれぞれ接続される。
第2グループG2には、複数の住居Hのうち、住居21、住居22、・・・、住居2nが含まれている。なお、第2グループG2と接続される電路L2の下流側端部は、複数に分岐されている。こうして、住居21、住居22、・・・、住居2nは、電路L2の分岐された下流側端部にそれぞれ接続される。
また、第MグループGmには、複数の住居Hのうち、住居M1、住居M2、・・・、住居Mnが含まれている。なお、第MグループGmと接続される電路Lmの下流側端部は、複数に分岐されている。こうして、住居M1、住居M2、・・・、住居Mnは、電路Lmの分岐された下流側端部にそれぞれ接続される。
なお、前記「n」には、電力供給システム1が導入されるマンションの構造に応じて一つのグループ当りの住居の数が代入される。
以下では、電力供給システム1の構成について、より詳細に説明する。
図1及び図2に示す電力供給システム1は、主として燃料電池システムF、蓄電池システムB、電力検出部D及びEMS20を具備する。
燃料電池システムFは、燃料(本実施形態においては、都市ガス)を使用して発電するものである。燃料電池システムFは、固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)や、図示せぬ制御部等を具備する。燃料電池システムFは、常に最大出力で発電を行うように設定される。本実施形態において、燃料電池システムFの最大出力(最大発電電力)は、700Wに設定される。
また、燃料電池システムFは、系統電源100と接続されて(当該系統電源100と連系して)住居H(電力負荷)へと電力を供給する連系運転と、系統電源100との接続が解除されて(当該系統電源100から解列して)住居H(電力負荷)へと電力を供給する連系運転と、を切り替えて行うことができる。燃料電池システムFは、自立運転を行う場合、発電した電力を自ら消費することにより待機状態となる。なお、燃料電池システムFは、待機状態においては、発電電力が略0(以下では、0とする)となる。
こうして、燃料電池システムFは、連系運転時に発電電力が700Wとなり、自立運転時に発電電力が0Wとなるように設定される。
また、燃料電池システムFは、連系運転を行う場合と自立運転を行う場合とを比較すると、都市ガス(燃料)の使用量が異なっている。本実施形態においては、燃料電池システムFは、自立運転を行う場合(より詳細には、自立運転時に当該燃料電池システムFから発電電力を取り出さない場合)には、連系運転を行う場合と比べて、都市ガスの使用量が1/3程度となる。
また、燃料電池システムFは、所定の期間ごと(例えば一ヶ月ごと)に、メンテナンス等のため、発電動作が停止されることがある。
燃料電池システムFは、各住居Hに設けられる(所有される)。具体的には、第1グループG1の住居11、住居12、・・・、住居1nには、それぞれ燃料電池システム11f、燃料電池システム12f、・・・、燃料電池システム1nfが設けられる。燃料電池システム11f、燃料電池システム12f、・・・、燃料電池システム1nfは、電路L1の中途部に、それぞれ上流側から下流側へと順番に接続される。
また、第2グループG2の住居21、住居22、・・・、住居2nには、それぞれ燃料電池システム21f、燃料電池システム22f、・・・、燃料電池システム2nfが設けられる。燃料電池システム21f、燃料電池システム22f、・・・、燃料電池システム2nfは、電路L2の中途部に、上流側から下流側へと順番に接続される。
また、第MグループGmの住居M1、住居M2、・・・、住居Mnには、それぞれ燃料電池システムM1f、燃料電池システムM2f、・・・、燃料電池システムMnfが設けられる。燃料電池システムM1f、燃料電池システムM2f、・・・、燃料電池システムMnfは、電路Lmの中途部に、上流側から下流側へと順番に接続される。
蓄電池システムBは、系統電源100や燃料電池システムFからの電力を適宜充放電するものである。蓄電池システムBは、充放電可能な蓄電池や当該蓄電池の充放電を制御するパワーコンディショナ等を具備する。蓄電池システムBは、電路との接続部を電力負荷側へ流れる電力の大きさに基づいて電力を放電する、負荷追従機能を有する。蓄電池システムBは、充放電等の動作に関する複数のモードを実行することができる。前記複数のモードには、エコモードと停止モードとが含まれる。
エコモードとは、燃料電池システムFの発電電力を可及的にマンション内で使用するためのモードである。エコモードが実行されると、燃料電池システムFの発電電力のうち、住居Hの電力負荷に対して余剰した余剰電力が、系統電源100に逆潮流されるのではなく、蓄電池システムBに充電される。そして、住居Hの電力負荷に対して燃料電池システムFの発電電力が不足した場合には、不足した分を賄うために、蓄電池システムBから放電された電力が当該住居Hの電力負荷に供給される。
停止モードとは、蓄電池システムBの動作を停止させるためのモードである。停止モードが実行されると、蓄電池システムBは動作を停止し、充放電が不可能となる。
なお、蓄電池システムBには、複数のグループにそれぞれ1つずつ設けられる蓄電池システムBと、複数のグループ全体として1つだけ設けられる蓄電池システムBと、が含まれる。具体的には、前記複数のグループにそれぞれ1つずつ設けられる蓄電池システムBとは、蓄電池システム1b、蓄電池システム2b、・・・、蓄電池システムMbである。また、前記複数のグループ全体として1つだけ設けられる蓄電池システムBとは、蓄電池システムBbである。以下では、前記複数のグループにそれぞれ1つずつ設けられる蓄電池システムBを総称して、グループ用の蓄電池システムBとする。
蓄電池システム1bは、電路L1において、電路L1aとの接続部よりも下流側であって、且つ、燃料電池システム11f、燃料電池システム12f、・・・、燃料電池システム1nfよりも上流側に接続される。また、蓄電池システム2bは、電路L2において、燃料電池システム21f、燃料電池システム22f、・・・、燃料電池システム2nfよりも上流側に接続される。また、蓄電池システムMbは、電路Lmにおいて、燃料電池システムM1f、燃料電池システムM2f、・・・、燃料電池システムMnfよりも上流側に接続される。
また、蓄電池システムBbは、電路L1において、電路L1aとの接続部よりも上流側に接続される。
このように、各グループ用の蓄電池システムBは、各グループにおいて(より詳細には、各グループが接続される電路において)最も上流側に接続される。また、蓄電池システムBbは、全てのグループ用の蓄電池システムBよりも上流側に接続される。
こうして、蓄電池システムBbは、各グループの燃料電池システムFの発電電力のうち電力負荷に対して余剰した電力であって、各グループ用の蓄電池システムBが充電し切れなかった電力が上流側に流れた場合に、当該上流側に流れた電力を充電して系統電源100へと流れるのを防止することができる。このように、蓄電池システムBbは、各グループの燃料電池システムFの発電電力が系統電源100へと流れるのを防止するため、最終の防御手段としての機能を有している。そのため、蓄電池システムBbは、後述する逆潮流抑制制御において、電池残量が少ない状態を維持するよう(充電容量をあけておくため)、他のグループ用の蓄電池システムBと比べて優先的に放電が行われる。
電力検出部Dは、電力を検出するものである。電力検出部Dは、複数のセンサが含まれる。
具体的には、電力検出部Dには、燃料電池システム11f、燃料電池システム12f、・・・、燃料電池システム1nfからの電力を検出するセンサ11d、センサ12d、・・・、センサ1ndが含まれる。センサ11d、センサ12d、・・・、センサ1ndは、それぞれ燃料電池システム11f、燃料電池システム12f、・・・、燃料電池システム1nfと電路L1との間に設けられる。
また、電力検出部Dには、燃料電池システム21f、燃料電池システム22f、・・・、燃料電池システム2nfからの電力を検出するセンサ21d、センサ22d、・・・、センサ2ndが含まれる。センサ21d、センサ22d、・・・、センサ2ndは、それぞれ燃料電池システム21f、燃料電池システム22f、・・・、燃料電池システム2nfと電路L2との間に設けられる。
また、電力検出部Dには、燃料電池システムM1f、燃料電池システムM2f、・・・、燃料電池システムMnfからの電力を検出するセンサM1d、センサM2d、・・・、センサMndが含まれる。センサM1d、センサM2d、・・・、センサMndは、それぞれ燃料電池システムM1f、燃料電池システムM2f、・・・、燃料電池システムMnfと電路Lmとの間に設けられる。
このように、電力検出部Dのうち、センサ11d、センサ12d、・・・、センサ1ndや、センサ21d、センサ22d、・・・、センサ2nd、センサM1d、センサM2d、・・・、センサMnd等は、それぞれ対応する燃料電池システムFの発電電力を検出することができる。
また、電力検出部Dには、蓄電池システムBと電路との接続部を流れる電力を検出するセンサとして、センサ1d、センサ2d、・・・、センサMd、及び、センサDdが含まれる。
センサ1dは、電路L1において、当該電路L1と蓄電池システム1bとの接続部のすぐ上流側に設けられる。また、センサ2dは、電路L2において、当該電路L2と蓄電池システム2bとの接続部のすぐ上流側に設けられる。また、センサMdは、電路Lmにおいて、当該電路Lmと蓄電池システムMbとの接続部のすぐ上流側に設けられる。
また、センサDdは、電路L1において、当該電路L1と蓄電池システムBbとの接続部のすぐ上流側に設けられる。センサDdは、当該電路L1と蓄電池システムBbとの接続部を流れる電力として、系統電源100から供給される電力(買電)、及び、系統電源100へと(逆潮流)される電力(売電)を検出することができる。
なお、本明細書において、系統電源100から供給される電力を適宜「買電」と称するが、必ずしも系統電源100から供給される電力に対する対価を電力会社に支払う電力に限定する意図ではない。また同様に、系統電源100へと供給(逆潮流)される電力を適宜「売電」と称するが、必ずしも系統電源100へと逆潮流される電力に対する対価が電力会社から支払われる電力に限定する意図ではない。このように、本明細書において「買電」及び「売電」は、対価の支払いの有無を問わない。
また、センサ1d、センサ2d、・・・、センサMd、及び、センサDdは、それぞれ対応する蓄電池システムBと電気的に接続される。センサ1d、センサ2d、・・・、センサMd、及び、センサDdは、それぞれ対応する蓄電池システムBに所定の信号を出力可能に構成される。
具体的には、センサ1dは、対応する蓄電池システムBとして、蓄電池システム1bと接続される。こうして、蓄電池システム1bは、センサ1dの検出結果を取得することができる。また、センサ2dは、対応する蓄電池システムBとして、蓄電池システム2bと接続される。こうして、蓄電池システム2bは、センサ2dの検出結果を取得することができる。また、センサMdは、対応する蓄電池システムBとして、蓄電池システムMbと接続される。こうして、蓄電池システムMbは、センサMdの検出結果を取得することができる。また、センサBdは、対応する蓄電池システムBとして、蓄電池システムBbと接続される。こうして、蓄電池システムBbは、センサBdの検出結果を取得することができる。
EMS20は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS20は、RAMやROM等の記憶部や、CPU等の演算処理部、I/O等の入出力部等を具備する。EMS20は、所定の演算処理や記憶処理等を行うことができる。EMS20には、電力供給システム1の動作を管理するための種々の情報やプログラム等が予め記憶される。
また、EMS20は、図2に示すように、各蓄電池システムBと電気的に接続される。EMS20は、所定の信号を各蓄電池システムBに出力可能に構成される。こうして、EMS20は、各蓄電池システムBの動作(例えば、エコモードと停止モードとの切り替え)を制御することができる。また、EMS20は、各蓄電池システムBから所定の信号が入力可能に構成される。こうして、EMS20は、各蓄電池システムBの動作に関する情報を取得することができる。
また、EMS20は、電力検出部Dと電気的に接続される。EMS20は電力検出部D(より詳細には、センサ11d等)から所定の信号が入力可能に構成される。こうして、EMS20は、電力検出部D(より詳細には、センサ11d等)の検出結果を取得することができる。
以下では、図3及び図4を用いて、上述の如く構成された電力供給システム1における電力の供給態様の一例について説明する。
なお、本実施形態において、前記マンションは、複数の住居Hを複数のグループに分けているが、これ以降の説明においては便宜上、第1グループG1と第2グループG2と第MグループGmとの3つのグループに分けられているものとする。また、第1グループG1、第2グループG2及び第MグループGmは、それぞれ複数の住居Hとして3つの住居を有するものとする。また、前記「M」及び「n」には、数を代入せず、上記説明で用いた名称をそのまま使用するものとする。
また、図3においては、第1グループG1の住居11、住居12及び住居1nの電力負荷の合計(以下では単に「電力負荷」と称する)が、1800Wであるものとする。第2グループG2の住居21、住居22、・・・、住居2nの電力負荷が、2400Wであるものとする。また、第MグループGmの住居M1、住居M2及び住居Mnの電力負荷が、2100Wであるものとする。
この図3に示す一例においては、第1グループG1の住居11、住居12及び住居1nの3つの燃料電池システムFは、合計の発電電力が2100Wであるため、第1グループG1の電力負荷に対して300W余剰することとなる。
また、第2グループG2の住居21、住居22及び住居2nの3つの燃料電池システムFは、合計の発電電力が2100Wであるため、第2グループG2の電力負荷に対して300W不足することとなる。
また、第MグループGmの住居M1、住居M2及び住居Mnの3つの燃料電池システムFは、合計の発電電力が2100Wであるため、第MグループGmの電力負荷に対して過不足がないこととなる。
このような場合、第1グループG1の3つの燃料電池システムFの余剰電力(300W)は、上流側へ流れて、電路L1及び電路L1aを介して電路L2へと流入する。こうして、電路L2に流入した余剰電力(300W)は、第2グループG2の3つの燃料電池システムFが電力負荷に対して不足した電力を賄うこととなる。
こうして、図3に示す一例においては、第1グループG1、第2グループG2及び第MグループGmの全ての燃料電池システムFの合計の発電電力は、第1グループG1、第2グループG2及び第MグループGmの合計の電力負荷と等しいため、系統電源100から電力が買電されたり、又は当該系統電源100へと電力が売電されることはない。
このように、電力供給システム1においては、第1グループG1の各住居Hの燃料電池システムF、第2グループG2の各住居Hの燃料電池システムF、及び、第MグループGmの各住居Hの燃料電池システムFの発電電力を、当該燃料電池システムFを所有する住居Hだけでなく、他の住居Hでも使用することができる(他の住居Hへと融通することができる)。
次に、図4においては、第1グループG1の住居11、住居12及び住居1nの電力負荷が、1800Wであるものとする。第2グループG2の住居21、住居22、・・・、住居2nの電力負荷が、2400Wであるものとする。また、第MグループGmの住居M1、住居M2及び住居Mnの電力負荷が、1000Wであるものとする。
この図4に示す一例においては、第1グループG1の3つの燃料電池システムFは、合計の発電電力が2100Wであるため、第1グループG1の電力負荷に対して300W余剰することとなる。
また、第2グループG2の住居21、住居22及び住居2nの3つの燃料電池システムFは、合計の発電電力が2100Wであるため、第2グループG2の電力負荷に対して300W不足することとなる。
また、第MグループGmの住居M1、住居M2及び住居Mnの3つの燃料電池システムFは、合計の発電電力が2100Wであるため、第MグループGmの電力負荷に対して1100W余剰することとなる。
このような場合、第MグループGmの3つの燃料電池システムFの余剰電力(1100W)は上流側へ流れて、一部が電路L1aから電路L2へと流入すると共に、残りの一部が電路L1aから電路L1に流入し、系統電源100側へと流れる。こうして、電路L2に流入した一部の余剰電力(300W)は、第2グループG2の3つの燃料電池システムFが電力負荷に対して不足した電力を賄うこととなる。また、系統電源100側に流れた残りの一部の余剰電力(800)は、第1グループG1の3つの燃料電池システムFの余剰電力(300W)と合わさった電力(1100W)として、系統電源100へと売電されることとなる。
こうして、図4に示す一例においては、第1グループG1、第2グループG2及び第MグループGmの全ての燃料電池システムFの合計の発電電力は、第1グループG1、第2グループG2及び第MグループGmの合計の電力負荷よりも大きいため、一部の発電電力が系統電源100へと売電(逆潮流)されることとなる。
ここで、燃料電池システムFの発電電力は、系統電源100へ逆潮流させたくない場合がある。例えば、系統電源100へ電力が逆潮流(売電)した場合であっても、当該逆潮流した電力に対する対価が電力会社から得られないような場合である。このような場合、燃料電池システムFを所有する住居H(当該住居Hの住人)は、都市ガスの費用(光熱費)の負担があるにもかかわらず、発電電力が有効活用されないため、不利益となる。
そこで、電力供給システム1においては、燃料電池システムFから系統電源100への逆潮流を減少させるための制御(以下では「逆潮流抑制制御」と称する)を行うことにより、住居Hの住人が不利益となるのを防止している。
以下では、図5から図7のフローチャートを用いて、第一実施形態に係る逆潮流抑制制御の処理を実行する場合におけるEMS20の処理について説明する。
逆潮流抑制制御は、蓄電池システムBのモードがエコモード又は停止モードに適宜切り替えられることにより実行される。なお以下では、蓄電池システムBのモードは、初期設定として停止モードが実行されているものとする。すなわち、蓄電池システムBは、初期設定において、充電も放電も行っていない。
まずステップS101において、EMS20は、電力供給システム1の全体の電力使用状況、各蓄電池システムBの運転状態、及び、各蓄電池システムBの電池残量の確認を行う。なお、蓄電池システムBの電池残量とは、蓄電池システムBの電池に残されている電力量を指している。EMS20は、ステップS101の処理を実行した後、ステップS102の処理を実行する。
ステップS102において、EMS20は、買電状態であるか否か(系統電源100から電力が供給されているか否か)を判定する。EMS20は、センサDdの検出結果に基づいて、買電状態であると判定した場合(ステップS102:YES)、ステップS103の処理を実行する。一方、EMS20は、センサDdの検出結果に基づいて、買電状態ではないと判定した場合(ステップS102:NO)、ステップS105の処理を実行する。
ステップS103において、EMS20は、全ての蓄電池システムBが放電状態であるか否かを判定する。EMS20は、全ての蓄電池システムBが放電状態であると判定した場合(ステップS103:YES)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
この場合、新たに放電を開始できる蓄電池システムBはないため、買電状態が継続されることとなる。
これに対して、ステップS103において、EMS20は、全ての蓄電池システムBが放電状態ではないと判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS104の処理を実行する。
ステップS104において、EMS20は、放電状態ではない全ての蓄電池システムBの電池残量が最少であるか否かを判定する。なお、電池残量が最少とは、蓄電池システムBの電池残量が、放電できなくなる任意の規定値以下となった状態を指すものである。EMS20は、放電状態ではない全ての蓄電池システムBの電池残量が最少であると判定した場合(ステップS104:YES)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
この場合、新たに放電を開始できる蓄電池システムBはないため、買電状態が継続されることとなる。
これに対して、ステップS104において、EMS20は、放電状態ではない全ての蓄電池システムBの電池残量が最少ではないと判定した場合(ステップS104:NO)、ステップS121の処理を実行する。
この場合、いずれかの蓄電池システムBが放電可能な程度に電池残量を有しているにもかかわらず、停止モードであるために放電が行われず、買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)になっていると想定される。したがって、ステップS121以降の処理において、EMS20は、系統電源100から供給されている電力を蓄電池システムBの放電電力で賄うため、いずれかの蓄電池システムBをエコモードに変更する。
ステップS121において、EMS20は、蓄電池システムBbが放電状態であるか否かを判定する。EMS20は、蓄電池システムBbが放電状態であると判定した場合(ステップS121:YES)、ステップS122の処理を実行する。一方、EMS20は、蓄電池システムBbが放電状態ではないと判定した場合(ステップS121:NO)、ステップS124の処理を実行する。
ステップS124において、EMS20は、蓄電池システムBbの電池残量が最少であるか否かを判定する。EMS20は、蓄電池システムBbの電池残量が最少ではないと判定した場合(ステップS124:NO)、ステップS125の処理を実行する。一方、EMS20は、蓄電池システムBbの電池残量が最少であると判定した場合(ステップS124:YES)、ステップS122の処理を実行する。
ステップS125において、EMS20は、蓄電池システムBbのモードをエコモードに切り替える。EMS20は、ステップS125の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
このように、蓄電池システムBbが放電状態ではなく(ステップS121:NO)、且つ、蓄電池システムBbの電池残量が最少ではない(ステップS124:NO)場合には、蓄電池システムBbが放電可能な程度に電池残量を有しているにもかかわらず、停止モードであるために放電が行われていないと想定される。そこで、蓄電池システムBbは、モードをエコモードに切り替えられる(ステップS125)。こうして、蓄電池システムBbは、他のグループ用の蓄電池システムBと比べて優先的に放電が行われ、電池残量が少ない状態を維持する(充電容量をあけておく)ことができる。
これに対して、蓄電池システムBbが放電状態である場合(ステップS121:YES)や、蓄電池システムBbの電池残量が最少である場合(ステップS124:YES)には、蓄電池システムBbを新たに放電させることが不可能であるため、当該蓄電池システムBbではなく、グループ用の蓄電池システムBの中からいずれかの蓄電池システムBをエコモードに変更する。
そして、ステップS122において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムB(複数のグループにそれぞれ1つずつ設けられる蓄電池システムB)の中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがあるか否かを判定する。
なお、買電状態の蓄電池システムBとは、当該蓄電池システムBと電路との接続部において、電力負荷側(下流側)に電力が流れている蓄電池システムBを指すものである。すなわち、買電状態の蓄電池システムBがあることは、当該蓄電池システムBの下流側に接続された住居H(電力負荷)に対して燃料電池システムFの発電電力が不足していることを指している。
ステップS122において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがあると判定した場合(ステップS122:YES)、ステップS123の処理を実行する。
ステップS123において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBのうち、電池残量が最大の蓄電池システムBのモードをエコモードに切り替える。EMS20は、ステップS123の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
このように、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがある場合(ステップS122:YES)には、当該蓄電池システムBの放電が行われないことによって買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)になっていると想定される。したがって、ステップS123の処理を行って、蓄電池システムBの放電を開始させることにより、買電状態の解消を図っている。またこの際、電池残量が最大のグループ用の蓄電池システムBから放電を開始させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
ここで、図8及び図9を用いて、買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)である場合の、電力の供給態様の一例について説明する。
なお、これ以降の図面において、蓄電池システムB上に図示した(%)は、当該蓄電池システムBの電池残量の大きさを示しているとする。なお、蓄電池システムBb上に図示した10%は、電池残量が最少であることを示している。また、これ以降の図面において、電力が流れていない電路を、便宜上破線で図示するものとする。
図8に示す一例においては、系統電源100から300Wの買電が行われている。また、第1グループG1の3つの燃料電池システムFの発電電力は、300Wだけ余剰している。こうして、系統電源100からの買電(300W)及び第1グループG1の3つの燃料電池システムFの余剰電力(300W)は合わさって、電路L1aへと流入している。
このような場合、蓄電池システムBbが放電状態ではなく(ステップS121:NO)、且つ、蓄電池システムBbの電池残量が最少であるため(ステップS124:YES)、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがあるか否かが判定される(ステップS122)。ここで、図8を参照すると、第2グループG2の蓄電池システム2b及び第MグループGmの蓄電池システムMbが、停止モード且つ買電状態となっている。
そこで、第2グループG2の蓄電池システム2b及び第MグループGmの蓄電池システムMbの電池残量を比較すると、(電池残量が80%の)蓄電池システム2bのほうが(電池残量70%の)蓄電池システムMbよりも電池残量が大きい。すなわち、蓄電池システム2bが、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBであって、且つ電池残量が最大となっている。こうして、蓄電池システム2bが、停止モードからエコモードに変更される(ステップS123)。
蓄電池システム2bが、停止モードからエコモードに変更されると、負荷追従機能に基づいて放電が開始される。具体的には、蓄電池システム2bは、センサ2dの検出結果により、当該蓄電池システム2bと電路L2との接続部を流れる電力の大きさを取得する。こうして、蓄電池システム2bは、前記接続部を流れる電力に相当する300Wを負荷追従機能に基づいて放電する。
その結果、図9に示すように、第2グループG2の電力負荷は、当該第2グループG2の3つの燃料電池システムFの発電電力と蓄電池システム2bの放電電力とにより賄われることとなる。また、第1グループG1の3つの燃料電池システムFの余剰電力(300W)は、電路L1aから電路Lmに流入し、第MグループGmの3つの燃料電池システムFが電力負荷に対して不足した電力を賄うこととなる。
このように、図8及び図9に示す一例においては、逆潮流抑制制御を実行することによって、系統電源100から買電されたり、又は当該系統電源100へと売電されるのを防止している。またこの際、電池残量が最大のグループ用の蓄電池システムB(蓄電池システム2b)から放電を行っているので、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
なお、ステップS122において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがないと判定した場合(ステップS122:NO)、ステップS126の処理を実行する。
ステップS126において、EMS20は、全ての蓄電池システムB(蓄電池システムBb及びグループ用の蓄電池システムB)の中で充電状態の蓄電池システムBがあるか否かを判定する。EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で充電状態の蓄電池システムBがあると判定した場合(ステップS126:YES)、ステップS127の処理を実行する。
ステップS127において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で、充電状態である蓄電池システムBのうち、電池残量が最大の蓄電池システムBのモードを停止モードに切り替える。EMS20は、EMS20は、ステップS127の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
このように、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがなく(ステップS122:NO)、且つ、全ての蓄電池システムBの中で充電状態の蓄電池システムBがある場合(ステップS126:YES)には、当該充電状態の蓄電池システムBによって買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)になっていると想定される。したがって、ステップS127の処理を行って、蓄電池システムBの充電を停止させることにより、買電状態の解消を図っている。またこの際、電池残量が最大の蓄電池システムBから充電を停止させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
これに対して、ステップS126において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で充電状態の蓄電池システムBがないと判定した場合(ステップS126:NO)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
このように、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがなく(ステップS122:NO)、且つ、全ての蓄電池システムBの中で充電状態の蓄電池システムBがない場合(ステップS126:NO)には、買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)が蓄電池システムBの充電に行われたものでない(例えば、全体の電力負荷が燃料電池システムFの合計の発電電力よりも大きい)と想定される。そのため、蓄電池システムBは、モードを変更しない。
次に、買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)ではないと判定された場合(ステップS102:NO)に実行されるステップS105において、当該EMS20は、売電状態(系統電源100へと電力が供給されている状態)であるか否かを判定する。EMS20は、センサDdの検出結果に基づいて、売電状態ではないと判定した場合(ステップS105:NO)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。一方、EMS20は、センサDdの検出結果に基づいて、売電状態であると判定した場合(ステップS105:YES)、ステップS106の処理を実行する。
ステップS106において、EMS20は、全ての蓄電池システムBが充電状態であるか否かを判定する。EMS20は、全ての蓄電池システムBが充電状態であると判定した場合(ステップS106:YES)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
この場合、新たに充電を開始できる蓄電池システムBがないため、売電状態が継続されることとなる。
これに対して、ステップS106において、EMS20は、全ての蓄電池システムBが充電状態ではないと判定した場合(ステップS106:NO)、ステップS107の処理を実行する。
ステップS107において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの電池残量が最大であるか否かを判定する。なお、電池残量が最大とは、蓄電池システムBの電池残量が、充電できなくなる任意の規定値以上となった状態を指すものである。EMS20は、全ての蓄電池システムBの電池残量が最大であると判定した場合(ステップS107:YES)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
この場合、新たに充電を開始できる蓄電池システムBがないため、売電状態が継続されることとなる。
これに対して、ステップS107において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの電池残量が最大ではないと判定した場合(ステップS107:NO)、ステップS131の処理を実行する。
ステップS131において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で放電状態の蓄電池システムBがあるか否かを判定する。EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で放電状態の蓄電池システムBがあると判定した場合(ステップS131:YES)、ステップS132の処理を実行する。
ステップS132において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で、放電状態である蓄電池システムBのうち、電池残量が最少の蓄電池システムBのモードを停止モードに切り替える。EMS20は、EMS20は、ステップS132の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
この場合、放電状態の蓄電池システムBによって売電状態(系統電源100へ電力が供給されている状態)になっていると想定される。したがって、ステップS132の処理を行って、蓄電池システムBの放電を停止させることにより、売電状態の解消を図っている。またこの際、電池残量が最少の蓄電池システムBから放電を停止させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
これに対して、ステップS131において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で放電状態の蓄電池システムBがないと判定した場合(ステップS131:NO)、ステップS133の処理を実行する。
ステップS133において、EMS20は、蓄電池システムBbが充電状態であるか否かを判定する。EMS20は、蓄電池システムBbが充電状態であると判定した場合(ステップS133:YES)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
この場合、蓄電池システムBb以外の、全てのグループ用の蓄電池システムBも充電状態であると想定される。すなわち、これ以上蓄電池システムBへの充電電力を増加させることができないため、売電状態が継続されることとなる。
これに対して、ステップS133において、EMS20は、蓄電池システムBbが充電状態ではないと判定した場合(ステップS133:NO)、ステップS134の処理を実行する。
ステップS134において、EMS20は、全てのグループ用の蓄電池システムBが充電状態であるか否かを判定する。EMS20は、全てのグループ用の蓄電池システムBが充電状態であると判定した場合(S134:YES)、ステップS135の処理を実行する。
ステップS135において、EMS20は、蓄電池システムBbのモードをエコモードに切り替える。EMS20は、ステップS125の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
この場合、全てのグループ用の蓄電池システムBは充電状態であるため、これ以上グループ用の蓄電池システムBへの充電電力を増加させることができない。したがって、売電状態を解消するため、蓄電池システムBbを停止モードからエコモードに変更する。こうして、蓄電池システムBbが充電状態となるため、売電状態の解消を図ることができる。このように、蓄電池システムBbは、全てのグループ用の蓄電池システムBに対して、最後に充電状態になるように設定される。
これに対して、ステップS134において、EMS20は、全てのグループ用の蓄電池システムBが充電状態ではないと判定した場合(S134:NO)、ステップS136の処理を実行する。
ステップS136において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBがあるか否かを判定する。
なお、売電状態の蓄電池システムBとは、当該蓄電池システムBと電路との接続部において、系統電源100側(上流側)に電力が流れている蓄電池システムBを指すものである。すなわち、売電状態の蓄電池システムBがあることは、当該蓄電池システムBの下流側に接続された住居H(電力負荷)に対して燃料電池システムFの発電電力が余剰していることを指している。
ステップS136において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBがあると判定した場合(ステップS136:YES)、ステップS137の処理を実行する。
ステップS137において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBのうち、電池残量が最少の蓄電池システムBのモードをエコモードに切り替える。EMS20は、ステップS137の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
このように、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBがある場合(ステップS136:YES)には、当該蓄電池システムBの充電が行われていないことによって売電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)になっていると想定される。したがって、ステップS137の処理を行って、蓄電池システムBの充電を開始させることにより、売電状態の解消を図っている。またこの際、電池残量が最少のグループ用の蓄電池システムBから充電を開始させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
これに対して、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBがないと判定した場合(ステップS136:NO)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
ここで、図4、図10から図12を用いて、売電状態(系統電源100へ電力が供給されている状態)である場合の、電力の供給態様の一例について説明する。
上述の如く、図4に示す一例においては、1100Wの売電が行われている。この一例においては、全ての蓄電池システムBの中で放電状態の蓄電池システムBがなく(ステップS131:NO)、また蓄電池システムBbが充電状態ではなく(ステップS133:NO)、また全てのグループ用の蓄電池システムBが充電状態ではなく(ステップS134:NO)、またグループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBがある(ステップS136:YES)ため、停止モード且つ売電状態のグループ用の蓄電池システムBのうち、電池残量が最少の蓄電池システムBのモードがエコモードに切り替えられる(ステップS137)。
ここで、図4に示す一例においては、停止モード且つ売電状態のグループ用の蓄電池システムB(具体的には、蓄電池システム1b及び蓄電池システムMb)のうち、蓄電池システム1bが、電池残量が最少(60%)である(図10参照)。したがって、図10に示すように、蓄電池システム1bがエコモードに切り替えられ、当該蓄電池システム1bの充電が開始される。
こうして、図10に示すように、蓄電池システム1bは、第1グループG1の3つの燃料電池システムFの余剰した電力(300W)を充電する。すなわち、1100Wから減少したものの、未だ800Wの売電が行われており、売電状態が継続している。
このような場合、上記と同様の処理(ステップS131:NO、ステップS133:NO、ステップS134:NO、ステップS136:YES、ステップS137)が行われて、蓄電池システム1bの次に蓄電池システムMbのモードがエコモードに切り替えられる(ステップS137)。こうして、蓄電池システムMbがエコモードに切り替えられ、当該蓄電池システムMbの充電が開始される。
こうして、図11に示すように、蓄電池システムMbは、第MグループGMの3つの燃料電池システムFの余剰した電力(1100W)を充電する。すなわち、売電状態が解消すると共に、次は300Wの買電が行われるため、買電状態となる。
このような場合、蓄電池システムBbが放電状態ではなく(ステップS121:NO)、また蓄電池システムBbの電池残量が最少ではない(ステップS124:NO)ため、蓄電池システムBbのモードがエコモードに切り替えられる(ステップS125)。
こうして、蓄電池システムBbが、停止モードからエコモードに変更されると、負荷追従機能に基づいて放電が開始される。具体的には、まず蓄電池システムBbは、センサDdの検出結果により、当該蓄電池システムBbと電路L1との接続部を流れる電力の大きさを取得する。こうして、蓄電池システムBbは、前記接続部を流れる電力に相当する300Wを負荷追従機能に基づいて放電する。
以上のように、本発明の第一実施形態に係る電力供給システム1は、
系統電源100と電力負荷とを結ぶ電路の一部であって、互いに分岐してそれぞれに前記電力負荷(住居H)が接続された複数の分岐電路(電路L1の下流側の部分、電路L2や電路Lm)と、
各電力負荷に対応して設けられ、対応する前記各電力負荷と各分岐電路を介して接続されたグループ用の蓄電池システムBと、
前記各電力負荷と前記各電力負荷に対応する各グループ用の蓄電池システムBとの間に接続された燃料電池システムFと、
系統電源100へ流れる電力を検出可能な電力検出部Dと、
前記電力検出部Dの検出結果に基づいて前記グループ用の蓄電池システムBの動作を制御するEMS20(制御部)と、
を具備し、
前記EMS20(制御部)は、
系統電源100へ流れる電力が検出された場合には(ステップS102:NO)、
前記各電力負荷と接続された前記グループ用の蓄電池システムBのうち、放電状態の前記グループ用の蓄電池システムBを抽出し、
抽出した放電状態の前記グループ用の蓄電池システムBのうち、電池残量の低い順に放電状態を停止するものである(ステップS131:YES、ステップS132)。
このような構成により、複数の蓄電池システムB(グループ用の蓄電池システムB)を具備し、これらの蓄電池システムBを好適に動かすことができる。
具体的には、放電状態の蓄電池システムBによって売電状態(系統電源100へ電力が供給されている状態)になっている場合に、当該蓄電池システムBの放電を停止させることにより、売電状態の解消を図ることができる。
こうして、売電が行われている場合に、売電状態の解消を図ることができるため、例えば、系統電源100へ電力が逆潮流(売電)した場合であっても、当該逆潮流した電力に対する対価が電力会社から得られないような場合に、都市ガス(燃料)を用いて無駄な発電が行われるのを防止することができる。
またこの際、電池残量が最少の蓄電池システムBから放電を停止させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
また、電力供給システム1においては、
複数の前記分岐電路と系統電源100とを結ぶ電路(電路L1の上流側の部分)に接続された蓄電池システムBbをさらに具備し、
前記各電力負荷と接続された前記グループ用の蓄電池システムBが全て充電状態の場合に、前記蓄電池システムBbを充電状態とするものである(ステップS134:YES、ステップS135)。
このような構成により、全てのグループ用の蓄電池システムBが充電状態である場合に、蓄電池システムBbの充電を開始させることができる。こうして、グループ用の蓄電池システムBがこれ以上充電できない場合に、蓄電池システムBbの充電によって、売電状態の解消を図ることができる。
また、蓄電池システムBbは、充電を行うための優先順位が、全てのグループ用の蓄電池システムBよりも低く設定されている。こうして、蓄電池システムBbは、全てのグループ用の蓄電池システムBと比べて、電池残量が少ない状態を維持する(充電容量をあけておく)ことができる。すなわち、蓄電池システムBbは、例えばグループ用の燃料電池システムFの発電電力が余剰した場合に、当該余剰した電力が系統電源100へと流れるのを防止することができ、最終の防御手段としての機能を果たすことができる。
また、電力供給システム1においては、
前記各電力負荷と接続された前記グループ用の蓄電池システムBに充放電の停止状態であって、且つ、前記分岐電路との接続部を電力が系統電源100側に流れている前記グループ用の蓄電池システムBがある場合には(ステップS136:YES)、
前記分岐電路との接続部を電力が系統電源100側に流れている前記グループ用の蓄電池システムBのうち、電池残量の低い順に充電状態とするものである(ステップS137)。
このような構成により、グループ用の蓄電池システムBの充放電が停止しているために売電状態(系統電源100へ電力が供給されている状態)になっている場合に、グループ用の蓄電池システムBの充電を開始させることにより、売電状態の解消を図ることができる。
またこの際、電池残量が最少の蓄電池システムBから充電を開始させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
また、電力供給システム1においては、
複数の前記分岐電路と系統電源100とを結ぶ電路(電路L1の上流側の部分)に接続された蓄電池システムBbをさらに具備し、
前記電力検出部Dは、系統電源100から流れてくる電力を検出可能であり、
前記EMS20(制御部)は、
系統電源100から流れてくる電力が検出された場合には、
前記蓄電池システムBbを放電状態とするものである(ステップS121:NO、ステップS125)。
このような構成により、蓄電池システムBbの放電を行うことによって、買電状態の解消を図ることができる。
また、蓄電池システムBbは、放電を行うための優先順位が、全てのグループ用の蓄電池システムBよりも高く設定されている。こうして、蓄電池システムBbは、全てのグループ用の蓄電池システムBと比べて、電池残量が少ない状態を維持する(充電容量をあけておく)ことができる。すなわち、蓄電池システムBbは、例えばグループ用の燃料電池システムFの発電電力が余剰した場合に、当該余剰した電力が系統電源100へと流れるのを防止することができ、最終の防御手段としての機能を有することができる。
また、電力供給システム1においては、
前記蓄電池システムBbが放電状態であって、且つ、前記分岐電路との接続部を電力が前記電力負荷側に流れている前記グループ用の蓄電池システムBがある場合には(ステップS121:YES、ステップS122:YES)、
前記分岐電路との接続部を電力が前記電力負荷側に流れている前記グループ用の蓄電池システムBのうち、電池残量の高い順に放電状態とするものである(ステップS123)。
このような構成により、グループ用の蓄電池システムBの放電が行われないことによって買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)になっている場合に、グループ用の蓄電池システムBの放電を開始させることにより、買電状態の解消を図ることができる。
またこの際、電池残量が最大の蓄電池システムBから放電を開始させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
また、電力供給システム1においては、
前記蓄電池システムBbが放電状態であって、且つ、前記各分岐電路との接続部を電力が前記電力負荷側に流れている前記グループ用の蓄電池システムBがない場合には(ステップS122:NO)、
前記各電力負荷と接続された前記グループ用の蓄電池システムBのうち、充電状態の前記グループ用の蓄電池システムBを抽出し、
抽出した充電状態の前記グループ用の蓄電池システムBのうち、電池残量の高い順に充電状態を停止するものである(ステップS126:YES、ステップS127)。
このような構成により、充電状態の蓄電池システムBによって買電状態(系統電源100から電力が供給されている状態)になっている場合に、蓄電池システムBの充電を停止させることにより、買電状態の解消を図ることができる。
またこの際、電池残量が最大のグループ用の蓄電池システムBから充電を停止させるため、複数の蓄電池システムBの電池残量の均等化を図ることができる。
以上、一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、電力供給システム1が導入される対象はマンションであるとしたが、これに限定するものではない。電力供給システム1が導入される対象は、オフィスビルや、病院、学校等であってもよい。
また、制御部は、EMS(エネルギーマネジメントシステム)に限らず、例えば燃料電池システムFの制御部等、種々の物を使用することができる。
また、EMS20は、図13に示すように、各燃料電池システムFと電気的に接続されるものであってもよい。この場合、EMS20は、所定の信号を各燃料電池システムFに出力可能に構成される。こうして、EMS20は、各燃料電池システムFの動作を制御することができる。また、EMS20は各燃料電池システムFから所定の信号が入力可能に構成される。こうして、EMS20は、各燃料電池システムFの動作に関する情報を取得することができる。
具体的には、EMS20は、各燃料電池システムFが現在メンテナンス等の理由により発電動作が停止しているか否かに関する情報を取得することができる。また、EMS20は、各燃料電池システムFの発電動作が停止しているか否かに関する情報を利用して逆潮流抑制制御の処理を行うものであってもよい。以下に説明を行う。
以下では、図14から図16のフローチャートを用いて、第二実施形態に係る逆潮流抑制制御の処理を実行する場合におけるEMS20の処理について説明する。
第二実施形態に係る逆潮流抑制制御の処理において、第一実施形態に係る逆潮流抑制制御の処理と異なる点は、EMS20は、各燃料電池システムFの発電動作が停止しているか否かに関する情報を利用する点である。
具体的には、図14に示す(第一実施形態に係るステップS101に相当する)ステップS201において、EMS20は、電力供給システム1の全体の電力使用状況、各蓄電池システムBの運転状態、及び、各蓄電池システムBの電池残量だけでなく、各燃料電池システムFの発電状態の確認を行う。
そして、図15に示す(第一実施形態に係るステップS122に相当する)ステップS222において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムB(複数のグループにそれぞれ1つずつ設けられる蓄電池システムB)の中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがあって、燃料電池システムFが発電状態であるか否かを判定する。
そして、EMS20は、グループ用の蓄電池システムB(複数のグループにそれぞれ1つずつ設けられる蓄電池システムB)の中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがあって、燃料電池システムFが発電状態であると判定した場合(ステップS222:YES)、(第一実施形態に係るステップS123に相当する)ステップS223の処理を実行する。
ステップS223において、EMS20は、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ買電状態であって、燃料電池システムFが発電状態である蓄電池システムBのうち、電池残量が最大の蓄電池システムBのモードをエコモードに切り替える。EMS20は、ステップS223の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
また、EMS20は、グループ用の蓄電池システムB(複数のグループにそれぞれ1つずつ設けられる蓄電池システムB)の中で、停止モード且つ買電状態の蓄電池システムBがあって、燃料電池システムFが発電状態であるものではないと判定した場合(ステップS222:NO)、(第一実施形態に係るステップS126に相当する)ステップS226の処理を実行する。
ステップS226において、EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、全ての蓄電池システムB(蓄電池システムBb及びグループ用の蓄電池システムB)の中で充電状態の蓄電池システムBがあるか否かを判定する。EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、全ての蓄電池システムBの中で充電状態の蓄電池システムBがあると判定した場合(ステップS226:YES)、ステップS127の処理を実行する。
これに対して、ステップS226において、EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、全ての蓄電池システムBの中で充電状態の蓄電池システムBがあるものではないと判定した場合(ステップS226:NO)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
また、図16に示す(第一実施形態に係るステップS131に相当する)ステップS231において、EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、全ての蓄電池システムBの中で放電状態の蓄電池システムBがあるか否かを判定する。EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、全ての蓄電池システムBの中で放電状態の蓄電池システムBがあると判定した場合(ステップS131:YES)、(第一実施形態に係るステップS132に相当する)ステップS232の処理を実行する。
ステップS232において、EMS20は、全ての蓄電池システムBの中で、放電状態である蓄電池システムBのうち、燃料電池システムFが発電状態であって、電池残量が最少の蓄電池システムBのモードを停止モードに切り替える。EMS20は、EMS20は、ステップS232の処理を実行した後、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
なお、EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、全ての蓄電池システムBの中で放電状態の蓄電池システムBがあるものではないと判定した場合(ステップS231:NO)、ステップS133の処理を実行する。
また、EMS20は、ステップS134の処理の後に実行される(第一実施形態に係るステップS136に相当する)ステップS236において、燃料電池システムFが発電状態であって、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBがあるか否かを判定する。そして、EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBがあると判定した場合(ステップS236:YES)、ステップS137の処理を実行する。一方、EMS20は、燃料電池システムFが発電状態であって、グループ用の蓄電池システムBの中で、停止モード且つ売電状態の蓄電池システムBであるものがないと判定した場合(ステップS236:NO)、逆潮流抑制制御の処理を終了する。
このような構成により、第二実施形態に係る逆潮流抑制制御の処理においては、各燃料電池システムFの発電動作が停止しているか否かに関する情報を利用しているため、例えば逆潮流が発生した場合に、当該逆潮流が燃料電池システムFの発電電力によって行われていることを情報として取得することができる。すなわち、例えば何らかの異常事態により逆潮流が発生した場合に、当該異常事態に気付かないまま蓄電池システムBのモードの切り替えを行うことを防止することができる。
以上のように、本発明の第二実施形態に係る電力供給システム1は、
前記EMS20(制御部)は、
前記燃料電池システムFの発電状態に関する情報を取得可能であり、
前記EMS20(制御部)の制御には、前記電力検出部Dの検出結果に加え、前記発電状態に関する情報に基づいて行われるものである。
このような構成により、例えば何らかの異常事態により逆潮流が発生した場合に、当該異常事態に気付かないまま蓄電池システムBの制御を行うことを防止することができる。