以下では、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
図1に示す電力供給システム1は、系統電源Kからの電力や、後述する蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)からの電力を負荷Hへと供給するものである。本実施形態に係る電力供給システム1は、集合住宅に設けられ、当該集合住宅の負荷H(例えば、複数の住宅の機器等)へと電力を供給する。
電力供給システム1は、系統電源Kから負荷Hへと電力を供給する電力経路Lに、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30が接続されている。第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30は、集合住宅を構成する複数(図例では3つ)の住宅にそれぞれ所有される。図例では、上記住宅を、3つの負荷Hをそれぞれ囲う二点鎖線で示している。電力供給システム1は、蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)を所有する住宅間において、電力が余った住宅の電力を、電力が不足する住宅に融通可能とされている。電力供給システム1は、主として第一蓄電システム10、第二蓄電システム20、第三蓄電システム30、ブレーカー40及び制御部50を具備する。
第一蓄電システム10は、太陽光を利用して発電された電力を充電したり、負荷Hへと供給するものである。第一蓄電システム10は、太陽光発電部11、蓄電池12、ハイブリッドパワコン13及びセンサ14を具備する。
太陽光発電部11は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部11は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部11は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
蓄電池12は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池12は、後述するハイブリッドパワコン13等を介して太陽光発電部11と接続される。なお、蓄電池12は、本実施形態において、その最大放電量が2000(W)であるものとする。最大放電量とは、蓄電池12が単位時間当たりに放電可能な最大の電力量を指す。また、蓄電池12は、最大充電量(蓄電池12が単位時間当たりに充電可能な最大の電力量)についても2000(W)であるものとする。蓄電池12は、後述するセンサ14の検出結果等に基づいて、充放電を切り替えることができる。
ハイブリッドパワコン13は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電された電力及び蓄電池12から放電された電力を負荷Hに出力可能であると共に、太陽光発電部11で発電された電力及び系統電源Kからの電力を蓄電池12に出力可能に構成される。ハイブリッドパワコン13は、電力経路Lの第一接続点P1と接続される。
ハイブリッドパワコン13は、電力の供給態様(モード)として、2つのモード(充放電時間帯設定モード及びエコモード)を有する。充放電時間帯設定モード及びエコモードは、例えば、住宅の居住者により後述する制御部50のタッチパネルが操作されることで、任意に設定される。なお、充放電時間帯設定モード及びエコモードについての詳細な説明は後述する。
センサ14は、電力経路Lにおいて、第一接続点P1と後述する第二蓄電システム20が接続される第二接続点P2との間に設けられる。センサ14は、設けられた箇所を流通する電力(例えば、負荷H及び蓄電池12へと供給される電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。センサ14は、ハイブリッドパワコン13と接続され、検出結果に関する信号をハイブリッドパワコン13へ出力可能に構成される。
第二蓄電システム20は、第一蓄電システム10よりも電力経路Lの上流側(系統電源K側)の第二接続点P2に接続される点を除いて、第一蓄電システム10と同様に構成される。具体的には、第二蓄電システム20の太陽光発電部21、蓄電池22、ハイブリッドパワコン23及びセンサ24は、それぞれ第一蓄電システム10の太陽光発電部11、蓄電池12、ハイブリッドパワコン13及びセンサ14に相当する。
第三蓄電システム30は、第二蓄電システム20よりも電力経路Lの上流側の第三接続点P3に接続される点を除いて、第一蓄電システム10と同様に構成される。具体的には、第三蓄電システム30の太陽光発電部31、蓄電池32、ハイブリッドパワコン33及びセンサ34は、それぞれ第一蓄電システム10の太陽光発電部11、蓄電池12、ハイブリッドパワコン13及びセンサ14に相当する。
ブレーカー40は、電力経路Lに配置され、系統電源Kからの電力を遮断可能なものである。ブレーカー40は、第三蓄電システム30よりも電力経路Lの上流側に配置されている。ブレーカー40は、系統電源Kからの買電量が第一の電力量を超えた場合、系統電源Kからの電力を遮断する。ここで、買電量とは、系統電源K側から負荷H及び蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)へ向けて流通する電力量を指す。また、第一の電力量は、電力供給システム1に対して系統電源Kから供給される電力量の上限値である。第一の電力量は、系統電源Kからの電力の供給元(電力会社等)との契約等によって定められる。本実施形態では、第一の電力量を45000(W)としている。なお、第一の電力量は上記値に限られず、種々の値を設定可能である。
制御部50は、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の情報を管理すると共に、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の動作を制御するものである。制御部50は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置、並びにタッチパネル等の入出力装置等により構成される。制御部50は、太陽光発電部11・21・31で発電された電力の出力や、蓄電池12・22・32の充放電を制御することができる。また、制御部50は、プログラムや種々の情報を前記記憶装置に格納しており、当該プログラムや種々の情報を演算処理装置で読み込んで処理することで、電力供給システム1の動作等を実行することができる。このような制御部50は、例えば、EMS(Energy Management System)によって構成される。
また、制御部50は、ハイブリッドパワコン13・23・33と接続される。制御部50は、ハイブリッドパワコン13・23・33から出力された信号により、センサ14・24・34の検出結果や太陽光発電部11・21・31及び蓄電池12・22・32の運転状態に関する情報を取得することができる。
また、制御部50は、所定のセンサの検出値に基づいて、系統電源Kからの買電量を検出可能とされている。なお、前記所定のセンサとしては、種々のものが想定される。例えば、前記所定のセンサとして、例えばセンサ34を用いてもよいし、第三蓄電システム30よりも電力経路Lの上流側に配置した図示せぬセンサや、その他のセンサを用いてもよい。
制御部50は、上記ブレーカー40による電力の遮断を防止すべく、系統電源Kからの買電量が第一の電力量を容易に超え難くなるような制御(処理)を実行する。
この処理においては、全ての蓄電システムのうち特定の蓄電システムの放電を停止させておくことによって当該特定の蓄電システムに電力を確保しておき、系統電源Kからの買電量が第一の電力量を超えそうな場合に当該特定の蓄電システムの放電を開始させる。これにより、系統電源Kからの買電量を抑制することができるため、系統電源Kからの買電量が第一の電力量を容易に超え難くなり、ひいてはブレーカー40による電力の供給の遮断を防止することができる。なお以下では、前記特定の蓄電システムを、ブレーカー遮断防止用蓄電システムと称する。
前記処理には、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理と、ブレーカー遮断防止処理と、残存電力放電処理と、いう3つの処理が含まれる。
ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理とは、後述するブレーカー遮断防止処理を実行するための事前の準備となる処理である。ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理においては、全ての蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうちから、ブレーカー遮断防止用蓄電システムとなる蓄電池システムを選定すると共に、当該選定された蓄電システムの放電を停止させる。ブレーカー遮断防止用蓄電システムとなる蓄電システムは、所定数(少なくとも1台以上)選定される。なお、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理の詳細な説明については、図2を参照して後述する。
ブレーカー遮断防止処理とは、系統電源Kからの買電量が第一の電力量を超えないように、(ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理において選定された)ブレーカー遮断防止用蓄電システムを動作させる処理である。ブレーカー遮断防止処理においては、ブレーカー遮断防止用蓄電システムを、系統電源Kからの買電量に応じて放電又は放電停止させる。なお、ブレーカー遮断防止処理の詳細な説明については、図4を参照して後述する。
残存電力放電処理とは、ブレーカー遮断防止処理を実行した結果、ブレーカー遮断防止用蓄電システムに残存することとなった電力を放電するための処理である。残存電力放電処理においては、放電停止状態にあるブレーカー遮断防止用蓄電システムを、所定のタイミングで放電させる。なお、残存電力放電処理の詳細な説明については、図10を参照して後述する。
以下では、上述の如く構成された電力供給システム1において、蓄電池12・22・32及び負荷Hへ電力を供給する流れについて、簡単に説明する。
系統電源Kや太陽光発電部11・21・31からの電力は、電力経路Lを介して負荷Hへ供給される。こうして、住宅の居住者は、系統電源Kや、太陽光発電部11・21・31からの電力を用いて照明を点灯させたり、調理器具やエアコンを使用したりすることができる。
この場合において、負荷Hの消費電力が太陽光発電部11・21・31からの電力で賄える場合には、系統電源Kからの電力を用いないことも可能である。このようにして系統電源Kからの買電量を減少させ、電力料金を節約することができる。
また、系統電源Kや太陽光発電部11・21・31からの電力は、適宜の時間帯に蓄電池12・22・32に供給することができる。蓄電池12・22・32に供給された電力は、当該蓄電池12・22・32に充電することができる。蓄電池12・22・32が充電される時間帯は、居住者の任意に設定することができる。例えば、前記時間帯を深夜に設定すれば、料金の安い深夜電力を蓄電池12・22・32に充電することができる。また、前記時間帯を昼間の時間帯に設定すれば、太陽光発電部11・21・31からの電力を蓄電池12・22・32に充電することができる。
また、蓄電池12・22・32に充電された電力は、電力経路Lを介して負荷Hへ供給することができる。具体的には、蓄電池12・22・32を放電すると、当該放電された電力が電力経路Lを介して負荷Hに供給される。蓄電池12・22・32が放電される時間帯は、居住者の任意に設定することができる。例えば、前記時間帯を昼間の時間帯に設定すれば、蓄電池12・22・32に充電した料金の安い深夜電力を当該昼間の時間帯に用いることができる。こうして、昼間の時間帯に系統電源Kからの電力量(買電量)を減少させ、電力料金を節約することができる。
上述の如く構成された電力供給システム1において、上記負荷Hへの電力を供給する際、ハイブリッドパワコン13・23・33は、センサ14・24・34の検出結果に基づいて蓄電池12・22・32の放電量を決定する負荷追従運転を行う。
まず、負荷Hで電力の消費が発生すれば、電力経路Lを介して系統電源Kから負荷Hへ電力が供給される。この際、センサ14・24・34は、電力経路Lを流通する電力を検出すると共に、検出値に応じて蓄電池12・22・32を放電させ、電力を負荷Hに供給する。なお、太陽光発電部11・21・31で発電が行われている場合には、太陽光発電部11・21・31で発電された電力が、蓄電池12・22・32の放電に優先して負荷Hへ供給される。
次に、上述した充放電時間帯設定モード及びエコモードについて詳細に説明する。
充放電時間帯設定モード及びエコモードは、上述の如くハイブリッドパワコン13・23・33(より詳細には、当該ハイブリッドパワコン13・23・33を介して制御部50)により実行される。充放電時間帯設定モード及びエコモードにおいては、太陽光発電部11・21・31からの電力が負荷Hの消費電力に対して余剰した場合の、当該余剰した電力(余剰電力)の取り扱いが互いに異なる。以下にて具体的に説明を行う。
エコモードは、前記余剰電力を蓄電池12・22・32に充電しておき、負荷Hで消費することで省エネ効果を得ることができるモードである。エコモードが設定されたハイブリッドパワコン13・23・33は、太陽光発電部11・21・31で発電が行われている場合に、当該太陽光発電部11・21・31からの電力を優先的に負荷Hに供給する。また、ハイブリッドパワコン13・23・33は、太陽光発電部11・21・31からの電力が負荷Hの消費電力に対して余剰すると、当該余剰電力を蓄電池12・22・32に充電する。ハイブリッドパワコン13・23・33は、蓄電池12・22・32を最大充電量で充電しても太陽光発電部11・21・31からの電力が依然として余剰する場合に、当該余剰電力を系統電源Kへと逆潮流させる。
充放電時間帯設定モードは、蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)について、電力を放電する時間帯(放電時間)及び電力を充電する時間帯(充電時間)を設定することができる。このように、充放電時間帯設定モードは、放電時間において、前記余剰電力を蓄電池12・22・32に充電させることなく系統電源Kへと逆潮流させ、対価を得ることができるモードである。
より詳細には、充放電時間帯設定モードにおいて、蓄電池12・22・32には、充電可能な状態となる期間が設定されている。換言すれば、当該期間が開始する時間(以下、「充電開始時刻」と称する)と、当該期間が終了する時間(以下、「充電終了時刻」と称する)と、が設定されている。本実施形態においては、初期設定として、充電開始時刻から充電終了時刻までの時間帯は、深夜の時間帯となるように設定されている。より詳細には、充電開始時刻が23時、充電終了時刻が7時に設定されている。これにより、蓄電池12・22・32は、23時から翌日の7時までが充電時間として設定される。充電時間内において、蓄電池12・22・32は、充電可能な状態となり、自身の充電量に応じて充電状態となる。
また、充放電時間帯設定モードにおいて、蓄電池12・22・32には、放電可能な状態となる期間が設定されている。換言すれば、当該期間が開始する時間(以下、「放電開始時刻」と称する)と、放電を終了する時間(以下、「放電終了時刻」と称する)と、が設定されている。本実施形態においては、初期設定として、放電開始時刻から放電終了時刻までの時間帯は、昼間の時間帯となるように設定されている。より詳細には、放電開始時刻が7時、放電終了時刻が23時に設定されている。これにより、蓄電池12・22・32は、7時から23時までが放電時間として設定される。放電時間内において、蓄電池12・22・32は、放電可能な状態となり、負荷Hの消費電力量に応じて放電状態又は待機状態となる。
このような充電開始時刻、充電終了時刻、放電開始時刻及び放電終了時刻は、例えば、住宅の居住者により制御部50の前記タッチパネルが操作されることで、任意に設定可能に構成される。また、充電開始時刻、充電終了時刻、放電開始時刻及び放電終了時刻は、制御部50の前記記憶装置に格納される。
また、充放電時間帯設定モードにおいて、制御部50は、上述の如きブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理と、ブレーカー遮断防止処理と、残存電力放電処理と、いう3つの処理を実行する場合、前記充電時間及び放電時間を、初期設定から適宜変更を行うことができる。こうして、制御部50は、蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)を初期設定とは異なる任意のタイミングで、充放電状態又は停止状態(充放電状態以外の状態)とすることができる。
なお以下では、充放電時間帯設定モードにおいて、制御部50が現在の時刻を放電時間とすること(すなわち、蓄電システムを放電可能な状態とすること)を、「放電モードに設定する」又は「放電指示を出す」という。また、充放電時間帯設定モードにおいて、制御部50が現在の時刻を停止時間(放電時間及び充電時間以外の時間)とすること(すなわち、蓄電システムを充放電不可能な停止状態とすること)を、「停止モードに設定する」という。
また以下では説明の便宜上、特に何ら言及しない場合、制御部50による変更にかかわらず、「充電時間」及び「放電時間」とは、初期状態の「充電時間」(すなわち、7時から23時までの時間帯)及び「放電時間」(すなわち、23時から翌日の7時までの時間帯)を指すものとする。また、本実施形態においては、料金の安い深夜電力を蓄電システムに充電させるため、「充電時間」は初期状態のまま変更されないものとする。
以下では、図2を用いて、制御部50により実行されるブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理について説明する。
本実施形態において、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理は、一日に一回実行される。
図2に示すように、まず、ステップS10において、制御部50は、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の積算放電電力量を取得する。本実施形態において、積算放電電力量とは、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30を設置した時から当日までに、当該第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の蓄電池12・22・32が放電した総放電電力量を指す。本実施形態では、蓄電池12・22・32の当日の午前0時までの総放電電力量を、積算放電電力量としている。制御部50は、ステップS10の処理が終了すると、ステップS20へ移行する。
ステップS20において、制御部50は、全ての蓄電池12・22・32の積算放電電力量が0であるか否かを判断する。制御部50は、全ての蓄電池12・22・32の積算放電電力量が0であると判断した場合には、ステップS30へ移行する。一方、制御部50は、少なくとも一つの蓄電池12・22・32の積算放電電力量が0でないと判断した場合には、ステップS40へ移行する。なお、以下では、ステップS40からステップS50までを先に説明する。
ステップS40において、制御部50は、全ての蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうち、蓄電池12・22・32の積算放電電力量が小さいものから順番に、当該積算放電電力量が小さいものほど順位が高くなるように、放電優先順位を決定する。本実施形態において、放電優先順位とは、複数の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)の中での放電の優先順位である。制御部50は、ステップS40の処理が終了すると、ステップS50へ移行する。
ステップS50において、制御部50は、放電優先順位が最も低いものから順番に数えて、所定数(任意の台数)の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)について、ブレーカー遮断防止用蓄電システムに選定すると共に停止モードに設定する。上記ブレーカー遮断防止用蓄電システムの台数は、複数の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)の総台数や、蓄電池12・22・32の最大充電量、第一の電力量、負荷Hの消費電力量等を考慮して、ブレーカー40による電力の供給の遮断を好適に抑制するために確保すべき電力量を基に設定することが考えられる。なお、上記台数は、少なくとも一台以上であればよい。
また、ステップS50において、制御部50は、上記ブレーカー遮断防止用蓄電システム以外の蓄電システムについて、放電モードに設定する。制御部50は、ステップS50の処理が終了すると、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理を終了する。
ステップS30において、制御部50は、全ての蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうち、所定数の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)について、ブレーカー遮断防止用蓄電システムに選定すると共に停止モードに設定する。なお、上記ブレーカー遮断防止用蓄電システムは、任意に選定される。また、ブレーカー遮断防止用蓄電システムの台数は、上記ステップS50と同様に設定される。また、ステップS30において、制御部50は、上記ブレーカー遮断防止用蓄電システム以外の蓄電システムについて、放電モードに設定する。制御部50は、ステップS30の処理が終了すると、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理を終了する。
このように、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理においては、全ての蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうちから、ブレーカー遮断防止用蓄電システムとなる蓄電池システムを選定すると共に、当該選定された蓄電システムの放電を停止させる。
なお、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理における態様は上述の如きものに限定されない。例えば、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理は、一日に一回実行するものではなく、一日に二回以上実行してもよい。また、積算放電電力量は、当日の午前0時までの総放電電力量ではなく、任意の時刻における総放電電力量であってもよい。また、放電優先順位の決定の処理を、任意の時刻において実行してもよい。
また、本実施形態では、上述したステップS30及びステップS50において、蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)に停止モードまたは放電モードを設定するタイミングは、充放電時間帯設定モードにおける放電開始時刻である。これによれば、充電時間内において蓄電池12・22・32が充電された状態で、停止モードまたは放電モードを設定することができる。なお、上述した例に限られず、停止モードまたは放電モードの設定は、任意の時刻において実行してもよい。この場合、蓄電池12・22・32が十分に充電されたタイミングで停止モードまたは放電モードの設定を行なうことが望ましい。また、ステップS30及びステップS50において、停止モードを設定する蓄電システムの台数が、複数である場合、時間差を設けて段階的に上記複数の蓄電システムに停止モードを設定するようにしてもよい。
制御部50は、例えば、図1に示す電力供給システム1において、ブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理を実行する場合、以下のように上記ステップS10~S50の処理を実行する。
まず、制御部50は、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30のそれぞれについて、積算放電電力量を取得する(ステップS10)。本実施形態では、第三蓄電システム30の積算放電電力量が最も小さく、次いで第二蓄電システム20、次いで第一蓄電システム10の積算放電電力量が小さいものとしている。したがって、制御部50は、第三蓄電システム30の順位が最も高く、次いで第二蓄電システム20、次いで第一蓄電システム10の順位が高くなるように放電優先順位を決定する(ステップS20:NO、ステップS40)。
本実施形態では、複数の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうち、停止モードに設定するものの台数を一台としている。したがって、制御部50は、図3に示すように、放電優先順位が最も低い第一蓄電システム10について、ブレーカー遮断防止用蓄電システムに選定すると共に、停止モードに設定する(ステップS50)。
以下では、図4を用いて、制御部50により実行されるブレーカー遮断防止選定処理について説明する。
本実施形態において、ブレーカー遮断防止処理は、放電時間内(すなわち、7時から23時まで時間帯)において、制御部50により繰り返し実行される。
まず、ステップS110において、制御部50は、後述する残存電力放電処理におけるステップS270により、ブレーカー遮断防止用蓄電システムが放電モードに設定されているか否かを判断する。制御部50は、放電モードに設定されていると判断した場合には、ブレーカー遮断防止処理を終了する。一方、制御部50は、放電モードに設定されていないと判断した場合には、ステップS120へ移行する。なお、残存電力放電処理の詳細な説明については後述する。
ステップS120において、制御部50は、系統電源Kからの買電量が、第二の電力量を超えているか否かを判断する。ここで、第二の電力量とは、買電量が第一の電力量を超える可能性が高い場合に、ブレーカー遮断防止用蓄電システムを放電させるための基準として設定された電力量である。第二の電力量は、第一の電力量よりも小さい電力量であって、買電量が第一の電力量を超える前に、ブレーカー遮断防止用蓄電システムの蓄電池に充電された電力を放電させるべく設定される。本実施形態では、第二の電力量を44000(W)としている。なお、第二の電力量は上記値に限られず、種々の値を設定可能である。制御部50は、系統電源Kからの買電量が、第二の電力量を超えていると判断した場合には、ステップS130へ移行する。一方、制御部50は、系統電源Kからの買電量が、第二の電力量を超えていないと判断した場合には、ステップS150へ移行する。
ステップS130において、制御部50は、停止モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システムがあるか否かを判断する。制御部50は、停止モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システムがあると判断した場合には、ステップS140へ移行する。一方、制御部50は、停止モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システムがないと判断した場合には、ブレーカー遮断防止処理を終了する。
ステップS140において、制御部50は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムで、かつ停止モードに設定されているもののうち、放電優先順位が最も高いものについて、放電モードに設定する。制御部50は、ステップS140の処理が終了すると、ブレーカー遮断防止処理を終了する。
ステップS150において、制御部50は、系統電源Kからの買電量が、第三の電力量以下であるか否かを判断する。ここで、第三の電力量とは、買電量が第一の電力量を超える可能性が低い場合に、ブレーカー遮断防止用蓄電システムの放電を停止させるための基準として設定された電力量である。第三の電力量は、第二の電力量よりも小さい電力量であって、買電量が当該第三の電力量以下となった場合、上記放電モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システムを再度停止モードに設定して、電力を確保すべく設定された値である。本実施形態では、第三の電力量を42000(W)としている。なお、第三の電力量は上記値に限られず、種々の値を設定可能である。また、ブレーカー遮断防止処理の詳細な説明については後述する。制御部50は、系統電源Kからの買電量が、第三の電力量以下であると判断した場合には、ステップS160へ移行する。一方、制御部50は、系統電源Kからの買電量が、第三の電力量を超えていると判断した場合には、ブレーカー遮断防止処理を終了する。
ステップS160において、制御部50は、放電モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システムがあるか否かを判断する。制御部50は、放電モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システムがあると判断した場合には、ステップS170へ移行する。一方、制御部50は、放電モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システムがないと判断した場合には、ブレーカー遮断防止処理を終了する。
ステップS170において、制御部50は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムで、かつ放電モードに設定されているもののうち、放電優先順位が最も低いものについて、停止モードに設定する。制御部50は、ステップS160の処理が終了すると、ブレーカー遮断防止処理を終了する。
このように、ブレーカー遮断防止処理においては、ブレーカー遮断防止用蓄電システムとして選定された蓄電池システムを、系統電源Kからの買電量に応じて放電又は放電停止させる。
以下、図5から図9までを参照して、系統電源K及び蓄電池12・22・32からの電力を負荷Hへ供給する流れ及びブレーカー遮断防止処理の一例について説明する。なお、以下の説明では、太陽光発電部11・21・31では、電力は発電されていないものとする。また、本実施形態では、電力供給システム1は、充放電時間帯設定モードが設定されているものとする。
図5に示す電力供給システム1は、図3に対応する電力供給システム1において、負荷Hの消費電力量に応じた電力を供給した例を示している。
図5では、負荷Hの消費電力量が46500(W)である例を示している。図5に示す電力供給システム1は、上述したブレーカー遮断防止用蓄電システム選定処理により選定されたブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)が停止モードに設定されている。また、電力供給システム1は、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30が放電モードに設定されている。図5に示した例では、系統電源Kからの電力に基づく負荷追従運転が行なわれることにより、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の蓄電池22・32の放電によりそれぞれ最大放電電力量である2000(W)が負荷Hに供給される。また、これにより、系統電源Kからの買電量は、42500(W)となる。
また、本実施形態では、ブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)は、後述する残存電力放電処理におけるステップS270により、放電モードに設定されていない(ステップS110:NO)。
図6では、負荷Hの消費電力量が48500(W)となった例を示している。この場合、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の蓄電池22・32からは、上記同様それぞれ最大放電電力量である2000(W)が負荷Hに供給され、系統電源Kからの買電量は、44500(W)となる。この場合、制御部50は、買電量が、第二の電力量(44000(W))を超えたと判断する(ステップS120:YES)。また、制御部50は、停止モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)があると判断する(ステップS130:YES)。
この場合、図7に示すように、停止モードに設定されているブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)のうち、放電優先順位が最も高いものについて、放電モードに設定する(ステップS140)。本実施形態では、第一蓄電システム10のみがブレーカー遮断防止用蓄電システムとされているので、当該第一蓄電システム10について、放電モードに設定する。これにより、系統電源Kからの電力に基づく負荷追従運転が行なわれることにより、第一蓄電システム10の蓄電池12により2000(W)が負荷Hに供給される。したがって、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30からそれぞれ2000(W)が負荷Hに供給されることになり、系統電源Kからの買電量は、42500(W)となる。
この状態では、系統電源Kからの買電量は42500(W)であるので、買電量は第二の電力量(44000(W))を超えておらず、また、第三の電力量(42000(W))以下ではないので(ステップS120:NO、ステップS150:NO)、ブレーカー遮断防止処理は終了される。
これにより、系統電源Kからの買電量がブレーカー40による電力の供給の遮断が行なわれる電力量(第一の電力量)を超える前に、ブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)の蓄電池12に確保していた電力を放電させることができる。これにより、ブレーカー40による電力の供給の遮断を防止することができる。
また、図8では、上記図7に示す電力供給システム1において、負荷Hの消費電力量が46500(W)となった例を示している。この場合、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30からそれぞれ2000(W)が負荷Hに供給されているので、系統電源Kからの買電量は40500(W)となる。この場合、制御部50は、買電量が、第二の電力量(44000(W))を超えていないと判断する(ステップS120:NO)。また、制御部50は、買電量が、第三の電力量(42000(W))以下であると判断する(ステップS150:YES)。また、制御部50は、放電モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)があると判断する(ステップS160:YES)。
この場合、図9に示すように、放電モードに設定されているブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)のうち、放電優先順位が最も低いものについて、停止モードに設定する(ステップS170)。本実施形態では、第一蓄電システム10のみがブレーカー遮断防止用蓄電システムとされているので、当該第一蓄電システム10について、停止モードに設定する。これにより、第一蓄電システム10による電力の供給が停止され、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30からそれぞれ2000(W)が負荷Hに供給されることになり、系統電源Kからの買電量は42500(W)となる。
また、この状態では、系統電源Kからの買電量は42500(W)であるので、買電量は第二の電力量(44000(W))を超えておらず、また、第三の電力量(42000(W))以下ではないので(ステップS120:NO、ステップS150:NO)、ブレーカー遮断防止処理は終了される。
これにより、買電量が第三の電力量以下となり、ブレーカー40により電力の供給が遮断される可能性が低い場合には、ブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)の蓄電池12の放電を抑制し、当該蓄電池12に確保しておくことができる。
以下では、図10を用いて、制御部50により実行される残存電力放電処理について説明する。
本実施形態において、残存電力放電処理は、放電時間内(すなわち、7時から23時まで時間帯)において、制御部50により繰り返し実行される。
まず、ステップS210において、制御部50は、現在時刻が、ブレーカー遮断防止用蓄電システムに設定された放電時間内であるか否かを判断する。制御部50は、現在時刻が放電時間内であると判断した場合には、ステップS220へ移行する。一方、制御部50は、現在時刻が放電時間内でないと判断した場合には、残存電力放電処理を終了する。
ステップS220において、制御部50は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムについて、充放電時間帯設定モードが設定されているか否かを判断する。制御部50は、充放電時間帯設定モードが設定されていると判断した場合には、ステップS230へ移行する。一方、制御部50は、充放電時間帯設定モードが設定されていないと判断した場合には、残存電力放電処理を終了する。
ステップS230において、制御部50は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムの蓄電池について、蓄電池残量があるか否かを判断する。制御部50は、蓄電池残量があると判断した場合には、ステップS240へ移行する。一方、制御部50は、蓄電池残量がないと判断した場合には、残存電力放電処理を終了する。
ステップS240において、制御部50は、放電終了時刻を取得する。制御部50は、ステップS240の処理が終了すると、ステップS250へ移行する。
ステップS250において、制御部50は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムについて、放電可能時間を算出する。ここで、放電可能時間とは、蓄電池12・22・32に充電された電力を最大放電量で放電した場合に、当該電力を放電可能な時間を指す。放電可能時間は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムの蓄電池に充電された電力の残量を、当該蓄電池12・22・32の最大放電量で除算して求められる。制御部50は、ステップS250の処理が終了すると、ステップS260へ移行する。
ステップS260において、制御部50は、放電終了時刻から現在時刻を減算した時間(放電終了時刻までの残り時間)が、放電可能時間以下であるか否かを判断する。制御部50は、放電終了時刻までの残り時間が、放電可能時間以下であると判断した場合には、ステップS270へ移行する。一方、制御部50は、放電終了時刻までの残り時間が、放電可能時間以下でないと判断した場合には、残存電力放電処理を終了する。
ステップS270において、制御部50は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムについて、放電モードに設定する。制御部50は、ステップS270の処理が終了すると、残存電力放電処理を終了する。
このように、残存電力処理においては、放電停止状態にあるブレーカー遮断防止用蓄電システムを、所定のタイミング(より詳細には、ブレーカー遮断防止用蓄電システムに選定された蓄電システムの放電を開始させた場合であっても、系統電源Kからの買電量が第一の電力量を超えそうな場合に放電可能な電力が無い状態とならないタイミング)で放電させる。
以下、残存電力放電処理の一例について説明する。なお、以下の説明では、図9に対応する電力供給システム1において、残存電力放電処理を実行する例を示す。
本実施形態では、現在時刻は21時であるものとする。したがって、制御部50は、放電時間内(7時~23時)と判断する(ステップS210:YES)。また、本実施形態では、充放電時間帯設定モードが設定されている(ステップS220:YES)。
また、本実施形態では、ブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)の蓄電池12の蓄電池残量が6000(W)であるものとする。したがって、制御部50は、蓄電池12の蓄電池残量があると判断する(ステップS230:YES)。
次いで、制御部50は、放電終了時刻(23時)を取得する(ステップS240)。また、制御部50は、上記蓄電池12の蓄電池残量(6000(W))を、上記蓄電池12の最大放電量(2000(W))で除算することで、放電可能時間(3時間)を算出する(ステップS250:YES)。
現在時刻は21時であるので、制御部50は、放電終了時刻(23時)までの残り時間(2時間)は、放電可能時間(3時間)以下であると判断する(ステップS260:YES)。
これにより、図11に示すように、制御部50は、ブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)について、放電モードに設定する(ステップS270)。これにより、系統電源Kからの電力に基づく負荷追従運転が行なわれることにより、第一蓄電システム10の蓄電池12により2000(W)が負荷Hに供給される。したがって、第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30からそれぞれ2000(W)が負荷Hに供給されることになり、系統電源Kからの買電量は、40500(W)となる。
これにより、放電時間が終了するまでに、蓄電池12に確保していた電力を有効に活用することができる。また、本実施形態のように、充放電時間帯設定モードにおいて、充電時間(系統電源Kからの電力を充電する時間帯)を電力料金が安い時間帯に設定し、放電時間を電力料金が高い時間帯に設定した場合に、電力料金を節約することができる。すなわち、停止モードに設定されたブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)の蓄電池12に充電された電力が残っている場合、上記蓄電池12に充電された料金が安い電力を放電終了時刻まで利用することができ、料金が高い時間帯での買電量を減少させ、電力料金を節約することができる。
また、本実施形態において、充電開始時刻となれば、制御部50は、全ての蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)について、充電モードに設定する。
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、
系統電源Kと負荷Hとを接続する電路(電力経路L)に接続され、前記負荷Hへ電力を供給可能な複数の供給部(蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30))を具備する電力供給システム1であって、
前記蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)は、
前記電力経路Lを流通する電力を検出可能な検出部(センサ14・24・34)と、
電力を充電可能であると共に、前記センサ14・24・34の検出値に基づいて当該充電された電力を放電する負荷追従運転を行うことで前記負荷へと電力を供給可能な蓄電池12・22・32と、
を具備し、
前記電力供給システム1は、
前記系統電源Kからの買電量が第一の電力量を超えた場合、前記系統電源Kからの電力を遮断するブレーカー40と、
前記複数の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうち、所定数の蓄電システム(第一蓄電システム10)について、電力の放電を停止させる停止モードに設定し、
前記系統電源Kからの買電量が、前記第一の電力量よりも小さい第二の電力量を超えた場合、前記停止モードに設定した蓄電システムについて、電力を放電させる放電モードに設定する制御部50と、
を具備するものである。
このように構成することにより、ブレーカー40による電力の供給の遮断を防止することができる。すなわち、例えば、負荷H側で第一の電力量を超える電力が消費された際に、系統電源Kからの電力では賄えない電力を確保すべく、全ての蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)から電力を放電させた場合、当該蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)の蓄電池12・22・32の蓄電池残量が0となれば、買電量が第一の電力量以上となり、ブレーカー40により系統電源Kからの電力が遮断される。
本実施形態では、予め所定数の蓄電システム(第一蓄電システム10)を停止モードに設定しておくことで、当該所定数の蓄電システム(第一蓄電システム10)の蓄電池12に充電された電力を確保しておくことができる。また、買電量が第二の電力量を超えた場合に、停止モードに設定された蓄電システム(第一蓄電システム10)を放電モードに設定することで、買電量が第一の電力量を超える前に、上記蓄電池12に確保された電力を放電させることができ、ブレーカー40による電力の供給の遮断を防止することができる。
また、前記制御部50は、
前記系統電源Kからの買電量が、前記第二の電力量よりも小さい第三の電力量以下となった場合、前記放電モードに設定した蓄電システム(第一蓄電システム10)について、前記停止モードに設定するものである。
このように構成することにより、ブレーカー40により電力の供給が遮断される可能性が低い場合には、蓄電システム(第一蓄電システム10)の放電を抑制し、電力を蓄電池12に確保しておくことができる。
また、前記制御部50は、
前記複数の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうち、前記蓄電池12・22・32の積算放電電力量が小さいものから順番に、放電優先順位を決定し、
前記放電優先順位が最も低いものから順番に、前記所定数の蓄電システム(第一蓄電システム10)について、前記停止モードに設定するものである。
このように構成することにより、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量の均等化を図ることができる。すなわち、積算放電電力量が大きい(放電優先順位が低い)蓄電池12・22・32の放電電力量を少なくすることができ、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量の均等化を図ることができる。これにより、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量に偏りが生じ、特定の蓄電池の劣化が進むようなことを抑制することができる。
また、前記制御部50は、
前記系統電源Kからの買電量が、前記第二の電力量を超えた場合、前記停止モードに設定した蓄電システム(第一蓄電システム10)のうち、前記放電優先順位が最も高いものについて、前記放電モードに設定するものである。
このように構成することにより、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量の均等化を図ることができる。すなわち、蓄電池12・22・32の積算放電電力量が小さい(放電優先順位が高い)蓄電池12・22・32の放電電力量を大きくすることができ、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量の均等化を図ることができる。これにより、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量に偏りが生じ、特定の蓄電池の劣化が進むようなことを抑制することができる。
また、前記制御部50は、
前記系統電源Kからの買電量が、前記第二の電力量よりも小さい第三の電力量以下となった場合、前記放電モードに設定した蓄電システム(第一蓄電システム10)のうち、前記放電優先順位が最も低いものについて、前記停止モードに設定するものである。
このように構成することにより、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量の均等化を図ることができる。すなわち、積算放電電力量が大きい(放電優先順位が低い)蓄電池12・22・32の放電電力量を小さくすることができ、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量の均等化を図ることができる。これにより、複数の蓄電池12・22・32の放電電力量に偏りが生じ、特定の蓄電池の劣化が進むようなことを抑制することができる。
また、前記制御部50は、
前記蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)について、電力を放電する時間帯(放電時間)及び前記系統電源Kからの電力を充電する時間帯(充電時間)を設定する充放電時間帯設定モードを設定可能であり、
前記充放電時間帯設定モードが設定された状態で、
前記停止モードに設定された蓄電システム(第一蓄電システム10)について、前記蓄電池12に充電された電力を放電した場合の放電可能時間を算出し、
前記放電時間が終了するまでの時間が、前記放電可能時間以下となった場合、前記停止モードに設定された蓄電システム(第一蓄電システム10)について、前記放電モードに設定するものである。
このように、放電終了時刻(すなわち、充電開始時刻)になった後は、ブレーカー遮断防止用蓄電システムは、充電された電力を放電する機会を失ってしまうことから、現在時刻から放電終了時刻までの残り時間が放電可能時間以下となった場合には、ブレーカー遮断防止用蓄電システムに充電された電力の放電を積極的に促している(ステップS260及びS270参照)。なお、現在時刻から放電終了時刻までの残り時間が放電可能時間以下となった場合とは、ブレーカー遮断防止用蓄電システムが現在時刻から放電を行った場合であっても、放電終了時刻までに電力残量の全てを使え切れない状況であることを意味する。これにより、放電終了時刻の前にブレーカー遮断防止用蓄電システムに電力残量がなくなるのを防止し、放電の必要がある場合(ステップS140参照)に放電ができなくなること防止することができる。
また、このように構成することにより、放電時間が終了するまでに、蓄電池12に確保していた電力を有効に活用することができる。これにより、例えば、充電時間を比較的電力料金が安い時間帯(例えば深夜)に設定し、放電時間を比較的電力料金が高い時間帯に設定した場合、放電時間(比較的電力料金が高い時間帯)が終了するまで、停止モードに設定された蓄電システム(第一蓄電システム10)の蓄電池12に充電された料金が安い電力を利用することができ、比較的料金が高い時間帯での買電量を減少させ、電力料金を節約することができる。
なお、本実施形態に係る第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30は、本発明の供給部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るセンサ14・24・34は、本発明の検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る電力経路Lは、本発明の電路の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、電力供給システム1は、集合住宅に設けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィス等に設けられるものであってもよい。
また、本実施形態において、蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)の台数は、3台であるものとしたが、これに限定されるものではなく、2台以上の任意の台数とすることができる。
また、本実施形態において、ブレーカー遮断防止用蓄電システム(第一蓄電システム10)の台数は、1台であるものとしたが、これに限定されるものではなく、蓄電池12・22.32に十分な電力を確保する観点等から、適宜の台数とすることができる。
また、本実施形態においては、蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)は、太陽光発電部11・21・31を具備するものとしたが、これに限定されるものではなく、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電する発電部を具備するものとしてもよい。
また、本実施形態において、制御部50は、ハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12・22・32に対して、放電モード、充電モード及び停止モードを設定する制御を行なう構成としているが、これに限定されるものではなく、ハイブリッドパワコン13を介さず、制御部50によって放電モード、充電モード及び停止モードを設定する制御を行なう構成としてもよい。
また、本実施形態において、蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)は、太陽光発電部11・21・31及びハイブリッドパワコン13・23・33を具備するものとしているが、これに限定されるものではなく、太陽光発電部11・21・31及びハイブリッドパワコン13・23・33を具備しないものとしてもよい。
また、本実施形態において、複数の蓄電システム(第一蓄電システム10、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30)のうち、蓄電池12・22・32の当日までの積算放電電力量に基づいて放電優先順位を決定しているが、これに限定されるものではなく、任意に定めた期間の積算放電電力量に基づいて放電優先順位を決定してもよい。