〔実施形態1〕
本発明の一実施の形態について図1〜図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1は、実施形態1および2に係る蓄電池充電システム100の構成を示すシステム構成図である。
まず、各実施形態に共通する蓄電池充電システム100の構成について説明する。
図1に示すように、蓄電池充電システム100は、一般家屋などの電力需要のある建屋に設けられる。蓄電池充電システム100は、分電盤1と、負荷2と、外部発電機3と、電力センサユニット4,5と、電力センサユニット4に付随するCTセンサー6a,6bと、電力センサユニット5に付随するCTセンサー6c,6dと、電力モニタ7(充電電力算出装置)と、ソーラーパネル11〜13と、蓄電池21,22と、パワーコンディショナ31〜33とを備えている。なお、パワーコンディショナ31〜33については、図1において「PCS」と記載するとともに、後述する説明においてPCS31〜33と称する。
分電盤1は、外部発電機3、PCS31〜33または電力系統10からの交流電力を建屋の各所に分岐させる装置であり、各種のブレーカを有している。分電盤1については、後に詳しく説明する。
負荷2は、建屋の内外に配置される、家電機器、照明、電気給湯器などの電力消費機器である。これらを合算して負荷2とする。
外部発電機3は、PCS31〜33に接続されない発電機である。外部発電機3の例としては、家庭用燃料電池などが挙げられる。なお、外部発電機3がないシステム構成もある。
電力センサユニット4は、分電盤1における主幹回路の売電電力および買電電力を計測する装置である。また、電力センサユニット4は、CTセンサー6a,6bにて測定した電流および電圧検出回路にて測定した電圧に基づいて売買電力を計算する。また、外部発電機3がある場合は、もう1台の電力センサユニット5を設けて、CTセンサー6c,6dにて測定した電流および電圧検出回路にて測定した電圧に基づいて外部発電機3の発電電力を計測する。
電力モニタ7は、PCS31〜33の状態、ソーラーパネル11〜13の発電量、蓄電池21,22の充放電量、電力センサユニット4で計測した売買電力、電力センサユニット5で計測した外部発電電力、および、負荷2(需要家)の消費電力などを表示する。また、電力モニタ7は、蓄電池21,22が短時間で充電するように、蓄電池21,22の性能、蓄電状態などに基づいて、蓄電池21,22の充電電力(後述する上限充電電力)を計算し、当該充電電力を制御指令としてPCS32,33に与える。なお、電力モニタ7については、後に詳しく説明する。
電力センサユニット4、電力センサユニット5、電力モニタ7およびPCS31〜33は、RS−485などのシリアル通信規格にしたがったシリアル通信ケーブル8を介して相互に通信可能に接続されている。電力モニタ7は、電力センサユニット4と通信することにより、売買電力情報を取得する。また、電力モニタ7は、電力センサユニット5と通信することにより、外部発電機3の発電電力情報を取得する。
電力モニタ7は、PCS31〜33と通信することにより、ソーラーパネル11〜13および蓄電池21,22の状態を取得し、かつ、PCS31〜33に蓄電池21,22の制御指令を与える。
蓄電池21,22は、それぞれソーラーパネル12,13で発電された電力により充電することができる。蓄電池21,22は、それぞれPCS32,33(充電制御装置)に接続されており、必要に応じて放電してPCS32,33に電力を出力する。また、蓄電池21,22は、ソーラーパネル32,33の発電電力を蓄える以外に、電力系統10からの買電力を充電する。例えば、電気料金の安い夜間時間帯に電力系統10からの買電電力を充電しておき、電気料金の高い昼間時間帯に放電する。
PCS31〜33は、ソーラーパネル11〜13の発電電力が常に最大となるようにソーラーパネル11〜13の動作電圧を制御し、ソーラーパネル11〜13または蓄電池21,22から出力される直流電力を交流電力に変換して、分電盤1に供給する。また、PCS31〜33は、ソーラーパネル11〜13の発電電力から、蓄電池21,22に蓄えられる電力および分電盤1に接続された負荷2に供給する電力を差し引いて残る余剰電力を電力系統に逆潮流させる。また、PCS32,33は、電力系統10からの買電電力を交流電力から直流電力に変換して、蓄電池21,22に充電させる。さらに、PCS32,33は、電力モニタ7からの制御指令に基づいて蓄電池21,22の充放電を制御する。
続いて、分電盤1および電力センサユニット4の詳細について説明する。図2は、蓄電池充電システム100における分電盤1および電力センサユニット4の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、分電盤1は、2つの配電線L1,L2と中性線Nとからなる単相3線式の主幹回路と、主幹回路から分岐された分岐回路とを有する。
主幹回路には、主幹ブレーカ1aが設けられている。負荷2を所有する需要家が、電力会社とで取り決められた契約電力を超えて電力を使用し続けると、主幹ブレーカ1aが電力供給を遮断する。このため、契約電力を超えない範囲で負荷2を使用しなければならないし、契約範囲を超えない範囲で蓄電池21,22を充電しなければならない。
100Vの分岐回路は、主幹回路における配電線L1および中性線Nの2線、および主幹回路における配電線L2および中性線Nの2線から分岐した回路であり、それぞれに分岐ブレーカ1b,1cが設けられている。分岐ブレーカ1b,1cには、それぞれ負荷2を構成する負荷2a,2bが接続されている。また、200Vの分岐の場合は、主幹回路における配電線L1および配電線L2の2線から分岐した回路である(図示せず)。
主幹回路における主幹ブレーカ1aの負荷側には、PCS30(PCS31〜33)に接続される連係ブレーカ1dが設けられている。連係ブレーカ1dは、PCS30を介して出力されるソーラーパネル11〜13の発電電力を電力系統10に連係させる。また、連係ブレーカ1dを介して、PCS30と配電線L1,L2とが接続されている。
なお、主幹回路における主幹ブレーカ1aの負荷側には、図示はしないが、外部発電機3に接続される、連係ブレーカ1dとは別の連係ブレーカが設けられている。この連係ブレーカは、外部発電機3の発電電力を電力系統10に連係させる。また、当該連係ブレーカを介して、外部発電機3と配電線L1,L2とが接続されている。
配電線L1にはCTセンサー6aが装着され、配電線L2にはCTセンサー6bが装着されている。CTセンサー6a,6bは、変流器(Current Transformer)などからなる電流検出器であり、それぞれ配電線L1,L2に流れる電流を検出する。
電力センサユニット4は、電圧検出回路41と、第1電流検出回路42と、第2電流検出回路43と、電力計算部44と、通信部45とを有している。
電圧検出回路41は、分電盤1の配電線L1,L2に接続されて、配電線L1,L2間の電圧を検出する。
第1電流検出回路42は、CTセンサー6aに接続されており、配電線L1を流れる電流を検出する回路である。
第2電流検出回路43は、CTセンサー6bに接続されており、配電線L2を流れる電流を検出する回路である。
電力計算部44は、電圧検出回路41によって検出された電圧と、第1電流検出回路42によって検出された電流と、第2電流検出回路43によって検出された電流とに基づいて、主幹回路の売買電力を算出する。また、電力計算部44は、売買電力の正負の値に基づき、買電電力および売電電力に派生させる。また、電力計算部44は、派生された買電電力および売電電力をそれぞれについて、積算電力量を計算して保持する。
通信部45は、電力モニタ7との通信を行う。通信部45は、電力モニタ7からの要求を受信するとともに、電力計算部44からの応答として売買電力のデータを電力モニタ7に送信する。
引き続き、電力モニタ7の詳細について説明する。図3は、電力モニタ7の構成を示す構成図である。
図3に示すように、電力モニタ7は、表示部71と、操作部72と、通信部73と、電力監視部74とを有している。
表示部71は、電力に関する各種の情報を表示するために設けられている。
操作部72は、表示部71に表示させる情報の選択などの操作を行うために設けられている。操作部72は、機械式の操作ボタンによって構成されるが、表示部71上に設けられたタッチパネルを入力デバイスとして利用した、表示部71に表示された画面に設けられている操作ボタンによって構成されてもよい。
通信部73は、電力センサユニット4およびPCS30と上述したシリアル通信ケーブル8を介した通信を行う。通信部73は、通信によって、電力センサユニット4から売買電力のデータを取得し、PCS30から、PCS30の状態、ソーラーパネル11〜13の発電量、蓄電池21,22の充放電量などを取得する。また、通信部73は、通信によって、電力モニタ7からの制御指示をPCS30に伝える。
通信部73は、RS−485などのシリアル通信規格にしたがった形式の通信電文の送受信を行う。具体的には、通信部73は、所望とする情報を要求するための要求電文を送信し、通信相手から送信された応答電文によって要求した情報を受信する。
電力監視部74は、電力センサユニット4およびPCS30から収集した情報に基づいて各種の電力の状態を監視し、必要に応じて電力の状況を表示部71に表示させる。電力監視部74は、このような機能を実現するために、消費電力計算部75と、充電電力計算部76と、表示制御部77とを有している。
消費電力計算部75は、取得した各種の電力情報に基づいて、負荷2の消費電力を所定の時間間隔で計算する。消費電力計算部75は、消費電力を計算するために、PCS30からソーラーパネル11〜13の発電電力および蓄電池21,22の充放電電力を取得し、電力センサユニット5から外部発電機3の発電電力を取得し、電力センサユニット4から売買電力を取得する。
ここで、図1に示すように、ソーラーパネル11〜13の発電電力は、それぞれG1〜G3で表される。外部発電機3の発電電力はEで表される。蓄電池21,22の充電電力はそれぞれC1,C2で表され、蓄電池21,22の放電電力はそれぞれD1,D2で表される。電力系統10からの買電電力はBで表され、電力系統10への売電電力はSで表すものとする。
これにより、負荷消費Lは、以下の式(1)のように表される。
L=(G1+G2+G3+E)−(C1−D1+C2−D2)+(B−S)…(1)
式(1)において、G1+G2+G3+Eは総発電電力を表し、C1−D1+C2−D2は蓄電池21,22の充放電電力を表し、B−Sは売買電力を表している。
充電電力計算部76は、契約電力を超えない範囲で充電するために、蓄電池21,22のそれぞれに割り当てる上限充電電力を計算する。充電電力計算部76については、後に詳しく説明する。
表示制御部77は、消費電力計算部75によって計算された負荷2の消費電力、電力モニタ7に取得された、PCS30の状態、ソーラーパネル11〜13の発電量、蓄電池21,22の充放電量を表示するように表示部71を制御する。また、表示制御部77は、充電電力計算部76によって計算された、蓄電池21,22のそれぞれの上限充電電力などの情報を表示するように表示部71を制御する。
充電電力計算部76は、上記の上限充電電力を計算するために、動作指示決定部761と、充電制御対象決定部762と、充電余剰電力計算部763と、上限充電電力計算部764とを有している。
動作指示決定部761は、PCS32,33に対して蓄電池21,22への動作指示を決定する。動作指示としては、待機指示、充電指示、放電指示、クリーン指示がある。
待機指示とは、蓄電池21,22を充電も放電もさせない待機状態とさせる動作指示である。
充電指示とは、蓄電池21,22を充電させる動作指示である。充電指示の場合は、蓄電池21,22を充電させる電力源として、ソーラーパネル12,13の発電だけではなく、電力系統10からの買電電力が含まれる。
放電指示とは、(電力系統10からの買電電力が100W程度となるように)蓄電池21,22を放電させる動作指示である。なお、電力モニタ7から放電指示を出したからといって、蓄電池21,22が放電するとは限らない。蓄電池21,22を放電させるか否かは、改めてPCS30側で決定される。
クリーン指示とは、電力系統10からの買電電力および電力系統10への売電電力を極力低く抑えるようにするために、蓄電池21,22を充電あるいは放電させる動作指示である。クリーン指示により充電する場合は、蓄電池21,22を充電させる電力源として、主としてソーラーパネル12,13の発電に限られる。ただし、蓄電池21,22の電圧がしきい値を下回った場合に、過放電にならない緊急の対応として、電力系統10からの買電電力で充電することもある。
充電制御対象決定部762は、動作指示決定部761で決定された動作指示や、蓄電池21,22の残容量(SOC:State of Charge)等に基づいて、蓄電池21,22にそれぞれ接続されたPCS32,33が充電対象となる機器であるか否かを決定する。
充電余剰電力計算部763は、契約電力を超えない範囲で、蓄電池の充電に回せる充電余剰電力値を計算する。なお、充電余剰電力値の計算の詳細については、後に詳しく説明する。
上限充電電力計算部764は、上記の充電余剰電力値に基づいて、蓄電池21,22にそれぞれ割り当てられる上限充電電力を計算する。充電余剰電力値によっては、充電ができないこともある。
次に、以上のように構成される電力モニタ7の動作について説明する。
図4は、電力モニタ7による充電電力決定処理の手順を示すフローチャートである。図5は、電力モニタ7による充電電力決定処理における動作指示決定処理において参照される図である。図6は、電力モニタ7による充電電力決定処理における充電対象決定処理の手順を示すフローチャートである。図7は、電力モニタ7による充電電力決定処理における充電余剰電力計算処理の手順を示すフローチャートである。図8は、電力モニタ7による充電電力決定処理における上限充電電力計算処理の手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、電力モニタ7における充電電力計算部76は、まず、動作指示決定部761が、蓄電池21,22の動作指示を決定する(ステップS1)。
次いで、充電制御対象決定部762は、PCS32,33が充電対象となる機器であるか否かを判定することで、充電制御対象を決定する処理を行う(ステップS2)。
さらに、充電余剰電力計算部763は、充電対象となる機器に対して充電余剰電力計算処理を行う(ステップS3)。
そして、上限充電電力計算部764は、充電余剰電力計算部763によって算出された充電余剰電力値に基づいて、上限充電電力算出処理を行う(ステップS4)。
続いて、動作指示決定処理(ステップS1)、充電制御対象決定処理(ステップS2)、充電余剰電力計算処理(ステップS3)および上限充電電力計算処理(ステップS4)についてそれぞれ詳細に説明する。
図5は、動作指示決定処理において参照される図である。動作指示決定処理においては、蓄電池自動運転モードと現在時刻とを基に、図5に従って動作指示を決定する。
蓄電池自動運転モードとは、蓄電池をどのように自動運転させるかというモードである。電力モニタ7には、以下のような6つの自動運転モードが用意されている。
・経済性(自動)モード
・経済性(時刻指定)モード
・クリーン(夜間充電なし)モード
・クリーン(夜間充電あり)モード
・充電優先モード
・ECHONET Lite制御モード
上記の各自動運転モードは、電力モニタ7の画面を操作することで選択できるようになっている。初期状態では、経済性(自動)モードが選択されている。
経済性(自動)モードについては、夜間時間帯である間は充電指示を行い、夜間時間帯以外は放電指示を行う。夜間時間帯かどうかは設定された夜間時間帯で判定する。
経済性(時刻指定)モードについては、夜間時間帯である間は充電指示を行い、夜間時間帯以外は、設定された放電開始時刻になるまでは待機指示を行い、放電開始時刻を迎えた後は放電指示を行う。
クリーン(夜間充電なし)モードについては、時間帯に依らずクリーン指示を行う。
クリーン(夜間充電あり)モードについては、夜間時間帯である間は充電指示を行い、夜間時間帯以外はクリーン指示を行う。
充電優先モードとは、時間帯に依らず充電指示を行う。そして、蓄電池が満充電になれば待機指示を行う。
ECHONET Lite機器専用モードとは、別途ECHONET Lite機器(図示しない)からの指示を受け付けて、蓄電池を制御するモードである。
夜間時間帯とは、蓄電池を充電するという意味での時間帯のことである。初期状態では、日本時間の23時〜7時が設定されているが、ユーザーが変更することもできる(通常は、電気料金の単価の安い時間帯を設定しておく)。
放電開始時刻とは、夜間時間帯を終えた後にすぐに放電を開始するのではなく、放電を開始する時刻を別途指定できる。初期状態では、放電開始時刻は日本時間の7時に設定されているが、ユーザーが変更することもできる(電気料金の単価が最も高くなる時間を設定しておく)。
充電制御対象決定処理においては、充電制御対象となるPCSを決定する。3つの条件があって、1つは蓄電池が接続されていること、もう1つは動作指示が充電指示あるいはクリーン指示であること、もう1つは蓄電池の残容量が100%未満であること、である。上記のいずれかに合致しなければ、充電する必要はないからである。
充電制御対象決定部762は、図6に示すように、まず、1つのPCSについて蓄電池が接続されているか否を判定する(ステップS21)。
充電制御対象決定部762は、ステップS21の処理において、PCSに蓄電池が接続されていると判定すると(YES)、動作指示が充電指示あるいはクリーン指示であるか否かを判定する(ステップS22)。充電制御対象決定部762は、ステップS22の処理において、動作指示が充電指示あるいはクリーン指示であると判定すると(YES)、PCSに接続された蓄電池の残容量が100%未満であるか否かを判定する(ステップS23)。
充電制御対象決定部762は、ステップS23の処理において、蓄電池の残容量が100%未満であると判定すると(YES)、その蓄電池が接続されたPCS(残容量を管理しているPCS)が充電制御対象であると決定する(ステップS24)。
また、充電制御対象決定部762は、ステップS21〜S23の処理において、それぞれNO判定を下した場合、その蓄電池が接続されたPCSが充電制御対象でないと決定すると(ステップS25)、処理をメインルーチンに戻す。
充電制御対象決定部762は、上記のステップS21からステップS25までの処理を、電力モニタ7が認識しているすべてのPCSについて行う。
充電余剰電力計算処理において、図7に示すように、充電余剰電力計算部763は、まず、充電制御対象決定部762による決定結果に基づいて、充電対象となる機器があるか否かを判定する(ステップS31)。充電余剰電力計算部763は、ステップS31の処理において充電対象となる機器が1台もないと判定すると(NO)、充電余剰電力値をゼロとして(ステップS32)、処理をメインルーチンに戻す。
また、充電余剰電力計算部763は、ステップS31の処理において、充電対象となる機器があると判定すると(YES)、契約電力(CP)および現在の売買電力(BS)を取得する(ステップS33)。充電余剰電力計算部763は、当該処理において、電力モニタ7に設定されている契約電力を取得するとともに、電力センサユニット4から現在の売買電力を取得する。
次いで、充電余剰電力計算部763は、現在の合計充電電力を計算する(ステップS34)。具体的には、充電余剰電力計算部763は、電力モニタ7が認識しているすべてのPCSから、蓄電池の充放電電力値を取得して、それらを合計する。なお、充放電電力値については正負の値をとる。正の値のときは充電を示し、負の値のときは放電を示す。充放電電力値が正負の値をとるので、充電余剰電力計算部763は符号あり整数で合計充放電電力を演算する。
さらに、充電余剰電力計算部763は、以下の式(2)に基づいて、充電余剰電力値AVP[W]を計算して(ステップS35)、処理をメインルーチンに戻す。
AVP=(CP×r−500)−BS+SCP …(2)
式(2)において、CPは契約電力[W]を表し、BSは現在の売買電力[W](=買電電力[W]−売電電力[W])を表し、SCPは現在の合計充放電電力[W]を表し、rは契約電力補正係数を表している。
売買電力についても正負の値をとる。正の値のときは買電を示し、負の値のときは売電を示す。充電余剰電力計算部763は、式(2)を符号あり整数で演算する。
ここで、契約電力を超えないように充電電力を調整する必要がある。負荷2(消費電力)に多少の変動があっても、契約電力を超えないようにするために、契約電力CPの値をそのまま使うのではなく、契約電力CPに契約電力補正係数rを乗じて、さらに500[W]を減じることで、十分なマージン(余裕度)を確保している。契約電力補正係数kとしては、固定値の0.9が用いられる。
式(2)を計算することで、次のタイミングで蓄電池の充電に使える電力[W]を把握することができる。これがすなわち、充電余剰電力値AVP[W]である。式(2)において現在の合計充放電電力(SCP)を加算している理由であるが、充電余剰電力値の計算結果がすなわち次回の合計充放電電力になり得るので、現在の合計充放電電力を加算しておくことが理にかなっているからである。
上限充電電力算出処理において、図8に示すように、上限充電電力計算部764は、まず、PCS32,33からそれぞれ蓄電池21,22の定格充電電力RCP[W]を取得する(ステップS41)。定格充電電力RCP[W]は蓄電池ごとに異なる値となりえる。定格充電電力の取得自体は一回実施すれば十分であるので、PCSとの通信開始時にPCSから取得してメモリに保存しておけばよい。また、ステップS41では、充電制御対象となるPCSについて、定格充電電力RCPを合計し、定格充電電力合計値(Sum_RCP)とする。
なお、上限充電電力計算部764は、充電制御対象となるPCSについてのみ上限充電電力を計算すればよい。充電制御対象ではないPCSについては、上限充電電力を0[W]にしておく。
次いで、上限充電電力計算部764は、充電余剰電力値AVP[W]が0以下であるか否かを判定する(ステップS42)。上限充電電力計算部764は、ステップS42の処理において、充電余剰電力値AVPが0以下でない(0より大きい)と判定すると(NO)、充電余剰電力値AVPが定格充電電力合計値Sum_RCP以上であるか否かを判定する(ステップS43)。
上限充電電力計算部764は、ステップS43の処理において、充電余剰電力値AVPが定格充電電力合計値Sum_RCP以上であると判定すると(YES)、蓄電池21,22のそれぞれがそれぞれの定格充電電力RCPまで充電可能であると決定して(ステップS44)、処理をメインルーチンに戻す。上限充電電力計算部764は、この決定に伴って、上限充電電力PUB[W]を蓄電池21,22についてそれぞれの定格充電電力RCP[W]に設定する。充電電力計算部76は、このように設定された上限充電電力PUBをPCS32,33に送信することで、定格充電電力いっぱいまでの充電を指示する。
また、上限充電電力計算部764は、ステップS42の処理において、充電余剰電力値AVPが0以下であると判定すると(YES)、充電が不可能であることを決定して(ステップS45)、処理をメインルーチンに戻す。上限充電電力計算部764は、この決定をした場合、上限充電電力PUB[W]を蓄電池21,22についてそれぞれ0[W]に設定する。充電電力計算部76は、このように設定された上限充電電力PUBをPCS32,33に送信することで、充電できないことを指示する。
さらに、上限充電電力計算部764は、ステップS43の処理において、充電余剰電力値AVPが0より大きく、かつ定格充電電力合計値Sum_RCPより小さい(0<AVP<Sum_RCP)と判定すると(NO)、蓄電池21,22についてそれぞれ上限充電電力を計算して(ステップS46)、処理をメインルーチンに戻す。上限充電電力計算部764は、この計算の結果、上限充電電力PUB[W]を蓄電池21,22についてそれぞれ計算した値に設定する。充電電力計算部76は、このように設定された上限充電電力PUBをPCS32,33に送信することで、上限充電電力PUBまでの充電を指示する。
ステップS46において、充電余剰電力をどのように各蓄電池に分配するかというところが、本発明の要となるところである。本明細書では4つの手法を記載している。
まず、実施形態1では、充電余剰電力を各蓄電池の現在の充電可能容量の比で分配する手法を説明する。そのシミュレーション結果については、図10を参照して後に説明する。
また、後述する実施形態2では、充電余剰電力を定格充電電力のより小さい蓄電池から順に優先的に割り当てる手法を説明する。シミュレーション結果については、図13を参照して後に説明する。
また、比較のために2つの手法を記載しておく。
比較例1では、充電余剰電力を各蓄電池で均等に分配する手法をとる。シミュレーション結果については、図11を参照して後に説明する。
比較例2では、充電余剰電力を各蓄電池の定格充電電力の比で分配する手法をとる。シミュレーション結果については、図12を参照して後に説明する。
以下、実施形態1の「充電余剰電力を各蓄電池の現在の充電可能容量の比で分配する手法」について詳しく説明する。ここで、図9に、当該手法で用いる擬似コードを示しておく。以下に、当該擬似コードについて説明する。
充電制御対象となる蓄電池の台数(=N)、蓄電池k(k=0〜N−1)の定格充電電力(=RCP[k])、充電余剰電力値(=AVP)については、すでに取得済み、または、計算済みである。
蓄電池kの現在の充電可能容量(=ACP[k])については、蓄電池kの定格全容量[Wh]と現在の残容量[%]とを各PCSから取得し、以下の式(3)で計算する。
現在の充電可能容量=蓄電池の定格全容量×(1−残容量) …(3)
現在の充電可能容量の合計値(=Sum_ACP)については、上記で求めた現在の充電可能容量を、充電制御対象となる蓄電池の分だけ合計する。
まず、ステップ1として、蓄電池kの上限充電電力(=PUB[k])を以下の式(4)で計算する。
PUB[k]=AVP×ACP[k]÷Sum_ACP …(4)
式(4)は、充電余剰電力を各蓄電池の現在の充電可能容量の比で分配する、ということを式で表したものである。
ただし、式(4)の通りに計算すると、PUB[k]が定格充電電力(RCP[k])を超える可能性がある。定格充電電力を超えて充電はできないので、定格充電電力を超える場合は定格充電電力までに抑えるようにする。また、このときに、使われなかった分の充電電力を「余り」(=Amari)として足し込む。
次に、ステップ2として、使われなかった分の充電電力があれば(Amari>0)、それを他の蓄電池の充電に回すという処理を行う。
ステップ1で計算されたPUB[k]がRCP[k]より小さいとき、PUB[k]を(最大でRCP[k]となるまで)増加させることができる。
この増加分は、次の式で計算できる。
min(RCP[k]−PUB[k],Amari)
増加させた分は、「余り」から引いておく。これを「余り」がなくなるまで繰り返す。
ステップ2を実施する意味について説明する。全蓄電池を満充電にするまでの時間を短縮するには、計算された充電余剰電力値をできるだけ充電に回すようにすべきである。ステップ1を計算するだけでは、上述の通り上限充電電力が定格充電電力を超えることがある。上限充電電力が定格充電電力を超えると、充電余剰電力値をすべて充電に回せなくなるので、全体として充電効率が低下してしまう。すなわち、全蓄電池を満充電にするまでの時間がより長くかかるようになる。そこで、ステップ2を実施することで、上限充電電力が定格充電電力を超えた電力を、他の蓄電池への上限充電電力(定格充電電力未満)に加える計算を行う。
上限充電電力計算部764は、このような処理を、上限充電電力が定格充電電力未満である蓄電池がなくなるまで、あるいは、余りの電力がなくなるまで、繰り返す。これにより、ステップ1だけを実施するのに比べて、充電余剰電力をより多く充電に回すことができる。したがって、全蓄電池を満充電にするまでの時間を短縮できる。
以上で、実施形態1に係る充電余剰電力値の分配手法を説明したが、具体的な値を挙げて再度説明する。なお、ここで挙げた数値はあくまでも一例であって、実際には種々の値を取りうるものである。
ここで、各値を以下のように設定する。ここでは、充電制御対象となる蓄電池台数(N)=2台とする。なお、便宜上、2台の蓄電池を蓄電池1および蓄電池2とする。
契約電力(CP)=6000[W]
契約電力補正係数(r)=0.9
総発電電力(G1+G2+G3+E)=2260[W]
蓄電池1の充放電電力(C1−D1)=260[W](正の値なので充電を意味する)
蓄電池2の充放電電力(C2−D2)=520[W](正の値なので充電を意味する)
現在の合計充放電電力(SCP=C1−D1+C2−D2)=780[W]
売買電力(BS=B−S)=520[W](正の値なので充電を意味する)
上記の各値に基づいて、式(1)より、負荷消費が求められる。
負荷消費(L)=総発電電力−現在の合計充放電電力+売買電力=2260−780+520=2000[W]
さらに、次のように式(2)よる計算が行われる。
充電余剰電力値(AVP)=(6000×0.9−500)−520+780=5160[W]
これにより、充電余剰電力値が求められる。
そして、各値を以下のように設定する。
蓄電池1の定格充電電力(RCP[0])=2000[W]
蓄電池2の定格充電電力(RCP[1])=4000[W]
蓄電池1の現在の充電可能容量(ACP[0])=4200[Wh]
蓄電池2の現在の充電可能容量(ACP[1])=2100[Wh]
現在の充電可能容量の合計値(Sum_ACP)=6300[Wh]
これらの設定を基に以下の処理を行う。
上記の各値に基づいて、ステップ1で、まず式(4)の通りに、蓄電池kの上限充電電力(=PUB[k])を計算する。
蓄電池1の上限充電電力(PUB[0])=5160*4200/6300=3440[W]
蓄電池2の上限充電電力(PUB[1])=5160*2100/6300=1720[W]
ところが、このままだと、蓄電池1の上限充電電力(PUB[0])が、蓄電池1の定格充電電力(RCP[0])を超えてしまう。そこで、定格充電電力を超えないように調整する。
蓄電池1の上限充電電力(PUB[0])=2000[W]
使われなかった分の充電電力として、次のように余りが計算される。
余り(Amari)=3440-2000=1440[W]
ステップ2で、この余りを、他の蓄電池(蓄電池2)の充電に回す処理を実施する。これで、蓄電池2の上限充電電力が次のように求められて計算が終了する。
蓄電池2の上限充電電力(PUB[1])=1720+1440=3160[W]
そして、電力モニタ7から、PCS32,PCS33に対して上限充電電力が指示される。
この結果、各PCS側の制御において、蓄電池の充電量が指示通りに増えるとすると、蓄電池1の充放電電力(C1−D1)が260[W]から2000[W]に増加し、蓄電池2の充放電電力(C2−D2)が520[W]から3160[W]に増加し、また、合計充放電電力が780[W]から5160[W]に増加する。
また、売買電力(買電電力−売電電力)は520[W]から4900[W]に増加する。4900[W]というのは、式(2)における(CP×r−500)と一致する。つまり、電力系統10からの買電電力が、契約電力を超えないように制御できていることを示している。
消費電力は2000[W]のまま変わりない(消費電力に変化はないと仮定する)。また、次回の充電余剰電力値は、5160[W]のまま変わらない。したがって、次の回も同様の値となって、蓄電池への充電量は安定する。ただし、蓄電池の残量が変化したら、当然に別の値を取りうる。
ここで、充電余剰電力を上記のようにして分配して蓄電池21,22を充電することをシミュレーションした結果を比較例1,2と比較した結果について説明する。
図10は、電力モニタ7によって計算された上限充電電力で充電される2つの蓄電池の充電のシミュレーションを示すグラフである。図11は、本実施形態の比較例1に係る方法によって決定された上限充電電力で充電される2つの蓄電池の充電のシミュレーションを示すグラフである。図12は、本実施形態の比較例2に係る方法によって決定された上限充電電力で充電される2つの蓄電池の充電のシミュレーションを示すグラフである。
本シミュレーションでは、蓄電池21,22について以下の条件を採用した。また、比較例1,2の蓄電池A,Bについての条件は、それぞれ蓄電池21,22についての条件と同じにした。なお、充電余剰電力値については、負荷2における消費などで変化しうるが、シミュレーションでは一定とした。
蓄電池21の全容量:6000[Wh]
蓄電池22の全容量:5000[Wh]
蓄電池21の充電開始時における充電可能容量:4200[Wh]
蓄電池22の充電開始時における充電可能容量:3000[Wh]
蓄電池21の充電開始時における残容量:30[%]
蓄電池22の充電開始時における残容量:40[%]
蓄電池21の定格充電電力:2000[W]
蓄電池22の定格充電電力:4000[W]
充電余剰電力値:2400[W]
図10に示すように、本実施形態に係る蓄電池充電システム100において電力モニタ7によって計算された上限充電電力で、蓄電池21,22の充電をシミュレーションした結果、蓄電池21,22がともに満充電となるまで30単位時間を要した。
これに対し、図11に示す比較例1では、充電余剰電力値を蓄電池A,Bのそれぞれに1:1(均等)となるように分配した上限充電電力(蓄電池A,Bともに1200[W])で、蓄電池A,Bの充電をシミュレーションした。その結果、蓄電池Bが25単位時間で満充電に達した後、蓄電池Aの充電速度が増したが(蓄電池Bの充電に使っていた電力を蓄電池Aに回したため)、30単位時間に達した時点で蓄電池Aの残量は96.7%であり、満充電には至らなかった。
また、図12に示す比較例2では、充電余剰電力値を蓄電池A,Bのそれぞれに1:2(定格充電電力の比)となるように分配した上限充電電力(蓄電池A:800[W],蓄電池B:1600[W])で、蓄電池A,Bの充電をシミュレーションした。その結果、蓄電池Bが19単位時間で満充電に達した後、蓄電池Aの充電速度が増したが(蓄電池Bの充電に使っていた電力を蓄電池Aに回したため)、30単位時間に達した時点で蓄電池Aの残量は92.0%であり、満充電には至らなかった。
以上のシミュレーションにより、本実施形態にて説明したように、上限充電電力を計算し、かつ設定することで、複数の蓄電池を満充電にするまでの充電時間を短縮できることがわかる。
なお、本実施形態の蓄電池充電システム100においては、3台のPCS31〜33が設けられており、PCS32,33にそれぞれ1台ずつ接続された2台の蓄電池21,22が設けられている。このようなシステム構成に限らず、蓄電池充電システム100においては、PCS31がなくてもよいし、4台以上のPCSが設けられていてもよいし、3台以上の蓄電池が設けられていてもよい。これは、後述する実施形態2および3についても同様である。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について図1、図8および図13に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態において、実施形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
本実施形態に係る蓄電池充電システム100が実施形態1と異なる点は、上限充電電力計算部764のところのみである。上限充電電力計算部764は、図8に示す上限充電電力計算処理におるステップS41〜S45の処理を、実施形態1の上限充電電力計算部764と同様に行う。ただし、本実施形態における上限充電電力計算部764は、ステップS46の処理において、充電余剰電力値を定格充電電力のより小さい蓄電池から順に優先的に割り当てる。
具体的には、上限充電電力計算部764は、まず、充電余剰電力値を、最も定格充電電力の小さい第1PCS(第1蓄電池)に優先的に割り当て、かつ上限充電電力が定格充電電力を超えないように、第1PCSの上限充電電力を計算する。
充電余剰電力値が第1PCSの定格充電電力よりも大きいとき、充電余剰電力値に余りが生じるので、上限充電電力計算部764は、充電余剰電力値の余りを次に定格充電電力の小さい第2PCS(第2蓄電池)に割り当て、かつ上限充電電力が定格充電電力を超えないように、第2PCSの上限充電電力を計算する。
充電余剰電力値の余りが第2PCSの定格充電電力よりも大きいとき、充電余剰電力値にさらなる余りが生じるので、上限充電電力計算部764は、充電余剰電力値のさらなる余りを次に定格充電電力の小さい第3PCS(第3蓄電池)に割り当て、かつ上限充電電力が定格充電電力を超えないように、第3PCSの上限充電電力を計算する。
このような処理を、充電余剰電力値を割り当てる蓄電池がなくなるまで、あるいは充電余剰電力値の余りがなくなるまで、繰り返す。
上限充電電力計算部764によるこのような充電余剰電力値の割り当てを行うことで、すべての蓄電池を満充電にするまでの時間を短縮することができる。
なお、本実施形態の蓄電池充電システム100においては、充電余剰電力が少ない場合に、定格充電電力の小さい蓄電池から先に充電され、定格充電電力の大きい蓄電池は、しばらくの間(定格充電電力の小さい蓄電池が満充電になるまで)充電されない、ということが生じる。このため、定格充電電力の小さい蓄電池から先に放電される可能性が高くなり、すなわち、定格充電電力の小さい蓄電池の充放電サイクルがより早く進む可能性がある。実施形態1の蓄電池充電システム100は、図10のシミュレーション結果が示すように、各蓄電池が同程度の残容量になるように充電されていくので、上記のような不都合がなく、より好ましいと言える。
図13は、本実施形態に係る電力モニタ7によって計算された上限充電電力で充電される2つの蓄電池の充電のシミュレーションを示すグラフである。
本シミュレーションでは、蓄電池21,22について実施形態1において図10に示すシミュレーションを行ったときと同じ条件を採用した。
図13に示すように、本実施形態で述べた手法を用いて、蓄電池21に優先的に充電が行われた結果、蓄電池21が20単位時間を過ぎた辺りで満充電に達し、その後、蓄電池22が30単位時間で満充電に達した。すべての蓄電池を満充電にするまでの充電時間は、実施形態1と同じである。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、なお、本実施形態において、実施形態1および2における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図14は、本実施形態に係る蓄電池充電システムの構成を示すシステム構成図である。
図14に示すように、本実施形態に係る蓄電池充電システム100Aは、実施形態1に係る蓄電池充電システム100Aと同じく、分電盤1と、負荷2と、外部発電機3と、CTセンサー6a,6b,6c,6dと、ソーラーパネル11〜13と、蓄電池21,22と、PCS31〜33とを備えている。蓄電池充電システム100Aは、計測制御ユニット9(充電電力算出装置)を備えている。
計測制御ユニット9は、実施形態1または2の蓄電池充電システム100における電力センサユニット4および電力モニタ7の機能を兼ね備えている。また、計測制御ユニット9は、PCS31〜33と、シリアル通信ケーブル8を介して相互に通信することが可能である。
したがって、蓄電池充電システム100Aによっても、実施形態1および2の蓄電池充電システム100と同様、蓄電池21,22を満充電にする時間を短縮することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
電力モニタ7および計測制御ユニット9の制御ブロック(特に充電電力計算部76)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、電力モニタ7および計測制御ユニット9は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。
そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。
上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。
上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る充電電力算出装置は、契約電力を超えない範囲で複数の蓄電池21,22に対して行う充電に供することができる充電余剰電力を各蓄電池21,22へ割り当てる上限充電電力を前記蓄電池21,22ごとに計算する充電電力算出装置(電力モニタ7,計測制御ユニット9)であって、前記充電余剰電力を各蓄電池21,22の現在の充電可能容量の比で分配した前記上限充電電力を前記蓄電池21,22ごとに算出する。
上記の構成によれば、各蓄電池の充電可能容量の比で分配されるので、各蓄電池の満充電のタイミングを合わせることができる。これにより、満充電までの時間を短縮することができる。また、充電余剰電力を用いて各蓄電池に万遍なく充電することができる。
本発明の態様2に係る充電電力算出装置は、上記態様1において、前記上限充電電力が前記蓄電池21,22の定格充電電力を超えるときに、前記上限充電電力を当該定格充電電力に変更してもよい。
上限充電電力が定格充電電力を超える場合、充電効率が低下する。そこで、上記の構成によれば、上限充電電力が対応する蓄電池の定格充電電力を超えるときに、上限充電電力を当該蓄電池の定格充電電力に変更するので、充電効率の低下を抑制することができる。
本発明の態様3に係る充電電力算出装置は、上記態様2において、前記上限充電電力が定格充電電力を超えた電力を、他の前記蓄電池21,22への前記上限充電電力に加えてもよい。
上記の構成によれば、電力が加えられた上限充電電力が定格充電電力を超える場合、その超えた電力も他の蓄電池の上限充電電力に加えられる。これにより、充電余剰電力を蓄電池の充電に有効に利用することができる。
本発明の態様4に係る充電電力算出装置は、契約電力を超えない範囲で複数の蓄電池21,22に対して行う充電に供することができる充電余剰電力を各蓄電池21,22へ割り当てる上限充電電力を前記蓄電池21,22ごとに計算する充電電力算出装置であって、前記充電余剰電力を定格充電電力のより小さい前記蓄電池21,22から順に優先的に割り当てる。
上記の構成によれば、定格充電電力が最も小さい蓄電池から優先的に充電余剰電力が割り当てられるので、定格充電電力の最も小さい蓄電池が速く充電を終え、それよりも定格充電電力の大きい蓄電池が続いて充電を終える。これにより、定格充電電力の最も小さい蓄電池以外の蓄電池の充電速度が速くなる。したがって、満充電までの時間を短縮することができる。
本発明の態様5に係る充電システムは、上記態様1から4のいずれかの充電電力算出装置(電力モニタ7,計測制御ユニット9)と、複数の蓄電池21,22と、前記蓄電池21,22ごとに設けられ、各蓄電池21,22の充電を前記充電電力算出装置が算出した前記上限充電電力に基づいて、前記蓄電池21,22の充電を制御する充電制御装置(PCS32,33)と、を備えている。
上記の構成によれば、複数の蓄電池を備えた充電システムにおいて、より効率的な充電を行うことができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。