JP6860603B2 - エアバッグ装置の仮止め構造 - Google Patents
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Description
この係止爪は、ルーフサイドレールのインナパネルに対するエアバッグ装置の最終的な締結を終えるまでエアバッグ装置をインナパネルに仮止めする。
ところで、従来のこの仮止め構造における係止爪は、ルーフサイドレールのインナパネル側で、前後方向に所定の間隔をあけて設けられた一対の係止孔に対応するようにエアバッグ装置(インフレータ保持部)側から突出している。
そして、一対の係止爪のうち、後側の係止爪の先端は、インナパネルの裏側で後方に向けてL字状に屈曲している。これにより屈曲先端における係止爪の板面は、インナパネルの裏面に当接するようになっている。つまり、後側の係止爪は、屈曲先端の板面がインナパネルの裏面に当接することによってインナパネルに対するエアバッグ装置(インフレータ保持部)の仮保持機能を主に担っている。
そして、係止孔に挿通された前側の係止爪は、エアバッグ装置(インフレータ保持部)の自重によって係止孔に引っ掛かる。つまり、前側の係止爪は、インナパネルに対するエアバッグ装置(インフレータ保持部)の脱落防止機能を主に担っている。
本実施形態においては、カーテン状にエアバッグが展開するエアバッグ装置を車体の側壁上部に仮止めする構造を例にとって説明する。
本実施形態に係るエアバッグ装置の仮止め構造は、エアバッグ装置側から延出して車体の側壁上部に形成された係止孔に挿入される仮保持爪の構造に主な特徴を有する。
具体的には、仮保持爪は、後に詳しく説明するように、エアバッグ装置側から延出する基部と、この基部から枝分かれしてさらに延出する第1係止部と第2係止部と、を有している。
図1は、本実施形態に係る仮止め構造Sを有するエアバッグ装置Aの構成説明図である。図2は、図1のエアバッグ装置Aにおけるインフレータ5の周辺の部分斜視図である。なお、図1中、展開後のエアバッグ本体3は、仮想線(二点鎖線)で示している。また、図1及び図2においては、ルーフサイドレール7の車室側(図の紙面手前側)でエアバッグ装置Aを覆うように配置されるルーフライニング部が作図の便宜上、省略されている。
エアバッグ本体3は、車体に所定値以上の衝撃が入力された際に、車室内の側部でカーテン状に展開する。折り畳まれたエアバッグ本体3は、側壁上部9に対する複数の固定部3aを有している。
本実施形態でのインフレータ5は、連結部材4を介してエアバッグ本体3の上部に取り付けられている。そして、インフレータ5は、図示を省略したが、そのガス供給口がエアバッグ本体のガス導入部に接続されている。
本実施形態での固定ブラケット1は、図1に示すように、インフレータ5の前後方向、つまりインフレータ5の長手方向に沿って複数(本実施形態では2つ)並ぶように配置されている。
図2に示すように、固定ブラケット1は、インフレータ5の支持部11と、この支持部11と一体に形成されてインフレータ5をインナパネル7aにボルトBにて締結する締結部12と、を備えている。なお、インナパネル7aには、後記するように、ボルトBの挿通孔7a2(図7参照)が形成されている。
図2中、符号7a1は、後に詳しく説明する仮保持爪2が挿入される係止孔であり、符号4は、エアバッグ本体(図示を省略)とインフレータ5とを連結する前記の連結部材である。
この固定ブラケット1は、図3(b)に示すように、帯状部材の長手方向の中央部でインフレータ5の周囲を巻回して支持部11を形成している。
また、固定ブラケット1は、帯状部材の端部同士を重ね合わせて締結部12を形成している。
そして、図3(b)に示すように、支持部11と締結部12との境には、インフレータ5の周囲に巻回した支持部11を締付ける締付部13が形成されている。この締付部13は、下回りの帯状部材から突出する突起13aが、上回りの帯状部材の対応する位置に形成された穴部13bに嵌合する構成となっている。
なお、支持部11における上回りの帯状部材は、図3(a)及び(b)に示すように、締付部13(図3(b)参照)を除いて、上回りの帯状部材よりも幅狭に形成されている。これにより図3(b)に示す穴部13bに突起13aを嵌合させる際の、インフレータ5に対する帯状部材の巻回しが容易になる。
そして、締結部12の略中央には、ボルトB(図2参照)の挿通孔12aが形成されている。なお、この挿通孔12aは、2枚重ねの下側の帯状部材の方が上側の帯状部材よりも小径になっている。
この当接縁12bは、後に詳しく説明するが、図6(c)に示すように、仮保持爪2の第2係止部23が係止孔7a1の周縁に当接した際に、インナパネル7aに当接する。
なお、この当接縁12bは、特許請求の範囲にいう「固定ブラケットの当接部」に相当する。
次に、図1に示した車体の側壁上部9であるルーフサイドレール7のインナパネル7aに対するエアバッグ装置Aの仮止め構造Sについて説明する。
本実施形態に係る仮止め構造Sは、エアバッグ装置Aを構成する固定ブラケット1側から延出する仮保持爪2(図2参照)を有している。
仮保持爪2は、図2に示すように、ルーフサイドレール7のインナパネル7a(車体の側壁上部9(図1参照))に形成された係止孔7a1に挿入される。
本実施形態での係止孔7a1のそれぞれは、平面視で上下方向に細長い矩形で形成されている。そして、これらの係止孔7a1は、前後方向に並列に配置されている。
なお、上下に延びる係止孔7a1の開口幅W1は、特許請求の範囲にいう「係止孔の開口幅」に相当する。
具体的には、仮保持爪2は、固定ブラケット1の締結部12を構成する上下2枚重ねの帯状部材のうち、下側の帯状部材の左右方向の略中央から後方に延出した途中で、上方に向けてL字状に折れ曲がって延出している。
基部21は、固定ブラケット1の締結部12における板面に対して基部21の中心線Lが垂直となるように固定ブラケット1から延出している。
この基部21は、次に説明する第1係止部22の基端部まで同じ幅W2にて上方に延びている。
基部21の中心線Lに対する第1係止部22の延出角度θ1は、内角側で90°以上、180°未満(90°≦θ1<180°)となっている。なお、延出角度θ1は、90°を超える鈍角が望ましい。
このような第1係止部22は、後記するインナパネル7aに対する固定ブラケット1の仮止め状態で(図6(c)参照)、基部21から斜め上方に延出した状態となる。具体的には、第1係止部22の延出方向は、係止孔7a1周りのインナパネル7aに沿うこととなる。
なお、本実施形態での係止孔7a1の開口幅W1は、これに第1係止部22が挿通可能なように(図5(a)参照)、第1係止部22の頂点V1と基部21の中心線Lとの距離D3に、基部21の左右幅W2の半分の長さを加えた長さに設定されているが、この長さを超えるように設定することもできる。
なお、本実施形態での係止孔7a1の開口幅W1は、これに第2係止部23が挿通可能なように(図5(c)参照)、第2係止部23の頂点V2と基部21の中心線Lとの距離D4に、基部21の左右幅W2の半分の長さを加えた長さに設定されているが、この長さを超えるように設定することもできる。
次に、本実施形態に係る仮止め構造Sにおけるインナパネル7aに対する固定ブラケット1の仮止め工程について説明する。
図5(a)から(c)は、インナパネル7aの係止孔7a1に対して仮保持爪2を挿入する際の工程説明図である。図6(a)から(c)は、係止孔7a1に挿入した後における仮保持爪2の動作説明図である。
そして、固定ブラケット1の仮保持爪2のうち、第1係止部22がインナパネル7aの係止孔7a1に挿入される。
なお、図5(c)は、仮保持爪2の基部21が係止孔7a1の右端に当接した状態を示している。
図5(a)から(c)中、符号5は、インフレータである。
図6(a)は、図5(c)に示すインナパネル7aに対する固定ブラケット1と同じ状態を示している。図6(a)に示すように、固定ブラケット1に掛る負荷を解放すると、固定ブラケット1は、鉛直方向に自然落下を開始する。
これにより固定ブラケット1は、インフレータ5の自重によって、第2係止部23の当接部を中心に、白抜き矢印方向に回動する。
この際、仮保持爪2の基部21は、係止孔7a1の右端(係止孔の周縁)に当接する。
つまり、固定ブラケット1は、仮保持爪2の第2係止部23と、締結部12の当接縁(当接部)と、基部21と、によって、インナパネル7aに支持される。
これにより固定ブラケット1のインナパネル7aに対する仮止め工程が終了する。
図7に示すように、インナパネル7aに対する固定ブラケット1の最終的な締結位置は、図6(c)に示す仮止め状態の固定ブラケット1を上方に移動させることで、仮保持爪2の基部21が係止孔7a1の左端(係止孔の周縁)に当接する状態で、固定ブラケット1の締結部12がインナパネル7aに沿うように配置されている。
なお、図7中、符号5は、インフレータである。
次に、本実施形態のエアバッグ装置Aの仮止め構造Sの奏する作用効果について説明する。
本実施形態の仮止め構造Sにおいては、仮保持爪2における基部21の中心線Lからの第1係止部22の頂点V1距離D3と、基部21の中心線Lからの第2係止部23の頂点V2の距離D4との合計距離D1は、係止孔7a1の開口幅W1よりも長くなるように設定されている。
また、第2係止部23の基部21からの延出長さと基部21の幅W2との合計距離D2は、本実施形態での係止孔7a1の開口幅W1よりも短くなるように設定されている。
しかしながら、従来の仮止め構造においては、回動支点となる一方の係止爪をインナパネルの係止孔に挿入するべくインフレータ保持部を傾けた際に、インフレータ保持部から延び出したインフレータの先端部がインナパネルと干渉することによって、前記の一方の係止爪がインナパネルの係止孔に挿入できない場合が生じる。
しかしながら、車体の左右両側において、左右両側のそれぞれでインナパネルに対するインフレータの取付位置を前後方向に相互に一致させることを考慮すると、前記のように長いインフレータを配置する場合には、車体の中心軸を挟んで左右対称構造の2種類のインフレータ保持部が必要となる。
したがって、本実施形態に係る仮止め構造Sによれば、従来の仮止め構造(例えば、特許文献1参照)と異なって、インフレータ5が前後方向に長くなってもインナパネル7aに干渉することなく取り付けることができる。
このような仮保持爪2は、係止孔7a1に挿入された後、これらの基部21、第1係止部22及び第2係止部23によって、固定ブラケット1をインナパネル7aに支持する(図6(a)から(c)参照)。つまり、仮保持爪2は、従来の仮止め構造(例えば、特許文献1参照)の係止爪と異なって、仮保持機能と脱落防止機能とを一つの形状にて発揮するように構成されている。
したがって、本実施形態の仮止め構造Sは、部品点数を減らすことができるとともに、より簡素化された構成とすることができる。
このような仮止め構造Sによれば、インナパネル7aに対する固定ブラケット1の仮止め状態が、より安定化する。
このような仮止め構造Sによれば、インナパネル7aに対する固定ブラケット1の仮止め状態が、より一層安定化する。
前記実施形態では、1つの仮保持爪2を有する同一形状の固定ブラケット1をインフレータ5の長手方向に2つ並べて配置した仮止め構造Sについて説明したが、単一の固定ブラケット1に2つの仮保持爪2を有する構成とすることもできる。
2 仮保持爪
3 エアバッグ本体
5 インフレータ
7a1 係止孔
7 ルーフサイドレール
7a ルーフサイドレールのインナパネル(側壁上部)
9 側壁上部
11 支持部
12 締結部
12b 固定ブラケットの当接縁(当接部)
21 仮保持爪の基部
22 仮保持爪の第1係止部
23 仮保持爪の第2係止部
A エアバッグ装置
D1 距離D3と距離D4との合計距離
D2 第2係止部の延出長さと基部の幅との合計距離
D3 基部の中心線からの第1係止部の頂点の距離
D4 基部の中心線からの第2係止部の頂点の距離
L 基部の中心線
S エアバッグ装置の仮止め構造
V1 第1係止部の頂点
V2 第2係止部の頂点
W1 係止孔の開口幅
W2 基部の幅
Claims (6)
- 車体側に形成された係止孔に挿入される仮保持爪を有するエアバッグ装置の仮止め構造であって、
前記仮保持爪は、
前記エアバッグ装置側から延出する基部と、
前記基部から屈曲して斜め上方に延出する第1係止部と、
前記第1係止部の延出方向の反対側に、前記基部から延出する第2係止部と、
を有し、
前記基部の中心線からの前記第1係止部の頂点の距離と、前記基部の中心線からの前記第2係止部の頂点の距離との合計距離は、前記係止孔の開口幅よりも長く、
かつ前記第2係止部の前記基部からの延出長さと、前記基部の幅との合計距離は、前記係止孔の開口幅よりも短く、
前記係止孔の開口幅は、前記基部の中心線からの前記第1係止部の頂点の距離に、前記基部の幅の半分の長さを加えた長さ以上に設定される、
ことを特徴とするエアバッグ装置の仮止め構造。 - 前記エアバッグ装置は、車体の側壁上部に取り付けられて衝撃の入力時に前記側壁上部からカーテン状に展開するように折り畳まれたエアバッグ本体と、
前記エアバッグ本体の長手方向に沿うように前記エアバッグ本体の上部に取り付けられて衝撃の入力時に前記エアバッグ本体にガスを供給するインフレータと、
前記インフレータを前記側壁上部に固定する固定ブラケットと、
を備え、
前記仮保持爪は、前記固定ブラケットから延出していることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置の仮止め構造。 - 前記基部の中心線に対する前記第1係止部の延出角度θ1は、内角側で90°以上、180°未満(90°≦θ1<180°)であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアバッグ装置の仮止め構造。
- 前記基部の中心線に対する前記第2係止部の延出角度θ2は、90°(θ2=90°)であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置の仮止め構造。
- 前記固定ブラケットは、前記第2係止部が前記係止孔の周縁に当接した状態で、車体に対する当接部を有することを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置の仮止め構造。
- 前記仮保持爪は、前記インフレータの長手方向に沿って複数有することを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置の仮止め構造。
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