本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、および右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側(正面側)、後側(背面側)、上側、下側、左側、および右側とする。
図1及び図2を参照し、パチンコ機1の概略構成を説明する。パチンコ機1には、遊技盤2が設けられている。遊技盤2は、正面視で略正方形の板状であり、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置(図示略)に遊技球(図示外)を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技球発射装置(図示略)によって発射された遊技球は、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央に、枠状の装飾枠11が配設されている。装飾枠11の中央下側に、特別図柄始動入賞口15が設けられている。特別図柄始動入賞口15の下側に、遊技領域4の中央下端部まで流下した遊技球を回収するアウト口16が設けられる。特別図柄始動入賞口15の右方には、アタッカー17が配設されている。アタッカー17が備える開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球はアタッカー17に入賞する。
遊技盤2の後面側には、LCD(液晶ディスプレイ)等の表示面27を有する画像表示装置28が設けられている。表示面27は、正面視で装飾枠11の内側に設けられ、前方に向けて画像を表示可能である。表示面27は、例えば、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の演出図柄を変動させる図柄変動を表示した後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示する報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。遊技領域4の右斜め下部には図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、特別図柄表示部、普通図柄表示部、特別図柄記憶数表示LED、および普通図柄記憶数表示LEDを備える。
表示面27の右前側には、装飾体50が設けられている。装飾体50は、遊技盤2の後側に取り付けられる演出装置30(図3参照)によって、動作可能に支持される。演出装置30は、後述の制御部(図示略)から送信されるコマンドに応じて、装飾体50を動作させる。演出装置30の構成の詳細については、後述する。
遊技盤2の後面側には、制御部(図示略)が設けられる。制御部は、主基板(図示外)及びサブ基板(図示外)等を含む。主基板はパチンコ機1の主制御を司る。主基板には、各種の演算処理を実行するCPU、データを一時的に記憶するRAM、および制御プログラム等を記憶したROMが設けられている。サブ基板は、主基板と電気的に接続されている。サブ基板は、主基板と同様に、CPU、RAM、およびROMが設けられている。サブ基板は、演出装置30及び画像表示装置28等と電気的に接続する。サブ基板は、主基板から送信されるコマンドに従って、演出装置30及び画像表示装置28等を動作させ、演出に関する総合的な制御を実行する。本実施形態では、遊技球が、特別図柄始動入賞口15に入賞すると、制御部は大当り判定を実行する。制御部は、大当たりであると判定すると、大当たり遊技を実行し、アタッカー17の開閉部材を開放する。制御部は、アタッカー17に入賞した遊技球に応じて、賞球を払い出す。
図3〜図10を参照し、演出装置30の構成の概略を説明する。尚、図5では、可動体40の一部を省略して図示する(図6も同様)。図3及び図4に示すように、演出装置30は、支持部材35、可動体40、モータ20、回転体90、及び装飾体50を備える。支持部材35は、正面視で矩形状の板状部材であり、装飾枠11(図2参照)の右下部の後方で固定される。支持部材35の前面には、ラック32と、樹脂製の二つのブッシュ39とが固定される。ラック32は、左右方向に直線状に延びる。二つのブッシュ39は、ラック32の上側で左右方向に並ぶ。
可動体40は、樹脂製の箱状体である。可動体40は、連結部材38とスライドレール19を介して、支持部材35に左右方向に移動可能に連結する。連結部材38とスライドレール19は、ラック32を間にして上方から順に並ぶ。連結部材38は、左側面視でL字状の樹脂製の板状部材である。連結部材38は、左右方向に延びる矩形板部38Aと、矩形板部38Aから上方に延出する延出部38Bとを備える。矩形板部38Aは、可動体40の後部の上端部に設けられ、且つ、ラック32に対して上方から対向する。延出部38Bの上部には、左右方向に長い長孔38Cが形成されている。長孔38Cには、樹脂製の二つのブッシュ39が摺動可能に連結している。以下、長孔38Cと二つのブッシュ39を総称する場合、「案内部37」と称する。スライドレール19は、支持部材35の前面に固定された固定レール19Aと、可動体40の後面の下端部に固定された可動レール19Bとを含む。固定レール19Aと可動レール19Bは、いずれも左右方向に延びる。可動レール19Bは、複数の転動体(図示略)を介して、固定レール19Aに摺動可能に連結する。固定レール19A、可動レール19B、及び複数の転動体は、いずれも金属製である。
可動体40は、上壁部42、前壁部44、及び板状部材46(図4参照)を含む。上壁部42は、案内部37とスライドレール19との間に配置される。上壁部42の下面には、上述した連結部材38の矩形板部38Aが連結する。上壁部42には、上下方向に延びる回転軸線Mを中心に半円弧状に延びるガイド孔42Aが形成されている。ガイド孔42Aは、回転軸線Mよりも後側、且つ、矩形板部38Aよりも前側に配置されており、上壁部42を上下方向に貫通する。回転軸線Mを中心としたガイド孔42Aの形成角度は、一例として、略134度である。
前壁部44は、上壁部42の前端から下方に延びる。前壁部44には、正面視で矩形状の露出孔44Aが形成される。前壁部44は、露出孔44Aの下端から後方に延出する延出板(図示略)と、延出板に設けられた丸孔(図示略)とを有する。延出板は、上下方向に厚さを有する板状である。丸孔は延出板を上下方向に貫通する。
図4に示すように、板状部材46は、上下方向に厚さを有する板状である。板状部材46は、上壁部42(図3参照)とラック32との間で固定される。また、板状部材46が配置される上下方向位置は、案内部37とスライドレール19との略中間である。板状部材46の下面には、下方に向けて突出する略円柱状の突部46A(図10参照)が形成されている。
図4、図6、及び図10に示すように、モータ20は、板状部材46よりも下側で、可動体40(図3参照)の内部で固定される。モータ20は、スライドレール19と案内部37とのうちで、スライドレール19に近い位置に設けられる。モータ20は、ケース21と、ケース21から板状部材46に向けて突出する出力軸22(図10参照)と、出力軸22に固定されたモータギヤ23とを含む。ケース21は、ロータ(図示略)及びコイル(図示略)等を収容しており、上述した制御部(図示略)のサブ基板に電気的に接続する。出力軸22は、モータギヤ23よりも上方へ突出する。
出力軸22の先端部(上端部)には、ピニオン68が固定される。ピニオン68の外径は、モータギヤ23の外径よりも僅かに小さい。ピニオン68は、モータギヤ23と接触している。また、ピニオン68はラック32と噛み合う。これにより、モータギヤ23の駆動力は、可動体40を左右方向へ移動させる力に変換される。出力軸22の先端は、ピニオン68の中央孔68Aの内側に進入している(図10参照)。また、ピニオン68の中央孔68Aには、板状部材46の上述の突部46Aが上方から挿入している。突部46Aと中央孔68Aとの間には、僅かに隙間が形成されている。
図5、図6、及び図8を参照し、回転体90の構成を説明する。回転体90は、回転軸線Mを中心として回転可能に、可動体40(図3参照)に設けられる。以下の説明では、単に「時計回り」及び「反時計回り」と称す場合には、それぞれ、回転軸線Mを中心とした平面視における回転方向を示す。
回転体90は、円筒部92と延出部93とを含む。円筒部92の軸線は、回転軸線Mと一致する。円筒部92の筒孔92A(図8参照)は、上下方向に開放されている。円筒部92の下端部は、可動体40の上述した延出板(図示略)の丸孔(図示略)に、回転可能に嵌る。一方、円筒部92の上端部は、可動体40の上壁部42から上方に突出する。円筒部92の下部は、可動体40の露出孔44Aから前方に向けて露出する。延出部93は、円筒部92の外周面の上端部から、回転軸線Mから離隔する方向へ延出する。延出部93は、可動体40の上壁部42よりも上方に配置される。
延出部93の下面には、下方に向けて突出する柱状部93A(図4参照)が、設けられる。柱状部93Aは、ガイド孔42A(図6参照)に摺動可能に嵌る樹脂製のブッシュ43(図4参照)を支持する。以下、柱状部93A、ブッシュ43、及びガイド孔42Aを総称する場合、「装飾体案内部49」(図4参照)と称す。装飾体案内部49は、上下方向において案内部37とスライドレール19の間に位置する。また、装飾体案内部49は、回転軸線Mの径方向において、案内部37と回転軸線Mとの間に位置する。
円筒部92の下部の外周面には、回転軸線Mを中心とした半円弧状のギヤ99が形成される。ギヤ99は、モータギヤ23と噛み合う(図5参照)。これにより、モータ20の駆動力は、回転体90(即ち後述の装飾体50)を回転させる力に変換される。本実施形態では、回転体90の回転に伴って、ギヤ99の周方向の一部が、露出孔44Aを通過する。
図7及び図8に示すように、回転体90の上端部には支持部材55が設けられる。支持部材55は、回転体90から上方に延びる一対の延設部55Aと、一対の延設部55Aの上部に設けられた支持板55Bとを含む。一対の延設部55Aは、回転体90の筒孔92Aを間にして、回転軸線Mの径方向に並ぶ。一対の延設部55Aは、いずれも、延出部93の柱状部93A(図4参照)よりも、回転軸線M側に位置する。支持板55Bは、回転軸線Mを中心とした周方向に厚さを有する板状である。支持板55Bの反時計回り側の端面は、LED基板58を支持する。支持板55Bとは反対側のLED基板58の端面には、複数のLED58Aが設けられている。尚、LED基板58に接続されるハーネス(図示略)は、回転体90の筒孔92Aの内側を経由して可動体40の下部から引き出されている。このハーネスは、制御部(図示略)のサブ基板と、LED基板58とを接続する。
図5、図7、及び図9を参照し、装飾体50の構成を説明する。装飾体50は、支持部材55に固定される。つまり、装飾体50は、回転体90と一体的に、可動体40に対して相対的に回転する。装飾体50は、装飾部材60を含む。装飾部材60は、一例として、キャラクタの頭部を模った上下方向に延びる箱体である。装飾部材60は、支持板55B及びLED基板58を内側に収容している。装飾部材60では、回転軸線Mと直交する断面の中心である断面中心H(図9参照)が、回転軸線Mからずれた位置にある。本実施形態では、装飾部材60の何れの高さ位置においても、断面中心Hは回転軸線Mからずれている。尚、断面中心Hは、幾何学的な手法によって特定される。つまり、装飾部材60の一部が、装飾部材60の他部とは異なる比重を有するか否かに影響されることなく、断面中心Hは特定される。
図5及び図7に示すように、装飾部材60は、透光材料からなる透光部位61と、遮光材料からなる遮光部位62とによって形成される。透光部位61は、LED58Aが放つ光を透過させる一方、遮光部位62は、LED58Aが放つ光を遮断する。本実施形態では、透光部位61はキャラクタの顔面等を模っており、遮光部位62はキャラクタの頭髪を模っている。
装飾部材60は、顔面部72、後頭部74、及び頭頂部76を含む。顔面部72は、キャラクタの顔面を模った板状であり、反時計回りに向けて湾曲する。顔面部72の上端部は、遮光部位62によって形成されており、遮光部位62よりも下側の顔面部72の部位は、透光部位61によって形成されている。顔面部72では、遮光部位62よりも透光部位61が多く配置されている。顔面部72の外表面のうち、回転軸線Mの周方向の中心部位である第一外表面81は、装飾部材60の最も上下方向に長い外表面である。
顔面部72は、反時計回り側から、LED基板58及び支持板55Bを覆う。顔面部72の時計回り側の端部は、枠状に形成された開口端部72Aである。開口端部72Aは、時計回り側へ向かう程、装飾体50の内側空間に向けて湾曲する。顔面部72の透光部位61の内表面には、支持板55Bに向けて延びる二つの延伸円筒部(図示略)が、設けられる。支持板55Bに形成された二つの筒部55Cのそれぞれに挿通された螺子(図示略)が、顔面部72の延伸円筒部に締め付けられる。これにより、顔面部72は、支持板55Bに固定される。
後頭部74は、キャラクタの後頭部を模った板状であり、時計回りに向けて湾曲する。後頭部74の下部は、透光部位61によって形成されており、後頭部74のうち透光部位61よりも上側の部位は、遮光部位62によって形成されている。後頭部74は、時計回り側から、支持板55Bを覆う。後頭部74は、透光部位61を上下方向に貫通するハーネス挿通孔74Aを備える。ハーネス挿通孔74Aは、円筒部92の筒孔92A(図8参照)と上下方向に並ぶ。ハーネス挿通孔74Aには、サブ基板とLED基板58とを接続する上述のハーネス(図示略)が挿通される。
後頭部74の遮光部位62には、支持板55Bに向けて凹む三つの凹部78(図11(a)参照)が設けられる。凹部78の底壁部には、挿通孔(図示略)が設けられる。凹部78の挿通孔に挿通された各螺子は、支持板55Bに形成された締結穴55D(図8参照)に締め付けられる。これにより、後頭部74は支持板55Bに固定される。尚、後頭部74を支持板55Bに固定する螺子の頭部は、凹部78の内側に位置する。
頭頂部76は、キャラクタの頭頂部を模った板状であり、上側に向けて湾曲する。本実施形態の頭頂部76は、遮光部位62のみによって形成される。頭頂部76は、後頭部74に対して、後頭部74の内側空間を上側から覆うように係合する。
後頭部74と頭頂部76は、顔面部72に対して時計回り側から接続する板状部材をなす。以下、後頭部74と頭頂部76とを総称する場合、「頭髪部77」と称す。頭髪部77の反時計回り側の端部は、開口端部77Aである。開口端部77Aは、反時計回り側に向かう程、装飾体50の内側空間に向けて湾曲する。開口端部77Aは、顔面部72の開口端部72Aの形状と一致する。開口端部77Aが開口端部72Aに接触することで、装飾部材60は、内側空間を閉塞する。頭髪部77の外表面のうち、回転軸線Mの周方向の中心部位である第二外表面82(図11(a)参照)は、装飾部材60の最も上下方向に短い部位である。第二外表面82は、顔面部72の第一外表面81と、回転軸線Mの周方向に並ぶ。
図4、図6、及び図11〜図14を参照し、演出装置30の動作の仕方について説明する。図11(a)、図12(a)、及び図13(a)は、動作前の演出装置30を図示する。図11(b)、図12(b)、及び図13(b)は、動作後の演出装置30を図示する。本実施形態では、一例として、制御部(図示略)は、大当たり遊技に伴って、演出装置30を動作させる。
動作開始前の演出装置30は、初期状態である。演出装置30が初期状態である場合、可動体40は可動範囲の右端位置にあり(図4参照)、左方にあるブッシュ39が、長孔38Cの左端に接触しており、ピニオン68はラック32の右端部に接触している。また、演出装置30が初期状態である場合、装飾体50は回転範囲の時計回り側の端にあり(図4、図13(a)参照)、ブッシュ43はガイド孔42Aの時計回り側の端に接触している。さらに、演出装置30が初期状態である場合、頭髪部77は遊技者にとって視認容易であり(図11(a)参照)、第二外表面82は(図11(a)参照)は回転軸線Mよりも右前方に配置される。一方、顔面部72は頭髪部77の後方に配置されており、遊技者にとって視認困難である。第一外表面81(図12(a)参照)は、回転軸線Mの左後方にあり視認困難である。また、演出装置30が初期状態である場合、表示面27(図2参照)と正面視で重なる装飾体50の部位は、最も小さい。
図4及び図11に示すように、制御部がモータ20を駆動させることで、ピニオン68とモータギヤ23は、出力軸22を中心に平面視で時計回りに回転する。ピニオン68がラック32を伝って左方へ移動する。これにより、可動体40は、左方へ直線移動する(矢印A)。この場合、スライドレール19の可動レール19Bが、固定レール19Aに対して摺動し、且つ、案内部37の長孔38Cが、二つのブッシュ39に対して摺動する。装飾体50は、表示面27(図2参照)と正面視で重なる部位を増大させながら、左方へ移動する。
同時に、図6及び図11〜図13に示すように、モータギヤ23が、ギヤ99を回転させることによって、装飾体50は、回転体90及び支持部材55と一体的に、反時計回りに回転する(矢印B方向)。この場合、装飾体案内部49のブッシュ43(図4参照)が、ガイド孔42Aに対して摺動することで、装飾体50は滑らかに回転する。回転する顔面部72は、正面視で左方へ移動する。つまり、正面視において、顔面部72が回転する向きと、可動体40が移動する向きは、いずれも左方となる。また、装飾体50の回転に伴って、頭髪部77は、前側から後側へ向けて回転し、顔面部72は後側から前側に向けて回転する。
ブッシュ43が、ガイド孔42Aの反時計回り側の端部に接触したとき、装飾体50は、回転範囲の反時計回り側の端に到達する。本実施形態では、一例として、装飾体50の回転角度は略130度である。装飾体50が回転範囲の端に到達すると同時に、可動体40は可動範囲の左端に到達する。案内部37の長孔38Cの右端は、右方にあるブッシュ39に接触する。制御部は、モータ20の駆動制御を停止する。以下、このときの演出装置30の状態を、「稼働状態」と称す。稼働状態にある装飾体50を二点鎖線によって図示し、初期状態にある装飾体50を実線によって図示している。演出装置30が稼働状態である場合、正面視で表示面27と正面視で重なる部位は、最も大きい。
図11(b)及び図12(b)に示すように、演出装置30が稼働状態である場合、頭髪部77は回転軸線Mよりも後側に配置されており、第二外表面82は回転軸線Mよりも右後方に配置される。頭髪部77は、遊技者にとって視認困難となる。一方、顔面部72は、回転軸線Mよりも前側に配置される。より詳細には、顔面部72の第一外表面81と、顔面部72の透光部位61は、回転軸線Mに対して左前方(即ち遊技者側)に配置される。顔面部72は、遊技者にとって視認容易となる。尚、上述したように、顔面部72の開口端部72Aは、時計回り側(即ち第一外表面81とは反対の頭髪部77側)に向かう程、装飾体50の内側空間に向かうように湾曲している。従って、演出装置30が稼働状態である場合、顔面部72の開口端部72Aは、遊技者にとって視認困難であり、顔面部72と頭髪部77との繋ぎ目は視認困難となる。よって、パチンコ機1は装飾体50の見栄えを向上できる。
図14に示すように、制御部がLED58A(図7参照)を発光させる。LED58Aが放つ光は、装飾体50の透光部位61を通過する。これにより、装飾体50は発光する。本実施形態では、第一外表面81が、回転軸線Mよりも左前方(即ち遊技者側)にあるので、LED58Aが放つ光によって、装飾体50の外表面で最も上下方向に長い部位である第一外表面81が、強調される。よって、装飾体50のインパクトが強まる。
以上、説明したように、装飾体50と回転体90は、可動体40の直線移動によって移動すると共に、回転する。従って、装飾体50の移動量は増大する。さらに、装飾体50の装飾部材60の断面中心Hが、回転軸線Mからずれた位置にあるので、回転体90の回転に伴う装飾部材60の移動量は、大きくなる。さらに、視認困難な状態から視認容易な状態になる顔面部72は、正面視において可動体40の移動する向きと揃う。従って、装飾体50の動作に伴う顔面部72の移動量は、増大する。以上より、パチンコ機1は、装飾体50の動きのインパクトを大きくできる。
装飾体50の回転に伴って、頭髪部77に代えて顔面部72が視認容易となる。つまり、装飾部材60の透光部位61と遮光部位62との正面視における配置比率が変化する。従って、装飾体50の動作に伴う外観の変化が大きくなる。故に、装飾体50の動きのインパクトは、更に大きくなる。
演出装置30が待機状態である場合、回転軸線Mの右前方に配置され第二外表面82が視認容易であり、且つ、装飾部材60のうちで表示面27と正面視で重なる部位は、最も小さい。一方、演出装置30が稼働状態である場合、回転軸線Mの左前方に配置された第一外表面81が視認容易であり、且つ、装飾部材60のうちで表示面27と正面視で重なる部位は、最も大きい。つまり、演出装置30が待機状態から稼働状態に切り替わることによって、表示面27と正面視で重なる装飾体50の部位が増大しつつ、第二外表面82に代えて第一外表面81が見え易くなる。これにより、装飾体50の外観の変化が大きくなるので、装飾体50の動きのインパクトは、更に大きくなる。
また、顔面部72は、第一外表面81と第二外表面82とのうちで、第一外表面81のみを含む。つまり、装飾体50の回転に伴って、装飾体50の外表面のうちで最も上下方向に長い第一外表面81は、視認困難な状態から視認容易な状態に変化し、装飾体50の外表面のうちで最も上下方向に短い第二外表面82は、視認容易な状態から視認困難な状態に切り替わる。従って、装飾部材60の外観の変化は、更に大きくなる。
回転軸線Mは上下方向に沿って延び、顔面部72は、装飾体50の回転に伴って、遊技者に対して接離する方向である前後方向に沿って移動する。顔面部72の動きの立体感が増すので、装飾体50の動きのインパクトを更に大きくできる。
後頭部74の凹部78は、遮光部位62に形成され、凹部78の内部に螺子が配置される。これにより、演出装置30が初期状態である場合に、頭髪部77が視認容易であっても、凹部78の内側に配置される螺子(図示略)は、視認困難となる。よって、パチンコ機1は、装飾体50の見栄えを向上できる。
また、ピニオン68がラック32を伝い且つモータギヤ23がギヤ99を回転させる。これにより、装飾体50は、左右方向に移動し、且つ、回転軸線Mを中心に回転する。モータ20が、支持部材35ではなく可動体40に設けられているので、モータ20の動力を装飾体50の移動力に変換する機構は、簡易になる。例えば、モータ20とピニオン68とを支持部材35に設け、ラック32を可動体40に設けた機構が考えられる。しかし、このような機構では、可動体40を左右方向に移動させることはできるが、支持部材35に設けられたモータ20の動力で、装飾体50を回転させることは困難である。結果、モータ20とは異なる駆動源を可動体40に設ける必要があるので、機構の複雑化を招いてしまう。しかしながら、本実施形態では、単一の駆動源であるモータ20が可動体40に設けられることによって、簡易な構成によって、装飾体50を直線移動且つ回転移動させることができる。故に、装飾体50を動作させる機構を簡易化したパチンコ機1が実現される。
本実施形態では、ピニオン68とラック32は、モータ20の動力を可動体40の移動力に変換する。例えば、可動体40に設けたモータ20の動力を可動体40の移動力に変換させる機構として、公知のクランク機構を採用することが考えられる。具体的には、可動体40に設けられた回転部材(図示略)と、左右方向に沿って延びる棒状部材とを備えた機構を採用することが考えられる。回転部材は、モータ20と連結しており、上下方向に延びる軸回りに回転可能である。棒状部材の一端部は、上記の回転部材に摺動可能に連結し、他端部は支持部材35に固定される。しかしながら、このような構成では、支持部材35、可動体40、及び棒状部材を互いに連結させるために、複数の連結部材が必要となる結果、機構の複雑化を招いてしまう。しかしながら、本実施形態では、ピニオン68とラック32とが噛み合うだけで、モータ20の動力は、可動体40の移動力に変換可能となる。故に、装飾体50を動作させる機構は、上記のような機構に比べて、簡易になる。
ピニオン68はモータ20の出力軸22に固定される。モータ20の動力をピニオン68に伝達するギヤ等の動力伝達部材が不要となるので、装飾体50を移動させる機構は、更に簡易になる。また、ピニオン68が出力軸22に固定されているので、モータ20の駆動開始直後に、可動体40は移動を開始でき、モータ20の駆動終了直後に可動体40は停止できる。従って、パチンコ機1は、可動体40の左右方向位置を正確に制御できる。
モータギヤ23は、出力軸22のうち、ピニオン68よりも基端側(つまりケース21側)となる部位に固定される。装飾部材60と一体的に回転するギヤ99は、可動体40のコンパクト化を実現するために小径化する必要があるので、装飾体50の回転に伴って出力軸22に加わる負荷は、増大する傾向にある。従って、モータギヤ23が、出力軸22の先端側に設けられていると、モータ20の故障が生じ易くなる。しかしながら、本実施形態では、モータギヤ23が出力軸22の基端側にあるので、出力軸22に加わる負荷を低減させると共に、モータ20の故障を抑制できる。
出力軸22の先端(上端)は、ピニオン68の中央孔68Aの内側に配置されている。これにより、出力軸22を短くできる。これにより、可動体40が移動することに伴って出力軸22に加わる負荷は、増大しにくくなり、モータ20の故障を抑制できる。また、例えば、パチンコ機1が長期間に亘って使用されることによって、ラック32の歯部が摩耗した場合、ラック32を伝うピニオン68に、例えば前後方向を向く突発的な力が作用する虞がある。しかしながら、仮にこのような場合が生じたとしても、ピニオン68は、突部46Aに接触できる。故に、ピニオン68に作用する突発的な力は、出力軸22に伝わりにくく、パチンコ機1はモータ20の故障を抑制できる。
装飾体50は、モータギヤ23に噛み合うギヤ99と一体的に回転する。従って、モータ20の動力を装飾体50に伝達させるギヤ等の動力伝達部材は、ギヤ99だけになる。よって、モータ20の動力を装飾体50の回転力に変換する機構は、更に簡易にある。さらに、モータ20の動力を装飾部材60に伝達させる動力伝達部材がギヤ99だけであるので、モータ20の駆動開始直後に、装飾部材60は回転を開始し、モータ20の駆動停止直後に、装飾部材60は回転を停止できる。従って、パチンコ機1は、装飾体50の回転位置を正確に制御できる。
また、ピニオン68とモータギヤ23は互いに接触している。従って、出力軸22の長さを短くできるので、モータ20の故障を抑制できる。また、ギヤ99は、回転に伴って露出孔44Aを通過する。つまり、可動体40の前壁部44は、ギヤ99を避けるようにして後方に配置されるので、可動体40の前後方向の長さは、短くなる。さらに、LED基板58と制御部とを接続するハーネス(図示略)は、円筒部92の筒孔92Aに挿通される。従って、可動体40の内側空間を有効に活用できるので、可動体40は更にコンパクト化する。
また、スライドレール19と案内部37が、上下方向に間隔を空けて設けられていた方が、可動体40に突発的な荷重が加わっても、スライドレール19と案内部37とのいずれかに集中的に荷重が加わる事態は、生じにくい。従って、パチンコ機1は可動体40を安定して左右方向に案内できる。そして、スライドレール19と案内部37との間に、モータ20の動力を可動体40の移動力に変換するピニオン68及びラック32が設けられる。従って、可動体40は、上下方向において短くなるので、可動体40をコンパクト化できる。従って、パチンコ機1は、装飾体50を移動させる機構を小型化できる。
モータ20は、スライドレール19と案内部37とのうちで、スライドレール19に近い位置に設けられる。これにより、可動体40、装飾体50、及びモータ20を集合体と捉えた場合の重心は、スライドレール19に近くなる。従って、スライドレール19と案内部37とのうち、スライドレール19に、上記集合体の自重に起因する荷重が加わり易くなる。しかしながら、固定レール19Aと可動レール19Bとの間に複数の転動体が介在しているので、スライドレール19に加わる荷重は、分散され易い。さらに、スライドレール19の固定レール19A、可動レール19B、及び複数の転動体は、いずれも、金属材料から形成されている。よって、スライドレール19の耐荷重性は高い。故に、パチンコ機1は、スライドレール19と案内部37との破損を抑制し、可動体40を左右方向に安定して案内できる。
装飾体案内部49は、上下方向において、スライドレール19と案内部37との間に設けられる。従って、装飾体50を移動させる機構は、更に小型化する。また、連結部材38は、可動体40の上壁部42の下面と、支持部材35の前面とに連結している。従って、装飾体50の回転に伴って、ブッシュ43がガイド孔42Aを摺動しても、上壁部42は下方に撓みにくい。よって、遊技機は、装飾体50を滑らかに回転させることができる。
装飾体案内部49は、回転軸線Mの径方向において、スライドレール19及び案内部37と、回転軸線Mとの間に設けられる。これにより、可動体40の前後方向における長さは、更に短くなる。
上記実施形態において、パチンコ機1は、本発明の「遊技機」の一例である。モータ20は、本発明の「駆動手段」の一例である。装飾部材60は、本発明の「所定部位」の一例である。顔面部72は、本発明の「装飾部」の一例である。LED58Aは、本発明の「発光体」の一例である。
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。支持部材35は、装飾枠11に固定される代わりに、装飾枠11に移動可能に設けられてもよい。この場合、支持部材35は、モータ20とは異なる駆動源から動力を得て移動してもよい。装飾体50は、ギヤ99と一体的に回転可能である代わりに、複数のギヤ部材を介して、ギヤ99と連結していてもよい。つまり、複数のギヤ部材が設けられることで生じるバックラッシ分、装飾体50は、ギヤ99に対して遅れて回転してもよい。可動体40が、左右方向に移動可能となる構成が採用される代わりに、前後方向又は上下方向等に沿って移動可能な構成が採用されてもよい。
モータ20に代えて例えばソレノイドが、駆動源として可動体40に設けられてもよい。この場合、ソレノイドの駆動に応じて直線移動する所定のラック(図示略)と、この所定のラックと噛み合う所定のピニオンとが、可動体40に設けられてもよい。ピニオン68とギヤ99が、種々の動力伝達部材を介して、この所定のピニオンと連結すれば、ソレノイドの駆動に伴って、ピニオン68とギヤ99はそれぞれ回転可能である。また、単一のモータ20で、回転体90を回転させ且つ可動体40を移動させる代わりに、モータ20の動力で回転体90を回転させ、且つ、支持部材35に設けられた他のモータ(図示略)の動力で、可動体40を移動させてもよい。この場合、モータ20と、支持部材35に設けられた他のモータが、本発明の「駆動手段」の一例となる。
スライドレール19に代えて、支持部材35に設けられた所定の長孔と、可動体40に設けられ、且つこの長孔に摺動可能に連結するブッシュとが設けられてもよい。この場合、案内部37は、スライドレール構造を有していてもよい。また、演出装置30は、スライドレール19と案内部37のいずれか一方のみを備えていてもよい。
装飾体50の回転中心である回転軸線Mは、上下方向に延びてもよいし、前後方向又は左右方向に延びてもよい。また、装飾体50は、キャラクタの頭部を模る代わりに、物品、建造物、文字、図形、又は動植物等を模ってもよい。
装飾部材60の断面中心Hは、上下方向に亘って、回転軸線Mからずれていることに限定されない。装飾部材60の少なくとも一部において、回転軸線Mと直交する断面中心Hが、回転軸線Mからずれていればよい。
装飾部材60の遮光部位62は、LED58Aが放つ光を遮断する代わりに、LED58Aが放つ光の一部のみを遮断してもよい。つまり、遮光部位62は、透光部位61よりも透光性を有していればよい。また、顔面部72と頭髪部77は、それぞれ、透光部位61によってのみ形成されていてもよいし、遮光部位62によってのみ形成されていてもよい。
演出装置30が待機状態である場合に、頭髪部77が視認困難であり、顔面部72が視認容易であってもよい。つまり、演出装置30が初期状態から稼働状態に切り替わることで、頭髪部77が視認困難な状態から視認容易な状態に切り替わってもよい。この場合、演出装置30が待機状態から稼働状態に切り替わることに伴い、頭髪部77の回転する向きが、正面視において、可動体40が移動する方向と揃ってもよい。本変形例において、頭髪部77が、本発明の「装飾部」の一例となる。
また、演出装置30が待機状態から稼働状態に切り替わる途中で、表示面27と正面視で重なる装飾体50の部位が最も多くなってもよいし、表示面27と正面視で重なる装飾体50の部位が最も小さくなってもよい。
尚、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、図柄表示装置、大入賞装置、始動入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。 従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「演出装置」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。
更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。