以下、本発明を適用した遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図18に基づいて説明する。図1に示すように、遊技板11の前面には、ガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域R1が形成されている。
遊技板11の前面は、遊技機10の前面に開閉可能に取り付けられた前面枠10Zにて覆われ、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技領域R1の全体が視認可能となっている。ガラス窓10Wの周囲には、装飾ランプ35が設けられ、ガラス窓10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられている。上皿26の両側には、スピーカ25,25が備えられ、下皿27の右端部には操作ノブ28が設けられている。そして、操作ノブ28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。なお、上皿26に備えたボタン29を押すと上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。
遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、異形の遊技板表示窓11Hが貫通形成されており、その遊技板表示窓11Hに遊技板11の裏面側から表示装置30が対向している。表示装置30は、液晶モジュール(例えば、TFT−LCDモジュール)で構成され、その表示画面30Gが、遊技板11の奥側に配置されている。
遊技板11の前面中央には、表示画面30Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から遊技板表示窓11Hに嵌め込まれ、遊技板表示窓11Hの内側に張り出すと共に、遊技板11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の前側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、始動入賞口14、大入賞口15及びアウト口16が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。また、大入賞口15の右側には、サイド入賞口21が設けられ、始動入賞口14の左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20,20が設けられている。また、表示装飾枠23の左側には始動ゲート18、風車19が上から順に設けられている。また、図示しないが、遊技領域R1には多数の障害釘が植設されている。
遊技領域R1の各部位についてさらに詳説する。始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過すると当否判定が行われる。その当否判定の結果は、表示装置30の表示画面30G或いは、表示装置30とは別の表示装置(図示せず)にて表示される。例えば、当たり(以下、「小当たり」という)の場合は「○」が表示され、外れの場合は「×」が表示される。
始動入賞口14は、遊技板11の前面から突出した部材の上面に遊技球が1つずつ入賞可能な開口を備えた、所謂、ポケット構造をなしている。
始動入賞口14の開口の左右両側には可動翼片14C,14Cが備えられている。これら両可動翼片14C,14Cは、常には起立状態になっている。このとき両可動翼片14C,14Cに挟まれた始動入賞口14の開口幅は、遊技球が1つだけ入る大きさとなっている。そして、上述した「小当たり」となった場合に可動翼片14C,14Cが所定期間に亘って横に倒される。すると、すると、始動入賞口14の両脇を流下する遊技球が可動翼片14Cに受け止められて始動入賞口14に案内されるようになって始動入賞口14に入賞し易くなる。
また、始動入賞口14に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき4個の遊技球が上皿26に払い出されると共に当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置30にて表示される。
具体的には、表示装置30には、図1に示すように、通常、3つの左、中、右の特別図柄32A,32B,32Cが横並びに停止表示されている。これら各特別図柄32A,32B,32Cは、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄32A,32B,32Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14に遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄32A,32B,32Cが、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄32A,32B,32Cが停止表示される。始動入賞口14への入賞に起因した当否判定結果が当たり(以下、「大当たり」という)の場合には、図1に示すように3つの特別図柄32A,32B,32Cが全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、その後、遊技が「大当たり状態」に移行する。これに対し、判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、通常の遊技状態が続行する。
大入賞口15は横長矩形状をなしており、通常の遊技状態では、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、「大当たり状態」になると、図1に示すように可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒される。すると、大入賞口15が前方に開放し、可動扉15Tを案内にして大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。
大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき15個の遊技球が上皿26に払い出される。
サイド入賞口21及び一般入賞口20,20に遊技球が入賞した場合も、1個の入賞につき所定複数個の賞球が上皿26に払い出される。
上述した各入賞口14,15,20,21の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。
表示装飾枠23は、中央に開口部を備え、前面が、表示装置30で行われる表示演出に対応したデザイン形状をなしている。表示装飾枠23の下辺の内側上面は、遊技球が左右に転動可能なステージ24となっている。また、表示装飾枠23には、遊技領域R1を流下する遊技球をステージ24に誘導するための図示しないワープ路が形成されている。ワープ路は、例えば、表示装飾枠23の左側辺を貫通しており、表示装飾枠23の左側方を流下する遊技球をステージ24に誘導可能となっている。ステージ24は、左右両側から中央部に向かって下るように傾斜しており、ステージ24上で左右に転動した遊技球は、ステージ24のほぼ中央前端縁から流下する。
ところで、本実施形態の遊技機10は、表示装飾枠23の内側領域で往復動するセンター演出役物50を備えている。センター演出役物50は、表示装飾枠23の左下隅部に配設されており、通常は、図2に示すように表示装飾枠23の左側辺の裏側に隠れた「出現待機位置」に配置されている。
これに対し、特定の演出開始条件が成立すると、センター演出役物50は「出現待機位置」から表示画面30Gと平行に右側方に水平移動して、図3に示す「中間出現位置」に配置される。中間出現位置では、センター演出役物50が表示画面30Gの左下部分と重なった状態になる。
センター演出役物50は、「中間出現位置」からさらに、直動方向と直交した水平な搭載回転軸J4(具体的には、図5に示すヒンジピン51P)を中心として回動する。即ち、図3から図4への変化に示すように、センター演出役物50は搭載回転軸J4を中心にして時計回り方向に回動して、センター演出役物50全体が表示画面30Gの中央寄りに傾いた「最終出現位置」(図4参照)になる。「出現待機位置」から「中間出現位置」への直動及び、「中間出現位置」から「最終出現位置」への回動は遊技者から視認可能であると共に、表示画面30Gと重なった状態で行われ、表示画面30Gに表示される演出用画像とセンター演出役物50の動作とによる一体的な演出が可能となる。
図5に示すように、センター演出役物50は、遊技板11の裏面に重ねた固定された裏セット盤40に取り付けられている。裏セット盤40は、遊技板11の裏面と対向した主板壁41と、その外縁部から前方に起立した囲壁42とを有し、前後方向で扁平な箱形構造をなしている。囲壁42の四隅には、その前端縁から側方に張り出した複数の鍔壁43,43が一体形成され、それら鍔壁43,43が遊技板11の裏面に宛われて固定されている。
裏セット盤40の上側部分には、主板壁41を貫通した矩形の裏表示窓44が形成されている。裏表示窓44には、裏セット盤40の後方から表示装置30が嵌め込まれており、主板壁41の前面と表示画面30Gとが略面一に配置されている。そしてセンター演出役物50は、裏セット盤40の主板壁41のうち、裏表示窓44の左下隅部に取り付けられている。
具体的には、センター演出役物50は直動ベース51に搭載されている。直動ベース51は、水平方向で対向した1対の対向壁51A,51Aの下端部同士を中間壁51Bで連結した門形構造をなしており、1対の対向壁51A,51Aでセンター演出役物50を遊技機10の前後方向(図6の紙面と直交する方向)から挟んでいる。なお、図6〜図11には、1対の対向壁51A,51Aの一方のみが示されている。
直動ベース51には、センター演出役物50の下面と当接して支持する支持壁51C(図9〜図11参照)が一体に備えられている。支持壁51Cは、中間壁51Bから直角に起立しかつ上端部が直角曲げされた形状となっている。この支持壁51Cが、センター演出役物50にかかる重力に抗してセンター演出役物50を、図7に示す「傾動原点姿勢」に位置決めしている。
直動ベース51における1対の対向壁51A,51A間には、前記した搭載回転軸J4としてのヒンジピン51Pが差し渡されており、このヒンジピン51Pがセンター演出役物50における右端寄り部分を貫通している。ヒンジピン51Pによってセンター演出役物50と直動ベース51とが連結され、センター演出役物50が直動ベース51に対して、図7に示す「傾動原点姿勢」と図8に示す「傾動終点姿勢」との間で回動可能になっている。
直動ベース51は、裏セット盤40の主板壁41に固定された直動ガイド部53に連結されている(図5参照)。直動ガイド部53は、ブラケット53Bを介して主板壁41に組み付けられている。詳細には、直動ベース51と主板壁41との間で左右方向に延びたスライドレール54と、その直動ベース51の下方でスライドレール54と平行に延びたガイドロッド55とから構成されている。
スライドレール54は、主板壁41に固定されたアウターレールと、直動ベース51の一方の対向壁51Aに固定されたインナーレールと、それらアウターレール及びインナーレールに対してスライド係合した中間レールとから構成されている。
一方、ガイドロッド55は、スライドレール54の長手方向で対向した左右1対のストッパ壁55A,55Bによって両端部が支持されている。ストッパ壁55A,55Bは、ブラケット53Bから前方に曲げ起こされて主板壁41に対して直角になっており、ガイドロッド55は、それらストッパ壁55A,55Bによって両端部が支持されている。
そのガイドロッド55に対して、直動ベース51の中間壁51Bの下面には、ガイドブロック56が固定されている。このガイドブロック56をガイドロッド55が貫通しており、ガイドブロック56がガイドロッド55に沿ってストッパ壁55A,55Bの間を直動可能となっている。
そして、上述した直動ガイド部53(スライドレール54及びガイドロッド55)の案内によって、直動ベース51(及びセンター演出役物50)が、図6に示す「直動始端位置」と図7に示す「直動終端位置」との間で水平移動可能になっている。ここで、左側のストッパ壁55Bとガイドブロック56との当接により、直動ベース51が「直動始端位置」に位置決めされ、右側のストッパ壁55Aとガイドブロック56との当接により直動ベース51が「直動終端位置」に位置決めされるようになっている。
ここで、上述したセンター演出役物50の「出現待機位置」、「中間出現位置」、「最終出現位置」を、直動ベース51の直動位置と直動ベース51に対するセンター演出役物50の姿勢とで言い換えると以下のようになる。即ち、「出現待機位置」では、直動ベース51が「直動始端位置」でかつセンター演出役物50が「傾動原点姿勢」となっている。また、「中間出現位置」では、直動ベース51が「直動終端位置」でかつセンター演出役物50が「傾動原点姿勢」となっている。そして、「最終出現位置」では、直動ベース51が「直動終端位置」でかつセンター演出役物50が「傾動終点姿勢」となっている。
図6に示すように、センター演出役物50のうち、直動ベース51に対する回転中心であるヒンジピン51P(搭載回転軸J4)とは反対側の端部寄り位置には、役物動力伝達機構59が連結されている。また、その役物動力伝達機構59には演出役物用モータ58が連結され、これら演出役物用モータ58及び役物動力伝達機構59が、表示装飾枠23の裏側に配設されている。なお、演出役物用モータ58はステッピングモータである。
図9に示すように、役物動力伝達機構59は、セクターギヤ60及び力伝達レバー61を有している。セクターギヤ60は略扇形状をなし、その回転軸60Jが、演出役物用モータ58の出力回転軸から下方にオフセットした位置に配置されている(図6参照)。演出役物用モータ58の出力回転軸にはピニオン(図示せず)が固定されており、そのピニオンとセクターギヤ60とが噛合している。本実施形態では、演出役物用モータ58の出力回転軸からセクターギヤ60に回転が減速して伝達されるように構成され、モータ動力のトルクアップが図られている。
図9に示すように、力伝達レバー61は、セクターギヤ60の後面に重ねて配置され、その回転軸61Jが演出役物用モータ58の出力回転軸から側方にオフセットした位置に配置されている(図6参照)。力伝達レバー61は、回転軸61Jを中心にして略扇形に張り出した扇形板部62と、扇形板部62の一端部外周縁から径方向外側に向かって延設された力伝達アーム63とを一体に備えている。
セクターギヤ60の裏面のうち、その回転軸60Jからオフセットした位置からは、力伝達レバー61に向かって連動ボス60Aが突出している。これに対し、力伝達レバー61の扇形板部62には径方向に延びた第1長孔62Aが貫通形成され、その第1長孔62Aに連動ボス60Aが往復動可能に受容されている(図10参照)。
力伝達レバー61の力伝達アーム63は、回転軸61Jから下方に向かって延びており、回転軸61Jから離れた先端部には第2長孔63Aが貫通形成されている。第2長孔63Aも、第1長孔62Aと同様に径方向に延びており、この第2長孔63Aをセンター演出役物50に備えた力受けピン50Pが往復動可能に貫通している(図10参照)。
力受けピン50Pは、センター演出役物50の裏面側に配置されており、搭載回転軸J4(ヒンジピン51P)及び力伝達レバー61の回転軸61Jと平行な水平方向に延びている。また、力受けピン50Pは、搭載回転軸J4(ヒンジピン51P)よりも上方にオフセットした位置に配置されている。
力伝達レバー61は、演出役物用モータ58の動力によって回動し、力受けピン50Pに動力を伝達する。具体的には、図9に示す回動始端位置と図11に示す回動終端位置との間で回動する。回動始端位置のとき、直動ベース51は「直動始端位置」に位置し、センター演出役物50は「出現待機位置」に位置する。
力伝達レバー61が回動始端位置から回動終端位置に向かって回動すると、力伝達アーム63が上方(遊技機10の裏側から見て時計回り方向)に回動する。この回動に伴い、直動ベース51を「直動始端位置」から「直動終端位置」に向かわせる力成分を含んだ押圧力(以下、「特定押圧力」という)がセンター演出役物50に付与され、図9から図10への変化に示すように、直動ガイド部53の案内により、直動ベース51が直動始端位置から直動終端位置に向かって直動する。即ち、センター演出役物50が「出現待機位置」から「中間出現位置」に向かって移動する。
ここで、直動ベース51の直動が許容されている区間(直動始端位置から直動終端位置の直前までの区間)では、第2長孔63Aが、直動ベース51の直動に伴う回転軸61Jと力受けピン50Pとの軸間距離の変化を吸収する。即ち、力伝達レバー61の回動に伴い、力受けピン50Pが力伝達アーム63の第2長孔63A内を移動するので、センター演出役物50がヒンジピン51Pを中心にして回動することはなく、センター演出役物50は自身にかかる重力と直動ベース51の支持壁51Cとにより傾動原点姿勢を保持したまま、直動終端位置に向かって直動する。
図7に示すように、ガイドブロック56が右側のストッパ壁55Aに当接すると、直動ベース51が「直動終端位置」に位置決めされる。その状態で、さらに力伝達レバー61が回動終端位置に向かって回動すると、力伝達アーム63からセンター演出役物50の力受けピン50Pに付与された特定押圧力によって、センター演出役物50にヒンジピン51P(搭載回転軸J4)を中心にしたモーメント即ち、トルクが発生し、そのトルクによりセンター演出役物50が自身にかかる重力に抗して回動する(図8及び図11参照)。つまり、センター演出役物50が、直動終端位置に位置決めされた直動ベース51に対して、「傾動原点姿勢」から「傾動終点姿勢」に変化する。さらに言い換えれば、センター演出役物50が「中間出現位置」から「最終出現位置」に向かって移動する。
図9に示すように、セクターギヤ60及び力伝達レバー61の上方位置には、力伝達レバー61の回動位置によって、センター演出役物50が「出現待機位置」に位置するか否かを検出するための位置センサ64が設けられている。位置センサ64は、例えば、発光素子と受光素子とを対向配置してなるフォトカプラである。力伝達レバー61の扇形板部62のうち、力伝達アーム63とは反対側に位置する角部には遮蔽板62Bが設けられ、センター演出役物50が「出現待機位置」に配置されると、遮蔽板62Bが発光素子と受光素子の間に入ってフォトカプラの光を遮蔽する。このとき、位置センサ64は、待機位置検出信号を出力する。
また、図6に示すように、セクターギヤ60の前方かつ回転軸60Jの側方位置には、セクターギヤ60の回動位置によって、センター演出役物50が「中間出現位置」に位置するか否かを検出するための位置センサ65が設けられている。この位置センサ65もフォトカプラである。セクターギヤ60の前面からは位置センサ65に向かって遮蔽板60Bが起立しており、センター演出役物50が「中間出現位置」に配置されると、遮蔽板62Bが発光素子と受光素子の間に入ってフォトカプラの光を遮蔽する。このとき、位置センサ65は、中間位置検出信号を出力する。
さらに、図示しないが、本実施形態では、力伝達レバー61又はセクターギヤ60の回動位置によって、センター演出役物50が「最終出現位置」に位置するか否かを検出するための位置センサも設けられている。この位置センサもフォトカプラである。そして、センター演出役物50が「最終出現位置」に配置されると、最終位置検出信号を出力する。
以上が、役物動力伝達機構59の説明である。なお、役物動力伝達機構59を構成するセクターギヤ60、力伝達レバー61及び位置センサ64,65と、演出役物用モータ58は、共通のブラケット66を介して、裏セット盤40の主板壁41のうち裏表示窓44の左側部に組み付けられている。
次に、センター演出役物50の構成について詳説する。図6に示すように、センター演出役物50は、大きく分けて、可動台座100と回転多面体80とから構成される。可動台座100は、直動ガイド部53及び直動ベース51を介して遊技機本体(より正確には、裏セット盤40)に連結され、遊技機本体に対して上記の如く表示画面30Gの前面側で直動及び回動する(図7及び図8参照)。これに対し、回転多面体80は、可動台座100に対して回転可能に支持されている。
図12に示すように、可動台座100は、回転多面体80を回転させるための回転多面体用モータ102及びその他部品を樹脂ハウジング101内に収納している。樹脂ハウジング101は、遊技機10の前後方向に対して左右方向が長くなった略箱形構造をなしている。図13に示すように、樹脂ハウジング101の天井壁101Aのうち、正面視左側部分は段付き状に高くなっており、その高くなった部分に回転多面体用モータ102が内蔵されている。なお、回転多面体用モータ102は、ステッピングモータである。
回転多面体80は、樹脂ハウジング101の天井壁101Aのうち、段付き状に低くなった右側上面から起立している。回転多面体80は演出体駆動機構110(本発明の「多面体駆動手段」に相当する)を介して回転多面体用モータ102と連結し、回転軸J1を中心にして回転可能となっている。回転軸J1は、センター演出役物50を傾動原点姿勢にした状態で鉛直方向を向いている。つまり、搭載回転軸J4(ヒンジピン51P)の軸方向と回転軸J1の軸方向とが直角な関係となっている。
以下、演出体駆動機構110に関する構成について説明する。図13に示すように、可動台座100の樹脂ハウジング101のうち、回転多面体80の真下位置には、天井壁101Aを貫通した円形の天井孔101A1が形成されている。天井孔101A1の開口縁からは、下方(樹脂ハウジング101の内側)に向かって円筒囲壁107が突出している。
円筒囲壁107の内側には回転ステム108が遊嵌している。回転ステム108は両端部が開放した円筒構造をなしており、円筒囲壁107の上方及び下方に突出している。回転ステム108の下端部には入力ギヤ108Gが一体形成されている。入力ギヤ108Gは、回転ステム108の外周面から側方に張り出したフランジ状をなし、その外周面に歯部を備えている。また、回転ステム108の上端部には、回転ステージ108Sが一体形成されている。回転ステージ108Sは、回転ステム108の外周面から側方に張り出したフランジ状をなしている。
入力ギヤ108Gの外径は円筒囲壁107よりも大径であって、円筒囲壁107の下端部から側方にはみ出している。樹脂ハウジング101における天井壁101Aと底壁101Bとの中間には第1中間壁101Cが設けられており、その第1中間壁101Cの上面に円筒囲壁107の下端部が隙間を空けて付き合わされている。その隙間に入力ギヤ108Gの外周縁部が配置されることで、回転ステム108の傾き及び上下動が規制されている。
樹脂ハウジング101の内部には、前記第1中間壁101Cよりも段付き状に高くなった第2中間壁101Dが設けられており、その上面に回転多面体用モータ102が固定されている。回転多面体用モータ102の出力回転軸は、第2中間壁101Dを貫通して垂下しており、その下端部には平歯車で構成された出力ギヤ102Gが固定されている。この出力ギヤ102Gと回転ステム108の下端部に形成された入力ギヤ108Gとが樹脂ハウジング101内で噛合して一体回転可能となっている(図12及び図13参照)。
図12に示すように、可動台座100には、回転多面体80を点灯するためのLED基板109(本発明の「発光素子基板」に相当する)が備えられている。詳細には、LED基板109は、第1中間壁101Cに形成された中間孔101C1の開口縁から上方に向かって起立し、回転ステム108の内側を貫通してその上方に突出している(図13参照)。中間孔101C1は、天井孔A1より小径になっていて、天井孔A1と同軸上に配置されている。そして、LED基板109が回転多面体80の回転軸J1上に回転不能に支持されている。
LED基板109は、ヒンジピン51P(搭載回転軸J4)と垂直に配置され、裏セット盤41(図5参照)と反対側の面、即ち、遊技者側を向いた面のうち回転ステム108より上側の部分に複数のLED109Aが装着されている。詳細には、左右横並びにした1対のLED109A,109Aが上下方向で間隔を開けて配置されている。なお、LED基板109の下端部には、図示しない接続端子が設けられており、遊技機本体から延びた図示しないケーブルが、樹脂ハウジング101の左側部に形成されたケーブル孔101K(図13参照)を介して可動台座100の内部に取り回されてLED基板109にコネクタ接続されている。
次に、回転多面体80の構成について説明する。図14及び図15に示すように、回転多面体80は、回転軸J1を囲む第1側壁81A、第2側壁81B、第3側壁81Cを備え、それら側壁81A〜81Cの上端部が天井壁80Tで連絡されている。そして、3つの側壁81A〜81Cと天井壁80Tとで囲まれた内部空間に、上述したLED基板109を収容可能になっている。
回転多面体80は、回転ステージ81Sの上面に固定され、回転多面体用モータ102によって回転軸J1の回りに回転駆動される。そして、図4に示したように、センター演出役物50が「最終出現位置」に配置された状態で、回転多面体80が回転軸J1の回りに回転することで、第1〜第3の側壁81A〜81Cの何れかの側壁が遊技者と正対する回転位置で停止するようになっている。
ここで、本実施形態では、液晶画面30Gにおける特別図柄32A〜32Cの変動表示中に回転多面体80の回転・停止動作を行い、遊技者と正対する側壁が第1側壁81Aであった場合に大当たりの信頼度が最も高く、第2側壁81Bであった場合に大当たりの信頼度が最も低くなっている。言い換えれば、回転多面体80によって大当たりの信頼度を表す演出を行うようになっている。
図14及び図16に示すように、第1〜第3の側壁81A〜81Cは、回転軸J1と平行な帯状縁部70によって区画されている(図14には、1つの帯状側壁70のみが示されている)。帯状縁部70は、回転軸J1を中心とした円筒面に沿って形成されている。言い換えれば、帯状縁部は、回転軸J1を中心とした一の円上に配置されている。そして、帯状縁部70を回転軸J1方向から見た形状が、回転軸J1を中心とした円弧状になっている(図16参照)。これにより、各側壁81A〜81Cが遊技者と正対したときに、各側壁81A〜81Cの幅方向の中心を定位置に配置することができる。
また、帯状縁部70には、後述する第1〜第3の側壁81A〜81Cに形成された第1〜第3の装飾体82A〜82Cとは異なった態様の装飾が施されている。具体的には、回転軸J1の周方向に沿って等間隔に段差を形成することで、回転軸J1と平行な縞状の装飾が施されている。
さて、本実施形態の回転多面体80は、上述のように、遊技者と正対させる側壁81A〜81Cによって大当たりの信頼度を表すようになっている。従って、各側壁81A〜81Cは、それぞれ異なった印象を遊技者に与える構成となっている。以下、各側壁81A〜81Cの構成について説明する。
図18(A)〜図18(C)に示すように、各側壁81A〜81Cは、第1側壁81A、第3側壁81C、第2側壁81Bの順番に幅狭になっている。具体的には、第1〜第3の側壁81A〜81Cの横幅をL1〜L3としたときの各横幅の比L1:L2:L3は、おおよそ9:6:7になっている。また、各側壁81A〜81Cの高さ、即ち、回転軸J1方向の長さは、ほぼ同じ大きさになっている。即ち、各側壁81A〜81Cの面積は、横幅にほぼ比例し、第1側壁81Aで最も大きく、第2側壁で最も小さくなっている。
また、各側壁81A〜81Cの外面には、互いに異なる態様の第1〜第3の装飾体82A〜82Cが形成されている。
図18(A)に示すように、第1側壁81Aに形成された第1装飾体82Aは、神殿の中から獣の顔が迫り出す様子が彫り起こされた構成になっている。第1装飾体82Aの一部分、例えば、獣の目、口及び2本の角に挟まれた部分には、透明部材で形成された点灯部83が設けられ、LED基板109によって光るようになっている。また、第1装飾体82Aの両側部には、帯状縁部70にはみ出した延出部86Aが複数形成されている。具体的には、神殿の屋根の部分と、獣の髭の部分が延出部86Aになっている。
図18(B)に示すように、第2側壁81Bに形成された第2装飾体82Bは、LED109Aの発光色によって浮き出る文字が変化する可変表示部84(本発明の「点灯部」に相当する)を枠体84Wで囲った構成になっている。また、枠体84Wは、可変表示部84の表示面84Mよりも外側(回転軸J1から離れた側)に突出し、一部が可変表示部84の前方にはみ出している(図14参照)。なお、上述した第1装飾体82Aの構成が本発明の「キャラクター構成」に相当し、第2装飾体82Bの構成が本発明の「可変表示部を有した構成」に相当する。
図18(C)に示すように、第3側壁81Cに形成された第3装飾体82Cは、全体に金メッキが施され、中央部に文字の形にかたどられたレンズ部85を備えている。そして、LED基板109によってその文字の部分が光るようになっている。詳細には、レンズ部85は、文字本体部85Aを中心とした渦状の文字装飾部85Bを備え、その文字装飾部85Bも文字本体部85Aと同時に光るようになっている。なお、第3装飾体82Cの左側上端部には、第1装飾体82Aと同様に、帯状縁部70にはみ出した延出部86Cが形成されている。
図17には、第1〜第3の装飾体82A〜82Cの第1〜第3の側壁81A〜81Cに対する凹凸の度合いが示されている。同図において符号M1〜M3は、各側壁81A〜81Cの帯状縁部70との境界線を含む基準面M1〜M3を表し、本発明の「遊技装飾面」にも相当する。各装飾体82A〜82Cの基準面M1〜M3に対する突出量について見ると、基準面第1装飾体82Aで最も大きく、第2装飾体82Aと第3装飾体82Cとでは、ほぼ同じ大きさになっている。
また、第1装飾体82Aのうち神殿と獣の顔の隙間(図18(A)における斜線で示した部分)は、基準面M1に対して陥没している。第3装飾体82Cのうち文字装飾部85Bの渦の中心寄り部分も基準面M3に対して陥没している。この第3装飾体82Cの基準面M3に対する陥没量は、第1装飾体82Aの基準面M1に対する陥没量よりも小さくなっている。一方、第2装飾体82Bには、基準面M2に対して陥没した部分がない。即ち、各装飾体82A〜82Cの基準面に対する陥没量は、第1装飾体82Aで最も大きく、第2装飾体82Bで最も小さくなっている。
このように、各装飾体82A〜82Cの基準面M1〜M3に対する凹凸の絶対量は、第1装飾体81Aで最も大きく、第2装飾体81Bで最も小さくなっている。言い換えれば、第1装飾体81Aが最も立体的な装飾態様になっていて、第2装飾体81Bが最も平面的な装飾態様になっている。
また、図18(B)に示すように、第2装飾体82Bが遊技者と正対しているときには、第1装飾体82Aの一部が帯状縁部70より外側にはみ出して遊技者に視認可能となる。このときの遊技者から見た回転多面体80の大きさ、即ち、回転多面体80を基準面M2に正射影した面積は、第1装飾体82Aが遊技者と正対したとき(図18(A)参照)の回転多面体80を基準面M1に正射影した面積よりも小さくなっている。
ところで、このように態様が異なった装飾体82A〜82Cが形成された第1〜第3の側壁81A〜81Cは、それぞれ別々の部材に備えられている。即ち、図17において異なる斜線で区別して表されているように、回転多面体80の外側部は、帯状縁部70を境界とした3つの第1〜第3の装飾部材90A〜90Cに分割可能であって、第1装飾部材90Aに第1側壁81Aが、第2装飾部材90Bに第2側壁81Bが、第3装飾部材90Cに第3側壁81Cがそれぞれ含まれている。この構成によれば、加工処理が異なる装飾部材90A〜90Cを別々に製造してから、組み付けることで、彫刻、メッキ処理といった複数種類の加工が混在した回転多面体80を効率よく製造することができる。詳細には、各側壁81A〜81Cを区画する帯状縁部70は、主として、2つの装飾部材に分割され、第2側壁81Bと第3側壁81Cとを区画する帯状縁部70のみが第3装飾部材90Cに全部含まれている。
本実施形態の遊技機10の構成は以上であって、次に作用効果の説明を行う。遊技者が操作ノブ28を操作すると遊技領域R1に遊技球が弾き出される。その遊技球は、遊技領域R1に配設された障害釘や表示装飾枠23等に衝突してランダムに方向を変えなから流下する。
遊技領域R1を流下する遊技球が始動ゲート18を通過して小当たりになると、第2の始動入賞口14Bに備えた可動翼片14C,14Cが拡開して、第2の始動入賞口14Bに遊技球が入賞可能となる。
第1の始動入賞口14A又は第2の始動入賞口14Bに入賞すると、表示装置30に表示された特別図柄32A,32B,32Cが、上下方向にスクロールして変動表示される。このとき、スピーカ25,25や装飾ランプ35等によって様々な演出が行われる。そして、特別図柄32A,32B,32Cがゾロ目で停止表示すると、通常の遊技状態から大当たり状態に移行する。
さて、遊技中は、表示装置34、装飾ランプ35及び音声による演出に加えて、センター演出役物50による演出動作が行われる。センター演出役物50は、通常は図6に示す「出現待機位置」(直動ベース51が直動始端位置かつセンター演出役物50が傾動原点姿勢)で停止している。このとき、図2に示すようにセンター演出役物50のほぼ全体が、表示装飾枠23の裏側に隠れて、遊技機に正対した遊技者からは殆ど視認できない状態になっている。
所定の演出開始条件が成立すると、センター演出役物50による演出動作が開始される。まず、センター演出役物50が右側方に水平移動して「中間出現位置」に配置され、次いで、搭載回転軸J4を中心に回転して「最終出現位置」に配置される。次いで、「最終出現位置」を維持した状態で、演出可動体用モータ102の動力により演出可動体80が回転軸J1回りに回転駆動され、前記した演出開始条件によって第1〜第3側壁81A〜81Cから選択される1つの側壁が遊技者と正対する回転位置で停止する。そして、何れの側壁81〜81Cが遊技者と正対するかによって、大当たりの信頼度を表すようになっている。
第1側壁81Aが選択されたときには、神殿から獣の顔が迫り出す立体的な彫刻が施された第1装飾体82Aが遊技者と正対する(図18(A)参照)。このとき、LED基板109によって点灯部83が点灯する。第2側壁81Bが選択されたときには、可変表示部84を備えた第2装飾体82Bが遊技者と正対する(図18(B)参照)。このとき、LED109Aの発光色によって可変表示部84に浮かび上がらせる文字が変化する。第3側壁81Cが選択されたときには、文字の形状をかたどったレンズ部85を有する第3装飾体82Cが遊技者と正対し、LED基板109によってレンズ部85が発光する(図18(C)参照)。
ここで、本実施形態の遊技機10では、第1側壁81Aの面積が、第2側壁81B、第3側壁81Cの面積よりも大きくなっているので、第1側壁81Aが遊技者と正対したときの方が第2側壁81B又は第3側壁81Cが遊技者と正対したときよりも遊技者にインパクトを与えることができ、演出に多様性を持たせて趣向性を高めることが可能になる。しかも、第1〜第3の側壁81A〜81Cが帯状縁部70に挟まれた構成になっているので、第1〜第3の側壁81A〜81Cの境界が遊技者にとって分かりやすくなり、各側壁の大小の差を遊技者に認識させやすくなる。その上、帯状縁部70には、第1〜第3の装飾体の何れとも異なった共通の装飾が施されているので、遊技者に帯状縁部70と第1〜第3の側壁81A〜81Cとの境界線をはっきりと認識させることができる。
また、第1装飾体82Aの凹凸の絶対量が、第2、第3の装飾体82B、82Cの凹凸の絶対量よりも大きくなっているので、第1装飾体82Aを第2、第3の装飾体82B、82Cよりも立体的に見せることができる。これにより、第1装飾体82Aによって遊技者に与えるインパクトを一層大きくすることができ、演出に一層多様性を持たせて趣向性を高めることが可能になる。しかも、延出部86により第1装飾体82Aが帯状縁部70を乗り越えて迫り出す印象を遊技者に与えることができ、第1装飾体81Aを一層大きく見せることが可能になる。さらに、最もインパクトのある第1側壁81Aが遊技者と正対したときに大当たりの信頼度が最も高くなっているので、遊技者の気持ちを盛り上げることができる。
このように、本実施形態の遊技機10によれば、回転多面体80の何れの側壁81A〜81Cが遊技者と正対するかによって、遊技者に与えるインパクトに差を付けることができ、演出に多様性を持たせることができ、趣向性を高めることが可能になる。
また、本実施形態では、LED基板109が回転多面体80の回転軸J1上に回転不能に支持されているので、第1〜第3の側壁81A〜81Cのうち何れの側壁が遊技者と正対しても、1つのLED基板109で点灯部83、可変表示部84又はレンズ部85を点灯させることができる。しかも、各装飾体が遊技者に与える印象をLED基板109の発光態様によっても異ならせることができ、演出に多様性を持たせることができる。
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、回転多面体80が「遊技装飾面」を3つ備えたものに本発明を適用した例を示したが、回転多面体が「遊技装飾面」を4つ以上備えたものに適用してもよい。
(2)上記実施形態では、第1〜第3の側壁81A〜81Cの面積が全て異なっていたが、少なくとも面積の異なる2種類の側壁があれば、同じ面積のものがあってもよい。
(3)第1〜第3の側壁81A〜81Cに大きさのみ異なる装飾体を形成してもよい。具体的には、上記実施形態の第1装飾体81Aの獣の顔を全ての側壁81〜81Cに形成し、その獣の顔の大きさを第1側壁81Aで最も大きくすると共に、第2側壁81Bで最も小さくしてもよい。この構成によっても、装飾体の大小の差で演出にメリハリを付けることができる。
(4)第1〜第3の側壁81A〜81Cに、例えば、4コマ漫画の各コマに相当する画を描き、側壁の面積が大きくなる順にストーリーが進行するように構成してもよい。この構成では、帯状縁部70が各コマの縁の役割を果たす。
(5)上記実施形態では、遊技者と正対する側壁81A〜81Cによって大当たりの信頼度を表していたが、確変状態、時短状態、通常状態といった遊技状態を表すようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、各装飾体82A〜82Cの凹凸の絶対量に大小の差が設けられていたが、同じであってもよい。
(7)回転多面体は、側壁を遊技者と正対させることができれば、回転軸が鉛直であっても水平であっても斜めであってもよい。
(8)回転多面体は、演出態様が異なる装飾体を有するものであれば上記実施形態に限定されるものではなく、回転多面体の各側面が発光する構成以外にも、例えば、各側面に駆動役物を備えた構成などであってもよい。