第1の発明は、金属触媒粒子が担体粒子に担持された電極触媒と、電解質樹脂と、で構成された燃料電池用電極触媒層であって、金属触媒粒子と担体粒子の表面は電解質樹脂で被覆され、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂のイオン交換基の濃度が、担体粒子の表面を被覆している領域の電解質樹脂のイオン交換基の濃度よりも低いことを特徴とする。
これにより、担体粒子の表面に被覆された電解質樹脂のイオン交換基の濃度および含水率を低下させることなく、金属触媒粒子の表面近傍に被覆された電解質樹脂のイオン交換基の濃度のみを低下させることが可能となる。また、電解質樹脂のイオン交換基が金属触媒粒子と接触することを抑制して、金属触媒粒子のイオン化を低減させることができる。
その結果、燃料電池用電極触媒層のプロトン伝導率の低下を抑制しながら、金属触媒粒子の耐久性を向上させることが可能となる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂がイオン交換基を有していないことを特徴とする。
これにより、電解質樹脂のイオン交換基が金属触媒粒子と接触することを防止して、金属触媒粒子の耐久性をより向上させることができる。また、金属触媒粒子の表面への電解質樹脂のイオン交換基の吸着を解消して、金属触媒粒子の有効反応サイトを増加させることが可能となる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂が撥水性を有することを特徴とする。
これにより、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂の含水率を低下させることで、水による金属触媒粒子の酸化を抑制し、金属触媒粒子の耐久性を更に向上させることが可能となる。
第4の発明は、第1から第3のいずれか1つの発明において、担体粒子の表面を被覆している領域の電解質樹脂が親水性を有することを特徴とする。
これにより、担体粒子の表面の含水率が増加し、プロトンの拡散経路を増加させることができるので、燃料電池用電極触媒層のプロトン伝導率の低下をより抑制することが可能となる。
第5の発明は、金属触媒粒子が担体粒子に担持された電極触媒に、イオン交換基を有する電解質樹脂を被覆した後、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂からイオン交換基を除去する燃料電池用電極触媒層の製造方法である。
この方法により、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂のみからイオン交換基を除去して、金属触媒粒子の表面のプロトン伝導率が低い電解質樹脂の厚みを低減させることで、燃料電池用電極触媒層のプロトン伝導率の低下を更に抑制することが可能となる。
第6の発明は、特に、第5の発明において、求電子置換反応により、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂からイオン交換基を除去するものである。
この方法により、電子密度が高く、且つ、結合エネルギーが低い分子鎖を有するイオン交換基を選択的に切断できるようになるため、イオン交換基の除去反応の反応サイトの選択性および反応速度を向上させることが可能となり、効率的に燃料電池用電極触媒層を製造することができる。
第7の発明は、特に、第5または第6の発明において、極低湿度の雰囲気で、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂からイオン交換基を除去するものである。
この方法により、電解質樹脂のイオン交換基のイオンの解離度が低下し、イオン交換基とイオンとの間に弱い結合が形成され、その弱い結合部分を起点に、イオン交換基の除去反応を進行させることができる。これにより、イオン交換基の除去反応における、反応サイトの選択性および反応速度を向上させることが可能となり、より効率的に燃料電池用電極触媒層を製造することができる。
第8の発明は、特に、第5から第7のいずれか1つの発明において、標準水素電極に対して、燃料電池用電極触媒層の電極電位を0.3V以下に保持した状態で、イオン交換基を除去するものである。
この方法により、イオン交換基の除去反応の反応種の生成量を増加させることが可能となり、更に効率的に燃料電池用電極触媒層を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる燃料電池用電極触媒層の概略構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる燃料電池用電極触媒層の製造工程を示すフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1にかかる燃料電池の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層900は、担体粒子300の表面に金属触媒粒子400が担持された電極触媒500と、電解質樹脂800と、から構成されている。また、燃料電池用電極触媒層900は、ガス拡散層40の表面に形成されている。
なお、電解質樹脂800は、相対的にイオン交換基の濃度が低い電解質樹脂600と、相対的にイオン交換基の濃度が高い電解質樹脂700と、から構成されている。
ここで、本実施の形態における、燃料電池用電極触媒層900と、その製造方法、および、燃料電池用電極触媒層900を用いた燃料電池100についてより詳細に説明する。
まず、燃料電池用電極触媒層900について説明する。
燃料電池用電極触媒層900は、電極触媒500の金属触媒粒子400および担体粒子300の表面に電解質樹脂800が被覆されている。また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂600は、担体粒子300および金属触媒粒子400の表面遠方に被覆された電解質樹脂700よりも、低いイオン交換基の濃度を有する。
本実施の形態では、担体粒子300には炭素粒子を用い、金属触媒粒子400には白金コバルト合金触媒粒子を用いる。なお、白金コバルト合金触媒粒子には、炭素粒子に52
wt%担持された白金コバルト合金触媒担持炭素を用いる。
また、担体粒子300および金属触媒粒子400の表面遠方に被覆された電解質樹脂700には、パーフルオロスルホン酸を用い、イオン交換基にはスルホン酸基を用いる。また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂600は、電解質樹脂700のパーフルオロスルホン酸から、イオン交換基の一部を除去したものである。
金属触媒粒子400および担体粒子300の表面遠方に被覆された電解質樹脂700のイオン交換基のモル濃度は、200mol/m3である。また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂600のイオン交換基量のモル濃度は、40mol/m3である。
電解質樹脂800の量は、担体粒子300と同量である。ガス拡散層40には、カーボンペーパーを用いる。ガス拡散層40の面積は、200cm2である。電極触媒500の担持量は、ガス拡散層40の面積当たり、白金量で0.1mg/cm2である。
次に、燃料電池用電極触媒層900の製造方法について説明する。
図2に示すように、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層900の製造方法は、先ず、S10で電極触媒500と、電解質樹脂700と、混合溶媒と、を秤量する。混合溶媒には、水とエタノールの混合溶媒(水:エタノール=1:1)を用いる。
次に、S20で電極触媒500と、電解質樹脂700と、混合溶媒と、を分散混合させて、触媒インクを作製する。次に、S30で触媒インクをガス拡散層40に塗布し、乾燥することで、電極触媒500の表面に電解質樹脂700を被覆する。次に、S40で触媒インクを塗布したガス拡散層40を真空容器に入れて、減圧する。
次に、S50で真空容器の圧力が25℃で、絶対圧力が0.5bar以下まで減圧したかどうかを確認する。S50で確認の結果、0.5barより低くなければ、再度S50に戻り、0.5barより低ければ、S60に移る。
最後に、真空容器にいれた触媒インクを塗布したガス拡散層40に酸素ガス4%を含む水素ガスを0.1L/minのガス流量で1分間供給し、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂700から、イオン交換基の一部を除去することで、イオン交換基の濃度が40mol/m3となる電解質樹脂600を有する燃料電池用電極触媒層900の製造が完了する。
S60のイオン交換基を除去する反応についてより詳細に説明する。
まず、金属触媒粒子400の表面で水素と酸素を反応させることで過酸化水素を形成する。次に、形成された過酸化水素が金属触媒粒子400の表面近傍に存在するコバルトイオンと反応することで、求電子置換反応の反応種となる、ヒドロキシルラジカルが形成される。
このヒドロキシルラジカルは、反応性が非常に高く、また、高い電子密度で、且つ、結合エネルギーが低い分子鎖と反応する特徴を有している。
電解質樹脂700として用いているパーフルオロスルホン酸は、イオン交換基であるスルホン酸基の炭素と硫黄の間の結合および酸素と水素の間の結合ネルギーが低いため、これらの反応サイトにヒドロキシルラジカルが攻撃することで、スルホン酸基を電解質樹脂
700から切断することが可能となる。
電解質樹脂700から切断されたイオン交換基は、燃料電池の発電環境下で凝縮水に溶解し、硫酸イオンとして、燃料電池の外部に排出される。
次に、燃料電池用電極触媒層900を用いた燃料電池100について説明する。
図3に示すように、本実施の形態の燃料電池100は、電解質膜−電極接合体90とアノードセパレータ70aと、カソードセパレータ70bと、が積層されている。
アノードセパレータ70aの電解質膜−電極接合体90に臨む面には、燃料ガス流路71aが設けられている。同様に、カソードセパレータ70bの電解質膜−電極接合体90に臨む面には、酸化剤ガス流路71bが設けられている。アノードセパレータ70aおよびカソードセパレータ70bには、カーボンセパレータを用いる。
電解質膜−電極接合体90は、電解質膜10と、電解質膜10を挟持するアノード60aと、カソード60bとを備える。電解質膜10には、パーフルオロスルホン酸膜を用いる。アノード60aは、燃料電池用電極触媒層900と、ガス拡散層40から構成されている。カソード60bは、燃料電池用電極触媒層900と、ガス拡散層40から構成されている。
電解質膜−電極接合体90には、アノード60aおよびカソード60bを、電解質膜10に積層した状態で、120℃、10kgf/cm2で熱圧着することで、アノード60aおよびカソード60bを電解質膜10に接合させたものを用いる。
燃料電池100は、アノード60aに供給される燃料ガスと、カソード60bに供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う。燃料ガスには、水素ガスを用い、酸化剤ガスには、空気を用いる。
以上のように、実施の形態1の燃料電池用電極触媒層900は、金属触媒粒子400が担体粒子300に担持された電極触媒500と、電解質樹脂800と、で構成された金属触媒粒子400と担体粒子300の表面は電解質樹脂800で被覆され、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂600のイオン交換基の濃度が、担体粒子300の表面を被覆している領域の電解質樹脂700のイオン交換基の濃度よりも低いことを特徴とする。
これにより、担体粒子300の表面に被覆された電解質樹脂700のイオン交換基の濃度および含水率を低下させることなく、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂600のイオン交換基の濃度のみを低下させることができる。また、電解質樹脂800のイオン交換基が金属触媒粒子400と接触することを抑制して、金属触媒粒子400のイオン化を低減させることができる。
その結果、燃料電池用電極触媒層900のプロトン伝導率の低下を抑制しながら、金属触媒粒子400の耐久性を向上させることが可能となる。また、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層900を用いて燃料電池100を構成することで、プロトン伝導抵抗が低く、且つ、電極触媒500の耐久性が高い燃料電池100を提供することができる。
更に、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層900の製造方法は、金属触媒粒子400が担体粒子300に担持された電極触媒500に、イオン交換基を有する電解質樹脂700を被覆した後、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂700から、求
電子置換反応により、イオン交換基を除去することで、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂600のイオン交換基の濃度を、担体粒子300の表面を被覆している領域の電解質樹脂700のイオン交換基の濃度よりも低減するのである。
これにより、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂600のみからイオン交換基を除去して、金属触媒粒子400の表面のプロトン伝導率が低い電解質樹脂600の厚みを低減させることができる。
これにより、燃料電池用電極触媒層900のプロトン伝導率の低下を更に抑制することが可能となる。また、求電子置換反応を用いることで、電子密度が高く、且つ、結合エネルギーが低い分子鎖を有するイオン交換基を選択的に切断できるようになるため、イオン交換基の除去反応の反応サイトの選択性および反応速度を向上させることが可能となり、効率的に燃料電池用電極触媒層900を製造することができる。
なお、本実施の形態においては、担体粒子300には炭素粒子を用いたが、これ以外にも、酸化物粒子を用いることもできる。
なお、本実施の形態においては、金属触媒粒子400には白金コバルト合金触媒粒子を用いたが、これ以外にも、白金、ルテニウム、パラジウム、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、等の金属およびこれらの合金などを用いることができる。
なお、本実施の形態においては、電解質樹脂700にはパーフルオロスルホン酸を用いたが、これ以外にも、フッ素化合物にスルホン酸基以外のイオン交換基を導入した含む電解質樹脂や、炭化水素にスルホン酸基もしくはスルホン酸基以外のイオン交換基を導入した電解質樹脂を用いることもできる。
なお、電解質膜10には、パーフルオロスルホン酸膜を用いたが、これ以外にも、炭化水素電解質膜などの電解質膜を用いることもできる。
なお、実施の形態においては、ガス拡散層40にはカーボンペーパーを用いたが、これ以外にも、カーボンフェルトやカーボンクロスなどを用いることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程に、水素ガスと酸素ガスを用いたが、これ以外にも、過酸化水素を形成できる、酸化物質と還元物質とすることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程に、ヒドロキシルラジカルを用いたが、これ以外の求電子種とすることもできる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかる燃料電池用電極触媒層の概略構成を示す断面図である。図5は、本発明の実施の形態2にかかる燃料電池用電極触媒層の製造工程を示すフローチャートである。図6は、本発明の実施の形態2にかかる燃料電池の概略構成を示す断面図である。
図4に示すように、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層901は、担体粒子300の表面に金属触媒粒子400が担持された電極触媒500と、電解質樹脂801と、から構成されている。また、燃料電池用電極触媒層901は、電解質膜11の表面に形成されている。
なお、電解質樹脂801は、相対的にイオン交換基の濃度が低い電解質樹脂601と、相対的にイオン交換基の濃度が高い電解質樹脂700と、から構成されている。
ここで、本実施の形態における、燃料電池用電極触媒層901と、その製造方法、および、燃料電池用電極触媒層901を用いた燃料電池101についてより詳細に説明する。
まず、燃料電池用電極触媒層901について説明する。
燃料電池用電極触媒層901は、電極触媒500の金属触媒粒子400および担体粒子300の表面に電解質樹脂801が被覆されている。
また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂601は、担体粒子300および金属触媒粒子400の表面遠方に被覆された電解質樹脂700よりも、低いイオン交換基の濃度を有しており、且つ、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂601はイオン交換基を有していない。また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂601は、撥水性を有する。
担体粒子300には、炭素粒子を用い、金属触媒粒子400には、白金コバルト合金触媒粒子を用いる。なお、白金コバルト合金触媒粒子は、炭素粒子に52wt%担持された白金コバルト合金触媒担持炭素である。担体粒子300および金属触媒粒子400の表面遠方に被覆された電解質樹脂700には、パーフルオロスルホン酸を用い、イオン交換基はスルホン酸基である。
また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂601は、電解質樹脂700のパーフルオロスルホン酸からイオン交換基を除去したものである。電解質樹脂700のパーフルオロスルホン酸からイオン交換基を除去することで、疎水性の主鎖および側鎖が残るため、電解質樹脂601に撥水性を付与することができる。
電解質樹脂801の量は、担体粒子300と同量とする。
電解質膜11には、パーフルオロスルホン酸膜を用いる。電解質膜11の面積は、200cm2とする。電極触媒500の担持量は、電解質膜11の面積当たり、白金量で0.1mg/cm2する。
次に、燃料電池用電極触媒層901の製造方法について説明する。
図5に示すように、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層901の製造方法は、先ず、S11で電極触媒500と、電解質樹脂700と、混合溶媒と、を秤量する。混合溶媒には、水とエタノールの混合溶媒(水:エタノール=1:1)を用いる。
次に、S21で電極触媒500と、電解質樹脂700と、混合溶媒と、を分散混合させて、触媒インクを作製する。次に、S31で触媒インクを電解質膜11に塗布し、乾燥することで、電極触媒500の表面に電解質樹脂700を被覆する。
次に、S41で触媒インクを塗布した電解質膜11を真空容器に入れて、減圧する。次に、S51で極低湿度の雰囲気に保持するために、真空容器の圧力が60℃で、絶対圧力が0.5bar以下まで減圧したかどうかを確認する。S51で確認の結果、0.5barより低くなければ、再度S51に戻り、0.5barより低ければ、S61に移る。
最後に、真空容器にいれた触媒インクを塗布した電解質膜11に酸素ガス4%を含む水
素ガスを0.1L/minで3分間供給し、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂700から、イオン交換基を除去することで、イオン交換基の濃度が0mol/m3となる電解質樹脂601を有する燃料電池用電極触媒層901の製造が完了する。
S81のイオン交換基を除去する反応についてより詳細に説明する。
まず、金属触媒粒子400の表面で水素と酸素を反応させることで過酸化水素を形成する。次に、形成された過酸化水素が金属触媒粒子400の表面近傍に存在するコバルトイオンと反応することで、求電子置換反応の反応種となる、ヒドロキシルラジカルが形成される。
このヒドロキシルラジカルは、反応性が非常に高く、また、高い電子密度で、且つ、結合エネルギーが低い分子鎖と反応する特徴を有している。
電解質樹脂700として用いているパーフルオロスルホン酸は、イオン交換基であるスルホン酸基の炭素と硫黄の間の結合、酸素と水素の間の結合が弱い結合エネルギーとなるため、これらの反応サイトにヒドロキシルラジカルが攻撃することで、スルホン酸基を電解質樹脂700から切断することが可能となる。
また、触媒インクを塗布した電解質膜11を極低湿度の雰囲気に保持することで、スルホン酸基のプロトンの解離度が低下し、結合エネルギーが弱い、酸素と水素の間の結合を増加させることができ、その弱い結合部分を起点に、イオン交換基の除去反応を進行させることができる。
これにより、イオン交換基の除去反応における、反応サイトの選択性および反応速度を向上させることが可能となり、より効率的に燃料電池用電極触媒層901を製造することができる。
次に、燃料電池用電極触媒層901を用いた燃料電池101について説明する。
図6に示すように、本実施の形態の燃料電池101は、電解質膜−電極接合体91とアノードセパレータ70aと、カソードセパレータ70bと、が積層されている。
アノードセパレータ70aの電解質膜−電極接合体91に臨む面には、燃料ガス流路71aが設けられている。同様に、カソードセパレータ70bの電解質膜−電極接合体91に臨む面には、酸化剤ガス流路71bが設けられている。アノードセパレータ70aおよびカソードセパレータ70bは、カーボンセパレータを用いる。
アノード61aは、燃料電池用電極触媒層901と、ガス拡散層41から構成されている。カソード61bは、燃料電池用電極触媒層901と、ガス拡散層41から構成されている。ガス拡散層41には、カーボンペーパーを用いる。ガス拡散層41の面積は、200cm2である。
電解質膜−電極接合体91には、燃料電池用電極触媒層901が両側に形成された電解質膜11を、ガス拡散層41に積層した状態で、120℃、10kgf/cm2で熱圧着することで、ガス拡散層41を燃料電池用電極触媒層901に接合させたものを用いる。
燃料電池101は、アノード61aに供給される燃料ガスと、カソード61bに供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う。燃料ガスには、水素ガスを用い、酸化剤ガスには、空気を用いる。
以上のように、実施の形態2の燃料電池用電極触媒層901は、金属触媒粒子400が担体粒子300に担持された電極触媒500と、電解質樹脂801と、で構成され、金属触媒粒子400と担体粒子300の表面は電解質樹脂801で被覆され、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂601のイオン交換基の濃度が、担体粒子300の表面を被覆している領域の電解質樹脂700のイオン交換基の濃度よりも低いことを特徴とし、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂601は、イオン交換基を有していないのである。
これにより、担体粒子300の表面に被覆された電解質樹脂700のイオン交換基の濃度および含水率を低下させることなく、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂601のイオン交換基の濃度のみを低下させることができる。また、電解質樹脂800のイオン交換基が金属触媒粒子400と接触することを解消して、金属触媒粒子400のイオン化をより低減させることができる。
また、金属触媒粒子400の表面への電解質樹脂601のイオン交換基の吸着を解消して、金属触媒粒子400の有効反応サイトを増加させることができる。その結果、燃料電池用電極触媒層900のプロトン伝導率の低下を抑制しながら、金属触媒粒子400の耐久性および触媒活性を向上させることが可能となる。
また、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂601が、撥水性を有することで、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂601の含水率を低下させることができる。
これにより、水による金属触媒粒子400の酸化を抑制し、金属触媒粒子400の耐久性を更に向上させることが可能となる。また、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層901を用いて燃料電池101を構成することで、プロトン伝導抵抗および反応抵抗が低く、且つ、電極触媒500の耐久性が高い燃料電池101を提供することができる。
更に、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層901の製造方法は、金属触媒粒子400が担体粒子300に担持された電極触媒500に、イオン交換基を有する電解質樹脂700を被覆した後、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂700から、求電子置換反応により、イオン交換基を除去することで、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂601のイオン交換基の濃度を、担体粒子300の表面を被覆している領域の電解質樹脂700のイオン交換基の濃度よりも低減するのである。
これにより、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂601のみからイオン交換基を除去することができる。その結果、金属触媒粒子400の表面のプロトン伝導率が低い電解質樹脂601の厚みを低減させることができ、燃料電池用電極触媒層901のプロトン伝導率の低下を更に抑制することが可能となる。
また、求電子置換反応を用いることで、電子密度が高く、且つ、結合エネルギーが低い分子鎖を有するイオン交換基を選択的に切断できるようになるため、イオン交換基の除去反応の反応サイトの選択性および反応速度を向上させることが可能となる。
これにより、効率的に燃料電池用電極触媒層901を製造することができる。また、極湿度の雰囲気でイオン交換基を除去することで、電解質樹脂700のイオン交換基のイオンの解離度が低下し、イオン交換基とイオンとの間に弱い結合が形成され、その弱い結合部分を起点に、イオン交換基の除去反応を進行させることができる。
これにより、イオン交換基の除去反応における、反応サイトの選択性および反応速度を向上させることが可能となる、より効率的に燃料電池用電極触媒層901を製造することができる。
なお、本実施の形態においては、担体粒子300には、炭素粒子を用いたが、これ以外にも、酸化物粒子を用いることもできる。
なお、本実施の形態においては、金属触媒粒子400には白金コバルト合金触媒粒子を用いたが、これ以外にも、白金、ルテニウム、パラジウム、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、等の金属およびこれらの合金などを用いることができる。
なお、本実施の形態においては、電解質樹脂700にはパーフルオロスルホン酸基を用いたが、これ以外にも、フッ素化合物にスルホン酸基以外のイオン交換基を導入した含む電解質樹脂や、炭化水素にスルホン酸基もしくはスルホン酸基以外のイオン交換基を導入した電解質樹脂を用いることもできる。
なお、電解質膜11には、パーフルオロスルホン酸膜を用いたが、これ以外にも、炭化水素電解質膜などの電解質膜を用いることもできる。
なお、実施の形態においては、ガス拡散層41にはカーボンペーパーを用いたが、これ以外にも、カーボンフェルトやカーボンクロスなどを用いることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程に、水素ガスと酸素ガスを用いたが、これ以外にも、過酸化水素を形成できる、酸化物質と還元物質とすることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程に、ヒドロキシルラジカルを用いたが、これ以外の求電子種とすることもできる。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3にかかる燃料電池用電極触媒層の概略構成を示す断面図である。図8は、本発明の実施の形態3にかかる燃料電池用電極触媒層の製造工程を示すフローチャートである。図9は、本発明の実施の形態3にかかる燃料電池用電極触媒層の製造工程に用いる電気化学セルの概略構成を示す断面図である。図10は、本発明の実施の形態3にかかる燃料電池の概略構成を示す断面図である。
図7に示すように、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層902は、担体粒子300の表面に金属触媒粒子400が担持された電極触媒500と、電解質樹脂802と、から構成されている。また、燃料電池用電極触媒層902は、ガス拡散層42の表面に形成されている。
なお、電解質樹脂802は、相対的にイオン交換基の濃度が低い電解質樹脂602と、相対的にイオン交換基の濃度が高い電解質樹脂702と、から構成されている。
ここで、本実施の形態における、燃料電池用電極触媒層902と、その製造方法、および、燃料電池用電極触媒層902を用いた燃料電池102についてより詳細に説明する。
まず、燃料電池用電極触媒層902について説明する。
燃料電池用電極触媒層902は、電極触媒500の金属触媒粒子400および担体粒子
300の表面に電解質樹脂802が被覆されている。
また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂602は、担体粒子300および金属触媒粒子400の表面遠方に被覆された電解質樹脂702よりも、低いイオン交換基の濃度を有しており、且つ、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂602はイオン交換基を有していないのである。
また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂602は、撥水性を有するのに対し、担体粒子300の表面近傍に被覆された電解質樹脂702は、親水性を有する。
担体粒子300には、炭素粒子を用い、金属触媒粒子400には、白金コバルト合金触媒粒子を用いる。なお、白金コバルト合金触媒粒子は、炭素粒子に52wt%担持された白金コバルト合金触媒担持炭素である。担体粒子300および金属触媒粒子400の表面遠方に被覆された電解質樹脂702には、パーフルオロスルホン酸を用い、イオン交換基はスルホン酸基である。
また、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂602は、電解質樹脂702のパーフルオロスルホン酸からイオン交換基を除去したものである。電解質樹脂702のパーフルオロスルホン酸からイオン交換基を除去することで、疎水性の主鎖および側鎖が残るため、電解質樹脂602の撥水性を向上させることができる。
担体粒子300および金属触媒粒子400の表面遠方に被覆された電解質樹脂702のイオン交換基のモル濃度は、305mol/m3である。電解質樹脂702のイオン交換基のモル濃度を増加させることで、イオン交換基に配位する水の量が増加し、電解質樹脂702の親水性を向上させることができる。
金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂602のイオン交換基量のモル濃度は、0mol/m3である。また、電解質樹脂802の量は、担体粒子300と同量とする。
ガス拡散層42は、カーボンペーパーとするガス拡散層42の面積は、200cm2である。電極触媒500の担持量は、ガス拡散層42の面積当たり、白金量で0.1mg/cm2である。
次に、燃料電池用電極触媒層902の製造方法について説明する。
図8に示すように、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層902の製造方法は、先ず、S12で電極触媒500と、電解質樹脂702と、混合溶媒と、を秤量する。混合溶媒には、水とエタノールの混合溶媒(水:エタノール=1:1)を用いる。
次に、S22で電極触媒500と、電解質樹脂702と、混合溶媒と、を分散混合させて、触媒インクを作製する。次に、S32で触媒インクをガス拡散層42に塗布し、乾燥することで、電極触媒500の表面に電解質樹脂702を被覆する。
次に、図10に示すように、S42で触媒インクを塗布したガス拡散層42を作用極4として、電気化学セル8に設置する。電気化学セル8は、電解液3として1mol/Lの過塩素酸電解液と、参照極7として白金網電極からなる標準水素電極と、対極5として白金網電極と、から構成されている。
参照極7は、水素を封入した参照極容器6に設置する。次に、S52で電気化学セル8にガス供給経路2から酸素ガスを0.2L/minで供給する。
最後に、S62で酸素ガスを0.2L/minで供給した状態で、電気化学制御装置1を用いて、参照極7に対して、触媒インクを塗布したガス拡散層42の作用極4の電極電位を0.3Vに30秒間保持し、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂702から、イオン交換基を除去することで、イオン交換基の濃度が0mol/m3となる電解質樹脂602を有する燃料電池用電極触媒層902の製造が完了する。
S62のイオン交換基を除去する反応についてより詳細に説明する。
まず、酸素を供給した状態で、過塩素酸電解液中で触媒インクを塗布したガス拡散層42の作用極4の電極電位を標準水素電極に対して、0.3Vに保持することで、金属触媒粒子400の表面で水素と酸素を反応させ、過酸化水素を形成する。
次に、形成された過酸化水素が金属触媒粒子400の表面近傍に存在するコバルトイオンと反応することで、求電子置換反応の反応種となる、ヒドロキシルラジカルが形成される。このヒドロキシルラジカルは、反応性が非常に高く、また、高い電子密度で、且つ、結合エネルギーが低い分子鎖と反応する特徴を有している。
電解質樹脂702として用いているパーフルオロスルホン酸は、イオン交換基であるスルホン酸基の炭素と硫黄の間の結合、酸素と水素の間が弱い結合エネルギーとなるため、これらの反応サイトにヒドロキシルラジカルが攻撃することで、スルホン酸基を電解質樹脂702から切断することが可能となる。
また、標準水素電極に対して、0.3Vに保持することで、金属触媒粒子400の表面に吸着する水素量が増加し、過酸化水素の生成量を増加させることができる。また、作用極4が過酸化水素の酸化還元電位よりも低い電位となるため、金属触媒粒子400で過酸化水素が分解し、水になる反応を抑制できる。
これにより、金属触媒粒子400の表面における、イオン交換基の除去反応の反応種の生成量を増加させることができるため、イオン交換基の除去反応における、反応速度を向上させることが可能となり、更に効率的に燃料電池用電極触媒層902を製造することができる。
次に、燃料電池用電極触媒層902を用いた燃料電池102について説明する。
図10に示すように、本実施の形態の燃料電池102は、電解質膜−電極接合体92とアノードセパレータ70aと、カソードセパレータ70bと、が積層されている。
アノードセパレータ70aの電解質膜−電極接合体92に臨む面には、燃料ガス流路71aが設けられている。同様に、カソードセパレータ70bの電解質膜−電極接合体91に臨む面には、酸化剤ガス流路71bが設けられている。アノードセパレータ70aおよびカソードセパレータ70bは、カーボンセパレータを用いる。
電解質膜−電極接合体91は、電解質膜12と、電解質膜12を挟持するアノード62aと、カソード62bを備える。電解質膜12は、パーフルオロスルホン酸膜を用いる。また、アノード62aは、燃料電池用電極触媒層902と、ガス拡散層42から構成されている。カソード62bは、燃料電池用電極触媒層902と、ガス拡散層42から構成されている。
電解質膜−電極接合体92には、アノード62aおよびカソード62bを、電解質膜10に積層した状態で、140℃、10kgf/cm2で熱圧着することで、アノード62aおよびカソード62bを電解質膜12に接合させたものを用いる。
燃料電池102は、アノード62aに供給される燃料ガスと、カソード62bに供給される酸化剤ガスとの反応により発電を行う。燃料ガスには、水素ガスを用い、酸化剤ガスには、空気を用いる。
以上のように、実施の形態3の燃料電池用電極触媒層902は、金属触媒粒子400が担体粒子300に担持された電極触媒500と、電解質樹脂802と、で構成され、金属触媒粒子400と担体粒子300の表面は電解質樹脂802で被覆され、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂602のイオン交換基の濃度が、担体粒子300の表面を被覆している領域の電解質樹脂702のイオン交換基の濃度よりも低いことを特徴とし、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂602はイオン交換基を有していないのである。
これにより、担体粒子300の表面に被覆された電解質樹脂702のイオン交換基の濃度および含水率を低下させることなく、金属触媒粒子400の表面近傍に被覆された電解質樹脂602のイオン交換基の濃度のみを低下させることができる。
また、電解質樹脂802のイオン交換基が金属触媒粒子400と接触することを解消して、金属触媒粒子400のイオン化をより低減させることができる。また、金属触媒粒子400の表面への電解質樹脂602のイオン交換基の吸着を解消し、金属触媒粒子400の有効反応サイトを増加させることができる。
その結果、燃料電池用電極触媒層902のプロトン伝導率の低下を抑制しながら、金属触媒粒子400の耐久性および触媒活性を向上させることが可能となる。
また、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂602は、撥水性を有することで、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂602の含水率を低下させる。これにより、水による金属触媒粒子400の酸化が抑制でき、金属触媒粒子400の耐久性を更に向上させることが可能となる。
また、担体粒子300の表面を被覆している領域の電解質樹脂702が親水性を有することで、担体粒子300の表面の含水率が増加し、プロトンの拡散経路とが増加し、燃料電池用電極触媒層902のプロトン伝導率の低下をより抑制することが可能となる。
また、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層902を用いて燃料電池102を構成することで、プロトン伝導抵抗および反応抵抗が低く、且つ、電極触媒500の耐久性が高い燃料電池102を提供することができる。
更に、本実施の形態の燃料電池用電極触媒層902の製造方法は、金属触媒粒子400が担体粒子300に担持された電極触媒500に、イオン交換基を有する電解質樹脂702を被覆した後に、金属触媒粒子の表面に近接する領域の電解質樹脂702から、求電子置換反応により、イオン交換基を除去することで、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂602のイオン交換基の濃度を、担体粒子300の表面を被覆している領域の電解質樹脂702のイオン交換基の濃度よりも低減することを特徴とする。
これにより、金属触媒粒子400の表面に近接する領域の電解質樹脂702のみからイ
オン交換基を除去することで、金属触媒粒子400の表面のプロトン伝導率が低い電解質樹脂602の厚みを低減させることができ、燃料電池用電極触媒層902のプロトン伝導率の低下を更に抑制することが可能となる。
また、求電子置換反応を用いることで、電子密度が高く、且つ、結合エネルギーが低い分子鎖を有するイオン交換基を選択的に切断でき、イオン交換基の除去反応の反応サイトの選択性および反応速度を向上させることが可能となる。これにより、効率的に燃料電池用電極触媒層902を製造することができる。
また、標準水素電極に対して、燃料電池用電極触媒層の電極電位を0.3V以下に保持した状態で、イオン交換基を除去することにより、金属触媒粒子400の表面における、イオン交換基の除去反応の反応種の生成量を増加させることが可能となる。これにより、イオン交換基の除去反応における、反応速度を向上させることができるため、更に効率的に燃料電池用電極触媒層902を製造することができる。
なお、本実施の形態においては、担体粒子300には、炭素粒子を用いたが、これ以外にも、酸化物を用いることもできる。
なお、本実施の形態においては、金属触媒粒子400には白金コバルト合金触媒粒子を用いたが、これ以外にも、白金、ルテニウム、パラジウム、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、等の金属およびこれらの合金などを用いることができる。
なお、本実施の形態においては、電解質樹脂702にはパーフルオロスルホン酸を用いたが、これ以外にも、フッ素化合物にスルホン酸基以外のイオン交換基を導入した含む電解質樹脂や、炭化水素にスルホン酸基もしくはスルホン酸基以外のイオン交換基を導入した電解質樹脂を用いることもできる。
なお、電解質膜12には、パーフルオロスルホン酸膜を用いたが、これ以外にも、炭化水素電解質膜などの電解質膜を用いることもできる。
なお、実施の形態においては、ガス拡散層42にはカーボンペーパーを用いたが、これ以外にも、カーボンフェルトやカーボンクロスなどを用いることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程に、過塩素酸電解液を用いたが、これ以外にも、プロトンを電離することができる電解液や、パーフルオロスルホン酸膜などの電解質膜とすることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程に、水素ガスと酸素ガスを用いたが、これ以外にも、過酸化水素を形成できる、酸化物質と還元物質とすることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程の作用極の電位保持条件を標準水素電極に対して、0.3Vとしたが、0.3Vから0.05Vの電位範囲のいずれかに設定することもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程の作用極の電位保持条件を標準水素電極に対して、0.3Vとしたが、水素飽和したアノードに対して0.3Vとすることもできる。
なお、本実施の形態においては、イオン交換基を除去する製造工程に、ヒドロキシルラ
ジカルを用いたが、これ以外の求電子種とすることもできる。