本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
以下の実施の形態に示す構成は、実施の形態に示す他の構成に対して適宜、適用、組み合わせ、または置き換えなどを行って、本発明の一態様とすることができる。
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
なお、本明細書において、「膜」という表記と、「層」という表記と、を互いに入れ替えることが可能である。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。一般的に、電位(電圧)は、相対的なものであり、基準の電位からの相対的な大きさによって決定される。したがって、「接地電位」などと記載されている場合であっても、電位が0Vであるとは限らない。例えば、回路で最も低い電位が、「接地電位」となる場合もある。または、回路で中間くらいの電位が、「接地電位」となる場合もある。その場合には、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定される。
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of States)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、チャネル長方向を基準として垂直方向のチャネル領域の長さを言う。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法について、図を用いて説明する。
<プラグの作製方法1>
以下では、本発明の一態様に係る半導体装置の構成の一部として、プラグの構成とその作製方法について、図1、図5および図6に示す断面図と上面図を用いて説明する。図1(A)、図5(A)、図5(C)、図6(A)および図6(C)は、図1(B)、図5(B)、図5(D)、図6(B)および図6(D)に示す上面図の一点鎖線X1−X2に対応する断面図を示している。
図1(A)および(B)はプラグの完成図であり、図5および図6では導電体12(以下、導電膜または配線などと呼ぶ場合がある。)と、絶縁体13a、絶縁体14aおよび絶縁体15aに形成された開口17に埋め込まれた窒素を有する金属20aおよび導電体21aと、を接続する工程について説明している。ここで、開口17はビアホールなどとして機能し、窒素を有する金属20aおよび導電体21aが開口17に埋め込まれるプラグとして機能する。また、開口17の底面において、窒素を有する金属20aと導電体12とが接する領域の窒素を有する金属20aは低抵抗化されている領域を有する。図1(A)中に窒素を有する金属20aが低抵抗化された領域を点線で表記する。
まず、基板の上に導電体12を形成する。導電体12は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。なお、図1(A)、図6および図6では基板は図示していない。また、基板と導電体12の間に、他の導電体、絶縁体または半導体などを設ける構成としてもよい。
導電体12の成膜は、後述する窒素を有する金属20および導電体21などと同様の方法を用いればよい。
次に、導電体12の上に絶縁体13を成膜する。絶縁体13は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。絶縁体13の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
次に、絶縁体13の上に絶縁体14を成膜する。絶縁体14は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。絶縁体14の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
絶縁体14は、絶縁体13より水素および水を透過させにくい材料を用いることが好ましい。絶縁体14としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いることができる。これらを絶縁体14として用いることにより、水素および水の拡散をブロックする効果を示す絶縁膜として機能することができる。
次に、絶縁体14の上に絶縁体15を成膜する。絶縁体15は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。または、絶縁体15を省略した構造としてもよい。絶縁体15の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、絶縁体15の上にハードマスク16の材料を成膜する。ここで、ハードマスク16の材料は、金属材料などの導電体を用いてもよいし、絶縁体を用いてもよい。また、ハードマスク16の材料の成膜は、単層としてもよいし、絶縁体と導電体の積層としてもよい。なお、本明細書等において、「ハードマスク」とは、レジスト以外の材料(金属材料や絶縁材料)を用いて作製したマスクをいう。ハードマスク16の材料の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、リソグラフィー法などを用いて形成したレジストマスクを用いて、ハードマスク16の材料をエッチングして開口17aを有するハードマスク16を形成する(図5(A)(B)参照。)。ここで、図5(A)は、図5(B)に示す一点鎖線X1−X2に対応する断面図である。以下、同様に断面図と上面図を一点鎖線X1−X2に対応させて示す。
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理を行う、またはドライエッチング処理に加えてウエットエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理に加えてドライエッチング処理を行うことができる。
なお、開口17aは、上面を円形状としているがこれに限られるものではなく、例えば上面を楕円形状としてもよいし、三角形、四角形などの多角形状にしてもよい。また、多角形状とする場合、角部が丸みを帯びている形状としてもよい。
次に、ハードマスク16をエッチングマスクとして絶縁体15、絶縁体14および絶縁体13を導電体12の上面が露出するまでエッチングすることで開口17を有する絶縁体15a、絶縁体14aおよび絶縁体13aを形成する。ここでハードマスク16はエッチング膜厚が薄くなりハードマスク16aとなる。なお、エッチングはドライエッチングを用いることが好ましい。
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
開口17の側面に副生成物が形成されることがある。副生成物は、絶縁体13、絶縁体14、絶縁体15またはハードマスク16に含まれる成分、あるいは絶縁体13、絶縁体14または絶縁体15のエッチングガスに含まれる成分を含んで形成される。副生成物は、O2ガス含むガスを用いたプラズマ処理を行うことで除去することができる。
また、開口17の底面部分の導電体12が露出した部分に導電体12の酸化物が生成されることがある。この酸化物は、純水または薬液を用いた洗浄を行うことで除去することができる(図5(C)および(D)参照。)。
次に、開口17の中に窒素を有する金属20を成膜する。窒素を有する金属20は、導電体21より水素を透過させにくい導電体を用いることが好ましい。窒素を有する金属20としては、窒化タンタルまたは窒化チタン、特に窒化タンタルを用いることが好ましい。このような窒素を有する金属20を設けることにより、水素、水などの不純物が導電体21中に拡散することを抑制することができる。さらに、導電体21に含まれる金属成分の拡散を防ぐ、導電体21の酸化を防ぐ、導電体21の開口17に対する密着性を向上させるなどの効果を得ることができる。また、窒素を有する金属20を積層で形成する場合、例えば、チタン、タンタル、窒化チタンまたは窒化タンタルなどを用いてもよい。また、窒素を有する金属として窒化タンタルを成膜する場合、成膜後にRTA(Rapid Thermal Anneal)装置による加熱処理を行ってもよい。
窒素を有する金属20の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。ここで、窒素を有する金属20は開口17の内壁および底面を覆うように被覆性良く成膜されることが好ましい。例えば、コリメートスパッタ法、MCVD法またはALD法などを用いることが好ましい。
コリメートスパッタ法は、ターゲットと基板との間にコリメータを設置することによって、指向性のある成膜を行うことができる。つまり、基板に対し垂直成分を持つスパッタ粒子がコリメータを通過して基板に到達する。これにより、アスペクト比が高い開口17の底面までスパッタ粒子が到達しやすくなるため、開口17の底面にも十分成膜することができる。
また、窒素を有する金属20を、ALD法を用いて成膜することにより、窒素を有する金属20を良好な被覆性で成膜し、且つ窒素を有する金属20にピンホールなどが形成されることを抑制することができる。このように窒素を有する金属20を成膜することにより、水素、水などの不純物が窒素を有する金属20を通過して導電体21に拡散することをさらに抑制することができる。例えば、ALD法を用いて窒素を有する金属20として窒化タンタルを成膜する場合、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(構造式:Ta[N(CH3)2]5)をプリカーサとして用いることができる。
窒素を有する金属20の成膜にALD法などを用いて行うと、電気抵抗率の高い窒素を有する金属20が形成されることがある。窒素を有する金属20の電気抵抗率が高くなると導電体12との電気的な接続に不具合が生じることがある。
ここで本発明の一態様である窒素を有する金属の低抵抗化の処理方法について説明する。窒素を有する金属20に希ガスを含むプラズマを照射することによって窒素を有する金属20の電気抵抗率を低くすることができる。具体的には、例えばアルゴンガスを用いたプラズマを照射することで窒素を有する金属20の表面にプラズマ中のアルゴンのプラスイオンが照射される。アルゴンのプラスイオンは、プラズマ中の電界によって加速されるため、例えば、基板の裏面と平行な面に対して垂直方向が電界の方向であれば、この電界の方向に照射される。従って、開口17の側面に形成された窒素を有する金属20の表面は電界方向と略平行に面するため、アルゴンのプラスイオンの照射量は少なくなるので開口17の側面に形成された窒素を有する金属20は低抵抗化され難い。一方、基板の裏面と略平行に面した領域は、電界方向と垂直に面するためアルゴンのプラスイオンの照射が多くなるために基板の裏面と略平行に面した領域は低抵抗化される。従って、開口17の底面の導電体12の露出した部分との電気的接続が良好となり好ましい。図6(A)中にイオンの照射方向を矢印で記す。また、イオン照射によって窒素を有する金属20が低抵抗化された領域を点線で表記する(図6(A)および(B)参照。)。
プラズマ処理を行う装置としては、ドライエッチング装置、PECVD装置、高密度プラズマ装置およびスパッタ装置などを用いることができる。特にスパッタ装置を用いる場合は、該スパッタ装置が逆スパッタ処理の機能を有することが好ましい。
スパッタ法による成膜では、通常はプラズマ中のプラスイオンはターゲットに向かって進むように電界が設定されているが、逆スパッタ処理とは、プラズマ中のプラスイオンが、ターゲットの方向ではなく、基板の方向に向かって進むように電界を切り替えて処理を行なうことを言う。
次に、窒素を有する金属が、イオン照射されることによって低抵抗化されるメカニズムについて、窒化タンタルを用いた一例を説明する。窒化タンタル中には、TaとNの結合の他に、TaとOの結合などが含まれる。TaとNの結合の割合が大きい窒化タンタルは抵抗率が低いがTaとOの結合の割合が多くなると抵抗率が高くなる。従って、イオン照射による物理的なダメージによってTaとOの結合を切断し、TaとOの結合を減少させることにより、窒化タンタル中のTaとNの結合の割合を増加させることができる。この結果、窒化タンタルを低抵抗化することができると考えられる。
または、窒化タンタルの成膜にALD法などを用いて行うと窒化タンタルの表面付近は、TaとNの結合よりもTaとOの結合の割合が大きいことがある。このTaとOの結合の割合が大きい高抵抗な部分をイオン照射による物理的なダメージによって除去することで窒化タンタルを低抵抗化することができると考えられる。TaとOの結合の割合が大きい高抵抗な部分は、表面から3nm以下、または5nm以下とする。
次に窒素を有する金属20の上に開口17を埋め込むように導電体21を成膜する。(図6(C)および(D)参照。)。
導電体21としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。導電体21の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法またはメッキ法などを用いて行うことができる。ここで、導電体21の成膜は、開口17を埋め込むように行うので、CVD法(特にMCVD法)またはメッキ法を用いることが好ましい。
次に、導電体21、窒素を有する金属20、ハードマスク16aおよび絶縁体15aに研磨処理を行って、開口17に埋め込まれた窒素を有する金属20aおよび導電体21aを形成する(図1(A)および(B)参照。)。研磨処理としては、機械的研磨、化学的研磨、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)などを行えばよい。
ここで、開口17は、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する。窒素を有する金属20aおよび導電体21aが開口17に埋め込まれプラグとして機能する。
ここで、本実施の形態に示す半導体装置は、半導体基板の上に酸化物半導体が設けられており、半導体基板と酸化物半導体の間に、上記の積層された絶縁体と、当該絶縁体に形成された開口に埋め込まれた、プラグとして機能する導電体が設けられている。本実施の形態に示す半導体装置は、酸化物半導体を用いてトランジスタが形成されており、当該トランジスタを含む素子層が半導体基板を含む素子層の上に形成されている。半導体基板を含む素子層にトランジスタを形成してもよい。また、容量素子などを含む素子層を適宜設けてもよい。例えば、容量素子などを含む素子層を、酸化物半導体を含む素子層の上に形成してもよいし、半導体基板を含む素子層と酸化物半導体を含む素子層との間に形成してもよい。
ここで、絶縁体14aは水素および水の拡散をブロックする機能を有しているため、絶縁体13aから絶縁体14aを通って、酸化物半導体を含む素子層に水素や水などの不純物が拡散することを防ぐことができる。さらに、窒素を有する金属20は水素および水の拡散をブロックする機能を有しており、窒素を有する金属20が絶縁体14aの開口17を塞ぐように設けられている。これにより、絶縁体14aの開口17において、導電体21を通って、酸化物半導体を含む素子層に水素や水などの不純物が拡散することを防ぐことができる。
このように、半導体基板と酸化物半導体の間を、絶縁体14aと窒素を有する金属20aで分断することにより、半導体基板を含む素子層などに含まれる水素または水などの不純物が、絶縁体14aに形成されるプラグ(導電体21)やビアホール(開口17)を介して上層に拡散することをふせぐことができる。特に半導体基板としてシリコン基板を用いる場合、シリコン基板のダングリングボンドを終端するために水素が用いられるため、半導体基板を含む素子層に含まれる水素の量が多く、酸化物半導体を含む素子層まで水素が拡散する恐れがあるが、本実施の形態に示すような構成とすることにより、酸化物半導体を含む素子層に水素が拡散することを防ぐことができる。
酸化物半導体は、水素または水などの不純物を低減し、キャリア密度を低くし、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体とすることが好ましい。このような酸化物半導体を用いてトランジスタを形成することにより、トランジスタの電気特性を安定させることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体を用いることで、トランジスタの非導通時のリーク電流を低減することができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体を用いることで、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
<プラグの作製方法2>
以下では、図1(A)および(B)とは異なる構成のプラグについて、図1(C)(D)の断面図および上面図を用いて説明する。図1(C)および(D)は、一点鎖線X1−X2に対応する断面図および上面図を示している。
図1(C)および(D)はプラグの完成図であり、絶縁体13a、絶縁体14aおよび絶縁体15aに形成された開口17に埋め込まれた窒素を有する金属20a、導電体22aおよび導電体21aと、を接続する構成となっている。ここで、開口17はビアホールなどとして機能し、窒素を有する金属20aおよび導電体21aおよび導電体22aが開口17に埋め込まれるプラグとして機能する。図1(A)および(B)に示すプラグとは、窒素を有する金属20aと、導電体21aと、の間に導電体22aが配置されている点が異なる。また、開口17の底面において、窒素を有する金属20aと導電体12とが接する領域の窒素を有する金属20aは低抵抗化されている領域を有する。図1(C)中に窒素を有する金属20aが低抵抗化された領域を点線で表記する。
図1(C)および(D)に示す本プラグの作製方法としては、窒素を有する金属20を成膜し、プラズマ処理を行うまでは、プラグの作製方法1と同様である(図6(A)および(B)参照。)。プラズマ処理の方法およびプラズマ処理による窒素を有する金属20aの低抵抗化の効果については、上述のプラグの作製方法1を参酌する。
また、プラズマ処理として例えば、逆スパッタを行った後に、導電体22aとなる導電体をスパッタ法によって成膜してもよい。この方法は、同一のスパッタ装置内で連続して行うことができるので生産性の向上が見込まれる。
導電体22aとなる導電体としては、例えば、窒化タンタルまたは窒化チタン、特に窒化タンタルを用いることが好ましい。また、導電体22aとなる導電体を積層膜とすることもできる。例えば、窒化タンタルとタンタルとの積層膜とすることができる。窒化タンタルとタンタルとの積層膜とすることで、導電体21aとして銅を用いた場合、銅とタンタルとの密着性が向上して好ましい。
この後の作製工程および効果については、上述のプラグの作製方法1を参酌する。これで、図1(C)および(D)に示す、プラグを作製する事ができる。
<配線とプラグの作製方法1>
以下では、本発明の一態様に係る半導体装置の構成の一部として、配線とプラグの構成とその作製方法について、図2(A)(B)および図7乃至図11に示す断面図と上面図を用いて説明する。図2(A)(B)および図7乃至図11は、一点鎖線X1−X2に対応する断面図および上面図を示している。
図2(A)(B)は配線とプラグの完成図であり、図7乃至図11では導電体12(以下、導電膜または配線などと呼ぶ場合がある。)と、絶縁体13a、絶縁体14bおよび絶縁体15cに形成された開口17fに埋め込まれた窒素を有する金属20aおよび導電体21aと、を接続する工程について説明している。ここで、開口17fは上部と下部で形状が異なり、開口17fの下部(以下、開口17faと呼ぶ。)は、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能し、開口17fの上部(以下、開口17fbと呼ぶ。)は、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する。よって、窒素を有する金属20aおよび導電体21aの開口17faに埋め込まれる部分はプラグとして機能し、窒素を有する金属20aおよび導電体21aの開口17fbに埋め込まれる部分は配線などとして機能する。また、開口17faの底面において、窒素を有する金属20aと導電体12とが接する領域の窒素を有する金属20aは低抵抗化されている領域を有する。図2(A)中に窒素を有する金属20aが低抵抗化された領域を点線で表記する。
まず、基板の上に導電体12を形成する。導電体12は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。なお、図2(A)(B)および図7乃至図11では基板は図示していない。また、基板と導電体12の間に、他の導電体、絶縁体または半導体などを設ける構成としてもよい。
導電体12の成膜は、窒素を有する金属20および導電体21などと同様の方法を用いればよい。
次に、導電体12の上に絶縁体13を成膜する。絶縁体13は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。絶縁体13の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、絶縁体13の上に絶縁体14を成膜する。絶縁体14は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。絶縁体14の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
絶縁体14は、絶縁体13より水素および水を透過させにくい材料を用いることが好ましい。絶縁体14としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いることができる。これらを絶縁体14として用いることにより、水素および水の拡散をブロックする効果を示す絶縁膜として機能することができる。
次に、絶縁体14の上に絶縁体15を成膜する。絶縁体15は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。絶縁体15の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、絶縁体15の上にハードマスク16の材料を成膜する。ここで、ハードマスク16の材料は、金属材料などの導電体を用いてもよいし、絶縁体を用いてもよい。また、ハードマスク16の材料の成膜は、単層としてもよいし、絶縁体と導電体の積層としてもよい。なお、本明細書等において、「ハードマスク」とは、レジスト以外の材料(金属材料や絶縁材料)を用いて作製したマスクをいう。ハードマスク16の材料の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
次に、リソグラフィー法などを用いて形成したレジストマスクを用いて、ハードマスク16の材料をエッチングして開口17aを有するハードマスク16を形成する(図7(A)(B)参照。)。ここで、図7(A)は、図7(B)に示す一点鎖線X1−X2に対応する断面図である。以下、同様に断面図と上面図を一点鎖線X1−X2に対応させて示す。
ここで、開口17aは、後の工程で形成する開口17fb、つまり配線パターンを埋め込む溝に対応している。このため、開口17aの上面形状は配線パターンに対応したものになる。
次に、絶縁体15およびハードマスク16の上に、開口17bを有するレジストマスク18aを形成する(図7(C)(D)参照。)。ここで、レジストマスク18aはハードマスク16を覆って形成されることが好ましい。なお、単にレジストを形成するという場合、レジストの下に有機塗布膜などを形成する場合も含まれる。
ここで、開口17bは、後の工程で形成する開口17fa、つまりビアホールまたはコンタクトホールに対応している。このため、開口17bの上面形状はビアホールまたはコンタクトホールに対応したものになる。また、ビアホールまたはコンタクトホールに対応する開口17bは、配線パターンを埋め込む溝に対応する開口17aの中に形成されることが好ましい。この場合、開口17bの幅の最大値が、開口17aの幅の最小値以下となる。例えば、図7(C)(D)に示す開口17bのX1−X2方向の幅の大きさが、図7(A)(B)に示す開口17aのX1−X2方向の幅の大きさ以下になる。このようにすることで、ビアホールまたはコンタクトホールを、配線パターンの溝に対してマージンを持たせて形成することができる。
なお、開口17bは、上面を円形状としているがこれに限られるものではなく、例えば上面を楕円形状としてもよいし、三角形、四角形などの多角形状にしてもよい。また、多角形状とする場合、角部が丸みを帯びている形状としてもよい。
次に、レジストマスク18aを用いて、絶縁体15をエッチングして開口17cを有する絶縁体15aを形成する(図8(A)(B)参照。)。ここで、開口17cにおいて、絶縁体14の上面が露出するまでエッチングを行う。なお、エッチングは、ドライエッチングを用いることが好ましい。
次に、レジストマスク18aを用いて、絶縁体14をエッチングして開口17dを有する絶縁体14aを形成する(図8(C)(D)参照。)。ここで、開口17dにおいて、絶縁体13の上面が露出するまでエッチングを行う。なお、エッチングには、ドライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチング装置は、上記と同様のものを用いることができる。
また、開口17dを形成する際に、必ずしも絶縁体13の上面でエッチングを止める必要はない。例えば、開口17dを形成し、さらに絶縁体13の一部をエッチングして、開口17dと重なる位置に凹部が形成された絶縁体を形成してもよい。
次に、レジストマスク18aを除去する(図9(A)(B)参照。)。レジストマスク18aの下に有機塗布膜を形成している場合、レジストマスク18aと一緒に除去することが好ましい。レジストマスク18aの除去は、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理を行う、またはドライエッチング処理に加えてウエットエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理に加えてドライエッチング処理を行うことによってできる。
また、レジストマスク18aを除去した後で、開口17cの上部の縁を囲むように副生成物が形成されることがある。副生成物は、絶縁体14、絶縁体15またはレジストマスク18aに含まれる成分、あるいは絶縁体14または絶縁体15のエッチングガスに含まれる成分を含んで形成される。副生成物は、次工程で開口17eを形成するときに除去することができる。
次に、ハードマスク16を用いて、絶縁体13、絶縁体14aおよび絶縁体15aをエッチングして開口17eが形成された絶縁体13a、絶縁体14bおよび絶縁体15bを形成する(図9(C)(D)参照。)。ここで、開口17eにおいて、導電体12の上面が露出するまでエッチングを行う。また、このとき、ハードマスク16の開口17aの縁もエッチングされて、ハードマスク16aが形成されることがある。ハードマスク16aでは、開口17aの縁がテーパー形状を有し、且つ開口17aの縁の上部が丸みを有する。なお、エッチングには、ドライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチング装置は、上記と同様のものを用いることができる。
ここで、開口17eは、下部に位置し、絶縁体14aをマスクとして形成される開口17eaと、上部に位置し、ハードマスク16をマスクとして形成される開口17ebから構成されているとみることができる。開口17eaは後の工程でビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能し、開口17ebは後の工程で配線パターンなどを埋め込む溝として機能する。
絶縁体15bは、開口17ebの縁(開口17ebの内壁ということもできる。)がテーパー形状を有することが好ましい。なお、図9(D)に示すように、絶縁体15bのテーパー形状部分が上面から見えるように形成されることもある。
絶縁体13aおよび絶縁体14bは開口17eaの縁(開口17eaの内壁ということもできる。)がテーパー形状を有することが好ましい。また、絶縁体14bの開口17eaの縁の上部が丸みを有することが好ましい。開口17eaをこのような形状とすることにより、後の工程で、水素に対するブロック性能が高い窒素を有する金属20を被覆性良く形成することができる。なお、図9(D)に示すように、絶縁体13aのテーパー形状部分が上面から見えるように形成されることもある。
開口17eaをこのような形状にエッチングするために、上記ドライエッチングにおいて、絶縁体14aのエッチングレートに対する絶縁体13のエッチングレートを過剰に大きくしないことが好ましい。例えば、絶縁体13のエッチングレートが絶縁体14aのエッチングレートの、8倍以下、好ましくは6倍以下、より好ましくは4倍以下とすればよい。
このような条件で上記ドライエッチングを行うことにより、開口17eaの縁にテーパー形状を形成することができる。さらに、副生成物が形成されている場合でも、副生成物を除去して、絶縁体14bの開口17eaの縁の上部が丸みを有する形状にすることができる。
ただし、開口17eの形状は必ずしも上記の形状に限られるものではない。例えば、開口17eaおよび開口17ebの内壁が略垂直に形成されている形状とすることもできる。また、開口17ebが絶縁体15bおよび絶縁体14bに形成されるようにしてもよいし、開口17ebが絶縁体15b、絶縁体14bおよび絶縁体13aに形成されるようにしてもよい。
次に、開口17eの中に窒素を有する金属20を成膜する。ここで、窒素を有する金属20は開口17eの内壁および底面を覆うように被覆性良く成膜されることが好ましい。特に窒素を有する金属20が、絶縁体14bと開口17eの縁において接していることが好ましく、絶縁体14bに形成された開口を窒素を有する金属20で塞ぐ形状となることがより好ましい。上述のように、絶縁体14bの開口17eaの縁をテーパー形状とし、絶縁体14bの開口17eaの縁の上部が丸みを有する形状とすることにより、窒素を有する金属20の被覆性をより向上させることができる。
窒素を有する金属20は、導電体21より水素を透過させにくい導電体を用いることが好ましい。窒素を有する金属20としては、窒化タンタルまたは窒化チタン、特に窒化タンタルを用いることが好ましい。このような窒素を有する金属20を設けることにより、水素、水などの不純物が導電体21中に拡散することを抑制することができる。さらに、導電体21に含まれる金属成分の拡散を防ぐ、導電体21の酸化を防ぐ、導電体21の開口17eに対する密着性を向上させるなどの効果を得ることができる。また、窒素を有する金属20を積層で形成する場合、例えば、チタン、タンタル、窒化チタンまたは窒化タンタルなどを用いてもよい。また、窒素を有する金属として窒化タンタルを成膜する場合、成膜後にRTA装置による加熱処理を行ってもよい。
窒素を有する金属20の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。ここで、窒素を有する金属の成膜は、被覆性の良好な方法で行われることが好ましく、例えば、コリメートスパッタ法、MCVD法またはALD法などを用いることが好ましい。
ここで、コリメートスパッタ法は、ターゲットと基板との間にコリメータを設置することによって、指向性のある成膜を行うことができる。つまり、基板に対し垂直成分を持つスパッタ粒子がコリメータを通過して基板に到達する。これにより、アスペクト比が高い開口17eaの底面までスパッタ粒子が到達しやすくなるため、開口17eaの底面にも十分成膜することができる。また、上述のように開口17eaおよび開口17ebの内壁をテーパー形状とすることにより、開口17eaおよび開口17ebの内壁にも十分成膜することができる。
また、窒素を有する金属20を、ALD法を用いて成膜することにより、窒素を有する金属20を良好な被覆性で成膜し、且つ窒素を有する金属20にピンホールなどが形成されることを抑制することができる。このように窒素を有する金属20を成膜することにより、水素、水などの不純物が窒素を有する金属20を通過して導電体21に拡散することをさらに抑制することができる。例えば、ALD法を用いて窒素を有する金属20として窒化タンタルを成膜する場合、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(構造式:Ta[N(CH3)2]5)をプリカーサとして用いることができる。
窒素を有する金属20の成膜にALD法などを用いて行うと、電気抵抗率の高い窒素を有する金属20が形成されることがある。窒素を有する金属20の電気抵抗率が高くなると導電体12との電気的な接続に不具合が生じることがある。
ここで本発明の一態様である窒素を有する金属の低抵抗化の処理方法について説明する。窒素を有する金属20に希ガスを含むプラズマを照射することによって窒素を有する金属20の電気抵抗率を低くすることができる。具体的には、例えばアルゴンガスを用いたプラズマを照射することで窒素を有する金属20の表面にプラズマ中のアルゴンのプラスイオンが照射される。アルゴンのプラスイオンは、プラズマ中の電界によって加速されるため、例えば、基板の裏面と略平行な面に対して垂直方向が電界の方向であれば、この電界の方向に照射される。従って、開口17eの側面に形成された窒素を有する金属20の表面は電界方向と略平行に面するため、アルゴンのプラスイオンの照射量は少なくなるので開口17eの側面に形成された窒素を有する金属20は低抵抗化され難い。一方、基板の裏面と略平行に面した領域は、電界方向と垂直に面するためアルゴンのプラスイオンの照射が多くなるために基板の裏面と略平行に面した領域は低抵抗化される。従って、開口17eの底面の導電体12の露出した部分との電気的接続が良好となり好ましい。なお、絶縁体14bと窒素を有する金属20とが接する領域のうち基板の裏面と略平行な領域の窒素を有する金属20も低抵抗化される。図10(A)中にイオンの照射方向を矢印で記す。また、イオン照射によって窒素を有する金属20が低抵抗化された領域を点線で表記する。(図10(A)および(B)参照。)。
プラズマ処理を行う装置としては、ドライエッチング装置、PECVD装置、高密度プラズマ装置およびスパッタ装置などを用いることができる。特にスパッタ装置を用いる場合は、該スパッタ装置が逆スパッタ処理の機能を有することが好ましい。
スパッタ法による成膜では、通常はプラズマ中のプラスイオンはターゲットに向かって進むように電界が設定されているが、逆スパッタ処理とは、プラズマ中のプラスイオンが、ターゲットの方向ではなく、基板の方向に向かって進むように電界を切り替えて処理を行なうことを言う。
次に、窒素を有する金属が、イオン照射されることによって低抵抗化されるメカニズムについて、窒化タンタルを用いた一例を説明する。窒化タンタル中には、TaとNの結合の他に、TaとOの結合などが含まれる。TaとNの結合の割合が大きい窒化タンタルは抵抗率が低いがTaとOの結合の割合が多くなると抵抗率が高くなる。従って、イオン照射による物理的なダメージによってTaとOの結合を切断し、TaとOの結合を減少させることにより、窒化タンタル中のTaとNの結合の割合を増加させることができる。この結果、窒化タンタルを低抵抗化することができると考えられる。
または、窒化タンタルの成膜にALD法などを用いて行うと窒化タンタルの表面付近は、TaとNの結合よりもTaとOの結合の割合が大きいことがある。このTaとOの結合の割合が大きい高抵抗な部分をイオン照射による物理的なダメージによって除去することで窒化タンタルを低抵抗化することができると考えられる。TaとOの結合の割合が大きい高抵抗な部分は、表面から3nm以下、または5nm以下とする。
次に窒素を有する金属20の上に開口17eを埋め込むように導電体21を成膜する。(図11(A)(B)参照。)。
導電体21としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。導電体21の成膜は、導電体21の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法またはメッキ法などを用いて行うことができる。ここで、導電体21の成膜は、開口17eを埋め込むように行うので、CVD法(特にMCVD法)またはメッキ法を用いることが好ましい。
次に、導電体21、窒素を有する金属20、ハードマスク16aおよび絶縁体15bに研磨処理を行って、開口17fに埋め込まれた窒素を有する金属20aおよび導電体21aを形成する(図11(C)(D)参照。)。研磨処理としては、機械的研磨、化学的研磨、CMPなどを行えばよい。例えば、CMP処理を行うことで、絶縁体15b、導電体21および窒素を有する金属20の上部、並びにハードマスク16aを除去し、上面が平坦な絶縁体15c、導電体21aおよび窒素を有する金属20aを形成することができる。
ここで、開口17fは、下部に位置し、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する開口17faと、上部に位置し、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する開口17fbから構成されているとみることができる。開口17faは絶縁体13aおよび絶縁体14bに形成され、開口17fbは絶縁体15cに形成される。窒素を有する金属20aおよび導電体21aの開口17faに埋め込まれる部分はプラグとして機能し、窒素を有する金属20aおよび導電体21aの開口17fbに埋め込まれる部分は配線などとして機能する。
窒素を有する金属20aは、絶縁体14bと開口17faの縁で接していることが好ましい。窒素を有する金属20aは、絶縁体14bの開口17faの上部の丸みを有する形状の部分、開口17faの縁のテーパー形状を有する部分と接していることがより好ましく、絶縁体14bの上面と接していることがさらに好ましい。さらに、窒素を有する金属20aは、絶縁体13aの開口17faの内壁と接し、絶縁体15cの開口17fbの内壁と接していることが好ましい。
また、本実施の形態に示すように、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する開口17eaと、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する開口17ebからなる開口17eを形成してから、窒素を有する金属20を成膜することにより、窒素を有する金属20aの配線として機能する部分とプラグとして機能する部分が一体化されて形成される。これにより、例えば、開口17eaと開口17ebの境界近傍などで、窒素を有する金属20aが途切れることなく成膜されるので、より水素および水に対するブロックする機能を向上させることができる。また、配線とプラグをそれぞれシングルダマシン法を用いて成膜する場合、プラグの形成と配線の形成にそれぞれ、導電体の成膜とCMP処理などの研磨処理が一回ずつ必要だが、本実施の形態に示す方法では、配線およびプラグ形成のための導電体の成膜とCMP処理などの研磨処理を一回で済ませることができるため、工程の短縮を図ることができる。
ここで、本実施の形態に示す半導体装置は、半導体基板の上に酸化物半導体が設けられており、半導体基板と酸化物半導体の間に、上記の積層された絶縁体と、当該絶縁体に形成された開口に埋め込まれた、配線およびプラグとして機能する導電体と、が設けられている。本実施の形態に示す半導体装置は、酸化物半導体を用いてトランジスタが形成されており、当該トランジスタを含む素子層が半導体基板を含む素子層の上に形成されている。半導体基板を含む素子層にトランジスタを形成してもよい。また、容量素子などを含む素子層を適宜設けてもよい。例えば、容量素子などを含む素子層を、酸化物半導体を含む素子層の上に形成してもよいし、半導体基板を含む素子層と酸化物半導体を含む素子層との間に形成してもよい。
このような構成の半導体装置において、図11(C)(D)に示すように、絶縁体14bに形成された開口17faの縁において窒素を有する金属20aが接していることが好ましい。言い換えると、絶縁体14bに形成された開口17faを窒素を有する金属20aで塞ぐ形状となることが好ましい。
ここで、絶縁体14bは水素および水の拡散をブロックする機能を有しているため、絶縁体13aから絶縁体14bを通って、酸化物半導体を含む素子層に水素や水などの不純物が拡散することを防ぐことができる。さらに、窒素を有する金属20は水素および水の拡散をブロックする機能を有しており、窒素を有する金属20が絶縁体14bの開口17fを塞ぐように設けられている。これにより、絶縁体14bの開口17fにおいて、導電体21を通って、酸化物半導体を含む素子層に水素や水などの不純物が拡散することを防ぐことができる。
このように、半導体基板と酸化物半導体の間を、絶縁体14bと窒素を有する金属20aで分断することにより、半導体基板を含む素子層などに含まれる水素または水などの不純物が、絶縁体14bに形成されるプラグ(導電体21)やビアホール(開口17fa)を介して上層に拡散することをふせぐことができる。特に半導体基板としてシリコン基板を用いる場合、シリコン基板のダングリングボンドを終端するために水素が用いられるため、半導体基板を含む素子層に含まれる水素の量が多く、酸化物半導体を含む素子層まで水素が拡散する恐れがあるが、本実施の形態に示すような構成とすることにより、酸化物半導体を含む素子層に水素が拡散することを防ぐことができる。
詳しくは後述するが、酸化物半導体は、水素または水などの不純物を低減し、キャリア密度を低くし、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体とすることが好ましい。このような酸化物半導体を用いてトランジスタを形成することにより、トランジスタの電気特性を安定させることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体を用いることで、トランジスタの非導通時のリーク電流を低減することができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体を用いることで、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
<配線とプラグの作製方法2>
以下では、図2(A)および(B)とは異なる構成のプラグについて、図2(C)(D)の断面図および上面図を用いて説明する。図2(C)および(D)は、一点鎖線X1−X2に対応する断面図および上面図を示している。
図2(C)は配線とプラグの完成図であり、絶縁体13a、絶縁体14bおよび絶縁体15cに形成された開口17fに埋め込まれた窒素を有する金属20a、導電体22aおよび導電体21aと、を接続する構成となっている。ここで、開口17fは上部と下部で形状が異なり、開口17fの下部(以下、開口17faと呼ぶ。)は、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能し、開口17fの上部(以下、開口17fbと呼ぶ。)は、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する。よって、窒素を有する金属20a、導電体22aおよび導電体21aの開口17faに埋め込まれる部分はプラグとして機能し、窒素を有する金属20a、導電体22aおよび導電体21aの開口17fbに埋め込まれる部分は配線などとして機能する。図2(A)および(B)に示す配線とプラグとは、窒素を有する金属20aと、導電体21aと、の間に導電体22aが配置されている点が異なる。また、開口17faの底面において、窒素を有する金属20aと導電体12とが接する領域の窒素を有する金属20aは低抵抗化されている領域を有する。図2(C)中に窒素を有する金属20aが低抵抗化された領域を点線で表記する。
図2(C)および(D)に示す本配線とプラグの作製方法としては、窒素を有する金属20を成膜し、プラズマ処理を行うまでは、配線とプラグの作製方法1と同様である(図10(A)および(B)参照。)。プラズマ処理の方法およびプラズマ処理による窒素を有する金属20aの低抵抗化の効果については、上述の配線とプラグの作製方法1を参酌する。
また、プラズマ処理として例えば、逆スパッタを行った後に、導電体22aとなる導電体をスパッタ法によって成膜してもよい。この方法は、同一のスパッタ装置内で連続して行うことができるので生産性の向上が見込まれる。
導電体22aとなる導電体としては、例えば、窒化タンタルまたは窒化チタン、特に窒化タンタルを用いることが好ましい。また、導電体22aとなる導電体を積層膜とすることもできる。例えば、窒化タンタルとタンタルとの積層膜とすることができる。窒化タンタルとタンタルとの積層膜とすることで、導電体21aとして銅を用いた場合、銅とタンタルとの密着性が向上して好ましい。
この後の作製工程および効果については、上述の配線とプラグの作製方法1を参酌する。これで、図2(C)および(D)に示す、配線とプラグを作製する事ができる。
なお、本実施の形態に示す配線とプラグの形状は、図2に示す形状に限られるものではない。図2に示す形状とは異なる配線とプラグを以下に示す。
図3(A)に示す配線とプラグの形状は、開口17gの形状が開口17fと違う点において、図2(C)に示す形状と異なる。開口17gは、下部に位置し、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する開口17gaと、上部に位置し、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する開口17gbから構成されているとみることができる。開口17gaは絶縁体13aおよび絶縁体14bの下部に形成され、開口17gbは絶縁体15cおよび絶縁体14bの上部に形成される。よって、図3(A)に示す構成において、窒素を有する金属20aおよび導電体21aの配線などとして機能する部分が絶縁体14bの上部に埋め込まれるように設けられる。ここで、絶縁体14bに設けられた開口の内壁は、開口17gaの内壁と開口17gbの内壁が階段状に形成される。
図3(B)に示す配線とプラグの形状は、開口17hの形状が開口17fと違う点において、図2(C)に示す形状と異なる。開口17hは、下部に位置し、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する開口17haと、上部に位置し、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する開口17hbから構成されているとみることができる。開口17haは絶縁体13aの下部に形成され、開口17hbは絶縁体15c、絶縁体14bおよび絶縁体13aの上部に形成される。よって、図3(B)に示す構成において、窒素を有する金属20aおよび導電体21aの配線などとして機能する部分が絶縁体13aの上部に埋め込まれるように設けられる。ここで、絶縁体13aに設けられた開口の内壁は、開口17haの内壁と開口17hbの内壁が階段状に形成される。
図3(C)に示す配線とプラグの形状は、開口17iの形状が開口17fと違う点において、図2(C)に示す形状と異なる。開口17iは、下部に位置し、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する開口17iaと、上部に位置し、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する開口17ibから構成されているとみることができる。開口17iaは絶縁体13aに形成され、開口17ibは絶縁体15cおよび絶縁体14bに形成される。よって、図3(C)に示す構成において、窒素を有する金属20aおよび導電体21aの配線などとして機能する部分が絶縁体14bに埋め込まれるように設けられる。ここで、絶縁体14bの開口に設けられた内壁はなだらかなテーパー状に形成される。
図4(A)に示す配線とプラグの形状は、開口17jの形状が開口17fと違う点において、図2(C)に示す形状と異なる。開口17jは、下部に位置し、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する開口17jaと、上部に位置し、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する開口17jbから構成されているとみることができる。開口17jaは絶縁体13aおよび絶縁体14bに形成され、開口17jbは絶縁体15cに形成される。よって、図4(A)に示す構成において、窒素を有する金属20aおよび導電体21aの配線などとして機能する部分が絶縁体15cに埋め込まれるように設けられる。ここで、絶縁体13aおよび絶縁体14bに設けられた開口17jaの内壁は導電体12に対して略垂直に設けられる。また、絶縁体15cに設けられた開口17jbの内壁は絶縁体14bに対して略垂直に設けられる。また、このように開口の内壁を略垂直に設ける場合、開口の内壁にも窒素を有する金属20aを十分な膜厚で成膜するために、ALD法などを用いて窒素を有する金属20aを成膜することが好ましい。
図4(B)(C)に示す配線とプラグの形状は、開口17kの形状が開口17jと違う点において、図4(A)に示す形状と異なる。開口17kは、下部に位置し、ビアホールまたはコンタクトホールなどとして機能する開口17kaと、上部に位置し、配線パターンなどを埋め込む溝として機能する開口17kbから構成されているとみることができる。図4(B)(C)に示す配線とプラグの形状は、開口17kaの幅の最大値が、開口17kbの幅の最小値と略一致する。例えば、図4(B)(C)に示す開口17kaのX1−X2方向の幅が、開口17kbのX1−X2方向の幅と略一致する。このようにすることで、配線の占有面積を低減することができる。開口17kのような形状にする場合、例えば、図7(A)(B)に示すハードマスク16の開口17aのX1−X2方向の幅と、図7(C)(D)に示すレジストマスク18aの開口17bのX1−X2方向の幅が略一致するように設定すればよい。
<酸化物半導体膜を有するトランジスタの構成>
図12(A)(B)および(C)に酸化物半導体を含む素子層に形成されるトランジスタ60aの構成の一例を示す。図12(A)はトランジスタ60aの上面図であり、図12(B)はトランジスタ60aのチャネル長方向A1−A2に対応する断面図であり、図12(C)はトランジスタ60aのチャネル幅方向A3−A4に対応する断面図である。なお、トランジスタのチャネル長方向とは、基板と水平な面内において、ソース(ソース領域またはソース電極)およびドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)間において、キャリアが移動する方向を意味し、チャネル幅方向は、基板と水平な面内において、チャネル長方向に対して垂直の方向を意味する。
なお、図12(B)および図12(C)などの断面図においては、パターン形成された導電体、半導体または絶縁体などの端部が直角に図示されているものがあるが本実施の形態に示す半導体装置はこれに限らず、端部を丸めた形状とすることもできる。
トランジスタ60aは、導電体62aと、導電体62bと、絶縁体65と、絶縁体63と、絶縁体64と、絶縁体66aと、半導体66bと、導電体68aと、導電体68bと、絶縁体66cと、絶縁体72と、導電体74と、を有している。ここで、導電体62aおよび導電体62bはトランジスタ60aのバックゲートとして機能し、絶縁体65、絶縁体63および絶縁体64はトランジスタ60aのバックゲートに対するゲート絶縁膜として機能する。また、導電体68aおよび導電体68bはトランジスタ60aのソースまたはドレインとして機能する。また、絶縁体72はトランジスタ60aのゲート絶縁膜として機能し、導電体74はトランジスタ60aのゲートとして機能する。
なお、詳細は後述するが、絶縁体66a、絶縁体66cは、単独で用いる場合、導電体、半導体または絶縁体として機能させることができる物質を用いる場合がある。しかしながら、半導体66bと積層させてトランジスタを形成する場合、電子は半導体66b、半導体66bと絶縁体66aの界面近傍、および半導体66bと絶縁体66cの界面近傍を流れ、絶縁体66aおよび絶縁体66cは当該トランジスタのチャネルとして機能しない領域を有する。このため、本明細書などにおいては、絶縁体66aおよび絶縁体66cを導電体および半導体と記載せず、絶縁体または酸化物絶縁体と記載するものとする。
なお、本実施の形態などにおいて、絶縁体という記載は、絶縁膜または絶縁層と言い換えることもできる。また、導電体という記載は、導電膜または導電層と言い換えることもできる。また、半導体という記載は、半導体膜または半導体層と言い換えることもできる。
トランジスタ60aの下部では、絶縁体61の上に、開口を有する絶縁体67が設けられており、当該開口の中に導電体62aが設けられ、さらに導電体62aの上に導電体62bが設けられている。導電体62aおよび導電体62bの少なくとも一部は、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66c、と重なっている。ここで、トランジスタ60aのバックゲートとして機能する導電体62aおよび導電体62bは、上述の配線およびプラグとして機能する導電体21aおよび導電体21bと並行して作製することができる。よって、絶縁体61は絶縁体14bと、絶縁体67は絶縁体15cと、導電体62aは窒素を有する金属20aと、導電体62bは導電体21aと対応している。
導電体62aおよび導電体62bの上に接して、導電体62aおよび導電体62bの上面を覆うように絶縁体65が設けられている。絶縁体65の上に絶縁体63が設けられ、絶縁体63の上に絶縁体64が設けられている。
ここで、導電体62aおよび導電体62bのチャネル長方向の一端は導電体68aの一部と重なり、導電体62aおよび導電体62bのチャネル長方向の他端は導電体68bの一部と重なることが好ましい。このように導電体62aおよび導電体62bを設けることにより、半導体66bの導電体68aと導電体68bの間の領域、つまり半導体66bのチャネル形成領域、を導電体62aおよび導電体62bで十分覆うことができる。これにより、導電体62aおよび導電体62bは、トランジスタ60aのしきい値電圧の制御をより効果的に行うことができる。
絶縁体64の上に絶縁体66aが設けられ、絶縁体66aの上面の少なくとも一部に接して半導体66bが設けられている。なお、図12(B)(C)においては、絶縁体66aおよび半導体66bの端部が概略一致するように絶縁体66aおよび半導体66bが形成されているが、本実施の形態に示す半導体装置の構成はこれに限られるものではない。
半導体66bの上面の少なくとも一部に接して導電体68aおよび導電体68bが形成されている。導電体68aと導電体68bは離間して形成されており、図12(B)に示すように導電体74を挟んで対向して形成されていることが好ましい。
半導体66bの上面の少なくとも一部に接して絶縁体66cが設けられる。絶縁体66cは、導電体68aの上面および導電体68bの上面などを覆うように形成され、導電体68aと導電体68bの間で半導体66bの上面の一部と接することが好ましい。
絶縁体66cの上に絶縁体72が設けられる。絶縁体72は、導電体68aと導電体68bの間で絶縁体66cの上面の一部と接することが好ましい。
絶縁体72の上に導電体74が設けられる。導電体74は導電体68aと導電体68bの間で絶縁体72の上面の一部と接することが好ましい。
また、導電体74を覆って絶縁体79が設けられる。ただし、絶縁体79は必ずしも設ける必要はない。
絶縁体66cは、絶縁体66a、半導体66b、導電体68aおよび導電体68bを覆って、絶縁体64の上面と接するように設けられている。
ただし、トランジスタ60aは図12(A)、(B)および(C)に示す構成に限定されるものではない。例えば、絶縁体66c、絶縁体72および導電体74のA1−A2方向の側面が一致するように設けられていてもよい。また、例えば、絶縁体72が絶縁体66a、半導体66b、導電体68aおよび導電体68bを覆って、絶縁体64の上面と接するように設けられる構成としてもよい。
なお、導電体74は、絶縁体72、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、絶縁体65などに形成された開口を介して導電体62bと接続される構成としてもよい。
絶縁体66c上および、絶縁体79上に絶縁体77が設けられている。さらに、絶縁体77の上に絶縁体78が設けられている。
次に、トランジスタ60aの変形例について図13(A)、(B)および(C)を用いて説明する。なお、図13(A)はトランジスタ60b上面図であり、図13(B)および(C)は、図12(B)および(C)と同様に、トランジスタ60bのチャネル長方向の断面図とトランジスタ60bのチャネル幅方向の断面図になる。
図13(A)、(B)および(C)に示すトランジスタ60bは、絶縁体64、導電体68aおよび導電体68bの上に絶縁体77が設けられ、絶縁体77、並びに導電体68aおよび導電体68bに形成された開口の中に埋め込まれるように、絶縁体66c、絶縁体72および導電体74が設けられている点において、図12(A)、(B)および(C)に示すトランジスタ60aと異なる。なお、図13(A)、(B)および(C)に示すトランジスタ60bの他の構成については、図12(A)、(B)および(C)に示すトランジスタ60aの構成を参酌することができる。
また、トランジスタ60bは、絶縁体77の上に絶縁体76が設けられ、絶縁体76の上に絶縁体78が設けられる構成としてもよい。このとき、絶縁体76は絶縁体77に用いることができる絶縁体を用いればよい。また、トランジスタ60bは絶縁体79を設けない構成としているが、これに限られず、絶縁体79を設けてもよい。
ただし、トランジスタ60bは図13(A)、(B)および(C)に示す構成に限定されるものではない。例えば、絶縁体66c、絶縁体72および導電体74の側面が半導体66bの上面に対して30°以上90°未満の角度で傾斜しているテーパー形状としてもよい。
<酸化物半導体>
以下に、半導体66bに用いられる酸化物半導体について説明する。
酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここで、酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有する場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
まず、図14(A)、図14(B)、および図14(C)を用いて、本発明に係る酸化物が有するインジウム、元素Mおよび亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。なお、図14には、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物が有するインジウム、元素M、および亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
図14(A)、図14(B)、および図14(C)において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):1の原子数比(−1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比となるラインを表す。
また、二点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+γ):2:(1−γ)の原子数比(−1≦γ≦1)となるラインを表す。また、図14に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比またはその近傍値の酸化物は、スピネル型の結晶構造をとりやすい。
図14(A)および図14(B)では、本発明の一態様の酸化物が有する、インジウム、元素M、および亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
一例として、図15に、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1である、InMZnO4の結晶構造を示す。また、図15は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。なお、図15に示すM、Zn、酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)における金属元素は、元素Mまたは亜鉛を表している。この場合、元素Mと亜鉛の割合が等しいものとする。元素Mと亜鉛とは、置換が可能であり、配列は不規則である。
InMZnO4は、層状の結晶構造(層状構造ともいう)をとり、図15に示すように、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)が1に対し、元素M、亜鉛、および酸素を有する(M,Zn)層が2となる。
また、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。そのため、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換し、(In,M,Zn)層と表すこともできる。その場合、In層が1に対し、(In,M,Zn)層が2である層状構造をとる。
[In]:[M]:[Zn]=1:1:2となる原子数比の酸化物は、In層が1に対し、(M,Zn)層が3である層状構造をとる。つまり、[In]および[M]に対し[Zn]が大きくなると、酸化物が結晶化した場合、In層に対する(M,Zn)層の割合が増加する。
ただし、酸化物中において、In層が1に対し、(M,Zn)層が非整数である場合、In層が1に対し、(M,Zn)層が整数である層状構造を複数種有する場合がある。例えば、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1.5である場合、In層が1に対し、(M,Zn)層が2である層状構造と、(M,Zn)層が3である層状構造とが混在する層状構造となる場合がある。
例えば、酸化物をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。特に、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。
また、酸化物中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比の近傍値である原子数比では、スピネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、[In]:[M]:[Zn]=1:0:0を示す原子数比の近傍値である原子数比では、ビックスバイト型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物中に複数の相が共存する場合、異なる結晶構造の間において、粒界(グレインバウンダリーともいう)が形成される場合がある。
また、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。これは、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有する酸化物では、主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を高くすることにより、s軌道が重なる領域がより大きくなるため、インジウムの含有率が高い酸化物はインジウムの含有率が低い酸化物と比較してキャリア移動度が高くなるためである。
一方、酸化物中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低くなる。従って、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0を示す原子数比、およびその近傍値である原子数比(例えば図14(C)に示す領域C)では、絶縁性が高くなる。
従って、本発明の一態様の酸化物は、キャリア移動度が高く、かつ、粒界が少ない層状構造となりやすい、図14(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
また、図14(B)に示す領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を示している。近傍値には、例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。領域Bで示される原子数比を有する酸化物は、特に、結晶性が高く、キャリア移動度も高い優れた酸化物である。
なお、酸化物が、層状構造を形成する条件は、原子数比によって一義的に定まらない。原子数比により、層状構造を形成するための難易の差はある。一方、同じ原子数比であっても、形成条件により、層状構造になる場合も層状構造にならない場合もある。従って、図示する領域は、酸化物が層状構造を有する原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域Cの境界は厳密ではない。
続いて、上記酸化物をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物をトランジスタに用いることで、粒界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
なお、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
ここで、酸化物中における各不純物の影響について説明する。
酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物において欠陥準位が形成される。このため、酸化物におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
続いて、該酸化物を2層構造、または3層構造とした場合について述べる。酸化物S1、酸化物S2、および酸化物S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、酸化物S2および酸化物S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、について、図16を用いて説明する。
図16(A)は、絶縁体I1、酸化物S1、酸化物S2、酸化物S3、および絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図16(B)は、絶縁体I1、酸化物S2、酸化物S3、および絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。なお、バンド図は、理解を容易にするため絶縁体I1、酸化物S1、酸化物S2、酸化物S3、および絶縁体I2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
酸化物S1、酸化物S3は、酸化物S2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物S2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物S1、酸化物S3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。すなわち、酸化物S1、酸化物S3の電子親和力と、酸化物S2の電子親和力との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。
図16(A)、および図16(B)に示すように、酸化物S1、酸化物S2、酸化物S3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド図を有するためには、酸化物S1と酸化物S2との界面、または酸化物S2と酸化物S3との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物S1と酸化物S2、酸化物S2と酸化物S3が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物S2がIn−Ga−Zn酸化物の場合、酸化物S1、酸化物S3として、In−Ga−Zn酸化物、Ga−Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物S2となる。酸化物S1と酸化物S2との界面、および酸化物S2と酸化物S3との界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
トラップ準位に電子が捕獲されることで、捕獲された電子は固定電荷のように振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。酸化物S1、酸化物S3を設けることにより、トラップ準位を酸化物S2より遠ざけることができる。当該構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトすることを防止することができる。
酸化物S1、酸化物S3は、酸化物S2と比較して、導電率が十分に低い材料を用いる。このとき、酸化物S2、酸化物S2と酸化物S1との界面、および酸化物S2と酸化物S3との界面が、主にチャネル領域として機能する。例えば、酸化物S1、酸化物S3には、図14(C)において、絶縁性が高くなる領域Cで示す原子数比の酸化物を用いればよい。なお、図14(C)に示す領域Cは、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、またはその近傍値である原子数比を示している。
特に、酸化物S2に領域Aで示される原子数比の酸化物を用いる場合、酸化物S1および酸化物S3には、[M]/[In]が1以上、好ましくは2以上である酸化物を用いることが好ましい。また、酸化物S3として、十分に高い絶縁性を得ることができる[M]/([Zn]+[In])が1以上である酸化物を用いることが好適である。
なお、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cはスパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて成膜することができる。
また、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cは、成膜時に基板加熱処理を行う、または成膜後に加熱処理を行うことが好ましい。このような加熱処理を行うことで、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cなどに含まれる水、または水素をさらに低減させることができる。また、絶縁体106aおよび半導体106bに過剰酸素を供給することができる場合がある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上450℃以下、さらに好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもできる。RTA装置による加熱処理は、炉と比べて短時間で済むため、生産性を高めるために有効である。
なお、トランジスタのバックゲートなる導電体62a、図2などに示すプラグおよび配線を構成する窒素を有する金属20aなどに窒化タンタルを用いる場合、上記熱処理温度を350℃以上410℃以下、好ましくは370℃以上400℃以下とすればよい。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、窒化タンタル膜から水素が放出することを抑制できる。
また、半導体66bまたは絶縁体66cなどの導電体68aまたは導電体68bと接する領域に低抵抗領域が形成されることがある。低抵抗領域は、主に、半導体66bが接した導電体68aまたは導電体68bに酸素を引き抜かれる、または導電体68aまたは導電体68bに含まれる導電材料が半導体66b中の元素と結合することにより形成される。このような低抵抗領域が形成されることにより、導電体68aまたは導電体68bと半導体66bとの接触抵抗を低減することが可能となるのでトランジスタ60aのオン電流を増大させることができる。
また、半導体66bは、導電体68aと導電体68bの間に導電体68aおよび導電体68bと重なった領域より厚さの薄い領域を有することがある。これは、導電体68aおよび導電体68bを形成する際に、半導体66bの上面の一部を除去することにより形成される。半導体66bの上面には、導電体68aおよび導電体68bとなる導電体を成膜した際に、上記低抵抗領域と同様の抵抗の低い領域が形成される場合がある。このように、半導体66bの上面の導電体68aと導電体68bの間に位置する領域を除去することにより、半導体66bの上面の抵抗が低い領域にチャネルが形成されることを防ぐことができる。
なお、上述の絶縁体66a、半導体66bおよび絶縁体66cの3層構造は一例である。例えば、絶縁体66aまたは絶縁体66cのいずれか一方を設けない2層構造としてもよい。また、絶縁体66aまたは絶縁体66cの両方を設けない単層構造としてもよい。または、絶縁体66a、半導体66bまたは絶縁体66cとして例示した絶縁体、半導体または導電体のいずれかを有するn層構造(nは4以上の整数)としても構わない。
<絶縁体、導電体>
以下に、トランジスタ60aの半導体以外の各構成要素について詳細な説明を行う。
絶縁体59および絶縁体61は、水素または水をブロックする機能を有する絶縁体を用いる。絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66c近傍に設けられる絶縁体中の水素や水は、酸化物半導体としても機能する絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66c中にキャリアを生成する要因の一つとなる。これによりトランジスタ60aの信頼性が低下するおそれがある。特に、半導体基板91においてシリコンなどを用いる場合、半導体基板のダングリングボンドを終端するために水素が用いられるため、当該水素が酸化物半導体を有するトランジスタまで拡散するおそれがある。これに対して水素または水をブロックする機能を有する絶縁体59および絶縁体61を設けることにより酸化物半導体を有するトランジスタの下層から水素または水が拡散するのを抑制し、酸化物半導体を有するトランジスタの信頼性を向上させることができる。絶縁体59および絶縁体61は、絶縁体65または絶縁体64より水素または水を透過させにくいことが好ましい。
また、絶縁体59および絶縁体61は酸素をブロックする機能も有することが好ましい。絶縁体59および絶縁体61が絶縁体64から拡散する酸素をブロックすることにより、絶縁体64から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに効果的に酸素を供給することができる。
絶縁体59および絶縁体61としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いることができる。好ましくは、絶縁体59をALD法を用いて成膜し、絶縁体61をスパッタ法を用いて成膜する。これらを絶縁体59および絶縁体61として用いることにより、酸素、水素または水の拡散をブロックする効果を示す絶縁膜として機能することができる。また、絶縁体59および絶縁体61としては、例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を用いることができる。これらを絶縁体59および絶縁体61として用いることにより、水素、水の拡散をブロックする効果を示す絶縁膜として機能することができる。なお、絶縁体59および絶縁体61の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
絶縁体67としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。なお、絶縁体67の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
導電体62aおよび導電体62bは、少なくとも一部が導電体68aと導電体68bに挟まれる領域において半導体66bと重なることが好ましい。導電体62aおよび導電体62bは、トランジスタ60aのバックゲートとして機能する。このような導電体62aおよび導電体62bを設けることにより、トランジスタ60aのしきい値電圧の制御を行うことができる。しきい値電圧の制御を行うことによって、トランジスタ60aのゲート(導電体74)に印加された電圧が低い、例えば印加された電圧が0V以下のときに、トランジスタ60aが導通状態となることを防ぐことができる。つまり、トランジスタ60aの電気特性を、よりノーマリーオフの方向にシフトさせることが容易になる。
また、バックゲートとして機能する導電体62aおよび導電体62bは、所定の電位が供給される配線または端子と接続されていてもよい。例えば、導電体62aおよび導電体62bが一定の電位が供給される配線と接続されていてもよい。一定の電位は、高電源電位や、接地電位などの低電源電位とすることができる。
導電体62aは、上記窒素を有する金属に用いることができる導電体を用いればよく、導電体62bは上記導電体21に用いることができる導電体を用いればよい。
絶縁体65は導電体62aおよび導電体62bを覆うように設けられる。絶縁体65は、後述する絶縁体64または絶縁体72と同様の絶縁体を用いることができる。
絶縁体63は絶縁体65を覆うように設けられる。絶縁体63は、酸素をブロックする機能を有することが好ましい。このような絶縁体63を設けることにより絶縁体64から導電体62aおよび導電体62bが酸素を引き抜くことを防ぐことができる。これにより、絶縁体64から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体63の被覆性を高くすることにより、より絶縁体64から引き抜かれる酸素をより低減し、絶縁体64から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに、より効果的に酸素を供給することができる。
絶縁体63としては、ホウ素、アルミニウム、シリコン、スカンジウム、チタン、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、インジウム、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウムまたはタリウムを有する酸化物または窒化物を用いる。好ましくは、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムを用いる。なお、絶縁体63の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
なお、絶縁体65、絶縁体63および絶縁体64において、絶縁体63が電子捕獲領域を有すると好ましい。絶縁体65および絶縁体64が電子の放出を抑制する機能を有するとき、絶縁体63に捕獲された電子は、負の固定電荷のように振舞う。したがって、絶縁体63はフローティングゲートとしての機能を有する。
絶縁体64は、膜中に含まれる水または水素の量が少ないことが好ましい。例えば、絶縁体64としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体64としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。好ましくは、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いる。なお、絶縁体64の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
また、絶縁体64は過剰酸素を有する絶縁体であることが好ましい。このような絶縁体64を設けることにより、絶縁体64から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに酸素を供給することができる。当該酸素により、酸化物半導体である絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cの欠陥となる酸素欠損を低減することができる。これにより、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cを欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。
なお、本明細書などにおいて、過剰酸素とは、例えば、化学量論的組成を超えて含まれる酸素をいう。または、過剰酸素とは、例えば、加熱することで当該過剰酸素が含まれる膜または層から放出される酸素をいう。過剰酸素は、例えば、膜や層の内部を移動することができる。過剰酸素の移動は、膜や層の原子間を移動する場合や、膜や層を構成する酸素と置き換わりながら玉突き的に移動する場合などがある。
過剰酸素を有する絶縁体64は、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、100℃以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で、酸素分子の脱離量が1.0×1014molecules/cm2以上1.0×1016molecules/cm2以下、より好ましくは、1.0×1015molecules/cm2以上5.0×1015molecules/cm2以下となる。
TDS分析を用いた分子の放出量の測定方法について、酸素の放出量を例として、以下に説明する。
測定試料をTDS分析したときの気体の全放出量は、放出ガスのイオン強度の積分値に比例する。そして標準試料との比較により、気体の全放出量を計算することができる。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコン基板のTDS分析結果、および測定試料のTDS分析結果から、測定試料の酸素分子の放出量(NO2)は、下に示す式で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。CH3OHの質量電荷比は32であるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子および質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
ここで、NO2=NH2/SH2×SO2×αとする。
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、測定試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。上に示す式の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として一定量の水素原子を含むシリコン基板を用いて測定する。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
または、加熱処理によって酸素を放出する絶縁体は、過酸化ラジカルを含むこともある。具体的には、過酸化ラジカルに起因するスピン密度が、5×1017spins/cm3以上であることをいう。なお、過酸化ラジカルを含む絶縁体は、電子スピン共鳴法(ESR:Electron Spin Resonance)にて、g値が2.01近傍に非対称の信号を有することもある。
また、絶縁体64または絶縁体63は、下層からの不純物の拡散を防止する機能を有してもよい。
また、上述の通り半導体66bの上面または下面は平坦性が高いことが好ましい。このため、絶縁体64の上面にCMP処理などによって平坦化処理を行って平坦性の向上を図ってもよい。
導電体68aおよび導電体68bは、それぞれトランジスタ60aのソース電極またはドレイン電極のいずれかとして機能する。
導電体68aおよび導電体68bとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、導電体68aおよび導電体68bを積層構造とする場合、窒化タンタルの上にタングステンを積層する構造としてもよい。また、導電体68aおよび導電体68bは例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。なお、導電体68aおよび導電体68bの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
絶縁体72は、トランジスタ60aのゲート絶縁膜として機能する。絶縁体72は、絶縁体64と同様に過剰酸素を有する絶縁体としてもよい。このような絶縁体72を設けることにより、絶縁体72から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体106に酸素を供給することができる。
絶縁体72、絶縁体77としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体72、絶縁体77としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。なお、絶縁体72、絶縁体77の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
また、絶縁体77は過剰酸素を有する絶縁体であることが好ましい。このような絶縁体77を設けることにより、絶縁体77から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに酸素を供給することができる。当該酸素により、酸化物半導体である絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cの欠陥となる酸素欠損を低減することができる。これにより、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cを欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。
過剰酸素を有する絶縁体77は、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、100℃以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で、酸素分子の脱離量が1.0×1014molecules/cm2以上1.0×1016molecules/cm2以下、より好ましくは、1.0×1015molecules/cm2以上5.0×1015molecules/cm2以下となる。
また、絶縁体77は水素、水、窒素酸化物(NOx、例えば一酸化窒素、二酸化窒素など)などの不純物が少ないことが好ましい。このような絶縁体77を用いることにより、絶縁体77から水素、水、窒素酸化物などの不純物が絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに拡散することを抑制し、半導体66bを欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。
ここで、絶縁体77はTDS分析にて、200℃以上560℃以下の表面温度の範囲で、H2O分子の脱離量が3.80×1015molecules/cm2以下、より好ましくは、2.40×1015molecules/cm2以下となる。また、絶縁体77はTDS分析にて、0℃以上400℃以下の表面温度の範囲で、H2O分子の脱離量が7.00×1014molecules/cm2以下となることがさらに好ましい。また、絶縁体77はTDS分析にて、NO2分子の脱離量が1.80×1013molecules/cm2以下となることが好ましい。
導電体74はトランジスタ60aまたは60bのゲート電極として機能する。導電体74としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、導電体74を積層構造とする場合、窒化タンタルの上にタングステンを積層する構造としてもよい。また、導電体74は例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。なお、導電体74の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
好ましくは、例えばALD法で成膜した窒化タンタル上にスパッタ法を用いて導電体をする2層構造としてもよい。ゲート絶縁膜と接する領域にALD法を用いて窒化タンタルを成膜するので、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁体72へダメージを与えることが少ないために好ましい。さらにALD法で成膜した窒化タンタルの表面付近の高抵抗率の領域を逆スパッタを行うことによって取り除いた後にスパッタ法を用いて窒化タンタルまたはタングステンなどを成膜して、多層構造とすればよい。この構造とすることで、スパッタ法によるダメージを絶縁体72へ与えることが少なくなるので好ましい。逆スパッタによる高抵抗領域の除去およびスパッタ法による成膜は、同一の装置を用いて行うことができる。
ここで、図12(C)に示すように、導電体62aおよび導電体62bおよび導電体74の電界によって、半導体66bを電気的に取り囲むことができる(導電体から生じる電界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。)。そのため、半導体66bの全体(上面、下面および側面)にチャネルが形成される。s−channel構造では、トランジスタのソース−ドレイン間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を高くすることができる。
なお、トランジスタがs−channel構造を有する場合、半導体66bの側面にもチャネルが形成される。したがって、半導体66bが厚いほどチャネル領域は大きくなる。即ち、半導体66bが厚いほど、トランジスタのオン電流を高くすることができる。また、半導体66bが厚いほど、キャリアの制御性の高い領域の割合が増えるため、サブスレッショルドスイング値を小さくすることができる。例えば、10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは30nm以上の厚さの領域を有する半導体66bとすればよい。ただし、半導体装置の生産性が低下する場合があるため、例えば、150nm以下の厚さの領域を有する半導体66bとすればよい。
高いオン電流が得られるため、s−channel構造は、微細化されたトランジスタに適した構造といえる。トランジスタを微細化できるため、該トランジスタを有する半導体装置は、集積度の高い、高密度化された半導体装置とすることが可能となる。例えば、トランジスタは、チャネル長が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有し、かつ、トランジスタは、チャネル幅が好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下の領域を有する。
絶縁体79は、絶縁体63に用いることができる絶縁体を設けることが好ましい。例えば、絶縁体79としてALD法を用いて成膜した酸化ガリウムまたは酸化アルミニウムなどを用いればよい。このような絶縁体79を導電体74を覆って設けることにより、絶縁体77に供給された過剰酸素を導電体74が奪って、導電体74が酸化することを防ぐことができる。
絶縁体78の厚さとしては、例えば5nm以上、または20nm以上とすることができる。また、絶縁体78は少なくとも一部が絶縁体77の上面と接して形成されることが好ましい。
絶縁体78としては、例えば、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。絶縁体78は酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等をブロックする効果を有することが好ましい。このような絶縁体としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。また、絶縁体78は、上述の絶縁体66aまたは絶縁体66cとして用いることができる酸化物を用いることもできる。なお、絶縁体78の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
ここで絶縁体78の成膜は、スパッタリング法を用いて行うことが好ましく、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法を用いて行うことがより好ましい。スパッタリング法で絶縁体78の成膜をおこなうことにより、成膜と同時に絶縁体77の表面(絶縁体78成膜後は絶縁体77と絶縁体78の界面)近傍に酸素が添加される。例えば、スパッタリング法を用いて酸化アルミニウムを成膜すればよい。さらにその上にALD法を用いて酸化アルミニウムを成膜することが好ましい。ALD法を用いることにより、ピンホールの形成などを抑制できるため、絶縁体78の酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等をブロックする効果をより向上させることができる。
絶縁体78の成膜時に加熱処理を行う、または成膜後に加熱処理を行うことが好ましい。熱処理を行うことにより、絶縁体77に添加した酸素を拡散させ、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに供給することができる。また、当該酸素は絶縁体77から絶縁体72または絶縁体64を介して、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに供給される場合もある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下で行えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもできる。
なお、トランジスタのバックゲートなる導電体62a、図1および図2に示すプラグおよび配線を構成する窒素を有する金属20aなどに窒化タンタルを用いる場合、上記熱処理温度を350℃以上410℃以下、好ましくは370℃以上400℃以下とすればよい。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、窒化タンタルから水素が放出することを抑制できる。
絶縁体78は、絶縁体77より酸素を透過させにくい絶縁体であり、酸素をブロックする機能を有することが好ましい。このような絶縁体78を設けることにより、絶縁体77から絶縁体66a、半導体66bおよび絶縁体66cに酸素を供給する際に、当該酸素が絶縁体78の上方に外部放出されてしまうことを防ぐことができる。
なお、酸化アルミニウムは、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高いので絶縁体78に適用するのに好ましい。
<容量素子の構成>
図17(A)に容量素子80aの構成の一例を示す。容量素子80aは、導電体82と、絶縁体83と、導電体84と、を有している。図17(A)に示すように、絶縁体81の上に導電体82が設けられ、導電体82を覆うように絶縁体83が設けられ、絶縁体83を覆うように導電体84が設けられ、導電体84の上に絶縁体85が設けられる。
ここで、絶縁体83が導電体82の側面に接するように設けられ、導電体84が絶縁体83の凸部の側面に接するように設けられることが好ましい。これにより、導電体82の上面だけでなく、導電体82の側面も容量素子として機能させることができるので、容量値を大きくすることができる。
導電体82および導電体84としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。なお、導電体82および導電体84の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
絶縁体83としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上含む絶縁体を用いることができる。例えば、酸化アルミニウムの上に酸化窒化シリコンを積層してもよい。また、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz(x>0、y>0、z>0))、酸化ハフニウム、または酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることが好ましい。また、絶縁体83としてhigh−k材料を用いる場合、熱処理を行うことで容量値を大きくすることができる場合がある。このようなhigh−k材料を用いることで、絶縁体83を厚くしても容量素子80aの容量値を十分確保することができる。絶縁体83を厚くすることにより、導電体82と導電体84の間に生じるリーク電流を抑制することができる。なお、絶縁体83の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
絶縁体81および絶縁体85としては、絶縁体77として用いることができる絶縁体を用いればよい。また、絶縁体85は、有機シランガス(例えば、TEOS(Tetra−Ethyl−Ortho−Silicate)など)を用いて成膜してもよい。
次に、容量素子80aの変形例について図17(B)(C)を用いて説明する。
図17(B)に示す容量素子80bは、導電体84が導電体82の上面と重なるように形成されている点において、図17(A)に示す容量素子80aと異なる。なお、図17(B)では、導電体84の側面端部と導電体82の側面端部が重なるように設けられているが、容量素子80bはこれに限られるものではない。
図17(C)に示す容量素子80cは、絶縁体81の上に開口を有する絶縁体86が設けられており、導電体82は当該開口の中に設けられている点において、図17(A)に示す容量素子80aと異なる。ここで、絶縁体86の開口と絶縁体81の上面を溝部とみなすことができ、導電体82は当該溝部に沿って設けられることが好ましい。また、図17(C)に示すように、絶縁体86の上面と導電体82の上面とが概略一致するように形成されてもよい。
導電体82の上に絶縁体83が設けられ、絶縁体83の上に導電体84が設けられる。ここで、導電体84は、上記溝部において、絶縁体83を介して導電体82と面する領域を有する。また、絶縁体83は導電体82の上面を覆うように設けられることが好ましい。このように絶縁体83を設けることで導電体82と導電体84との間でリーク電流が流れるのを防ぐことができる。また、絶縁体83の側面端部と導電体84の側面端部とが概略一致するように設けられていてもよい。このように、容量素子80cは、コンケーブ型またはシリンダー型などの形状とすることが好ましい。なお、容量素子80cにおいて、導電体82、絶縁体83および導電体84の上面形状が四角形以外の多角形状となってもよいし、楕円を含む円形状となってもよい。
<半導体基板に形成されたトランジスタの構成>
図18(A)および図18(B)に、半導体基板を有する素子層に含まれるトランジスタ90aの構成の一例を示す。図18(A)はトランジスタ90aのチャネル長方向B1−B2に対応する断面図であり、図18(B)はトランジスタ90aのチャネル幅方向B3−B4に対応する断面図である。
半導体基板91には複数の凸部が形成されており、複数の凸部の間の溝部(トレンチと呼ぶ場合もある。)に素子分離領域97が形成されている。半導体基板91および素子分離領域97の上に絶縁体94が形成されており、絶縁体94の上に導電体96が形成されている。絶縁体94および導電体96の側面に接して絶縁体95が形成されている。半導体基板91、素子分離領域97、絶縁体95および導電体96の上に絶縁体99が設けられており、さらにその上に絶縁体98が設けられている。
また、図18(A)に示すように、半導体基板91の凸部において、少なくとも絶縁体95の一部と重なるように低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bが形成され、低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bの外側に低抵抗領域92aおよび低抵抗領域92bが形成される。なお、低抵抗領域92aおよび低抵抗領域92bは低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bより抵抗が低いことが好ましい。
ここで、導電体96はトランジスタ90aのゲートとして機能し、絶縁体94はトランジスタ90aのゲート絶縁膜として機能し、低抵抗領域92aはトランジスタ90aのソースまたはドレインの一方として機能し、低抵抗領域92bはトランジスタ90aのソースまたはドレインの他方として機能する。また、絶縁体95はトランジスタ90aのサイドウォール絶縁膜として機能する。また、低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bはトランジスタ90aのLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。また、半導体基板91の凸部において、導電体96と重なり、且つ低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bの間に位置する領域は、トランジスタ90aのチャネル形成領域として機能する。
トランジスタ90aでは、図18(B)に示すように、チャネル形成領域における凸部の側部および上部と、導電体96とが絶縁体94を間に挟んで重なることで、チャネル形成領域の側部と上部を含めた広い範囲においてキャリアが流れる。そのため、トランジスタ90aの基板上における占有面積を小さく抑えつつ、トランジスタ90aにおいて移動するキャリアの量を増加させることができる。その結果、トランジスタ90aは、オン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高められる。特に、チャネル形成領域における凸部のチャネル幅方向の長さ(チャネル幅)をW、チャネル形成領域における凸部の高さをTとすると、チャネル幅Wに対する凸部の高さTの比(T/W)に相当するアスペクト比が高い場合、キャリアが流れる範囲はより広くなるため、トランジスタ90aのオン電流をより大きくすることができ、電界効果移動度もより高められる。例えば、バルクの半導体基板91を用いたトランジスタ90aの場合、アスペクト比は0.5以上であることが望ましく、1以上であることがより望ましい。
図18(A)(B)に示すトランジスタ90aは、トレンチ分離法(STI法:Shallow Trench Isolation)を用いて素子分離した例を示しているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。
半導体基板91としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムなどの半導体基板などを用いればよい。好ましくは、半導体基板91として単結晶シリコン基板を用いる。また、半導体基板91として、半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などを用いてもよい。
半導体基板91は、例えば、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。ただし、半導体基板91として、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いても構わない。または、半導体基板91がi型であっても構わない。
また、半導体基板91に設けられる低抵抗領域92aおよび低抵抗領域92bは、リンやヒ素などのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素やアルミニウムなどのp型の導電性を付与する元素を含むことが好ましい。また同様に、低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bも、リンやヒ素などのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素やアルミニウムなどのp型の導電性を付与する元素を含むことが好ましい。ただし、低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bはLDDとして機能することが好ましいので、低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93bに含まれる導電性を付与する元素の濃度は、低抵抗領域92aおよび低抵抗領域92bに含まれる導電性を付与する元素の濃度より低いことが好ましい。なお、低抵抗領域92aおよび低抵抗領域92bはシリサイドなどを用いて形成してもよい。
絶縁体94、絶縁体95は、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどから選ばれた一種以上含む絶縁体を用いることができる。また、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz(x>0、y>0、z>0))、酸化ハフニウム、または酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いてもよい。なお、絶縁体94、絶縁体95の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
導電体96としては、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、クロム、ニオブ等から選択された金属、またはこれらの金属を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることが好ましい。また、リン等の不純物を添加した多結晶シリコンを用いることができる。また、窒素を有する金属膜と上記の金属膜の積層構造で導電体96を形成してもよい。窒素を有する金属としては、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタンを用いることができる。窒素を有する金属膜を設けることにより、金属膜の密着性を向上させることができ、剥離を防止することができる。なお、導電体96の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
絶縁体98および絶縁体99としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。なお、絶縁体98の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
また、絶縁体98として、炭化窒化シリコン(silicon carbonitride)、酸化炭化シリコン(silicon oxycarbide)などを用いることができる。また、USG(Undoped Silicate Glass)、BPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)、BSG(Borosilicate Glass)等を用いることができる。USG、BPSG等は、常圧CVD法を用いて形成すればよい。また、例えば、HSQ(水素シルセスキオキサン)等を塗布法を用いて形成してもよい。
ただし、絶縁体99は水素を有すると好ましい場合がある。例えば、絶縁体99として水素を含む窒化シリコンなどを用いればよい。絶縁体99が水素を有することにより、半導体基板91が欠陥等を低減し、トランジスタ90a特性を向上させる場合がある。例えば半導体基板91としてシリコンを有する材料を用いた場合には、水素によりシリコンのダングリングボンド等の欠陥を終端することができる。
次に、トランジスタ90aの変形例について図18(C)(D)を用いて説明する。なお、図18(C)(D)は、図18(A)(B)と同様に、トランジスタ90aのチャネル長方向の断面図とトランジスタ90aのチャネル幅方向の断面図になる。
図18(C)(D)に示すトランジスタ90bは、半導体基板91に凸部が形成されていない点において、図18(A)(B)に示すトランジスタ90aと異なる。なお、図18(C)(D)に示すトランジスタ90bの他の構成については、図18(A)(B)に示すトランジスタ90aの構成を参酌することができる。
なお、トランジスタ90aおよびトランジスタ90bにおいて、導電体96の下面に接するように絶縁体94を設けているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、導電体96の下面および側面に接するように絶縁体94を設ける構成としてもよい。
<半導体装置の構成例>
半導体基板を含む素子層(以下、素子層50と呼ぶ。)の上に酸化物半導体を含む素子層(以下、素子層30と呼ぶ。)を設け、素子層30の上に容量素子を含む素子層(以下、素子層40と呼ぶ。)を設けた半導体装置の構成の一例を、図19に示す。図19はトランジスタ60aおよびトランジスタ90aのチャネル長方向C1−C2に対応する断面図である。なお、図19では、トランジスタ60aとトランジスタ90aのチャネル長方向が平行になっているが、これに限られることなく、適宜設定することができる。
素子層50は、図18(A)に示すトランジスタ90aが設けられたものであり、半導体基板91、素子分離領域97、絶縁体98、絶縁体99、絶縁体94、絶縁体95、導電体96、低抵抗領域93aおよび低抵抗領域93b、低抵抗領域92aおよび低抵抗領域92bについては、上記の記載を参酌することができる。
素子層50には、導電体51aおよび導電体52a、導電体51bおよび導電体52b、導電体51cおよび導電体52c、のプラグとして機能する部分が設けられている。導電体51aおよび導電体52aは、下面が低抵抗領域92aに接して、絶縁体98および絶縁体99の開口の中に形成されている。導電体51bおよび導電体52bは、下面が導電体96に接して、絶縁体98の開口の中に形成されている。導電体51cおよび導電体52cは、下面が低抵抗領域92bに接して、絶縁体98および絶縁体99の開口の中に形成されている。
ここで、導電体51a乃至導電体51cは、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aと同様の構造とすればよい。また、導電体52a乃至導電体52cは、図2(A)および(B)に示す導電体21aと同様の構造とすればよい。ただし、これに限られず、例えば、シングルダマシン法などを用いて、プラグと配線とを分けて形成してもよい。
図19に示すように、導電体51a乃至導電体51cと、導電体52a乃至導電体52cと、を積層構造とすることが好ましい。導電体51a乃至導電体51cとしては、例えば、チタン、タンタル、窒化チタンまたは窒化タンタルなどを単層または積層で用いればよい。窒化タンタルまたは窒化チタンなどの窒素を有する金属、特に窒化タンタルを導電体51a乃至導電体51cに用いることで、素子層50などに含まれる水素、水などの不純物が導電体51a乃至導電体51c中に拡散してさらに上の層に移動することを抑制することができる。これは、導電体51a乃至導電体51cだけでなく、他のプラグおよび配線として機能する導電体も同様である。よって、素子層30より下層に位置する、導電体111a乃至導電体111c、導電体121a乃至導電体121cも同様に、積層構造として下層に、窒化タンタルまたは窒化チタンなどの窒素を有する金属、特に窒化タンタルを用いることにより、上層に位置する素子層30に水素、水などの不純物が拡散することを防ぐことができる。このような構成とすることにより、素子層30に含まれる酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体とすることができる。
絶縁体98の上に絶縁体102aおよび絶縁体102bが設けられる。絶縁体102aおよび絶縁体102bに形成された開口に、導電体51aおよび導電体52a、導電体51bおよび導電体52b、導電体51cおよび導電体52cの配線などとして機能する部分が埋め込まれるように設けられる。例えば、導電体52a乃至導電体52cに銅など拡散しやすい金属を用いる場合、窒化シリコンや窒化炭化シリコンなどの銅が透過しにくい絶縁体を用いることにより、銅などの不純物がトランジスタ90aに拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体102aは絶縁体98などより水素濃度が低い絶縁体を用いることが好ましい。また、絶縁体102bは絶縁体102aより誘電率が低いことが好ましい。なお、図19では、絶縁体102aと絶縁体102bが積層して設けられているが、これに限られず単層の絶縁体としてもよい。
絶縁体102bの上に絶縁体104が設けられ、絶縁体104の上に絶縁体106が設けられ、絶縁体106の上に絶縁体108が設けられる。絶縁体102a、絶縁体102b、絶縁体104、絶縁体106および絶縁体108は、絶縁体98に用いることができる絶縁体を用いればよい。また、絶縁体102a、絶縁体102b、絶縁体104、絶縁体106および絶縁体108のいずれかは、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体とすることが好ましい。水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、窒化シリコンなどを用いればよい。
また、導電体52a乃至導電体52cに銅など拡散しやすい金属を用いる場合、絶縁体104に窒化シリコンや窒化炭化シリコンなどの銅が透過しにくい絶縁体を用いることにより、銅などの不純物が素子層30に含まれる酸化物半導体膜に拡散することを防ぐことができる。
絶縁体104および絶縁体106には、導電体111aおよび導電体112a、導電体111bおよび導電体112b、導電体111cおよび導電体112c、のプラグとして機能する部分が設けられている。また、絶縁体108には、導電体111aおよび導電体112a、導電体111bおよび導電体112b、導電体111cおよび導電体112c、の配線として機能する部分が設けられている。導電体111aおよび導電体112aは、下面が導電体52aに接して、絶縁体104、絶縁体106および絶縁体108の開口の中に形成されている。導電体111bおよび導電体112bは、下面が導電体52bに接して、絶縁体104、絶縁体106および絶縁体108の開口の中に形成されている。導電体111cおよび導電体112cは、下面が導電体52cに接して、絶縁体104、絶縁体106および絶縁体108の開口の中に形成されている。
ここで、導電体111a乃至導電体111cは、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aと同様の構造とすればよい。また、導電体112a乃至導電体112cは、図2(A)および(B)に示す導電体21aと同様の構造とすればよい。ただし、これに限られず、例えば、シングルダマシン法などを用いて、プラグと配線とを分けて形成してもよい。
絶縁体108の上に絶縁体110が設けられる。絶縁体110は、絶縁体106に用いることができる絶縁体を用いればよい。
絶縁体110の上の素子層30は、図12(A)に示すトランジスタ60aが設けられたものであり、絶縁体61、絶縁体67、導電体62a、導電体62b、絶縁体65、絶縁体63、絶縁体64、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66c、導電体68a、導電体68b、絶縁体72、導電体74、絶縁体79、絶縁体77および絶縁体78については、上記の記載を参酌することができる。
絶縁体61、絶縁体59、絶縁体58および絶縁体110には、導電体121aおよび導電体122a、導電体121bおよび導電体122b、導電体121cおよび導電体122c、のプラグとして機能する部分が設けられている。また、絶縁体67には、導電体121aおよび導電体122a、導電体121bおよび導電体122b、導電体121cおよび導電体122c、の配線として機能する部分が設けられている。導電体121aおよび導電体122aは、下面が導電体112aに接して、絶縁体67、絶縁体61、絶縁体59、絶縁体58および絶縁体110の開口の中に形成されている。導電体121bおよび導電体122bは、下面が導電体112bに接して、絶縁体67、絶縁体61、絶縁体59、絶縁体58および絶縁体110の開口の中に形成されている。導電体121cおよび導電体122cは、下面が導電体112cに接して、絶縁体67、絶縁体61、絶縁体59、絶縁体58および絶縁体110の開口の中に形成されている。
ここで、導電体121a乃至導電体121cは、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aと同様の構造とすればよい。また、導電体122a乃至導電体122cは、図2(A)および(B)に示す導電体21aと同様の構造とすればよい。
また、導電体62aおよび導電体62bが、導電体121aおよび導電体122a、導電体121bおよび導電体122b、導電体121cおよび導電体122c、と同じ層に形成されている。
図19に示すように、半導体基板91と半導体66bの間を絶縁体61、絶縁体59および絶縁体58と導電体121a乃至導電体121cで分断されている。導電体121a乃至導電体121cは水素および水の拡散をブロックする機能を有しているため、素子層50などに含まれる水素または水などの不純物が、絶縁体61、絶縁体59および絶縁体58に形成されるビアホールやプラグとして機能する導電体122a乃至導電体122cを介して半導体66bに拡散することを防ぐことができる。
ここで、図20にスクライブライン138近傍のC3−C4断面に対応する断面図を示す。図20に示すように、スクライブライン138と重なる領域近傍において、絶縁体67、絶縁体65、絶縁体63、絶縁体64および絶縁体77に開口が形成され、絶縁体67、絶縁体65、絶縁体63、絶縁体64および絶縁体77の側面を覆って絶縁体78が成膜され、当該開口において絶縁体78と絶縁体61とが接していることが好ましい。
このような形状とすることにより、絶縁体78と絶縁体61で、絶縁体67、絶縁体65、絶縁体63、絶縁体64および絶縁体77を側面まで覆うことができる。絶縁体78と絶縁体61は水素および水をブロックする機能を有しているため、本実施の形態に示す半導体装置をスクライブしても、絶縁体67、絶縁体65、絶縁体63、絶縁体64および絶縁体77の側面から水素または水が浸入して、トランジスタ60aに拡散することを防ぐことができる。
また、上述の通り、絶縁体78の成膜に伴って絶縁体77に過剰酸素を供給することができる。このとき、絶縁体78で絶縁体77の側面を覆っていることにより、酸素が絶縁体78の外に拡散することを防ぎ、絶縁体77を酸素で満たし、絶縁体77から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに酸素を供給することができる。当該酸素により、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cの欠陥となる酸素欠損を低減することができる。これにより、半導体66bを欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。
絶縁体78の上に絶縁体88が設けられる。絶縁体88は、絶縁体78と同様の絶縁体を用いることができるが、ALD法で成膜することが好ましい。絶縁体88の上に絶縁体89が設けられる。絶縁体89は絶縁体59に用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体89の上に絶縁体81が設けられる。絶縁体81は、絶縁体77に用いることができる絶縁体を用いればよい。
絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65には、プラグとして機能する導電体31aおよび導電体32a、導電体31bおよび導電体32b、導電体31cおよび導電体32c、導電体31dおよび導電体32d、導電体31eおよび導電体32eが設けられている。導電体31aおよび導電体32aは、下面が導電体122aに接して、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65の開口の中に形成されている。導電体31bおよび導電体32bは、下面が導電体68aに接して、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、絶縁体77および絶縁体66cの開口の中に形成されている。導電体31cおよび導電体32cは、下面が導電体68bに接して、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、絶縁体77および絶縁体66cの開口の中に形成されている。導電体31dおよび導電体32dは、下面が導電体122bに接して、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65の開口の中に形成されている。導電体31eおよび導電体32eは、下面が導電体122cに接して、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65の開口の中に形成されている。
ここで、導電体31a乃至導電体31eは、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aに用いることができる導電体を用いればよい。導電体31a乃至導電体31eをこのような構造にすることにより、上述の各開口部を導電体31a乃至導電体31eで塞ぐ形状にすることができる。導電体31a乃至導電体31eは水素および水の拡散をブロックする機能を有しているため、導電体32a乃至導電体32eを介して、トランジスタ60aに水素または水などの不純物が拡散することを防ぐことができる。また、導電体32a乃至導電体32eは、図2(A)および(B)に示す導電体21aに用いることができる導電体を用いればよい。
絶縁体81の上に、導電体33a、導電体33b、導電体82および導電体33eが形成されている。ここで、導電体82は素子層40の容量素子80aの電極の一方である。導電体33aは導電体31aおよび導電体32aの露出した上面と接し、導電体33bは導電体31bおよび導電体32bの露出した上面と接し、導電体82は導電体31cおよび導電体32c並びに導電体31dおよび導電体32dの露出した上面と接し、導電体33eは導電体31eおよび導電体32eの露出した上面と接している。
ここで、導電体33a、導電体33bおよび導電体33eは、導電体82に用いることができる導電体を用いればよい。
なお、図19に示す断面図では、導電体74、導電体62bと接続される配線およびプラグが図示されていないが、別途設けることができる。
素子層40は、図17(A)に示す容量素子80aが設けられたものであり、絶縁体81、導電体82、絶縁体83、導電体84および絶縁体85については、上記の記載を参酌することができる。
素子層40には、プラグとして機能する導電体41aおよび導電体42a、導電体41bおよび導電体42b、導電体41cおよび導電体42c、導電体41dおよび導電体42dが設けられている。導電体41aおよび導電体42aは、下面が導電体33aに接して、絶縁体83および絶縁体85の開口の中に形成されている。導電体41bおよび導電体42bは、下面が導電体33bに接して、絶縁体83および絶縁体85の開口の中に形成されている。導電体41cおよび導電体42cは、下面が導電体84に接して、絶縁体85の開口の中に形成されている。導電体41dおよび導電体42dは、下面が導電体33eに接して、絶縁体83および絶縁体85の開口の中に形成されている。
ここで、導電体41a乃至導電体41dは、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aに用いることができる導電体を用いればよい。また、導電体42a乃至導電体42dは、図2(A)および(B)に示す導電体21aに用いることができる導電体を用いればよい。
配線として機能する導電体43a乃至導電体43dは、絶縁体85の上に形成されている。導電体43aは導電体41aおよび導電体42aの露出した上面と接し、導電体43bは導電体41bおよび導電体42bの露出した上面と接し、導電体43cは導電体41cおよび導電体42cの露出した上面と接し、導電体43dは導電体41dおよび導電体42dの露出した上面と接している。
ここで、導電体43a乃至導電体43dは、導電体33a、導電体33bおよび導電体33eに用いることができる導電体を用いればよい。また、導電体43a乃至導電体43dは、素子層30の上に成膜されるため、導電体43a乃至導電体43dの成膜後には高温の熱処理を行う必要がない場合がある。よって、導電体43a乃至導電体43dとして、例えば、アルミニウム、銅などの耐熱性が低いが、低抵抗である金属材料を用いることにより、配線抵抗を低くすることができる。
絶縁体85の上に導電体43a乃至導電体43dを覆って絶縁体134が形成される。絶縁体134は、絶縁体85に用いることができる絶縁体を用いればよい。
絶縁体134には、プラグとして機能する導電体131および導電体132が設けられている。導電体131および導電体132は、下面が導電体42aに接して、絶縁体134の開口の中に形成されている。
ここで、導電体131は、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aに用いることができる導電体を用いればよい。また、導電体132は、図2(A)および(B)に示す導電体21aに用いることができる導電体を用いればよい。
配線として機能する導電体133は、絶縁体134の上に形成されている。導電体133は導電体131および導電体132の露出した上面と接している。ここで、導電体133は、導電体33a、導電体33bおよび導電体33eに用いることができる導電体を用いればよい。
絶縁体134の上に、導電体133の上に開口を有するように、絶縁体136が形成される。絶縁体136は、絶縁体134に用いることができる絶縁体を用いればよい。また、絶縁体136として、ポリイミドなどの有機絶縁膜を用いてもよい。
また、図19と異なる構成の半導体装置を図23に示す。図23はトランジスタ60aおよびトランジスタ90aのチャネル長方向C1−C2に対応する断面図である。なお、図23では、トランジスタ60aとトランジスタ90aのチャネル長方向が平行になっているが、これに限られることなく、適宜設定することができる。
絶縁体77がトランジスタ60aを覆う様に配置されるところは、図19に示す半導体装置と同様である。以下に図19に示す半導体装置と異なる構成を説明する。
絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65には、プラグとして機能する導電体31aおよび導電体32a、導電体31bおよび導電体32b、導電体31cおよび導電体32c、導電体31dおよび導電体32d、導電体31eおよび導電体32eが設けられている。導電体31aおよび導電体32aは、下面が導電体122aに接して、絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65の開口の中に形成されている。導電体31bおよび導電体32bは、下面が導電体68aに接して、絶縁体77および絶縁体66cの開口の中に形成されている。導電体31cおよび導電体32cは、下面が導電体68bに接して、絶縁体77および絶縁体66cの開口の中に形成されている。導電体31dおよび導電体32dは、下面が導電体122bに接して、絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65の開口の中に形成されている。導電体31eおよび導電体32eは、下面が導電体122cに接して、絶縁体77、絶縁体66c、絶縁体64、絶縁体63、および絶縁体65の開口の中に形成されている。
プラグとして機能する導電体31aおよび導電体32a、導電体31bおよび導電体32b、導電体31cおよび導電体32c、導電体31dおよび導電体32d、導電体31eおよび導電体32eのそれぞれの上面を覆うように、絶縁体55a、絶縁体55b、絶縁体55c、絶縁体55dおよび絶縁体55eで覆われている。絶縁体55a、絶縁体55b、絶縁体55c、絶縁体55dおよび絶縁体55eとしては、絶縁体78と同様の絶縁体を用いることができるが、ALD法で成膜することが好ましい。
絶縁体55a、絶縁体55b、絶縁体55c、絶縁体55dおよび絶縁体55eとしては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物、または窒化タンタルなどの金属窒化物などを用いることが好ましい。特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中、および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ60aへの混入を防止することができる。
絶縁体55a上、絶縁体55b上、絶縁体55c上、絶縁体55d上、絶縁体55e上および絶縁体77上には、絶縁体78、絶縁体88、絶縁体89、および絶縁体81が順に積層して設けられている。絶縁体78の成膜によって、絶縁体77に酸素を供給することができる。この酸素が過剰酸素となって絶縁体77および絶縁体66cなどを通り、半導体66bに拡散して半導体66b中の欠陥を修復することができる。
また、絶縁体78、絶縁体88、絶縁体89、および絶縁体81には、導電体31a乃至導電体31eおよび導電体32a乃至導電体32eが埋め込まれている。なお、導電体31a乃至導電体31eおよび導電体32a乃至導電体32eは、容量素子80a、トランジスタ60a、またはトランジスタ90aと電気的に接続するプラグ、または配線として機能を有する。導電体31a乃至導電体31eは、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aに用いることができる導電体を用いればよい。また、導電体32a乃至導電体32eは、図2(A)および(B)に示す導電体21aに用いることができる導電体を用いればよい。
絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、および絶縁体55cには、プラグとして機能する導電体41cおよび導電体42c、導電体41dおよび導電体42dが設けられている。導電体41cおよび導電体42cは、下面が導電体32cに接して、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、および絶縁体55cの開口の中に形成されている。導電体41dおよび導電体42dは、下面が導電体32dに接して、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、および絶縁体55dの開口の中に形成されている。また、導電体87は、導電体41c、導電体41d、導電体42cおよび導電体42dの上面と接するように配されている。さらに導電体87の上面と接する導電体82aおよび82bが配されている。導電体87、導電体82aおよび導電体82bは、容量素子80aの一方の電極の機能を有する。
絶縁体81上、導電体87上、導電体82a上および導電体82b上には、絶縁体83が設けられている。絶縁体83は、容量素子80aの誘電体としての機能を有する。絶縁体83は、絶縁体83a、絶縁体83bおよび絶縁体83cの3層構造とすることができる。例えば絶縁体83a、絶縁体83bおよび絶縁体83cをALD法を用いて、絶縁体83aを酸化シリコン、絶縁体83bを酸化アルミニウム、絶縁体83cを酸化シリコンとしてもよい。
絶縁体83、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、および絶縁体55aには、プラグとして機能する導電体41aおよび導電体42a、導電体41bおよび導電体42b、導電体41eおよび導電体42eが設けられている。導電体41aおよび導電体42aは、下面が導電体32aに接して、絶縁体83、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、および絶縁体55aの開口の中に形成されている。導電体41bおよび導電体42bは、下面が導電体32bに接して、絶縁体83、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、および絶縁体55bの開口の中に形成されている。導電体41eおよび導電体42eは、下面が導電体32eに接して、絶縁体83、絶縁体81、絶縁体89、絶縁体88、絶縁体78、および絶縁体55eの開口の中に形成されている。
絶縁体83上には、導電体42aの上面と接する領域を有する導電体43aが設けられている。また、絶縁体83上には、導電体42bの上面と接する領域を有する導電体43bが設けられている。いる。また、絶縁体83上には、導電体42eの上面と接する領域を有する導電体43cが設けられている。また、絶縁体83上には、導電体84が設けられている。なお、導電体84は、容量素子80aの他方の電極の機能を有する。
絶縁体83上、導電体43a上、導電体43b上、導電体43c上および導電体84上に絶縁体134が設けられている。絶縁体134には、プラグとして機能する導電体131および132が設けられている。導電体131および132は、下面が導電体43aに接して、絶縁体134の開口の中に形成されている。
ここで、導電体131は、図2(A)および(B)に示す窒素を有する金属20aに用いることができる導電体を用いればよい。また、導電体132は、図2(A)および(B)に示す導電体21aに用いることができる導電体を用いればよい。
配線として機能する導電体133は、絶縁体134の上に形成されている。導電体133は導電体131および導電体132の露出した上面と接している。ここで、導電体133は、導電体33a、導電体33bおよび導電体33eに用いることができる導電体を用いればよい。
絶縁体134の上に、導電体133の上に開口を有するように、絶縁体136が形成される。絶縁体136は、絶縁体134に用いることができる絶縁体を用いればよい。また、絶縁体136として、ポリイミドなどの有機絶縁膜を用いてもよい。
<酸化物半導体膜を有するトランジスタの作製方法>
次に、図12に示すトランジスタ60aのバックゲートとして機能する導電体62aおよび導電体62bの上に酸化物半導体膜を有するトランジスタ60aを作製する方法について図21および図22に示す断面図を用いて説明する。図21(A)、図21(C)、図21(E)、図22(A)、図22(C)および図22(E)はトランジスタ60aのチャネル長方向A1−A2に対応する断面図であり、図21(B)、図21(D)、図21(F)、図22(B)、図22(D)および図22(F)はトランジスタ60aのチャネル幅方向A3−A4に対応する断面図である。
まず、絶縁体67、導電体62aおよび導電体62bの上に絶縁体65を成膜する。絶縁体65としては上述の絶縁体を用いればよい。絶縁体65の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体65として、PECVD法を用いて酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどを成膜すればよい。
次に、絶縁体65の上に絶縁体63を成膜する。絶縁体63としては上述の絶縁体を用いればよい。絶縁体63の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体63として、ALD法を用いて酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムなどを成膜すればよい。
次に、絶縁体63の上に絶縁体64を成膜する(図21(A)(B)参照)。絶縁体64としては上述の絶縁体を用いればよい。絶縁体64の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体64として、PECVD法を用いて酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンなどを成膜すればよい。また、絶縁体65、絶縁体63および絶縁体64の成膜を大気中に露出せず、ALD法を用いて連続的に行ってもよい。
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、絶縁体65、絶縁体63および絶縁体64中の水、または水素をさらに低減させることができる。また、絶縁体64に過剰酸素を有せしめることができる場合がある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下で行えばよい。さらに、トランジスタのバックゲートなる導電体62aなどに窒化タンタルを用いる場合、上記熱処理温度を350℃以上410℃以下、好ましくは370℃以上400℃以下とすればよい。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、窒化タンタルから水素が放出することを抑制できる。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理によって、水素や水などの不純物を除去することなどができる。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもできる。RTA装置による加熱処理は、炉と比べて短時間で済むため、生産性を高めるために有効である。
次に、絶縁体66aとなる絶縁体69aを成膜する。絶縁体69aとしては上述の絶縁体66aとして用いることができる絶縁体または半導体などを用いればよい。絶縁体69aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。また、絶縁体69aの成膜は、基板を加熱しながら行うことが好ましい。基板加熱の温度などは、例えば後述の加熱処理と同様にすればよい。
次に、半導体66bとなる半導体を成膜する。半導体66bとなる半導体としては上述の半導体66bとして用いることができる半導体を用いればよい。半導体66bの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。また、半導体66bの成膜は、基板を加熱しながら行うことが好ましい。基板加熱の温度などは、例えば後述の加熱処理と同様にすればよい。なお、絶縁体69aの成膜と、半導体66bとなる半導体の成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中および界面への不純物の混入を低減することができる。
次に、絶縁体69aおよび半導体69bに加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、絶縁体66a、半導体66bの水素濃度を低減させることができる場合がある。また、絶縁体66aおよび半導体66bの酸素欠損を低減させることができる場合がある。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下で行えばよい。さらに、トランジスタのバックゲートなる導電体62aなどに窒化タンタルを用いる場合、上記熱処理温度を350℃以上410℃以下、好ましくは370℃以上400℃以下とすればよい。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、窒化タンタルから水素が放出することを抑制できる。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理によって、絶縁体66aおよび半導体66bの結晶性を高めることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもできる。RTA装置による加熱処理は、炉と比べて短時間で済むため、生産性を高めるために有効である。絶縁体66aおよび半導体66bとして後述するCAAC−OSを用いる場合、加熱処理を行うことで、ピーク強度が高くなり、半値全幅が小さくなる。即ち、加熱処理によってCAAC−OSの結晶性が高くなる。
当該加熱処理により、絶縁体64から絶縁体69aおよび半導体69bに酸素を供給することができる。絶縁体64に対して加熱処理を行うことにより、極めて容易に酸素を絶縁体66aとなる絶縁体、および半導体66bとなる半導体に供給することができる。
ここで、絶縁体63は、酸素をブロックするバリア膜として機能する。絶縁体63が絶縁体64の下に設けられていることにより、絶縁体64中に拡散した酸素が絶縁体64より下層に拡散することを防ぐことができる。
このように絶縁体66aとなる絶縁体、および半導体66bとなる半導体に酸素を供給し、酸素欠損を低減させることにより、欠陥準位密度の低い、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体とすることができる。
次に、導電体68aおよび導電体68bとなる導電体68を成膜する(図21(C)(D)参照。)。導電体68は上述の導電体68aおよび導電体68bとして用いることができる導電体を用いればよい。導電体68の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、導電体68としてスパッタリング法を用いて窒化タンタルを成膜し、さらにその上にタングステンを成膜すればよい。
次に、導電体68の上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて絶縁体69a、半導体69bおよび導電体68を島状に加工し、島状の導電体68、半導体66bおよび絶縁体66aを形成する。
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、絶縁体64、絶縁体63および絶縁体65、絶縁体66aおよび半導体66b中の水、または水素をさらに低減させることができる。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下で行えばよい。さらに、トランジスタのバックゲートなる導電体62aなどに窒化タンタルを用いる場合、上記熱処理温度を350℃以上410℃以下、好ましくは370℃以上400℃以下とすればよい。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、窒化タンタルから水素が放出することを抑制できる。加熱処理は、不活性ガス雰囲気で行ってもよい。また、酸化性ガスを含む雰囲気で行ってもよい。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもできる。RTA装置による加熱処理は、炉と比べて短時間で済むため、生産性を高めるために有効である。
ここまで行った熱処理によって、水、水素などの酸化物半導体に影響を与える不純物を酸化物半導体の成膜前に低減させておくことができる。また、上述したように、絶縁体61に形成されたビアホールを導電体121aなどによって塞ぐことにより、絶縁体61より下層に含まれる水素などの不純物が絶縁体61より上層に拡散することを抑制することができる。さらに、酸化物半導体成膜後に行うプロセスの温度を導電体121aなどから水素が放出される温度以下にすることによって、不純物の拡散による影響を小さくすることができる。
絶縁体66aおよび半導体66bを形成し、絶縁体64の表面が露出されている段階で熱処理を行うことにより、絶縁体66aおよび半導体66bに水、水素が供給されるのを抑制しながら、絶縁体64、絶縁体63および絶縁体65中の水、または水素をさらに低減させることができる。
また、上述の絶縁体66aおよび半導体66bを形成する際に、水素および炭素などの不純物を含むエッチングガスなどを用いる場合、絶縁体66aおよび半導体66bなどに水素および炭素などの不純物が取り込まれる場合がある。このように絶縁体66aおよび半導体66bの形成後にさらに熱処理を行うことにより、エッチングの際に取り込まれた水素および炭素などの不純物を脱離させることができる。
次に、島状の導電体68の上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて加工し、導電体68aおよび導電体68bを形成する(図21(E)(F)参照。)。
また、半導体66bの導電体68aまたは導電体68bと接する領域において、低抵抗領域が形成されることがある。また、半導体66bは、導電体68aと導電体68bの間に、導電体68aまたは導電体68bと重なった領域より厚さの薄い領域を有することがある。これは、導電体68aおよび導電体68bを形成する際に、半導体66bの上面の一部を除去することにより形成される。
次に、絶縁体64、絶縁体66a、半導体66b、導電体68aおよび導電体68bの上に、絶縁体66cとなる絶縁体69cを成膜する。絶縁体69cとしては上述の絶縁体66cなどとして用いることができる絶縁体または半導体などを用いればよい。絶縁体66cの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。絶縁体66cとなる絶縁体の成膜の前に、半導体66bなどの表面をエッチングしても構わない。例えば、希ガスを含むプラズマを用いてエッチングすることができる。その後、大気に暴露することなく連続で絶縁体66cとなる絶縁体を成膜することにより、半導体66bと絶縁体66cとの界面への不純物の混入を低減することができる。膜と膜との界面などに存在する不純物は、膜中の不純物よりも拡散しやすい場合がある。そのため、該不純物の混入を低減することにより、トランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
次に、絶縁体69cの上に、絶縁体72となる絶縁体72aを成膜する。絶縁体72aとしては上述の絶縁体72として用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体72aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体69cとして、PECVD法を用いて酸化窒化シリコンなどを成膜すればよい。なお、絶縁体69cの成膜と、絶縁体72aの成膜と、を大気に暴露することなく連続で行うことで、膜中および界面への不純物の混入を低減することができる。
次に、絶縁体72の上に導電体74となる導電体を成膜する。導電体74となる導電体としては、上述の導電体74として用いることができる導電体を用いればよい。導電体74となる導電体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。
例えば、導電体74となる導電体としてALD法を用いて窒化チタンを成膜し、さらにその上にスパッタリング法を用いて、逆スパッタ処理を行った後に窒化タンタルを成膜すればよい。
次に、導電体74となる導電体の上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて加工し、導電体74を形成する(図22(A)(B)参照)。
次に、絶縁体72aの上に、絶縁体79となる絶縁体を成膜する。絶縁体79となる絶縁体としては上述の絶縁体79として用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体79となる絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体79となる絶縁体として、ALD法を用いて酸化ガリウムまたは酸化アルミニウムなどを成膜すればよい。
次に、絶縁体79となる絶縁体の上にレジストなどを形成し、該レジストなどを用いて加工し、絶縁体79を形成する(図22(C)(D)参照)。
次に、絶縁体64、絶縁体79、導電体68aおよび導電体68bなどの上に、絶縁体77を成膜する。絶縁体77としては上述の絶縁体を用いればよい。上記のように、絶縁体77は水素、水、窒素酸化物などの不純物が少ないことが好ましい。絶縁体77の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体77として、PECVD法を用いて酸化窒化シリコンなどを成膜すればよい。
次に、CMP法などを用いて、絶縁体77の上面の平坦性を向上させることが好ましい。
ここで、図20に示したように、リソグラフィー法などを用いてスクライブライン138と重なる領域近傍において、絶縁体67、絶縁体65、絶縁体63、絶縁体64および絶縁体77に開口を形成することが好ましい。
次に、絶縁体77の上に絶縁体78を成膜する。絶縁体78としては上述の絶縁体を用いればよい(図22(E)(F)参照)。絶縁体78の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法またはPLD法、ALD法などを用いて行うことができる。なお、図17に示すスクライブライン138近傍では、上記開口において、絶縁体67、絶縁体65、絶縁体63、絶縁体64および絶縁体77の側面を覆って絶縁体78が成膜され、当該開口において絶縁体78と絶縁体61とが接する。
絶縁体78の成膜は、プラズマを用いて行うことが好ましく、スパッタリング法を用いて行うことがより好ましく、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法を用いて行うことがさらに好ましい。
スパッタリング法としては、スパッタ用電源に直流電源を用いるDC(Direct Current)スパッタリング法、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタ法、スパッタ用電源に高周波電源を用いるRF(Radio Frequency)スパッタリング法を用いてもよい。また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタリング法、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタリング法、反応性ガス雰囲気で行う反応性スパッタリング法などを用いてもよい。また、上述のPESPまたはVDSPを用いてもよい。なお、スパッタリングの酸素ガス流量や成膜電力は、酸素の添加量などに応じて適宜決定すればよい。
ここで、絶縁体78として、酸化アルミニウムなどの酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けることが好ましい。例えば、絶縁体78としてスパッタリング法を用いて酸化アルミニウムを成膜すればよい。さらにその上にALD法を用いて酸化アルミニウムを成膜することが好ましい。ALD法を用いて成膜した酸化アルミニウムを用いることにより、ピンホールの形成をふせぐことができるので、絶縁体61の水素および水に対するブロック性能をさらに向上させることができる。
スパッタリング法で絶縁体78の成膜を行うことにより、成膜と同時に絶縁体77の表面(絶縁体78成膜後は絶縁体77と絶縁体78の界面)近傍に酸素が添加される。ここで、酸素は、例えば、酸素ラジカルとして絶縁体77に添加されるが、酸素が添加されるときの状態はこれに限定されない。酸素は、酸素原子、または酸素イオンなどの状態で絶縁体77に添加されてもよい。なお、酸素の添加に伴い、絶縁体77中に酸素が化学量論的組成を超えて含まれる場合があり、このときの酸素を過剰酸素と呼ぶこともできる。
なお、絶縁体78を成膜する際に、基板加熱を行うことが好ましい。基板加熱は、250℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下で行えばよい。さらに、トランジスタのバックゲートなる導電体62aなどに窒化タンタルを用いる場合、上記熱処理温度を350℃以上410℃以下、好ましくは370℃以上400℃以下とすればよい。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、窒化タンタルから水素が放出することを抑制できる。
次に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことにより、絶縁体64または絶縁体77に添加した酸素を拡散させ、絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66ca、絶縁体66cbに供給することができる。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは350℃以上450℃以下で行えばよい。加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。加熱処理は減圧状態で行ってもよい。加熱処理は、ランプ加熱によるRTA装置を用いることもできる。
また、当該加熱処理は、半導体66bの成膜後の加熱処理よりも低い温度が好ましい。半導体66b成膜後の加熱処理との温度差は、20℃以上150℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下とする。これにより、絶縁体64などから余分に過剰酸素(酸素)が放出することを抑えることができる。なお、絶縁体78成膜後の加熱処理は、同等の加熱処理を各層の成膜時の加熱によって兼ねることができる場合(例えば絶縁体78の成膜で同等の加熱が行われる場合)、行わなくてもよい場合がある。
当該加熱処理により、絶縁体64および絶縁体77中に添加された酸素を絶縁体64または絶縁体72中に拡散させる。絶縁体78は、絶縁体77より酸素を透過させにくい絶縁体であり、酸素をブロックするバリア膜として機能する。このような絶縁体78が絶縁体77上に形成されているので、絶縁体77中を拡散する酸素が絶縁体77の上方に拡散せず、絶縁体77を主に横方向または下方向に拡散していく。なお、基板加熱を行いながら絶縁体78を加熱する場合、絶縁体64および絶縁体77中に添加と同時に酸素を拡散させることができる。
絶縁体64または絶縁体77中を拡散する酸素は、絶縁体66a、絶縁体66ca、絶縁体66cbおよび半導体66bに供給される。このとき、酸素をブロックする機能を有する絶縁体63が絶縁体64の下に設けられていることにより、絶縁体64中に拡散した酸素が絶縁体64より下層に拡散することを防ぐことができる。さらに図20に示すスクライブライン138近傍において、絶縁体78および絶縁体61によって、絶縁体77の側面を覆っていることにより、酸素が絶縁体78の外に拡散することを防ぎ、絶縁体77を酸素で満たし、絶縁体77から絶縁体66a、半導体66b、絶縁体66cに酸素を供給することができる。
さらに、上記熱処理の際に、下層から拡散する水素、水などの不純物を絶縁体61および絶縁体61のビアホールに設けられた導電体121aなどでブロックし、絶縁体77の上面および側面から拡散する水素、および水などの不純物を絶縁体78によって、ブロックすることができる。これにより、絶縁体61および絶縁体78で包み込まれた、絶縁体77、絶縁体66a、絶縁体66cおよび半導体66bなどにおいて、水素、水などの不純物の量を低減することができる。また、水素などの不純物は、絶縁体77などにおいて、酸素と結合して水となり、酸素の拡散を妨げる場合がある。よって、絶縁体77において、水素、水などの不純物の量を低減することによって、酸素の供給を促進させることができる。
このようにして、絶縁体66a、絶縁体66cおよび半導体66b、特に半導体66bでチャネルが形成される領域に、水、水素などの不純物の拡散を抑制して、酸素を効果的に供給することができる。このように絶縁体66a、絶縁体66ca、絶縁体66cbおよび半導体66bに酸素を供給し、酸素欠損を低減させることにより、欠陥準位密度の低い、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体とすることができる。
なお、絶縁体78成膜後の加熱処理は、絶縁体78成膜後ならばいつ行ってもよい。例えば、絶縁体119の成膜後に行ってもよい。
このようにして、トランジスタ60aを形成することができる。
このようにして、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、安定した電気特性を有するトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。また、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、非導通時のリーク電流の小さいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。また、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、ノーマリーオフの電気特性を有するトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。また、本実施の形態に示す半導体装置の作製方法を用いることで、信頼性の高いトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に含まれる酸化物半導体の詳細について、以下説明する。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図24(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図24(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図24(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図24(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図24(E)に示す。図24(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図24(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図24(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図25(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図25(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図25(B)および図25(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図25(D)および図25(E)は、それぞれ図25(B)および図25(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図25(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図25(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図25(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を点線で示し、格子配列の向きの変化を破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図26(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図26(B)に示す。図26(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図26(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図26(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図27に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図27(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図27(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図27(A)および図27(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図28は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図28より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図28より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図28より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<酸化物半導体のキャリア密度>
次に、酸化物半導体のキャリア密度について、以下に説明を行う。
酸化物半導体のキャリア密度に影響を与える因子としては、酸化物半導体中の酸素欠損(Vo)、または酸化物半導体中の不純物などが挙げられる。
酸化物半導体中の酸素欠損が多くなると、該酸素欠損に水素が結合(この状態をVoHともいう)した際に、欠陥準位密度が高くなる。または、酸化物半導体中の不純物が多くなると、該不純物に起因し欠陥準位密度が高くなる。したがって、酸化物半導体中の欠陥準位密度を制御することで、酸化物半導体のキャリア密度を制御することができる。
ここで、酸化物半導体をチャネル領域に用いるトランジスタを考える。
トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトの抑制、またはトランジスタのオフ電流の低減を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を低くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性の酸化物半導体のキャリア密度としては、8×1015cm−3未満、好ましくは1×1011cm−3未満、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上とすればよい。
一方で、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度の向上を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を高くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を高くする場合においては、酸化物半導体の不純物濃度をわずかに高める、または酸化物半導体の欠陥準位密度をわずかに高めればよい。あるいは、酸化物半導体のバンドギャップをより小さくするとよい。例えば、トランジスタのId−Vg特性のオン/オフ比が取れる範囲において、不純物濃度がわずかに高い、または欠陥準位密度がわずかに高い酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。また、電子親和力が大きく、それにともなってバンドギャップが小さくなり、その結果、熱励起された電子(キャリア)の密度が増加した酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。なお、より電子親和力が大きな酸化物半導体を用いた場合には、トランジスタのしきい値電圧がより低くなる。
上述のキャリア密度が高められた酸化物半導体は、わずかにn型化している。したがって、キャリア密度が高められた酸化物半導体を、「Slightly−n」と呼称してもよい。
実質的に真性の酸化物半導体のキャリア密度は、1×105cm−3以上1×1018cm−3未満が好ましく、1×107cm−3以上1×1017cm−3以下がより好ましく、1×109cm−3以上5×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1010cm−3以上1×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1011cm−3以上1×1015cm−3以下がさらに好ましい。
以上、本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した半導体装置の回路の一例について説明する。
<回路>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した半導体装置の回路の一例について説明する。
<CMOSインバータ>
図29(A)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型のトランジスタ2100を直列に接続し、かつそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCMOSインバータの構成を示している。ここで、図29(A)に示す回路は、トランジスタ2200を図12に示すトランジスタ60aまたは図13に示すトランジスタ60bを用いて形成することができ、トランジスタ2100を図18に示すトランジスタ90aまたはトランジスタ90bを用いて形成することができる。
図29(A)に示した半導体装置は、半導体基板を用いてpチャネル型トランジスタを作製し、その上方にnチャネル型トランジスタを作製することにより、素子の占有面積を縮小することができる。即ち、半導体装置の集積度を高くすることができる。また、nチャネル型トランジスタと、pチャネル型トランジスタとを同一の半導体基板を用いて作製した場合と比べて、工程を簡略化することができるため、半導体装置の生産性を高くすることができる。また、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、pチャネル型トランジスタは、LDD(Lightly Doped Drain)領域、シャロートレンチ構造、歪み設計などの複雑な工程を省略できる場合がある。そのため、nチャネル型トランジスタを、半導体基板を用いて作製する場合と比べて、生産性および歩留まりを高くすることができる場合がある。
<CMOSアナログスイッチ>
また図29(B)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそれぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、いわゆるCMOSアナログスイッチとして機能させることができる。ここで、図29(B)に示す回路は、トランジスタ2200を図12に示すトランジスタ60aまたは図13に示すトランジスタ60bを用いて形成することができ、トランジスタ2100を図15に示すトランジスタ90aまたはトランジスタ90bを用いて形成することができる。
<記憶装置1>
本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を図30に示す。
図30(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3200と第2の半導体を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、トランジスタ3300としては、上述のトランジスタ2100と同様のトランジスタを用いることができる。ここで、トランジスタ3200を上記素子層50で構成し、トランジスタ3300を上記素子層30で構成し、容量素子3400を上記素子層40で構成することで、図30(A)に示す回路は、図19に示す半導体装置などで形成することができる。
トランジスタ3300は、オフ電流の小さいトランジスタが好ましい。トランジスタ3300は、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。トランジスタ3300のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、またはリフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置となる。
図30(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソースと電気的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続される。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース、ドレインの一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート、およびトランジスタ3300のソース、ドレインの他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
図30(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3200のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300が導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を導通状態とする。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート、および容量素子3400の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トランジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)のどちらかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3300のオフ電流が小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3200を「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「導通状態」となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「非導通状態」のままである。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報を読み出さなくてはならない。例えば、情報を読み出さないメモリセルにおいては、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「非導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。または、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ3200が「導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
なお、上記においては、2種類の電荷をノードFGに保持する例について示したが、本発明に係る半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、半導体装置のノードFGに3種類以上の電荷をノードに保持できる構成としてもよい。このような構成とすることにより、当該半導体装置を多値化して記憶容量の増大を図ることができる。
<記憶装置2>
図30(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を有さない点で図30(A)に示した半導体装置と異なる。この場合も図30(A)に示した半導体装置と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。ここで、図30(B)に示す回路は、トランジスタ3300を図12に示すトランジスタ60aまたは図13に示すトランジスタ60bを用いて形成することができ、容量素子3400を図17に示す容量素子80aなどを用いて形成することができる。さらに、図30(B)に示す半導体装置の下層にセンスアンプなどを設ける構成としてもよく、その場合、図18に示すトランジスタ90aまたはトランジスタ90bを用いて形成することができる。
図30(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ3300が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子3400とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その結果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容量素子3400の電極の一方の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子3400の電極の一方の電位をV、容量素子3400の容量をC、第3の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB×VB0+CV)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素子3400の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+CV1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+CV0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたトランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体が適用されたトランジスタを駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の小さいトランジスタを適用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こりにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といった問題が生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作が可能となる。
<記憶装置3>
図30(A)に示す半導体装置(記憶装置)の変形例について、図31に示す回路図を用いて説明する。
図31に示す半導体装置は、トランジスタ4100乃至トランジスタ4400と、容量素子4500および容量素子4600と、を有する。ここでトランジスタ4100は、上述のトランジスタ3200と同様のトランジスタを用いることができ、トランジスタ4200乃至4400は、上述のトランジスタ3300と同様のトランジスタを用いることができる。なお、図31に示す半導体装置は、図31では図示を省略したが、マトリクス状に複数設けられる。図31に示す半導体装置は、配線4001、配線4003、配線4005乃至4009に与える信号または電位に従って、データ電圧の書き込み、読み出しを制御することができる。ここで、図31に示す回路は、トランジスタ4100を図18に示すトランジスタ90aまたはトランジスタ90bを用いて形成することができ、トランジスタ4200、トランジスタ4300およびトランジスタ4400を図12に示すトランジスタ60aまたは図13に示すトランジスタ60bを用いて形成することができ、容量素子4500および容量素子4600を図17に示す容量素子80aを用いて形成することができる。
トランジスタ4100のソースまたはドレインの一方は、配線4003に接続される。トランジスタ4100のソースまたはドレインの他方は、配線4001に接続される。なお図33では、トランジスタ4100の導電型をpチャネル型として示すが、nチャネル型でもよい。
図31に示す半導体装置は、2つのデータ保持部を有する。例えば第1のデータ保持部は、ノードFG1に接続されるトランジスタ4400のソースまたはドレインの一方、容量素子4600の一方の電極、およびトランジスタ4200のソースまたはドレインの一方の間で電荷を保持する。また、第2のデータ保持部は、ノードFG2に接続されるトランジスタ4100のゲート、トランジスタ4200のソースまたはドレインの他方、トランジスタ4300のソースまたはドレインの一方、および容量素子4500の一方の電極の間で電荷を保持する。
トランジスタ4300のソースまたはドレインの他方は、配線4003に接続される。トランジスタ4400のソースまたはドレインの他方は、配線4001に接続される。トランジスタ4400のゲートは、配線4005に接続される。トランジスタ4200のゲートは、配線4006に接続される。トランジスタ4300のゲートは、配線4007に接続される。容量素子4600の他方の電極は、配線4008に接続される。容量素子4500の他方の電極は、配線4009に接続される。
トランジスタ4200乃至4400は、データ電圧の書き込みと電荷の保持を制御するスイッチとしての機能を有する。なおトランジスタ4200乃至4400は、非導通状態においてソースとドレインとの間を流れる電流(オフ電流)が低いトランジスタが用いられることが好適である。オフ電流が少ないトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)であることが好ましい。OSトランジスタは、オフ電流が低い、シリコンを有するトランジスタと重ねて作製できる等の利点がある。なお図33では、トランジスタ4200乃至14の導電型をnチャネル型として示すが、pチャネル型でもよい。
トランジスタ4200およびトランジスタ4300と、トランジスタ4400とは、酸化物半導体を用いたトランジスタであっても別層に設けることが好ましい。すなわち、図31に示す半導体装置は、図31に示すように、トランジスタ4100を有する第1の層4021と、トランジスタ4200およびトランジスタ4300を有する第2の層4022と、トランジスタ4400を有する第3の層4023と、で構成されることが好ましい。トランジスタを有する層を積層して設けることで、回路面積を縮小することができ、半導体装置の小型化を図ることができる。
次いで、図31に示す半導体装置への情報の書き込み動作について説明する。
最初に、ノードFG1に接続されるデータ保持部へのデータ電圧の書き込み動作(以下、書き込み動作1とよぶ。)について説明する。なお、以下において、ノードFG1に接続されるデータ保持部に書きこむデータ電圧をVD1とし、トランジスタ4100の閾値電圧をVthとする。
書き込み動作1では、配線4003をVD1とし、配線4001を接地電位とした後に、電気的に浮遊状態とする。また配線4005、4006をハイレベルにする。また配線4007乃至4009をローレベルにする。すると、電気的に浮遊状態にあるノードFG2の電位が上昇し、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、配線4001の電位が上昇する。またトランジスタ4400、トランジスタ4200が導通状態となる。そのため、配線4001の電位の上昇につれて、ノードFG1、FG2の電位が上昇する。ノードFG2の電位が上昇し、トランジスタ4100でゲートとソースとの間の電圧(Vgs)がトランジスタ4100の閾値電圧Vthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。そのため、配線4001、ノードFG1、FG2の電位の上昇は止まり、VD1からVthだけ下がった「VD1−Vth」で一定となる。
つまり、配線4003に与えたVD1は、トランジスタ4100に電流が流れることで、配線4001に与えられ、ノードFG1、FG2の電位が上昇する。電位の上昇によって、ノードFG2の電位が「VD1−Vth」となると、トランジスタ4100のVgsがVthとなるため、電流が止まる。
次に、ノードFG2に接続されるデータ保持部へのデータ電圧の書き込み動作(以下、書き込み動作2とよぶ。)について説明する。なお、ノードFG2に接続されるデータ保持部に書きこむデータ電圧をVD2として説明する。
書き込み動作2では、配線4001をVD2とし、配線4003を接地電位とした後に、電気的に浮遊状態とする。また配線4007をハイレベルにする。また配線4005、4006、4008、4009をローレベルにする。トランジスタ4300を導通状態として配線4003をローレベルにする。そのため、ノードFG2の電位もローレベルにまで低下し、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、配線4003の電位が上昇する。またトランジスタ4300が導通状態となる。そのため、配線4003の電位の上昇につれて、ノードFG2の電位が上昇する。ノードFG2の電位が上昇し、トランジスタ4100でVgsがトランジスタ4100のVthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。そのため、配線4003、FG2の電位の上昇は止まり、VD2からVthだけ下がった「VD2−Vth」で一定となる。
つまり、配線4001に与えたVD2は、トランジスタ4100に電流が流れることで、配線4003に与えられ、ノードFG2の電位が上昇する。電位の上昇によって、ノードFG2の電位が「VD2−Vth」となると、トランジスタ4100のVgsがVthとなるため、電流が止まる。このとき、ノードFG1の電位は、トランジスタ4200、4400共に非導通状態であり、書き込み動作1で書きこんだ「VD1−Vth」が保持される。
図33に示す半導体装置では、複数のデータ保持部にデータ電圧を書きこんだのち、配線4009をハイレベルにして、ノードFG1、FG2の電位を上昇させる。そして、各トランジスタを非導通状態として、電荷の移動をなくし、書きこんだデータ電圧を保持する。
以上説明したノードFG1、FG2へのデータ電圧の書き込み動作によって、複数のデータ保持部にデータ電圧を保持させることができる。なお書きこまれる電位として、「VD1−Vth」や「VD2−Vth」を一例として挙げて説明したが、これらは多値のデータに対応するデータ電圧である。そのため、それぞれのデータ保持部で4ビットのデータを保持する場合、16値の「VD1−Vth」や「VD2−Vth」を取り得る。
次いで、図31に示す半導体装置からの情報の読み出し動作について説明する。
最初に、ノードFG2に接続されるデータ保持部へのデータ電圧の読み出し動作(以下、読み出し動作1とよぶ。)について説明する。
読み出し動作1では、プリチャージを行ってから電気的に浮遊状態とした、配線4003を放電させる。配線4005乃至4008をローレベルにする。また、配線4009をローレベルとして、電気的に浮遊状態にあるノードFG2の電位を「VD2−Vth」とする。ノードFG2の電位が下がることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、電気的に浮遊状態の配線4003の電位が低下する。配線4003の電位の低下につれて、トランジスタ4100のVgsが小さくなる。トランジスタ4100のVgsがトランジスタ4100のVthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。すなわち、配線4003の電位が、ノードFG2の電位「VD2−Vth」からVthだけ大きい値である「VD2」となる。この配線4003の電位は、ノードFG2に接続されるデータ保持部のデータ電圧に対応する。読み出されたアナログ値のデータ電圧はA/D変換を行い、ノードFG2に接続されるデータ保持部のデータを取得する。
つまり、プリチャージ後の配線4003を浮遊状態とし、配線4009の電位をハイレベルからローレベルに切り替えることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、浮遊状態にあった配線4003の電位は低下して「VD2」となる。トランジスタ4100では、ノードFG2の「VD2−Vth」との間のVgsがVthとなるため、電流が止まる。そして、配線4003には、書き込み動作2で書きこんだ「VD2」が読み出される。
ノードFG2に接続されるデータ保持部のデータを取得したら、トランジスタ4300を導通状態として、ノードFG2の「VD2−Vth」を放電させる。
次に、ノードFG1に保持される電荷をノードFG2に分配し、ノードFG1に接続されるデータ保持部のデータ電圧を、ノードFG2に接続されるデータ保持部に移す。ここで、配線4001、4003をローレベルとする。配線4006をハイレベルにする。また、配線4005、配線4007乃至4009をローレベルにする。トランジスタ4200が導通状態となることで、ノードFG1の電荷が、ノードFG2との間で分配される。
ここで、電荷の分配後の電位は、書きこんだ電位「VD1−Vth」から低下する。そのため、容量素子4600の容量値は、容量素子4500の容量値よりも大きくしておくことが好ましい。あるいは、ノードFG1に書きこむ電位「VD1−Vth」は、同じデータを表す電位「VD2−Vth」よりも大きくすることが好ましい。このように、容量値の比を変えること、予め書きこむ電位を大きくしておくことで、電荷の分配後の電位の低下を抑制することができる。電荷の分配による電位の変動については、後述する。
次に、ノードFG1に接続されるデータ保持部へのデータ電圧の読み出し動作(以下、読み出し動作2とよぶ。)について説明する。
読み出し動作2では、プリチャージを行ってから電気的に浮遊状態とした、配線4003を放電させる。配線4005乃至4008をローレベルにする。また、配線4009は、プリチャージ時にハイレベルとして、その後ローレベルとする。配線4009をローレベルとすることで、電気的に浮遊状態にあるノードFG2を電位「VD1−Vth」とする。ノードFG2の電位が下がることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、電気的に浮遊状態の配線4003の電位が低下する。配線4003の電位の低下につれて、トランジスタ4100のVgsが小さくなる。トランジスタ4100のVgsがトランジスタ4100のVthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。すなわち、配線4003の電位が、ノードFG2の電位「VD1−Vth」からVthだけ大きい値である「VD1」となる。この配線4003の電位は、ノードFG1に接続されるデータ保持部のデータ電圧に対応する。読み出されたアナログ値のデータ電圧はA/D変換を行い、ノードFG1に接続されるデータ保持部のデータを取得する。以上が、ノードFG1に接続されるデータ保持部へのデータ電圧の読み出し動作である。
つまり、プリチャージ後の配線4003を浮遊状態とし、配線4009の電位をハイレベルからローレベルに切り替えることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、浮遊状態にあった配線4003の電位は低下して「VD1」となる。トランジスタ4100では、ノードFG2の「VD1−Vth」との間のVgsがVthとなるため、電流が止まる。そして、配線4003には、書き込み動作1で書きこんだ「VD1」が読み出される。
以上説明したノードFG1、FG2からのデータ電圧の読み出し動作によって、複数のデータ保持部からデータ電圧を読み出すことができる。例えば、ノードFG1およびノードFG2にそれぞれ4ビット(16値)のデータを保持することで計8ビット(256値)のデータを保持することができる。また、図31においては、第1の層4021乃至第3の層4023からなる構成としたが、さらに層を形成することによって、半導体装置の面積を増大させず記憶容量の増加を図ることができる。
なお読み出される電位は、書きこんだデータ電圧よりVthだけ大きい電圧として読み出すことができる。そのため、書き込み動作で書きこんだ「VD1−Vth」や「VD2−Vth」のVthを相殺して読み出す構成とすることができる。その結果、メモリセルあたりの記憶容量を向上させるとともに、読み出されるデータを正しいデータに近づけることができるため、データの信頼性に優れたものとすることができる。
<記憶装置4>
図30(C)に示す半導体装置は、トランジスタ3500、第6の配線3006を有する点で図30(A)に示した半導体装置と異なる。この場合も図30(A)に示した半導体装置と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。また、トランジスタ3500としては上記のトランジスタ3200と同様のトランジスタを用いればよい。
ここで、トランジスタ3200およびトランジスタ3500を上記素子層50で構成し、トランジスタ3300を上記素子層30で構成し、容量素子3400を上記素子層40で構成することで、図30(A)に示す回路は、図19に示す半導体装置で形成することができる。ここで、図30(C)に示す回路は、トランジスタ3200およびトランジスタ3500を図18に示すトランジスタ90aまたはトランジスタ90bを用いて形成することができ、トランジスタ3300を図12に示すトランジスタ60aまたは図13に示すトランジスタ60bを用いて形成することができ、容量素子3400を図17に示す容量素子80aを用いて形成することができる。
第6の配線3006は、トランジスタ3500のゲートと電気的に接続され、トランジスタ3500のソース、ドレインの一方はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続され、トランジスタ3500のソース、ドレインの他方は第3の配線3003と電気的に接続される。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明したOSトランジスタを適用可能な回路構成の一例について、図32乃至図35を用いて説明する。
図32(A)にインバータの回路図を示す。インバータ800は、入力端子INに与える信号の論理を反転した信号を出力端子OUTから出力する。インバータ800は、複数のOSトランジスタを有する。信号SBGは、OSトランジスタの電気特性を切り替えることができる信号である。
図32(B)に、インバータ800の一例を示す。インバータ800は、OSトランジスタ810、およびOSトランジスタ820を有する。インバータ800は、nチャネル型トランジスタで作製することができるため、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)でインバータ(CMOSインバータ)を作製する場合と比較して、低コストで作製することが可能である。
なおOSトランジスタを有するインバータ800は、Siトランジスタで構成されるCMOS上に配置することもできる。インバータ800は、CMOSの回路に重ねて配置できるため、インバータ800を追加する分の回路面積の増加を抑えることができる。
OSトランジスタ810、820は、フロントゲートとして機能する第1ゲートと、バックゲートとして機能する第2ゲートと、ソースまたはドレインの一方として機能する第1端子と、ソースまたはドレインの他方として機能する第2端子を有する。
OSトランジスタ810の第1ゲートは、第2端子に接続される。OSトランジスタ810の第2ゲートは、信号SBGを供給する配線に接続される。OSトランジスタ810の第1端子は、電圧VDDを与える配線に接続される。OSトランジスタ810の第2端子は、出力端子OUTに接続される。
OSトランジスタ820の第1ゲートは、入力端子INに接続される。OSトランジスタ820の第2ゲートは、入力端子INに接続される。OSトランジスタ820の第1端子は、出力端子OUTに接続される。OSトランジスタ820の第2端子は、電圧VSSを与える配線に接続される。
図32(C)は、インバータ800の動作を説明するためのタイミングチャートである。図32(C)のタイミングチャートでは、入力端子INの信号波形、出力端子OUTの信号波形、信号SBGの信号波形、およびOSトランジスタ810(FET810)の閾値電圧の変化について示している。
信号SBGはOSトランジスタ810の第2ゲートに与えることで、OSトランジスタ810の閾値電圧を制御することができる。
信号SBGは、閾値電圧をマイナスシフトさせるための電圧VBG_A、閾値電圧をプラスシフトさせるための電圧VBG_Bを有する。第2ゲートに電圧VBG_Aを与えることで、OSトランジスタ810は閾値電圧VTH_Aにマイナスシフトさせることができる。また、第2ゲートに電圧VBG_Bを与えることで、OSトランジスタ810は閾値電圧VTH_Bにプラスシフトさせることができる。
前述の説明を可視化するために、図33(A)には、トランジスタの電気特性の一つである、Vg−Idカーブを示す。
上述したOSトランジスタ810の電気特性は、第2ゲートの電圧を電圧VBG_Aのように大きくすることで、図33(A)中の破線840で表される曲線にシフトさせることができる。また、上述したOSトランジスタ810の電気特性は、第2ゲートの電圧を電圧VBG_Bのように小さくすることで、図33(A)中の実線841で表される曲線にシフトさせることができる。図33(A)に示すように、OSトランジスタ810は、信号SBGを電圧VBG_Aあるいは電圧VBG_Bというように切り替えることで、閾値電圧をプラスシフトあるいはマイナスシフトさせることができる。
閾値電圧を閾値電圧VTH_Bにプラスシフトさせることで、OSトランジスタ810は電流が流れにくい状態とすることができる。図33(B)には、この状態を可視化して示す。図33(B)に図示するように、OSトランジスタ810に流れる電流IBを極めて小さくすることができる。そのため、入力端子INに与える信号がハイレベルでOSトランジスタ820はオン状態(ON)のとき、出力端子OUTの電圧を急峻に下降させることができる。
図33(B)に図示したように、OSトランジスタ810に流れる電流が流れにくい状態とすることができるため、図32(C)に示すタイミングチャートにおける出力端子の信号波形831を急峻に変化させることができる。電圧VDDを与える配線と、電圧VSSを与える配線との間に流れる貫通電流を少なくすることができるため、低消費電力での動作を行うことができる。
また、閾値電圧を閾値電圧VTH_Aにマイナスシフトさせることで、OSトランジスタ810は電流が流れやすい状態とすることができる。図33(C)には、この状態を可視化して示す。図33(C)に図示するように、このとき流れる電流IAを少なくとも電流IBよりも大きくすることができる。そのため、入力端子INに与える信号がローレベルでOSトランジスタ820はオフ状態(OFF)のとき、出力端子OUTの電圧を急峻に上昇させることができる。
図33(C)に図示したように、OSトランジスタ810に流れる電流が流れやすい状態とすることができるため、図32(C)に示すタイミングチャートにおける出力端子の信号波形832を急峻に変化させることができる。
なお、信号SBGによるOSトランジスタ810の閾値電圧の制御は、OSトランジスタ820の状態が切り替わる以前、すなわち時刻T1やT2よりも前に行うことが好ましい。例えば、図32(C)に図示するように、入力端子INに与える信号がハイレベルに切り替わる時刻T1よりも前に、閾値電圧VTH_Aから閾値電圧VTH_BにOSトランジスタ810の閾値電圧を切り替えることが好ましい。また、図32(C)に図示するように、入力端子INに与える信号がローレベルに切り替わる時刻T2よりも前に、閾値電圧VTH_Bから閾値電圧VTH_AにOSトランジスタ810の閾値電圧を切り替えることが好ましい。
なお図32(C)のタイミングチャートでは、入力端子INに与える信号に応じて信号SBGを切り替える構成を示したが、別の構成としてもよい。たとえば閾値電圧を制御するための電圧は、フローティング状態としたOSトランジスタ810の第2ゲートに保持させる構成としてもよい。当該構成を実現可能な回路構成の一例について、図34(A)に示す。
図34(A)では、図32(B)で示した回路構成に加えて、OSトランジスタ850を有する。OSトランジスタ850の第1端子は、OSトランジスタ810の第2ゲートに接続される。またOSトランジスタ850の第2端子は、電圧VBG_B(あるいは電圧VBG_A)を与える配線に接続される。OSトランジスタ850の第1ゲートは、信号SFを与える配線に接続される。OSトランジスタ850の第2ゲートは、電圧VBG_B(あるいは電圧VBG_A)を与える配線に接続される。
図34(A)の動作について、図34(B)のタイミングチャートを用いて説明する。
OSトランジスタ810の閾値電圧を制御するための電圧は、入力端子INに与える信号がハイレベルに切り替わる時刻T3よりも前に、OSトランジスタ810の第2ゲートに与える構成とする。信号SFをハイレベルとしてOSトランジスタ850をオン状態とし、ノードNBGに閾値電圧を制御するための電圧VBG_Bを与える。
ノードNBGが電圧VBG_Bとなった後は、OSトランジスタ850をオフ状態とする。OSトランジスタ850は、オフ電流が極めて小さいため、オフ状態にし続けることで、ノードNBGを非常にフローティング状態に近い状態にして、一旦ノードNBGに保持させた電圧VBG_Bを保持することができる。そのため、OSトランジスタ850の第2ゲートに電圧VBG_Bを与える動作の回数が減るため、電圧VBG_Bの書き換えに要する分の消費電力を小さくすることができる。
なお図32(B)および図34(A)の回路構成では、OSトランジスタ810の第2ゲートに与える電圧を外部からの制御によって与える構成について示したが、別の構成としてもよい。たとえば閾値電圧を制御するための電圧を、入力端子INに与える信号を基に生成し、OSトランジスタ810の第2ゲートに与える構成としてもよい。当該構成を実現可能な回路構成の一例について、図35(A)に示す。
図35(A)では、図32(B)で示した回路構成において、入力端子INとOSトランジスタ810の第2ゲートとの間にCMOSインバータ860を有する。CMOSインバータ860の入力端子は、入力端子INに接続さえる。CMOSインバータ860の出力端子は、OSトランジスタ810の第2ゲートに接続される。
図35(A)の動作について、図35(B)のタイミングチャートを用いて説明する。図35(B)のタイミングチャートでは、入力端子INの信号波形、出力端子OUTの信号波形、CMOSインバータ860の出力波形IN_B、およびOSトランジスタ810(FET810)の閾値電圧の変化について示している。
入力端子INに与える信号の論理を反転した信号である出力波形IN_Bは、OSトランジスタ810の閾値電圧を制御する信号とすることができる。したがって、図32(A)乃至(C)で説明したように、OSトランジスタ810の閾値電圧を制御できる。例えば、図35(B)における時刻T4となるとき、入力端子INに与える信号がハイレベルでOSトランジスタ820はオン状態となる。このとき、出力波形IN_Bはローレベルとなる。そのため、OSトランジスタ810は電流が流れにくい状態とすることができ、出力端子OUTの電圧を急峻に下降させることができる。
また図35(B)における時刻T5となるとき、入力端子INに与える信号がローレベルでOSトランジスタ820はオフ状態となる。このとき、出力波形IN_Bはハイレベルとなる。そのため、OSトランジスタ810は電流が流れやすい状態とすることができ、出力端子OUTの電圧を急峻に上昇させることができる。
以上説明したように本実施の形態の構成では、OSトランジスタを有するインバータにおける、バックゲートの電圧を入力端子INの信号の論理にしたがって切り替える。当該構成とすることで、OSトランジスタの閾値電圧を制御することができる。入力端子INに与える信号によってOSトランジスタの閾値電圧を制御することで、出力端子OUTの電圧を急峻に変化させることができる。また、電源電圧を与える配線間の貫通電流を小さくすることができる。そのため、低消費電力化を図ることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明したOSトランジスタを有する複数の回路を有する半導体装置の一例について、図36乃至図42を用いて説明する。
図36(A)は、半導体装置900のブロック図である。半導体装置900は、電源回路901、回路902、電圧生成回路903、回路904、電圧生成回路905および回路906を有する。
電源回路901は、基準となる電圧VORGを生成する回路である。電圧VORGは、単一の電圧ではなく、複数の電圧でもよい。電圧VORGは、半導体装置900の外部から与えられる電圧V0を基に生成することができる。半導体装置900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に電圧VORGを生成できる。そのため半導体装置900は、外部から電源電圧を複数与えることなく動作することができる。
回路902、904および906は、異なる電源電圧で動作する回路である。例えば回路902の電源電圧は、電圧VORGと電圧VSS(VORG>VSS)とを基に印加される電圧である。また、例えば回路904の電源電圧は、電圧VPOGと電圧VSS(VPOG>VORG)とを基に印加される電圧である。また、例えば回路906の電源電圧は、電圧VORGと電圧VNEG(VORG>VSS>VNEG)とを基に印加される電圧である。なお電圧VSSは、グラウンド電位(GND)と等電位とすれば、電源回路901で生成する電圧の種類を削減できる。
電圧生成回路903は、電圧VPOGを生成する回路である。電圧生成回路903は、電源回路901から与えられる電圧VORGを基に電圧VPOGを生成できる。そのため、回路904を有する半導体装置900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に動作することができる。
電圧生成回路905は、電圧VNEGを生成する回路である。電圧生成回路905は、電源回路901から与えられる電圧VORGを基に電圧VNEGを生成できる。そのため、回路906を有する半導体装置900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に動作することができる。
図36(B)は電圧VPOGで動作する回路904の一例、図36(C)は回路904を動作させるための信号の波形の一例である。
図36(B)では、トランジスタ911を示している。トランジスタ911のゲートに与える信号は、例えば、電圧VPOGと電圧VSSを基に生成される。当該信号は、トランジスタ911を導通状態とする動作時に電圧VPOG、非導通状態とする動作時に電圧VSSとする。電圧VPOGは、図36(C)に図示するように、電圧VORGより大きい。そのため、トランジスタ911は、ソース(S)とドレイン(D)との間をより確実に導通状態にできる。その結果、回路904は、誤動作が低減された回路とすることができる。
図36(D)は電圧VNEGで動作する回路906の一例、図36(E)は回路906を動作させるための信号の波形の一例である。
図36(D)では、バックゲートを有するトランジスタ912を示している。トランジスタ912のゲートに与える信号は、例えば、電圧VORGと電圧VSSを基にして生成される。当該信号は、トランジスタ911を導通状態とする動作時に電圧VORG、非導通状態とする動作時に電圧VSSを基に生成される。また、トランジスタ912のバックゲートに与える信号は、電圧VNEGを基に生成される。電圧VNEGは、図36(E)に図示するように、電圧VSS(GND)より小さい。そのため、トランジスタ912の閾値電圧は、プラスシフトするように制御することができる。そのため、トランジスタ912をより確実に非導通状態とすることができ、ソース(S)とドレイン(D)との間を流れる電流を小さくできる。その結果、回路906は、誤動作が低減され、且つ低消費電力化が図られた回路とすることができる。
なお電圧VNEGは、トランジスタ912のバックゲートに直接与える構成としてもよい。あるいは、電圧VORGと電圧VNEGを基に、トランジスタ912のゲートに与える信号を生成し、当該信号をトランジスタ912のバックゲートに与える構成としてもよい。
また図37(A)、(B)には、図36(D)、(E)の変形例を示す。
図37(A)に示す回路図では、電圧生成回路905と、回路906と、の間に制御回路921によって導通状態が制御できるトランジスタ922を示す。トランジスタ922は、nチャネル型のOSトランジスタとする。制御回路921が出力する制御信号SBGは、トランジスタ922の導通状態を制御する信号である。また回路906が有するトランジスタ912A、912Bは、トランジスタ922と同じOSトランジスタである。
図37(B)のタイミングチャートには、制御信号SBGの電位の変化を示し、トランジスタ912A、912Bのバックゲートの電位の状態をノードNBGの電位の変化で示す。制御信号SBGがハイレベルのときにトランジスタ922が導通状態となり、ノードNBGが電圧VNEGとなる。その後、制御信号SBGがローレベルのときにノードNBGが電気的にフローティングとなる。トランジスタ922は、OSトランジスタであるため、オフ電流が小さい。そのため、ノードNBGが電気的にフローティングであっても、一旦与えた電圧VNEGを保持することができる。
また図38(A)には、上述した電圧生成回路903に適用可能な回路構成の一例を示す。図38(A)に示す電圧生成回路903は、ダイオードD1乃至D5、キャパシタC1乃至C5、およびインバータINVを有する5段のチャージポンプである。クロック信号CLKは、キャパシタC1乃至C5に直接、あるいはインバータINVを介して与えられる。インバータINVの電源電圧を、電圧VORGと電圧VSSとを基に印加される電圧とすると、クロック信号CLKを与えることによって、電圧VORGの5倍の正電圧に昇圧された電圧VPOGを得ることができる。なお、ダイオードD1乃至D5の順方向電圧は0Vとしている。また、チャージポンプの段数を変更することで、所望の電圧VPOGを得ることができる。
また図38(B)には、上述した電圧生成回路905に適用可能な回路構成の一例を示す。図38(B)に示す電圧生成回路905は、ダイオードD1乃至D5、キャパシタC1乃至C5、およびインバータINVを有する4段のチャージポンプである。クロック信号CLKは、キャパシタC1乃至C5に直接、あるいはインバータINVを介して与えられる。インバータINVの電源電圧を、電圧VORGと電圧VSSとを基に印加される電圧とすると、クロック信号CLKを与えることによって、グラウンド、すなわち電圧VSSから電圧VORGの4倍の負電圧に降圧された電圧VNEGを得ることができる。なお、ダイオードD1乃至D5の順方向電圧は0Vとしている。また、チャージポンプの段数を変更することで、所望の電圧VNEGを得ることができる。
なお上述した電圧生成回路903の回路構成は、図38(A)で示す回路図の構成に限らない。電圧生成回路903の変形例を図39(A)乃至(C)、図40(A)、(B)に示す。
図39(A)に示す電圧生成回路903Aは、トランジスタM1乃至M10、キャパシタC11乃至C14、およびインバータINV1を有する。クロック信号CLKは、トランジスタM1乃至M10のゲートに直接、あるいはインバータINV1を介して与えられる。クロック信号CLKを与えることによって、電圧VORGの4倍の正電圧に昇圧された電圧VPOGを得ることができる。なお、段数を変更することで、所望の電圧VPOGを得ることができる。図39(A)に示す電圧生成回路903Aは、トランジスタM1乃至M10をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC11乃至C14に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
また図39(B)に示す電圧生成回路903Bは、トランジスタM11乃至M14、キャパシタC15、C16、およびインバータINV2を有する。クロック信号CLKは、トランジスタM11乃至M14のゲートに直接、あるいはインバータINV2を介して与えられる。クロック信号CLKを与えることによって、電圧VORGの2倍の正電圧に昇圧された電圧VPOGを得ることができる。図39(B)に示す電圧生成回路903Bは、トランジスタM11乃至M14をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC15、C16に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
また図39(C)に示す電圧生成回路903Cは、インダクタI11、トランジスタM15、ダイオードD6、およびキャパシタC17を有する。トランジスタM15は、制御信号ENによって、導通状態が制御される。制御信号ENによって、電圧VORGが昇圧された電圧VPOGを得ることができる。図39(C)に示す電圧生成回路903Cは、インダクタI11を用いて電圧の昇圧を行うため、変換効率の高い電圧の昇圧を行うことができる。
また図40(A)に示す電圧生成回路903Dは、図38(A)に示す電圧生成回路903のダイオードD1乃至D5をダイオード接続したトランジスタM16乃至M20に置き換えた構成に相当する。図40(A)に示す電圧生成回路903Dは、トランジスタM16乃至M20をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC1乃至C5に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
また図40(B)に示す電圧生成回路903Eは、図40(A)に示す電圧生成回路903DのトランジスタM16乃至M20を、バックゲートを有するトランジスタM21乃至M25に置き換えた構成に相当する。図40(B)に示す電圧生成回路903Eは、バックゲートにゲートと同じ電圧を与えることができるため、トランジスタを流れる電流量を増やすことができる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
なお電圧生成回路903の変形例は、図38(B)に示した電圧生成回路905にも適用可能である。この場合の回路図の構成を図41(A)乃至(C)、図42(A)、(B)に示す。図41(A)に示す電圧生成回路905Aは、クロック信号CLKを与えることによって、電圧VSSから電圧VORGの3倍の負電圧に降圧された電圧VNEGを得ることができる。また図41(B)に示す電圧生成回路905Aは、クロック信号CLKを与えることによって、電圧VSSから電圧VORGの2倍の負電圧に降圧された電圧VNEGを得ることができる。
図41(A)乃至(C)、図42(A)、(B)に示す電圧生成回路905A乃至905Eでは、図39(A)乃至(C)、図40(A)、(B)に示す電圧生成回路903A乃至903Eにおいて、各配線に与える電圧を変更すること、あるいは素子の配置を変更した構成に相当する。図41(A)乃至(C)、図42(A)、(B)に示す電圧生成回路905A乃至905Eは、電圧生成回路903A乃至903Eと同様に、効率的に電圧VSSから電圧VNEGへの降圧を図ることができる。
以上説明したように本実施の形態の構成では、半導体装置が有する回路に必要な電圧を内部で生成することができる。そのため半導体装置は、外部から与える電源電圧の種類を削減できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含むCPUの一例について説明する。
<CPUの構成>
図43に示す半導体装置400は、CPUコア401、パワーマネージメントユニット421および周辺回路422を有する。パワーマネージメントユニット421は、パワーコントローラ402、およびパワースイッチ403を有する。周辺回路422は、キャッシュメモリを有するキャッシュ404、バスインターフェース(BUS I/F)405、及びデバッグインターフェース(Debug I/F)406を有する。CPUコア401は、データバス423、制御装置407、PC(プログラムカウンタ)408、パイプラインレジスタ409、パイプラインレジスタ410、ALU(Arithmetic logic unit)411、及びレジスタファイル412を有する。CPUコア401と、キャッシュ404等の周辺回路422とのデータのやり取りは、データバス423を介して行われる。
半導体装置(セル)は、パワーコントローラ402、制御装置407をはじめ、多くの論理回路に適用することができる。特に、スタンダードセルを用いて構成することができる全ての論理回路に適用することができる。その結果、小型の半導体装置400を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置400を提供できる。また、電源電圧の変動を低減することが可能な半導体装置400を提供できる。
半導体装置(セル)に、pチャネル型Siトランジスタと、先の実施の形態に記載の酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタとを用い、該半導体装置(セル)を半導体装置400に適用することで、小型の半導体装置400を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置400を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
制御装置407は、PC408、パイプラインレジスタ409、パイプラインレジスタ410、ALU411、レジスタファイル412、キャッシュ404、バスインターフェース405、デバッグインターフェース406、及びパワーコントローラ402の動作を統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令をデコードし、実行する機能を有する。
ALU411は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
キャッシュ404は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。PC408は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。なお、図43では図示していないが、キャッシュ404には、キャッシュメモリの動作を制御するキャッシュコントローラが設けられている。
パイプラインレジスタ409は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
レジスタファイル412は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、メインメモリから読み出されたデータ、またはALU411の演算処理の結果得られたデータ、などを記憶することができる。
パイプラインレジスタ410は、ALU411の演算処理に利用するデータ、またはALU411の演算処理の結果得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
バスインターフェース405は、半導体装置400と半導体装置400の外部にある各種装置との間におけるデータの経路としての機能を有する。デバッグインターフェース406は、デバッグの制御を行うための命令を半導体装置400に入力するための信号の経路としての機能を有する。
パワースイッチ403は、半導体装置400が有する、パワーコントローラ402以外の各種回路への、電源電圧の供給を制御する機能を有する。上記各種回路は、幾つかのパワードメインにそれぞれ属しており、同一のパワードメインに属する各種回路は、パワースイッチ403によって電源電圧の供給の有無が制御される。また、パワーコントローラ402はパワースイッチ403の動作を制御する機能を有する。
上記構成を有する半導体装置400は、パワーゲーティングを行うことが可能である。パワーゲーティングの動作の流れについて、一例を挙げて説明する。
まず、CPUコア401が、電源電圧の供給を停止するタイミングを、パワーコントローラ402のレジスタに設定する。次いで、CPUコア401からパワーコントローラ402へ、パワーゲーティングを開始する旨の命令を送る。次いで、半導体装置400内に含まれる各種レジスタとキャッシュ404が、データの退避を開始する。次いで、半導体装置400が有するパワーコントローラ402以外の各種回路への電源電圧の供給が、パワースイッチ403により停止される。次いで、割込み信号がパワーコントローラ402に入力されることで、半導体装置400が有する各種回路への電源電圧の供給が開始される。なお、パワーコントローラ402にカウンタを設けておき、電源電圧の供給が開始されるタイミングを、割込み信号の入力に依らずに、当該カウンタを用いて決めるようにしてもよい。次いで、各種レジスタとキャッシュ404が、データの復帰を開始する。次いで、制御装置407における命令の実行が再開される。
このようなパワーゲーティングは、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において行うことができる。また、短い時間でも電源の供給を停止することができる。このため、空間的に、あるいは時間的に細かい粒度で消費電力の削減を行うことができる。
パワーゲーティングを行う場合、CPUコア401や周辺回路422が保持する情報を短期間に退避できることが好ましい。そうすることで、短期間に電源のオンオフが可能となり、省電力の効果が大きくなる。
CPUコア401や周辺回路422が保持する情報を短期間に退避するためには、フリップフロップ回路がその回路内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なフリップフロップ回路と呼ぶ)。また、SRAMセルがセル内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なSRAMセルと呼ぶ)。バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを有することが好ましい。その結果、トランジスタが低いオフ電流を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは長期間電源供給なしに情報を保持することができる。また、トランジスタが高速なスイッチング速度を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは短期間のデータ退避および復帰が可能となる場合がある。
バックアップ可能なフリップフロップ回路の例について、図44を用いて説明する。
図44に示す半導体装置500は、バックアップ可能なフリップフロップ回路の一例である。半導体装置500は、第1の記憶回路501と、第2の記憶回路502と、第3の記憶回路503と、読み出し回路504と、を有する。半導体装置500には、電位V1と電位V2の電位差が、電源電圧として供給される。電位V1と電位V2は一方がハイレベルであり、他方がローレベルである。以下、電位V1がローレベル、電位V2がハイレベルの場合を例に挙げて、半導体装置500の構成例について説明するものとする。
第1の記憶回路501は、半導体装置500に電源電圧が供給されている期間において、データを含む信号Dが入力されると、当該データを保持する機能を有する。そして、半導体装置500に電源電圧が供給されている期間において、第1の記憶回路501からは、保持されているデータを含む信号Qが出力される。一方、第1の記憶回路501は、半導体装置500に電源電圧が供給されていない期間においては、データを保持することができない。すなわち、第1の記憶回路501は、揮発性の記憶回路と呼ぶことができる。
第2の記憶回路502は、第1の記憶回路501に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。第3の記憶回路503は、第2の記憶回路502に保持されているデータを読み込記憶する(あるいは退避する)機能を有する。読み出し回路504は、第2の記憶回路502または第3の記憶回路503に保持されたデータを読み出して第1の記憶回路501に記憶する(あるいは復帰する)機能を有する。
特に、第3の記憶回路503は、半導体装置500に電源電圧が供給されてない期間においても、第2の記憶回路502に保持されているデータを読み込記憶する(あるいは退避する)機能を有する。
図44に示すように、第2の記憶回路502はトランジスタ512と容量素子519とを有する。第3の記憶回路503はトランジスタ513と、トランジスタ515と、容量素子520とを有する。読み出し回路504はトランジスタ510と、トランジスタ518と、トランジスタ509と、トランジスタ517と、を有する。
トランジスタ512は、第1の記憶回路501に保持されているデータに応じた電荷を、容量素子519に充放電する機能を有する。トランジスタ512は、第1の記憶回路501に保持されているデータに応じた電荷を容量素子519に対して高速に充放電できることが望ましい。具体的には、トランジスタ512が、結晶性を有するシリコン(好ましくは多結晶シリコン、更に好ましくは単結晶シリコン)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
トランジスタ513は、容量素子519に保持されている電荷に従って導通状態または非導通状態が選択される。トランジスタ515は、トランジスタ513が導通状態であるときに、配線544の電位に応じた電荷を容量素子520に充放電する機能を有する。トランジスタ515は、オフ電流が著しく小さいことが望ましい。具体的には、トランジスタ515が、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
各素子の接続関係を具体的に説明すると、トランジスタ512のソース及びドレインの一方は、第1の記憶回路501に接続されている。トランジスタ512のソース及びドレインの他方は、容量素子519の一方の電極、トランジスタ513のゲート、及びトランジスタ518のゲートに接続されている。容量素子519の他方の電極は、配線542に接続されている。トランジスタ513のソース及びドレインの一方は、配線544に接続されている。トランジスタ513のソース及びドレインの他方は、トランジスタ515のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ515のソース及びドレインの他方は、容量素子520の一方の電極、及びトランジスタ510のゲートに接続されている。容量素子520の他方の電極は、配線543に接続されている。トランジスタ510のソース及びドレインの一方は、配線541に接続されている。トランジスタ510のソース及びドレインの他方は、トランジスタ518のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ518のソース及びドレインの他方は、トランジスタ509のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ509のソース及びドレインの他方は、トランジスタ517のソース及びドレインの一方、及び第1の記憶回路501に接続されている。トランジスタ517のソース及びドレインの他方は、配線540に接続されている。また、図44においては、トランジスタ509のゲートは、トランジスタ517のゲートと接続されているが、トランジスタ509のゲートは、必ずしもトランジスタ517のゲートと接続されていなくてもよい。
トランジスタ515に先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することができる。トランジスタ515のオフ電流が小さいために、半導体装置500は、長期間電源供給なしに情報を保持することができる。トランジスタ515のスイッチング特性が良好であるために、半導体装置500は、高速のバックアップとリカバリを行うことができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した撮像装置の一例について説明する。
<撮像装置>
以下では、本発明の一態様に係る撮像装置について説明する。
図45(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置200の例を示す平面図である。撮像装置200は、画素部210と、画素部210を駆動するための周辺回路260と、周辺回路270、周辺回路280と、周辺回路290と、を有する。画素部210は、p行q列(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素211を有する。周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290は、それぞれ複数の画素211に接続し、複数の画素211を駆動するための信号を供給する機能を有する。なお、本明細書等において、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290などの全てを指して「周辺回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合がある。例えば、周辺回路260は周辺回路の一部といえる。
また、撮像装置200は、光源291を有することが好ましい。光源291は、検出光P1を放射することができる。
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部210を形成する基板上に形成してもよい。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。なお、周辺回路は、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290のいずれか一以上を省略してもよい。
また、図45(B)に示すように、撮像装置200が有する画素部210において、画素211を傾けて配置してもよい。画素211を傾けて配置することにより、行方向および列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置200における撮像の品質をより高めることができる。
<画素の構成例1>
撮像装置200が有する1つの画素211を複数の副画素212で構成し、それぞれの副画素212に特定の波長域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせることで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
図46(A)は、カラー画像を取得するための画素211の一例を示す平面図である。図46(A)に示す画素211は、赤(R)の波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212R」ともいう)、緑(G)の波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212G」ともいう)および青(B)の波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212B」ともいう)を有する。副画素212は、フォトセンサとして機能させることができる。
副画素212(副画素212R、副画素212G、および副画素212B)は、配線231、配線247、配線248、配線249、配線250と電気的に接続される。また、副画素212R、副画素212G、および副画素212Bは、それぞれが独立した配線253に接続している。また、本明細書等において、例えばn行目の画素211に接続された配線248、配線249、および配線250を、それぞれ配線248[n]、配線249[n]、および配線250[n]と記載する。また、例えばm列目の画素211に接続された配線253を、配線253[m]と記載する。なお、図48(A)において、m列目の画素211が有する副画素212Rに接続する配線253を配線253[m]R、副画素212Gに接続する配線253を配線253[m]G、および副画素212Bに接続する配線253を配線253[m]Bと記載している。副画素212は、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
また、撮像装置200は、隣接する画素211の、同じ波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を有する。図46(B)に、n行(nは1以上p以下の整数)m列(mは1以上q以下の整数)に配置された画素211が有する副画素212と、該画素211に隣接するn+1行m列に配置された画素211が有する副画素212の接続例を示す。図46(B)において、n行m列に配置された副画素212Rと、n+1行m列に配置された副画素212Rがスイッチ201を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Gと、n+1行m列に配置された副画素212Gがスイッチ202を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Bと、n+1行m列に配置された副画素212Bがスイッチ203を介して接続されている。
なお、副画素212に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定されず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンタ(M)の光を透過するカラーフィルタを用いてもよい。1つの画素211に3種類の異なる波長域の光を検出する副画素212を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素211を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンタ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加えて、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素211を用いてもよい。1つの画素211に4種類の異なる波長域の光を検出する副画素212を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
また、例えば、図46(A)において、赤の波長域の光を検出する副画素212、緑の波長域の光を検出する副画素212、および青の波長域の光を検出する副画素212の画素数比(または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。または、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
なお、画素211に設ける副画素212は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例えば、同じ波長域の光を検出する副画素212を2つ以上設けることで、冗長性を高め、撮像装置200の信頼性を高めることができる。
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared)フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置200を実現することができる。
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用いることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和することを防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像装置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
また、前述したフィルタ以外に、画素211にレンズを設けてもよい。ここで、図47の断面図を用いて、画素211、フィルタ254、レンズ255の配置例を説明する。レンズ255を設けることで、副画素212中に設けられた光電変換素子が入射光を効率よく受光することができる。具体的には、図47(A)に示すように、画素211に形成したレンズ255、フィルタ254(フィルタ254R、フィルタ254Gおよびフィルタ254B)、および画素回路230等を通して光256を光電変換素子220に入射させる構造とすることができる。
ただし、一点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光256の一部が配線257の一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図47(B)に示すように光電変換素子220側にレンズ255およびフィルタ254を配置して、光電変換素子220が光256を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子220側から光256を光電変換素子220に入射させることで、検出感度の高い撮像装置200を提供することができる。
図47に示す光電変換素子220として、pn型接合またはpin型の接合が形成された光電変換素子を用いてもよい。
また、光電変換素子220を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、セレン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合金等がある。
例えば、光電変換素子220にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて、X線や、ガンマ線といった幅広い波長域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子220を実現できる。
ここで、撮像装置200が有する1つの画素211は、図46に示す副画素212に加えて、第1のフィルタを有する副画素212を有してもfよい。
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタと、を用いて画素を構成する一例について説明する。各トランジスタは上記実施の形態に示すものと同様のトランジスタを用いることができる。
図48は、撮像装置を構成する素子の断面図である。図48に示す撮像装置は、シリコン基板300に設けられたシリコンを用いたトランジスタ351、トランジスタ351上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトランジスタ352およびトランジスタ353、ならびにシリコン基板300に設けられたフォトダイオード360を含む。各トランジスタおよびフォトダイオード360は、種々のプラグ370および配線371と電気的な接続を有する。また、フォトダイオード360のアノード361は、低抵抗領域363を介してプラグ370と電気的に接続を有する。
また撮像装置は、シリコン基板300に設けられたトランジスタ351およびフォトダイオード360を有する層310と、層310と接して設けられ、配線371を有する層320と、層320と接して設けられ、トランジスタ352およびトランジスタ353を有する層330と、層330と接して設けられ、配線372および配線373を有する層340を備えている。
なお図48の断面図の一例では、シリコン基板300において、トランジスタ351が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード360の受光面を有する構成とする。該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保することができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイオード360の受光面をトランジスタ351が形成された面と同じとすることもできる。
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタのみを用いて画素を構成する場合には、層310を、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する層とすればよい。または層310を省略し、酸化物半導体を用いたトランジスタのみで画素を構成してもよい。
なお、シリコン基板300は、SOI基板であってもよい。また、シリコン基板300に替えて、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウムまたは有機半導体を有する基板を用いることもできる。
ここで、トランジスタ351およびフォトダイオード360を有する層310と、トランジスタ352およびトランジスタ353を有する層330と、の間には絶縁体380が設けられる。ただし、絶縁体380の位置は限定されない。また、絶縁体380の下に絶縁体379が設けられ、絶縁体380の上に絶縁体381が設けられる。ここで、絶縁体379は図19に示す絶縁体110に対応し、絶縁体380は図19に示す絶縁体61に対応し、絶縁体381は図19に示す絶縁体67に対応する。
絶縁体379乃至絶縁体380に設けられた開口に、導電体390a乃至導電体390eが設けられている。導電体390a、導電体390bおよび導電体390eは、図19に示す導電体121aおよび導電体122aなどと対応しており、プラグおよび配線として機能する。また、導電体390cは、図19に示す導電体62aおよび導電体62bと対応しており、トランジスタ353のバックゲートとして機能する。また、導電体390dは、図19に示す導電体62aおよび導電体62bと対応しており、トランジスタ352のバックゲートとして機能する。
トランジスタ351のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端し、トランジスタ351の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ352およびトランジスタ353などの近傍に設けられる絶縁体中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、トランジスタ352およびトランジスタ353などの信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体を用いたトランジスタの上層に酸化物半導体を用いたトランジスタを積層して設ける場合、これらの間に水素をブロックする機能を有する絶縁体380を設けることが好ましい。絶縁体380より下層に水素を閉じ込めることで、トランジスタ351の信頼性が向上させることができる。さらに、絶縁体380より下層から、絶縁体380より上層に水素が拡散することを抑制できるため、トランジスタ352およびトランジスタ353などの信頼性を向上させることができる。さらに、導電体390a、導電体390bおよび導電体390eが形成されることにより、絶縁体380に形成されているビアホールを通じて上層に水素が拡散することも抑制できるため、トランジスタ352およびトランジスタ353などの信頼性を向上させることができる。
また、図48の断面図において、層310に設けるフォトダイオード360と、層330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。
また、撮像装置の一部または全部を湾曲させてもよい。撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた電子機器などの小型化や軽量化を実現することができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した電子機器について説明する。
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図49に示す。
図49(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体1901、筐体1902、表示部1903、表示部1904、マイクロフォン1905、スピーカー1906、操作キー1907、スタイラス1908等を有する。なお、図49(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部1903と表示部1904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図49(B)は携帯データ端末であり、第1筐体1911、第2筐体1912、第1表示部1913、第2表示部1914、接続部1915、操作キー1916等を有する。第1表示部1913は第1筐体1911に設けられており、第2表示部1914は第2筐体1912に設けられている。そして、第1筐体1911と第2筐体1912とは、接続部1915により接続されており、第1筐体1911と第2筐体1912の間の角度は、接続部1915により変更が可能である。第1表示部1913における映像を、接続部1915における第1筐体1911と第2筐体1912との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部1913および第2表示部1914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図49(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体1921、表示部1922、キーボード1923、ポインティングデバイス1924等を有する。
図49(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体1931、冷蔵室用扉1932、冷凍室用扉1933等を有する。
図49(E)はビデオカメラであり、第1筐体1941、第2筐体1942、表示部1943、操作キー1944、レンズ1945、接続部1946等を有する。操作キー1944およびレンズ1945は第1筐体1941に設けられており、表示部1943は第2筐体1942に設けられている。そして、第1筐体1941と第2筐体1942とは、接続部1946により接続されており、第1筐体1941と第2筐体1942の間の角度は、接続部1946により変更が可能である。表示部1943における映像を、接続部1946における第1筐体1941と第2筐体1942との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
図49(F)は自動車であり、車体1951、車輪1952、ダッシュボード1953、ライト1954等を有する。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態などでは、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、トランジスタのチャネル形成領域、ソースドレイン領域などが、酸化物半導体を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有していてもよい。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、または、有機半導体などの少なくとも一つを有していてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体を有していなくてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係る半導体ウエハー、チップおよび電子部品について説明する。
<半導体ウエハー、チップ>
図54(A)は、ダイシング処理が行なわれる前の基板711の上面図を示している。基板711としては、例えば、半導体基板(「半導体ウエハー」ともいう。)を用いることができる。基板711上には、複数の回路領域712が設けられている。回路領域712には、本発明の一態様に係る半導体装置や、CPU、RFタグ、またはイメーセンサなどを設けることができる。
複数の回路領域712は、それぞれが分離領域713に囲まれている。分離領域713と重なる位置に分離線(「ダイシングライン」ともいう。)714が設定される。分離線714に沿って基板711を切断することで、回路領域712を含むチップ715を基板711から切り出すことができる。図54(B)にチップ715の拡大図を示す。
また、分離領域713に導電層や半導体層を設けてもよい。分離領域713に導電層や半導体層を設けることで、ダイシング工程時に生じうるESDを緩和し、ダイシング工程の歩留まり低下を防ぐことができる。また、一般にダイシング工程は、基板の冷却、削りくずの除去、帯電防止などを目的として、炭酸ガスなどを溶解させて比抵抗を下げた純水を切削部に流しながら行なわれる。分離領域713に導電層や半導体層を設けることで、当該純水の使用量を削減することができる。よって、半導体装置の生産コストを低減することができる。また、半導体装置の生産性を高めることができる。
分離領域713に設ける半導体層としては、バンドギャップが2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.7eV以上3.5eV以下の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いると、蓄積された電荷をゆっくりと放電することができるため、ESDによる電荷の急激な移動が抑えられ、静電破壊を生じにくくすることができる。
<電子部品>
チップ715を電子部品に適用する例について、図55を用いて説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはIC用パッケージともいう。電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、上記実施の形態に示した半導体装置と該半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
図55(A)に示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において上記実施の形態に示した半導体装置を有する素子基板が完成した後、該素子基板の裏面(半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行なう(ステップS721)。研削により素子基板を薄くすることで、素子基板の反りなどを低減し、電子部品の小型化を図ることができる。
次に、素子基板を複数のチップ(チップ715)に分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS722)。そして、分離したチップを個々ピックアップしてリードフレーム上に接合する「ダイボンディング工程」を行う(ステップS723)。ダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接合は、樹脂による接合や、テープによる接合など、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップを接合してもよい。
次いで、リードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS724)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モールド工程)」が施される(ステップS725)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、チップに内蔵される回路部やチップとリードを接続するワイヤーを機械的な外力から保護することができ、また水分や埃による特性の劣化(信頼性の低下)を低減することができる。
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行なう(ステップS726)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断および成形加工する「成形工程」を行なう(ステップS727)。
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行なう(ステップS728)。そして外観形状の良否や動作不良の有無などを調べる「検査工程」(ステップS729)を経て、電子部品が完成する(ステップS729)。
また、完成した電子部品の斜視模式図を図55(B)に示す。図55(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図55(B)に示す電子部品750は、リード755および半導体装置753を示している。半導体装置753としては、上記実施の形態に示した半導体装置などを用いることができる。
図55(B)に示す電子部品750は、例えばプリント基板752に実装される。このような電子部品750が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板752上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板754)が完成する。完成した実装基板754は、電子機器などに用いられる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、本発明に係るプラズマ処理の効果を確認した。窒素を有する金属としてはALD法を用いた窒化タンタル膜を用いた。該窒化タンタル膜にプラズマ処理を行いシート抵抗値の変動を測定し、またXPS(Xray Photoelectoron Spectroscopy)分析を行った。
試料は、ガラス基板上にALD法を用いて、窒化タンタル膜を30nmの膜厚で成膜した。プリカーサ―は、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタルを用いた。
次に、該窒化タンタルの膜厚測定およびシート抵抗値測定を行った。膜厚の測定は、エリプソメトリ法を用い、シート抵抗値の測定はシート抵抗測定器を用いた。次に、プラズマ処理を行った。本実施例では、逆スパッタの機能を有するスパッタ装置を用いてアルゴンガスを用いた逆スパッタ処理をプラズマ処理とした。
逆スパッタの条件を試料により変更した。即ち、試料1は、投入パワー50W、処理時間30秒、試料2は、投入パワー50W、処理時間60秒、試料3は、投入パワー100W、処理時間30秒、試料4は、投入パワー100W、処理時間60秒、試料5は、投入パワー150W、処理時間60秒、試料6は、パワー投入200W、処理時間60秒とした。試料7は、比較試料として逆スパッタ処理を行わなかった。
次に、逆スパッタ処理後の試料1乃至試料6の膜厚測定とシート抵抗値を測定した。また、試料2、4、5、6および7の膜表面についてXPS分析を行った。また、試料7は、膜の深さ方向のXPS分析も行った。
図50に逆スパッタの投入パワーおよび処理時間による窒化タンタル膜の膜減り量のグラフを示す。投入パワーを大きくすると窒化タンタルの膜減り量が増加し、投入パワー200W、処理時間60秒では、約4.3nmの膜減り量であった。
図51に逆スパッタ処理条件による窒化タンタル膜のシート抵抗値の変動のグラフを示す。逆スパッタの投入パワー50Wでは、処理時間を60秒としてもシート抵抗値の変動量は小さかった。投入パワー100W、処理時間60秒、投入パワー150W、処理時間60秒、投入パワー200W、処理時間60秒では、シート抵抗値の変動が大きく、投入パワー200W、処理時間60秒の処理が最も変動が大きく、成膜後のシート抵抗値250KΩ/□に対して、逆スパッタ処理後は、約12KΩ/□と大きく低下することが解った。
図52は、試料2、4、5、6および7の膜表面についてのXPS分析結果である。図52中の表記は、試料2は50W、試料4は100W、試料5は150W、試料6は200W、試料7は成膜後に対応する。横軸は、束縛エネルギー(Binding Energy)を表し、縦軸は束縛エネルギーに対応した信号強度(Intensity)を表す。
図52によると、逆スパッタ処理を行うと束縛エネルギーの高いスペクトル強度が低下し、低束縛エネルギーのスペクトル強度が強くなり、その傾向は投入パワーを大きくする方が大きかった。つまり逆スパッタ処理を行うと低束縛エネルギーの高い方から低い方に向かって酸化タンタルから酸化窒化タンタルへ、酸化窒化タンタルから窒化タンタルへと膜組成が変化していることが解った。
図53に試料7の深さ方向のXPS分析結果を示す。図53は、試料7の膜表面からガラスまでの深さ方向のタンタル(Ta)、窒素(N)、酸素(O)およびシリコン(Si)のプロファイルを示している。図53によると、窒化タンタルの膜の最表面から約2nmから3nmの深さでは、酸素(O)の割合が大きく60atomic%近くであり、窒素(N)は20atomic%以下と低く、酸化タンタルに近い組成である。また、膜表面約2nmから3nmより深くは、酸素(O)と窒素(N)との割合が表面付近とは逆転し、酸素の割合は4atomic%から6atomic%であり、窒素(N)は、約40atomic%であった。
以上の結果から、膜の最表面から約2nmから3nmの深さまで、逆スパッタ処理により、酸素(O)の割合の大きな、高い電気抵抗値の膜を除去し、電気抵抗値の低い窒化タンタルを形成することができる。この結果は、逆スパッタ処理条件200W、60秒で低いシート抵抗値が得られた結果と一致する。