実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
また、図面などにおいて示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面などに開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」および「直交」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
なお、本明細書等において、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
また、本明細書等において、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、その後にエッチング工程(除去工程)を行う場合は、特段の説明がない限り、当該レジストマスクは、エッチング工程終了後に除去するものとする。
また、本明細書等において、高電源電位VDD(「VDD」または「H電位」ともいう。)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位VSS(「VSS」または「L電位」ともいう。)とは、高電源電位VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(「GND」または「GND電位」ともいう。)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)の電界効果トランジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、nチャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう。)は、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
(実施の形態1)
異なる電気特性を有するトランジスタを同一層上に設けることで、半導体装置の設計自由度を高めることができる。また、異なる電気特性を有するトランジスタを同一層上に設けることで、半導体装置の集積度を高めることができる。本実施の形態では、作製工程数の増加を抑制しながら、異なる電気特性を有するトランジスタを同一層上に設ける実施形態の一例を説明する。
<半導体装置1000の構成例>
図1(A)は、半導体装置1000を示す断面図である。半導体装置1000はトランジスタ200およびトランジスタ400を有する。トランジスタ200およびトランジスタ400は、異なる構成を有する。また、図1(A)では、基板201上に設けたトランジスタ200およびトランジスタ400の断面を示している。なお、図1(A)は、図2にL1−L2の一点鎖線で示す部位の断面図に相当する。
図2は、半導体装置1000の平面図である。また、図3は、図2にL1−L2の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、図4は、図2にW1−W2、W3−W4、およびW5−W6の一点鎖線で示す部位の断面図である。図3において、L1−L2はトランジスタ200、およびトランジスタ400のチャネル長方向の断面図である。図4(A)において、W1−W2はトランジスタ200のチャネル幅方向の断面図である。また、図4(B)において、W3−W4はトランジスタ400のソース領域またはドレイン領域の一方の断面図である。また、図4(C)において、W5−W6はトランジスタ400のチャネル幅方向の断面図である。
ここで、図1(B)、および図1(C)に、トランジスタの電気特性の一つであるVg−Idカーブを示す。図1(B)、および図1(C)に示すVg−Idカーブは、横軸がトランジスタのゲートとソース間の電圧(Vg)を示している。また、縦軸はトランジスタのドレインに流れる電流(Id)を対数で示している。
トランジスタ200は、バックゲートを有するトランジスタである。図1(B)は、バックゲートの電位をソースまたはゲートと同電位としたときのトランジスタ200のVg−Idカーブを示す。また、図1(C)は、ゲートの電位をソースと同電位としたときのトランジスタ400のVg−Idカーブを示している。図1(B)、および図1(C)に示すとおり、トランジスタ200とトランジスタ400と、は異なる電気特性を有する。図1(B)および図1(C)においては、トランジスタ400のVg−Idカーブは、トランジスタ200のVg−Idカーブよりも、Vgがプラスの方向にシフトしている。すなわち、トランジスタ400は、トランジスタ200よりもVthが大きいトランジスタである。
続いて、トランジスタ200とトランジスタ400について図面を用いて説明する。
〔トランジスタ200〕
トランジスタ200はトップゲート型のトランジスタの一種である。トランジスタ200は、導電体205(導電体205a、導電体205b、および導電体205c)、絶縁体224、酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)、導電体240(導電体240a、および導電体240b)、層245(層245a、および層245b)、絶縁体250、導電体260、層270、絶縁体272を有する(図3、および図4(A)参照。)。
図3、および図4(A)に示すトランジスタ200は、基板201上に、絶縁体212、および絶縁体214を介して設けられている。具体的には、絶縁体212上に絶縁体214を有し、絶縁体214上に、絶縁体216を有する。また、絶縁体214、および絶縁体216の一部を除去して導電体205a、および導電体205bが埋め込まれている。さらに、導電体205a、および導電体205b上に、導電体205cが設けられている。また、導電体205c、および絶縁体216上に絶縁体224を有する。また、絶縁体224上に、酸化物230aを有し、酸化物230a上に酸化物230bを有する。
酸化物230bは、第1の領域、第2の領域、および第3の領域を有する。第3の領域は、平面図において第1の領域と第2の領域に挟まれる。
また、トランジスタ200は、酸化物230bの第1の領域上に導電体240aを有し、酸化物230bの第2の領域上に導電体240bを有する。導電体240aまたは導電体240bの一方は、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能でき、他方は、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。よって、酸化物230bの第1の領域または第2の領域の一方は、ソース領域として機能でき、他方はドレイン領域として機能できる。また、酸化物230bの第3の領域はチャネル形成領域として機能できる。
また、トランジスタ200は、導電体240a上に層245aを有し、導電体240b上に層245bを有する。また、層245a、層245b、導電体240a、導電体240b、酸化物230b、および酸化物230a上に、酸化物230cを有する。
また、酸化物230c上に絶縁体250を有し、絶縁体250上に導電体260を有する。絶縁体250および導電体260は、第3の領域と重なる領域を有する。
また、トランジスタ200は、導電体260上に層270を有する。層270および酸化物230cは、導電体260の端部を越えて延伸し、当該延伸部分で重畳する領域を有する。
また、本実施の形態では、トランジスタ200を覆うように、絶縁体272を設けられている。絶縁体272上に、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284が設けられている。
また、層245a、絶縁体272、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284に設けられた、導電体240aと重なる開口に、導電体285aが設けられている。また、層245b、絶縁体272、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284に設けられた、導電体240bと重なる開口に、導電体285bが設けられている。また、層270、絶縁体272、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284に設けられた、導電体260と重なる開口に、導電体285cが設けられている。
また、本実施の形態では、絶縁体284上に導電体287a、導電体287b、および導電体287cが設けられている。導電体287aは、導電体285aを介して導電体240aと電気的に接続する。導電体287bは、導電体285bを介して導電体240bと電気的に接続する。導電体287cは、導電体285cを介して導電体260と電気的に接続する。
なお、本実施の形態ではトランジスタ200の酸化物230を上述の3層構造としているが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、酸化物230を、酸化物230aまたは酸化物230cの一方がない2層構造としても構わない。もしくは、酸化物230a、酸化物230b、または酸化物230cのいずれか一を用いた単層構造としても構わない。または、酸化物230aの上もしくは下、または酸化物230cの上もしくは下に、前述した半導体のいずれか一を有する4層構造としても構わない。または、酸化物230aの上、酸化物230aの下、酸化物230cの上、酸化物230cの下のいずれか二箇所以上に、酸化物230a、酸化物230bおよび酸化物230cとして例示した半導体のいずれか一を有するn層構造(nは5以上の整数)としても構わない。
[ゲート電極とバックゲート電極]
導電体205または導電体260の一方はゲート電極として機能でき、他方はバックゲート電極として機能できる。一般に、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成される。また、ゲート電極とバックゲート電極で半導体のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極はゲート電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、接地電位や、任意の電位としてもよい。また、バックゲート電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
導電体205および導電体260は、どちらもゲート電極として機能することができる。よって、絶縁体224、および絶縁体250は、それぞれがゲート絶縁層として機能することができる。
なお、導電体205または導電体260の一方を、「ゲート電極」または「ゲート」という場合、他方を「バックゲート電極」または「バックゲート」という。例えば、トランジスタ200において、導電体205を「ゲート電極」と言う場合、導電体260を「バックゲート電極」と言う。導電体205を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ200をボトムゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。導電体205および導電体260のどちらか一方を、「第1のゲート電極」または「第1のゲート」といい、他方を「第2のゲート電極」または「第2のゲート」という場合がある。
酸化物230bを挟んで、導電体205および導電体260を設けることで、更には、導電体205および導電体260を同電位とすることで、酸化物230bにおいてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ200のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
したがって、トランジスタ200は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ200の占有面積を小さくすることができる。よって、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電界が、チャネルが形成される半導体に作用しないようにする機能(特に静電気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、平面視において、バックゲート電極を半導体よりも大きく形成し、バックゲート電極で半導体を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
導電体205および導電体260は、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有するため、導電体205の下方および導電体260の上方に生じる荷電粒子等の電荷が酸化物230bのチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲートに負の電荷を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制される。また、導電体205および導電体260は、ドレイン電極から生じる電界が半導体に作用しないように遮断することができる。よって、ドレイン電圧の変動に起因する、オン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。なお、この効果は、導電体205および導電体260に電位が供給されている場合において顕著に生じる。
なお、GBTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができる。特に、GBTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。GBTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
また、導電体205および導電体260を有し、かつ導電体205および導電体260を同電位とすることで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタ間における電気特性のばらつきも同時に低減される。
また、バックゲート電極を有するトランジスタは、ゲートに正の電荷を印加する+GBTストレス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲート電極を有さないトランジスタより小さい。
また、バックゲート電極側から光が入射する場合に、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
〔トランジスタ400〕
トランジスタ400はトップゲート型のトランジスタの一種である。トランジスタ400は、導電体405(導電体405a、導電体405b、および導電体405c)、導電体407(導電体407a、導電体407b、および導電体407c)、酸化物430、絶縁体450、導電体460、および層470を有する(図3、図4(B)、および図4(C)参照。)。
図3、図4(B)、および図4(C)に示すトランジスタ400は、基板201上に、絶縁体212および絶縁体214を介して設けられている。具体的には、絶縁体214上に絶縁体216を有し、絶縁体214、および絶縁体216の一部を除去して導電体405a、導電体405b、導電体407a、および導電体407bが埋め込まれている。また、導電体405a、および導電体405b上に、導電体405cを有し、導電体407a、および導電体407b上に、導電体407cを有する。また、導電体405、導電体407、および絶縁体216上に絶縁体224を有する。
トランジスタ400は、導電体405、導電体407、および絶縁体224上に、酸化物430を有する。導電体405または導電体407の一方は、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能でき、他方は、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能できる。
また、酸化物430は、第1の領域、第2の領域、および第3の領域を有する。平面図において、第3の領域は、少なくとも、第1の領域と第2の領域に挟まれる。
酸化物430の第1の領域は、導電体405と重なる。また、酸化物430の第2の領域は、導電体407と重なる。また、酸化物430の第3の領域はチャネル形成領域として機能できる。
また、トランジスタ400は、酸化物430上に絶縁体450を有し、絶縁体450上に導電体460を有する。絶縁体450および導電体460は、酸化物430の第3の領域と重なる領域を有する。
また、トランジスタ400は、導電体460上に層470を有する。層470および酸化物430は、導電体460の端部を越えて延伸し、当該延伸部分で重畳する領域を有する。
また、本実施の形態では、トランジスタ400上に絶縁体272が設けられ、絶縁体272上に絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284が設けられている。
また、層470、絶縁体272、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284に設けられた、導電体460と重なる開口に、導電体285dが設けられている。また、本実施の形態では、絶縁体284上に導電体287dが設けられている。導電体287dは、導電体285dを介して導電体460と電気的に接続する。
なお、トランジスタ200では、酸化物230bにチャネルが形成される。また、トランジスタ400では酸化物430にチャネルが形成される。酸化物230bと酸化物430は、物理的性質の異なる半導体材料を用いることが好ましい。酸化物230bと酸化物430に物理的性質の異なる半導体材料を用いることで、トランジスタ200とトランジスタ400の電気特性を異ならせることができる。例えば、酸化物230bと酸化物430のそれぞれに、エネルギーバンドギャップの異なる半導体材料を用いることで、トランジスタ200とトランジスタ400の電界効果移動度を作り分けることも可能である。
また、例えば、酸化物430に、酸化物230bよりも電子親和力が小さい半導体材料を用いることで、トランジスタ400のVthをトランジスタ200よりも大きくすることができる。具体的には、酸化物430がIn−M−Zn酸化物(Inと元素MとZnを含む酸化物)であり、酸化物230bもIn−M−Zn酸化物であるとき、酸化物430をIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物230bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y1/x1がy2/x2よりも大きくなる酸化物430、および酸化物230bを用いればよい。このようなIn−M−Zn酸化物を用いることで、トランジスタ400のVthをトランジスタ200よりも大きくすることができる。
また、トランジスタ400では酸化物430のチャネルが形成される領域が絶縁体224と絶縁体450に直接接しているため、界面散乱やトラップ準位の影響を受けやすい。よって、トランジスタ400はトランジスタ200よりもオン電流や電界効果移動度が小さくなる。また、トランジスタ400はトランジスタ200よりもVthが大きくなる。
<構成材料について>
〔基板〕
基板201として用いる材料に大きな制限はないが、少なくとも後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板201としてシリコンや炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどを材料とした化合物半導体基板等を用いることができる。また、SOI基板や、半導体基板上に歪トランジスタやFIN型トランジスタなどの半導体素子が設けられたものなどを用いることもできる。または、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に適用可能なヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化インジウムガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、シリコンゲルマニウムなどを用いてもよい。すなわち、基板201は、単なる支持基板に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタ200、またはトランジスタ400のゲート、ソース、またはドレインの少なくとも一つは、上記他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
また、基板201として、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることもできる。なお、基板201として、可撓性基板(フレキシブル基板)を用いてもよい。可撓性基板を用いる場合、可撓性基板上に、トランジスタや容量素子などを直接作製してもよいし、他の作製基板上にトランジスタや容量素子などを作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板とトランジスタや容量素子などとの間に剥離層を設けるとよい。
可撓性基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。基板201に用いる可撓性基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。基板201に用いる可撓性基板は、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板として好適である。
〔絶縁体〕
絶縁体212、絶縁体214、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体250、絶縁体450、絶縁体272、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどから選ばれた材料を、単層でまたは積層して用いる。また、酸化物材料、窒化物材料、酸化窒化物材料、窒化酸化物材料のうち、複数の材料を混合した材料を用いてもよい。
なお、本明細書中において、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をいう。また、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいう。なお、各元素の含有量は、例えば、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)等を用いて測定することができる。
特に、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体272、および絶縁体280は、不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。例えば、不純物が透過しにくい絶縁性材料として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、窒化シリコンなどを挙げることができる。
絶縁体212、絶縁体214に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、基板201側からトランジスタへの不純物の拡散を抑制し、トランジスタの信頼性を高めることができる。絶縁体280に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いることで、絶縁体280よりも上層からトランジスタへの不純物の拡散を抑制し、トランジスタの信頼性を高めることができる。
なお、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体272、および絶縁体280として、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層して用いてもよい。また、絶縁体212、絶縁体214のどちらか一方を省略してもよい。
ここで、不純物が透過しにくい絶縁性材料とは、耐酸化性が高く、酸素、水素、および水に代表される不純物の拡散を抑制する機能を有する材料とする。
例えば、酸化シリコンに対し、酸化アルミニウムは、350℃または400℃の雰囲気下において、一時間当たりの酸素または水素の拡散距離が非常に小さい。従って、酸化アルミニウムは不純物が透過しにくい材料であるといえる。
また、不純物が透過しにくい絶縁性材料の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタ200は、水素の拡散を抑制する膜で封止されていることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体212の水素の脱離量は、TDSにおいて、50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体212の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
また、特に、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、および絶縁体284は、誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、および絶縁体284の比誘電率は、3未満、好ましくは2.4未満、さらに好ましくは1.8未満であることが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。なお、不純物が透過しにくい絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。
また、酸化物230として酸化物半導体を用いる場合は、酸化物230中の水素濃度の増加を防ぐために、絶縁体中の水素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁体中の水素濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。特に、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体250、絶縁体450、および絶縁体280の水素濃度を低減することが好ましい。少なくとも、酸化物230、または酸化物430と接する絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体450の水素濃度を低減することが好ましい。
また、酸化物230中の窒素濃度の増加を防ぐために、絶縁体中の窒素濃度を低減することが好ましい。具体的には、絶縁体中の窒素濃度を、SIMSにおいて5×1019atoms/cm3以下、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、絶縁体224の少なくとも酸化物230と接する領域と、絶縁体250の少なくとも酸化物230と接する領域は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、電子スピン共鳴法(ESR:Electron Spin Resonance)で観察されるシグナルが少ない方が好ましい。例えば、上述のシグナルとしては、g値が2.001に観察されるE’センターが挙げられる。なお、E’センターは、シリコンのダングリングボンドに起因する。絶縁体224および絶縁体250として酸化シリコン層または酸化窒化シリコン層を用いる場合は、E’センター起因のスピン密度が、3×1017spins/cm3以下、好ましくは5×1016spins/cm3以下である酸化シリコン層、または酸化窒化シリコン層を用いればよい。
また、上述のシグナル以外に二酸化窒素(NO2)に起因するシグナルが観察される場合がある。当該シグナルは、Nの核スピンにより3つのシグナルに分裂しており、それぞれのg値が2.037以上2.039以下(第1のシグナルとする)、g値が2.001以上2.003以下(第2のシグナルとする)、及びg値が1.964以上1.966以下(第3のシグナルとする)に観察される。
例えば、絶縁体224および絶縁体250として、二酸化窒素(NO2)に起因するシグナルのスピン密度が、1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満である絶縁層を用いると好適である。
なお、二酸化窒素(NO2)を含む窒素酸化物(NOx)は、絶縁層中に準位を形成する。当該準位は、酸化物半導体のエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物(NOx)が、絶縁層と酸化物半導体の界面に拡散すると、当該準位が絶縁層側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁層と酸化物半導体の界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。したがって、絶縁体224および絶縁体250として窒素酸化物の含有量が少ない膜を用いると、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することができる。
窒素酸化物(NOx)の放出量が少ない絶縁層としては、例えば、酸化窒化シリコン層を用いることができる。当該酸化窒化シリコン層は、TDSにおいて、窒素酸化物(NOx)の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm3以上5×1019個/cm3以下である。なお、上記のアンモニアの放出量は、TDSにおける加熱処理の温度が50℃以上650℃以下、または50℃以上550℃以下の範囲での総量である。
窒素酸化物(NOx)は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応するため、アンモニアの放出量が多い絶縁層を用いることで窒素酸化物(NOx)が低減される。
また、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体250、および絶縁体450の少なくとも1つは、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。具体的には、TDSにて、酸素原子に換算した酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である絶縁体を用いることが好ましい。なお、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」ともいう。なお、上記TDS時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
また、過剰酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による加熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、またはプラズマ処理などを用いて行うことができる。また、酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF(Radio Frequency)を印加するプラズマ電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく対象となる膜内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、酸素を添加するためのガスとしては、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いることができる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。
また、酸素ドープ処理によって、半導体の結晶性を高めることや、水素や水などの不純物を除去することなどができる場合がある。つまり、「酸素ドープ処理」は、「不純物除去処理」ともいえる。特に、酸素ドープ処理として、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行うことで、対象となる絶縁体、または酸化物中の水素、および水に関する結合が切断されることにより、水素、および水が脱離しやすい状態に変化する。従って、加熱しながらのプラズマ処理、または、プラズマ処理後に加熱処理を行うことが好ましい。また、加熱処理後に、プラズマ処理を行い、さらに加熱処理を行うことで、対象となる膜中の不純物濃度を低減することができる。
また、絶縁体280として、ポリイミド、アクリル系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ系樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、絶縁体280を形成してもよい。
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
絶縁体の形成方法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)などを用いればよい。
また、層245a、層245b、および層270として上記の絶縁層を用いてもよい。層245a、層245b、および層270に絶縁層を用いる場合は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい絶縁層を用いることが好ましい。
〔導電体〕
導電体205、導電体405、導電体240、導電体260および導電体460を形成するための導電性材料としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、前述した金属元素および酸素を含む導電性材料を用いてもよい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、導電体205a、導電体205b、導電体405a、導電体405b、導電体407a、導電体407b、および導電体285としては、例えば、タングステン、ポリシリコン等の埋め込み性の高い導電性材料を用いればよい。また、埋め込み性の高い導電性材料と、チタン層、窒化チタン層、窒化タンタル層などのバリア層(拡散防止層)を組み合わせて用いてもよい。なお、導電体285を「コンタクトプラグ」という場合がある。
特に、絶縁体212および絶縁体214と接する導電体205a、導電体405a、導電体407aに不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。また、絶縁体272および絶縁体282と接する、導電体285に不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。不純物が透過しにくい導電性材料として、例えば窒化タンタルが挙げられる。
絶縁体212および絶縁体214に不純物が透過しにくい絶縁性材料を用い、導電体205a、導電体405a、および導電体407aに不純物が透過しにくい導電性材料を用いることで、トランジスタ200およびトランジスタ400への不純物の拡散をさらに抑制することができる。よって、トランジスタ200およびトランジスタ400の信頼性をさらに高めることができる。
また、層245a、層245b、および層270として上記の導電性材料を用いてもよい。層245a、層245b、および層270に導電性材料を用いる場合は、酸素が放出されにくい、および/または吸収されにくい導電性材料を用いることが好ましい。
〔酸化物〕
酸化物230、および酸化物430として、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、または非晶質酸化物半導体などを、単体でまたは組み合わせて用いることができる。なお、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230c、および酸化物430に、それぞれ異なる結晶状態を有する酸化物半導体を用いてもよいし、それぞれ異なる半導体材料を用いてもよい。
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、酸化物230、および酸化物430に酸化物半導体を用いると、オフ電流が極めて少ないトランジスタを実現することができる。具体的には、ソースとドレイン間の電圧が3.5V、室温(代表的には25℃)下において、チャネル幅1μm当たりのオフ電流を1×10−20A未満、1×10−22A未満、あるいは1×10−24A未満とすることができる。すなわち、オンオフ比を20桁以上150桁以下とすることができる。また、酸化物230に酸化物半導体を用いたトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。よって、信頼性の良好なトランジスタを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧なトランジスタを提供できる。また、信頼性の良好な半導体装置などを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧な半導体装置を提供することができる。
酸化物230、および酸化物430に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここで、酸化物が、インジウム、元素M及び亜鉛を有する場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
まず、図26(A)、図26(B)、および図26(C)を用いて、本発明に係る酸化物が有するインジウム、元素M及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。なお、図26には、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物が有するインジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
図26(A)、図26(B)、および図26(C)において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):1の原子数比(−1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、及び[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比となるラインを表す。
また、二点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+γ):2:(1−γ)の原子数比(−1≦γ≦1)となるラインを表す。また、図26に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比またはその近傍値の酸化物は、スピネル型の結晶構造をとりやすい。
図26(A)および図26(B)では、本発明の一態様の酸化物が有する、インジウム、元素M、及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
一例として、図27に、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1である、InMZnO4の結晶構造を示す。また、図27は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZnO4の結晶構造である。なお、図27に示すM、Zn、酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)における金属元素は、元素Mまたは亜鉛を表している。この場合、元素Mと亜鉛の割合が等しいものとする。元素Mと亜鉛とは、置換が可能であり、配列は不規則である。
InMZnO4は、層状の結晶構造(層状構造ともいう)をとり、図27に示すように、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)が1に対し、元素M、亜鉛、および酸素を有する(M,Zn)層が2となる。
また、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。そのため、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換し、(In,M,Zn)層と表すこともできる。その場合、In層が1に対し、(In,M,Zn)層が2である層状構造をとる。
[In]:[M]:[Zn]=1:1:2となる原子数比の酸化物は、In層が1に対し、(M,Zn)層が3である層状構造をとる。つまり、[In]および[M]に対し[Zn]が大きくなると、酸化物が結晶化した場合、In層に対する(M,Zn)層の割合が増加する。
ただし、酸化物中において、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が非整数である場合、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が整数である層状構造を複数種有する場合がある。例えば、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1.5である場合、In層が1に対し、(M,Zn)層が2である層状構造と、(M,Zn)層が3である層状構造とが混在する層状構造となる場合がある。
例えば、酸化物をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。特に、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。
また、酸化物中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比の近傍値である原子数比では、スピネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、[In]:[M]:[Zn]=1:0:0を示す原子数比の近傍値である原子数比では、ビックスバイト型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物中に複数の相が共存する場合、異なる結晶構造の間において、粒界(グレインバウンダリーともいう)が形成される場合がある。
また、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。これは、インジウム、元素M及び亜鉛を有する酸化物では、主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を高くすることにより、s軌道が重なる領域がより大きくなるため、インジウムの含有率が高い酸化物はインジウムの含有率が低い酸化物と比較してキャリア移動度が高くなるためである。
一方、酸化物中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低くなる。従って、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0を示す原子数比、およびその近傍値である原子数比(例えば図26(C)に示す領域C)では、絶縁性が高くなる。
従って、本発明の一態様の酸化物は、キャリア移動度が高く、かつ、粒界が少ない層状構造となりやすい、図26(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
また、図26(B)に示す領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を示している。近傍値には、例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。領域Bで示される原子数比を有する酸化物は、特に、結晶性が高く、キャリア移動度も高い優れた酸化物である。
なお、酸化物が、層状構造を形成する条件は、原子数比によって一義的に定まらない。原子数比により、層状構造を形成するための難易の差はある。一方、同じ原子数比であっても、形成条件により、層状構造になる場合も層状構造にならない場合もある。従って、図示する領域は、酸化物が層状構造を有する原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域Cの境界は厳密ではない。
続いて、上記酸化物をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物をトランジスタに用いることで、粒界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
なお、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
ここで、酸化物中における各不純物の影響について説明する。
酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物において欠陥準位が形成される。このため、酸化物におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物をトランジスタのチャネル領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
続いて、該酸化物を2層構造、または3層構造とした場合について述べる。酸化物S1、酸化物S2、および酸化物S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、酸化物S1および酸化物S2の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、酸化物S2および酸化物S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁体のバンド図と、について、図28を用いて説明する。
図28(A)は、絶縁体I1、酸化物S1、酸化物S2、酸化物S3、及び絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図28(B)は、絶縁体I1、酸化物S2、酸化物S3、及び絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図28(C)は、絶縁体I1、酸化物S1、酸化物S2、及び絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。なお、バンド図は、理解を容易にするため絶縁体I1、酸化物S1、酸化物S2、酸化物S3、及び絶縁体I2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
酸化物S1、酸化物S3は、酸化物S2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物S2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物S1、酸化物S3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。すなわち、酸化物S1、酸化物S3の電子親和力よりも、酸化物S2の電子親和力が大きく、酸化物S1、酸化物S3の電子親和力と、酸化物S2の電子親和力との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。
図28(A)、図28(B)、および図28(C)に示すように、酸化物S1、酸化物S2、酸化物S3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド図を有するためには、酸化物S1と酸化物S2との界面、または酸化物S2と酸化物S3との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物S1と酸化物S2、酸化物S2と酸化物S3が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物S2がIn−Ga−Zn酸化物の場合、酸化物S1、酸化物S3として、In−Ga−Zn酸化物、Ga−Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物S2となる。酸化物S1と酸化物S2との界面、および酸化物S2と酸化物S3との界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
トラップ準位に電子が捕獲されることで、捕獲された電子は固定電荷のように振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。酸化物S1、酸化物S3を設けることにより、トラップ準位を酸化物S2より遠ざけることができる。当該構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトすることを防止することができる。
酸化物S1、酸化物S3は、酸化物S2と比較して、導電率が十分に低い材料を用いる。このとき、酸化物S2、酸化物S2と酸化物S1との界面、および酸化物S2と酸化物S3との界面が、主にチャネル領域として機能する。例えば、酸化物S1、酸化物S3には、図26(C)において、絶縁性が高くなる領域Cで示す原子数比の酸化物を用いればよい。なお、図26(C)に示す領域Cは、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、またはその近傍値である原子数比を示している。
特に、酸化物S2に領域Aで示される原子数比の酸化物を用いる場合、酸化物S1および酸化物S3には、[M]/[In]が1以上、好ましくは2以上である酸化物を用いることが好ましい。また、酸化物S3として、十分に高い絶縁性を得ることができる[M]/([Zn]+[In])が1以上である酸化物を用いることが好適である。
また、本明細書等において、チャネルが形成される半導体に酸化物半導体を用いたトランジスタを「OSトランジスタ」ともいう。また、本明細書等において、チャネルが形成される半導体に結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタを「結晶性Siトランジスタ」ともいう。
結晶性Siトランジスタは、OSトランジスタよりも比較的高い移動度を得やすい。一方で、結晶性Siトランジスタは、OSトランジスタのように極めて少ないオフ電流の実現が困難である。よって、半導体に用いる半導体材料は、目的や用途に応じて適宜使い分けることが肝要である。例えば、目的や用途に応じて、OSトランジスタと結晶性Siトランジスタなどを組み合わせて用いてもよい。
酸化物230、および酸化物430として酸化物半導体を用いる場合は、酸化物半導体をスパッタリング法で形成することが好ましい。酸化物半導体は、スパッタリング法で形成すると酸化物半導体の密度を高められるため、好適である。スパッタリング法で酸化物半導体を形成する場合、スパッタリングガスには、希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、または、希ガスおよび酸素の混合ガスを用いればよい。また、スパッタリングガスの高純度化も必要である。例えば、スパッタリングガスとして用いる酸素ガスや希ガスは、露点が−60℃以下、好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いる。高純度化されたスパッタリングガスを用いて成膜することで、酸化物半導体に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
また、スパッタリング法で酸化物半導体を形成する場合、スパッタリング装置が有する成膜室内の水分を可能な限り除去することが好ましい。例えば、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて、成膜室内を高真空(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)に排気することが好ましい。特に、スパッタリング装置の待機時における、成膜室内のH2Oに相当するガス分子(m/z=18に相当するガス分子)の分圧を1×10−4Pa以下、好ましく5×10−5Pa以下とすることが好ましい。
また、酸化物230bは、酸化物230aおよび酸化物230cよりも電子親和力の大きい酸化物を用いる。例えば、酸化物230bとして、酸化物230aおよび酸化物230cよりも電子親和力が0.07eV以上1.3eV以下、好ましくは0.1eV以上0.7eV以下、さらに好ましくは0.15eV以上0.4eV以下大きい酸化物を用いる。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
なお、インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、酸化物230および酸化物430がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
ただし、酸化物230a、および酸化物230cが、酸化ガリウムであっても構わない。例えば、酸化物230cとして、酸化ガリウムを用いると導電体205と酸化物230との間に生じるリーク電流を低減することができる。即ち、トランジスタ200のオフ電流を小さくすることができる。
このとき、ゲート電圧を印加すると、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230cのうち、電子親和力の大きい酸化物230bにチャネルが形成される。
OSトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体中の不純物及び酸素欠損を低減して高純度真性化し、少なくとも酸化物230bを真性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体とすることが好ましい。また、少なくとも酸化物230b中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見なせる半導体とすることが好ましい。
また、層245a、層245b、および層270を酸化物230、または酸化物430と同様の材料および方法で形成してもよい。層245a、層245b、および層270に酸化物半導体を用いる場合は、酸素が放出されにくい、または吸収されにくい酸化物半導体を用いることが好ましい。
〔変形例〕
本実施の形態の変形例として、図5に示すように、絶縁体224に凸部を形成してもよい。
[s−channel構造]
図5(B)に示すように、トランジスタ200は、チャネル幅方向において、酸化物230bが導電体205、および導電体260に囲まれている。前述した通り、絶縁体224は凸部を有する。また、酸化物230aと酸化物230bは当該凸部上に設けられている。当該凸部を設けることで、当該凸部と重ならない領域(酸化物230bと重ならない領域)における導電体260の底面を、酸化物230bの底面よりも基板に近づけることができる。当該凸部の高さは、絶縁体250の厚さ以上であることが好ましい。または、当該凸部の高さは、絶縁体250の厚さと酸化物230cの厚さの合計以上であることが好ましい。よって、酸化物230bの側面を導電体260で覆うことができる。
つまり、トランジスタ200を、導電体205、および導電体260の電界によって酸化物230bを電気的に取り囲むことができる構造とすることができる。このように、導電体の電界によって、チャネルが形成される半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。s−channel構造のトランジスタ200は、酸化物230b全体(バルク)にチャネルを形成することもできる。s−channel構造では、トランジスタのドレイン電流を大きくすることができ、さらに大きいオン電流(トランジスタがオン状態のときにソースとドレインの間に流れる電流)を得ることができる。また、導電体205、および導電体260の電界によって、酸化物230bに形成されるチャネル形成領域の全領域を空乏化することができる。したがって、s−channel構造では、トランジスタのオフ電流をさらに小さくすることができる。なお、チャネル幅を小さくすることで、s−channel構造によるオン電流の増大効果、オフ電流の低減効果などを高めることができる。
また、図5に示すように、ゲート電極として、導電体260a、および導電体260bと、導電体460a、および導電体460bと、を積層して設けてもよい。この時、導電体260aには、酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。酸素を含む導電性材料を酸化物半導体側に設けることで、当該導電性材料を成膜する際に、酸化物半導体に酸素を供給することができる。また、当該導電性材料から離脱した酸素を、酸化物半導体に供給することができる。
また、図5に示すように、絶縁体250、および絶縁体450を、層270、または層470で覆われる構造としてもよい。その場合、当該構造を形成し、絶縁体272、または絶縁体280を形成する前に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、導電体260a、または導電体460aからの過剰酸素が、絶縁体250の側面、または絶縁体450の側面を通過して、トランジスタの領域外に拡散することなく、効率的に酸化物230、または酸化物430へ、供給することができる。また、加熱処理により、酸化物230、または酸化物430の側面から、不純物である水素、および水が、トランジスタの領域外へと拡散することで、酸化物230、または酸化物430内の不純物濃度を低減することができる。
<成膜方法について>
絶縁体を形成するための絶縁性材料、導電体を形成するための導電性材料、または半導体を形成するための半導体材料は、スパッタリング法、スピンコート法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(熱CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法、高密度プラズマCVD(High density plasma CVD)法、LPCVD(low pressure CVD)法、APCVD(atmospheric pressure CVD)法等を含む)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、または、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、または、PLD(Pulsed Laser Deposition)法を用いて形成することができる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。MOCVD法、ALD法、または熱CVD法などの、成膜時にプラズマを用いない成膜方法を用いると、被形成面にダメージが生じにくく、また、欠陥の少ない膜が得られる。
なお、ALD法により成膜する場合は、材料ガスとして塩素を含まないガスを用いることが好ましい。
<半導体装置1000の作製方法例>
半導体装置1000の作製方法例について図6乃至図25を用いて説明する。図6乃至図25中のL1−L2断面は、図2にL1−L2の一点鎖線で示す部位の断面に相当する。また、図6乃至図25中のW1−W2、W3−W4、およびW5−W6断面は、図2にW1−W2、W3−W4、およびW5−W6の一点鎖線で示す部位の断面に相当する。
まず、基板201上に絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216を順に形成する。本実施の形態では、基板201として単結晶シリコン基板(p型の半導体基板、またはn型の半導体基板を含む)を用いる。
本実施の形態では、絶縁体212として、ALD法により酸化アルミニウムを形成する。ALD法を用いて絶縁層を形成することで、緻密な、クラックやピンホールなどの欠陥が低減された、または均一な厚さを備える絶縁層を形成することができる。
本実施の形態では、絶縁体214として、スパッタリング法により酸化アルミニウムを形成する。また、本実施の形態では、絶縁体216としてCVD法により、酸化窒化シリコンを形成する。なお、前述した通り、絶縁体216は過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。また、絶縁体216の形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
次に、試料表面上にレジストマスク290を形成する(図6参照。)。レジストマスク290の形成は、フォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法等を適宜用いて行うことができる。レジストマスク290を印刷法やインクジェット法などで形成すると、フォトマスクを使用しないため製造コストを低減できる。
フォトリソグラフィ法によるレジストマスクの形成は、感光性レジストにフォトマスクを介して光を照射し、現像液を用いて感光した部分(または感光していない部分)のレジストを除去して行なうことができる。感光性レジストに照射する光は、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などがある。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、フォトマスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去は、アッシングなどのドライエッチング法または専用の剥離液などを用いたウェットエッチング法で行うことができる。ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
レジストマスク290をマスクとして用いて、少なくとも絶縁体216の一部を選択的に除去して開口を形成する(図7参照。)。その後、レジストマスクを除去する。なお、開口の形成時に、絶縁体214の一部も除去される場合がある。絶縁体216の除去は、ドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いて行なうことができる。ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
次に、絶縁体212および絶縁体216上に、導電体205a、導電体405a、および導電体407aとなる導電膜、および導電体205b、導電体405b、および導電体407bとなる導電膜を形成する(図8参照。)。本実施の形態では、導電体205a、導電体405a、および導電体407aとなる導電膜としてスパッタリング法により酸化タンタルを形成する。また、導電体205b、導電体405b、および導電体407bとなる導電膜としてスパッタリング法によりタングステンを形成する。
次に、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理(「CMP処理」ともいう。)を行なう(図9参照。なお、図中の矢印はCMP処理を表す。)。CMP処理によって、導電膜の一部が除去される。この時、絶縁体216の表面の一部も除去される場合がある。CMP処理を行うことで試料表面の凹凸が低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
続いて、絶縁体216、導電体205a、導電体405a、導電体407a、導電体205b、導電体405b、および導電体407b上に、導電体205c、導電体405c、および導電体407cとなる導電膜を形成する。本実施の形態では、導電体205c、導電体405c、および導電体407cとなる導電膜としてスパッタリング法により酸化タンタルを形成する。
次に、試料表面上にレジストマスク291を形成する(図10参照。)。レジストマスク291をマスクとして用いて、導電体205c、導電体405c、および導電体407cを形成することで、導電体205、導電体405、および導電体407を形成する(図11参照。)。
絶縁体216、導電体205、導電体405、および導電体407上に、絶縁体224を形成する。本実施の形態では、絶縁体224としてCVD法により、酸化窒化シリコンを形成する。なお、前述した通り、絶縁体224は過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。また、絶縁体224の形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
続いて、絶縁体224上に、レジストマスク292を形成する(図12参照。)。レジストマスク292をマスクとして用いて、絶縁体224に開口を形成する。なお、開口は導電体405c、および導電体407c上に設ける(図13参照。)。
次に、酸化膜230A、酸化膜230B、および導電膜240A、および膜245Aを順に形成する。本実施の形態では、酸化膜230Aをスパッタリング法で形成する。また、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。
また、酸化膜230Aの形成時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224、および216に供給される場合がある。スパッタリングガスに含まれる酸素が多いほど、絶縁体224、および216に供給される酸素も増加する。従って、絶縁体224、絶縁体216に過剰酸素を有する領域を形成することができる。また、絶縁体224、および絶縁体216に供給された酸素の一部は、絶縁体224、および216中に残存する水素と反応して水となり、後の加熱処理によって絶縁体224、および絶縁体216から放出される。このようにして、絶縁体224、および絶縁体216中の水素濃度を低減することができる。
従って、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合は、70%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%がより好ましい。酸化膜230Aに過剰酸素を含む酸化物を用いることで、後の加熱処理によって酸化物230bに酸素を供給することができる。
続いて、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する。この時、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体を用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
酸化膜230Bに酸素欠乏型の酸化物半導体を用いる場合は、酸化膜230Aに過剰酸素を含む酸化膜を用いることが好ましい。また、酸化膜230Bの形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
次に、本実施の形態では、導電膜240Aとして、窒化タンタルをスパッタリング法で形成する。窒化タンタルは、耐酸化性が高いため、後工程において加熱処理を行う場合に好ましい。
また、導電膜240Aが酸化膜230Bと接することで、酸化膜230Bの表面に不純物元素が導入する場合がある。酸化膜230Bに不純物が添加されることで、トランジスタ200のしきい値電圧を変化させることができる。なお、導電膜240Aを形成する前に、イオン注入法、イオンドーピング法、またはプラズマイマージョンイオン注入法、または不純物元素を含むガスを用いたプラズマ処理などを行うことで、不純物元素を導入してもよい。また、導電膜240Aの形成後に不純物元素の導入をイオン注入法などで行なってもよい。
次に、膜245Aを形成する。本実施の形態では、膜245Aとして、ALD法により酸化アルミニウムを形成する。ALD法を用いて形成することで、緻密な、クラックやピンホールなどの欠陥が低減された、または均一な厚さを備える膜を形成することができる。
次に、膜245A上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスク293を形成する(図14参照。)。レジストマスク293をマスクとして用いて、膜245Aの一部を選択的に除去することで、開口を有する膜245Bを形成する(図15参照。)。
なお、開口を形成する際に、膜245Bの開口側の側面は、導電膜240Aの上面に対して、角度を有することが好ましい。なお、角度は、30度以上90度以下、好ましくは45度以上80度以下とする。また、本レジストマスクによる開口の形成は、最小加工寸法を用いて行うことが好ましい。つまり、膜245Bは、幅が最小加工寸法の開口部を有する。
次に、膜245B上に、フォトリソグラフィ法により、レジストマスク294を形成する(図16参照。)。レジストマスク294をマスクとして用いて、膜245B、および導電膜240Aの一部を選択的に除去し、島状の導電膜240Bを形成する(図17参照。なお、レジストマスクは省略する。)。この時、膜245Bから、層245a、および層245bが形成する。なお、膜245Bの開口の幅を最小加工寸法とした場合、層245a、および層245bの間の距離は、最小加工寸法となる。
続いて、導電膜240Bをマスクとして酸化膜230A、および酸化膜230Bの一部を選択的に除去する(図18参照。)。このとき、同時に絶縁体224の一部も除去される場合がある。その後レジストマスクを除去することにより、島状の酸化物230a、島状の酸化物230b、島状の導電膜240B、および層245aと層245bと、の積層構造を形成することができる。
なお、酸化膜230A、酸化膜230B、導電膜240A、および膜245Aの除去は、ドライエッチング法や、ウェットエッチング法などを用いて行なうことができる。ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
次に、酸化物230a、および酸化物230bに含まれる水分または水素などの不純物を低減して、酸化物230a、および酸化物230bを高純度化するために、加熱処理を行うことが好ましい。
また、加熱処理の前に、酸化性ガスを用いたプラズマ処理を行ってもよい。例えば、亜酸化窒素ガスを用いたプラズマ処理を行う。当該プラズマ処理を行うことで、露出した絶縁層中のフッ素濃度を低減することができる。また、試料表面の有機物を除去する効果も得られる。
加熱処理は、例えば、窒素や希ガスなどを含む不活性ガス雰囲気下、酸化性ガス雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で行なう。なお、「酸化性ガス雰囲気」とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、「不活性ガス雰囲気」とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。加熱処理中の圧力に特段の制約はないが、加熱処理は減圧下で行なうことが好ましい。
また、加熱処理を行うことにより、不純物の放出と同時に絶縁体224に含まれる酸素を酸化物230a、および酸化物230b中に拡散させ、該酸化物に含まれる酸素欠損を低減することができる。なお、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。なお、加熱処理は酸化物230a、および酸化物230bの形成後であればいつ行ってもよい。
加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。処理時間は24時間以内とする。24時間を超える加熱処理は生産性の低下を招くため好ましくない。
本実施の形態では、窒素ガス雰囲気中で400℃、1時間の加熱処理を行った後、窒素ガスを酸素ガスに換えて、さらに400℃、1時間の加熱処理を行なう。始めに窒素ガス雰囲気中で加熱処理を行うことにより、酸化物230a、および酸化物230bに含まれる水分または水素などの不純物が放出されて、酸化物230a、および酸化物230b中の不純物濃度が低減される。続いて酸素ガス雰囲気中で加熱処理を行うことにより、酸化物230a、および酸化物230b中に酸素が導入される。
また、加熱処理時、導電膜240Bの上面の一部は、層245a、および層245bに覆われているため、上面からの酸化を防ぐことができる。
続いて、層245a、および層245bをマスクとして、ドライエッチング法を用いることで、導電膜240Bの一部を選択的に除去する。該エッチング工程により、導電膜240Bを、導電体240aと導電体240bに分離する(図20参照)。
ドライエッチングに使用するガスは、例えば、C4F6ガス、C2F6ガス、C4F8ガス、CF4ガス、SF6ガスまたはCHF3ガスなどを単独または2以上のガスを混合して用いることができる。または、上記ガスに酸素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスまたは水素ガスなどを適宜添加することができる。特に、プラズマによって有機物を生成することができるガスを用いることが好ましい。例えば、C4F6ガス、C4F8ガス、またはCHF3ガスのいずれか一に、ヘリウムガス、アルゴンガスまたは水素ガスなどを適宜添加したものを使用することが好ましい。
有機物を生成することができるガスを用いて、層245a、および層245bの側面に有機物295を付着させながら、導電膜240Bをエッチングすることで、テーパ―角を有する導電体240a、およびテーパ―角を有する導電体240bを形成する事ができる(図19参照)。
導電体240a、および導電体240bは、本トランジスタのソース電極およびドレイン電極としての機能を有するので、導電体240aと導電体240bのお互いに向かい合う間隔の長さは、本トランジスタのチャネル長と呼ぶことができる。つまり、膜245Bの開口の幅を最小加工寸法とした場合、層245a、および層245bの間の距離は、最小加工寸法であるため、最小加工寸法より小さなゲート線幅およびチャネル長を形成することができる。
なお、膜245Bの開口の側面が有する角度は、導電膜240Bのエッチング速度と、層245a、および層245bの側面に堆積する有機物295の堆積速度の比に応じて制御することができる。例えば、該エッチング速度と有機物295の堆積速度の比が1:1であれば角度は45度とすればよい。
エッチング速度と有機物295の堆積速度の比は、エッチングに使用するガスに応じて、適宜エッチング条件を設定すればよい。例えば、エッチングガスとして、C4F8ガスとアルゴンガスの混合ガスを使用して、エッチング装置の高周波電力とエッチング圧力を制御することでエッチング速度と有機物295の堆積速度の比を制御することができる。
また、ドライエッチング法により導電体240a、および導電体240bを形成した場合は、露出した酸化物230bにエッチングガスの残留成分などの不純物元素が付着する場合がある。例えば、エッチングガスとして塩素系ガスを用いると、塩素などが付着する場合がある。また、エッチングガスとして炭化水素系ガスを用いると、炭素や水素などが付着する場合がある。このため、酸化物230bの露出した表面に付着した不純物元素を低減することが好ましい。当該不純物元素の低減は、例えば、希フッ酸などを用いた洗浄処理、オゾンなどを用いた洗浄処理、または紫外線などを用いた洗浄処理で行なえばよい。なお、複数の洗浄処理を組み合わせてもよい。
また、酸化性ガスを用いたプラズマ処理を行ってもよい。例えば、亜酸化窒素ガスを用いたプラズマ処理を行う。当該プラズマ処理を行うことで、酸化物230b中のフッ素濃度を低減することができる。また、試料表面の有機物を除去する効果も得られる。
また、露出した酸化物230bに対して、酸素ドープ処理を行ってもよい。また、先述した加熱処理を行ってもよい。
また、例えば、層245a、および層245bをマスクとして加工を行うことで、導電膜240Bと、絶縁体224との選択比が比較的高いエッチングガスを用いることができる。従って、絶縁体224の膜厚が薄い構造においても、下方にある配線層まで、オーバーエッチングされることを防止することができる。また、絶縁体224の膜厚を薄くすることで導電体205からの電圧が効率的にかかる為、消費電力が低いトランジスタを提供することができる。
次に、後に酸化物230c、および酸化物430となる酸化膜230Cを形成する(図21参照。)。本実施の形態では、酸化膜230Cとして酸化膜230Aと同じ条件で形成した過剰酸素を多く含む酸化物を用いる。酸化膜230Cに過剰酸素を含む酸化物を用いることで、後の加熱処理によって酸化物230bに酸素を供給することができる。
また、酸化物230aと同様に、酸化物230cの形成時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224、および絶縁体216に供給され、過剰酸素領域を形成する場合がある。また、絶縁体216、および絶縁体224中に供給された酸素の一部は、絶縁体224、および絶縁体216中に残存する水素と反応して水となり、後の加熱処理によって絶縁体224、および絶縁体216から放出される。よって、絶縁体224、および絶縁体216中の水素濃度を低減することができる。
なお、酸化膜230Cを形成後に、酸素ドープ処理、または加熱処理の一方、あるいは両方を行ってもよい。加熱処理を行うことで、酸化物230aおよび酸化膜230Cに含まれる酸素を酸化物230bに供給することができる。酸化物230bに酸素を供給することで、酸化物230b中の酸素欠損を低減することができる。よって、酸化物230bに酸素欠乏型の酸化物半導体を用いる場合は、酸化膜230Cに過剰酸素を含む半導体を用いることが好ましい。
酸化膜230Cの一部は、酸化物230bのチャネル形成領域と接する。また、酸化物230bのチャネルが形成される領域の上面および側面は、酸化膜230Cによって覆われる。このようにして、酸化物230bを、酸化物230aと酸化膜230Cで取り囲むことができる。酸化物230bを、酸化物230aと酸化膜230Cで取り囲むことで、後の工程において生じる不純物の酸化物230bへの拡散を抑制することができる。
次に、酸化膜230C上に絶縁膜250Aを形成する。本実施の形態では、絶縁膜250AとしてCVD法により酸化窒化シリコンを形成する。なお、絶縁膜250Aは過剰酸素を含む絶縁層であることが好ましい。また、絶縁膜250Aに酸素ドープ処理を行ってもよい。また、絶縁膜250A形成後に、加熱処理を行ってもよい。
次に、導電膜260Aを形成する。本実施の形態では、導電膜260Aとして金属酸化物と窒化タンタルの積層膜を用いる。
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスク296を形成する(図21参照。)。レジストマスク296をマスクとして用いて、導電膜260Aの一部を選択的に除去して、導電体260、および導電体460を形成する(図22参照。)。
次に、膜270Aを形成する。本実施の形態では、膜270Aとして、ALD法により酸化アルミニウムを形成する。
例えば、導電体260、および導電体460に用いる材料によっては、熱処理などの後工程において、導電体260、および導電体460が酸化し、抵抗値が高くなる可能性がある。また、酸化物230bに過剰酸素を供給する場合において、酸素が導電体260および導電体460に吸収されて、酸化物230に供給される酸素が不足することを抑制することができる。
次に、膜270A上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスク297を形成する(図23参照。)。レジストマスク297をマスクとして用いて、膜270A、絶縁膜250A、および酸化膜230Cの、それぞれの一部を選択的に除去して、層270、絶縁体250、酸化物230c、層470、絶縁体450、および酸化物430を形成する(図24参照。)。
なお、層270、絶縁体250、酸化物230c、層470、絶縁体450、および酸化物430を形成した後に、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、酸化物230中の不純物を除去する。
次に、試料表面上に絶縁体272を形成する(図25参照。)。本実施の形態では、絶縁体272として、スパッタリング法により酸化アルミニウムを形成する。この時、スパッタリングガスとして用いる酸素の一部が絶縁体216、絶縁体224に導入され、過剰酸素を含む領域が形成される。
また、絶縁体272を形成した後、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理を行うことで、酸化物230bからの水素が、絶縁体272へとゲッタリングされ、酸化物230内の不純物濃度を低減することができる。
このようにして、構造が異なるトランジスタ200とトランジスタ400を、同一基板上にほぼ同じ工程で設けることができる。上記の作製方法によれば、例えば、トランジスタ200を作製した後にトランジスタ400を作製する必要がないため、半導体装置の生産性を高めることができる。
トランジスタ200は酸化物230aと酸化物230cに接する酸化物230bにチャネルが形成される。トランジスタ400は絶縁体224と絶縁体450に接する酸化物430にチャネルが形成される。このため、トランジスタ400はトランジスタ200よりも界面散乱の影響を受けやすい。また、本実施の形態に示す酸化物430の電子親和力は、酸化物230bの電子親和力よりも小さい。よって、トランジスタ400のVthはトランジスタ200のVthよりも大きくなる。
本発明の一態様によれば、構造が異なるトランジスタをほぼ同じ工程で作製することができる。本発明の一態様によれば、構造が異なるトランジスタを有する半導体装置を生産性よく作製することができる。本発明の一態様によれば、電気特性が異なるトランジスタを有する半導体装置を生産性よく作製することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、先の実施の形態で例示したトランジスタを有する酸化物半導体について、図29乃至図34を用いて以下説明を行う。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図29(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図29(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図29(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図29(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図29(E)に示す。図29(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図29(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図29(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図30(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図30(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図30(B)および図30(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図30(D)および図30(E)は、それぞれ図30(B)および図30(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図30(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図30(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図30(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を点線で示し、格子配列の向きの変化を破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図31(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図31(B)に示す。図31(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図31(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図31(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図32に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図32(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図32(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図32(A)および図32(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図33は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図33より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図33より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図33より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
<酸化物半導体のキャリア密度>
次に、酸化物半導体のキャリア密度について、以下に説明を行う。
酸化物半導体のキャリア密度に影響を与える因子としては、酸化物半導体中の酸素欠損(Vo)、または酸化物半導体中の不純物などが挙げられる。
酸化物半導体中の酸素欠損が多くなると、該酸素欠損に水素が結合(この状態をVoHともいう)した際に、欠陥準位密度が高くなる。または、酸化物半導体中の不純物が多くなると、該不純物に起因し欠陥準位密度が高くなる。したがって、酸化物半導体中の欠陥準位密度を制御することで、酸化物半導体のキャリア密度を制御することができる。
ここで、酸化物半導体をチャネル領域に用いるトランジスタを考える。
トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトの抑制、またはトランジスタのオフ電流の低減を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を低くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性の酸化物半導体のキャリア密度としては、8×1015cm−3未満、好ましくは1×1011cm−3未満、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上とすればよい。
一方で、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度の向上を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を高くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を高くする場合においては、酸化物半導体の不純物濃度をわずかに高める、または酸化物半導体の欠陥準位密度をわずかに高めればよい。あるいは、酸化物半導体のバンドギャップをより小さくするとよい。例えば、トランジスタのId−Vg特性のオン/オフ比が取れる範囲において、不純物濃度がわずかに高い、または欠陥準位密度がわずかに高い酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。また、電子親和力が大きく、それにともなってバンドギャップが小さくなり、その結果、熱励起された電子(キャリア)の密度が増加した酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。なお、より電子親和力が大きな酸化物半導体を用いた場合には、トランジスタのしきい値電圧がより低くなる。
上述のキャリア密度が高められた酸化物半導体は、わずかにn型化している。したがって、キャリア密度が高められた酸化物半導体を、「Slightly−n」と呼称してもよい。
実質的に真性の酸化物半導体のキャリア密度は、1×105cm−3以上1×1018cm−3未満が好ましく、1×107cm−3以上1×1017cm−3以下がより好ましく、1×109cm−3以上5×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1010cm−3以上1×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1011cm−3以上1×1015cm−3以下がさらに好ましい。
また、上述の実質的に真性の酸化物半導体膜を用いることで、トランジスタの信頼性が向上する場合がある。ここで、図34を用いて、酸化物半導体膜をチャネル領域に用いるトランジスタの信頼性が向上する理由について説明する。図34は、酸化物半導体膜をチャネル領域に用いるトランジスタにおけるエネルギーバンドを説明する図である。
図34において、GEはゲート電極を、GIはゲート絶縁膜を、OSは酸化物半導体膜を、SDはソース電極またはドレイン電極を、それぞれ表す。すなわち、図34は、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜に接するソース電極またはドレイン電極のエネルギーバンドの一例である。
また、図34において、ゲート絶縁膜としては、酸化シリコン膜を用い、酸化物半導体膜にIn−Ga−Zn酸化物を用いる構成である。また、酸化シリコン膜中に形成されうる欠陥の遷移レベル(εf)はゲート絶縁膜の伝導帯下端から約3.1eV離れた位置に形成されるものとし、ゲート電圧(Vg)が30Vの場合の酸化物半導体膜と酸化シリコン膜との界面における酸化シリコン膜のフェルミ準位(Ef)はゲート絶縁膜の伝導帯下端から約3.6eV離れた位置に形成されるものとする。なお、酸化シリコン膜のフェルミ準位(Ef)は、ゲート電圧に依存し変動する。例えば、ゲート電圧を大きくすることで、酸化物半導体膜と、酸化シリコン膜との界面における酸化シリコン膜のフェルミ準位(Ef)は低くなる。また、図34中の白丸は電子(キャリア)を表し、図34中のXは酸化シリコン膜中の欠陥準位を表す。
図34に示すように、ゲート電圧が印加された状態で、例えばキャリアが熱励起されると、欠陥準位(図中X)にキャリアがトラップされ、プラス(“+”)からニュートラル(“0”)に欠陥準位の荷電状態が変化する。すなわち、酸化シリコン膜のフェルミ準位(Ef)に上述の熱励起のエネルギーを足した値が欠陥の遷移レベル(εf)よりも高くなる場合、酸化シリコン膜中の欠陥準位の荷電状態は正の状態から中性となり、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向に変動することになる。
また、電子親和力が異なる酸化物半導体膜を用いると、ゲート絶縁膜と酸化物半導体膜との界面のフェルミ準位が形成される深さが異なることがある。電子親和力の大きな酸化物半導体膜を用いると、ゲート絶縁膜と酸化物半導体膜との界面近傍において、ゲート絶縁膜の伝導帯下端が相対的に高くなる。この場合、ゲート絶縁膜中に形成されうる欠陥準位(図34中X)も相対的に高くなるため、ゲート絶縁膜のフェルミ準位と酸化物半導体膜のフェルミ準位とのエネルギー差が大きくなる。該エネルギー差が大きくなることにより、ゲート絶縁膜中にトラップされる電荷が少なくなる、例えば、上述の酸化シリコン膜中に形成されうる欠陥準位の荷電状態の変化が少なくなり、ゲートバイアス熱(Gate Bias Temperature:GBTともいう)ストレスにおける、トランジスタのしきい値電圧の変動を小さくできる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図35乃至図37を用いて説明する。
[構成例]
本発明の一態様である容量素子を使用した、半導体装置(記憶装置)の一例を図35乃至図37に示す。なお、図35(A)は、図36、および図37を回路図で表したものである。
<半導体装置の回路構成>
図35(A)、および図36、および図37に示す半導体装置は、トランジスタ300と、トランジスタ200、および容量素子100を有している。
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを半導体装置(記憶装置)に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体装置(記憶装置)とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
図35(A)において、配線3001はトランジスタ300のソースと電気的に接続され、配線3002はトランジスタ300のドレインと電気的に接続されている。また、配線3003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方と電気的に接続され、配線3004はトランジスタ200のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線3005は容量素子100の電極の他方と電気的に接続されている。
図35(A)に示す半導体装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線3004の電位を、トランジスタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これにより、配線3003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子100の電極の一方と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トランジスタ300のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。)のどちらかが与えられるものとする。その後、配線3004の電位を、トランジスタ200が非導通状態となる電位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードFGの電荷は長期間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、配線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ300を「導通状態」とするために必要な配線3005の電位をいうものとする。したがって、配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHighレベル電荷が与えられていた場合には、配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は「導通状態」となる。一方、ノードFGにLowレベル電荷が与えられていた場合には、配線3005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は「非導通状態」のままである。このため、配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すことができる。
また、図35(A)に示す半導体装置をマトリクス状に配置することで、記憶装置(メモリセルアレイ)を構成することができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情報を読み出さなくてはならない。情報を読み出さないメモリセルにおいては、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ300が「非導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより低い電位を配線3005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。または、情報を読み出さないメモリセルにおいては、ノードFGに与えられた電荷によらずトランジスタ300が「導通状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより高い電位を配線3005に与えることで所望のメモリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
<半導体装置の回路構成2>
図35(B)に示す半導体装置は、トランジスタ300を有さない点で図35(A)に示した半導体装置と異なる。この場合も図35(A)に示した半導体装置と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
図35(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ200が導通状態になると、浮遊状態である配線3003と容量素子100とが導通し、配線3003と容量素子100の間で電荷が再分配される。その結果、配線3003の電位が変化する。配線3003の電位の変化量は、容量素子100の電極の一方の電位(または容量素子100に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子100の電極の一方の電位をV、容量素子100の容量をC、配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の配線3003の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の配線3003の電位は、(CB×VB0+CV)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量素子100の電極の一方の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると、電位V1を保持している場合の配線3003の電位(=(CB×VB0+CV1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の配線3003の電位(=(CB×VB0+CV0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたトランジスタを用い、トランジスタ200として第2の半導体が適用されたトランジスタを駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の小さいトランジスタを適用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起こりにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化といった問題が生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリとは異なり書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作が可能となる。
<半導体装置の構造1>
本発明の一態様の半導体装置は、図36に示すようにトランジスタ300、トランジスタ200、容量素子100を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設けられている。
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体314、基板311の一部からなる半導体領域312、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域318a、および低抵抗領域318bを有する。
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
半導体領域312のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはドレイン領域となる低抵抗領域318a、および低抵抗領域318bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
低抵抗領域318a、および低抵抗領域318bは、半導体領域312に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
なお、導電体の材料により、仕事関数を定めることで、しきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
また、図36に示すトランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域312(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域312の側面および上面を、絶縁体314を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
なお、図36に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、後述する図37に示すようにトランジスタ300の構成を、FIN型として設けてもよい。また、図35(B)に示す回路構成とする場合、トランジスタ300を設けなくともよい。
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜として機能する。絶縁体322の上面は、平坦性を高めるためにCMP法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
絶縁体324には、例えば、基板311、またはトランジスタ300などから、トランジスタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
例えば、水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
水素の脱離量は、例えば、TDSなどを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDSにおいて、50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線として機能を有する。なお、後述するが、プラグまたは配線として機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図36において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線として機能を有する。なお導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
絶縁体354上には、絶縁体358、絶縁体210、絶縁体212、および絶縁体216が、順に積層して設けられている。絶縁体358、絶縁体210、絶縁体212、および絶縁体216のいずれかまたは全部を、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体358、および絶縁体212には、例えば、基板311、またはトランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
また、例えば、絶縁体210、および絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体216として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体358、絶縁体210、絶縁体212、および絶縁体216には、導電体218、及びトランジスタ200を構成する導電体等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
特に、絶縁体358および絶縁体212、と接する領域の導電体218は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。さらに導電体218上に酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体205cを、蓋をするように設ける構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、完全に分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
導電体205c上および絶縁体216上には、絶縁体224を設ける。絶縁体224はトランジスタ200のゲート絶縁体としての機能を有する。また、絶縁体224中には過剰酸素を有する場合があるが、該過剰酸素は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体205cでブロックされるために導電体218への拡散を抑制すことができるので導電体218の酸化を防ぐことができる。
絶縁体216の上方には、トランジスタ200が設けられている。なお、トランジスタ200の構造は、先の実施の形態で説明したトランジスタを用いればよい。また、図36に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタ200の上方には、絶縁体272、および絶縁体280を設ける。絶縁体280には、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物を用いることが好ましい。つまり、絶縁体280には、化学量論的組成よりも酸素が過剰に存在する領域(以下、過剰酸素領域ともいう)が形成されていることが好ましい。特に、トランジスタ200に酸化物半導体を用いる場合、トランジスタ200近傍の層間膜などに、過剰酸素領域を有する絶縁体を設けることで、トランジスタ200の酸素欠損を低減することで、信頼性を向上させることができる。
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDSにて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
例えばこのような材料として、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含む材料を用いることが好ましい。または、金属酸化物を用いることもできる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
また、トランジスタ200を覆う絶縁体280は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。絶縁体280上には、絶縁体282、および絶縁体284が順に積層して設けられている。
絶縁体282、および絶縁体284、のいずれか、または両方に、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。従って、絶縁体282には、絶縁体212と同様の材料を用いることができる。また、絶縁体284には、絶縁体212と同様の絶縁体を用いることができる。
例えば、導電体285を積層構造として設ける場合、耐酸化性が高い導電体を含むことが好ましい。特に、過剰酸素領域を有する絶縁体280と接する領域に、耐酸化性が高い導電体を設けることが好ましい。当該構成により、絶縁体280から過剰な酸素を、導電体285が吸収することを抑制することができる。また、導電体285は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、過剰酸素領域を有する絶縁体280と接する領域に、水素などの不純物に対するバリア性を有する導電体を設けることで、導電体285中の不純物、および導電体285の一部の拡散や、外部からの不純物の拡散経路となることを抑制することができる。
また、導電体112上に、絶縁体130、絶縁体132、および絶縁体134を介して、導電体116を設ける。なお、導電体116は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
なお、図36に示すように、導電体116を、絶縁体130、絶縁体132、および絶縁体134を介して、導電体112の上面および側面を覆うように設ける。つまり、導電体112の側面においても、容量として機能するため、容量素子の投影面積当たりの容量を増加させることができる。従って、半導体装置の小面積化、高集積化、微細化が可能となる。
導電体116上および絶縁体134上には絶縁体150を設ける。絶縁体150は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、容量素子100を覆う絶縁体150は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
なお、当該構成は、導電体112を形成するときに、絶縁体284の上面を、絶縁体130、絶縁体132、および絶縁体134の合計の膜厚よりも大きく除去することが好ましい。例えば、オーバーエッチング処理とすることで、絶縁体284の一部も同時に除去することができる。また、オーバーエッチング処理により、導電体112等を形成することで、エッチング残渣を残すことなくエッチングすることができる。
また、当該エッチング処理の途中で、エッチングガスの種類を切り替えることにより、効率よく絶縁体284の一部を除去することができる。
また、例えば、導電体112を形成した後、導電体112をハードマスクとして、絶縁体284の一部を除去してもよい。
また、導電体112を形成した後、導電体112の表面を、クリーニング処理してもよい。クリーニング処理をすることで、エッチング残渣等を除去することができる。
本構成は、トランジスタ200、および過剰酸素領域を含む絶縁体216を、絶縁体212と、絶縁体272により挟む構成とすることができる。また、絶縁体212、および絶縁体272は、酸素、または、水素、および水などの不純物の拡散を抑制するバリア性を有する。
従って、絶縁体216、およびトランジスタ200から放出された酸素が、容量素子100、またはトランジスタ300が形成されている層へ拡散することを抑制することができる。または、絶縁体272よりも上方の層、および絶縁体212よりも下方の層から、水素、および水等の不純物が、トランジスタ200へ、拡散することを抑制することができる。
つまり、絶縁体216の過剰酸素領域から酸素を、効率的にトランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物に供給でき、酸素欠損を低減することができる。また、トランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物が不純物により、酸素欠損が形成されることを防止することができる。よって、トランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物を、欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。つまり、トランジスタ200の電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
当該構造により、トランジスタ200と絶縁体280とを、厳重に密封することができる。従って、トランジスタ200におけるチャネルが形成される酸化物を欠陥準位密度が低い、安定な特性を有する酸化物半導体とすることができる。つまり、トランジスタ200の電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
<変形例>
また、本実施の形態の変形例の一例を、図37に示す。図37は、図36と、トランジスタ300の構成が異なる。
図37に示すトランジスタ300はチャネルが形成される半導体領域312(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域312の側面および上面を、絶縁体314を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタ300は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、オン電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、オフ電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した半導体装置の回路の一例について説明する。
<回路>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した半導体装置の回路の一例について、図38、および図39を用いて説明する。
<記憶装置1>
図38に示す半導体装置は、トランジスタ3400、配線3006を有する点で先の実施の形態で説明した半導体装置と異なる。この場合も先の実施の形態に示した半導体装置と同様の動作により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。また、トランジスタ3400としては上記のトランジスタ300と同様のトランジスタを用いればよい。
配線3006は、トランジスタ3400のゲートと電気的に接続され、トランジスタ3400のソース、ドレインの一方はトランジスタ300のドレインと電気的に接続され、トランジスタ3400のソース、ドレインの他方は配線3003と電気的に接続される。
<記憶装置2>
半導体装置(記憶装置)の変形例について、図39に示す回路図を用いて説明する。
図39に示す半導体装置は、トランジスタ4100乃至トランジスタ4400と、容量素子4500および容量素子4600と、を有する。ここでトランジスタ4100は、上述のトランジスタ300と同様のトランジスタを用いることができ、トランジスタ4200乃至4400は、上述のトランジスタ200と同様のトランジスタを用いることができる。また、ここで容量素子4500、および容量素子4600は、上述の容量素子100と同様の容量素子を用いることができる。なお、図39に示す半導体装置は、図39では図示を省略したが、マトリクス状に複数設けられる。図39に示す半導体装置は、配線4001、配線4003、配線4005乃至4009に与える信号または電位に従って、データ電圧の書き込み、読み出しを制御することができる。
トランジスタ4100のソースまたはドレインの一方は、配線4003に接続される。トランジスタ4100のソースまたはドレインの他方は、配線4001に接続される。なお図39では、トランジスタ4100の導電型をpチャネル型として示すが、nチャネル型でもよい。
図39に示す半導体装置は、2つのデータ保持部を有する。例えば第1のデータ保持部は、ノードFG1に接続されるトランジスタ4400のソースまたはドレインの一方、容量素子4600の一方の電極、およびトランジスタ4200のソースまたはドレインの一方の間で電荷を保持する。また、第2のデータ保持部は、ノードFG2に接続されるトランジスタ4100のゲート、トランジスタ4200のソースまたはドレインの他方、トランジスタ4300のソースまたはドレインの一方、および容量素子4500の一方の電極の間で電荷を保持する。
トランジスタ4300のソースまたはドレインの他方は、配線4003に接続される。トランジスタ4400のソースまたはドレインの他方は、配線4001に接続される。トランジスタ4400のゲートは、配線4005に接続される。トランジスタ4200のゲートは、配線4006に接続される。トランジスタ4300のゲートは、配線4007に接続される。容量素子4600の他方の電極は、配線4008に接続される。容量素子4500の他方の電極は、配線4009に接続される。
トランジスタ4200乃至4400は、データ電圧の書き込みと電荷の保持を制御するスイッチとしての機能を有する。なおトランジスタ4200乃至4400は、非導通状態においてソースとドレインとの間を流れる電流(オフ電流)が低いトランジスタが用いられることが好適である。オフ電流が少ないトランジスタとしては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)であることが好ましい。OSトランジスタは、オフ電流が低い、シリコンを有するトランジスタと重ねて作製できる等の利点がある。なお図39では、トランジスタ4200乃至4400の導電型をnチャネル型として示すが、pチャネル型でもよい。
トランジスタ4200およびトランジスタ4300と、トランジスタ4400とは、酸化物半導体を用いたトランジスタであっても別層に設けることが好ましい。すなわち、図39に示す半導体装置は、トランジスタ4100と、トランジスタ4200およびトランジスタ4300と、トランジスタ4400と、を積層して設けることが好ましい。つまり、トランジスタを集積化することで、回路面積を縮小することができ、半導体装置の小型化を図ることができる。
次いで、図39に示す半導体装置への情報の書き込み動作について説明する。
最初に、ノードFG1に接続されるデータ保持部へのデータ電圧の書き込み動作(以下、書き込み動作1とよぶ。)について説明する。なお、以下において、ノードFG1に接続されるデータ保持部に書きこむデータ電圧をVD1とし、トランジスタ4100の閾値電圧をVthとする。
書き込み動作1では、配線4003をVD1とし、配線4001を接地電位とした後に、電気的に浮遊状態とする。また配線4005、4006をハイレベルにする。また配線4007乃至4009をローレベルにする。すると、電気的に浮遊状態にあるノードFG2の電位が上昇し、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、配線4001の電位が上昇する。またトランジスタ4400、トランジスタ4200が導通状態となる。そのため、配線4001の電位の上昇につれて、ノードFG1、FG2の電位が上昇する。ノードFG2の電位が上昇し、トランジスタ4100でゲートとソースとの間の電圧(Vgs)がトランジスタ4100の閾値電圧Vthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。そのため、配線4001、ノードFG1、FG2の電位の上昇は止まり、VD1からVthだけ下がった「VD1−Vth」で一定となる。
つまり、配線4003に与えたVD1は、トランジスタ4100に電流が流れることで、配線4001に与えられ、ノードFG1、FG2の電位が上昇する。電位の上昇によって、ノードFG2の電位が「VD1−Vth」となると、トランジスタ4100のVgsがVthとなるため、電流が止まる。
次に、ノードFG2に接続されるデータ保持部へのデータ電圧の書き込み動作(以下、書き込み動作2とよぶ。)について説明する。なお、ノードFG2に接続されるデータ保持部に書きこむデータ電圧をVD2として説明する。
書き込み動作2では、配線4001をVD2とし、配線4003を接地電位とした後に、電気的に浮遊状態とする。また配線4007をハイレベルにする。また配線4005、4006、4008、4009をローレベルにする。トランジスタ4300を導通状態として配線4003をローレベルにする。そのため、ノードFG2の電位もローレベルにまで低下し、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、配線4003の電位が上昇する。またトランジスタ4300が導通状態となる。そのため、配線4003の電位の上昇につれて、ノードFG2の電位が上昇する。ノードFG2の電位が上昇し、トランジスタ4100でVgsがトランジスタ4100のVthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。そのため、配線4003、FG2の電位の上昇は止まり、VD2からVthだけ下がった「VD2−Vth」で一定となる。
つまり、配線4001に与えたVD2は、トランジスタ4100に電流が流れることで、配線4003に与えられ、ノードFG2の電位が上昇する。電位の上昇によって、ノードFG2の電位が「VD2−Vth」となると、トランジスタ4100のVgsがVthとなるため、電流が止まる。このとき、ノードFG1の電位は、トランジスタ4200、4400共に非導通状態であり、書き込み動作1で書きこんだ「VD1−Vth」が保持される。
図39に示す半導体装置では、複数のデータ保持部にデータ電圧を書きこんだのち、配線4009をハイレベルにして、ノードFG1、FG2の電位を上昇させる。そして、各トランジスタを非導通状態として、電荷の移動をなくし、書きこんだデータ電圧を保持する。
以上説明したノードFG1、FG2へのデータ電圧の書き込み動作によって、複数のデータ保持部にデータ電圧を保持させることができる。なお書きこまれる電位として、「VD1−Vth」や「VD2−Vth」を一例として挙げて説明したが、これらは多値のデータに対応するデータ電圧である。そのため、それぞれのデータ保持部で4ビットのデータを保持する場合、16値の「VD1−Vth」や「VD2−Vth」を取り得る。
次いで、図39に示す半導体装置からの情報の読み出し動作について説明する。
最初に、ノードFG2に接続されるデータ保持部からのデータ電圧の読み出し動作(以下、読み出し動作1とよぶ。)について説明する。
読み出し動作1では、プリチャージを行ってから電気的に浮遊状態とした、配線4003を放電させる。配線4005乃至4008をローレベルにする。また、配線4009をローレベルとして、電気的に浮遊状態にあるノードFG2の電位を「VD2−Vth」とする。ノードFG2の電位が下がることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、電気的に浮遊状態の配線4003の電位が低下する。配線4003の電位の低下につれて、トランジスタ4100のVgsが小さくなる。トランジスタ4100のVgsがトランジスタ4100のVthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。すなわち、配線4003の電位が、ノードFG2の電位「VD2−Vth」からVthだけ大きい値である「VD2」となる。この配線4003の電位は、ノードFG2に接続されるデータ保持部のデータ電圧に対応する。読み出されたアナログ値のデータ電圧はA/D変換を行い、ノードFG2に接続されるデータ保持部のデータを取得する。
つまり、プリチャージ後の配線4003を浮遊状態とし、配線4009の電位をハイレベルからローレベルに切り替えることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、浮遊状態にあった配線4003の電位は低下して「VD2」となる。トランジスタ4100では、ノードFG2の「VD2−Vth」との間のVgsがVthとなるため、電流が止まる。そして、配線4003には、書き込み動作2で書きこんだ「VD2」が読み出される。
ノードFG2に接続されるデータ保持部のデータを取得したら、トランジスタ4300を導通状態として、ノードFG2の「VD2−Vth」を放電させる。
次に、ノードFG1に保持される電荷をノードFG2に分配し、ノードFG1に接続されるデータ保持部のデータ電圧を、ノードFG2に接続されるデータ保持部に移す。ここで、配線4001、4003をローレベルとする。配線4006をハイレベルにする。また、配線4005、配線4007乃至4009をローレベルにする。トランジスタ4200が導通状態となることで、ノードFG1の電荷が、ノードFG2との間で分配される。
ここで、電荷の分配後の電位は、書きこんだ電位「VD1−Vth」から低下する。そのため、容量素子4600の容量値は、容量素子4500の容量値よりも大きくしておくことが好ましい。あるいは、ノードFG1に書きこむ電位「VD1−Vth」は、同じデータを表す電位「VD2−Vth」よりも大きくすることが好ましい。このように、容量値の比を変えること、予め書きこむ電位を大きくしておくことで、電荷の分配後の電位の低下を抑制することができる。電荷の分配による電位の変動については、後述する。
次に、ノードFG1に接続されるデータ保持部からのデータ電圧の読み出し動作(以下、読み出し動作2とよぶ。)について説明する。
読み出し動作2では、プリチャージを行ってから電気的に浮遊状態とした、配線4003を放電させる。配線4005乃至4008をローレベルにする。また、配線4009は、プリチャージ時にハイレベルとして、その後ローレベルとする。配線4009をローレベルとすることで、電気的に浮遊状態にあるノードFG2を電位「VD1−Vth」とする。ノードFG2の電位が下がることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、電気的に浮遊状態の配線4003の電位が低下する。配線4003の電位の低下につれて、トランジスタ4100のVgsが小さくなる。トランジスタ4100のVgsがトランジスタ4100のVthになると、トランジスタ4100を流れる電流が小さくなる。すなわち、配線4003の電位が、ノードFG2の電位「VD1−Vth」からVthだけ大きい値である「VD1」となる。この配線4003の電位は、ノードFG1に接続されるデータ保持部のデータ電圧に対応する。読み出されたアナログ値のデータ電圧はA/D変換を行い、ノードFG1に接続されるデータ保持部のデータを取得する。以上が、ノードFG1に接続されるデータ保持部からのデータ電圧の読み出し動作である。
つまり、プリチャージ後の配線4003を浮遊状態とし、配線4009の電位をハイレベルからローレベルに切り替えることで、トランジスタ4100に電流が流れる。電流が流れることで、浮遊状態にあった配線4003の電位は低下して「VD1」となる。トランジスタ4100では、ノードFG2の「VD1−Vth」との間のVgsがVthとなるため、電流が止まる。そして、配線4003には、書き込み動作1で書きこんだ「VD1」が読み出される。
以上説明したノードFG1、FG2からのデータ電圧の読み出し動作によって、複数のデータ保持部からデータ電圧を読み出すことができる。例えば、ノードFG1およびノードFG2にそれぞれ4ビット(16値)のデータを保持することで計8ビット(256値)のデータを保持することができる。また、図39においては、第1の層4021乃至第3の層4023からなる構成としたが、さらに層を形成することによって、半導体装置の面積を増大させず記憶容量の増加を図ることができる。
なお読み出される電位は、書きこんだデータ電圧よりVthだけ大きい電圧として読み出すことができる。そのため、書き込み動作で書きこんだ「VD1−Vth」や「VD2−Vth」のVthを相殺して読み出す構成とすることができる。その結果、メモリセルあたりの記憶容量を向上させるとともに、読み出されるデータを正しいデータに近づけることができるため、データの信頼性に優れたものとすることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明したOSトランジスタを適用可能な回路構成の一例について、図40乃至図43を用いて説明する。
図40(A)にインバータの回路図を示す。インバータ5800は、入力端子INに与える信号の論理を反転した信号を出力端子OUTから出力する。インバータ5800は、複数のOSトランジスタを有する。信号SBGは、OSトランジスタの電気特性を切り替えることができる信号である。
図40(B)に、インバータ5800の一例を示す。インバータ5800は、OSトランジスタ5810、およびOSトランジスタ5820を有する。インバータ5800は、nチャネル型トランジスタで作製することができるため、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)でインバータ(CMOSインバータ)を作製する場合と比較して、低コストで作製することが可能である。
ここで、本発明のトランジスタ200を、OSトランジスタ5810に用いることができる。また、トランジスタ400を、OSトランジスタ5820に用いることができる。特性が異なる2種類のトランジスタ(本発明においては、トランジスタ200、およびトランジスタ400)を同時に作り分けることができるため、生産性が高い半導体装置を提供することができる。
なおOSトランジスタを有するインバータ5800は、Siトランジスタで構成されるCMOS上に配置することもできる。インバータ5800は、CMOSの回路に重ねて配置できるため、インバータ5800を追加する分の回路面積の増加を抑えることができる。
OSトランジスタ5810、OSトランジスタ5820は、フロントゲートとして機能する第1ゲートと、バックゲートとして機能する第2ゲートと、ソースまたはドレインの一方として機能する第1端子と、ソースまたはドレインの他方として機能する第2端子を有する。
OSトランジスタ5810の第1ゲートは、第2端子に接続される。OSトランジスタ5810の第2ゲートは、信号SBGを供給する配線に接続される。OSトランジスタ5810の第1端子は、電圧VDDを与える配線に接続される。OSトランジスタ5810の第2端子は、出力端子OUTに接続される。
OSトランジスタ5820の第1ゲートは、入力端子INに接続される。OSトランジスタ5820の第2ゲートは、入力端子INに接続される。OSトランジスタ5820の第1端子は、出力端子OUTに接続される。OSトランジスタ5820の第2端子は、電圧VSSを与える配線に接続される。
図40(C)は、インバータ5800の動作を説明するためのタイミングチャートである。図40(C)のタイミングチャートでは、入力端子INの信号波形、出力端子OUTの信号波形、信号SBGの信号波形、およびOSトランジスタ5810(FET5810)の閾値電圧の変化について示している。
信号SBGはOSトランジスタ5810の第2ゲートに与えることで、OSトランジスタ5810の閾値電圧を制御することができる。
信号SBGは、閾値電圧をマイナスシフトさせるための電圧VBG_A、閾値電圧をプラスシフトさせるための電圧VBG_Bを有する。第2ゲートに電圧VBG_Aを与えることで、OSトランジスタ5810は閾値電圧VTH_Aにマイナスシフトさせることができる。また、第2ゲートに電圧VBG_Bを与えることで、OSトランジスタ5810は閾値電圧VTH_Bにプラスシフトさせることができる。
前述の説明を可視化するために、図41(A)には、トランジスタの電気特性の一つである、Vg−Idカーブを示す。
上述したOSトランジスタ5810の電気特性は、第2ゲートの電圧を電圧VBG_Aのように大きくすることで、図41(A)中の破線5840で表される曲線にシフトさせることができる。また、上述したOSトランジスタ5810の電気特性は、第2ゲートの電圧を電圧VBG_Bのように小さくすることで、図41(A)中の実線5841で表される曲線にシフトさせることができる。図41(A)に示すように、OSトランジスタ5810は、信号SBGを電圧VBG_Aあるいは電圧VBG_Bというように切り替えることで、閾値電圧をプラスシフトあるいはマイナスシフトさせることができる。
閾値電圧を閾値電圧VTH_Bにプラスシフトさせることで、OSトランジスタ5810は電流が流れにくい状態とすることができる。図41(B)には、この状態を可視化して示す。図41(B)に図示するように、OSトランジスタ5810に流れる電流IBを極めて小さくすることができる。そのため、入力端子INに与える信号がハイレベルでOSトランジスタ5820はオン状態(ON)のとき、出力端子OUTの電圧を急峻に下降させることができる。
図41(B)に図示したように、OSトランジスタ5810に流れる電流が流れにくい状態とすることができるため、図40(C)に示すタイミングチャートにおける出力端子の信号波形5831を急峻に変化させることができる。電圧VDDを与える配線と、電圧VSSを与える配線との間に流れる貫通電流を少なくすることができるため、低消費電力での動作を行うことができる。
また、閾値電圧を閾値電圧VTH_Aにマイナスシフトさせることで、OSトランジスタ5810は電流が流れやすい状態とすることができる。図41(C)には、この状態を可視化して示す。図41(C)に図示するように、このとき流れる電流IAを少なくとも電流IBよりも大きくすることができる。そのため、入力端子INに与える信号がローレベルでOSトランジスタ5820はオフ状態(OFF)のとき、出力端子OUTの電圧を急峻に上昇させることができる。
図41(C)に図示したように、OSトランジスタ5810に流れる電流が流れやすい状態とすることができるため、図40(C)に示すタイミングチャートにおける出力端子の信号波形5832を急峻に変化させることができる。
なお、信号SBGによるOSトランジスタ5810の閾値電圧の制御は、OSトランジスタ5820の状態が切り替わる以前、すなわち時刻T1やT2よりも前に行うことが好ましい。例えば、図40(C)に図示するように、入力端子INに与える信号がハイレベルに切り替わる時刻T1よりも前に、閾値電圧VTH_Aから閾値電圧VTH_BにOSトランジスタ5810の閾値電圧を切り替えることが好ましい。また、図40(C)に図示するように、入力端子INに与える信号がローレベルに切り替わる時刻T2よりも前に、閾値電圧VTH_Bから閾値電圧VTH_AにOSトランジスタ5810の閾値電圧を切り替えることが好ましい。
なお図40(C)のタイミングチャートでは、入力端子INに与える信号に応じて信号SBGを切り替える構成を示したが、別の構成としてもよい。たとえば閾値電圧を制御するための電圧は、フローティング状態としたOSトランジスタ5810の第2ゲートに保持させる構成としてもよい。当該構成を実現可能な回路構成の一例について、図42(A)に示す。
図42(A)では、図40(B)で示した回路構成に加えて、OSトランジスタ5850を有する。OSトランジスタ5850の第1端子は、OSトランジスタ5810の第2ゲートに接続される。またOSトランジスタ5850の第2端子は、電圧VBG_B(あるいは電圧VBG_A)を与える配線に接続される。OSトランジスタ5850の第1ゲートは、信号SFを与える配線に接続される。OSトランジスタ5850の第2ゲートは、電圧VBG_B(あるいは電圧VBG_A)を与える配線に接続される。
図42(A)の動作について、図42(B)のタイミングチャートを用いて説明する。
OSトランジスタ5810の閾値電圧を制御するための電圧は、入力端子INに与える信号がハイレベルに切り替わる時刻T3よりも前に、OSトランジスタ5810の第2ゲートに与える構成とする。信号SFをハイレベルとしてOSトランジスタ5850をオン状態とし、ノードNBGに閾値電圧を制御するための電圧VBG_Bを与える。
ノードNBGが電圧VBG_Bとなった後は、OSトランジスタ5850をオフ状態とする。OSトランジスタ5850は、オフ電流が極めて小さいため、オフ状態にし続けることで、ノードNBGを非常にフローティング状態に近い状態にして、一旦ノードNBGに保持させた電圧VBG_Bを保持することができる。そのため、OSトランジスタ5850の第2ゲートに電圧VBG_Bを与える動作の回数が減るため、電圧VBG_Bの書き換えに要する分の消費電力を小さくすることができる。
なお図40(B)および図42(A)の回路構成では、OSトランジスタ5810の第2ゲートに与える電圧を外部からの制御によって与える構成について示したが、別の構成としてもよい。たとえば閾値電圧を制御するための電圧を、入力端子INに与える信号を基に生成し、OSトランジスタ5810の第2ゲートに与える構成としてもよい。当該構成を実現可能な回路構成の一例について、図43(A)に示す。
図43(A)では、図40(B)で示した回路構成において、入力端子INとOSトランジスタ5810の第2ゲートとの間にCMOSインバータ5860を有する。CMOSインバータ5860の入力端子は、入力端子INに接続される。CMOSインバータ5860の出力端子は、OSトランジスタ5810の第2ゲートに接続される。
図43(A)の動作について、図43(B)のタイミングチャートを用いて説明する。図43(B)のタイミングチャートでは、入力端子INの信号波形、出力端子OUTの信号波形、CMOSインバータ5860の出力波形IN_B、およびOSトランジスタ5810(FET5810)の閾値電圧の変化について示している。
入力端子INに与える信号の論理を反転した信号である出力波形IN_Bは、OSトランジスタ5810の閾値電圧を制御する信号とすることができる。したがって、図40(A)乃至(C)で説明したように、OSトランジスタ5810の閾値電圧を制御できる。例えば、図43(B)における時刻T4となるとき、入力端子INに与える信号がハイレベルでOSトランジスタ5820はオン状態となる。このとき、出力波形IN_Bはローレベルとなる。そのため、OSトランジスタ5810は電流が流れにくい状態とすることができ、出力端子OUTの電圧を急峻に下降させることができる。
また図43(B)における時刻T5となるとき、入力端子INに与える信号がローレベルでOSトランジスタ5820はオフ状態となる。このとき、出力波形IN_Bはハイレベルとなる。そのため、OSトランジスタ5810は電流が流れやすい状態とすることができ、出力端子OUTの電圧を急峻に上昇させることができる。
以上説明したように本実施の形態の構成では、OSトランジスタを有するインバータにおける、バックゲートの電圧を入力端子INの信号の論理にしたがって切り替える。当該構成とすることで、OSトランジスタの閾値電圧を制御することができる。入力端子INに与える信号によってOSトランジスタの閾値電圧を制御することで、出力端子OUTの電圧を急峻に変化させることができる。また、電源電圧を与える配線間の貫通電流を小さくすることができる。そのため、低消費電力化を図ることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明したOSトランジスタを有する複数の回路を有する半導体装置の一例について、図44乃至図50を用いて説明する。
図44(A)は、半導体装置5900のブロック図である。半導体装置5900は、電源回路5901、回路5902、電圧生成回路5903、回路5904、電圧生成回路5905および回路5906を有する。
電源回路5901は、基準となる電圧VORGを生成する回路である。電圧VORGは、単一の電圧ではなく、複数の電圧でもよい。電圧VORGは、半導体装置5900の外部から与えられる電圧V0を基に生成することができる。半導体装置5900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に電圧VORGを生成できる。そのため半導体装置5900は、外部から電源電圧を複数与えることなく動作することができる。
回路5902、回路5904および回路5906は、異なる電源電圧で動作する回路である。例えば回路5902の電源電圧は、電圧VORGと電圧VSS(VORG>VSS)とを基に印加される電圧である。また、例えば回路5904の電源電圧は、電圧VPOGと電圧VSS(VPOG>VORG)とによって印加される電圧である。また、例えば回路5906の電源電圧は、電圧VORGと電圧VSSと電圧VNEG(VORG>VSS>VNEG)とを基に印加される電圧である。なお電圧VSSは、グラウンド電位(GND)と等電位とすれば、電源回路5901で生成する電圧の種類を削減できる。
電圧生成回路5903は、電圧VPOGを生成する回路である。電圧生成回路5903は、電源回路5901から与えられる電圧VORGを基に電圧VPOGを生成できる。そのため、回路5904を有する半導体装置5900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に動作することができる。
電圧生成回路5905は、電圧VNEGを生成する回路である。電圧生成回路5905は、電源回路5901から与えられる電圧VORGを基に電圧VNEGを生成できる。そのため、回路5906を有する半導体装置5900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に動作することができる。
図44(B)は電圧VPOGで動作する回路5904の一例、図44(C)は回路5904を動作させるための信号の波形の一例である。
図44(B)では、トランジスタ5911を示している。トランジスタ5911のゲートに与える信号は、例えば、電圧VPOGと電圧VSSを基に生成される。当該信号は、トランジスタ5911を導通状態とする動作時に電圧VPOG、非導通状態とする動作時に電圧VSSを基に生成される。電圧VPOGは、図44(C)に図示するように、電圧VORGより大きい。そのため、トランジスタ5911は、ソース(S)とドレイン(D)との間をより確実に導通状態にできる。その結果、回路5904は、誤動作が低減された回路とすることができる。
図44(D)は電圧VNEGで動作する回路5906の一例、図44(E)は回路5906を動作させるための信号の波形の一例である。
図44(D)では、バックゲートを有するトランジスタ5912を示している。トランジスタ5912のゲートに与える信号は、例えば、電圧VORGと電圧VSSを基にして生成される。当該信号は、トランジスタ5911を導通状態とする動作時に電圧VORG、非導通状態とする動作時に電圧VSSを基に生成される。また、トランジスタ5912のバックゲートに与える信号は、電圧VNEGを基に生成される。電圧VNEGは、図44(E)に図示するように、電圧VSS(GND)より小さい。そのため、トランジスタ5912の閾値電圧は、プラスシフトするように制御することができる。そのため、トランジスタ5912をより確実に非導通状態とすることができ、ソース(S)とドレイン(D)との間を流れる電流を小さくできる。その結果、回路5906は、誤動作が低減され、且つ低消費電力化が図られた回路とすることができる。
なお電圧VNEGは、トランジスタ5912のバックゲートに直接与える構成としてもよい。あるいは、電圧VORGと電圧VNEGを基に、トランジスタ5912のゲートに与える信号を生成し、当該信号をトランジスタ5912のバックゲートに与える構成としてもよい。
また図45(A)、(B)には、図44(D)、(E)の変形例を示す。
図45(A)に示す回路図では、電圧生成回路5905と、回路5906と、の間に制御回路5921によって導通状態が制御できるトランジスタ5922を示す。トランジスタ5922は、nチャネル型のOSトランジスタとする。制御回路5921が出力する制御信号SBGは、トランジスタ5922の導通状態を制御する信号である。また回路5906が有するトランジスタ5912A、トランジスタ5912Bは、トランジスタ5922と同じOSトランジスタである。
図45(B)のタイミングチャートには、制御信号SBGの電位の変化を示し、トランジスタ5912A、トランジスタ5912Bのバックゲートの電位の状態をノードNBGの電位の変化で示す。制御信号SBGがハイレベルのときにトランジスタ5922が導通状態となり、ノードNBGが電圧VNEGとなる。その後、制御信号SBGがローレベルのときにノードNBGが電気的にフローティングとなる。トランジスタ5922は、OSトランジスタであるため、オフ電流が小さい。そのため、ノードNBGが電気的にフローティングであっても、一旦与えた電圧VNEGを保持することができる。
また図46(A)には、上述した電圧生成回路5903に適用可能な回路構成の一例を示す。図46(A)に示す電圧生成回路5903は、ダイオードD1乃至D5、キャパシタC1乃至C5、およびインバータINVを有する5段のチャージポンプである。クロック信号CLKは、キャパシタC1乃至C5に直接、あるいはインバータINVを介して与えられる。インバータINVの電源電圧を、電圧VORGと電圧VSSを基に印加される電圧とすると、クロック信号CLKを与えることによって、電圧VORGの5倍の正電圧に昇圧された電圧VPOGを得ることができる。なお、ダイオードD1乃至D5の順方向電圧は0Vとしている。また、チャージポンプの段数を変更することで、所望の電圧VPOGを得ることができる。
また図46(B)には、上述した電圧生成回路5905に適用可能な回路構成の一例を示す。図46(B)に示す電圧生成回路5905は、ダイオードD1乃至D5、キャパシタC1乃至C5、およびインバータINVを有する4段のチャージポンプである。クロック信号CLKは、キャパシタC1乃至C5に直接、あるいはインバータINVを介して与えられる。インバータINVの電源電圧を、電圧VORGと電圧VSSとを基に印加される電圧とすると、クロック信号CLKを与えることによって、グラウンド、すなわち電圧VSSから電圧VORGの4倍の負電圧に降圧された電圧VNEGを得ることができる。なお、ダイオードD1乃至D5の順方向電圧は0Vとしている。また、チャージポンプの段数を変更することで、所望の電圧VNEGを得ることができる。
なお上述した電圧生成回路5903の回路構成は、図46(A)で示す回路図の構成に限らない。電圧生成回路5903の変形例を図47(A)乃至(C)、図48(A)、(B)に示す。
図47(A)に示す電圧生成回路5903Aは、トランジスタM1乃至M10、キャパシタC11乃至C14、およびインバータINV1を有する。クロック信号CLKは、トランジスタM1乃至M10のゲートに直接、あるいはインバータINV1を介して与えられる。クロック信号CLKを与えることによって、電圧VORGの4倍の正電圧に昇圧された電圧VPOGを得ることができる。なお、段数を変更することで、所望の電圧VPOGを得ることができる。図47(A)に示す電圧生成回路5903Aは、トランジスタM1乃至M10をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC11乃至C14に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
また図47(B)に示す電圧生成回路5903Bは、トランジスタM11乃至M14、キャパシタC15、C16、およびインバータINV2を有する。クロック信号CLKは、トランジスタM11乃至M14のゲートに直接、あるいはインバータINV2を介して与えられる。クロック信号CLKを与えることによって、電圧VORGの2倍の正電圧に昇圧された電圧VPOGを得ることができる。図47(B)に示す電圧生成回路5903Bは、トランジスタM11乃至M14をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC15、C16に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
また図47(C)に示す電圧生成回路5903Cは、インダクタI11、トランジスタM15、ダイオードD6、およびキャパシタC17を有する。トランジスタM15は、制御信号ENによって、導通状態が制御される。制御信号ENによって、電圧VORGが昇圧された電圧VPOGを得ることができる。図47(C)に示す電圧生成回路5903Cは、インダクタI11を用いて電圧の昇圧を行うため、変換効率の高い電圧の昇圧を行うことができる。
また図48(A)に示す電圧生成回路5903Dは、図46(A)に示す電圧生成回路5903のダイオードD1乃至D5をダイオード接続したトランジスタM16乃至M20に置き換えた構成に相当する。図48(A)に示す電圧生成回路5903Dは、トランジスタM16乃至M20をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC1乃至C5に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
また図48(B)に示す電圧生成回路5903Eは、図48(A)に示す電圧生成回路5903DのトランジスタM16乃至M20を、バックゲートを有するトランジスタM21乃至M25に置き換えた構成に相当する。図48(B)に示す電圧生成回路5903Eは、バックゲートにゲートと同じ電圧を与えることができるため、トランジスタを流れる電流量を増やすことができる。そのため、効率的に電圧VORGから電圧VPOGへの昇圧を図ることができる。
なお電圧生成回路5903の変形例は、図46(B)に示した電圧生成回路5905にも適用可能である。この場合の回路図の構成を図49(A)乃至(C)、図50(A)、(B)に示す。図49(A)に示す電圧生成回路5905Aは、クロック信号CLKを与えることによって、電圧VSSから電圧VORGの3倍の負電圧に降圧された電圧VNEGを得ることができる。また図49(B)に示す電圧生成回路5905Bは、クロック信号CLKを与えることによって、電圧VSSから電圧VORGの2倍の負電圧に降圧された電圧VNEGを得ることができる。
図49(A)乃至(C)、図50(A)、(B)に示す電圧生成回路5905A乃至5905Eでは、図47(A)乃至(C)、図48(A)、(B)に示す電圧生成回路5903A乃至5903Eにおいて、各配線に与える電圧を変更すること、あるいは素子の配置を変更した構成に相当する。図49(A)乃至(C)、図50(A)、(B)に示す電圧生成回路5905A乃至5905Eは、電圧生成回路5903A乃至5903Eと同様に、効率的に電圧VSSから電圧VNEGへの降圧を図ることができる。
以上説明したように本実施の形態の構成では、半導体装置が有する回路に必要な電圧を内部で生成することができる。そのため半導体装置は、外部から与える電源電圧の種類を削減できる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含むCPUの一例について説明する。
<CPUの構成>
図51に示す半導体装置5400は、CPUコア5401、パワーマネージメントユニット5421および周辺回路5422を有する。パワーマネージメントユニット5421は、パワーコントローラ5402、およびパワースイッチ5403を有する。周辺回路5422は、キャッシュメモリを有するキャッシュ5404、バスインターフェース(BUS I/F)5405、及びデバッグインターフェース(Debug I/F)5406を有する。CPUコア5401は、データバス5423、制御装置5407、PC(プログラムカウンタ)5408、パイプラインレジスタ5409、パイプラインレジスタ5410、ALU(Arithmetic logic unit)5411、及びレジスタファイル5412を有する。CPUコア5401と、キャッシュ5404等の周辺回路5422とのデータのやり取りは、データバス5423を介して行われる。
半導体装置(セル)は、パワーコントローラ5402、制御装置5407をはじめ、多くの論理回路に適用することができる。特に、スタンダードセルを用いて構成することができる全ての論理回路に適用することができる。その結果、小型の半導体装置5400を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、電源電圧の変動を低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。
半導体装置(セル)に、pチャネル型Siトランジスタと、先の実施の形態に記載の酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタとを用い、該半導体装置(セル)を半導体装置5400に適用することで、小型の半導体装置5400を提供できる。また、消費電力低減することが可能な半導体装置5400を提供できる。また、動作速度を向上することが可能な半導体装置5400を提供できる。特に、Siトランジスタはpチャネル型のみとすることで、製造コストを低く抑えることができる。
制御装置5407は、PC5408、パイプラインレジスタ5409、パイプラインレジスタ5410、ALU5411、レジスタファイル5412、キャッシュ5404、バスインターフェース5405、デバッグインターフェース5406、及びパワーコントローラ5402の動作を統括的に制御することで、入力されたアプリケーションなどのプログラムに含まれる命令をデコードし、実行する機能を有する。
ALU5411は、四則演算、論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。
キャッシュ5404は、使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておく機能を有する。PC5408は、次に実行する命令のアドレスを記憶する機能を有するレジスタである。なお、図51では図示していないが、キャッシュ5404には、キャッシュメモリの動作を制御するキャッシュコントローラが設けられている。
パイプラインレジスタ5409は、命令データを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
レジスタファイル5412は、汎用レジスタを含む複数のレジスタを有しており、メインメモリから読み出されたデータ、またはALU5411の演算処理の結果得られたデータ、などを記憶することができる。
パイプラインレジスタ5410は、ALU5411の演算処理に利用するデータ、またはALU5411の演算処理の結果得られたデータなどを一時的に記憶する機能を有するレジスタである。
バスインターフェース5405は、半導体装置5400と半導体装置5400の外部にある各種装置との間におけるデータの経路としての機能を有する。デバッグインターフェース5406は、デバッグの制御を行うための命令を半導体装置5400に入力するための信号の経路としての機能を有する。
パワースイッチ5403は、半導体装置5400が有する、パワーコントローラ5402以外の各種回路への、電源電圧の供給を制御する機能を有する。上記各種回路は、幾つかのパワードメインにそれぞれ属しており、同一のパワードメインに属する各種回路は、パワースイッチ5403によって電源電圧の供給の有無が制御される。また、パワーコントローラ5402はパワースイッチ5403の動作を制御する機能を有する。
上記構成を有する半導体装置5400は、パワーゲーティングを行うことが可能である。パワーゲーティングの動作の流れについて、一例を挙げて説明する。
まず、CPUコア5401が、電源電圧の供給を停止するタイミングを、パワーコントローラ5402のレジスタに設定する。次いで、CPUコア5401からパワーコントローラ5402へ、パワーゲーティングを開始する旨の命令を送る。次いで、半導体装置5400内に含まれる各種レジスタとキャッシュ5404が、データの退避を開始する。次いで、半導体装置5400が有するパワーコントローラ5402以外の各種回路への電源電圧の供給が、パワースイッチ5403により停止される。次いで、割込み信号がパワーコントローラ5402に入力されることで、半導体装置5400が有する各種回路への電源電圧の供給が開始される。なお、パワーコントローラ5402にカウンタを設けておき、電源電圧の供給が開始されるタイミングを、割込み信号の入力に依らずに、当該カウンタを用いて決めるようにしてもよい。次いで、各種レジスタとキャッシュ5404が、データの復帰を開始する。次いで、制御装置5407における命令の実行が再開される。
このようなパワーゲーティングは、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において行うことができる。また、短い時間でも電源の供給を停止することができる。このため、空間的に、あるいは時間的に細かい粒度で消費電力の削減を行うことができる。
パワーゲーティングを行う場合、CPUコア5401や周辺回路5422が保持する情報を短期間に退避できることが好ましい。そうすることで、短期間に電源のオンオフが可能となり、省電力の効果が大きくなる。
CPUコア5401や周辺回路5422が保持する情報を短期間に退避するためには、フリップフロップ回路がその回路内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なフリップフロップ回路と呼ぶ)。また、SRAMセルがセル内でデータ退避できることが好ましい(バックアップ可能なSRAMセルと呼ぶ)。バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むトランジスタを有することが好ましい。その結果、トランジスタが低いオフ電流を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは長期間電源供給なしに情報を保持することができる。また、トランジスタが高速なスイッチング速度を有することで、バックアップ可能なフリップフロップ回路やSRAMセルは短期間のデータ退避および復帰が可能となる場合がある。
バックアップ可能なフリップフロップ回路の例について、図52を用いて説明する。
図52に示す半導体装置5500は、バックアップ可能なフリップフロップ回路の一例である。半導体装置5500は、第1の記憶回路5501と、第2の記憶回路5502と、第3の記憶回路5503と、読み出し回路5504と、を有する。半導体装置5500には、電位V1と電位V2の電位差が、電源電圧として供給される。電位V1と電位V2は一方がハイレベルであり、他方がローレベルである。以下、電位V1がローレベル、電位V2がハイレベルの場合を例に挙げて、半導体装置5500の構成例について説明するものとする。
第1の記憶回路5501は、半導体装置5500に電源電圧が供給されている期間において、データを含む信号Dが入力されると、当該データを保持する機能を有する。そして、半導体装置5500に電源電圧が供給されている期間において、第1の記憶回路5501からは、保持されているデータを含む信号Qが出力される。一方、第1の記憶回路5501は、半導体装置5500に電源電圧が供給されていない期間においては、データを保持することができない。すなわち、第1の記憶回路5501は、揮発性の記憶回路と呼ぶことができる。
第2の記憶回路5502は、第1の記憶回路5501に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。第3の記憶回路5503は、第2の記憶回路5502に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。読み出し回路5504は、第2の記憶回路5502または第3の記憶回路5503に保持されたデータを読み出して第1の記憶回路5501に記憶する(あるいは復帰する)機能を有する。
特に、第3の記憶回路5503は、半導体装置5500に電源電圧が供給されてない期間においても、第2の記憶回路5502に保持されているデータを読み込んで記憶する(あるいは退避する)機能を有する。
図52に示すように、第2の記憶回路5502はトランジスタ5512と容量素子5519とを有する。第3の記憶回路5503はトランジスタ5513と、トランジスタ5515と、容量素子5520とを有する。読み出し回路5504はトランジスタ5510と、トランジスタ5518と、トランジスタ5509と、トランジスタ5517と、を有する。
トランジスタ5512は、第1の記憶回路5501に保持されているデータに応じた電荷を、容量素子5519に充放電する機能を有する。トランジスタ5512は、第1の記憶回路5501に保持されているデータに応じた電荷を容量素子5519に対して高速に充放電できることが望ましい。具体的には、トランジスタ5512が、結晶性を有するシリコン(好ましくは多結晶シリコン、更に好ましくは単結晶シリコン)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
トランジスタ5513は、容量素子5519に保持されている電荷に従って導通状態または非導通状態が選択される。トランジスタ5515は、トランジスタ5513が導通状態であるときに、配線5544の電位に応じた電荷を容量素子5520に充放電する機能を有する。トランジスタ5515は、オフ電流が著しく小さいことが望ましい。具体的には、トランジスタ5515が、酸化物半導体(好ましくはIn、Ga、及びZnを含む酸化物)をチャネル形成領域に含むことが望ましい。
各素子の接続関係を具体的に説明すると、トランジスタ5512のソース及びドレインの一方は、第1の記憶回路5501に接続されている。トランジスタ5512のソース及びドレインの他方は、容量素子5519の一方の電極、トランジスタ5513のゲート、及びトランジスタ5518のゲートに接続されている。容量素子5519の他方の電極は、配線5542に接続されている。トランジスタ5513のソース及びドレインの一方は、配線5544に接続されている。トランジスタ5513のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5515のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ5515のソース及びドレインの他方は、容量素子5520の一方の電極、及びトランジスタ5510のゲートに接続されている。容量素子5520の他方の電極は、配線5543に接続されている。トランジスタ5510のソース及びドレインの一方は、配線5541に接続されている。トランジスタ5510のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5518のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ5518のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5509のソース及びドレインの一方に接続されている。トランジスタ5509のソース及びドレインの他方は、トランジスタ5517のソース及びドレインの一方、及び第1の記憶回路5501に接続されている。トランジスタ5517のソース及びドレインの他方は、配線5540に接続されている。また、図52においては、トランジスタ5509のゲートは、トランジスタ5517のゲートと接続されているが、トランジスタ5509のゲートは、必ずしもトランジスタ5517のゲートと接続されていなくてもよい。
トランジスタ5515に先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することができる。トランジスタ5515のオフ電流が小さいために、半導体装置5500は、長期間電源供給なしに情報を保持することができる。トランジスタ5515のスイッチング特性が良好であるために、半導体装置5500は、高速のバックアップとリカバリを行うことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した撮像装置の一例について説明する。
<撮像装置>
以下では、本発明の一態様に係る撮像装置について説明する。
図53(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置2200の例を示す平面図である。撮像装置2200は、画素部2210と、画素部2210を駆動するための周辺回路2260と、周辺回路2270、周辺回路2280と、周辺回路2290と、を有する。画素部2210は、p行q列(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素2211を有する。周辺回路2260、周辺回路2270、周辺回路2280および周辺回路2290は、それぞれ複数の画素2211に接続し、複数の画素2211を駆動するための信号を供給する機能を有する。なお、本明細書等において、周辺回路2260、周辺回路2270、周辺回路2280および周辺回路2290などの全てを指して「周辺回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合がある。例えば、周辺回路2260は周辺回路の一部といえる。
また、撮像装置2200は、光源2291を有することが好ましい。光源2291は、検出光P1を放射することができる。
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部2210を形成する基板上に形成してもよい。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。なお、周辺回路は、周辺回路2260、周辺回路2270、周辺回路2280および周辺回路2290のいずれか一以上を省略してもよい。
また、図53(B)に示すように、撮像装置2200が有する画素部2210において、画素2211を傾けて配置してもよい。画素2211を傾けて配置することにより、行方向および列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置2200における撮像の品質をより高めることができる。
<画素の構成例1>
撮像装置2200が有する1つの画素2211を複数の副画素2212で構成し、それぞれの副画素2212に特定の波長域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせることで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
図54(A)は、カラー画像を取得するための画素2211の一例を示す平面図である。図54(A)に示す画素2211は、赤(R)の波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212(以下、「副画素2212R」ともいう)、緑(G)の波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212(以下、「副画素2212G」ともいう)および青(B)の波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212(以下、「副画素2212B」ともいう)を有する。副画素2212は、フォトセンサとして機能させることができる。
副画素2212(副画素2212R、副画素2212G、および副画素2212B)は、配線2231、配線2247、配線2248、配線2249、配線2250と電気的に接続される。また、副画素2212R、副画素2212G、および副画素2212Bは、それぞれが独立した配線2253に接続している。また、本明細書等において、例えばn行目の画素2211に接続された配線2248および配線2249を、それぞれ配線2248[n]および配線2249[n]と記載する。また、例えばm列目の画素2211に接続された配線2253を、配線2253[m]と記載する。なお、図54(A)において、m列目の画素2211が有する副画素2212Rに接続する配線2253を配線2253[m]R、副画素2212Gに接続する配線2253を配線2253[m]G、および副画素2212Bに接続する配線2253を配線2253[m]Bと記載している。副画素2212は、上記配線を介して周辺回路と電気的に接続される。
また、撮像装置2200は、隣接する画素2211の、同じ波長域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を有する。図54(B)に、n行(nは1以上p以下の整数)m列(mは1以上q以下の整数)に配置された画素2211が有する副画素2212と、該画素2211に隣接するn+1行m列に配置された画素2211が有する副画素2212の接続例を示す。図54(B)において、n行m列に配置された副画素2212Rと、n+1行m列に配置された副画素2212Rがスイッチ2201を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素2212Gと、n+1行m列に配置された副画素2212Gがスイッチ2202を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素2212Bと、n+1行m列に配置された副画素2212Bがスイッチ2203を介して接続されている。
なお、副画素2212に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定されず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンタ(M)の光を透過するカラーフィルタを用いてもよい。1つの画素2211に3種類の異なる波長域の光を検出する副画素2212を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212を有する画素2211を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンタ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212に加えて、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素2212を有する画素2211を用いてもよい。1つの画素2211に4種類の異なる波長域の光を検出する副画素2212を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
また、例えば、図54(A)において、赤の波長域の光を検出する副画素2212、緑の波長域の光を検出する副画素2212、および青の波長域の光を検出する副画素2212の画素数比(または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。または、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
なお、画素2211に設ける副画素2212は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例えば、同じ波長域の光を検出する副画素2212を2つ以上設けることで、冗長性を高め、撮像装置2200の信頼性を高めることができる。
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared)フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置2200を実現することができる。
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用いることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和することを防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像装置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
また、前述したフィルタ以外に、画素2211にレンズを設けてもよい。ここで、図55の断面図を用いて、画素2211、フィルタ2254、レンズ2255の配置例を説明する。レンズ2255を設けることで、光電変換素子が入射光を効率よく受光することができる。具体的には、図55(A)に示すように、画素2211に形成したレンズ2255、フィルタ2254(フィルタ2254R、フィルタ2254Gおよびフィルタ2254B)、および画素回路2230等を通して光2256を光電変換素子2220に入射させる構造とすることができる。
ただし、一点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光2256の一部が配線2257の一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、図55(B)に示すように光電変換素子2220側にレンズ2255およびフィルタ2254を配置して、光電変換素子2220が光2256を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子2220側から光2256を光電変換素子2220に入射させることで、検出感度の高い撮像装置2200を提供することができる。
図55に示す光電変換素子2220として、pn型接合またはpin型の接合が形成された光電変換素子を用いてもよい。
また、光電変換素子2220を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、セレン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合金等がある。
例えば、光電変換素子2220にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて、X線や、ガンマ線といった幅広い波長域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子2220を実現できる。
ここで、撮像装置2200が有する1つの画素2211は、図54に示す副画素2212に加えて、第1のフィルタを有する副画素2212を有してもfよい。
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタと、を用いて画素を構成する一例について説明する。各トランジスタは上記実施の形態に示すものと同様のトランジスタを用いることができる。
図56は、撮像装置を構成する素子の断面図である。図56に示す撮像装置は、シリコン基板2300に設けられたシリコンを用いたトランジスタ2351、トランジスタ2351上に積層して配置された酸化物半導体を用いたトランジスタ2352およびトランジスタ2353、ならびにシリコン基板2300に設けられたフォトダイオード2360を含む。各トランジスタおよびフォトダイオード2360のカソード2362は、種々のプラグ2370および配線2371と電気的な接続を有する。また、フォトダイオード2360のアノード2361は、低抵抗領域2363を介してプラグ2370と電気的に接続を有する。
また撮像装置は、シリコン基板2300に設けられたトランジスタ2351およびフォトダイオード2360を有する層2310と、層2310と接して設けられ、配線2371を有する層2320と、層2320と接して設けられ、トランジスタ2352およびトランジスタ2353を有する層2330と、層2330と接して設けられ、配線2372および配線2373を有する層2340を備えている。
なお図56の断面図の一例では、シリコン基板2300において、トランジスタ2351が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード2360の受光面を有する構成とする。該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保することができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイオード2360の受光面をトランジスタ2351が形成された面と同じとすることもできる。
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタのみを用いて画素を構成する場合には、層2310を、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する層とすればよい。または層2310を省略し、酸化物半導体を用いたトランジスタのみで画素を構成してもよい。
なお、シリコン基板2300は、SOI基板であってもよい。また、シリコン基板2300に替えて、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウムまたは有機半導体を有する基板を用いることもできる。
ここで、トランジスタ2351およびフォトダイオード2360を有する層2310と、トランジスタ2352およびトランジスタ2353を有する層2330と、の間には絶縁体2380が設けられる。ただし、絶縁体2380の位置は限定されない。また、絶縁体2380の下に絶縁体2379が設けられ、絶縁体2380の上に絶縁体2381が設けられる。
絶縁体2379乃至絶縁体2381に設けられた開口に、導電体2390a乃至導電体2390eが設けられている。導電体2390a、導電体2390bおよび導電体2390eは、プラグおよび配線として機能する。また、導電体2390cは、トランジスタ2353のバックゲートとして機能する。また、導電体2390dは、トランジスタ2352のバックゲートとして機能する。
トランジスタ2351のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端し、トランジスタ2351の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ2352およびトランジスタ2353などの近傍に設けられる絶縁体中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、トランジスタ2352およびトランジスタ2353などの信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、シリコン系半導体を用いたトランジスタの上層に酸化物半導体を用いたトランジスタを積層して設ける場合、これらの間に水素をブロックする機能を有する絶縁体2380を設けることが好ましい。絶縁体2380より下層に水素を閉じ込めることで、トランジスタ2351の信頼性が向上させることができる。さらに、絶縁体2380より下層から、絶縁体2380より上層に水素が拡散することを抑制できるため、トランジスタ2352およびトランジスタ2353などの信頼性を向上させることができる。さらに、導電体2390a、導電体2390bおよび導電体2390eが形成されることにより、絶縁体2380に形成されているビアホールを通じて上層に水素が拡散することも抑制できるため、トランジスタ2352およびトランジスタ2353などの信頼性を向上させることができる。
また、図56の断面図において、層2310に設けるフォトダイオード2360と、層2330に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。
また、撮像装置の一部または全部を湾曲させてもよい。撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた電子機器などの小型化や軽量化を実現することができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係る半導体ウエハ、チップおよび電子部品について説明する。
<半導体ウエハ、チップ>
図57(A)は、ダイシング処理が行なわれる前の基板5711の上面図を示している。基板5711としては、例えば、半導体基板(「半導体ウエハ」ともいう。)を用いることができる。基板5711上には、複数の回路領域5712が設けられている。回路領域5712には、本発明の一態様に係る半導体装置や、CPU、RFタグ、またはイメージセンサなどを設けることができる。
複数の回路領域5712は、それぞれが分離領域5713に囲まれている。分離領域5713と重なる位置に分離線(「ダイシングライン」ともいう。)5714が設定される。分離線5714に沿って基板5711を切断することで、回路領域5712を含むチップ5715を基板5711から切り出すことができる。図57(B)にチップ5715の拡大図を示す。
また、分離領域5713に導電層や半導体層を設けてもよい。分離領域5713に導電層や半導体層を設けることで、ダイシング工程時に生じうるESDを緩和し、ダイシング工程の歩留まり低下を防ぐことができる。また、一般にダイシング工程は、基板の冷却、削りくずの除去、帯電防止などを目的として、炭酸ガスなどを溶解させて比抵抗を下げた純水を切削部に流しながら行なわれる。分離領域5713に導電層や半導体層を設けることで、当該純水の使用量を削減することができる。よって、半導体装置の生産コストを低減することができる。また、半導体装置の生産性を高めることができる。
分離領域5713に設ける半導体層としては、バンドギャップが2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.7eV以上3.5eV以下の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いると、蓄積された電荷をゆっくりと放電することができるため、ESDによる電荷の急激な移動が抑えられ、静電破壊を生じにくくすることができる。
<電子部品>
チップ5715を電子部品に適用する例について、図58を用いて説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはIC用パッケージともいう。電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、上記実施の形態に示した半導体装置と該半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
図58(A)に示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において上記実施の形態に示した半導体装置を有する素子基板が完成した後、該素子基板の裏面(半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行なう(ステップS5721)。研削により素子基板を薄くすることで、素子基板の反りなどを低減し、電子部品の小型化を図ることができる。
次に、素子基板を複数のチップ(チップ5715)に分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS5722)。そして、分離したチップを個々ピックアップしてリードフレーム上に接合する「ダイボンディング工程」を行う(ステップS5723)。ダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接合は、樹脂による接合や、テープによる接合など、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップを接合してもよい。
次いで、リードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS5724)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モールド工程)」が施される(ステップS5725)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、チップに内蔵される回路部やチップとリードを接続するワイヤーを機械的な外力から保護することができ、また水分や埃による特性の劣化(信頼性の低下)を低減することができる。
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行なう(ステップS5726)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断および成形加工する「成形加工工程」を行なう(ステップS5727)。
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行なう(ステップS5728)。そして外観形状の良否や動作不良の有無などを調べる「検査工程」(ステップS5729)を経て、電子部品が完成する。
また、完成した電子部品の斜視模式図を図58(B)に示す。図58(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図58(B)に示す電子部品5750は、リード5755および半導体装置5753を示している。半導体装置5753としては、上記実施の形態に示した半導体装置などを用いることができる。
図58(B)に示す電子部品5750は、例えばプリント基板5752に実装される。このような電子部品5750が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板5752上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板5754)が完成する。完成した実装基板5754は、電子機器などに用いられる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態10)
本実施の形態においては、本発明の一態様に係るトランジスタなどを利用した電子機器について説明する。
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図59に示す。
図59(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体1901、筐体1902、表示部1903、表示部1904、マイクロフォン1905、スピーカー1906、操作キー1907、スタイラス1908等を有する。なお、図59(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部1903と表示部1904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図59(B)は携帯データ端末であり、第1筐体1911、第2筐体1912、第1表示部1913、第2表示部1914、接続部1915、操作キー1916等を有する。第1表示部1913は第1筐体1911に設けられており、第2表示部1914は第2筐体1912に設けられている。そして、第1筐体1911と第2筐体1912とは、接続部1915により接続されており、第1筐体1911と第2筐体1912の間の角度は、接続部1915により変更が可能である。第1表示部1913における映像を、接続部1915における第1筐体1911と第2筐体1912との間の角度にしたがって、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部1913および第2表示部1914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。または、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図59(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体1921、表示部1922、キーボード1923、ポインティングデバイス1924等を有する。
図59(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体1931、冷蔵室用扉1932、冷凍室用扉1933等を有する。
図59(E)はビデオカメラであり、第1筐体1941、第2筐体1942、表示部1943、操作キー1944、レンズ1945、接続部1946等を有する。操作キー1944およびレンズ1945は第1筐体1941に設けられており、表示部1943は第2筐体1942に設けられている。そして、第1筐体1941と第2筐体1942とは、接続部1946により接続されており、第1筐体1941と第2筐体1942の間の角度は、接続部1946により変更が可能である。表示部1943における映像を、接続部1946における第1筐体1941と第2筐体1942との間の角度にしたがって切り替える構成としてもよい。
図59(F)は自動車であり、車体1951、車輪1952、ダッシュボード1953、ライト1954等を有する。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態などでは、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、トランジスタのチャネル形成領域、ソースドレイン領域などが、酸化物半導体を有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有していてもよい。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、または、有機半導体などの少なくとも一つを有していてもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、酸化物半導体を有していなくてもよい。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様である酸化物、および絶縁体の積層構造を用いて、水素濃度について評価を行った。なお、本実施例においては、加熱処理を行った試料1A、および加熱処理を行っていない試料1Bを作製した。
<1.各試料の構成と作製方法>
以下では、本発明の一態様に係る試料1A、および試料1Bについて説明する。試料1A、および試料1Bは、図60に示すように、基板900と、基板900上の絶縁体912と、絶縁体912上の酸化物半導体914と、酸化物半導体914上の絶縁体916と、絶縁体916上の絶縁体918を有する。
次に、各試料の作製方法について、説明する。
まず、シリコン基板900上に絶縁体912として、熱酸化膜100nmを形成した。続いて、絶縁体912上に、酸化物半導体914として、スパッタリング法を用いて、In、Ga、およびZnを含む酸化物膜50nmを、成膜した。酸化物半導体914の成膜条件は、In、Ga、およびZnを含む酸化物(原子数比In:Ga:Zn=4:2:4.1)ターゲットを用い、成膜ガスとしてアルゴンガス30sccmおよび酸素ガス15sccmを用い、成膜圧力を0.7Paとし、成膜電力を500W(DC)とし、基板温度を200℃とし、ターゲット−基板間距離を60mmとした。
次に、窒素雰囲気下において、400℃、1時間の熱処理を行った後、酸素雰囲気下において、400℃、1時間の熱処理を行った。
次に、酸化物半導体914上に絶縁体916として、スパッタリング法を用いて、20nmの酸化アルミニウム膜を形成した。絶縁体916の成膜条件は、酸化アルミニウム(Al2O3)ターゲットを用い、成膜ガスとしてアルゴンガス25sccmおよび酸素ガス25sccmを用い、成膜圧力を0.4Paとし、成膜電力を2.5kW(RF)とし、基板温度を250℃とし、ターゲット−基板間距離を60mmとした。
次に、絶縁体916上に絶縁体918として、ALD法を用いて、5nmの酸化アルミニウム膜を形成した。絶縁体918の成膜条件は、トリメチルアルミニウムを含む溶媒を気化させ、酸化剤としてオゾンおよび酸素を用いた。設定温度は250℃とした。
続いて、試料1Aは、窒素雰囲気下において、400℃、1時間の熱処理を行った後、酸素雰囲気下において、400℃、1時間の熱処理を行った。一方、試料1Bは、熱処理を行わないものとした。
以上の工程により、試料1A、および試料1Bを作製した。
<2.各試料のSIMSの測定結果>
試料1A、および試料1Bにおいて、絶縁体916および絶縁体918と、酸化物半導体914に含有される水素濃度の評価を行った。なお、水素濃度評価は、二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)により行い、分析装置としてCAMECA社製SIMS装置IMS−6fを用いた。
SIMS分析結果を図61(A)、および図61(B)に示す。図61(A)は、絶縁体916および絶縁体918を定量層とした測定結果を示す。また、図61(B)は、酸化物半導体914を定量層とした測定結果を示す。なお、グラフ中の左矢印は、分析方向を示す。また、図中点線はバックグラウンドレベル(BGL)を示す。
図61(A)より、熱処理を行うことで、絶縁体916中の水素濃度が上昇することが分かった。また、図61(B)より、熱処理を行うことで、酸化物半導体914中の水素濃度が低減することが分かった。図61より、熱処理を行うことで、絶縁体916中の水素が、酸化物半導体914へと移動していると推測される。
従って、酸化アルミニウムを酸化物半導体に接して形成し、熱処理を行うことで、酸化物半導体中の水素が、酸化アルミニウムへとゲッタリングされることが分かった。つまり、酸化物半導体中の不純物である水素は、酸化アルミニウムと接して形成し、熱処理を行うことにより、低減できた。
以上、本実施例に示す構成は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。