JP6852694B2 - 電動機の磁気発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機の磁気発生装置に関するものである。
従来、例えば回転電機の回転子として、電磁鋼板を積層させてなる回転子コアに磁石収容孔を形成し、その磁石収容孔に磁石を挿入したIPM(Interior Permanent Magnet)型の回転子が普及してきている。例えば特許文献1には、磁石収容孔の形状を工夫し、回転子から固定子へ向かう磁束とは反対方向の磁界を抑え、固定子と鎖交する磁束を増やす技術が開示されている。このような回転電機では、永久磁石や、回転子、固定子等の形状を最適化する設計がなされており、回転電機の能力向上と、永久磁石の反磁界への耐力向上との両立が図られている。
特開2014−93859号公報
近年では、例えば車両において走行抵抗を減らすためのスラントノーズ化や、エンジンルームの小型化などが積極的に図られる傾向にあるが、これに伴い車両用発電機やスタータの搭載スペースも極小化されてきている。この場合、重要視される能力として、小型の回転電機でも車両の発進や登坂走行を可能とすることが要求され、その要求を実現すべくトルク密度を増大化することが検討されている。このような設計をするとき、例えば固定子から発する励磁電流が短期間で大電流となる場合に、固定子側からの回転磁界が永久磁石にとって大きな反磁界となり、その反磁界に起因して磁石の減磁が生じることが懸念される。
一般的に、上記特許文献1に示されるようなIPMモータに用いられる回転子は、磁石磁極の中心となるd軸と、磁石の磁束がニュートラルとなるq軸とを有する。近年では、このように定義されたd軸、q軸を別々に扱い、d軸に向けた電流、q軸に向けた電流を別々に制御することによる空間的なベクトル制御が活発に行われている。この場合、IPMモータでは、q軸に配置される凸な鉄心によりq軸のインダクタンスがd軸のインダクタンスよりも大きくなることによる、インダクタンス差により発生するリラクタンストルクTrと、d軸に配置された磁石磁束を利用して発生する磁石トルクTmとの合力によりトルクが発生する。
なお、所定のバッテリ電圧条件下においてモータの回転速度を高める技術として、弱め界磁制御が挙げられるが、この弱め界磁制御により、強力に磁石に対する弱め磁界、すなわち反磁界が発生する。特にIPMモータでは、磁石の磁束を弱めた磁石磁束によるトルク(マグネットトルク)を低下させた際に、q軸のリラクタンストルク成分を利用できるため、リラクタンストルクとマグネットトルクの合力のトルクは、弱め界磁を行わない場合の、マグネットトルクのみでIPMモータを動作させた場合に対して増加する傾向にあり、積極的に弱め界磁制御を行う傾向がある。これは、永久磁石にとっては、反磁界を常に掛けられ、不可逆減磁を促される環境にあるということにある。
上記IPMモータの回転子では、永久磁石の不可逆減磁対策のため、磁石に高価な重希土類であるテルビウム(Tb)やジスプロシウム(Dy)を使用したり、または永久磁石の磁石厚みや、磁石のボリュームそのものを増加させたりすることが考えられる。ゆえに、これらがコストアップの要因になっている。
なお、IPMモータの回転子として、d軸を挟んで両側に永久磁石をV字状に配置する構成が知られている。かかる場合、その回転子では、d軸を挟んで両側の永久磁石において、d軸に対して斜めとなる方向に向けて磁束を生じさせる構成となるため、その一対の永久磁石において磁束の相互干渉に起因する減磁が生じることが懸念される。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁石の減磁を適正に抑制することができる電動機の磁気発生装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
第1の手段では、
巻線に対向する位置に設けられ、前記巻線の通電により当該巻線に対する相対動作が可能である磁石を備え、複数の前記磁石が、前記相対動作の動作方向に極性を交互にして配置されている電動機に適用され、
前記磁石は、
磁極中心であるd軸を挟んで両側に互いに離間した状態で一対の磁石として設けられ、磁石内部の磁化方向が、前記d軸に対して傾斜し、かつ前記巻線側及び反巻線側のうち前記巻線側で交差する向きになっている第1磁石部と、
前記第1磁石部における前記一対の磁石のd軸側端部の側に設けられ、前記磁化方向が、前記第1磁石部の前記磁化方向に交差する向きとなっている第2磁石部と、
を有する。
電動機において、磁極中心であるd軸を挟んで両側に互いに離間した状態で一対の磁石として第1磁石部が設けられており、さらに第1磁石部において、磁石内部の磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ巻線側で交差する向きになっている場合には、第1磁石部のd軸側端部(すなわち磁極中心側)において一対の磁石の磁束が互いに干渉し、その相互干渉に起因して磁石の減磁(自己減磁)が生じることが懸念される。この点、本手段では、磁石として、上記の第1磁石部に加えて、第1磁石部における一対の磁石のd軸側端部の側に、磁石内部の磁化方向が、第1磁石部の磁化方向に交差する向きとなっている第2磁石部を設ける構成とした。この場合、第2磁石部により第1磁石部の端部の磁束を補強することが可能になる。そのため、d軸付近における磁束の相互干渉に対する耐減磁能力が高められ、第1磁石部(すなわち磁極磁石)の減磁を適正に抑制できる。
なお、第3磁石部の磁化方向を第1磁石部の磁化方向よりもd軸に平行となる向きとし、その第3磁石部の磁束により、第1磁石部のd軸側端部の磁束を補強するとよい。
第2の手段では、前記電動機は、前記巻線が巻装された巻線側部材と、前記巻線側部材に対して径方向に対向配置され、前記磁石を有する磁石側部材とを備える回転電機であり、前記磁石側部材として用いられる電動機の磁気発生装置であって、前記磁石側部材は、磁極ごとにd軸を挟んで両側に位置するように設けられた複数の磁石収容孔を有する軟磁性体コアを含み、前記磁石収容孔内に、前記第1磁石部及び前記第2磁石部が収容されている。
電動機としての回転電機は、巻線が巻装された巻線側部材(例えば固定子)と、巻線側部材に対して径方向に対向配置され、磁石を有する磁石側部材(例えば回転子)とを備えており、特に埋込磁石式の回転電機では、磁石側部材が、磁石が埋め込まれた軟磁性体コアを有する。こうした回転電機において、磁石収容孔内に、第1磁石部及び第2磁石部を収容する構成とした。これにより、埋込磁石式の回転電機において、上記同様、第1磁石部のd軸側端部(詳しくは、一対の磁石のd軸側端部)において相互の磁束干渉に対する耐減磁能力を高めることができる。
第3の手段では、前記磁石収容孔が、d軸を挟んで両側に対称形で設けられており、かつ、前記磁石が、d軸を挟んで両側に対称に配置されている。
磁石収容孔及び磁石がd軸を挟んで両側に対称に設けられていることにより、回転電機の回転方向がいずれであっても同様に、磁石において減磁を好適に抑制することができる。
第4の手段では、前記磁石収容孔は、前記第1磁石部における前記一対の磁石の間に、d軸側に拡張されたd軸側拡張部分を有しており、前記d軸側拡張部分に、前記第2磁石部が設けられるとともに、その第2磁石部よりもd軸側にフラックスバリアが設けられている。
上記手段によれば、磁石収容孔のd軸側拡張部分に、第2磁石部とフラックスバリアとが設けられているため、第1磁石部における一対の磁石のd軸側端部の側における第2磁石部の磁石量を必要最小限に削減しつつ、所望の効果を得ることができる。これにより、コスト低減を図ることができる。
第5の手段では、前記第1磁石部における前記一対の磁石のd軸側端部において当該一対の磁石同士で最も近い部位を磁束補強点とし、その磁束補強点に対して前記第2磁石部による磁束強化を行わせる。
第1磁石部のd軸側端部では、一対の磁石同士における最も近い部位で磁束干渉の影響が最大となり、減磁が最も生じ易くなると考えられる。この点、上記手段によれば、磁束干渉の影響が最大となる部位を磁束補強点とし、その磁束補強点に対して、第2磁石部により好適に磁束強化を行わせることができる。
第6の手段では、前記第1磁石部の前記磁化方向と、前記第2磁石部の前記磁化方向とのなす角度が鋭角である。
これにより、第1磁石部の磁束強化を図る上で好適な構成を実現できる。また特に、第1磁石部のd軸側端部において一対の磁石同士で最も近い部位を磁束補強点とする場合に、その磁束補強点に対する磁束強化を一層適正に行わせることができる。
回転電機の縦断面図。 回転電機の回転子及び固定子の横断面図。 回転電機の回転子及び固定子を示す部分平面図。 回転子コアを示す部分平面図。 磁石における反磁界の影響を説明するための図。 磁石における磁束の相互干渉の影響を説明するための図。 第1実施形態の変形例1における回転子を示す部分平面図。 第1実施形態の変形例2における回転子を示す部分平面図。 第1実施形態の変形例3における回転子を示す部分平面図。 第1実施形態の変形例4における回転子を示す部分平面図。 第1実施形態の変形例5における回転子を示す部分平面図。 第1実施形態の変形例6における回転子を示す部分平面図。 第1実施形態の変形例7における回転子を示す部分平面図。 第2実施形態の回転子を示す部分平面図。 磁場配向により磁石の磁化を行う手法を説明するための説明図。 第2実施形態の変形例1における回転子を示す部分平面図。 第2実施形態の変形例2における回転子を示す部分平面図。 第2実施形態の変形例3における回転子を示す部分平面図。 第2実施形態の変形例4における回転子を示す部分平面図。 第3実施形態の回転子を示す部分平面図。 磁場配向により磁石の磁化を行う手法を説明するための説明図。 磁場配向により磁石の磁化を行う手法を説明するための説明図。 第4実施形態の回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例1における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例2における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例3における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例4における回転子を示す部分平面図。 磁石の磁化方向を詳細に示す図。 第4実施形態の変形例5における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例6における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例7における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例8における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例9における回転子を示す部分平面図。 磁石の構成を示す図。 第4実施形態の変形例10における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例10における回転子を示す部分平面図。 第4実施形態の変形例10における回転子を示す部分平面図。 第5実施形態の回転子を示す部分平面図。 磁場配向により磁石の磁化を行う手法を説明するための説明図。 第5実施形態の変形例における回転子を示す部分平面図。 他の形態における回転子を示す部分平面図。 他の形態における回転子を示す部分平面図。 他の形態における回転子を示す部分平面図。 他の形態における回転子を示す部分平面図。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では電動機としての回転電機を具体化しており、その回転電機は、例えば車両動力源として用いられる。ただし、回転電機は、産業用、車両用、家電用、OA機器用、遊技機用などとして広く用いられることが可能となっている。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る回転電機1は、車両用モータとして使用されるインナロータ式(内転式)の埋込磁石型回転電機(IPMモータ)であり、その概要を図1及び図2を用いて説明する。図1は、回転電機1の回転軸2に沿う方向での縦断面図であり、図2は、回転軸2に直交する方向での回転子10及び固定子30の横断面図である。以下の記載では、回転軸2の延びる方向を軸方向とし、回転軸2を中心として放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸2を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
回転電機1は、回転軸2に固定された回転子10と、回転子10を包囲する位置に設けられた円環状の固定子30と、これら回転子10及び固定子30を収容するハウジング4とを備えている。回転子10及び固定子30は同軸に配置されている。回転子10は、固定子30の径方向内側に対向配置されており、固定子30の内周面と回転子10の外周面との間には所定のエアギャップが形成されている。ハウジング4は、有底筒状の一対のハウジング部材4a,4bを有し、ハウジング部材4a,4bが開口部同士で接合された状態でボルト5の締結により一体化されている。ハウジング4には軸受け6,7が設けられ、この軸受け6,7により回転軸2及び回転子10が回転自在に支持されている。
図2に示すように、回転子10は、回転軸2に固定される回転子コア11を有している。回転子コア11には、周方向に配列された複数の磁石収容孔12が形成されており、各磁石収容孔12には、それぞれ複数の磁石13(永久磁石)が埋設されている。ただしその詳細は後述する。
固定子30は、多数の電磁鋼板が積層されてなる略円筒状の固定子コア31を有している。固定子コア31には、軸方向に貫通し、かつ周方向に等間隔に配列された複数のスロット32が設けられている。スロット32には、例えば3相の固定子巻線33が巻装されている。本実施形態では、回転子10の磁極数に対応して3相の固定子巻線33が収容されるように、48個のスロット32が周方向に等間隔に配置されている。
次に、回転子コア11の磁石収容孔12と磁石13とを図3及び図4を参照して詳しく説明する。なお、図3及び図4には、回転電機1の複数の磁極(例えば全8極)のうち1極分が示されている。
回転子コア11は、多数の電磁鋼板が積層されることで略円筒状に形成されており、その中央部には貫通孔14が形成されている。貫通孔14内に回転軸2が嵌合されることにより、回転子コア11が回転軸2に固定されている。なお、回転子コア11の多数の電磁鋼板は、カシメ、溶接等の固定手段を用いて軸方向に固定される。その固定手段は、回転子コア11のq軸磁路に当たる部分に設けられるとよい。また、回転子10と回転軸2との固定手法として、例えば接着剤による固定や、キー及びキー溝、又はスプライン等の凹凸構造による固定、圧入による固定などを用いることが可能である。
また、貫通孔14の内周面においてd軸上となる位置には、径方向内側に突出して回転軸2の外周面に当接する突出部14aが形成されている。突出部14aの形状は、矩形状や台形状、三角山形状等のいずれであってもよく、いずれにしろ貫通孔14の内周面において周方向に凹凸が形成され、局部的に回転軸2の外周面に当接する構成であればよい。なお、貫通孔14の内周面に突出部14aを設けることに代えて、回転軸2の外周面に突出部を設ける構成であってもよい。
回転子コア11において固定子30の内周面と対向する外周面の付近には、軸方向に貫通する複数(本実施形態では16個)の磁石収容孔12が周方向に所定距離を隔てて設けられている。各磁石収容孔12は、2個で一対をなし、その一対の磁石収容孔12により、径方向外側に向かうにつれて磁石収容孔12同士の対向間距離が大きくなる略V字状に形成されている。また、各磁石収容孔12と固定子30との離間距離で言えば、各磁石収容孔12は、d軸に向かうにつれて固定子30との離間距離が大きくなるように設けられている。一対の磁石収容孔12は、d軸(磁極中心軸)を対称の軸とする対称形となっている。本実施形態では、回転子コア11に、合計8対の磁石収容孔12が周方向に等間隔に設けられている。
本実施形態では、一対の磁石収容孔12に収容された一対の磁石13により1つの磁極が形成されている。この場合、8対の磁石13によって、周方向に極性が交互に異なる複数の磁極(本実施形態では8極)が形成されている。1つの磁極を形成する一対の磁石13は、d軸に対して線対称となる状態で配置されている。
磁石収容孔12の形状をより詳しく説明する。図4には、磁石収容孔12に磁石13を収容していない状態での回転子コア11が示されている。図4では、一対の磁石収容孔12の間がd軸、一対の磁石収容孔12の両外側がq軸となっている。
図4に示すように、磁石収容孔12は、その長手方向におけるq軸寄りの部分であるq軸側部分12aが回転子コア11の外周面付近に設けられる一方、d軸寄りの部分であるd軸側部分12bが、q軸側部分12aよりも回転子コア11の径方向内側に設けられており、q軸側部分12aとd軸側部分12bとの間が中間部12cとなっている。q軸側部分12aは、回転子コア11の外周面に沿って延びるように設けられ、d軸側部分12bは、d軸に沿って延びるように設けられている。また、中間部12cは、q軸側部分12aとd軸側部分12bとを直線的に繋ぐように設けられている。
一対の磁石収容孔12では、d軸側部分12b同士がd軸を挟んで近接しており、その中間部分に、径方向に延びる中央ブリッジ15が形成されている。中央ブリッジ15が幅狭に形成されることにより、d軸上において磁束飽和が生じ、磁気回路の形成が阻害されるようになっている。
また、磁石収容孔12のq軸側部分12aでは、磁石収容孔12の径方向外側壁面が回転子コア11の外周面に接近しており、q軸側部分12aと回転子コア11の外周面との間に外側ブリッジ16が形成されている。
図3に示すように、各磁石収容孔12には、磁石13として、中間部12cに主磁石21が配置されるとともに、q軸側部分12a及びd軸側部分12bにそれぞれ補助磁石22,23が配置されている。つまり、各磁石収容孔12には、主磁石21の長手方向の両端側に補助磁石22,23がそれぞれ配置されている。主磁石21は、軸方向に直交する横断面形状が四角形状をなしており、磁石内部の磁化方向(すなわち、内部磁力線の向き)が、d軸に対して傾斜し、かつ磁石収容孔12よりも固定子30側及び反固定子側のうち固定子30側で交差する向きで定められている。主磁石21が第1磁石部に相当する。また、補助磁石22,23は、主磁石21においてその主磁石21の磁化方向に交差する方向の両端部、すなわちd軸側端部及びq軸側端部に当接又は近接した状態でそれぞれ設けられ、主磁石21の磁化方向に交差する向きで磁化方向が定められている。補助磁石22,23が第2磁石部に相当する。主磁石21及び補助磁石22,23は、例えば焼結ネオジム磁石等の希土類磁石である。
これら各磁石21〜23は、それぞれ磁石収容孔12の壁面に接触した状態で配置されることが好ましいが、回転子コア11との線膨張率の差を考慮して、微小な隙間が敢えて付与されていてもよい。なお、各磁石21〜23と磁石収容孔12の壁面との間に樹脂材や接着剤等を充填させて、各磁石21〜23を固定する構成であってもよい。樹脂材や接着剤等により各磁石21〜23を固定することにより、微振動による騒音などを抑制できる。また、回転子10に対する固定子30の通電位相のばらつきを抑制できる。
主磁石21は、各磁石21〜23のうちで最も大きく、磁極ごとの極性に応じて設けられる主たる磁石であり、横断面の形状が長方形状をなしている。一対の主磁石21により、回転子コア11の各磁極が形成されている。主磁石21は、磁化容易軸が主磁石21の長辺に直交する向き(換言すれば、短辺に平行な向き)となっており、磁石収容孔12に収容された状態では磁化方向がd軸に対して傾いている。図1には、N極の磁極が示されており、一対の主磁石21の磁化方向は、d軸に近づき、かつ回転子コア11の外周側に向かう方向となっている。
主磁石21は、横断面で長辺部を形成する側面に対する配向率が高く、その側面に垂直となる向きで配向方向が設定されている。ただし、主磁石21は、長辺部に垂直する方向の配向成分が少しでもあれば、垂直方向に磁束を流出させ、その機能を果たすものとなっている。
補助磁石22,23は、磁石収容孔12において主磁石21が設けられていないスペースに、主磁石21の長手方向の両端面にそれぞれ当接又は近接した状態で設けられている。補助磁石22,23では、その磁化方向が主磁石21と異なっており、主磁石21の長手方向端面に対して交差する向きで、磁化方向(配向方向)が定められている。図1の構成では、補助磁石22,23の磁化容易軸が主磁石21の端面に向かう向きとなっており、その向きで磁化方向が定められている。
主磁石21のq軸側端部において、主磁石21の磁化方向と補助磁石22の磁化方向とのなす角度、すなわち主磁石21の内部磁力線の進行方向と補助磁石22の内部磁力線の進行方向とにより形成される角度は鋭角(90度未満)である。また、主磁石21のd軸側端部において、主磁石21の磁化方向と補助磁石23の磁化方向とのなす角度、すなわち主磁石21の内部磁力線の進行方向と補助磁石23の内部磁力線の進行方向とにより形成される角度は鋭角(90度未満)である。
本実施形態では、主磁石21の長手方向の両端側に補助磁石22,23がそれぞれ設けられることにより、補助磁石22,23により支えられた状態で主磁石21の位置が定められる。そのため、磁石収容孔12を囲む周囲壁に、主磁石21を固定する位置決め突起を設けることが不要となり、回転子コア11側の位置決め突起と主磁石21との線膨張率の差異を考慮して構造設計することの省略が可能となっている。
ここで、上述したとおり回転子コア11において磁石収容孔12のq軸側部分12aでは、磁石収容孔12の径方向外側壁面が回転子コア11の外周面に接近しており、q軸側部分12aと回転子コア11の外周面との間に外側ブリッジ16が形成されている。この場合、外側ブリッジ16が幅狭に形成されることにより、回転子コア11の外周面付近において、補助磁石22による磁束の自己短絡が抑制されるものとなっている。
本実施形態では、磁石収容孔12に配置される磁石13として、主磁石21に加えて補助磁石22,23を用いたことにより、主磁石21の長手方向両端、すなわちd軸側端部及びq軸側端部において耐減磁能力の向上を図ることができる。つまり、補助磁石22,23によれば、磁石収容孔12内において疑似的に磁石磁路が延ばされることで、磁石パーミアンスが増え、反磁界等の対向磁界に対する耐力が増強される。以下には、その点について詳しく説明する。ここでは、比較例として一般的な磁石V字配置の回転子を図5及び図6に示しつつ、本実施形態の回転子10の特徴点を説明する。図5及び図6に示す回転子では、回転子コア201に、d軸を挟んで両側で対称形をなす長方形状の磁石収容孔202がV字状に形成されており、その磁石収容孔202内に、磁化方向が、d軸に対して傾斜する向きで一対の永久磁石203が配置されている。
図5(a)、(b)には、固定子巻線の導体204の通電に伴い、回転子コア201の外周面に、反磁界として固定子による回転磁界が生じる状態が示されている。より具体的には、図5(a)には、q軸上の導体204が通電される状態が示され、図5(b)には、d軸上の導体204が通電される状態が示されており、これら各状態では、図示のとおり固定子の回転磁界が反磁界として作用する。この場合、その反磁界により、永久磁石203のq軸側端部の角部P1において減磁が生じることが懸念される。
こうした不都合に対して、主磁石21のq軸側端部の側に設けられた補助磁石22は以下の役割を果たす。図3に示すように、補助磁石22は、磁化方向が、主磁石21よりもq軸に直交する向きになっており、補助磁石22の磁束により主磁石21のq軸側端部の磁束が補強される。この場合、補助磁石22から、固定子30側からの反磁束に対抗する磁束が送り込まれ、q軸付近の減磁耐力の向上が図られている。
また、補助磁石22は、主磁石21のq軸側端面に対向して設けられており、主磁石21のq軸側端面において固定子30に近い側となる角部P1を通る磁石磁路長が、他の部位の磁石磁路長よりも長くなっている。これにより、主磁石21のq軸側端部において減磁の可能性が最も高い角部P1での減磁が好適に抑制される。ただし、補助磁石22の磁路長がいずれの部位でも同一長さとなる構成であってもよい。
また、図6に示すように、各永久磁石203では、磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ磁石収容孔202よりも固定子側で交差する向きとなっている。そのため、N磁極においては、図の左右の永久磁石203の磁束が互いにd軸側を向き、その各磁束が相互に干渉することに起因して相互に減磁が生じることが懸念される。より詳しくは、左右の永久磁石203の磁束には、d軸に直交する磁束ベクトルとd軸に平行な磁束ベクトルとが含まれており、そのうちd軸に直交する磁束ベクトルによる相互干渉に起因して、永久磁石203のd軸側端部の角部P2において減磁が生じることが懸念される。
こうした不都合に対して、主磁石21のd軸側端部の側に設けられた補助磁石23は以下の役割を果たす。図3に示すように、補助磁石23は、磁化方向が、主磁石21よりもd軸に平行となる向きになっており、補助磁石23の磁束により主磁石21のd軸側端部の磁束が補強される。この場合、補助磁石23から、左右一対の主磁石21の対向磁束分を補う磁束が送り込まれ、d軸付近の減磁耐力の向上が図られている。
なお、回転電機1のトルク設計に際しては、磁石の実効磁束密度に磁石の磁束流出面の表面積を掛けることで、磁石磁力が計算される。また、d軸に直交する向きの磁力は、磁石磁力とd軸に対する傾斜角度に応じて決まるため、磁石収容孔12のV字角度が小さいほど、すなわちd軸に対する主磁石21の長手方向の傾斜角度が小さいほど、補助磁石23の効力が最大限に発揮される。
また、補助磁石23は、主磁石21のd軸側端面に対向して設けられており、主磁石21のd軸側端面において固定子30に近い側となる角部P2を通る磁石磁路長が、他の部位の磁石磁路長よりも長くなっている。これにより、主磁石21のd軸側端部において減磁の可能性が高い角部P2での減磁が好適に抑制される。ただし、補助磁石23の磁路長がいずれの部位でも同一長さとなる構成であってもよい。
ちなみに、従来技術では、磁石収容孔12において主磁石21が設けられていないスペースが空隙とされるか、又は当該スペースに回転子コア11よりも磁性の低い固定接着剤等、又は非磁性体が挿入配置されており、いわばデッドスペースとなっている。この点、本実施形態では、これまでデッドスペースとなっていた部分に補助磁石22,23を配置することで、体格の増加を招くことなく、上記のとおりの磁束補強が可能となっている。
図示は省略するが、S極を形成する磁石13においては、主磁石21及び補助磁石22,23の磁化方向が、N極の磁石13における主磁石21及び補助磁石22,23の磁化方向と逆向きになっている。
磁石収容孔12において磁石13が配置されていない部分は、回転子10内での磁石磁束の自己短絡を抑制するフラックスバリアとして機能する。図3の構成では、磁石収容孔12のq軸側部分12aにおいて、補助磁石22の外周側に外側フラックスバリア24が設けられている。外側フラックスバリア24によれば、回転子コア11の外周面側(すなわち固定子30との対向面側)において補助磁石22の端部付近で生じる磁束の自己短絡を抑制することができる。また、補助磁石22における固定子30からの反磁界による減磁を抑えることができる。外側フラックスバリア24は、空隙とされるか、又は非磁性体が収容されているとよい。
また、磁石収容孔12のd軸側部分12bにおいて、補助磁石23のd軸側に内側フラックスバリア25が設けられている。つまり、磁石収容孔12のd軸側部分12bがd軸側拡張部分に相当し、そのd軸側部分12bには、補助磁石23が設けられるとともに、その補助磁石23よりもd軸側に内側フラックスバリア25が設けられている。内側フラックスバリア25によれば、d軸を挟んで両側に配置された補助磁石22,23においてd軸に直交する向きの磁束を抑えることができる。また、d軸でのインダクタンスが低くなり、リラクタンストルクを好適に生じさせることができる。内側フラックスバリア25は、空隙とされるか、又は非磁性体が収容されているとよい。
各補助磁石22,23が減磁することは、基本的に構わないと考えられる。これは、磁石13では、主磁石21における回転子コア11との接触面が主な磁束流出を担っているからであり、補助磁石22,23はそのパーミアンスを向上させる役割を担っているからである。このため、本実施形態では、補助磁石22,23として、主磁石21より残留磁束密度Brが高く、より固有保磁力iHcの小さい組成のネオジム磁石を選定している。当然、ネオジム磁石と、フェライト磁石など、異なる材料の組み合わせを選定しても構わない。
ネオジム磁石よりも保磁力が小さい磁石としては、保磁力が大きい順に、サマリウム磁石、フェライト磁石、FCC磁石、アルニコ磁石、などが挙げられる。すなわち、サマリウム磁石を主磁石21として選定した場合に、フェライト磁石等を補助磁石22,23とすることでも、本実施形態における所望の効果を十分に得られるものとなっている。
ちなみに、従来技術では、大きな反磁界のかかる部位に対して、磁石厚みを厚くしたり、保磁力を高めるべく重希土類の含有量を多くしたり、微細化したりすることを施した磁石を採用することで、減磁を避けてきた。これに対して、本実施形態の回転電機1では、反磁界を略半減することができたため、重希土類を完全にフリーとして構成することができる。このため、例えば現状の車両用製品において貴重な重希土類をフリーとすることにより、磁束密度の高いネオジムの成分割合を増やすことができ、従来と同じ磁石量において、3割以上のトルク上昇を果たしつつ、コスト維持、またはコストダウンを果たすことができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
回転子10の磁石13として、極性に応じた磁束を生じさせる主磁石21に加えて、磁石13におけるq軸側端部(すなわち磁極境界側の端部)の側に、磁石内部の磁化方向が、主磁石21における磁化方向に交差する向きとなっている補助磁石22を設ける構成とした。この場合、補助磁石22により主磁石21のq軸側端部の磁束を補強することが可能になる。そのため、固定子30側からの反磁界に対する耐減磁能力が高められ、磁極磁石である主磁石21の減磁を適正に抑制できる。
また、主磁石21(一対の磁石)のd軸側端部の側に、磁化方向が、主磁石21の磁化方向に交差する向きとなっている補助磁石23を設ける構成としたため、主磁石21のd軸側端部の磁束を補強することが可能になる。つまり、d軸付近において磁束の相互干渉に対する耐減磁能力を高めることにより、主磁石21の減磁を適正に抑制できる。
主磁石21のq軸側端部では、q軸側端面において固定子30に近い側となる角部P1にて減磁の可能性が高くなると考えられる。この点、補助磁石22は、主磁石21のq軸側端面に対向して設けられており、主磁石21のq軸側端面において角部P1を通る磁石磁路長が、他の部位の磁石磁路長よりも長くなっている。つまり、角部P1を磁束補強点とし、その磁束補強点に対して補助磁石22による磁束強化を行わせるようにした。これにより、主磁石21のq軸側端部における減磁を好適に抑制できる。
また、主磁石21のd軸側端部では、d軸側端面において固定子30に近い側となる角部P2にて減磁の可能性が高くなると考えられる。この点、補助磁石23は、主磁石21のd軸側端面に対向して設けられており、主磁石21のd軸側端面において角部P2を通る磁石磁路長が、他の部位の磁石磁路長よりも長くなっている。つまり、角部P2を磁束補強点とし、その磁束補強点に対して補助磁石23による磁束強化を行わせるようにした。これにより、主磁石21のd軸側端部における減磁を好適に抑制できる。
磁石収容孔12のd軸側部分12b(d軸側拡張部分)に、補助磁石23と内側フラックスバリア25とを設ける構成としたため、主磁石21のd軸側端部における補助磁石23の磁石量を必要最小限に削減しつつ、所望の効果を得ることができる。これにより、コスト低減を図ることができる。
補助磁石22,23が、主磁石21の固有保磁力iHcよりも小さい固有保磁力iHcを有する構成とした。これにより、補助磁石22,23として安価な磁石を用いつつも、所望とする主磁石21の磁束補強を実現できる。
なお、主磁石21が、補助磁石22,23の固有保磁力iHcよりも小さい固有保磁力iHcを有する構成としてもよい。この場合、主磁石21として安価な磁石を用い、磁石コストを低減することができる。磁石磁束の大半は、主磁石21の表面積により決まるため、本構成がコスト面で好適となる。
補助磁石22,23の固有保磁力が主磁石21よりも大きい構成では、減磁に対する耐力が高められる。したがって、回転子10が固定子30側からの強い反磁界に曝される場合において好適な構成を実現できる。
また、主磁石21の両端の補助磁石22,23について固有保磁力が互いに異なっている構成としてもよい。この場合、仮に主磁石21のd軸側端部及びq軸側端部で、反磁界の影響度合いが互いに相違していても、その反磁界の影響度合いに応じて補助磁石22,23を適宜設定することができる。
回転子コア11の貫通孔14の内周面においてd軸上となる位置に、径方向内側に突出して回転軸40の外周面に当接する突出部14aを形成した。これにより、回転子コア11を回転軸40に組み付けた状態において、回転子コア11における貫通孔14の内周面から径方向外側に伝わる応力を磁石13にて受けることができる。これにより、磁石13の位置ずれを抑制でき、磁石13の磁気特性が意図せず変化する等の不都合を抑制できる。
以下に、第1実施形態における回転子10の一部を変更した変形例を説明する。ここでは、図1に示す構成との相違点を中心に、各変形例を説明する。なお、以下において回転子10を説明するための各図面では、回転子10以外の構成の図示を省略するが、いずれも上記同様、回転子10が固定子30に対して径方向内側に対向配置されている。
(変形例1)
図7に示す変形例1の回転子10では、主磁石21のq軸側端部及びd軸側端部のうち、q軸側端部のみに補助磁石22を設ける構成としている。例えば、左右一対の主磁石21において互いに減磁し合う磁力が比較的小さい場合において、d軸側の補助磁石23を無くすことが可能である。
(変形例2)
図8に示す変形例2の回転子10では、磁極中心であるd軸を跨ぎ、かつd軸に直交する向きに磁石収容孔12を設け、その磁石収容孔12内に、断面矩形状の主磁石21を収容する構成としている。また、磁石収容孔12は、q軸側の両端が、コア中心部に向けて角度変更して延長されており、その両端部分に補助磁石22が収容されている。この場合、図7と同様に、主磁石21のq軸側端部にのみ補助磁石22が設けられている。
(変形例3)
図9に示す変形例3の回転子10では、主磁石21のq軸側端部及びd軸側端部のうち、d軸側端部のみに補助磁石23を設ける構成としている。例えば、固定子30側からの反磁束が比較的小さい場合において、q軸側の補助磁石22を無くすことが可能である。
(変形例4)
図10に示す変形例4の回転子10では、磁石収容孔12が、磁極中心であるd軸を跨いで周方向に連続するように設けられている。そして、左右一対の主磁石21の間に、補助磁石41が設けられている。補助磁石41は、主磁石21のd軸側端部に当接又は近接した状態で設けられ、磁化方向がd軸に平行となる向きになっている。この場合、補助磁石41の磁束により主磁石21のd軸側端部の磁束が補強される。つまり、図1等で説明した補助磁石23と同様に、補助磁石41から、左右一対の主磁石21の対向磁束分を補う磁束が送り込まれ、d軸付近の減磁耐力の向上が図られている。
(変形例5)
図11に示す変形例5の回転子10では、主磁石21は、その長手方向、すなわちq軸側からd軸側に向かう方向において分割され、かつ互いに磁化方向が異なる複数の分割磁石27a,27bを有している。これら各分割磁石27a,27bは、いずれも横断面が長方形状をなす永久磁石である。そして、複数の分割磁石27a,27bのうちq軸側となる分割磁石27aは、d軸側となる分割磁石27bよりも、磁化方向が、q軸に対して平行な方向に近い向きになっている。
上記構成によれば、主磁石21を構成する複数の分割磁石27a,27bは、互いに磁化方向が異なっており、q軸側となる分割磁石27aは、磁化方向がq軸に対して平行な方向に近い向きになっている。これにより、主磁石21の自身にあっても、d軸側端部付近において固定子30側からの反磁界に対する耐減磁能力を高めることが可能となる。
また、複数の分割磁石27a,27bは、その分割磁石27a,27bの端部同士が対向する部位で固定子30側に凸となるように配置されている。つまり、分割磁石27a,27bは、1本の直線状でなく、折れ曲がった2本の直線状で、かつ固定子30側に凸となるように並べて配置されている。これにより、主磁石21(すなわち分割磁石27a,27b)を回転子コア11の外周面に近づけることができ、固定子30と主磁石21との距離を縮めることでトルクを増大させることができる。この場合、固定子30と主磁石21との距離を縮めることで、その背反として反磁界が増大するが、その反磁界増大の影響を補助磁石22,23により解決することができる。
また、回転子コア11において、磁石13(すなわち磁石収容孔12)よりも固定子30側であって、かつ固定子30と磁石13との両磁束の総和を受ける部分の割合を小さくすることができる。そのため、固定子30と磁石13との両磁束による磁束飽和が生じ得る飽和領域を減少させ、磁石13の能力をより効果的に引き出すことが可能となる。
(変形例6)
図12に示す変形例6の回転子10では、磁石13として主磁石21とq軸側端部の側の補助磁石22とが設けられている。これら主磁石21及び補助磁石22は、横断面が矩形状をなし、かつ対向する一対の磁束作用面21a,21b,22a,22bに対して磁化方向が直交する向きとなっている。そして、主磁石21及び補助磁石22は、d軸又はq軸に対する磁化方向の角度を互いに異ならせた状態で回転子コア11の磁石収容孔12に配置されている。
主磁石21及び補助磁石22は互いに離間した位置に配置されており、詳しくは、補助磁石22が、主磁石21のq軸側の磁石端面に対して鉄心を挟んで対向する位置に配置されている。主磁石21の磁化方向は、d軸に対して平行か又は傾斜する向きとなっており、補助磁石22の磁化方向は、主磁石21よりもd軸に直交する向きとなっている。この場合、補助磁石22の磁化方向の延長線上に、主磁石21の角部P1(すなわち、主磁石21のq軸側端部において固定子30に最も近い磁束補強点)が位置しており、補助磁石22からの磁束により主磁石21の角部P1での磁束補強が行われる。
横断面が矩形状をなし、かつ対向する一対の磁束作用面に対して磁化方向が直交する向きとなっている磁石は、最も汎用性があり、製造面やコスト面に優れると考えられる。そして、この磁石を主磁石21及び補助磁石22として用い、回転子コア11に、d軸又はq軸に対する磁化方向の角度を互いに異ならせて配置する構成とした。これにより、構成の簡易化を図りつつ、主磁石21におけるq軸側端部の磁束補強を好適に実現できる。
なお、上記構成によれば、主磁石21及び補助磁石22として寸法及び性能が全く同じ磁石、すなわち同じ品番の磁石を用いても、所望とする耐減磁性能を実現できる。ただし、主磁石21及び補助磁石22は、横幅寸法(磁化方向に直交する方向の幅寸法)が相違していてもよい。また、主磁石21及び補助磁石22は、縦幅寸法(磁化方向と同じ方向の幅寸法)が相違していてもよい。
(変形例7)
図13(a)に示す変形例7の回転子10では、回転子コア11において、その外周面(すなわち固定子30との対向面)に軸方向に延びる溝42が形成されている。溝42は、回転子コア11の外周面において補助磁石22の径方向外側となる位置に設けられている。補助磁石22と溝42との間が外側ブリッジ16となっている。
また、図13(b)に示す回転子10では、回転子コア11においてその外周面に軸方向に延びる溝43が形成されている。溝43は、回転子コア11の外周面においてd軸上となる位置に設けられている。これ以外に、溝43を、回転子コア11の外周面においてq軸上となる位置に設けることも可能である。
回転子コア11において固定子30との対向面側の領域は、固定子30から受ける回転磁束と磁石の磁束とにより磁気飽和する可能性が高くなると考えられる。この点、回転子コア11における固定子30との対向面に軸方向に延びる溝42,43を形成することで、回転子コア11における固定子近傍領域での磁束の向き及び磁束量を調整することができ、磁石13の能力をより効果的に引き出すことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を、第1実施形態との相違点を中心に説明する。第2実施形態では、磁石の磁化方向が、磁石の磁束作用面のうち少なくともいずれかに対して非垂直の角度で交差する向きとなるものとしており、特に、磁石において、当該磁石における固定子30側の磁束作用面とその反対側の磁束作用面とで異なる向きとなるように、磁化方向が変化するものとなっている。図14に、本実施形態における回転子10の構成を示す。
図14に示すように、回転子コア11には、円弧状(弓なりの形状)をなす一対の磁石収容孔12が形成されている。図14の回転子コア11においても、図3等の構成と同様に、一対の磁石収容孔12が、外周側に向かうにつれて対向間距離が大きくなるように略V字状に形成されており、一対の磁石収容孔12は、d軸(磁極中心軸)を対称の軸とする線対称となっている。また、各磁石収容孔12と固定子30との離間距離で言えば、各磁石収容孔12は、d軸に向かうにつれて固定子30との離間距離が大きくなるように設けられている。
磁石収容孔12は、互いに等距離で隔てられた円弧状の曲面52a,52bと、その曲面52a,52bの両端位置を互いに連結する平坦状の連結面52c,52dとにより囲まれて形成されている。連結面52c,52dのうちq軸側の連結面52cは、q軸に平行になるように設けられている。また、d軸側の連結面52dは、d軸に垂直になるように設けられている。
そして、磁石収容孔12内に、その孔形状と同じ形状の磁石51が挿入配置されている。この場合、一対の磁石収容孔12に収容された一対の磁石51により1つの磁極が形成されている。図14には、磁石51の磁化方向(すなわち、内部磁力線の向き)が矢印で示されている。磁石51は、q軸側からd軸側に向かうに従って、磁化方向が、q軸に対して垂直な方向に近い向きからd軸に対して平行な方向に近い向きに、反固定子側に凸の非直線状に切り替わるように設けられている。つまり、磁石51における内部磁力線は、磁石51を短手方向に横切る方向に定められており、かつその向きが回転子コア11の中心軸側に凸となる円弧状をなしている。
このように磁石51の磁化方向が定められていることにより、磁石51において、固定子30側の回転磁束による反磁界に対する耐減磁能力が高められることになり、磁石51の減磁を適正に抑制できる。つまり、磁化方向が、q軸側ではq軸に対して垂直な方向に近い向きとなり、かつd軸側ではd軸に対して平行な方向に近い向きとなるように、反固定子側に凸の非直線状に切り替わることにより、磁石磁路長を長くして磁石磁束を強化するとともに、固定子30側からの反磁界に対抗する磁束を好適に生じさせることができる。
また、磁石51のd軸側においては、磁化方向が、d軸に対して平行な方向に近い向きになっているため、d軸付近における磁束の相互干渉に起因する減磁を抑制することができる。
また、回転子コア11において、磁石51は、q軸側端部が径方向においてd軸側端部よりも固定子30に近い部位に位置し、かつq軸側端部とd軸側端部との間において固定子30側に凸となるように設けられている。つまり、d軸を挟んで一対となる磁石51は、これらの両方の磁石51により略V字状をなし、かつそれぞれが固定子30側(図の上側)を凸とする円弧状をなしている。磁石収容孔12の形状も同様である。
さらに換言すれば、磁石収容孔12は、磁束流出面のd軸側の最も固定子30側を象る線(すなわち曲面52a)が、磁石収容孔12の両端よりなる線分(すなわち曲面52aの両端を結ぶ直線)より、固定子30側に凸状となるように迫り出す形状となっている。
上記構成によれば、磁石51を回転子コア11の外周面に近づけることができ、固定子30と磁石51との距離を縮めることでトルクを増大させることができる。この場合、固定子30と磁石51との距離を縮めることで、その背反として反磁界が増大するが、その反磁界増大の影響を、磁石51において上記のとおり非直線状とした磁化方向により解決することができる。
また、回転子コア11において、磁石51(すなわち磁石収容孔12)よりも固定子30側であって、かつ固定子30と磁石51との両磁束の総和を受ける部分の割合を小さくすることができる。そのため、固定子30と磁石51との両磁束による磁束飽和が生じ得る飽和領域を小さくし、磁石51の能力をより効果的に引き出すことが可能となる。
また、磁石51が径方向外側に向けて凸となっているため、回転子コア11において磁石収容孔12よりも径方向外側となる部分が小さくなる。したがって、遠心力に対する応力集中係数が減少し、その機械的強度を増加させることができる。
本実施形態の回転子10を、第1実施形態における図3の構成、すなわち主磁石21の両側端部に補助磁石22,23を設けた構成と対比すれば、本実施形態の磁石51は、補助磁石22,23の役割を1つの磁石51で構成したものであると言える。
なお、図14には、N極を形成する磁石51を示すが、S極を形成する場合には、磁石51の磁化方向が、図14に示す磁化方向と逆向きになっている。
なお、図14に示す磁石51を、複数の磁石に分割して構成してもよい。つまり、磁石51を、長手方向に複数に分割し、各磁石の端面同士を当接させて配置してもよい。この場合、磁石収容孔12内に、分割された複数の磁石を並べて配置するとよい。これにより、回転電機1の動作時において、磁石51に鎖交する磁束変化による渦電流損失等を防ぐことができる。
図14の構成において、図13(a)、(b)のように、回転子コア11の外周面(固定子30との対向面)に軸方向に延びる溝42,43を形成してもよい。これにより、回転子コア11における固定子近傍領域での磁束の向き及び磁束量を調整することができ、磁石の能力をより効果的に引き出すことができる。
ここで、本実施形態で用いる磁石51の製造方法について説明する。図15は、磁場配向により磁石51の磁化を行う手法を説明するための説明図である。
図15に示すように、配向装置60は、磁場コイル61と、磁場コイル61内に配置される配向鉄心62及び金型63とを備えている。磁場コイル61は、通電に伴いコイル内部を通過する磁場を生成する。配向鉄心62は、磁場コイル61にて生成される磁場を所定方向に湾曲させる役割を有しており、配向鉄心62により湾曲された磁場が金型63を通過する。磁場コイル61によれば直線磁場が形成され、配向鉄心62によれば湾曲磁場が生成される。金型63は、非磁性体により形成されており、磁石51の形状に合わせて形成された金型室63aを有している。
磁石51の製造に際しては、金型63の金型室63a内に、磁石原料を粉砕した磁石粉末が充填され、その金型室63a内において磁石粉末が所定形状に圧縮成形される。そして、磁場コイル61内において、配向鉄心62により図示のとおり湾曲した磁場が形成され、金型室63a内の磁石粉末に対して磁場配向が行われる。このとき、磁石粉末はそれぞれの磁化容易方向を揃えるようにして整列され、圧縮により固定される。その後、磁石粉末の成形体が焼結される。この一連の工程により、磁石51が製造される。
上記により、磁石51の磁化方向が非直線状(すなわち円弧状)に切り替わるものとなる。そして、この磁石51を磁石収容孔12に収容することで、図14に示すとおり磁石51の磁化方向を、q軸側からd軸側に向かうに従って、q軸に対して垂直な方向に近い向きからd軸に対して平行な方向に近い向きに、反固定子側に凸の非直線状に切り替わるようにすることができる。
以下に、第2実施形態における回転子10の一部を変更した変形例を説明する。ここでは、図15に示す構成との相違点を中心に、各変形例を説明する。
(変形例1)
図16に示す変形例1の回転子10では、磁石51におけるd軸側端部の端面及びq軸側端部の端面が、磁石51の磁化方向に合わせた向きに形成されている。また、磁石収容孔12内には、磁石51において磁化方向に合わせた向きに形成された各端面の外側に、フラックスバリア53,54が設けられている。フラックスバリア53,54は、磁石51の長手方向両端の一部を欠落させることで形成されている。つまり、磁石51において、磁束作用面に交差する磁石端面が、磁化方向に平行となる向きで形成されており、磁石収容孔12内には、d軸側及びq軸側の磁石端面の外側に、フラックスバリア53,54が設けられている。
詳しくは、図16の回転子10では、図14に示す磁石51のq軸側端部における固定子側角部分を部分的に欠落させることで、フラックスバリア53が形成されている。また、図14に示す磁石51のd軸側端部におけるd軸側角部分を部分的に欠落させることで、フラックスバリア54が形成されている。なお、磁石端面は、曲面状、平面状のいずれであってもよい。
上記のとおり磁石51の磁化方向がq軸側とd軸側とで非直線状に切り替わるようになっている構成では、磁化方向が直線状でありかつ磁石長手方向に直交する向きになっている構成に比べて磁石磁路長(すなわち、内部磁力線の長さ)を長くすることが可能になっているが、磁石51の端部においては、磁石磁路長が短い部分が局部的に存在することが考えられる。この場合、磁石磁路長はパーミアンスに比例するため、磁石端部において短縮されることは望ましくない。
この点、磁石51のd軸側端部及びq軸側端部の各端面(すなわち、磁束作用面に交差する磁石端面)を、磁石51の磁化方向に合わせた向きに形成したことにより、磁石51において磁石磁路長が短い部分が局部的に存在することを抑制できる。また、磁石51のd軸側端部、q軸側端部にフラックスバリア53,54を設けることで、磁石51の両端部における減磁を抑制することができる。
なお、磁石51において、d軸側端部及びq軸側端部のうち一方の端面が、磁化方向に合わせた向きに形成されている構成であってもよい。
(変形例2)
図17に示す変形例2の回転子10では、d軸側のフラックスバリア54が、d軸に沿って、磁石51の径方向内側の端部よりも軸中心側に延びるように形成されている。d軸を挟んで両方のフラックスバリア54の間はd軸コア部55となっている。つまり、磁石51は、回転子コア11においてd軸コア部55を挟んで一方側及び他方側となる一対の磁石51として配置されており、回転子コア11には、d軸コア部55を挟み、かつ一対の磁石51の反固定子側の端部から反固定子側に延びるようにフラックスバリア54が設けられている。フラックスバリア54は、磁石収容孔12の一部に、合成樹脂やセラミック等の非磁性材料が収容されることで構成されている。フラックスバリア54が非磁性体部に相当する。
また、フラックスバリア54は、磁石51において最も径方向内側となる点P11と、回転子コア11の回転中心P10とを結ぶ仮想線L1よりもq軸側に張り出している。なお、q軸の磁束量を考慮して、磁石51の周方向に位置するq軸コア部56の幅に応じてフラックスバリア54の周方向の大きさを定めるとよく、磁石収容孔12のq軸側端部P12と回転子コア11の回転中心P10とを結ぶ仮想線L2と同じ位置まで、又はその仮想線L2よりも所定量だけq軸側となる位置まで、フラックスバリア54を張り出させることも可能である。
上記構成によれば、フラックスバリア54によりd軸コア部55の磁気抵抗を上げることができる。これにより、一対の磁石51間での短絡を抑制し、磁力をより一層有効に活用できる。
また、d軸コア部55は、d軸上においてd軸に沿って細長く延びる鉄心部分であり、このd軸コア部55により、遠心力により磁石51が脱落することのないように強度補強されている。ただし、d軸コア部55は、磁気回路的には邪魔なものであり、d軸コア部55の軸方向長さを大きくすることにより、d軸コア部55の磁気抵抗を増大させることが可能となる。これにより、一対の磁石51においてd軸側へ向かう磁束ベクトルを小さくすることが可能となり、減磁に対して好適な形状となるばかりか、トルク向上が可能となっている。
また、磁石収容孔12により回転子コア11がq軸側とd軸側とに分断された状態で、反固定子側に延びるフラックスバリア54(非磁性体部)が設けられているため、一対の磁石51にそれぞれ生じる磁束の相互的な作用を減らしつつ、それぞれの磁束を好適に設計することができる。
また、フラックスバリア54を、上記仮想線L1よりもq軸側に張り出させる構成としたため、回転子10のイナーシャを極力下げることができる。
(変形例3)
図18に示す変形例3の回転子10では、上記構成との相違点として、磁石収容孔12とその内部に収容される磁石51との横断面(軸方向に直交する断面)が、それぞれ円弧状でなく長方形状となっている。また、d軸を挟んで左右一対の磁石収容孔12及び磁石51がV字状に配置されている。ただし、磁石51では、上記同様、磁化方向がq軸側とd軸側とで非直線状に切り替わるようになっている。
(変形例4)
図19に示す変形例4の回転子10では、上記構成との相違点として、磁石収容孔12とその内部に収容される磁石51との横断面(軸方向に直交する断面)が、それぞれ円弧状でなく長方形状となっている。また、d軸を挟んで左右一対の磁石収容孔12及び磁石51が、d軸に直交する方向の同一直線上に一列に並ぶように配置されている。ただし、磁石51では、上記同様、磁化方向がq軸側とd軸側とで非直線状に切り替わるようになっている。
なお、図19の構成において、左右一対の磁石収容孔12は同一直線上に並んでいるが、各磁石収容孔12と固定子30との離間距離で言えば、各磁石収容孔12は、d軸に向かうにつれて固定子30との離間距離が大きくなるように設けられている。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を、第1実施形態等との相違点を中心に説明する。第3実施形態では、第2実施形態と同様に、磁石において、当該磁石における固定子30側の磁束作用面とその反対側の磁束作用面とで異なる向きとなるように、磁化方向が変化するものとなっている。図20に、本実施形態における回転子10の構成を示す。
図20に示すように、回転子コア11には、円弧状(弓なりの形状)をなす一対の磁石収容孔12が形成されている。磁石収容孔12の形状については既述の図14と同様であり、ここでは説明を省略する。そして、磁石収容孔12内に、その孔形状と同じ形状の磁石71が挿入配置されている。この場合、一対の磁石収容孔12に収容された一対の磁石71により1つの磁極が形成されている。図20には、磁石71の磁化方向(すなわち、磁石磁力線の向き)が矢印で示されている。磁石71は、d軸側からq軸側に向かうに従って、磁化方向が、d軸に対して垂直な方向に近い向きからq軸に対して平行な方向に近い向きに、反固定子側に凸の非直線状に切り替わるように設けられている。つまり、磁石71における内部磁力線は、その向きが回転子コア11の中心軸側に凸となる円弧状をなしている。
このように磁石71の磁化方向が定められていることにより、磁石71において、固定子30側の回転磁束による反磁界に対する耐減磁能力が高められることになり、磁石71の減磁を適正に抑制できる。つまり、磁化方向が、d軸側ではd軸に対して垂直な方向に近い向きとなり、かつq軸側ではq軸に対して平行な方向に近い向きとなるように、反固定子側に凸の非直線状に切り替わることにより、磁石磁路長を長くして磁石磁束を強化するとともに、固定子30側からの反磁界に対抗する磁束を好適に生じさせることができる。
また、磁石71のd軸側においては、磁化方向が互いに向き合う方向になっていないため、d軸付近における磁束の相互干渉に起因する減磁が生じないものとなっている。
また、回転子コア11において、磁石71は、q軸側端部が径方向においてd軸側端部よりも固定子30に近い部位に位置し、かつq軸側端部とd軸側端部との間において固定子30側に凸となるように設けられている。つまり、d軸を挟んで一対となる磁石71は、これらの両方の磁石71により略V字状をなし、かつそれぞれが固定子30側(図の上側)を凸とする円弧状をなしている。磁石収容孔12の形状も同様である。
さらに換言すれば、磁石収容孔12は、磁束流出面のd軸側の最も固定子30側を象る線(すなわち曲面52a)が、磁石収容孔12の両端よりなる線分(すなわち曲面52aの両端を結ぶ直線)より、固定子30側に凸状となるように迫り出す形状となっている。
上記構成によれば、磁石71を回転子コア11の外周面に近づけることができ、固定子30と磁石71との距離を縮めることでトルクを増大させることができる。この場合、固定子30と磁石71との距離を縮めることで、その背反として反磁界が増大するが、その反磁界増大の影響を、磁石71において上記のとおり非直線状とした磁化方向により解決することができる。
また、回転子コア11において、磁石71(すなわち磁石収容孔12)よりも固定子30側であって、かつ固定子30と磁石71との両磁束の総和を受ける部分の割合を小さくすることができる。そのため、固定子30と磁石71との両磁束による磁束飽和が生じ得る飽和領域を小さくし、磁石71の能力をより効果的に引き出すことが可能となる。
また、磁石71が径方向外側に向けて凸となっているため、回転子コア11において磁石収容孔12よりも径方向外側となる部分が小さくなる。したがって、遠心力に対する応力集中係数が減少し、その機械的強度を増加させることができる。
なお、図20には、N極を形成する磁石71を示すが、S極を形成する場合には、磁石71の磁化方向が、図20に示す磁化方向と逆向きになっている。
図20に示す磁石71を用いる場合には、一対の磁石71の間に、フラックスバリアを設けた磁石収容孔12が設けられているとよい。これにより、d軸を跨ぐ方向での磁束の通過を抑制できる。
なお、図20に示す磁石71を、複数の磁石に分割して構成してもよい。つまり、磁石71を、長手方向に複数に分割し、各磁石の端面同士を当接させて配置してもよい。この場合、磁石収容孔12内に、分割された複数の磁石を並べて配置するとよい。これにより、回転電機1の動作時において、磁石71に鎖交する磁束変化による渦電流損失等を防ぐことができる。
ここで、本実施形態で用いる磁石71の製造方法について説明する。図21は、磁場配向により磁石71の磁化を行う手法を説明するための説明図である。
図21に示すように、配向装置60は、磁場コイル61と、磁場コイル61内に配置される配向鉄心62及び金型63とを備えている。これら各々の構成は図15で説明したとおりである。
磁石71の製造に際しては、金型63の金型室63a内に、磁石原料を粉砕した磁石粉末が充填され、その金型室63a内において磁石粉末が所定形状に圧縮成形される。そして、磁場コイル61内において、配向鉄心62により図示のとおり湾曲した磁場が形成され、金型室63a内の磁石粉末に対して磁場配向が行われる。このとき、磁石粉末はそれぞれの磁化容易方向を揃えるようにして整列され、圧縮により固定される。その後、磁石粉末の成形体が焼結される。この一連の工程により、磁石71が製造される。
上記により、磁石71の磁化方向が非直線状(すなわち円弧状)に切り替わるものとなる。そして、この磁石71を磁石収容孔12に収容することで、図20に示すとおり磁石71の磁化方向を、d軸側からq軸側に向かうに従って、d軸に対して垂直な方向に近い向きからq軸に対して平行な方向に近い向きに、反固定子側に凸の非直線状に切り替わるようにすることができる。
(磁石製造方法の変形例)
円弧状の磁化方向が定められる磁石の製造方法として以下を用いることも可能である。図22(a)、(b)において、配向装置80は、磁場コイル81と、磁場コイル81内に配置される配向鉄心82及び金型83とを備えている。配向装置80の構成は、配向鉄心82の形状が異なる以外、基本的に既述の配向装置60と同じである。配向鉄心82は、磁場コイル81内において径方向の中心位置に設けられている。本例では、配向鉄心82が断面円形状をなすことから、配向磁場が配向鉄心82の中心に向けて集約されるようになっている。図中、磁力線S1は配向鉄心82に向けて直線状に延びており、これを配向中心としている。
図22(a)では、湾曲磁場内において配向中心に対して片側となる領域で磁石配向が行われる。また、図22(b)では、湾曲磁場内において配向中心を跨ぐ領域で磁石配向が行われる。
磁石Mgの製造に際しては、磁場コイル81内に配置される金型83に磁石粉末が充填され、磁場コイル81により生成される磁場を配向鉄心82により湾曲させた状態で、金型83内の磁石粉末に対して磁場配向が行われる。そして、金型83内の磁石粉末が焼結される。
なお、回転子に多角形の永久磁石を装着する構成では、多角形の永久磁石群を、直線配向方向の中で異なる角度に配置し、配向を行うとよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を、第1実施形態等との相違点を説明する。第4実施形態では、磁石の磁化方向が、磁石の磁束作用面のうち少なくともいずれかに対して非垂直の角度で交差する向きとなるものとしており、特に、磁石において、磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなっている。図23に、本実施形態における回転子10の構成を示す。
図23に示すように、各磁石収容孔12は、2個で一対をなし、d軸に対して垂直な向きに延びるように直線状に形成されている。ただし、各磁石収容孔12と固定子30との離間距離で言えば、各磁石収容孔12は、d軸に向かうにつれて固定子30との離間距離が大きくなるように設けられていると言える。一対の磁石収容孔12は、d軸(磁極中心軸)を対称の軸とする対称形となっている。本実施形態では、回転子コア11に、合計8対の磁石収容孔12が周方向に等間隔に設けられている。
本実施形態では、一対の磁石収容孔12に収容された一対の磁石101により1つの磁極が形成されている。この場合、8対の磁石101によって、周方向に極性が交互に異なる複数の磁極(本実施形態では8極)が形成されている。1つの磁極を形成する一対の磁石101は、d軸に対して線対称となる状態で配置されている。
磁石101は、軸方向に直交する横断面形状が四角形状をなしており、磁化方向(すなわち、磁石磁力線の向き)が、d軸に対して傾斜し、かつ磁束を生じさせる磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きで定められている。この場合特に、磁石101の磁化方向が、互いに対向しかつ各々が磁束作用面となる二辺の磁石側面(固定子30側の側面及び反固定子側の側面)に対して非垂直の角度で交差する向きとなっている。また、一対の磁石101からすると、その一対の磁石101におけるそれぞれの磁化方向が、各磁束作用面に対して傾斜し、かつ磁石収容孔12よりも固定子30側となる位置で互いに交差するように定められている。磁石101は、例えば焼結ネオジム磁石等の希土類磁石である。
d軸を挟んで一方側及び他方側の各磁石101では、互いに逆向きの磁化方向が定められている。また、各磁石101の磁化方向は、平行かつ直線状に定められている。この場合、各磁石101では、磁化方向が、磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなっているため、磁化方向が磁束作用面に直交する構成に比べて、磁石磁路長(すなわち、内部磁力線の長さ)が長くなる。そのため、磁石101の磁束が強化され、固定子30側の回転磁束による反磁界に対する耐減磁能力が高められるようになっている。
なお、図23には、N極を形成する磁石101を示すが、S極を形成する場合には、磁石101の磁化方向が、図23に示す磁化方向と逆向きになっている。
回転子コア11には、磁石101のq軸側及びd軸側に、それぞれ回転子10内での磁石磁束の自己短絡を抑制するフラックスバリア102,103が設けられている。この場合、磁石101のq軸側に設けられた外側フラックスバリア102によれば、磁石101のq軸側端部付近で生じる磁束の自己短絡を抑制できる。また、磁石101のd軸側に設けられた内側フラックスバリア103によれば、d軸を挟んで両側に配置された一対の磁石101においてd軸に直交する向きの磁束を抑えることができる。さらに、d軸でのインダクタンスが低くなり、リラクタンストルクを好適に生じさせることができる。各フラックスバリア102,103は、空隙とされるか、又は樹脂材料やセラミック材料等の非磁性材料が収容されているとよい。フラックスバリア102,103の間は、d軸に沿って延びる中央ブリッジ104となっている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
埋込磁石型回転電機の回転子10では、固定子30側からの回転磁界が反磁界として作用することに起因して、回転子コア11の固定子30との対向面側において磁石101の減磁が生じることが懸念される。この点、本実施形態では、回転子10の磁石101の磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ磁束を生じさせる磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなっているため、磁化方向が磁束作用面に直交する構成に比べて、磁石磁路長(すなわち、内部磁力線の長さ)が長くなり、磁石磁束が強化される。これにより、固定子30側の回転磁束による反磁界に対する耐減磁能力が高められ、磁石101の減磁を適正に抑制できる。
磁石101を、回転子コア11においてd軸を挟んで一方側及び他方側の両側に配置し、d軸の両側における磁石101のそれぞれの磁化方向を、磁石101の磁束作用面に対して傾斜し、かつ磁石収容孔12よりも固定子30側となる位置で互いに交差するようにした。これにより、回転子コア11において、反磁界に対する耐減磁能力を高めつつ、d軸における磁束強化を好適に実施できる。
磁石101の横断面形状が四角形状をなしている場合において、磁石101の磁化方向を、互いに対向しかつ各々が磁束作用面となる二辺の磁石側面に対して非垂直の角度で交差する向きとなるようにすることにより、磁石磁路長(すなわち、内部磁力線の長さ)を、磁石101の二辺の間の距離よりも長くすることができる。これにより、磁石磁束を強化し、反磁界に対する耐減磁能力を高めることができる。
従来技術では、大きな反磁界のかかる部位に対して、磁石厚みを厚くしたり、保磁力を高めるべく重希土類の含有量を多くしたり、微細化したりすることにより対策を施し、その対策を施した磁石により減磁を抑制するようにしていた。これに対して、本実施形態の回転電機1では、磁石101の磁化方向の工夫により反磁界に起因する減磁を抑制することができるため、磁石101のサイズアップが不要であり、また重希土類を完全にフリーとして構成することが可能となる。このため、例えば現状の車両用製品において貴重な重希土類をフリーとすることにより、磁束密度の高いネオジムの成分割合を増やすことができ、磁石量を増やすことなくトルク上昇を実現でき、コスト維持、又はコストダウンを果たすことができる。
一般に、磁石は、その配向方向を切削面と平行とすることで作られる。これは、磁石作成時の配向磁場と切削面とが平行となることで、磁石作成数が、一度の配向磁場励磁に対して、最大となるためである。これに対して、本実施形態では断面四角形の磁石101の配向方向を斜めにしている。つまり、最も減磁しやすい端部に、四角形の1辺よりも長い磁路を有する、磁束作用面の垂直方向よりも角度のついた配向を施している。これにより、磁石101の減磁しやすい部分の減磁耐力が向上する。したがって、磁石作成数は減るものの、磁石そのものの重量が小さくなり、結果的に多数の磁石を一度の配向から入手できるばかりか、ネオジム等磁石材料の投入量を減らすことにより、相乗的にコストダウンをすることができる。
また、発明者の試算によれば、同じ磁力を出す磁石を作る場合において、磁石重量を3割程度減らすことができ、レアアースの使用量、また搭載する回転電機の重量、イナーシャを減らすことができる。そのため、回転電機において機械追従性、機械的信頼性が向上し、エネルギ消費の低減や安全性向上にも貢献することができる。
以下に、第4実施形態における回転子10の一部を変更した変形例を説明する。ここでは、図23に示す構成との相違点を中心に、各変形例を説明する。なお、以下に示す各変形例においても、d軸を中心にして示す1極分の部分平面図を用いて、回転子10の構成を説明する。
(変形例1)
図24に示す変形例1では、磁石101において、q軸側端部の端面及びd軸側端部の端面が、それぞれ磁束作用面に対する磁化方向の角度に合わせた向きに形成されている。つまり、磁石101では、q軸側端部及びd軸側端部の各端面の向きが磁化方向と同じ(すなわち、平面視において磁化方向と平行な向き)になっている。そして、磁石101のq軸側端部及びd軸側端部の各端面の外側に、フラックスバリア102,103が設けられている。
なお、図24では、磁石101におけるq軸側端部及びd軸側端部の各端面を、それぞれ磁束作用面に対する磁化方向の角度に合わせた向きに形成しているが、これに代えて、磁石101のq軸側端部及びd軸側端部のうちq軸側端部の端面のみを、磁束作用面に対する磁化方向の角度に合わせた向きに形成してもよい。d軸側端部については、図23のようにd軸に平行のままとする。要するに、磁石101の横断面形状は、矩形状(長方形状)である以外に、図24に示す平行四辺形状や、その他、台形状であってもよい。
上記のとおり磁石101の磁化方向が、磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなっている構成では、磁石101の磁化方向が、磁束作用面に対して垂直に交差する向きとなっている場合に比べて、磁石磁路長を長くすることが可能になっているが、磁石101の端部においては、部分的に磁石磁路長が短くなることが考えられる。この点、磁石101のq軸側端部の端面を、磁束作用面に対する磁化方向の角度に合わせた向きにすることで、磁石101において磁石磁路長が短い部分が局部的に存在することを抑制できる。
なお、図24の構成では、磁束増加に寄与しない磁石端部が斜めに排除されており、図23の構成と比べて磁石量が削減されている。そのため、磁石作成型内の取り数増加や、材料投入量の削減が可能となる。
(変形例2)
図25に示す変形例2では、磁石101は、q軸側端部及びd軸側端部における磁化方向の磁石長さが、他の部位における磁化方向の磁石長さよりも長くなっている。つまり、磁石101のq軸側端部及びd軸側端部にはそれぞれ延長部101aが設けられており、その延長部101aにより局部的に磁石磁束が延長されている。延長部101aは、磁束延長部として機能する。延長部101aは、磁石101の固定子30側と反固定子側とのうち反固定子側の磁束作用面に設けられている。
なお、図25では、磁石101のq軸側端部及びd軸側端部にそれぞれ延長部101aを設けているが、これに代えて、磁石101のq軸側端部及びd軸側端部のうちq軸側端部だけに延長部101aを設けてもよい。
本変形例2によれば、磁石101の磁化方向を磁束作用面に対して非垂直の角度で交差させることで磁石磁路長を長くした構成において、d軸側端部における磁石磁路長を局部的にさらに延長することができる。これにより、耐減磁能力のより一層の向上を図ることができる。
(変形例3)
回転子コア11において磁石101を図26(a)、(b)のように配置してもよい。
図26(a)に示す回転子10では、d軸を跨ぐようにして1極に1つの磁石収容孔12が設けられており、その磁石収容孔12内に収容される磁石101において、d軸よりも図の左側では、磁化方向が右斜め上方に向き、d軸よりも図の右側では、磁化方向が左斜め上方に向くようになっている。これにより、d軸を挟んで両側のいずれにおいても、磁石101の磁化方向が、d軸上であってかつ磁石101(磁石収容孔12)よりも固定子30側を通る向きになっている。この場合、d軸を挟んで両側の磁石101では、磁化方向を直線状に延ばした線が、d軸上であってかつ磁石101よりも固定子30側(すなわち磁石101の端部以外)に集合する。
また、図26(a)に示す回転子10では、磁石101においてd軸上で磁石磁束の相互干渉による減磁が生じるおそれがある。そこで、図26(b)に示すように、磁石101においてd軸上となる部分を欠落させた構成としてもよい。この場合、磁石101の欠落部101bは、磁化方向に合わせた向きで形成されるとよい。本構成では、磁石量を減らせる分、コスト低減が可能になる。
(変形例4)
図27に示す変形例4では、磁石101は、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とで磁化方向が相違している。この場合特に、磁石101において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とのうちd軸寄りの部分では、q軸寄りの部分よりも磁化方向がd軸に平行になっている。詳しくは、図28に示すように、d軸側の所定位置における磁化方向をX1、q軸側の所定位置における磁化方向をX2とすると、d軸側の磁化方向X1が、q軸側の磁化方向X2よりもd軸に平行になっている。また、磁石101において、磁束作用面に垂直な方向に対する磁化方向X2の傾き(θ2)が、磁束作用面に垂直な方向に対する磁化方向X1の傾き(θ1)よりも大きくなっている。
磁石101では、q軸からd軸に向かうのに伴い、磁化方向の磁石長さ、すなわち磁化方向における始点から終点までの磁石磁路長が徐々に短くなっている。なお、各磁石101では、磁化方向として、磁束を生じさせる磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなる磁化方向以外に、磁束を生じさせる磁束作用面に対して垂直に交差する向きとなる磁化方向が含まれていてもよい。
ちなみに、図28では、磁石101の磁束作用面とd軸とが直交する関係となっているため、磁束作用面に垂直な方向とd軸方向とが一致する。これに対し、磁石101の磁束作用面がd軸に直交しない場合には、磁束作用面に垂直な方向とd軸方向とが一致しない。ただし、かかる場合においても、磁石101において、q軸側における磁化方向X2の磁束作用面に垂直な方向に対する傾き(θ2)が、d軸側における磁化方向X1の磁束作用面に垂直な方向に対する傾き(θ1)よりも大きくなっていればよい。
本変形例4によれば、磁石101においてd軸寄りの部分とq軸寄りの部分とで磁化方向が相違している、すなわち磁石101のd軸側とq軸側とで磁化方向の角度が相違している。これにより、磁石101よりも固定子30側において、d軸からq軸までの間における特定箇所で磁束を集めることができ、磁石磁束の強化を図ることができる。
また、磁石101において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とのうちd軸寄りの部分では、q軸寄りの部分よりも磁化方向がd軸に平行になっていることにより、q軸寄りの部分において、d軸寄りの部分に比べて磁石磁路長が長くなる。そのため、q軸における磁石磁束を強化し、磁石のq軸側端部における反磁界に対する減磁対策を適正に図ることができる。また、d軸における磁石磁路長を最短にすることができるため、d軸を挟んで両側の磁石101においてd軸側端部の磁化方向が互いに向き合う側に傾いている場合に、その磁束の相互干渉を抑制できる。これにより、d軸での減磁抑制も可能となる。
さらに、磁石101において、q軸側における磁化方向の磁束作用面に垂直な方向に対する傾きが、d軸側における磁化方向の磁束作用面に垂直な方向に対する傾きよりも大きいこと(すなわち、図28においてθ2>θ1であること)により、q軸側において磁石磁路長を最も長くして、磁石101のq軸側端部における反磁界に対する減磁耐性を強くすることができる。その結果、磁石101のq軸側端部における減磁抑制と磁石トルクの増加とを共に実現できることとなる。
なお、図27に示す構成では、磁石収容孔12がd軸に対して垂直な向きに延びるように直線状に形成されている。そのため、かかる構成によれば、磁石101のd軸寄りの部分とq軸寄りの部分とのうちd軸寄りの部分で、q軸寄りの部分よりも磁化方向をd軸に平行にすることにより、q軸側における磁化方向の磁束作用面に垂直な方向に対する傾きが、d軸側よりも大きくなる構成(すなわち、θ2>θ1となる構成)が実現される。
(変形例5)
図29に示す変形例5では、変形例4と同様に、磁石101において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とで磁化方向が相違している。ただし、本変形例5では、磁石101の磁化方向が変形例4とは異なっており、磁石101において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とのうちq軸寄りの部分では、d軸寄りの部分よりも磁化方向がq軸に平行になっている。磁石101では、d軸からq軸に向かうのに伴い、磁化方向の磁石長さ、すなわち磁化方向における始点から終点までの磁石磁路長が徐々に短くなっている。
この場合、q軸寄りの部分では磁化方向がq軸に平行になっていることで、q軸において、回転子コア11の固定子対向面に直交する向きの磁石磁束、すなわち反磁界に対抗する向きの磁石磁束を強化することができ、磁石101のq軸側端部における反磁界に対する減磁対策を適正に図ることができる。
(変形例6)
図30に示す変形例6では、磁石101の磁化方向が円弧状、すなわち非直線状をなしている。これにより、磁石磁路長を一層長くすることができる。そのため、磁石磁束の一層の強化を図ることができる。
(変形例7)
図31(a)、(b)に示すように、回転子コア11における磁石収容孔12を、d軸を挟んで両側で一対とし、径方向外側に向かうにつれて磁石収容孔12同士の対向間距離が大きくなる略V字状に形成してもよい。図31(a)では、上述の図23と同様に、磁石101の磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ磁束を生じさせる磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きで定められている。
また、図31(b)では、上述の図27と同様に、磁石101において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とで磁化方向を相違させている。この場合特に、磁石101において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とのうちd軸寄りの部分では、q軸寄りの部分よりも磁化方向がd軸に平行になっている。なお、上述の図29と同様に、磁石101において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とのうちq軸寄りの部分では、d軸寄りの部分よりも磁化方向がq軸に平行になっていてもよい。
(変形例8)
図32に示す変形例8では、回転子コア11の磁石収容孔12においてd軸の両側に、磁化方向が非対称となる状態で磁石101が収容されている。この場合、磁石101の磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ磁束を生じさせる磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなっており、さらにd軸に対して一方側及び他方側の両側でいずれも同じ向きとなっている。図32の構成においても、磁石磁路長を長くすることにより、反磁界に対する磁束強化が可能となる。
(変形例9)
図33に示す変形例9では、d軸を挟んで両側の各磁石101を、横断面が台形状をなす2つの磁石111,112を用いて構成している。各磁石111,112は、2つの底角が同じ角度となる等脚台形状をなしており、脚同士を当接させた状態で、固定子30側に凸となる向きで配置されている。各磁石111,112では、一対の脚のうち一方に平行となる向きで磁化方向が定められており、これにより各底辺(上底及び下底)である磁束作用面に対して磁化方向が非垂直の角度で交差するものとなっている。また、各磁石111,112は、磁化方向に平行となる脚同士を当接させているため、d軸の両側では、それぞれ各磁石111,112の磁化方向が同じ向きとなっている。
各磁石111,112は、形状、寸法、磁化方向を同一とする同じ品番の磁石である。この場合、図34に示すように、同じ品番の磁石111,112を用意し(図34(a))、一方の磁石112の向きを逆にして、両者を接合するようにしている(図34(b),(c))。ただし、磁石111,112として、底辺長さが互いに異なる磁石を用いることも可能である。
(変形例10)
図35に示す変形例10では、d軸両側の各磁石101に用いる磁石111,112として、2つの底角が異なる角度となる台形状の磁石111,112を用いている。この場合、一方の底角は直角であり、他方の底角は鋭角である。そして、底角が直角となる側の脚同士を当接させた状態で、各磁石111,112が配置されている。
各磁石111,112では、一対の脚のうち底角が鋭角となる側の脚に平行となる向きで磁化方向が定められており、これにより各底辺(上底及び下底)である磁束作用面に対して磁化方向が非垂直の角度で交差するものとなっている。また、q軸側の磁石111は、磁化方向がq軸に垂直又は垂直に近い角度となり、d軸側の磁石112は、磁化方向がd軸に平行又は平行に近い角度となっている。
図36、図37では、図35の構成の一部を変更している。すなわち、これら各構成では、磁石111,112のうちq軸側の磁石111として、磁化方向が磁束作用面に垂直となる磁石を用いている。またこのうち、図37では、d軸側の磁石112を平行四辺形としており、磁化方向が左右両側の辺に平行となっている。磁石111,112の間には、フラックスバリアが設けられている。ただし、磁石111,112の間が、フラックスバリアでなく鉄心であってもよい。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態を、第1実施形態等との相違点を説明する。図38に、本実施形態における回転子10の構成を示す。
図38では、磁石121は、回転子コア11において、q軸側端部が、径方向においてd軸側端部よりも固定子30に近い部位に位置しており、かつq軸側端部とd軸側端部との間において固定子30側に凸となるように設けられている。より具体的には、磁石121の横断面形状が、固定子30側に凸の円弧状であり、特に三日月形状となっている。なお、磁石121は、円弧状に湾曲して固定子30側に凸になっている以外に、複数の直線部分が1カ所又は複数箇所で折れ曲がることにより固定子30側に凸になっていてもよい。
磁石121においては、磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ磁束を生じさせる磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなっている。ただし、磁束作用面に垂直となる向きの磁化方向が含まれていてもよい。磁化方向は、直線状であってもよいし、非直線状(すなわち円弧状)であってもよい。
また本実施形態では、磁石121において、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とで磁化方向を相違させており、特に、d軸寄りの部分とq軸寄りの部分とのうちd軸寄りの部分では、q軸寄りの部分よりも磁化方向をd軸に平行になるようにしている。なお、磁石121において、q軸側における磁化方向の磁束作用面に垂直な方向に対する傾きが、d軸側における磁化方向の磁束作用面に垂直な方向に対する傾きよりも大きくなっていてもよい。
上記構成によれば、磁石121を回転子コア11の外周面(すなわち固定子対向面)に近づかせることができるため、d軸の磁気抵抗が下がり、トルクを増大させることができる。この場合、固定子30と磁石121との距離を縮めることで、その背反として反磁界が増大するが、その反磁界増大の影響を、磁石121において上記のとおり磁路長を長くすることにより解消できる。
また、本実施形態の構成によれば、回転子コア11において、磁石121(すなわち磁石収容孔12)よりも固定子30側であって、かつ固定子30と磁石121との両磁束の総和を受ける部分の割合を小さくすることができる。そのため、固定子30と磁石121との両磁束による磁束飽和が生じ得る飽和領域を小さくし、磁石121の能力をより効果的に引き出すことが可能となる。
ここで、本実施形態で用いる磁石121の製造方法について説明する。図39は、磁場配向により磁石121の磁化を行う手法を説明するための説明図である。図39によれば、図38における左側の磁石121の着磁が行われる。
図39に示すように、配向装置130は、磁場コイル131と、磁場コイル131内に配置される配向鉄心132及び金型133とを備えている。磁場コイル131は、通電に伴いコイル内部を通過する磁場を生成する。配向鉄心132は、磁場コイル131にて生成される磁場を所定方向に湾曲させる役割を有しており、配向鉄心132により湾曲された磁場が金型133を通過する。磁場コイル131によれば直線磁場が生成され、配向鉄心132によれば湾曲磁場が生成される。金型133は、非磁性体により形成されており、磁石121の形状に合わせて形成された金型室133aを有している。
磁石121の製造に際しては、金型133の金型室133a内に、磁石原料を粉砕した磁石粉末が充填され、その金型室133a内において磁石粉末が所定形状に圧縮成形される。そして、磁場コイル131内において、配向鉄心132により図示のとおり湾曲した磁場が形成され、金型室133a内の磁石粉末に対して磁場配向が行われる。このとき、磁石粉末はそれぞれの磁化容易方向を揃えるようにして整列され、圧縮により固定される。この場合特に、配向鉄心132は、磁石121の長手方向において片側にオフセットした位置に配置されているとよい。その後、磁石粉末の成形体が焼結される。この一連の工程により、磁石121が製造される。なお、図38における右側の磁石121を製造する場合には、配向鉄心132の位置が変更されればよい。上記により、図38で用いられる磁石121が製造される。
また、図40に示す構成では、磁石121は、回転子コア11において、q軸側端部が、径方向においてd軸側端部よりも固定子30に近い部位に位置しており、かつq軸側端部とd軸側端部との間において反固定子側に凸となるように設けられている。より具体的には、磁石121の横断面形状が、反固定子側に凸の円弧状であり、特に三日月形状となっている。なお、磁石121は、円弧状に湾曲して反固定子側に凸になっている以外に、複数の直線部分が1カ所又は複数箇所で折れ曲がることにより反固定子側に凸になっていてもよい。
磁石121においては、磁化方向が、d軸に対して傾斜し、かつ磁束を生じさせる磁束作用面に対して非垂直の角度で交差する向きとなっている。ただし、磁束作用面に垂直となる向きの磁化方向が含まれていてもよい。磁化方向は、直線状であってもよいし、非直線状(すなわち円弧状)であってもよい。
上記手段によれば、回転子コア11において磁石121よりも固定子30側となる領域が広くなるため、その領域における磁石配置により磁石磁力の増加を図ることができる。
(他の実施形態)
・回転子10として、図41〜図44に示す構成のものを用いることも可能である。
図41に示す回転子10では、d軸を挟んで両側に設けられ、かつ略V字状をなす一対の磁石収容孔12に、それぞれ磁石141が収容されている。すなわち、磁石141がV字配置されている。磁石141は、d軸に対して傾斜する向きで設けられており、その磁化方向はd軸に水平又は平行に近い向きとなっている。この場合、磁石141の磁化方向は、磁石141の磁束作用面に対して非垂直の角度で交差している。また、一対の磁石収容孔12の間であって、かつd軸上となる位置に中央開口部142が設けられている。なお、中央開口部142は、空間であるか、又は非磁性材料が充填された非磁性体部であるとよい。
図42に示す回転子10では、d軸を挟んで両側に設けられ、かつ略V字状をなす一対の磁石収容孔12に、それぞれ磁石143が収容されている。すなわち、磁石143がV字配置されている。磁石143は、d軸に対して傾斜する向きで設けられており、その磁化方向はq軸に垂直又は垂直に近い向きとなっている。この場合、磁石143の磁化方向は、磁石143の磁束作用面に対して非垂直の角度で交差している。また、各磁石収容孔12のd軸側には、フラックスバリア144がそれぞれ設けられている。
図42の構成では、q軸の磁石磁束が強められている。この場合、図示のようにq軸コア部に直接磁力を向けることで、q軸コア部の飽和による弱め界磁効果の促進が期待できる。また、d軸の同極間距離を大きくすることで、d軸減磁(自己減磁)が抑えられている。
図43に示す回転子10では、d軸を挟んで両側に、それぞれ2個ずつの磁石145が設けられている。磁石145は、d軸を挟んで両側にV字配置されている。磁石145は、q軸側端部及びd軸側端部(すなわち磁石端面側)において磁化方向の磁石長さが、中央側の部位における磁化方向の磁石長さよりも長いものとなっている。各磁石145は、固定子側の磁束作用面が磁化方向に垂直な平坦面とされ、反固定子側の磁束作用面が段差面とされており、互いに逆向きにして当接されている。
また、図44に示す回転子10では、d軸を挟んで両側に、それぞれ2個ずつの磁石146が設けられている。磁石146は、d軸を挟んで両側にV字配置されている。磁石146は、q軸側端部及びd軸側端部(すなわち磁石端面側)において磁化方向の磁石長さが、中央側の部位における磁化方向の磁石長さよりも長いものとなっている。各磁石146は、固定子側の磁束作用面が磁化方向に垂直な平坦面とされ、反固定子側の磁束作用面が傾斜面とされており、互いに逆向きにして当接されている。
・上記各構成の磁石(磁石13等)を、複数に分割された分割磁石により実現してもよい。この場合、d軸を挟んで両側それぞれにおいて、磁石長手方向に沿って複数に分割磁石を並べて配置するとよい。これにより、導電体である磁石13の渦損を下げることができる。例えば断面正方形状をなし、かつ磁化方向の異なる複数の磁石(分割磁石)を用い、それらを一列に並べて断面長尺状の磁石13を構成するとよい。これにより、断面長尺状の磁石において可変配向により磁化方向を定めるよりも、磁石の配向率を高めることができる。
・上述した各構成の回転子10では、磁石のq軸側端部及びd軸側端部に、フラックスバリアを任意に設定することが可能である。
・回転子10において、回転子コア11を軸方向に複数に分割するとともに、その各分割コアを所定角度ずつ周方向にずらすことで、回転子10をスキュー構造としてもよい。これにより、トルクリプルを低減することができる。
・回転電機として、回転子10側に磁石(磁石13等)を設けるとともに、固定子30側に固定子巻線33を設ける構成としたものに代えて、固定子30側に磁石(磁石13等)を設けるとともに、回転子10側に固定子巻線33を設ける構成としたものを用いてもよい。この場合、軟磁性体コアとしての固定子コアに、上述した各種形態の磁石収容孔が形成されるとともに、その磁石収容孔内に、上述した各種形態の磁石が収容される。
・回転電機に代えて、他の電動機に本発明を適用することも可能である。例えば、移動体の直線移動を可能とするリニアモータに本発明を適用することが可能である。いずれにしろ、電動機として、巻線に対向する位置に設けられ、巻線の通電により当該巻線に対する相対動作が可能である磁石を備え、複数の磁石が、相対動作の動作方向に極性を交互にして配置されている構成を有するものであればよい。
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
1…回転電機(電動機)、10…回転子(磁気発生装置)、13…磁石、21…主磁石(第1磁石部)、23…補助磁石(第2磁石部)、33…固定子巻線。

Claims (5)

  1. 巻線(33)に対向する位置に設けられ、前記巻線の通電により当該巻線に対する相対動作が可能である磁石(13)を備え、複数の前記磁石が、前記相対動作の動作方向に極性を交互にして配置されている電動機(1)に適用され、
    前記磁石は、
    磁極中心であるd軸を挟んで両側に互いに離間した状態で一対の磁石として設けられ、磁石内部の磁化方向が、前記d軸に対して傾斜し、かつ前記巻線側及び反巻線側のうち前記巻線側で交差する向きになっている第1磁石部(21)と、
    前記第1磁石部における前記一対の磁石のd軸側端部の側に設けられ、前記磁化方向が、前記第1磁石部の前記磁化方向に交差する向きとなっている第2磁石部(23,41)と、
    を有し、
    前記第1磁石部における前記一対の磁石のd軸側端部において当該一対の磁石同士で最も近い部位を磁束補強点(P2)とし、その磁束補強点に対して前記第2磁石部による磁束強化を行わせる電動機の磁気発生装置。
  2. 前記電動機は、前記巻線が巻装された巻線側部材(30)と、前記巻線側部材に対して径方向に対向配置され、前記磁石を有する磁石側部材(10)とを備える回転電機(1)であり、前記磁石側部材として用いられる電動機の磁気発生装置であって、
    前記磁石側部材は、磁極ごとにd軸を挟んで両側に位置するように設けられた複数の磁石収容孔(12)を有する軟磁性体コア(11)を含み、
    前記磁石収容孔内に、前記第1磁石部及び前記第2磁石部が収容されている請求項1に記載の電動機の磁気発生装置。
  3. 前記磁石収容孔が、d軸を挟んで両側に対称形で設けられており、かつ、前記磁石が、d軸を挟んで両側に対称に配置されている請求項2に記載の電動機の磁気発生装置。
  4. 前記磁石収容孔は、前記第1磁石部における前記一対の磁石の間に、d軸側に拡張されたd軸側拡張部分を有しており、
    前記d軸側拡張部分に、前記第2磁石部が設けられるとともに、その第2磁石部よりもd軸側にフラックスバリア(25)が設けられている請求項2又は3に記載の電動機の磁気発生装置。
  5. 前記第1磁石部の前記磁化方向と、前記第2磁石部の前記磁化方向とのなす角度が鋭角である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動機の磁気発生装置。
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