以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下では、本発明を遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシン10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、スロットマシン10の斜視図であり、図2は、スロットマシン10の正面図であり、図3は、前面扉12を開いた状態のスロットマシン10の斜視図であり、図4は、前面扉12の背面図であり、図5は、筐体11の正面図である。
〔遊技機の全体構造〕
図1から図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製のパネルを組み合わせて、全体として前面を開放した箱状に形成されており、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。なお、筐体11は、木製のパネルによって構成されるものに限らず、合成樹脂製パネルまたは金属製パネルによって構成されてもよいし、合成樹脂材料または金属材料によって一体の箱状に形成されたものでもよい。筺体11の側面上部には、筺体11の内部から外部に通じる開口11aが貫通形成されている。筺体11の側面下部には、スロットマシン10を運搬する際に利用される取手部11bが設けられている。
筐体11の前面側には、前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11には、その正面から見て左側部に上下三箇所の支軸13a,13b,13c(図5参照)が設けられており、前面扉12には、各支軸13a,13b,13cと対応する位置に軸受部14a,14b,14c(図4参照)が設けられている。そして、各軸受部14a,14b,14cに各支軸13a,13b,13cが挿入された状態では、前面扉12が筐体11に対して各支軸13a,13b,13cを結ぶ上下方向に延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、前面扉12の回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖したりすることができるようになっている。
また、前面扉12において開閉軸の反対側(正面から見て右側)には、その背面に施錠装置15が設けられ、筐体11における施錠装置15に対応した位置には錠受部16が設けられている。この施錠装置15は、筐体11に対して閉鎖した前面扉12を開放不能な施錠状態とするものである。前面扉12の前面右端部には、施錠装置15と一体化されたキーシリンダ17が設けられており、キーシリンダ17に対する所定のキー操作によって施錠装置15の施錠状態と解錠状態とが切り替えられるように構成されている。すなわち、キーシリンダ17をキー操作することにより、施錠装置15を錠受部16に係合させて施錠状態とすることで、前面扉12が開放不能となり、施錠装置15と錠受部16との係合を解除して解錠状態とすることで、前面扉12が開放可能となる。なお、キーシリンダ17としては、不正解錠防止機能の高いオムロック(登録商標)が用いられている。
前面扉12の前面中央部には、遊技に関する情報を表示するための遊技パネル20が設けられている。遊技パネル20は、合成樹脂材料から透明に構成されており、遊技パネル20を通じてスロットマシン10の内部が視認可能となっている。この遊技パネル20に対応した前面扉12の背面側には、図3、4に示すように、リールユニット21が取り付けられている。リールユニット21は、後述する主中継基板71から延びる電力の分配配線(不図示)や信号線(不図示)を接続するためのコネクタ21a,21bを備え、主制御装置100によってリールユニット21の動作が制御されるようになっている。
リールユニット21は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール22L,中リール22M,右リール22Rを備えている。各リール22L,22M,22Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール22L,22M,22Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、各リール22L,22M,22Rの表面の一部は遊技パネル20を通じて視認可能な状態となっている。また、各リール22L,22M,22Rが正回転すると、遊技パネル20を通じて各リール22L,22M,22Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように視認される。
ここで、リールユニット21の構成を簡単に説明する。各リール22L,22M,22Rは、それぞれがステッピングモータに連結されており、各ステッピングモータの駆動により各リール22L,22M,22Rが個別に、すなわちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。ステッピングモータは、例えば504パルスの駆動信号(以下、励磁パルスとも言う)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータの回転位置、すなわちリールの回転位置が制御される。また、リールユニット21には、リールが1回転したことを検出するためのリールインデックスセンサが各リール22L,22M,22Rに設置されている。そして、リールインデックスセンサからは、リールが1回転したことを検出した場合、その検出の都度、後述する主制御装置100に検出信号が出力されるようになっている。このため主制御装置100は、リールインデックスセンサの検出信号と、当該検出信号が入力されるまでに出力した励磁パルス数とに基づいて、各リール22L,22M,22Rの角度位置を1回転毎に確認するとともに補正することができる。
各リール22L,22M,22Rの外周面には、その長辺方向(周回方向)に、識別情報としての図柄が複数個、具体的には、各リール22L,22M,22R毎に、21個の図柄が等間隔に描かれており、そのうち連続する3個の図柄が遊技パネル20の上段、中段、下段の位置にそれぞれ視認可能に構成されている。このため、所定の位置においてある図柄を次の図柄へ切り替えるには、24パルス(=504パルス÷21図柄)の励磁パルスの出力を要する。また、主制御装置100は、リールインデックスセンサの検出信号が入力されてから出力した励磁パルス数により、遊技パネル20から視認可能な状態となっている図柄を把握したり、遊技パネル20から視認可能な位置に所定の図柄を停止させたりする制御を行うことができる。
遊技パネル20の下方左側には、各リール22L,22M,22Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー23が設けられている。スタートレバー23は、遊技者が遊技(ゲーム)を開始するときに手で押し操作(押される方向は限定されない)するレバーであり、所定数のメダルが投入されている状態でスタートレバー23が操作されると、各リール22L,22M,22Rの回転が一斉に(但し、同時である必要はない)開始されるようになっている。
スタートレバー23の右側には、回転している各リール22L,22M,22Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ24L,24M,24Rが設けられている。各ストップスイッチ24L,24M,24Rは、停止対象となるリール22L,22M,22Rに対応して配置されている。すなわち、左ストップスイッチ24Lが操作された場合には左リール22Lの回転が停止し、中ストップスイッチ24Mが操作された場合には中リール22Mの回転が停止し、右ストップスイッチ24Rが操作された場合には右リール22Rの回転が停止する。
遊技パネル20の下方右側には、メダルを投入するためのメダル投入口25が設けられている。メダル投入口25から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられたセレクタ(不図示)によって取込用通路26か排出用通路27のいずれかへ導かれる。そして、取込用通路26に導かれたメダルは、筺体11の内部に収容されたホッパ装置31へと導かれる。一方、排出用通路27に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口28からメダル受け皿29へと導かれ、遊技者に返還される。
ホッパ装置31は、図3、4に示すように、メダルを貯留する貯留タンク32と、メダルを遊技者に払い出す払出装置33とにより構成されている。払出装置33は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路27に設けられた開口27aへメダルを排出し、排出用通路27を介してメダル受け皿30へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置31の右方には、貯留タンク32内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク34が設けられている。ホッパ装置31の貯留タンク32内部には、この貯留タンク32から予備タンク34へとメダルを排出する誘導プレート(不図示)が設けられている。したがって、誘導プレートが設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク34に貯留されることとなる。
図1、2に示すように、スタートレバー23の左方には、精算スイッチ35が設けられている。本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の払出メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状況下で精算スイッチ35が操作された場合、仮想メダルが現実のメダルとしてメダル排出口28からメダル受け皿29に払い出されるようになっている。また、メダル投入口25に投入されたメダルがセレクタ内に詰まった状況下で精算スイッチ35が操作された場合、セレクタが機械的に連動して動作され、当該セレクタ内に詰まったメダルがメダル排出口28から返却されるようになっている。
遊技パネル20の下方左側には、遊技媒体としてのクレジットされた仮想メダルを最大に投入(例えば、一度に3枚投入)するためのMAXBETボタン36が設けられている。また、本実施形態のスロットマシン10には搭載されていないが、MAXBETボタン36の近傍に、仮想メダルを一度に2枚投入するためのボタン(2BETボタン)や、仮想メダルを1枚投入するためのボタン(1BETボタン)が設けられていてもよい。精算スイッチ35およびMAXBETボタン36は、スロットマシン10における主要な遊技操作を行う操作部であることから、これらの操作部からの操作信号は後述する主制御装置100に伝送されて処理される。
遊技パネル20の下方略中央には、情報表示部37が設けられている。情報表示部37は、クレジットされている仮想メダル数や、ボーナス状態が終了するまでに払い出される残りのメダル数、入賞時に払い出したメダルの枚数、等のメダル数に関する情報がそれぞれ表示される7セグメント表示器から構成されている。なお、情報表示部37は、7セグメント表示器によって構成されるものに限らず、表示するメダル数の情報を一画面の中に表示する液晶表示器等によって構成されてもよい。情報表示部37の表示は、主制御装置100によって制御される。
情報表示部37の右方には、3つの演出ボタン38,39,40が設けられている。演出ボタン38は、後述する液晶表示装置55に表示される画像や動画を切り替えたり、上部ランプ51や側部ランプ53の点灯状態を切り替えたりするために用いられる。演出ボタン39,40は、後述するスピーカ57,58,59から出力される効果音のボリュームを増減させるために用いられる。これらの演出ボタン38,39,40からの操作信号は後述するサブ制御装置60に伝送されて処理される。また、メダル受け皿29の上方には、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート41が装着されている。また、メダル受け皿29の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿42が設けられている。
前面扉12の前面側において、上部には、上部ランプ51と左右一対のスピーカグリル52とが設けられ、左右両側辺には、一対の側部ランプ53が設けられ、下段プレート41の両側には、左右一対のスピーカグリル54が設けられている。上部ランプ51および側部ランプ53は、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりすることで演出を行う。また、遊技パネル20の上方には、遊技者に各種情報を与える液晶表示装置55が設けられている。液晶表示装置55は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行したり、電源投入時やエラー発生時にその状態を報知したりするためのものであり、映像を表示する液晶ディスプレイ56を備えて構成されている。
図3、4に示すように、前面扉12の背面側において、上部には、左右一対の上部スピーカ57(図中、右側の上部スピーカは不図示)が設けられ、下部には、左右一対の下部スピーカ58が設けられ、液晶表示装置55の背面には、副スピーカ(ウーファー)59が設けられている。上部スピーカ57は、遊技の進行に伴い種々の効果音を発生し、この効果音がスピーカグリル52を通して前面扉12の前面側に送出される。下部スピーカ58は、遊技者に遊技状態を報知する報知音を発生し、この報知音がスピーカグリル54を通して前面扉12の前面側に送出される。副スピーカ59は、遊技の進行に伴い重低音等の効果音を発生するものである。
液晶表示装置55は、液晶ケース55aにより外郭が形成され、その液晶ケース55aに液晶ディスプレイ56(図2参照)および液晶基板(不図示)が収容されて構成されている。液晶基板には、映像出力全般の制御を担うVDP(Video Display Processor)や各種メモリ等の電子部品が搭載されている。液晶ケース55aにはコネクタ口が形成され、液晶基板に搭載されるコネクタ55bがコネクタ口を通して前面扉12の背面側に露出されている。コネクタ55bには、後述するサブ制御装置60から延びる配線(不図示)が接続されるようになっている。
上部ランプ51や側部ランプ53、液晶表示装置55、上部スピーカ57や下部スピーカ58、副スピーカ59は、サブ制御装置60によって制御される。サブ制御装置60は、図3、5に示すように、筐体11の背面板11cの内面に本体ベース80を介して取り付けられている。さらに、本体ベース80には、リールユニット21やホッパ装置31を制御して遊技を統括管理する主制御装置100が取り付けられている。なお、主制御装置100の詳細については後述する。また、筐体11の内部においてホッパ装置31の左方には、電源ボックス70が設けられている。電源ボックス70は、その内部に電源装置(不図示)を収容するとともに、サブ制御装置60や主制御装置100を始めとする各部に電力を供給するための電源スイッチ(不図示)を備えている。
前面扉12の背面側には、図3に示すように、主中継基板71とサブ中継基板72とが設けられている。主中継基板71は、電源ボックス70から主制御装置100を介して供給される電力、および主制御装置100から伝送される制御信号をリールユニット21や、スタートレバー23、ストップスイッチ24L,24M,24R、精算スイッチ35、MAXBETボタン36、情報表示部37等の各部に中継するものである。サブ中継基板72は、電源ボックス70からサブ制御装置60を介して供給される電力、およびサブ制御装置60から伝送される制御信号を演出ボタン38,39,40、液晶表示装置55、上部ランプ51、側部ランプ53、上部スピーカ57、下部スピーカ58、副スピーカ59等の各部に中継するものである。これらの主中継基板71とサブ中継基板72には、それぞれ主制御装置100およびサブ制御装置60からの配線(不図示)を接続する入力コネクタと、各部に接続される分配配線(不図示)を接続する分配コネクタと、が設けられている。
サブ制御装置60は、図5に示すように、基板ケース61により外郭が形成され、その基板ケース61にサブ基板(不図示)が収容されて構成されている。サブ基板には、上部ランプ51や側部ランプ53、上部スピーカ57や下部スピーカ58、副スピーカ59等の主たる制御を担うMPU(Micro Processing Unit)や、各種メモリ等の電子部品の他に、外部との電気的接続を行うための複数のコネクタ62が搭載されている。このサブ基板は、電子部品の搭載面がサブ制御装置60の前面側を向くように基板ケース61に収容されている。基板ケース61は、その背面側を形成するベース部材(不図示)と、前面側を形成するカバー部材63とにより構成されている。カバー部材63にはコネクタ口が開口形成され、コネクタ口を通してコネクタ62が露出されている。
主制御装置100は、基板ケース101により外郭が形成され、その基板ケース101に主基板102(図12、13等参照)が収容されて構成されている。主基板102には、リールユニット21やホッパ装置31等の主たる制御を担うMPU(Micro Processing Unit)や、各種メモリ等の電子部品の他に、外部との電気的接続を行うための複数のコネクタ103が搭載されている。この主基板102は、電子部品の搭載面が主制御装置100の前面側を向くように基板ケース101に収容されている。基板ケース101は、その背面側を形成するベース部材104(図7〜13等参照)と、前面側を形成するカバー部材105とにより構成されている。カバー部材105には複数のコネクタ口106(図13参照)が開口形成され、コネクタ口106を通してコネクタ103が露出されている。また、主制御装置100には、リセットスイッチ107および設定キー挿入孔108が設けられている。
リセットスイッチ107は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ107を押しながら電源をオンすると、バックアップデータがリセット(初期化)されるようになっている。また、電源がオンされている状態でリセットスイッチ107を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔108は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔108へ挿入して回転操作することにより、スロットマシン10の設定状態(各入賞態様の当選確率の設定)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。そして、設定状態が「設定1」に設定された場合、メダル払出枚数の期待値が最も低くなるように入賞態様(役)の抽選を行い、設定状態が「設定6」に設定された場合、メダル払出枚数の期待値が最も高くなるように入賞態様の抽選を行うように構成されている。なお、リセットスイッチ107は、エラー状態をリセットする場合の他に、スロットマシン10の設定状態を変更する場合にも操作される。
〔基板ケースの取付構造〕
次に、図6から図9を参照して、筐体11の本体ベース80に対する主制御装置100の取付構造について説明する。図6は、本体ベース80に主制御装置100を取り付けた状態の正面図である。図7は、本体ベース80に対する主制御装置100の取り付け方法を示す分解斜視図である。図8は、本体ベース80に対する主制御装置100の封止構造90を拡大して示す分解斜視図である。図9(A)、(B)は、本体ベース80に対する主制御装置100の封止構造90を示す断面図である。
本体ベース80は、透明の合成樹脂材料から一体成形された部材であって、筐体11の背面板11cの内面に固定されている。本体ベース80は、図6、7に示すように、上下方向に延びるベース基部81と、このベース基部81の上端部から右側方に延びる上延出部82と、ベース基部81の中間部から右側方に延びる中延出部83と、ベース基部81の下端部から右側方に延びる下延出部84と、を備えて正面視で略E字状に形成されている。上延出部82と中延出部83との間には、背面板11cに固定される上背面部85が設けられ、中延出部83と下延出部84との間には、背面板11cに固定される下背面部86が設けられている。
ベース基部81の前面側には、上延出部82と中延出部83とに亘る上前面部81aが形成されている。上延出部82には、その前面側の下縁に沿うとともに上背面部85と対向して下方に延びる上保持片82aが形成されている。中延出部83には、その前面側の上縁に沿うとともに上背面部85と対向して上方に延びる上保持片83aと、この上保持片83aと上背面部85とに亘って前後方向に延びる上載置面83bと、が形成されている。主制御装置100の基板ケース101は、図7に示すように、本体ベース80の右側から左側にスライドさせるようにして上延出部82と中延出部83との間に挿入される。これにより基板ケース101は、上載置面83bに載置されつつ、上背面部85と上保持片82a,83aとの間に保持され、上下方向および前後方向の移動が規制されるようになっている。
中延出部83には、その前面側の下縁に沿うとともに下背面部86と対向して下方に延びる下保持片83cが形成されている。下延出部84には、その前面側の上縁に沿うとともに下背面部86と対向して上方に延びる下保持片84aと、この下保持片84aと下背面部86とに亘って前後方向に延びる下載置面84bと、が形成されている。サブ制御装置60の基板ケース61(図5参照)は、本体ベース80の右側から左側にスライドさせるようにして中延出部83と下延出部84との間に挿入される。これにより基板ケース61は、下載置面84bに載置されつつ、下背面部86と下保持片83c,84aとの間に保持され、上下方向および前後方向の移動が規制されるようになっている。
本体ベース80には、上配線フック87と、下配線フック88と、が設けられている。上配線フック87は、ベース基部81の上端部側に設けられ、前方側かつ上方に折れ曲がった鉤状に形成されている。この上配線フック87は、主制御装置100のコネクタ103に接続される複数の配線をまとめて保持するものである。下配線フック88は、ベース基部81の下端部側に設けられ、前方側かつ上方に折れ曲がった鉤状に形成されている。下配線フック88は、サブ制御装置60のコネクタ62に接続される複数の配線をまとめて保持するものである。このように主制御装置100およびサブ制御装置60からの配線を上配線フック87および下配線フック88に保持させておくことで、前面扉12を筐体11に対して開閉する際あるいは開放した際に、配線に余計な張力が作用するのを防ぎ、コネクタ62,103からの予期せぬ配線抜けが防止できるようになっている。
本体ベース80および主制御装置100には、ベース基部81と基板ケース101とを互いに封印結合する封止構造90が設けられている。封止構造90は、本体ベース80の上前面部81aに設けられる係合受け部81bと、基板ケース101のカバー部材105に設けられる係合突部110と、係合受け部81bおよび係合突部110に係合する封印ピン91と、によって構成されている。係合受け部81bおよび係合突部110は、それぞれ一対ずつ設けられており、一対からいずれか一方(図6〜9では下側の係合受け部81bおよび係合突部110)を選択して封印ピン91を係合させることで、本体ベース80に対して基板ケース101が封印結合されるようになっている。
図9は、封止構造90を示す断面図であり、(A)は、図6にA−A線で示す水平断面図であり、(B)は、図6にB−B線で示す鉛直断面図である。図8、9に示すように、係合受け部81bは、上前面部81aから背面側に後退した受け凹部81cと、この受け凹部81cの底面に設けられた受け孔部81dと、を有して形成されている。係合突部110は、基板ケース101のカバー部材105から延びる一対の連結部111と、これらの連結部111に支持された環状の係合環部112と、を有して形成され、係合環部112の中央に係合孔部113が形成されている。一対の連結部111の基端部には、その断面を縮小するノッチ114が形成されており、このノッチ114部分を切断する(破壊する)ことで、カバー部材105から係合突部110が切り離されるようになっている。
封印ピン91は、筒状の第1ピン部材92と、この第1ピン部材92に挿入可能な第2ピン部材93と、から構成されている。第1ピン部材92は、係合環部112に嵌る径をもつ大径部92aと、この大径部92aから係合方向前方に延びる小径部92bと、小径部92bを貫通する挿通孔部92cと、小径部92bよりも係合方向前方にさらに延びる一対の係合片部92dおよび一対の延出片部92eと、を有している。小径部92bの先端には、係合爪92fが形成され、係合片部92dの先端には、係合爪92gが形成されている。第2ピン部材93は、第1ピン部材92の挿通孔部92cに嵌る径をもつ頭部93aと、この頭部93aから係合方向前方に延びる規制片部93bと、頭部93aの前方に設けられる第1係合爪93cと、規制片部93bの先端に設けられる第2係合爪93dと、を有して形成されている。
このような封印ピン91を用いて本体ベース80に基板ケース101を封止する手順を説明する。先ず、図7に示すように、主制御装置100を本体ベース80の右側から左側に移動させ、本体ベース80の上延出部82と中延出部83との間に基板ケース101をスライドさせて、係合受け部81bの受け凹部81cに係合突部110が重なる位置まで挿入する。受け凹部81cと係合突部110とが重なることで、挿通孔部92cと係合孔部113とが連通されるようになっている。
次に、第1ピン部材92を係合孔部113から挿入し、小径部92b、一対の係合片部92dおよび一対の延出片部92eを受け孔部81dに挿入する。さらに、第1ピン部材92を押し込むことで、その大径部92aを係合環部112の内側に嵌め込むとともに、小径部92bの係合爪92fを受け孔部81dの入り口側の縁に係合させ、一対の係合片部92dの係合爪92gを受け孔部81dの奥側の縁に係合させる。このように第1ピン部材92を係合突部110および係合受け部81bに係合させることで、基板ケース101が本体ベース80に対して移動不能となる。
第1ピン部材92の係合に続いて、その挿通孔部92cを通して一対の係合片部92dおよび一対の延出片部92eで囲まれた内部に第2ピン部材93の規制片部93bを挿入する。さらに、第2ピン部材93を押し込むことで、その頭部93aを第1ピン部材92の挿通孔部92cに嵌め込むとともに、第1係合爪93cを挿通孔部92cの奥側の縁に係合させ、第2係合爪93dを一対の延出片部92eの先端に係合させる。このように第1ピン部材92に挿入されて係合された第2ピン部材93は、その頭部93aが挿通孔部92cに隙間なく嵌め込まれることで、外部からの操作が困難であり、実質的に第2ピン部材93を第1ピン部材92から取り外すことができなくなっている。
第1ピン部材92は、大径部92aが係合環部112に嵌まり、小径部92bが係合孔部113および受け孔部81dに挿入され、係合爪92f,92gが受け孔部81dに係合している。さらに、第1ピン部材92は、その挿通孔部92cに第2ピン部材93の頭部93aが挿入されることで、小径部92bの係合爪92fの移動が規制され、一対の係合片部92dの間に第2ピン部材93の規制片部93bが挿入されることで、係合爪92gの移動が規制される。したがって、係合爪92f,92gが受け孔部81dから外れることがなく、第1ピン部材92は、係合突部110および係合受け部81bから実質的に取り外すことができなくなっている。
以上のように、第1ピン部材92が係合突部110および係合受け部81bから取り外し不能に係合することで、本体ベース80に対して基板ケース101が取り外し不能に封止される。このような封止構造90によって封印結合された基板ケース101(主制御装置100)を本体ベース80から取り外す場合には、係合突部110の連結部111をノッチ114で切断し、カバー部材105から係合突部110を切り離すことで、封印結合を解除する。このように連結部111を切断しなければ基板ケース101が取り外せないようにすることで、不正に主制御装置100が取り外されたことが判別できるようになっている。
一方、正規の目的で連結部111を切断して封印結合を解除し、主制御装置100が取り外した場合には、基板ケース101に残った係合突部110と、これに対応する係合受け部81bと、を利用して再び主制御装置100を本体ベース80に封印結合することができる。すなわち、一対ずつ設けられた係合受け部81bおよび係合突部110の他方(図6〜9では上側の係合受け部81bおよび係合突部110)を選択し、これらに封印ピン91を係合させることで、本体ベース80に対して主基板ケース101が封印結合されるようになっている。この際、先に切り離されて本体ベース80に残った係合突部110および封印ピン91は、係合受け部81bの裏面側から第2ピン部材93の係合を解除し、さらに第1ピン部材92の係合を解除することで、係合受け部81bから取り外すことができるようになっている。
〔第1実施形態の基板ケース〕
以下、本発明の第1実施形態の基板ケースを図10〜図23に基づいて説明する。図10は、第1実施形態における主制御装置100の正面斜視図である。図11は、主制御装置の背面斜視図である。図12(A)は、主制御装置100の正面図であり、(B)は、(A)のA−A線における断面図であり、(C)は、(A)のB−B線における断面図である。図13は、主制御装置100の正面分解斜視図である。
主制御装置100は、前述したように、基板ケース101と、主基板102と、を備え、基板ケース101は、第1ケース体(第1部材)としての背面側のベース部材104と、第2ケース体(第2部材)としての前面側のカバー部材105と、により構成されている。カバー部材105には、主基板102のコネクタ103を露出させる複数のコネクタ口106と、本体ベース80に封止結合される係合突部110と、が設けられている。
ベース部材104は、前面側が開口した略直方体の箱型に形成され、背面部120と、上面部121と、下面部122と、左右一対の側面部123,124と、を備えている。背面部120のケース内面側には、四隅近傍から立設されたボス部125が設けられ、これらのボス部125に主基板102が固定されている。背面部120のケース外面側には、その略中心から突出した回転中心部としての中心突起126が設けられ、この中心突起126が後述する回転支持部である支持凹部12aに挿入可能になっている。
カバー部材105は、背面側が開口した略直方体の箱型に形成され、前面部130と、上面部131と、下面部132と、左右一対の側面部133,134と、を備えている。前面部130のうち、正面視で左側に位置する略1/3の範囲は、背面側に一段下がった後退面135とされ、この後退面135に複数のコネクタ口106と係合突部110とが形成されている。また、前面部130には、前述したリセットスイッチ107および設定キー挿入孔108を露出させる開口136が設けられている。
基板ケース101は、ベース部材104およびカバー部材105の上面部121,131同士、下面部122,132同士、側面部123,124,133,134同士を、それぞれ突き合わせることで閉じられ、これにより主基板102を収容する収容空間Sが構成されている。基板ケース101には、ベース部材104とカバー部材105とを組み合わせた状態で封止する封止手段としての第1封止構造140および第2封止構造150が設けられている。第1封止構造140は、左側の側面部123,133および右側の側面部124,134の各上下方向の中心部に設けられ、第2封止構造150は、上面部121,131および下面部122,132の各左右方向の中心部に設けられている。
以下、基板ケース101の第1封止構造140および第2封止構造150について図14〜図21も参照して詳しく説明する。図14は、主制御装置100の基板ケース101を正面側から見た分解斜視図である。図15は、主制御装置100の基板ケース101を背面側から見た分解斜視図である。図16は、基板ケース101における第1封止構造140の一部を正面側から見た分解斜視図である。図17は、第1封止構造140を背面側から見た分解斜視図である。
第1封止構造140は、ベース部材104に設けられる第1封止部141と、カバー部材105に設けられる第2封止部142と、第1封止部141と第2封止部142とに亘って移動自在に設けられる移動部材143と、を備える。この第1封止構造140は、ベース部材104とカバー部材105とを組み合わせて基板ケース101を閉じることで、第1封止部141と第2封止部142とが互いに嵌め合わされ、第1封止部141と第2封止部142とで囲まれた内部に移動部材143が支持されるようになっている。
第1封止部141は、図16に示すように、ベース部材104の側面部124(または、側面部123)からケース内部側に凹んで形成されており、側面部124(,123)からケース内方に折れ曲がる上下一対の対向面部141aと、これら一対の対向面部141aを連結して側面部124(,123)に平行な底面部141bと、底面部141bに立設された筒状部141cと、を有している。一対の対向面部141aは、側面部124(,123)の側の間隔距離が大きく、底面部141bの側の間隔距離が小さくなる段付き状に形成されている。また、第1封止部141の内部に面する背面部120には、複数の凹凸が並んだ凹凸面部141dが設けられている。
第2封止部142は、図17に示すように、カバー部材105の側面部134(または、側面部133)から背面側(ベース部材104側)に延出する延出面部142aと、この延出面部142aに直交してケース内部側に延びる突出面部142bと、延出面部142aの内面に立設された筒状部142cと、延出面部142aの上下端縁に沿ってケース内部側に延びる一対のリブ部142dと、を有している。延出面部142aおよび突出面部142bの内面には、複数の凹凸が並んだ凹凸面部142e,142fが設けられている。一対のリブ部142dは、第1封止部141の一対の対向面部141a間に挿入可能な間隔で設けられている。
移動部材143は、金属材料から形成された円柱状部材であって、その両端部にはテーパが形成されている。第1封止部141の筒状部141cは、移動部材143を挿入可能な第2凹部であって、筒状部141cの内部の長さ寸法(第2凹部の深さ)は、移動部材143の長さ寸法の略半分になっている。第2封止部142の筒状部142cは、移動部材143を収容可能な第1凹部であって、筒状部142cの内部の長さ寸法(第1凹部の深さ)は、移動部材143の長さ寸法よりも若干長く形成されている。これらの筒状部141c,142cの内径は、移動部材143の径寸法よりも若干大きく形成され、筒状部141c,142cの内部において移動部材143が円滑に往復移動可能に構成されている。
図18(A)、(B)は、第1封止構造140の動作を示す断面図である。図18に示すように、ベース部材104とカバー部材105とを組み合わせて基板ケース101を閉じると、第1封止構造140には、第1封止部141と第2封止部142とで囲まれた封止空間S1が形成される。この封止空間S1は、ベース部材104の背面部120と、第1封止部141の一対の対向面部141aおよび底面部141bと、第2封止部142の延出面部142aおよび突出面部142bと、によって六面が構成された略立方体状の閉鎖空間である。この際、背面部120、延出面部142aおよび突出面部142bの各内面に凹凸面部141d,142e,142fが設けられていることで、基板ケース101の外部から封止空間S1の内部が認識できないあるいは認識しにくくなっており、すなわち、凹凸面部141d,142e,142fによって不透明部が構成されている。
なお、不透明部としては、凹凸面部141d,142e,142fによって構成されるものに限らず、不透明な塗料等で着色した着色部によって構成されてもよく、あるいは白化加工によるものや、不透明シート等を貼付したものでもよい。さらに、不透明部は、背面部120、延出面部142aおよび突出面部142bに設けられるものに限らず、筒状部141c,142cに設けられていてもよく、この場合、筒状部141c,142c自体が不透明に形成されてもよいし、筒状部141c,142cの内部に金属製等の不透明な筒部材を設けることで、外部から移動部材153が視認不能になるように構成してもよい。
基板ケース101の閉鎖状態において、筒状部141c,142cが互いに連通することで、移動部材143が往復移動可能な移動空間S2が構成されている。図18(A)に示すように、移動部材143が基板ケース101の外方側(延出面部142a側)に移動し、第2封止部142の筒状部142cに収容された状態は、移動部材143によって筒状部141c,142c同士が係止されず、すなわち、移動部材143が非係止位置に位置した状態である。移動部材143が非係止位置に位置すると、第1封止部141と第2封止部142とが互いに係止されないことから、第1封止構造140が非封止状態となる。
基板ケース101を閉鎖する際には、第2封止部142の筒状部142cに移動部材143を収容してから、ベース部材104とカバー部材105とを重ね、第1封止部141と第2封止部142と嵌め合わせることで、構成される移動空間S2内部に移動部材143が支持される。第1封止部141と第2封止部142と嵌め合わせてから、基板ケース101を傾けることで、図18(B)に示すように、移動部材143が基板ケース101の内方側(底面部141b側)に移動させる。移動した移動部材143が筒状部141c,142cに跨って位置することで、移動部材143によって筒状部141c,142c同士が係止された状態、すなわち、移動部材143が係止位置に位置した状態となる。このように移動部材143が係止位置に位置することで、第1封止部141と第2封止部142とが互いに係止されることとなり、したがって第1封止構造140が封止状態となる。
ここで、第1封止構造140は、基板ケース101の左右に一対で設けられていることから、基板ケース101を傾けて重力によって移動部材143を非係止位置に移動させようとした場合、一方の第1封止構造140における移動部材143は非係止位置に移動したとしても、他方の第1封止構造140における移動部材143は係止位置にとどまることから、いずれかの第1封止構造140における封止状態が維持されるようになっている。
図19は、基板ケース101における第2封止構造150の一部を正面側から見た分解斜視図である。図20は、第2封止構造150を背面側から見た分解斜視図である。第2封止構造150は、ベース部材104に設けられる第1封止部151と、カバー部材105に設けられる第2封止部152と、第1封止部151と第2封止部152とに亘って移動自在に設けられる移動部材153と、第1封止部151に係合するとともに移動部材153の移動を規制する規制部材154と、を備える。この第2封止構造150は、ベース部材104とカバー部材105とを組み合わせて基板ケース101を閉じることで、第1封止部151と第2封止部152とが互いに嵌め合わされ、第1封止部151と第2封止部152とで囲まれた内部に移動部材153が支持されるようになっている。
第1封止部151は、図19に示すように、ベース部材104の下面部122(または、上面部121)からケース内部側に凹んで形成されており、下面部122(,121)からケース内方に折れ曲がる左右一対の対向面部151aと、これら一対の対向面部151aを連結して下面部122(,121)に平行な底面部151bと、底面部151bに立設された筒状部151cと、を有している。一対の対向面部151aは、下面部122(,121)の側の間隔距離が大きく、底面部151bの側の間隔距離が小さくなる段付き状に形成されている。また、第1封止部151の内部に面する背面部120には、複数の凹凸が並んだ凹凸面部151dが設けられている。さらに、背面部120には、規制部材154を挿通させる貫通孔155と、規制部材154が係合する一対の被係合部156と、が設けられている。
第2封止部152は、図20に示すように、カバー部材105の下面部132(または、上面部131)から背面側(ベース部材104側)に延出する延出面部152aと、この延出面部152aに直交してケース内部側に延びる突出面部152bと、延出面部152aの内面に立設された筒状部152cと、延出面部152aの左右端縁に沿ってケース内部側に延びる一対のリブ部152dと、を有している。延出面部152aおよび突出面部152bの内面には、複数の凹凸が並んだ凹凸面部152e,152fが設けられている。一対のリブ部152dは、第1封止部151の一対の対向面部151a間に挿入可能な間隔で設けられている。さらに、延出面部152aには、規制部材154の延出片部154bを挿通させる挿入凹部157が設けられている。
移動部材153は、金属材料から形成された円柱状部材であって、その両端部にはテーパが形成されている。第1封止部151の筒状部151cは、移動部材153を挿入可能な第2凹部であって、筒状部151cの内部の長さ寸法(第2凹部の深さ)は、移動部材153の長さ寸法の略半分になっている。第2封止部152の筒状部152cは、移動部材153を収容可能な第1凹部であって、筒状部152cの内部の長さ寸法(第1凹部の深さ)は、移動部材153の長さ寸法よりも若干長く形成されている。これらの筒状部151c,152cの内径は、移動部材153の径寸法よりも若干大きく形成され、筒状部151c,152cの内部において移動部材153が円滑に往復移動可能に構成されている。
規制部材154は、図19、20に示すように、略直方体状の規制部材本体154aと、規制部材本体154aの略中央から延出する延出片部154bと、規制部材本体154aの両端部から延出する一対の係合片部154cと、規制部材本体154aにおける延出片部154bと係合片部154cとの間に設けられる切断部154dと、を有して合成樹脂材料から一体成形されている。延出片部154bの先端部には、傾斜面部154eが形成されている。切断部154dは、規制部材本体154aの断面を小さくする切り欠きによって構成され、この切断部154dで規制部材本体154aを切断することで、延出片部154bと係合片部154cとを分断できるようになっている。
貫通孔155は、矩形状に形成され、規制部材本体154aが隙間なく嵌るようになっている。一対の被係合部156は、貫通孔155の両端縁から突出して形成され、係合片部154cが係合することで、規制部材154が第1封止部151から取り外せないようになっている。挿入凹部157は、筒状部152cと直交するとともに貫通孔155に向かって延びており、挿入凹部157の内部と筒状部152cの内部とが連通して形成されている。この挿入凹部157から規制部材154の延出片部154bが挿入されることで、筒状部152cの内部に延出片部154bの先端部が突出するようになっている。
図21(A)〜(C)は、第2封止構造の動作を示す断面図である。図21に示すように、ベース部材104とカバー部材105とを組み合わせて基板ケース101を閉じると、第2封止構造150には、第1封止部151と第2封止部152とで囲まれた封止空間S1が形成される。この封止空間S1は、ベース部材104の背面部120と、第1封止部151の一対の対向面部151aおよび底面部151bと、第2封止部152の延出面部152aおよび突出面部152bと、によって六面が構成された略立方体状の閉鎖空間である。この際、背面部120、延出面部152aおよび突出面部152bの各内面に凹凸面部151d,152e,152fが設けられていることで、基板ケース101の外部から封止空間S1の内部が認識できないあるいは認識しにくくなっており、すなわち、凹凸面部151d,152e,152fによって不透明部が構成されている。
なお、不透明部としては、凹凸面部151d,152e,152fによって構成されるものに限らず、不透明な塗料等で着色した着色部によって構成されてもよく、あるいは白化加工によるものや、不透明シート等を貼付したものでもよい。さらに、不透明部は、背面部120、延出面部152aおよび突出面部152bに設けられるものに限らず、筒状部151c,152cに設けられていてもよく、この場合、筒状部151c,152c自体が不透明に形成されてもよいし、筒状部151c,152cの内部に金属製等の不透明な筒部材を設けることで、外部から移動部材153が視認不能になるように構成してもよい。
基板ケース101の閉鎖状態において、筒状部151c,152cが互いに連通することで、移動部材153が往復移動可能な移動空間S2が構成されている。図21(A)に示すように、移動部材153が基板ケース101の外方側(延出面部152a側)に移動し、第2封止部152の筒状部152cに収容された状態は、移動部材153によって筒状部151c,152c同士が係止されず、すなわち、移動部材153が非係止位置に位置した状態である。移動部材153が非係止位置に位置すると、第1封止部151と第2封止部152とが互いに係止されないことから、第2封止構造150が非封止状態となる。
基板ケース101を閉鎖する際には、第2封止部152の筒状部152cに移動部材153を収容してから、ベース部材104とカバー部材105とを重ね、第1封止部151と第2封止部152と嵌め合わせることで、構成される移動空間S2内部に移動部材153が支持される。非封止状態の第2封止構造150において、規制部材154の延出片部154bおよび係合片部154cを貫通孔155から挿入し、延出片部154bを挿入凹部157から筒状部152cの内部まで挿入することで、図21(B)に示すように、延出片部154bの先端の傾斜面部154eが移動部材153に接触する。さらに規制部材154を押し込むと、傾斜面部154eに押された移動部材153が第1封止部151の筒状部151cに向かって移動する。規制部材本体154aが貫通孔155に嵌り、係合片部154cが被係合部156に係合するまで規制部材154を押し込むと、図21(C)に示すように、延出片部154bの軸部が筒状部152cに入り込み、移動部材153の略半分の長さが筒状部151cに挿入される。
規制部材154を第1封止部151に係合させることで、延出片部154bによって移動部材143が基板ケース101の内方側(底面部141b側)に移動し、筒状部151c,152cに移動部材143が跨った状態となる。このように移動部材153によって筒状部151c,152c同士が係止され、すなわち、移動部材153が係止位置に位置し、この係止位置から非係止位置への移動部材153の移動が規制部材154の延出片部154bによって規制された規制状態となる。したがって、移動部材153が係止位置に規制されることで、第1封止部151と第2封止部152とが互いに係止され、第2封止構造150の封止状態が維持されるようになっている。
このような第2封止構造150の封止を解除する場合には、先ず、規制部材154の係合を解除して筒状部152cから延出片部154bを退避させる必要がある。規制部材154の係合を解除する手順としては、切断部154dを破壊して規制部材本体154aを切断し、延出片部154bと係合片部154cとを分断する。次に、延出片部154bを挿入凹部157および貫通孔155から抜き出し、延出片部154bを筒状部152cから退避させることで、移動部材153の規制を解除する。ただし、規制部材154の延出片部154bによる移動部材153の規制を解除しても、第2封止構造150の封止は解除されない。
すなわち、第2封止構造150は、基板ケース101の上下に一対で設けられていることから、基板ケース101を傾けて重力によって移動部材153を非係止位置に移動させようとした場合、一方の第2封止構造150における移動部材153は非係止位置に移動したとしても、他方の第2封止構造150における移動部材153は係止位置にとどまることから、いずれかの第2封止構造150における封止状態が維持されるようになっている。
以上のように第1封止構造140および第2封止構造150は、それぞれ移動部材143,153が移動空間S2の内部で係止位置と非係止位置との間を往復移動可能になっているものの、基板ケース101を傾けたり振ったりしただけでは4箇所全ての封止構造140,150において同時に、移動部材143,153を非係止位置に移動させることはできなくなっている。また、移動部材143,153は、封止構造140,150の封止空間S1に密閉されるとともに、移動空間S2内部に設けられているため、基板ケース101に対する外部からの直接操作が不能に設けられている。したがって、少なくとも1つまたは2つの移動部材143,153が係止位置に位置することで、基板ケース101の封止状態が維持されている。
このような主制御装置100の基板ケース101を開封する方法について、図22、23に基づいて説明する。図22(A)、(B)は、主制御装置100の開封方法を示す斜視図である。図23(A)〜(C)は、それぞれ主制御装置100の他の開封方法を示す断面図である。移動部材143,153は、間接的な外力が加えられることよって、係止位置から非係止位置に移動され、これにより封止構造140,150の封止が解除される。
図22(A)、(B)に示す開封方法は、基板ケース101を回転させて生じる遠心力により、移動部材143,153を非係止位置に移動させる方法である。ここで、基板ケース101には、前述したように、ベース部材104の背面部120の略中心から突出した中心突起126が設けられている。また、図22(A)に示すように、遊技機本体である前面扉12の上面右側端部には、中心突起126を支持して基板ケース101を回転させるための回転支持部である支持凹部12aが設けられている。
図22(B)に示すように、中心突起126を支持凹部12aに挿入し、鉛直軸回りに基板ケース101を回転させることで、中心突起126を回転中心として外方に向かう遠心力を作用させる。ここで、一対の第1封止構造140は、中心突起126(回転中心)を挟んで互いに反対側に位置し、一対の第2封止構造150は、中心突起126(回転中心)を挟んで互いに反対側に位置している。これにより一対の第1封止構造140には互いに反対向きの遠心力が作用し、一対の第2封止構造150には互いに反対向きの遠心力が作用する。このような遠心力が作用することで、各封止構造140,150の移動部材143,153は、ケース内方側の係止位置から外方側の非係止位置に向かって移動する。
このように4箇所全ての封止構造140,150において、移動部材143,153を非係止位置に移動させて封止が解除される。封止構造140,150の封止を解除したら、基板ケース101を傾けないように水平状態を維持したまま、ベース部材104からカバー部材105を離隔させることで、基板ケース101を開封することができる。なお、回転支持部である支持凹部12aは、前面扉12に設けられるものに限らず、筐体11に設けられていてもよいし、さらには、遊技機本体と別体で設けられていてもよい。
図23(A)〜(C)に示す開封方法は、それぞれ間接的な外力として、磁力、圧力、または押力を用い、これらの外力によって移動部材143,153を非係止位置に移動させる方法である。この方法を利用する場合、前述した基板ケース101の中心突起126および遊技機本体の支持凹部12aが省略されていてもよい。
図23(A)に示す開封方法では、基板ケース101の外部から封止構造140,150に接近させた磁石F1によって、その磁力で吸引して移動部材143,153を非係止位置に移動させる。この場合、移動部材143,153は、磁性体の金属材料から構成されている。なお、移動部材143,153を磁石から構成し、磁性体の金属材料を基板ケース101の外部から封止構造140,150に接近させることで、移動部材143,153を移動させることも可能であるが、主基板102の電気部品等に磁石である移動部材143,153が吸引される可能性があるため、好ましくはない。
図23(B)に示す開封方法では、流体である空気を吐出するエアポンプF2を用い、基板ケース101に設けられた挿通孔127を通して移動空間S2に空気を送り込み、この空気の圧力によって移動部材143,153を非係止位置に移動させる。挿通孔127は、気密性を有した連通路127aと、底面部141bを貫通する貫通孔127bと、を介して筒状部141cに連通されている。なお、流体の圧力としては、エアポンプF2から吐出する空気で移動部材143,153を押して移動させる構成に限らず、エアポンプF2により吸引する空気で移動部材143,153を引いて移動させてもよい。また、圧力を作用させるための流体としては、空気に限らず、他の気体でもよいし、水や油等の液体であってもよい。
図23(C)に示す開封方法では、針状部材として弾性を有した金属製または合成樹脂製のピン部材F3を用い、基板ケース101に設けられた挿通孔128を通して移動空間S2にピン部材F3を差し込み、このピン部材F3で押す押力によって移動部材143,153を非係止位置に移動させる。挿通孔128は、曲面を有してピン部材F3を案内可能な連通路128aと、底面部141bを貫通する貫通孔128bと、を介して筒状部141cに連通されている。なお、図23(B)に示す挿通孔128の位置は、特に限定されるものではなく、ベース部材104に設けられていてもよいし、カバー部材105に設けられていてもよい。
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)封止構造140,150は、第1封止部141,151と、第2封止部142,152と、移動部材143,153と、を備え、移動部材143,153は、基板ケース101に対する外部からの直接操作が不能に設けられている。したがって、移動部材143,153を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった基板ケース101の開封を抑制することができる。
(2)基板ケース101を回転させて生じる遠心力によって、移動部材143,153が係止位置から非係止位置に移動される。このような遠心力の付加方法を知っていれば、移動部材143,153を非係止位置に移動させて基板ケース101を開封することができ、遠心力の付加方法を知らなければ基板ケース101を開封することができないことから、スロットマシン10の主基板102に対する不正行為を低減させることができる。
(3)前面扉12に設けられた支持凹部12aに基板ケース101の中心突起126を支持させ、中心突起126を中心として基板ケース101を回転させることで遠心力を発生させ、この遠心力によって移動部材143,153を非係止位置に移動させることができる。したがって、基板ケース101を回転させるための支持装置や回転機構を別途準備しなくても、スロットマシン10の設置場所において簡単に基板ケース101の開封操作を実施することができる。
(4)第1封止構造140および第2封止構造150は、それぞれ基板ケース101の回転中心(中心突起126を通る軸)を挟んで互いに反対側に位置する一対で構成されているので、遠心力によらずに、例えば重力によって移動部材143,153を移動させようとしても、各一対の封止構造140,150における移動部材143,153を同時に非係止位置に移動させることはできず、基板ケース101の封止力を高めることができる。
(5)図23に示すように、移動部材143,153に加えられる間接的な外力を磁力、圧力または押力とすれば、より確実に移動部材143,153を非係止位置に移動させることができる。この際、図23(A)に示すように、磁石F1の磁力を用いる場合、この磁石F1を準備しなければ移動部材143,153を移動させることができない。図23(B)に示すように、エアポンプF2からの空気の圧力を用いる場合、エアポンプF2を準備しなければ移動部材143,153を移動させることができない。図23(C)に示すように、ピン部材F3の押力を用いる場合、ピン部材F3を準備しなければ移動部材143,153を移動させることができない。したがって、磁力、圧力または押力による移動部材143,153の移動方法を知らなければ、容易に基板ケース101を開封することができず、スロットマシン10の主基板102に対する不正行為を低減させることができる。
(6)基板ケース101のベース部材104およびカバー部材105が透明樹脂材料から形成され、封止構造140,150における各封止空間S1の外方側を囲む位置に不透明部としての凹凸面部141d,142e,142f,151d,152e,152fが設けられている。これにより、基板ケース101の外部から封止空間S1の内部が認識できないあるいは認識しにくくなっていることで、移動部材143,153によって基板ケース101が封止されていることが気づかれにくくなり、不正な基板ケース101の開封をより一層抑制することができる。
(7)封止構造140,150において、筒状部141c,142cが連通するとともに筒状部151c,152cが連通することで、移動部材143,153が往復移動可能な移動空間S2が形成され、この移動空間S2の内部を移動部材143,153が直線的に往復移動することで、係止位置と非係止位置との間を移動部材143,153が円滑に移動することができる。したがって、間接的な外力(遠心力、磁力、圧力または押力)によって移動部材143,153を非係止位置に移動させる際に、移動空間S2の内部で移動部材143,153が引っ掛かって移動不能になる事態が回避でき、基板ケース101の開封動作を確実に実施することができる。
(8)封止構造140,150において、筒状部(第1凹部)142c,152cが移動部材143,153の長さ寸法以上の長さに形成されることで、非係止位置において筒状部142c,152cの内部に移動部材143,153を収容することができる。一方、移動部材143,153の長さ寸法の略半分の長さを有して筒状部(第2凹部)141c,151cが形成されることで、筒状部141c,151cの側に移動部材143,153が移動した係止位置において、移動部材143,153が略半分ずつの長さだけ筒状部142c,152cと筒状部141c,151cとに跨って位置することになり、これらを係止して基板ケース101を封止状態とすることができる。
(9)第2封止構造150は、移動部材153の係止位置からの移動を規制する規制部材154を備え、規制部材154によって規制された移動部材153が係止位置から非係止位置に容易に移動しないので、封止状態を維持して基板ケース101の開封を防止することができる。すなわち、規制部材154の切断部154dを切断して延出片部154bを抜き出し、規制を解除してからでなければ移動部材153を非係止位置に移動させることができない。したがって、基板ケース101を開封するためには、規制部材154の係合を解除する第1ステップと、移動部材153を非係止位置に移動させる第2ステップと、の2ステップの開封動作が必要となる。このように基板ケース101の開封動作を複雑にすることで、スロットマシン10の主基板102に対する不正行為をより一層低減させることができる。
(10)規制部材154が規制部材本体154aと延出片部154bと係合片部154cとを備え、第1封止部151の貫通孔155から延出片部154bおよび係合片部154cを挿入し、被係合部156に係合片部154cを係合させることで、ベース部材104の外部側から内方に向かって押し込むことによって規制部材154を係合させることができる。このような規制部材154の係合動作とともに、第2封止部152の挿入凹部157に延出片部154bが挿入され、延出片部154bによって移動部材153の移動が規制される。したがって、規制部材154の押し込み操作によって、移動部材153の移動を規制して基板ケース101を封止することができる。
(11)規制部材154の延出片部154bの先端部に傾斜面部154eが形成され、傾斜面部154eが摺接して移動部材153を係止位置に向かって移動させることで、規制部材154の押し込み操作と同時に移動部材153による封止を実行することができる。したがって、基板ケース101を封止する際には、移動部材153を係止位置に向かって移動させてから規制部材154を係合させるような二段階の封止動作が必要がなく、移動部材153が非係止位置にある状態から規制部材154の押し込み操作だけで、基板ケース101の封止を完了することができる。
(12)規制部材154の押し込み方向と移動部材153の移動方向とが交差して設けられていることで、係合片部154cと第1封止部151との係合を解除しようとする無理な力によって規制部材154を不正に取り外そうとしても、その無理な力が規制部材154を介して移動部材153を移動させることがない。したがって、無理な力によって規制部材154が取り外されたとしても、移動部材153が係止位置に残ることで、基板ケース101の封止状態を維持することができる。
〔第1実施形態の基板ケースの変形例〕
第1実施形態の基板ケース101では、封止構造140,150がケース周面の4箇所に設けられていたが、封止構造140,150は少なくとも1箇所以上に設けられていればよく、その設置数は特に限定されない。ただし、基板ケース101を単純に傾けるだけで移動部材143,153が非係止位置に移動してしまうことを避けるためには、一対の封止構造140,150がケース周面における互いに反対側の面に設けられていることが好ましい。
また、第1実施形態の基板ケース101では、左右の側面部123,124,133,134に一対の第1封止構造140が設けられ、上面部121,131および下面部122,132に一対の第2封止構造150が設けられていたが、このような構成に限定されず、封止構造140,150を設ける位置は任意に設定可能である。また、第2封止構造150は、第1実施形態の基板ケース101では必須ではなく、第2封止構造150を省略して第1封止構造140だけを設けてもよい。
また、図22に示すように、基板ケース101を回転させた遠心力によって移動部材143,153を非係止位置に移動させる場合には、一対の封止構造140,150における移動部材143,153の係止位置が回転中心(中心突起126)に近い側に設けられ、非係止位置が回転中心から遠い側に設けられることが好ましい。これに対して、図23に示すように、遠心力以外の間接的な外力(磁力、圧力、押力)によって移動部材143,153を移動させる構成の場合には、移動部材143,153の係止位置と非係止位置の向きは特に限定されず、任意の向きに設定すればよい。
また、移動部材143,153を非係止位置に移動させる間接的な外力としては、遠心力、磁力、圧力、押力に限らず、重力であってもよい。間接的な外力が重力である場合には、封止構造140,150が複数箇所に設けられ、基板ケース101を所定の向きに傾けることで、複数箇所の移動部材143,153を非係止位置に向かって移動させることができ、傾ける向きが正しくないと移動部材143,153が非係止位置に移動できないように構成すればよい。すなわち、例えば、2箇所の封止構造140,150において、それぞれの移動部材が非係止位置に向かう方向が90°程度以下の角度で交差して設けられ、それらの非係止位置がともに下方または斜め下方を向くように基板ケース101を傾けることで、それぞれの移動部材を非係止位置に移動させる構成が採用可能である。
〔第2実施形態の基板ケース〕
以下、本発明の第2実施形態の基板ケースを図24〜図26に基づいて説明する。図24は、第2実施形態における主制御装置100の正面分解斜視図である。図25は、主制御装置100の基板ケース101Aを正面側から見た分解斜視図である。図26は、主制御装置100の基板ケース101Aを背面側から見た分解斜視図である。本実施形態の基板ケース101Aは、前記第1実施形態の基板ケース101と略同様の基本構成を備え、前記第1封止構造140に替えて第2封止構造150が設けられている点が相違する。以下、第1実施形態との相違点について詳しく説明し、第1実施形態との共通点については、同一符号を付して説明を省略または簡略する。
基板ケース101Aにおいて、第1実施形態の基板ケース101と同様に上面部121,131および下面部122,132に第2封止構造150が設けられるとともに、左右の側面部123,124,133,134にも一対の第2封止構造150が設けられている。すなわち、基板ケース101Aには、上下左右4箇所に第2封止構造150が設けられている。このような基板ケース101Aでは、ケースの封止状態において、第2封止構造150の移動部材153が規制部材154によって非係止位置への移動が規制され、封止状態が維持されるようになっている。そして、封止を解除する場合には、4箇所の第2封止構造150の各々において、規制部材154を破壊して移動部材153の規制を解除してから、第1実施形態と同様に基板ケース101Aを回転させて生じる遠心力により、移動部材153を非係止位置に移動させる。
なお、本実施形態の基板ケース101Aにおいて、第2封止構造150の移動部材153を非係止位置に移動させる間接的な外力としては、基板ケース101Aを回転させることによる遠心力に限らず、前記第1実施形態の図23(A)〜(C)に示すように、磁力、圧力、または押力であってもよい。
このような本実施形態によれば、前記(1)〜(12)の効果に加え、以下の作用・効果を奏することができる。
(13)4箇所の第2封止構造150全てにおいて、規制部材154の規制を解除する第1ステップと、基板ケース101Aを回転させて移動部材153を非係止位置に移動させる第2ステップと、を実行しないと基板ケース101Aを開封することができない。したがって、基板ケース101の開封動作がより複雑になることで、不正に開封しようとした場合に時間を掛けさせることができ、スロットマシン10の主基板102に対する不正行為をより一層低減させることができる。
〔第2実施形態の基板ケースの変形例〕
第2実施形態の基板ケース101Aでは、第2封止構造150がケース周面の4箇所に設けられていたが、第2封止構造150は少なくとも1箇所以上に設けられていればよく、その設置数は特に限定されない。ただし、規制部材154の規制を解除した後に、基板ケース101Aを単純に傾けるだけで移動部材153が非係止位置に移動してしまうことを避けるためには、一対の第2封止構造150がケース周面における互いに反対側の面に設けられていることが好ましい。
また、第2実施形態の基板ケース101Aでは、ケースの4面にそれぞれ第2封止構造150が設けられていたが、このような構成に限定されず、第2封止構造150を設ける位置は任意に設定可能である。また、基板ケース101Aを回転させた遠心力によって移動部材153を非係止位置に移動させる場合には、第2封止構造150における移動部材153の係止位置が回転中心(中心突起126)に近い側に設けられ、非係止位置が回転中心から遠い側に設けられることが好ましい。これに対して、遠心力以外の間接的な外力(磁力、圧力、押力)によって移動部材153を移動させる構成の場合には、移動部材153の係止位置と非係止位置の向きは特に限定されず、任意の向きに設定すればよい。
また、第2封止構造150において、規制部材154は、ベース部材104の背面部120に設けられた貫通孔155(図19〜21参照)から挿入され、背面部120の内部側に設けられた被係合部156に係合する構成であったが、この構成に限定されない。例えば、カバー部材105の前面部130に貫通孔および被係合部が設けられていてもよいし、基板ケース101Aの周面部(上面部、下面部、側面部)に貫通孔および被係合部が設けられていてもよい。さらに、規制部材は、貫通孔155から挿入されて被係合部156に係合する構成に限らず、背面部や前面部、周面部に沿ってスライド自在に設けられたスライダ状のものでもよいし、背面部や前面部、周面部に対して突没自在に設けられたボタン状のものでもよいし、回転自在に設けられたつまみ状のものでもよい。
第2実施形態の基板ケース101Aでは、第2封止構造150の移動部材153が間接的な外力(遠心力、磁力、圧力、押力)によって非係止位置に移動されるものに限らず、ケース外部からの直接操作によって非係止位置に移動可能に構成されていてもよい。この場合でも、規制部材154の規制を解除する第1ステップと、移動部材153を非係止位置に移動させる第2ステップと、の2ステップの開封動作が必要となり、基板ケース101Aの開封動作を複雑にすることができるので、不正行為を抑制することができる。
〔第3実施形態の基板ケース〕
以下、本発明の第3実施形態の基板ケースを図27〜図29に基づいて説明する。図27は、第3実施形態における主制御装置100の正面斜視図である。図28は、主制御装置100の正面分解斜視図である。図29は、主制御装置100の基板ケース101Bを正面側から見た分解斜視図である。本実施形態の基板ケース101Bは、前記第1実施形態の基板ケース101と略同様の基本構成を備え、前記第2封止構造150に替えて第1封止構造140が設けられている点と、これら4箇所の第1封止構造(第1封止手段)140に加えて第2封止手段としてのケースかしめ構造160を備える点と、が相違する。以下、第1実施形態との相違点について詳しく説明し、第1実施形態との共通点については、同一符号を付して説明を省略または簡略する。
基板ケース101Bにおいて、第1実施形態の基板ケース101と同様に左右の側面部123,124,133,134に第1封止構造140が設けられるとともに、上面部121,131および下面部122,132にも一対の第1封止構造140が設けられている。すなわち、基板ケース101Bには、上下左右4箇所に第1封止構造140が設けられている。このような基板ケース101Bでは、第1実施形態と同様に基板ケース101Bを回転させて生じる遠心力により、4箇所の第1封止構造140全ての移動部材143を非係止位置に移動させることで、封止が解除されるようになっている。
ケースかしめ構造160は、ベース部材104の側面部123から突出して設けられる第1ブラケット161と、カバー部材105の側面部133から突出して設けられる第2ブラケット162と、第1ブラケット161および第2ブラケット162に係合することで基板ケース101Bを封止する封止部材としての封印キャップ163と、を備える。このケースかしめ構造160は、前記特許文献2に記載された第1封印形成部、第2封印形成部およびカバー部材からなる封止構造と略同様である。すなわち、基板ケース101Bを閉じて第1ブラケット161と第2ブラケット162とを重ねた状態で、第1ブラケット161および第2ブラケット162に封印キャップ163を被せて係合させることで、基板ケース101Bが封止されるようになっている。
第1ブラケット161は、ベース部材104の側面部123に連結される連結部161aを有し、この連結部161aを切断することでベース部材104から分離できるようになっている。第2ブラケット162は、カバー部材105の側面部133に連結される連結部162aを有し、この連結部162aを切断することでカバー部材105から分離できるようになっている。封印キャップ163は、その基端部のカバー部163aと、カバー部163aに設けられた切断部163bと、を備え、この切断部163bを切断することで、カバー部163aが開放できるようになっている。
このようなケースかしめ構造160による封止を解除する場合には、先ず、切断部163bを切断してカバー部163aを開放し、第2ブラケット162の連結部162aを露出させる。次に、露出させた連結部162aを切断して第2ブラケット162をカバー部材105から分離する。これによりカバー部材105がベース部材104から離隔可能となり、ケースかしめ構造160の封止が解除される。さらに、連結部161aを切断して第1ブラケット161をベース部材104から分離すれば、分離された第1ブラケット161および第2ブラケット162と封印キャップ163が、基板ケース101Bから取り外されるようになっている。
なお、本実施形態の基板ケース101Aにおいて、第1封止構造140の移動部材143を非係止位置に移動させる間接的な外力としては、基板ケース101Bを回転させることによる遠心力に限らず、前記第1実施形態の図23(A)〜(C)に示すように、磁力、圧力、または押力であってもよい。
このような本実施形態によれば、前記(1)〜(7)の効果に加え、以下の作用・効果を奏することができる。
(14)4箇所の第1封止構造140において、移動部材143を非係止位置に移動させることで封止が解除され、ケースかしめ構造160において、少なくとも封印キャップ163および第2ブラケット162の一部を破壊して係合を解除することで封止が解除される。このように、第1封止構造140およびケースかしめ構造160の二種類の封止構造において、それぞれの封止を解除しなければ、基板ケース101Bが開放できないようになっている。したがって、不正目的をもって基板ケース101Bを開封しようとしても、開封できないかまたは開封するまでに長時間を要することで、スロットマシン10の主基板102に対する不正行為を低減させることができる。
(15)第1封止構造140とケースかしめ構造160とが基板ケース101Bにおける互いに離れた位置に設けられているので、ケースかしめ構造160を発見してその封止を解除できたとしても、第1封止構造140の発見や封止解除までに時間を要することとなり、不正目的による基板ケース101Bの開封を諦めさせる可能性を高めることができる。
(16)ケースかしめ構造160の封止を解除する際に、封印キャップ163の切断部163bを切断してカバー部163aを開放してから、露出させた第2ブラケット162の連結部162aを切断する必要がある。したがって、ケースかしめ構造160の封止解除手順として、二度の切断が必要となることから、基板ケース101Bの開封動作をより複雑にすることができ、不正目的による基板ケース101Bの開封をより困難にすることができる。
〔第3実施形態の基板ケースの変形例〕
第3実施形態の基板ケース101Bでは、第2封止手段としてのケースかしめ構造160がケースの側面部123,133に1箇所だけ設けられていたが、側面部123,133に限らず、上面部121,131や下面部122,132、反対側の側面部124,134、あるいは背面部120や前面部130にケースかしめ構造160が設けられていてもよいし、これらの複数箇所にケースかしめ構造160が設けられていてもよい。また、第1封止構造140は、ケースの4面に設けられるものに限らず、その設置数や設置位置は任意に設定可能である。さらに、第1封止構造140に替えて第2封止構造150が設けられてもよい。
また、ケースかしめ構造160において、封止部材としての封印キャップ163がカバー部163aと切断部163bとを有していたが、封止部材としては、封印キャップ163のような形態に限らず、第1ブラケット161と第2ブラケット162とを係合できるものであればよく、その形態は特に限定されない。さらに、第2封止手段は、基板ケース101Bから突出して設けられるものに限らず、ケース内部側に没入して設けられていてもよい。
〔第4実施形態の封止構造〕
以下、本発明の第4実施形態に係る主制御装置の封止構造を図30〜図38に基づいて説明する。図30は、第4実施形態における主制御装置100の封止構造を示す正面図である。図31は、主制御装置100の封止構造を示す断面図である。図32(A)、(B)は、主制御装置100の封止構造の動作を示す断面図である。本実施形態において主制御装置100の基板ケース101は、前記本体ベース80に対して本体封止部(第2封止手段)としての前記封止構造90によって封止されるとともに、本実施形態の封止構造200によっても封止されている。なお、基板ケースは、前記第1〜第3実施形態のいずれの基板ケース101,101A,101Bであってもよいが、以下では基板ケース101に基づいて説明する。
図30、31に示すように、封止構造200は、第2部材としての本体ベース80に第1部材としての基板ケース101を保持して封止するものであって、基板ケース101に設けられる第1封止部201と、本体ベース80に設けられる第2封止部202と、第1封止部201と第2封止部202とに亘って移動自在に設けられる移動部材203と、を備える。第1封止部201は、基板ケース101における左側の側面部123,133から突出して設けられている。第2封止部202は、本体ベース80のベース基部81における上前面部81aと上背面部85との間に設けられている。
移動部材203は、軸部203aと、軸部203aよりも大径な頭部203bと、を有しており、軸部203aを下にして上下移動自在に設けられている。第1封止部201は、基板ケース101に一体に設けられて突出する突出部210によって構成され、この突出部210の上面には、移動部材203の軸部203aを挿入可能な第2凹部である係止凹部211と、先端側(図30、31の左側)に向かって下方に傾斜した傾斜面部212と、が形成されている。傾斜面部212は、移動部材203の軸部203a先端に摺接することで、移動部材203を上方に移動させることができるようになっている。
第2封止部202は、突出部210を挿入可能な挿入空間221と、移動部材203を収容可能な第1凹部である筒状部222と、を備えている。挿入空間221は、ベース基部81の上前面部81aと、上背面部85と、これらを連結して前後方向に延びる仕切り面部85aと、で囲まれるとともに、主制御装置100側(図30、31の右側)に開口して形成されている。筒状部222は、移動部材203の頭部203bを挿通させるだけの内径を有し、筒状部222の下側には、移動部材203の軸部203aを下方に突出させる挿通孔223が設けられている。このような筒状部222および挿通孔223と係止凹部211とが連通することで、移動部材203が上下に往復移動可能な移動空間S2が形成される。また、筒状部222の上側には、連通部224が連通して設けられ、ベース基部81の上前面部81aには、連通部224を開口させる挿通孔225が設けられている。
以上の封止構造200において、移動部材203は、基板ケース101および本体ベース80に対する外部からの直接操作が不能であるとともに、間接的な外力が加えられることよって、第1封止部201と第2封止部202とを係止する係止位置と、係止が解除される非係止位置と、の間を移動可能に設けられている。また、封止構造200が設けられる本体ベース80の上前面部81aには、移動部材203が外部から視認不能となるよう、不透明部が設けられている。この不透明部としては、前記第1〜第3実施形態の基板ケース101,101A,101Bに設けられたような凹凸面部であってもよいし、不透明な塗料等で着色した着色部であってもよく、さらには透明合成樹脂を白化させたり、不透明シート等を貼付したりして不透明部を形成してもよい。さらには、移動空間S2を構成する係止凹部211および筒状部222に金属製等の不透明な筒部材を設けることで、移動空間S2内部の移動部材203が外部から視認不能となるように構成してもよい。
封止構造200では、図31に示すように、基板ケース101を本体ベース80に向かって移動させ、突出部210を挿入空間221に挿入することで、傾斜面部212を移動部材203の軸部203a先端に摺接させ、移動部材203を上方に移動させて、筒状部222の内部に後退させる。さらに、突出部210を挿入空間221に挿入し、係止凹部211が挿通孔223の下方に位置し、これらの係止凹部211、筒状部222および挿通孔223によって移動空間S2が構成されることで、移動部材203が重力により下降して軸部203aが係止凹部211に挿入される。図32(A)に示すように、移動部材203の軸部203aが係止凹部211に挿入されることにより、移動部材203が係止位置に位置し、基板ケース101が本体ベース80に封止される。
封止構造200による封止を解除する場合には、図32(B)に示すように、間接的な外力の一例として流体である空気の吸引力(圧力)によって、移動部材203を非係止位置に移動させる封止解除方法を採用する。具体的には、空気を吸入するエアポンプF2を用い、挿通孔225および連通部224を通して筒状部222の空気を吸引し、この空気の吸引力によって移動部材203を上昇させ、筒状部222の内部に後退させた非係止位置に移動させる。このように移動部材203を非係止位置に移動させた状態で突出部210を挿入空間221から抜き出すことで、基板ケース101を本体ベース80から取り外せるようになっている。
図33(A)、(B)は、第4実施形態における第1変形例の封止構造200Aを示す正面図および断面図である。図34(A)、(B)は、第1変形例の封止構造200Aの動作を示す断面図である。本実施形態の第1変形例の封止構造200Aは、第1封止部201、第2封止部202、および移動部材203に加えて、移動部材203の係止位置から非係止位置への移動を規制する規制部材204を備えている。第2封止部202には、ベース基部81の上前面部81aから筒状部222に連通する貫通孔226と、貫通孔226の上下において規制部材204が係合するための被係合部227と、が形成されている。
規制部材204は、前記第1、第2実施形態の規制部材154と略同様に、略直方体状の規制部材本体231と、規制部材本体231の略中央から延出する延出片部232と、規制部材本体231の両端部から延出する一対の係合片部233と、規制部材本体231における延出片部232と係合片部233との間に設けられる切断部234と、を有して合成樹脂材料から一体成形されている。この規制部材204は、図33(A)に示すように、延出片部232を貫通孔226から筒状部222に挿入するとともに、一対の係合片部233を被係合部227に係合させることで、本体ベース80に取り付けられる。その際、延出片部232が移動部材203の上方に位置することで、移動部材203の非係止位置への移動が規制され、封止構造200Aによる本体ベース80に対する基板ケース101の封止状態が維持されるようになっている。
封止構造200Aによる封止を解除する場合には、先ず、図34(A)に示すように、切断部234を破壊して規制部材本体231を切断し、延出片部232と係合片部233とを分断する。次に、延出片部232を貫通孔226から抜き出して筒状部222から退避させることで、移動部材203の規制を解除する。次に、図34(B)に示すように、間接的な外力の一例として磁石F1による磁力を用い、貫通孔226から筒状部222に磁石F1を挿入して、その磁力で吸引して移動部材203を上昇させて非係止位置に移動させる。この場合、移動部材203は、磁性体の金属材料から構成されている。このように移動部材203を非係止位置に移動させた状態で突出部210を挿入空間221から抜き出すことで、基板ケース101を本体ベース80から取り外せるようになっている。
図35(A)、(B)は、第4実施形態における第2変形例の封止構造200Bを示す正面図および断面図である。図36(A)、(B)は、第2変形例の封止構造200Bの動作を示す断面図である。第2変形例の封止構造200Bは、前記第1変形例の封止構造200Aと同様に、第1封止部201、第2封止部202、移動部材203、および規制部材204を備えている。一方、第1変形例の封止構造200Aと相違し、第2封止部202において、挿入空間221と貫通孔226とが筒状部222に対して上下反転して設けられている。すなわち、第1封止部201の突出部210が挿入される挿入空間221の下側に、移動部材203が収容される第1凹部である筒状部222が設けられ、この筒状部222の下側に、規制部材204が挿入される貫通孔226が設けられている。
筒状部222には、移動部材203の上下移動範囲を規定し、移動部材203の抜け出しを制限するガイド部222aが形成されている。移動部材203には、ガイド部222aに案内されるピン203cが長さ方向中央から側方に突出して設けられている。第1封止部201における第2凹部である係止凹部211は、突出部210の下面に設けられ、筒状部222から上方に突出した移動部材203が挿入可能になっている。
規制部材204は、前記第1変形例の封止構造200Aと同様に、規制部材本体231、延出片部232、一対の係合片部233、および切断部234を有するとともに、延出片部232の上面先端部に傾斜面部235が形成されている。この規制部材204は、図36(A)に示すように、延出片部232を貫通孔226に挿入することで、傾斜面部235が移動部材203の下端部に摺接し、これにより移動部材203を上方の係止位置に移動させるようになっている。さらに、一対の係合片部233を被係合部227に係合させることで、本体ベース80に取り付けられ、延出片部232が移動部材203の下方への移動が規制される。したがって、移動部材203の非係止位置への移動が規制され、封止構造200Bによる本体ベース80に対する基板ケース101の封止状態が維持されるようになっている。
封止構造200Bによる封止を解除する場合には、図36(B)に示すように、切断部234を破壊して規制部材本体231を切断し、延出片部232と係合片部233とを分断する。次に、延出片部232を貫通孔226から抜き出して筒状部222の下方から退避させることで、移動部材203の規制を解除する。このように移動部材203の規制を解除することで、間接的な外力の一例として重力によって移動部材203が下降して非係止位置に移動する。その後、突出部210を挿入空間221から抜き出すことで、基板ケース101を本体ベース80から取り外せるようになっている。
図37(A)、(B)は、第4実施形態における第3変形例の封止構造200Cを示す断面図であり、(A)は、封止構造200Cの封止状態を示し、(B)は、封止構造200Cの開封状態を示している。第3変形例の封止構造200Cは、第1封止部201、第2封止部202、および移動部材203を備えている。スロットマシン10が遊技ホールの島設備に対して釘打ち等により取り付けられた設置状態において、図37(A)に示すように、本体ベース80のベース基部81が上下方向に延びて設けられている。一方、スロットマシン10が島設備から取り外されて筐体11の背面側を下にして寝かされた取外し状態において、図37(B)に示すように、本体ベース80のベース基部81が水平方向に延びて設けられ、上前面部81aが上側に位置するようになっている。
図37(A)に示すスロットマシン10の設置状態では、第1封止部201の第2凹部である係止凹部211は、突出部210の背面から前方側斜め下方に略45°の角度で延びて設けられている。第2封止部202の第1凹部である筒状部222は、挿入空間221の後方側に斜め上方に略45°の角度で延びて設けられている。この封止構造200Cでは、突出部210を挿入空間221に挿入することで、係止凹部211と筒状部222とが連通されて移動空間S2が構成され、移動部材203は、筒状部222に収容される非係止位置と、筒状部222と係止凹部211とに跨る係止位置と、の間を前後方向に移動可能に設けられている。そして、移動空間S2が係止凹部211に向かって下方に傾斜して設けられることで、重力によって移動部材203が係止位置に移動する。これにより、移動部材203が第1封止部201と第2封止部202とを係止し、基板ケース101が本体ベース80に封止される。
封止構造200Cによる封止を解除する場合には、島設備からスロットマシン10を取り外してから、筐体11の背面側を下にして横倒しにすることで、図37(B)に示すように、移動空間S2が筒状部222に向かって下方に傾斜して設けられる。このように筒状部222が下側に位置して移動空間S2が設けられることで、重力によって移動部材203が移動して筒状部222に収容される。このように移動部材203を非係止位置に移動させてから突出部210を挿入空間221から抜き出すことで、基板ケース101を本体ベース80から取り外せるようになっている。
図38(A)、(B)は、第4実施形態における第4変形例の封止構造200Dを示す正面図および断面図である。図39(A)、(B)は、第4変形例の封止構造200Dの動作を示す断面図である。第4変形例の封止構造200Dは、第1封止部201、第2封止部202、および移動部材203を備えている。第1封止部201において、突出部210の側面に第2凹部である係止凹部211が設けられている。第2封止部202において、第1凹部である筒状部222は、挿入空間221の前方側に前後方向に延びて設けられている。この筒状部222には、ベース基部81の上前面部81aに開口する挿通孔228が連通して設けられている。
封止構造200Dでは、図39(A)に示すように、突出部210を挿入空間221に挿入することで、係止凹部211と筒状部222とが連通されて移動空間S2が構成され、移動部材203は、筒状部222に収容される非係止位置と、筒状部222と係止凹部211とに跨る係止位置と、の間を前後方向に移動可能に設けられている。ここで、ピン部材F3を用い、挿通孔228を通して移動空間S2にピン部材F3を差し込み、このピン部材F2で移動部材203を押し込むことで係止位置に移動させる。これにより、移動部材203が第1封止部201と第2封止部202とを係止し、基板ケース101が本体ベース80に封止される。
封止構造200Dによる封止を解除する場合には、図39(B)に示すように、間接的な外力の一例として流体である空気の吸引力(圧力)によって、移動部材203を非係止位置に移動させる封止解除方法を採用する。具体的には、空気を吸入するエアポンプF2を用い、挿通孔228を通して移動空間S2の空気を吸引し、この空気の吸引力によって移動部材203を非係止位置に移動させる。このように移動部材203を非係止位置に移動させてから突出部210を挿入空間221から抜き出すことで、基板ケース101を本体ベース80から取り外せるようになっている。
なお、第4変形例の封止構造200Dにおいて、図39に示すように、第2封止部202の挿入空間221がベース基部81の背面側に設けられ、筒状部222が前面側(上前面部81a側)に設けられていたが、挿入空間221が前面側に設けられ、筒状部222が前面側に設けられていてもよい。この場合、第1封止部201において、係止凹部211が突出部210の背面側に設けられ、その前面側から係止凹部211に貫通する挿通孔が設けられていればよい。このような構成において、上前面部81aの挿通孔228と突出部210の挿通孔を通して移動空間S2内の移動部材203を係止位置と非係止位置とに移動させることができる。具体的には、挿通孔228を通して移動空間S2の空気をエアポンプF2で吸引し、この空気の吸引力によって移動部材203を係止位置に移動させ、挿通孔228からピン部材F3を差し込み、その押力によって移動部材203を非係止位置に移動させればよい。
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(17)封止構造200,200A,200B,200C,200Dは、第1封止部201と、第2封止部202と、移動部材203と、を備え、移動部材203は、基板ケース101および本体ベース80に対する外部からの直接操作が不能に設けられている。したがって、移動部材203を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった本体ベース80に対する基板ケース101の開封を抑制することができる。
(18)移動部材203は、間接的な外力である磁石F1による磁力や、重力、エアポンプF2からの空気による圧力、ピン部材F3による押力によって、係止位置から非係止位置に移動されるので、間接的な外力の付加方法を知っていれば、移動部材203を非係止位置に移動させて開封し、基板ケース101を本体ベース80から取り外すことができ、外力の付加方法を知らなければ基板ケース101を取り外すことができない。したがって、基板ケース101の不正な取り外しを抑制し、基板ケース101内部の主基板102に対する不正行為を低減させることができる。
(19)封止構造200,200A,200B,200C,200Dに加えて基板ケース101と本体ベース80とを封止する封止構造(本体封止部)90が設けられているので、二重の封止構造によって堅固に基板ケース101を封止することができる。さらに、封止構造200,200A,200B,200C,200Dと封止構造90とが互いに離れた位置に設けられているので、これらの一方を発見してその封止を解除できたとしても、他方の発見や封止解除までに時間を要することとなり、不正目的による基板ケース101の開封を諦めさせる可能性を高めることができる。
(20)基板ケース101や本体ベース80が透明樹脂材料から形成された場合に、移動部材203に対応した位置として本体ベース80の上前面部81aに不透明部が設けられていることで、移動部材203が認識できないあるいは認識しにくくすることができる。したがって、移動部材203によって基板ケース101が本体ベース80に係止されていることが気づかれにくくなり、基板ケース101の不正な取り外しをより一層抑制することができる。
(21)係止凹部211と筒状部222とが連通されて移動空間S2が形成され、この移動空間S2の内部を移動部材203が直線的に往復移動することで、係止位置と非係止位置との間を移動部材203が円滑に移動することができる。また、移動空間S2を構成する係止凹部211および筒状部222に不透明な金属製の筒部材を設ければ、移動空間S2内部の移動部材203が外部から視認不能となり、基板ケース101の不正な取り外しをさらに抑制することができる。
(22)第2、第4変形例の封止構造200B,200Dのように、移動部材203の係止位置から非係止位置への移動を規制する規制部材204を備えて構成されていれば、規制部材204によって規制された移動部材203が係止位置から非係止位置に容易に移動せず、封止状態を維持して本体ベース80から基板ケース101を取り外せなくすることができる。また、規制部材204の切断部234を破壊して移動部材203の規制を解除してからでなければ、間接的な外力によって移動部材203を非係止位置に移動させることができないので、基板ケース101の取り外し動作を複雑にすることができる。したがって、不正目的をもって基板ケース101を取り外そうとしても、取り外せないかあるいは取り外すまでに長時間を要することから、基板ケース101内部の主基板102に対する不正行為を一層低減させることができる。
〔第4実施形態の変形例〕
第4実施形態の封止構造200,200A,200B,200C,200Dでは、基板ケース101に封止構造140,150が設けられていたが、このような基板ケースの封止構造を省略することができる。すなわち、基板ケースの封止構造を省略したとしても、基板ケース101が封止構造200,200A,200B,200C,200Dによって本体ベース80に封印結合されていることで、主制御装置100に対する不正行為を低減させることができる。
本実施形態では、封止構造200,200A,200B,200C,200Dと、封止構造(本体封止部)90と、の二重の封止構造によって基板ケース101が本体ベース80に封止されていたが、封止構造(本体封止部)90を省略することができる。また、封止構造200,200A,200B,200C,200Dおよび封止構造(本体封止部)90は、それぞれ本体ベース80のベース基部81に対して基板ケース101を封印結合するものであったが、これらの封止構造は、ベース基部81や上延出部82、中延出部83などに分散して設けられていてもよい。
〔各実施形態の変形例〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
(1)前記各実施形態では、スロットマシン10は、筐体11と前面扉12とを備え、筐体11の内部に設けられた本体ベース80に主制御装置100およびサブ制御装置60が取り付けられていた。これに対して、主制御装置100およびサブ制御装置60は、前面扉12の内部に取り付けられていてもよいし、筐体11および前面扉12の一方に主制御装置100が取り付けられ、他方にサブ制御装置60が取り付けられていてもよい。
(2)前記各実施形態では、スロットマシン10は、主制御装置100およびサブ制御装置60を備え、スロットマシン10の主な遊技に関して主制御装置100が制御を行うものとし、スロットマシン10の演出等に関してサブ制御装置60制御を行うものとした。これに対して、サブ制御装置が省略されて、主制御装置がスロットマシンの全ての遊技に関して制御を行うものであってもよい。
(3)前記各実施形態では、主制御装置100の基板ケース101が本体ベース80に対して封止構造90によって封印結合され、サブ制御装置60の基板ケース61は本体ベース80に対して封止構造を介さずに取り付けられていた。これに対して、サブ制御装置が本体ベースに対し、封止構造90と同様の封止構造を介して封印結合されていてもよい。
(4)前記各実施形態では、主制御装置100の基板ケース101が封止構造140,150によって封止され、サブ制御装置60の基板ケース61は封止構造を備えていなかった。これに対して、サブ制御装置の基板ケースが封止構造140,150と同様の封止構造によって封止されていてもよい。
(5)前記各実施形態では、主制御装置100およびサブ制御装置60からの制御信号が主中継基板71およびサブ中継基板72に中継されてスロットマシン10の各部に分配されていた。これに対して、主制御装置100やサブ制御装置60からの制御信号がスロットマシン10の各部に直接伝送される構成であってもよい。
(6)前記各実施形態では、封止構造140,150,200,200A,200B,200C,200Dにおいて、移動部材143,153,203がそれぞれ金属材料からなる円柱状部材で構成されていたが、移動部材の材質や形状は特に限定されない。すなわち、移動部材は、樹脂等の非金属材料から構成されてもよいし、角柱状や環状、球状などの任意形状に形成されていてもよい。
(7)前記各実施形態では、封止構造140,150,200,200A,200B,200C,200Dにおいて、移動部材143,153,203が係止位置と非係止位置とを直線的に往復移動するものとしたが、移動部材の移動方向や移動経路は特に限定されない。すなわち、移動部材は、円弧状の経路を移動してもよいし、クランク状の経路を移動してもよい。
(8)前記各実施形態では、封止構造140,150,200,200A,200B,200C,200Dにおいて、移動部材143,153,203が移動する移動空間S2は、第1凹部(筒状部142c,152c,222)と、第2凹部(筒状部141c,151c、係止凹部211)と、が連通して形成されていた。これに対して、移動空間は、凹部同士が連通して構成されるものに限らず、例えば、複数の突片や突起が並設されることで構成されていてもよい。
(9)前記各実施形態では、第1凹部(筒状部142c,152c,222)が第2封止部142,152,202に設けられ、第2凹部(筒状部141c,151c、係止凹部211)が第1封止部141,151,201に設けられていたが、第1凹部が第1封止部に設けられ、第2凹部が第2封止部に設けられていてもよい。
(10)前記各実施形態では、基板ケース101,101A,101Bおよび本体ベース80が透明樹脂材料から形成され、移動部材143,153,203に対応する位置に不透明部(凹凸面部141d,142e,142f,151d,152e,152f)が形成されていた。これに対して、基板ケースや本体ベースが不透明材料から構成され、不透明部が省略されてもよい。
(11)前記各実施形態では、本発明の遊技機としてスロットマシン10を例示して説明していた。これに対して、本発明の遊技機は、スロットマシン10とは異なる他のタイプのスロットマシンであってもよい。また、本発明の遊技機は、遊技領域に設けられた一般入賞口や作動口などの各種入賞口を備え、この各種入賞口に遊技球が入球することによって、所定数の遊技球を払い出すパチンコ機であってもよいし、アレンジボール機や、雀球等の他のタイプの遊技機であってもよい。
〔各実施形態から抽出される発明群〕
以下、前記各実施形態から抽出される発明群の特徴を説明する。なお、本発明群の特徴のうち、前記各実施形態において対応する構成を括弧書きで示すが、本発明群の特徴は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明群の特徴の目的を達成できる範囲での変形、改良等や、各特徴の組み合わせは本発明群の特徴に含まれるものである。
<特徴A群>
特徴A1.
所定の遊技に関する制御を司る制御基板(主基板102)を内部に収容する基板ケース(基板ケース101)を備えた遊技機(スロットマシン10)であって、
前記基板ケースは、
前記制御基板を収容する収容空間を構成する第1ケース体(ベース部材104)および第2ケース体(カバー部材105)と、
前記第1ケース体と前記第2ケース体とを封止する封止手段(第1封止構造140、第2封止構造150)と、を備え、
前記封止手段は、
前記第1ケース体に設けられる第1封止部(第1封止部141,151)と、
前記第2ケース体に設けられる第2封止部(第2封止部142,152)と、
前記第1封止部と前記第2封止部とに亘って移動自在に設けられる移動部材(移動部材143)と、を備え、
前記移動部材は、前記基板ケースに対する外部からの直接操作が不能であるとともに、前記第1封止部と前記第2封止部とに係止する係止位置と、係止が解除される非係止位置と、の間を移動可能に設けられ、
前記移動部材を係止位置に移動させることで前記基板ケースが開封不能となり、前記基板ケースを回転させて生じる遠心力により、前記移動部材を非係止位置に移動させることで前記基板ケースが開封可能となる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴A1によれば、封止手段は、第1封止部と、第2封止部と、移動部材と、を備え、移動部材は、基板ケースに対する外部からの直接操作が不能に設けられている。したがって、移動部材を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった基板ケースの開封を抑制することができる。さらに、基板ケースを回転させて生じる遠心力によって、移動部材が係止位置から非係止位置に移動される。このような遠心力の付加方法を知っていれば、移動部材を非係止位置に移動させて基板ケースを開封することができ、遠心力の付加方法を知らなければ基板ケースを開封することができないことから、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴A2.
本発明群の特徴A1に記載された遊技機において、
前記封止手段は、前記基板ケースの回転中心を挟んで互いに反対側に位置する少なくとも一対で構成される
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴A2によれば、基板ケースを回転させた遠心力によって、少なくとも一対(複数)の封止手段における移動部材をそれぞれ非係止位置に移動させることができ、複数の封止手段によって基板ケースの封止力を高めることができる。また、一対の封止手段が基板ケースの回転中心を挟んで互いに反対側に設けられていることで、遠心力によらずに、例えば重力によって移動部材を移動させようとしても、一方の封止手段の移動部材を非係止位置に移動させることはできても、他方の封止手段の移動部材を非係止位置に移動させることはできない。したがって、移動部材を移動させる方法として、基板ケースを所定の回転軸回りに回転させることを知らなければ、基板ケースを開封することができず、不正行為をより確実に低減させることができる。
特徴A3.
本発明群の特徴A1または特徴A2に記載された遊技機において、
前記基板ケースには、回転中心となる回転中心部(中心突起126)が設けられ、
遊技機本体には、前記回転中心部を支持して前記基板ケースを回転させるための回転支持部(支持凹部12a)が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴A3によれば、遊技機本体に設けられた回転支持部に回転中心部を支持させ、回転中心部を中心として基板ケースを回転させることで遠心力を発生させ、この遠心力によって移動部材を非係止位置に移動させることができる。したがって、基板ケースを回転させるための支持装置や回転機構を別途準備しなくても、遊技機の設置場所において簡単に基板ケースの開封操作を実施することができる。
特徴A4.
本発明群の特徴A1から特徴A3のいずれかに記載された遊技機において、
前記第1封止部および前記第2封止部の一方には、前記移動部材を収容可能な第1凹部(筒状部142c,152c)が設けられ、他方には、前記移動部材を挿入可能な第2凹部(筒状部141c,151c)が設けられ、
前記第1ケース体および前記第2ケース体が互いに組み合わされた状態において、前記第1凹部と前記第2凹部とが連通されて前記移動部材が往復移動可能な移動空間(移動空間S2)が形成されるとともに、前記基板ケースの回転中心に近い側に前記第2凹部が位置し、前記回転中心から離れた側に前記第1凹部が位置し、
前記移動部材は、前記第1凹部に収容されるとともに前記第2凹部に挿入されない前記非係止位置と、前記第1凹部および前記第2凹部に跨って挿入される前記係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴A4によれば、第1凹部と第2凹部とが連通されて移動空間が形成され、この移動空間の内部を移動部材が直線的に往復移動することで、係止位置と非係止位置との間を移動部材が円滑に移動することができる。したがって、遠心力によって移動部材を非係止位置に移動させる際に、移動空間の内部で移動部材が引っ掛かって移動不能になる事態が回避でき、基板ケースの開封動作を確実に実施することができる。また、基板ケースの回転中心に近い側に第2凹部が位置し、回転中心から離れた側に第1凹部が位置することで、遠心力によって移動した移動部材が第1凹部に収容され、すなわち移動部材が非係止位置に移動され、基板ケースを開封可能とすることができる。
特徴A5.
本発明群の特徴A4に記載された遊技機において、
前記第1凹部および前記第2凹部は、それぞれ前記移動部材を挿通させる筒状の第1筒部(筒状部142c,152c)および第2筒部(筒状部141c,151c)から構成され、
前記第1筒部による前記第1凹部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法以上の深さを有し、前記第2筒部による前記第2凹部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法の略半分の深さを有して形成されている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴A5によれば、第1凹部および第2凹部が第1筒部および第2筒部から構成され、これらの筒部同士が連通することで全体筒状の移動空間を形成することができる。また、移動部材の移動方向の長さ寸法に対し、その長さ寸法以上の深さを有して第1凹部が形成されることで、非係止位置において第1凹部に移動部材を収容することができる。一方、移動部材の長さ寸法の略半分の深さを有して第2凹部が形成されることで、第2筒部の側に移動部材が移動した係止位置において、移動部材が略半分ずつの長さだけ第1凹部と第2凹部とに跨って位置することになり、これらを係止して基板ケースを開封不能とすることができる。
特徴A6.
本発明群の特徴A1から特徴A5のいずれかに記載された遊技機において、
前記封止手段は、
前記第1封止部および前記第2封止部の一方に係合するとともに、前記移動部材の係止位置からの移動を規制する規制部材(規制部材154)をさらに備え、
前記規制部材の一部を破壊して係合を解除し、該規制部材を取り外して前記移動部材の規制を解除してから、前記移動部材を非係止位置に移動させることで前記基板ケースが開封可能となる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴A6によれば、移動部材の係止位置からの移動を規制する規制部材をさらに備えることで、規制部材によって規制された移動部材が係止位置から非係止位置に容易に移動せず、封止状態を維持して基板ケースの開封を防止することができる。また、規制部材の一部を破壊して係合を解除し、規制部材を取り外して移動部材の規制を解除してからでなければ、遠心力によって移動部材を非係止位置に移動させることができないので、基板ケースの開封動作を複雑にすることができる。したがって、不正目的をもって基板ケースを開封しようとしても、開封できないかあるいは開封するまでに長時間を要することから、遊技機の制御基板に対する不正行為を一層低減させることができる。
特徴A7.
本発明群の特徴A1から特徴A6のいずれかに記載された遊技機において、
前記基板ケースの第1ケース体および第2ケース体は、透明樹脂材料から形成され、
前記第1封止部および前記第2封止部における前記移動部材に対応した位置には不透明部(凹凸面部141d,142e,142f,151d,152e,152f)が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴A7によれば、第1ケース体および第2ケース体が透明樹脂材料から形成された場合に、移動部材に対応した位置に不透明部が設けられていることで、基板ケースの外部から移動部材が認識できないあるいは認識しにくくすることができる。したがって、移動部材によって基板ケースが封止されていることが気づかれにくくなり、不正な基板ケースの開封をより一層抑制することができる。
このような本発明の特徴A群によれば、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができるので、次のような課題を解決することができる。
従来、遊技の制御を行う制御基板を収容する基板ケースを備え、この基板ケースが遊技機本体の内部に取り付けられ、外部から視認や操作ができないように隠ぺいされた遊技機が知られている。基板ケースは、遊技機本体に固定されたベースに対して本体封止機構を介して取り付けられるとともに、ケース自体を封止するためのケース封止機構を備えて構成されている。このような本体封止機構やケース封止機構は、封止機構の所定箇所を破壊しない限り開封できない構造になっている。このため遊技機本体から基板ケースを不正に取り外したり、基板ケースを不正に開封したりすることが困難であるとともに、不正に開封されたことが判別できるようになっている。
しかしながら、遊技機の基板ケースを封止するケース封止機構は、その所定箇所を破壊すれば開封できることが判別可能であり、不正目的をもって所定箇所を破壊して基板ケースを開封しようとする行為そのものを防止することが実質的に不可能であり、制御基板に対する不正行為を効果的に抑制することが難しいという問題がある。
<特徴B群>
特徴B1.
所定の遊技に関する制御を司る制御基板(主基板102)を内部に収容する基板ケース(基板ケース101)を備えた遊技機(スロットマシン10)であって、
前記基板ケースは、
前記制御基板を収容する収容空間を構成する第1ケース体(ベース部材104)および第2ケース体(カバー部材105)と、
前記第1ケース体と前記第2ケース体とを封止する封止手段(第1封止構造140、第2封止構造150)と、を備え、
前記封止手段は、
前記第1ケース体に設けられる第1封止部(第1封止部141,151)と、
前記第2ケース体に設けられる第2封止部(第2封止部142,152)と、
前記第1封止部と前記第2封止部とに亘って移動自在に設けられる移動部材(移動部材143,153)と、を備え、
前記移動部材は、前記基板ケースに対する外部からの直接操作が不能であるとともに、間接的な外力が加えられることよって、前記第1封止部と前記第2封止部とに係止する係止位置と、係止が解除される非係止位置と、の間を移動可能に設けられ、
前記移動部材を係止位置に移動させることで前記基板ケースが開封不能となり、前記移動部材を非係止位置に移動させることで前記基板ケースが開封可能となる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴B1によれば、封止手段は、第1封止部と、第2封止部と、移動部材と、を備え、移動部材は、基板ケースに対する外部からの直接操作が不能に設けられている。したがって、移動部材を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった基板ケースの開封を抑制することができる。また、移動部材は、間接的な外力によって、係止位置から非係止位置に移動されるか、または非係止位置から係止位置に移動される。このような間接的な外力の付加方法を知っていれば、移動部材を非係止位置に移動させて基板ケースを開封することができ、外力の付加方法を知らなければ基板ケースを開封することができないことから、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴B2.
本発明群の特徴B1に記載された遊技機において、
前記封止手段は、
前記第1封止部および前記第2封止部の一方に係合するとともに、前記移動部材の係止位置からの移動を規制する規制部材(規制部材154)をさらに備え、
前記規制部材の一部を破壊して係合を解除し、該規制部材を取り外して前記移動部材の規制を解除してから、前記移動部材を非係止位置に移動させることで前記基板ケースが開封可能となる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴B2によれば、移動部材の係止位置からの移動を規制する規制部材をさらに備えることで、規制部材によって規制された移動部材が係止位置から非係止位置に容易に移動せず、封止状態を維持して基板ケースの開封を防止することができる。また、規制部材の一部を破壊して係合を解除し、規制部材を取り外して移動部材の規制を解除してからでなければ、間接的な外力によって移動部材を非係止位置に移動させることができないので、基板ケースの開封動作を複雑にすることができる。したがって、不正目的をもって基板ケースを開封しようとしても、開封できないかあるいは開封するまでに長時間を要することから、遊技機の制御基板に対する不正行為を一層低減させることができる。
特徴B3.
本発明群の特徴B1または特徴B2に記載された遊技機において、
前記第1封止部および前記第2封止部の一方には、前記移動部材を収容可能な第1凹部(筒状部142c,152c)が設けられ、他方には、前記移動部材を挿入可能な第2凹部(筒状部141c,151c)が設けられ、前記第1ケース体および前記第2ケース体が互いに組み合わされた状態において、前記第1凹部と前記第2凹部とが連通されて前記移動部材が往復移動可能な移動空間(移動空間S2)が形成され、
前記移動部材は、前記第1凹部に収容されるとともに前記第2凹部に挿入されない前記非係止位置と、前記第1凹部および前記第2凹部に跨って挿入される前記係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴B3によれば、第1凹部と第2凹部とが連通されて移動空間が形成され、この移動空間の内部を移動部材が直線的に往復移動することで、係止位置と非係止位置との間を移動部材が円滑に移動することができる。したがって、間接的な外力によって移動部材を非係止位置に移動させる際に、移動空間の内部で移動部材が引っ掛かって移動不能になる事態が回避でき、基板ケースの開封動作を確実に実施することができる。
特徴B4.
本発明群の特徴B3に記載された遊技機において、
前記第1凹部および前記第2凹部は、それぞれ前記移動部材を挿通させる筒状の第1筒部(筒状部142c,152c)および第2筒部(筒状部141c,151c)から構成され、
前記第1筒部による前記第1凹部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法以上の深さを有し、前記第2筒部による前記第2凹部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法の略半分の深さを有して形成されている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴B4によれば、第1凹部および第2凹部が第1筒部および第2筒部から構成され、これらの筒部同士が連通することで全体筒状の移動空間を形成することができる。また、移動部材の移動方向の長さ寸法に対し、その長さ寸法以上の深さを有して第1凹部が形成されることで、非係止位置において第1凹部に移動部材を収容することができる。一方、移動部材の長さ寸法の略半分の深さを有して第2凹部が形成されることで、第2筒部の側に移動部材が移動した係止位置において、移動部材が略半分ずつの長さだけ第1凹部と第2凹部とに跨って位置することになり、これらを係止して基板ケースを開封不能とすることができる。
特徴B5.
本発明群の特徴B1から特徴B4のいずれかに記載された遊技機において、
前記間接的な外力は、前記基板ケースを回転させることにより生じる遠心力であり、
前記移動部材は、前記基板ケースの回転中心に近い側にある前記係止位置と、前記基板ケースの回転中心から離れた側にある前記非係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴B5によれば、基板ケースを回転させて生じる遠心力によって、回転中心から離れた側にある非係止位置に向かって移動部材を移動させることができる。したがって、間接的な外力を発生させる手段として、別部材や動力を準備する必要がなくなり、簡便な構造によって移動部材の移動を実現することができる。
特徴B6.
本発明群の特徴B1から特徴B4のいずれかに記載された遊技機において、
前記移動部材に加えられる間接的な外力は、
前記基板ケースを所定の向きに傾けることにより作用する重力、
前記基板ケースの外部から接近させた磁石(磁石F1)から作用する磁力、
前記基板ケースに設けられた挿通孔(挿通孔127)を通して送られる流体により作用する圧力、
または、
前記基板ケースに設けられた挿通孔(挿通孔128)に挿入される針状部材(ピン部材F3)から作用する押力である
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴B6によれば、移動部材に加えられる間接的な外力は、重力、磁力、圧力または押力である。間接的な外力が重力である場合、移動部材を非係止位置に向かって移動させるためには、基板ケースを所定の向きに傾けることが要求され、傾ける向きが正しくないと移動部材を移動させることができない。間接的な外力が磁力である場合、磁石を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が流体の圧力である場合、挿通孔から流体を送り込む装置を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が針状部材からの押力である場合、針状部材を準備しなければ移動部材を移動させることができない。したがって、重力、磁力、圧力または押力による移動部材の移動方法を知らなければ、容易に基板ケースを開封することができず、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴B7.
本発明群の特徴B1から特徴B6のいずれかに記載された遊技機において、
前記基板ケースの第1ケース体および第2ケース体は、透明樹脂材料から形成され、
前記第1封止部および前記第2封止部における前記移動部材に対応した位置には不透明部(凹凸面部141d,142e,142f,151d,152e,152f)が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴B7によれば、第1ケース体および第2ケース体が透明樹脂材料から形成された場合に、移動部材に対応した位置に不透明部が設けられていることで、基板ケースの外部から移動部材が認識できないあるいは認識しにくくすることができる。したがって、移動部材によって基板ケースが封止されていることが気づかれにくくなり、不正な基板ケースの開封をより一層抑制することができる。
このような本発明の特徴B群によれば、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができるので、次のような課題を解決することができる。
従来、遊技の制御を行う制御基板を収容する基板ケースを備え、この基板ケースが遊技機本体の内部に取り付けられ、外部から視認や操作ができないように隠ぺいされた遊技機が知られている。基板ケースは、遊技機本体に固定されたベースに対して本体封止機構を介して取り付けられるとともに、ケース自体を封止するためのケース封止機構を備えて構成されている。このような本体封止機構やケース封止機構は、封止機構の所定箇所を破壊しない限り開封できない構造になっている。このため遊技機本体から基板ケースを不正に取り外したり、基板ケースを不正に開封したりすることが困難であるとともに、不正に開封されたことが判別できるようになっている。
しかしながら、遊技機の基板ケースを封止するケース封止機構は、その所定箇所を破壊すれば開封できることが判別可能であり、不正目的をもって所定箇所を破壊して基板ケースを開封しようとする行為そのものを防止することが実質的に不可能であり、制御基板に対する不正行為を効果的に抑制することが難しいという問題がある。
<特徴C群>
特徴C1.
所定の遊技に関する制御を司る制御基板(主基板102)を内部に収容する基板ケース(基板ケース101A)と、遊技機本体(筐体11)に前記基板ケースを保持するための本体ベース(本体ベース80)と、を備えた遊技機(スロットマシン10)であって、
前記基板ケースは、前記制御基板を収容する収容空間を構成する第1ケース体(ベース部材104)および第2ケース体(カバー部材105)を備え、
前記第1ケース体または前記基板ケースのいずれかである第1部材と、前記第2ケース体または前記本体ベースのいずれかである第2部材と、を封止する封止手段(第2封止構造150)を備え、
前記封止手段は、
前記第1部材に設けられる第1封止部(第1封止部151)と、
前記第2部材に設けられる第2封止部(第2封止部152)と、
前記第1封止部と前記第2封止部とを係止する係止位置と係止が解除される非係止位置とに亘って移動自在に設けられる移動部材(移動部材153)と、
前記第1封止部および前記第2封止部の一方に係合するとともに、前記移動部材の係止位置からの移動を規制する規制部材(規制部材154)と、を備え、
前記規制部材の一部を破壊して係合を解除してから、前記移動部材を非係止位置に移動させることで前記基板ケースが開封可能となる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴C1によれば、封止手段は、第1封止部と、第2封止部と、移動部材と、規制部材と、を備え、規制部材によって規制された移動部材が係止位置から非係止位置に容易に移動せず、封止状態を維持して第1部材と第2部材との開封を防止することができる。すなわち、規制部材の一部を破壊して係合を解除し、移動部材の規制を解除してからでなければ、移動部材を非係止位置に移動させることができない。したがって、第1部材と第2部材とを開封するためには、規制部材の係合を解除する第1ステップと、移動部材を非係止位置に移動させる第2ステップと、の2ステップの開封動作が必要となる。このように基板ケースの開封動作を複雑にすることができるので、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴C2.
本発明群の特徴C1に記載された遊技機において、
前記規制部材は、
前記第1部材の外部側に位置する規制部材本体(規制部材本体154a)と、
前記規制部材本体から延びて前記第1封止部の内側に係合する係合片部(係合片部154c)と、
前記規制部材本体から延びて前記第2封止部の内側まで延びる延出片部(延出片部154b)と、を備え、
前記第1封止部には、前記係合片部および前記延出片部を貫通させる貫通孔(貫通孔155)と、該貫通孔の内側で前記係合片部が係合する被係合部(被係合部156)と、が形成され、
前記第2封止部の内部には、前記延出片部の先端部を挿入させる挿入凹部(挿入凹部157)が形成され、 前記挿入凹部に挿入された前記延出片部が当接することによって前記移動部材の移動が規制される
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴C2によれば、規制部材が規制部材本体と係合片部と延出片部とを備え、第1封止部に貫通孔と被係合部とが形成され、第2封止部の内部に挿入凹部が形成されているので、第1部材の外部側から内方に向かって押し込むことによって規制部材を係合させることができる。また、第1封止部に係合片部が係合するとともに、挿入凹部に延出片部の先端部が挿入されることで、延出片部によって移動部材の移動が規制される。したがって、規制部材の押し込み操作によって、移動部材の移動を規制して第1部材と第2部材とを封止することができる。
特徴C3.
本発明群の特徴C2に記載された遊技機において、
前記規制部材の前記延出片部の先端部には、傾斜面部(傾斜面部154e)が形成され、
前記挿入凹部への前記延出片部の挿入に伴って、前記傾斜面部が前記移動部材に摺接して該移動部材を前記非係止位置から前記係止位置に向かって移動させる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴C3によれば、延出片部の先端部に傾斜面部が形成され、傾斜面部が摺接して移動部材を係止位置に向かって移動させることで、規制部材の押し込み操作と同時に移動部材による封止を実行することができる。したがって、第1部材と第2部材とを封止する際には、移動部材を係止位置に向かって移動させてから規制部材を係合させるような二段階の封止動作が必要なく、移動部材が非係止位置にある状態から規制部材の押し込み操作だけで、第1部材と第2部材との封止を完了することができる。
特徴C4.
本発明群の特徴C2または特徴C3に記載された遊技機において、
前記規制部材の前記第1部材への押し込み方向と、前記移動部材の移動方向と、が互いに交差して設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴C4によれば、規制部材の押し込み方向と移動部材の移動方向とが交差していることで、係合片部と第1封止部との係合を解除しようとする無理な力によって規制部材を不正に取り外そうとしても、その無理な力が規制部材を介して移動部材を移動させることがない。したがって、無理な力によって規制部材が取り外されたとしても、移動部材が係止位置に残ることで、第1部材と第2部材との封止状態を維持することができる。
特徴C5.
本発明群の特徴C1から特徴C4のいずれかに記載された遊技機において、
前記移動部材は、前記第1部材および前記第2部材に対する外部からの直接操作が不能であるとともに、間接的な外力が加えられることよって、前記係止位置から前記非係止位置に向かって移動可能に設けられる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴C5によれば、移動部材は、第1部材および第2部材に対する外部からの直接操作が不能に設けられるとともに、間接的な外力によって係止位置から非係止位置に移動可能とされている。したがって、規制部材の係合を解除できたとしても、間接的な外力の付加方法を知らなければ移動部材を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった第1部材と第2部材との開封をより確実に抑制することができる。
特徴C6.
本発明群の特徴C5に記載された遊技機において、
前記間接的な外力は、前記第1部材および前記第2部材を回転させることにより生じる遠心力であり、
前記移動部材は、前記第1部材および前記第2部材の回転中心に近い側にある前記係止位置と、前記第1部材および前記第2部材の回転中心から離れた側にある前記非係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴C6によれば、第1部材および第2部材を回転させて生じる遠心力によって、回転中心から離れた側にある非係止位置に向かって移動部材を移動させることができる。したがって、間接的な外力を発生させる手段として、別部材や動力を準備する必要がなくなり、簡便な構造によって移動部材の移動を実現することができる。
特徴C7.
本発明群の特徴C5に記載された遊技機において、
前記移動部材に加えられる間接的な外力は、
前記第1部材および前記第2部材を所定の向きに傾けることにより作用する重力、
前記第1部材および前記第2部材の外部から接近させた磁石(磁石F1)から作用する磁力、
前記第1部材および前記第2部材の一方に設けられた挿通孔(挿通孔127)を通して送られる流体により作用する圧力、
または、
前記第1部材および前記第2部材の一方に設けられた挿通孔(挿通孔128)に挿入される針状部材(ピン部材F3)から作用する押力である
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴C7によれば、移動部材に加えられる間接的な外力は、重力、磁力、圧力または押力である。間接的な外力が重力である場合、移動部材を非係止位置に向かって移動させるためには、第1部材および第2部材を所定の向きに傾けることが要求され、傾ける向きが正しくないと移動部材を移動させることができない。間接的な外力が磁力である場合、磁石を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が流体の圧力である場合、挿通孔から流体を送り込む装置を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が針状部材からの押力である場合、針状部材を準備しなければ移動部材を移動させることができない。したがって、重力、磁力、圧力または押力による移動部材の移動方法を知らなければ、容易に第1部材と第2部材とを開封することができず、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
このような本発明の特徴C群によれば、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができるので、次のような課題を解決することができる。
従来、遊技の制御を行う制御基板を収容する基板ケースを備え、この基板ケースが遊技機本体の内部に取り付けられ、外部から視認や操作ができないように隠ぺいされた遊技機が知られている。基板ケースは、遊技機本体に固定されたベースに対して本体封止機構を介して取り付けられるとともに、ケース自体を封止するためのケース封止機構を備えて構成されている。このような本体封止機構やケース封止機構は、封止機構の所定箇所を破壊しない限り開封できない構造になっている。このため遊技機本体から基板ケースを不正に取り外したり、基板ケースを不正に開封したりすることが困難であるとともに、不正に開封されたことが判別できるようになっている。
しかしながら、遊技機の基板ケースを封止するケース封止機構は、その所定箇所を破壊すれば開封できることが判別可能であり、不正目的をもって所定箇所を破壊して基板ケースを開封しようとする行為そのものを防止することが実質的に不可能であり、制御基板に対する不正行為を効果的に抑制することが難しいという問題がある。
<特徴D群>
特徴D1.
所定の遊技に関する制御を司る制御基板(主基板102)を内部に収容する基板ケース(基板ケース101B)を備えた遊技機(スロットマシン10)であって、
前記基板ケースは、
前記制御基板を収容する収容空間を構成する第1ケース体(ベース部材104)および第2ケース体(カバー部材105)と、
前記第1ケース体と前記第2ケース体とを封止する第1封止手段(第1封止構造140)および第2封止手段(ケースかしめ構造160)と、を備え、
前記第1封止手段は、
前記第1ケース体と前記第2ケース体とを係止する係止位置と係止が解除される非係止位置とに亘って移動自在に設けられる移動部材(移動部材143)を備え、
前記第2封止手段は、
前記第1ケース体および前記第2ケース体に係合することで封止する封止部材(封印キャップ163)を備え、
前記第1ケース体、前記第2ケース体および前記封止部材の少なくとも一部を破壊して係合を解除することで該第2封止手段の封止が解除される
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D1によれば、封止手段は、第1封止手段および第2封止手段を備え、第1封止手段は、第1ケース体と第2ケース体とを係止する係止位置と係止が解除される非係止位置とに亘って移動自在な移動部材を備え、第2封止手段は、第1ケース体および第2ケース体に係合する封止部材を備える。そして、移動部材を非係止位置に移動させることで第1封止手段の封止が解除され、第1ケース体、第2ケース体および封止部材の一部を破壊して係合を解除することで第2封止手段の封止が解除される。このように、第1封止手段および第2封止手段という互いに異なる二種類の封止構造を備えたことで、不正目的をもって基板ケースを開封しようとしても、開封できないかまたは開封するまでに長時間を要する。したがって、基板ケースの開封動作を複雑にして容易に開封できないようにすることで、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴D2.
本発明群の特徴D1に記載された遊技機において、
前記第1封止手段と前記第2封止手段とは、前記基板ケースにおける互いに離れた位置に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D2によれば、第1封止手段と第2封止手段とが互いに離れた位置に設けられているので、一方の封止手段を発見してその封止を解除できたとしても、他方の封止手段の発見や封止解除までに時間を要することとなり、不正目的による基板ケースの開封を諦めさせる可能性を高めることができる。
特徴D3.
本発明群の特徴D1または特徴D2に記載された遊技機において、
前記第1封止手段は、前記第1ケース体に設けられる第1封止部(第1封止部141)と、前記第2ケース体に設けられる第2封止部(第2封止部142)と、を備え、前記第1封止部および前記第2封止部の一方には、前記移動部材を収容可能な第1凹部(筒状部142c)が設けられ、他方には、前記移動部材を挿入可能な第2凹部(筒状部141c)が設けられ、前記第1ケース体および前記第2ケース体が互いに組み合わされた状態において、前記第1凹部と前記第2凹部とが連通されて前記移動部材が往復移動可能な移動空間(移動空間S2)が形成され、
前記移動部材は、前記第1凹部に収容されるとともに前記第2凹部に挿入されない前記非係止位置と、前記第1凹部および前記第2凹部に跨って挿入される前記係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D3によれば、第1凹部と第2凹部とが連通されて移動空間が形成され、この移動空間の内部を移動部材が直線的に往復移動することで、係止位置と非係止位置との間を移動部材が円滑に移動することができる。したがって、移動部材を非係止位置に移動させる際に、移動空間の内部で移動部材が引っ掛かって移動不能になる事態が回避でき、基板ケースの開封動作を確実に実施することができる。
特徴D4.
本発明群の特徴D3に記載された遊技機において、
前記第1凹部および前記第2凹部は、それぞれ前記移動部材を挿通させる筒状の第1筒部(筒状部141c)および第2筒部(筒状部141c)から構成され、
前記第1筒部による前記第1凹部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法以上の深さを有し、前記第2筒部による前記第2凹部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法の略半分の深さを有して形成されている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D4によれば、第1凹部および第2凹部が第1筒部および第2筒部から構成され、これらの筒部同士が連通することで全体筒状の移動空間を形成することができる。また、移動部材の移動方向の長さ寸法に対し、その長さ寸法以上の深さを有して第1凹部が形成されることで、非係止位置において第1凹部に移動部材を収容することができる。一方、移動部材の長さ寸法の略半分の深さを有して第2凹部が形成されることで、第2筒部の側に移動部材が移動した係止位置において、移動部材が略半分ずつの長さだけ第1凹部と第2凹部とに跨って位置することになり、これらを係止して基板ケースを開封不能とすることができる。また、第1筒部および第2筒部を不透明な部材とすることで、移動部材が認識できなくすることができ、基板ケースの不正な開封をさらに抑制することができる。
特徴D5.
本発明群の特徴D1から特徴D4のいずれかに記載された遊技機において、
前記基板ケースの第1ケース体および第2ケース体は、透明樹脂材料から形成され、
前記第1封止手段における前記移動部材に対応した位置には不透明部(凹凸面部141d,142e,142f)が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D5によれば、第1ケース体および第2ケース体が透明樹脂材料から形成された場合に、移動部材に対応した位置に不透明部が設けられていることで、基板ケースの外部から移動部材が認識できないあるいは認識しにくくすることができる。したがって、移動部材によって基板ケースが封止されている第1封止手段の存在が気づかれにくくなり、基板ケースの不正な開封をより一層抑制することができる。
特徴D6.
本発明群の特徴D1から特徴D5のいずれかに記載された遊技機において、
前記移動部材は、前記基板ケースに対する外部からの直接操作が不能であるとともに、間接的な外力が加えられることよって、前記係止位置から前記非係止位置に向かって移動可能に設けられる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D6によれば、移動部材は、基板ケースに対する外部からの直接操作が不能に設けられるとともに、間接的な外力によって係止位置から非係止位置に移動可能とされている。したがって、第2封止手段の封止を解除できたとしても、第1封止手段の移動部材に対する間接的な外力の付加方法を知らなければ、移動部材を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった基板ケースの開封をより確実に抑制することができる。
特徴D7.
本発明群の特徴D6に記載された遊技機において、
前記間接的な外力は、前記基板ケースを回転させることにより生じる遠心力であり、
前記移動部材は、前記基板ケースの回転中心に近い側にある前記係止位置と、前記基板ケースの回転中心から離れた側にある前記非係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D7によれば、基板ケースを回転させて生じる遠心力によって、回転中心から離れた側にある非係止位置に向かって移動部材を移動させることができる。したがって、間接的な外力を発生させる手段として、別部材や動力を準備する必要がなくなり、簡便な構造によって移動部材の移動を実現することができる。
特徴D8.
本発明群の特徴D6に記載された遊技機において、
前記移動部材に加えられる間接的な外力は、
前記基板ケースを所定の向きに傾けることにより作用する重力、
前記基板ケースの外部から接近させた磁石(磁石F1)から作用する磁力、
前記基板ケースに設けられた挿通孔(挿通孔127)を通して送られる流体により作用する圧力、
または、
前記基板ケースに設けられた挿通孔(挿通孔128)に挿入される針状部材(ピン部材F3)から作用する押力である
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴D8によれば、移動部材に加えられる間接的な外力は、重力、磁力、圧力または押力である。間接的な外力が重力である場合、移動部材を非係止位置に向かって移動させるためには、基板ケースを所定の向きに傾けることが要求され、傾ける向きが正しくないと移動部材を移動させることができない。間接的な外力が磁力である場合、磁石を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が流体の圧力である場合、挿通孔から流体を送り込む装置を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が針状部材からの押力である場合、針状部材を準備しなければ移動部材を移動させることができない。したがって、重力、磁力、圧力または押力による移動部材の移動方法を知らなければ、容易に基板ケースを開封することができず、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
このような本発明の特徴D群によれば、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができるので、次のような課題を解決することができる。
従来、遊技の制御を行う制御基板を収容する基板ケースを備え、この基板ケースが遊技機本体の内部に取り付けられ、外部から視認や操作ができないように隠ぺいされた遊技機が知られている。基板ケースは、遊技機本体に固定されたベースに対して本体封止機構を介して取り付けられるとともに、ケース自体を封止するためのケース封止機構を備えて構成されている。このような本体封止機構やケース封止機構は、封止機構の所定箇所を破壊しない限り開封できない構造になっている。このため遊技機本体から基板ケースを不正に取り外したり、基板ケースを不正に開封したりすることが困難であるとともに、不正に開封されたことが判別できるようになっている。
しかしながら、遊技機の基板ケースを封止するケース封止機構は、その所定箇所を破壊すれば開封できることが判別可能であり、不正目的をもって所定箇所を破壊して基板ケースを開封しようとする行為そのものを防止することが実質的に不可能であり、制御基板に対する不正行為を効果的に抑制することが難しいという問題がある。
<特徴E群>
特徴E1.
所定の遊技に関する制御を司る制御基板(主基板102)を内部に収容する基板ケース(基板ケース101)を備えた遊技機(スロットマシン10)であって、
前記基板ケースは、
前記制御基板を収容する収容空間を構成する透明樹脂材料から形成された第1ケース体(ベース部材104)および第2ケース体(カバー部材105)と、
前記第1ケース体と前記第2ケース体とを封止する封止手段(第1封止構造140、第2封止構造150)と、を備え、
前記封止手段は、
前記第1ケース体に設けられる第1封止部(第1封止部141,151)と、
前記第2ケース体に設けられる第2封止部(第2封止部142,152)と、
前記第1封止部と前記第2封止部とを係止する係止位置と係止が解除される非係止位置とに亘って移動自在に設けられる移動部材(移動部材143,153)と、を備え、
前記第1封止部および前記第2封止部における前記移動部材に対応した位置には不透明部(凹凸面部141d,142e,142f,151d,152e,152f)が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴E1によれば、封止手段は、第1封止部と第2封止部とを係止する係止位置と、係止が解除される非係止位置と、に亘って移動自在な移動部材を備え、移動部材を係止位置に移動させることで基板ケースが封止され、移動部材を非係止位置に移動させることで封止が解除される。そして、第1ケース体および第2ケース体が透明樹脂材料から形成され、移動部材に対応した位置に不透明部が設けられていることで、基板ケースの外部から移動部材が認識できないあるいは認識しにくくすることができる。したがって、移動部材によって基板ケースが封止されていることが気づかれにくくなり、基板ケースの不正な開封を抑制することができ、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴E2.
本発明群の特徴E1に記載された遊技機において、
前記移動部材は、前記基板ケースに対する外部からの直接操作が不能であるとともに、間接的な外力が加えられることよって、前記係止位置から前記非係止位置に向かって移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴E2によれば、移動部材は、基板ケースに対する外部からの直接操作が不能に設けられているので、移動部材を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった基板ケースの開封を抑制することができる。また、移動部材は、間接的な外力によって、係止位置から非係止位置に移動されるので、間接的な外力の付加方法を知っていれば、移動部材を非係止位置に移動させて基板ケースを開封することができるが、外力の付加方法を知らなければ基板ケースを開封することができない。したがって、基板ケースが容易に開封できなくすることで、遊技機の制御基板に対する不正行為をさらに低減させることができる。
特徴E3.
本発明群の特徴E2に記載された遊技機において、
前記間接的な外力は、前記基板ケースを回転させることにより生じる遠心力であり、
前記移動部材は、前記基板ケースの回転中心に近い側にある前記係止位置と、前記基板ケースの回転中心から離れた側にある前記非係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴E3によれば、基板ケースを回転させて生じる遠心力によって、回転中心から離れた側にある非係止位置に向かって移動部材を移動させることができる。したがって、間接的な外力を発生させる手段として、別部材や動力を準備する必要がなくなり、簡便な構造によって移動部材の移動を実現することができる。
特徴E4.
本発明群の特徴E2に記載された遊技機において、
前記移動部材に加えられる間接的な外力は、
前記基板ケースを所定の向きに傾けることにより作用する重力、
前記基板ケースの外部から接近させた磁石(磁石F1)から作用する磁力、
前記基板ケースに設けられた挿通孔(挿通孔127)を通して送られる流体により作用する圧力、
または、
前記基板ケースに設けられた挿通孔(挿通孔128)に挿入される針状部材(ピン部材F3)から作用する押力である
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴E4によれば、移動部材に加えられる間接的な外力は、重力、磁力、圧力または押力である。間接的な外力が重力である場合、移動部材を非係止位置に向かって移動させるためには、基板ケースを所定の向きに傾けることが要求され、傾ける向きが正しくないと移動部材を移動させることができない。間接的な外力が磁力である場合、磁石を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が流体の圧力である場合、挿通孔から流体を送り込む装置を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が針状部材からの押力である場合、針状部材を準備しなければ移動部材を移動させることができない。したがって、重力、磁力、圧力または押力による移動部材の移動方法を知らなければ、容易に基板ケースを開封することができず、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴E5.
本発明群の特徴E1から特徴E4のいずれかに記載された遊技機において、
前記第1封止部には、前記移動部材を収容可能な第1筒部(筒状部142c,152c)が設けられ、前記第2封止部には、前記移動部材を挿入可能な第2筒部(筒状部141c,151c)が設けられ、前記第1ケース体および前記第2ケース体が互いに組み合わされた状態において、前記第1筒部と前記第2筒部とが連通されて前記移動部材が往復移動可能な移動空間(移動空間S2)が形成され、
前記第1筒部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法以上の深さを有し、前記第2筒部は、前記移動部材の移動方向の長さ寸法の略半分の深さを有して形成され、
前記移動部材は、前記第1筒部に収容されるとともに前記第2筒部に挿入されない前記非係止位置と、前記第1筒部および前記第2筒部に跨って挿入される前記係止位置と、の間を移動可能に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴E5によれば、第1筒部と第2筒部とが連通されて移動空間が形成され、この移動空間の内部を移動部材が直線的に往復移動することで、係止位置と非係止位置との間を移動部材が円滑に移動することができる。また、移動部材の移動方向の長さ寸法に対し、その長さ寸法以上の深さを有して第1筒部が形成されることで、非係止位置において第1筒部の内部に移動部材を収容することができる。一方、移動部材の長さ寸法の略半分の深さを有して第2筒部が形成されることで、第2筒部の側に移動部材が移動した係止位置において、移動部材が略半分ずつの長さだけ第1筒部と第2筒部とに跨って位置することになり、これらを係止して基板ケースを開封不能とすることができる。また、第1筒部および第2筒部を不透明な部材とすることで、移動部材が認識できなくすることができ、基板ケースの不正な開封をさらに抑制することができる。
このような本発明の特徴E群によれば、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができるので、次のような課題を解決することができる。
従来、遊技の制御を行う制御基板を収容する基板ケースを備え、この基板ケースが遊技機本体の内部に取り付けられ、外部から視認や操作ができないように隠ぺいされた遊技機が知られている。基板ケースは、遊技機本体に固定されたベースに対して本体封止機構を介して取り付けられるとともに、ケース自体を封止するためのケース封止機構を備えて構成されている。このような本体封止機構やケース封止機構は、封止機構の所定箇所を破壊しない限り開封できない構造になっている。このため遊技機本体から基板ケースを不正に取り外したり、基板ケースを不正に開封したりすることが困難であるとともに、不正に開封されたことが判別できるようになっている。
しかしながら、遊技機の基板ケースを封止するケース封止機構は、その所定箇所を破壊すれば開封できることが判別可能であり、不正目的をもって所定箇所を破壊して基板ケースを開封しようとする行為そのものを防止することが実質的に不可能であり、制御基板に対する不正行為を効果的に抑制することが難しいという問題がある。
<特徴F群>
特徴F1.
所定の遊技に関する制御を司る制御基板(主基板102)を内部に収容する基板ケース(基板ケース101)と、遊技機本体に前記基板ケースを保持するための本体ベース(本体ベース80)と、を備えた遊技機(スロットマシン10)であって、
前記本体ベースに前記基板ケースを保持して封止する封止手段(封止構造200)を備え、
前記封止手段は、
前記基板ケースに設けられる第1封止部(第1封止部201)と、
前記本体ベースに設けられる第2封止部(第2封止部202)と、
前記第1封止部と前記第2封止部とに亘って移動自在に設けられる移動部材(移動部材203)と、を備え、
前記移動部材は、前記基板ケースおよび前記本体ベースに対する外部からの直接操作が不能であるとともに、間接的な外力が加えられることよって、前記第1封止部と前記第2封止部とを係止する係止位置と、係止が解除される非係止位置と、の間を移動可能に設けられ、
前記移動部材を係止位置に移動させることで前記本体ベースに対して前記基板ケースが封止状態で保持され、前記移動部材を非係止位置に移動させることで前記本体ベースに対する前記基板ケースの封止が解除される
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴F1によれば、封止手段は、第1封止部と、第2封止部と、移動部材と、を備え、移動部材は、基板ケースおよび本体ベースに対する外部からの直接操作が不能に設けられている。したがって、移動部材を非係止位置に容易に移動させることができないため、不正目的をもった本体ベースに対する基板ケースの開封を抑制することができる。また、移動部材は、間接的な外力によって、係止位置から非係止位置に移動されるか、または非係止位置から係止位置に移動される。このような間接的な外力の付加方法を知っていれば、移動部材を非係止位置に移動させて開封し、基板ケースを本体ベースから取り外すことができ、外力の付加方法を知らなければ基板ケースを取り外すことができない。したがって、基板ケースの不正な取り外しを抑制し、基板ケース内部の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴F2.
本発明群の特徴F1に記載された遊技機において、
前記封止手段は、
前記第1封止部および前記第2封止部の一方に係合するとともに、前記移動部材の係止位置からの移動を規制する規制部材(規制部材204)をさらに備え、
前記規制部材の一部を破壊して係合を解除し、該規制部材を取り外して前記移動部材の規制を解除してから、前記移動部材を非係止位置に移動させることで前記本体ベースに対する前記基板ケースの封止が解除される
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴F2によれば、移動部材の係止位置からの移動を規制する規制部材をさらに備えることで、規制部材によって規制された移動部材が係止位置から非係止位置に容易に移動せず、封止状態を維持して本体ベースから基板ケースを取り外せなくすることができる。また、規制部材の一部を破壊して係合を解除し、規制部材を取り外して移動部材の規制を解除してからでなければ、間接的な外力によって移動部材を非係止位置に移動させることができないので、基板ケースの取り外し動作を複雑にすることができる。したがって、不正目的をもって基板ケースを取り外そうとしても、取り外せないかあるいは取り外すまでに長時間を要することから、基板ケース内部の制御基板に対する不正行為を一層低減させることができる。
特徴F3.
本発明群の特徴F1または特徴F2に記載された遊技機において、
前記基板ケースと前記本体ベースとに係合することで該基板ケースを取り外し不能とする本体封止部(封止構造90)をさらに備え、
前記本体封止部は、前記封止手段から離れた位置に設けられるとともに、該本体封止部の一部を破壊して係合を解除することで前記基板ケースが取り外し可能とされる
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴F3によれば、基板ケースと本体ベースとに係合する本体封止部が封止手段から離れた位置に設けられているので、封止手段および本体封止部の一方を発見してその封止を解除できたとしても、他方の発見や封止解除までに時間を要することとなり、不正目的による基板ケースの開封を諦めさせる可能性を高めることができる。
特徴F4.
本発明群の特徴F1から特徴F3のいずれかに記載された遊技機において、
前記移動部材に加えられる間接的な外力は、
前記基板ケースおよび前記本体ベースの外側から接近させた磁石(磁石F1)から作用する磁力、
前記基板ケースまたは前記本体ベースに設けられた挿通孔(挿通孔225,228)を通して送られる流体により作用する圧力、
または、
前記基板ケースまたは前記本体ベースに設けられた挿通孔に挿入される針状部材から作用する押力である
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴F4によれば、移動部材に加えられる間接的な外力は、磁力、圧力または押力である。間接的な外力が磁力である場合、磁石を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が流体の圧力である場合、挿通孔から流体を送り込むか吸引する装置を準備しなければ移動部材を移動させることができない。間接的な外力が針状部材からの押力である場合、針状部材を準備しなければ移動部材を移動させることができない。したがって、磁力、圧力または押力による移動部材の移動方法を知らなければ、容易に封止を解除して基板ケースを取り外すことができず、基板ケース内部の制御基板に対する不正行為を低減させることができる。
特徴F5.
本発明群の特徴F1から特徴F4のいずれかに記載された遊技機において、
前記基板ケースおよび前記本体ベースの少なくとも一方は、透明樹脂材料から形成され、
前記第1封止部および前記第2封止部における前記移動部材に対応した位置には不透明部が設けられている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴F5によれば、基板ケースや本体ベースが透明樹脂材料から形成された場合に、移動部材に対応した位置に不透明部が設けられていることで、基板ケースおよび本体ベースの外側から移動部材が認識できないあるいは認識しにくくすることができる。したがって、移動部材によって基板ケースが本体ベースに係止されていることが気づかれにくくなり、基板ケースの不正な取り外しをより一層抑制することができる。
特徴F6.
本発明群の特徴F1から特徴F5のいずれかに記載された遊技機において、
前記第1封止部および前記第2封止部の一方には、前記移動部材を収容可能な第1凹部(筒状部222)が設けられ、他方には、前記移動部材を挿入可能な第2凹部(係止凹部211)が設けられ、前記第1ケース体および前記第2ケース体が互いに組み合わされた状態において、前記第1凹部と前記第2凹部とが連通されて前記移動部材が往復移動可能な移動空間(移動空間S2)が形成されている
ことを特徴とする遊技機。
本発明群の特徴F6によれば、第1凹部と第2凹部とが連通されて移動空間が形成され、この移動空間の内部を移動部材が直線的に往復移動することで、係止位置と非係止位置との間を移動部材が円滑に移動することができる。また、第1凹部および第2凹部を不透明な筒状部材から構成することで、移動部材が認識できなくすることができ、基板ケースの不正な取り外しをさらに抑制することができる。
このような本発明の特徴F群によれば、遊技機の制御基板に対する不正行為を低減させることができるので、次のような課題を解決することができる。
従来、遊技の制御を行う制御基板を収容する基板ケースを備え、この基板ケースが遊技機本体の内部に取り付けられ、外部から視認や操作ができないように隠ぺいされた遊技機が知られている。基板ケースは、遊技機本体に固定されたベースに対して本体封止機構を介して取り付けられるとともに、ケース自体を封止するためのケース封止機構を備えて構成されている。このような本体封止機構やケース封止機構は、封止機構の所定箇所を破壊しない限り開封できない構造になっている。このため遊技機本体から基板ケースを不正に取り外したり、基板ケースを不正に開封したりすることが困難であるとともに、不正に開封されたことが判別できるようになっている。
しかしながら、遊技機のベースに対して基板ケースを取り付ける本体封止機構は、その所定箇所を破壊すれば開封できることが判別可能であり、不正目的をもって所定箇所を破壊して基板ケースを取り外そうとする行為そのものを防止することが実質的に不可能であり、制御基板に対する不正行為を効果的に抑制することが難しいという問題がある。
以上のように、本発明は、スロットマシン、パチンコ遊技機等の遊技機に好適に利用できる。