以下、本発明の遊技機を手段として区分して示し、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.遊技機前方に開口された筐体と、
該筐体の開口側に開閉可能に取り付けられた扉体と
を備え、
遊技機内部に設けられた第1操作部及び第2操作部が操作されたことに基づき遊技に用いる遊技媒体の出率を変更する遊技機において、
前記第1操作部を覆う第1被覆位置と、前記第1操作部が露出する第1露出位置とにスライド移動可能な第1蓋部材と、
前記第2操作部を覆う第2被覆位置と、前記第2操作部が露出する第2露出位置とにスライド移動可能な第2蓋部材と
を設け、
前記第1蓋部材が前記第1被覆位置から前記第1露出位置に移動する向きと、前記第2蓋部材が前記第2被覆位置から前記第2露出位置に移動する向きとが異なるように前記第1蓋部材と前記第2蓋部材を取り付けるとともに、前記第1蓋部材が前記第1被覆位置にある場合、前記第1蓋部材により前記第2蓋部材が前記第2露出位置側に移動することを規制され、前記第2蓋部材が前記第2露出位置にある場合、前記第2蓋部材により前記第1蓋部材が前記第1被覆位置側に移動することを規制される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段1によれば、第1操作部を覆う第1被覆位置にスライド移動可能な第1蓋部材と、第2操作部を覆う第2被覆位置にスライド移動可能な第2蓋部材を設けたため、遊技機を設置する遊技場の管理者等が出率を設定した後、各蓋部材を対応する被覆位置に移動させた後に扉体を閉鎖すれば、扉体を開放することなく前記設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
また、第1蓋部材が第1被覆位置から第1露出位置に移動する向きと、第2蓋部材が第2被覆位置から第2露出位置に移動する向きとが異なるように第1蓋部材と第2蓋部材を取り付けたため、筐体と扉体の隙間から針金等が挿入され、一方の蓋部材が対応する露出位置側に移動するよう前記針金等により引っ張られたとしても、他方の蓋部材が対応する露出位置に移動することを防止することができる。故に、仮に扉体を開放することなく筐体と扉体の隙間から針金等が挿入されたとしても、第1操作部と第2操作部を共に露出させることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。加えて、針金等を用いて両蓋部材を対応する露出位置に移動させるためには、筐体と扉体の隙間から針金等を複数挿入させ、これら針金等を異なる向きに引っ張る必要がある。故に、不正行為を目立たせることが可能となり、不正行為を容易に発見することが可能となる。
さらに、第1蓋部材が第1被覆位置にある場合、第1蓋部材により第2蓋部材が第2露出位置側に移動することを規制される。かかる構成においては、第1蓋部材を第1露出位置側に移動させない限り、第2蓋部材を第2露出位置に移動させることができず、第1蓋部材を第1露出位置側に移動させた後に第2蓋部材を第2露出位置側に移動させる必要がある。このように、両操作部を露出させるためには各蓋部材を特定の順序で移動させる必要がある構成とすることにより、両操作部が不正に露出されることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
このように両操作部が不正に露出されることを困難な構成とした場合、遊技機を設置する遊技場の管理者等が設定を変更する際の作業すなわち正規に設定を変更する際の作業が煩雑化する可能性が懸念される。そこで、第2蓋部材が第2露出位置にある場合、第2蓋部材により第1蓋部材が第1被覆位置側に移動することを規制される構成とした。かかる構成とすることにより、遊技場の管理者等が第1蓋部材を第1被覆位置に移動しないように保持するのではなく第2蓋部材により第1蓋部材を保持させることが可能となり、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
以上の結果、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制しつつ、不正に設定が変更されることを好適に抑制することが可能となる。
なお、「第1操作部(第2操作部)を覆う」とは、第1操作部(第2操作部)が操作不可能に覆われていれば良い。以下も同じである。
手段2.上記手段1において、前記第1蓋部材が前記第1被覆位置から前記第1露出位置に移動する向きと、前記第2蓋部材が前記第2被覆位置から前記第2露出位置に移動する向きとが交差するように、且つ、前記第1蓋部材が前記第1被覆位置にある場合、前記第2蓋部材が前記第2露出位置にある場合に前記第2蓋部材の占める領域の少なくとも一部に前記第1蓋部材が位置するように前記第1蓋部材と前記第2蓋部材を取り付けたことを特徴とする遊技機。
手段2によれば、第1蓋部材が第1被覆位置から第1露出位置に移動する向きと、第2蓋部材が第2被覆位置から第2露出位置に移動する向きとが交差するように、且つ、第1蓋部材が第1被覆位置にある場合、第2蓋部材が第2露出位置にある場合に第2蓋部材の占める領域の少なくとも一部に第1蓋部材が位置するように第1蓋部材と第2蓋部材が取り付けられている。かかる構成とすることにより、第1蓋部材が第1被覆位置にある状況で第2蓋部材を第2被覆位置から第2露出位置側に移動させようとした場合に、第2蓋部材が第1蓋部材と当接することで第2露出位置側への移動を規制できる。
手段3.上記手段2において、前記第1蓋部材を、前記第1被覆位置から前記第1露出位置側に移動させた場合に前記第1露出位置でそれ以上の移動が規制される構成とし、前記第2蓋部材を、前記第1蓋部材が前記第1被覆位置と前記第1露出位置との間の規定位置にある場合に限り、前記第2露出位置側への移動が許容される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段3によれば、第2蓋部材は、第1蓋部材が規定位置にある場合に限り、第2露出位置側への移動が許容される。かかる構成とすることにより、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。筐体と扉体の隙間から針金等が挿入され、第1蓋部材が第1露出位置側に移動するよう前記針金等により引っ張られた場合、第1蓋部材は規定位置を通過し第1露出位置でそれ以上の移動が規制されることとなるが、第1蓋部材が第1露出位置にある場合、第2蓋部材は第2露出位置側への移動が規制されたままであり、第2操作部を露出させることができないからである。
手段4.上記手段3において、前記第1蓋部材には、前記第1蓋部材が前記規定位置にある場合に前記第2蓋部材を挿入させることが可能な開口部を設けたことを特徴とする遊技機。
手段4によれば、第1蓋部材には、第1蓋部材が規定位置にある場合に第2蓋部材を挿入させることが可能な開口部が設けられている。かかる構成とすることにより、第1蓋部材を規定位置に移動させれば第2蓋部材の第2露出位置側への移動規制を解除することができ、遊技機を設置する遊技場の管理者等が出率を設定する際の作業、すなわち正規に出率を設定する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
手段5.上記手段2乃至手段4のいずれかにおいて、前記第2蓋部材が前記第2露出位置にある場合、前記第1蓋部材により前記第2蓋部材が前記第2被覆位置側に移動することを規制される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段5によれば、第2蓋部材が第2露出位置にある場合、第1蓋部材により第2蓋部材の第2被覆位置側への移動が規制される。かかる構成とすることにより、第2蓋部材が第2露出位置にある場合、一方の蓋部材により他方の蓋部材が対応する被覆位置側に移動することを規制することができる。故に、遊技場の管理者等が両蓋部材を対応する被覆位置に移動しないように保持することなく両操作部を操作することが可能となり、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
手段6.上記手段3乃至手段5のいずれかにおいて、前記第1蓋部材が前記規定位置にある場合、前記第1操作部が露出するように前記第1蓋部材と前記第2蓋部材を配置したことを特徴とする遊技機。
手段6によれば、第1蓋部材が規定位置に位置するとともに第2蓋部材が第2露出位置に位置する場合には、第1操作部と第2操作部が共に露出することとなる。故に、遊技場の管理者等が出率を設定する際の作業を容易なものとすることが可能となる。
手段7.上記手段1乃至手段6のいずれかにおいて、前記第1操作部は、遊技媒体の出率を変更する場合と、遊技機を所定の異常状態から正常状態に復帰させる場合とに操作されるものであって、前記第1蓋部材を、前記第1蓋部材と前記第2蓋部材が共に対応する被覆位置にある場合、前記第1露出位置側に移動することを少なくとも前記第2蓋部材により規制されない構成としたことを特徴とする遊技機。
手段7によれば、第1操作部は、遊技媒体の出率を変更する場合の他に、遊技機を所定の異常状態から正常状態に復帰させる場合にも操作される。つまり、第1操作部は、遊技機を設置する遊技場の営業時間内に操作される可能性がある。そこで、当該第1操作部を覆う第1被覆位置に移動可能な第1蓋部材は、第2蓋部材を第2露出位置側に移動させることなく第1露出位置側に移動させることが可能な構成とすることにより、遊技場の管理者等が遊技機を所定の異常状態から正常状態に復帰させる際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
手段8.遊技機前方に開口された筐体と、
該筐体の開口側に開閉可能に取り付けられた扉体と
を備え、
遊技機内部に設けられた第1操作部及び第2操作部が操作されたことに基づき遊技に用いる遊技媒体の出率を変更する遊技機において、
前記第1操作部を覆う第1被覆位置と、前記第1操作部が露出する第1露出位置とにスライド移動可能な第1蓋部材と、
前記第2操作部を覆う第2被覆位置と、前記第2操作部が露出する第2露出位置とにスライド移動可能な第2蓋部材と
を設け、
前記第1蓋部材が前記第1被覆位置から前記第1露出位置に移動する向きと、前記第2蓋部材が前記第2被覆位置から前記第2露出位置に移動する向きとが異なるように前記第1蓋部材と前記第2蓋部材を取り付けるとともに、前記第2蓋部材が前記第2被覆位置にある場合、前記第2蓋部材により前記第1蓋部材が前記第1露出位置側に移動することを規制され、前記第1蓋部材が前記第1露出位置にある場合、前記第1蓋部材により前記第2蓋部材が前記第2被覆位置側に移動することを規制される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段8によれば、第1操作部を覆う第1被覆位置にスライド移動可能な第1蓋部材と、第2操作部を覆う第2被覆位置にスライド移動可能な第2蓋部材を設けたため、遊技機を設置する遊技場の管理者等が出率を設定した後、各蓋部材を対応する被覆位置に移動させた後に扉体を閉鎖すれば、扉体を開放することなく前記設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
また、第1蓋部材が第1被覆位置から第1露出位置に移動する向きと、第2蓋部材が第2被覆位置から第2露出位置に移動する向きとが異なるように第1蓋部材と第2蓋部材を取り付けたため、筐体と扉体の隙間から針金等が挿入され、一方の蓋部材が対応する露出位置側に移動するよう前記針金等により引っ張られたとしても、他方の蓋部材が対応する露出位置に移動することを防止することができる。故に、仮に扉体を開放することなく筐体と扉体の隙間から針金等が挿入されたとしても、第1操作部と第2操作部を共に露出させることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。加えて、針金等を用いて両蓋部材を対応する露出位置に移動させるためには、筐体と扉体の隙間から針金等を複数挿入させ、これら針金等を異なる向きに引っ張る必要がある。故に、不正行為を目立たせることが可能となり、不正行為を容易に発見することが可能となる。
さらに、第2蓋部材が第2被覆位置にある場合、第2蓋部材により第1蓋部材が第1露出位置側に移動することを規制される。かかる構成においては、第2蓋部材を第2露出位置側に移動させない限り、第1蓋部材を第1露出位置に移動させることができず、第2蓋部材を第2露出位置側に移動させた後に第1蓋部材を第1露出位置側に移動させる必要がある。このように、両操作部を露出させるためには各蓋部材を特定の順序で移動させる必要がある構成とすることにより、両操作部が不正に露出されることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
このように両操作部が不正に露出されることを困難な構成とした場合、遊技機を設置する遊技場の管理者等が設定を変更する際の作業すなわち正規に設定を変更する際の作業が煩雑化する可能性が懸念される。そこで、第1蓋部材が第1露出位置にある場合、第1蓋部材により第2蓋部材が第2被覆位置側に移動することを規制される構成とした。かかる構成とすることにより、遊技場の管理者等が第2蓋部材を第2被覆位置に移動しないように保持するのではなく第1蓋部材により第2蓋部材を保持させることが可能となり、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
以上の結果、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制しつつ、不正に設定が変更されることを好適に抑制することが可能となる。
なお、本構成に上記手段2乃至手段6のいずれかの構成を適用しても良く、かかる場合には相乗効果が期待できる。但し、かかる場合には、第1蓋部材を第2蓋部材と読み替えると共に第2蓋部材を第1蓋部材と読み替えた上で適用する必要がある。
手段9.上記手段1乃至手段8のいずれかにおいて、遊技及び遊技媒体の出率に関わる主要な制御を実行する制御基板を備え、前記制御基板に前記第1操作部と前記第2操作部を直接搭載したことを特徴とする遊技機。
手段9によれば、第1操作部と第2操作部は制御基板に直接搭載されている。かかる構成とすることにより、制御基板と各操作部とを電気的に接続するケーブル等が不要となり、操作部を操作するのではなく前記ケーブル等をショートさせて設定を変更する不正を防止することが可能となる。
手段10.上記手段9において、前記制御基板を前記筐体内の後部に配置したことを特徴とする遊技機。
手段10によれば、制御基板は筐体内の後部に配置されている。かかる構成とすることにより、筐体の前端部すなわち筐体と扉体の隙間から両操作部までの距離を長くすることが可能となり、針金等を用いて両操作部を操作することを困難なものとすることが可能となる。
手段11.上記手段1乃至手段10のいずれかにおいて、前記第1操作部及び前記第2操作部を、前記筐体から前記扉体が開放されるとともに少なくとも前記各蓋部材が対応する露出位置に移動された場合、遊技機前方から視認可能となる位置に設けたことを特徴とする遊技機。
手段11によれば、第1操作部及び第2操作部は、筐体から扉体が開放されるとともに少なくとも各蓋部材が対応する露出位置に移動された場合、遊技機前方から視認可能となる位置に設けられている。筐体から扉体が開放された場合に遊技機前方から視認可能となる位置に第1操作部及び第2操作部が設けられた構成においては、遊技場の管理者等が出率を設定する際に各操作部を容易に操作することができる一方、筐体と扉体の隙間から針金等が挿入された場合、前記針金等を用いて容易に各操作部が操作される可能性が懸念される。しかしながら、上記手段1乃至手段10のいずれかの構成を適用することにより、上記懸念を好適に解消することが可能となる。
なお、各蓋部材を透明な合成樹脂材料等により形成した構成においては、筐体から扉体が開放されるとともに各蓋部材が対応する露出位置に移動された場合に限らず、筐体から扉体が開放された場合にも各操作部が視認可能となる。
手段12.第1操作部及び第2操作部が操作されたことに基づき遊技に用いる遊技媒体の出率を変更する遊技機において、
前記第1操作部を覆う第1被覆位置と、前記第1操作部が露出する第1露出位置とにスライド移動可能な第1蓋部材と、
前記第2操作部を覆う第2被覆位置と、前記第2操作部が露出する第2露出位置とにスライド移動可能な第2蓋部材と
を設け、
前記第1蓋部材が前記第1被覆位置から前記第1露出位置に移動する向きと、前記第2蓋部材が前記第2被覆位置から前記第2露出位置に移動する向きとが異なるように前記第1蓋部材と前記第2蓋部材を取り付けるとともに、前記第1蓋部材が前記第1被覆位置にある場合、前記第1蓋部材により前記第2蓋部材が前記第2露出位置側に移動することを規制され、前記第2蓋部材が前記第2露出位置にある場合、前記第2蓋部材により前記第1蓋部材が前記第1被覆位置側に移動することを規制される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段12によれば、第1操作部を覆う第1被覆位置にスライド移動可能な第1蓋部材と、第2操作部を覆う第2被覆位置にスライド移動可能な第2蓋部材を設けたため、遊技機を設置する遊技場の管理者等が出率を設定した後、各移動部材が対応する被覆位置に移動していれば、前記設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
また、第1蓋部材が第1被覆位置から第1露出位置に移動する向きと、第2蓋部材が第2被覆位置から第2露出位置に移動する向きとが異なるように第1蓋部材と第2蓋部材を取り付けたため、一方の蓋部材が対応する露出位置側に移動するよう針金等により引っ張られたとしても、他方の蓋部材が対応する露出位置に移動することを防止することができる。故に、第1操作部と第2操作部を共に露出させることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。加えて、針金等を用いて両蓋部材を対応する露出位置に移動させるためには、針金等を複数挿入させ、これら針金等を異なる向きに引っ張る必要がある。故に、不正行為を目立たせることが可能となり、不正行為を容易に発見することが可能となる。
さらに、第1蓋部材が第1被覆位置にある場合、第1蓋部材により第2蓋部材が第2露出位置側に移動することを規制される。かかる構成においては、第1蓋部材を第1露出位置側に移動させない限り、第2蓋部材を第2露出位置に移動させることができず、第1蓋部材を第1露出位置側に移動させた後に第2蓋部材を第2露出位置側に移動させる必要がある。このように、両操作部を露出させるためには各蓋部材を特定の順序で移動させる必要がある構成とすることにより、両操作部が不正に露出されることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
このように両操作部が不正に露出されることを困難な構成とした場合、遊技機を設置する遊技場の管理者等が設定を変更する際の作業すなわち正規に設定を変更する際の作業が煩雑化する可能性が懸念される。そこで、第2蓋部材が第2露出位置にある場合、第2蓋部材により第1蓋部材が第1被覆位置側に移動することを規制される構成とした。かかる構成とすることにより、遊技場の管理者等が第1蓋部材を第1被覆位置に移動しないように保持するのではなく第2蓋部材により第1蓋部材を保持させることが可能となり、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
以上の結果、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制しつつ、不正に設定が変更されることを好適に抑制することが可能となる。
手段13.第1操作部及び第2操作部が操作されたことに基づき遊技に用いる遊技媒体の出率を変更する遊技機において、
前記第1操作部を覆う第1被覆位置と、前記第1操作部が露出する第1露出位置とにスライド移動可能な第1蓋部材と、
前記第2操作部を覆う第2被覆位置と、前記第2操作部が露出する第2露出位置とにスライド移動可能な第2蓋部材と
を設け、
前記第1蓋部材が前記第1被覆位置から前記第1露出位置に移動する向きと、前記第2蓋部材が前記第2被覆位置から前記第2露出位置に移動する向きとが異なるように前記第1蓋部材と前記第2蓋部材を取り付けるとともに、前記第2蓋部材が前記第2被覆位置にある場合、前記第2蓋部材により前記第1蓋部材が前記第1露出位置側に移動することを規制され、前記第1蓋部材が前記第1露出位置にある場合、前記第1蓋部材により前記第2蓋部材が前記第2被覆位置側に移動することを規制される構成としたことを特徴とする遊技機。
手段13によれば、第1操作部を覆う第1被覆位置にスライド移動可能な第1蓋部材と、第2操作部を覆う第2被覆位置にスライド移動可能な第2蓋部材を設けたため、遊技機を設置する遊技場の管理者等が出率を設定した後、各移動部材が対応する被覆位置に移動していれば、前記設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
また、第1蓋部材が第1被覆位置から第1露出位置に移動する向きと、第2蓋部材が第2被覆位置から第2露出位置に移動する向きとが異なるように第1蓋部材と第2蓋部材を取り付けたため、一方の蓋部材が対応する露出位置側に移動するよう針金等により引っ張られたとしても、他方の蓋部材が対応する露出位置に移動することを防止することができる。故に、第1操作部と第2操作部を共に露出させることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。加えて、針金等を用いて両蓋部材を対応する露出位置に移動させるためには、針金等を複数挿入させ、これら針金等を異なる向きに引っ張る必要がある。故に、不正行為を目立たせることが可能となり、不正行為を容易に発見することが可能となる。
さらに、第2蓋部材が第2被覆位置にある場合、第2蓋部材により第1蓋部材が第1露出位置側に移動することを規制される。かかる構成においては、第2蓋部材を第2露出位置側に移動させない限り、第1蓋部材を第1露出位置に移動させることができず、第2蓋部材を第2露出位置側に移動させた後に第1蓋部材を第1露出位置側に移動させる必要がある。このように、両操作部を露出させるためには各蓋部材を特定の順序で移動させる必要がある構成とすることにより、両操作部が不正に露出されることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
このように両操作部が不正に露出されることを困難な構成とした場合、遊技機を設置する遊技場の管理者等が設定を変更する際の作業すなわち正規に設定を変更する際の作業が煩雑化する可能性が懸念される。そこで、第1蓋部材が第1露出位置にある場合、第1蓋部材により第2蓋部材が第2被覆位置側に移動することを規制される構成とした。かかる構成とすることにより、遊技場の管理者等が第2蓋部材を第2被覆位置に移動しないように保持するのではなく第1蓋部材により第2蓋部材を保持させることが可能となり、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
以上の結果、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制しつつ、不正に設定が変更されることを好適に抑制することが可能となる。
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、天板11a,底板11b,背板11c,左側板11d及び右側板11eからなり、全体として前面を開放した箱状に形成されている。
筐体11の前面側には、前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11には、その正面から見て左側部に上下一対の支軸13a,13bが設けられており、前面扉12には、各支軸13a,13bと対応する位置に軸受部14a,14bが設けられている。そして、各軸受部14a,14bに各支軸13a,13bが挿入された状態では、前面扉12が筐体11に対して両支軸13a,13bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、前面扉12の回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖したりすることができるようになっている。また、前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置20によって開放不能な施錠状態とされる。前面扉12の右端側上部には、施錠装置20と一体化されたキーシリンダ21が設けられており、キーシリンダ21に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル25が設けられている。遊技パネル25には、縦長の3つの表示窓26L,26M,26Rが横並びに形成されており、各表示窓26L,26M,26Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓26L,26M,26Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図3に示すように、筐体11は仕切り板30によりその内部が上下2分割されており、仕切り板30の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット31が取り付けられている。リールユニット31は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール32L,中リール32M,右リール32Rを備えている。各リール32L,32M,32Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール32L,32M,32Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール32L,32M,32Rが各表示窓26L,26M,26Rと1対1で対応している。したがって、各リール32L,32M,32Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓26L,26M,26Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール32L,32M,32Rが正回転すると、各表示窓26L,26M,26Rを通じてリール32L,32M,32Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
ここで、リールユニット31の構成を簡単に説明する。
各リール32L,32M,32Rは、それぞれがステッピングモータに連結されており、各ステッピングモータの駆動により各リール32L,32M,32Rが個別に、すなわちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。ステッピングモータは、例えば504パルスの駆動信号(以下、励磁パルスとも言う。)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータの回転位置、すなわちリールの回転位置が制御される。また、リールユニット31には、リールが1回転したことを検出するためのリールインデックスセンサが各リール32L,32M,32Rに設置されている。そして、リールインデックスセンサからは、リールが1回転したことを検出した場合、その検出の都度、後述する主制御装置101に検出信号が出力されるようになっている。このため主制御装置101は、リールインデックスセンサの検出信号と、当該検出信号が入力されるまでに出力した励磁パルス数とに基づいて、各リール32L,32M,32Rの角度位置を1回転毎に確認するとともに補正することができる。
各リール32L,32M,32Rの外周面には、その長辺方向(周回方向)に、識別情報としての図柄が複数個描かれている。より具体的には、21個の図柄が等間隔に描かれている。このため、所定の位置においてある図柄を次の図柄へ切り替えるには、24パルス(=504パルス÷21図柄)の励磁パルスの出力を要する。また、主制御装置101は、リールインデックスセンサの検出信号が入力されてから出力した励磁パルス数により、表示窓26L,26M,26Rから視認可能な状態となっている図柄を把握したり、表示窓26L,26M,26Rから視認可能な位置に所定の図柄を停止させたりする制御を行うことができる。
各表示窓26L,26M,26Rは、対応するリールに付された21個の図柄のうち図柄全体を視認可能となる図柄が3個となるように形成されている。このため、各リール32L,32M,32Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が表示窓26L,26M,26Rを介して視認可能な状態となる。本スロットマシン10では、これら9個の図柄が視認可能となる各位置を結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが設定されている。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合には、入賞成立として、遊技媒体たるメダルが所定数払い出される特典が付与されたり、ビッグボーナス(以下、「BB」とも言う)状態等に遊技状態が移行される特典が付与されたりするようになっている。
遊技パネル25の下方左側には、各リール32L,32M,32Rの回転を開始させるために操作されるスタートレバー41が設けられている。スタートレバー41はリール32L,32M,32Rを回転開始、すなわち図柄の可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。所定数のメダルが投入されている状態でスタートレバー41を操作された場合、各リール32L,32M,32Rが回転を開始するようになっている。
スタートレバー41の右側には、回転している各リール32L,32M,32Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ42〜44が設けられている。各ストップスイッチ42〜44は、停止対象となるリール32L,32M,32Rに対応する表示窓26L,26M,26Rの直下にそれぞれ配置されている。すなわち、左ストップスイッチ42が操作された場合には左リール32Lの回転が停止し、中ストップスイッチ43が操作された場合には中リール32Mの回転が停止し、右ストップスイッチ44が操作された場合には右リール32Rの回転が停止する。ストップスイッチ42〜44はリール32L,32M,32Rの回転に基づく図柄の可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。
表示窓26L,26M,26Rの下方右側には、メダルを投入するためのメダル投入口45が設けられている。メダル投入口45は遊技媒体を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口45が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、遊技媒体を直接入力する直接入力手段を構成するものとも言える。
メダル投入口45から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ46によって貯留用通路47か排出用通路48のいずれかへ導かれる。より詳しくは、セレクタ46にはメダル通路切替ソレノイド46aが設けられており、そのメダル通路切替ソレノイド46aの非励磁時にはメダルが排出用通路48側に導かれ、前記メダル通路切替ソレノイド46aの励磁時にはメダルが貯留用通路47側に導かれるようになっている。貯留用通路47に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置51へと導かれる。一方、排出用通路48に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口49からメダル受け皿50へと導かれ、遊技者に返還される。
ホッパ装置51は、メダルを貯留する貯留タンク52と、メダルを遊技者に払い出す払出装置53とより構成されている。払出装置53は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路48に設けられた開口48aへメダルを排出し、排出用通路48を介してメダル受け皿50へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置51の右方には、貯留タンク52内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク54が設けられている。ホッパ装置51の貯留タンク52内部には、この貯留タンク52から予備タンク54へとメダルを排出する誘導プレート52aが設けられている。したがって、誘導プレート52aが設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク54に貯留されることとなる。
メダル投入口45の下方には、ボタン状の返却スイッチ55が設けられている。メダル投入口45に投入されたメダルがセレクタ46内に詰まった状況下で返却スイッチ55を操作された場合、セレクタ46が機械的に連動して動作され、当該セレクタ46内に詰まったメダルがメダル排出口49から返却されるようになっている。
表示窓26L,26M,26Rの下方左側には、遊技媒体としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するための第1クレジット投入スイッチ56が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ56の左方には、第2クレジット投入スイッチ57と、第3クレジット投入スイッチ58とが設けられている。第2クレジット投入スイッチ57は仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ58は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ56〜58は前記メダル投入口45とともに遊技媒体を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口45が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し、各クレジット投入スイッチ56〜58は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、遊技媒体を間接入力する間接入力手段を構成するものとも言える。
スタートレバー41の左方には、精算スイッチ59が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の払出メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状況下で精算スイッチ59を操作された場合、仮想メダルが現実のメダルとしてメダル排出口49から払い出されるようになっている。この場合、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、精算スイッチ59は貯留記憶された遊技媒体を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものとも言える。
遊技パネル25の表示窓26L,26M,26R下方には、クレジットされている仮想メダル数を表示するクレジット表示部60と、BB状態が終了するまでに払い出される残りのメダル数を表示する残払出枚数表示部61と、入賞成立時に払い出したメダルの枚数を表示する払出枚数表示部62とがそれぞれ設けられている。これら表示部60〜62は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ63と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ64と、遊技者に各種情報を与える補助表示部65とが設けられている。補助表示部15の背面には、上部ランプ63やスピーカ64、補助表示部65を駆動させるための表示制御装置81が設けられている。
筐体11の内部においてホッパ装置51の左方には、電源ボックス70が設けられている。電源ボックス70は、その内部に電源装置91を収容するとともに、電源スイッチ71を備えている。電源スイッチ71は、主制御装置101を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
リールユニット31の上方には、主制御装置ユニット100が取り付けられている。主制御装置ユニット100は、遊技を統括管理する主制御装置101と、主制御装置101を搭載する台座装置151とを備えている。台座装置151は、筐体11の背板11cに取付固定されており、当該台座装置151の前面側に主制御装置101が搭載されている。つまり、主制御装置101は、筐体11内部において上部奥側に配置されている。
ここで、主制御装置101の構成を、図6及び図7に基づいて説明する。図6は第1蓋部材132及び第2蓋部材142を閉鎖した状態を示す主制御装置101の正面図、図7は第1蓋部材132及び第2蓋部材142を開放した状態を示す主制御装置101の正面図である。なお、以下では、主制御装置101がスロットマシン10に取り付けられた状態(図5参照)を基準として、上下左右等の方向を特定することとする。
主制御装置101は、制御基板としての主基板が基板ボックス110に収容されて構成されている。
主基板は横長矩形状のプリント基板であって、その表面には、CPUやROM等を備えたICチップの他に、被コネクタ受け部としてのソケット103等が搭載されている。ソケット103には、リールユニット31等の他の装置と接続されたケーブルコネクタ(図示略)や、スタートレバー41の操作を検出するスタート検出センサ、ストップスイッチ42〜44の操作を個別に検出するストップ検出センサ等の各種センサが接続されるようになっており、主基板102は、これらセンサからの入力結果に基づいて各リール32L,32M,32Rの回転及び停止やメダルの払出等の制御を実行する。
主基板の前面側右部には、図7に示すように、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105が直付け実装されている。リセットスイッチ104は、スロットマシン10をエラー状態から復帰させる場合や、スロットマシン10の設定値(役の当選確率)を変更する場合に押し操作されるスイッチである。設定キースイッチ105は、設定値を変更する場合や設定値を確認する場合に操作されるスイッチである。設定キースイッチ105の先端面には設定キー挿入孔(図示略)が設けられており、ホール管理者等が設定キーを挿入してON側に回動操作(ON操作)することにより、スロットマシン10の設定値を変更したりそのときの設定値を確認したりすることができるようになっている。主基板の前面側右下部には、設定キースイッチ105がON操作された場合に設定値を表示する設定表示部106が直付け実装されている。このように、主基板の一側部には、設定値の変更に関わるリセットスイッチ104,設定キースイッチ105及び設定表示部106が集約配置されている。さらにいうと、前面扉12は筐体11の左側部の開閉軸線を中心として回動可能に支持されており、リセットスイッチ104,設定キースイッチ105及び設定表示部106は、主基板の右部すなわち前面扉12の開放端側に設けられているため、ホール管理者等が設定値の変更等を容易に行うことができる。
基板ボックス110は、主基板を前面側から覆うボックスカバーと、主基板を後面側から覆うボックスケースとが組み合わされて構成されている。ボックスカバー及びボックスケースは、透明な合成樹脂材料によってそれぞれ形成されている。
基板ボックス110の前面側すなわちボックスカバーには、その中央部に主基板のICチップ等を収容するための収容部111が形成されている。また、基板ボックス110の前面側右部には、リセットスイッチ収容部131と設定キースイッチ収容部141が、上下に隣接して形成されている。リセットスイッチ収容部131には、透明な合成樹脂材料によって形成された第1蓋部材132がスライド移動可能に支持されており、設定キースイッチ収容部141には、透明な合成樹脂材料によって形成された第2蓋部材142がスライド移動可能に支持されている。リセットスイッチ収容部131の左方には、第1蓋部材132の左方への移動を規制するストッパ150が取り付けられている。収容部111の下方及び左方には、主基板のソケット103と対応する位置に、当該ソケット103を挿通するための挿通孔112が形成されている。本スロットマシン10では、基板ボックス110,第1蓋部材132及び第2蓋部材142が透明な合成樹脂材料によって形成されているため、主基板に搭載されたリセットスイッチ104,設定キースイッチ105及び設定表示部106等が基板ボックス110等を介して視認できるようになっている。
基板ボックス110の上部には、前後に貫通する横長矩形の第1開口孔部118及び第2開口孔部119が、左右に並ぶようにしてボックスカバーとボックスケースのそれぞれに形成されている。第1開口孔部118の中央左部及び第2開口孔部119の中央右部には、基板ボックス110を封印するための第1封印部材120が、ボックスカバーとボックスケースのそれぞれに設けられている。封印について簡単に説明すると、ボックスカバー及びボックスケースの第1封印部材120に封印ピンが挿入された場合、ボックスベースとボックスカバーとが開放不能に結合されるようになっている。そして、主基板を基板ボックス110から取り出す場合には、封印ピンの挿入された第1封印部材120をボックスカバー及びボックスケースから切断することにより、ボックスベースとボックスカバーの結合状態を解除する。つまり、主基板を基板ボックス110から取り出した場合には、第1封印部材120の切断された痕跡がボックスベース及びボックスカバーに残ることとなる。故に、基板ボックス110の開放を行った旨の履歴をホール側で残しておけば、基板ボックス110を確認することで不正な開放が行われた旨を容易に発見することができる。ボックスケースの第1開口孔部118及び第2開口孔部119には、主制御装置101を台座装置151に封印するための第2封印部材121が、それぞれ2つずつ設けられている。
ここで、リセットスイッチ収容部131,設定キースイッチ収容部141及び両蓋部材132,142の構成を、図8〜図11に基づいてより詳細に説明する。図8は、第1蓋部材132及び第2蓋部材142が共に閉鎖された状態を示す要部拡大図、図9は、第1蓋部材132を開放位置まで移動させた状態を示す要部拡大図、図10は、第1蓋部材132を規制解除位置まで移動させた状態を示す要部拡大図、図11は、第1蓋部材132及び第2蓋部材142が共に開放された状態を示す要部拡大図である。
リセットスイッチ収容部131は、主基板と平行に延びる底板部133を有し、該底板部133のリセットスイッチ104と対応する位置には、リセットスイッチ104より若干大きな外径を有する開口孔133aが形成されている。また、リセットスイッチ収容部131は、底板部133の周縁部から前方に直立形成された矩形枠状の壁部135を有している。壁部135のうち上側壁部135a及び下側壁部135bには、第1蓋部材132をスライド移動可能に支持するための案内溝部137a,137bが形成されている。案内溝部137a,137bは、リセットスイッチ104と対向する側及び左方に開放された形状となっている。また、下側壁部135bには、設定キースイッチ105の上方に、先端面が案内溝部137bの後端面と同一平面となるよう切欠部137cが形成されている。
リセットスイッチ収容部131の前面側には、第1蓋部材132がスライド移動可能に取り付けられている。第1蓋部材132は、透明な合成樹脂材料によって全体として横長矩形に形成されており、その中央部には、前後に貫通するとともに下方に開口する開口部132aが形成されている。開口部132aは、第2蓋部材142の左右寸法より若干大きな左右寸法を有する一方、その上下寸法は第2蓋部材142の上下寸法より小さなものとなっている。また、開口部132aの左上部には、後述する第2蓋部材142の突出部142aを収容可能な収容部132bが形成されている。そして、第1蓋部材132の上部が上側壁部135aの案内溝部137aに挿入されるとともに第1蓋部材132の下部が下側壁部137bの案内溝部137bに挿入された状態では、第1蓋部材132がリセットスイッチ収容部131に対して左右方向にスライド移動可能に支持され、第1蓋部材132のスライド移動によってリセットスイッチ収容部131の前面開放側を開放したり閉鎖したりすることができるようになっている。かかる構成においては、第1蓋部材132が図8に示す閉鎖位置にある場合に、第1蓋部材132によってリセットスイッチ104の前面側が覆われ、第1蓋部材132が図9に示す開放位置にある場合に、リセットスイッチ104が露出することとなる。また、図示は省略するが、第1蓋部材132の後面とリセットスイッチ収容部131の左側壁部135cとには、第1蓋部材132を閉鎖位置側に付勢するコイルバネが設けられている。
設定キースイッチ収容部141は、主基板と平行に延びる底板部143を有し、該底板部143の設定キースイッチ105と対応する位置には、設定キースイッチ105より若干大きな外径を有する開口孔143aが形成されている。また、設定キースイッチ収容部141は、底板部143の周縁部から前方に直立形成された矩形枠状の壁部145を有している。本実施の形態では、リセットスイッチ収容部131の下側壁部135bを設定キースイッチ収容部141の上側壁部として共通使用することにより、リセットスイッチ104,設定キースイッチ105,リセットスイッチ収容部131及び設定キースイッチ収容部141を集約配置している。壁部145のうち左側壁部145a及び右側壁部145bには、第2蓋部材142をスライド移動可能に支持するための案内溝部146a,146bが形成されている。案内溝部146a,146bは、設定キースイッチ105と対向する側及び上方に開放された形状となっている。また、下側壁部145cには、両案内溝部146a,146bと連続するようにして係止溝部147が形成されている。
設定キースイッチ収容部141の前面側には、第2蓋部材142がスライド移動可能に取り付けられている。第2蓋部材142は、透明な合成樹脂材料によって全体として縦長矩形に形成されており、その左上部には、左方に向かって突出する突出部142aが形成されている。そして、第2蓋部材142の左部が左側壁部145aの案内溝部146aに挿入されるとともに第2蓋部材142の右部が右側壁部145bの案内溝部146bに挿入された状態では、第2蓋部材142が設定キースイッチ収容部141に対して上下方向にスライド移動可能に支持され、第2蓋部材142のスライド移動によって設定キースイッチ収容部141の前面開放側を開放したり閉鎖したりすることができるようになっている。かかる構成においては、第2蓋部材142が図10に示す閉鎖位置にある場合に、第2蓋部材142によって設定キースイッチ105の前面側が覆われ、第2蓋部材142が図11に示す開放位置にある場合に、設定キースイッチ105が露出することとなる。
ここで、第1蓋部材132と第2蓋部材142の取り付け作業について説明する。
第1蓋部材132と第2蓋部材142を対応する収容部131,141に取り付ける場合には、先ず第2蓋部材142を設定キースイッチ収容部141の上方から案内溝部146a,146bに挿入し、当該第2蓋部材142を下方にスライド移動させる。これにより、第2蓋部材142が設定キースイッチ収容部141に対して上下方向にスライド移動可能に支持される。
第1蓋部材132をリセットスイッチ収容部131に取り付ける場合には、第2蓋部材142を閉鎖位置に移動させた後、第1蓋部材132をリセットスイッチ収容部131の左方から案内溝部137a,137bに挿入し、当該第1蓋部材132を右方にスライド移動させる。これにより、第1蓋部材132がリセットスイッチ収容部131に対して左右方向にスライド移動可能に支持される。その後、基板ボックス110の収容部111にストッパ150を取り付け固定する。なお、第2蓋部材142よりも先に第1蓋部材132をリセットスイッチ収容部131に取り付けた場合には、当該第1蓋部材132と第2蓋部材142が干渉し、第2蓋部材142を設定キースイッチ収容部141に取り付けることができない。
次に、第1蓋部材132及び第2蓋部材142の作用を説明する。
第1蓋部材132を閉鎖側(すなわち右向き)にスライド移動させた場合、第1蓋部材132の右側面がリセットスイッチ収容部131の右側壁部135dと当接し、閉鎖側へのそれ以上のスライド移動が規制される。第1蓋部材132が閉鎖側への移動を規制される閉鎖位置(図8参照)にある場合には、第1蓋部材132によってリセットスイッチ104の前面側が覆われるようになっている。また、第1蓋部材132と第2蓋部材142が共に閉鎖位置にある場合には、図8に示すように、第1蓋部材132の開口部132aが第2蓋部材142と上下方向においてずれた位置に位置するようになっている。
第1蓋部材132と第2蓋部材142が共に閉鎖位置にある状態から第1蓋部材132を開放側(すなわち左向き)にスライド移動させた場合、図9に示すように、第1蓋部材132の左側面がストッパ150と当接し、開放側へのそれ以上の移動が規制される。第1蓋部材132が開放側への移動を規制される開放位置にある場合には、リセットスイッチ104が露出し、当該リセットスイッチ104を操作することができる。また、第1蓋部材132が開放位置にあって第2蓋部材142が閉鎖位置にある場合には、第1蓋部材132の開口部132aが第2蓋部材142と上下方向においてずれた位置に位置するようになっている。
第2蓋部材142を閉鎖側(すなわち下向き)にスライド移動させた場合、第2蓋部材142の下部が係止溝部147に挿入されるとともに第2蓋部材142の下面が係止溝部147と当接し、閉鎖側へのそれ以上の移動が規制される。第2蓋部材142が閉鎖側への移動を規制される閉鎖位置(図8参照)にある場合には、第2蓋部材142によって設定キースイッチ105の前面側が覆われるようになっている。
図8に示すように第1蓋部材132が閉鎖位置にある場合には、第2蓋部材142と第1蓋部材132の開口部132aが上下方向においてずれた位置関係となるため、第2蓋部材142の開放側への移動が第1蓋部材132の下面によって規制される。また、図9に示すように第1蓋部材132が開放位置にある場合についても、第2蓋部材142と第1蓋部材132の開口部132aが上下方向においてずれた位置関係となるため、第2蓋部材142の開放側への移動が第1蓋部材132の下面によって規制される。一方、第1蓋部材132を、当該第1蓋部材132の開口部132aと第2蓋部材142が上下方向に並ぶ規制解除位置まで移動させた場合(図10参照)には、第2蓋部材142の規制が解除され、第2蓋部材142を開放側(すなわち上向き)にスライド移動させることができる。なお、第1蓋部材132が規制解除位置以外の位置に位置する場合には、いずれの場合であっても第2蓋部材142の開放側への移動が規制される。このように、第2蓋部材142は、第1蓋部材132が規制解除位置にある場合に限り、開放側へ移動させることが可能となる。
第1蓋部材132が規制解除位置にある状況下で第2蓋部材142を開放側にスライド移動させた場合、第2蓋部材142の上面が第1蓋部材132の開口部132a上面と当接し、開放側へのそれ以上の移動が規制される。第2蓋部材142がそれ以上の開放側への移動を規制される開放位置(図11参照)にある場合には、設定キースイッチ105が露出し、当該設定キースイッチ105を操作することができる。このとき、第1蓋部材132は第2蓋部材142によって開放位置側及び閉鎖位置側への移動が規制されることとなるが、第1蓋部材132が規制解除位置にある場合には、リセットスイッチ104が露出しているため、当該リセットスイッチ104を操作することができる。また、図11に示すように、第1蓋部材132が規制解除位置にあって第2蓋部材142が開放位置にある状況において、ホール管理者等が第1蓋部材132に設けられたコイルバネの付勢力に抗する外力を第1蓋部材132に加えていない場合、第1蓋部材132の開口部132a左側面と第2蓋部材142の左側面が当接し、第2蓋部材142によって第1蓋部材132の閉鎖位置側への移動が規制される。加えて、かかる状況においては、第2蓋部材142は重力による下向きの外力を受けているが、第2蓋部材142の突出部142aが第1蓋部材132の収容部132bと当接し、第1蓋部材132によって第2蓋部材142の落下すなわち閉鎖位置側への移動が規制される。
次に、ホール管理者等が設定値を変更する際の具体的な作業について説明する。
設定値を変更する場合には、先ず前面扉12を筐体11から開放し、電源が投入されている場合には電源スイッチ71をOFF操作して電源を遮断する。その後、第1蓋部材132を閉鎖位置から規制解除位置に移動させた上で第2蓋部材142を閉鎖位置から開放位置に移動させ、設定キースイッチ105を露出させる。そして、設定キーを設定キースイッチ105へ挿入してON操作する。かかる状態で電源スイッチ71をON操作して電源を投入することにより、スロットマシン10の設定値を変更できるようになるとともに、設定表示部106にそのときの設定値(本実施の形態では「1」)が表示される。
第1蓋部材132を規制解除位置に移動させた場合にはリセットスイッチ104が露出しているため、電源スイッチ71をON操作して電源を投入した後、リセットスイッチ104を押し操作することにより、ホール管理者等の望む設定値に変更する。このとき、設定表示部106には、リセットスイッチ104の操作に伴って変更された設定値が表示される。ホール管理者等の望む設定値が設定表示部106に表示された場合には、スタートレバー41を操作して設定値を確定させる。その後、設定キースイッチ105をOFF操作した上で設定キースイッチ105から設定キーを抜き取り、第2蓋部材142と第1蓋部材132を閉鎖位置に移動させ、前面扉12を閉鎖する。このとき、第1蓋部材132には閉鎖位置側に付勢するコイルバネが設けられているため、ホール管理者等が第2蓋部材142を閉鎖位置に移動させた場合には、第1蓋部材132が付勢力によって閉鎖位置に移動し、リセットスイッチ104及び設定キースイッチ105の前面側が被覆される。なお、本スロットマシン10には主基板102に搭載された設定表示部106を除いて設定値の表示される部位がないため、設定値の確認は上記設定表示部106を通じて行う必要がある。
ちなみに、電源が投入されている状況下でホール管理者等が設定キーを設定キースイッチ105へ挿入してON操作した場合には、そのときの設定値が設定表示部106に表示され、設定値を確認することができる。このとき、リセットスイッチ104を押し操作したとしても設定値を変更することはできない。
ここで、上記設定変更作業が行われた場合に主制御装置101が実行する当選確率設定処理について、図12のフローチャートを用いて説明する。主制御装置101は、停電からの復旧や電源スイッチ71のON操作によって電源が投入された場合、設定キーが設定キースイッチ105に挿入されてON操作されているか否かを判定する。ON操作がなされている場合には、強制的RAMクリア処理としてRAMに記憶されたデータ(設定値に関するデータも含む)を全てクリアし、その後に当選確率設定処理を行う。本スロットマシン10には、「設定1」から「設定6」まで6段階の当選確率が予め用意されており、当選確率設定処理では、いずれの当選確率に基づいて内部処理を実行させるのかを設定する。
先ず、ステップS101では、次回のタイマ割込みを許可する。その後、ステップS102にて現在の設定値を読み込むとともに、ステップS103では現在の設定値を設定表示部106に表示する。但し、設定キーが挿入されてON操作された直後の処理では、先の強制的RAMクリア処理によりRAMのデータがクリアされているため、設定表示部106に表示される設定値は初期値の「1」である。
ステップS104ではスタートレバー41が操作されたか否かを判定し、操作されていない場合にはステップS105〜ステップS106に示す設定更新処理を行う。ステップS105では、リセットスイッチ104が操作されたか否かを判定する。リセットスイッチ104が操作されていない場合にはそのままステップS103に戻り、操作された場合にはステップS106にて設定値を1更新した後にステップS103に戻る。つまり、設定更新処理では、リセットスイッチ104が操作される毎に設定値が1更新され、更新された設定値が設定表示部106に表示される。なお、設定値が「6」のときにリセットスイッチ104が操作された場合、設定値は「1」に更新される。
ステップS104にてスタートレバー41が操作された場合には、ステップS107にて設定キーのON操作が継続してなされているか否かを判定する。設定キーのON操作が継続してなされている場合にはそのまま待機し、ON操作が終了された場合(OFF操作された場合)にはステップS108にて次回のタイマ割込みを禁止する。その後、ステップS109にて設定値を保存し、ステップS110にてRAMに記憶された設定値以外のデータをクリアして本処理を終了する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
リセットスイッチ収容部131の前面側に第1蓋部材132を設けてリセットスイッチ104の前面側が被覆される構成とするとともに、設定キースイッチ収容部141の前面側に第2蓋部材142を設けて設定キースイッチ105の前面側が被覆される構成とした。かかる構成とすることにより、仮に設定値を不正に変更すべく筐体11と前面扉12の隙間から針金等が挿入されたとしても、両蓋部材132,142によって前記針金等をリセットスイッチ104や設定キースイッチ105に到達させることを困難なものとすることができる。
確かに、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105の前面側を1の蓋部材で覆う構成とした場合であっても、針金等をリセットスイッチ104や設定キースイッチ105に到達させることを困難なものとすることができる。しかしながら、かかる構成においては、針金等によって当該蓋部材が開放位置側に引っ張られた場合、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105が共に露出して操作可能な状態となってしまう。一方、それぞれを別の蓋部材で被覆する本実施形態においては、各蓋部材を開放位置側に引っ張る必要が生じるため、1の蓋部材で被覆する構成と比してリセットスイッチ104と設定キースイッチ105を共に露出させることを困難なものとすることができる。
かかる一方、このように両蓋部材132,142によってリセットスイッチ104及び設定キースイッチ105の前面側を覆う構成とした場合、ホール管理者等が設定変更を行う際の作業が煩雑化する可能性が懸念されるが、主基板の一側部にリセットスイッチ104と設定キースイッチ105を集約配置するとともに、第1蓋部材132と第2蓋部材142を隣接して配置したため、前記作業の煩雑化を抑制することが可能となる。
第1蓋部材132が閉鎖位置から開放位置に移動する向きと、第2蓋部材142が閉鎖位置から開放位置に移動する向きとが異なるように第1蓋部材132と第2蓋部材142を取り付けた。かかる構成とすることにより、筐体11と前面扉12の隙間から針金等が挿入され、一方の蓋部材が開放位置側に移動するよう前記針金等により引っ張られたとしても、他方の蓋部材が開放位置に移動することを防止することができる。故に、仮に前面扉12を開放することなく又は少し開放させて筐体11と前面扉12の隙間から針金等が挿入されたとしても、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105を共に露出させることを困難なものとすることができ、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。また、針金等を用いて両蓋部材132,142を開放位置に移動させるためには、筐体11と前面扉12の隙間から針金等を複数挿入させ、これら針金等を異なる向きに引っ張る必要がある。故に、不正行為を目立たせることが可能となり、不正行為を容易に発見することが可能となる。
第2蓋部材142の上方すなわち開放側に第1蓋部材132を配置し、第1蓋部材132が閉鎖位置にある場合には第2蓋部材142の開放側への移動が規制される構成とした。かかる構成においては、第1蓋部材132を規制解除位置に移動させない限り、第2蓋部材142を開放位置に移動させることができない。また、両蓋部材132,142を開放位置に移動させるためには、第1蓋部材132→第2蓋部材142と言う特定の順序で各蓋部材132,142を移動させる必要があるとも言える。このように、各蓋部材132,142を特定の順序で移動させることを条件としてリセットスイッチ104及び設定キースイッチ105が露出する構成とすることにより、筐体11から前面扉12を開放することなく又は僅かに開放させ、筐体11と前面扉12の隙間から針金等を用いて両蓋部材132,142を開放位置まで移動させる不正を困難なものとすることができる。
第1蓋部材132には、第1蓋部材132が閉鎖位置と開放位置の間の規制解除位置に位置する場合に限って第2蓋部材142が開放側に移動可能となるように、開口部132aを形成した。かかる構成とすることにより、設定値が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。筐体11と前面扉12との隙間から針金等が挿入され、第1蓋部材132が開放側に移動するよう前記針金等により引っ張られた場合、第1蓋部材132は規制解除位置を通過し開放位置でそれ以上の開放側への移動が規制されることとなるが、第1蓋部材132が開放位置にある場合、第2蓋部材142は開放側への移動が規制されたままであり、第2蓋部材142を開放側に移動させることができない。したがって、筐体11から前面扉12を開放することなく設定値を変更する不正行為者は、第1蓋部材132の変位状況を視認できない状況下で第1蓋部材132を規制解除位置まで移動させ、さらに第2蓋部材142を開放側に移動させるために第1蓋部材132を当該規制解除位置で位置決め保持しなければならない。故に、リセットスイッチ104及び設定キースイッチ105を露出させることを困難なものとすることができ、設定値が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
リセットスイッチ104の前面側を覆う第1蓋部材132が第2蓋部材142の開放側への移動を規制し、第2蓋部材142は第1蓋部材132が閉鎖位置にある場合に当該第1蓋部材132の開放側への移動を規制しない構成としたため、ホール管理者等の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。リセットスイッチ104は、設定値を変更する場合の他に、スロットマシン10をエラー状態から復帰させる場合にも操作されるスイッチである。つまり、リセットスイッチ104は、ホールの営業時間内に操作される可能性があるとともに、設定キースイッチ105と比して操作される頻度が高い。そこで、リセットスイッチ104の前面側を覆う第1蓋部材132が第2蓋部材142の開放側への移動を規制し、第2蓋部材142は第1蓋部材132が閉鎖位置にある場合に当該第1蓋部材132の開放側への移動を規制しない構成とすることにより、第2蓋部材142を開放側に移動させることなく第1蓋部材132を開放側に移動させることが可能となり、ホール管理者等がスロットマシン10をエラー状態から復帰させる際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。さらにいうと、設定値を変更する場合には、設定キースイッチ105をON操作した後にリセットスイッチ104を操作する必要がある。このため、先に操作される設定キースイッチ105を覆う第2蓋部材142の移動が後に操作されるリセットスイッチ104を覆う第1蓋部材132によって規制される構成とすることにより、設定値を不正に変更する不正行為者の意欲を減退させることが可能となり、設定値を不正に変更する不正行為自体の抑止効果を期待できる。
第2蓋部材142が開放位置にある場合、第2蓋部材142によって第1蓋部材132の開放側及び閉鎖側への移動が規制される構成とした。かかる構成とすることにより、ホール管理者等が第1蓋部材132を閉鎖位置に移動しないように保持するのではなく第2蓋部材142により第1蓋部材を保持させることが可能となり、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。
第1蓋部材132に閉鎖側に付勢するコイルバネを設け、第2蓋部材142が開放位置にある場合、第1蓋部材132により第2蓋部材142の閉鎖側への移動が規制される構成とした。かかる構成とすることにより、第2蓋部材142が開放位置にある場合、一方の蓋部材により他方の蓋部材が閉鎖側に移動することを規制することができる。故に、ホール管理者等が両蓋部材132,142を閉鎖側に移動しないように保持することなくリセットスイッチ104や設定キースイッチ105を操作することが可能となり、正規に設定を変更する際の作業が煩雑化することを抑制することが可能となる。また、第2蓋部材142を閉鎖位置に移動させた場合には、第1蓋部材132がコイルバネの付勢力によって閉鎖位置に自動復帰するため、ホール管理者等が設定を変更した後に第1蓋部材132を閉鎖位置に移動させ忘れることを防止できる。
第1蓋部材132が規制解除位置に位置する場合、リセットスイッチ104が露出する構成とした。かかる構成とすることにより、第1蓋部材132を規制解除位置まで移動させて第2蓋部材142を開放位置に移動させ、設定キースイッチ105を操作した後にさらに第2蓋部材142による第1蓋部材132の移動規制を解除して第1蓋部材132をリセットスイッチ104が露出する位置まで移動させるといった作業が不要となる。故に、ホール管理者等が設定を変更する際の作業を容易なものとすることが可能となる。
リセットスイッチ104及び設定キースイッチ105を主基板に直接搭載したため、主基板とリセットスイッチ104を電気的に接続するケーブル等や主基板と設定キースイッチ105を電気的に接続するケーブル等が不要となる。この結果、リセットスイッチ104や設定キースイッチ105を操作するのではなく前記ケーブル等をショートさせて設定を変更する不正を防止することが可能となる。
設定値を表示する設定表示部106を主基板にのみ設けたため、前面扉12を開放しなければ設定値を確認することができない構成とすることができ、前面扉12を筐体11から開放することなく設定を変更する不正を困難なものとすることが可能となる。ホール管理者等は、前面扉12を筐体11から開放した上で設定変更操作を行うため、設定表示部106に表示される設定値を確認しながらホール管理者等の望む設定値に変更することができる一方、針金等を用いて設定を変更する不正行為者は、設定値を確認することができないため、不正行為者の望む設定値に変更することができないからである。また、設定表示部106を主基板に直接搭載する構成としたため、設定表示部と主基板とを電気的に接続するケーブル等が不要となる。この結果、設定表示部と主基板との間に不正基板等を電気的に接続し、実際の設定値と異なる設定値を設定表示部に表示させることでホール管理者等にスロットマシン10の出率を誤認識させる不正を防止することが可能となる。さらにいうと、上記各不正すなわち遊技者側の不正のみならず、例えばホール管理者等が遊技者に対して行う不正すなわちホール側の不正をも抑制することが可能となる。例えば、前面扉12の後面側に設定表示部を設ける構成としても、針金等を用いて設定が変更される不正を困難なものとすることが可能である。しかしながら、例えばホール管理者等が設定表示部と主基板との間に不正基板等を設け、スロットマシン10の実際の設定値と異なる設定値を設定表示部に表示可能な構成とした場合、遊技者等は、設定表示部に表示される設定値を通じてスロットマシン10の設定値を誤認識し、遊技者等の想定する出率より低い出率での遊技を強いられる可能性がある。一方、主基板に設定表示部106を直接搭載した構成においては、基板ボックス110が封印されているためにホール管理者等であっても上記不正を行うことができず、遊技者等が不利益を被る不具合を回避することができる。
設定表示部106を、リセットスイッチ104及び設定キースイッチ105の近傍に配置したため、ホール管理者等は視線をそれほど移動させることなく設定変更操作を行うことができる。故に、設定変更操作を容易なものとすることが可能となる。また、設定表示部106,リセットスイッチ104及び設定キースイッチ105を主基板の一側部に集約配置したため、設定変更に関わる上記各部材を主基板に直接搭載したとしても、CPU等の電子部品の配置に関する設計自由度が低下することを抑制することが可能となる。さらにいうと、前面扉12は筐体11の左側部の開閉軸線を中心として回動可能に支持されており、リセットスイッチ104,設定キースイッチ105及び設定表示部106は、主基板の右部すなわち前面扉12の開放端側に設けられているため、ホール管理者等が設定値の変更等を容易に行うことができる。
主制御装置101を筐体11内部において上部奥側に配置したため、筐体11の前端部すなわち筐体11と前面扉12の隙間からリセットスイッチ104及び設定キースイッチ105までの距離を長くすることが可能となり、針金等を用いてリセットスイッチ104及び設定キースイッチ105を操作することを困難なものとすることが可能となる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記実施の形態では、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105を主制御装置101に直接搭載する構成としたが、電源ボックス70に設ける構成としても良いし、前面扉12の後面側に設ける構成としても良い。これら構成とした場合であっても、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105を上述した第1蓋部材と第2蓋部材によって覆う構成とすれば、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
(2)上記実施の形態では、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105を上下に並ぶように配置したが、左右に並ぶように配置しても良いことは言うまでもない。左右に並ぶように配置した場合には、第1蓋部材を上下にスライド移動可能に支持される構成とするとともに、第2蓋部材を左右にスライド移動可能に支持される構成とすれば、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
(3)上記実施の形態では、リセットスイッチ104の前面側を覆う第1蓋部材132が設定キースイッチ105の前面側を覆う第2蓋部材142の開放側への移動を規制する構成としたが、設定キースイッチの前面側を覆う蓋部材がリセットスイッチの前面側を覆う蓋部材の開放側への移動を規制する構成としても良い。例えば上記各実施の形態において、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105の配置を入れ替える。但し、かかる構成とした場合には、スロットマシン10をエラー状態から復帰させる場合に、設定キースイッチの前面側を覆う蓋部材を規制解除位置に移動させた上でリセットスイッチの前面側を覆う蓋部材を開放側に移動させなければならないため、エラー状態から復帰させる際の作業が煩雑化する可能性が懸念される。
(4)上記実施の形態では、第1蓋部材132をその上部及び下部が案内溝部137a,137bに挿入されることでスライド移動可能に支持される構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、第1蓋部材132のスライド移動可能に支持される部位は任意である。例えば、第1蓋部材132の後面に左右方向に延びる上下一対の突出部を形成し、当該突出部が案内溝部に挿入されることでスライド移動可能に支持される構成としても良い。第2蓋部材142についても同様である。
(5)上記実施の形態では、第1蓋部材132を開放側に移動させた場合、ストッパ150によりそれ以上の開放側への移動が規制される構成としたが、かかる構成を変更する。すなわち、上記実施の形態におけるストッパ150を設けず、第1蓋部材132の左方への移動が規制されない構成とする。かかる構成とした場合には、筐体11と前面扉12との隙間から針金等が挿入され、第1蓋部材132が開放側に移動するよう前記針金等により引っ張られた場合、過度に引っ張ると第1蓋部材132がリセットスイッチ収容部131から落下することとなる。故に、設定が不正に変更された場合に第1蓋部材132の落下という痕跡を残させることが可能となり、不正行為を容易に発見することが可能となる。なお、かかる構成においては、第1蓋部材132に第2蓋部材142を挿入させることが可能な開口部132aを設けずとも良い。ホール管理者等は、リセットスイッチ収容部131から第1蓋部材132を取り外した上で設定を変更し、その後にリセットスイッチ収容部131に第1蓋部材132を再度取り付ければ良いからである。
(6)上記実施の形態では、第1蓋部材132に前後に貫通する開口部132aを形成したが、第2蓋部材142を挿入させることが可能な構成であれば良く、前後に貫通していなくても良い。前後に貫通していない開口部を設けた場合には、当該位置から針金等をリセットスイッチ収容部内に挿入させる不正を抑制することが可能となる。但し、かかる構成とした場合には、第1蓋部材が規制解除位置に位置し、第2蓋部材を開放側に移動させた場合に、第1蓋部材と第2蓋部材が干渉しないように開口部を形成する必要がある。
(7)上記実施の形態では、第2蓋部材142が開放位置に位置する場合、第1蓋部材132によって第2蓋部材142の閉鎖側への移動が規制される構成としたが、規制されない構成としても良い。但し、かかる構成とした場合には、第2蓋部材が閉鎖側に移動しないようホール管理者等が保持する必要が生じるため、設定を変更する際の作業が煩雑化する可能性が懸念される。
(8)上記実施の形態では、第1蓋部材132にのみ閉鎖側に付勢するコイルバネを設けたが、これに代えて又は加えて、第2蓋部材142に閉鎖側に付勢するコイルバネを設けても良いことは言うまでもない。
(9)上記実施の形態では、リセットスイッチ104と設定キースイッチ105を主制御装置101に直接搭載し、筐体11から前面扉12を開放した際に前方から両スイッチ104,105が視認可能となる構成としたが、かかる構成を変更する。すなわち、電源ボックスの後面側にリセットスイッチ及び設定キースイッチを設け、これらスイッチを上述した第1蓋部材と第2蓋部材によって覆う構成とする。かかる構成においては、筐体と前面扉の隙間から針金等が挿入された場合に、両蓋部材に加えて電源ボックスによっても両スイッチへの針金等の到達を阻止することができる。故に、設定が不正に変更されることを好適に抑制することが可能となる。
(10)上記実施の形態では、設定値を表示する機能を設定表示部106のみが有する構成としたが、設定表示部106に加えて、例えばクレジット表示部60に設定値を表示する機能を付与する構成としても良い。かかる構成とした場合であっても、主基板102に直接搭載された設定表示部106に表示される設定値を確認することで正規の設定値を把握することができるため、ホール管理者等が遊技者等に対して行う不正を抑制することが可能となる。但し、設定値を不正に変更する不正行為者がクレジット表示部60に表示される設定値を確認しながら不正行為者の望む設定値に変更する可能性が懸念される。このため、主基板に加えて他の部材にも設定表示部を設ける構成とする場合には、筐体内部又は前面扉の後面に設定表示部を設けることが望ましい。
(11)上記実施の形態では、設定表示部106を主基板102の前面右側部に設ける構成としたが、前面左側部に設ける構成としても良いし、前面中央部に設ける構成としても良く、配置する位置は任意である。
(12)上記実施の形態では、設定キースイッチ105をON操作している状態で電源を投入した場合、強制的RAMクリア処理を行って設定値を「1」とする構成としたが、強制的RAMクリア処理を行わない構成としても良いし、強制的RAMクリア処理にて設定値以外のデータをクリアする構成としても良い。
(13)上記実施の形態では、リセットスイッチ104が操作される毎に設定値が1ずつ更新される構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、設定値がランダムに更新される構成としても良いし、所定時間経過毎に設定値が自動更新され、ホール管理者等の望む設定値が表示された際にリセットスイッチ104を操作することで設定値が確定される構成としても良い。
(14)上記実施の形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、複数の当選確率を有するとともに設定変更操作を行うことで当選確率を変更することが可能なパチンコ機に適用しても良いし、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用しても良い。