JP6850845B2 - SiCエピタキシャルウェハおよび半導体装置 - Google Patents

SiCエピタキシャルウェハおよび半導体装置 Download PDF

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Description

本実施形態は、SiCエピタキシャルウェハおよび半導体装置に関する。
近年、Si半導体やGaAs半導体に比べてバンドギャップエネルギーが広く、高電界耐圧性能を有するため、高耐圧化、大電流化、低オン抵抗化、高効率化、低消費電力化、高速スイッチングなどを実現できるシリコンカーバイド(SiC:Silicon Carbide:炭化ケイ素)半導体が注目されている。SiCは、その低消費電力性能のために炭酸ガス(CO2)の発生を削減可能であることから、環境保護の点でも注目されている。
最近では、SiCデバイスは、例えば、空気調節装置(エアコン)、太陽光発電システム、自動車システムや列車・車両システムなど数多くの応用分野に適用されている。
SiC化合物半導体は、200種類以上の結晶多形をとり得るため、基板(バルク)と基板上に形成されるエピタキシャル成長層では、安定構造が異なる。したがって、オフ角が0度のSiC基板上に形成されたエピタキシャル成長層は、多数の結晶欠陥を含むことになる。このため、基板にオフ角を設けてSiCエピタキシャル成長層を形成するのが一般的である。
このような状況において、SiCを適用する場合の重要な問題の1つは、コスト面であり、SiCデバイスのコストの内訳は、ウェハが約50%、SiCエピタキシャル成長が約22%、製造プロセスが約28%である。例えば、150mm(6インチ)φウェハを使用することが、単位面積当たりのSiCデバイス作製コスト低減の点で有利である。しかしながら、現状のSiC6インチφウェハでは、4度オフ角基板を使用するのが一般的である。
このSiC基板のオフ角を低減することが、SiCデバイスのコスト低減化の1つの方法である。しかしながら、低オフ角化基板を使用すると、高品質なエピタキシャル成長が困難である。
既にいくつかのグループから2度オフ角4H−SiC基板上へのSiCエピタキシャル成長の結果も報告されている。これらの報告によれば、ドーピング均一性および膜厚均一性は良好に制御される。しかしながら、4度オフ角SiC基板上へのSiCエピタキシャル成長に比べ、ステップバンチングの発生が増大し、三角欠陥密度も増大する。一方、相対的に高い成長温度では、三角欠陥の発生を抑制可能である。
特開2014−175412号公報 特開2006−321707号公報 特開2015−2207号公報 特開2013−121898号公報
Haizheng Song and Tangali S. Sudarshan, "Basal plane dislocation conversion near the epilayer/substrate interface in epitaxial growth of 4° off-axis 4H-SiC", Journal of Crystal Growth 371(2013)94-101 Keiko Masumoto, Sachiko Ito, Hideto Goto, Hirotaka Yamaguchi, Kentaro Tamura, Chiaki Kudou, Johji Nishio, Kazutoshi Kojima, Toshiyuki Ohno and Hajime Okumura, "Conversion of basal plane dislocations to threading edge dislocations in growth of epitaxial layers on 4H-SiC substrates with a vicinal off-angle", Material Science Forum Vols. 778-780(2014) pp. 99-102 Kentaro Tamura, Chiaki Kudou, Keiko Masumoto, Johji Nishio and Kazutoshi Kojima,"Homo-epitaxial growth on 2° off-cut 4H-SiC(0001) Si-face substrates using H2-SiH4-C3H8 CVD system", Material Science Forum Vols. 778-780(2014) pp. 214-217 Louise Lilja, Jawad ul Hassan, Erik Janzen and Peder Bergman, "Improved Epilayer Surface Morphology on 2° off-cut 4H-SiC Substrates", Material Science Forum Vols. 778-780(2014) pp. 206-209 F. La Via, N. Piluso, P. Fiorenza, M. Mauceri, C. Vecchio, A. Pecora and D. Crippa, "Epitaxial growth on 150 mm 2° off wafers", Material Science Forum Vols. 821-823(2015) pp. 157-160 K. Kojima, K. Masumoto, S. Ito, A. Nagata and H. Okumura, "Reducing the wafer off angle for 4H-SiC homoepitaxy", ECS Transactions 58(4), 111-117(2013)
低オフ角SiC基板上SiCエピタキシャル成長層においても、このようなステップバンチングや三角欠陥密度の発生を低減し、かつ欠陥密度の低減とトレードオフ関係にある膜厚均一性およびキャリア密度均一性に優れ、コスト低減可能なSiCエピタキシャル成長技術が望まれる。
本実施の形態は、低オフ角SiC基板上SiCエピタキシャル成長において、膜厚均一性およびキャリア密度均一性に優れ、かつ表面欠陥の少ない高品質で、コスト低減可能なSiCエピタキシャルウェハおよび半導体装置を提供する。
実施の形態の一態様によれば、オフ角基板と、前記基板上に配置された第1のSiCエピタキシャル成長層と、前記第1のSiCエピタキシャル成長層上に配置された第2のSiCエピタキシャル成長層と、を備え、前記第1および第2のSiCエピタキシャル成長層は、Si化合物をSiの供給源とし、C化合物をCの供給源とし、前記第1のSiCエピタキシャル成長層は、バッファ層を備えるとともに、前記第2のSiCエピタキシャル成長層よりも厚みが薄く、かつ、前記第2のSiCエピタキシャル成長層よりも欠陥密度が低く、前記第2のSiCエピタキシャル成長層は、ドリフト層を備えるとともに、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm 2 未満であり、前記バッファ層の前記Si化合物と前記C化合物のC/Si比を前記ドリフト層の前記Si化合物と前記C化合物のC/Si比よりも低く制御しており、前記バッファ層および前記ドリフト層には窒素がドーピングされており、前記バッファ層への窒素ドーピング密度の方が、前記ドリフト層への窒素ドーピング密度よりも高く、前記バッファ層への前記窒素ドーピング密度は4×10 19 cm -3 よりも小さいSiCエピタキシャルウェハが提供される。
実施の形態の他の態様によれば、上記のSiCエピタキシャルウェハを備える半導体装置が提供される。
本実施形態によれば、低オフ角SiC基板上SiCエピタキシャル成長において、膜厚均一性およびキャリア密度均一性に優れ、かつ表面欠陥の少ない高品質で、コスト低減可能なSiCエピタキシャルウェハおよび半導体装置を提供する。
(a)実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの模式的鳥瞰構成図、(b)SiCエピタキシャル成長層が、バッファ層とドリフト層との2層構造を備える実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの模式的鳥瞰構成図。 (a)実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハに適用可能な4H−SiC結晶のユニットセルの模式的鳥瞰構成図、(b)4H−SiC結晶の2層部分の模式的構成図、(c)4H−SiC結晶の4層部分の模式的構成図。 図2(a)に示す4H−SiC結晶のユニットセルを(0001)面の真上から見た模式的構成図。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法を示す模式的鳥瞰構造図であって、(a)六方晶SiCインゴットを準備し、(0001)面に対して4度未満のオフ角θを付けて切り出し、研磨して複数枚のSiCベアウェハを形成する工程図、(b)機械加工後、SiCベアウェハの切り出し面((0001)面)を500nm以上除去する工程図、(c)SiC基板の主面(0001)面を酸化処理することにより、SiC基板の主面に酸化膜を形成する工程図、(d)4度未満のオフ角SiC基板上に、SiCエピタキシャル成長層を形成する工程図。 SiCエピタキシャルウェハを切り出す六方晶SiCインゴットの写真例。 (a)比較例として、SiCインゴットから4度オフ角にSiCエピタキシャルウェハを切り出す例の模式的説明図、(b)SiCインゴットから2度オフ角にSiCエピタキシャルウェハを切り出す例の模式的説明図。 欠陥密度(個/cm2)をパラメータとする歩留りY(%)とデバイス辺長(mm)との関係図。 (a)SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際にオフ角が相対的に大きい場合に、基底面転位(BPD)から貫通刃状転位(TED)への変換の様子の説明図、(b)オフ角が相対的に小さい場合に、BPDからTEDへの変換の様子の説明図。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に適用するエピタキシャル成長装置であって、(a)ガスフローチャネル方向の模式的断面構造図、(b)ガスフローチャネルに垂直方向の模式的断面構造図。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に適用するエピタキシャル成長装置において、エピタキシャル成長時にホルダプレート上の6インチウェハポケット内に3インチウェハを2個並列配置する構成の模式的平面図。 SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に良好な表面平坦性を示す成長温度Tgと原料ガスC/Si比の関係であって、オフ角4度とオフ角2度における表面モフォロジー限界を比較した図。 図11において、2度オフ角SiC基板上に形成したSiCエピタキシャル成長層の共焦点微分干渉顕微鏡像(視野:750×750μm2)であって、(a)成長温度Tg=1680℃、C/Si比=0.8、HAZE値=5.7の場合、(b)成長温度Tg=1680℃、C/Si比=0.9、HAZE値=5.9の場合、(c)成長温度Tg=1650℃、C/Si比=0.7、HAZE値=5.5の場合、(d)成長温度Tg=1650℃、C/Si比=0.8、HAZE値=5.5の場合、(e)成長温度Tg=1650℃、C/Si比=0.9、HAZE値=5.7の場合。 図11において、2度オフ角SiC基板上に形成したSiCエピタキシャル成長層の共焦点微分干渉顕微鏡像(視野:750×750μm2)であって、(a)成長温度Tg=1710℃、C/Si比=0.8、HAZE値=19.7の場合、(b)成長温度Tg=1710℃、C/Si比=1.0、HAZE値=27.7の場合、(c)成長温度Tg=1680℃、C/Si比=1.0、HAZE値=14.1の場合、(d)成長温度Tg=1650℃、C/Si比=1.0、HAZE値=15.1の場合。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、欠陥密度(cm-2)とキャリア密度(ND−NA)均一性(%)の成長圧力P(kPa)依存性(成長温度Tg=1680℃、キャリアガス流量120slm-H2、C/Si比=0.9)。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、欠陥密度(cm-2)とキャリア密度(ND−NA)均一性(%)のキャリアガス流量(H2フロー)(slm)依存性(成長温度Tg=1680℃、C/Si比=0.9、成長圧力P=10.3(kPa)。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、成長圧力P=10.3(kPa)における成長温度Tg(℃)とC/Si比との関係におけるプロセスウィンドウの説明図。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、欠陥密度(cm-2)とキャリア密度ND−NA)均一性(%)のC/Si比依存性(成長温度Tg=1680℃、キャリアガス流量120slm-H2、成長圧力P=10.3(kPa))。 2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、(a)ダウンフォールの一例、(b)ダウンフォールの別の例、(c)ダウンフォールの更に別の例、(d)ダウンフォールの更に別の例、(e)ダウンフォールの更に別の例、(f)ダウンフォールの更に別の例。 2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、(a)キャロット欠陥の一例、(b)キャロット欠陥の別の例、(c)キャロット欠陥の更に別の例、(d)キャロット欠陥の更に別の例。 2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、(a)三角欠陥の一例、(b)三角欠陥の別の例、(c)三角欠陥の更に別の例、(d)三角欠陥の更に別の例。 2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、(a)ダウンフォール+三角欠陥の一例、(b)ダウンフォール+三角欠陥の別の例。 2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する三角欠陥の発生機構の説明図であって、(a)三角欠陥の模式的平面図、(b)三角欠陥の模式的断面図。 オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する三角欠陥の低減対策の説明図。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、三角欠陥の発生確率(%)とエピタキシャル成長層の厚さとの関係を示す図(三角欠陥の数N=61)。 (a)実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、6インチウェハポケット内に並べて配置した3インチウェハ(内側)上の欠陥密度マップ、(b)実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、6インチウェハポケット内に並べて配置した3インチウェハ(外側)上の欠陥密度マップ、(c)実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にバッファ層を介してSiCエピタキシャル成長層(ドリフト層)を形成した結果であって、6インチウェハポケット内に並べて配置した3インチウェハ(内側)上の欠陥密度マップ、(d)実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にバッファ層を介してSiCエピタキシャル成長層(ドリフト層)を形成した結果であって、6インチウェハポケット内に並べて配置した3インチウェハ(外側)上の欠陥密度マップ。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した模式的構造例(成長温度Tg=1670℃、C/Si比=0.9、成長圧力P=6.3(kPa、SiCエピタキシャル成長層の厚さ=5μm)。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、欠陥密度(cm-2)および反射ロス(a. u.)のエッチング深さ依存性。 実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にバッファ層を介してSiCエピタキシャル成長層(ドリフト層)を形成した結果であって、(a)模式的構造例(成長温度Tg=1680℃、成長圧力P=10.3(kPa)、バッファ層のC/Si比=0.75、バッファ層の厚さ=Xμm、エピタキシャル成長層のC/Si比=0.9、エピタキシャル成長層の厚さ=10μm)、(b)SiCエピタキシャル成長層(ドリフト層)の欠陥密度(cm-2)とバッファ層の厚さX(μm)依存性(C/Si比=0.75)。 2度オフ角SiC基板上にバッファ層を介して形成したSiCエピタキシャル成長層(ドリフト層)の共焦点微分干渉顕微鏡像(視野:750×750μm2)の典型例(成長温度=1680℃、バッファ層のC/Si比=0.75、バッファ層の厚さ0.5μm、ドリフト層のC/Si比=0.9、ドリフト層の厚さ=10μm)。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第1のCVD装置の模式的構成図。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第2のCVD装置の模式的構成図。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第3のCVD装置の模式的構成図。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第4のCVD装置の模式的構成図。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したショットキーバリアダイオードの模式的断面構造図。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したトレンチゲート型MOSFETの模式的断面構造図。 実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したプレーナゲート型MOSFETの模式的断面構造図。
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[実施の形態]
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハ1は、図1(a)に示すように、4度未満のオフ角基板2と、基板2上に配置されたSiCエピタキシャル成長層3とを備える。ここで、SiCエピタキシャル成長層3は、Si化合物をSiの供給源とし、C化合物をCの供給源とする。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有していても良い。
また、実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハ1は、図1(b)に示すように、4度未満のオフ角基板2と、基板2上に配置されたSiCエピタキシャル成長層3とを備え、SiCエピタキシャル成長層3は、基板2上に配置されたバッファ層3Bと、バッファ層3B上に配置されたドリフト層3Dとを備えていても良い。キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層3BのSi化合物とC化合物のC/Si比をドリフト層3DのSi化合物とC化合物のC/Si比よりも低く制御している。
また、4度未満のオフ角は、例えば、2度を有していても良い。
また、オフ角基板の直径は、例えば、100mm以上を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。ここで、slmは、standard liter (リットル)/minであり、1atm、0℃ における1分間辺りの流量をリットルで表示した単位である。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
ドーパントの原料としては、窒素またはトリメチルアルミニウム(TMA:Trimethylaluminium:(CH33Al)を適用可能である。
(SiCエピタキシャルウェハ)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの模式的鳥瞰構成は、図1(a)若しくは図1(b)に示すように表される。
SiCエピタキシャルウェハ1は、例えば、4H−SiCからなり、4度未満のオフ角SiC基板2と、SiC基板2に積層されたSiCエピタキシャル成長層3とを備える。SiC基板2の厚さt1は、例えば、約200μm〜約500μmであり、SiCエピタキシャル成長層3の厚さt2は、例えば、約4μm〜約100μmである。
また、SiCエピタキシャル成長層3は、図1(b)に示すように、バッファ層3Bとドリフト層3Dの2層構造を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層3BのSi化合物とC化合物のC/Si比をドリフト層3DのSi化合物とC化合物のC/Si比よりも低く制御しても良い。
(結晶構造)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハ1に適用可能な4H−SiC結晶のユニットセルの模式的鳥瞰構成は、図2(a)に示すように表され、4H−SiC結晶の2層部分の模式的構成は、図2(b)に示すように表され、4H−SiC結晶の4層部分の模式的構成は、図2(c)に示すように表される。
また、図2(a)に示す4H−SiCの結晶構造のユニットセルを(0001)面の真上から見た模式的構成は、図3に示すように表される。
図2(a)〜図2(c)に示すように、4H−SiCの結晶構造は、六方晶系で近似することができ、1つのSi原子に対して4つのC原子が結合している。4つのC原子は、Si原子を中央に配置した正四面体の4つの頂点に位置している。これらの4つのC原子は、1つのSi原子がC原子に対して[0001]軸方向に位置し、他の3つのC原子がSi原子に対して[000−1]軸側に位置している。
[0001]軸および[000−1]軸は六角柱の軸方向に沿い、この[0001]軸を法線とする面(六角柱の頂面)が(0001)面(Si面)である。一方、[000−1]軸を法線とする面(六角柱の下面)が(000−1)面(C面)である。
また、[0001]軸に垂直であり、かつ(0001)面の真上から見た場合において六角柱の互いに隣り合わない頂点を通る方向がそれぞれ、a1軸[2−1−10]、a2軸[−12−10]およびa3軸[−1−120]である。
図3に示すように、a1軸とa2軸との間の頂点を通る方向が[11−20]軸であり、a2軸とa3軸との間の頂点を通る方向が[−2110]軸であり、a3軸とa1軸との間の頂点を通る方向が[1−210]軸である。
六角柱の各頂点を通る上記6本の軸の各間において、その両側の各軸に対して30°の角度で傾斜していて、六角柱の各側面の法線となる軸がそれぞれ、a1軸と[11−20]軸との間から時計回りに順に、[10−10]軸、[1−100]軸、[0−110]軸、[−1010]軸、[−1100]軸および[01−10]軸である。これらの軸を法線とする各面(六角柱の側面)は、(0001)面および(000−1)面に対して直角な結晶面である。
(SiCエピタキシャルウェハの製造方法)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法は、SiCインゴット13を準備し、4度未満のオフ角θを付けて切り出し、研磨してSiCベアウェハ14を形成する工程と、SiCベアウェハ14の切り出し面を除去し、4度未満のオフ角SiC基板2を形成する工程と、SiC基板2の主面上に酸化膜16を形成する工程と、酸化膜16を除去する工程と、4度未満のオフ角SiC基板2上に、SiCエピタキシャル成長層3を結晶成長させる工程とを有する。ここで、供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備える。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層3を結晶成長させる工程は、SiC基板2上にバッファ層3Bを結晶成長させる工程と、バッファ層3B上にドリフト層3Dを結晶成長させる工程とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層3BのC/Si比をドリフト層3DのC/Si比よりも低く制御している。
オフ角θは、2度であっても良い。
また、オフ角基板の直径は、例えば、100mm以上を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長圧力Pは、3kPa以上11kPa以下であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかを備えていても良い。
例えば、4H−SiCインゴットを、(0001)面に対して[11−20]軸方向に2度のオフ角を付けて切り出すことにより、SiCベアウェハ14を得た。SiCベアウェハ14の直径は、約150mmである。
次に、SiCベアウェハ14の切り出された面を研磨加工し、エピタキシャルウェハに適切な面を得た。研磨加工では、ウェハ端のべベル加工なども含み、機械的な加工だけでは加工ダメージを十分に除去できないため、化学的な効果も利用して、研磨表面を仕上げた。
エピタキシャル成長する前に、研磨表面は十分に洗浄し、表面を清浄にする。ここで、洗浄方法としては、RCA洗浄、ブラシ洗浄、機能水洗浄、メガソニック洗浄などを用いることができる。
ウェハ設置後の反応炉内の圧力は、例えば、約3kPa以上約11kPa以下に保たれている。反応炉内には、原料のキャリアガスとなるH2を供給する。H2以外にArガスを供給しても良い。キャリアガスにHClまたはHFを混合することで、気相反応が抑制され、エピタキシャルウェハ上のパーティクルの発生を抑制し、高品質なウェハを供給可能である。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造方法を示す模式的鳥瞰構成であって、六方晶SiCインゴット13を準備し、(0001)面に対して4度未満のオフ角θを付けて切り出し、研磨して複数枚のSiCベアウェハ14を形成する工程は、図4(a)に示すように表される。また、機械加工後、SiCベアウェハ14の切り出し面15を除去する工程は、図4(b)に示すように表される。さらに、SiC基板2の主面4を酸化処理することにより、SiC基板2の主面4上に酸化膜を形成する工程は、図4(c)に示すように表される。また、SiC基板2上に、SiCエピタキシャル成長層3を形成する工程は、図4(d)に示すように表される。
(a)まず、図4(a)に示すように、六方晶SiCインゴット13を準備する。次に、SiCインゴット13を、(0001)面に対して[11−20]軸方向に4度未満のオフ角θを付けて切り出し、複数枚のSiCベアウェハ14を得る。次に、SiCベアウェハ14の切り出し面15((0001)面)を、ラップ加工などの機械加工により研磨する。
(b)次に、図4(b)に示すように、切り出し面15((0001)面)を、例えば、約500nm以上除去する。除去方法は、例えば、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)技術、プラズマエッチング技術などを適用することができる。好ましくは、プラズマエッチングで行う。SiCは非常に硬い材料であるため、ダメージの少ないCMPで500nm以上除去するには、相対的に時間を要するが、プラズマエッチングでは20分程度の短時間で済む。なお、研磨技術の向上により、CMPでも1枚当たり20分程度でのダメージ層除去が可能になっており、適宜選択可能である。一方、SiCベアウェハ14の切り出し面15については、SiCは非常に硬いため、プラズマエッチングによるダメージは少ない。以上の除去工程により、切り出し後の機械加工により発生したSiCベアウェハ14の切り出し面15のダメージ層が十分に除去され、厚さt1として、例えば、約200μm〜約500μmのSiC基板2が得られる。
(c)次に、図4(c)に示すように、SiC基板2の主面4(0001)面を酸化処理し、SiC基板2の主面4に酸化膜16を形成する。酸化処理は、ドライ酸化法、ウエット酸化法のどちらで行なってもよい。なお、図示は省略するが、当該酸化膜16は、SiC基板2の裏面および周面にも形成される。その後、フッ酸(HF)を用いて、酸化膜16を除去する。この酸化膜16の形成工程および除去工程を行うことにより、CMPやプラズマエッチングで除去しきれなかったSiCベアウェハ14の切り出し面15のダメージ層、CMPやプラズマエッチングの際に発生した変質層(ダメージ層)を確実に除去することができる。なお、酸化膜16の形成工程および除去工程は、500nm以上の除去処理後だけでなく、除去処理前でのみ行ってもよいし、除去処理の前後両方で行ってもよい。
(d)次に、図4(d)に示すように、4度未満のオフ角SiC基板2上に、SiCエピタキシャル成長層3を結晶成長させる。
原料として、例えば、SiH4とC38を供給した。SiH4とC38は、それぞれH2ガスで希釈して、反応炉内へ供給した。
エピタキシャル成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲で実施し、例えば、約1680℃が適切であった。
エピタキシャル成長したウェハ表面を検査した結果、ウェハ上のパーティクルを含めた表面凹凸欠陥密度は、0.07cm-2以下であった。すなわち、150mmウェハ上で10個程度の欠陥しか発生せず、表面凹凸欠陥の少ない高品質なウェハが得られた。
また、成長面は、c面、(11−20)面、(10−10)面であっても良い。
4H−SiC以外にも6H−SiCを用いることもできる。ウェハは、1630℃以上1690℃以下に加熱され、水素で希釈したC38を反応炉内へ供給し、SiCホモエピタキシャル成長を実施した。原料は、SiH4の代わりにSiHF3を用いることもできる。
SiCエピタキシャルウェハを切り出す六方晶SiCインゴットの写真例は、図5に示すように表される。六方晶SiCインゴットの、バルク結晶長は、約30mmである。
比較例として、SiCインゴットから4度オフ角にSiCエピタキシャルウェハを切り出す例の模式的説明は、図6(a)に示すように表され、SiCインゴットから2度オフ角にSiCエピタキシャルウェハを切り出す例の模式的説明は、図6(b)に示すように表される。
ウェハ取れ数は、6インチφウェハの厚さ=0.5mmとし、バルク結晶長30mmとすると、4度オフ角に切り出すSiCエピタキシャルウェハの枚数=39枚、2度オフ角に切り出すSiCエピタキシャルウェハの枚数=49枚であり、約25%増加している。バルク結晶長30mmの内、4度オフ角に切り出すSiCエピタキシャルウェハの占有高さL4は、約19.4mmであり、一方約24.6mmが2度オフ角に切り出すSiCエピタキシャルウェハの占有高さL2は、約24.6mmである。
基板オフ角の低減により、ウェハコストを削減することができる。
(歩留り曲線)
欠陥密度(個/cm2)をパラメータとする歩留りY(%)と角型デバイスのデバイス辺長(mm)との関係は、図7に示すように表される。
例えば、欠陥密度=0.2個/cm2の場合、デバイス辺長10mmのSiCデバイスを想定すると、80%以上の歩留りを期待することができ、デバイス辺長5mmのSiCデバイスを想定すると、95%以上の歩留りを期待することができる。
一方、欠陥密度の許容値が0.5個/cm2以下の場合は、デバイス辺長10mmのSiCデバイスを想定すると、歩留りは60%以上となるが、デバイス辺長5mmのSiCデバイスを想定すると、85%以上の歩留りを期待することができる。
一方、欠陥密度の許容値が1個/cm2以下の場合は、デバイス辺長10mmのSiCデバイスを想定すると、歩留りは35%以上となるが、デバイス辺長5mmのSiCデバイスを想定すると、75%以上の歩留りを期待することができる。
(BPDからTEDへの変換と基板オフ角)
低オフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成する際にオフ角が相対的に大きい場合に、基底面転位(BPD: Basal Plane Dislocation)から貫通刃状転位(TED: Threading Edge Dislocation)への変換の様子の説明は、図8(a)に示すように表され、オフ角が相対的に小さい場合に、BPDからTEDへの変換の様子の説明は、図8(b)に示すように表される。
SiCエピタキシャル成長層で基底面転位(BPD)から貫通刃状転位(TED)への変換確率増加のメカニズムは以下の通りである。
基底面転位(BPD)は、六方晶構造のSiC結晶のc面(0001)に平行に伸び、貫通刃状転位(TED)は、c面(0001)に垂直に伸びる。
化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によるSiCのエピタキシャル成長は、オフ角を設けたSiC基板上へのステップフロー成長により進行する。
SiCエピタキシャル成長層を形成した場合、転位はSiC基板からSiCエピタキシャル成長層に伝搬して伸びていくが、略膜厚方向に伸びるTEDの方が、膜厚方向に略垂直に伸びるBPDよりも短くなる。
SiCエピタキシャル成長層の膜厚の増加時における転位導入(伸長)のエネルギーが、転位導入(伸長)が短くて済むTEDの方が小さくなるため、BPDがTEDに変換され易くなる。
上記のBPDがTEDに変換される効果は、オフ角が小さくなる方が顕著である。オフ角が4度から2度に変化すると、図8(a)および図8(b)中の破線矢印で示すように、SiCエピタキシャル成長により伸びるBPDの長さは約2倍になり、TEDに変換した場合のエネルギー差が大きくなる。特にオフ角が小さくなると、変換されない場合のBPDの長さが長くなり、TEDとBPDでの転位導入(伸張)エネルギー差が大きくなるため、BPDのTEDへの変換確率は高くなる。
例えば、SiCエピタキシャル成長層の膜厚が10μmにおけるBPDからTEDへの変換確率は、4度オフ基板において、99.26%であるが、1度オフ角基板においては、99.97%である。
本実施形態によれば、低オフ角SiC基板上SiCエピタキシャル成長において、膜厚均一性およびキャリア密度均一性に優れ、かつ表面欠陥の少ない高品質で、コスト低減可能なSiCエピタキシャルウェハを提供可能である。
本実施形態によれば、6インチφ相当の2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層おいて、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層と同等の良好な表面モフォロジー、実用レベルの面内キャリア密度均一性、低欠陥密度の全てを満足するSiCエピタキシャル成長を実現した。
実験における同時処理枚数は、150mmΦ相当で、約3枚である。後述する第1のCVD装置〜第4のCVD装置を適用することによって、処理枚数を増加可能である。
膜厚は、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層で、例えば、約10.2μmである。
成長レートは、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、最大40μm/hであるが、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層おいては、例えば、約9.8μm/hである。
膜厚均一性は、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、約1.2%が得られている。
ドーピング濃度は、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、約1.5×1016cm-3である。一方、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、約1.0×1016cm-3が得られている。
面内キャリア密度均一性(σ/mean)は、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、約10%以下である。一方、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、約7.0%以下が得られている。
2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、エピタキシャル成長層の厚さが約10μmまでは、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層と同程度のモフォロジーを維持しつつ、同等の面内キャリア密度均一性が得られている。
欠陥密度(CANDELA)は、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、0.40個/cm2、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、0.16個/cm2が得られている。
欠陥密度(SICA)は、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、0.69個/cm2、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、0.21個/cm2が得られている。
キャロット欠陥密度は、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、0.44個/cm2、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、0.01個/cm2が得られている。
表面欠陥密度は、2度オフ化することによって、低下する結果が得られている。
膜厚10μmにおけるBPDからTEDへの変換確率は、4度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、99.3〜99.7%であるが、2度オフ基板上に形成されたSiCエピタキシャル成長層では、99.4%〜100%が得られている。ここで、欠陥密度(CANDELA)は、KLA Tencor社のウェハ表面検査装置CANDELAにより検出された欠陥の密度である。CANDELAでは、レーザ光をウェハ表面に走査し、ウェハ表面での散乱光よりウェハ表面のパーティクルや結晶欠陥を検出する。
欠陥密度(SICA)は、レーザテック社製のウェハ表面検査装置SICAにより検出された欠陥の密度である。SICAでは、共焦点微分干渉光学系により、SiCエピタキシャル成長層の表面のナノメートルオーダーの凹凸を観察可能である。SiC−MOSデバイスの信頼性に影響するSiCエピタキシャル成長層の表面の巨大ステップバンチングや貫通転位によるエピ表面ピットも検出可能である。
また、キャロット欠陥密度がオフ角4度から2度になると減少している実験結果を確認している。そのメカニズムは以下の通りである。
キャロット欠陥は、貫通らせん転位(TSD:Threading Screw Dislocation)を起点として、エピタキシャル成長時にダウンステップ方向に成長する欠陥であるが、基板オフ角が小さくなると、同じエピタキシャル成長層の膜厚を成長した際のキャロット欠陥の長さは長くなる。オフ角4度から2度になるとキャロット欠陥の長さは、約2倍となる。このことが、キャロット欠陥導入によるエネルギー変化と、キャロット欠陥を発生させずにTSDのままでいる場合のエネルギー変化の大小関係に影響している。結果として、キャロット欠陥密度がオフ角4度から2度になると減少している。
(エピタキシャル成長装置)
実施の形態に係る低オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に適用するエピタキシャル成長装置200であって、ガスフローチャネル方向の模式的断面構造は、図9(a)に示すように表され、ガスフローチャネルに垂直方向の模式的断面構造は、図9(b)に示すように表される。
実施の形態に係るエピタキシャル成長装置200は、図9(a)および図9(b)に示すように、ガス注入口140と、ガス排気口160と、加熱部100と、反応炉とを備える。原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
反応炉は、図9(a)および図9(b)に示すように、横型反応炉を備え、横型反応炉内には、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1がフェースアップに配置可能である。
加熱部100の加熱方式としては、コイルを用いた誘導加熱方式を採用している。
加熱部100は、断熱材112を介して配置されている。
固定サセプタ114間に配置されたホルダプレート118上にSiCエピタキシャルウェハ1を配置している。ホルダプレート118は、回転サセプタ支持台125に接続された回転サセプタ116上に配置され、回転可能になされている。
固定サセプタ114・回転サセプタ116は、カーボン製の部材で構成され、このカーボン製部材が発熱し、それにホルダプレート118を介して接触しているSiCエピタキシャルウェハ1または、発熱したカーボン製部材からの輻射でSiCエピタキシャルウェハ1が加熱される。ホルダプレート118および回転サセプタ支持台125は、ステンレス部材若しくはカーボン製部材で構成可能である。
実施の形態に係るエピタキシャル成長装置200は、3×150mm、すなわち、6インチφウェハを同時に3枚搭載可能である。
実施の形態に係るエピタキシャル成長装置200において、エピタキシャル成長時にホルダプレート118上の6インチウェハポケット6P内に3インチウェハを2個並列配置する模式的平面構成は、図10に示すように表される。実験に使用する際は、図10に示すように、6インチウェハポケット6P内に3インチウェハを2個並列配置した。
実験に適用されたエピタキシャル成長の装置構成、動作条件、ガス系、反応系などは、以下の通りである。
使用エピタキシャル成長装置は、誘導加熱式横型ホットウォールCVD装置(東京エレクトロン製 Probus-SiC(登録商標))である。
使用ガスは、Si原料となるSiH4(モノシラン)、C原料となるC38(プロパン)、n型ドーパントとなるN2(窒素)、また、キャリアガスとなるH2(水素)である。
基本成長条件としては、成長温度Tg=1620℃〜1725℃、成長圧力P=2kPa〜11kPa、H2キャリアガス流量=100slm〜150slmである。成長条件の典型的な値は、成長温度Tg=1680℃、成長圧力P=10.3kPa、H2キャリアガス流量=120slmである。
成長温度Tgを1620℃〜1725℃の範囲で変化させ、原料ガスのC/Si比を0.7〜1.0の範囲で変化させ、成長圧力PとH2キャリアガス流量を成長パラメータとして適用した。
共焦点微分干渉顕微鏡を用いて、欠陥密度を含む表面モフォロジーを観察した。
フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR:Fourier transform infrared spectrometer)を用いて、エピタキシャル成長層の膜厚均一性を計測した。
また、水銀プローブC−Vシステムを用いて、エピタキシャル成長層のドーピング均一性を計測した。
(成長温度とC/Si比の関係の表面モフォロジー限界)
SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に良好な表面平坦性を示す成長温度と原料ガスC/Si比の関係であって、オフ角4度とオフ角2度における表面モフォロジー限界を比較した図は、図11に示すように表される。
2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成するには、4度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する場合に比べて、低温、低C/Si比が必要である。
4度オフ基板を適用する場合には、成長温度は、約1630℃〜約1725℃、C/Si比は、約0.7〜約1.35の範囲内であれば適用可能である。
一方、2度オフ基板を適用する場合には、成長温度は、約1630℃〜約1690℃、C/Si比は、約0.7〜約0.95の範囲内であれば適用可能である。尚、図11において、破線ALは、装置構造上の原料ガスのC/Si比の下限を示す。
(表面モフォロジー)
図11において、2度オフ角SiC基板上に形成したSiCエピタキシャル成長層の共焦点微分干渉顕微鏡像であって、成長温度=1680℃、C/Si比=0.8、HAZE値=5.7の場合の表面モフォロジーは、図12(a)に示すように表され、成長温度=1680℃、C/Si比=0.9、HAZE値=5.9の場合の表面モフォロジーは、図12(b)に示すように表され、成長温度=1650℃、C/Si比=0.7、HAZE値=5.5の場合の表面モフォロジーは、図12(c)に示すように表され、成長温度=1650℃、C/Si比=0.8、HAZE値=5.5の場合の表面モフォロジーは、図12(d)に示すように表され、成長温度=1650℃、C/Si比=0.9、HAZE値=5.7の場合の表面モフォロジーは、図12(e)に示すように表される。図12(a)〜図12(e)の結果は、いずれも2度オフ角SiC基板上にバッファ層なしでSiCエピタキシャル成長層を約5μm形成した結果である。HAZE値は、表面検査装置SICA6Xによる表面粗さ指標である。いずれも写真視野は、750×750μm2である。
同様に、図11において、4度オフ角SiC基板上に形成したSiCエピタキシャル成長層の共焦点微分干渉顕微鏡像であって、成長温度=1710℃、C/Si比=0.8、HAZE値=19.7の場合の表面モフォロジーは、図13(a)に示すように表され、成長温度=1710℃、C/Si比=1.0、HAZE値=27.7の場合の表面モフォロジーは、図13(b)に示すように表され、成長温度=1680℃、C/Si比=1.0、HAZE値=14.1の場合の表面モフォロジーは、図13(c)に示すように表され、成長温度=1650℃、C/Si比=1.0、HAZE値=15.1の場合の表面モフォロジーは、図13(d)に示すように表される。図13(a)〜図13(d)の結果は、いずれも4度オフ角SiC基板上にバッファ層なしでSiCエピタキシャル成長層を約5μm形成した結果である。いずれも写真視野は、750×750μm2である。
4度オフ角SiC基板上に形成したSiCエピタキシャル成長層においては、図13に示すように、C/Si比が1.0以上、かつ成長温度Tgが1710℃以上では、相対的に巨大なステップバンチングが発生している。
一方、2度オフ角SiC基板上に形成したSiCエピタキシャル成長層においては、図12に示すように、相対的に巨大なステップバンチングの発生が抑制可能である。例えば、C/Si比が、例えば、約0.95以下、かつ成長温度Tgが1690℃以下では、相対的に巨大なステップバンチングの発生が抑制可能である。
(成長圧力依存性)
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、三角欠陥密度(cm-2)とキャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)(%)の成長圧力P(kPa)依存性(120slm-H2、C/Si比=0.9)は、図14に示すように表される。
SiCエピタキシャル成長層の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲において、三角欠陥密度(cm-2)<約1(cm-2)を満足している。また、約7.5kPa以上において、キャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)が、10(%)未満を満足している。
(キャリアガス流量依存性)
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、三角欠陥密度(cm-2)とキャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)(%)のキャリアガス流量(H2フロー)(slm)依存性(C/Si比=0.9、成長圧力P=10.3kPa)は、図15に示すように表される。
SiCエピタキシャル成長層形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲において、三角欠陥密度(cm-2)<約1(cm-2)を満足している。また、100slm以上約120slm以下の範囲において、キャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)が、10(%)未満を満足している。
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層では、三角欠陥密度(cm-2)とキャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)(%)への成長パラメータ(成長圧力P(kPa)、キャリアガス流量(H2フロー)(slm))の影響は、4度オフ角SiC基板上へのSiCエピタキシャル成長層と同様の傾向を示す。
(プロセスウィンドウ)
成長パラメータの表面モフォロジー・欠陥密度・エピ面内キャリア密度均一性(σ/mean)への影響を精査し、2度オフSiC基板のSi面側へのSiCエピタキシャル成長のプロセスウィンドウを導出した。
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、成長圧力P=10.3(kPa)における成長温度Tg(℃)とC/Si比との関係におけるプロセスウィンドウの説明は、図16に示すように表される。
図16において、2度オフ角SiC基板の表面モフォロジー限界は、破線で示される範囲内であり、成長温度Tg(℃)が、約1630℃〜約1690℃の範囲で、C/Si比が約0.7〜約0.95の範囲内である。
一方、三角欠陥密度<1個/cm2となるのは、図16上において、斜線領域Tで示される範囲内である。
また、キャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)(%)<10%となるのは、図16上において、斜線領域Uで示される範囲内である。
したがって、表面モフォロジー限界、三角欠陥密度<1個/cm2およびキャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)(%)<10%の全てを満足する領域は、斜線領域Tと斜線領域Uの重複領域(T+U)となる。
例えば、成長圧力P=10.3(kPa)における成長温度Tg(℃)=1680℃、C/Si比=0.9で表される黒丸●プロットPDが、実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果、表面モフォロジー限界、三角欠陥密度<1個/cm2およびキャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)(%)<10%の全てを満足する条件の例に対応している。
ここで、キャリア密度(ND−NA)均一性(σ/mean)(%)における(ND−NA)は、容量−電圧測定(C−V測定)で測定したキャリア密度(ドナー密度とアクセプタ密度の差を示す。図14、図15および図17における縦軸は、ウェハ全面でC−V測定を行って得た(ND−NA)値の均一性(σ/mean)を示す。
(C/Si比依存性)
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した結果であって、欠陥密度(cm-2)とキャリア密度(ND−NA)均一性(%)のC/Si比依存性(成長温度Tg=1680℃、キャリアガス流量120slm-H2、成長圧力P=10.3(kPa))は、図17に示すように表される。
図17に示すように、表面平坦性が良好となるモフォロジー限界は、C/Si比の値が0.95以下であるである。一方、C/Si比の値が約0.7以上0.95以下であれば、欠陥密度が、1(cm-2)未満となる。C/Si比の値が約0.7以上0.85以下であれば、欠陥密度が、0.5(cm-2)未満となる。さらに、C/Si比の値が約0.85以上0.95以下であれば、キャリア密度(ND−NA)均一性は、10(%)未満となる。
2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成するには、4度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する場合に比べて、低温、低C/Si比が必要である。一方、相対的に高い成長温度Tgでは、三角欠陥の発生を抑制可能であることが知られている。したがって、成長温度を低下させることは、三角欠陥の発生確率を増大する危険性があるが、図17に示すように、相対的に高い成長温度Tg=1680℃、相対的に高い成長圧力P=10.3kPaにおいて、C/Si比を低く設定することによって、三角欠陥密度を低減することができる。
C/Si比が0.9以下であれば、表面モフォロジーの観察結果より、4度オフ角基板と同程度の表面平坦性を確認している。
しかしながら、C/Si比が相対的に低くなると、図17に示すように、キャリア密度均一性(%)が急激に劣化する傾向が観られる。これらの結果は、表面モフォロジーを反映する三角欠陥密度とキャリア密度均一性(%)が、成長パラメータ(C/Si比、成長圧力P、キャリアガス流量)に対してトレードオフ関係にあることを示している。三角欠陥の発生の起点に注目することで、このトレードオフ関係を解消することができる。
三角欠陥とは、SiCエピタキシャル成長層において、ダウンステップ方向に拡張する欠陥の内、ウェハ表面観察により三角形を有する欠陥の総称である。
ウェハ上のパーティクルやCVD装置の炉壁から飛来して付着したダウンフォール粒子などを起点として拡張した3Cインクルージョンや、ウェハの転位を起点とした積層欠陥の内、三角形の表面モフォロジーが観られるものを指す。
―ダウンフォール―
2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、ダウンフォールの一例は、図18(a)に示すように表され、ダウンフォールの別の例は、図18(b)に示すように表され、ダウンフォールの更に別の例は、図18(c)に示すように表され、ダウンフォールの更に別の例は、図18(d)に示すように表され、ダウンフォールの更に別の例は、図18(e)に示すように表され、ダウンフォールの更に別の例は、図18(f)に示すように表される。
2度オフ角SiC基板上のパーティクルやCVD装置の炉壁から飛来して付着したダウンフォール粒子などを起点として形成されるダウンフォールは、図18(a)〜図18(f)に示すように、直径約数μm〜数10μmの略円形を有している。
―キャロット―
2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、キャロット欠陥の一例は、図19(a)に示すように表され、キャロット欠陥の別の例は、図19(b)に示すように表され、キャロット欠陥の更に別の例は、図19(c)に示すように表され、キャロット欠陥の更に別の例は、図19(d)に示すように表される。
キャロット欠陥の長さはエピタキシャル成長層の膜厚に依存するが、図19(a)〜図19(d)に示すように、その長さが約100μm以上にもなり得ることがわかる。
―三角欠陥―
2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、三角欠陥の一例は、図20(a)に示すように表され、三角欠陥の別の例は、図20(b)に示すように表され、三角欠陥の更に別の例は、図20(c)に示すように表され、三角欠陥の更に別の例は、図20(d)に示すように表される。
三角欠陥の大きさは欠陥発生後に成長されたエピタキシャル成長層の膜厚により決定されるが、図20(a)〜図20(d)に示すように、その三角欠陥を構成する三角形の1辺の長さが約100μm以上にもなり得ることがわかる。なお、三角欠陥の大きさとエピタキシャル成長層の膜厚の関係は、図22において説明される通りである。
―ダウンフォール+三角欠陥―
2度オフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する欠陥であって、ダウンフォール+三角欠陥の一例は、図21(a)に示すように表され、ダウンフォール+三角欠陥の別の例は、図21(b)に示すように表される。
図21(a)および図21(b)に示すように、三角欠陥は、ダウンフォールを起点として発生し得ることがわかる。
2度オフ基板上へのSiCエピタキシャル成長の欠陥の内訳は、三角欠陥が約80%、キャロット欠陥が約10%、ダウンフォール欠陥が約10%である。これらの値は、2度オフ角基板の3インチφウェハ上にSiCエピタキシャル成長した5枚のウェハの平均値である。
(三角欠陥の発生機構)
角度θ度のオフ角SiC基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成した際に発生する三角欠陥の発生機構の説明であって、三角欠陥の模式的平面図は、図22(a)に示すように表され、三角欠陥の模式的断面図は、図22(b)の示すように表される。
図22(a)および図22(b)に示すように、起点Aにおいてステップフロー成長の阻害となる異物が存在すると、ステップフロー成長と共に基板と異なる結晶積層構造が、B線、C線で示されるように放射状に拡張される。
エピタキシャル成長層の厚さは、ステップフロー方向に沿った三角欠陥の長さから計算可能である。すなわち、表面三角欠陥のダウンステップ方向の拡張幅より、発生時のSiCエピタキシャル成長層の膜厚を見積ることができる。
ダウンステップ方向の拡張幅Lとオフ角θ、およびSiCエピタキシャル成長層の膜厚dの関係より、欠陥発生時のSiCエピタキシャル成長層の膜厚Ddは、(1)式で表される。

d=d−L×tanθ (1)

ダウンステップ方向の拡張幅Lは、SICAや通常の光学顕微鏡観察などで取得した三角欠陥画像より測定可能であるため、ダウンステップ方向の拡張幅Lを測定することで、欠陥発生時のSiCエピタキシャル成長層の膜厚Ddを非破壊で見積ることができる。
(三角欠陥の低減対策)
低オフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成した際に発生する三角欠陥の低減対策の説明は、図23に示すように表される。
相対的にC/Si比が高い場合には、図23に示すように、成長モードは、2次元核生成(2DN:Two Dimensional Nucleation)成長が主体的となり、キャリア密度均一性も向上する。一方、相対的にC/Si比が低い場合には、成長モードは、ステップフロー成長が主体的となり、キャリア密度均一性も悪化傾向となる。
三角欠陥密度の約80%以上が、低オフ角SiC基板(2)/SiCエピタキシャル成長層(3)界面近傍で発生している。
三角欠陥の低減対策としては、ステップフロー阻害要因を除去する必要がある。ステップフロー阻害要因となる異物対策としては、ウェハ洗浄を徹底する。また、転位対策としては、SiCエピタキシャル成長前の水素エッチング条件の最適化およびウェハ研磨条件の最適化を図る。
さらに、低オフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成する初期段階において、C/Si比を低く設定し、欠陥密度を低減化したバッファ層3Bを形成し、その後、バッファ層3B上に、相対的に高いC/Si比の成長条件にてドリフト層3Dを形成することによって、良好なキャリア密度均一性を有するSiCエピタキシャルウェハ1を提供可能である。
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成した結果であって、三角欠陥の発生確率(%)とエピタキシャル成長層3の厚さとの関係は、図24に示すように表される。ここで、調査した三角欠陥の数N=61である。
三角欠陥の発生確率(%)は、図24に示すように、80%以上が、SiC基板/SiCエピタキシャル成長層界面近傍で発生している。すなわち、SiCエピタキシャル成長層の厚さが約0.25μmに到達するまでに80%以上の三角欠陥が発生している。3インチφのウェハを3枚計測した結果である。
以上の結果に基づき、三角欠陥の発生を抑制するために、2度オフ角SiC基板2上に、図17に示すように、相対的に低いC/Si比の成長条件にてバッファ層3Bを形成し、その後、バッファ層3B上に、相対的に高いC/Si比の成長条件にてドリフト層3Dを形成することによって、良好なキャリア密度均一性を有するSiCエピタキシャルウェハ1を提供可能である。すなわち、ステップバンチングや三角欠陥密度の発生を低減し、かつ欠陥密度の低減とトレードオフ関係にある膜厚均一性およびキャリア密度均一性に優れ、2度オフ角SiC基板2によるコスト低減可能なSiCエピタキシャルウェハ1を提供可能である。
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成した結果であって、6インチφウェハポケット内に並べて配置した3インチφウェハ(内側)上の欠陥密度マップは、図25(a)に示すように表され、6インチφウェハポケット内に並べて配置した3インチφウェハ(外側)上の欠陥密度マップは、図25(b)に示すように表される。図25(a)および図25(b)に示される結果は、図26に示すように、バッファ層を適用しない構造に対応している。ここで、SiCエピタキシャル成長におけるC/Si比は、0.9である。SiCエピタキシャル成長層3の厚さは、いずれも約10μmである。図25(a)および図25(b)における●(黒丸)点は、検出された欠陥(三角欠陥、キャロット欠陥、およびダウンフォール)の位置を示している。
一方、実施の形態に係る2度オフ角SiC基板2上にバッファ層3Bを介してドリフト層3Dを形成した結果であって、6インチφウェハポケット内に並べて配置した3インチφウェハ(内側)上の欠陥密度マップは、図25(c)に示すように表され、6インチφウェハポケット内に並べて配置した3インチφウェハ(外側)上の欠陥密度マップは、図25(d)に示すように表される。図25(a)および図25(b)に示される結果は、図28(a)に示すように、バッファ層3Bを適用した構造に対応している。ここで、バッファ層3BのSiCエピタキシャル成長におけるC/Si比は、0.75であり、ドリフト層3DのSiCエピタキシャル成長におけるC/Si比は、0.9である。バッファ層3B+ドリフト層3DのSiCエピタキシャル成長層3の厚さは、いずれも約10μmである。図25(c)および図25(d)における●(黒丸)点は、検出された欠陥(三角欠陥、キャロット欠陥、およびダウンフォール)の位置を示している。
以上の結果から、バッファ層3Bを適用しない構造では、欠陥密度は、約0.60個/cm2であるが、バッファ層3Bを適用した構造では、欠陥密度は、約0.21個/cm2である。2度オフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成時に、初期段階で低C/Si比のバッファ層3Bを形成することによって、欠陥の発生を抑制可能である。
さらに、バッファ層を適用した構造では、2度オフSiC基板上のSiCエピタキシャル成長において、約10μm/hの成長レートで、膜厚均一性は、1.2%、キャリア密度均一性は、σ/mean=7%が得られている。
また、SiCエピタキシャル成長層3の欠陥フリーのチップ歩留りは、欠陥低減対策前(図25(a)および図25(b))では、5mm角で約86%、10mm角で約55%であるのに対して、欠陥低減対策後(図25(c)および図25(d))では、5mm角で約95%、10mm角で約81%に向上している。
実施の形態に係る2度オフSiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成したバッファ層3Bを備えない場合の模式的構造例は、図26に示すように表される。ここで、SiC基板2は4H−SiCであり、(0001)面上にエピタキシャル成長を実施している。また、成長温度Tg=1670℃、C/Si比=0.9、成長圧力P=6.3(kPa、SiCエピタキシャル成長層の厚さ=5μmである。
尚、SiCエピタキシャル成長開始前の水蒸気雰囲気中(10.6kPa、1655℃)で保持時間を変化させている。SiC基板2を水素を含む減圧雰囲気中で保持すると、SiC基板2がエッチングされる。この工程は、ウェハ表面の付着パーティクル除去や、ウェハ表面研磨後の残留加工変質層(高密度転位ループ)をエッチングにより除去するために行っている。
実施の形態に係る2度オフSiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成した結果であって、欠陥密度(cm-2)および反射ロス(a. u.)のエッチング深さ依存性は、図27に示すように表される。欠陥密度(cm-2)としては、三角欠陥密度、シャローピット密度、バンプ密度を測定している。また、白丸○プロットは、反射ロス(Reflection loss)を示す。
エッチング深さが増加すると反射ロス(Reflection loss)が増加する理由は、以下の通りである。
水素雰囲気中でのSiCのエッチングは、SiCエピタキシャル成長時のステップフロー成長とは逆に、ウェハ表面のステップが後退する形で進行する。
その際、ウェハ表面のパーティクルやウェハの転位(加工ダメージ由来のものも含む)により均一なエッチングが阻害されると、その周辺で短いステップバンチングが発生する。
エッチング時に生じたステップバンチングは、その後のエピタキシャル成長において消失せず、むしろダウンステップの垂直方向に伸びて行く。
こうしたステップバンチングが高密度に発生すると、ステップバンチングがオーバーラップするようになり、「表面荒れ」として観測される。
エッチング深さが増加すると、エッチング不均一により発生する短いステップバンチングの長さが長くなる。この点は、三角欠陥の発生深さとエピタキシャル成長層の厚さ・オフ角の関係と同様に説明される。
また、同じエッチング深さでも、基板オフ角が小さい方がステップバンチングの長さは長くなる。
SICAでの反射ロスは、共焦点微分干渉顕微鏡観察時のウェハ表面からの反射光が、表面荒れ等によりどの程度散乱・減少しているかを示す指標である。SICAでは、ステップバンチング由来の表面荒れの度合いを検出可能であり、その指標となる。
SICAで得られる表面荒れ指標HAZEとは、検査装置SICAでの反射ロスの呼称である。
(バッファ層の必要性)
バッファ層3Bは必須の構成要件ではなく、SiCエピタキシャルウェハ1に要求されるモフォロジー限界、キャリア密度均一性およびエピ欠陥密度の値により決まる。
欠陥密度を下げるには、低い原料ガスC/Si比(または低い成長圧力P、高いキャリアガス流量、即ち、ウェハ表面での実行的C/Si比が減少する条件)が適しているが、その成長条件を用いるとトレードオフとして、キャリア密度の面内均一性が低下する。
2度オフエピタキシャル成長の場合、キャリア密度面内均一性σ/mean<10%を条件とした場合、欠陥密度の許容値が1個/cm2未満の場合は、低C/Si比のバッファ層3Bは不要である。一方、欠陥密度の許容値が0.5個/cm2未満の場合は、低C/Si比のバッファ層3Bは必要である。
―バッファ層の条件―
基本要件:膜厚0.5μm以上、かつドリフト層3D(バッファ層3Bよりも上のSiCエピタキシャル成長層)よりも実行C/Si比が低くなる成長条件で成長する。同様の結果を得るためには、原料ガスC/Si比を低減し、また成長圧力Pを低減し、またキャリアガス流量を増加しても良い。
―その他の要件―
ドリフト層成長時のC/Si比=0.9のときは、バッファ層3Bの形成時の原料ガスC/Si比は、0.6以上0.9未満の範囲であることが望ましい。より望ましくは、バッファ層3Bの形成時の原料ガスC/Si比は、約0.75であることが望ましい。原料ガスC/Si比が0.6以下では、CVD装置の炉壁への付着膜のSi組成が高くなることで、膜応力が大きくなり、炉材が割れやすくなるためである。
―バッファ層の膜厚―
バッファ層3Bの膜厚は、厚い方が欠陥密度低減効果は確実に得られる。一方、ドリフト層3Dの厚さは、要求されるデバイス耐圧で決められるため、エピタキシャル成長層3の総膜厚は、バッファ層3Bの厚さ分だけ厚くなる。
エピタキシャル成長プロセス時間・デバイス作製時のチャネル抵抗増加分との兼ね合い、および欠陥低減効果の再現性の観点から、バッファ層3Bの膜厚は、約0.5μmが下限である。
―バッファ層へのドーピング―
バッファ層3Bへの窒素(N)ドーピング密度は、ドリフト層3Dへの窒素(N)ドーピング密度よりも高く設定して、チャネル抵抗増加を抑制する。但し、バッファ層3Bへの窒素(N)ドーピング密度<4×1019cm-3とする。バッファ層3Bへの窒素(N)ドーピング密度が高いと積層欠陥が発生し易くなるためである。
(低C/Si比バッファ層の厚さと欠陥密度の関係)
実施の形態に係る2度オフ角SiC基板2上にバッファ層3Bを介してドリフト層3Dを形成した結果であって、模式的構造例は、図28(a)に示すように表される。ここで、成長温度Tg=1680℃、成長圧力P=10.3(kPa)、バッファ層3BのC/Si比=0.75、バッファ層3Bの厚さ=Xμm、ドリフト層3DのC/Si比=0.9、ドリフト層3Dの厚さ=10μmである。
また、実施の形態に係る2度オフ角SiC基板2上にバッファ層3Bを介してドリフト層3Dを形成した結果であって、欠陥密度(cm-2)とバッファ層3Bの厚さX(μm)依存性(バッファ層のC/Si比=0.75)は、図28(b)に示すように表される。
各バッファ層3Bの膜厚水準について、3インチφウェハを6枚(バッファ層3Bの厚さ1.5μmの場合のみ4枚)についての測定結果のバラツキ範囲が示されている。各々のドリフト層3Dの表面欠陥としては、キャロット欠陥密度と三角欠陥密度を合計して測定している。ダウンフォール密度は装置コンディションに依存するため除外している。
2度オフ角SiC基板2上にバッファ層3Bを介して形成したドリフト層3Dの共焦点微分干渉顕微鏡像(視野:750×750μm2)の典型例は、図29に示すように表される。ここで、成長温度Tg=1680℃、バッファ層3BのC/Si比=0.75、バッファ層3Bの厚さX=0.5μm、ドリフト層3DのC/Si比=0.9、ドリフト層3Dの厚さ=10μmである。
2度オフ角SiC基板2上にバッファ層3Bを介して形成したドリフト層3Dの欠陥密度(キャロット欠陥密度+三角欠陥密度)は、バッファ層3Bの厚さXの増加と共に減少し、例えば、X=0.5μm以上では、約0.2個/cm2まで低減されている。
例えば、図7に示す欠陥密度(個/cm2)をパラメータとする歩留りY(%)とデバイス辺長(mm)との関係から明らかなように、欠陥密度が0.2個/cm2の場合、デバイス辺長10mmのSiCデバイスを想定すると、80%以上の歩留りを期待することができ、デバイス辺長5mmのSiCデバイスを想定すると、95%以上の歩留りを期待することができる。
(第1のCVD装置)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第1のCVD装置の模式的構成例は、図30に示すように、ガス注入口140と、ガス排気口160と、加熱部100と、縦型反応炉120とを備える。
加熱部100の加熱方式としては、抵抗加熱、コイルを用いた誘導加熱、ランプ加熱などを採用することができる。誘導加熱方式の場合、図に示していないが、カーボン製の部材がウェハ付近に配置され、カーボン製部材が発熱し、それに接触しているウェハまたは、発熱したカーボン製部材からの輻射でウェハが加熱される。
縦型反応炉120内には、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1がフェースアップまたはフェースダウンに配置可能である。
縦型反応炉120の下部のガス注入口140から原料ガスが供給され、縦型反応炉120の上部のガス排気口160から排気される間に、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1表面を流れた原料が反応し、SiCエピタキシャル成長層を形成する。
ここで、4度未満のオフ角基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層は、基板上に配置されたバッファ層と、バッファ層上に配置されたドリフト層とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層のC/Si比をドリフト層のC/Si比よりも低く制御すると良い。
オフ角は、2度であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2の直径は、例えば100mm以上であっても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
ドーパントの原料としては、窒素またはTMAを適用可能である。
(第2のCVD装置)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第2のCVD装置の模式的構成例は、図31に示すように、
ガス注入口140と、ガス排気口160と、加熱部100と、縦型反応炉120とを備える。
加熱部100の加熱方式としては、抵抗加熱、コイルを用いた誘導加熱、ランプ加熱などを採用することができる。誘導加熱方式の場合、図に示していないが、カーボン製の部材がウェハ付近に配置され、カーボン製部材が発熱し、それに接触しているウェハまたは、発熱したカーボン製部材からの輻射でウェハが加熱される。
縦型反応炉120内には、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1がガスの流れに対して平行になるように配置される。
縦型反応炉120の下部のガス注入口140から原料ガスが供給され、縦型反応炉120の上部のガス排気口160から排気される間に、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1表面を流れた原料が反応し、SiCエピタキシャル成長層を形成する。
ここで、4度未満のオフ角基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層は、基板上に配置されたバッファ層と、バッファ層上に配置されたドリフト層とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層のC/Si比をドリフト層のC/Si比よりも低く制御すると良い。
オフ角は、2度であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2の直径は、例えば100mm以上であっても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
ドーパントの原料としては、窒素またはTMAを適用可能である。
(第3のCVD装置)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置200であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第3のCVD装置の模式的構成例は、図32に示すように、ガス注入口140と、ガス排気口160と、加熱部100と、横型反応炉130とを備える。
加熱部100の加熱方式としては、抵抗加熱、コイルを用いた誘導加熱、ランプ加熱などを採用することができる。誘導加熱方式の場合、図に示していないが、カーボン製の部材がウェハ付近に配置され、カーボン製部材が発熱し、それに接触しているウェハまたは、発熱したカーボン製部材からの輻射でウェハが加熱される。
横型反応炉130内には、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1がガスの流れに対して対向するように立てて配置可能である。
横型反応炉130のガス注入口140から原料ガスが供給され、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1を通り過ぎて、ガス排気口160から排気される間に、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1表面を流れた原料が反応し、SiCエピタキシャル成長層を形成する。
ここで、4度未満のオフ角基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層は、基板上に配置されたバッファ層と、バッファ層上に配置されたドリフト層とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層のC/Si比をドリフト層のC/Si比よりも低く制御すると良い。
オフ角は、2度であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2の直径は、例えば100mm以上であっても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
ドーパントの原料としては、窒素またはTMAを適用可能である。
(第4のCVD装置)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハの製造装置200であって、SiCエピタキシャル成長に適用可能な第4のCVD装置の模式的構成例は、図33に示すように、ガス注入口140と、ガス排気口160と、加熱部100と、横型反応炉130とを備える。
加熱部100の加熱方式としては、抵抗加熱、コイルを用いた誘導加熱、ランプ加熱などを採用することができる。誘導加熱方式の場合、図に示していないが、カーボン製の部材がウェハ付近に配置され、カーボン製部材が発熱し、それに接触しているウェハまたは、発熱したカーボン製部材からの輻射でウェハが加熱される。
横型反応炉130内には、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1がフェースアップまたはフェースダウンに配置可能である。
横型反応炉130のガス注入口140から原料ガスが供給され、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1を通り過ぎて、ガス排気口160から排気される間に、複数枚のSiCエピタキシャルウェハ1表面を流れた原料が反応し、SiCエピタキシャル成長層を形成する。
ここで、4度未満のオフ角基板上にSiCエピタキシャル成長層を形成する際に供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層は、基板上に配置されたバッファ層と、バッファ層上に配置されたドリフト層とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層のC/Si比をドリフト層のC/Si比よりも低く制御すると良い。
オフ角は、2度であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2の直径は、例えば100mm以上であっても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
ドーパントの原料としては、窒素またはTMAを適用可能である。
以上の実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハ1は、例えば、各種SiC半導体素子の製造に利用することができる。以下では、それらの一例として、SiCショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)、SiCトレンチゲート(T:Trench)型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、およびSiCプレーナゲート型MOSFETの例を示す。
(SiC−SBD)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したSiC−SBD21の模式的断面構造は、図34に示すように表される。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したSiC−SBD21は、図34に示すように、n+型(不純物密度が、例えば、約1×1018cm-3〜約1×1021cm-3)の4度未満のオフ角SiC基板2と、n-型(不純物密度が、例えば、約5×1014cm-3〜約5×1016cm-3)のSiCエピタキシャル成長層3とからなるSiCエピタキシャルウェハ1を備える。
ここで、4度未満のオフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成する際に供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層3は、4度未満のオフ角SiC基板2上に配置されたバッファ層と、バッファ層上に配置されたドリフト層とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層のC/Si比をドリフト層のC/Si比よりも低く制御すると良い。
オフ角は、2度であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2の直径は、例えば100mm以上であっても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
n型ドーピング不純物としては、たとえば、N(窒素)、P(リン)、As(ひ素)などを適用可能である。
p型ドーピング不純物としては、たとえば、TMAなどを適用可能である。
SiC基板2の裏面((000−1)C面)は、その全域を覆うようにカソード電極22を備え、カソード電極22はカソード端子Kに接続される。
また、SiCエピタキシャル成長層3の表面10((0001)Si面)は、SiCエピタキシャル成長層3の一部を活性領域23として露出させるコンタクトホール24を備え、活性領域23を取り囲むフィールド領域25には、フィールド絶縁膜26が形成されている。
フィールド絶縁膜26は、SiO2(酸化シリコン)からなるが、窒化シリコン(SiN)など、他の絶縁物からなっていてもよい。このフィールド絶縁膜26上には、アノード電極27が形成され、アノード電極27はアノード端子Aに接続される。
SiCエピタキシャル成長層3の表面10近傍(表層部)には、アノード電極27に接するようにp型のJTE(Junction Termination Extension)構造28が形成されている。JTE構造28は、フィールド絶縁膜26のコンタクトホール24の内外に跨るように、コンタクトホール24の輪郭に沿って形成されている。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したSiC−SBD21によれば、リーク電流を低減可能である。
(SiC−TMOSFET)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したSiC−TMOSFET31の模式的断面構造は、図35に示すように表される。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したSiC−TMOSFET31は、図35に示すように、n+型(不純物密度が、例えば、約1×1018cm-3〜約1×1021cm-3)の4度未満のオフ角SiC基板2と、n-型(不純物密度が、例えば、約5×1014cm-3〜約5×1016cm-3)のSiCエピタキシャル成長層3とからなるSiCエピタキシャルウェハ1を備える。
ここで、4度未満のオフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成する際に供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層3は、4度未満のオフ角SiC基板2上に配置されたバッファ層と、バッファ層上に配置されたドリフト層とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層のC/Si比をドリフト層のC/Si比よりも低く制御すると良い。
オフ角は、2度であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2の直径は、例えば100mm以上であっても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
n型ドーピング不純物としては、たとえば、N(窒素)、P(リン)、As(ひ素)などを適用可能である。
p型ドーピング不純物としては、たとえば、TMAなどを適用可能である。
SiC基板2の裏面((000−1)C面)は、その全域を覆うようにドレイン電極32を備え、ドレイン電極32はドレイン端子Dに接続される。
SiCエピタキシャル成長層3の表面10((0001)Si面)近傍(表層部)には、p型(不純物密度が、例えば、約1×1016cm-3〜約1×1019cm-3)のボディ領域33が形成されている。SiCエピタキシャル成長層3において、ボディ領域33に対してSiC基板2側の部分は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、n-型のドレイン領域34である。
SiCエピタキシャル成長層3には、ゲートトレンチ35が形成されている。ゲートトレンチ35は、SiCエピタキシャル成長層3の表面10からボディ領域33を貫通し、その最深部がドレイン領域34に達している。
ゲートトレンチ35の内面およびSiCエピタキシャル成長層3の表面10には、ゲートトレンチ35の内面全域を覆うようにゲート絶縁膜36が形成されている。そして、ゲート絶縁膜36の内側を、たとえばポリシリコンで充填することによって、ゲートトレンチ35内にゲート電極37が埋設されている。ゲート電極37には、ゲート端子Gが接続されている。
ボディ領域33の表層部には、ゲートトレンチ35の側面の一部を形成するn+型のソース領域38が形成されている。
また、SiCエピタキシャル成長層3には、その表面10からソース領域38を貫通し、ボディ領域33に接続されるp+型(不純物密度が、例えば、約1×1018cm-3〜約1×1021cm-3)のボディコンタクト領域39が形成されている。
SiCエピタキシャル成長層3上には、SiO2からなる層間絶縁膜40が形成されている。層間絶縁膜40に形成されたコンタクトホール41を介して、ソース電極42がソース領域38およびボディコンタクト領域39に接続されている。ソース電極42には、ソース端子Sが接続されている。
ソース電極42とドレイン電極32との間(ソース−ドレイン間)に所定の電位差を発生させた状態で、ゲート電極37に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)を印加することにより、ゲート電極37からの電界によりボディ領域33におけるゲート絶縁膜36との界面近傍にチャネルを形成することができる。これにより、ソース電極42とドレイン電極32との間に電流を流すことができ、SiC−TMOSFET31をオン状態にさせることができる。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したSiC−TMOSFET31は、キャリア移動度を向上させ高速化することができる。
(SiCプレーナゲート型MOSFET)
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したプレーナゲート型のSiC−MOSFETの模式的断面構造は、図36に示すように表される。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いて作製したプレーナゲート型のSiC−MOSFET51は、図36に示すように、n+型(不純物密度が、例えば、約1×1018cm-3〜約1×1021cm-3)の4度未満のオフ角SiC基板2と、n-型(不純物密度が、例えば、約5×1014cm-3〜約5×1016cm-3)のSiCエピタキシャル成長層3とからなるSiCエピタキシャルウェハ1を備える。
ここで、4度未満のオフ角SiC基板2上にSiCエピタキシャル成長層3を形成する際に供給される原料ガスは、Siの供給源となるSi化合物およびCの供給源となるC化合物を備え、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が1個/cm2未満であり、Si化合物とC化合物のC/Si比は、0.7以上0.95以下の範囲を有する。
また、SiCエピタキシャル成長層3は、4度未満のオフ角SiC基板2上に配置されたバッファ層と、バッファ層上に配置されたドリフト層とを備えていても良い。ここで、キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm2未満であり、バッファ層のC/Si比をドリフト層のC/Si比よりも低く制御すると良い。
オフ角は、2度であっても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長温度は、1630℃以上1690℃以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3の成長圧力は、3kPa以上11kPa以下の範囲を有していても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層3形成時のキャリアガス流量は、100slm以上150slm以下の範囲を有していても良い。
Si化合物としては、例えば、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、Si化合物としては、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、C化合物としては、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料で構成されていても良い。他には、C化合物には、塩素(Cl)を含む化合物を用いても良い。
また、SiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかの材料で構成されていても良い。
4度未満のオフ角基板2の直径は、例えば100mm以上であっても良い。
4度未満のオフ角基板2は、4H−SiC、若しくは6H−SiCを備えていても良い。また、SiCの代わりにBN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えていても良い。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハのSiCエピタキシャル成長において、キャリアガスとしては、H2、Ar、HCl、F2のいずれか1つ以上を適用可能である。
n型ドーピング不純物としては、たとえば、N(窒素)、P(リン)、As(ひ素)などを適用可能である。
p型ドーピング不純物としては、たとえば、TMAなどを適用可能である。
SiC基板2の裏面((000−1)C面)には、全域を覆うようにドレイン電極52が形成され、ドレイン電極52には、ドレイン端子Dが接続されている。
SiCエピタキシャル成長層3の表面10((0001)Si面)近傍(表層部)には、p型(不純物密度が、例えば、約1×1016cm-3〜約1×1019cm-3)のボディ領域53がウェル状に形成されている。SiCエピタキシャル成長層3において、ボディ領域53に対してSiC基板2側の部分は、エピタキシャル成長後のままの状態が維持された、n-型のドレイン領域54である。
ボディ領域53の表層部には、n+型のソース領域55がボディ領域53の周縁と間隔を空けて形成されている。
ソース領域55の内側には、p+型(不純物密度が、例えば、約1×1018cm-3〜約1×1021cm-3)のボディコンタクト領域56が形成されている。ボディコンタクト領域56は、ソース領域55を深さ方向に貫通し、ボディ領域53に接続されている。
SiCエピタキシャル成長層3の表面10には、ゲート絶縁膜57が形成されている。ゲート絶縁膜57は、ボディ領域53におけるソース領域55を取り囲む部分(ボディ領域53の周縁部)およびソース領域55の外周縁を覆っている。
ゲート絶縁膜57上には、たとえばポリシリコンからなるゲート電極58が形成されている。ゲート電極58は、ゲート絶縁膜57を挟んでボディ領域53の周縁部に対向している。ゲート電極58には、ゲート端子Gが接続される。
SiCエピタキシャル成長層3上には、SiO2からなる層間絶縁膜59が形成されている。層間絶縁膜59に形成されたコンタクトホール60を介して、ソース電極61がソース領域55およびボディコンタクト領域56に接続されている。ソース電極61には、ソース端子Sが接続されている。
ソース電極61とドレイン電極52との間(ソース−ドレイン間)に所定の電位差を発生させた状態で、ゲート電極58に所定の電圧(ゲート閾値電圧以上の電圧)を印加することにより、ゲート電極58からの電界によりボディ領域53におけるゲート絶縁膜57との界面近傍にチャネルを形成することができる。これにより、ソース電極61とドレイン電極52との間に電流を流すことができ、プレーナゲート型MOSFET51をオン状態にさせることができる。
このプレーナゲート型MOSFET51においても、図35のSiC−TMOSFET31と同様に、キャリア移動度を向上させ高速化することができる。
以上、本実施形態を説明したが、他の形態で実施することもできる。
例えば、SiC基板2の主面4(基板表面)は、(0001)面に対して[−1100]軸のオフ方向に4度未満のオフ角θで傾斜していてもよい。また、図示は省略するが、実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハ1を用いてMOSキャパシタを製造することもできる。MOSキャパシタでは、歩留まりおよび信頼性を向上させることができる。また、信頼性については初期不良を減少させることができる。
また、図示は省略するが、実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハを用いてバイポーラトランジスタを製造することもできる。その他、実施形態に係るSiCエピタキシャルウェハは、SiC−pnダイオード、SiC絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、SiC相補型MOSFETなどの製造に用いることもできる。
実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハによれば、SiCエピタキシャル成長層の表面または界面の欠陥領域を減らすことができるため、リーク電流・酸化膜厚の不均一性・界面準位・表面再結合などが低減し、電界効果移動度が向上する。このため、高品質かつ高信頼性のSiC半導体装置を提供することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、低オフ角SiC基板上SiCエピタキシャル成長において、膜厚均一性およびキャリア密度均一性に優れ、かつ表面欠陥の少ない高品質で、コスト低減可能なSiCエピタキシャルウェハ、SiCエピタキシャルウェハの製造装置、SiCエピタキシャルウェハの製造方法、および半導体装置を提供する。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態に係るSiCエピタキシャルウェハ、SiCエピタキシャルウェハの製造装置、SiCエピタキシャルウェハの製造方法、および半導体装置について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この実施の形態を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
本実施形態のSiCエピタキシャルウェハを適用した半導体装置は、電気自動車(ハイブリッド車を含む)・電車・産業用ロボットなどの動力源として利用される電動モータを駆動するインバータ回路用パワーモジュール、また、太陽電池・風力発電機その他の発電装置(とくに自家発電装置)が発生する電力を商用電源の電力に変換するインバータ回路用パワーモジュールなど幅広い応用分野に適用可能である。
1…SiCエピタキシャルウェハ
2…基板
3…SiCエピタキシャル成長層
3B…バッファ層
3D…ドリフト層
4…主面
6P…ウェハポケット
10…SiCエピタキシャル成長層の表面
13…六方晶SiCインゴット
14…SiCベアウェハ
15…切り出し面
16…酸化膜
21…SiC−SBD
22…カソード電極
23…活性領域
24…コンタクトホール
25…フィールド領域
26…フィールド絶縁膜
27…アノード電極
28…JTE構造
31…SiC−TMOSFET
32、52…ドレイン電極
33、53…ボディ領域
34…ドレイン領域
35…ゲートトレンチ
36、57…ゲート絶縁膜
37、58…ゲート電極
38、55…ソース領域
39、56…ボディコンタクト領域
40、59…層間絶縁膜
41、60…コンタクトホール
42、61…ソース電極
51…SiC−MOSFET
100…加熱部
112…断熱材
114…固定サセプタ
116…回転サセプタ
118…ホルダプレート
120…縦型反応炉
125…回転サセプタ支持台
130…横型反応炉
140…ガス注入口
160…ガス排気口
200…SiCエピタキシャルウェハの製造装置
t1…SiC基板の厚さ
t2…SiCエピタキシャル成長層3の厚さ
θ…オフ角
S…ソース端子
D…ドレイン端子
G…ゲート端子
A…アノード端子
K…カソード端子

Claims (10)

  1. オフ角基板と、
    前記基板上に配置された第1のSiCエピタキシャル成長層と、
    前記第1のSiCエピタキシャル成長層上に配置された第2のSiCエピタキシャル成長層と、
    を備え、前記第1および第2のSiCエピタキシャル成長層は、Si化合物をSiの供給源とし、C化合物をCの供給源とし、
    前記第1のSiCエピタキシャル成長層は、バッファ層を備えるとともに、前記第2のSiCエピタキシャル成長層よりも厚みが薄く、かつ、前記第2のSiCエピタキシャル成長層よりも欠陥密度が低く、
    前記第2のSiCエピタキシャル成長層は、ドリフト層を備えるとともに、
    キャリア密度均一性を10%未満、かつ欠陥密度が0.5個/cm 2 未満であり、前記バッファ層の前記Si化合物と前記C化合物のC/Si比を前記ドリフト層の前記Si化合物と前記C化合物のC/Si比よりも低く制御しており、
    前記バッファ層および前記ドリフト層には窒素がドーピングされており、前記バッファ層への窒素ドーピング密度の方が、前記ドリフト層への窒素ドーピング密度よりも高く、前記バッファ層への前記窒素ドーピング密度は4×10 19 cm -3 よりも小さいことを特徴とするSiCエピタキシャルウェハ。
  2. 前記バッファ層の厚さは0.5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
  3. 前記オフ角は、4度以下を有することを特徴とする請求項1または2に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
  4. 前記Si化合物は、SiH4、SiH3F、SiH22、SiHF3若しくはSiF4のいずれかの材料を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
  5. 前記C化合物は、C38、C24、C22、CF4、C26、C38、C46、C48、C58、CHF3、CH22、CH3F、若しくはC2HF5のいずれかの材料を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
  6. 前記第1および第2のSiCエピタキシャル成長層は、4H−SiC、6H−SiC、2H−SiC、若しくは3C−SiCのいずれかを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
  7. 前記基板は、直径100mm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
  8. 前記基板は、4H−SiC、6H−SiC、BN、AlN、Al23、Ga23、ダイヤモンド、カーボン、若しくはグラファイトのいずれかを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のSiCエピタキシャルウェハ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のSiCエピタキシャルウェハを備えることを特徴とする半導体装置。
  10. 前記半導体装置は、SiCショットキーバリアダイオード、SiC−MOSFET、SiCバイポーラトランジスタ、SiCダイオード、SiCサイリスタ、若しくはSiC絶縁ゲートバイポーラトランジスタのいずれかを備えることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
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