JP6850406B2 - フコキサンチンによるかゆみ抑制 - Google Patents

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Description

本発明は、フコキサンチンもしくはその誘導体又はその塩を含有してなる、マスト細胞分化抑制剤、特にかゆみ抑制剤に関する。
アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応と関連があるもののうち皮膚の炎症(湿疹など)を伴うもので過敏症の一種であり、角層の異常に起因する皮膚の乾燥とバリア機能異常という皮膚の生理学的異常を伴い、多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じる。
アトピー性皮膚炎は、遺伝的素因、環境暴露及び免疫学的機構の複雑な相互作用によって発症すると考えられている。アトピー性皮膚炎は、その病原性機構が明確になっていないため、コルチコステロイドやカルシニューリン阻害剤のような抗炎症性局所用薬物の塗布に限定されていた。しかしながら、これらの化合物は、アトピー性皮膚炎の発症を完全に抑制することはできない。アトピー性皮膚炎の満足な治療法は、未だ確立されていない。
マスト細胞(肥満細胞)は、IgEを介したI型アレルギー反応を引き起こすことが知られており、アトピー性皮膚炎などの多くの疾患を媒介することから、マスト細胞の機能を抑制することにより、これらの疾患の治療が可能となると考えられている。マスト細胞は、数多くの炎症性メディエーターを産生し、様々な刺激により活性化し脱顆粒を起こして、それらの炎症性メディエーターを放出することが知られている。例えば、マスト細胞の中にはヒスタミンをはじめとした各種化学伝達物質(ケミカルメディエーター)があり、抗原を認識すると、それがトリガーとなって細胞膜酵素の活性化がうながされ、脱顆粒が起こりヒスタミンやトリプターゼが放出される。また、細胞膜酵素の活性化は、アラキドン酸の生成と代謝を亢進させ(アラキドン酸カスケード)、代謝物であるロイコトリエン、血小板活性化因子(PAF)、プロスタグランジン、トロンボキサンA2などを細胞膜から遊離する。
ところで、カロテノイドの一種であるフコキサンチンは、従来プロビタミンAとして体内で作用すると考えられており、また、培養皮膚細胞において、酸化ストレスによる活性酸素種(ROS)の生成を抑制する抗酸化作用を有することが知られている。さらに、特許文献1には、フコキサンチンがIL-17産生及びTh-17細胞の分化を抑制することが記載され、フコキサンチンやその誘導体を含有する飲食品や経口薬をTh-17病の予防又は改善のために用いることが提案されている。また、特許文献2には、フコキサンチンの経口摂取により、抗アレルギー効果が得られることが開示されている。
しかし、フコキサンチンは、経口摂取すると肝臓を経由して代謝され、ほぼビタミンA様物質として機能する。ビタミンAは粘膜上皮細胞のバリア機能を強化したり、過酸化脂質を分解・無害化したりする働きがある。また、ビタミンAの1つであるレチノイン酸もTh-17細胞分化抑制作用を有することから、上記特許文献に記載されるフコキサンチンの経口摂取の効果は、そのプロビタミンA活性に基づく(活性本体は代謝産物であるビタミンA様物質である)ことが強く示唆される。
また、特許文献2では、血中好酸球の減少を指標として抗アレルギー効果を評価しているが、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎における皮膚局所での効果(かゆみ抑制)については何ら記載されておらず、マスト細胞に及ぼす作用についても開示も示唆もない。
特開2012-254959号公報 特開2009-108022号公報
本発明の目的は、プロビタミンA活性以外の作用機序に基づく(活性本体としての)フコキサンチンの新規医薬、医薬部外品又は化粧品用途を提供することである。また、本発明の別の目的は、アトピー性皮膚炎等のかゆみを伴う皮膚疾患の新規治療手段を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、フコキサンチンまたはその誘導体の外用投与によりマウス皮膚炎モデルの引っ掻き行動を顕著に抑制し得ることを見出した。さらに本発明者は、フコキサンチンの外用投与によりマスト細胞の脱顆粒反応だけでなく、マスト細胞の分化をも抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]フコキサンチンもしくはその誘導体又はその塩を含有してなる、局所投与用マスト細胞分化抑制剤。
[2]皮膚外用剤である、上記[1]記載の剤。
[3]かゆみ抑制剤である、上記[1]又は[2]記載の剤。
本発明によれば、マスト細胞が介在する各種体表面疾患、特に皮膚疾患の病態改善、とりわけかゆみの抑制が、薬剤の塗布等の外用により可能となるため、内服の面倒さを解消できるとともに、用量が低減できコスト面でも有利である。
フコキサンチン処理したNC/Ngaマウスにおけるかゆみ抑制効果を示す図である。(A) 実験プロトコルを示す。毛を除去した背中の皮膚に、ワセリン(Vaseline)又はフコキサンチン(0.1% FX(ワセリン中))を、5週間毎日塗布した。12、19、26及び33日目に0.8% PiClによる感作を行った。(B) ワセリン(左、Veseline)又はフコキサンチン(右、FX)で3週間処理した後のNC/Ngaマウスの代表的な画像。(C) ワセリン又はフコキサンチンで5週間処理後、ワセリン処理マウス(Vaseline)において観察された引っ掻き行動は、フコキサンチン処理マウス(FX)において軽減された。縦軸は10分あたりの引っ掻き行動に費やす秒数を示す。**:p<0.01 vsワセリン処理マウス。(D〜F) (D) 血清IgEレベルの生化学的解析。それぞれの処理マウスにおいて、血液標本のIgE濃度は、正常範囲(1〜3ng/ml)(破線) を超えるが同程度であった。(E, F) リンパ浮腫。(E) 縦軸は、耳介リンパ節(auricular lymph node)の長さ(cm) を示す。(F) 縦軸は、BrdU取り込み(ワセリン処理マウスに対するfold change)を示す。ワセリンコントロールと比較して、フコキサンチンは、リンパ液炎症を軽減することはできなかった。 フコキサンチンは、in vivo及びin vitroのいずれにおいても、マスト細胞の成熟及び脱顆粒を阻害する。(A)0.1%フコキサンチン処理したNC/Ngaマウス(右、FX)又はワセリン処理したNC/Ngaマウス(左、vaseline)の皮膚標本に対するトルイジンブルー(TB)染色。NC/Ngaマウスの皮膚を、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋した。矢印はTB陽性細胞を示し、矢頭はマスト細胞の脱顆粒を示す。黒実線ボックスは、黒破線ボックスの拡大である。(B) 0.1%フコキサンチン処理NC/Ngaマウス(FX)又はワセリン処理したNC/Ngaマウス(Vaseline)の皮膚における、TB陽性細胞の数は、1サンプルあたり、3視野分(1mm×1.5mm)から算出した。**:p<0.01 (C) 骨髄由来マスト細胞(BMMC)の数。骨髄細胞をフコキサンチン処理(0.1μM, 1μM, 10μM)した。1ウェルごとに10視野(10μm×100μm)から、骨髄由来マスト細胞(BMMC)数を算出し、DMSOコントロールに対する比で示した。*:p<0.05, **:p<0.01 (D)フコキサンチンは、BMMCの脱顆粒を阻害する。骨髄細胞を、インターロイキン−3を含む馴化培地で4週間インキュベートした。次に、抗ジニトロフェニル(DNP)IgE抗体の添加により脱顆粒を引き起こした。Fc受容体刺激前に30分、細胞をフコキサンチン(FX)又はジメチルスルホキシド(DMSO)で処理した。*:p<0.05, **p<0.01 (E) BMMCにおける顆粒形成。10μM ワセリン(左、CRL)又はフコキサンチン(右、FX)で処理したBMMCを用いて免疫組織化学解析を行った。トリプターゼ抗体陽性反応は、フコキサンチン処理細胞において観察されなかった。DAPIによる対比染色により、細胞数を数えた。 フコキサンチンは、マスト細胞の分化を制御する。(A〜G) Mitf1、PU.1、GATA-1、GATA-2、FcεRIα、Hdc、Cebpαの発現レベルを、リアルタイムPCRにより決定した。骨髄細胞は、IL-3を含む馴化培地で1〜4週間インキュベートした。10μM フコキサンチン又はジメチルスルホキシド(DMSO)(コントロール)を、骨髄を採取した日(day0)に添加した。(C〜F) フコキサンチンは、それぞれの転写因子を下方制御した。(G) 3週間後、フコキサンチンはCebpαを上方制御した。(H〜L) GATA-luc、Mitf1-luc、Hdc-luc、Cebpα-luc、NFκB-lucのレポーター解析。それぞれのレポーターベクターを、HEK293細胞にトランスフェクトし、トランスフェクションの3時間後、フコキサンチン(0.1μM、1μM、10μM)又はDMSOで処理した。フコキサンチンによりGATA-lucのみが下方制御された。*:p<0.05 vs DMSO コントロール。値は、4ウェルの平均±標準誤差(mean ±SEM)として表現した。 フコキサンチンは、NC/Nga マウスにおいて、フィラグリンの発現を誘導する。(A,B) NC/Nga マウスにおけるフィラグリンの蛍光免疫組織化学解析。FITCにより標識されたフィラグリンの局在は、フコキサンチン処理した皮膚角質層に豊富に見られ、Lorはフコキサンチン処理した皮膚全体に多くみられた。(C,D)ウエスタンブロットによる半定量的解析。フコキサンチン処理したNC/Ngaマウスの皮膚において、フィラグリン及びLorの発現レベルは、上昇していた。 各種カロテノイドのGATAレポーター発現抑制効果。フコキサンチン(FX)処理により、GATA-lucが下方制御されたが、アスタキサンチン(AX)又はリコペン(Lyc)で処理した細胞では、GATA-lucの下方制御は起こらなかった。一方、βカロテン(β-Car)又はレチノイン酸(RA)で処理した細胞では、GATA-lucが上方制御された。***: p<0.001 vs DMSO コントロール。 BMMC及びNC/Ngaマウスに及ぼすフコキサンチンとアスタキサンチンの効果の差異。フコキサンチンはBMMCにおける顆粒形成を抑制し (A)、NC/Ngaマウスの皮膚炎の症状を軽減した (B)。一方、アスタキサンチンは、そのようなin vitro及びin vivoでの効果を示さなかった。 皮膚に対する二つの新規なフコキサンチン作用のメカニズム。フコキサンチン(FX)は、フィラグリン(Filaggrin)及びロリクリン(Loricrin)などの皮膚バリアタンパク質を誘導し、マスト細胞の形成及び顆粒を減少させた。 NC/Ngaマウスの皮膚炎の症状に及ぼす効果におけるフコキサンチンとタクロリムスの比較。フコキサンチン又はタクロリムスで処理したNC/Ngaマウスにおける、処理開始から5週間後の皮膚症状を示す。 フコキサンチンとタクロリムスはどちらもNC/Ngaマウスにおける耳の腫脹及び血清IgEレベルに影響しない。(A) ワセリン (V)、フコキサンチン (FX) 又はタクロリムス (FK) で処理したNC/Ngaマウスにおける、処理開始から5週間後の耳介リンパ節の長さを示す。(B) ワセリン (V)、フコキサンチン (FX) 又はタクロリムス (FK) で処理したNC/Ngaマウスにおける、処理開始から5週間後の血清IgE 濃度を示す。破線は正常範囲の上限を示す。 フコキサンチンはNC/Ngaマウスのかゆみに対してタクロリムスよりも即効性である。(A) ワセリン(-●-)、フコキサンチン(-○-)又はタクロリムス(-▲-)で処理したNC/Ngaマウスにおける、処理開始から5週間後の引っ掻き行動に費やす時間(秒/10分)を示す。**: p<0.01 vs ワセリン処理マウス。(B) ワセリン、フコキサンチン (FX) 又はタクロリムス (FK) で処理したNC/Ngaマウス皮膚における、処理開始から5週間後の経皮水分蒸散量 (TEWL) を示す。*: p<0.05 vs ワセリン処理マウス。破線は正常範囲の上限を示す。
本発明は、フコキサンチンもしくはその誘導体又はその塩を含有してなる、マスト細胞分化抑制剤を提供する。
マスト細胞前駆細胞は、ミエロイド前駆細胞又は顆粒球単球前駆細胞(CMP又はGMP)から発生する。ets転写因子ファミリーの一員であるPU.1の発現と、GATA転写因子の発現に続いて、Cebpα遺伝子の発現が下方制御され、その後、CMP又はGMPは好塩基球/マスト細胞前駆細胞(BMCP)への分化を経る。特に、GATA転写因子は、マスト細胞の成熟に必要である。BMCPはMitf1を高く発現している。BMCPは、最終的に好塩基球又はマスト細胞を形成する。成熟マスト細胞は、IgE受容体(FcεRI)を発現し、IgEを介したFcεRIの抗原クロスリンクにより、脱顆粒などのアレルギー及び炎症を引き起こす。本明細書中、成熟マスト細胞とは、IgE受容体(FcεRI)を発現し、Hdc遺伝子を発現する細胞であって、細胞内にトリプターゼ陽性顆粒を有するマスト細胞を指す。
本明細書中、「マスト細胞分化抑制」には、骨髄細胞からマスト細胞への分化の阻害、骨髄細胞からマスト前駆細胞への分化、及びマスト細胞の成熟化の阻害を含む。
本発明のマスト細胞分化抑制剤は、有効成分として、フコキサンチン(CAS登録番号3351-86-8)又はその誘導体(以下、それらの塩を包含する意味で用いる。)を含む。フコキサンチンの誘導体としては、例えば、加水分解産物であるフコキサンチノール、フコキサンチノールが脱水化及び異性化を受けたアマロウシアキサンチンA、グリシン、アラニン等のアミノ酸とのエステル類、酢酸、クエン酸等のカルボン酸とのエステル及びその塩類、リン酸、硫酸等の無機酸とのエステル及びその塩類、またはエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸、オレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸や、パルミチン酸やステアリン酸等の飽和脂肪酸等との脂肪酸エステル類等から選択されるモノエステル体及び同種または異種のジエステル体、グルコシド等の配糖体類等が挙げられるがそれらに限定されない。これらは、化学合成品であっても、また、植物、動物、微生物などの天然物から抽出されたものであってもよく、その原料の種類や産地、製法は特に限定されず、一種又は二種以上を配合することができる。
フコキサンチン又はその誘導体の塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、またはパラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ジイソプロピルアンモニウム塩等の有機塩基塩;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸塩が挙げられる。
本発明のマスト細胞分化抑制剤に配合される有効成分として、好ましくはフコキサンチン又はフコキサンチノール、より好ましくはフコキサンチンが挙げられる。
フコキサンチンは公知の化合物であり、自体公知の方法で入手することができる。フコキサンチンは、例えば、ワカメ等の褐藻やその他の不等毛藻から自体公知の方法により抽出し、分離精製することができる。例えば、フコキサンチンの調製方法としては、特開2008-162号公報に記載の方法、後述の実施例に記載の方法等が挙げられるが、それらに限定されない。
フコキサンチノールも公知の化合物であり、例えば、フコキサンチンを、リパーゼやコレステロールエステラーゼなどの脂質分解酵素により加水分解してできるほか、特開2009-33970に記載の方法により作製することができるが、これらに限定されない。
フコキサンチン、その誘導体及びそれらの塩(以下、フコキサンチン類と略記する場合がある。)は、
(1) 骨髄細胞からGATA1/2陽性のマスト前駆細胞への分化阻害
(2) マスト細胞の顆粒形成阻害
(3) マスト細胞の増殖阻害
(4) マスト細胞においてHdc遺伝子の発現を抑制する
(5) マスト細胞におけるトリプターゼ陽性顆粒形成の阻害
(6) マスト細胞におけるトルイジンブルー陽性顆粒形成の阻害
(7) マスト細胞における脱顆粒の抑制
などの効果を有するので、マスト細胞が介在する疾患の治療及び予防に有効である。マスト細胞介在性疾患としては、マスト細胞の増加に起因する疾患、マスト細胞の分化異常に起因する疾患などが挙げられる。但し、フコキサンチン類は、経口的に摂取されると、肝臓で代謝されてビタミンA様物質として作用するため、本発明のマスト細胞分化抑制剤は、フコキサンチン類が活性本体として作用できるような、局所投与可能な疾患の治療及び予防に特に有用である。局所投与可能なマスト細胞介在性疾患としては、例えば、アトピー性皮膚炎、じんま疹、皮膚肥満細胞症、乾癬、そう痒、ぜんそく、鼻炎、結膜炎、角結膜炎、肥満細胞性白血病、全身性肥満細胞症、食物アレルギー、基底細胞癌、有刺細胞癌、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性及び非アレルギー性気管支喘息、レチノイン酸過剰症などが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、本発明のマスト細胞分化抑制剤の対象疾患として、かゆみを伴うマスト細胞介在性疾患、特に皮膚疾患が挙げられる。従って、好ましい一実施態様において、本発明はまた、フコキサンチン類を含有してなる、かゆみ抑制剤を提供する。
本発明のマスト細胞分化抑制剤は、例えば化粧料、医薬品、医薬部外品等としてヒト又は他の哺乳動物に局所的に適用(例、外用(塗布、スプレー、浸漬等)、点眼、点鼻、吸入、吸引、局所注射など)することができる。例えば、化粧料、外用医薬品または医薬部外品等として利用する場合には、特に限定されるものではないが、例えば軟膏、ローション、スプレー、エアゾールスプレー、クリーム、清拭剤、上がり湯用組成物、入浴剤、眼軟膏、点眼剤、点鼻剤、注射剤などの形態に調製することができる。上述のように、本発明のマスト細胞分化抑制剤は、好ましい実施態様において、皮膚疾患におけるかゆみ抑制剤として使用されることから、好ましくは、本発明のマスト細胞分化抑制剤は、皮膚外用剤として製剤化される。
本発明のマスト細胞分化抑制剤には、通常化粧料や医薬品、医薬部外品に用いられるその他の成分を配合することができる。このような任意成分としては、ビタミン類、色素類、無機塩類、油性基剤、界面活性剤、防腐剤、香料等が挙げられる。ビタミン類としては、レチノール、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、シアノコバラミン、アスコルビン酸、コレカルシフェロール、カルニチン、オロット酸などがある。色素類としては、赤色106号、青色1号、だいだい色205号、黄色202号の(1)、黄色203号、緑色3号などがある。無機塩類としては、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、塩化カリウム、ミョウバンなどがある。油性基剤としては、液状ラノリン、ホホバ油、米胚芽油、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、スクワラン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ワセリン、流動パラフィンなどがある。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレングリコールモノステアレートなどが挙げられる。さらに、水(精製水、温泉水、深層水等)、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、消臭剤、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることもできる。
局所的な適用に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
例えば、軟膏剤を調製する場合、所望の効果を損なわない限り、軟膏剤は油脂性軟膏剤であってもよく、水溶性軟膏剤であってもよい。軟膏剤を調製する場合は、フコキサンチン類にさらに軟膏基剤を含み得る。該軟膏基剤としては、特に限定されるものではないが、一般に炭化水素類、脂肪酸エステル、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、水、多価アルコール、低級アルコール等を用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、ミツロウ、ラノリン、グリセリン、プロピレングリコール、1, 3-ブチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
クリーム剤を調製する場合、所望の効果を損なわない限り、クリーム剤は油中水型(W/O型)クリーム剤であってもよく、水中油型(O/W型)クリーム剤であってもよい。クリーム剤を調製する場合は、フコキサンチン類にさらに乳剤性基剤を含み得る。該基剤としては、特に限定されるものではないが、一般に炭化水素類、脂肪酸エステル、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、水、多価アルコール、低級アルコール等を用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、ミツロウ、ラノリン、グリセリン、プロピレングリコール、1, 3-ブチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。クリーム剤は、さらに、保存剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤などを含んでも良い。
ローション剤を調製する場合は、フコキサンチン類にさらに軟膏基剤を含み得る。該基剤としては、特に限定されるものではないが、一般に炭化水素類、脂肪酸エステル、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、水、多価アルコール、低級アルコール等を用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、ミツロウ、ラノリン、グリセリン、プロピレングリコール、1, 3-ブチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。ローション剤は、さらに、保存剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤などを含んでも良い。
注射剤を調製する場合は、フコキサンチン類に、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して、皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調整剤及び緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデト酸ナトリウム)、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられるが、これらに限定されない。
眼軟膏剤を調製する場合は、フコキサンチン類にさらに軟膏基剤を含み得る。該軟膏基剤としては、特に限定されるものではないが、一般に疎水性基剤としての油脂類、ロウ、炭化水素化合物等を用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコーン等の鉱物性基剤、ミツロウ、動植物性油脂等の動植物性基剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
坐剤を調製する場合は、フコキサンチン類に公知の坐剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤等を加えた後、常法を利用して製造することができるが、これらに限定されない。
本発明のマスト細胞分化抑制剤中に配合されるフコキサンチン類の割合に特に制限はなく、1回用量が、投与対象においてマスト細胞分化抑制効果、かゆみ抑制効果が奏されるに十分なフコキサンチン類量を含有するような割合である限り、いかなる配合割合であってもよい。例えば、0.0001〜100重量%、好ましくは0.001〜10重量%配合することができる。軟膏剤の場合、指先から第1関節までの量(1FTU)が約0.5gであり、これを両方の手のひら及び指(即ち、手形2枚分(約150cm2×2)に延ばして塗布するのが適量とされているので、製剤全体0.5g中に、下記用量のフコキサンチン類が含有される割合で配合することができる。
本発明のマスト細胞分化抑制剤の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、例えば、軟膏剤の場合、成人に対してフコキサンチン類量として1日あたり通常0.01〜1000mg/(150cm2×2)、好ましくは0.1〜100mg/(150cm2×2)、より好ましくは0.1〜10mg/(150cm2×2)を、1回又は数回に分けて患部に塗布するのが好ましい。
本発明のマスト細胞分化抑制剤は、フコキサンチン類との配合により好ましくない相互作用を生じない限り、他の活性成分、例えば、例えば、抗ヒスタミン薬(例、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、エピナスチン塩酸塩、塩酸フェキソフェナジン等)、免疫抑制薬(例、タクロリムス、トシル酸スプラタスト等)、ステロイド(例、吉草酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル、フルオロメトロン等)、化学伝達物質遊離抑制薬(例、トラニラスト等)等などをさらに含有していてもよい。そのような他の活性成分としては、自体公知の各種薬剤を適宜使用することができる。また、他の活性成分は、本発明の剤とは別個に製剤化し、同一対象に対して、同時又は時間差をおいて、また、同一経路又は別経路で投与してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、それらは単なる例示であって、本発明を何ら限定するものではない。
実施例1:わかめからのフコキサンチンの抽出
わかめの根は、脱塩の後、乾燥させ、粉末とした。この粉末200gに1.5Lのメタノールの割合で2回抽出し、合計3Lのメタノールからエバポレーションした(1回分)。ヘキサン二層分配法により抽出したあと、エバポレーションにより濃縮した。これを、シリカゲルクロマトグラフィーにより細分画し、フコキサンチンは薄層クロマトグラフィー、フォトダイオードアレイ検出器による高速液体クロマトグラフィー解析により分離精製した。
実施例2:NC/Ngaマウスにおける、フコキサンチンの痒み抑制効果
アトピー性皮膚炎(AD)のモデルとして知られるNC/Ngaマウスを用いて、アトピー性皮膚炎に対するフコキサンチン(FX)の効果を検証した。
NC/Ngaマウスは、ダニの寄生により自然発症皮膚炎を発症し、掻痒症、発赤、浮腫、擦創・糜爛、痂皮形成・乾燥などのアトピー性皮膚炎と酷似する症状を示す。このアトピー性皮膚炎(AD)様症状は、NC/Ngaマウスの皮膚の同一部位に対する塩化ピクリル(PiCl)の繰り返し塗布によってもまたもたらされる。
5週齢の雌NC/Ngaマウスを、日本エスエルシー株式会社から購入した。図1Aに示すように、ワセリン又は0.1%(w/w)フコキサンチン含有ワセリン500 mgを、1日1回5週間マウスの背中に塗布し、ワセリン又はフコキサンチン塗布開始後12日目、19日目、26日目、33日目には更に0.8%塩化ピクリル(PiCl)を塗布した。マウスの行動はビデオモニタリングにより観察した。ワセリン又はフコキサンチン塗布開始後34日目に、ブロモデオキシウリジン(BrdU、ナカライテスク)をマウスの腹腔内に(0.125 g/ g weight)投与した。ワセリン又はフコキサンチン塗布開始5週間後、ビデオモニタリングにより、それぞれのマウスが10分間で引っ掻き行動を行っていた時間を測定した。その後、マウスを屠殺し、当該マウスの耳介リンパ節、血液及び皮膚を採取した。血清中のIgE量を、マウスIgEアッセイキット(株式会社森永生科学研究所)を用い酵素結合免疫吸着法(ELISA)により測定した。耳介リンパ節は、0.1%トリプシン/ 0.1%コラゲナーゼにより消化し、ピペッティングにより得た細胞を懸濁した。10 %ウシ胎仔血清 (FBS)含有ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(和光純薬工業株式会社)により反応を停止させた。BrdUは、Colorimetric細胞増殖ELISAキット (ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)を用い、ELISAにより測定した。
ワセリン又はフコキサンチン塗布開始直後には、ワセリンを塗布したマウスとフコキサンチンを塗布したマウスの間に違いは観察されなかった。しかしながら、塗布開始5週間後、ワセリンを塗布したマウスとフコキサンチンを塗布したマウスの間で、引っ掻き行動に費やす時間に差が見られた(図1C)。ワセリンを塗布したマウスと比較して、フコキサンチンを塗布したマウスでは、引っ掻き行動に費やす時間が著しく短いことが見出された。一方、血中IgEレベルは、どちらのマウスにも変化はなかった(図1D)。耳介リンパ節の腫れ及びBrdUの取り込みは、フコキサンチンの塗布によって影響を受けなかった(図1E、F)。
以上の結果から、フコキサンチンの局所塗布は、マウスの引っ掻き行動を抑制し、痒みを抑制する効果を有することが見出された。しかしながら、マウス行動に明らかに影響を与えたにも関わらず、血中のIgEレベル、耳介リンパ節の腫れ、細胞増殖において違いは見られなかった。フコキサンチンは、全身性の影響というより局所的に免疫細胞に影響を与えているはずであることが示唆された。
実施例3:フコキサンチン塗布によるマスト細胞数の減少
次に、フコキサンチン塗布によるマスト細胞への影響について検証した。
実施例2と同様に、ワセリン又はフコキサンチン、及びPiClをマウスに塗布した。ワセリン又はフコキサンチン塗布開始5週間後、マウスを屠殺し、皮膚を4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。皮膚標本を、トルイジンブルー(TB)(pH=4.1)で染色した。染色標本は、バーチャルスライドシステム(Olympus)により撮影した。
ワセリンを塗布したマウスと比較して、フコキサンチンを塗布したマウスは、トルイジンブルー(TB)陽性細胞の数が、顕著に少なかった(図2A及び2B)。
この結果から、フコキサンチンは、顆粒を有するマスト細胞の数を減少させることが示唆された。
実施例4:フコキサンチンによる、骨髄由来マスト細胞(BMMC)形成の抑制
次に、フコキサンチンがマスト細胞(BMMC)の成熟化に対して与える影響について検討した。
8週齢の雌マウスから骨髄細胞を採取し、WEHI-3細胞(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)を含有する馴化培地中で培養した。培養は、Yamashita U et al. (2005) Strain difference of murine bone marrow-derived mast cell functions. J Leukoc Biol 78(3):605-611.に記載の方法に準じて、行った。0.1μMフコキサンチン、1μMフコキサンチン、10μMフコキサンチン、又はコントロールとしてジメチルスルホキシド(DMSO)で、骨髄細胞を処理した。1ウェルごとに10視野(100μm×100μm)に含まれる骨髄由来マスト細胞の細胞数を計測した(図2C)。
WEHI-3細胞(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)を含有する馴化培地中で培養することにより、骨髄細胞から骨髄由来マスト細胞が形成された。フコキサンチンは用量依存的にBMMC形成を抑制した。
実施例5:フコキサンチンによる、骨髄由来マスト細胞(BMMC)脱顆粒の抑制
次に、フコキサンチンがマスト細胞(BMMC)の脱顆粒に対して与える影響について検討した。
BMMCの脱顆粒は、成熟マスト細胞培養液中のβヘキソサミニダーゼの活性を測定することにより評価した。8週齢の雌マウスから採取した骨髄細胞を、IL-3を含む馴化培地中で4週間培養することにより、成熟マスト細胞を得た。作製した成熟マスト細胞を、24ウェルプレート(5×105cells/well)で、一晩培養した。次に、抗DNP-IgE (50ng/mL) (Sigma Chemicals)で、37℃で2時間、細胞を感作した。MTバッファー(137mmol/L NaCl、2.7mmol/L KCl, 1.8mmol/L CaCl2、1mmol/L MgCl2・6H2O、5.6mmol/Lグルコース、20mmol/L HEPES、0.1%BSA、pH7.3)で該細胞を洗浄後、該細胞を0.1μMフコキサンチン、1μMフコキサンチン、10μMフコキサンチン又はジメチルスルホキシド(DMSO)で、10分間前処理を行った。その後、細胞を、2.5μg/mL DNP-標識ヒト血清アルブミン ( Sigma Chemicals)で、37℃、30分間処理した。インキュベーション後、上清を96ウェルプレートに移し、3.3mM p-ニトロフェニル-2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシドで、25分間、37℃でインキュベートした。405nmでの吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて測定した。結果を、全βヘキソサミニダーゼのパーセンテージとして示す。
結果を図2Dに示す。0.1μMフコキサンチン、1μMフコキサンチン又は10μMフコキサンチンで処理した成熟マスト細胞は、DMSOで処理した細胞と比較して、βヘキソサミニダーゼの放出が少なかった。このフコキサンチンによるβヘキソサミニダーゼの放出は、濃度依存的であった。
実施例6:フコキサンチンによる、骨髄由来マスト細胞(BMMC)における顆粒形成の抑制
顆粒形成に対するフコキサンチンの効果を明確にするため、マスト細胞の顆粒マーカーであるトリプターゼを用いた免疫染色を検証した。
実施例5と同様に、成熟マスト細胞を作製した。作製したBMMCをスライドに乗せ、熱により固定した。スライドの解析は、Kosaka T, Fukui R, Matsui M et al. (2014) RAGE, Receptor of Advanced Glycation Endoproducts, Negatively Regulates Chondrocytes Differentiation. PLOS One 9(10): e108819.に記載の方法に準じて行った。細胞を、マウス抗マスト細胞トリプターゼ抗体(AB2378, Abcam, Tokyo, Japan)と反応させた。次に、FITC共役抗マウスIgG (Santa Cruz Biotechnology, Inc.)及び1μg/ml DAPI (4', 6-ジアミジノ-2-フェニルインドール ジヒドロクロリド)と、細胞を反応させた。蛍光画像は、EVOS(登録商標)FLセルイメージングシステム(Life Technologies Corp)により、解析した。
10μMフコキサンチン処理した成熟マスト細胞におけるトリプターゼ免疫反応性は、ワセリンで処理した細胞と比較すると、ごくわずかしか観察されなかった。つまり、トリプターゼ抗体を用いた免疫染色解析により、フコキサンチンはほぼ完全に顆粒形成を阻害することが見出された(図2E)。
以上の結果は、フコキサンチン処理は、マスト細胞の成熟及び脱顆粒を妨害することにより、直接的又は局所的に、アトピー性皮膚炎(AD)に関連するかゆみを減少させることを実証した。
実施例7:フコキサンチン処理による遺伝子発現の変化
フコキサンチンが、マスト細胞の分化に関連する転写因子の発現に影響を与えるか検討するため、フコキサンチン処理による遺伝子発現の変化をリアルタイムPCRにより検証した。
8週齢の雌マウスから採取した骨髄細胞を、IL-3を含む馴化培地で培養した。培養0日目(骨髄を採取した日(day0))に、10μMフコキサンチン、又はコントロールとしてジメチルスルホキシド(DMSO)を、培養液に添加し、1、2、3又は4週間培養した。定量的リアルタイムPCRは、上記のKosaka et al.に記載の方法に準じて行った。実験には、5つの異なるcDNAプール希釈液を用いた。PCR産物は、ハウスキーピング遺伝子であるGAPDH又はβ-アクチンに対して標準化し、サンプル間の測定値を、サイクル閾値(Ct値)により比較した。使用したプライマーを以下に示す。
GAPDH-F 5’- TGCACCACCAACTGCTTAG-3’(配列番号1)
GAPDH-R 5’-GGATGCAGGGATGATGTTC-3’ (配列番号2)
βアクチン-F 5’- AGCCTCGCCTTTGCCGATCC-3’ (配列番号3)
βアクチン-R 5’- TTGCACATGCCGGAGCCGTT-3’ (配列番号4)
GATA-1-F 5’-CGCTCCCTGTCACCGGCAGTGC-3’ (配列番号5)
GATA-1-R 5’-CCGCCACAGTGGAGTAGCCGTT-3(配列番号6)
GATA-2-F 5’-CTCCCGACGAGGTGGATGTCTT-3’ (配列番号7)
GATA-2-R 5’-CCTGGGCTGTGCAACAAGTGTG-3’ (配列番号8)
Mitf1-F 5’-AGCAACGAGCTAAGGACC-3’ (配列番号9)
Mitf1-R 5’-GGATGGGATAAGGGAAAGT-3’ (配列番号10)
PU.1-F 5’-TGTCCACAACAACGAG-3’ (配列番号11)
PU.1-R 5’-GGGACAAGGTTTGATA-3’ (配列番号12)
FcεRlα-F 5’-TGCCACCGTTCAAGACAG-3’ (配列番号13)
FcεRlα-R 5’-TTGCGGACATTCCAGTTC-3’ (配列番号14)
Hdc-F 5’-GAGCCCGATGCTAATGAGTC-3’ (配列番号15)
Hdc-R 5’-GAGAAGTTGTCGTCCACAGGTA-3’ (配列番号16)
Cebpα-F 5’-GCATCTGCGAGCACGAGACGCT-3’ (配列番号17)
Cebpα-R 5’-CGCCTTGGCCTTCTCCTGCTGT-3’ (配列番号18)
ハウスキーピング遺伝子であるGAPDH及びβアクチンは、内在性コントロールとして、標準化に用いた。全ての測定は、4回ずつ行った。
結果を図3A〜Gに示す。図3A及びBに示すように、全てのステージにおいて、Mitf1及びPU.1は顕著な変化を示さなかった。しかしながら、GATA-1、GATA-2、FcεRIα (マスト細胞及び好塩基球マーカー)及びヒスチジンデカルボキシラーゼ(Hdc)は、フコキサンチンによって下方制御された(図3C〜F)。Cebpαは最初の2週間フコキサンチンによって下方制御され、しかし、培養3〜4週間において、フコキサンチンによって顕著に上方制御された(図3G)。
特に、GATA転写因子は、マスト細胞の初期分化と関係しており、Cebpαは、後期の分化にとって重要なスイッチ因子である(Rao KN, et al. (2013) Blood 122(15):2572-2581.)。
従って、これらのデータは、GATA転写因子に作用することによってフコキサンチンがマスト細胞の成熟を直接阻害することを示唆する。
実施例8:フコキサンチン処理細胞を用いたレポーターアッセイ
実施例7の結果を検証するため、3つのタンデムなGATA応答要素(responsive element)と融合させたレポーターベクターを用いてレポーターアッセイを行った。
pGL3‐Cebpαプロモーター‐luc、及びpGL3‐Mitf1プロモーターlucはHua Huang 博士(University of Colorado school, Denver, USA)から提供され、NFκB‐lucはAgilent Technologies (Santa Clara, CA)から購入し、GATA 応答レポーターベクターはIshijima博士(Takasaki University of Health and welfare, Gunma, Japan)から提供いただいた。マウスのα‐1 グロブリン遺伝子のGATAモチーフ(5’‐TGATAA‐3’)は、pRBGP3のSmaI サイトにタンデムに3つ挿入した。HDC プロモーターは、Ootsu博士(Tohoku University school of Medicine, Sendai, Japan)から提供いただき、KpnI-HindIIIサイトを使ってpGL4.10にクローニングした( Hdcプロモーター‐luc)。Kanatani N, et alに記載の方法に準じて、レポーターアッセイを行った。それぞれのルシフェラーゼコンストラクト0.2μg又は0.001μg pRL-CMV (Promega, Madison, WI)を、HEK293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの3時間後、フコキサンチン (0.1μM, 1μM, 10μM)又はDMSOで48時間処理し、Dual-Luciferase(登録商標) Reporter Assay System (Promega)を用いてレポーターアッセイを行った。ルミノメーターモデルTD20/20n (Turner BioSystems, Sunnyvale, CA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定し、CMVプロモーターにより発現させたRenillaルシフェラーゼ活性に対して標準化した。
結果を図3H〜Lに示す。Mitf1-luc, Hdc-luc及びCebpα-lucは、フコキサンチンによって制御されなかった(図3I〜K)。また、NF-κBの阻害は、Hdc 誘導の減少を引き起こすことが報告されているが、NF-κB活性は、フコキサンチンによって影響を受けなかった(図3L)。フコキサンチン処理により、GATA-lucのみがダウンレギュレートされた (図3H)。
実施例9:フコキサンチンによるフィラグリンの免疫組織化学解析
ワセリン又はフコキサンチン処理したNC/Ngaマウスを用いて、フィラグリン(Flg)又はロリクリン(Lor)に対する蛍光免疫組織化学解析を行った。
実施例2と同様に、ワセリン又はフコキサンチン、及びPiClをマウスに塗布した。ワセリン又はフコキサンチン塗布開始5週間後、マウスを屠殺し、皮膚を4%パラホルムアルデヒドで固定し、Kosaka T, et al.に記載の方法に準じて解析を行った。ウサギ抗フィラグリン抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)、又はウサギ抗ロリクリン抗体 (Covance)を用いて、切片 (10μm thick)の免疫組織化学解析を行った。次に、サンプルをFITC共役抗ウサギ IgG (Santa Cruz Biotechnology, Inc.)と反応させた。
NC/Ngaマウスにおいて、フコキサンチンはフィラグリン及びロリクリンの発現を誘導した。フコキサンチン処理後5週間において、フィラグリン(Flg)及びロリクリン(Lor)の発現レベルはいずれも、表皮で上昇した(図4A及びB)。FITCにより標識されたフィラグリンの局在は、フコキサンチン処理した皮膚角質層に豊富に見られ、Lorはフコキサンチン処理した皮膚全体に多くみられた。
フィラグリンは重要な皮膚のバリアタンパク質であり、一方、ロリクリンもまた、皮膚バリアの形成に必要である。
実施例10:フコキサンチンによるフィラグリンの半定量的解析
イムノブロットによる半定量的解析を行った。
イムノブロット解析は、Kosaka T, et al.に記載の方法に準じて行った。タンパク質をSDS-10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。ブロットをまずウサギ抗フィラグリン抗体(フィラグリン)、ウサギ抗アクチン (Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA)、抗ロリクリン (Covance, Berkeley, CA)とインキュベートし、西洋ワサビペルオキシダーゼ共役抗ウサギIgG又は抗ロバIgG (Santa Cruz Biotechnology, Inc.)と反応させた。
フコキサンチン処理したNC/Ngaマウスの皮膚において、フィラグリン及びロリクリンの発現レベルは、上昇していた。(図4C及びD)
実施例11:カロテノイド処理細胞を用いたレポーターアッセイ
実施例8で作製したGATA-lucを発現するHEK293細胞を用いて、フコキサンチンのかわりに各種カロテノイド(フコキサンチン、アスタキサンチン、リコペン、βカロテン又はレチノイン酸)を用いることを除いては実施例8と同様に、GATAレポーターアッセイを行った。
結果を図5に示す。フコキサンチン処理により、GATA-lucがダウンレギュレートされたが、アスタキサンチン又はリコペンで処理した細胞では、GATA-lucのダウンレギュレートは起こらなかった。一方、βカロテン又はレチノイン酸で処理した細胞では、GATA-lucがアップレギュレートされた。
実施例12:BMMC及びNC/Ngaマウスに及ぼすフコキサンチンとアスタキサンチンの効果の比較
マスト細胞における顆粒形成に及ぼすフコキサンチンの効果が、カロテノイド類に共通のものではなく、フコキサンチンに特異的であることを確かめるため、フコキサンチン処理したBMMCとアスタキサンチン処理したBMMCとの間で、トリプターゼの免疫染色により顆粒形成を比較した。免疫染色アッセイは実施例6と同様の方法で実施した。
結果を図6Aに示す。トリプターゼ陽性細胞はフコキサンチン処理したBMMCで顕著に減少したのに対し、アスタキサンチン処理したBMMCでは有意に減少しなかった。
次に、NC/Ngaマウスの皮膚炎の症状に対するフコキサンチン及びアスタキサンチンの効果を調べた。実施例2と同様にして、フコキサンチン又はアスタキサンチンとPiClとをNC/Ngaマウスに塗布した。フコキサンチン又はアスタキサンチンの塗布開始から5週間後に、各マウスの皮膚炎の症状を観察した。
結果を図6Bに示す。皮膚炎の症状は、アスタキサンチン処理したマウス(右)と比較して、フコキサンチン処理したマウス(左)で顕著に改善された。
上記の実施例より、フコキサンチンは、マスト細胞の形成や機能を阻害するだけでなく、フィラグリンやロリクリン等のバリアタンパク質を誘導することにより、皮膚のバリア機能を改善することで、皮膚疾患を抑制していることが示唆される(図7)。
実施例13:NC/Ngaマウスにおける皮膚の症状、耳の腫脹及び血清IgEレベルに及ぼす効果におけるフコキサンチンとタクロリムスの比較
次に、NC/Ngaマウスの皮膚炎の症状に対するフコキサンチンの効果を、アトピー性皮膚炎の治療に広く使用されている免疫抑制剤であるタクロリムスと比較した。
実施例2に記載の方法と同様にして、ワセリン、フコキサンチン又はタクロリムスと、PiClとをNC/Ngaマウスに塗布した。ワセリン、フコキサンチン又はタクロリムスの塗布開始から5週間後に、各薬剤を塗布したマウスにおける皮膚の症状を観察・比較した。また、各マウスにおける血清IgEレベルと耳介リンパ節の腫脹を、実施例2と同様にして測定した。
結果を図8及び図9に示す。タクロリムスは部分的にAD症状を軽減したのに対し、フコキサンチンはほぼ完全にAD症状を抑えることができた(図8)。一方、フコキサンチン又はタクロリムスの塗布は、いずれも耳の腫脹 (図9A) や血清IgEレベル (図9B) には影響しなかった。
これらの結果は、フコキサンチン又はタクロリムスの局所投与が全身性の免疫バランスに影響しないことを明確に示している。
実施例14:フコキサンチンはNC/Ngaマウスのかゆみに対してタクロリムスより即効性である
次に、タクロリムスと比較した、フコキサンチンのかゆみ抑制の即効性とバリア機能改善効果について評価した。
実施例2に記載の方法と同様にして、ワセリン、フコキサンチン又はタクロリムスと、PiClとをNC/Ngaマウスに塗布した。ワセリン、フコキサンチン又はタクロリムスの塗布開始から5週間後に、フコキサンチン処理したマウスにおける10分あたりに引っ掻き行動に費やした時間を測定し、タクロリムス処理したマウスの場合と比較した。また、フコキサンチン処理したマウスの皮膚における経皮水分蒸散量 (TEWL) を測定し、タクロリムス処理したマウスの場合と比較した。
結果を図10に示す。フコキサンチン (FX) は該マウスにおけるかゆみに対してタクロリムス (FK) よりも即効性であった(図10A)。フコキサンチン処理 (FX) はNC/Ngaマウスの皮膚からの水分蒸散を阻害したのに対し、タクロリムス処理 (FK) は該マウスにおけるTEWLに影響しなかった。
これらの結果は、図7に示したフコキサンチンの二面的な機能が、皮膚バリア機能改善作用を欠くタクロリムスと比較したフコキサンチンの即効性をもたらしていることを示唆している。
本発明によれば、肥満細胞の分化抑制、肥満細胞媒介性疾患の抑制が可能となる。従って、アトピー性皮膚炎などの肥満細胞媒介性疾患等に対する、新規且つ有効な治療及び/又は予防手段を提供することができる。

Claims (2)

  1. フコキサンチン、フコキサンチノール、アマロウシアキサンチンA、フコキサンチンとアミノ酸、カルボン酸、無機酸、及び飽和もしくは不飽和脂肪酸から選択される化合物とのモノエステル体、同種もしくは異種の前記化合物とのジエステル体、並びにフコキサンチンの配糖体類から選択されるフコキサンチン誘導体又はその塩を含有してなる、マスト細胞分化抑制作用を有する、皮膚局所投与用のかゆみ抑制剤。
  2. フィラグリンの発現レベルが正常である、及び/又は、マスト細胞分化数が異常亢進している哺乳動物に投与される、請求項1記載の剤。
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