{実施形態}
以下、実施形態に係る端子保持具及びこれを備える端子圧着装置について説明する。
<ツイスト電線>
まず、図1を参照しつつ、本端子圧着装置で製造される端子付きツイスト電線10について説明する。図1は、端子付きツイスト電線10を示す平面図である。
ツイスト電線12は、例えば、自動車などの車両に搭載されるワイヤーハーネスの一部品となる車両用ツイスト電線12である。具体的には、ツイスト電線12は、撚り合わされた2本の絶縁電線13と、2本の絶縁電線13の周囲に形成された絶縁性のシース18とを備えている。撚り合わされた2本の絶縁電線13は、同軸の螺旋に沿って並列している。ツイスト電線12の中心線が、概ね絶縁電線13各々が沿う螺旋の軸である。また、2本の絶縁電線13の各端部には端子20が圧着されている。ここでは、ツイスト電線12がイーサネット(登録商標)規格に準拠する高速通信用のケーブルであるものとして説明する。
絶縁電線13各々は、線状の導体である芯線14とその芯線14の周囲を覆う絶縁被覆16とを有している。絶縁被覆16は、シース18の内側で芯線14各々を個別に覆う一次被覆である。芯線14は、例えば、複数の導電性の素線が撚り合わされた撚り線で構成される。もっとも、芯線14は、単線であることも考えられる。
絶縁電線13各々において、絶縁被覆16が、芯線14の周囲に押出成形によって形成された熱可塑性樹脂の被覆であることが考えられる。この場合の絶縁被覆16は、例えばポリ塩化ビニルまたはポリエチレンなどを主成分とする絶縁性の合成樹脂の被覆である。もっとも、絶縁電線13は、絶縁被覆16がエナメル塗料により形成されたいわゆるエナメル電線であってもよい。
シース18は、樹脂等の材料が複数の絶縁電線13の周囲に押出成形により形成された絶縁体である。シース18は、複数の絶縁電線13を束ねる筒状の部分である。シース18は、柔軟な部材であるため、元々は概ね円筒状であるが、外力が加わることによって扁平した形状へ変形し得る。
なお、図1に示す例では、ツイスト電線12にはシールド層が設けられていないが、シールド層が設けられていることも考えられる。この場合、シールド層は、例えば、金属箔又は金属編組等を材料として形成され、シース18の内部で絶縁電線13を覆う構成が考えられる。
ツイスト電線12の端部において、部分的にシース18が剥ぎ取られて2本の絶縁電線13が露出している。ここでは、シース18から露出している絶縁電線13の長さ寸法は、撚り合わせのピッチよりも短く設定される。さらに、2本の絶縁電線13の各端部において、絶縁被覆16が剥ぎ取られて芯線14が露出した露出芯線部14aが形成されていると共に、当該露出芯線部14aを含む領域に端子20が圧着されている。
端子20は、銅、銅合金等の金属板材を適宜プレス加工等することにより形成されている。端子20の表面には、スズ、ニッケル等のメッキ層が形成されていてもよい。ここでは、端子20の表面にスズメッキ層が形成されている例で説明する。具体的には、端子20は、相手側接続部22と、電線接続部24とを備える。
相手側接続部22は、相手側の端子等と接続される部分であり、箱部23を含む。ここでは、相手側接続部22は、全体に略箱状の形状、いわゆるメス端子としての形状に形成されている。そして、この相手側接続部22に、ピン状或はタブ状の接続部を有する相手側端子(いわゆるオス端子)が挿入接続される。もっとも、相手側接続部22は、ピン状或はタブ状の形状、いわゆるオス端子としての形状に形成されていてもよい。オス端子もピン状或はタブ状の基端部に箱部が形成される。
電線接続部24は、絶縁電線13の端部に圧着されて絶縁電線13と接続される部分である。ここでは、電線接続部24は、芯線バレル部25と、被覆バレル部26とを含む。もっとも、電線接続部24において、被覆バレル部26は省略されることもあり得る。
芯線バレル部25は、露出芯線部14aに接続可能に構成されている。ここでは、芯線バレル部25は、底板部25aと、当該底板部25aの両側部から一方側に立ち上がる一対の芯線圧着片25bとを備える。そして、底板部25a上に露出芯線部14aが配設された状態で、一対の芯線圧着片25bが露出芯線部14aを抱持するように内向きに曲げられることで、芯線バレル部25が露出芯線部14aに圧着される。
被覆バレル部26は、底板部26aと、一対の被覆圧着片26bを備えている。そして、底板部26a上に絶縁被覆16の端部が配設された状態で、一対の被覆圧着片26bが絶縁被覆16を包持するように内向きに曲げられることで、被覆バレル部26が絶縁被覆16の端部に圧着される。底板部26aが底板部26aの一端部に連続的に連なる態様で、上記芯線バレル部25が、被覆バレル部26の一端部側に連なって設けられている。
図2は、連続端子20Bを示す平面図である。連続端子20Bは、複数の端子20部分が帯状のキャリア21に連なった形状に形成される。各端子20部分は、被覆バレル部26側の端縁が連結部分21aを介してキャリア21に連なる構成とされている。そして、連続端子20Bとして供給された各端子20は、最終的には連結部分21aの位置でキャリア21から切り離されると共に絶縁電線13の端部に圧着された状態となる。この際、端子20部分は、図2の仮想線で示すように長尺のキャリア21から直接連結部分21aの位置で切り離されるものとして説明する。連続端子20Bにおいて、端子20部分同士のピッチは、後述する圧着金型91の2つの圧着部92のピッチよりも広い。これは、板材を折り曲げて端子20部分を形成することによる。そして、端子20部分同士のピッチが、2つの圧着部92のピッチよりも狭いため、長尺のキャリア21に連なったままの端子20部分を2つ同時に圧着部92で圧着することは困難である。従って、2つの端子20部分は少なくとも長尺のキャリア21から切り離した状態で圧着部92にセットされる必要が有る。
ここで、ツイスト電線12は、上述したように2本の絶縁電線13が相互に螺旋状に撚り合わさって延在することによって耐ノイズ性が向上されている。この際、ツイスト電線12の端部においてシース18が剥ぎ取られて絶縁電線13の撚りがほどかれる領域では、他の撚り合せ部分に比べて耐ノイズ性が低下すると考えられるため、当該領域はできるだけ小さいことが望まれる。しかしながら、当該領域が小さすぎると、端子20を圧着するための作業が困難になる。本実施形態に係る端子圧着装置30は、ツイスト電線12の端部においてシース18が剥ぎ取られて螺旋がほどかれる領域をできる限り小さくしつつ、端子20圧着作業の難化を抑制可能な装置である。そして、本実施形態に係るツイスト電線セット用治具34は、端子圧着装置30において、ツイスト電線12をセットするための治具である。
<端子圧着装置>
図3は、実施形態に係る端子圧着装置30を示す概略斜視図である。図4は、実施形態に係る端子圧着装置30の一部を示す概略側面図である。図5は、圧着機構90及び端子搬送部60を示す概略正面図である。図6は、前処理機構110を示す概略正面図である。
端子圧着装置30は、ツイスト電線12における2つの絶縁電線13の端部に同時に端子20を圧着するための装置である。特にここでは端子圧着装置30は、並ぶように設けられた2つの圧着部92を有する圧着金型91を用いて2つの端子20を同時に圧着する。具体的には、端子圧着装置30は、電線搬送部32と、端子搬送部60と、圧着機構90と、を備える。さらにここでは、端子圧着装置30は、前処理機構110を備える。
以下では、端子圧着装置30において、図3に示すように、ツイスト電線12の搬送方向をx軸方向、当該x軸方向と直交する2つの方向をy軸方向およびz軸方向として説明する。y軸方向は、搬送中のツイスト電線12における端部の延在方向に沿った方向である。また、z軸方向は、圧着金型91における上型96及び下型93が接近及び離間移動する方向に沿った方向である。
<電線搬送部>
電線搬送部32は、ツイスト電線12を圧着金型91に向けて搬送する部分である。具体的には、電線搬送部32は、ツイスト電線セット用治具34と、セット台50と、電線セット治具移動機構54と、を備える。
図7は、実施形態に係るツイスト電線セット用治具34を示す底面図である。図8は、実施形態に係るツイスト電線セット用治具34を示す側面図である。図9は、実施形態に係るツイスト電線セット用治具34を示す分解斜視図である。
ツイスト電線セット用治具34は、上述したように、ツイスト電線12をセットするための治具である。具体的には、ツイスト電線セット用治具34は、仕切部38dと、中間保持部43と、を備える。
仕切部38dは、2つの絶縁電線13のうち撚りがほどかれた状態の先端部分を仕切る部分である。ここでは、仕切部38dは、2つの絶縁電線13の各先端部分を保持可能に形成されている。
中間保持部43は、ツイスト電線12のうち2つの絶縁電線13が撚り合わされている中間部分を保持する部分である。
ここでは、仕切部38dを含む第1部材36と、中間保持部43を含む第2部材40とが別体に形成されている。そして、第1部材36と第2部材40とが合体機構部46により着脱可能に合体している。
図10は、ツイスト電線セット用治具34における第1部材36を示す側面図である。図11は、ツイスト電線セット用治具34における第1部材36を示す正面図である。
より具体的には、第1部材36は、長尺棒状に形成された棒状部37と棒状部37の一端側の先端に棒状部37の延在方向と交差する方向に突出する態様で設けられた突出片38とを含む。突出片38には、先端縁部から基端側に向けて凹む凹部38aが2つ並んで形成されている。これにより、突出片38の先端は、3つの歯を有する櫛状に形成されている。各凹部38aは、絶縁電線13の絶縁被覆16が存在する部分を挿通可能に形成されている。従って、2つの絶縁電線13の端部が各凹部38aにそれぞれ挿通されることによって、2つの絶縁電線13が仕切られて保持された状態となる。つまり、ここでは、突出片38のうち2つの凹部38aが形成された部分が上記仕切部38dを構成している。より詳細には、2つの凹部38aにそれぞれ2つの絶縁電線13が収められた状態で、2つの凹部38aの間の内側壁部38bが2つの絶縁電線13を仕切ると共に、内側壁部38bと内側壁部38bに対向する外側壁部38cとで絶縁電線13を保持する。このとき、凹部38aの幅寸法は、絶縁電線13を圧入可能な寸法に設定されていることが好ましい。これにより、ツイスト電線セット用治具34が、凹部38aが鉛直下方を向いた状態で用いられる場合でも、仕切部38dが絶縁電線13を保持した状態をより確実に維持することができる。
図12は、ツイスト電線セット用治具34における第2部材40を示す側面図である。図13は、ツイスト電線セット用治具34における第2部材40を示す平面図である。図14は、ツイスト電線セット用治具34における第2部材40を示す正面図である。
第2部材40は、長尺な直方体状に形成されている。また、第2部材40は、長尺方向と直交する面に沿って切断した断面が幅広となるように形成されている。第2部材40の一方主面41aには、上記第1部材36が収まる第1溝42が形成されている。第1溝42は、第2部材40の長尺方向に沿って第2部材40の一端側縁部から中間部分にかけての領域に形成されている。第1溝42の幅寸法は、第1部材36の幅寸法と同程度に設定されている。また、第2部材40の一方主面41aに対して反対を向く他方主面41bには、ツイスト電線12が収まって保持される第2溝43が形成されている。つまりここでは第2溝43が中間保持部43を成している。第2溝43は、第2部材40の長尺方向に沿って全体に亘って、つまり、第2部材40の一端側縁部から他端側縁部にかけて形成されている。第2溝43の幅寸法は、ツイスト電線12におけるシース18が存在する領域の幅寸法と同程度に設定されている。好ましくは、第2溝43の幅寸法は、ツイスト電線12におけるシース18が存在する部分を圧入可能な寸法に設定されているとよい。これにより、第2溝43を鉛直下方に向けた状態でも第2溝43からツイスト電線12が脱落しにくくなる。なお、第1溝42及び第2溝43は、第2部材40の幅方向に沿って中央に形成されているが、幅方向に沿ってどちらか一方の側面に寄った位置に形成されていてもよい。
上述したように、第1部材36と第2部材40とは、合体機構部46によって合体している。このような合体機構部46としてここでは、ネジ穴39、44とネジとが想定されている。ネジ穴39、44は、第1部材36及び第2部材40にそれぞれ形成されている。第1部材36に形成されたネジ穴39は、棒状部37の基端部に幅方向に沿って両側面を貫く態様で形成されている。図9に示す例では、ネジ穴39は棒状部37の延在方向に沿って2つ形成されている。第2部材40に形成されたネジ穴44は、幅方向に沿って第1溝42の内周面から側面にかけて貫く態様で形成されている。ネジ穴44も第2部材40の延在方向に沿って2つ形成されている。そして、図7に示すように、第1溝42に第1部材36を収めると共に2つのネジ穴39、44の位置を合わせた状態で、ネジ穴39、44に図示省略のネジを締めることによって第1部材36と第2部材40とが合体している。また、ネジが外されることによって第1部材36と第2部材40との係止が解除されて、着脱可能な状態となる。なお、ネジ穴44は長穴に形成されている。これにより、第1部材と第2部材との位置を調節可能とされている。もっとも、合体機構部46の構成としては、上記したものに限られない。例えば、凸部と凹部との嵌め込み構造であってもよいし、後述するスナップ錠のようなロック機構であってもよい。
また、第2部材40には、セット台50への位置決めを行うための貫通孔45が形成されている。貫通孔45は、第2部材40の長尺方向に沿って第1溝42が形成される側とは反対側端部に形成されている。貫通孔45は、第2部材40の両主面41a、41bを貫く態様で形成されている。貫通孔45は、第2部材40の長尺方向に沿って間隔をあけて2つ形成されている。貫通孔45は、第2部材40の幅方向に沿って第2溝43を避けた位置に形成されている。
図15は、第1部材36の変形例を示す側面図である。図16は、第1部材36の変形例を示す底面図である。図17は、第1部材36の変形例を示す正面図である。
変形例に係る第1部材136は、突出片138の内向き面に段差部138eが設けられていると共に、外向き面が傾斜面に形成されている点で上記第1部材36とは異なる。また、第1部材136の突出片138は突出片38よりも厚く形成されており、凹部138aにテーパが形成されている。第1部材36と第1部材136とは例えば、以下のように使い分けることが考えられる。すなわち、ツイスト電線11では、シース18の先端に環状部材が装着される場合がある。この環状部材は例えば、端子付きツイスト電線10をコネクタハウジング等に係止させるための部材である。この際、ツイスト電線11に環状部材が装着されると、ツイスト電線が太くなる。このように環状部材の有無に応じて第1部材36と第1部材136とを使い分けることが考えられる。もっとも、それ以外の理由で、第1部材36と第1部材136とを使い分けるものであってもよい。
ツイスト電線セット用治具34は、ツイスト電線12を保持した状態でセット台50にセットされる。ここでは、ツイスト電線セット用治具34は、絶縁電線13に対して上型96がある側と同じ側に位置するようにセット台50にセットされる。換言すると、第2溝43を下方に向けた状態でセット台50にセットされる。
セット台50は、ツイスト電線セット用治具34をセットするための部分である。ここでは、セット台50の上面51が、ツイスト電線セット用治具34が載置される載置面とされる。セット台50の上面51には、第2部材40の貫通孔45に嵌まる突起52が2つ形成されている。当該2つの突起52をそれぞれ別の貫通孔45に嵌めることで、ツイスト電線セット用治具34をセット台50に位置決めすることが可能となっている。
また、ここでは、セット台50とツイスト電線セット用治具34とはロック機構53によりロック可能となっている。かかるロック機構53としては、例えば、フック片とヒンジ部とバネ部とで構成される留め金具と、フック片が引っ掛かる受け金具とで構成される、いわゆるスナップ錠を採用することができる。留め金具と受け金具とのうち一方がセット台50に設けられ、他方がツイスト電線セット用治具34に設けられる。この際、留め金具と受け金具とのうちツイスト電線セット用治具34に設けられる部材は、第2部材40の貫通孔45が設けられる側の側面に設けられるとよい。また、かかるロック機構53は、x軸方向に沿ってセット台50及びツイスト電線セット用治具34の両側部に設けられるとよい。
電線セット治具移動機構54は、ツイスト電線セット用治具34を圧着機構90に対して接近及び離間移動可能である。ここでは、電線セット治具移動機構54は、セット台50を移動可能に構成されている。ここでは、電線セット治具移動機構54は、x軸方向移動機構55と、z軸方向移動機構56とを備える。ここでは、z軸方向移動機構56がセット台50と連結されて、セット台50を直接z軸方向に移動させる。そして、x軸方向移動機構55は、z軸方向移動機構56と連結されて、z軸方向移動機構56及びセット台50をx軸方向に移動させる。
x軸方向移動機構55は、例えば、エアシリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成される。ここでは、x軸方向移動機構55は、x軸方向に沿った電線セット位置PWSと圧着位置PTCとの間でz軸方向移動機構56及びセット台50を往復移動させるものとして説明する。電線セット位置PWSは、ツイスト電線12をセットする位置である。圧着位置PTCは、端子20を圧着する位置である。さらにここでは、x軸方向移動機構55は、x軸方向に沿った電線セット位置PWSと圧着位置PTCとの間の先端カット位置PSC及び先端皮剥位置PSSにz軸方向移動機構56及びセット台50を移動可能である。先端カット位置PSCは、絶縁電線13の先端をカットする位置である。先端皮剥位置PSSは、絶縁電線13の先端を皮剥ぎする位置である。
z軸方向移動機構56は、例えば、エアシリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成される。ここでは、z軸方向移動機構56は、z軸方向に沿った第1位置PW1と第2位置PW2との間でセット台50を往復移動させるものとして説明する。第1位置PW1は、ツイスト電線12のセット、x軸方向に沿った搬送、先端カットおよび皮剥ぎがなされる位置である。第2位置PW2は、端子20を圧着する際に絶縁電線13の端部が端子20に収まる位置である。
<端子搬送部>
端子搬送部60は、端子20を圧着金型91に向けて搬送する部分である。具体的には、端子搬送部60は、端子保持具61と、端子保持具移動機構82とを備える。
図18は、実施形態に係る端子保持具61を示す平面図である。図19は、実施形態に係る端子保持具61を示す正面図である。図20は、実施形態に係る端子保持具61を示す分解斜視図である。図21は、実施形態に係る端子保持具61を示す分解平面図である。図22は、実施形態に係る端子保持具61を示す分解正面図である。
端子保持具61は、圧着金型91によって圧着される際に、2つの絶縁電線13にそれぞれ圧着される2つの端子20を2つの圧着部92と同じ間隔で保持する。
具体的には、端子保持具61は、箱部把持部62を2つ含む。各箱部把持部62は、端子20におけるバレル部25、26を外方に突出させる態様でバレル部25、26とは反対側に形成された箱部23を把持可能である。2つの箱部把持部62は、2つの端子を2つの圧着部92と同じ間隔で把持可能である。
ここでは、各箱部把持部62は、各端子20をチャック可能に形成されている。ここで、チャック可能とは、把持する状態と把持解除する状態とに制御可能なことを言う。特に、ここでは、2つの箱部把持部62は、仕切板部68を含む第1部分63と、一方側押え部71を含む第2部分70と、他方側押え部75と含む第3部分74とで構成されている。
第1部分63は、直方体状に形成された基体部64と、基体部64に対して一方側方に平行に延びる一対の突出部65と、基体部64に対して他方側方に平行に延びる一対の突出部66とを含む。第1部分63は、図21に示す平面視でH字状に形成されている。基体部64の上面64aに仕切板部68が形成されている。仕切板部68は、一対の突出部65(66)が並ぶ方向に沿って基体部64全体に亘って延在する突条に形成されている。仕切板部68は、2つの端子20の間に配置されて、2つの端子20にそれぞれ当接して仕切可能である。このとき、基体部64の上面64aのうち仕切板部68に連なる部分には端子20の箱部23が載置される。
第2部分70は、平板状に形成された平板部71と、平板部71から延びる柱部72と柱部72の先端から両側方に突出する突出片部73とを含む。平板部71の厚み寸法は基体部64の上面64aからの仕切板部68の突出寸法と同程度に設定され、これらは例えば端子20の高さ寸法と同程度に設定されている。平板部71のうち仕切板部68側を向く1つの角部に切欠き71aが形成されている。当該切欠き71aに箱部23が収まった状態で、平板部71と仕切板部68とで箱部23を把持可能となっている。従って、第2部分70の平板部71は、仕切板部68に対して一方側方に位置し仕切板部68とで2つの端子20のうちの一方を把持する一方側押え部71を成している。
第3部分74は、第2部分70と対称な形状に形成されている。即ち、第3部分74は平板状に形成された平板部75と、平板部75から延びる柱部76と柱部76の先端から両側方に突出する突出片部77とを含む。平板部75の厚み寸法は基体部64の上面64aからの仕切板部68の突出寸法と同程度に設定され、これらは例えば端子20の高さ寸法と同程度に設定されている。平板部75のうち仕切板部68側を向く1つの角部に切欠き75aが形成されている。当該切欠き75aに箱部23が収まった状態で、平板部75と仕切板部68とで箱部23を把持可能となっている。従って第3部分74の平板部75は、仕切板部68に対して他方側方に位置し仕切板部68とで2つの端子20のうちの他方を把持する他方側押え部75を成している。
第1部分63のうち基体部64と二対の突出部65、66とで囲まれる2つの凹部63aの一方には、第2部分70の柱部72が収まり、他方には第3部分74の柱部76が収まる。これにより、第1部分63と第2部分70との1方向(図21の上下方向)における位置決めと、第1部分63と第3部分74との1方向(図21の上下方向)における位置決めとが図られる。また、第2部分70における平板部71、柱部72及び突出片部73で囲まれる2つの凹溝70aには、第1部分63の一方の対の突出部65の先端がそれぞれ収まる。これにより、第1部分63と第2部分70との別の1方向(図22の上下方向)における位置決めが図られる。また、第3部分74における平板部75、柱部76及び突出片部77で囲まれる2つの凹溝74aには、第1部分63の他方の対の突出部66の先端がそれぞれ収まる。これにより、第1部分63と第3部分74との別の1方向(図22の上下方向)における位置決めが図られる。
第1部分63と第2部分70及び第3部分74とが凹部63aおよび凹溝70a、74aに収まった状態を維持しつつ、第2部分70及び第3部分74が、それぞれの側方に位置しシリンダ等のアクチュエータにより構成される駆動部80によって第1部分63に対して接近及び離間移動するように駆動される。これにより、箱部把持部62が端子20をチャック可能とされる。
また、ここでは、端子保持具61には端子保持具61が後述する押圧部107で押圧される際に押圧部107と当接する当接部材78が設けられている。当接部材78は、第2部分70および第3部分74の外側にそれぞれ設けられて、駆動部80をガイドするガイド部材81の上面に設けられている。
端子保持具移動機構82は、端子保持具61を圧着金型91に対して接近及び離間移動可能である。端子保持具移動機構82は、エアシリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成され、介在部分84と連結されて介在部分84および端子保持具61をx軸方向に沿って移動させる。
介在部分84は、端子保持具移動機構82と、端子保持具61との間に介在する部分である。介在部分84は、端子保持具61をz軸方向に移動可能に支持する端子保持具支持部85と、端子保持具61をz軸方向に沿って正の向きに付勢する付勢部86とを含む。付勢部86によって付勢された状態の端子保持具61は、z軸方向に沿った第1位置PT1に位置する。第1位置PT1は端子保持具61に保持された端子20がz軸方向に沿って下型93と離れて存在する位置であり、下型93と上型96が離れた状態にあるときに下型93と上型96との間に存在する位置である。そして、介在部分84に支持された端子保持具61は、圧着金型91に応じた位置に移動したときに、押圧部107で押圧されて、付勢部86の付勢力に抗しつつz軸方向負の向きに移動して第2位置PT2に位置する。第2位置PT2は、端子保持具61に保持された端子20がz軸方向に沿って下型93に載置される又は僅かに上方に位置する位置である。このとき、端子保持具61のz軸方向の移動を規制するストッパ等が設けられるとよい。
<圧着機構>
圧着機構90は、端子20を絶縁電線13の端部に圧着する部分である。具体的には、圧着機構90は、圧着金型91と、圧着金型駆動機構100とを備える。
圧着金型91には、2つの圧着部92が並ぶように形成されている。これにより圧着金型91は、ツイスト電線セット用治具34に保持された2つの絶縁電線13の端部に同時に端子20を圧着可能である。圧着金型91は、底板部25a、26aを支持する下型93と、下型93に対向配置されて端子20における圧着片25b、26bを曲げ変形させる上型96とを含む。
下型93は、2つの載置部93aが並行しつつz軸方向に沿って突出する形状に形成されている。各載置部93aの上面は、弧状に湾曲する縦断面形状を有する浅溝状に形成されており、端子20の電線接続部24の底板部25a、26aを支持した状態で圧着可能である。また、2つの載置部93aの間には、載置部93aの上面よりも深い溝93bが形成されている。なお、図4に示す例では、下型93は、芯線バレル部25を支持する芯線バレル部用下型94と、被覆バレル部26を支持する被覆バレル部用下型95とで構成されて、これらは別体とされている。また、下型93は後述する基台105に支持されている。
上型96の下部であって各載置部93aの上面と対向する位置には、それぞれ凹溝96aが形成されている。凹溝96aの最上部は、半円弧状に湾曲する、半円柱周面状に形成されている。2つの凹溝96aの間には、2つの凹溝96aを仕切る仕切片部96bが設けられている。仕切片部96bの先端は上型96及び下型93が接近した際に、2つの載置部93aの間の溝93bに収まるように形成されている。なお、図4に示す例では、上型96は、芯線バレル部25を曲げ変形させる芯線バレル部用上型97と、被覆バレル部26を曲げ変形させる被覆バレル部用上型98とで構成されて、これらは別体とされている。
端子20を絶縁電線13に接続する際には、まず、芯線バレル部25の内部に露出芯線部14aを、被覆バレル部26内に絶縁被覆16を、それぞれ配設する。そして、上型96及び下型93を近接させることで、被覆バレル部26が絶縁被覆16に、芯線バレル部25が露出芯線部14aに、それぞれ圧着される。このとき、上型96の仕切片部96bは、2つの端子20に挟まれて2つの端子20からそれぞれ反対向きに力が加えられるため、それぞれの力が打ち消し合う。このため、仕切片部96bは2つの端子20の間隔以下の比較的薄い寸法に形成されても、2つの端子20を順に圧着するための上型に比べて耐久性の向上を図ることができる。特に、2つの絶縁電線13に2つの端子20を順に圧着する場合、2つの絶縁電線13が近い位置にあるため、一方の絶縁電線13の端子20圧着作業に他方の絶縁電線13が干渉することを抑制するためには、上型のうち凹溝の周面を構成する部分を上記仕切片部96b程度に薄くする必要が有った。そして、そのように薄く形成された圧着金型を用いて2つの絶縁電線13に端子20を順に圧着すると、圧着時に上型を外方側方から支える部材がないため、上型にかかる応力を支えきれずに上型が変形してしまう恐れがあった。これに対して、上記上型96では、2つの圧着部92を仕切る仕切片部96bを薄くすれば足り、上型96の凹溝96aを構成する部分のうち仕切片部96bと対向する外壁部96cは薄くする必要はない。このため、外壁部96cは変形し難くすることが可能となる。また、仕切片部96bは薄く形成されていても上述したように圧着時に両側から力が加えられることによって変形し難い。
圧着金型駆動機構100は、圧着金型91の上方に位置し、上型96を支持する図示省略のロッドと当接するラム部材102と、ラム部材102を昇降駆動する図示省略の昇降駆動部によって構成される。ラム部材102は、一対のガイドフレーム片104間に配設されている。そして、ラム部材102は、一対のガイドフレーム片104間で、一定姿勢で、上昇位置と下降位置との間で昇降自在にガイドされている。一対のガイドフレーム片104は、基台105に対して略垂直姿勢で立設された板部106の一主面(前面側)に固定されている。また、一対のガイドフレーム片104の下端部は、基台105の上面から離間しており、これらの間で、圧着金型91を用いた圧着作業が行われる。また、昇降駆動機構部は、ラム部材102の上方に位置し、例えば、エアシリンダ又はモータ等のアクチュエータによって構成される。
また、圧着機構90は、圧着位置PTCにある端子保持具61をz軸方向に沿って押圧する押圧部107を含む。押圧部107は、例えばエアシリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成される。ここでは押圧部107は、ガイドフレーム片104の外方に、x軸方向に間隔をあけて2つ設けられている。押圧部107が、圧着位置PTCにある端子保持具61をz軸方向に沿って押圧することで、端子保持具61に保持された端子20が下型93に接近する。
<前処理機構>
前処理機構110は、電線セット治具移動機構54の移動経路に沿って圧着機構90よりも上流側に設けられている。前処理機構110は、各絶縁電線13の端部に端子20を圧着する前の前処理を行う部分である。前処理機構110は、先端カット部111と、先端皮剥ぎ部113とを備える。ここでは、先端カット部111と、先端皮剥ぎ部113とが同じ駆動部80により駆動されているものとして説明する。もっとも、先端カット部111と、先端皮剥ぎ部113とは別の駆動部80により駆動されているものであってもよい。
先端カット部111は、電線セット治具移動機構54の移動経路に沿って先端皮剥ぎ部113よりも上流側に設けられている。先端カット部111は、ツイスト電線セット用治具34にセットされた2つの絶縁電線13の先端を同時にカット可能である。先端カット部111は上下に対向配置された一対のカット刃112を含む。
先端皮剥ぎ部113は、電線セット治具移動機構54の移動経路に沿って先端カット部111と圧着機構90との間に設けられている。先端皮剥ぎ部113は、ツイスト電線セット用治具34にセットされた2つの絶縁電線13の先端を同時に皮剥ぎ可能である。先端皮剥ぎ部113は、上下に対向配置された一対の皮剥ぎ刃114を含む。
一対のカット刃112の一方と一対の皮剥ぎ刃114の一方とが上部材115に固定されている。また、一対のカット刃112の他方と一対の皮剥ぎ刃114の他方とが下部材116に固定されている。そして、エアシリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータで構成された駆動部(図示省略)は、上部材115及び下部材116をz軸方向に沿って接近及び離間移動可能である。また、ここでは、前処理機構110は、上部材115及び下部材116をy軸方向に沿って移動させるy軸方向移動機構(図示省略)をさらに含む。y軸方向移動機構は、例えば、エアシリンダ又はリニアモータ等のアクチュエータによって構成される。y軸方向移動機構は、上部材115及び下部材116をy軸方向に沿って、第1作動位置と第2作動位置と第3作動位置とに位置させることが可能である。第1作動位置は、y軸方向に沿って最も正の側に位置する位置であり、例えば、未作動時の位置である。この位置にある状態でツイスト電線12が搬送される。第2作動位置は、y軸方向に沿って第1作動位置よりも負の側に位置する位置であり、先端カットを行うときの位置である。第2作動位置にあるとき、先端カット刃112は、絶縁電線13の先端よりもy軸方向に沿って負の側に位置する。第3作動位置は、y軸方向に沿って第1作動位置及び第2作動位置よりも負の側に位置する位置であり、先端皮剥ぎを行うときの位置である。第2作動位置にあるとき、皮剥ぎ刃114は、先端カットされた絶縁電線13の先端よりもy軸方向に沿って負の側に位置する。
カット刃112は正面視W字状に形成されて、2つの絶縁電線13を同時に加工可能とされている。この際、カット刃112を用いて以下のようにして絶縁電線13の先端をカットする。すなわち、上部材115及び下部材116がz軸方向に離れると共にy軸方向に沿って第1作動位置に位置する状態で、ツイスト電線セット用治具34がx軸方向に沿ってカット刃112の前方の位置(先端カット位置PSC)に搬送されてくる。ツイスト電線セット用治具34が先端カット位置PSCに位置する状態でy軸方向移動機構を駆動して上部材115及び下部材116を第1作動位置から第2作動位置に移動させる。この状態で、駆動部を駆動して上部材115及び下部材116を接近させて、一対のカット刃112を接近させる。これにより、2つの絶縁電線13の先端が一対のカット刃112によってカットされる。2つの絶縁電線13の先端をカットした後、上部材115及び下部材116は離間し、第2作動位置から第1作動位置に戻る。
皮剥ぎ刃114もカット刃112と同様に、正面視W字状に形成されて、2つの絶縁電線13を同時に加工可能とされている。この際、カット刃112を用いて以下のようにして絶縁電線13の先端を皮剥ぎする。すなわち、先端カット工程終了後に上部材115及び下部材116がz軸方向に離れると共にy軸方向に沿って第1作動位置に位置する状態で、ツイスト電線セット用治具34がx軸方向に沿って先端カット位置PSCから皮剥ぎ刃114の前方の位置(先端皮剥位置PSS)に搬送されてくる。ツイスト電線セット用治具34が先端皮剥位置PSSに位置する状態でy軸方向移動機構を駆動して上部材115及び下部材116を第1作動位置から第3作動位置に移動させる。この状態で、駆動部を駆動して上部材115及び下部材116を接近させて、一対の皮剥ぎ刃114を接近させる。これにより、2つの絶縁電線13の先端において一対の皮剥ぎ刃114が絶縁被覆16に食い込んだ状態とされる。この状態で、上部材115及び下部材116は第3作動位置から第1作動位置に戻ることによって、絶縁被覆16の先端が絶縁電線13の先端から剥がされる。第1作動位置に戻った上部材115及び下部材116が離間することによって前処理機構110は初期状態に戻る。
さらにここでは、前処理機構110は、バキューム機構117を含む。バキューム機構117は、2つの開口119が形成されたノズル118と、ノズル118に連なる真空機構とで構成される。ノズル118は、各開口119がカット刃112及び皮剥ぎ刃114に対して、y軸方向正の側に位置するように配設される。そして、カット刃112によってカットされた絶縁電線13の先端部分および皮剥ぎ刃114によって皮剥ぎされた絶縁被覆16の先端部分を吸引する。バキューム機構117はy軸方向移動機構により、上部材115及び下部材116と共に移動可能であるとよい。
本端子圧着装置30における各駆動部は、加工制御部に接続されている。加工制御部は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されている。本加工制御部が、予め格納された加工プログラムに記述された手順に従って、演算処理を行うことにより、各駆動部の動作制御を行う。
<製造方法>
図23乃至図28を参照しつつ、上記端子圧着装置30を用いた端子付きツイスト電線10の製造方法について説明する。
まずは、ツイスト電線12および端子20をセットする。ツイスト電線12のセットは例えば以下のように行う。すなわち、セット台50から外された状態のツイスト電線セット用治具34に対してツイスト電線12の先端に露出する2つの絶縁電線13をそれぞれ別の凹部38aに収めつつ、ツイスト電線12の中間のシース18部分を第2溝43に収める。これにより、ツイスト電線セット用治具34にツイスト電線12がセットされた状態となる。続いて、ツイスト電線12がセットされたツイスト電線セット用治具34を図23に示すように、電線セット位置PWSにあるセット台50に載せて貫通孔45と突起52とで位置決めしつつロック機構53を用いてロックする。これにより、ツイスト電線12のセットが完了する。ここでは、ツイスト電線セット用治具34にツイスト電線12をセットする作業およびツイスト電線12がセットされたツイスト電線セット用治具34をセット台50にセットする作業は、ともに作業者が行うものとして説明するが、少なくとも一方を自動機で行うものであってもよい。
また、端子20のセットは、例えば以下のように行う。すなわち、予めキャリア21がカットされた端子20を2つ用意する。ここで、キャリア21がカットされた端子20を用意するに当たり、図2に示すように連続端子20Bから直接連結部分21aでカットしキャリア21を切り離すことが考えられる。これにより、キャリアカット工程が短縮される。キャリア21がカットされた端子20を用意したら、図24に示すように端子セット位置PTSにある端子保持具61に対して、当該端子20をセットする。より詳細には、箱部把持部62のチャックが開いた状態で、端子20の箱部23を切欠き71a、75aに収めると共に端子20の電線接続部24を端子保持具61から外方に突出させつつ第1部分63の基体部64の上面64aに載せる。この際、端子保持具61に対する端子20の位置は、箱部23側の先端面が平板部71、75に当接しないような位置であることが好ましい。これにより、圧着時に端子20が延びた際に端子20の箱部23の先端面に強い応力が掛かって端子20が変形してしまうことを抑制することができる。端子20が切欠き71a、75aに収められたら、この状態で、駆動部80を駆動して箱部把持部62のチャックを閉じる。これにより、端子保持具61に端子20がセットされた状態となる。ここでは、端子保持具61への端子20のセットは、作業者が行うものとして説明するが、自動機が行うものであってもよい。
もっとも、キャリア21がカットされていない端子を端子セット位置PTSにある端子保持具61にセットした後に、セットされた当該端子のキャリア21をカットするものであってもよい。この場合、例えば、以下のような工程が考えられる。すなわち、連続端子20Bの状態から一旦キャリア21部分でカットし、キャリア21の小片(以下、帯片という)付きの端子を形成する。その後、帯片付きの端子において帯片を把持して、端子保持具61に搬送し、そのまま箱部23を箱部把持部62にセットする。そして、端子保持具61に帯片付きの端子がセットされた状態で、連結部分21aの位置をカットし、帯片を切り離す。このとき端子保持具61に1つ目の帯片付きの端子をセットしてその帯片をカットしたあとに、2つ目の帯片付きの端子をセットしてその帯片をカットするものであってもよいし、端子保持具61に2つの帯片付きの端子をセットして2つの帯片付き端子の帯片を同時にカットするものであってもよい。なお、キャリア21がカットされていない端子を端子セット位置PTSにある端子保持具61にセットした後に、帯片付きの端子を形成せずに、セットされた当該端子のキャリア21を連結部分21aの位置で直接カットするものであってもよい。
なお、連結部分21aのカット機構としては、例えば、電線接続部24の底板部25a、26aを支持する部材と、キャリア21を保持する部材とが相対移動することによって連結部分21aをせん断可能な周知のカット機構を採用することができる。
ツイスト電線12のセット及び端子20のセットが完了したら、ツイスト電線12および端子20を圧着位置に向けて搬送する。この際、ここでは、ツイスト電線12に対して前処理を行ってから、ツイスト電線12を圧着位置(圧着位置PTC)に搬送する。
ツイスト電線12は以下のようにして、電線セット位置PWSから圧着位置PTCに搬送される。すなわち、ツイスト電線12は、まず、図25に示すように、電線セット位置PWSから先端カット位置PSCに送られる。先端カット位置PSCにおいて、ツイスト電線12に対して上述したような先端カット工程が行われる。例えば、図7におけるQ1の領域がカットされる。先端カット工程を経て2つの絶縁電線13の先端が同時にカットされたツイスト電線12は、先端皮剥位置PSSに送られる。先端皮剥位置PSSにおいて、ツイスト電線12に対して上述したような先端皮剥ぎ工程が行われる。例えば図7におけるQ2の領域が皮剥ぎされる。先端皮剥ぎ工程を経て2つの絶縁電線13の先端が同時に皮剥ぎされたツイスト電線12は、圧着位置PTCに送られる。
一方、2つの端子20を保持する端子保持具61は、図25に示すように、ツイスト電線12に対して先端カット工程および先端皮剥ぎ工程が行われている間に、端子セット位置PTSから圧着位置PTCに送られる。圧着位置PTCに到達した端子保持具61は、図26に示すように、当接部材78が押圧部107によって押圧される。これにより、2つの端子20が下型93に接近した状態となる。
2つの端子20が圧着位置PTCに到達すると共に下型93に接近した状態で、図27に示すようにツイスト電線12が圧着位置PTCに到達すると、ツイスト電線12および2つの端子20に対して圧着工程が行われる。
具体的には、圧着金型駆動機構100を駆動させて上型96を下型93に向けて接近させる。すると、接近移動の途中で、2つの端子20の各芯線圧着片25bおよび各被覆圧着片26bが上型96の各凹溝96aの周面に当接する。この状態で、上型96と下型93とをさらに接近させることで、各芯線圧着片25bおよび各被覆圧着片26bが各凹溝96aの周面に沿って徐々に変形していく。そして、上型96と下型93との接近移動が終了することによって、各芯線圧着片25bが各露出芯線部14a(図7のQ2の領域)に圧着されると共に、各被覆圧着片26bが各絶縁被覆16(図7のQ3の領域)に圧着された状態となる。
なおここでは、図26に示すように、圧着位置PTCに送られた絶縁電線13は、端子20に対して十分上方に位置する。このため、この状態で、上型96が下型93に向けて移動すると、途中で絶縁電線13に当接し、絶縁電線13がツイスト電線セット用治具34から外れる恐れがある。これを防ぐためここでは、上型96が絶縁電線13に当接しないように、z軸方向移動機構56を駆動し絶縁電線13も下型93にむけて接近移動させる。例えば、上型96の接近移動と、z軸方向移動機構56の駆動とは同時に開始される。これにより、2つの絶縁電線13の端部が2つの端子20にそれぞれ収まった状態(底板部25a、26aの両側に立ち上がる一対の圧着片25b、26bの間に収まった状態)で、各圧着片25b、26bの曲げ変形が開始される。
また、圧着動作中、例えば、各芯線圧着片25bおよび各被覆圧着片26bが各凹溝96aの周面に当接した段階で、各箱部把持部62のチャックが開かれるとよい。これにより、以後の圧着動作完了までの間に各端子20が延びた場合でも、各端子20にかかる応力が強くなりすぎることを抑制できる。
以上のように、2つの端子20がツイスト電線12における2つの絶縁電線13に同時に圧着されたら、ツイスト電線12を排出する。
具体的には、圧着完了後にまず、上型96を下型93から離間させると共にz軸方向移動機構56を駆動してツイスト電線12を下型93から離間させる。この際、上型96と同じ側にツイスト電線セット用治具34が位置するため、端子20が上型96へ食らい付いていた場合でもツイスト電線セット用治具34がこれを押えることによって、端子20が食らい付いたままであることが抑制される。その後、x軸方向移動機構55を駆動してツイスト電線12を圧着位置PTCから電線セット位置PWSに向けて移動させる。ツイスト電線12の電線セット位置PWSへの移動が完了したら、ロック機構53を解除し、セット台50からツイスト電線セット用治具34を外す。そして、ツイスト電線セット用治具34からツイスト電線12を外す。これにより、端子付きツイスト電線10を得ることができる。なお、ツイスト電線セット用治具34が電線セット位置PWSに向けて移動する際、端子保持具61についても、端子セット位置PTSに移動させる。より詳細には、押圧部107の押圧状態を解除して、端子保持具61をz軸方向に沿って上方に移動させると共に、端子保持具移動機構82を駆動して、端子保持具61をx軸方向に沿って圧着位置PTCから端子セット位置PTSに移動させる。
以上のように構成された端子保持具61およびこれを備える端子圧着装置30によると、端子20においてバレル部24を外方に突出させる態様でバレル部24とは反対側の箱部23を保持するため、圧着金型91に対してツイスト電線12側とは反対側に端子保持具61を配設することができる。これにより、設備の省スペース化を図ることができると共に、端子保持具61がツイスト電線12と干渉することが抑制される。
また、箱部把持部62がチャック可能であるため、大きさの異なる端子20を把持することができる。また、圧着時にチャックを開くことにより、圧着によって端子20が延びた場合でも、端子20が周囲の部材を押圧する反動で位置ずれが生じることを抑制できる。
また、仕切板部68に対して2つの端子20を位置決めするため、2つの端子20の間隔を一定に保ちやすい。
また、端子保持具移動機構82を備えるため、圧着金型91と離れた位置で端子20を端子保持具61にセット可能となる。
{変形例}
実施形態において、箱部把持部62は、端子20をチャック可能であるものとして説明したが、このことは必須ではない。例えば、箱部把持部は、凹部に端子20を嵌め込む形状など開閉不能に形成されていてもよい。また、例えば、箱部把持部は、開閉可能である場合でも、例えば、駆動部80の代わりに設けられた付勢部材等で閉方向に付勢されていることもあり得る。
実施形態において、箱部把持部62は、端子20を2つの端子が並ぶ方向(端子圧着装置30においてx軸方向)にチャック可能であるものとして説明したが、このことは必須ではない。例えば、箱部把持部は、端子20を2つの端子が並ぶ方向と交差する方向(端子圧着装置30において、例えばz軸方向)にチャック可能であることも考えられる。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。