JP6846725B1 - 過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置及びこの装置による処理物の生成方法 - Google Patents

過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置及びこの装置による処理物の生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被処理対象物を短時間で乾燥させながら攪拌することで品質の良い乾燥粉状体を効率的に生成する。【解決手段】内部が密閉空間となったキルン100と、キルンの内部において被処理対象物を加熱しながら粉状化する処理室200と、キルンと処理室の間に形成された加熱室300と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室500と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室600とを有し、熱風ガスをキルンの熱風ガス供給口から加熱室に供給すると共に熱風ガス排出口から処理室加熱後の熱風ガスを排出し、処理室には、過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、処理室内には、被処理対象物を過熱水蒸気ガスで加熱しながら殺菌乾燥させる工程に合わせて被処理対象物を攪拌して粉状化する粉状化手段を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば殺菌乾燥すると同時に粉状化させた高品質の食品や飼料、肥料を短時間で効率良く生成することができる過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置及びこの装置による処理物の生成方法に関する。
従来から、殺菌乾燥すると同時に粉状化させた食品や飼料、肥料を作るにあたって、熱風ガスを用いた乾燥処理装置及びこれに用いられる関連技術が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
ここで、特許文献1においては、熱風ガスを用いた従来の間接型ダブルジャケット方式の構成が開示されている。また、特許文献2においては、本発明に関連する過熱水蒸気の生成方法が開示されている。
特許第6249451号公報 特許第5716950号公報
上述した従来の熱風ガスを用いた乾燥処理装置によると、キルンの中に被処理対象物である食品、飼料や肥料などの原料を投入した後、熱風ガスを供給してこれらの被処理対象物を加熱しつつ粉状化させるようになっている。しかしながら、熱風ガスは空気を加熱してできているため、空気内の酸素によって被処理対象物のビタミンが破壊されたりタンパク質などの成分が変性したりして、加熱乾燥後に風味が落ちたり栄養に富んだ品質の高い乾燥粉状化後の処理物を生成したりすることが難しくなる。
また、空気を熱しただけの熱風ガスを用いたのみでは十分な殺菌が行われず、特に被処理対象物の食品の場合、処理物とした後に雑菌が増殖したりカビが繁殖したりして長期保存が行えなくなる問題も生じる。
一方、このような不具合を防止するため、キルンの内部を2重構造にして、内側に被処理対象物の処理室を設け、その周囲を熱風ガスで被うキルンとすることで、被処理対象物に熱風ガスが直接当たらないようにする間接加熱方式によって被処理対象物の酸化を防止する構造も考えられる。しかしながら、このような構造では上述した問題は解決するが、被処理対象物を加熱して乾燥させる過程において、キルンからの伝熱のみによって被処理対象物を加熱させなければならない。そのため、このような加熱方式によると、被処理対象物を十分に乾燥させながら攪拌機等を用いて粉状化させるまでにかなりの時間を要してしまう。
また、被処理対象物を加熱するごとにキルンを予熱しておかなければならず、その分の時間も必要となる。その結果、一定量の被処理対象物を殺菌乾燥しながら粉状化させるために必要とする合計時間が非常に長くなり、生産効率が極端に低下してしまい、ランニングコストの低減を難しくするという問題が新たに発生する。
他方、従来の過熱水蒸気を用いた乾燥処理装置によると、熱風ガスを用いた場合と異なり高温・高圧で酸素を含まない状態の水蒸気を被処理対象物に当てて乾燥させながら攪拌することができるので、被処理対象物の中に含まれる重要な成分を上述したように酸化させずに済むと共に、上述した熱風ガス方式よりも短時間で被処理対象物を殺菌乾燥させながら粉状化させることが可能となる。
しかしながら、過熱水蒸気を用いることによる以下のような特有の問題が生じてしまう。具体的には、過熱水蒸気をキルンの中に供給した際に、キルンの内壁の部分にこの過熱水蒸気の一部が凝縮して水滴化した後にこれが集まって結露水となって付着してしまう。そして、乾燥させながら攪拌することによって粉状化した被処理対処物がこの内壁の水の部分に付着してしまい、その後、粉状化した被処理対象物と水が混ざり合ってスラリー状のドロドロになった部分に新たに供給される高温の過熱水蒸気が当たることによって、この部分の温度が急激に上昇してやがて炭化してしまう。この炭化した部分はその後細かく砕けて小さな黒い粒々となって乾燥粉状化した処理物の中に混ざってしまう。
そのため、例えば、被処理対象物が小麦粉や米ぬか、おからなどの場合、これらの炭化した黒色の粉末が乾燥粉状化した処理物の中に点々と混ざった状態となり、見た目であたかも異物が混入しているようになってしまい、乾燥粉状化した処理物の品質に悪影響を及ぼす。
更には、上述した課題とは異なる課題の解決も強く要望されている。具体的には、従来から住宅地に現れ住民に危害を加えそうになった野生のイノシシやクマなどを駆除した後の処分や、口蹄疫にかかった牛、鶏インフルエンザになった養鶏、豚コレラにかかった豚などの疫畜を全て殺処分した後に安全に処理するまでに関わる多数の人々の安全衛生上の問題を生じないようにすることが非常に重要であり、これらの害獣や疫畜の解体・廃棄処理に関わる人々の手間を少なくすると共に、衛生面での安全性を確保することが従来から要望されている。
また、上述の問題に関連して所謂廃棄物を殺菌処理する場合においても同様の問題が生じていた。これは例えば病院等において使用した後に配置する医療器具の廃棄処理中に処理業者が例えば注射針などに直接触れて誤って感染してしまう恐れがある点で共通している。このような場合、その危険性を防止するためになるべく処理業者が直接手で扱うことなく短時間でまとめて殺菌廃棄処理を行うことが最も望ましい処理の仕方であり、これに適した殺菌乾燥処理装置の開発が要望されていた。
更には、上述した環境衛生上の更に上位概念として、地球環境汚染を防止しながら資源をリサイクルすることが必要とされていた。しかしながら、例えば廃プラを処理したり使用済みの経年劣化した電線を処理してリサイクルしたりする際に廃プラ自体やPVC(ポリ塩化ビニル)からなる電線の絶縁被覆部が完全に分解処分できず、有害なダイオキシンが発生してしまう問題があった。そのため、このような問題を回避するために電線の被覆物を銅電線から引き剥がして処分することも行われていたが、多大な工数がかかりコストが嵩む問題が生じていた。
本発明の目的は、被処理対象物を短時間で乾燥させながら攪拌することで品質の良い乾燥粉状体を効率的に生成することを可能にする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置及びこの装置による処理物の生成方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、
被処理対象物を殺菌乾燥する共に粉状化することで乾燥粉状化した処理物を作る殺菌乾燥処理装置であり、
内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱しながら粉状化する処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において処理した後の処理物を取り出す取り出し口を備え、
前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
前記処理室内には、前記被処理対象物を前記過熱水蒸気ガスで加熱しながら殺菌乾燥させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して粉状化する粉状化手段を備え、
前記処理室には、その略円筒体の軸線方向に合致するように当該略円筒体の軸線方向に対して時計回りや反時計回りに自在に回転可能な回転軸及びこの回転軸を駆動する回転駆動部が備わり、
前記処理室内において、前記被処理対象物を加熱中に攪拌させる攪拌手段が前記回転軸の所定位置に所定の間隔で備わり、かつ
前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、請求項に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置において、
前記キルンの内部には、前記熱風ガス供給口から供給された熱風ガスが前記加熱室の長手方向一方の端部近傍と他方の端部近傍を前記処理室の外周面に沿って別々に行き来しながら流れた後、前記熱風ガス排出口から排出される熱風ガス用流路が形成されていることを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、請求項又は請求項2に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置において、
前記過熱水蒸気供給口は、前記処理室の一方の端部側に設けられ、前記過熱水蒸気戻し口は前記処理室の他方の端部側に設けられていることを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、請求項乃至請求項の何れかに記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置において、
前記攪拌手段を駆動することによって、前記処理室内の被処理対象物を前記処理室の一方の端部側に押し付ける工程と、他方の端部側に押し付ける工程を繰り返し行うことが可能なことを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法は、
請求項1乃至請求項の何れかに記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置を用意し、
前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
前記過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥すると共に粉状の処理物として生成した後に前記取り出し口から前記処理物を取り出すことを特徴としている。
また、本発明の請求項6に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、
粉状又は粒状をなす被処理対象物の殺菌乾燥処理装置において、
内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱しながら殺菌乾燥する処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において加熱殺菌処理した後の処理物を取り出す取り出し口を備え、
前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
前記処理室内には、前記被処理対象物が前記過熱水蒸気ガスで加熱殺菌させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して当該被処理対象物の加熱殺菌を促進させる攪拌手段を備え、かつ
前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、請求項に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置において、
前記被処理対象物は食品であることを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置は、請求項に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置において、
前記被処理対象物は農業に用いる種子からなり、前記殺菌乾燥処理装置は、前記熱風ガスの温度と前記過熱水蒸気ガスの温度や圧力を、前記種子の表面を殺菌すると共に、これを処理物として取り出した後にこの種子の発芽とその後の農作物としての生育に影響を与えない程度の温度や圧力となるように制御する制御部を備えていることを特徴としている。
また、本発明の請求項9に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置は、請求項6に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置において、
前記被処理対象物は農業用用地の土壌からなり、前記殺菌乾燥処理装置は、前記熱風ガスの温度と前記過熱水蒸気ガスの温度や圧力を、前記土壌に含まれかつ農業用土壌として用いる際にこれによって生育する農作物に悪影響を与える雑菌の殺菌、残留化学肥料や残留農薬の分解・除去を行うことができる程度の温度や圧力となるように制御する制御部を備えていることを特徴としている。
また、本発明の請求項10に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、
廃棄物としての被処理対象物をリサイクル可能な粉状炭化物としての処理物とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱殺菌しながら粉状炭化物にする処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において加熱殺菌しながら粉状炭化物として処理した後の処理物を取り出す取り出し口を備え、
前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
前記処理室内には、前記被処理対象物を前記過熱水蒸気ガスで加熱殺菌させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して粉状炭化物にする攪拌手段を備え、かつ
前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴としている。
また、本発明の請求項11に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法は、
請求項10に記載の殺菌乾燥処理装置を用意し、
前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
前記殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥共に粉状炭化物とした処理物とした後に前記取り出し口から取り出すことを特徴としている。
また、本発明の請求項12に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法は、
前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物が、殺菌乾燥することで粉状の炭化物化させる材質と、粉状化することなくそのままリサイクル可能な材質の複合体からなり、請求項10に記載の殺菌乾燥処理装置を用意し、
前記被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
前記殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥して粉状の炭化物化させた処理物を生成した後に前記取り出し口から前記粉状の炭化物化させた処理物をリサイクル可能な材質と共に前記処理室から取り出すことを特徴としている。
また、本発明の請求項13に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、
不純物が混ざった使用済みの食用油としての廃棄物からなる被処理対象物を不純物が混ざっていない燃料用油として再利用できる処理物にする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であり、
内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱殺菌しながら不純物と当該不純物が混ざっていない燃料用油に分離生成する処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において加熱殺菌しながら燃料用油として再利用可能な処理物を取り出す取り出し口を備え、
前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
前記処理室内には、前記被処理対象物を前記過熱水蒸気ガスで加熱殺菌させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して不純物と当該不純物が混ざっていない燃料用油とに分離する攪拌手段を備え、かつ
前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴としている。
また、本発明の請求項14に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法は、
前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物が、不純物が混ざった使用済みの食用油としての廃棄物からなる過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法であって、
請求項13に記載の殺菌乾燥処理装置を用意し、
前記被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
前記殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥して不純物を前記使用済みの食用油から分離することで当該使用済みの食用油を不純物が混ざっていない燃料用油として再利用できる処理物を生成した後に前記取り出し口から前記不純物が混ざっていない燃料用油としての処理物を前記処理室から取り出すことを特徴としている。
本発明によると、例えば殺菌乾燥すると同時に粉状化させた高品質の食品や飼料、肥料を短時間で効率良く生産することができると共に、それ以外の上述した解決すべき課題に記載した問題点を全て解決することが可能な過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置及びこの装置による処理物の生成方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置の構成を側方から断面で概略的に示した説明図である。 本発明の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置の構成を端面側から断面で概略的に示した説明図である。 本実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置の実際の動作手順を図3(a)から図3(b)の順に示す説明図である。示す説明図である。 図3に続く動作手順を図4(a)から図4(b)の順に示す説明図である。 図4に続く動作手順を図5(a)から図5(b)の順に示す説明図である。 図5に続く動作手順を図6(a)から図6(b)の順に示す説明図である。 図6に続く動作手順を図7(a)から図7(b)の順に示す説明図である。 本発明における処理室の内容積と過熱水蒸気ガスを生成するための水タンクからの適正な送水量との好ましい対応関係の一例を示す相関関係表(図8(a))と、処理室の内容積とガスバーナーを用いた場合の過熱水蒸気ガスを生成するバーナー出力量(カロリー量)との好ましい対応関係の一例を示す相関関係表(図8(b))である。
以下、本発明の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置1について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置1の構成を側方から断面で概略的に示した説明図である。また、図2は、本発明の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置1の構成を端面側から断面で概略的に示した説明図である。
なお、本発明の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置1に関して、以下適宜これを「本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置1」又は単に「殺菌乾燥処理装置1」として記載する。また、本実施形態は、あくまで本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明がこの形態に限定されるものでは無い。即ち、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば、その各構成要素の形状、寸法、材質、個数を適宜変更可能であることは言うまでもない。
本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置1は、被処理対象物を殺菌乾燥する共に粉状化することで殺菌乾燥粉状化した処理物を作る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置である。ここで、本実施形態においては、被処理対象物としては食品の一例である豆腐を生成する際に生じるおからの殺菌乾燥処理について説明する。
おからは、一般的に80%の水分含有量を含むと共に多孔質の繊維からなるため、おからの原料に含まれるアミノ酸やビタミンなどの栄養素を加熱殺菌処理中に損なうことなく、確実に殺菌した粉末状のおからを処理物として生成するのに本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置1を好適に利用可能である。なお、本発明の被処理対象物としては、これ以外に様々なものが考えられる。これらについては後に詳細に説明する。
本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置1は、内部が耐圧密閉空間となったキルン100と、キルン100の内部に収容され、被処理対象物を加熱しながら粉状化する処理室200と、キルン100と処理室200の間に形成された加熱室300と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室500と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室600とを有している。
なお、本実施形態においては、キルンは、鉄でできており両端が閉塞した大径の外側円筒体110と、同じく鉄でできておりこれよりも僅かに小径で両端が閉塞した円筒体と、これら2つの円筒体110,120との間に隙間なく介在させた断熱材130から構成されている。
そして、この断熱材130の適所には外側円筒体110と小径の内側円筒体120との間に断熱材130が介在する隙間の間隔を一定に保つと共に、これらの構成要素を一体化させるための支持部材(図面では図示せず)が適当な数だけ備わっている。
また、第1の燃焼室500の一端には第1のバーナー510が備わると共に、第1の燃焼室500の内部にハニカムセラミックからなる火炎攪拌部520が備わっている。そして、第1のバーナー510の燃料としてLPガスが用いられているが、本発明においてはこれに限定されることはなく、灯油や軽油、重油などを用いても良いようになっている。
第1の燃焼室500の内部には空気が供給され、これが第1のバーナー510によって加熱されて高温の空気となり、気化した燃料成分と共に熱風ガスとなって加熱室300の熱風ガス供給口310から過熱室内に供給するようになっている。
キルン100の内側円筒体120とこの内部に収容される鉄でできて両端が閉塞された処理室200との間は、上述したように燃焼ガスによる加熱室300を構成しているが、この両者の隙間を一定に保つために、処理室200の外周面とキルン100の内周面をなす内側円筒体120の内周面との間には周方向に所定の間隔を隔てて加熱室300の長手方向に所定の長さに亘って延在する流路形成用支持部材410が備わっている。
より具体的には、本実施形態においては、図2に示すように、周方向4箇所に流路形成用支持部材411,412,413,414(410)が備わっており、それぞれ別々に一方(他方)の端部が一方(他方)の加熱室300の端面まで達すると共に、他方(一方)の端部が加熱室300の他方(一方)の端面に達することなく所定の間隔を保つようになっている。
この流路形成用支持部材410(411,412,413,414)の配置構成の一例について図2に基づいて説明する。図2においてキルン100の内側円筒体120と処理室200の内周面と処理室200の外周面との間に長手方向に延在した4つの流路形成用支持部材410においてハッチングで示す下側の2本の流路形成用支持部材412,412は、長手方向の一方の端部、図面において手前側端部が処理室200の手前側端面に密着する一方、その反対側の端部、即ち図面に示す反対側の端部は処理室200の反対側の端面まで達することなくその少し手前まで延在している。
一方、図2においてキルン100の内側円筒体120と処理室200の外周面との間に長手方向に延在した4つの流路形成用支持部材410において白抜きで示す上側の2本の流路形成用支持部材413,414は、長手方向の他方の端部、即ち図面において手前側端部が処理室200の手前側端面にまで達することなくその少し手前まで延在している一方、その反対側の端部、即ち図面に示す反対側の端部は処理室200の反対側の端面に密着するように延在している。
流路形成用支持部材410がこのように構成されていることで、キルン100の内部には、熱風ガス供給口310から供給された熱風ガスが加熱室300の長手方向一方の端部近傍と他方の端部近傍を処理室200の外周面に沿って別々に行き来しながら流れた後、熱風ガス排出口320から排出される熱風ガス用流路400が形成される。その結果、加熱室300の一方の端部と他方の端部を周方向に沿って別々に熱風ガスが流れていく。これによって、処理室200の周面全体をこの熱風ガスで均一に加熱するようになっている。
そして、キルン100と処理室200の間に形成された加熱室300に第1の燃焼室500によって発生させた熱風ガスをキルン100の所定の位置に備わった熱風ガス供給口310から供給されると共に、熱風ガス供給口310と異なる位置に備わった熱風ガス排出口320から加熱室300内で加熱した後の熱風ガスを排出するようになっている。なお、熱風ガス排出口320には熱風消臭排出ガス用ファン330が設けられ、加熱室300の内部で処理室200外側全体から加熱した後の熱風ガスを効率良く排出するようになっている。
また、殺菌乾燥処理装置1は、処理室200の一部には、キルン100の外部からキルン100と隔離した状態で被処理対象物を処理室200の内部に直接投入する投入口250を備えると共に、処理室200の投入口250が備わった部分と異なる部分に処理室200内において処理した後の処理物を取り出す取り出し口260を備えている。
より具体的には、キルン100の投入口250には、図中実線で示す開閉扉251及び開閉レバー252が備わり、図面では示さないが、開閉レバー252によって開閉扉251を左斜め上方に向かうように開いた状態で、投入口250から被処理対象物を投入すると共に、投入後に本実施形態に関する殺菌乾燥処理装置1で被処理対象物を殺菌乾燥するに際して、同図の実線で示すように開閉扉251を開閉レバー252で水平方向にして投入口250を耐圧密閉し、この殺菌乾燥処理装置1を稼働させるようになっている。
同様にキルン100の取り出し口260においても、図中実線及び二点鎖線で示す開閉扉が備わり、殺菌乾燥処理装置1を稼働した後に、殺菌乾燥して粉状化させた処理物を取り出す際に、同図に示すようにこの殺菌乾燥処理装置1の稼働中に垂直方向に実線で示す耐圧閉塞した状態の開閉扉261を、二点鎖線で示すように、左上に向かって開いて処理物を取り出すようになっている。
殺菌乾燥処理装置1の処理室200は、上述した加熱室300と同様に鉄でできており、両端が閉塞し加熱室300の内側の円筒体よりも内側円筒体120から構成されている。そして、上述した流路形成用支持部材410が処理室200を構成する円筒体の外周面の上述した所定位置に固定され、熱風ガスの流路を構成しつつ加熱室300よりも内側にしっかりと配置されるようになっている。
また、処理室200の内部には、第2の燃焼室600から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口210と、被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して第1の燃焼室500内に戻す過熱水蒸気戻し口220を備えている。なお、過熱水蒸気供給口210は、処理室200の一方の端部側(図1中右側)に設けられ、過熱水蒸気戻し口220は処理室200の他方の端部側(図1中左側)に設けられている。
過熱水蒸気供給口210と第2の燃焼室600との間は、耐圧パイプ630によって接続され、第2の燃焼室内で生じた過熱水蒸気ガスを、過熱水蒸気供給口210を介して燃焼室内に効率良く供給するようになっている。また、過熱水蒸気戻し口220と第1の燃焼室500との間は、耐圧パイプ530によって接続され、第2の燃焼室内で役目を終えた過熱水蒸気ガスが被処理対象物の臭気を伴いながらフラッシュ水蒸気として第1の燃焼室内に効率良く還流されるようになっている。即ち、処理室内の被処理対象物を殺菌乾燥させる工程で生じる臭気を吸収しながら第1の燃焼室内に還流した後、今度は燃焼ガスの一部としての役目を果たすようになっている。
処理室200内には、被処理対象物を過熱水蒸気ガスで加熱しながら殺菌乾燥させる工程に合わせて被処理対象物を処理室200内で攪拌して粉状化する攪拌手段700を備えている。
処理室200には、その略円筒体の軸線方向に合致するように略円筒体の軸線方向に対して時計回りや反時計回りに自在に回転可能な回転軸710及び回転軸710を駆動する回転駆動部715が備わっている。
そして、攪拌手段700を駆動することによって、処理室200内の被処理対象物を処理室200の一方の端部側に押し付ける工程と、他方の端部側に押し付ける工程を繰り返し行うようになっている。
攪拌手段700は、本実施形態の場合、上述したような作用を発揮する攪拌アーム720からなると共に、各攪拌アーム720の先端部と処理室200の内周面との間には僅かな隙間を保ちながら、回転軸710の回転と共に上述した処理室200内の一方と他方に押し付ける動作に加えて、被処理対象物がある程度の大きさを要する場合、即ち元々例えば小麦粉や籾殻付きの米、殺菌すべき農業用土壌などのような粉状体や粒状体の形態を有さない場合、攪拌アーム720の回転移動中にその先端に設けた被処理対象物粉砕部721によって被対象物を処理室200の内周面に常に押し付けて押し潰し続ける(粉砕し続ける)ようになっている。
そして、これらの攪拌アーム720の作用の相乗効果により被処理対象物を効率良く粉状化して処理物を生成するようになっている。
なお、回転軸710は、これに連結した回転駆動部720の制御の仕方でその回転方向を制御するだけでなく、回転速度についても制御可能である。これによって、被処理対象物の種類に応じて殺菌粉状化させるのに適した回転数を選択して最適な細かさの粉状物化した処理物を生成することができる。
また、本実施形態の場合、第2の燃焼室600の一端には第2のバーナー610が備わると共に、第2の燃焼室600の内部にハニカムセラミックからなる火炎攪拌部620が備わっている。そして、第2のバーナー610の燃料としてはLPガスが用いられているが、本発明においては、第1のバーナー510と同様にこれに限定されることはなく、灯油や軽油、重油などを用いても良いようになっている。
第2の燃焼室600内には水タンク650から水651が供給されて(図1における第2の燃焼室内の水滴652参照)、この水が第2のバーナー610によって加熱されて過熱水蒸気ガスとなり、処理室200の過熱水蒸気供給口210から処理室200内に供給するようになっている。そして、本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置1を稼働中に処理室200の中に供給された過熱水蒸気ガスは、処理室200内において被加熱対象物を加熱した後に処理室200内から排出されるフラッシュ水蒸気として全て再び第1の燃焼室500に戻して熱風ガスの一部として再利用するようになっている。
また、図1及び図2に簡略化して示すように、本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置にはこれを適正に稼働させるための制御部800が備わっており、特に過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置1の第1のバーナー510及び第2のバーナー610のそれぞれの燃焼度合いに応じて第1のバーナー710及び第2のバーナー610に個別に供給する燃料、第1のバーナー510において適正な燃焼ガスを生成するために第1の燃焼室500に供給する空気の量を調整すると共に、第2のバーナー610に備わった水タンクから第2のバーナー610によって過熱水蒸気となる適正な水分量を第2の燃焼室内に供給する役目を果たす。
制御部800は、更には被処理対象物の種類に応じて攪拌アーム720を回転させる回転軸710の回転数や、処理室内における被処理対象物の押し付け移動方向を適宜選択可能とする攪拌アーム720の回転方向の向き等を乾燥処理装置自体の稼働時間等を被処理対象物ごとに予め規定しておいて最適な処理物が生成されるようにする役目、その他の殺菌乾燥処理装置の稼働に必要なアクチュエーター駆動やタイミング制御などを行う役目を果たす。
以上に加えて、本発明における殺菌乾燥処理装置の制御部800が行う重要な制御内容として、被処理対象物の種類ごとに、第2の燃焼室600において過熱水蒸気ガスを生成するために第2の燃焼室600に供給する水の量を、処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気としてフラッシュ水蒸気ガスが処理室内で残留したり過熱水蒸気戻し口220に一旦入ってから逆流して処理室内に戻ったりすることなく、処理室200に備わる過熱水蒸気戻し口220から第1の燃焼500の内部にそのまま還流させるようしていることが挙げられる。
制御部800を介してこのような制御を行うことによって、処理室内において殺菌乾燥の役目を終えた所謂フラッシュ水蒸気ガスと呼ばれる加熱水蒸気ガスが処理室内に残留したり、このフラッシュ水蒸気ガスが乾燥水蒸気戻し口220に一旦入ってから逆流して処理室内に戻ったりしないようにすることで、処理室内の適正な過熱水蒸気ガスの充満状態を超えないようにする。
これによって、処理室内の過熱水蒸気ガスが結露した後凝縮して水となって処理室の内壁に発生するのを防止し、この水に殺菌乾燥中の被処理対象物が混ざってその後に供給される過熱水蒸気ガスによって再度加熱・粉砕されて本来処理物として生成されるべきものが黒色の炭化物の粉砕片となって処理物内に点々と混ざったまま残留して見た目の品質が非常に悪く商品価値がかなり劣った処理物が生成されるのを防止する。
以上説明した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置1を稼働させるにあたって、投入口250から被処理対象物を処理室200の中に投入する。次いで、殺菌乾燥処理装置1を実際に稼働させて処理対象物を殺菌乾燥しながら粉状化した処理物として生成した後に取り出し口260からこの処理物を取り出す。
以下に、上述の実施形態にかかる過熱水蒸気ガスを用いる乾燥殺菌処理装置の稼働手順の一形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明はあくまでその一形態を示すもので、本発明の作用を発揮し得る範囲内であればそれ以外の手順で装置を稼働しても本発明の範囲内に含まれる。また、以下の説明及び各図面に示す構成要素については、上述で詳細に説明済みのため、以下の説明及び図面中において符号の記載を基本的に省略する。
図3は、本実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置の実際の動作手順を図3(a)から図3(b)の順に示す説明図である。また、図4は、図3に続く動作手順を図4(a)から図4(b)の順に示す説明図である。また、図5は、図4に続く動作手順を図5(a)から図5(b)の順に示す説明図である。また、図6は、図5に続く動作手順を図6(a)から図6(b)の順に示す説明図である。また、図7は、図6に続く動作手順を図7(a)から図7(b)の順に示す説明図である。
最初に図3(a)に示すように、被処理対象物の投入口の開閉扉を閉じると共に取出し口の開閉扉を閉じた状態から、投入口のみを開けて被処理対象物を処理室内に投入する(図中異形の黒いドット状の塊及びこれに伴う矢印参照)。そして、図3(b)に示すように、処理室内への被処理対象物の投入を完了した後に投入口を閉塞する。
次いで、図4(a)に示すように、装置の殺菌乾燥処理装置の第1のバーナーを点火して第1の燃焼室から加熱室に、熱風ガス供給口を介して熱風ガスを供給すると共に、熱風ガス排出口を介して装置の外部に熱風ガスを排出する(図中矢印で方向性を示した熱風ガスの流れ(1−1)参照)。なお、図4(b)は、図4(a)に示した図面と反対側から見た熱風ガスの供給の仕方を示す図4(a)に対応する図である(図中矢印で方向性を示した熱風ガスの流れ(1−2)参照)。
両方の図面から分かるように熱風ガスが加熱室内の長手方向に延在する4つの流路形成用支持部材412,412,413,414(410)によって仕切られた熱風ガス用流路400をそれぞれ別々に通過して加熱室の外に排出される過程で、加熱室を十分に加熱すると共に燃焼室の外周面から燃焼室内を予熱しておくことが理解できる。
続いて、図4(a),(b)に示す加熱室の加熱を継続しながら、図5(a)に示すように、第2のバーナーに着火して第2の燃焼室における燃焼を開始する。これによって、同図に示すように、水タンク内から第2の燃焼室内に供給された水が過熱水蒸気ガスとなり、この供給パイプを介して処理室に備わった過熱水蒸気供給口から処理室内に供給される(図中矢印(2−1)参照)。なお、図4に示した熱風ガスは、図5及びそれ以降の図面に示す状態においても、熱風ガス用流路を常に流れているが、これらの図面においては各工程の理解を容易にするためにその図示を省略する。また、図3及び図4に示す工程については同時に行っても構わない。
そして、図5(b)に示すように、過熱水蒸気ガスが処理室内に充満するのに合わせて、これと同時に処理室内の回転軸を例えば時計回りや反時計回りに回転させることで、攪拌アームについても処理室内で同じく時計回りや反時計回りに回転させる(図中矢印(2−2)参照)。
このようにすることで、同図に示すように、処理室内に投入したある一定の大きさを有する被処理対象物が攪拌アームで細かく砕かれたり、処理室の内壁に押し潰されたりして、細かく粉砕されていく。そして、処理室内に露出する表面積が急速に大きくなった粉砕後の被処理対象物が過熱水蒸気ガスに晒され、被処理対象物の殺菌乾燥が迅速に行われる。また、処理室の外側の加熱室内には熱風ガスが常に供給されているので、処理室内に充満した過熱水蒸気ガスが処理室の内周面において凝縮して水となって付着することはない。
また、処理室内で被処理対象物の殺菌乾燥の役目を終えた過熱水蒸気ガスは、過熱水蒸気戻し口から耐圧パイプを介して被処理対象物の臭気を含んだフラッシュ水蒸気として第1の燃焼室内に還元された後に、燃焼ガスとして再利用される。
なお、攪拌アームの回転方向を例えば時計回りにすることで、処理室内の被処理対象物が処理室の一方の端部方向に送られて一方の端部の端面に押し付けられて潰される(図6(a)の矢印(3−1)及び右端側に密集したドット状の粉砕物参照)。また、攪拌アームの回転方向を例えば反時計回りにすることで、処理室内の被処理対象物が処理室の他方の端部方向に送られて一方の端部の端面に押し付けられて潰される(図6(b)の矢印(3−2)及び左端側に密集したドット状の粉砕物参照)。
このようにして、被処理対象物は、過熱水蒸気ガスで殺菌乾燥されながら攪拌アームで処理室内の内周壁に押し付けられて細かく粉砕されていくと共に、処理室内の両端面に交互に押し付けられた圧縮しながら両端面全体に擦りつけられることですり潰され、更に細くなりやがては粉状化した処理物として生成される。
以上のようにして被処理対象物が粉状化していくと共に処理室内の非常に高温の過熱水蒸気ガスがこれらの粉状化した被処理対象物にくまなく接触して粉状化した被処理対象物を確実に殺菌乾燥させる。
この工程を続けることでやがては粉状化した被処理対象物が完全に殺菌乾燥されて再利用可能な処理物として生成される(図7(a)参照)。
以上の過程において、処理室の周りは過熱室に充満した燃焼ガスで常に加熱さているので、過熱水蒸気ガスが処理室の内壁において凝固して従来のように水として付着することがなく、上述したように粉状化した被処理対象物がこのような水と一緒になって更に加熱されて炭化することもない。
上述の工程により目的とする殺菌乾燥された処理物が処理室内に生成された後に図7(b)に示すように殺菌乾燥処理装置を停止させた後にその取出し口を開けて処理室内で生成した処理物を取り出して製品として市場に供給する。
以上説明したことから理解できるように、被処理対象物として上述したように投入口250から食品の一例であるおからの原料を投入した場合、おからの原料に含まれるアミノ酸やビタミンなどの栄養素を加熱殺菌処理中に損なうことなく、短時間で殺菌乾燥処理を行った後に確実に殺菌した粉末状のおからを処理物として取り出し口260から取り出すことができる。
より具体的には、おからに含まれる不飽和脂肪酸のリノール酸やホスファチジルコリンを極力分解することなく、十分に殺菌した状態で乾燥させて粉状化処理物とすることができる。これによって、カビの発生を防止しながら長期保存が可能となり、例えば卯の花の材料とかハンバーグやクッキーなどの材料として利用することも可能となる。更には、乾燥して粉状化した状態で保管しておくことで、非常食としての役目も果たすこともできる。
なお、上述の実施形態においては、投入口250から投入する被処理対象物をおからの原料としたが、これに限らず様々な被処理対象物が考えられる。具体的には、以下のようなものが明示的に挙げられる。例えば、投入口250から被処理対象物としての海老を投入し、殺菌乾燥処理装置1を用いてエビ本来の栄養素や風味を保ったまま十分に殺菌乾燥したい海老パウダーの加工食品を作っても良い。
また、小麦粉や糠等を被処理対象物として殺菌乾燥する場合、本実施形態に係る殺菌乾燥装置を用いることで、上述した解決すべき課題に記載した問題を解決できる。即ち、粒状の炭化物が混在することがなくなり、見た目の品質に優れた乾燥粉状化した小麦粉や糠等を処理物として生成することができる。この場合、本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置1を用いることで、生菌を300ヶ/ml(ミリリットル)以下にすることができ、大腸菌群の抑制によりこれら殺菌乾燥させた小麦粉や糠をその後長期間に亘って所定の品質で保存しておくことができる。その結果、長期保存に伴って発生する大腸菌群の増殖などによる品質劣化に起因する廃棄処理という問題を回避することができる。
なお、上述した被処理対象物は小麦粉や糠などの粉状物に限定されず、籾殻の付いた米やウコン(ターメリック)の原料となるものを適用対象としても十分な効果を発揮することができる。
これに加えて、被処理対象物を食品に限らず、飼料や肥料の原料を被処理対象物としても良い。例えば被処理対象物を資料の原料とする場合、調理用に使わない魚の頭や尾ひれ、太い骨の部分を投入口から処理室にまとめて一度に投入し、殺菌乾燥処理装置を稼働させて殺菌乾燥させた粉末状の処理物を生成しても良い。
本実施形態による殺菌乾燥処理装置を用いることで、これらの部位に元々含まれている栄養成分を損なうことなく高品質の飼料として養殖業の餌、ペットフードの材料、家畜の飼料等に活用することが可能となる。
また、本発明の解決すべき課題の欄で説明したように、近年問題となっている野山から住宅地に入り込み殺処分した猪や熊などの害獣を被処理対象物として上述した実施形態に係る殺菌乾燥処理装置の投入口からそのまま投入しても良い。その後、本発明に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置を稼働させることで、安全問題が全く生じることなくなるまで殺菌された粉末状の処理物を生成することができる。これによって、この処理物を家畜の飼料として再利用することが可能となる。この場合、これらの処理中に骨の一部が5mm〜7mm程度の残留物となった物も本発明において骨を粉状化した物に含まれるものとする。
また、本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置を用いて農作物や家庭菜園に用いる肥料を効率良く大量に生産することも可能である。具体的には、例えば鶏糞などを肥料として使用する場合に本実施形態に係る殺菌乾燥処理装置を用いることで、短時間で殺菌乾燥して粉状化させた処理物としての堆肥を効率的に生成することもできる。
その上、本実施形態の場合、高温の過熱水蒸気ガスを用いて鶏糞を短時間に殺菌乾燥しながら粉状化させることができるので、元々鶏糞に含まれる肥料として重要な成分であるチッ素・リン酸・カリの三要素を損なうことなく、これらの三要素がバランスよく豊富に含まれると共に、十分に消臭され異臭や悪臭の漂うことのない品質の良い肥料とすることが可能となる。
以上説明したように、この実施形態によると、本発明を解決すべき課題の欄で記載した被処理対象物が食品や飼料、肥料の原料となる場合に生じる問題点を全て解決することが可能となる。
具体的には、被処理対象物が食品、飼料や肥料などの場合、被処理対象物のビタミンが破壊されたりタンパク質などの成分が変性してしまったりすることなく、かつ加熱乾燥後に風味が落ちることなくかつ元々含まれる栄養を損なうことなく品質の高い乾燥粉状化後の処理物を生成することができる。
また、処理室の内壁に過熱水蒸気ガスが凝縮して水となるのを防止するため、被処理対象物を粉状化させるまでの時間を従来よりも格段に短くすることができ、生産効率を高めることが可能となる。また、殺菌乾燥処理装置の稼働中、処理室がその周りの加熱室で常に加熱されているので、処理室の内壁に過熱水蒸気ガスから凝縮した水が付着することがないため、これに殺菌乾燥中の被処理対象物が付着してそれが更に加熱されて炭化する現象を阻止できる。これによって、殺菌乾燥処理後の粉状の処理物の中に細く黒い炭化物が混ざり込んでしまうのを防止し、見た目の品質が損なうことがなくなる。
また、上述のように殺菌乾燥中の被処理対象物が付着してそれが更に加熱されて炭化する現象を阻止できるので、各処理工程が終わった毎に処理室の内壁に付着した炭化物を除去するなどの余計なメンテナンスを必要としなくなる。
また、被処理対象物を加熱するごとに処理室を予熱しておく必要がないので、ランニングコストの低減を図ることができる。
また、上述の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置における被処理対象物を以下のような農業分野における種子の殺菌に使用することも可能である。具体的には、被処理対象物が農業に用いる種子からなり、熱風ガスの温度と過熱水蒸気ガスの温度や圧力は、種子の表面を殺菌すると共に、これを処理物として取り出した後にこの種子の発芽とその後の農作物としての生育に影響を与えない程度の温度や圧力となっている殺菌乾燥処理装置を用いて農業分野における種子の殺菌乾燥を一気に行うことができる。その結果、種子の品質の向上を図ると共に、種子を長期間保存できるようにすることで、農業分野における作物生育の生産性の向上を図ることが可能となる。この特別な作用については、本明細書の後半に記載した本発明者の知見の最後の部分において詳細に説明することとする。
なお、本発明における種子の概念は、広い範囲でとらえることが可能となっており、農業分野における農作物のみならず、花の種子や家庭菜園に用いる趣旨、林業の分野などあらゆる分野において利用される全ての種子を含むものとする。
また、上述の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置における被処理対象物を農業用用地の土壌としても、本実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置により、土壌に含まれ、農業用土壌として用いる際にこれによって生育する作物に悪影響を与える雑菌の殺菌、残留化学肥料や残留農薬の分解・除去を行うようにしても良い。
昨今の農業用地はその土壌が残留した化学肥料や農薬から悪影響受けて、新たに農作物を生育する際に多くの作物の生育や品質に関する障害を起こしていることが問題となっている。そのため、本発明に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置を利用して新たな農作物を生育する前にこの生育や品質を阻害する土壌を生育に適した土壌に入れ替えることで、農業の分野において品質の良い作物の安定した生産供給と、人体に悪影響を与えることのない安全な農作物の市場への供給を可能とする。
これによって、昨今問題となっていた農業用土壌中に含まれる雑菌や不要な土壌菌が作物の成長を妨げ、その作物に栄養を与えるような肥料と土中の雑菌を抑える化学肥料の過剰な投与を行う所謂いたちごっこを繰り返すことで農業用土壌を逆に汚染してしまう問題を一挙に解決でき、農業分野における作物生育のシステムを根幹から改善させる画期的な農業改革に貢献できる。
また、従来から住宅地に現れ住民に危害を加えそうになった野生のイノシシやクマなどを駆除した後の処分や、口蹄疫にかかった牛、鶏インフルエンザになった養鶏、豚コレラにかかった豚などの疫畜を全て殺処分した後に安全に処理することも可能である。即ち、これらの被処理対象物を高温の過熱水蒸気ガスで加熱殺菌しながら粉状化した処理物として生成することができるので、処理業者の手間をかけずにかつ処理業者の衛生面での安全性を確保しながら飼料や肥料となる処理物を効率的に生成することができる。
以上に加えて、本実施形態を含む本発明特有の構造に基づく従来技術には無い優位な作用として、第1の処理室の過熱水蒸気供給口を介して処理室内に供給された過熱水蒸気ガスが被処理対象物を加熱殺菌した後に過熱水蒸気戻し口を介して第1の燃焼室内に導入され、その後、第1の燃焼室内の熱風ガスの一部として処理室の周囲の過熱室内に供給されて熱風ガス排出口から装置の外部にブロアを介して排出されるようになっている点が挙げられる。
これによって、処理室内に役目を終え被処理対象物の臭気を含んだ所謂フラッシュ蒸気が再び処理室内に入り込むことが無い。そのため、このような処理工程を続けることで、被処理対象物の段階で生じていた異臭や悪臭などの臭気を殺菌乾燥して粉状化した処理物の段階に至るまでに全て消臭することができ、処理物の保管中においても原材料に伴う異臭や悪臭が残留して周囲に拡散することが無くなる。
続いて、本発明の別の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置について説明する。この別の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置の基本的構成は、上述の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置と同様であるが、被処理対象物が上述の実施形態と異なっている。そのため、以下の説明においては、殺菌乾燥処理装置及びその各構成要素の符号については上述の実施形態と同等となるので、その記載を省略する。
この別の実施形態に係る殺菌乾燥処理装置の特徴について説明する。具体的には、廃棄物であってこの殺菌乾燥処理装置を用いることで被処理対象物をリサイクル可能な粉状炭化物としての処理物とする場合に、この殺菌乾燥処理装置を好適に使用可能となっている。
この殺菌乾燥処理装置は、上述の実施形態と同様に、内部が密閉空間となったキルンと、キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱しながら粉状化する処理室と、キルンと処理室の間に形成され処理室を周囲から加熱する加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有している。
殺菌乾燥処理装置は、キルンと処理室の間に形成された加熱室に第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスをキルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から加熱室内で処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっている。
また、殺菌乾燥処理装置は、処理室の一部には、キルンの外部からキルンと隔離した状態で被処理対象物を処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、処理室の投入口が備わった部分と異なる部分に処理室内において処理した後の処理物を取り出す取り出し口を備えている。
また、殺菌乾燥処理装置の処理室には、第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備えている。
また、処理室内には、被処理対象物を過熱水蒸気ガスで加熱しながら殺菌乾燥させる工程に合わせて被処理対象物を処理室内で攪拌して粉状化する粉状化手段を備えている。
また、キルンと処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなる。処理室には、その略円筒体の軸線方向に合致するように略円筒体の軸線方向に対して時計回りや反時計回りに自在に回転可能な回転軸及びこの回転軸を駆動する回転駆動部が備わっている。
キルンの内部には、熱風ガス供給口から供給された熱風ガスが加熱室の長手方向一方の端部近傍と他方の端部近傍を処理室の外周面に沿って別々に行き来しながら流れた後、熱風ガス排出口から排出される熱風ガス用流路が形成されている。
なお、過熱水蒸気供給口は、処理室の一方の端部側に設けられ、過熱水蒸気戻し口は処理室の他方の端部側に設けられている。
また、攪拌手段を駆動することによって、処理室内の被処理対象物を処理室の一方の端部側に押し付ける工程と、他方の端部側に押し付ける工程を繰り返し行うようになっている。
そして、以上説明した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置を用意し、投入口から被処理対象物を処理室の中に投入する。次いで、殺菌乾燥処理装置を稼働させて処理対象物を乾燥粉状化した処理物を生成した後に取り出し口から乾燥粉状化した処理物を取り出す。
別の実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置の特徴としては、上述の実施形態とは異なり、被処理対象物が例えば廃プラを処理したり使用済みの経年劣化した電線を処理したりするなど、食品の原料や食品自体、飼料や肥料の原料とは異なり、廃棄処理する際に有害なダイオキシンが発生する恐れがある廃プラや、厳密な殺菌処理を必要とされる医療廃棄物、PVC(ポリ塩化ビニル)からなる絶縁被覆部で覆われた電線などが一例として挙げられる。
この殺菌乾燥処理装置の具体的な使用例を説明する。最初に、被処理対象物であるリサイクルすべき被覆電線を例えば5〜10cmの適当な間隔で切断して、この切断後の電線の塊を殺菌乾燥処理装置の投入口からまとめて投入する。そして、殺菌乾燥処理装置を稼働させる。なお、攪拌手段で攪拌中は、過熱水蒸気ガスで急激に炭化する電線の被覆部のみを攪拌して粉状化するが、導線自体は更に切断することなく処理室内でそのまま攪拌のみを行うことができるように、本実施形態の攪拌手段はその構成が特別な形態をなしている。
これによって、過熱水蒸気ガスが処理室内に常に供給されることで電線の被覆部が加熱されて例えば被覆部を構成するPVC(ポリ塩化ビニル)が分解されて、やがて粉状の炭化物となる。
電線被覆部が粉状の炭化物となった後に殺菌乾燥処理装置を停止し、取り出し口から完全に粉状化した炭化物と被覆部が全て無くなった購入前の長さのままの一般的に銅(Cu)でできた導線を取り出す。そして、粉状化した炭化物と電線を振り分けて電線自体が不純物を含まない状態で再利用可能とする。
本実施形態による殺菌乾燥処理装置を用いることで、電線自体が不純物を含まないので、工数がかからずコストが安くリサイクルすることが可能となる。また、粉状化した炭化物についても、これを原料として例えば二次加工品として脱臭剤や消臭剤を作ることにより、ダイオキシンなどの有害物質を生じさせることなく環境の悪化を防止しながら資源の有効活用を図ることができる。
なお、上記の実施形態に係る殺菌乾燥処理装置を用いて電線のリサイクルを行うにあたって、本装置の構造に特段影響を与えない範囲(装置の稼動中に装置内の各構成要素を破損しない範囲)であれば、ある程度の長さを有する巻かれたままの電線をそのまま上述したように短く切断せずに挿入口からそのまま投入しても良い。
以上説明したように、この別の実施形態によると、本発明を解決すべき課題の欄で記載した被処理対象物が処理中にダイオキシンなどの有害物質を発生する廃棄物の場合に生じる問題点を全て解決することが可能となる。
更には、病院等において使用した後に配置する医療器具の廃棄処理中に処理業者が例えば注射針などに直接触れて誤って感染してしまうのを防止したり、それ以外の廃棄物を殺菌処理する場合に衛生面での処理業者の安全性を確実に担保したりすることが可能となる。
続いて、上述したリサイクルの実施形態とは若干異なる重要なリサイクルの用途に好適に利用可能な過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置について説明する。この更なる過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置は、上述の各実施形態基本的構成は共通するが、これらと異なる点としては、不純物が混ざった使用済みの食用油としての廃棄物からなる被処理対象物を不純物が混ざっていない燃料用油として再利用できる処理物にすることを特徴としている。従って、上述の各実施形態と共通する構成についてはその内容の説明を省略する。
本実施形態においては、被処理対象物の投入口からレストランや飲食店、規模の大きい工場の食堂から出た使用済みの食用油とそれ以外の不純物が混ざった大量の廃棄物を投入することが可能となっている。また、本実施形態に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置を稼働した後に処理物の取り出し口からランプやバーナー、非常用発電機などの燃料用油として再利用可能な処理物を取り出す取り出し口を備えている。
そして、処理室内には、被処理対象物を過熱水蒸気ガスで加熱殺菌させる工程に合わせて不純物が混ざった使用済みの食用油としての廃棄物からなる被処理対象物を処理室内で攪拌して不純物が混ざっていない燃料用油にするのに適した攪拌手段が備わっている。
このような過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置を利用することで、レストランや飲食店、規模の大きい工場の食堂から出た使用済みの食用油とそれ以外の不純物が混ざった大量の廃棄物を極めて短時間で効率良く処理して不純物を含まない燃料用油を取り出し口から取り出すことが可能となっている。
これによって、昨今問題となっているこのような不純物が混ざった使用済みの食用油としての廃棄物による土壌環境や海洋汚染の悪化の問題を防止すると共に、大規模災害に備えた非常用の燃料用油として再利用するために生成しておくことが可能となる。
特に、例えばファミリーレストランや天ぷら屋、とんかつ屋などの飲食店において調理用油として利用され小麦粉やその他の不純物と混ざり合って排気すべき油の処理を行う場合に本発明は好適に利用可能である。即ち、上述した実施形態に係る殺菌乾燥処理装置を用いることで、被処理対象物から小麦粉などの不純物を燃焼させて取り除くと共に、使用済みで酸化した油のアルカリ度を再び増加させる所謂還元効果を利用して純度の高い燃料用油として生成することができる。
これによって、調理用油として使用されそのまま廃棄すると環境汚染に繋がる被処理対象物を二次的加工品、即ち、燃料用油などとして生成することが可能であり、この燃料用油を利用してランタンや簡易バーナーの燃料、非常用発電機の駆動用燃料とすることができ、優れた二次的加工品としてリサイクル(再利用)することが可能となる。
なお、上述したように、ここで記載した実施形態は、あくまで本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明がこの形態に限定されるものでは無い。即ち、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば、その形状、寸法、材質、個数を適宜変更可能であることは言うまでもない。
続いて、本発明者が提案している本発明の被処理対象物に関する一覧、即ち、過熱水蒸気ガス利用乾燥・殺菌・炭化作用のみ充分に有効活用できる被処理対象物について説明する。
なお、以下の各被処理対象物を殺菌乾燥して粉状化したり、元々粒状や粉状の被処理対象物を殺菌乾燥したりする場合において、過熱水蒸気ガスの温度や圧力は、それぞれの被処理対象物が処理された後に好ましい状態の処理物となるように適宜選択するものとする。
つまり、本発明において過熱水蒸気ガスの一般的な温度である170°C〜1200°Cの範囲内における被処理対象物の殺菌、乾燥、炭化を理想的に行うための条件は、本装置の利用の態様の仕方、即ち本装置によって生成される処理物がそれぞれの目的や用途にかなう商品としての処理物となるように適宜最適な条件を決めるようになっている。
これは、過熱水蒸気ガスを生成させる水の噴霧量についても同様であり、キルン内の処理室の飽和水蒸気量が常に安定した一定の無酸素状態を保つことができるような程度が非常に好ましいと本発明者は考えている。
上記の記載に関連した内容を図8に示す2つの表に基づいて以下に説明する。図8は、本発明における処理室の内容積と過熱水蒸気ガスを生成するための水タンクからの適正な送水量との好ましい対応関係の一例を示す相関関係表(図8(a))と、処理室の内容積とガスバーナーを用いた場合の過熱水蒸気ガスを生成するバーナー出力量(カロリー量)との好ましい対応関係の一例を示す相関関係表(図8(b))である。
図8(a)に示す相関関係表に基づき、含水率60%から80%くらいの被処理対象物を実際に殺菌乾燥させるにあたっての処理室の内容積と、これに見合った最適条件で被処理対象物を殺菌乾燥させるのに使用する過熱水蒸気ガスを生成するための水タンクからの適正送水量の一例として、本発明者は、図8(a)に示す条件が非常に好ましいと考えている。
また、ガスバーナーを用いた場合の過熱水蒸気ガスを生成するバーナー出力量(カロリー量)と処理室の内容積との好ましい相関関係として、本発明者は、図8(b)に示すような関係が優れていると考えている。
そして、上記の条件において、被処理対象物としての原料の含水率が60%〜90%の場合において本発明を検証してみたところ、殺菌乾燥後に含水率8%の処理物とするために、従来の熱風ガスによる乾燥キルンを用いた場合は、6時間〜8時間ほどの長時間を要していたところ、本発明に係る装置によると、1.5時間から2時間と大幅に短縮できることが分かった。
なお、上述のバーナーの燃料として用いたガスの代わりに重油、灯油、軽油などの場合を用いても、上述と同様な相関関係となることを本発明者は確認している。
続いて、処理された後に好ましい状態の処理物として生成される候補となる被処理対象物を列挙すると以下の通りとなる。
(1)殺菌目的としての被処理対象物としては以下のようなものが例示的に挙げられる。
・原体:米(籾)、玄米、大豆他豆類、トウモロコシ、穀類全般
・粉もの:小麦、ふすま、米粉、ぬか、そば粉、でんぷん粉他
(2)乾燥・殺菌目的としての被処理対象物としては以下のようなものが例示的に挙げられる。
・搾りかす:柑橘類、サトウキビ(バカス)、おから、ワイン、酒かす、焼酎搾りかす、コーヒー抽出カス、お茶かす、大麦若葉(青汁)かす等々
・野菜:もやし、根菜類他
・魚貝類:缶詰等加工残渣、貝殻、ウニガラ、エビ、カニ等
・海藻類:昆布、わかめ、水草等々
・乳製品:牛乳、チーズ
・食品残渣:パン、豆腐、おから、廃棄食品全般
(3)リサイクルとしての被処理対象物としては以下のようなものが例示的に挙げられる。
・住宅地に入り込んで住民に危害を加える恐れのある猪や熊などであって、駆除された害獣
・口蹄疫に罹った牛、鳥インフルエンザに罹った鶏、豚コレラに罹った豚など、確実に殺菌処理して環境衛生を汚染させないようにする必要がある疫畜
・廃液:グリストラップ廃液、廃油(フライヤー使用残油)から精製油として抽出すべき廃油
(4)炭化・油化以下としての被処理対象物としては以下のようなものが例示的に挙げられる。
・木材・・・炭化した粉状物として活性炭を製造するのに適する炭化材料
・塩ビ他廃プラ
・使用済みの活性炭であって臭気を取り除いて再度リサイクル後の活性炭として再生できるもの。
最後に本発明を実施することになる優れたメリットについての発明者の知見について具体的な実施例と共に説明する。従来の殺菌乾燥装置の問題点について説明する。従来の殺菌乾燥装置においては、熱風乾燥(間接方式、直接方式)フリーズドライ方式、スプレイドライ方式、過熱水蒸気利用方式など多種類の方式が混在していたが、何れも一長一短があり、処理方法や処理装置製造コスト、製品に反映するランニングコストなどの様々な問題があった。
具体的には、例えば殺菌乾燥の対象となる被処理対象物として、糠、米粉、小麦粉、ふすま、茶葉、そば粉などの粉ものを考えた場合、何れも、殺菌の日本国内基準では菌数試験において一般生菌が3000ヶ/ml(ミリリットル)以下であることが望ましく、このような基準を守ることで、大腸菌、大腸菌群も陰性であることが安全性への裏付けになっている。
このような基準をクリアすべく、従来の殺菌乾燥においては乾燥の度合い含水率10%以下を目指して作業を行うにあたって、単純な熱風乾燥処理を行った場合、以下の問題点が指摘されていた。
具体的には、処理温度が高温になり過ぎる場合、たんぱく質などの素材の変性が起こり、過酸化物価指数が上がるなど酸化を防ぐことが困難であった。また、小麦粉などの白度を維持することにも問題があった。いずれにせよ、これらの問題をクリアししかも菌数を安全基準にまでもっていくには作業経験が必要な熟練工が管理運営することが大きな問題であった。また、作業に関する効率も悪く処理量も一度に大量の処理ができない難点も指摘されていた。
一方、過熱水蒸気のみを利用した場合、過熱水蒸気を縦型の配管に取り入れ、配管上部のホッパー部より粉黛を自重で落下させ、その際に過熱水蒸気と接触することで殺菌を行う構造によると、過熱水蒸気が仕事をする上での特徴であるタンパク変性、酸化指数の増加、変色などは生じず、しかも殺菌が可能となっていた。しかしながら、この縦型殺菌装置には更に別の厄介な問題が生じていた。
具体的には、粉と過熱水蒸気が一体となって配管を通過することで配管内部表面に水滴が留まり、その表面に粉が付着し結果、過熱水蒸気の温度の過度な噴霧が粉を焦げさせ、炭化物に変えてしまう欠点が指摘されている。結果、小麦粉の中に黒い炭が点在する結果が生まれ商品管理の難しさが指摘されていた。
また、過熱水蒸気と粉黛が一体で配管を通過することで、ホッパーから落下された商品に風速が直接当たり、受け入れるタンク層の粉を巻き上げ粉が舞い散るという問題もあった。
更に、熱水蒸気ガスが大気放出される際に、全ての仕事を終えた過熱水蒸気が放出されることができず、配管内に水滴として残ることも問題であった。
このため、過熱水蒸気が仕事を終えた水蒸気(フラッシュ水蒸気)の温度低下による配管内での結露の処理に様々な工夫を施し、フラッシュ蒸気と舞い散る粉を封じ込めるための巨大な配管を巡らせた装置群になって装置の省スペース化に逆行していた。
以上のような次第で、本来、過熱水蒸気の単純利用を目的にすることで安易に、コストも作業時間も短くできる有効利用可能な装置が未だ発表されていない現状となっていた。
そのため、本発明者が今回の発明品装置を着想して上述の様々な問題点を一気に解決することにした。以下、本発明の好適な利用形態について実際の実験結果と共に様々な観点から説明する。
本発明によると、被処理対象物として、魚貝類、おから、豆腐、牛乳、焼酎搾りかす、酒かす、ワイン搾りかす、もやしなどの野菜や根菜類ほか、動物性残差、害獣そのもの本体、様々な生物などの殺菌乾燥粉黛化全てを一元的に行うことが可能なことに特徴がある。
その理由について説明する。上記記載の多くは水分含水率が50%〜90%とかなりの水分含有率となっている。これらを乾燥するには、熱風乾燥では平均的に6時間から8時間、スプレイドライ方式によっても高さ数十メートルの巨大なタワー上部から水分を飛ばしながら乾燥を進める装置の設備投資にかかる費用や、フリーズドライの設備と乾燥工程にかかわる施設の費用やランニングコストが極端に嵩み、一般的な産業分野では直ぐに採用できるものではない。そのような理由で従来から一般的には熱風乾燥炉が使用されてきたわけである。
ここに過熱水蒸気の殺菌乾燥への有効利用が考え出されたが、これを最高の状態で利用する最適なキルンが存在していなかった。そこで、本発明者は本発明に係る装置を着想したのである。この本発明に係る装置により、過熱水蒸気を単純に利用する大気開放型の従来のものに比べて処理時間で約2倍の速さで作業が進められることが分った。しかも、熱風乾燥やその他の乾燥装置では乾燥後に粉砕加工、振るい選別加工などの別作業を必要としていた手間が省けるメリットも有している。また、本発明に係る装置によらないと、乾燥時間だけではなく、粉砕加工、振るい加工についても特別に設けた工程を必要とし、これにかかる作業時間がそれぞれ半日、計1日以上も要する場合も想定しなければならず、更にはこの独立して行わなければならない工程処理に必要な作業員を配置しなければならない点でもコストアップの要因につながる。
しかも、作業工程が多岐にわたることで製品の歩留まりも5〜10%ロスを生むことにつながる。また、せっかく殺菌した商品が大気に触れ新たな作業室内環境にもコストと気を遣う必要が生まれる。しかしながら、本発明に係る装置によると、このような問題を全て解決することができ、従来のどの乾燥システムに比べても作業時間を短くできることが分かった。
また、含水率の高い商品を乾燥させる際に、従来のキルンでは過熱水蒸気利用の場合でも同様であるが、全ての商品が含水している水分を乾燥させるために蒸気にして排出することに多くのエネルギーと時間を必要とした。しかも、多くの場合、商品が持つ水分は乾燥工程途中で装置の外に栄養成分と一緒に排出される場合が多かったが、本発明に係る装置によるとそのような問題を回避できることが分かった。しかも、本発明に係る装置によると、過熱水蒸気ガスとの一体型で被処理対象物から発せられる臭いがフラッシュ水蒸気に吸収され、このフラッシュ水蒸気を第1の燃焼室で再燃焼させて燃焼ガスの一部として再利用する仕組みとなっていることで、装置外部への異臭や悪臭の拡散を確実に防止し、装置の設置場所周辺の環境にも配慮することができ、作業環境が与える地域住民への苦情を取り除くことが可能となっていることに大きな利点を有する。
更には、本発明に係る装置は、塩ビ、廃プラ、木材等の炭化炉としての機能も有する特色を有している。具体的には、従来においては、例えば、電気工事等で排出される電線の処分には従来多くの時間と労力を要した。絶縁被覆部によって覆われる銅線などの金属は有価物として再利用したいが、その電線を裁断銅線のみを取り出すという特別な被覆部除去の工程においては、カッターなどを用いた手間の掛かる人為的作業や装置等が必要であった。
しかしながら、本発明に係る装置を使用すれば、250°Cから450°Cの過熱水蒸気ガス雰囲気空間で塩ビや廃プラの炭化が促進される。その理由は過熱水蒸気ガスが発生し充満している加圧式密閉型キルン内部はほぼ無酸素状態になっており一気に炭化が進む環境を作り出しているからである。更には、使用済み活性炭を再利用するためのリサイクル化(賦活化、即ち不活化)の温度についていえば、600°C〜1000°Cの間が好ましい。
なお、従来においても熱溶融によって塩ビを溶かして中身の金属を取り出す手法はあった。しかしながら、溶融温度によってはダイオキシンの発生やそこに出る廃油の処理に手間と時間がかかった。しかしながら、本発明に係る装置によると、炭化を促進させる際に一切の廃油が出ないでこの問題を解決することができる。つまり、過熱水蒸気ガスを充てることで、固体は液体を出さずに炭化物に変わるからである。しかも、本発明に係る装置は、炭化される対象物から出る排煙を高温の燃焼バーナーに戻すことで排煙の有害性も処理し、なおかつ異臭や悪臭などの臭気も除去することが可能である。
また、本発明に係る装置は、農業用分野での利用の価値が大きいことが分かった。具体的には、従来の肥料の製造では堆肥を主流にした乾燥システムが主流であったが、本装置を利用することで、異臭や悪臭などの臭気残留の問題を解決すると共に、チッソ・リン酸・カリウムなどの栄養成分も損なうことなく殺菌乾燥することができ、しかもカビの発生も防げることで生成物の製品としての市場価値が上がる。また、飼料の分野ではエコ分野の新しい指針となることが分かった。
以下、本発明に係る装置を用いた場合に被処理対象物を処理する時間の削減やコスト低減が格段に開かれることになったことについて説明する。
(1)ランニングコストおよび処理時間については、フリーズドライ方式では5000円〜7000円/Kg(2〜3日)、スプレイドライ方式では2000円〜3000円/Kg(5〜6時間)、熱風乾燥方式では1000円〜2000円/Kg(6〜8時間)、従来型の過熱水蒸気資料方式では500円〜1000円/Kg(3〜4時間)であったが、本発明に係る装置によると、50円〜100円/Kg(1.5〜2時間)と格段に優れた効果を有することを確認した。
また、本発明に係る装置によらないと、1トン乾燥の設備装置比較を行った場合、粉砕、振るい加工の費用として別途1億円発生するが、本発明によるとそのような費用が発生せず、コスト低減に非常に貢献できることが分かった。
以上に加えて、本発明は、過熱水蒸気ガスを用いた種子の殺菌についても有効に利用可能であると考える。この点について本発明の発明者の知見を以下に紹介する。
現代農業のスタイルは種子を撒いて作物を育てる農業のあり方から、大手種苗メーカーが開発したシステムに則り、苗を農家や家庭菜園を営む人々が利用する形で作物が作られるようになった。
一方、昔、我々人類は種の保存の原理から収穫した作物の一部を次の年に蒔く種を残し、それから作物を作ることを繰り返してきた歴史がある。しかしながら、種の管理は使用者側にリスクをもたらすことで、植物の成長に安心をもたらすことができず収穫が安定しなかったと考えられる。
そこで、本発明に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥装置を利用することが非常に有効であると考えられる。具体的には、本発明に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥装置を利用して、全ての種子にその処理後に発芽に影響を与えない程度の温度と圧力と時間を予め定めて過熱水蒸気ガスを数秒噴霧することで、種に付着した雑菌が殺菌され、しかもカビの発生を防ぐようにする。
本発明に係る過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥装置を利用した種子の殺菌技術の確立は、農業分野における品質の良い種子の生産性の安定化を生み出し、強い種子を安定して残すことが可能となる。即ち、本発明に係る装置を利用した種子を農業分野に供給することで、この分野における成長力を維持することができる安全な食物を大量生産することを可能にする。
このように本発明を被処理対象物としての種子の殺菌に適用することは、新たな時代の農業の発展に寄与する。また、大手種苗メーカーは、種子が本来持つ多様な種子の中から優性遺伝のみを繰り返し、食物を食品として提供する時代になっている。本発明に係る過熱水蒸気ガスを用いる装置によると、このような現代の農業分野が抱えている現状を一新する品質の良い種子の安定供給や長期保存のきっかけとなり、新世代の農業分野を切り開くパイオニア的技術として確固たる地位に立つものと考える。
1 殺菌乾燥処理装置
100 キルン
110 外側円筒体
120 内側円筒体
130 断熱材
200 処理室
210 過熱水蒸気供給口
220 過熱水蒸気戻し口
250 投入口
251 開閉扉
252 開閉レバー
260 取り出し口
261 開閉扉
262 開閉レバー
300 加熱室
310 熱風ガス供給口
320 熱風ガス排出口
330 熱風消臭排出ガス用ファン
400 熱風ガス用流路
410 (412,412,413,414) 流路形成用支持部材
500 第1の燃焼室
510 第1のバーナー
520 火炎攪拌部
600 第2の燃焼室
610 第2のバーナー
620 火炎攪拌部
650 水タンク
700 攪拌手段
710 回転軸
720 攪拌アーム
720 回転駆動部
800 制御部

Claims (14)

  1. 被処理対象物を殺菌乾燥する共に粉状化することで乾燥粉状化した処理物を作る殺菌乾燥処理装置であり、
    内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱しながら粉状化する処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
    前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
    前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
    前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において処理した後の処理物を取り出す取り出し口を備え、
    前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
    前記処理室内には、前記被処理対象物を前記過熱水蒸気ガスで加熱しながら殺菌乾燥させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して粉状化する粉状化手段を備え、
    前記処理室には、その略円筒体の軸線方向に合致するように当該略円筒体の軸線方向に対して時計回りや反時計回りに自在に回転可能な回転軸及びこの回転軸を駆動する回転駆動部が備わり、
    前記処理室内において、前記被処理対象物を加熱中に攪拌させる攪拌手段が前記回転軸の所定位置に所定の間隔で備わり、かつ
    前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
    前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置。
  2. 前記キルンの内部には、前記熱風ガス供給口から供給された熱風ガスが前記加熱室の長手方向一方の端部近傍と他方の端部近傍を前記処理室の外周面に沿って別々に行き来しながら流れた後、前記熱風ガス排出口から排出される熱風ガス用流路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置。
  3. 前記過熱水蒸気供給口は、前記処理室の一方の端部側に設けられ、前記過熱水蒸気戻し口は前記処理室の他方の端部側に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置。
  4. 前記攪拌手段を駆動することによって、前記処理室内の被処理対象物を前記処理室の一方の端部側に押し付ける工程と、他方の端部側に押し付ける工程を繰り返し行うことが可能なことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の殺菌乾燥処理装置を用意し、
    前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
    前記殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥すると共に粉状の処理物として生成した後に前記取り出し口から当該処理物を取り出すことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法。
  6. 粉状又は粒状をなす被処理対象物の殺菌乾燥処理装置において、
    内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱しながら殺菌乾燥する処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
    前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
    前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
    前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において加熱殺菌処理した後の処理物を取り出す取り出し口を備え、
    前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
    前記処理室内には、前記被処理対象物が前記過熱水蒸気ガスで加熱殺菌させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して当該被処理対象物の加熱殺菌を促進させる攪拌手段を備え、かつ
    前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
    前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置。
  7. 前記被処理対象物は食品であることを特徴とする請求項6に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置。
  8. 前記被処理対象物は農業に用いる種子からなり、前記殺菌乾燥処理装置は、前記熱風ガスの温度と前記過熱水蒸気ガスの温度や圧力を、前記種子の表面を殺菌すると共に、これを処理物として取り出した後にこの種子の発芽とその後の農作物としての生育に影響を与えない程度の温度や圧力となるように制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置。
  9. 前記被処理対象物は農業用用地の土壌からなり、前記殺菌乾燥処理装置は、前記熱風ガスの温度と前記過熱水蒸気ガスの温度や圧力を、前記土壌に含まれかつ農業用土壌として用いる際にこれによって生育する農作物に悪影響を与える雑菌の殺菌、残留化学肥料や残留農薬の分解・除去を行うことができる程度の温度や圧力となるように制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の過熱水蒸気ガスを用いる殺菌処理装置。
  10. 廃棄物としての被処理対象物をリサイクル可能な粉状炭化物としての処理物とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
    内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱殺菌しながら粉状炭化物にする処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
    前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
    前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
    前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において加熱殺菌しながら粉状炭化物として処理した後の処理物を取り出す取り出し口を備え、
    前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
    前記処理室内には、前記被処理対象物を前記過熱水蒸気ガスで加熱殺菌させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して粉状炭化物にする攪拌手段を備え、かつ
    前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
    前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置。
  11. 請求項10に記載の殺菌乾燥処理装置を用意し、
    前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
    前記殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥すると共に粉状の炭化物としての処理物とした後に前記取り出し口から当該処理物を取り出すことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法。
  12. 前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物が、殺菌乾燥することで粉状の炭化物化させる材質と、粉状化することなくそのままリサイクル可能な材質の複合体からなる過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法であって、
    請求項10に記載の殺菌乾燥処理装置を用意し、
    前記被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
    前記殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥して粉状の炭化物化させた処理物を生成した後に前記取り出し口から前記粉状の炭化物化させた処理物をリサイクル可能な材質と共に前記処理室から取り出すことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法。
  13. 不純物が混ざった使用済みの食用油としての廃棄物からなる被処理対象物を不純物が混ざっていない燃料用油として再利用できる処理物にする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であり、
    内部が密閉空間となったキルンと、前記キルンの内部に収容され、被処理対象物を加熱殺菌しながら不純物と当該不純物が混ざっていない燃料用油に分離生成する処理室と、前記キルンと前記処理室の間に形成された加熱室と、熱風ガスを発生させる第1の燃焼室と、過熱水蒸気ガスを発生させる第2の燃焼室とを有した過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置であって、
    前記キルン及び前記処理室は、それぞれ両端が閉塞した略円筒体からなり、前記加熱室は、前記キルンの内周面と前記処理室の外周面とのあいだに介在した空間のみならず、当該キルンの両端部内側面と当該処理室の両端部内側面との間にそれぞれ介在した空間を含めて形成されており、
    前記加熱室に前記第1の燃焼室によって発生させた熱風ガスを当該キルンの所定の位置に備わった熱風ガス供給口から供給すると共に、当該熱風ガス供給口と異なる位置に備わった熱風ガス排出口から前記加熱室内で前記処理室をその外側から加熱した後の熱風ガスを排出するようになっており、
    前記処理室の一部には、前記キルンの外部から当該キルンと隔離した状態で被処理対象物を前記処理室の内部に直接投入する投入口が備わると共に、前記処理室の当該投入口が備わった部分と異なる部分に前記処理室内において加熱殺菌しながら燃料用油として再利用可能な処理物を取り出す取り出し口を備え、
    前記処理室には、前記第2の燃焼室から供給される過熱水蒸気ガスが供給される過熱水蒸気供給口と、前記被処理対象物を加熱殺菌した後の過熱水蒸気ガスを再び回収して前記第1の燃焼室内に戻す過熱水蒸気戻し口を備え、
    前記処理室内には、前記被処理対象物を前記過熱水蒸気ガスで加熱殺菌させる工程に合わせて当該被処理対象物を前記処理室内で攪拌して不純物と当該不純物が混ざっていない燃料用油とに分離する攪拌手段を備え、かつ
    前記第2の燃焼室には、過熱水蒸気を発生させるための水タンクが備わり、当該水タンクから前記第2の燃焼室において適正量の過熱水蒸気を発生させるために所定量の水を前記水タンクから前記第2の燃焼室に供給するようになっており、
    前記第2の燃焼室において前記過熱水蒸気ガスを生成するために当該第2の燃焼室に供給する水の量を、前記処理室内で被処理対象物を殺菌乾燥させその役目を終えた後に、フラッシュ水蒸気として当該フラッシュ水蒸気ガスが前記処理室内で残留したり前記過熱水蒸気戻し口に一旦入ってから逆流して前記処理室内に戻ったりすることなく、当該処理室に備わる前記過熱水蒸気戻し口から前記第1の燃焼内にそのまま還流させるように調整する制御部を更に有したことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置。
  14. 前記殺菌乾燥処理装置の被処理対象物が、不純物が混ざった使用済みの食用油としての廃棄物からなる過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法であって、
    請求項13に記載の殺菌乾燥処理装置を用意し、
    前記被処理対象物を投入する投入口から前記被処理対象物を前記処理室の中に投入し、
    前記殺菌乾燥処理装置を稼働させて前記被処理対象物を殺菌乾燥して不純物を前記使用済みの食用油から分離することで当該使用済みの食用油を不純物が混ざっていない燃料用油として再利用できる処理物を生成した後に前記取り出し口から前記不純物が混ざっていない燃料用油としての処理物を前記処理室から取り出すことを特徴とする過熱水蒸気ガスを用いる殺菌乾燥処理装置による処理物の生成方法。
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