次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、液体吐出装置1の全体構成を説明する。図1において、液体吐出装置1は吐出ヘッド3に設けられた貯留室S(図2、図3参照)内の液体を吐出する機能を有するものであり、液体を貯留する貯留室Sに吐出対象の液体を供給する液体供給部2を備えている。液体供給部2は、液体5を貯留するシリンジ形状のタンク4および空圧供給源であるタンク加圧部6を備えている。タンク加圧部6は電空レギュレータによって所定の圧力に調整された空圧をタンク4に送給する。これによりタンク4内の液体5は空圧によって押し出され、供給管7を介して吐出ヘッド3に供給される。
吐出ヘッド3は、底板部9aを有し上側が開口したコ字形状の吐出ノズル装着部9を有しており、吐出ノズル装着部9の開口側には平板形状のベース部8が装着されている。ベース部8および吐出ノズル装着部9は、吐出ヘッド3の本体を構成するヘッド本体部10となっている。吐出ノズル装着部9の底板部9aの下面には、スペーサ16を介してノズル部材17が装着されている。スペーサ16およびノズル部材17は、液体5を吐出する吐出ノズル18を構成する。
吐出ノズル装着部9には、環状バネ13を介して押圧体11が装着されており、さらに押圧体11とベース部8との間には圧電素子よりなるアクチュエータ12が配設されている。アクチュエータ12はアクチュエータ制御部14によって制御されて上下方向へ伸縮動作を行い、ベース部8はアクチュエータ12の伸張時の上向きの反力を支持する。これにより、アクチュエータ12の下面に配設された押圧体11は往復移動して、供給管7およびノズル部材17を介して貯留室S(図2、図3参照)に供給された液体5を、以下に説明する構成により吐出させる。
次に図2、図3を参照して、吐出ヘッド3の詳細構成を説明する。吐出ノズル装着部9は平板形状の底板部9aの両側端部から側板部9dを上方に延出させた構成となっており、側板部9dの上端部にはベース部8が固定装着されている。ベース部8の下面に上面を当接させたアクチュエータ12の下面には、押圧体11が配設されている。
押圧体11は円板形状の径大部11aから円柱形状の一端部11b(図4参照)を下方に突出させた形状を有している。押圧体11を吐出ノズル装着部9に装着した状態では、吐出ノズル装着部9の底板部9aに設けられた円形の開口部9cに、一端部11bが往復動可能に嵌合する。この状態では、一端部11bの外周面のパッキン溝に装着された第2のパッキン19Bによって、開口部9cと一端部11bの外周面とが密封される。すなわち押圧体11はヘッド本体部10にアクチュエータ12に駆動されて往復動可能に装着され、一端部11bがヘッド本体部10からアクチュエータ12による往復動方向に突出した構成となっている。また底板部9aの上面と径大部11aの下面との間には、環状バネ13が介在している。
吐出ノズル装着部9の装着面9bには、第1ガスケット20Aを介してスペーサ16が装着されている。スペーサ16は、ヘッド本体部10に着脱自在な所定の厚みを有する板状部材であり、スペーサ16には開口部9cと同径もしくはやや小径サイズの開口部16aが、スペーサ16の厚みを貫通して設けられている。押圧体11がヘッド本体部10の吐出ノズル装着部9に装着された状態では、吐出ノズル装着部9から下方へ突出する一端部11bは、開口部16aによって包囲されて貯留室Sに配置された形態となる。
この状態でアクチュエータ12を駆動して押圧体11を往復移動させることにより、貯留室Sの容積が増減する。そして貯留室S内に液体5を貯留した状態で貯留室Sの容積を減少させることにより、貯留室S内の液体5を吐出口24(図2)から吐出させる。すなわちアクチュエータ12は、貯留室Sの容積を増減させて吐出口24から貯留室S内の液体5を吐出させるために、押圧体11を移動させる。
図3に示すように、開口部16aの上部には第1のパッキン19Aを保持するための保持部16bが形成されている。保持部16bに第1のパッキン19Aを保持させることにより、第1のパッキン19Aはスペーサ16と押圧体11の一端部11bの側面の間に位置する。これにより、貯留室Sの液体5が開口部9cの側面と一端部11bの側面との間の隙間に進入するのが防止される。
スペーサ16の下面側には第2ガスケット20Bを介してノズル部材17が装着されている。ノズル部材17は開口部16aを塞ぐ状態でスペーサ16に装着され、この状態では、ノズル部材17の装着面17aと開口部16aの内面とで包囲された空間は貯留室Sを形成し、押圧体11の一端部11bが貯留室S内に配置される。
ノズル部材17の一方側の側面には、図1に示す供給管7と接続され、内部に液体5を導く(矢印a)ための入口部22aを有するジョイント22が植設されている。入口部22aは、ノズル部材17の内部に設けられ貯留室Sに液体5を導入する液体導入孔23と通じている。すなわち液体導入孔23はノズル部材17の装着面17a(図3参照)に開口した出口部23aを介して、貯留室Sと連通している。出口部23aは貯留室Sに吐出対象の液体5を供給する供給孔として機能しており、液体供給部2によって貯留室Sに液体5を供給する際には、貯留室Sに通じる液体導入孔23から液体5を導入する。
ここで液体導入孔23はノズル部材17の側面に開口した入口部22aから出口部23aに向かって傾斜した形状となっている。これにより液体導入孔23はノズル部材17内部において屈曲部のない直線状に形成される。このため液体導入孔23内部において残留した液体5や異物などによる目詰まりが発生しにくい構造とすることができる。さらに液体の交換時などに必要とされるメンテナンス作業において、クリーニングピンなどのツールを液体導入孔23に挿通させて、容易に液体導入孔23の内部を清掃することが可能となっている。
ノズル部材17の下面には、貯留室S内の液体5を外部に吐出する吐出口24が設けられており、貯留室Sと吐出口24とは常時開放された吐出流路24aで接続されている。吐出流路24aは下方の径寸法が絞られたテーパ孔形状となっており、貯留室S側にいくに従って径が大きくなっている。ここで、吐出口24の位置は貯留室S内における中心位置から出口部23aと反対側に隔てた配置となっている。このような配置とすることにより、一端部11bを貯留室S内で往復移動させる液吐出において出口部23aから貯留室S内に供給された液体5は、貯留室S内にエアだまりを形成することなく全体を充填し、貯留室S内にエアだまりが残留することによる吐出不良を防止することができる。
液体吐出装置1による液体5の吐出に際しては、まず液体供給部2から供給管7および液体導入孔23を介して貯留室S内に液体5を供給する。次いでアクチュエータ制御部14によってアクチュエータ12を充電し、環状バネ13による付勢力に抗して押圧体11を所定のストロークだけ伸張させる。これにより貯留室Sの容積が変化して、吐出流路24aを介して吐出口24から1ショット分の液体5が吐出される。
そして吐出後にはアクチュエータ12を放電することによりアクチュエータ12の伸張を元に戻し、環状バネ13の付勢力により押圧体11が押し上げられて次回の液吐出が可能な状態となる。すなわちアクチュエータ12、環状バネ13、アクチュエータ制御部14は、押圧体11を往復移動させて貯留室Sの容積を増減させることにより、吐出口24から液体5を吐出させる駆動部15となっている。
上述の液体吐出動作においては、塗布対象に応じて1ショット分の液体5の液滴の液量を変更する必要が生じる場合がある。本実施の形態においては、アクチュエータ12としての圧電素子の駆動を、1ショットの液滴の液量に関係なく常に一定に設定するようにしている。そして1ショットの液滴の液量の変更が必要とされる場合に対応するため、ノズル部材17の吐出面17bに開口した吐出口24の外周に、以下に説明する構成・機能の液体保持部を設けるようにしている。
そして液体吐出動作では、アクチュエータ12により押圧体11が移動して貯留室Sの容積が減少したときに、吐出口24の外周の液体保持部に保持された液塊とともに、貯留室S内の液体5の一部を1ショットの液滴として吐出するようにしている。すなわち、アクチュエータ12の駆動を常に一定に設定しており、さらに貯留室Sと吐出口24とは常時開放された吐出流路24aで接続されていることから、押圧体11が移動することにより吐出口24から吐出される液体5の液量は一定となる。
そして、1ショットの液滴の液量を変更する場合は、この液体保持部に保持される液塊の大きさを液体供給部2によって調整する。これにより、貯留室Sから吐出口24を介して吐出される液体5の液量が一定であるという条件下において、液体保持部に保持される液塊(図6,図8に示す液塊5b参照)の大きさを液体供給部2により調整することのみによって、所望の液量の1ショットの液滴を吐出することが可能となっている。
図4は、吐出ノズル装着部9の装着面9bに組み付けられる部品を分解した斜視図を示している。すなわち、これらの部品を組み付ける際には、吐出ノズル装着部9の装着面9bから突出した押圧体11の一端部11bに、第1のパッキン19Aを装着する。次いで、第2ガスケット20B、スペーサ16、第1ガスケット20Aおよびノズル部材17を重ねて、ノズル部材17の吐出面17bに設けられた締結孔17cに締結ボルト25を挿通させて、装着面9bに形成されたねじ孔9eに螺合させてねじ締結する。これにより、吐出ノズル装着部9の装着面9bには、スペーサ16、ノズル部材17を重ねた吐出ノズル18が、締結ボルト25によりねじ締結された状態となる。
次に図5を参照して、ノズル部材17において吐出口24の外側に設けられ、液体吐出動作に際して前述のように吐出対象の液体5を予め保持しておく機能を有する液体保持部(実施の形態1)の構成について説明する。なお図5(a)は、図2に示すノズル部材17の吐出面17bに設けられた吐出口24の周囲を拡大して図示しており、図5(b)は、図5(a)におけるA−A断面を示している。
図5(a)、(b)において、ノズル部材17の吐出面17bに設けられた吐出口24の周囲には、円環形状の凸部24bが形成されている。凸部24bにおいて吐出口24が開口した面は液滴保持面24cとなっており、液滴保持面24cには吐出口24からはみ出した液体5が表面張力により付着して保持される。この液体5の吐出口24からのはみ出しは、液体供給部2から貯留室Sに供給された液体5が、貯留室Sの容積を超えて吐出口24から溢れ出ることにより発生する。
すなわち本実施の形態1に示すノズル部材17においては、吐出口24の外側に、液体供給部2により貯留室Sに供給された液体5によって吐出口24からはみ出した液体5を付着させて保持する液体保持部としての液滴保持面24cを備えた構成となっている。そして吐出口24からはみ出して液滴保持面24cに沿って周囲に濡れ拡がった液体5は、液滴保持面24cの外縁のエッジ部24dに到達することにより、エッジ部の形状効果によってこれ以上の外方への濡れ拡がりが規制される。
すなわち液体保持部としての液滴保持面24cは、吐出口24からはみ出した液体5の濡れ広がりを制限する規制部としてのエッジ部24dによって囲まれた形態となっている。図5に示す例では、吐出口24を含む部分が周囲から突出した円環状の凸部24bであり、凸部24bのエッジ部24dが液体5の濡れ広がりを制限する規制部となっている。
なお、図5(b)に示すように、吐出口24に対する凸部24bの寸法比率は、吐出口24の直径をD、規制部であるエッジ部24dの直径をAとした場合のDとAの関係が、条件不等式(1.3A ≦ D ≦ 3.0A)を満たすような寸法設定とすることが望ましい。このような寸法設定とすることにより、1ショットの液体吐出動作に先立って予め液滴保持面24cに充填される液体5の液量を適正量に確保することが可能となっている。
次に図6を参照して、液体5を貯留する貯留室Sに液体5を貯留し、一端部11bが貯留室Sに配置された押圧体11を移動させることにより、貯留室Sに接続する吐出流路24aの吐出口24から液体5を吐出させる液体吐出方法(実施の形態1)について説明する。ここでは、1ショットの液体吐出動作に際して、液体保持部としての液滴保持面24cに適正な液量の液体5を、次の吐出に備えて付着させる充填動作、および充填された液体5をノズル部材17から分離して飛翔させる吐出動作までの過程を示している。
まず図6(a)は充填開始の状態を示している。この状態では、凸部24bの液滴保持面24cには、前回の吐出動作時に充填された液体5が完全に飛翔・分離せずに一部が残留した残留付着液5aが付着した状態となっている。そしてこの状態で充填が開始されると、液体供給部2から貯留室S内に液体5を供給することにより貯留室Sに供給された液体5によって吐出口24からはみ出した液体5が、図6(b)に示すように、吐出流路24aを介して吐出口24からはみ出させる(矢印b)。
そしてはみ出させた液体5は予め設定された所定量の液量を有する液塊5bを形成する。この液塊5bは吐出口24の周囲の液体保持部である液滴保持面24cによって保持される。このとき、液塊5bは液滴保持面24cに沿って外側へ濡れ拡がった状態となっており、エッジ部24dによってその外形形状が規制されている。これにより、ノズル部材17の吐出口24において1ショットの液体吐出のための充填が完了する。
次いで液滴の吐出が行われる。すなわち図2に示す押圧体11を液体吐出方向へ移動させて押圧体11の一端部11bを貯留室S内において前進させる。これにより、貯留室S内の液体5は吐出流路24aを介して吐出口24から吐出される。この吐出動作は、液体5の濡れ拡がりを規制する規制部としてのエッジ部24dによって囲まれた領域である液滴保持面24cが、図6(b)に示す充填完了において液体5によって均一に濡れている状態で行われる。
図6(c)に示すように、吐出動作においては、液滴保持面24cに保持された液塊5bとともに、貯留室S内の液体5の一部を、1ショットの液滴5cとして吐出して飛翔させる(矢印c)。このとき、液滴5cは液滴保持面24cに保持された液塊5bから分離し、液滴保持面24cには液塊5bの一部が付着した残留付着液5aが残留している。
次に図7を参照して、ノズル部材17において吐出口24の外側に設けられ、液体吐出動作に際して前述のように吐出対象の液体5を予め保持しておく機能を有する液体保持部(実施の形態2)の構成について説明する。なお図7(a)は、図2に示すノズル部材17の吐出面17bに設けられた吐出口24の周囲を拡大して図示しており、図7(b)は、図7(a)におけるA−A断面を示している。
図7(a)、(b)において、ノズル部材17の吐出面17bに設けられた吐出口24の周囲には、有底円孔形状の凹部124が形成されている。凹部124において、吐出口24が開口した底面およびこの底面の外縁部と連結して吐出面17bに至る側面はそれぞれ液滴保持面124b、124cとなっており、液滴保持面124b、124cは、液体5を保持する液体保持部124aを形成する。液体保持部124aには、図5に示す液滴保持面24cと同様に、吐出口24からはみ出した液体5が表面張力により付着して保持される。
すなわち本実施の形態2に示すノズル部材17においては、吐出口24の外側に、液体供給部2により貯留室Sに供給された液体5によって吐出口24からはみ出した液体5を付着させて保持する液体保持部としての液体保持部124aを備えた構成となっている。そして吐出口24からはみ出して液滴保持面124bに沿って周囲に濡れ拡がった液体5は、凹部124の外縁の液滴保持面124cに到達し、さらに液滴保持面124cに沿って濡れ拡がってエッジ部124dに到達することにより、エッジ形状効果により吐出面17bにおけるこれ以上の外方への濡れ拡がりが規制される。
すなわち液体保持部124aは、吐出口24からはみ出した液体5の濡れ広がりを制限する規制部としてのエッジ部124dによって囲まれた形態となっている。図5に示す例では、吐出口24を含む部分が周囲から陥没した凹部である有底円孔形状の凹部124であり、凹部124のエッジ部124dが液体5の濡れ広がりを制限する規制部となっている。なお、吐出口24に対する凹部124の寸法比率は、図5(b)に示す例と同様に、吐出口24の直径をD、規制部である凹部124の直径をAとした場合のDとAの関係が、条件不等式(1.3A ≦ D ≦ 3.0A)を満たすような寸法設定とすることが望ましい。
次に図8を参照して、図7に示すノズル部材17を用いた液体吐出装置1(実施の形態2)により、液体5を貯留する貯留室Sに液体5を貯留し、一端部11bが貯留室Sに配置された押圧体11を移動させることにより、貯留室Sに接続する吐出流路24aの吐出口24から液体5を吐出させる液体吐出方法(実施の形態2)について説明する。ここでは、1ショットの液体吐出動作に際して、液体保持部124aに適正な液量の液体5を次の吐出に備えて付着させる充填動作から、充填された液体5をノズル部材17から分離して飛翔させる吐出動作までの過程を示している。
まず図8(a)は充填開始の状態を示している。この状態では、凹部124の液体保持部124a(図7参照)には、前回の吐出動作時に充填された液体5が完全に飛翔・分離せずに一部が残留した残留付着液5aが付着した状態となっている。そしてこの状態で充填が開始されれると、液体供給部2から貯留室S内に液体5を供給することにより貯留室Sに供給された液体5によって吐出口24からはみ出した液体5が、図8(b)に示すように、吐出流路24aを介して吐出口24からはみ出させる(矢印d)。
そしてはみ出させた液体5により、予め設定された所定量の液量を有する液塊5bを形成する。この液塊5bは凹部124の内部の液体保持部である液体保持部124aによって保持される。このとき、液塊5bは凹部124内で濡れ拡がった状態となっており、エッジ部124dによってその外形形状が規制されている。これにより、ノズル部材17の凹部124において1ショットの液体吐出のための充填が完了する。
次いで液滴の吐出が行われる。すなわち図2に示す押圧体11を液体吐出方向へ移動させて押圧体11の一端部11bを貯留室S内において前進させる。これにより、貯留室S内の液体5は吐出流路24aを介して吐出口24から吐出される。この吐出動作は、液体5の濡れ拡がりを規制する規制部としてのエッジ部124dによって囲まれた領域である凹部124が、図8(b)に示す充填完了において液体5によって均一に濡れている状態で行われる。吐出動作においては、液滴保持面24cに保持された液塊5bとともに、貯留室S内の液体5の一部を、1ショットの液滴5cとして吐出して飛翔させる(矢印e)。このとき、液滴5cは液体保持部124aに保持された液塊5bから分離し、液体保持部124aには液塊5bの一部が付着した残留付着液5aが残留している。
なお、図6,図8に示す吐出動作において、1ショットの液滴5cの液量を変更する場合は、液体保持部である液滴保持面24c、液体保持部124aに保持される液塊5bの大きさを変更する。すなわち、充填過程において液体供給部2から貯留室Sに供給される液体5の液量を調整することにより、所望の大きさの液塊5bを形成する。
次に図9〜図14を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。まず図9、図10を参照して、液体吐出装置1Aの構成について説明する。図9において、液体吐出装置1Aは吐出ヘッド34が備えた液体貯留部35の下端部に設けられたノズル36から、ステージ30の上面に載置された塗布対象物31に対して液体5の液滴を飛翔させて吐出する機能を有している。
液体吐出装置1Aは実施の形態1に示す液体吐出装置1における液体供給部2と同様の構成および機能を有する液体供給部2を備えている。液体供給部2はタンク4内の液体5を供給管7を介して液体貯留部35に供給する。吐出ヘッド34は図1,図2に示すアクチュエータ12と同様のアクチュエータを内蔵しており、ドライバ33によってアクチュエータを駆動することにより、ノズル36から液体5の液滴が吐出される。液体供給部2のタンク加圧部6およびドライバ33は制御部32によって制御され、これにより液体吐出装置1Aによる液体吐出動作が実行される。
次に図10を参照して、液体貯留部35の構成および機能を説明する。図10(a)、(b)に示すように、液体貯留部35は内部に上下方向の貯留室41が形成されたブロック部材40を主体としている。ブロック部材40の下端面には液体5の吐出のための吐出口37が開口されたノズル36が設けられており、ブロック部材40の側面には内部に液体導入孔44が形成された接続突部40aが突設されている。液体導入孔44には供給管7が接続され、これにより液体供給部2から以下に説明する貯留空間41aに液体5が供給される。
ノズル36の下面において吐出口37の周囲の液滴保持面36aは、図5に示す液滴保持面24cと同様の液体保持部として機能する。図10(a)に示す状態では、液滴保持面36aには前回の1ショットの液体吐出において飛翔する液滴から分離して残留した残留付着液5aが付着している。
ブロック部材40には吐出ヘッド34に内蔵されたアクチュエータによって駆動される押圧体であるピストン43が上方から嵌入しており、ピストン43の外周面と貯留室41の内周面とはシール部材42によって密封されている。ピストン43と貯留室41との間に形成される空間、すなわちピストン43と貯留室41との径隙間(図10(a)に示す貯留空間41a参照)や、ピストン43を後退させた状態でピストン43の前面側に形成される空間(図10(b)に示す貯留空間41a参照)は、吐出対象の液体5を貯留する貯留空間41aとなっている。
貯留室41の内側の空間である貯留空間41aと吐出口37とはノズル36を介して接続されており、ノズル36の内面側は吐出口37に向かって下方が絞られたテーパ形状の吐出流路37aとなっている。ピストン43の下端部(一端部)は吐出流路37aの形状に対応したテーパ形状の接触面43aとなっており、図10(a)に示すように、ピストン43を前進させた状態では、接触面43aが吐出流路37aに当接してノズル36の吐出口37は閉鎖される。これにより、吐出口37からの液体5の吐出が停止するとともに、液体導入孔44を介しての液体5の供給も停止する。
これに対し、ピストン43を後退させた状態では、図10(b)に示すように、ピストン43の下方に形成される貯留空間41aの領域が増大し、これにより液体導入孔44は貯留空間41aを介して吐出口37と連通する。この状態で液体導入孔44から液体5を供給すると(矢印g)、供給された液体5は貯留空間41aを満たした後に吐出流路37aを介して吐出口37から押し出される(矢印h)。そして吐出口37から周囲にはみ出した液体5は、液滴保持面36aに沿って濡れ拡がり、液滴保持面36aに付着して垂下した状態の液塊5bを形成する。このとき、ピストン43を後退させて接触面43aが吐出流路37aから離れている開放時間を調整することにより、液塊5bの大きさを所望の大きさに調整することができる。
この液塊5bから1ショットの液滴5cを分離・飛翔させて塗布対象物31に塗布する液体塗布動作においては、吐出ヘッド34に内蔵されたアクチュエータを駆動してピストン43を所定の前進速度で前進させる。これにより、接触面43aは吐出流路37aに衝突し、この衝撃により液塊5bから1ショットの液滴5cが分離して、下方に飛翔して塗布対象物31に塗布される。
すなわち実施の形態3に示す液体吐出装置1Aは、貯留室41と吐出口37とは吐出流路37aで接続されており、吐出ヘッド34に内蔵されたアクチュエータは押圧体であるピストン43を移動させることにより一端部の接触面43aを吐出流路37aに衝突させて、1ショットの液滴5cを塗布するものである。
そして1ショットの液滴5cの液量を変更する場合は、図10(b)に示すように、ピストン43の接触面43aが吐出流路37aから離れている開放時間を変更して、液体保持部である液滴保持面36aに保持される液塊5bの大きさを調整する。
次に図11、図12を参照して、図9、図10に示す実施の形態3の液体吐出装置1Aにより、液体5を貯留する貯留室Sに液体5を貯留し、一端部である接触面43a(一端部)が貯留室Sに配置されたピストン43(押圧体)を移動させることにより、貯留室Sに接続する吐出流路37aの吐出口37から液体5を吐出させる液体吐出方法の第1実施例について説明する。ここでは、1ショットの液体吐出動作に際して、液体保持部としての液滴保持面36aに適正な液量の液体5を次の吐出に備えて付着させる充填動作から充填された液体5をノズル部材17から分離して飛翔させる吐出動作までの過程を示している。
まず図11(a)は吐出ヘッド34の液体貯留部35が液体吐出動作を実行する塗布指令受けを待っている待機状態を示している。この状態では、ブロック部材40内の貯留室41においてピストン43が前進しており、接触面43aが吐出流路37aに当接して吐出流路37aが閉塞された状態にあって(図10(a)参照)、吐出口37からの液体5の吐出は停止している。
次に図11(b)は、制御部32からの塗布指令を受けたときの液体貯留部35の状態を示している。すなわち吐出ヘッド34においてアクチュエータを駆動することによりピストン43の後退(矢印i)が開始される。これにより、ピストン43の接触面43aは吐出流路37aから離隔し、ピストン43の下方には貯留空間41aが形成される。すなわちここでは、接触面43aが吐出口37から遠ざかる方向に押圧体としてのピストン43を後退させる。
次いで図11(c)に示すように、液体充填が行われる。すなわち、液体供給部2(図9)から液体導入孔44を介して液体5を送給し(矢印j)、これにより貯留室41の貯留空間41aに液体5が供給される。そして貯留空間41aに供給された液体5によって液体5を吐出口37からはみ出させて(矢印k)液塊5bを形成し、この液塊5bを吐出口37の周囲の液体保持部である液滴保持面36aによって保持する。これにより、次に行われる1ショットの液体吐出のための液体5の充填、すなわち液塊5bの形成が完了する。
次に図12(a)に示すように、液滴吐出のためのピストン衝突が行われる。すなわち液体貯留部35においてピストン43を所定の前進速度で前進させて(矢印m)、接触面43aを吐出流路37aに衝突させる。これにより、予め液滴保持面36aに保持されていた液塊5bとともに、貯留室41の貯留空間41a内(図11(c)参照)に収容されていた液体5の一部がピストン43の移動により吐出口37から押し出され、これらの液体5の一部が液塊5bとともに吐出方向へ移動する(矢印n)。
次いで図12(b)に示すように、液滴分離が行われる。すなわち、上述の液塊5bとともに、吐出口37から押し出された液体5の一部を、1ショットの液滴5cとして下方へ飛翔させる(矢印o)。このとき、液滴保持面36aには液滴5cから分離した残留付着液5aが残留して付着した状態にある。ここで示す実施例では、図12(a)においてピストン43を前進させ、接触面43aを吐出流路37aに衝突させて、液滴保持面36aに保持された液塊5bとともに貯留室41内の液体5の一部を1ショットの液滴5cとして吐出するようにしている。
なおここでは接触面43aを吐出流路37aに衝突させるようにした例を示しているが、この動作形態は必ずしも必須ではなく、接触面43aを吐出流路37aに衝突させることなく、低速で吐出流路37aに当接させることにより、液滴保持面36aに保持された液塊5bとともに貯留室41内の液体5の一部を1ショットの液滴5cとして吐出するようにしてもよい。
次に図13、図14を参照して、図9、図10に示す実施の形態3の液体吐出装置1Aにより、液体5を吐出させる液体吐出方法の第2実施例について説明する。図11,図12に示す第1実施例においては、塗布指令受け(図11(b))の後に液体充填(図11(c))が完了することにより実際の液体吐出動作が可能となっており、塗布指令受けから液体吐出動作実行までに要する時間を短縮することが困難であった。これに対しここで示す第2実施例においては、塗布指令受けに先立って予備的な動作として液体充填を予め実行しておくようにしたものである。これにより、塗布指令受けの後、直ちに液体吐出動作を実行することが可能となり、塗布指令受けから液体吐出動作実行までの時間を短縮できるようになっている。
まず図13(a)は吐出ヘッド34の液体貯留部35が液体吐出動作を実行する塗布指令受けを待っている待機状態を示している。この状態では、図12(a)に示す状態と同様に、液体貯留部35ではブロック部材40内の貯留室41においてピストン43が前進しており、接触面43aが吐出流路37aに当接して吐出流路37aが閉塞された状態にあって、吐出口37からの液体5の吐出は停止している。
次いで図13(b)に示すように、液体充填が行われる。すなわち、液体供給部2(図9)から液体導入孔44を介して液体5を送給し(矢印q)、これにより貯留室41の貯留空間41aに液体5が供給される。そして貯留空間41aに供給された液体5によって液体5を吐出口37からはみ出させて(矢印r)液塊5bを形成し、この液塊5bを吐出口37の周囲の液体保持部である液滴保持面36aによって保持する。これにより、塗布指令受け後に行われる1ショットの液体吐出のための液体5の充填、すなわち液塊5bの形成が完了する。
次に図13(c)は、液体充填後の液体貯留部35が、再び塗布指令受けを待つ待機状態に戻った状態を示している。すなわちここでは、液滴保持面36aに液塊5bを保持した状態で、ピストン43を前進させ、接触面43a(一端部)を吐出流路37aへ接近させて吐出流路37aを閉塞する。これにより、液滴保持面36aに液塊5bを保持した液体充填状態で、塗布指令受けを待つスタンバイ状態となる。
次に図13(d)は、制御部32からの塗布指令を受けたときの液体貯留部35の状態を示している。すなわち吐出ヘッド34においてアクチュエータを駆動することによりピストン43の後退(矢印s)が開始される。これにより、ピストン43の接触面43aは吐出流路37aから離隔し、ピストン43の下方には貯留空間41aが形成される。
次に図14(a)に示すように、液滴吐出のためのピストン衝突が行われる。すなわち液体貯留部35においてピストン43を所定の前進速度で前進させて(矢印t)、接触面43aを吐出流路37aに衝突させる。これにより、予め液滴保持面36aに保持されていた液塊5bとともに、貯留室41内の貯留空間41a(図13(d)参照)に収容されていた液体5の一部がピストン43の移動により吐出口37から押し出され、これらの液体5の一部が液塊5bとともに吐出方向へ移動する(矢印u)。
次いで図14(b)に示すように、液滴分離が行われる。すなわち、上述の液塊5bとともに、吐出口37から押し出された液体5の一部を、1ショットの液滴5cとして下方へ飛翔させる(矢印v)。このとき、液滴保持面36aには液滴5cから分離した残留付着液5aが残留して付着した状態にある。
すなわちここに示す実施例では、ピストン43の接触面43a(一端部)を吐出流路37aから離した後に吐出流路37aに衝突させて、液体保持部である液滴保持面36aに保持された液塊5bとともに貯留室である貯留空間41a内の液体5の一部を1ショットの液滴5cとして吐出するようにしている。そして図11〜図14に示す実施例において、1ショットの液滴5cの量を変更する場合は、液滴保持面36aに保持される液塊5bの大きさを変更する。液塊5bの大きさの変更は、液体供給部2から液体貯留部35に供給される液体5の液量を調整することにより行われる。
上記説明したように、実施の形態1,2に記載の液体吐出装置1においては、液体5を貯留する貯留室Sに液体5を貯留し、一端部11bが貯留室Sに配置された押圧体11を移動させることにより、貯留室Sに接続する吐出流路の吐出口から液体を吐出させる構成において、吐出口24の外側に、液体供給部2により貯留室Sに供給された液体5によって吐出口24からはみ出した液体5を保持する液体保持部を備えるようにしたものである。さらに実施の形態3に示す液体吐出装置1Aにおいても同様に、ノズル36に設けられた吐出口37の周囲に吐出口37からはみ出した液体5を保持する液滴保持面36aを備えるようにしている。
これにより、押圧体11を貯留室Sの容積が減少する方向に移動させるときに、液体保持部に保持された液塊5bとともに貯留室S内の液体5の一部を1ショットの液滴5cとして吐出することが可能となる。このとき、液塊5bの液量を予め所望の塗布量に応じて調整しておくことにより、アクチュエータの駆動条件を一定に保持しながら、液滴5cを所望の液量に設定することができる。これにより、液体5を飛翔させて吐出する液体吐出において吐出量の変更を容易に行うことができる。