JP6844267B2 - 溶銑の精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吹錬(以下、Blow1吹錬とも記載)後にスラグを排滓して、更に吹錬(以下、Blow2吹錬とも記載)を行う溶銑の精錬方法に関する。
製鋼プロセスにおいては、排出される製鋼スラグのリサイクル用途の減少から、製鋼スラグ発生量の削減が課題となっている。
この製鋼スラグ発生量の削減と製鋼コストの改善を行う対策として、Blow1吹錬後にP(りん)の濃縮したスラグを一部排出(中間排滓)することで、Blow2吹錬における脱P負荷の軽減とそれによる生石灰(転炉(T.CaO))の削減を可能とする、溶銑予備処理(Blow1吹錬)の比率を向上させることが有効である。
更に、吹錬の際に使用する新たに添加する生石灰(以下、新規生石灰とも記載する)の添加量を削減する対策として、Blow1吹錬で生成させた高燐酸のスラグを高効率で排出(中間排滓)し、Blow2吹錬に持ち込まれるP濃度を軽減させ、Blow2吹錬での新規生石灰の添加量を削減することが必要である。
例えば、特許文献1には、スラグのAl濃度と塩基度を制御し高効率で脱Pを実施することで、Blow2吹錬における脱P負荷を軽減すると共に、Mn鉱石の添加によるMnコストを削減することが開示されている。具体的には、Blow1吹錬によるスラグの塩基度を2.2超3.5以下の範囲にしている。即ち、高塩基度でBlow1吹錬を行っているため、脱P性を向上させることができる。
また、特許文献2には、スラグの((Al濃度)+(TiO濃度))と塩基度を制御することにより、高効率で脱Pと中間排滓を実施することが開示されている。具体的には、Blow1吹錬中のスラグの塩基度を1.4〜2.2の範囲にしている。
特開2007−262576号公報 特開2008−63645号公報
しかしながら、前記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の条件下では、中間排滓の割合(中間排滓率)と、Blow2吹錬へのスラグとしての持ち込みP量とに、バラツキが発生することを、本発明者らは明らかにした。従って、Blow2吹錬では、持ち込みP量が多い場合(中間排滓率が悪い場合)に合わせて、新規生石灰の添加量を決める必要があり、この添加量を十分に削減できない。
また、特許文献2は、特許文献1に比べて低塩基度ではあるものの、高塩基度の条件下でBlow1吹錬を行っているため、上記理由から、Blow2吹錬での新規生石灰の添加量を十分に削減できない。
このように、従来の技術では、Blow2吹錬での新規生石灰の添加量を十分に削減できないことから、Blow1吹錬とBlow2吹錬の双方で添加する新規生石灰の総添加量も、十分に削減できなかった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、Blow1吹錬後にスラグを排滓してBlow2吹錬を行うに際し、新たに添加する生石灰の添加量を従来よりも削減可能な溶銑の精錬方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る溶銑の精錬方法は、転炉型容器内の溶銑にCaO源を添加して上吹き送酸するBlow1吹錬(第1の吹錬)により脱P溶湯を溶製した後、生成したスラグを排滓し、前記脱P溶湯に新たに生石灰を添加して上吹き送酸するBlow2吹錬(第2の吹錬)を行う溶銑の精錬方法において、
前記CaO源として、CaOを含む造塊スラグ及び生石灰のいずれか一方又は双方を含む副原料を用い、
前記Blow1吹錬後の前記スラグを、Al濃度:3.5質量%以上8質量%以下(但し、8.0質量%を除く)、塩基度:0.8以上1.2以下とし、
前記Blow1吹錬後の前記スラグの排滓を、該Blow1吹錬で生成した前記スラグの総質量を100質量%として50質量%以上80質量%以下の範囲で行う(但し、前記スラグの排滓の途中で銑鉄及び酸化鉄を前記スラグへ投入し、前記スラグを再びフォーミングさせた後に前記転炉型容器を傾動して排滓を行う場合を除く)
本発明に係る溶銑の精錬方法において、前記CaO源として更に、過去の溶銑の精錬で発生した脱炭スラグを用いることが好ましい。
本発明に係る溶銑の精錬方法は、Blow1吹錬後のスラグを、Al濃度:3.5〜8質量%(但し、8.0質量%を除く)、塩基度:0.8〜1.2とするので、Blow1吹錬後のスラグの排滓率(中間排滓率)と、Blow2吹錬へのスラグとしての持ち込みP量のバラツキを、従来よりも低減できる。そして、このBlow1吹錬後のスラグの排滓を、スラグの総質量の50〜80質量%の範囲で行う(但し、前記スラグの排滓の途中で銑鉄及び酸化鉄を前記スラグへ投入し、前記スラグを再びフォーミングさせた後に前記転炉型容器を傾動して排滓を行う場合を除く)ので、Blow2吹錬で新たに添加する生石灰の添加量を十分に削減でき、Blow1吹錬とBlow2吹錬の双方で添加する新たな生石灰の添加量も、従来よりも削減できる。
溶銑の精錬方法の説明図である。 中間排滓率の算出のための説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、溶銑の精錬方法の概要について、図1を参照しながら説明する。
容器10から転炉型容器11内へ溶銑12を装入する(装入工程)。
この転炉型容器11内の溶銑12にCaO源を添加し、ランス13を用いて上吹き送酸するBlow1吹錬により、脱P溶湯14を溶製する。なお、Blow1吹錬では、主として脱P処理が行われる(Blow1工程)。
次に、転炉型容器11を傾動させ、Blow1吹錬で生成した炉内のスラグ15を、炉口16から排滓する(中間排滓工程)。
そして、中間排滓後の脱P溶湯14に、新たに生石灰(以下、新規生石灰とも記載する)を添加し、ランス13を用いて上吹き送酸するBlow2吹錬を行う。なお、Blow2吹錬では、主として脱C処理が行われるが、脱P処理も行われる(Blow2工程)。
転炉型容器11を傾動させ、脱P処理と脱C処理を行った溶鋼17を、出鋼口18から出鋼する(出鋼工程)。
前記したように、従来技術では、Blow1吹錬において、スラグを高塩基度化して脱P処理を高効率化しているが、この高塩基度化はスラグの中間排滓率のバラツキを招くことから、中間排滓率が悪い場合(Blow2吹錬へのスラグによるPの持ち込み量が多い場合)に合わせて、Blow2吹錬で新たに添加する生石灰の添加量を決めることが必要となる。
本発明者らは、Blow1吹錬時のスラグを従来よりも低塩基度化し(脱P効率はやや下げて)、スラグの中間排滓率を安定化させ、Blow2吹錬へのスラグによるPの持ち込み量のバラツキをなくすことで、Blow2吹錬での新規生石灰の添加量を安定して削減できることに想到した。
これにより、Blow1吹錬とBlow2吹錬の双方で添加する新規生石灰の総添加量を、従来に比べて顕著に削減できることを新たに見出した。
即ち、本発明の一実施の形態に係る溶銑の精錬方法は、Blow1吹錬で添加するCaO源として、CaOを含む造塊スラグ(造塊滓)及び生石灰のいずれか一方又は双方を含む副原料を用い、Blow1吹錬後のスラグを、Al濃度:3.5質量%以上10質量%以下、塩基度:0.8以上1.2以下とし、Blow1吹錬後のスラグの排滓、即ち中間排滓率を、このBlow1吹錬で生成したスラグの総質量を100質量%として50質量%以上80質量%以下の範囲で行う方法である。以下、詳しく説明する。
[1]中間排滓率のバラツキ抑制について
スラグが低融点化すると液相率が向上する。
液相化したスラグは、Blow1吹錬の末期において、フォーミング性が良く、中間排滓時の転炉型容器の傾転初期から排滓が開始し、傾転末期(脱P溶湯の漏出直前)まで排滓が安定して継続する。この結果、安定した中間排滓率を実現することができる。
しかし、スラグの融点が高い場合、液相率やフォーミングの発生状況の再現性が、処理チャージによって悪くなる。この原因としては、添加した造塊スラグや新たな生石灰の添加状況、送酸による溶湯の撹拌状況、等が考えられるが、明確ではない。
また、液相率やフォーミングの発生状況がばらつくと、傾転末期のみで排滓が行われる場合も発生し、中間排滓率がばらつく。
そこで、低融点スラグ組成を確保するため、前記したように、Blow1吹錬後のスラグのAl濃度(アルミナ濃度)と塩基度((スラグ中のCaO質量%)/(スラグ中のSiO質量%):以下、単にC/Sとも記載する)を規定した。
ここで、スラグのAl濃度が3.5質量%未満の場合、スラグ融点の低下が不足するため、フォーミング発生のバラツキの原因となる。また、スラグの滓化が不足するため脱P反応も進み難い。
一方、スラグのAl濃度が10質量%超であっても、必要なスラグ融点の低下は達成できるが、相対的にCaO量が減少するため、脱P性が低下する。
以上のことから、Blow1吹錬後のスラグのAl濃度を、3.5質量%以上10質量%以下(好ましくは、上限を8質量%、更には5質量%)とした。
このスラグのAl濃度(アルミナ成分)の制御には、造塊スラグの使用が有効である。これは、造塊スラグが一般に、アルミナ成分を多量に含むことによる。
なお、造塊スラグは、プリメルト品と実質的に同等であるため滓化し易く、CaOも含むためCaO源としても有効である。
また、スラグの塩基度が0.8未満の場合、スラグ中のCaO量がSiO量に対して減少し、Blow1吹錬における脱P性が顕著に悪化する。
一方、スラグの塩基度が1.2超の場合、スラグ融点の低下が不足し、フォーミング状況や中間排滓率のバラツキにつながる。
以上のことから、Blow1吹錬後のスラグの塩基度を、0.8以上1.2以下(好ましくは、下限を0.85)とした。
このスラグの塩基度の制御には、CaO源として生石灰(CaO)を使用できる。
また、CaO源として更に、過去の溶銑の精錬で発生した脱炭スラグを用いることもできる。この脱炭スラグは、過去の溶銑の精錬において、Blow2吹錬後に得られるスラグであり、溶解状態のものでもよく、また、固体状態(石ころ状)のものでもよい。
[2]中間排滓率について
上記したように、Blow1吹錬後のスラグのAl濃度と塩基度を規定して、中間排滓率のバラツキを抑制したとしても、Blow2吹錬時に添加する新規生石灰を有効活用するには、中間排滓率に適正値が存在することを、本発明者らは明らかにした。
即ち、前記したように、Blow1吹錬で生成したスラグの総質量を100質量%として50質量%以上80質量%以下の範囲で中間排滓を行う必要がある。
なお、中間排滓率の調整は、例えば、オペーレータ(作業者)が、上記した転炉型容器11の傾動角度を調整することで実施できる。
ここで、中間排滓率が50質量%未満の場合、Blow2吹錬に持ち込まれるP濃度が増加し、復Pが発生するため、脱C時の新規生石灰の添加量が増加する。
一方、中間排滓率が80質量%超の場合、Blow1吹錬からBlow2吹錬へのスラグの持ち込み量が減少するため、Blow2吹錬時に添加する新規生石灰の滓化に必要なSiO量やAl量が不足する。この結果、Blow2吹錬時に添加した新規生石灰の滓化不良が発生し、脱Pのバラツキが発生するため、新規生石灰を多く添加する必要があり、新規生石灰の添加量の削減ができない。
即ち、新規生石灰の滓化不良を防ぐためには、Blow1吹錬から適量のスラグを持ち越す必要がある。
上記した中間排滓率の算出方法について、以下に説明する。
中間排滓率とは、Blow1吹錬後に生成したスラグ(滓)を、中間排滓にて、Blow2吹錬に装入(持ち越し)せずに、Blow1吹錬後に生成した全スラグ量から除去したスラグ量の割合を指す。なお、スラグの秤量を行わない場合は、中間排滓率を定量化するために、SiOの収支計算から求めるとよい。
以下、この計算方法例について、図2を参照しながら説明する。
Blow1工程からBlow2工程までの、SiO収支計算(マスバランス計算)を行い、中間排滓率の定量化を行う。
Blow1工程では、Si(溶銑やスクラップ等に存在)とSiO(副原料等に存在)が、精錬開始時に転炉型容器に装入(図2中のBlow1装入)され、Blow1吹錬が実行される。
Blow1工程が終了すると、SiとSiOは全て、SiOとして全量スラグに移行する(図2中の(I):Blow1吹錬後)。
全量スラグに移行したSiOは、中間排滓時に除去されるもの(炉外へ排出されるもの)と、未排滓のもの(炉内に残留するもの)に分かれ(図2中の(II):中間排滓後)、未排滓のものは全てBlow2工程の転炉型容器に装入される。
なお、図2中のBlow2吹錬後は、Blow2工程が終了した後の転炉型容器内のSiO量を示している。即ち、上記した未排滓のもの(図2中の(III))と、Blow2工程で新たに生成したもの(Blow2装入)である。
以上のことから、Blow2吹錬後の上記した未排滓のSiO(図2中の「B」)と、Blow1装入のSiO(図2中の「A」)との質量比「{1−(B/A)}×100」が、中間排滓率(質量%)と、定義される。
そこで、スラグ成分は判明値であるため、中間排滓率をa(=1−(B/A))とし、このa(単位:−)を未知数として式(1)で定義した。なお、後述する式(2)と式(3)を含め、用いる記号は以下の表1に示す通りである。
Figure 0006844267
即ち、式(1)で定義した中間排滓率aは、Blow1工程からBlow2工程へ持ち越したSiO量(式(1)左辺)と、Blow2工程のスラグの総質量(トン)中のSiO質量からBlow2で装入したSiO質量を引いた質量(式(1)の右辺)とを、等量とする式で表せる。
SiO2 Blow1×(1−a)=SWBlow2×SCSiO2 Blow2−WSiO2 Blow2 ・・・(1)
SiO2 Blow1:Blow1工程で転炉型容器内に装入したSiO量(トン)。SiO換算した溶銑やスクラップに含まれる金属Si(SiO量に換算)と、副原料に含まれるSiOの合計値。
SWBlow2:Blow2工程におけるスラグの質量(トン)。
SCSiO2 Blow2:Blow2吹錬後のスラグのSiO濃度(質量%)。
SiO2 Blow2:Blow2工程で転炉型容器内に装入したSiO量(トン)。スラグリサイクル(造塊スラグや脱炭スラグ)及び/又は珪石等の副原料に含まれるSiOの合計値。なお、Blow1工程から持ち越したスラグに含まれるSiO量は除く。
上記した式(1)の未知数となるBlow2工程での炉内スラグの質量(SWBlow2)を、式(3)より導出する。なお、式(3)で用いるSWBlow1は、式(2)より導出する。この導出には、Blow1工程とBlow2工程のスラグ中のCaO濃度及びSiO濃度(単位は質量%)と、主原料及び副原料から装入するCaO総質量及びSiO総質量(単位はトン)を、それぞれ用いる。
SWBlow1=(WCaO Blow1+WSiO2 Blow1)/(SCCaO Blow1+SCSiO2 Blow1) ・・・(2)
SWBlow2={(1−a)×SWBlow1×(SCCaO Blow1+SCSiO2 Blow1)+(WCaO Blow2+WSiO2 Blow2)}/(SCCaO Blow2+SCSiO2 Blow2) ・・・(3)
CaO Blow1:Blow1工程で転炉型容器内に装入したCaO量(トン)。造塊スラグ及び/又は生石灰の副原料に含まれるCaOの合計値。
SCCaO Blow1:Blow1吹錬後のスラグのCaO濃度(質量%)。
SCSiO2 Blow1:Blow1吹錬後のスラグのSiO濃度(質量%)。
SWBlow1:Blow1工程におけるスラグ質量。
CaO Blow2:Blow2工程で転炉型容器内に装入したCaO量(トン)。スラグリサイクル及び/又は生石灰の副原料に含まれるCaOの合計値。
SCCaO Blow2:Blow2吹錬後のスラグのCaO濃度(質量%)。
SCSiO2 Blow2:Blow2吹錬後のスラグのSiO濃度(質量%)。
以上の計算から、中間排滓率を算出できる。
また、Blow2吹錬中の脱P実施のためには、Blow2吹錬での新規生石灰の添加を、以下に示す式に基づいて行う。
Blow2吹錬で投入する新規生石灰量は、Blow2吹錬における脱Pに必要とする脱P巾から計算される。
この脱P巾は、Blow2吹錬終了時の「目標P」(例えば、製品に要求されている成分スペックに相当)とインプットするP「溶銑P」から計算されるため、これらを項とした以下に示す式(4)〜式(6)から、Blow2吹錬での新規生石灰量を決定する。
(Blow2吹錬での新規生石灰量)={(中間排滓後[P])−(目標[P])}×α ・・・(4)
(中間排滓後[P])=(Blow1吹錬後[P])+{100%−(中間排滓率(%))}×{(溶銑[P])−(Blow1吹錬後[P])} ・・・(5)
(Blow1吹錬後[P])=(溶銑[P])×{100%−(Blow1吹錬の脱P率(%))} ・・・(6)
ここで、αは0.1〜0.4(過去の実績値から得られた吹錬の工程能力に応じた定数)、[P]は溶鉄中に含まれるP濃度(質量%)、である。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
実験条件
1)主原料の条件
a)量
下記の装入物を用い、合計で300〜400トンの溶湯を転炉(転炉型容器)で溶製した。
・溶銑の装入量:250〜350トン
・冷銑の装入量:0又は0を超え50トン以下
・スクラップの装入量:0又は0を超え100トン以下
b)転炉に装入した溶銑の主要成分
・C:3.0〜5.0(質量%)
・Si:10〜100(×10−2質量%)
・Mn:5〜10(×10−2質量%)
・P:50〜200(×10−3質量%)
・S:1〜20(×10−3質量%)
2)副原料(副材)の条件
・投入銘柄:生石灰、石灰石、珪石、MgO、炭材、スラグリサイクル(脱炭スラグや造塊スラグ)
・投入方法:上方添加
3)転炉の形態
・上底吹転炉
・上吹条件/送酸速度:40000〜95000(Nm/hr)
・底吹条件/底吹ガス種:O、CO、N、LPG
上記した実施条件を基にして実施した試験条件と試験結果を、表2に示す。
Figure 0006844267
表2中の「%」は、全て「質量%」を意味する。
表2中の「Blow1吹錬」の「脱P率(%)」は、以下の式で示される。
{1−(Blow1吹錬の吹き止め時の溶湯の到達P濃度(質量%))/(吹錬開始前(Blow1吹錬開始前)の溶湯P濃度(質量%))}×100
表2中の「Blow2吹錬」の「目標P濃度」は、「中間排滓率」の「最小値」を実施したときの溶鋼のP濃度である。なお、「中間排滓率」の「最小値」と「最大値」はそれぞれ、同様の操業を実施した際の中間排滓率のバラツキの最小値と最大値である。
表2中の「新規生石灰」の単位である「kg/t」は、溶湯1トンあたりの新規生石灰の添加量である。なお、「新規生石灰」の「Blow1+Blow2」とは、「Blow1吹錬」と「Blow2吹錬」の「新規生石灰」の合計量である。
表2中の「新規生石灰」の「評価」は、28(kg/t)以下を「少」(新規生石灰の添加量を十分に削減できた)とし、28(kg/t)超を「多」(新規生石灰の添加量を削減できなかった)とした。
まず、Blow1吹錬後のスラグのAl濃度が、新規生石灰の添加量に及ぼす影響について、実施例1、参考例と比較例1、2を参照しながら説明する。なお、実施例1、参考例と比較例1、2のBlow1吹錬後のスラグの塩基度(C/S)は、1.2とした。
表2に示すように、実施例1、参考例は、Al濃度を適正範囲内(3.5〜10%)としたため、中間排滓率のバラツキを抑制できた。そして、中間排滓率を適正範囲内(50〜80%)にすることで、目標P濃度15×10−3%を達成するために必要な「Blow2吹錬」の新規生石灰の添加量を26.7(kg/t)に削減でき、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰の添加量を26.7(kg/t)に削減できた。
一方、比較例1は、Al濃度を上記した適正範囲の下限値未満(3.0質量%)としたため、スラグの滓化が不足して、中間排滓率が上記した適正範囲の下限を逸脱し(40〜70%)、また、脱P反応も進み難くなった(脱P率:30%)。このため、目標P濃度達成のために必要な「Blow2吹錬」の新規生石灰の添加量を29.8(kg/t)まで増加させる必要があり、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰量も増加した。
また、比較例2は、Al濃度を適正範囲の上限値超(12質量%)としたため、相対的にCaO量が減少して脱P性が低下した(脱P率:30%)。このため、目標P濃度達成のために必要な「Blow2吹錬」の新規生石灰の添加量を28.7(kg/t)まで増加させる必要があり、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰量も増加した。
次に、Blow1吹錬後のスラグの塩基度が、新規生石灰の添加量に及ぼす影響について、実施例1、と比較例3、4を参照しながら説明する。なお、実施例1、と比較例3、4のBlow1吹錬後のスラグのAl濃度は、3.5とした。
表2に示すように、実施例1、は、塩基度を適正範囲内(0.8〜1.2)としたため、中間排滓率のバラツキを抑制できた。そして、中間排滓率を上記した適正範囲内にすることで、目標P濃度達成のために必要な「Blow2吹錬」の新規生石灰の添加量を26.7(kg/t)に削減でき、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰の添加量を26.7(kg/t)に削減できた。
一方、比較例3は、塩基度を適正範囲の下限値未満(0.5)としたため、脱P性が顕著に悪化した(脱P率:30%)。このため、目標P濃度達成のために必要な「Blow2吹錬」の新規生石灰の添加量を28.7(kg/t)まで増加させる必要があり、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰量も増加した。
また、比較例4は、塩基度を適正範囲の上限値超(1.5)としたため、Blow1吹錬で新規生石灰を添加する必要があり、また、高塩基度とすることで中間排滓率がばらついた(45〜90%)。このため、目標P濃度達成のため、「Blow1吹錬」で新規生石灰を3(kg/t)添加する必要があり、また、「Blow2吹錬」で新規生石灰を26.6(kg/t)添加する必要があり、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰の添加量を29.6(kg/t)に増加させる必要があった。
最後に、スラグの中間排滓率が、新規生石灰の添加量に及ぼす影響について、実施例1と比較例5、6を参照しながら説明する。なお、実施例1と比較例5、6のBlow1吹錬後のスラグのAl濃度は3.5とし、スラグの塩基度は1.2とした。
前記したように、実施例1は、Al濃度と塩基度をそれぞれ上記した適正範囲内としたため、中間排滓率のバラツキを抑制できた。そして、中間排滓率を上記した適正範囲内にすることで、目標P濃度達成のため、「Blow1+Blow2」の新規生石灰の添加量を26.7(kg/t)に削減できた。
一方、比較例5は、中間排滓率を、適正範囲の上限を超えた範囲(90〜100%)に調整したため(Blow1吹錬後にスラグのほとんど全部を排滓したため)、目標P濃度達成のために必要な「Blow2吹錬」の新規生石灰の添加量を30.7(kg/t)まで増加させる必要があり、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰量も増加した。
また、比較例6は、中間排滓率を、適正範囲の下限を逸脱する範囲(40〜70%)に調整したため、Blow2吹錬に持ち込まれるP量が多くなり、目標P濃度達成のために必要な「Blow2吹錬」の新規生石灰の添加量を28.3(kg/t)まで増加させる必要があり、その結果、「Blow1+Blow2」の新規生石灰量も増加した。
以上のことから、本発明の溶銑の精錬方法を用いることで、Blow1吹錬後にスラグを排滓してBlow2吹錬を行うに際し、新たに添加する生石灰の添加量を従来よりも削減できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の溶銑の精錬方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
10:容器、11:転炉型容器、12:溶銑、13:ランス、14:脱P溶湯、15:スラグ、16:炉口、17:溶鋼、18:出鋼口

Claims (2)

  1. 転炉型容器内の溶銑にCaO源を添加して上吹き送酸するBlow1吹錬により脱P溶湯を溶製した後、生成したスラグを排滓し、前記脱P溶湯に新たに生石灰を添加して上吹き送酸するBlow2吹錬を行う溶銑の精錬方法において、
    前記CaO源として、CaOを含む造塊スラグ及び生石灰のいずれか一方又は双方を含む副原料を用い、
    前記Blow1吹錬後の前記スラグを、Al濃度:3.5質量%以上8質量%以下(但し、8.0質量%を除く)、塩基度:0.8以上1.2以下とし、
    前記Blow1吹錬後の前記スラグの排滓を、該Blow1吹錬で生成した前記スラグの総質量を100質量%として50質量%以上80質量%以下の範囲で行うことを特徴とする溶銑の精錬方法(但し、前記スラグの排滓の途中で銑鉄及び酸化鉄を前記スラグへ投入し、前記スラグを再びフォーミングさせた後に前記転炉型容器を傾動して排滓を行う場合を除く)
  2. 請求項1記載の溶銑の精錬方法において、前記CaO源として更に、過去の溶銑の精錬で発生した脱炭スラグを用いることを特徴とする溶銑の精錬方法。
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