JPH116006A - 転炉への副原料投入方法 - Google Patents

転炉への副原料投入方法

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JPH116006A
JPH116006A JP15496897A JP15496897A JPH116006A JP H116006 A JPH116006 A JP H116006A JP 15496897 A JP15496897 A JP 15496897A JP 15496897 A JP15496897 A JP 15496897A JP H116006 A JPH116006 A JP H116006A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、転炉吹錬の初期から迅速滓化を円滑
に行い、転炉耐火物の溶損防止、スピッティングとダス
トの発生抑制による溶銑歩留の向上を図る転炉への副原
料投入方法を提供することを目的としている。 【解決手段】転炉内の溶銑に、焼石灰、軽焼ドロマイ
ト、生ドロマイト、蛇紋岩、造塊滓及び蛍石を投入して
滓化し、生じたスラグと溶銑間のスラグ−メタル反応を
酸素吹錬下で行わせるに際し、全吹錬時間の20%から
60%の期間内に焼石灰を投入をし、且つその期間内で
全投入焼石灰量を複数回に均等分割して投入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転炉への副原料投
入方法に関し、特に、予備処理後の溶銑を転炉で精錬す
るに際し、使用する多種の造滓剤のうちから適切なもの
を、適切な時期に適切な量だけ転炉へ投入し、それらの
滓化を円滑、且つ安定して行う技術である。
【0002】
【従来の技術】近年の転炉製鋼では、酸素上吹き機能に
加え、炉底から酸素、窒素、CO,CO2 、あるいはア
ルゴン・ガスを吹込む機能を備えた所謂複合転炉が一般
に用いられるようになった。この複合転炉は、脱炭速度
を向上させ、それに伴って酸素使用量の低減をもたらし
た。そして、この優れた脱炭特性をさらに高める観点か
ら、予め脱珪、脱硫、脱燐処理(以下、予備処理とい
う)を施した溶銑を使用すれば、転炉の負荷が軽減し、
上記効果が一層向上することが期待された。そのため、
最近の転炉製鋼では、使用する溶銑のうちの90%が予
備処理を施され、所謂脱燐銑を用いての吹錬が多くなっ
ている。
【0003】ところで、脱燐銑は、予備処理を施してい
ない通常の溶銑に比べ、転炉吹錬における初期滓化が遅
いという問題がある。溶銑中のSi含有量も低いので、
初期滓化の核となるSiO2 の生成量が少ないからであ
る。そのため、現在の転炉操業では、造滓剤(以下、副
原料ともいう)を過剰に投入し、必要以上の脱燐を行っ
てしまう傾向にある。
【0004】また、現在の転炉操業では、転炉耐火物の
溶損防止の観点から、出鋼時の数回に1回は、スラグの
一部を転炉に残留させ、それに軽焼ドロマイトを加えて
転炉を傾動させる所謂スラグ・コーティングを行ってい
る。従って、このスラグ残しの有無が、初期滓化に重要
な影響を与え、チャージ毎の滓化にバラツキを起こすと
いう別の問題もある。なお、軽焼ドロマイトを加えるの
は、転炉耐火物(MgO系)の溶損防止にとり、吹錬中
はスラグが常にMgO過飽和であることが必要なためで
ある。
【0005】さらに、現在の転炉操業では、図6に示す
ように、溶鋼5を覆うスラグ6の絶対量が少ないので、
吹錬中に溶鋼の所謂スピッティング9が起こったり、ダ
スト10を発生させ易い傾向もある。このスピッティン
グ9は、転炉1内での地金付き8を大にして溶鋼ロスを
増大させ、ダスト発生も同様の意味があるので、適正な
滓化とスラグ量の確保は、転炉操業にとって重要な課題
となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
を鑑み、転炉吹錬の初期から迅速滓化を円滑に行い、転
炉耐火物の溶損防止、スピッティングとダストの発生抑
制による溶銑歩留の向上を図る転炉への副原料投入方法
を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、従来から行われている転炉への副原料の投
入方法を、平衡論に基づき造滓剤の組成から融点を計算
するソフト(ChemSageと呼ばれて市販され、投
入する各副原料の化学組成から多元系平衡状態図を計算
で求めるものである)を用いた解析と、多数の実験とを
繰り返して、見直した。そして、その成果を本発明とし
て具現化した。
【0008】すなわち、第1の本発明は、転炉内の溶銑
に、焼石灰、軽焼ドロマイト、生ドロマイト、蛇紋岩、
造塊滓及び蛍石を投入して滓化し、生じたスラグと溶銑
間のスラグ−メタル反応を酸素吹錬下で行わせるに際
し、全吹錬時間の20%から60%の期間内に焼石灰を
投入をし、且つその期間内で全投入焼石灰量を複数回に
均等分割して投入することを特徴とする転炉への副原料
投入方法である。
【0009】また、第2の本発明は、蛇紋岩を、上記焼
石灰の投入期間内で複数回に分割して投入することを特
徴とする転炉への副原料投入方法である。さらに、第3
の本発明は、蛍石を、全吹錬期間の当初から30%まで
に投入し、且つその期間内で複数回に分割して投入する
ことを特徴とし、第4の本発明及び第5の本発明とし
て、軽焼ドロマイト及び造塊滓を、全吹錬期間の当初か
ら10%までに投入させたり、あるいは生ドロマイト
を、全吹錬期間の25%から30%までに投入するよう
にした。
【0010】加えて、第6の本発明は、出鋼時のスラグ
残しの有無に応じて、投入する副原料量を変更すること
を特徴とする転炉への副原料投入方法であり、さらに加
えて第7番目の本発明として、上記銑鉄を、予備処理後
の溶銑とすることを特徴とする転炉への副原料投入方法
でもある。本発明では、転炉への副原料の投入を上記の
構成で行うようにしたので、転炉吹錬の初期から迅速滓
化が円滑に行なえるようになる。その結果、転炉耐火物
の溶損防止、スピッティングとダストの発生抑制による
溶銑歩留の向上ばかりでなく、使用する副原料量や合金
鉄量の削減も可能となった。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、発明をなすに至る経緯も
含め、本発明の内容を説明する。従来、転炉吹錬におけ
る副原料の投入は、200トン転炉を代表例として示す
と、図2のように行われている(投入タイミングを▼マ
ークで示す)。すなわち、全吹錬時間を10分割して%
で表示するが、 焼石灰: 5〜50%の期間内で分割投入、一回当たりの投入基準量 500kg 軽焼ドロマイト: 吹錬当初から15%までの期間、0.7トン/分で連続投 入 生ドロマイト: 25%から35%の期間、0.7トン/分で連続投入 蛇紋岩: 吹錬当初から40%の期間までに投入終了 造塊剤: 全量事前秤量で当初に一括投入 蛍石: 10〜80%の期間に分割投入、一回当たりの投入基準量 150kg これを脱燐溶銑の吹錬に適用した場合の前記Chem
Sageでの解析結果を表1に示す。また、CaO溶解
度(滓化率R’ともいう)(%)の吹錬中の推移を図3
に示す。
【0012】表1及び図3より、この脱燐溶銑の吹錬で
は、R’は吹錬期間の60%を経過しても30%を下回
っている。つまり、投入した副原料中のCaO分の30
%以下しか溶解していない。しかも、これは計算結果で
あって、実際の吹錬ではもっと低いものと思われる。
【0013】
【表1】
【0014】また、吹止時に溶解しているCaOを10
0として、吹錬途中で溶解しているCaO量を求め、図
4に示す。図4より、吹錬初期(10〜30%)では、
吹止時の溶解CaOの35%程度が溶解の限界であるこ
とがわかる。つまり、その時期では、総CaO投入量の
約35%程度しか滓化していない。ところが、通常の実
操業では、事前投入の焼石灰を含めると、この時期まで
に総CaO投入量の70%が投入される。従って、従来
の操業では、吹錬初期でCaOが過剰投入になってい
る。
【0015】そこで、発明者は、CaO分の適切な量を
適切な時期に投入することを鋭意試行し、前記第1の本
発明を完成させたのである。第1の本発明で、全吹錬時
間の20%から60%の期間内に焼石灰を投入するの
は、20%未満ではCaOが過剰投入になり、かえって
生成したスラグの温度を低下し、滓化の障害となり、6
0%を超えて投入すると、吹止時でも滓化せずに固体で
残存するものがあるからである。また、一回当たりの投
入量は、400kg程度とし、複数回の分割投入が好ま
しい(単位に問題あり、溶鋼トン当たりにする)。投入
量と滓化速度がマッチングし、適切な滓化ができるから
である。
【0016】次に、上記CaOの溶解促進には、SiO
2 の共存が不可欠なことから上記第2の本発明を完成し
た。できるだけ早く、スラグ−メタル反応に必要なスラ
グ組成にするためである。また、CaOやSiO2 の溶
解に際しては、できるだけ低い温度での溶解が、滓化促
進の観点から望ましい。そこで、第3の本発明では、そ
れらの混合物の融点が低下するよう、蛍石を、全吹錬期
間の当初から30%までに投入して、焼石灰や蛇紋岩の
溶解を助けるベースとなるスラグを予め形成させておく
ようにした。さらに、第4〜第5の本発明でも、スラグ
の融点は多成分系ほど低下するので、このベースとなる
スラグの融点を下げるため、軽焼ドロマイト、造塊滓を
生全吹錬期間の当初から10%までに投入するようにし
たり、あるいは生ドロマイトも吹錬の初期に投入するよ
うにした。ここで、造塊滓とは、取鍋から回収したスラ
グのことである。
【0017】なお、軽焼ドロマイトや生ドロマイトは、
転炉の内張り耐火物がMgO系であるので、その溶損防
止の観点からも早期の滓化が好ましい。但し、生ドロマ
イトは、吹錬当初から投入しても冷却能が高いため、従
来どおりの全吹錬期間の25%から30%までに投入す
るようにした。この第5の本発明に係る副原料投入方法
の一例をパターン化して図1に示す。すなわち、それ
は、下記のように説明される。 焼石灰: 20〜50%の期間内で分割投入、一回当たりの投入基準 量400kg 軽焼ドロマイト: 吹錬当初から10%までの期間、0.7トン/分で連続投 入 生ドロマイト: 25%から30%の期間、0.7トン/分で連続投入 蛇紋岩: 上記焼石灰の投入期間内で複数回に分割投入 造塊剤: 全量事前秤量で当初から10%の時期に投入 蛍石: 全吹錬期間の25%〜30%に投入、一回当たりの投入基 準量150kg 加えて、本発明としては、出鋼時のスラグ残しの有無に
応じて、投入する副原料の量を変更することも配慮し
た。つまり、出鋼時に全量排滓された後のチャージで
は、初期滓化でのスラグ組成がスラグ残しがあるチャー
ジでのものとは異なり、CaOの滓化遅れやバラツキ、
スラグ組成のバラツキ、脱燐不良やスラグ中MgOの未
飽和(耐火物溶損防止のためには、吹錬中は過飽和であ
ることが必須)が生じるからである。例えば、図5に、
スラグ残しの有無により、その後のチャージでのCaO
溶解度R’の違いを示しておく。
【0018】そこで、かかる場合、スラグ残し後チャー
ジでの滓化の核に代わるものを、副原料で補う必要があ
る。そこで、副原料中の一部のものを下記のような基準
で投入するようにして、その投入方法を第6の本発明と
したのである。その際、スピッティング防止、耐火物保
護の観点から、スラグ中のAl23 を4wt%,初期
塩基度を3〜4とするように配慮している。
【0019】軽焼ドロマイト(kg/t)=焼石灰(k
g/t)×0.29 蛇紋岩(kg/t)=焼石灰(kg/t)×0.22 造塊滓(kg/t)=焼石灰(kg/t)×0.39 蛍石(kg/t)=焼石灰(kg/t)×0.12 さらに加えて、以上述べた第1〜第6の本発明は、溶銑
予備処理を経ない通常の溶銑にも適用できるので、予備
処理後の溶銑を吹錬する場合を特に第7の本発明とし
た。
【0020】
【実施例】
(実施例1)図1に示した本発明に係る副原料の投入方
法を、溶銑予備処理後の所謂脱燐溶銑の吹錬に適用し、
極低炭素鋼を溶製した。使用した転炉1は、通称LD−
KGCと呼ばれ、MgO系耐火物2を内張りした、酸素
を上吹き、不活性ガスを底吹きする機能(ノズル又はラ
ンス)3、4を備えたものである(図6参照)。この操
業は、スラグ残し後のチャージとして行われた。なお、
使用した溶銑量は200トンであり、上吹き酸素流量は
450Nm3 /min、底吹きアルゴン・ガス流量は4
Nm3 /min、吹錬中の溶銑温度は1250〜165
0℃であった。 (実施例2)実施例1と同じ転炉で、予備処理を施さな
かった通常の溶銑を、スラグ残し後のチャージとして吹
錬した。実施例1と同じ転炉で、同一の脱燐溶銑を、全
量排滓した後のチャージで吹錬した。 (従来例)実施例1と同じ転炉で、従来の副原料投入法
に従い、複数チャージの吹錬を行った。
【0021】なお、上記の操業条件及び操業結果を、表
2及び表3に一括して示す。また、使用した溶銑の化学
組成は表4の通りである。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】表3より、以下のことが明らかになり、本
発明の有効なことが確認された。表3によれば、本発明
より副原料削減と滓化率歩留向上がみられ、また、スラ
グ残無しの場合でも滓化率は向上している。なお、上記
実施例は、本発明をLD−KGC型転炉に適用したもの
であるが、本発明は、その他型式の転炉においても適用
できることは言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、転炉
吹錬の初期から迅速滓化が円滑に行なえるようになる。
その結果、転炉耐火物の溶損防止、スピッティングとダ
ストの発生抑制による溶銑歩留の向上ばかりでなく、使
用する副原料量や合金鉄量の削減も可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る副原料投入方法の一例を示すパタ
ーン図である。
【図2】従来の副原料投入方法を示すパターン図であ
る。
【図3】脱燐溶銑を吹錬中の滓化率の推移を示す図であ
る。
【図4】吹止時に溶解しているCaO量を基準にした各
吹錬時期での溶解CaO比率を示す図である。
【図5】スラグ残し後のチャージと全量排滓後のチャー
ジでのCaO溶解度の比較を示す図である。
【図6】所謂LD−KGC型転炉を示す図である。
【符号の説明】
1 転炉本体(転炉) 2 内張り耐火物 3 ガス底吹き用ノズル 4 ガス上吹き用ランス 5 溶銑又は溶鋼 6 スラグ 7 排ガス処理系 8 地金付き 9 スピッティング 10 ダスト

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転炉内の溶銑に、焼石灰、軽焼ドロマイ
    ト、生ドロマイト、蛇紋岩、造塊滓及び蛍石を投入して
    滓化し、生じたスラグと溶銑間のスラグ−メタル反応を
    酸素吹錬下で行わせるに際し、 全吹錬時間の20%から60%の期間内に焼石灰を投入
    をし、且つその期間内で全投入焼石灰量を複数回に均等
    分割して投入することを特徴とする転炉への副原料投入
    方法。
  2. 【請求項2】 蛇紋岩を、上記焼石灰の投入期間内で複
    数回に分割して投入することを特徴とする請求項1記載
    の転炉への副原料投入方法。
  3. 【請求項3】 蛍石を、全吹錬期間の当初から30%ま
    でに投入し、且つその期間内で複数回に分割して投入す
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の転炉への副原
    料投入方法。
  4. 【請求項4】 軽焼ドロマイト及び造塊滓を、全吹錬期
    間の当初から10%までに投入することを特徴とする請
    求項1〜3いずれかに記載の転炉への副原料投入方法。
  5. 【請求項5】 生ドロマイトを、全吹錬期間の25%か
    ら30%までに投入することを特徴とする請求項1〜4
    いずれかに記載の転炉への副原料投入方法。
  6. 【請求項6】 出鋼時のスラグ残しの有無に応じて、投
    入する副原料量を変更することを特徴とする請求項1〜
    5いずれかに記載の転炉への副原料投入方法。
  7. 【請求項7】 上記銑鉄を、予備処理後の溶銑とするこ
    とを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の転炉への
    副原料投入方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002294322A (ja) * 2001-03-28 2002-10-09 Nisshin Steel Co Ltd 転炉における造滓方法
CN103555879A (zh) * 2013-10-21 2014-02-05 莱芜钢铁集团有限公司 一种降低sphc终渣全铁含量的控制方法
JP2014043617A (ja) * 2012-08-27 2014-03-13 Nippon Steel & Sumitomo Metal 転炉精錬方法
KR101481603B1 (ko) * 2012-12-24 2015-01-13 주식회사 포스코 스테인레스 강 및 그 제조 방법

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