JP6844226B2 - 光重合性インクジェットインク、印刷塗工方法、印刷塗工物、組成物収容容器、及び印刷塗工装置 - Google Patents
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Description
本発明の光重合性インクジェットインクは、メタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、及びグリセロールジメタクリレートモノアセテートの少なくともいずれかである重合性モノマーと、波長365nm以上395nm以下に吸収感度を有する光重合開始剤と、を含み、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
また、本発明の光重合性インクジェットインクは、従来のインクでは、重合開始剤の光吸収スペクトルがブロードであり、狭小な特定波長域だけを照射するUV−LEDを使用すると、光重合性インクジェットインクの硬化乾燥に関しては難易度が高くなるという問題があるという知見に基づくものである。
さらに、本発明の光重合性インクジェットインクは、従来のインクでは、水又は有機溶剤を使用しており、これらの場合は水又は有機溶剤を除去するための熱源等が必要となり、省エネルギー化の観点から好ましくないという知見に基づくものである。
前記重合性モノマーは、下記構造式(1)で表されるメタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、及び下記構造式(2)で表されるグリセロールジメタクリレートモノアセテートの少なくともいずれかを含み、更に必要に応じてその他のモノマーを含む。
前記光重合開始剤としては、波長365nm以上395nm以下に対して吸収感度を有する光重合開始剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記分子開裂型光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1,2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン−〔4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、〔4−(メチルフェニルチオ)フェニル〕フェニルメタノン、2−[4−(メチルチオ)ベンゾイル]−2−(4−モルホリニル)プロパンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素引抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエイト、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、皮膚感作性が陰性であり、安価で容易に調達可能である点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントンとp−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシルとの等モル混合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンが好ましい。
前記その他の成分としては、例えば、色材、重合禁止剤、重合促進剤などが挙げられる。
本発明の光重合性インクジェットインクは、色材を含有していてもよい。前記色材としては、本発明における光重合性インクジェットインクの目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
前記色材の含有量としては、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、光重合性インクジェットインク全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。なお、本発明の光重合性インクジェットインクは、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
前記顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、前記顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤などが挙げられる。
前記染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、塩基性染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
インクジェット吐出装置のノズル近傍では、吐出温度やUVランプでの温度上昇や漏れ光などで重合反応が進みやすい環境にある。さらに、前記重合性モノマーは揮発するものもあり、揮発により重合開始剤の濃度が上昇し重合反応を加速する場合がある。また、インク内にポリエステル構造を有する重合体が配合されている場合、重合反応とともに接着性を発現するため、ノズルにインクが接着して詰まりや、曲がりなどを起こしやすく、所定の回復動作を入れても解消できないことがあった。そこで、重合禁止剤を含有することにより、前記重合性モノマーが揮発した場合でも重合反応を抑制し、吐出信頼性を向上できるため好ましい。
前記重合促進剤としては、例えば、アミンなどが挙げられる。
前記アミンとしては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸−2−ジメチルアミノエチル、p−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルなどが挙げられる。
本発明の光重合性インクジェットインクは、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に制限はなく、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、前記顔料分散液にさらに重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
本発明の光重合性インクジェットインクの粘度としては、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、25℃において2mPa・s以上150mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上18mPa・s以下がより好ましい。さらに、インクジェット吐出ヘッドに温度調節機能が使用できる場合、例えば、60℃においては、2mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上18mPa・s以下であることがより好ましい。また、省エネルギー化及び運転準備時間短縮などの点から、加温せずとも吐出できることが好ましく、30℃以上60℃以下において8mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましい。前記粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることがより好ましい。なお、前記粘度は、コーンプレート型回転粘度計(装置名:VISCOMETER TVE−22L、東機産業株式会社製)により、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃以上65℃以下の範囲で適宜設定して測定することができる。前記恒温循環水の温度調整には高精度低温循環恒温槽(装置名:VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)を用いることができる。
本発明の光重合性インクジェットインクの用途としては、活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
さらに、本発明の光重合性インクジェットインクは、2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の光重合性インクジェットインクを所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の光重合性インクジェットインク5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
また、本発明は、光重合性インクジェットインクを硬化させて得られた硬化物や、前記硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
本発明の光重合性インクジェットインクを硬化させるために用いる硬化用光源としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に制限はないく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる高圧水銀灯及びメタルハライドランプなどを使用することができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
本発明の組成物収容容器は、光重合性インクジェットインクが収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の光重合性インクジェットインクがインク用途である場合において、前記インクが収容された容器は、インクカートリッジ及びインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送及びインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されず、前記材質は、光を透過しない遮光性材料である、又は前記容器がシート等で覆われていることが好ましい。
図4に示すように、インク注入口242からインクをインク袋241内に充填し、前記インク袋中に残った空気を排気した後、前記インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成する。そして、図5に示すように、通常、プラスチック製の収容容器ケース244内に収容し、組成物収容容器200として各種印刷塗工装置に着脱可能に装着して用いる。
本発明の組成物収容容器は、印刷塗工装置に着脱可能とすることが好ましい。これにより、インクの補充や交換を簡素化でき作業性を向上させることができる。
本発明の印刷塗工方法としては、記録媒体上に付与し、インク膜を形成し、前記インク膜を発光ダイオード光により硬化させる工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。本発明の印刷塗工方法は、本発明の印刷塗工装置により好適に実施することができる。
本発明の印刷塗工装置としては、本発明の組成物収容容器を備え、更に必要に応じてその他の手段を備える。
その他の手段としては、例えば、本発明の光重合性インクジェットインクを硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射手段、及び前記活性エネルギー線を照射するための照射手段などが挙げられる。
さらに、印刷塗工方法、及び印刷塗工装置としては、前記光重合性インクジェットインクを吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた印刷塗工装置の一例を示す概略図である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット3a、3b、3c、3dにより、供給ロール1から供給された記録媒体2にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源4a、4b、4c、4dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、記録媒体2は、加工ユニット5、印刷物巻取りロール6へと搬送される。各印刷ユニット3a、3b、3c、3dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。さらに必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
記録媒体2としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
さらに、光源4a、4b、4cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源4dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックスなどの種々の材料からなる印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、プラスチック、金属、セラミックス、ガラスあるいはこれらの複合材料などが挙げられる。上質紙などの浸透性基材においては、浸透乾燥の効果が望める点から、速乾性のない水性インク及び油性インクの使用も実用的である。一方、マットコート紙、グロスコート紙、プラスチックフィルム、プラスチック成型物、セラミック、ガラス、金属などの非浸透性基材においては、速乾性を得られるインクを使用することがより実用的であり、光照射により直ちに硬化する点から好ましい。前記非浸透性基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート基材等が挙げられる。前記ポリエチレンテレフタレート基材においては、表面を活性化して密着性を向上させる目的でコロナ処理が行われる場合もあるが、そのような電気火花が発生する処理は消防法上の危険物に該当する光重合性インクジェットインクの塗工現場では通常使用することができないが、本発明の光重合性インクジェットインクにおいては、前記コロナ処理等の表面処理をしなくとも十分な密着性を得ることができる。
本発明の印刷塗工物は、記録媒体と、前記記録媒体上に印刷層と、を有する印刷塗工物であって、前記印刷層が、本発明の光重合性インクジェットインクを硬化させてなり、更に必要に応じてその他の層を有する。
前記記録媒体としては、ポリエチレンテレフタレート基材が好ましい。
前記印刷層としては、メタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、及びグリセロールジメタクリレートモノアセテートの少なくともいずれかである重合性モノマーからなる重合体を含む。
前記SI値はLLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感作性試験に従い、以下のようにして測定した。
<<陽性対照物質>>
陽性対照物質としては、α−ヘキシルシンナムアルデヒド(HCA、和光純薬工業株式会社製)を使用した。
媒体としては、アセトン(和光純薬工業株式会社製)とオリーブ油(株式会社フヂミ製薬所製)とを、体積比(アセトン:オリーブ油)=4:1で混合した混合液を使用した。
被験物質、陽性対照、媒体対照のそれぞれについて、マウスの雌に対して6日間の検疫を含む8日間の馴化を行った。検疫、馴化期間中、全ての動物に異常は認められなかった。
感作開始2日前に測定した体重を用いて、体重層別無作為抽出法により、個体の体重が全体の平均体重±20%以内となるように2群(4匹/群)に群分けした。感作開始時の動物の週齢は8週齢以上9週齢以下であった。群分けにより外れた動物は試験から除外した。
使用した動物は、試験期間を通して尾部への油性インク塗布により識別し、併せてケージはラベルをつけて識別した。
使用動物は、検疫、馴化期間中を含む全飼育期間を通して、温度21℃以上25℃以下、相対湿度40%以上70%以下、換気回数10回以上15回以下/時間、明暗サイクル12時間間隔(7時点灯、19時消灯)に設定したバリアーシステムの飼育室で飼育した。
飼育ケージはポリカーボネート製ケージを使用した。使用動物は4匹/ケージで飼育した。
飼料は、実験動物用固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社製)を使用し、使用動物に自由摂取させた。飲料水は、塩素濃度が略5ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス、株式会社オーヤラックス製)を添加した水道水を、給水びんにより、使用動物に自由摂取させた。床敷はサンフレーク(モミ材、電気かんな削りくず、日本チャールス・リバー株式会社製)を使用した。飼料及び飼育用器材は、オートクレーブ滅菌(121℃、30分間)したものをそれぞれ使用した。
ケージ及び床敷は、群分け時及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出時)に交換し、給水びん及びラックは、群分け時に交換した。
<<群構成>>
SI値の測定試験で使用した群構成を、下記表1に示す。
<<被験物質>>
被験物質の秤量条件を下記表2に示す。被験物質をメスフラスコに秤量し、媒体を加えながら1mLに定容した。調製液は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
略0.25gのHCAを正確に秤量し、媒体を加えながら1.0mLとして25.0w/v%液を調製した。調製物は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BrdU、ナカライテスク株式会社製)200mgをメスフラスコに正確に秤量し、生理食塩液(株式会社大塚製薬工場製)を加えて超音波照射し、溶解させた。その後、20mLに定容して10mg/mL液(BrdU調製液)を調製した。調製液は、滅菌濾過フィルターを用いて濾過滅菌し、滅菌容器に入れた。
陽性対照物質調製液は感作開始前日に調製し、使用時以外は冷所で保管した。媒体及び被験物質調製液は各感作日に調製した。BrdU液は、投与の2日前に調製し、投与日まで冷所に保管した。
<<感作>>
各被験物質及び陽性対照物質の調製液及び媒体を動物の両耳介にそれぞれ25μLずつ塗布した。塗布には、マイクロピペッターを用いた。この操作を1日1回、3日連続して行った。
<<BrdUの投与>>
最終感作の略48時間後に1回、BrdU調製液を動物1匹あたり0.5mL、腹腔内投与した。
<<一般状態>>
試験に使用した全動物について、感作開始日から耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)まで、1日1回以上観察した。なお、観察日の起算法は、感作開始日をDay1とした。
感作開始日及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)に体重を測定した。また、群ごとの体重の平均値及び標準誤差を算出した。
BrdU投与の略24時間後に動物を安楽死させ、耳介リンパ節を採取した。周囲組織を取り除き、両側耳介リンパ節を一括して重量測定した。また、群ごとの耳介リンパ節重量の平均値及び標準誤差を算出した。重量測定後、個体毎に−20℃に設定されたバイオメディカルフリーザーで凍結保存した。
耳介リンパ節を室温に戻した後、生理食塩液を加えながらすり潰し、懸濁させた。この懸濁液を濾過した後、個体ごとに3wellずつ、96wellマイクロプレートに分注し、ELISA法によりBrdU取り込み量の測定を行った。試薬は、市販のキット(Cell Proliferation ELISA、BrdU colorimetric、Cat.No.1647229、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を使用し、マルチプレートリーダー(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH社製)より得られた各個体の吸光度(OD370nm−OD492nm、BrdU取り込み量)について、3wellの平均値を各個体のBrdU測定値とした。
<<Stimulation Index(SI)の算出>>
下記式で示すように、各個体のBrdU測定値を、媒体対照群のBrdU測定値の平均値で除して、各個体のSI値を算出した。各試験群のSI値は、各個体のSIの平均値とした。なお、SI値は、小数点以下第2位を四捨五入して小数点第1位までを表3〜表11に示した。
(A1)成分であるメタクリロイルオキシエチルアクリルアミド100質量部、及び(C3)成分であるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド7質量部を混合攪拌し、光重合性インクジェットインク1を得た。
実施例1において、下記表3〜表11に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、光重合性インクジェットインク2〜19を得た。
作製した光重合性インクジェットインク1〜19について、以下の方法により「硬化性」を評価した。結果を下記表3〜表11に示した。
基材には、汎用的なフィルム材料として、市販のPETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名:コスモシャイン、平均厚み:188μm)を使用し、前記PETフィルムにGEN5ヘッド(株式会社リコー製)搭載のインクジェット吐出装置により、インクジェット吐出して、UV照射機(装置名:LED ZERO、インテグレーションテクノロジー社製、中心波長:395nm及び365nm、照度:1W/cm2以上3W/cm2以下)により光照射した。塗膜を指触して粘着感のない状態に達したものを硬化と判定し、インクが硬化するまでに照射した光の照射積算光量(J/cm2)を下記式1で求め、下記表3〜表11に示した。なお、使用した光重合開始剤は365nmから395nmの間に吸収感度を有するため、実施例及び比較例のインクにおいてもこの領域において吸収感度を示す。吸収感度の測定は、光重合性インクジェットインクに使用した光重合開始剤C1〜C5を、可視光紫外光分光光度計(装置名:V−570 UV/VIS/NIR Spectrophotometer、日本分光株式会社製)により、計測した。
なお、測定した光重合開始剤C1の吸光スペクトルを図6に示した。同様に、光重合開始剤C2の吸光スペクトルを図7に、光重合開始剤C3の吸光スペクトルを図8に、光重合開始剤C4の吸光スペクトルを図9に、光重合開始剤C5の吸光スペクトルを図10に、それぞれ示した。
・硬化積算光量(J/cm2)=UV照度(W/cm2)×照射時間(s)…式1
実施例2〜5、7〜9、11〜14、及び16〜18より、アシルホスフィンオキサイド化合物とチオキサントン化合物を併用することで、大気中の酸素濃度環境下で硬化性が向上することが分かった。
実施例2及び11より、光源の照度増加又は短波長化により硬化性がさらに向上することが分かった。
実施例4〜7、及び13〜16より、光重合開始剤の種類や量を変えることで硬化性をさらに向上させることがわかった。
実施例5及び14より、色材を含む場合にも十分な硬化性が得られることが分かった。
実施例8及び9、並びに実施例17及び18より、異なる種類のモノマーを併用することにより、本発明の光重合性インクジェットインクの硬化性をさらに向上できることが分かった。
実施例1、10、及び比較例1より低酸素濃度環境下において、本発明の光重合性インクジェットインクは良好な硬化性を示すことがわかった。また、実施例8及び9、並びに実施例17及び18より、異なる種類のモノマーを含む場合においても、酸素濃度の低下にともなって硬化性が向上することがわかった。
表中*2は、皮膚感作性が陽性であるが、含有量が27質量%未満ではSI値3未満となるものである。
表中*3は、皮膚感作性についてのデータ無しであるが、C3はC2に、及びC5はC4にそれぞれ構造が類似しており、低濃度で皮膚感作性が陰性であると推認できるものである。
表中*4におけるカーボンブラックは、カーボンブラック#10(三菱化学株式会社製)と、分散剤(商品名:Solsperse39000、日本ルーブリゾール株式会社製)を3:1の質量比で配合して得た。
表中*5における硬化環境酸素濃度(%)は、硬化環境酸素濃度20%は通常大気を表し、20%未満は閉鎖系における窒素置換によって調節した。
表中*6は、硬化積算光量(J/cm2)が100J/cm2照射で未硬化であったことを示す。
N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(東京化成工業株式会社製)(13.0g、113mmol)を脱水ジクロロメタン(70mL)中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン(17.2g、170mmol)を加えた。混合物を約−10℃に冷却した後、メタクリル酸クロライド(14.6g、140mmol)を、系内温度が−10℃〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、その後、2時間室温下で撹拌した。析出物を濾過によって取り除き、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(Wakogel C300 500g)により精製して、無色油状物13.0g(収率:約66%)を得た。この無色油状物は、下記1H−NMR及びIRから、下記の構造式(1)で表される化合物(A1)で表されるメタクリロイルオキシエチルアクリルアミドであることが確認された。
1H−NMR(CDCl3)δ1.95(dd,3H),3.65(t,2H),4.29(t,2H),5.58−5.62(m,1H),5.63−5.68(m,1H),6.10−6.16(m,2H),6.18−6.28(br,1H),6.25−6.23(m,1H),6.23−6.32(m,1H)
IR(NaCl)3290,3078,2959,1719,1661,1628,1558,1541,1507,1456,1407,1375,1320,1297,1245,1166,1041,986,955,814cm−1
東京化成工業株式会社製のグリセロールジメタクリレート(5.7g、25mmol)を脱水ジクロロメタン100mL中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン(3.6g、36mmol)を加えた。次に、約−10℃まで冷却した後、酢酸クロライド(2.4g、30mmol)を、系内温度が−10℃〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、室温下で2時間撹拌した。更に、析出物を濾過により除去した後、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して黄色油状物を得た。更に、Wakogel C300(和光純薬工業株式会社製)200gを充填し、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、黄色油状物を精製して、下記構造式(2)で表される(A2)グリセロールジメタクリレートモノアセテートの無色油状物3.2g(収率:約47%)を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ1.95(s,6H),2.09(d,3H),4.23−4.42(m,4H),5.35−5.42(m,1H),5.59−5.63(m,2H),6.10−6.15(m,2H)
IR(NaCl):2961,1748,1725,1638,1454,1405,1373,1323,1295,1234,1161,1098,1050,1017,946,813,651,602cm−1
<1> メタクリロイルオキシエチルアクリルアミド、及びグリセロールジメタクリレートモノアセテートの少なくともいずれかである重合性モノマーと、
波長365nm以上395nm以下に吸収感度を有する光重合開始剤と、
を含むことを特徴とする光重合性インクジェットインクである。
<2> メタクリロイルオキシエチルアクリルアミドを含む前記<1>に記載の光重合性インクジェットインクである。
<3> 前記光重合開始剤が、α―アミノケトン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、及びチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種である前記<1>から<2>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<4> 前記α―アミノケトン化合物が、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オンである前記<1>から<3>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<5> 前記アシルホスフィンオキサイド化合物が、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドの少なくともいずれかである前記<3>から<4>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<6> 前記チオキサントン化合物が、ジエチルチオキサントン、及びイソプロピルチオキサントンの少なくともいずれかである前記<3>から<5>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<7> 前記光重合開始剤の含有量が、インク中のモノマー合計100質量部に対して、7質量部以上19質量部以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<8> カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートの少なくともいずれかをさらに含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<9> 前記光重合性インクジェットインクの粘度が、25℃において、2mPa・s以上150mPa・s以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<10> 前記光重合性インクジェットインクの粘度が、60℃において、2mPa・s以上20mPa・s以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<11> カーボンブラックをさらに含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクである。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを、記録媒体上に付与し、インク膜を形成し、前記インク膜を発光ダイオード光により硬化させることを特徴とする印刷塗工方法である。
<13> 前記発光ダイオード光の中心波長が、365nm以上395nm以下である前記<12>に記載の印刷塗工方法である。
<14> 前記インク膜を硬化させる環境の酸素濃度が、大気中の酸素濃度よりも低い前記<12>から<13>のいずれかに記載の印刷塗工方法である。
<15> 前記インク膜を硬化させる環境の酸素濃度が、16%未満である前記<12>から<14>のいずれかに記載の印刷塗工方法である。
<16> 記録媒体と、前記記録媒体上に印刷層と、を有する印刷塗工物であって、
前記印刷層が、前記<1>から<11>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを硬化させてなることを特徴とする印刷塗工物である。
<17> 前記記録媒体が、ポリエチレンテレフタレート基材である前記<16>に記載の印刷塗工物である。
<18> 前記印刷層が、前記<12>から<15>のいずれかに記載の印刷塗工方法によって硬化させてなる前記<16>から<17>のいずれかに記載の印刷塗工物である。
<19> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを容器に収容してなることを特徴とする組成物収容容器である。
<20> 前記<19>に記載の組成物収容容器を備えることを特徴とする印刷塗工装置である。
200 組成物収容容器
Claims (11)
- 重合性モノマーとして、メタクリロイルオキシエチルアクリルアミドをインク全量に対して75質量%以上99質量%以下と、
光重合開始剤として、2種以上のアシルホスフィンオキサイド化合物と、
を含むことを特徴とする光重合性インクジェットインク(ただし、カーボンブラックを含有するものを除く)。 - 重合性モノマーとして、グリセロールジメタクリレートモノアセテートをインク全量に対して75質量%以上99質量%以下と、
光重合開始剤として、2種以上のアシルホスフィンオキサイド化合物と、
を含むことを特徴とする光重合性インクジェットインク。 - カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートの少なくともいずれかをさらに含む請求項1から2のいずれかに記載の光重合性インクジェットインク。
- 前記アシルホスフィンオキサイド化合物の含有量が、前記重合性モノマー100質量部に対して7質量%以上19質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の光重合性インクジェットインク。
- 前記アシルホスフィンオキサイド化合物が、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドを含有する請求項1から4のいずれかに記載の光重合性インクジェットインク。
- 請求項1から5のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを、記録媒体上に付与し、インク膜を形成し、前記インク膜を発光ダイオード光により硬化させることを特徴とする印刷塗工方法。
- 前記発光ダイオード光の中心波長が、365nm以上395nm以下である請求項6に記載の印刷塗工方法。
- 前記インク膜を硬化させる環境の酸素濃度が、大気中の酸素濃度よりも低い請求項6から7のいずれかに記載の印刷塗工方法。
- 記録媒体と、前記記録媒体上に印刷層と、を有する印刷塗工物であって、
前記印刷層が、請求項1から5のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを硬化させてなることを特徴とする印刷塗工物。 - 請求項1から5のいずれかに記載の光重合性インクジェットインクを容器に収容してなることを特徴とする組成物収容容器。
- 請求項10に記載の組成物収容容器を備えることを特徴とする印刷塗工装置。
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