JP7243069B2 - 組成物、硬化物、収容容器、像形成装置、及び像形成方法 - Google Patents
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Description
例えば、光重合性及び光硬化性に優れるエステル構造を有するアクリルアミド化合物を含む組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、塗膜硬度を向上させるため、例えば、多官能アクリレート化合物を含む組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、塗膜硬度と延伸性を両立するため、例えば、環構造を有する単官能モノマーを含む組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
本発明の組成物は、分子量が150以上350以下であり、エステル構造を有するアクリルアミド化合物(A)と、ヒドロキシフェニルケトン構造及びビスアシルオスフィンオキサイド構造の少なくともいずれかを有する重合開始剤(B)と、三官能以上の重合性モノマー(C)と、を含有し、三官能以上の重合性モノマー(C)の含有量が20質量%以上40質量%以下であり、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
皮膚感作性について安全とは、LLNA法による皮膚感作性試験において、感作性の程度を示すSI値が3以下であることを示す。上記「LLNA法」とは、OECDテストガイドラインとして定められる皮膚感作性試験であり、文献(例えば、「機能材料」2005年9月号、Vol.25、No.9、P55)に示されるように、皮膚感作性の程度を示すStimulation Index(SI値)が3以下の場合に感作性について問題なしと判断するものである。
生殖毒性について安全とは、MSDS(化学物質安全性データシート)において生殖毒性を示すR62のR警句が付記されていないことを示す。
アクリルアミド化合物(A)は、分子量が150以上350以下であり、エステル構造を有する化合物である。
アクリルアミド化合物(A)の分子量は、150以上350以下であり、150以上250以下が好ましく、150以上200以下がより好ましい。分子量が150以上の場合は、化合物の揮発による臭気を抑制することができ、インクジェット吐出の安定性を向上させることができるので好ましい。また、分子量が350以下の場合は、組成物の硬化性が優れ、硬化物の硬度も向上し、更に、組成物の粘度も高くならないので好ましい。
なお、本願明細書においては、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
アクリルアミド化合物(A1)としては、下記一般式(1)及び(2)の少なくともいずれかで表される化合物であることが好ましく、下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物であることがより好ましく、下記一般式(1)で表される化合物であることが更に好ましい。
一般式(1)中、R2は炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。R2としては、例えば、メチレン基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,1-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基などが挙げられる。
一般式(1)中、R3は炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。R3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
ただし、R1、R2及びR3の炭素数の合計は2~6である。
一般式(2)中、R4は単結合、又は炭素数1~3の直鎖若しくは分岐のアルキレン基を表す。R4としては、例えば、単結合、メチレン基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基などが挙げられる。
一般式(2)中、R5は炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。R5としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
ただし、環X、R4及びR5の炭素数の合計は3~6である。
上記の好ましい要件(粘度、色相、安全性、極性、分子量)をすべて満足するものを見出すことは困難である。本発明で用いるアクリルアミド化合物(A)は、中性で適度な極性を有するエステル構造を含むことで、上記の好ましい要件への対応が可能となることを見出したものである。
アクリルアミド化合物(A)の含有量は、硬化物の高い硬度を得るため、組成物の全量に対して、60質量%以上75質量%以下が好ましく、65質量%以上70質量%以下がより好ましい。
重合開始剤(B)としては、生殖毒性が陰性であるものが好適に用いられる。生殖毒性が陰性であるとは、MSDS(化学物質安全性データシート)において生殖毒性を示すR62のR警句が付記されていないものが必要であり、ヒドロキシフェニルケトン構造及びビスアシルオスフィンオキサイド構造の少なくともいずれかを有するものが用いられる。
ヒドロキシフェニルケトン構造及びビスアシルオスフィンオキサイド構造の少なくともいずれかを有する重合開始剤(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)フェノキシ〕フェニル}-2-メチルプロパノンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤(B)の含有量は、安全性に優れかつ硬化物の高い硬度を得るため、組成物の全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、5質量%以上9.5質量%以下がより好ましい。
三官能以上の重合性モノマー(C)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3官能以上6官能以下が好ましく、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルヘキサ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、SI値(Stimulation Index)とは皮膚感作性の程度を示す指標であり、OECDテストガイドライン429などで定められるLLNA法で求められる。 SI値が3未満の場合に感作性なしと判断するものであり、このことは、例えば、次の文献に示されている(参考文献:「機能材料」2005年9月号、Vol.25、No.9、P55)。
SI値は小さいほど皮膚感作性の程度が低く、2未満がより好ましく、1.6未満が更に好ましい。
本発明の組成物は、色材を含有していてもよい。色材としては、本発明における組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、組成物の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。なお、本発明の組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
本発明の組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、従来公知の、界面活性剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などが挙げられる。
本発明の組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、アクリルアミド化合物(A)、ヒドロキシフェニルケトン構造及びビスアシルオスフィンオキサイド構造の少なくともいずれかを有する重合開始剤(B)、三官能以上の重合性モノマー(C)、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に、更に重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
本発明の組成物を硬化させる硬化手段としては、加熱硬化又は活性エネルギー線による硬化が挙げられ、これらの中でも活性エネルギー線による硬化が好ましい。
組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
これらの中でも、省エネルギー化や装置小型化の観点から、紫外線発光ダイオードから照射される波長285nm以下(好ましくは285nm)にピークを有する紫外線が好ましい。なお、重合開始剤の光吸収スペクトルは一般にブロードであって、狭小な特定波長域を照射するUV-LEDを用いることは、組成物の硬化性向上を困難にする。そのため、UV-LEDを用いたとしても硬化性に優れる本発明の組成物を用いることが好ましい。
本発明の収容容器は、本発明の組成物が容器内に充填されたものである。
本発明の収容容器は、本発明の組成物と、容器とを有し、更に必要に応じて、組成物袋等のその他の部材を有してなる。これにより、組成物交換などの作業において、組成物に直接触れる必要がなく、手指や着衣の汚れなどの心配がなく、また組成物へのごみ等の異物混入を防止できる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成された組成物袋などを有するものなどが好適である。
本発明の組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
更に、本発明の組成物は、2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
本発明の像の形成方法は、活性エネルギー線を用いてもよいし、加熱なども挙げられる。本発明の組成物を活性エネルギー線で硬化させるためには、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。更に、本発明の組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明に用いるインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
前記SI値はLLNA法(Local Lymph Node Assay)による皮膚感作性試験に従い、以下のようにして測定した。
<<陽性対照物質>>
前記陽性対照物質としては、α-ヘキシルシンナムアルデヒド(HCA、和光純薬工業株式会社製)を使用した。
前記媒体としては、アセトン(和光純薬工業株式会社製)とオリーブ油(フヂミ製薬所製)を、体積比(アセトン:オリーブ油)=4:1で混合した混合液を使用した。
被験物質、陽性対照、媒体対照のそれぞれについて、マウスの雌に対し6日間の検疫を含む8日間の馴化を行った。検疫、馴化期間中、全ての動物に異常は認められなかった。
感作開始2日前に測定した体重を用いて、体重層別無作為抽出法で、個体の体重が全体の平均体重±20%以内となるように2群(4匹/群)に群分けした。感作開始時の動物の週齢は8~9週齢であった。群分けにより外れた動物は試験から除外した。
使用した動物は、試験期間を通して尾部への油性インク塗布により識別し、併せてケージはラベルをつけて識別した。
使用動物は、検疫、馴化期間中を含む全飼育期間を通して、温度21℃~25℃、相対湿度40%~70%、換気回数10~15回/時間、明暗サイクル12時間感覚(7時点灯~19時消灯)に設定したバリアーシステムの飼育室で飼育した。
飼育ケージはポリカーボネート製ケージを使用した。使用動物は4匹/ケージで飼育した。
飼料は、実験動物用固形飼料MF(オリエンタル酵母工業株式会社製)を使用し、使用動物に自由摂取させた。飲料水は、塩素濃度が略5ppmとなるように次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス、オーヤラックス社製)を添加した水道水を、給水びんにより、使用動物に自由摂取させた。床敷はサンフレーク(モミ材、電気かんな削りくず、日本チャールス・リバー社製)を使用した。飼料及び飼育用器材は、オートクレープ滅菌(121℃、30分間)したものをそれぞれ使用した。
ケージ及び床敷は、群分け時及び耳介リンパ節摂取日(飼育室からの搬出時)に交換し、給水びん及びラックは、群分け時に交換した。
<<群構成>>
SI値の測定試験で使用した群構成を、表1に示す。
<<被験物質>>
表2に被験物質の秤量条件を示す。被験物質をメスフラスコに秤量し、媒体を加えながら1mLに定容した。調製液は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
略0.25gのHCAを正確に秤量し、媒体を加えながら1mLとして25.0w/v%液を調製した。調製物は、遮光した気密容器(ガラス製)に入れた。
5-ブロモ-2’-デオキシウリジン(BrdU、ナカライテスク株式会社製)200mgをメスフラスコに正確に秤量し、生理食塩液(大塚製薬工業株式会社製)を加えて超音波照射し、溶解させた。その後、20mLに定容して10mg/mL液(BrdU調製液)を調製した。調製液は、滅菌濾過フィルターを用いて濾過滅菌し、滅菌容器に入れた。
陽性対照物質調製液は感作開始前日に調製し、使用時以外は冷所で保管した。媒体及び被験物質調製液は各感作日に調製した。BrdU液は、投与の2日前に調製し、投与日まで冷所に保管した。
<<感作>>
各被験物質及び陽性対照物質の調製液及び媒体を動物の両耳介にそれぞれ25μLずつ塗布した。塗布には、マイクロピペッターを用いた。この操作を1日1回、3日間連続して行った。
最終感作の略48時間後に1回、BrdU調製液を動物1匹あたり0.5mL、腹腔内投与した。
<<一般状態>>
試験に使用した全動物について、感作開始日から耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)まで、1日1回以上観察した。なお、観察日の起算法は、感作開始日をDay1とした。
感作開始日及び耳介リンパ節採取日(飼育室からの搬出日)に体重を測定した。また、群ごとの体重の平均値及び標準誤差を算出した。
BrdU投与の略24時間後に動物を安楽死させ、耳介リンパ節を採取した。周囲組織を取り除き、両側耳介リンパ節を一括して質量測定した。また、群ごとの耳介リンパ節重量の平均値及び標準誤差を算出した。質量測定後、個体毎に-20℃に設定されたバイオメディカルフリーザーで凍結保存した。
耳介リンパ節を室温に戻した後、生理食塩液を加えながらすり潰し、懸濁させた。この懸濁液を濾過した後、個体ごとに3wellずつ、96wellマイクロプレートに分注し、ELISA法によりBrdU取り込み量の測定を行った。試薬は、市販のキット(Cell Proliferation ELISA、BrdU colorimetric、Cat.No.1647229、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を使用し、マルチプレートリーダー(FLUOstar OPTIMA、BMG LABTECH社製)より得られた各個体の吸光度(OD370nm-OD492nm、BrdU取り込み量)について、3wellの平均値を各個体のBrdU測定値とした。
<<Stimulation Index(SI)の算出>>
下記式で示すように、各個体のBrdU測定値を、媒体対照群のBrdU測定値の平均値で除して、各個体のSI値を算出した。各試験群のSI値は、各個体のSIの平均値とした。なお、SI値は、小数点以下第2位を四捨五入して小数点第1位まで表示した。
組成物の調製に用いた原材料の略号、化合物名、メーカー名及び製品名を表3に示した。
市販されていない原材料は、合成例1~5に示す方法で合成した。合成した化合物の同定は核磁気共鳴分光法(使用装置:日本電子株式会社製「JNM-ECX500」)で実施し、純度の測定はガスクロマトグラフ法(使用装置:株式会社島津製作所製,「GCMS-QP2010 Plus」)で実施した。これらの化学分析は定法により実施した。
・表3中のB2-1及びB2-2は、MSDS(化学物質安全性データシート)において生殖毒性を示すR62のR警句が付記ありである。
・表3中のB2-1及びB2-2以外の材料は、すべて、MSDS(化学物質安全性データシート)において生殖毒性を示すR62のR警句が付記なしである。
・表3中のA2-1及びA2-2は、上記SI値の評価方法において、SI値が3以上であり、皮膚感作性ありであった。
・表3中のA2-1及びA2-2以外の材料は、すべて上記SI値の評価方法において、SI値が3以下であり、皮膚感作性無しであった。
<N-アクリロイル-N-メチルグリシンメチルエステル(A-1)の合成>
N-メチルグリシンメチルエステル塩酸塩(シグマアルドリッチジャパン合同会社製、試薬)0.30モル、炭酸カリウム(関東化学株式会社製、試薬)0.45モル、及び水400mLを0~10℃で撹拌混合し、その温度を保ったままアクリル酸クロリド(和光純薬工業株式会社製、試薬)0.33モルをゆっくり滴下した。滴下終了後、酢酸エチル(関東化学株式会社製、試薬)400mLで3回抽出し、酢酸エチル層を合わせて水400mLで1回洗浄した。酢酸エチルを減圧下40℃で留去して、目的のN-アクリロイル-N-メチルグリシンメチルエステル(A-1)0.20モルをほぼ無色透明の液体として得た。純度は98.3質量%であった。
なお、N-アクリロイル-N-メチルグリシンメチルエステル(A-1)の分子量は157.2であり、公知の化合物である(CAS登録番号72065-23-7)。
<N-アクリロイルピペリジン-4-カルボン酸メチル(A-2)の合成>
合成例1において、N-メチルグリシンメチルエステル塩酸塩をピペリジン-4-カルボン酸メチル塩酸塩(東京化成工業株式会社製、試薬)に変更した以外は、合成例1と同様にして、目的のN-アクリロイルピペリジン-4-カルボン酸メチル(A-2)0.25モルをほぼ無色透明の液体として得た。純度は98.6質量%であった。
なお、N-アクリロイルピペリジン-4-カルボン酸メチル(A1-3)の分子量は197.2であり、公知の化合物である(CAS登録番号845907-51-9)。
<N-アクリロイルピペリジン-3-カルボン酸エチル(A2-1)の合成>
合成例1において、N-メチルグリシンメチルエステル塩酸塩をピペリジン-3-カルボン酸エチル塩酸塩(東京化成工業株式会社製、試薬)に変更した以外は、合成例1と同様にして、目的のN-アクリロイルピペリジン-3-カルボン酸エチル(A2-1)0.26モルをほぼ無色透明の液体として得た。純度は98.2質量%であった。
なお、N-アクリロイルピペリジン-3-カルボン酸エチル(A2-1)の分子量は211.3であり、公知の化合物である(CAS登録番号1156229-85-4)。
<N-アクリロイルアラニンメチルエステル(A3-1)の合成>
合成例1において、N-メチルグリシンメチルエステル塩酸塩をアラニンメチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社製、試薬)に変更した以外は、合成例1と同様にして、目的のN-アクリロイルアラニンメチルエステル(A3-1)0.21モルをほぼ無色透明の液体として得た。純度は99.5質量%であった。
なお、N-アクリロイルアラニンメチルエステル(A3-1)の分子量は143.1であった。
<N-アクリロイルN-オクチルアラニンオクチルエステル(A3-2)の合成>
合成例1において、N-グリシンメチルエステル塩酸塩をN-オクチルアラニンオクチルエステル塩酸塩(東京化成工業株式会社製、試薬)に変更した以外は、合成例1と同様にして、目的のN-アクリロイルN-オクチルアラニンオクチルエステル(A3-2)0.20モルをほぼ無色透明の液体として得た。純度は99.5質量%であった。
なお、N-アクリロイルN-オクチルアラニンオクチルエステル(A3-2)の分子量は359.4であった。
各成分を下記表4~表7の実施例及び比較例の各欄に示す含有量で混合して、実施例1~10及び比較例1~10の組成物を調製した。
像形成装置として、株式会社リコー製MH2420ヘッドを備えた図1に示す像形成装置に各組成物をカートリッジに収納したものを用いた。カートリッジからMH2420ヘッドに達するまで流路を設置し、これにより基材にインクジェット吐出を行い、3cm×10cmのベタ画像を作製した。
なお、液滴の打ち込み量としては、ベタ塗膜が厚さ約10μmとなるように調整した。また、上記によって得られた組成物は、吐出温度25℃~40℃において粘度が8mPa・s~15mPa・sであった。
次に、基材に吐出された組成物について、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6(Dバルブ)により光照射して硬化させた。これにより、硬化物を形成した。硬化は、表4~表7に示す硬化波長において1W/cm2で、3J/cm2の光量条件で硬化させた。
各組成物における各材料のMSDS(化学物質安全性データシート)において、生殖毒性を示すR62のR警句が付記されていない材料を使用する場合〇、R62のR警句が付記されている材料を使用する場合×とした。
各組成物について、上記SI値の評価方法を用いて評価を行い、下記の基準で皮膚感作性を評価した。
[評価基準]
○:組成物のSI値が3以下
△:組成物のSI値が3超4未満
×:組成物のSI値が4以上
各硬化物の硬度はJIS-K-5600-5-4に示される鉛筆法による引っかき硬度評価で実施した。硬度は「6B」<「4B」<「3B」<「2B」<「B」<「HB」<「F」<「H」の順で強固である。
「4B」以下を×、「3B~2B」を△、「B~F」を〇、「H」以上を◎とした。
各硬化物を室温(25℃)下に放置し、硬化物の表面を指で触れ、べたつきの有無を確認し、下記基準でタック性を評価した。
[評価基準]
○:べたつきがない
△:ややべたつきがあるが実質上許容範囲内である
×:べたつきが強く実質上許容範囲を超えている
硬化物と基材との密着性は、包装材料や産業資材として幅広く使用されている汎用的なフィルム材料として、市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、E5100、厚さ100μm)を使用し、この基材のコロナ処理面に組成物をインクジェット吐出した後、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により光照射して硬化させた硬化物に対して、JIS-K-5600-5-6に示されるクロスカット法による付着について、下記基準で密着性を評価した。
[評価基準]
○:剥がれが見られない、又はカットの交差点における小さな剥がれのみがある
×:明確に剥がれが見られる
<1> 分子量が150以上350以下であり、エステル構造を有するアクリルアミド化合物(A)と、
ヒドロキシフェニルケトン構造及びビスアシルオスフィンオキサイド構造の少なくともいずれかを有する重合開始剤(B)と、
三官能以上の重合性モノマー(C)と、を含有し、
前記三官能以上の重合性モノマー(C)の含有量が20質量%以上40質量%以下であることを特徴とする組成物である。
<2> 前記三官能以上の重合性モノマー(C)の含有量が30質量%以上35質量%以下である前記<1>に記載の組成物である。
<3> 前記三官能以上の重合性モノマー(C)の皮膚感作性が陰性である前記<1>から<2>のいずれかに記載の組成物である。
<4> 前記アクリルアミド化合物(A1)が、下記一般式(1)及び(2)の少なくともいずれかで表される前記<1>から<3>のいずれかに記載の組成物である。
<5> 前記アクリルアミド化合物(A1)の含有量が、組成物の全量に対して、60質量%以上75質量%以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の組成物である。
<6> 前記重合開始剤(B)の生殖毒性が陰性である前記<1>から<5>のいずれかに記載の組成物である。
<7> 前記重合開始剤(B)の含有量が、組成物の全量に対して、1質量%以上10質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の組成物である。
<8> 活性エネルギー線硬化型組成物である前記<1>から<7>のいずれかに記載の組成物である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の組成物が容器中に収容されてなることを特徴とする収容容器である。
<10> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の組成物を収容する収容部と、
前記組成物を付与する付与手段と、
前記組成物を硬化させる硬化手段と、
を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置である。
<11> 前記硬化手段が、波長285nm以下に発光波長を有する紫外線照射装置である前記<10>に記載の像形成装置である。
<12> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の組成物を付与する付与工程と、
前記組成物を硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法である。
<13> 前記硬化工程において、285nm以下に発光波長を有する紫外線を照射する前記<12>に記載の像形成方法である。
<14> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の組成物を用いて形成されることを特徴とする硬化物である。
<15> 前記<14>に記載の硬化物を延伸加工してなることを特徴とする成形加工品である。
<16> 基材上に前記<14>に記載の硬化物からなる表面加飾が施されてなることを特徴とする加飾体である。
3 可動ステージ
4 活性エネルギー線
5 組成物
6 硬化層
21 供給ロール
22 被記録媒体
23a、23b、23c、23d 印刷ユニット
24a、24b、24c、24d 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
30 造形物用吐出ヘッドユニット
31、32 支持体用吐出ヘッドユニット
33、34 紫外線照射手段
35 立体造形物
36 支持体積層部
37 造形物支持基板
Claims (14)
- 分子量が150以上350以下である、N-アクリロイル-N-メチルグリシンアルキルエステル又はN-アクリロイルピペリジン-4-カルボン酸メチル(A)と、
1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、又は2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)フェノキシ〕フェニル}-2-メチルプロパノンである重合開始剤(B)と、
皮膚感作性が陰性である、三官能以上の重合性モノマー(C)と、を含有し、
前記N-アクリロイル-N-メチルグリシンアルキルエステルは、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記N-アクリロイル-N-メチルグリシンアルキルエステル又は前記N-アクリロイルピペリジン-4-カルボン酸メチル(A)の含有量が60質量%以上75質量%以下であり、
前記三官能以上の重合性モノマー(C)の含有量が20質量%以上40質量%以下であることを特徴とする組成物。
- 前記三官能以上の重合性モノマー(C)の含有量が30質量%以上35質量%以下である請求項1に記載の組成物。
- 前記三官能以上の重合性モノマー(C)のSI値が3以下である請求項1から2のいずれかに記載の組成物。
- 前記N-アクリロイル-N-メチルグリシンアルキルエステルが、N-アクリロイル-N-メチルグリシンメチルエステルである請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
- 前記重合開始剤(B)の含有量が、1質量%以上10質量%以下である請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
- 有機溶剤を含まない請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
- 活性エネルギー線硬化型組成物である請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1から7のいずれかに記載の組成物が容器中に収容されてなることを特徴とする収容容器。
- 請求項1から7のいずれかに記載の組成物を収容してなる収容部と、
前記組成物を付与する付与手段と、
前記組成物を硬化させる硬化手段と、
を有することを特徴とする2次元又は3次元の像形成装置。 - 前記硬化手段が、波長285nm以下に発光波長を有する紫外線照射装置である請求項9に記載の像形成装置。
- 請求項1から7のいずれかに記載の組成物を付与する付与工程と、
前記組成物を硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とする2次元又は3次元の像形成方法。 - 前記硬化工程において、285nm以下に発光波長を有する紫外線を照射する請求項11に記載の像形成方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の組成物を用いて形成されることを特徴とする硬化物。
- 請求項13に記載の硬化物を延伸加工してなることを特徴とする成形加工品。
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